説明

磁気記録媒体、磁気記録再生装置、スタンパ、スタンパの製造方法及び磁気記録媒体の製造方法

【課題】記録層が凹凸パターンで形成された生産効率が良い磁気記録媒体、該磁気記録媒体を備える磁気記録再生装置、該磁気記録媒体を製造するためのスタンパ、該スタンパの製造方法及び磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】記録層22はサーボ領域の部分の一部が、0及び1の情報のいずれか一方を記録するための升目状の領域が凹部を構成する凹部単位領域CUであり他方の情報を記録するための升目状の領域が凸部を構成する凸部単位領域PUである基本的サーボ凹凸パターンに対して該基本的サーボ凹凸パターンの凹部及び凸部のいずれか一方の少なくとも一部を径方向Drに分割してなる変則的サーボ凹凸パターンで形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録層のサーボ領域の部分が凹凸パターンで形成された磁気記録媒体、該磁気記録媒体を備える磁気記録再生装置、該磁気記録媒体を製造するためのスタンパ、該スタンパの製造方法及び磁気記録媒体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録媒体は、複数のデータ領域と複数のサーボ領域とに区分けされ、サーボ領域にヘッドの位置決め等のためのサーボ情報が記録されて用いられる。各サーボ領域は複数の升目状の領域に区分けされ、サーボ情報は、これら升目状の各領域に0及び1のいずれかの情報が所定の規則で記録層に二値的に記録された構成である。サーボ情報は具体的には、クロックの同期のためのプリアンブル部、サーボデータの開始を示すSAM部、トラック番号を示すトラックアドレス信号部、セクタ番号を示すセクタアドレス信号部、磁気ヘッドのトラッキングのためのバースト信号部等で構成される。このようなサーボ情報は通常サーボ・トラック・ライティング方式で磁気記録媒体に記録される。サーボ情報の記録工程は磁気記録媒体毎にサーボ領域中の升目状の各領域を順次磁化させていくものであり、生産性が低いという問題があった。特に近年、面記録密度の向上及びこれに伴うヘッドの浮上高さの低下のため、サーボ情報についても高密度で、高精度な記録が要求されるようになっており、サーボ情報の記録の効率改善に対するニーズが高まっている。
【0003】
これに対し、記録層のサーボ領域の部分を、0及び1のいずれか一方の情報を記録するための升目状の領域が凹部を構成する凹部単位領域であり他方の情報を記録するための升目状の領域が凸部を構成する凸部単位領域であるサーボ凹凸パターンで形成することが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。このように記録層のサーボ領域の部分がサーボ凹凸パターンで形成された磁気記録媒体は、一様に直流磁場が印加されることによりサーボ情報のパターンどおりに磁化されるので、サーボ情報の記録効率の大幅な向上が可能である。
【0004】
尚、ハードディスク等の磁気記録媒体は、記録層を構成する磁性粒子の微細化、材料の変更、ヘッド加工の微細化等の改良により著しい面記録密度の向上が図られており、今後も一層の面記録密度の向上が期待されているが、磁気ヘッドの加工限界、磁気ヘッドの記録磁界の広がりに起因する記録対象のトラックに隣り合う他のトラックへの誤った情報の記録、再生時のクロストークなどの問題が顕在化し、これら従来の改良手法による面記録密度の向上は限界にきており、一層の面記録密度の向上を実現可能である磁気記録媒体の候補として、記録層がデータ領域において凹凸パターンで形成され、記録要素が凹凸パターンの凸部として形成されたディスクリートトラック媒体や、パターンド媒体が提案されている。このようなディスクリートトラック媒体や、パターンド媒体を製造する場合、記録層のデータ領域の部分を凹凸パターンに加工する工程があり、この工程において同時に記録層のサーボ領域の部分も凹凸パターンに加工できるので、生産効率という点で特に好都合である。
【0005】
記録層を凹凸パターンに加工する手法としては、半導体製品等の製造分野において用いられるような、被加工層の上にレジスト材料の樹脂層を形成し、この樹脂層をリソグラフィと称される露光及び現像を利用した手法で凹凸パターンに加工し、この凹凸パターンの樹脂層をマスクとして被加工層をエッチングして凹凸パターンに加工する手法を利用しうる。上記のようなサーボ凹凸パターンは、幅が数百nm以下の凹部又は凸部を含む微細な凹凸パターンであり、このような微細な凹凸パターンに樹脂層を加工する場合、露光に用いる光の波長の影響が無視できなくなるため、露光のために電子線を用いることが好ましい。
【0006】
しかしながら、電子線を用いて各製品毎に露光(描画)を行う手法は生産効率が低いという問題がある。
【0007】
これに対し、スタンパを樹脂層に当接させて樹脂層を凹凸パターンに加工するインプリントと称される手法が知られている(例えば、特許文献3参照)。尚、スタンパを当接させて凹凸パターンを転写しただけでは凹部底部に樹脂層が残存し、被加工層は露出しないが、凹部底部の樹脂層を除去する程度に樹脂層を一様にエッチングすることで凹部底部から被加工層を露出させることができ、転写で形成される凹凸の段差の分だけ樹脂層を凸部として残存させ、マスクとして用いることができる。
【0008】
このようにリソグラフィやインプリントの手法を利用して記録層をサーボ情報やトラックの形状に相当する凹凸パターンに加工することが期待されている。尚、記録層を凹凸パターンに加工する場合、記録層の上に直接樹脂層を形成してもよいが、記録層の材質やエッチングの種類等の事情により、記録層と樹脂層との間に一又は複数のマスク層を形成し、これらを順次エッチングして記録層を凹凸パターンに加工する手法も提案されている。
【0009】
【特許文献1】特開平6―195907号公報
【特許文献2】特開平9―259426号公報
【特許文献3】特開2003―100609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、実際には上記のような手法で記録層のサーボ領域の部分を微細なサーボ凹凸パターンに正確に加工することは困難であった。
【0011】
例えば、リソグラフィで樹脂層を微細で複雑なサーボ凹凸パターンに正確に加工することは困難であった。特にトラックアドレス信号部は複雑なパターンであり、トラックアドレス信号部に相当する凹凸パターンに樹脂層を正確に加工することは困難であった。従って、樹脂層の下のマスク層や記録層を所望のサーボ凹凸パターンに加工できないことがあった。
【0012】
一方、インプリントの場合も、スタンパを作製するためにリソグラフィの手法を用いるため、微細で複雑なサーボ凹凸パターンに相当する凹凸パターンの転写面を有するスタンパを充分な精度で作製することは困難であった。又、転写面に充分な精度で凹凸パターンが形成されたスタンパを作製できたとしても、スタンパの凹凸パターンのとおりに樹脂層を正確に加工できないこともあった。
【0013】
更に、樹脂層を所望の凹凸パターンのとおりに加工できたとしても、樹脂層をマスクとして被加工層をエッチングする際に樹脂層の凹凸パターンが被加工層に正確に反映されないことがあった。
【0014】
即ち、記録層をサーボ凹凸パターンに加工することでサーボ情報の記録効率を著しく向上させることができるものの、記録層をサーボ凹凸パターンに高精度で加工することが困難であり、磁気記録媒体の全体的な生産効率を充分に向上させることは困難であった。
