説明

磁気センサ装置及びそれを用いた読み取り判別装置

【課題】 読み取り領域をカバーし、搬送される紙葉類の磁気情報を高精度で検出し、紙葉類の真偽判別可能な磁気センサ装置及びそれを用いた読み取り判別装置を提供する。
【解決手段】 挿入側の側壁にスリット部を設け、対向する排出側を開口端部とし、内部に中空部を有する平板状の筐体と、読み取り媒体と、読み取り媒体が搬送される筐体の中空部を形成する一方の平板壁の開口端部内側に載置され、スリット部に平行して磁気感受素子と出力端子とをパターン形成した基板と、筐体の中空部を形成する他方の平板壁の開口端部を除く一部にスリット部に沿って表面が絶縁性を有する導体を巻きつけ、導体に直流電圧を印加し、一方の平板壁と他方の平板壁との開口端部間に磁界を発生させるコイルと、基板の出力端子と電気接続され、共通線路を介して磁気感受素子の抵抗値変化を順次検出するシフトレジスタ回路とアナログスイッチ回路からなる半導体チップとを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気カードや紙幣などの情報を読み取る又は真偽判別する磁気センサ装置及びそれを用いた読み取り判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気インクが塗布された紙幣、磁気層を含有する磁気カードなどの磁気記録情報を識別する磁気センサや識別装置が普及している。例えば、特開平8−105950号公報図1(特許文献1参照)には、永久磁石をヨーク側に設け、永久磁石の磁界をヨークを通して走査通路の一方側から分散放射し、この分散磁界の変化を走査通路の反対側の磁気抵抗素子で検出する構成とした磁気センサ装置が開示されている。
【0003】
特開2000−105847号公報図8(特許文献2参照)には、磁気検出部16A,16Bに対して別々に高周波電流を印加し、検波回路54A,54Bによって磁気検出部16A,16Bのそれぞれの両端から外部磁界に対する電圧の振幅変化を信号として取り出し、2つの信号を低ゲインの直流の差動アンプ56にて差動増幅して、検波後出力Vsを得る磁気センサの信号処理が開示されている。
【0004】
特開平9−18068号公報段落〔0013〕(特許文献3参照)には、X方向磁力線に抵抗をもつX方向抵抗体14とY方向磁力線に抵抗をもつY方向抵抗体13がフェライト粉を含んだ印刷ペーストにより厚膜形成されている磁気感応デバイスが開示されている。
【0005】
特開2001−60308号公報図4(特許文献4参照)には、鉄粉とマグネタイト粉とをメカニカルアロイングして磁気ヘッド・磁気センサなどに適用可能なバルク磁気抵抗材料で、外部磁場に対する磁気抵抗が1.2%程度変化するものが開示されている。
【0006】
特開平8−293426号公報図5段落0036(特許文献5参照)には、ランタンエトキシド、ストロンチウムイソプロポキシド溶液11と酢酸マンガン溶液12とを混合した溶液13で形成した酸化物薄膜17で製造した磁気抵抗効果素子19の300Kにおける磁気抵抗変化率(△R/R0 )が−50%である磁気抵抗効果素子の製造方法が開示されている。
【0007】
特開2007−164293号公報図6(特許文献6参照)には、印刷物103bの所定の領域における磁気情報を検出する磁気検出装置601と、磁気検出装置601の出力を検出する磁気信号検出装置602と、バーコード106(図1参照)を読み取るイメージセンサ603と、イメージセンサ603の出力(バーコードデータ)を比較データに変換するバーコード読み取り装置604と、磁気信号検出装置602の出力データとバーコード読み取り装置604の出力データとを比較し、両者が一致するか否かの判定を行うデータ比較手段605と、読み取り対象の用紙を搬送する搬送系を備えている読み取り装置が開示されている。
【0008】
特開平9−284645号公報図1(特許文献7参照)には、磁気記憶部を有するフィルムを搬送する搬送手段4、16と、フィルム搬送路上のフィルムを照明する照明手段10aと、フィルム搬送路上のフィルムを介して照明手段10aの照明光を受光し、画像記憶領域の画像を読み取る画像読取手段21と、画像読取手段21の読み取り位置から搬送手段4、16の搬送経路に磁気記憶部の情報を読み取る磁気センサ25a、25bとを設けた画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−105950号公報(第1図)
【特許文献2】特開2000-105847号公報(第8図)
【特許文献3】特開平9−18068号公報(段落0013)
【特許文献4】特開2001−60308号公報(第4図)
【特許文献5】特開平8−293426号公報(第5図、段落0036)
【特許文献6】特開2007−164293号公報(第6図)
【特許文献7】特開平9−284645号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、走査経路5に対向して永久磁石1の下面側にL形形状のヨーク10を固定したものを走査経路5を挟んで磁気抵抗素子2a、2bと対向させており、永久磁石1のN極側から発散した磁界はS極側ではループ磁界からの帰還となるので情報ビット13の検出値がループ経路の外部環境変化により情報ビット13の検出値が不安定になるという課題がある。
【0011】
特許文献2に記載のものは、磁気センサ34の磁気検出部16A、16Bに高周波電流を印加し、その検波出力を取り出し、差動アンプ56で増幅しているものの、検波回路の温度や容量変化などの影響で高精度な差動増幅出力が得られないという課題がある。
【0012】
特許文献3に記載のものは、抵抗体13、14はフェライト粉を含んだ印刷ペーストにより厚膜形成されるものの具体的な製造方法については言及されていない。
【0013】
特許文献4に記載のものは、マトリックス中に分散した、バルク磁気抵抗材料が得られ、厚さに制限はないので磁気ヘッド、磁気センサ等に有効であるものの磁気センサに用いた場合の具体的構造などについては言及していない。
【0014】
特許文献5に記載のものは、非常に大きな磁気抵抗変化率を有するLa−(Ca,Sr)−Mn−O系ペロブスカイト酸化物材料を用いた磁気抵抗効果素子を実現できるものの磁気センサに用いた場合の具体的構造などについては言及していない。
【0015】
特許文献6に記載のものは、磁気信号検出装置602における磁気識別情報とバーコード読み取り装置における印刷識別情報とは異なる種類の情報であるので、検出すべき特定領域の高精度な真偽判別には向かないという課題がある。
【0016】
特許文献7に記載のものは、搬送手段4、16の搬送経路に画像読取手段21と磁気センサ25aを配置し、マイコン2を介して画像読取手段21と磁気センサ25aとを独立して制御するので、信号処理が複雑になり、同一領域における高精度な真偽判別が困難であるという課題がある。
【0017】
