説明

磁気共鳴システムの液体ヘリウムに対するネック除氷装置

極低温システムは:超電導磁石巻き(20)が浸された液体ヘリウム(LHe)を含む液体ヘリウム容器;ヘリウム凝縮器;その液体ヘリウム容器とヘリウム凝縮器との間で液体の連通を供給するネック;ネックの外側にネックを取り囲まずに配置されたヒーター;及びネックにおいて配置された熱伝導受動除氷部材;を含み、そのヒーターに熱的結合された熱伝導受動序氷部材は、熱をヒーターからネックの中へと伝導する。超電導磁石システムの液体ヘリウム容器のネックを除氷するための除氷方法は、ネックの外側の位置で熱を発生するステップ及びネックを除氷するために、そのネックを除氷するのに有効である発生した熱の量を、そのネックの外側からそのネックの開口を通って、ネックの中へと伝導するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、磁気共鳴技術に関する。それは、超電導磁石を利用する磁気共鳴システムにおいて、特に応用されることが分かる。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴システムは、例えば、1.5テスラ磁場、3.0テスラ磁場、7.0テスラ磁場などの高い磁場を効率的に得るために、超電導磁石を有利に利用する。超電導磁石は、作動する超伝導磁石巻きを駆動させる電流での超電導に対する臨界温度の下の温度で維持され負ければいけない。この温度は、通常、窒素が液化する〜77Kの温度の下にあり、超電導磁石に対して、液体ヘリウム冷却が採用されることが知られている。
【0003】
閉ループの液体ヘリウム冷却システムにおいて、真空カバーヘリウム容器は、ヘリウムに浸された超電導磁石を含む。その液体ヘリウムは、ゆっくりとボイルオフ(boil off)する。閉鎖されたシステムを実装するために、そのボイルオフするヘリウム・ガスは、コールド・ヘッド(cold head)によって十分に低温の維持されている再凝縮面によって液体ヘリウムの中へと再凝縮される。いくつかの構成において、2段型コールド・ヘッドは、その真空カバーヘリウム容器の周囲の熱遮蔽の外側を冷却する、より高い温度段階及びヘリウムが最凝縮するより低い温度段階を有する。
【0004】
典型的なコールド・ヘッドは、導電性モーター巻きを持つ低温冷却器モーターを含む。そのモーターは、望ましくは、より低い磁場に配置される。ヘリウム容器と再凝縮器の間の接続は、ヘリウム・ガスが最凝縮面に到達することを可能にし、凝縮したヘリウム液体が、その液体ヘリウム容器の中へ流れて戻ることを可能にする間の熱伝達を最小にするように設計されるべきである。その作動する低温冷却器は、ヘリウム容器から隔離されるべきである機械的振動を発生させる。1つの適した設計では、最凝縮面は、通常内径2-4センチメートル単位の短い、小径の可撓管(例えば、ベローズ管)によって、ヘリウム容器につながっている。
【0005】
その短い小径の可撓管は、ネックとして従来技術において知られている。そのような設計において、ヘリウム機能液体における不純物が凝縮器又はネックの上に凝縮し得るという問題を有する。窒素、水蒸気及び酸素などのほとんどの不純物は、ヘリウムの凝固点である4.2Kよりにはるかに高い凝固点を有する;従って、ほとんどの不純物は、ヘリウム凝縮面上に凝縮する傾向がある。ネックも、また、少なくともいくらかの不純物が、そのネックの内壁上に凝縮するに十分冷たい。
【0006】
通常、点検ヒーターが凝縮器上又はその中に配置され、その凝縮面は、時々、堆積した汚染物を出すために、その点検ヒーターを使用して凝縮面を加熱することによって点検操作の間に再生成される。その点検ヒーターは、また、そのシステムを点検のために解放する準備として、その凝縮面を暖めるためにも使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