【0015】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであって、記録層が凹凸パターンで形成された生産効率が良い磁気記録媒体、該磁気記録媒体を備える磁気記録再生装置、該磁気記録媒体を製造するためのスタンパ、該スタンパの製造方法及び磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、記録層のサーボ領域の部分の少なくとも一部が、0及び1の情報のいずれか一方を記録するための升目状の領域が凹部を構成する凹部単位領域であり他方の情報を記録するための升目状の領域が凸部を構成する凸部単位領域である基本的サーボ凹凸パターンに対して該基本的サーボ凹凸パターンの凹部及び凸部のいずれか一方の少なくとも一部を径方向に分割してなる変則的サーボ凹凸パターンで形成された磁気記録媒体により上記目的を達成するものである。
【0017】
又、本発明は、記録層のサーボ領域の部分の少なくとも一部が、前記基本的サーボ凹凸パターンに対して凹部と凸部との境界の角部のうち少なくとも一部の角部が該角部に相当する前記基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である変則的サーボ凹凸パターンで形成された磁気記録媒体により上記目的を達成するものである。
【0018】
本発明に想到する過程で発明者らは、微細で複雑な凹凸パターンを高精度で形成することが困難である理由を鋭意検討したところ、以下のような幾つかの要因が加工精度を低下させている可能性が高いという見識を得た。
【0019】
リソグラフィで樹脂層を微細で複雑な凹凸パターンに加工する場合、露光のドーズ量を適正な値に調整することが重要があるが、複雑な凹凸パターンに含まれる様々な幅の凹部又は凸部のうちの一部に適正である値にドーズ量を調整すると、他の部分に対してはドーズ量が過大であったり不十分な場合があり、樹脂層を所望の凹凸パターンに正確に加工できないことがあると考えられる。
【0020】
又、インプリントで樹脂層を凹凸パターンに加工する場合、様々な幅の凹部が凹凸パターンに含まれていると、インプリント後、凹部の幅の広さによって凹部の底部に残存する樹脂の厚さにばらつきが生じ、凹部の幅が過度に広いと、他の凹部よりも樹脂が底部に厚く残存する傾向がある。その原因は、概ね次のように考えられる。
【0021】
スタンパを樹脂層に当接させると、スタンパの凸部によって押し出される樹脂は隣接するスタンパの凹部に流動する。樹脂層の凹部の幅が過度に広く、対応するスタンパの凸部の幅が過度に広いと、これに押し出される樹脂が流動しにくくなるため、樹脂層の凹凸のうち、幅が過度に広い凹部の底部に樹脂が厚く残存すると考えられる。又、樹脂層の凹部の幅が過度に広くスタンパの凸部の幅が過度に広いと、スタンパの凸部が当接する部分に作用する圧力が小さくなり、樹脂が充分に塑性変形できないとも考えられる。このため、樹脂層の全領域に所望の段差を形成できないことがあると考えられる。
【0022】
インプリント後、樹脂層を一様にエッチングして凹部の底部の樹脂層を除去する際、凹部の側面の樹脂も除去され凹部の幅が若干拡大するが、このように凹部の底部に残存する樹脂の厚さに差があると、凹部の幅が拡大する度合いに差が生じ、一部の凹部の幅が過度に拡大すると考えられる。より詳細に説明すると、底部の樹脂が完全に除去されると、凹部の側面の樹脂が除去される速度が速くなる傾向があり、幅が過度に広く底部の樹脂が厚い凹部では底部の樹脂が比較的遅れて除去されるのに対し、他の凹部では、底部の樹脂層が比較的早く除去され、側面の樹脂が除去される速度が速くなるので、幅が過度に拡大することがあると考えられる。従って、樹脂層を所望の凹凸パターンに正確に加工できないことがあると考えられる。
【0023】
又、樹脂層をマスクとして被加工層をエッチングする工程においては、樹脂層も部分的に除去され、図17中に示されるように、樹脂層の凸部における、隣接する凹部に対し(表面に垂直な方向から見た平面視において)凸である凸部の角部100Aは除去されやすい一方、隣接する凸部に対し凸である凹部の角部100Bに相当する部分は除去されにくく、いずれの部分も丸みを帯びた形状に加工されやすい。従って、その下の被加工層の凸部も丸みを帯びた形状に加工されやすく、被加工層を所望の凹凸パターンに加工できないことがあると考えられる。尚、図17においてハッチングが施された部分が凸部であり、その他の部分が凹部である。
【0024】
これに対し、発明者らは更に鋭意検討を重ねた結果、記録層のサーボ領域の部分が、基本的サーボ凹凸パターンの凹部及び凸部のいずれか一方の少なくとも一部を径方向に分割してなる変則的サーボ凹凸パターンで形成された磁気記録媒体は、記録層のサーボ領域の部分が基本的サーボ凹凸パターンで形成された磁気記録媒体と同様にサーボ情報が良好に再生されることを見出した。これは、磁気ヘッドが主として磁気記録媒体の周方向に相対的に飛行するので、記録層のサーボ領域の凹部や凸部が径方向に分割されていてもサーボ情報の再生に与える影響が小さいためと考えられる。
【0025】
このように基本的凹凸パターンの凹部及び凸部のいずれか一方の少なくとも一部を径方向に分割してなる変則的サーボ凹凸パターンは、凹部又は凸部の幅の広さの範囲が基本的サーボ凹凸パターンよりも限定されるので、リソグラフィの露光のドーズ量を全領域に対して適正な値に近い値に調整でき、樹脂層を変則的サーボ凹凸パターンに相当する凹凸パターンに高精度で加工できる。又、樹脂層の下の被加工層も変則的サーボ凹凸パターンに相当する凹凸パターンに高精度で加工できる。従って、記録層を変則的サーボ凹凸パターンに高精度で容易に加工できる。言い換えれば、加工条件の許容範囲が広く、それだけ生産効率が良い。
【0026】
又、インプリント法により樹脂層を凹凸パターンに加工する場合も、凹部の幅が小さく抑制されることで、全領域において凹部の底部に残存する樹脂の厚さが均一に薄くなる。従って、インプリント後、樹脂層を一様にエッチングして凹部の底部の樹脂層を除去する際、凹部の幅の拡大を防止又は充分に抑制できる。これにより、樹脂層の下の被加工層も所望の変則的凹凸パターンに相当する凹凸パターンに高精度で容易に加工できる。従って、この場合も記録層を変則的サーボ凹凸パターンに高精度で容易に加工でき、生産効率が良い。
【0027】
又、発明者らは、記録層のサーボ領域の部分の少なくとも一部が、基本的サーボ凹凸パターンに対して凹部と凸部との境界の角部のうち少なくとも一部の角部が該角部に相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である変則的サーボ凹凸パターンで形成された磁気記録媒体も、記録層のサーボ領域の部分が基本的サーボ凹凸パターンで形成された磁気記録媒体と同様にサーボ情報が良好に再生されることを見出した。角部が丸みを帯びている場合、この角部が構成する凹部と凸部との境界は、これに相当する基本的サーボ凹凸パターンにおける凹部と凸部との境界に対して形状の差異が顕著となるが、凹部又は凸部の角部が尖鋭である場合、この角部は、これに相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部に対して形状の差異が小さいため、サーボ情報が良好に再生されると考えられる。
【0028】
このように少なくとも一部の角部が該角部に相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である変則的サーボ凹凸パターンは、この変則的サーボ凹凸パターンに相当する凹凸パターンに樹脂層を加工する際や、該樹脂層をマスクとして被加工層をエッチングする際、樹脂層が部分的に除去されても樹脂層の角部はこれに相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部に近い形状に加工され、丸みを帯びにくい。言い換えれば加工条件の許容範囲が広く、それだけ生産効率が良い。
【0029】
即ち、次のような本発明により、上記目的を達成することができる。
【0030】