この発明は上記のような課題を解消するためになされたものであり、読み取り領域をカバーし、搬送される紙葉類の磁気情報を高精度で検出し、紙葉類の真偽判別可能な磁気センサ装置及びそれを用いた読み取り判別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1の発明に係る磁気センサ装置は、挿入側の側壁又は前記側壁と直交する平板壁に読み取り幅に亘ってスリット部を設け、対向する排出側を開口端部とし、内部に中空部を有する平板状の磁性体で構成した筐体と、磁性領域を有し、前記スリット部から挿入され、前記開口端部から排出される読み取り媒体と、この読み取り媒体が搬送される前記筐体の中空部を形成する一方の平板壁の前記開口端部内側に載置され、前記スリット部に平行して磁界により抵抗値が変化する多数の磁気感受素子とそれらの出力端子とをパターン形成した基板と、前記筐体の中空部を形成する他方の平板壁の前記開口端部を除く一部に前記スリット部に沿って表面が絶縁性を有する導体を巻きつけ、この導体に直流電圧を印加し、前記一方の平板壁と前記他方の平板壁との開口端部間に磁界を発生させるコイルと、前記基板の前記出力端子と電気接続され、共通線路を介して前記磁気感受素子の個々の抵抗値変化を順次連続的に検出するシフトレジスタ回路とアナログスイッチ回路からなる半導体チップとを備えたものである。
【0019】
請求項2の発明に係る磁気センサ装置は、前記表面が絶縁性を有する導体は、互いに平行配置した導体パターンをポリイミド又はソルダレジスト材で被覆したフレキシブル基板である請求項1に記載のものである。
【0020】
請求項3の発明に係る磁気センサ装置は、前記一方の平板壁と前記他方の平板壁とは、前記挿入側の側壁で接合される請求項1又は2に記載のものである。
【0021】
請求項4の発明に係る磁気センサ装置は、前記基板は、パターン形成される表面が絶縁処理された強磁性体の金属基板である請求項1〜3のいずれか1項に記載のものである。
【0022】
請求項5の発明に係る磁気センサ装置は、個々の前記磁気感受素子は縦長のミアンダ形状パターンと横長のミアンダ形状パターンとが1対で形成され、それぞれ前記出力端子を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のものである。
【0023】
請求項6の発明に係る磁気センサ装置は、挿入側の側壁又は前記側壁と直交する平板壁に読み取り幅に亘ってスリット部を設け、対向する排出側を開口端部とし、内部に中空部を有する平板状の磁性体で構成した筐体と、磁性領域を有し、前記スリット部から挿入され、前記開口端部から排出される読み取り媒体と、この読み取り媒体が搬送される前記筐体の中空部を形成する一方の平板壁の前記開口端部内側に載置され、前記スリット部に平行して磁界により抵抗値が変化する多数の磁気感受素子とそれらの出力端子とをパターン形成した基板と、前記筐体の中空部を形成する一方又は他方の平板壁の外側に前記スリット部に沿って載置され、前記一方の平板壁と前記他方の平板壁との開口端部間に磁界を発生させる磁石と、前記基板の前記出力端子と電気接続され、共通線路を介して前記磁気感受素子の個々の抵抗値変化を連続的に検出するシフトレジスタ回路とアナログスイッチ回路からなる半導体チップとを備えたものである。
【0024】
請求項7の発明に係る磁気センサ装置は、前記磁石は、前記他方の平板壁の開口端部まで延在する請求項6に記載のものである。
【0025】
請求項8の発明に係る磁気センサ装置は、前記一方の平板壁と前記他方の平板壁とは、前記挿入側の側壁で接合される請求項6又は7に記載のものである。
【0026】
請求項9の発明に係る磁気センサ装置は、前記基板は、パターン形成される表面が絶縁処理された強磁性体の金属基板である請求項6〜8のいずれか1項に記載のものである。
請求項10の発明に係る磁気センサ装置は、個々の前記磁気感受素子は縦長のミアンダ形状パターンと横長のミアンダ形状パターンとが1対で形成され、それぞれ前記出力端子を有する請求項6〜9のいずれか1項に記載のものである。
【0027】
請求項11の発明に係る読み取り判別装置は、磁性領域を有する読み取り媒体を搬送方向に搬送する搬送手段と、搬送される読み取り媒体の読み取り位置に光を照射する光源と、前記読み取り位置からの反射光又は透過光を収束するレンズアレイと、このレンズアレイにより収束された光を受光し、光電変換された個々の電圧を第1共通線路を介してシフトパルスで連続的に検出する第1シフトレジスタ回路と第1アナログスイッチ回路とを有するセンサICと、前記読み取り位置から搬送方向に所定距離隔てて配置され、磁界により磁気感受素子の個々の抵抗値変化を第2共通線路を介して前記センサICのシフトパルスに同期したシフトパルスで連続的に検出する第2シフトレジスタ回路と第2アナログスイッチ回路とを有する半導体チップを搭載した磁気センサ装置とを備えたものである。
【0028】
請求項12の発明に係る読み取り判別装置は、前記センサICのシフトパルス及び前記半導体チップのシフトパルスは同一のクロック信号に同期してシフトする請求項11に記載のものである。
【発明の効果】
【0029】
この発明による磁気センサ装置によれば、内部に中空部を設けた筐体の一端側のスリット部から読み取り媒体1を挿入し、対向する他端側の開口端部から読み取り媒体1を排出する構造とし、中空壁面を形成する平板壁の内側に磁気感受素子を設け、平板壁に磁石を設置することで平板壁の開口端部の隙間に磁界を与えて磁気感受素子の抵抗値の変化を検出するので平板状磁石の内部に回路部品を収納することが可能な薄型の磁気センサ装置を得ることができる。
【0030】
また、この発明による磁気センサ装置を用いた読み取り判別装置によれば、磁気センサ装置とCIS(コンタクトイメージセンサ)とを共通の入力信号を用いて連動させて使用するので真偽判別精度の高い読み取り判別装置を得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の読み取り幅方向中央部付近の側面図である。
【図3】この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の基板5と信号基板7との関係を説明する平面図である。
【図5】この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の基板5にパターン形成する磁気感受素子4や配線パターンを説明する平面図であり、図5(a)は磁気感受素子4を独立ドット構成した場合、図5(b)は磁気感受素子を連続帯状構成した場合を示す。
【図6】この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の基板5にパターン形成する磁気感受素子4を倍密度で形成した場合の一実施例を説明する図である。
【図7】この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の一実施例の回路図である。
【図8】この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の一実施例のタイミングチャートである。
【図9】この発明の実施の形態1による磁気センサ装置に用いる比較器16に替えて差動増幅器を用いた場合を説明する図であり、図9(a)は回路図、図9(b)は多値判定を説明する図である。
【図10】この発明の実施の形態1による磁気センサ装置に搭載する半導体チップの平面図である。
【図11】この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の基板製造工程の製造フローであり、図11(a)は基板メタライズ工程、図11(b)は写真製版工程、図11(c)は磁気感受素子の印刷・焼成工程、図11(d)は電圧パルストリミング工程、図11(e)は保護膜印刷・焼成工程、図11(f)は半導体チップの実装(D/B)工程、図11(g)は、ワイヤボンド(W/B)工程、図11(h)は封止工程を示す。