小径の可撓ネックにおける不純物の凝縮の対処は、さらに難しい。1つの解決策は、そのネックの周りのヒーターの巻きを包むことである。そうすることによって、発生した熱は、ヒーターからそのネックの環状壁を通って、そのネック内の凝縮した不純物へと到達する。しかし、そのネックは、真空によって取り囲まれ、それは、ヒーターとネックの間における熱的結合を禁止する。ヒーターの巻き及び導線などの構成要素を、真空化された空間に取り入れることもまた望ましくない。それでもさらに、ネックの外側に配置されたヒーターの巻きを操作することによって加熱することは、ネックの壁表面の内部で汚染物を液化又は蒸発させることがあり、汚染物を完全に蒸発させずにその汚染物のバルクをネックから分離する。その分離された「球氷」は、次に、ヘリウム容器の中又は凝縮器の上または他の望ましくない位置へとスライドし得る。
【0008】
以下は、上記の問題及びその他を克服する、新規の且つ改善された装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの開示される態様に従って、低温システムは:超電導磁石が浸された液体ヘリウムを含む液体ヘリウム容器;液体ヘリウム容器とヘリウム凝縮器の間に液体の連通を供給するネックそのネックの外側にそのネックを取り囲まずに配置されたヒーター;及びそのネックに配置された熱伝導受動除氷装置;を含み、その熱伝導受動除氷装置は、ヒーターからネックの中へと熱を伝導するようにそのヒーターに熱的結合されている。
【0010】
開示されるもう1つの態様に従って、超電導磁石システムの液体ヘリウム容器のネックを除氷するための除氷方法は:ネックの外側における位置で熱を発生させるステップ;及びそのネックの外側からそのネックを除氷するのに有効な量の発生した熱を、そのネックの開口及びそのネックの中へと伝導させ、ネックを除氷するステップ;を含む。
【0011】
開示されるもう1つの態様に従って、超電導磁石の巻きを含むヘリウム容器のネックを除氷するように構成された除氷システムは:ネックの外側にそのネックを取り囲まずに配置されたヒーター;及びそのネックに配置された熱伝導受動除氷装置;を含み、その熱伝導受動除氷装置は、そのネックを除氷するのに有効な熱の量を、ヒーターからそのネックの中へと伝導する。
【0012】
1つの利点は、その液体ヘリウム磁石冷却システムの点検間において、より長い運転時間を可能にすることである。
【0013】
もう1つの利点は、その液体ヘリウム磁石冷却システムの点検を簡略化することである。
【0014】
さらなる利点は、以下の詳しい記載を読み理解することで、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ヘリウム容器ネック除氷装置の側面の概略図である。
【図2】図1のネック除氷装置の詳細を明らかにする拡大された断面を概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0016】
図1を参照すると、例示的な磁気共鳴システム10は、一般的に円筒形の水平に配置されたボア16を定義し、その周りに内部円筒壁を持つ環状ハウジング12を有する、水平ボア型システムである。その例示的な水平ボア型システム10は一例である;本文献で開示されるネック除氷システム及び方法は、一般的に、超電導磁石巻きを有する如何なる磁気共鳴システムにも採用することができる。その磁気共鳴システム10は、少なくともボア16の中心に又はその付近に一般的に位置する調査領域において、そのボア16と同軸に方向付けられた静磁場(B0)を発生するように配置された超電導磁石の巻き20を含む。通常、その超電導磁石巻き20は、一般的に、巻き20がボア16の周りに同軸に包まれているソレノイド型の構成を有する;しかし、他の構成が検討されており、さらに能動的シム巻き、受動スチール・シム又はその他(さらなる構成要素は示されていない)が供給されてもよい。その超導電磁石巻き20を、望ましい静磁場(B0)のマグニチュードを発生させるのに有効な電流での超電導に対する臨界温度の下に保つために、その超電導磁石巻き20は、外側環状壁22、内側環状壁24及び側壁26によって定められる一般的に環状の液体ヘリウム容器において配置された液体ヘリウムLHeに浸されている(壁22、24、26は、ズ1において、上方の左側の領域でだけラベル付けされていることに留意されたい)。熱的分離を供給するために、ヘリウム容器の外側壁22は、真空カバー28によって取り囲まれている。
