説明

磁気処理装置

【目的】管路内に流される水その他の流体に対し、磁気作用を良好に及ぼし得る磁気処理装置を提供する。
【構成】内部に処理流体が流される管路2と、該管路内の処理流体に作用せしめる磁界を発生する磁界発生手段11とを備えた磁気処理装置である。管路2は、これを螺旋状に巻いて成る円筒形のコイル部2Cを形成し、その内側に磁界発生手段11が回転自在に設けられる。磁界発生手段11は、複数の永久磁石12Aと、その各永久磁石12Aを固定する磁石保持具13とから構成される。磁石保持具13は、コイル部2Cの中心部分に配されるコア部13Aを有し、その周囲に永久磁石12Aが設けられる。そして、磁界発生手段11は、可変速モータ5により回転され、その回転方向がコイル部2Cにおける処理流体の旋回方向とは逆方向とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として水や油といった液体を処理対象とする磁気処理装置に係わり、特に水をはじめとする処理流体に対して磁気処理を効率的に行えるようにした磁気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道管内におけるスケールの付着、水道管の腐食やこれによる赤水の発生、並びに河川・湖沼における藻の発生を防止することなどを目的として、永久磁石により作られる磁界中に水を通し、係る磁界の作用によって水を改質しようとする装置が提案されている。
【0003】
その種の装置として、外部ケース内に、通水用パイプを挟んで対向配置される複数個の永久磁石を設けたものが知られる(例えば、特許文献1)。
【0004】
又、給水管を挟む一対のハウジング内にヨークを取り付けると共に、そのヨークの内側に永久磁石を取り付け、その永久磁石が給水管を挟んで互いに異なる磁極を対向させるようにした脱着式水処理装置が知られる(例えば、特許文献2)。
【0005】
更に、導管の外周に複数の永久磁石を並べ、それらを鋼体のバンドにより固定して成る装置が知られる(例えば、特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】特開平4−122543号公報
【0007】
【特許文献2】特開平11−169861号公報
【特許文献3】実用新案登録第3074925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
然しながら、特許文献1〜3のいずれも、円形断面を有する管の外周部に永久磁石を設け、その永久磁石が管を挟んで対向するようにした構造であるから、管内を流れる水が永久磁石による磁界に曝される時間が極めて短く、このため管内の流水に対して磁界を効率よく作用せしめることができず、磁界の作用による水の改質が良好に行われないという欠点がある。
【0009】
尚、管の全長に亘って永久磁石を装置し、磁界の発生区間を長くすれば、それだけ水が磁界に曝される時間を長くすることができるものの、これには多くの永久磁石を必要としてコスト高になるという問題がある。
【0010】
又、水道管などは金属、それも鉄を主とする磁性体から形成されることが一般的であるが、この場合には係る管が磁気遮蔽物として作用するため、永久磁石による磁界を管内の水に対して良好に作用させることはできない。
【0011】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は管内に流される水その他の流体に対して磁気作用を良好に及ぼし得る装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するため、内部に処理流体が流される管路と、該管路内の処理流体に作用せしめる磁界を発生する磁界発生手段とを備えた磁気処理装置において、前記管路はこれを螺旋状に巻いて成る筒形のコイル部を有し、前記磁界発生手段は前記コイル部の一端部から他端部に亘ってその内側に設けられることを特徴とする。
【0013】
又、上記のような磁気処理装置において、磁界発生手段は、複数の永久磁石と、その各永久磁石を固定する磁石保持具とから構成され、その磁石保持具はコイル部の中心部分に配されるコア部を有して各永久磁石が前記コア部の周囲に設けられることを特徴とする。
【0014】
更に、磁界発生手段を回転させる磁界回転手段を有することを特徴とし、しかも磁界回転手段による磁界発生手段の回転方向がコイル部における処理流体の旋回方向とは逆方向とされることを特徴とする。又、コイル部が非導電体から成ることを特徴とする。
【0015】
加えて、管路内を流れる処理流体の流量を検知するための流量センサと、該流量センサの出力信号に基づいて磁界発生手段の回転動作制御を行う制御手段とを備えた事を特徴とする。