【図12】磁気感受素子4に磁界を与えた場合の抵抗値変化を説明する図である。
【図13】酸化ルテニウム粉とフェライト粉、及び電圧パルストリミングで抵抗値調整を行うためのガラス材を説明する図である。
【図14】この発明の実施の形態1による読み取り判別装置の側面図である。
【図15】この発明の実施の形態1による読み取り判別装置の平面図である。
【図16】この発明の実施の形態1による磁気センサ装置とCISを搭載した読み取り判別装置のブロック図である。
【図17】この発明の実施の形態1による磁気センサ装置とCISを搭載した読み取り判別装置の電源駆動回路のタイミング図である。
【図18】この発明の実施の形態1による磁気センサ装置とCISを搭載した読み取り判別装置の電源駆動回路のタイミング図である。
【図19】この発明の実施の形態1による読み取り判別装置に付加されるCISのセンサICの内部回路図である。
【図20】磁気センサ20の一致データAの照合方法を説明する図である。
【図21】ラインマップデータでの照合を説明する図である。
【図22】筐体2を分離構造とし、上部筐体2dと下部筐体2eとを互いにつなぎ合わせた図であり、図22(a)はスリット部でつなぎ合わす場合を示し、図22(b)は下部筐体2を平板にしてつなぎ合わせる場合を示す。
【図23】電磁石に代えて専用の永久磁石36を設置するようにした場合を説明する図であり、図23(a)はヨーク板を使用しない場合、図23(b)はヨーク板を使用する場合を示す。
【図24】この発明の実施の形態2による磁気センサ装置の磁気感受素子の配置を説明する平面図である。
【図25】この発明の実施の形態2による磁気センサ装置の回路図である。
【図26】この発明の実施の形態2による磁気センサ装置のタイミングチャートである。
【図27】この発明の実施の形態2による磁気センサ装置の磁気感受素子40の抵抗値変化を説明する図である。
【図28】この発明の実施の形態2による磁気センサ装置に搭載する半導体チップの平面図である。
【図29】この発明の実施の形態3による磁気センサ装置の電磁石部分を説明する図であり、図29(a)はフレキシブル基板の平面図、図29(b)はフレキシブル基板の部分拡大図、図29(c)はフレキシブル基板の巻き方を示す。
【図30】この発明の実施の形態4による磁気センサ装置の読み取り幅方向中央部付近の側面図である。
【図31】この発明の実施の形態5による磁気センサ装置の読み取り幅方向中央部付近の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の斜視図である。図1において、1は磁気インクが塗付又は印刷された紙幣や磁気パターンが積層された磁気カードなどの被磁気検知物(読み取り媒体)であり、搬送方向にローラなどの搬送手段で搬送される。
【0033】
2は軟鉄や焼きなましの鉄板、又はパーマロイなどの強磁性体の平板素材を折り曲げて内部に側壁と連結された平板壁で中空空間を設けた平板状の筐体、2aは折り曲げた筐体2の開放された端部を内側に突出させて設けた突起部、2bは突起部2aに対向する筐体2の一方の平板壁端部に相当する平坦部、2cは筐体2の折り曲げられた側壁の一部を読み取り媒体1の読み取り幅に亘って切り欠いて形成された読み取り媒体1を挿入するスリット部、3は筐体2の他方の平板壁端部に設けた突起部2aを除き、他方の平板壁に直径0.25mm程度のエナメル線や被覆して表面を絶縁処理した導体(導体線)を読み取り幅方向(主走査方向)に巻きつけて磁界を発生させる電磁石用のコイル(巻き線)である。
【0034】
したがって、コイル3に直流電圧を印加することにより、コイル3を挟んで両側に磁界のN極とS極が形成され、端部(開口端部)である筐体2の平板壁に設けた突起部2aと対向する一方の平板壁端部の平坦部2bとの間に搬送方向に対して略垂直磁界が発生する。スリット部2cから挿入された読み取り媒体1は、垂直磁界内を通過して開口端部の隙間から排出される。なお、便宜上コイル3を巻いた筐体2を電磁石と呼ぶ。
【0035】
4は筐体2の一方の平板壁端部側に読み取り幅方向にアレイ状に配置され、読み取り媒体1の磁化成分を検出するパターン化された磁気感受素子である。
【0036】
5は上層に磁気感受素子4を形成する表面がガラスコーティングされたセラミック基板、又は上層に磁気感受素子4を形成する表面がホーローエナメルやガラス材などで絶縁処理された強磁性体材料を用いた金属板(ホーロー基板)で構成され、筐体2の一方の平板壁端部内側に載置する基板であり、この基板5上に磁気感受素子4をパターン形成すると共に磁気感受素子4の出力端子を含む電気配線パターンが形成される。
【0037】
6はアレイ状に配置した磁気感受素子4の抵抗値情報を共通線(共通線路)を介して順次連続的に出力するためのシフトレジスタ回路やアナログスイッチ回路などを集積して収納した半導体チップ(データドライバ)、7はプリント配線板などで構成した信号処理基板(信号基板)であり、信号基板7に半導体チップ6が搭載される。8は半導体チップ6や基板5の入出力信号の受け渡しや電源を供給する入出力コネクタ、9はコイル3に電力を供給する電磁石用のコネクタである。
【0038】
図2は、この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の読み取り幅方向中央部付近の側面図である。図2において、10は磁気感受素子4のデジタル変換された後の信号を演算及び照合処理する信号処理IC、11は配線接続用の金ワイヤなどの接続手段であり、11aは基板5と半導体チップ6との接続手段、11bは半導体チップ6と信号基板7との接続手段である。12は接続手段11を保護するキャップや樹脂モールドした保護部材、13はニッケル又はコバルト(Co)などのアモルファス磁気シールド材を用いた厚み0.15〜0.2mmの磁気シールドシート、14は読み取り媒体1の搬送経路を確保する磁気シールド材を用いた緩衝部材である。したがって、筐体2の中空部を通過する読み取り媒体1は、筐体2の一方の平板壁側に設けられた緩衝部材14と他方の平板壁側に設けられた磁気シールドシート13との隙間を通過経路として筐体2の端部側から排出される。
【0039】
図3は、この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の平面図である。読み取り媒体1には、磁気インクが塗布又は積層されており、紙幣などにあっては、文字や図柄に磁気インクが塗布されている領域がある。紙幣の場合には、読み取り幅は約160mm程度までなので磁気センサ装置の読み取り幅に合わせて長手方向サイズを約200mmとしているが、読み取り媒体1の磁気インク塗布領域の面積が小さいときは長手方向サイズを短手方向サイズの30mmと合わせても良く、搬送方向(副走査方向)に余裕がある場合には、コイル3の巻き数を増やすために短手方向サイズを長手方向サイズより大きくしても良い。図1〜図3中、同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0040】
図4は、この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の基板5と信号基板7との関係を説明する平面図である。図4において、15は半導体チップ6を除き、ディスクリートの電子部品を設置する信号基板7の領域を示す。基板5と信号基板7とは分離されており、半導体チップ6は信号基板7側に基板5と対向するように配置される。半導体チップ6に対する信号配線の受け渡しは接続手段11により行われる。図中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0041】