【0017】
概略的な図1には例示されていないが、通常真空カバーは、側壁26に対しても供給される。周辺の液体ヘリウム窒素カバーなどのさらなる熱的分離要素も検討されているが、概略的な図1には例示されていない。磁気共鳴システム10は、任意に、内側円筒壁14の内部に同軸方向に配置された1つ又はそれ以上の円筒型絶縁形成器に配置された一式の傾斜磁場コイル;この場合も内側円筒壁14の内部に同軸方向に配置された1つ又はそれ以上の円筒型絶縁形成器に配置された、任意の全身用円筒型RFコイル;対象物の領域に近接するように、ボア16内に方策に従った位置に通常配置された、頭用コイル、関節用コイル、胴(torso)用コイル、表面コイル、表面コイルのアレイ、又はその他;などの追加の構成要素をさらに含む。図1に例示されない他の任意の構成要素は、傾斜磁場コイル及びRF送信コイルを操作するための電子機器、及び磁気共鳴画像を再構築し、磁気共鳴分光法を実施するための、又は取得された磁気共鳴データを処理又は解析するためのデータ処理要素を含む。
【0018】
液体ヘリウムLHeは、壁22、24、26及び周りの真空カバー28によって実質的に熱的分離されている。しかし、欠点のある熱的分離は、一般的に、他の加熱資源と共に液体ヘリウムLHeの低速の蒸発に至る。これは、液体ヘリウムLHeの表面上に集まった蒸気ヘリウムVHeの領域によって、図1において概略的に示されている。重力の動作によって、その蒸気ヘリウムVHeは、通常、図1に示される様に、液体ヘリウムLHeの「上」に集まる。その超電導磁石巻き20は、ヘリウム容器の内側環状壁24の周りに包まれていることから、蒸気ヘリウムVHeの上部層の形成にもかかわらず、その液体ヘリウムLHeに浸されたままでいる。
【0019】
閉ループ液体ヘリウム冷却システムを提供するために、蒸気ヘリウムVHeは、液体ヘリウム容器の外側であるが、その液体ヘリウム容器に小径オリフィス又は「ネック」32によって接続されている再凝縮面30で液体ヘリウムに再凝縮する。その再凝縮面30は、低温冷却モーター36によって駆動されるコールド・ヘッド34の操作によって、蒸気ヘリウムの凝縮を促進するように十分に低い温度で保たれ、さらに望ましくは3.5K又はそれ未満の温度で保たれている。その低温冷却モーター36は、導電モーター巻きを有することから、超電導磁石巻き20によって定められる磁石空間の外側に配置されるのが望ましい。任意に、そのコールド・ヘッド34は、例えば、外側の液体窒素カバー(非表示)を支持するために、約77K又はそれよりも低い温度にある液体窒素の凝縮を供給する第2段階凝縮面38などの他の凝縮段階を含んでもよい。振動分離を供給するために、低温冷却モーター36のマウント40が、任意にベローズ形にされてもよい。同様に、液体ヘリウム容器のネック32が、可塑性及び振動的分離を与えるために、例示された実施形態においてベローズ形にしてもよい。いくつかの実施形態において、ネック32は、より大きい又は小さい内径の値が検討されているが、2‐4センチメートル単位の短い、小径可撓管(例えば、ベローズ形にされた)である。
【0020】
操作において、蒸気ヘリウムVHeは、ネック32へと広がり、蒸気が凝縮液体ヘリウムを形成するように液化する、再凝縮面30に接触する。その際凝縮面30は、液体ヘリウム容器の上に位置していることから、その凝縮液体ヘリウムは、重力の力によって液体ヘリウム容器の中へ流れて戻り、液体ヘリウムLHeの質量に貢献する。代替又は追加として、ウィッキング構造が、凝縮液体ヘリウムを、毛管作用によって又は重力と毛管作用の組み合わせによって、その凝縮液体ヘリウムを液体ヘリウムLHeの質量へ移送し返すように備えられてもよい。
【0021】