【0016】
又、コイル部を通過した処理流体の磁化度を検知するための磁化度センサと、該磁化度センサの出力信号に基づいて磁界発生手段の回転動作制御を行う制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る磁気処理装置によれば、内部に処理流体が流される管路を螺旋状に巻いて筒形のコイル部を形成し、その内側に磁界発生手段を設けていることから、磁界発生手段による磁界に対して処理流体が曝される時間が長くなり、このため処理流体の改質を良好に行うことができる。
【0018】
又、磁界発生手段が、複数の永久磁石と、その各永久磁石を固定する磁石保持具とから構成され、その磁石保持具はコイル部の中心部分に配されるコア部を有して該コア部の周囲に永久磁石が設けられることから、小型の磁石でもコイル部の内周面に近接させてコイル部を形成する管路内の処理流体に対して強力な磁界を作用せしめることができる。
【0019】
特に、磁界回転手段により磁界発生手段が回転される構成としていることから、コイル部の内側(内周部)に回転する磁界(回転磁界)を発生させ、これをコイル部よって螺旋状の流れ(旋回流)とされる処理流体に対して効率よく作用せしめることができ、しかも磁界回転手段による磁界発生手段の回転方向がコイル部における処理流体の旋回方向とは逆方向とされることから、処理流体に対して磁界をより効率的に作用せしめることが可能となる。
【0020】
又、コイル部が非導電体から成ることにより、磁界発生手段による磁界が遮蔽されることなく処理流体に作用し、しかも磁界発生手段の回転による渦電流がコイル部に発生しないのでコイル部の加熱を防止することができる。
【0021】
更に、管路内を流れる処理流体の流量を検知するための流量センサと、該流量センサの出力信号に基づいて磁界発生手段の回転動作制御を行う制御手段とを備えることから、処理流体の流通が停止しているときに磁界発生手段を停止させてランニングコストの低減を図ったり、処理流体の流量に比例して磁界発生手段の回転数を上げることによってコイル部を通過する処理流体に一様な磁気処理を施したりすることができる。
【0022】
又、コイル部を通過した処理流体の磁化度を検知するための磁化度センサと、該磁化度センサの出力信号に基づいて磁界発生手段の回転動作制御を行う制御手段とを備えることから、コイル部を通過した処理流体の磁化度の大きさに比例して磁界発生手段の回転数を上げるようなフィードバック制御を行って処理流体に一様な磁気処理を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明を詳しく説明する。図1は本発明に係る磁気処理装置を示した側面図、図2は同装置の内部構造を示した正面概略図である。図1および図2において、1は底部にキャスタを設けた可搬式のフレームであり、そのフレーム1内には内部に処理流体が流される管路2(導管)が配設される。
【0024】
管路2は、非導電性の塩化ビニールなどから成る合成樹脂管であり、その両端は流入口2Aおよび流出口2Bとしてフレーム1に固定される。そして、管路の一端流入口2Aには処理流体を供給する図示せぬ供給管が接続されると共に、管路の他端流出口2Bには図示せぬ排出管が接続され、その排出管を通じて処理済の流体を所要箇所まで導き得るようにしてある。
【0025】
又、管路2は流入口2Aと流出口2Bとの間でこれを螺旋状に巻いて成る筒形のコイル部2Cを形成する。尚、管路2はコイル部2Cを形成する部分のみ非導電体としてもよいし、管路2の全体をコイル部2Cとして螺旋状に巻くようにしてもよい。一方、係るコイル部2Cの内側には後述する磁界発生手段が設けられ、これによる磁界がコイル部2Cを形成する管路内の処理流体に作用するようにしてある。特に、本例ではコイル部2Cの内側にその一端部から他端部に亘って磁界発生手段が回転自在に設けられ、その回転によりコイル部2Cの内側で回転磁界が形成されるようにしてある。
【0026】
図2において、3は磁界発生手段の回転中心を成す回転軸であり、この回転軸3はフレーム1に取り付けた軸受ユニット4により両端部を支持されている。そして、本例によれば、フレーム1に取り付けた可変速モータ5の駆動軸に回転軸4の一端を連結して磁界発生手段を回転させるための磁界回転手段を構成している。
【0027】
6は、管路2内を流れる処理流体の流量を検知するべく流入口2Aの近傍で管路2に取り付けた流量センサ、7はコイル部2Cを通過した処理流体の磁化度を検知するべく流出口2Bの近傍で管路2に取り付けた磁化度センサである。流量センサ6としては電磁流量計やカルマン渦流量計などが用いられ、磁化度センサ7には磁気の強さに応じた電圧を発生するホール素子やホールIC、又は酸化還元電位計(ORPセンサ)などが用いられる。