図5は、この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の基板5にパターン形成する磁気感受素子4や配線パターンを説明する平面図であり、図5(a)は磁気感受素子4を独立ドット構成とした場合、図5(b)は磁気感受素子4を連続帯状構成とした場合を示す。図5において、5aは磁気感受素子4に電位を与える共通電極パターン、5bは共通電極パターンに対向する個別電極パターン、5cは磁気感受素子4の出力を出力端子に配線する引き出しパターンである。磁気感受素子4のそれぞれの要素は0.25mm(4ドット/mm)X0.33mm(3ドット/mm)の密度で読み取り幅方向に直線的にアレイ状に配列される。
【0042】
図5では、独立ドット構成及又は連続帯状構成とした磁気感受素子4に対して、共通電極パターン5a、個別電極パターン5b及び引き出しパターン5cは磁気感受素子4形成後にメタライズし、その後エッチングしてパターン化したものを示している。したがって、電極パターン5の接続部は磁気感受素子4の上部に形成される構成としている。図中、図4と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0043】
図6は、この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の基板5にパターン形成する磁気感受素子4を倍密度で形成した場合の一実施例を説明する図である。図6において、5dは基板5の端部側に設けた幅広のグランドパターン、6aは半導体チップ6の要素側接続用電極パッド、6bは半導体チップ6の駆動回路領域を介して要素側接続用電極パッド6aの反対側に設けた半導体チップ6の信号側接続用電極パッドである。図6では、磁気感受素子4の要素をドットごとに倍密度で形成し、磁気感受素子4の一端は共通電極5aと接続し、他端はグランドに接続し、要素の中点から引き出しパターンを引き出す出力端子構成としている。また半導体チップ6の電極パッド6aは、磁気感受素子4の構成密度より密とし、半導体チップ6をシュリンクした構成としている。図中、図5と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0044】
次に動作について説明する。図5に示す構成の磁気感受素子4は、抵抗値の変化を絶対値として出力端子から出力する。図6に示す磁気感受素子4は、要素の中点から抵抗値変化を検出するのでこの場合について説明する。
【0045】
図7は、この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の一実施例の回路図である。図7において、4aは一方の要素磁気感受素子(要素A)、4bは他方の要素磁気感受素子(要素B)、6cはフリップフロップで構成し、順次データをシフトさせるシフトレジスタ、6dはシフトレジスタ6cのデータに基づき順次スイッチを開閉するアナログスイッチ、6eは磁気感受素子4の信号出力を通過させる共通線、16は共通線6eから出力される電位を基準電位と比較する比較器、17は基準電位を構成する分圧用の可変抵抗器、18は基準電位と共通線6eの電位とを切替えて比較器に入力させる入力切替スイッチ、19は読み取り有効区間以外の出力をハイインピーダンス[H]とするバッファ回路である。なお、図7では、比較器16などを半導体チップ6の外部に設置したが、比較器16を含めて入力切替スイッチ18やバッファ回路19を半導体チップ6の内部に設けて半導体チップ6毎に出力を分割しても良い。
【0046】
まず、コイル3に磁界を発生させ、ローレンツ力により、磁気感受素子4は初期抵抗値から変化する。磁気感受素子4の要素A及び要素Bは互いに接近して配置されており初期抵抗値が変化しても中性点から出力を取り出しているので電源電圧が5Vである場合は、2.5Vとなる。この電位はアナログスイッチ6dが閉のときは共通線6eに入力される。シフトレジスタ6cはアナログスイッチ6dが順次開閉するようにクロック信号(CLK)に同期したスタート信号(SI)のシフトパルスの移動により行われる。図中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0047】
図8は、この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の一実施例のタイミングチャートである。共通線6eには、CLK信号の立下り時にアナログスイッチ6dが閉じ、アナログスイッチ6dは順次に開閉され、1ラインの検出(読み取り)が完了するまで行われる。また、クロック信号のH区間は比較器16の入力は同一電圧にし、サンプリング電圧の採取期間を設ける。サンプリングは読み取り有効期間内で行う。比較器16の出力は次段サンプリング回路に入力される。サンプリング回路(図示せず)では、比較器16の出力(Vout)とCLK信号とを同期させて、比較器16のVout区間の中ほどから電位を取り出し、2値判定する。また、比較器16に替えて図9(a)に示すように差動増幅器として用いても良く、この場合には、図9(b)に示すようにVoutの検出電圧は変化するのでサンプリング後12ビット程度のデジタル比較器で多値判定する。
【0048】
図10は、この発明の実施の形態1による磁気センサ装置に搭載する半導体チップの平面図である。
図10において、SIはライン毎のスタート信号をクロック信号と同期させて入力されるスタート入力端子、CLKは連続したパルスが入力されるクロック入力端子、SIGは抵抗値の変化を検出信号を出力する信号出力端子、SOは半導体チップ6の中をシフトするスタート信号(SI)の次段接続用の出力端子、VDDは電源端子、GNDは接地端子である。半導体チップ6は、磁気感受素子4の配列ピッチが密な場合には千鳥状配列の96ビットの信号入力端子(要素側接続用の電極パッド)6aとし、密度が疎な場合には、直線状配列の96ビットの信号入力端子(要素側接続用の電極パッド)6aとする。個々の半導体チップ6のサイズが20mmの場合は、信号入力端子間ピッチは約0.2mmで構成する。
【0049】
次に基板5と信号基板7との製造方法について図11を用いて説明する。図11は、この発明の実施の形態1による磁気センサ装置の基板製造工程の製造フローであり、図11(a)は基板メタライズ工程、図11(b)は写真製版工程、図11(c)は磁気感受素子の印刷・焼成工程、図11(d)は電圧パルストリミング工程、図11(e)は保護膜印刷・焼成工程、図11(f)は半導体チップの実装(D/B)工程、図11(g)はワイヤボンド(W/B)工程、図11(h)は封止工程を示す。まず、表面をガラスコートされたセラミック基板に有機金ペーストを表面全域に塗布し、焼成後0.5μm程度の膜厚の金膜を形成する。
【0050】
次に所望のマスクを用いて露光・現像・剥離などのサブ工程を用いて写真製版する。次にペースト化された磁気インク材料を含有した酸化ルテニウムを主原料とした磁気感受材料を所定領域に塗布し、その後焼成する。
【0051】
次に個々の磁気感受素子4の要素と接続された共通電極パターン5aと個別電極パターン5b間に漸増する高電圧の電圧パルスを印加し、漸減する磁気感受素子4の要素の抵抗値が3000Ω±0.5%以下になるまで行う。すなわち、3000Ωまで抵抗値が低下した時点で電圧パルスの印加を停止する。