しかし、他の不純物も、再凝縮面30の上で凝縮してもよい。この不純物の凝縮は、当業者に「氷」として知られている。ここで使用されるように、「氷」という用語は:凝縮窒素;凝縮酸素;凝縮した水蒸気又は凍結水;凝縮二酸化炭素などを含むがそれらに限られない、ヘリウムにおける如何なる凝縮した不純物も含むことを目的としている。ここで使用されるような「氷」という用語は、特に、液体又は凍結した水蒸気に限られないことに留意するべきである。
【0022】
点検ヒーター42が、再凝縮面30において又はその近くに任意に配置され、その再凝縮面30と熱的に連通している。点検操作の間に、その点検ヒーター42は、その再凝縮面を除氷するために、最業種工面30を加熱するように適切に操作される。ここで使用されるように、「除氷」という用語は、氷などの凝縮不純物が液化又は気化するようにし、その氷を取り除くことに言及する。
【0023】
例示される実施形態において、少なくとも再凝縮面30、38を含む再凝縮アセンブリが、周りの環境及び真空カバー28の堆積からのヘリウム再凝縮プロセスの液体分離を供給するネック32で密閉された、密閉カバー又は「ウェット・ソック(wet sock)」44に含まれている。その例示されるウェット・ソック44は、付属の液体ヘリウム再凝縮ポート・アセンブリを完全に分解せずに点検をするためのコールド・ヘッド34の除去を促進する。他の実施形態では、他の液体分離構成が使用されてもよい。
【0024】
氷がネック32に増大する可能性もいくらかはある。この熱は、それ自体だけで機能する点検ヒーター42によって効果的に除去されない。なぜならば、ネック32及びその近辺における圧力が、実質的な対流熱伝達を供給するには低すぎるからである。さらに、その点検ヒーター42とネック32の内側壁との間には、伝導熱伝達がない。点検ヒーター42は、また、それ自体だけで機能するネック32の放射熱を提供するには遠すぎる。
【0025】
図1における実施形態において、加熱ヒーター42のこれらの欠点は、ネック32に配置された熱伝導受動除去部材50を提供することによって、克服される。その熱伝導受動除去部材50は、点検ヒーター42に熱的結合し、ヒーター42からの熱を、ネック32に配置された凝縮物質(つまり氷)へと伝導する。その熱伝導受動除氷部材50は、点検ヒーター42に熱的結合をし、ネック32を除氷するのに有効な熱の量を、点検ヒーター42からネック32の中へと伝導する。ここで使用されるように、「受動」除氷要素という用語は、ヒーター電流をを伝導させず、除氷を拡大するために機械的作用を使用しない如何なる要素も含むことを目的としている。
【0026】
続けて図1を参照し、さらに図2を参照すると、例示的な熱伝導受動除氷部材置50が、さらに詳しく記載されている。その例示された熱伝導受動除氷部材50は、ネック32二配置され、ネック32の内部壁54に向けて熱を放射するように構成された熱伝導熱放射部材52、及びによって熱源に対して機械的に付勢されたプランジャー56を含む。例示された実施形態における熱源は、点検ヒーター42によって加熱される再凝縮面30を有する。その熱源と熱伝導受動除氷部材50との間の良い熱接触を保証するために、スプリング58が、上方伸張又はプランジャー56の環状フランジ60とボルト又は他のファスナー64、66によってウェット・ソック44にしっかりと固定された「T」型又は環状アンカー部材62との間の圧縮において保持される。例示される圧縮性熱的結合は、コールド・ヘッド34又は凝縮面30の改善が全く必要でない、その熱伝導受動除氷部材50の除去無しでの点検か可能になる、機械的な容易さ、揮発性物質の防止、その他などの利点を有する。機械的ボイリング(boiling)、そうでなければその熱伝導受動除氷部材を凝縮面にしっかりと固定すること、又は接着材を使用することなどの他の熱的結合機構も検討されているが、後者の実施形態において、接着剤は、例えば、実質的に非揮発性であるなど、低温ヘリウム容器の環境に互換性を持っているべきである。
【0027】
例示された、ネック32に配置された熱伝導熱放射部材52は、一般的に、管状であり、管状ネック32の内部に同軸方向に配列されている。この形状は、その熱伝導熱放射部材52とネック32の内部壁54の近接部分との間の実質的に均一な距離を供給する。しかし、熱伝導熱放射部材に対する他の形状も、検討される。例示された熱伝導熱放射部材52