(1)記録層を有し、複数のデータ領域と複数のサーボ領域とに区分けされ、前記各サーボ領域が更に複数の升目状の領域に区分けされて、これら升目状の各領域に0及び1のいずれかの情報が所定の規則で前記記録層に二値的に記録されて用いられ、該記録層は前記サーボ領域の部分の少なくとも一部が、前記升目状の領域のうち前記0及び1の情報のいずれか一方を記録するための升目状の領域が凹部を構成する凹部単位領域であり他方の情報を記録するための升目状の領域が凸部を構成する凸部単位領域である基本的サーボ凹凸パターンに対して該基本的サーボ凹凸パターンの凹部及び凸部のいずれか一方の少なくとも一部を径方向に分割してなる変則的サーボ凹凸パターンで形成されたことを特徴とする磁気記録媒体。
【0031】
(2) (1)において、前記変則的サーボ凹凸パターンは、前記凹部単位領域のうち前記径方向に連続する少なくとも2つの凹部単位領域の境界近傍に凸部が形成され、該連続する凹部単位領域に前記径方向に分割された凹部が形成された凹凸パターンであることを特徴とする磁気記録媒体。
【0032】
(3) (1)において、前記変則的サーボ凹凸パターンは、前記凸部単位領域のうち前記径方向に連続する少なくとも2つの凸部単位領域の境界近傍に凹部が形成され、該連続する凸部単位領域に前記径方向に分割された凸部が形成された凹凸パターンであることを特徴とする磁気記録媒体。
【0033】
(4) (1)乃至(3)のいずれかにおいて、前記変則的サーボ凹凸パターンは、その凹部と凸部との境界の角部のうち少なくとも一部の角部が該角部に相当する前記基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である凹凸パターンであることを特徴とする磁気記録媒体。
【0034】
(5)記録層を有し、複数のデータ領域と複数のサーボ領域とに区分けされ、前記各サーボ領域が更に複数の升目状の領域に区分けされて、これら升目状の各領域に0及び1のいずれかの情報が所定の規則で前記記録層に二値的に記録されて用いられ、該記録層は前記サーボ領域の部分の少なくとも一部が、前記升目状の領域のうち前記0及び1の情報のいずれか一方を記録するための升目状の領域が凹部を構成する凹部単位領域であり他方の情報を記録するための升目状の領域が凸部を構成する凸部単位領域である基本的サーボ凹凸パターンに対して凹部と凸部との境界の角部のうち少なくとも一部の角部が該角部に相当する前記基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である変則的サーボ凹凸パターンで形成されたことを特徴とする磁気記録媒体。
【0035】
(6)複数のデータ領域と複数のサーボ領域とに区分けされて用いられ、前記サーボ領域の部分がサーボ凹凸パターンで形成された記録層を有し、前記サーボ凹凸パターンの凹部と凸部との境界の角部のうち少なくとも一部の角部は、内角が鋭角で前記境界における該角部が凸である側に突出する突起部を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
【0036】
(7) (1)乃至(6)のいずれかに記載の磁気記録媒体と、該磁気記録媒体の表面に近接してデータの記録/再生を行うための磁気ヘッドと、を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0037】
(8) (1)乃至(6)のいずれかに記載の磁気記録媒体の記録層の凹凸パターンに相当する凹凸パターンの転写面を有することを特徴とするスタンパ。
【0038】
(9)記録層を有し、複数のデータ領域と複数のサーボ領域とに区分けされ、前記各サーボ領域が更に複数の升目状の領域に区分けされて、これら升目状の各領域に0及び1のいずれかの情報が所定の規則で前記記録層に二値的に記録されて用いられ、該記録層の前記サーボ領域の部分が所定のサーボ情報の凹凸パターンで形成された磁気記録媒体を製造するためのスタンパの製造方法であって、樹脂層支持材の上に形成されたレジスト材料の樹脂層における前記サーボ領域の少なくとも一部に相当する部分を、前記升目状の領域のうち前記0及び1の情報のいずれか一方を記録するための升目状の領域に相当する領域が露光単位領域であり他方の情報を記録するための升目状の領域に相当する領域が非露光単位領域である基本的サーボ露光パターンに対して該基本的サーボ露光パターンの露光領域の一部を露光しないで該基本的サーボ露光パターンの露光領域の少なくとも一部を径方向に分割して露光する変則的サーボ露光パターンで露光する露光工程と、前記樹脂層を現像して該樹脂層の露光部及び非露光部のいずれか一方を選択的に除去し、前記変則的サーボ露光パターンに相当する凹凸パターンに加工する現像工程と、を含むことを特徴とするスタンパの製造方法。
【0039】
(10) (9)において、前記変則的サーボ露光パターンは、前記露光単位領域のうち前記径方向に連続する少なくとも2つの露光単位領域の境界近傍を露光しないで該連続する露光単位領域を前記径方向に分割して露光する露光パターンであることを特徴とするスタンパの製造方法。
【0040】
(11)記録層を有し、複数のデータ領域と複数のサーボ領域とに区分けされ、前記各サーボ領域が更に複数の升目状の領域に区分けされて、これら升目状の各領域に0及び1のいずれかの情報が所定の規則で前記記録層に二値的に記録されて用いられる磁気記録媒体の製造方法であって、前記記録層の加工前の形態である連続記録層の上にレジスト材料の樹脂層が直接又は間接的に形成された被加工体の前記樹脂層における前記サーボ領域の少なくとも一部に相当する部分を、前記升目状の領域のうち前記0及び1の情報のいずれか一方を記録するための升目状の領域に相当する領域が露光単位領域であり他方の情報を記録するための升目状の領域に相当する領域が非露光単位領域である基本的サーボ露光パターンに対して該基本的サーボ露光パターンの露光領域の一部を露光しないで該基本的サーボ露光パターンの露光領域の少なくとも一部を径方向に分割して露光する変則的サーボ露光パターンで露光する露光工程と、前記樹脂層を現像して該樹脂層の露光部及び非露光部のいずれか一方を選択的に除去し、前記変則的サーボ露光パターンに相当する凹凸パターンに加工する現像工程と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【0041】
(12) (11)において、前記変則的サーボ露光パターンは、前記露光単位領域のうち前記径方向に連続する少なくとも2つの露光単位領域の境界近傍を露光しないで該連続する露光単位領域を前記径方向に分割して露光する露光パターンであることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【0042】
(13)記録層を有し、複数のデータ領域と複数のサーボ領域とに区分けされ、前記各サーボ領域が更に複数の升目状の領域に区分けされて、これら升目状の各領域に0及び1のいずれかの情報が所定の規則で前記記録層に二値的に記録されて用いられる磁気記録媒体の製造方法であって、前記記録層の加工前の形態である連続記録層の上にレジスト材料の樹脂層が直接又は間接的に形成された被加工体の前記樹脂層にスタンパを当接させて該樹脂層における前記サーボ領域の少なくとも一部に相当する部分を、前記升目状の領域のうち前記0及び1の情報のいずれか一方を記録するための升目状の領域に相当する領域が凹部を構成する凹部単位領域であり他方の情報を記録するための升目状の領域に相当する領域が凸部を構成する凸部単位領域である基本的サーボ凹凸パターンに対して該基本的サーボ凹凸パターンの凹部及び凸部のいずれか一方の少なくとも一部を径方向に分割してなる変則的サーボ凹凸パターンに加工するインプリント工程を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【0043】
(14) (13)において、前記変則的サーボ凹凸パターンは、前記凹部単位領域のうち前記径方向に連続する少なくとも2つの凹部単位領域の境界近傍に凸部が形成され、該連続する凹部単位領域に前記径方向に分割された凹部が形成された凹凸パターンであることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【0044】