【0028】
ここで、処理流体の磁化度が変化すると、これに応じて酸化還元電位も変化するのであり、このため処理流体の酸化還元電位の大きさから磁化度を定量的に表すことができる。
【0029】
尚、図1において、8は装置の主電源スイッチ、9は液晶パネルなどから成る表示部であり、その表示部9には、流量センサ6により検知された処理流体の流量、磁化度センサ7により検知された処理流体の磁化度、並びに可変速モータ5の回転数といった装置の運転状態が表示されるようになっている。
【0030】
又、図2において、10は流量センサと磁化度センサの出力信号に基づいて磁界発生手段の回転動作制御を行う制御手段(コントローラ)である。特に、本例では、流量センサ6の出力信号が「0」又は設定値以下の場合、制御手段11から可変速モータ5に停止信号を発信して磁界発生手段を停止させ、流量センサ6の出力信号が「0」より大きいか又は設定値以上の場合、制御手段11から可変速モータ5に駆動信号を発信して磁界発生手段を所定の回転数範囲内で回転駆動させるというオンオフ制御を行うよう構成される。
【0031】
又、制御手段10は、磁化度センサ7の出力信号の大きさによって可変速モータ5の回転数を増減し、これによって磁界発生手段の回転速度を変化させるという制御を行うようになっている。尚、磁化度センサ7を省略し、流量センサ6による出力信号(処理流体の流量)の大きさによって可変速モータ5の増減速を行うようにしてもよい。
【0032】
次に、磁界発生手段の構造を説明する。図3および図4において、11は上述の磁界発生手段であり、これは複数の永久磁石12A,12Bと、その各永久磁石12A,12Bを固定する磁石保持具13とで構成される。磁石保持具13は、コイル部2Cの中心部分に配されるコア部13Aと、各永久磁石12A,12Bの間に配される磁性板13Bから成り、永久磁石12A,12Bがコア部13Aの周囲に設けられるようになっている。
【0033】
コア部13Aは、横断面正八角形の柱状を成して全長がコイル部2Cの全長と略等しく設定されるヨークで、その中心部には回転軸14が貫通状態で固着されている。そして、本例によれば、図3のようにコア部13Aの外周面に矩形の断面を有する偶数個(本例において8つ)の永久磁石12Aが吸着されると共に、それら永久磁石12Aの間にそれぞれ磁性板13Bを介して三角形の断面を有する永久磁石12Bが嵌め込まれる構成としてある。
【0034】
永久磁石12A,12Bには、フェライト磁石や金属磁石を用いることができるが、磁力の点から金属磁石、それもネオジム磁石が好適に用いられる。このうち、矩形の永久磁石12Aは、一方の磁極をコア部13Aの外周面に吸着させて他方の磁極がコイル部2Cの内周面に対向する状態に配されると共に、周方向で隣り合うもの同士の磁極が反対向きとされる。すなわち、矩形の永久磁石12Aは、周方向でN極とS極が交互にあらわれるよう三角形の永久磁石12Bを挟んで隣り合うもの同士のN極とS極の向きが相反する状態に配される。
【0035】
尚、永久磁石12Aは、コア部13Aの長さ方向に延びる棒状のものでもよいが、好ましくは図4のように長さの短い永久磁石12Aにして、それらをコア部13Aの長さ方向に沿って直列状に配列すると共に、その配列方向においても隣り合うもの同士で磁極を反対向きとすることがよい。
【0036】
一方、三角形の永久磁石12Bは、磁性板13Bの間に挟まれる両面が磁極とされるもので、これはコア部13Aに対する永久磁石12Aの固定力を上げる楔としての役割を果たす。尚、三角形の永久磁石12Bは必ずしも必要でなく、コア部13Aに強力に吸着する矩形の永久磁石12Aを用いて三角形の永久磁石12Bを省略することもできる。
【0037】
ここで、以上のような磁界発生手段11によれば、図5のようにコイル部2Cの内側からその外方に向かって放射状に広がる凸状の磁力線で表されるような磁界を発生し、これを、コイル部2Cを形成する管路2内の処理流体に良好に作用せしめることができる。又、磁界発生手段11の回転により、コイル部2Cを形成する管路2内の処理流体に対して交番状に作用する回転磁界を発生させ、処理流体に対してより効果的に磁力線を浴びせられるようになる。
【0038】
特に、磁界発生手段11の回転方向と、コイル部2Cにおける螺旋状の管路2に沿って流れる処理流体の旋回方向とは互いに逆向きとされる。つまり、図3において、処理流体の旋回方向が右回り(時計回り)であるとき、磁界発生手段11の回転方向は同一方向からみて左回り(反時計回り)とされる。これによれば、処理流体が磁界と鎖交する回数が増し、処理流体に対する磁気的処理がより効果的に行われるようになる。
【0039】