は、蒸気質ヘリウムVHeのヘリウム容器から再凝縮面32へ向かう流れのインピーダンスを低減する開口、ビア(vias)、又は他の流体導管70を含む。いくつかの実施形態において、熱伝導熱放射部材52は、さらに又は代わりに、流体の流れのインピーダンスを低減するために実質的に空洞である。その熱伝導熱放射部材52は、銅、黄銅、モリブデン、又は他の金属、又は熱伝導セラミック材料などの、低温ヘリウム容器の環境と互換性のある如何なる熱伝導材料で作られてもよい。選択される材料は、望ましくは、ヘリウム作用流体の中への不純物の導入を最小限に抑える又は防止するために非揮発性である。
【0028】
プランジャー56も、銅、黄銅、モリブデン、又は他の金属、又は熱伝導セラミック材料などの、低温ヘリウム容器の環境と互換性のある如何なる熱伝導材料で適切に作られている。選択される材料は、望ましくは、ヘリウム作用流体の中への不純物の導入を最小限に抑える又は防止するために非揮発性である。いくつかの実施形態において、インジウムなどの流動性の又は変形可能な熱伝導インターフェース材料が、プランジャー56の接触フランジ60と再凝縮面32との間に入れられることが検討されている。
【0029】
熱伝導熱放射部材52とプランジャー56との間の接続は、ボルト又は他のファスナー又は複数のファスナー又は低温ヘリウム容器の環境に互換性のある如何なる接続機構を採用してもよい。いくつかの実施形態において、熱伝導熱放射部材52及びプランジャー56は、単一の要素に一体として形成されてもよい。この場合もまた、インジウムなどの流動性の又は変形可能な熱伝導インターフェース材料が、構成要素52、56の間における熱の連通を拡大するために、その接続の間に入れられることが検討されている。
【0030】
スプリング58は、低温ヘリウム容器の環境と互換性のある如何なる圧縮性材料で作られてもよい。例示されるスプリング58は、従来型のらせん状「スプリング」形状を有するが、プランジャー56と同軸方向に配置された圧縮された管状円筒形状、又はベルビル(Belleville)・ワッシャー又は複数のベルビル・ワッシャー、又は圧縮性の金属フォーム又は他の圧縮性熱伝導材料、上記の様々な組み合わせ、その他などのスプリング形状も検討されてもよい。例示されたスプリング58はまた、熱伝導材料で作られていてもよぃ、その場合、そのスプリング58は、さらに、熱伝導路にさらに貢献する。その代わりに、例示されるスプリング58は、熱絶縁材料又は低い熱導電性を有する材料で作られてもよく、その場合、スプリング58は、実質的に熱伝導路には貢献しない。
【0031】
熱伝導受動除氷部材50の操作は、以下の通りである。超電導磁石巻き20の通常の作用の間、点検ヒーター42はオフであり(つまり、電流はヒーター42に流れていない)、コールド・ヘッド34は、例えば4.2K又はそれ未満、又はさらに望ましくは、約3.5K又はそれ未満の温度など、蒸気質ヘリウムを再凝縮するのに有効な温度で維持するように作用する。通常の磁気作用の間、その熱伝導受動除氷部材50は、それが蒸気質ヘリウム(及び、従って追加の際、凝縮面領域として効果的に作用する)を再凝縮するのに有効な温度にある追加の表面領域を供給してもよいと程度を除いては、作用しない。
【0032】
通常の磁気作用の間に、不純物は、再凝縮面30及びネック32の内部壁54の上に凝縮してもよい。時間とともに、これらの不純物は、再凝縮面30の特性を変えることによって、又は蒸気質ヘリウムの再凝縮面30への流れを妨害することによって、その再凝縮効率を適合してもよい。
【0033】