尚、本出願において、「0及び1の情報」とは、着磁されることで付与される情報と着磁されないことで付与される情報のように記録層に二値的に記録され、磁気ヘッドにより二値的に識別可能である異なる磁気特性が付与された2種類の情報という意義で用いることとする。
【0045】
又、本出願において、「記録層が凹凸パターンで形成された」とは、記録層が凸部に限定して分割されて形成された場合の他、記録層が凸部の上部と凹部の底部に分割されて形成された場合や、例えば図18に示される記録層102や、図19に示される記録層104のように連続した記録層に凹部及び凸部双方が形成された場合も含む意義で用いることとする。
【0046】
又、本出願において「磁気記録媒体」という用語は、情報の記録、読み取りに磁気のみを用いるハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ等に限定されず、磁気と光を併用するMO(Magneto Optical)等の光磁気記録媒体、磁気と熱を併用する熱アシスト型の記録媒体も含む意義で用いることとする。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、凹凸パターンで形成された記録層を有し生産効率が良い磁気記録媒体を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0049】
図1に示されるように、本発明の第1実施形態に係る磁気記録再生装置10は、磁気記録媒体12と、磁気記録媒体12に対してデータの記録/再生を行うために磁気記録媒体12の表面に近接して浮上可能であるように設置された磁気ヘッド14と、を備え、磁気記録媒体12の構成に特徴を有している。他の構成については、本発明の理解のために特に必要とは思われないため、説明を適宜省略することとする。
【0050】
尚、磁気記録媒体12はチャック16に固定され、該チャック16と共に回転自在とされている。又、磁気ヘッド14は、アーム18の先端近傍に装着され、アーム18はベース20に回動自在に取付けられている。これにより、磁気ヘッド14は磁気記録媒体12の径方向Drに沿う円弧軌道で磁気記録媒体12の表面上で浮上して可動とされている。
【0051】
磁気記録媒体12は、ディスク形状の垂直記録型のディスクリートトラック媒体で、図2及び図3に示されるように複数のデータ領域DAと複数のサーボ領域SAとに区分けされ、各サーボ領域SAが更に複数の升目状の領域に区分けされて、これら升目状の各領域に0及び1の情報が所定の規則で記録層22に二値的に記録されて用いられ、記録層22はサーボ領域SAの部分の一部が、0及び1の情報のいずれか一方を記録するための升目状の領域が凹部を構成する凹部単位領域CUであり他方の情報を記録するための升目状の領域が凸部を構成する凸部単位領域PUである図4及び図5に示されるような基本的サーボ凹凸パターンに対して該基本的サーボ凹凸パターンの凹部を径方向Drに分割してなる図6に示されるような変則的サーボ凹凸パターンで形成されたことを特徴としている。尚、図3〜図6中の符号Dcは磁気記録媒体12の周方向を示す。又、図4及び図5において、ハッチングが施された升目状の領域が凸部単位領域PUであり、その他の升目状の領域が凹部単位領域CUである。又、図6においては、ハッチングが施された部分が凸部であり、他の部分が凹部である。
【0052】
本第1実施形態の変則的サーボ凹凸パターンは、凹部単位領域CUのうち径方向Drに連続する凹部単位領域CUの境界近傍に分割用凸部22Aが形成され、該連続する凹部単位領域CUに径方向Drに分割された凹部が形成された凹凸パターンである。この変則的サーボ凹凸パターンを含む凹凸パターンで構成されるサーボ情報は、図3に示されるように、クロックの同期のためのプリアンブル部26、サーボデータの開始を示すSAM(Servo AdDress Mark)部28、トラック番号を示すトラックアドレス信号部30、セクタ番号を示すセクタアドレス信号部32及びデータ領域DAの各記録要素24(トラック)における磁気ヘッドの位置を検出するためのバースト信号部34で構成されている。図4〜図6は、トラックアドレス信号部20の一部を拡大して示したものである。尚、図3は、サーボ領域SAの記録層22の凸部の形状を便宜上、径方向Drに平行な線形状で示しているが、図6に示されるように、記録層22の凸部は周方向Dcにも幅を有している。
【0053】
又、記録層22は、データ領域DAの部分は同心の円弧形状に分割され、図3に示されるように、トラックを構成する周方向Dcに長い多数の記録要素24が、径方向Drに所定のトラックピッチで凸部として形成されている。
【0054】
この記録層22は、厚さが5〜30nmで、図7に示されるように基板36の上に形成されている。記録層22の材料としては、CoCrPt合金等のCoCr系合金、FePt系合金、これらの積層体、SiO等の酸化物系材料の中にCoPt等の強磁性粒子をマトリックス状に含ませた材料等を用いることができる。又、基板36の材料としては、ガラス、NiPで被覆したAl合金、Si、Al等の充填材料を用いることができる。
【0055】
データ領域DAの記録要素24の間の凹部やサーボ領域SAの記録層22の凸部の間の凹部には充填材38が充填されている。充填材38の材料としては、SiO、Al、TiO、フェライト等の酸化物、AlN等の窒化物、SiC等の炭化物等の非磁性材を用いることができる。
【0056】
記録層22及び充填材38の上には保護層40、潤滑層42がこの順で形成されている。保護層40は、厚さが1〜5nmである。保護層40の材料としては、例えば、ダイヤモンドライクカーボンと呼称される硬質炭素膜等を用いることができる。又、潤滑層42は、厚さが1〜2nmである。潤滑層42の材料としては、PFPE(パーフロロポリエーテル)等のフッ素系潤滑剤を用いることができる。
【0057】
又、基板36と、記録層22と、の間には、反強磁性層44、軟磁性層46、記録層22に厚さ方向(表面に垂直な方向)の磁気異方性を付与するための配向層48が形成されている。反強磁性層44は、厚さが5〜50nmである。反強磁性層44の材料としてはPtMn合金、RuMn合金等を用いることができる。軟磁性層46は、厚さが50〜300nmである。軟磁性層46の材料としては、Fe(鉄)合金、Co(コバルト)アモルファス合金、フェライト等を用いることができる。配向層48は、厚さが2〜40nmである。配向層48の具体的な材料としては、非磁性のCoCr合金、Ti、Ru、RuとTaの積層体、MgO等を用いることができる。
【0058】
次に、磁気記録再生装置10の作用について説明する。
【0059】
磁気記録再生装置10は、磁気記録媒体12の記録層22のサーボ領域SAの部分の一部が、基本的サーボ凹凸パターンに対して該基本的サーボ凹凸パターンの凹部を径方向Drに分割してなる変則的サーボ凹凸パターンで形成され、これに含まれる凹部の幅の広さの範囲が基本的サーボ凹凸パターンよりも限定されるので、後述するように記録層22のサーボ領域SAの部分を、この変則的サーボ凹凸パターンに高精度で容易に加工できる。
【0060】
又、磁気記録媒体12は、記録層22がサーボ領域SAにおいてサーボ情報を反映した凹凸パターンで形成されているので、直流磁場が印加されることでサーボ情報が効率良く確実に記録される。より詳細に説明すると、サーボ領域SAの各凸部が表面に垂直な方向の所定の向きに磁化されることで0及び1のいずれか一方の情報が記録され、各凹部が磁化されないことで他方の情報が記録される。
【0061】
即ち、磁気記録再生装置10は、磁気記録媒体12の製造及び磁気記録媒体12へのサーボ情報の記録が容易であり生産効率が良い。
【0062】