【0052】
次に磁気感受素子4を含む保護すべき周辺パターンにガラス材料を塗布し、その後焼成し、保護膜を形成する。
【0053】
次に半導体チップ6を基板5にダイボンド用接着剤を用いて載置する。
【0054】
次に基板5と信号基板7とを平板治具(ステージ)を用いて対向させてから基板5に載置した半導体チップ6の所定の要素側接続用電極パッド6aと基板5との所定間とを金ワイヤ11aでワイヤボンド接続する。続けて半導体チップ6の所定の信号側接続用電極パッドと信号基板7との所定間を金ワイヤ11bでワイヤボンド接続する。
【0055】
次に少なくとも磁気感受素子4周辺を除く基板5及び信号基板7の裏面に磁気シールドシート13を貼り付け、その後エポキシ又はシリコン材などを用いた樹脂モールド部材(保護部材)12を半導体チップ6を含むワイヤボンド領域に塗布し、半導体チップ6の腐食や接続手段11の剥がれを防止する。図中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。なお、図11(a)の基板メタライズ工程及び図11(b)の写真製版工程は、図11(c)の磁気感受素子(磁気抵抗体)の印刷・焼成工程の後工程として実施しても良い。
【0056】
次にこの発明の実施の形態1による磁気センサ装置の磁気感受素子について説明する。図12は磁気感受素子4に磁界を与えた場合の抵抗値変化を示したものである。一定磁界内に磁気感受素子4を設置することで発生する磁束密度からのローレンツ力により、磁気感受素子4の電流経路は曲げられ抵抗値の変化が現れる。この磁界空間を通過する磁性インクなどが塗布又は積層された読み取り媒体1はその磁化又は分極作用で周囲の磁界を乱す。
【0057】
したがって、磁界印加状態の初期値からの抵抗値の変化が生じる。また、磁気感受素子4には磁束密度印加時に抵抗値が上昇する抵抗値材料(正特性抵抗材料)と抵抗値が下降する抵抗値材料(負特性抵抗材料)とがある。いずれの場合にも磁束密度を比較的高くすることで図12に示すように抵抗値の変化は飽和状態に近づくものがある。
【0058】
移動する読み取り媒体1が磁気感受素子4に近接することにより、周囲の磁界は乱され本来の磁気感受素子4の初期値に近づくように変化する場合、逆に読み取り媒体1の磁性体が磁化され近傍の磁気感受素子4にさらに大きな磁界がかかる場合とがある。
【0059】
次に磁気感受材料について説明する。磁気インクパターンなどの読み取りの場合には、パターンの有無を検知することが目的であり、市販の磁気感受素子を適用しても良いが、本実施の形態1では半導体チップ6に集積して回路配置を行うので駆動する電圧は10V以下、電流は1ゲート(要素)あたり1mA以下が好ましい。
【0060】
したがって、図13に示すような酸化ルテニウム粉とフェライト粉、及び電圧パルストリミングで抵抗値調整を行うためのガラス材、好ましくは、温度特性が良いランタンガラス材を粉砕したものを適宜配合して温度係数が−1000〜−3000ppm/℃程度のバルク状にした材料を塗布することで、焼成後膜厚が10μm程度で3000Ω程度の高抵抗値が得られるものが好ましい。
【0061】
次に磁気センサ装置を用いた読み取り判別装置について説明する。図14は、この発明の実施の形態1による読み取り判別装置のシステム配置を説明する側面図である。図14において、20は読み取り判別装置に組み込まれた磁気センサ(磁気センサ装置)、21は読み取り媒体1を搬送するローラ又はプーリなどの搬送手段、22は給紙側カセット、23は排紙側カセット、24は読み取り媒体1の図柄や文字認識用のコンタクトイメージセンサ(CIS)である。
【0062】
24aは導光路を用いたCIS24の反射型光源、24bは反射型光源24aで照射され、読み取り媒体1で反射した光を収束するロッドレンズアレイ、24cはロッドレンズアレイ24bで収束した光を受光面で結像させ、光電変換するセンサIC、24dは光電変換された信号を信号処理するASIC、24eはCIS24の内部密閉空間を形成すると共に読み取り媒体1の搬送経路の一部を形成する透過体、24fは読み取り媒体1の照射部(読み取り位置)である。25は読み取り媒体1の透過部分(透かし部分)などを主体に光を照射する透過型光源であり、ロッドレンズアレイ24b及びセンサIC24cを介して透過型光源25の透過光もセンサIC24cで検出される。図中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0063】
図15は、この発明の実施の形態1による読み取り判別装置の平面図である。図15において、25aは透過型光源25のコネクタ、26は磁気センサ装置20と読み取り判別装置との固定部、27はCIS24と読み取り判別装置との固定部である。図中、図2及び図14と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0064】
次に磁気センサ装置を用いた読み取り判別装置の動作について説明する。磁性体の検知と真偽判別のための画像読み取りは、それぞれ独立して判別されるが、本実施の形態1では、紙幣などの読み取り媒体1については、紙幣の図柄や文字・記号などのパターン(図柄パターン)を構成するインク材には磁性成分を付加している場合が多いので、同一領域の磁性部のパターン検知と図柄パターン検知とを行う場合の一例について説明する。
【0065】
図16は、この発明の実施の形態1による磁気センサ装置とCISとを搭載した読み取り判別装置のブロック図であり、図16(a)は磁気センサ装置側の信号処理ICとCIS側の信号処理IC(ASIC)とをそれぞれ分離した場合を示し、図16(b)は磁気センサ装置側の信号処理ICをCIS側のASICに統合させた場合を示す。図16(a)において、システム本体から送出する電磁石駆動信号(PS)によりコイル3に電源を供給することで筐体2端部間に磁界が発生する。読み取り媒体1の搬送速度が250mm/secの一定速度であり、両者の読み取り位置間隔(L)が50mm離間する場合には、磁気部読み取り位置で検出された磁気パターンは200ms後に画像読み取り位置で同一領域のパターン画像データを採取する。
【0066】
磁気感受素子4で検知された磁気検知データは比較器16又は差動増幅器を介して信号処理IC10の照合回路であらかじめROMやレジスタに記憶された照合データと比較し、一致した場合には一致信号をA端子から送出する。画像読み取り位置で読み込まれた画像データは、センサIC24cで光電変換され、CIS24側の信号処理回路の照合部であらかじめROMやレジスタに記憶された照合データと比較し、一致した場合には一致信号をB端子から送出する。システムコントロール(SYC)信号に基づき、システム本体側で200ms後に入手した画像データと磁気検知データが共に一致信号を発している場合には、その領域の図柄(画像)は、磁気検知判別及び画像判別が共に真であることになる。なお、CNTは半導体チップ6やセンサIC24cの読み取り幅を定めるチップセレクト信号である。
【0067】
また、図16(b)では、SYC信号に基づきCIS24側のASIC24dに設けた同期信号生成部でSI信号とCLK信号とを生成し磁気センサ装置20側の半導体チップ6とCIS24側のセンサIC24cとを連動して同時駆動させる。このようにすることにより磁気センサ装置20側に設けられていた信号処理IC10をCIS24側のASIC24dで統合することにより、ASIC24d内のみで照合演算処理が直接行われ、信号処理速度や照合演算精度が大幅に向上する