従って、選択された点検の記載において、除氷プロセスが実施されてもよい。このプロセスは、コールド・ヘッド34をオフにし、点検ヒーター42を、再凝縮面30を除氷するようにその再凝縮面30の温度を上昇させるために操作するステップを含む。その再凝縮面30の除氷と同時に、点検ヒーター42によって発生したいくらかの熱が、熱伝導性のプランジャー56を通って熱伝導熱放射部材52に向かって伝導する。これは、その熱伝導熱放射部材52の温度を上昇させ、放射熱がその熱伝導熱放射部材52からネック32の内部壁54に向かって外側へ流れるようにする。除氷コントローラー80は、熱を発生させるように電流を、点検ヒーター42を通して流し、その加熱量は、熱電対、温度ダイオード、又は熱伝導受動所表部材50の温度を示す他の温度センサー82によって監視される。例示される実施形態において、温度センサー82は、再凝縮面30の近くに位置し、その再凝縮面30の温度を監視する。その温度センサー82は、例えば、従来型のように、典型的なコールド・ヘッドにおいてこの目的で含まれてもよい。その温度センサー82によって監視される温度は、熱伝導受動除氷部材50のおのどは、熱伝導受動除氷部材50の再凝縮面30及び熱抵抗特性(又は、等しくは、熱伝導特性)を含む熱源の温度によって決定されることから、熱伝導受動除氷部材50の温度を示す。除氷コントローラー80は、さらに、最凝縮面30及びネック32の除氷の間に、温度センサー82によって供給される温度フィードバックに基づいて、点検ヒーター42を操作及び制御し、ネック32を除氷するため、そのネック32を除氷するのに有効な量の発生した熱をネック32の外側から(つまり、例示される実施形態では、点検ヒーター42及び凝縮面30を含む熱源で)からネック32の開口を通って伝導させ、凝縮面30及びネック32の中へとアクセスを提供する。有利にも、その熱は、その凝縮が、ネック32の内部壁54から最も遠い凝縮が、最初に除氷され、その除氷プロセスがネック32の内部壁54に向かって作用するように、熱伝導熱放射部材52からネック32の内部壁54へ向けて放射する。
【0034】
これは、ネック32の外側の周りに配置されたヒーターを使用して実施される除氷に対比されるべきであり、その場合、除氷は、ネック32の内部壁54を直接接触する凝縮で開始し、ネック32の内部壁54から最も離れた凝縮に向かって外側に作用する。除氷がネック32の外側の周り配置されたヒーターを使用して実施されるとき、ネック32の内部壁54に直接接触している凝縮が最初に除氷されることから、その凝縮は内部壁54から分離される可能性がある。それは、ヘリウム容器の中又は他の望ましくない位置へとスライドする、分離した「球氷」になり得る。
【0035】
対照的に、熱伝導熱放射部材52は、ネック32の内部壁54から最も離れた凝縮が最初に除氷されるように、熱をネック32の内部壁54に向かって外側に放射する。これは、その内部壁54に直接接触し、従ってその内部壁54で維持されている凝縮が、熱伝導熱放射部材52を利用する除氷プロセスによって除外される最後の部分であることから、「球氷」が発生する可能性を実質的に低減する。
【0036】
例示された熱伝導受動除氷部材50は一例であり、多数の変化形が検討される。例えば、除氷部材50は、熱源(例えば、凝縮面30)と熱伝導受動除氷部材との間で圧縮されたスプリングによって置き換えることができる。この実施形態において、そのスプリングは、熱源から熱伝導受動除氷部材への熱路の主な要素であることから、熱伝導性であるべきである。いくつかのそのような実施形態では、プランジャーは、完全に除外されてもよい。他の実施形態では、スプリングは、熱源に対してプランジャーを間接的に圧縮し、さらにそのプランジャーと熱伝導熱放射部材とに間においてスプリングを通した圧縮性熱的接触を供給するために、プランジャーと熱伝導熱放射部材との間に配置することが検討される。この実施形態におけるスプリングも、熱伝導性スプリングである。又、例えば、スプリングは、そのスプリングの一端が、凝縮面30における又はその上のアンカー点に付着され、他方の端が熱伝導受動除氷部材に付着されているなどの張力下にあり、熱伝導受動除氷部材を凝縮面30の反対方向に「引く」ような、引っ張り歪みにある。
【0037】