又、磁気記録再生装置10は、磁気記録媒体12の記録層22のサーボ領域SAの部分の一部が、基本的サーボ凹凸パターンの凹部を径方向Drに分割してなる変則的サーボ凹凸パターンで形成されているが、磁気ヘッド14は、記録層のサーボ領域SAの部分が基本的サーボ凹凸パターンで形成された磁気記録媒体と同様にサーボ情報を良好に再生することができる。これは、磁気ヘッド14が主として磁気記録媒体12の周方向Dcに相対的に飛行するので、凹部が径方向Drに分割されていてもサーボ情報の再生に与える影響が小さいためと考えられる。特に、記録層22の変則的サーボ凹凸パターンは、凹部単位領域CUのうち径方向Drに連続する少なくとも2つの凹部単位領域CUの境界近傍に分割用凸部22Aが形成され、該連続する凹部単位領域CUに径方向Drに分割された凹部が形成された凹凸パターンであるので、各凹部単位領域CUとそこに形成された凹部との対応が明確であり、このことがサーボ情報の良好な再生に寄与していると考えられる。
【0063】
次に、図8に示されるフローチャートに沿って磁気記録媒体12の製造方法について説明する。
【0064】
まず、図9に示されるような、磁気記録媒体12の記録層22の凹凸パターンに相当する凹凸パターンの転写面50Aを有するスタンパ50を作製する。具体的には、まずSi、ガラス等の基板(樹脂層支持材)52の上にポジ型のレジスト材料を塗布して樹脂層54を形成し、この樹脂層54に記録層22の凹凸パターンと同じ変則的サーボ凹凸パターンを含む凹凸パターンに相当する露光パターンで電子線等を用いて露光(描画)する(S100)。
【0065】
具体的には、凹部単位領域CUに相当する升目状の領域に相当する領域が露光単位領域であり凸部単位領域PUに相当する升目状の領域に相当する領域が非露光単位領域である基本的サーボ露光パターン(図4、図5参照)に対して該基本的サーボ露光パターンの露光領域の一部を露光しないで該基本的サーボ露光パターンの露光領域を径方向Drに分割して露光する変則的サーボ露光パターン(図6参照)を含む露光パターンで樹脂層54を露光する。更に詳細には、露光単位領域のうち径方向Drに連続する露光単位領域の境界近傍を露光しないで該連続する露光単位領域を径方向Drに分割して露光する変則的露光パターンを含む露光パターンで樹脂層54を露光する。即ち、記録層22の凹凸パターンの凹部に相当する部分を電子線等で露光する。
【0066】
次に、現像により樹脂層54の露光部を除去し、記録層22の凹凸パターンと凹凸位置関係が一致する凹凸パターンに樹脂層54を加工することにより原盤56が得られる(S102)。変則的サーボ凹凸パターンは、基本的サーボ凹凸パターンの凹部を径方向に分割してなる凹凸パターンであり、凹部の幅の広さの範囲が基本的サーボ凹凸パターンよりも限定されるので、露光のドーズ量を全領域に対して適正な値に近い値に調整できる。従って、樹脂層54をこの変則的サーボ凹凸パターンに相当する凹凸パターンを含む所望の凹凸パターンに高精度で容易に加工できる。
【0067】
次に、原盤56の樹脂層54の上に蒸着法、無電解メッキ法等により導電膜(図示省略)を成膜してから導電膜を電極として電解メッキ法によりNi(ニッケル)等の電解メッキ層を形成し、これら導電膜及び電解メッキ層を原盤から一体で剥離することにより、図9及び図10に示されるように、記録層22の凹凸パターンと凹凸位置関係が反対の凹凸パターン(記録層22の凹凸パターンの凹部に対応して形成された凸部と記録層22の凹凸パターンの凸部に対応して形成された凹部とを有する凹凸パターン)の転写面50Aを有するスタンパ50を作製する(S104)。尚、図10において、ハッチングが施された部分が凸部であり、他の部分が凹部である。又、凹部単位領域CU、凸部単位領域PUは記録層22に設定される領域であるが、スタンパ50の凹凸パターンと記録層22の凹凸パターンとの対比のため、図10でも便宜上、記録層22の凹部単位領域CUに相当するスタンパ50の領域を符号CUで示し、記録層22の凸部単位領域PUに相当するスタンパ50の領域を符号PUで示す。
【0068】
次に、基板36の上に反強磁性層44、軟磁性層46、配向層48、(加工前の形態である連続した)記録層22、第1のマスク層58、第2のマスク層60、樹脂層62がこの順で形成された図11に示されるような被加工体64を用意し、インプリントにより樹脂層62にスタンパ50の転写面50Aの凹凸パターンを樹脂層62に転写する(S106)。尚、第1のマスク層58の材料としては例えばC(炭素)を、第2のマスク層60の材料としては例えばNiを用いることができる。又、樹脂層62の材料としてはレジスト材料等を用いることができる。樹脂層62は、図11に示されるように、記録層22の凹凸パターンと凹凸位置関係が一致する凹凸パターンに加工される。変則的サーボ凹凸パターンは、基本的サーボ凹凸パターンの凹部を径方向に分割してなる凹凸パターンであり、これに対応するスタンパ50の転写面50Aの凸部の幅が小さいので、凹部の底部に残存する樹脂層62は全領域において厚さが均一で薄い。
【0069】
尚、図12に示されるように、樹脂層62における凹部の底部を構成する部分を除去する程度に、O又はOガスを用いた反応性イオンエッチングにより樹脂層62を一様にエッチングすることにより、凹部底部に第2のマスク層60を露出させる。凹部の底部に残存する樹脂層62は、全領域において厚さが均一であるので、全領域においてほぼ均一な時間で樹脂層62における凹部の底部を構成する部分を除去でき、凹部の幅のばらつきが生じることを防止又は充分に抑制できる。
【0070】
次に、Arガスを用いたイオンビームエッチングにより、樹脂層62をマスクとして第2のマスク層60をエッチングする(S108)。図13に示されるように、第2のマスク層60は、記録層22の凹凸パターンと凹凸位置関係が一致する凹凸パターンに高精度で加工される。
【0071】
次にSFガスを用いた反応性イオンエッチングにより凹部底部の第1のマスク層58を除去し(S110)、更にArガスを用いたイオンビームエッチングにより凹部底部の記録層22を除去し、記録層22を凹凸パターンに加工する(S112)。記録層22は、前記図6に示されるようなサーボ領域SAの変則的凹凸パターンを含む凹凸パターンに高精度で加工される。
【0072】
次に、バイアススパッタリング法により記録層22の上に充填材38を成膜して凹部を充填し(S114)、更にイオンビームエッチングにより記録層22の表面に対して傾斜した方向からArガスを照射して余剰の充填材38を除去し、表面を平坦化する(S116)。
【0073】
次に、CVD法により記録層22及び充填材38の上面に保護層40を成膜し(S118)、更に、ディッピング法により保護層40の上に潤滑層42を成膜する(S120)。これにより磁気記録媒体12が完成する。
【0074】
このように、磁気記録媒体12は、記録層22のサーボ領域SAの部分が、基本的サーボ凹凸パターンの凹部を径方向に分割してなる変則的サーボ凹凸パターンで形成され、凹部の幅の広さの範囲が基本的サーボ凹凸パターンよりも限定されるので、リソグラフィの露光のドーズ量を全領域に対して適正な値に近い値に調整でき、原盤56の樹脂層54をこの変則的サーボ凹凸パターンに相当する凹凸パターンに高精度で容易に加工できる。従って、スタンパ50を高精度で容易に作製できる。
【0075】
又、インプリントにより被加工体64の樹脂層62にスタンパ50の転写面50Aの凹凸パターンを転写する場合も、サーボ領域SAに相当する部分に転写される、変則的サーボ凹凸パターンに相当する凹凸パターンは基本的サーボ凹凸パターンに対して凹部が径方向Drに分割され、凹部の幅が小さいので、全領域において凹部の底部に残存する樹脂層62の厚さが均一に薄くなり、インプリント後、樹脂層62を一様にエッチングして凹部の底部の樹脂層62を除去する際、凹部の幅の拡大が防止又は充分に抑制される。即ち、樹脂層62は、変則的サーボ凹凸パターンに相当する凹凸パターンを含む凹凸パターンに高精度で容易に加工される。この凹凸パターンの樹脂層62に基いて、第2のマスク層60、第1のマスク層58も順次変則的サーボ凹凸パターンに相当する凹凸パターンを含む凹凸パターンに高精度で容易に加工される。従って、記録層22は変則的サーボ凹凸パターンを含む凹凸パターンに高精度で加工される。
