説明

磁気情報読取装置および磁気情報読取装置の制御方法

【課題】ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があっても、不適切な処理が行われるのを防止することが可能な磁気情報読取装置を提供する。
【解決手段】磁気情報読取装置1の制御回路6を構成する演算回路17は、磁気ストライプの先端側に記録される同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気ヘッド3が当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、磁気ヘッド3で読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのか、または、磁気ヘッド4で読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別し、その結果、磁気ヘッド3が当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、磁気ヘッド4で読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、復調用信号を破棄して、復調データを生成しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気情報記録媒体に記録された磁気データを読み取るための磁気情報読取装置およびこの磁気情報読取装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ストライプを有するカードの記録様式は、国際規格やJIS規格によって規定されている。この規格に適合するカードとして、図6に示すように、裏面2aと表面2bとの両面に磁気ストライプ2c、2dが形成されるカード2が日本国内で広く流通している。JIS規格「JISX6302−2」によれば、裏面2aに形成される磁気ストライプ2cには、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gの3つのトラックの磁気データが記録され、表面2bに形成される磁気ストライプ2dには、トラック2h(以下、表面側トラック2hとする。)の1つのトラックの磁気データが記録される。また、上記のJIS規格によれば、第1トラック2e、第3トラック2gおよび表面側トラック2hに記録される磁気データの記録密度(より具体的には、平均記録密度)は210bpiであり、第2トラック2fに記録される磁気データの記録密度(より具体的には、平均記録密度)は75bpiである。
【0003】
また、図6に示すように、カード2の短手方向の一端部2jから第1トラック2eの一端までの距離をL1、一端部2jから第1トラック2eの他端までの距離をL2、一端部2jから第2トラック2fの一端までの距離をL3、一端部2jから第2トラック2fの他端までの距離をL4、一端部2jから第3トラック2gの一端までの距離をL5、一端部2jから第3トラック2gの他端までの距離をL6、一端部2jから表面側トラック2hの一端までの距離をL7、一端部2jから表面側トラック2hの他端までの距離をL8とすると、距離L1〜L8は、JIS規格によって規定されている。JIS規格に適合するカード2の中には、カード2の厚さ方向から見たときに、表面側トラック2hが第1トラック2eおよび第2トラック2fとほぼ重なっているものがある。
【0004】
また、従来、カードの磁気ストライプに記録された磁気データを読み取る磁気ヘッドと、カードを搬送する搬送ローラとを備えるカード搬送式のカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のカードリーダは、たとえば、ATM(Automated Teller Machine)等の所定の上位装置に搭載されている。このカードリーダでは、磁気ヘッドで読み取った磁気データは、制御回路で復調、復号される。また、このカードリーダでは、制御回路で生成された復号データは、上位装置へ送信される。
【0005】
また、従来、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gの3つのトラックの磁気データが記録された磁気ストライプ2cを読み取るための磁気ヘッドとして、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gのそれぞれに当接する3つのチャンネルを有する磁気ヘッドが知られている(たとえば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の磁気ヘッドは、たとえば、特許文献1に記載のカードリーダに搭載さている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−102648号公報
【特許文献2】特開2000−306211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
銀行のATM等の、不特定多数のユーザがカードを操作する上位装置に搭載されるカードリーダには、表裏逆向きにカードが挿入される場合がある。上述のように、カードの厚さ方向から見たときに、表面側トラック2hが第1トラック2eおよび第2トラック2fとほぼ重なっているカードが従来のカードリーダに表裏逆向きに挿入されると、第2トラック2fの75bpiの磁気データを読み取るべき磁気ヘッドのチャンネルが表面側トラック2hの210bpiの磁気データを読み取ってしまう。そのため、特許文献1に記載のカードリーダのような従来のカードリーダでは、表裏逆向きにこのカードが挿入されると、第2トラック2fの磁気データを読み取るべき磁気ヘッドのチャンネルで読み取った磁気データを適切に復調することができず、このカードリーダはエラー信号を上位装置へ送信する。
【0008】
したがって、従来のカードリーダでは、ユーザのカード操作に問題があって、カードを裏返して再度、挿入すれば、適切な復号データを上位装置へ送信することができるにもかかわらず、エラー信号を受け取った上位装置は、挿入されたカードが不良であるとして、カード回収等の異常処理を行うおそれがある。
【0009】
また、カードの厚さ方向から見たときに、表面側トラック2hが第1トラック2eおよび第2トラック2fとほぼ重なっているカードが従来のカードリーダに表裏逆向きに挿入されると、第1トラック2eの210bpiの磁気データを読み取るべき磁気ヘッドのチャンネルが表面側トラック2hの210bpiの磁気データを読み取ってしまう。この場合、従来のカードリーダでは、第1トラック2eの210bpiの磁気データを読み取るべき磁気ヘッドのチャンネルで読み取った磁気データが復号されて、上位装置へ復号データが送信されるおそれがある。すなわち、この場合には、従来のカードリーダは、不適切な復号データを上位装置へ送信するおそれがある。
【0010】
しかしながら、表面側トラック2hに記録される磁気データの記録密度は、第1トラック2eに記録される磁気データの記録密度と同じ210bpiであるため、復号データを受け取った上位装置は、不適切な復号データを受け取っているにもかかわらず、適切な復号データを受け取ったと誤った判断をして、不適切な処理を行うおそれがある。
【0011】
そこで、本発明の課題は、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があっても、不適切な処理が行われるのを防止することが可能な磁気情報読取装置を提供することにある。また、本発明の課題は、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があっても、不適切な処理が行われるのを防止することが可能となる磁気情報読取装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明の磁気情報読取装置は、所定の上位装置に搭載されて使用される磁気情報読取装置において、磁気情報記録媒体に形成される磁気ストライプに記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッドと、磁気ヘッドで読み取った磁気データを復調し、復号するための制御回路とを備え、制御回路は、磁気ヘッドからの出力信号に基づいて生成される磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号に基づいて磁気データを復調し、復号する演算回路と、演算回路で復調された復調データおよび演算回路で復号された復号データを一時的に記憶可能な一時記憶回路とを備え、磁気情報記録媒体には、複数の磁気ストライプが形成され、磁気情報読取装置への磁気情報記録媒体の挿入方向における磁気ストライプの先端側には、一定周期で磁気が反転する同期用データが記録され、演算回路は、磁気ヘッドでの同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の磁気ストライプのうちの磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのか、または、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別し、かつ、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、復調用信号を破棄して復調データを生成しないこと、または、一時記憶回路に記憶される復調データを消去して復号データを生成しないこと、あるいは、一時記憶回路に記憶される復号データを上位装置に送信せずに消去することを特徴とする。
【0013】
また、上記の課題を解決するため、本発明の磁気情報読取装置は、磁気情報記録媒体に形成される磁気ストライプに記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッドと、磁気情報記録媒体を搬送するための搬送機構と、磁気ヘッドで読み取った磁気データを復調し、復号するための制御回路とを備え、制御回路は、磁気ヘッドからの出力信号に基づいて生成される磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号に基づいて磁気データを復調し、復号する演算回路と、搬送機構を駆動するための駆動回路とを備え、磁気情報記録媒体には、複数の磁気ストライプが形成され、磁気情報記録媒体の挿入方向における磁気ストライプの先端側には、一定周期で磁気が反転する同期用データが記録され、演算回路は、磁気ヘッドでの同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の磁気ストライプのうちの磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのか、または、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別し、かつ、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、磁気情報記録媒体の排出指令信号を駆動回路へ出力することを特徴とする。
【0014】
本発明の磁気情報読取装置では、演算回路は、磁気ヘッドでの同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の磁気ストライプのうちの磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのか、または、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別している。そのため、演算回路による記録密度の判別結果に基づいて、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があったか否かを判断することが可能になる。したがって、本発明では、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があった場合には、磁気情報記録媒体の再挿入をユーザに促す表示を行う等の適切な処理を行うことが可能になる。すなわち、本発明では、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があっても、磁気情報読取装置で不適切な処理が行われるのを防止することが可能になる。