例示された実施形態において、コールド・ヘッド34の点検ヒーター42は熱を発生し、ネック32を除氷するのに有効な量の発生熱は、ネック32を除氷するように、ネック32の外側からネック32の開口の中を通って、プランジャー56を経由して伝導する。この配置は、ネック32をさらに除氷するために、コールド・ヘッド34の現存の点検ヒーター42を有利に活用する。しかし、ネック32における熱伝導熱放射部材52に伝導する熱を発生させるために、ネック32の外側に配置された別のヒーターを供給し、ネック32を除氷することも検討される。例えば、除氷されるべきネックは、ヘリウム再凝縮システムと流体の連通を供給するネックとは別のネックであってもよい。例証的な一例として、その除氷されるべきネックは、ヘリウム容器の熱的分離の壊滅的な減少の場合において、ヘリウムの気化の緊急放出を提供するために、安全通気孔であってもよい。そのような場合において、熱伝導受動除氷部材は、ネックの外側の点からネックの中へと適切に広がる。ヒーターは、従って、ネックの外側及びヘリウム容器の外側に広がり、ネックの外側に位置する適切なアンカー点にしっかりと固定される。ヒーターは、そして、ネックの外側及びヘリウム容器の外側に広がる熱伝導受動除氷部材の部分の周りに適切に配置される。任意に、制御熱電対または他の制御熱センサーが、ネックの外側及びヘリウム容器の外側に広がる熱伝導受動除氷部材の部分に搭載され、その除氷プロセスのフィードバック制御を可能にする。これらの実施形態において、ヒーターは、熱伝導受動除氷部材と直接的な熱的接触にあることから、スプリング付勢又は他の熱接続の拡大は必要ない。しかし、ヒーター巻きと熱伝導受動除氷部材との間に配置された圧縮性伝導フォーム、インジウム、又は類似物の使用が検討されている。
【0038】
本発明は、望ましい実施形態を参照して記載されている。改良形及び変形は、前述の詳細な記載を読み、理解することによって、他者によって作成されてもよい。本発明は、そのような改良形及び変形の全てが、添付の請求項またはその均等物の範囲内である限り、含むものとして解釈されることを目的とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超電導磁石巻きが浸された液体ヘリウム(LHe)を含む液体ヘリウム容器;
ヘリウム凝縮器;
前記液体ヘリウム容器と前記ヘリウム凝縮器との間で液体の連通を供給するネック;
前記ネックの外側に該ネックを取り囲まずに配置されたヒーター;及び
前記ネックにおいて配置され、前記ヒーターと熱的接触をし、熱を該ヒーターから前記ネックの中へと伝導する熱伝導受動除氷部材;
を含む極低温システム。
【請求項2】
前記ネックは管状であり、前記熱伝導受動除氷部材は:
前記の管状のネックの内部において実質的に同軸方向に配置された熱伝導の一般的に管状の熱放射部材;を含む、請求項1に記載の極低温システム。
【請求項3】
前記の熱伝導の一般的に管状の受動除氷部材は、前記熱伝導管状有働序表部材の中を通る蒸気質ヘリウムの流れに対して、開口又は経路を定める、請求項2に記載の極低温システム。
【請求項4】
前記熱伝導受動除氷部材と前記ヒーターとの間の熱的結合を拡大するために、前記熱伝導受動除氷部材を、前記ヒーターを含む熱源から反対方向に力学的に付勢するスプリング;
をさらに含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の極低温システム。
【請求項5】
前記熱伝導受動除氷部材は:
前記ネックに配置され、該ネックの内部壁に向けて熱を放射するように構成された熱伝導熱放射部材;及び
前記スプリングによって前記熱源から反対方向に付勢されたプランジャー;
を含む、請求項4に記載の極低温システム。
【請求項6】
前記熱伝導受動除氷部材の温度を示す温度を測定するように構成された温度センサー;及び
前記ネックの除氷の間に、該温度センサーによって供給される温度フィードバックに基づいて前記ヒーターを制御するように構成されたコントローラー;
を含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の極低温システム。
【請求項7】