【0076】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0077】
本第2実施形態は、図14に示されるように、記録層70のサーボ領域SAの部分が、0及び1の情報のいずれか一方を記録するための升目状の領域が凹部を構成する凹部単位領域CUであり他方の情報を記録するための升目状の領域が凸部を構成する凸部単位領域PUである前記図4及び図5に示されるような基本的サーボ凹凸パターンに対して凹部と凸部との境界の一部の角部70Aが該角部70Aに相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である変則的サーボ凹凸パターンで形成されたことを特徴としている。他の構成については前記第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0078】
このように凹部と凸部との境界の角部70Aが該角部70Aに相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である変則的サーボ凹凸パターンに記録層70を加工する場合、原盤56の樹脂層54をこの変則的サーボ凹凸パターンに相当する凹凸パターンに加工する際や、被加工体64の樹脂層62をマスクとして第2のマスク層60をエッチングする際、樹脂層54、樹脂層62の凸部が部分的に除去されても角部70Aはこれに相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部に近い形状に加工され、丸みを帯びにくい。言い換えれば、加工条件の許容範囲が広く、それだけ生産効率が良い。
【0079】
又、記録層70のサーボ領域SAの部分が、凹部と凸部との境界の角部70Aが角部70Aに相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である変則的サーボ凹凸パターンで形成された磁気記録媒体は、記録層のサーボ領域SAの部分が基本的サーボ凹凸パターンで形成された磁気記録媒体と同様にサーボ情報が良好に再生される。角部が丸みを帯びている場合は、これに相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部に対して形状の差異が顕著となるが、凹部と凸部との境界の角部が、これに相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である場合は形状の差異が小さいため、サーボ情報が良好に再生されると考えられる。サーボ情報を良好に再生するためには、図14に示される角部70Aのように、凹部と凸部との境界の角部が、内角が鋭角で該境界における該角部が(表面に垂直な方向から見た平面視において)凸である側に突出する突起部を含む変則的サーボ凹凸パターンとすることが好ましい。
【0080】
尚、前記第1実施形態において、記録層22のサーボ領域SAの基本的サーボ凹凸パターンとして図4及び図5に示される基本的サーボ凹凸パターンが例示され、変則的サーボ凹凸パターンとして図6に示される変則的サーボ凹凸パターンが例示されており、又、前記第2実施形態において、変則的サーボ凹凸パターンとして図14に示される変則的サーボ凹凸パターンが例示されているが、記録層の基本的サーボ凹凸パターン及び変則的サーボ凹凸パターンは要求される性能等に応じて適宜決定すればよい。
【0081】
例えば、図3には、プリアンブル部26、SAM部28、トラックアドレス信号部30、セクタアドレス信号部32及びバースト信号部34で構成されたサーボ情報が例示されているが、サーボ情報は要求される性能等に応じて、これらの一部を入れ替えて配置したり、これらの一部を省略した構成、又、これらに他の機能を担う部分を追加した構成としてもよく、記録層の基本的サーボ凹凸パターン及び変則的サーボ凹凸パターンは、このようなサーボ情報に応じて適宜決定すればよい。
【0082】
又、サーボ領域SAを区分けする升目状の領域は内角が直角である正方形や長方形に限定されず、平行四辺形であってもよい。
【0083】
又、前記第1実施形態において、記録層22の変則的サーボ凹凸パターンは、凹部単位領域CUのうち径方向Drに連続する凹部単位領域CUの境界近傍に凸部が形成され、該連続する凹部単位領域CUに径方向Drに分割された凹部が形成された凹凸パターンであるが、磁気ヘッド14が各凹部単位領域CUを凹部として確実に認識できれば、凹部単位領域CUにおける他の部位に凸部が形成されて、基本的サーボ凹凸パターンの凹部が径方向Drに分割された変則的サーボ凹凸パターンとしてもよい。
【0084】
又、前記第1実施形態において、記録層22の変則的サーボ凹凸パターンは、基本的サーボ凹凸パターンの凹部を径方向Drに分割してなる凹凸パターンであるが、基本的サーボ凹凸パターンの凸部を径方向Drに分割してなる変則的サーボ凹凸パターンとしてもよい。前記第1実施形態では、原盤56の樹脂層54の材料としてポジ型のレジスト材料を用い、樹脂層54における記録層22の凹部に相当する部分を露光しているが、このように基本的サーボ凹凸パターンの凸部を径方向Drに分割してなる変則的サーボ凹凸パターンの場合、原盤56の樹脂層54の材料としてネガ型のレジスト材料を用いれば、樹脂層54における記録層22の凸部に相当する部分を露光することになる。従って、樹脂層54の材料としてネガ型のレジスト材料を用いることで露光部の幅の広さの範囲が基本的サーボ凹凸パターンよりも限定されることとなり、露光のドーズ量を全領域に対して適正な値に近い値に調整できる。これにより、原盤を高精度で作製し、記録層をこの変則的サーボ凹凸パターンを含む凹凸パターンに高精度で容易に加工することができる。尚、前記第1実施形態と同様に、原盤56の樹脂層54の材料としてポジ型のレジスト材料を用いて原盤56、スタンパ50を作製し、スタンパ50をメタルマスタ(原盤)としてスタンパ50と凹凸位置関係が反対の凹凸パターンの転写面を有するスタンパを作製し、このスタンパで樹脂層62に基本的サーボ凹凸パターンの凸部を径方向Drに分割してなる変則的サーボ凹凸パターンに相当する凹凸パターンを転写して、該変則的サーボ凹凸パターンに記録層22を加工することも可能である。
【0085】
又、前記第1実施形態の図6において、記録層22の変則的サーボ凹凸パターンは、基本的サーボ凹凸パターンにおける径方向Drに連続する総ての凹部単位領域CUの境界に凸部を形成し、総ての凹部単位領域CUの凹部を径方向Drに分割してなる凹凸パターンであるが、サーボ情報を良好に再生できれば、基本的サーボ凹凸パターンにおける径方向Drに連続する一部の凹部単位領域CUの境界に凸部を形成し、一部の凹部単位領域CUの凹部を径方向Drに分割してなる変則的サーボ凹凸パターンとしてもよい。
【0086】
又、前記第2実施形態の図14において、記録層70の変則的サーボ凹凸パターンは、凹部と凸部との境界の角部のうち、隣接する凹部に対し(表面に垂直な方向から見た平面視において)凸である凸部の角部が該角部に相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である凹凸パターンであるが、隣接する凸部に対し凸である凹部の角部が該角部に相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である変則的サーボ凹凸パターンとしてもよい。
【0087】
又、前記第2実施形態の図14において、記録層70の凹凸パターンは、凹部と凸部との境界の角部のうち、隣接する凹部に対し凸である凸部の角部70Aが、内角が鋭角で前記境界における該角部70Aが凸である側に突出する突起部を含む凹凸パターンであるが、隣接する凸部に対し凸である凹部の角部が、内角が鋭角で前記境界における該角部が凸である側に突出する突起部を含む凹凸パターンとしてもよい。この場合もサーボ情報が良好に再生される。
【0088】