【0015】
また、本発明の磁気情報読取装置では、演算回路は、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、復調用信号を破棄して復調データを生成しないか、または、一時記憶回路に記憶される復調データを消去して復号データを生成しないか、あるいは、一時記憶回路に記憶される復号データを上位装置に送信せずに消去する。すなわち、本発明では、磁気ヘッドで読み取られるべきでない磁気データに基づく復号データが上位装置へ送信されることがない。あるいは、本発明の磁気情報読取装置では、演算回路は、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、磁気情報記録媒体の排出指令信号を駆動回路へ出力する。すなわち、本発明では、この場合には、磁気情報記録媒体は搬送機構によって排出されるため、磁気ヘッドでの磁気データの読取を中止することが可能になり、磁気ヘッドで読み取られるべきでない磁気データに基づく復号データが上位装置へ送信されるのを防止することが可能になる。したがって、本発明では、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があっても、不適切な復号データが上位装置に送信されるのを防止することが可能になり、その結果、磁気情報読取装置で不適切な処理が行われるのを防止することが可能になる。
【0016】
さらに、本発明の磁気情報読取装置では、演算回路は、一定周期で磁気が反転する同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気データの記録密度を判別しているため、磁気データの記録密度を判別しやすくなる。したがって、磁気データの記録密度を判別する際の演算回路の処理を簡素化することが可能になり、磁気データの記録密度を判別する際の演算回路の処理時間を短縮することが可能になる。
【0017】
さらに、上記の課題を解決するため、本発明の磁気情報読取装置は、所定の上位装置に搭載されて使用される磁気情報読取装置において、磁気情報記録媒体に形成される磁気ストライプに記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッドと、磁気ヘッドで読み取った磁気データを復調し、復号するための制御回路とを備え、制御回路は、磁気ヘッドからの出力信号に基づいて生成される磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号に基づいて磁気データを復調し、復号する演算回路と、演算回路で復調された復調データおよび演算回路で復号された復号データを一時的に記憶可能な一時記憶回路とを備え、磁気情報記録媒体には、複数の磁気ストライプが形成され、磁気情報読取装置への磁気情報記録媒体の挿入方向における磁気ストライプの先端側には、一定周期で磁気が反転する同期用データが記録され、演算回路は、磁気ヘッドでの同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の磁気ストライプのうちの磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのか、または、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別し、かつ、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、復号された復号データが適切なデータであるか否かを判断するとともに、復号データが適切なデータでない場合に、磁気ストライプ異常信号を上位装置に送信することを特徴とする。
【0018】
本発明の磁気情報読取装置では、演算回路は、磁気ヘッドでの同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の磁気ストライプのうちの磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのか、または、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別している。そのため、演算回路による記録密度の判別結果に基づいて、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があったか否かを判断することが可能になる。したがって、本発明では、上述のように、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があっても、磁気情報読取装置で不適切な処理が行われるのを防止することが可能になる。
【0019】
また、本発明では、演算回路は、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、復号された復号データが適切なデータであるか否かを判断するとともに、復号データが適切なデータでない場合に、磁気ストライプ異常信号を上位装置に送信している。そのため、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があるのか、それとも、磁気情報記録媒体の磁気データ自体に問題があるのかを上位装置が判別することが可能になる。したがって、磁気情報読取装置でより適切な処理を行うことが可能になる。
【0020】
さらに、本発明の磁気情報読取装置では、演算回路は、一定周期で磁気が反転する同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気データの記録密度を判別しているため、上述のように、磁気データの記録密度を判別する際の演算回路の処理を簡素化することが可能になり、磁気データの記録密度を判別する際の演算回路の処理時間を短縮することが可能になる。
【0021】
本発明において、演算回路は、同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号の複数のエッジ間の時間に基づいて、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を判別することが好ましい。このように構成すると、磁気情報記録媒体が磁気情報読取装置の中で略一定速度で移動している場合には、演算回路で、磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を比較的容易にかつ適切に判別することが可能になる。
【0022】
本発明において、演算回路は、復調用信号の複数のエッジ間の時間が所定回数連続して所定範囲内にある場合に、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を特定することが好ましい。このように構成すると、ノイズの影響を抑制して、磁気データの記録密度をより適切に判別することが可能になる。
【0023】
本発明において、たとえば、磁気情報記録媒体の表面と裏面とのそれぞれに磁気ストライプが形成され、磁気ストライプは、磁気情報記録媒体の挿入方向に略平行な磁気情報記録媒体の長手方向に沿って形成され、磁気情報記録媒体の裏面に形成される磁気ストライプには、第1トラックおよび第2トラックの2つのトラックの磁気データが記録され、第1トラックには、210bpiの磁気データが記録され、第2トラックには、75bpiの磁気データが記録され、第1トラックおよび第2トラックは、磁気情報記録媒体の長手方向に略直交する磁気情報記録媒体の短手方向において隣り合うように配置され、磁気情報記録媒体の表面に形成される磁気ストライプには、表面側トラックの1つのトラックの磁気データが記録され、表面側トラックには、210bpiの磁気データが記録され、磁気情報記録媒体の長手方向と磁気情報記録媒体の短手方向とに略直交する磁気情報記録媒体の厚さ方向から見たときに、表面側トラックが第1トラックおよび第2トラックに重なっている。
【0024】
この場合には、磁気情報読取装置は、第1トラックの磁気データを読み取るための第1チャンネルと第2トラックの磁気データを読み取るための第2チャンネルとを有する磁気ヘッドを備え、演算回路は、第2チャンネルでの同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、第2チャンネルで読み取った磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度が75bpiであるのか、または、210bpiであるのかを判別することが好ましい。このように構成すると、国際規格やJIS規格に適合する磁気情報記録媒体としてのカードがユーザによって誤操作された場合に、磁気情報読取装置で不適切な処理が行われるのを防止することが可能になる。
【0025】
また、上記の課題を解決するため、本発明の磁気情報読取装置の制御方法は、複数の磁気ストライプが形成される磁気情報記録媒体の磁気ストライプに記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッドと、磁気ヘッドからの出力信号に基づいて生成される磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号に基づいて復調された復調データおよび復調データに基づいて復号された復号データを一時的に記憶可能な一時記憶回路とを備え、所定の上位装置に搭載されて使用される磁気情報読取装置の制御方法であって、磁気情報読取装置への磁気情報記録媒体の挿入方向における磁気ストライプの先端側に一定周期で磁気が反転するように記録される同期用データの磁気ヘッドでの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の磁気ストライプのうちの磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるか、または、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別する記録密度判別ステップと、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、復調用信号を破棄して復調データを生成しない、または、一時記憶回路に記憶される復調データを消去する、あるいは、一時記憶回路に記憶される復号データを上位装置に送信せずに消去するデータ処理ステップとを備えることを特徴とする。
【0026】