因みに、コイル部2Cの内側で回転磁界を発生させても、コイル部2Cが非導電体であることから渦電流による加熱を防止することができる。又、図3および図4において、15はコイル部2Cを形成するべく管路2を巻付けた円筒形の巻胴であり、その両端には鍔15Aが形成され、その鍔15Aがフレームの側板1A(図1参照)に締結されることによりコイル部2Cが定位置に固定されるようになっている。係る巻胴15も渦電流加熱を防止するべく合成樹脂などから成る非導電体とされるが、コイル部2Cに形状固定できる硬質管を用いて巻胴15を省略することができる。
【0040】
更に、図3から明らかなように、コイル部2Cおよび巻胴15は円筒形とされるが、これを角筒形としてもよい。要するに、コイル部2Cはその内側に磁界発生手段11を収容できるような内径を有していればよい。但し、コイル部2Cを形成する管路2の長さを大きくする上で、係る管路2は図4のように間をあけずに密に巻くことが好ましい。
【0041】
次に、制御手段の構成例を説明する。図6のように、係る制御手段10は中央処理装置16、記憶装置17、入力装置18、並びにインターフェースユニット19などから構成されるもので、インターフェースユニット19には表示部9、流量センサ6、磁化度センサ7、モータドライバ20が接続され、モータドライバ20には磁界回転手段を構成する可変速モータ5が接続される。
【0042】
中央処理装置16(CPU)は、制御プログラムを実行して装置全体を制御するもので、これに必要なプログラムやデータは記憶装置17に格納される。
【0043】
記憶装置17は、制御プログラムなどを格納したROM、及び流量センサと磁化度センサにより検知された処理流体の流量および磁化度などのデータを格納するRAMを有し、そのRAMには目標とする処理流体の磁化度(目標磁化度)などを入力装置18から設定入力できるようになっている。
【0044】
そして、中央処理装置16は、記憶装置17に格納された流量データ(実測流量)、磁化度データ(実測磁化度)、及び目標磁化度から所定の演算、判定処理を実行し、その結果に基づく制御信号をインターフェースユニット19を介してモータドライバ20に伝送し、これによって可変速モータ5の停止、駆動、並びに変速を行う。
【0045】
次に、図7は処理流体の磁化処理に係るフローチャートを示す。図7から明らかなように、本装置の使用に際しては、先ず主電源スイッチを入れ、制御手段に対して目標磁化度J0の設定入力を行う。尚、その設定入力は必要に応じて行われるもので、目標磁化度J0に変更なき場合は省略される。
【0046】
ここに、制御手段は、流量センサの出力信号を処理流体の実測流量Qとして取得すると共に、磁化度センサの出力信号を処理流体の実測磁化度J1として取得する。
【0047】
そして、管路内に処理流体が流されてQ>0となったとき、制御手段から可変速モータに駆動電流が流され、これにより磁界発生手段が所定の回転数で回転駆動される。尚、本装置を既設の水道管に介在させた場合、蛇口を捻れば処理流体としての水道水が管路内を流通してQ>0となり、貯水池の貯水をポンプにより管路内に導入する場合にはポンプの起動によりQ>0となる。但し、管路内で処理流体の流れが発生しない場合でも、流量センサから微弱な信号が出力されて可変速モータが駆動してしまう虞があるので、実際には上記の「Q>0」なる条件式を例えば「Q>1」としたり、流量センサから出力される一定レベル以下の信号をカットしたりする。
【0048】
次に、管路内に処理流体が流されている状態において、制御手段では目標磁化度J0と実測磁化度J1との比較を行い、J0>J1のとき可変速モータを増速する一方、J0<J1のとき可変速モータを減速し、これによって磁界発生手段を実測磁化度J1の大きさに応じた速度で回転させる。尚、目標磁化度J0と実測磁化度J1との比較は所定の時間間隔で行われると共に、可変速モータの増減速はJ0とJ1の乖離の大きさに応じて段階的に行われ、可変速モータが定格回転数には達したときには、その状態がJ0<J1となるまで保持される。
【0049】
次に、図8により磁界発生手段の変更例について説明する。尚、上記例と変更なき部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。図8から明らかなように、本例ではコア部23Aが矩形の横断面を有する柱状体とされる。このコア部23Aもコイル部2Cの中心部分に配されるヨークで、その中心には回転軸14が貫通状態で固着される。そして、そのコア部23Aの外周面に4つの凸条23Bを設けて磁石保持具23を構成している。その各凸条23Bはコア部23Aと一体化される羽状の磁性体で、それぞれコア部23Aから放射状に突出される。
【0050】