【0068】
図17は、この発明の実施の形態1による磁気センサ装置とCISを搭載した読み取り判別装置の電源駆動回路のタイミング図である。電磁石駆動信号(PS)で磁界が発生し、磁気センサ(磁気センサ装置)20で磁気部読み取りが開始され、200ms後に図柄パターンの読み取りが行われ、図柄読み取り時直前にCIS24の反射型光源24aが点灯する。透かし部の読み取り時にはCIS24の反射型光源24aは消灯し、CIS24の透過型光源25の点灯信号で透過型光源25が点灯する。一定期間をおいて読み取り媒体1が搬送されると同様なタイミングでCIS24の各点灯信号はON/OFF動作を繰り返す。
【0069】
図18は、この発明の実施の形態1による磁気センサ装置とCISを搭載した読み取り判別装置の駆動タイミング図である。磁気センサ20の読み取り領域とCIS24読み取り領域は、システム本体から送出されたシステムクロック信号(SCLK)及びシステムコントロール信号(SYC)とで生成されたクロック入力信号(CLK)及びスタート入力信号(SI)で半導体チップ6及びセンサIC24cは駆動する。ライン毎に設定した判別領域に対して、一致信号A,Bが送出される。以上、これら一連の動作は信号処理
IC10やASIC24dに搭載されたCPU(Central Processing Unit)の指示に基づき行われる。
【0070】
図19は、この発明の実施の形態1による読み取り判別装置に搭載されるCISのセンサICの内部回路図である。図19において、30は光を受光して光電変換するセンサIC24cの受光部(光電変換素子)、31はシフトレジスタ回路、32はアナログスイッチ、33は共通線、34はCLK信号毎に共通線33を一時的にリセットするアナログスイッチ、35はアナログ信号を増幅する増幅器である。なお、シフトレジスタ回路は31は、磁気センサ20のシフトレジスタと同一構成となっている。すなわち、駆動するSI信号及びCLK信号は磁気センサ20のSI信号及びCLK信号と同期している。
【0071】
次に磁気センサ20の一致データAの照合方法について説明する。読み取り媒体1の読み取りサイズを192mmとし、ライン(n)毎にデータを読み込んだ値が図20に示すようなマップであった場合、あらかじめ記憶素子(ROM)などに収納したデータと比較し、図21に示すように一致している場合には1、一致していない場合には0をラインマップデータとして収納し、決められた領域内でラインマップデータで照合し、読み取り判別装置は真偽判別する。なお、本実施例では、搬送方向の上流側に磁気センサ20を設置し、CIS24を搬送方向の下流側に設置したが可逆的に設置しても良い。
【0072】
以上のように実施の形態1に係る磁気センサ装置は、図1に示すように内部に中空部を設けた平板状筐体の一端側側壁のスリット部から読み取り媒体1を挿入し、対向する他端側の開口端部から読み取り媒体1を排出する構造とし、筐体を構成する一方の中空壁面を形成する平板壁の内側に磁気感受素子を設け、対向する他方の中空壁面を形成する平板壁に磁石を設置し、一方の平板壁の開口端部と他方の平板壁の開口端部との隙間に磁界を与えて磁気感受素子の抵抗値の変化を検出するので平板状磁石の内部に回路部品を収納することができ、薄型の磁気センサ装置を得ることができる。また磁気センサ装置とCISとを共通の入力信号で連動させて使用するので磁気パターンなどの真偽判別精度が高い読み取り判別装置を得る効果がある。
【0073】
また、基板5に強磁性体の金属基板を用いることで平坦部2bの磁化方向が拡張され、筐体2の突起部2aと平坦部2bとの開口端部間距離が短縮され、検出感度の高い磁気感受素子4からの出力を得る効果がある。
【0074】
実施の形態1では、筐体2は一体構造としたが、図22(a)に示すように筐体2は、スリット部2cを境に下部筐体(一方の平板壁を有する筐体部分)2dと上部筐体(他方の平板壁を有する筐体部分)2eとで分離構造とし、下部筐体2dと上部筐体2eとを分極しない程度に溶接や磁性成分を用いた銀蝋付けで互いにつなぎ合わせても良い。
【0075】
また、図22(b)に示すように筐体2は、下部筐体2dを平板にして分離構造としても良く、上部筐体2eを平板にして分離構造としても良い。
【0076】
実施の形態1では、コイル3を筐体2に巻きつけ電磁石としたが、着磁させた筐体2を永久磁石として使用しても良く、磁束密度が100mT程度の小さい用途では、図23(a)に示すように専用の永久磁石36を筐体2の一方又は他方の平板壁の外側にスリット部2cに沿って1個以上設置するようにしても良い。
【0077】
また、図23(b)に示すように筐体2を短くして突起部2aの代わりに永久磁石36の上面に軟鉄で構成したヨーク板37を折り曲げ加工して取り付け、折り曲げられた部分を対向する平坦部2bに対する筐体2の突起部2aとすることにより、読み取り媒体1が比較的薄く且つ粗い領域検知である場合には永久磁石36を用いても読み取り判別を行う上で相応の効果がある。図22及び図23中、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0078】
実施の形態2.
実施の形態1では、共通電極パターン5aから個別電極パターン5bに流れる電流は磁気感受素子4内を読み取り幅方向又は搬送方向のいずれかの1方向に流れるものとしたが、実施の形態2では、磁気感受素子内を流れる個々の要素毎の電流がそれぞれ異なる方向に主体的に流れる場合について説明する。磁気感受素子の長さをL、幅をW、比抵抗をρ0、初期抵抗値をR0とし、磁束密度がBである有磁界時の磁気感受素子の比抵抗をρS、抵抗値をRSとし、流れる電子の移動度をmとするとRSは次式で示される。
【0079】
RS=R0×ρS/ρ0×{(1+(L/W)×(mB)
【0080】
磁界を横切って通過する読み取り媒体1の磁気インクの磁化又は分極により周囲の磁界が乱され、磁気感受素子4の比抵抗ρSは変化する。図24は、この発明の実施の形態2による磁気センサ装置の磁気感受素子の配置を説明する平面図である。図24において、40aは一方の要素磁気感受素子(MRMn)、40bは他方の要素磁気感受素子(MRn)とする。
【0081】
隣接して対を成す2個の磁気感受素子40a、40bを通過する磁気インクに対して、ミアンダ(蛇状)形状をした一方の要素磁気感受素子(MRMn)40aは搬送方向又は逆搬送方向に向かって電流が主体的に流れ、他方の要素磁気感受素子(MRn)40bは搬送方向と直交する方向に向かって電流が主体的に流れる。
【0082】
本実施例では、ローレンツ力によりMRMn40aの抵抗値の変化がMRn40bの抵抗値の変化より少なくなる場合について説明する。MRMn40aとMRn40bとは、配置形状は異なるものの、細長ミアンダの総長(L)、パターン幅(W)、及び初期抵抗値(R0)又は有磁界時抵抗値(RS)は同一とすることができるので両者の抵抗値変化の差分を検出する。例えば、あらかじめ印加する磁束密度を決め、電圧パルストリミング法を用いて有磁界時の抵抗値(RS)までを揃えておく。
【0083】
図24で、MRMn40aを縦長ミアンダと呼び、MRn40bを横長ミアンダと呼ぶ。縦長ミアンダは、読み取り幅方向にローレンツ力が多く加わり、横長ミアンダは搬送方向にローレンツ力が多く加わるので、配置形状の違いを利用して磁気感受素子40個々の要素毎の抵抗値変化の差分を検出することが可能である。