又、前記第2実施形態の図14において、記録層70の変則的サーボ凹凸パターンは、凹部と凸部との境界の角部のうち、隣接する凹部に突出する凸部の総ての角部が該角部に相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である凹凸パターンであるが、凹部と凸部との境界の角部の一部の角部が該角部に相当する凹部単位領域CUと凸部単位領域PUとの境界の角部よりも尖鋭である変則的サーボ凹凸パターンとしてもよい。
【0089】
又、前記第1実施形態において、記録層22の変則的サーボ凹凸パターンは、基本的サーボ凹凸パターンの凹部を径方向Drに分割してなる凹凸パターンであり、前記第2実施形態において、記録層70の変則的サーボ凹凸パターンは、基本的サーボ凹凸パターンに対して凹部と凸部との境界の角部が該角部に相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である凹凸パターンであるが、図15に示される本発明の第3実施形態に係る記録層80のように、基本的サーボ凹凸パターンの凹部又は凸部の一部を径方向Drに分割し、且つ、凹部と凸部との境界の角部の一部が該角部に相当する基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である変則的サーボ凹凸パターンとしてもよい。
【0090】
又、前記第1実施形態の図6、前記第2実施形態の図14及び前記第3実施形態の図15は、記録層22、70、80におけるサーボ領域SAのトラックアドレス信号部30を拡大したものであるが、記録層を変則的凹凸パターンで形成する領域は、サーボ領域SA全体でもよく、トラックアドレス信号部30のように、凹凸パターンが微細で複雑な領域に限定してもよい。
【0091】
又、前記第1実施形態において、被加工体64は、記録層22の上に第1のマスク層58、第2のマスク層60、樹脂層62が形成された構成であり、これらを順次エッチングすることで記録層22が変則的サーボ凹凸パターンを含む凹凸パターンに加工されているが、記録層を変則的サーボ凹凸パターンを含む凹凸パターンに高精度で加工できれば、記録層と樹脂層との間のマスク層の材料、厚さ、積層数は特に限定されず、例えば、記録層と樹脂層との間のマスク層は1層としてもよく、3層以上としてもよい、又、記録層の上に樹脂層を直接形成してもよい。
【0092】
又、前記第1実施形態において、スタンパ50を用いてインプリントにより被加工体64の樹脂層62を凹凸パターンに加工しているが、樹脂層62の材料としてレジスト材料を用い、図16のフローチャートに示される本発明の第4実施形態のように、樹脂層62を露光し(S200)、現像して(S202)凹凸パターンに加工してもよい。この場合も、サーボ領域SAに形成する凹凸パターンを、基本的サーボ凹凸パターンの凹部又は凸部の少なくとも一部を径方向Drに分割してなる変則的サーボ凹凸パターンとすることで、露光のドーズ量を全領域に対して適正な値に近い値に調整し、変則的サーボ凹凸パターンに相当する凹凸パターンを含む所望の凹凸パターンに樹脂層62を高精度で加工できる。
【0093】
前記第1〜第3実施形態において、磁気記録媒体12は、記録層22、70、80の凸部の間の凹部に充填材38が充填されているが、充分に良好な磁気ヘッド14の浮上特性が得られれば、記録層22、70、80の凸部の間の凹部を充填しない構成としてもよい。
【0094】
又、前記第1〜第3実施形態において、磁気記録媒体12は、記録層22、70、80のデータ領域DAの部分が径方向Drに微細な間隔で多数の記録要素24に分割されたディスクリートトラック媒体であるが、記録層のデータ領域DAの部分が径方向Dr及び周方向Dcに微細な間隔で多数の記録要素に分割されたパターンド媒体や、記録層のデータ領域DAの部分が一様な厚さで連続している磁気記録媒体についても本発明は適用可能である。
【0095】
又、前記第1〜第3実施形態において、磁気記録媒体12は垂直記録型であるが、面内記録型の磁気記録媒体についても本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、記録層が凹凸パターンで形成された磁気記録媒体に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1実施形態に係る磁気記録再生装置の概略構造を模式的に示す斜視図
【図2】同磁気記録再生装置の磁気記録媒体の構造を模式的に示す平面図
【図3】同磁気記録媒体のサーボ領域を拡大して模式的に示す平面図
【図4】同サーボ領域の基本的サーボ凹凸パターンのトラックアドレス信号部を拡大して模式的に示す平面図
【図5】図4の一部を更に拡大して模式的に示す平面図
【図6】同磁気記録媒体の記録層の変則的サーボ凹凸パターンのトラックアドレス信号部を拡大して模式的に示す平面図
【図7】同磁気記録媒体の構造を模式的に示す側断面図
【図8】同磁気記録媒体の製造工程の概要を示すフローチャート
【図9】同磁気記録媒体の製造に用いるスタンパの構造及びその作製工程を模式的に示す側断面図
【図10】同スタンパの転写面の凹凸パターンを模式的に示す平面図
【図11】同スタンパによる被加工体の樹脂層へのインプリント工程を模式的に示す側断面図
【図12】凹部底部の樹脂層が除去された同被加工体を模式的に示す側断面図
【図13】第2のマスク層が凹凸パターンに加工された同被加工体を模式的に示す側断面図
【図14】本発明の第2実施形態に係る磁気記録媒体の記録層の変則的サーボ凹凸パターンのトラックアドレス信号部を拡大して模式的に示す平面図
【図15】本発明の第3実施形態に係る磁気記録媒体の記録層の変則的サーボ凹凸パターンのトラックアドレス信号部を拡大して模式的に示す平面図
【図16】本発明の第4実施形態に係る磁気記録媒体の製造工程の概要を示すフローチャート
【図17】本出願における凹部と凸部との境界の角部を説明するための平面図
【図18】本発明の実施形態に係る凹凸パターンで形成された記録層の一例を示す側断面図
【図19】本発明の実施形態に係る凹凸パターンで形成された記録層の他の一例を示す側断面図
【符号の説明】
【0098】
10…磁気記録再生装置
12…磁気記録媒体
14…磁気ヘッド
16…チャック
18…アーム
20…ベース
22、70、80、102、104…記録層
22A…分割用凸部
24…記録要素
26…プリアンブル部
28…SAM部
30…トラックアドレス信号部
32…セクタアドレス信号部
34…バースト信号部
36…基板
38…充填材
40…保護層
42…潤滑層
44…反強磁性層
46…軟磁性層
48…配向層
50…スタンパ
50A…転写面
52…基板(樹脂層支持材)
54…樹脂層
56…原盤
58…第1のマスク層
60…第2のマスク層
62…樹脂層
70A…角部
100A、100B…角部
DA…データ領域
SA…サーボ領域
Dr…径方向
Dc…周方向
CU…凹部単位領域
PU…凸部単位領域
S100、S200…露光工程
S102、S202…現像工程
S104…スタンパ作製工程
S106…樹脂層加工工程
S108…第2のマスク層加工工程
S110…第1のマスク層加工工程
S112…記録層加工工程
S114…充填材成膜工程
S116…平坦化工程
S118…保護層形成工程
S120…潤滑層形成工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録層を有し、複数のデータ領域と複数のサーボ領域とに区分けされ、前記各サーボ領域が更に複数の升目状の領域に区分けされて、これら升目状の各領域に0及び1のいずれかの情報が所定の規則で前記記録層に二値的に記録されて用いられ、該記録層は前記サーボ領域の部分の少なくとも一部が、前記升目状の領域のうち前記0及び1の情報のいずれか一方を記録するための升目状の領域が凹部を構成する凹部単位領域であり他方の情報を記録するための升目状の領域が凸部を構成する凸部単位領域である基本的サーボ凹凸パターンに対して該基本的サーボ凹凸パターンの凹部及び凸部のいずれか一方の少なくとも一部を径方向に分割してなる変則的サーボ凹凸パターンで形成されたことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