一方、コア部23Aの周囲には偶数個(本例において8つ)の永久磁石12が設けられ、その各永久磁石12は2つ一組として凸条23Bの両面に吸着されている。特に、各組の永久磁石12は凸条23Bを挟んで同極が対向されており、しかも近隣の組(本例において直交する2組)同士で露出する磁極が相違される。つまり、一組の永久磁石12,12がN極同士を向かい合わせて凸条に吸着されているとき、その近隣となる組の永久磁石12,12はS極同士を向かい合わせて凸条23Bに吸着される。尚、本例においても、長さの短い永久磁石12にして、それらをコア部23Aの長さ方向に沿って直列状に配列すると共に、その配列方向において隣り合うもの同士で磁極を反対向きとすることがよい。
【0051】
そして、本例に係る磁界発生手段21でも、図9のようにコイル部2Cの内側からその外方に向かって放射状に広がる凸状の磁力線で表されるような磁界を発生し、これを、コイル部2Cを形成する管路2内の処理流体に良好に作用せしめることができる。又、磁界発生手段21の回転により、コイル部2Cを形成する管路2内の処理流体に対して交番状に作用する回転磁界を発生させ、処理流体に対してより効果的に磁力線を浴びせられるようになる。
【0052】
以上、本発明について説明したが、係る装置は水その他の液体のみならず、空気その他の気体に対しても磁化的処理を施すことができる。又、磁界発生手段11,21を回転させる構造が最良であるが、これをコイル部2Cの内側に固定状態で収容する構成としてもよい。更に、磁界発生手段として回転磁界を発生する三相巻線構造の電磁石を用いたり、電気的に回転磁界を発生しない電磁石を回転させる構造としてもよい。又、永久磁石を用いるものでも、上記例のような構造とすることに限らず、例えば円柱状のコア部の外周に、周方向に着磁したリング状の永久磁石を筒状に並べて固着するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る磁気処理装置の側面図
【図2】同装置の内部構造を示す正面概略図
【図3】コイル部の内側を示す側面図
【図4】図3のX−X断面図
【図5】磁界発生手段による磁界の発生状態を示す説明図
【図6】制御手段の構成例を示すブロック図
【図7】制御手段による制御例を示すフローチャート
【図8】磁界発生手段の変更例を示す図
【図9】図8の磁界発生手段による磁界の発生状態を示す説明図
【符号の説明】
【0054】
1 装置フレーム
2 管路
2C コイル部
5 可変速モータ
6 流量センサ
7 磁化度センサ
10 制御手段
11,21 磁界発生手段
12,12A,12B 永久磁石
13,23 磁石保持具
13A,23A コア部
14 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に処理流体が流される管路と、該管路内の処理流体に作用せしめる磁界を発生する磁界発生手段とを備えた磁気処理装置において、前記管路はこれを螺旋状に巻いて成る筒形のコイル部を有し、前記磁界発生手段は前記コイル部の一端部から他端部に亘ってその内側に設けられることを特徴とする磁気処理装置。
【請求項2】
磁界発生手段は、複数の永久磁石と、その各永久磁石を固定する磁石保持具とから構成され、その磁石保持具はコイル部の中心部分に配されるコア部を有して各永久磁石が前記コア部の周囲に設けられることを特徴とする請求項1記載の磁気処理装置。
【請求項3】
磁界発生手段を回転させる磁界回転手段を有することを特徴とする請求項1、又は2記載の磁気処理装置。
【請求項4】
磁界回転手段による磁界発生手段の回転方向がコイル部における処理流体の旋回方向とは逆方向とされることを特徴とする請求項3記載の磁気処理装置。
【請求項5】
コイル部が非導電体から成ることを特徴とする請求項3、又は4記載の磁気処理装置。
【請求項6】
管路内を流れる処理流体の流量を検知するための流量センサと、該流量センサの出力信号に基づいて磁界発生手段の回転動作制御を行う制御手段とを備えた請求項3、又は4記載の磁気処理装置。
【請求項7】
コイル部を通過した処理流体の磁化度を検知するための磁化度センサと、該磁化度センサの出力信号に基づいて磁界発生手段の回転動作制御を行う制御手段とを備えた請求項3、又は4記載の磁気処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−289227(P2006−289227A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−111698(P2005−111698)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(591075179)
【Fターム(参考)】