【0084】
配置形状の違いを利用して、さらに検出精度を向上させる方法として、ローレンツ力による抵抗値変化を少なくするには、搬送方向又は逆搬送方向のMRMn40aの領域パターン幅(W)を大きくする。ローレンツ力による抵抗値変化を大きくするには、搬送方向と直交する方向のMRMn40bの領域パターン幅(W)を小さくする。このように配置形状だけではなくミアンダ状パターン幅(W)を変化させることにより検出精度を敏感にさせるようにしても良い。
【0085】
また、抵抗値変化の少ない個々の要素の一方をモニタ側要素として使用しても良い。また、縦長ミアンダと横長ミアンダとの要素を対として、磁気異方性のある微細磁気パターンに対して抵抗値変化の差分値を検出することにより、さらに検出精度を向上させることができる。
【0086】
図25は、この発明の実施の形態2による磁気センサ装置の回路図である。図25において、41はシフトレジスタ回路、42はアナログスイッチ回路、43は共通線であり、43aは一方の共通線、43bは他方の共通線、44はCLK信号毎に共通線43をリセットするアナログスイッチ、45は2系統のアナログ信号を差動増幅する差動増幅器(差動増幅回路)である。なお、シフトレジスタ41は、CIS24のシフトレジスタ31と同一構成となっている。すなわち、駆動するスタート信号(SI信号)及びクロック信号(CLK信号)は磁気センサ20のSI信号及びCLK信号と同期している。図中、図24と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0087】
図26は、この発明の実施の形態2による磁気センサ装置のタイミングチャートである。共通線43には、CLK信号(CLK)の立下り時にアナログスイッチ42が閉じ、アナログスイッチ42は順次開閉され、1ラインの検出(読み取り)が完了するまで行われる。また、クロック信号のH区間は差動増幅器45の入力は同一電圧にする。その後、差動増幅器45の出力(Vout)の出力値をデジタル変換する。
【0088】
図27は、この発明の実施の形態2による磁気センサ装置の磁気感受素子40の抵抗値変化を説明する図である。すなわち磁気感受素子40に磁界を与え、磁気インクによる抵抗値の変化を示したものである。一定磁界内に磁気感受素子40を設置することで発生する磁束密度によるローレンツ力により、磁気感受素子40の電流経路は曲げられ抵抗値の変化が現れる。この磁界空間を通過する磁性インクが塗布又は積層された読み取り媒体1はその磁化又は分極作用で周囲の磁界を乱し、2系列の共通線43には異なる電圧のアナログ信号(SIG1、SIG2)が出力され、差動増幅器45で対ごと又は隣接する要素ごとに比較され、信号処理IC10の照合回路で画素位置(要素位置)が照合される。
【0089】
図28は、この発明の実施の形態2による磁気センサ装置に搭載する半導体チップの平面図である。図28において、60は半導体チップ(データドライバ)、SIはスタート入力端子、CLKはクロック入力端子、SIG1及びSIG2は信号出力端子、SOは半導体チップ60の中をシフトするスタート信号(SI)の次段接続用の出力端子、VDDは電源端子、GNDは接地端子、CNTは半導体チップ60を選択するチップセレクト入力端子である。半導体チップ60は、1個当たり千鳥状配列状の192ビットの信号入力端子(V+、V−)を有し、V+はSIG1の共通線43aに接続され、V−はSIG2の共通線43bに接続され、隣接する端子間ピッチは0.1mmで構成される。図中、図10と同一記号は、同一又は相当部分を示す。
【0090】
以上のように実施の形態2に係る磁気センサ装置によれば、磁気感受素子の抵抗値変化を個々の要素毎に差分値検出するので、実施の形態1で説明した効果に加えて高分解能で検出するので検出精度を敏感にすることができる磁気センサ装置及びそれを用いた読み取り判別装置を得る効果がある。
【0091】
なお、実施の形態2で示した磁気センサ装置及びそれを用いた読み取り判別装置の構造は、実施の形態1で説明したものと組み合わせて適用することができる。
【0092】
実施の形態3.
実施の形態1では、筐体2に設置した磁界を発生させる電磁石用のコイル3は、巻き線で構成したが、実施の形態3では、フレキシブル基板で構成した場合について説明する。図29は、この発明の実施の形態3による磁気センサ装置の電磁石部分を説明する図であり、図29(a)はフレキシブル基板の平面図、図29(b)はフレキシブル基板の部分拡大図、図29(c)はフレキシブル基板の巻き方を示す。図29(a)において、70はポリイミド又はソルダレジストなどの樹脂フィルムを用いた細長のフレキシブルフレキシブル基板、70(a)はフレキシブル基材の表面に18μmm〜35μm程度の圧延銅箔で形成された細線パターン、70bは電極パターン(リード端子)である。
【0093】
フレキシブル基板70の全長は本実施例では800mm以上とし、リード端子(70b)の一部を除き、搬送される読み取り媒体1に対応する搬送方向の幅は20mmで構成される。細線パターン(70a)はポリイミド又はソルダレジスト材などで挟まれ周囲と絶縁される。フレキシブル基板70は総厚約0.25mmである。図29(b)において細線パターン70(a)は長手方向に対して微小角度だけ傾斜させて多数のパターンが約0.1mmの等間隔で斜めに平行配置される。図29(c)において、フレキシブル基板70は筐体2の開口端部から挿入し、2回巻きされ、重なるフレキシブル基板70の細線パターン70(a)のパターン間隙に外巻きのパターンが重なるように配置される。
【0094】
以上から実施の形態3によれば、コイル3を筐体2に幾重にも巻く作業を軽減することが可能なので簡便に磁気センサ装置20の電磁石を構成することができる。
【0095】
実施の形態1〜3では、磁気センサ装置20の読み取り幅に亘って切り欠いて形成された筐体2のスリット部2cは、筐体2の折り曲げられた側壁の一部を切り欠いたもので説明したが、実施の形態4では、折り曲げた筐体2の側壁に直交して連結された平板壁にスリット部2cを設けた場合について説明する。読み取り媒体1が紙幣や券紙などの屈曲するものでは、挿入側と対向する排出側との搬送経路は直線状で無くても良いので、このような場合の搬送経路について説明する。
【0096】
実施の形態4.
図30は、この発明の実施の形態4による磁気センサ装置の読み取り幅方向中央部付近の側面図である。図30では、側壁に連結された筐体2の他方の平板壁に配置するコイル3を除いた領域にスリット部2cを設けて読み取り媒体1が挿入される側とする。このスリット部2cから挿入された読み取り媒体1は、筐体2の中空部を通過し、筐体2の一方の平板壁側に設けられた緩衝部材14と他方の平板壁側に設けられた磁気シールドシート13との隙間を通過して対向する排出側の筐体2の開口端部から排出される。
【0097】
紙幣の搬送経路を構成する磁気シールドシート13や緩衝部材14には、アモルファス磁気シールド材にニッケル(Ni)とタングステン(W)との合金などをめっき又は積層した比較的硬度の高いものを使用し、搬送される紙幣に対する平滑性と耐摩耗性を確保する。図中、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示す。また、その他の構成・動作については実施の形態1と同一なので説明を省略する。
【0098】
実施の形態5.