さらに、上記の課題を解決するため、本発明の磁気情報読取装置の制御方法は、複数の磁気ストライプが形成される磁気情報記録媒体の磁気ストライプに記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッドと、磁気情報記録媒体を搬送するための搬送機構とを備える磁気情報読取装置の制御方法であって、磁気情報記録媒体の挿入方向における磁気ストライプの先端側に一定周期で磁気が反転するように記録される同期用データの磁気ヘッドでの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の磁気ストライプのうちの磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるか、または、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別する記録密度判別ステップと、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、搬送機構で磁気情報記録媒体を排出する媒体排出ステップとを備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の磁気情報読取装置の制御方法では、記録密度判別ステップにおいて、磁気ヘッドでの同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の磁気ストライプのうちの磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのか、または、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別している。そのため、記録密度判別ステップでの記録密度の判別結果に基づいて、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があったか否かを判断することが可能になる。したがって、本発明では、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があった場合には、磁気情報記録媒体の再挿入をユーザに促す表示を行う等の適切な処理を行うことが可能になる。すなわち、本発明の制御方法によれば、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があっても、磁気情報読取装置で不適切な処理が行われるのを防止することが可能になる。
【0028】
また、本発明の磁気情報読取装置の制御方法では、データ処理ステップにおいて、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、復調用信号を破棄して復調データを生成しないか、または、一時記憶回路に記憶される復調データを消去して復号データを生成しないか、あるいは、一時記憶回路に記憶される復号データを上位装置に送信せずに消去する。すなわち、本発明の制御方法によれば、磁気ヘッドで読み取られるべきでない磁気データに基づく復号データが上位装置へ送信されることがない。あるいは、本発明の磁気情報読取装置の制御方法では、媒体排出ステップにおいて、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、搬送機構で磁気情報記録媒体を排出する。すなわち、本発明の制御方法によれば、この場合には、磁気情報記録媒体は搬送機構によって排出されるため、磁気ヘッドでの磁気データの読取を中止することが可能になり、磁気ヘッドで読み取られるべきでない磁気データに基づく復号データが上位装置へ送信されるのを防止することが可能になる。したがって、本発明の制御方法によれば、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があっても、不適切な復号データが上位装置に送信されるのを防止することが可能になり、その結果、磁気情報読取装置で不適切な処理が行われるのを防止することが可能になる。
【0029】
さらに、本発明の磁気情報読取装置の制御方法では、記録密度判別ステップにおいて、一定周期で磁気が反転する同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気データの記録密度を判別しているため、磁気データの記録密度を判別しやすくなる。したがって、磁気データの記録密度を判別する際の処理を簡素化することが可能になり、磁気データの記録密度を判別する際の処理時間を短縮することが可能になる。
【0030】
また、上記の課題を解決するため、本発明の磁気情報読取装置の制御方法は、複数の磁気ストライプが形成される磁気情報記録媒体の磁気ストライプに記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッドと、磁気ヘッドからの出力信号に基づいて生成される磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号に基づいて復調された復調データおよび復調データに基づいて復号された復号データを一時的に記憶可能な一時記憶回路とを備える磁気情報読取装置の制御方法であって、磁気情報読取装置への磁気情報記録媒体の挿入方向における磁気ストライプの先端側に一定周期で磁気が反転するように記録される同期用データの磁気ヘッドでの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の磁気ストライプのうちの磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるか、または、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別する記録密度判別ステップと、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、復号データを生成する復号データ生成ステップと、復号データ生成ステップで生成された復号データが適切なデータであるか否かを判断する復号データ判断ステップと、復号データ判断ステップにおいて復号データが適切なデータであると判断された場合に、磁気ストライプ正常情報を一時記憶回路に記憶する正常情報記憶ステップと、復号データ判断ステップにおいて復号データが適切なデータでないと判断された場合に、磁気ストライプ異常情報を一時記憶回路に記憶する異常情報記憶ステップとを備えることを特徴とする。
【0031】
本発明の磁気情報読取装置の制御方法では、記録密度判別ステップにおいて、磁気ヘッドでの同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気ヘッドが当接した磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の磁気ストライプのうちの磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのか、または、磁気ヘッドで読み取られるべき磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別している。そのため、記録密度判別ステップでの記録密度の判別結果に基づいて、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があったか否かを判断することが可能になる。したがって、上述のように、本発明の制御方法によれば、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があっても、磁気情報読取装置で不適切な処理が行われるのを防止することが可能になる。
【0032】
また、本発明では、復号データ判断ステップにおいて復号データが適切なデータであると判断された場合に、正常情報記憶ステップにおいて、磁気ストライプ正常情報を一時記憶回路に記憶し、復号データ判断ステップにおいて復号データが適切なデータでないと判断された場合に、異常情報記憶ステップで磁気ストライプ異常情報を一時記憶回路に記憶している。そのため、磁気ストライプ正常情報および磁気ストライプ異常情報を上位装置が受け取らない場合には、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があり、磁気ストライプ異常情報を上位装置が受け取った場合には、磁気情報記録媒体の磁気データ自体に問題があることを上位装置は判別することができる。したがって、磁気情報読取装置でより適切な処理を行うことが可能になる。
【0033】
さらに、本発明の磁気情報読取装置の制御方法では、記録密度判別ステップにおいて、一定周期で磁気が反転する同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、磁気データの記録密度を判別しているため、上述のように、磁気データの記録密度を判別する際の処理を簡素化することが可能になり、磁気データの記録密度を判別する際の処理時間を短縮することが可能になる。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明の磁気情報読取装置では、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があっても、不適切な処理が行われるのを防止することが可能になる。また、本発明の磁気情報読取装置の制御方法によれば、ユーザによる磁気情報記録媒体の操作に問題があっても、不適切な処理が行われるのを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態にかかる磁気情報読取装置の概略構成を説明するための概略図である。
【図2】図1に示す磁気情報読取装置で処理される磁気情報記録媒体の構成および磁気情報記録媒体と磁気ヘッドとの配置関係を説明するための図であり、(A)、(B)は磁気情報記録媒体の裏面の構成および裏面と磁気ヘッドとの配置関係を示す図、(C)、(D)は磁気情報記録媒体の表面の構成および表面と磁気ヘッドとの関係を示す図である。
【図3】図1に示すCPUに入力される復調用信号の波形の一例を説明するための図である。
【図4】図1に示すカードリーダにおける記録密度判別時の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【図5】図1に示すカードリーダにおける磁気データ復号時の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【図6】JIS規格に適合するカードの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0037】
(磁気情報読取装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる磁気情報読取装置1の概略構成を説明するための概略図である。図2は、図1に示す磁気情報読取装置1で処理される磁気情報記録媒体2の構成および磁気情報記録媒体2と磁気ヘッド3との配置関係を説明するための図であり、(A)、(B)は磁気情報記録媒体2の裏面2aの構成および裏面2aと磁気ヘッド3との配置関係を示す図、(C)、(D)は磁気情報記録媒体2の表面2bの構成および表面2bと磁気ヘッド3との関係を示す図である。
【0038】
本形態の磁気情報読取装置1は、磁気情報記録媒体であるカード2に記録された磁気データを読み取って、磁気データを復号するカードリーダである。したがって、以下では、本形態の磁気情報読取装置1を「カードリーダ1」とする。このカードリーダ1は、図1に示すように、カード2に記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッド3、4と、カードリーダ1内でカード2を搬送するための搬送機構5とを備えている。また、カードリーダ1は、磁気ヘッド3、4で読み取った磁気データを復調し、復号するための制御回路6を備えている。このカードリーダ1の内部には、カードの挿入口7から挿入されたカード2が搬送されるカード搬送路が直線状に形成されている。本形態のカードリーダ1は、ATM等の所定の上位装置に搭載されて使用される。
【0039】
本形態では、図1に示すX方向にカード2が搬送される。具体的には、X1方向にカード2が挿入されて取り込まれ、X2方向にカード2が排出される。すなわち、X1方向は、カード2の挿入方向である。また、X方向は、カードリーダ1の中に挿入されたカード2の長手方向であり、X方向に略直交するY方向は、カードリーダ1の中に挿入されたカード2の短手方向である。また、X方向とY方向とに略直交するZ方向は、カードリーダ1の中に挿入されたカード2の厚さ方向である。
【0040】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。カード2の裏面2aには、磁気データが記録される磁気ストライプ2cが形成され、カード2の表面2bには、磁気データが記録される磁気ストライプ2dが形成されている。すなわち、カード2には、2個の磁気ストライプ2c、2dが形成されている。磁気ストライプ2c、2dは、カード2の長手方向に沿って形成されている。
【0041】