前記熱伝導受動除氷部材は、少なくとも1つの銅で作られた要素を含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の極低温システム。
【請求項8】
前記ヘリウム凝縮器を、該ヘリウム凝縮器におけるヘリウム凝縮に対して効果的な温度で維持するように配置されたコールド・ヘッド;
をさらに含む、請求項1乃至7の何れか1項に記載の極低温システム。
【請求項9】
前記ヒーターは、前記コールド・ヘッドの点検ヒーターである、請求項8に記載の極低温システム。
【請求項10】
前記超電導磁石巻き;
をさらに含む、請求項1乃至9の何れか1項に記載の極低温システム。
【請求項11】
超電導磁石システムの液体ヘリウム容器のネックを除氷するための除氷装置であり:
前記ネックの外側の位置で熱を発生するステップ;及び
前記ネックを除氷するために、該ネックの外側から該ネックの開口の中を通って、該ネックの中を除氷するのに有効な量の前記の発生した熱を伝導するステップ;
を含む、除氷方法。
【請求項12】
前記ネックを除氷するのに有効な熱の量は、該ネックの外側から該ネックの任意の壁を通って、該ネックの中へと通過しない、請求項11に記載の除氷方法。
【請求項13】
前記伝導するステップは、前記ネックを除氷するために、前記熱が発生する前記ネックの外側の位置から、該ネックの開口を通って、該ネックの中へと延びる熱伝導路を供給するステップ;を含む、請求項11又は12に記載の除氷方法。
【請求項14】
前記熱が発生する前記ネックの外側の位置の近くの熱伝導路の端部を、前記熱が発生する前記熱の外側の位置から反対方向に力学的に付勢するステップ;
を含む、請求項13に記載の除氷方法。
【請求項15】
前記熱が発生する前記ネックの外側の位置は、ガス状ヘリウムを、前記ネックを通って前記液体ヘリウム容器の中へと流れる液体ヘリウムに凝縮するように配置されたコールド・ヘッドの再凝縮段階を含み、前記熱を発生するステップは:
前記コールド・ヘッドの点検ヒーターを解放するステップ;
を含む、請求項11乃至14のいずれか1項に記載の除氷方法。
【請求項16】
超電導磁石巻きを含むヘリウム容器のネックを除氷するように構成された除氷システムであり:
前記ネックの外側に該ネックを取り囲まずに配置されたヒーター;及び
前記ネックに配置され、前記ネックを除氷するのに有効な熱の量を前記ヒーターから該ネックの中へと伝導するように、該ヒーターに熱的結合された、熱伝導受動除氷部材;
を含む除氷システム。
【請求項17】
前記ネックは管状であり、前記熱伝導受動除氷部材は、前記ネックの内部に同軸方向に配置された一般的に管状の部分を含む、請求項16に記載の除氷システム。
【請求項18】
前記熱伝導受動除氷部材は:
前記ネックにおいて配置され、該ネックの内部壁に向かって熱を放射するように構成された熱伝導熱放射部材;
を含む、請求項16又は17に記載の除氷システム。
【請求項19】
前記熱伝導受動除氷部材の温度を示す温度を測定するように構成された温度センサー;及び
前記ネックの除氷の間に、前記温度センサーによって供給される温度フィードバックに基づいて前記ヒーターを制御するように構成されたコントローラー;
をさらに含む、請求項16乃至18のいずれか1項に記載の除氷システム。
【請求項20】
ガス状ヘリウムを、前記ネックを通って前記液体ヘリウム容器の中へと流れる液体ヘリウムへと再凝縮するように配置された再凝縮システムの点検ヒーター;
を含む、請求項16乃至19のいずれか1項に気サインの除氷システム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−503323(P2012−503323A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527437(P2011−527437)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053949
【国際公開番号】WO2010/032171
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】