図31は、この発明の実施の形態5による磁気センサ装置の読み取り幅方向中央部付近の側面図である。図31では、側壁に連結された筐体2の一方の平板壁にスリット部2cを設けて読み取り媒体1が挿入される側とする。このスリット部2cから挿入された読み取り媒体1は、筐体2の中空部を通過し、筐体2の一方の平板壁側に設けられた緩衝部材14と他方の平板壁側に設けられた磁気シールドシート13との隙間を通過して対向する排出側の筐体2の開口端部から排出される。図中、図30と同一符号は、同一又は相当部分を示す。また、その他の構成・動作については実施の形態1と同一なので説明を省略する。
【0099】
以上から実施の形態4〜5による磁気センサ装置によれば、磁気センサ装置20を通過する読み取り媒体1の搬送経路を屈曲させるようにしたのでCIS24と連動する搬送経路を短縮することが可能な読み取り判別装置のシステム構成を行うことができる。
【符号の説明】
【0100】
1・・被磁気検知物(読み取り媒体) 2・・筐体
2a・・筐体の突起部、2b・・平坦部 2c・・スリット部
2d・・下部筐体 2e・・上部筐体 3・・コイル
4・・磁気感受素子(磁気抵抗素子) 4a・・要素A 4b・・要素B
5・・基板
5a・・共通電極パターン 5b・・個別電極パターン
5c・・引き出しパターン 5d・・グランドパターン
6・・半導体チップ
6a・・要素側接続用の電極パッド 6b・・信号側接続用の電極パッド
6c・・シフトレジスタ(第2シフトレジスタ回路)
6d・・アナログスイッチ(第2アナログスイッチ回路)
6e・・共通線
7・・信号基板
8・・入出力コネクタ 9・・電磁石用コネクタ
10・・信号処理IC
11・・接続手段(導体ワイヤ)
11a・・要素側の接続手段 11b・・信号側の接続手段
12・・保護部材 13・・磁気シールドシート(テープ)
13・・磁気シールドシート
14・・緩衝部材
15・・電子部品設置領域
16・・比較器
17・・分圧用の可変抵抗器
18・・入力切替スイッチ
19・・バッファ回路
20・・磁気センサ装置(磁気センサ) 21・・ローラ
22・・給紙側カセット 23・・排紙側カセット
24・・CIS(CONTACT・IMAGE・SENSOR)
24a・・反射型光源 24b・・ロッドレンズアレイ 24c・・センサIC
24d・・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
24e・・透過体 24f・・照射部(読み取り位置)
25・・透過型光源 25a・・コネクタ
26・・固定部 27・・固定部
30・・光電変換素子(受光部)
31・・シフトレジスタ(第1シフトレジスタ回路)
32・・アナログスイッチ(第1アナログスイッチ回路)
33・・共通線 34・・アナログスイッチ
35・・増幅器(アナログ増幅器)
36・・永久磁石
37・・ヨーク板
40・・磁気感受素子
40a・・一方の要素磁気感受素子(MRMn)
40b・・他方の要素磁気感受素子(MRn)
41・・シフトレジスタ(第2シフトレジスタ回路)
42・・アナログスイッチ(第2アナログスイッチ回路)
43・・共通線 43a・・一方の共通線 43b・・他方の共通線
44・・アナログスイッチ
45・・差動増幅器
60・・半導体チップ
70・・フレキシブル基板
70(a)・・細線パターン 70(b)・・電極パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入側の側壁又は前記側壁と直交する平板壁に読み取り幅に亘ってスリット部を設け、対向する排出側を開口端部とし、内部に中空部を有する平板状の磁性体で構成した筐体と、磁性領域を有し、前記スリット部から挿入され、前記開口端部から排出される読み取り媒体と、この読み取り媒体が搬送される前記筐体の中空部を形成する一方の平板壁の前記開口端部内側に載置され、前記スリット部に平行して磁界により抵抗値が変化する多数の磁気感受素子とそれらの出力端子とをパターン形成した基板と、前記筐体の中空部を形成する他方の平板壁の前記開口端部を除く一部に前記スリット部に沿って表面が絶縁性を有する導体を巻きつけ、この導体に直流電圧を印加し、前記一方の平板壁と前記他方の平板壁との開口端部間に磁界を発生させるコイルと、前記基板の前記出力端子と電気接続され、共通線路を介して前記磁気感受素子の個々の抵抗値変化を順次連続的に検出するシフトレジスタ回路とアナログスイッチ回路からなる半導体チップとを備えた磁気センサ装置。
【請求項2】
前記表面が絶縁性を有する導体は、互いに平行配置した導体パターンをポリイミド又はソルダレジスト材で被覆したフレキシブル基板である請求項1に記載の磁気センサ装置。
【請求項3】
前記一方の平板壁と前記他方の平板壁とは、前記挿入側の側壁で接合される請求項1又は2に記載の磁気センサ装置。
【請求項4】
前記基板は、パターン形成される表面が絶縁処理された強磁性体の金属基板である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気センサ装置。
【請求項5】
個々の前記磁気感受素子は縦長のミアンダ形状パターンと横長のミアンダ形状パターンとが1対で形成され、それぞれ前記出力端子を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気センサ装置。
【請求項6】
挿入側の側壁又は前記側壁と直交する平板壁に読み取り幅に亘ってスリット部を設け、対向する排出側を開口端部とし、内部に中空部を有する平板状の磁性体で構成した筐体と、磁性領域を有し、前記スリット部から挿入され、前記開口端部から排出される読み取り媒体と、この読み取り媒体が搬送される前記筐体の中空部を形成する一方の平板壁の前記開口端部内側に載置され、前記スリット部に平行して磁界により抵抗値が変化する多数の磁気感受素子とそれらの出力端子とをパターン形成した基板と、前記筐体の中空部を形成する一方又は他方の平板壁の外側に前記スリット部に沿って載置され、前記一方の平板壁と前記他方の平板壁との開口端部間に磁界を発生させる磁石と、前記基板の前記出力端子と電気接続され、共通線路を介して前記磁気感受素子の個々の抵抗値変化を連続的に検出するシフトレジスタ回路とアナログスイッチ回路からなる半導体チップとを備えた磁気センサ装置。
【請求項7】
前記磁石は、前記他方の平板壁の開口端部まで延在する請求項6に記載の磁気センサ装置。
【請求項8】
前記一方の平板壁と前記他方の平板壁とは、前記挿入側の側壁で接合される請求項6又は7に記載の磁気センサ装置。
【請求項9】
前記基板は、パターン形成される表面が絶縁処理された強磁性体の金属基板である請求項6〜8のいずれか1項に記載の磁気センサ装置。
【請求項10】
個々の前記磁気感受素子は縦長のミアンダ形状パターンと横長のミアンダ形状パターンとが1対で形成され、それぞれ前記出力端子を有する請求項6〜9のいずれかに記載の磁気センサ装置。
【請求項11】
磁性領域を有する読み取り媒体を搬送方向に搬送する搬送手段と、搬送される読み取り媒体の読み取り位置に光を照射する光源と、前記読み取り位置からの反射光又は透過光を収束するレンズアレイと、このレンズアレイにより収束された光を受光し、光電変換された個々の電圧を第1共通線路を介してシフトパルスで連続的に検出する第1シフトレジスタ回路と第1アナログスイッチ回路とを有するセンサICと、前記読み取り位置から搬送方向に所定距離隔てて配置され、磁界により磁気感受素子の個々の抵抗値変化を第2共通線路を介して前記センサICのシフトパルスに同期したシフトパルスで連続的に検出する第2シフトレジスタ回路と第2アナログスイッチ回路とを有する半導体チップを搭載した磁気センサ装置とを備えた読み取り判別装置。
【請求項12】
前記センサICのシフトパルス及び前記半導体チップのシフトパルスは同一のクロック信号に同期してシフトする請求項11に記載の読み取り判別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−47685(P2012−47685A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192324(P2010−192324)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】