磁気ストライプ2cには、第1トラック2eおよび第2トラック2fの2つのトラックの磁気データが記録されている。第1トラック2eおよび第2トラック2fは、カード2の短手方向の一端部2j側からこの順番で配置されるとともに、カード2の短手方向で隣り合うように配置されている。磁気ストライプ2dには、表面側トラック2hの1つのトラックの磁気データが記録されている。本形態では、第1トラック2e、第2トラック2fおよび表面側トラック2hは、JIS規格に適合するように配置されており、カード2の厚さ方向から見たときに、表面側トラック2hは、第1トラック2eおよび第2トラック2fとほぼ重なっている。
【0042】
第1トラック2e、第2トラック2fおよび表面側トラック2hには、たとえば、F2Fの記録方式で磁気データが記録されている。また、第1トラック2eおよび表面側トラック2hに記録される磁気データの記録密度(具体的には、平均記録密度)は、210bpiであり、第2トラック2fに記録される磁気データの記録密度(具体的には、平均記録密度)は75bpiである。
【0043】
カード2の長手方向の一端2kから所定の距離L11の範囲およびカード2の長手方向の他端2mから所定の距離L12の範囲では、磁気ストライプ2cに、一定周期で磁気が反転する同期用データが記録されている。すなわち、磁気ストライプ2cの、カード2の一端2kから所定の距離L11の範囲およびカード2の他端2mから所定の距離L12の範囲は、同期用データ記録部2nとなっており、同期用データ記録部2nには、同期用のビット“0”が記録されている。同様に、カード2の一端2kから所定の距離L13の範囲およびカード2の他端2mから所定の距離L14の範囲では、磁気ストライプ2dに、一定周期で磁気が反転する同期用データが記録されている。すなわち、磁気ストライプ2dの、カード2の一端2kから所定の距離L13の範囲およびカード2の他端2mから所定の距離L14の範囲は、同期用データ記録部2pとなっており、同期用データ記録部2pには、同期用のビット“0”が記録されている。
【0044】
このように、本形態では、磁気ストライプ2c、2dの、カード2の一端2k側およびカード2の他端2m側には、同期用データが記録されている。すなわち、本形態では、一端2k側からカードリーダ1へカード2が挿入される際の、カード2の挿入方向における磁気ストライプ2c、2dの先端側に同期用データが記録されるとともに、他端2m側からカードリーダ1へカード2が挿入される際の、カード2の挿入方向における磁気ストライプ2c、2dの先端側にも同期用データが記録されている。なお、磁気ストライプ2c、2dの長手方向の両端部に複数個の同期用のビット“0”を記録しなければならないことは、JIS規格「JISX6302−2」に規定されており、このJIS規格によれば、L11は、7.44(mm)であり、L12は、6.93(mm)であり、L13、L14は、5(mm)である。
【0045】
なお、カード2の表面2bにICチップが固定されても良い。また、カード2に通信用のアンテナが内蔵されても良い。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0046】
磁気ヘッド3および磁気ヘッド4は、カード搬送路を挟んで互いに対向するように配置されている。また、磁気ヘッド3および磁気ヘッド4は、カード2が正しい向きでカードリーダ1に挿入されたときに、カード2の裏面2aの磁気ストライプ2cに磁気ヘッド3が当接し、カード2の表面2bの磁気ストライプ2dに磁気ヘッド4が当接するように配置されている。
【0047】
磁気ヘッド3は、図2に示すように、第1トラック2eに記録された磁気データを読み取るための第1チャンネル3aと、第2トラック2fに記録された磁気データを読み取るための第2チャンネル3bとの2個のチャンネルを備えている。第1チャンネル3aおよび第2チャンネル3bは、カード2の短手方向において、この順番に配置されている。磁気ヘッド4は、表面側トラック2hに記録された磁気データを読み取るための1個のチャンネル(図示省略)を備えている。なお、以下では、磁気ヘッド4の1個のチャンネルを「第3チャンネル」とする。
【0048】
搬送機構5は、カード2に当接してカード2を搬送する駆動ローラ10およびパッドローラ11と、駆動ローラ10を駆動する駆動機構12とを備えている。パッドローラ11は、駆動ローラ10に対向配置されるとともに駆動ローラ10に向かって付勢されている。駆動機構12は、駆動ローラ10を駆動するモータや、モータの動力を駆動ローラ10に伝達する歯車等の動力伝達機構を備えている。本形態では、カード2は、搬送機構5によってカードリーダ1内を一定速度で搬送される。
【0049】
(制御回路の構成)
図3は、図1に示すCPU17に入力される復調用信号の波形の一例を説明するための図である。
【0050】
制御回路6は、磁気ヘッド3、4で読み取った磁気データを復調し、復号するための構成として、増幅回路15と、復調用信号を生成するための処理回路16と、演算回路としてのCPU17と、一時記憶回路としてのRAM18と、ROM19とを備えている。また、制御回路6は、搬送機構5を駆動するための駆動回路20を備えている。制御回路6には、磁気ヘッド3、4および駆動機構12が接続されている。また、制御回路6には、カードリーダ1が搭載される上位装置の制御部(上位制御部)21が接続されている。
【0051】
増幅回路15には、磁気ヘッド3、4が接続されている。具体的には、本形態の制御回路6は、3個の増幅回路15を備えており、3個の増幅回路15のそれぞれには、第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび磁気ヘッド4の第3チャンネルのそれぞれが接続されている。この増幅回路15は、磁気ヘッド3、4からの出力信号を増幅する。
【0052】
処理回路16は、増幅回路15の出力側に接続されている。具体的には、本形態の制御回路6は、3個の処理回路16を備えており、3個の増幅回路15のそれぞれに、処理回路16が接続されている。処理回路16は、フィルタ回路、微分回路および比較回路等を備えており、増幅回路15からの出力信号に基づいて磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号を生成する。具体的には、処理回路16は、搬送機構5によるカード2の一定の搬送速度と磁気データの記録密度とによって定まる周期で変化する矩形波状の復調用信号を生成する。
【0053】
たとえば、増幅回路15からの出力信号が75bpiの磁気データに基づくものであり、かつ、磁気データのビットが全て“0”である場合には、処理回路16は、図3(A)に示すように、一定の周期T1の復調用信号SG1を生成する。また、増幅回路15からの出力信号が210bpiの磁気データに基づくものであり、かつ、磁気データのビットが全て“0”である場合には、処理回路16は、図3(B)に示すように、一定の周期T2の復調用信号SG2を生成する。
【0054】
CPU17は、処理回路16に接続されており、処理回路16で生成される復調用信号に基づいて、磁気データを復調し、復号する。また、CPU17には、上位制御部21が接続されており、CPU17は復号データ等を上位制御部21に送信する。RAM18およびROM19は、CPU17に接続されている。
【0055】
RAM18には、CPU17で復調された復調データが一時的に記憶される。また、RAM18には、復調データに基づいてCPU17で復号された復号データが一時的に記憶される。具体的には、上位制御部21に送信される前の復号データがRAM18に一時的に記憶される。なお、RAM18は、後述の磁気ストライプ正常情報、磁気ストライプ異常情報またはカード操作異常情報を一時的に記憶する記憶領域であるデータ復号結果部R1〜R3と、上位制御部21に送信される前の復号データを一時的に記憶する記憶領域である復号データ格納部D1〜D3とを備えている。また、本明細書における「復調データ」とは、復調用信号に基づいてCPU17で演算処理されたデータのことであり、「復調データ」には、デジタル処理された“0”、“1”データのみならず、デジタル処理が完結していないデータも含まれる。
【0056】
ROM19には、カードリーダ1の各種の制御を行うための制御プログラムが記憶されており、ROM19に記憶された制御プログラムに基づいて、CPU17が各種の処理を実行する。
【0057】
駆動回路20には、CPU17が接続されている。また、駆動回路20には、駆動機構12が接続されている。駆動回路20は、CPU17から出力される制御信号に基づいて、駆動機構12を制御する。
【0058】
上述のように、本形態のカード2では、カード2の厚さ方向から見たときに、表面側トラック2hが、第1トラック2eおよび第2トラック2fとほぼ重なっている。そのため、図2(A)に示すように、正しい向きでカード2がカードリーダ1に挿入されると、図2(B)に示すように、磁気ヘッド3の第1チャンネル3aで第1トラック2eに記録された210bpiの磁気データが読み取られ、第2チャンネル3bで第2トラック2fに記録された75bpiの磁気データが読み取られる。また、このときには、磁気ヘッド4の第3チャンネルで表面側トラック2hに記録された210bpiの磁気データが読み取られる。
【0059】
一方、図2(C)に示すように、カード2の表裏の向きが間違った状態で、かつ、カード2の他端2m側からカード2がカードリーダ1に挿入されると、図2(D)に示すように、第1チャンネル3aおよび第2チャンネル3bで、表面側トラック2hに記録された210bpiの磁気データが読み取られる。また、このときには、磁気ヘッド4の第3チャンネルで第1トラック2eに記録された210bpiの磁気データおよび第2トラック2fに記録された75bpiの磁気データが読み取られる。
【0060】
本形態では、カード2が正しい向きで挿入されたか否かを判断するために(すなわち、ユーザのカード操作に問題があったか否かを判断するために)、CPU17は、第2チャンネル3bでの磁気データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が75bpiであるのか、または、210bpiであるのかを判別する。すなわち、CPU17は、磁気ヘッド3が当接した磁気ストライプ2cまたは磁気ストライプ2dに記録された磁気データの記録密度が、2個の磁気ストライプ2c、2dのうちの磁気ヘッド3で読み取られるべき磁気ストライプ2cに記録される磁気データの記録密度であるのか、または、磁気ヘッド3で読み取られるべき磁気ストライプ2cに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプ2dに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別する。
【0061】
具体的には、CPU17は、同期用データ記録部2n、2pに記録された同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号SG1、SG2に基づいて、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度を判別する。より具体的には、CPU17は、同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号SG1、SG2の複数のエッジEG間の時間に基づいて、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度を判別する。すなわち、CPU17は、エッジEG間の時間が75bpiの磁気データに対応するΔT1(図3参照)である場合には、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が75bpiであると判別し、エッジEG間の時間が210bpiの磁気データに対応するΔT2(図3参照)である場合には、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiであると判別する。
【0062】