請求項1において、
前記変則的サーボ凹凸パターンは、前記凹部単位領域のうち前記径方向に連続する少なくとも2つの凹部単位領域の境界近傍に凸部が形成され、該連続する凹部単位領域に前記径方向に分割された凹部が形成された凹凸パターンであることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項3】
請求項1において、
前記変則的サーボ凹凸パターンは、前記凸部単位領域のうち前記径方向に連続する少なくとも2つの凸部単位領域の境界近傍に凹部が形成され、該連続する凸部単位領域に前記径方向に分割された凸部が形成された凹凸パターンであることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記変則的サーボ凹凸パターンは、その凹部と凸部との境界の角部のうち少なくとも一部の角部が該角部に相当する前記基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である凹凸パターンであることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項5】
記録層を有し、複数のデータ領域と複数のサーボ領域とに区分けされ、前記各サーボ領域が更に複数の升目状の領域に区分けされて、これら升目状の各領域に0及び1のいずれかの情報が所定の規則で前記記録層に二値的に記録されて用いられ、該記録層は前記サーボ領域の部分の少なくとも一部が、前記升目状の領域のうち前記0及び1の情報のいずれか一方を記録するための升目状の領域が凹部を構成する凹部単位領域であり他方の情報を記録するための升目状の領域が凸部を構成する凸部単位領域である基本的サーボ凹凸パターンに対して凹部と凸部との境界の角部のうち少なくとも一部の角部が該角部に相当する前記基本的サーボ凹凸パターンの角部よりも尖鋭である変則的サーボ凹凸パターンで形成されたことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項6】
複数のデータ領域と複数のサーボ領域とに区分けされて用いられ、前記サーボ領域の部分がサーボ凹凸パターンで形成された記録層を有し、前記サーボ凹凸パターンの凹部と凸部との境界の角部のうち少なくとも一部の角部は、内角が鋭角で前記境界における該角部が凸である側に突出する突起部を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気記録媒体と、該磁気記録媒体の表面に近接してデータの記録/再生を行うための磁気ヘッドと、を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気記録媒体の記録層の凹凸パターンに相当する凹凸パターンの転写面を有することを特徴とするスタンパ。
【請求項9】
記録層を有し、複数のデータ領域と複数のサーボ領域とに区分けされ、前記各サーボ領域が更に複数の升目状の領域に区分けされて、これら升目状の各領域に0及び1のいずれかの情報が所定の規則で前記記録層に二値的に記録されて用いられ、該記録層の前記サーボ領域の部分が所定のサーボ情報の凹凸パターンで形成された磁気記録媒体を製造するためのスタンパの製造方法であって、
樹脂層支持材の上に形成されたレジスト材料の樹脂層における前記サーボ領域の少なくとも一部に相当する部分を、前記升目状の領域のうち前記0及び1の情報のいずれか一方を記録するための升目状の領域に相当する領域が露光単位領域であり他方の情報を記録するための升目状の領域に相当する領域が非露光単位領域である基本的サーボ露光パターンに対して該基本的サーボ露光パターンの露光領域の一部を露光しないで該基本的サーボ露光パターンの露光領域の少なくとも一部を径方向に分割して露光する変則的サーボ露光パターンで露光する露光工程と、前記樹脂層を現像して該樹脂層の露光部及び非露光部のいずれか一方を選択的に除去し、前記変則的サーボ露光パターンに相当する凹凸パターンに加工する現像工程と、を含むことを特徴とするスタンパの製造方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記変則的サーボ露光パターンは、前記露光単位領域のうち前記径方向に連続する少なくとも2つの露光単位領域の境界近傍を露光しないで該連続する露光単位領域を前記径方向に分割して露光する露光パターンであることを特徴とするスタンパの製造方法。
【請求項11】
記録層を有し、複数のデータ領域と複数のサーボ領域とに区分けされ、前記各サーボ領域が更に複数の升目状の領域に区分けされて、これら升目状の各領域に0及び1のいずれかの情報が所定の規則で前記記録層に二値的に記録されて用いられる磁気記録媒体の製造方法であって、
前記記録層の加工前の形態である連続記録層の上にレジスト材料の樹脂層が直接又は間接的に形成された被加工体の前記樹脂層における前記サーボ領域の少なくとも一部に相当する部分を、前記升目状の領域のうち前記0及び1の情報のいずれか一方を記録するための升目状の領域に相当する領域が露光単位領域であり他方の情報を記録するための升目状の領域に相当する領域が非露光単位領域である基本的サーボ露光パターンに対して該基本的サーボ露光パターンの露光領域の一部を露光しないで該基本的サーボ露光パターンの露光領域の少なくとも一部を径方向に分割して露光する変則的サーボ露光パターンで露光する露光工程と、前記樹脂層を現像して該樹脂層の露光部及び非露光部のいずれか一方を選択的に除去し、前記変則的サーボ露光パターンに相当する凹凸パターンに加工する現像工程と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記変則的サーボ露光パターンは、前記露光単位領域のうち前記径方向に連続する少なくとも2つの露光単位領域の境界近傍を露光しないで該連続する露光単位領域を前記径方向に分割して露光する露光パターンであることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項13】
記録層を有し、複数のデータ領域と複数のサーボ領域とに区分けされ、前記各サーボ領域が更に複数の升目状の領域に区分けされて、これら升目状の各領域に0及び1のいずれかの情報が所定の規則で前記記録層に二値的に記録されて用いられる磁気記録媒体の製造方法であって、
前記記録層の加工前の形態である連続記録層の上にレジスト材料の樹脂層が直接又は間接的に形成された被加工体の前記樹脂層にスタンパを当接させて該樹脂層における前記サーボ領域の少なくとも一部に相当する部分を、前記升目状の領域のうち前記0及び1の情報のいずれか一方を記録するための升目状の領域に相当する領域が凹部を構成する凹部単位領域であり他方の情報を記録するための升目状の領域に相当する領域が凸部を構成する凸部単位領域である基本的サーボ凹凸パターンに対して該基本的サーボ凹凸パターンの凹部及び凸部のいずれか一方の少なくとも一部を径方向に分割してなる変則的サーボ凹凸パターンに加工するインプリント工程を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記変則的サーボ凹凸パターンは、前記凹部単位領域のうち前記径方向に連続する少なくとも2つの凹部単位領域の境界近傍に凸部が形成され、該連続する凹部単位領域に前記径方向に分割された凹部が形成された凹凸パターンであることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−338738(P2006−338738A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159903(P2005−159903)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】