さらに、具体的には、磁気ストライプ2c、2dの磁気データの記録品質や搬送機構5によるカード2の搬送速度の変動等の誤差を考慮して、エッジEG間の時間が所定範囲にあれば、CPU17は、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が75bpiである、あるいは、210bpiであると判別する。すなわち、エッジEG間の時間がΔT1min〜ΔT1maxの範囲にあれば、CPU17は、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が75bpiであると判別し、エッジEG間の時間がΔT2min〜ΔT2maxの範囲にあれば、CPU17は、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiであると判別する。
【0063】
たとえば、カード2の搬送速度が250(mm/sec)であり、誤差が±30(%)である場合には、ΔT1、ΔT1min、ΔT1max、ΔT2、ΔT2minおよびΔT2maxは、以下のようになる。
ΔT1=25.4(inch)/75(bpi)/250(mm/sec)×1000
=1.355(msec)
ΔT1min=ΔT1×0.7=0.948(msec)
ΔT1max=ΔT1×1.3=1.761(msec)
ΔT2=25.4(inch)/210(bpi)/250(mm/sec)×1000
=0.484(msec)
ΔT2min=ΔT2×0.7=0.339(msec)
ΔT2max=ΔT2×1.3=0.629(msec)
【0064】
なお、エッジEG間の時間が、ΔT1min〜ΔT1maxの範囲内およびΔT2min〜ΔT2maxの範囲内にない場合には、CPU17は、検出されたエッジEGをノイズとして破棄する。
【0065】
また、本形態では、CPU17は、エッジEG間の時間が所定回数連続して、ΔT1min〜ΔT1maxの範囲にあった場合に、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が75bpiであると判別し、エッジEG間の時間が所定回数連続して、ΔT2min〜ΔT2maxの範囲にあった場合に、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiであると判別する。たとえば、エッジEG間の時間が4回連続して、ΔT1min〜ΔT1maxの範囲にあった場合には、CPU17は、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が75bpiであると判別し、エッジEG間の時間が4回連続して、ΔT2min〜ΔT2maxの範囲にあった場合には、CPU17は、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiであると判別する。
【0066】
ここで、本形態では、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiである場合には(すなわち、磁気ヘッド3で読み取られるべき磁気ストライプ2cに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプ2dに記録される磁気データの記録密度である場合には)、カード2が正しい向きで挿入されておらず、ユーザのカード操作に問題があったとして、CPU17は、復調データを生成しない。すなわち、CPU17は、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび磁気ヘッド4の第3チャンネルでの磁気データの読取結果に基づいて生成される復調用信号を破棄する。
【0067】
一方、CPU17は、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が75bpiである場合には、カード2が正しい向きで挿入されたとして、第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび磁気ヘッド4の第3チャンネルでの磁気データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて復調データを生成し、RAM18に記録するとともに、この復調データに基づいて復号データを生成し、RAM18に記憶する。また、CPU17は、RAM18に記憶された復号データを上位制御部21に送信する。
【0068】
また、CPU17は、RAM18に記憶された復号データが適切なデータであるか否かを判断する。RAM18に記憶された復号データが適切なデータでない場合には、CPU17は、磁気ストライプ2c、2dに傷等がある、あるいは、磁気ストライプ2c、2dに記録された磁気データ自体に問題がある等の異常があるために適切な復号が行えなかったと判断して、磁気ストライプ異常信号を復号データとともに上位制御部21に送信する。一方、RAM18に記憶された復号データが適切なデータである場合には、CPU17は、磁気ストライプ2c、2dは正常であると判断して、磁気ストライプ正常信号を復号データとともに上位制御部21に送信する。
【0069】
(記録密度判別時の概略制御)
図4は、図1に示すカードリーダ1における記録密度判別時の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【0070】
カードリーダ1では、以下のように、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が75bpiであるのか、または、210bpiであるのかを判別する。すなわち、まず、CPU17は、記録密度判別開始時の現在時間を時間T´としてRAM18に記憶する(ステップS1)。
【0071】
その後、CPU17は、エッジEG間の時間が連続してΔT1min〜ΔT1maxの範囲にあった回数(以下、「75bpiビット数」とする。)を初期化して(すなわち、「0」にして)初期化された回数N1をRAM18に記憶するとともに、エッジEG間の時間が連続してΔT2min〜ΔT2maxの範囲にあった回数(以下、「210bpiビット数」とする。)を初期化して初期化された回数N2をRAM18に記憶する(ステップS2)。
【0072】
その後、CPU17は、復調用信号のエッジEGが検出されるのを待ち(ステップS3)、エッジEGが検出されると、このときの現在時間と時間T´との差であるΔTを算出するとともに、このときの現在時間を新たな時間T´としてRAM18に記憶する(ステップS4)。
【0073】
その後、CPU17は、ΔTがΔT1minからΔT1maxの範囲内であるか否かを判断し(ステップS5、S6)、ΔTがΔT1minからΔT1maxの範囲内である場合には、75bpiビット数に1を加えた回数N1+1を新たな回数N1として回数N1を更新し、更新後の回数N1をRAM18に記憶するとともに、210bpiビット数を初期化して、初期化された回数N2をRAM18に記憶する(ステップS7)。
【0074】
その後、CPU17は、ステップS7で記憶された回数N1が規定数N1maxであるか否かを判断する(ステップS8)。すなわち、ステップS8では、CPU17は、ΔTが所定回数連続して、ΔT1min〜ΔT1maxの範囲にあったか否かを判断する。ステップS8で、回数N1が規定数N1maxでない場合には、ステップS3に戻る。一方、ステップS8で、回数N1が規定数N1maxである場合には、CPU17は、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が75bpiであると判別して(ステップS9)、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度の判別を終了する。なお、規定数N1maxは、たとえば、4である。
【0075】
また、ステップS5、S6において、ΔTがΔT1minからΔT1maxの範囲内でない場合には、ΔTがΔT2minからΔT2maxの範囲内であるか否かを判断する(ステップS10、S11)。ステップS10、S11で、ΔTがΔT2minからΔT2maxの範囲内でない場合には、検出されたエッジEGはノイズ等であると判断して、ステップS2へ戻る。一方、ΔTがΔT2minからΔT2maxの範囲内である場合には、75bpiビット数を初期化して、初期化された回数N1をRAM18に記憶するとともに、210bpiビット数に1を加えた回数N2+1を新たな回数N2として回数N2を更新し、更新後の回数N2をRAM18に記憶する(ステップS12)。
【0076】
その後、CPU17は、ステップS12で記憶された回数N2が規定数N2maxであるか否かを判断する(ステップS13)。すなわち、ステップS13では、CPU17は、ΔTが所定回数連続して、ΔT2min〜ΔT2maxの範囲にあったか否かを判断する。ステップS13で、回数N2が規定数N2maxでない場合には、ステップS3に戻る。一方、ステップS12で、回数N2が規定数N2maxである場合には、CPU17は、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiであると判別して(ステップS14)、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度の判別を終了する。なお、規定数N2maxは、たとえば、4である。
【0077】
本形態では、ステップS1〜S14は、同期用データの磁気ヘッド3での読取結果に基づいて生成される復調用信号SG1、SG2に基づいて、磁気ヘッド3が当接した磁気ストライプ2cまたは磁気ストライプ2dに記録された磁気データの記録密度が、2個の磁気ストライプ2c、2dのうちの磁気ヘッド3で読み取られるべき磁気ストライプ2cに記録される磁気データの記録密度であるのか、または、磁気ヘッド3で読み取られるべき磁気ストライプ2cに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプ2dに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別する記録密度判別ステップである。
【0078】
(磁気データ復号時の概略制御)
図5は、図1に示すカードリーダ1における磁気データ復号時の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【0079】
カードリーダ1では、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度の判別が終わると、以下のように、磁気データを復号する。すなわち、まず、CPU17は、記録密度の判別時に、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiであると判別されたか否かを判断する(ステップS21)。
【0080】
ステップS21において、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiではなく、75bpiであると判断された場合には、カード2が正しい向きで挿入されたと判断できるため、CPU17は、第1トラック2eに記録された磁気データ(すなわち、第1チャンネル3aで読み取った磁気データ)を復調、復号して、RAM18に記憶する(ステップS22)。なお、ステップS21で、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiおよび75bpi以外の記録密度であった場合や、第2チャンネル3bで磁気データが読み取れなかった場合にもステップS22へ進む。
【0081】
また、CPU17は、ステップS22で生成された復号データが適切なデータであるか否か(復号結果がOKであるか否か)を判断する(ステップS23)。ステップS23で、復号データが適切なデータである場合(復号結果がOKの場合)には、CPU17は、磁気ストライプ2cの第1トラック2e部分は正常であると判断して、磁気ストライプ正常情報をRAM18に記憶するとともに、復号された適切な復号データをRAM18に記憶する(ステップS24)。すなわち、ステップS24では、CPU17は、RAM18のデータ復号結果部R1に磁気ストライプ正常情報を記憶するとともに、復号された適切な復号データをRAM18の復号データ格納部D1に記憶する。
【0082】
一方、ステップS23で、復号データが適切なデータでない場合(復号結果がNGの場合)には、CPU17は、磁気ストライプ2cの第1トラック2e部分に異常があると判断して、磁気ストライプ異常情報をRAM18に記憶するとともに、適切に復号できたところまでの復号データをRAM18に記憶する(ステップS25)。すなわち、ステップS25では、CPU17は、データ復号結果部R1に磁気ストライプ異常情報を記憶するとともに、適切に復号できたところまでの復号データを復号データ格納部D1に記憶する。
【0083】
その後、CPU17は、第2トラック2fに記録された磁気データ(すなわち、第2チャンネル3bで読み取った磁気データ)を復調、復号して、RAM18に記憶する(ステップS26)。また、CPU17は、ステップS26で生成された復号データが適切なデータであるか否か(復号結果がOKであるか否か)を判断する(ステップS27)。
【0084】
ステップS27で、復号データが適切なデータである場合(復号結果がOKの場合)には、CPU17は、磁気ストライプ2cの第2トラック2f部分は正常であると判断して、磁気ストライプ正常情報をRAM18に記憶するとともに、復号された適切な復号データをRAM18に記憶する(ステップS28)。すなわち、ステップS28では、CPU17は、RAM18のデータ復号結果部R2に磁気ストライプ正常情報を記憶するとともに、復号された適切な復号データをRAM18の復号データ格納部D2に記憶する。
【0085】
一方、ステップS27で、復号データが適切なデータでない場合(復号結果がNGの場合)には、CPU17は、磁気ストライプ2cの第2トラック2f部分に異常があると判断して、磁気ストライプ異常情報をRAM18に記憶するとともに、適切に復号できたところまでの復号データをRAM18に記憶する(ステップS29)。すなわち、ステップS29では、CPU17は、データ復号結果部R2に磁気ストライプ異常情報を記憶するとともに、適切に復号できたところまでの復号データを復号データ格納部D2に記憶する。
【0086】
その後、CPU17は、表面側トラック2hに記録された磁気データ(すなわち、磁気ヘッド4の第3チャンネルで読み取った磁気データ)を復調、復号して、RAM18に記憶する(ステップS30)。また、CPU17は、ステップS30で生成された復号データが適切なデータであるか否か(復号結果がOKであるか否か)を判断する(ステップS31)。
【0087】
ステップS31で、復号データが適切なデータである場合(復号結果がOKの場合)には、CPU17は、磁気ストライプ2dの表面側トラック2h部分は正常であると判断して、磁気ストライプ正常情報をRAM18に記憶するとともに、復号された適切な復号データをRAM18に記憶する(ステップS32)。すなわち、ステップS32では、CPU17は、RAM18のデータ復号結果部R3に磁気ストライプ正常情報を記憶するとともに、復号された適切な復号データをRAM18の復号データ格納部D3に記憶する。
【0088】
一方、ステップS31で、復号データが適切なデータでない場合(復号結果がNGの場合)には、CPU17は、磁気ストライプ2dの表側トラック2h部分に異常があると判断して、磁気ストライプ異常情報をRAM18に記憶するとともに、適切に復号できたところまでの復号データをRAM18に記憶する(ステップS33)。すなわち、ステップS33では、CPU17は、データ復号結果部R3に磁気ストライプ異常情報を記憶するとともに、適切に復号できたところまでの復号データを復号データ格納部D3に記憶する。
【0089】
このように、ステップS21において、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiでないと判断された場合には、データ復号結果部R1〜R3に磁気ストライプ正常情報または磁気ストライプ異常情報が順次、記憶され、また、復号データ格納部D1〜D3には、復号された適切な復号データまたは適切に復号できたところまでの復号データが順次、記憶されて、磁気データの復号が終了する。
【0090】
一方、ステップS21において、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiであると判断された場合には、ユーザのカード操作に問題があり、カード2が正しい向きで挿入されなかったと判断できるため、CPU17は、第1チャンネル3aで読み取った読取データを破棄する(ステップS34)。すなわち、ステップS34では、CPU17は、第1チャンネル3aでの磁気データの読取結果に基づいて生成される復調用信号を破棄して、復調データを生成しない。また、CPU17は、データ復号結果部R1にカード操作異常情報を記憶するとともに、NULLデータで復号データ格納部D1を初期化する(ステップS35)。
【0091】
その後、CPU17は、第2チャンネル3bで読み取った読取データを破棄する(ステップS36)。すなわち、ステップS36では、CPU17は、第2チャンネル3bでの磁気データの読取結果に基づいて生成される復調用信号を破棄して、復調データを生成しない。また、CPU17は、データ復号結果部R2にカード操作異常情報を記憶するとともに、NULLデータで復号データ格納部D2を初期化する(ステップS37)。
【0092】
その後、CPU17は、磁気ヘッド4の第3チャンネルで読み取った読取データを破棄する(ステップS38)。すなわち、ステップS38では、CPU17は、第3チャンネルでの磁気データの読取結果に基づいて生成される復調用信号を破棄して、復調データを生成しない。また、CPU17は、データ復号結果部R3にカード操作異常情報を記憶するとともに、NULLデータで復号データ格納部D3を初期化する(ステップS39)。
【0093】
このように、ステップS21において、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiであると判断された場合には、データ復号結果部R1〜R3にカード操作異常情報が順次、記憶され、また、復号データ格納部D1〜D3は順次、初期化されて、磁気データの復号が終了する。
【0094】
磁気データの復号が終了すると、CPU17は、RAM18のデータ復号結果部R1〜R3に記憶された磁気ストライプ正常情報、磁気ストライプ異常情報またはカード操作異常情報を、磁気ストライプ正常信号、磁気ストライプ異常信号またはカード操作異常信号として、上位制御部21に送信する。また、磁気データの復号が終了すると、CPU17は、RAM18の復号データ格納部D1〜D3に記憶されたデータを上位制御部21に送信する。
【0095】
なお、図5に示すフローでは、ステップS25、S29、S33において、CPU17は、適切に復号できたところまでの復号データを復号データ格納部D1〜D3に記憶しているが、ステップS25、S29、S33において、CPU17は、NULLデータで復号データ格納部D1〜D3を初期化しても良い。
【0096】
本形態では、ステップS22、S26、S30は、磁気ヘッド3が当接した磁気ストライプ2cまたは磁気ストライプ2dに記録された磁気データの記録密度が、2個の磁気ストライプ2c、2dのうちの磁気ヘッド3で読み取られるべき磁気ストライプ2cに記録される磁気データの記録密度である場合に、復号データを生成する復号データ生成ステップであり、ステップS34、S36、S38は、磁気ヘッド3が当接した磁気ストライプ2cまたは磁気ストライプ2dに記録された磁気データの記録密度が、磁気ヘッド3で読み取られるべき磁気ストライプ2cに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプ2dに記録される磁気データの記録密度である場合に、復調データを生成しないデータ処理ステップである。
【0097】
また、本形態では、ステップS23、S27、S31は、復号データ生成ステップであるステップS22、S26、S30で生成された復号データが適切なデータであるか否かを判断する復号データ判断ステップであり、ステップS24、S28、S32は、復号データ判断ステップであるステップS23、S27、S31において復号データが適切なデータであると判断された場合に、磁気ストライプ正常情報をRAM18に記憶する正常情報記憶ステップであり、ステップS25、S29、S33は、ステップS23、S27、S31において復号データが適切なデータでないと判断された場合に、磁気ストライプ異常情報をRAM18に記憶する異常情報記憶ステップである。
【0098】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ステップS1〜S14において、CPU17は、磁気ヘッド3の第2チャンネル3bでの磁気データの読取結果に基づいて生成される復調用信号に基づいて、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が75bpiであるのか、または、210bpiであるのかを判別している。そのため、本形態では、この記録密度の判別結果に基づいて、カード2が正しい向きで挿入されたか否かを判断することができる。すなわち、本形態では、この記録密度の判別結果に基づいて、ユーザのカード操作に問題があったか否かを判断することができる。また、本形態では、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiである場合(すなわち、ユーザのカード操作に問題があった場合)には、CPU17がカード操作異常信号を上位制御部21に送信しているため、カード2の再挿入をユーザに促す表示を上位装置のディスプレイに表示する等の適切な処理を行うことが可能になる。すなわち、本形態では、ユーザのカード操作に問題があっても、カードリーダ1で不適切な処理が行われるのを防止することが可能になる。
【0099】
また、本形態では、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiである場合には、ステップS34、S36、S38において、CPU17は、第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび磁気ヘッド4の第3チャンネルで読み取った読取データを破棄して、復号データを生成しない。すなわち、本形態では、ユーザのカード操作に問題があった場合には、復号データが上位制御部21へ送信されることがない。したがって、本形態では、ユーザのカード操作に問題があって、磁気ヘッド3の第1チャンネル3aで、表面側トラック2hに記録された210bpiの磁気データが読み取られても、不適切な復号データが上位制御部21に送信されるのを防止することができる。その結果、本形態では、カードリーダ1で不適切な処理が行われるのを防止することが可能になる。
【0100】
また、本形態では、CPU17は、データ復号結果部R1〜R3に記憶された磁気ストライプ正常情報、磁気ストライプ異常情報またはカード操作異常情報を、磁気ストライプ正常信号、磁気ストライプ異常信号またはカード操作異常信号として、上位制御部21に送信している。そのため、本形態では、ユーザのカード操作に問題があったのか、それとも、磁気ストライプ2c、2dに異常かあったのかを上位制御部21は判別することができる。したがって、カードリーダ1でより適切な処理を行うことが可能になる。
【0101】
本形態では、ステップS1〜S14において、CPU17は、一定周期で磁気が反転する同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号SG1、SG2に基づいて、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度を判別している。そのため、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度を判別しやすくなる。したがって、本形態では、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度を判別する際のCPU17の処理を簡素化することが可能になり、CPU17の処理時間を短縮することが可能になる。
【0102】
また、本形態では、CPU17は、同期用データの読取結果に基づいて生成される復調用信号SG1、SG2のエッジEG間の時間に基づいて、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度を判別している。そのため、CPU17で、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度を比較的容易にかつ適切に判別することが可能になる。
【0103】
本形態では、CPU17は、復調用信号SG1、SG2のエッジEG間の時間が所定回数連続して所定範囲内にある場合に、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度を特定している。そのため、本形態では、ノイズの影響を抑制して、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度をより適切に判別することが可能になる。
【0104】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0105】
上述した形態では、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiであると判断された場合に、CPU17は、第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび磁気ヘッド4の第3チャンネルで読み取った読取データを破棄して、復号データを生成しない。この他にもたとえば、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiであると判断されたときに、CPU17は、カード2の排出指令信号を駆動回路20へ出力して、磁気ヘッド3、4による磁気データの読取が完了する前に搬送機構5でカード2を排出しても良い。この場合には、磁気ヘッド3の第1チャンネル3aで、表面側トラック2hに記録された210bpiの磁気データが読み取られるのを防止することができ、その結果、不適切な復号データが上位制御部21に送信されるのを防止することができる。したがって、ユーザのカード操作に問題があっても、カードリーダ1で不適切な処理が行われるのを防止することが可能になる。
【0106】
上述した形態では、第2トラック2fに75bpiの磁気データが記録され、表面側トラック2hに210bpiの磁気データが記録されている。この他にもたとえば、第2トラック2fに記録される磁気データの記録密度と、表面側トラック2hに記録される磁気データの記録密度が異なっており、かつ、これらの記録密度を判別することが可能であれば、第2トラック2fに記録される磁気データの記録密度は75bpiでなくても良いし、表面側トラック2hに記録される磁気データの記録密度は210bpiでなくても良い。この場合であっても、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度を判別することで、カード2が正しい向きで挿入されたか否かを判断することが可能になる。
【0107】
上述した形態では、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度を判別することで、カード2が正しい向きで挿入されたか否かを判断している。この他にもたとえば、第1トラック2eに記録される磁気データの記録密度と表面側トラック2hに記録される磁気データの記録密度とが異なっているのであれば、第1チャンネル3aで読み取った磁気データの記録密度を判別することで、カード2が正しい向きで挿入されたか否かを判断しても良い。また、カード2の厚さ方向から見たときに、第1トラック2eと表面側トラック2hとが重ならず、かつ、第2トラック2fと表面側トラック2hとが重なるように、カード2が構成されている場合には、磁気ヘッド4の第3チャンネルで読み取った磁気データの記録密度を判別することで、カード2が正しい向きで挿入されたか否かを判断しても良い。
【0108】
上述した形態では、裏面2aと表面2bとに、2個の磁気ストライプ2c、2dが形成されている。この他にもたとえば、表面2bに磁気ストライプが形成されずに、裏面2aに2個の磁気ストライプが形成されても良い。この場合には、カード2が正しい向きで挿入されたときに磁気ヘッド3が当接する位置と、カード2の表裏の向きが正しい状態でカード2の他端2m側からカード2が挿入されたときに、磁気ヘッド3が当接する位置とのそれぞれに磁気ストライプが形成されており、かつ、2個の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度が異なっていれば、磁気ヘッド3で読み取った磁気データの記録密度を判別することで、カード2が正しい向きで挿入されたか否かを判断することが可能である。同様に、裏面2aに磁気ストライプが形成されずに、表面2bに2個の磁気ストライプが形成されても良い。また、裏面2aに2個の磁気ストライプが形成されるとともに、表面2bに1個の磁気ストライプが形成されても良いし、裏面2aに1個の磁気ストライプが形成されるとともに、表面2bに2個の磁気ストライプが形成されても良い。また、裏面2aと表面2bとのそれぞれに、2個の磁気ストライプが形成されても良い。
【0109】
上述した形態では、第2チャンネル3bで読み取った磁気データの記録密度が210bpiである場合に(すなわち、磁気ヘッド3で読み取られるべき磁気ストライプ2cに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプ2dに記録される磁気データの記録密度である場合に)、CPU17は、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび磁気ヘッド4の第3チャンネルでの磁気データの読取結果に基づいて生成される復調用信号を破棄して、復調データを生成していない。この他にもたとえば、磁気ヘッド3で読み取った磁気データの記録密度が、磁気ヘッド3で読み取られるべき磁気ストライプ2cに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプ2dに記録される磁気データの記録密度であった場合でも、磁気ヘッド3、4で読み取った磁気データの復調が可能であれば、CPU17は、復調データを生成して、RAM18に記憶しても良い。この場合には、上述のステップS34、S36、S38において、CPU17は、RAM18に記憶された復調データを消去して、復号データを生成しない。
【0110】
また、磁気ヘッド3で読み取った磁気データの記録密度が、磁気ヘッド3で読み取られるべき磁気ストライプ2cに記録される磁気データの記録密度ではないが他の磁気ストライプ2dに記録される磁気データの記録密度であった場合に、CPU17は、さらに、復号データを生成して、RAM18に記憶しても良い。この場合には、上述のステップS34、S36、S38において、CPU17は、RAM18に記憶された復号データを消去する。すなわち、この場合には、CPU17は、RAM18に記憶された復号データを上位制御部21に送信せずに消去する。
【0111】
上述した形態では、カードリーダ1は、2個の磁気ヘッド3、4を備えているが、カードリーダ1は、磁気ヘッド4を備えていなくても良い。この場合には、図5に示すフローにおいて、ステップS30〜S33、S38、S39が省略される。
【0112】
上述した形態では、磁気ストライプ2cに、2つのトラックの磁気データが記録されているが、磁気ストライプ2cに記録される磁気データのトラック数は、1つであっても良いし、3つ以上であっても良い。また、上述した形態では、磁気ストライプ2dに、1つのトラックの磁気データが記録されているが、磁気ストライプ2dに記録される磁気データのトラック数は、2つ以上であっても良い。
【0113】
上述した形態では、カードリーダ1は、搬送機構5を備えるカード搬送式のカードリーダであるが、本発明の構成が適用されるカードリーダは、手動式のカードリーダであっても良い。たとえば、本発明の構成が適用されるカードリーダは、いわゆるスワイプ式のカードリーダであっても良いし、いわゆるディップ式のカードリーダであっても良い。
【0114】
上述した形態では、カードリーダ1は、塩化ビニール製のカード2、PET製のカード2あるいは紙製のカード2等を取り扱うためのカード用のカードリーダである。この他にもたとえば、本発明の構成が適用される磁気情報読取装置は、パスポート等の磁気情報記録媒体を取り扱うための磁気情報読取装置であっても良い。
【符号の説明】
【0115】
1 カードリーダ(磁気情報読取装置)
2 カード(磁気情報記録媒体)
2a 裏面
2b 表面
2c、2d 磁気ストライプ
2e 第1トラック
2f 第2トラック
2h 表面側トラック
3、4 磁気ヘッド
3a 第1チャンネル
3b 第2チャンネル
5 搬送機構
6 制御回路
17 CPU(演算回路)
18 RAM(一時記憶回路)
20 駆動回路
EG エッジ
SG1、SG2 復調用信号
S1〜S14 記録密度判別ステップ
S22、S26、S30 復号データ生成ステップ
S23、S27、S31 復号データ判断ステップ
S24、S28、S32 正常情報記憶ステップ
S25、S29、S33 異常情報記憶ステップ
S34、S36、S38 データ処理ステップ
X1 磁気情報記録媒体の挿入方向、磁気情報記録媒体の長手方向
Y 磁気情報記録媒体の短手方向
Z 磁気情報記録媒体の厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の上位装置に搭載されて使用される磁気情報読取装置において、
磁気情報記録媒体に形成される磁気ストライプに記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドで読み取った磁気データを復調し、復号するための制御回路とを備え、
前記制御回路は、前記磁気ヘッドからの出力信号に基づいて生成される磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号に基づいて磁気データを復調し、復号する演算回路と、前記演算回路で復調された復調データおよび前記演算回路で復号された復号データを一時的に記憶可能な一時記憶回路とを備え、
前記磁気情報記録媒体には、複数の前記磁気ストライプが形成され、
前記磁気情報読取装置への前記磁気情報記録媒体の挿入方向における前記磁気ストライプの先端側には、一定周期で磁気が反転する同期用データが記録され、
前記演算回路は、前記磁気ヘッドでの前記同期用データの読取結果に基づいて生成される前記復調用信号に基づいて、前記磁気ヘッドが当接した前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の前記磁気ストライプのうちの前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのか、または、前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別し、かつ、前記磁気ヘッドが当接した前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、前記復調用信号を破棄して復調データを生成しないこと、または、前記一時記憶回路に記憶される復調データを消去して復号データを生成しないこと、あるいは、前記一時記憶回路に記憶される復号データを前記上位装置に送信せずに消去することを特徴とする磁気情報読取装置。
【請求項2】
所定の上位装置に搭載されて使用される磁気情報読取装置において、
磁気情報記録媒体に形成される磁気ストライプに記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドで読み取った磁気データを復調し、復号するための制御回路とを備え、
前記制御回路は、前記磁気ヘッドからの出力信号に基づいて生成される磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号に基づいて磁気データを復調し、復号する演算回路と、前記演算回路で復調された復調データおよび前記演算回路で復号された復号データを一時的に記憶可能な一時記憶回路とを備え、
前記磁気情報記録媒体には、複数の前記磁気ストライプが形成され、
前記磁気情報読取装置への前記磁気情報記録媒体の挿入方向における前記磁気ストライプの先端側には、一定周期で磁気が反転する同期用データが記録され、
前記演算回路は、前記磁気ヘッドでの前記同期用データの読取結果に基づいて生成される前記復調用信号に基づいて、前記磁気ヘッドが当接した前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の前記磁気ストライプのうちの前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのか、または、前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別し、かつ、前記磁気ヘッドが当接した前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、復号された復号データが適切なデータであるか否かを判断するとともに、復号データが適切なデータでない場合に、磁気ストライプ異常信号を前記上位装置に送信することを特徴とする磁気情報読取装置。
【請求項3】
磁気情報記録媒体に形成される磁気ストライプに記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッドと、前記磁気情報記録媒体を搬送するための搬送機構と、前記磁気ヘッドで読み取った磁気データを復調し、復号するための制御回路とを備え、
前記制御回路は、前記磁気ヘッドからの出力信号に基づいて生成される磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号に基づいて磁気データを復調し、復号する演算回路と、前記搬送機構を駆動するための駆動回路とを備え、
前記磁気情報記録媒体には、複数の前記磁気ストライプが形成され、
前記磁気情報記録媒体の挿入方向における前記磁気ストライプの先端側には、一定周期で磁気が反転する同期用データが記録され、
前記演算回路は、前記磁気ヘッドでの前記同期用データの読取結果に基づいて生成される前記復調用信号に基づいて、前記磁気ヘッドが当接した前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の前記磁気ストライプのうちの前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのか、または、前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別し、かつ、前記磁気ヘッドが当接した前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、前記磁気情報記録媒体の排出指令信号を前記駆動回路へ出力することを特徴とする磁気情報読取装置。
【請求項4】
前記演算回路は、前記同期用データの読取結果に基づいて生成される前記復調用信号の複数のエッジ間の時間に基づいて、前記磁気ヘッドが当接した前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を判別することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の磁気情報読取装置。
【請求項5】
前記演算回路は、前記復調用信号の複数のエッジ間の時間が所定回数連続して所定範囲内にある場合に、前記磁気ヘッドが当接した前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を特定することを特徴とする請求項4記載の磁気情報読取装置。
【請求項6】
前記磁気情報記録媒体の表面と裏面とのそれぞれに前記磁気ストライプが形成され、
前記磁気ストライプは、前記磁気情報記録媒体の挿入方向に略平行な前記磁気情報記録媒体の長手方向に沿って形成され、
前記磁気情報記録媒体の裏面に形成される前記磁気ストライプには、第1トラックおよび第2トラックの2つのトラックの磁気データが記録され、
前記第1トラックには、210bpi(bit per inch)の磁気データが記録され、前記第2トラックには、75bpiの磁気データが記録され、
前記第1トラックおよび前記第2トラックは、前記磁気情報記録媒体の長手方向に略直交する前記磁気情報記録媒体の短手方向において隣り合うように配置され、
前記磁気情報記録媒体の表面に形成される前記磁気ストライプには、表面側トラックの1つのトラックの磁気データが記録され、
前記表面側トラックには、210bpiの磁気データが記録され、
前記磁気情報記録媒体の長手方向と前記磁気情報記録媒体の短手方向とに略直交する前記磁気情報記録媒体の厚さ方向から見たときに、前記表面側トラックが前記第1トラックおよび前記第2トラックに重なっていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の磁気情報読取装置。
【請求項7】
前記第1トラックの磁気データを読み取るための第1チャンネルと前記第2トラックの磁気データを読み取るための第2チャンネルとを有する前記磁気ヘッドを備え、
前記演算回路は、前記第2チャンネルでの前記同期用データの読取結果に基づいて生成される前記復調用信号に基づいて、前記第2チャンネルで読み取った前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度が75bpiであるのか、または、210bpiであるのかを判別することを特徴とする請求項6記載の磁気情報読取装置。
【請求項8】
複数の磁気ストライプが形成される磁気情報記録媒体の前記磁気ストライプに記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドからの出力信号に基づいて生成される磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号に基づいて復調された復調データおよび復調データに基づいて復号された復号データを一時的に記憶可能な一時記憶回路とを備え、所定の上位装置に搭載されて使用される磁気情報読取装置の制御方法であって、
前記磁気情報読取装置への前記磁気情報記録媒体の挿入方向における前記磁気ストライプの先端側に一定周期で磁気が反転するように記録される同期用データの前記磁気ヘッドでの読取結果に基づいて生成される前記復調用信号に基づいて、前記磁気ヘッドが当接した前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の前記磁気ストライプのうちの前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるか、または、前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別する記録密度判別ステップと、
前記磁気ヘッドが当接した前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、前記復調用信号を破棄して復調データを生成しない、または、前記一時記憶回路に記憶される復調データを消去する、あるいは、前記一時記憶回路に記憶される復号データを前記上位装置に送信せずに消去するデータ処理ステップとを備えることを特徴とする磁気情報読取装置の制御方法。
【請求項9】
複数の磁気ストライプが形成される磁気情報記録媒体の前記磁気ストライプに記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドからの出力信号に基づいて生成される磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号に基づいて復調された復調データおよび復調データに基づいて復号された復号データを一時的に記憶可能な一時記憶回路とを備える磁気情報読取装置の制御方法であって、
前記磁気情報読取装置への前記磁気情報記録媒体の挿入方向における前記磁気ストライプの先端側に一定周期で磁気が反転するように記録される同期用データの前記磁気ヘッドでの読取結果に基づいて生成される前記復調用信号に基づいて、前記磁気ヘッドが当接した前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の前記磁気ストライプのうちの前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるか、または、前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別する記録密度判別ステップと、
前記磁気ヘッドが当接した前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、復号データを生成する復号データ生成ステップと、
前記復号データ生成ステップで生成された復号データが適切なデータであるか否かを判断する復号データ判断ステップと、
前記復号データ判断ステップにおいて復号データが適切なデータであると判断された場合に、磁気ストライプ正常情報を前記一時記憶回路に記憶する正常情報記憶ステップと、
前記復号データ判断ステップにおいて復号データが適切なデータでないと判断された場合に、磁気ストライプ異常情報を前記一時記憶回路に記憶する異常情報記憶ステップとを備えることを特徴とする磁気情報読取装置の制御方法。
【請求項10】
複数の磁気ストライプが形成される磁気情報記録媒体の前記磁気ストライプに記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッドと、前記磁気情報記録媒体を搬送するための搬送機構とを備える磁気情報読取装置の制御方法であって、
前記磁気情報記録媒体の挿入方向における前記磁気ストライプの先端側に一定周期で磁気が反転するように記録される同期用データの前記磁気ヘッドでの読取結果に基づいて生成される前記復調用信号に基づいて、前記磁気ヘッドが当接した前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、複数の前記磁気ストライプのうちの前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるか、または、前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度であるのかを判別する記録密度判別ステップと、
前記磁気ヘッドが当接した前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度が、前記磁気ヘッドで読み取られるべき前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度ではないが他の前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度である場合に、前記搬送機構で前記磁気情報記録媒体を排出する媒体排出ステップとを備えることを特徴とする磁気情報読取装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−165234(P2011−165234A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23641(P2010−23641)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】