説明

神経変性疾患におけるCD44スプライスバリアント

核酸によってコードされたリボ核酸(RNA)の発現を調節できる試薬を含む組成物を投与する工程を含む、神経変性疾患を治療または予防する方法が提供され、当該核酸は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、またはそのいずれかの組み合わせのうち少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列を含む群から選択される。ポリペプチドの発現および/または活性を調節できる試薬を含む組成物を投与する工程を含む、神経変性疾患を治療または予防する方法がさらに提供され、当該ポリペプチドの配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、またはそのいずれかの組み合わせの少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列を含む群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮特許出願第60/929,706号(出願日2007年7月10日)の利益を主張し、その開示は参照によって本願明細書に組み込まれる。
【0002】
いくつかの実施態様によれば、発現が、典型的な神経変性疾患(筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびアルツハイマー病(AD)など)と診断された患者から入手した生物学的試料中で上昇しているCD44スプライスバリアントが与えられる。与えられるCD44スプライスバリアントのうち、単一のバリアントエクソンを含むいくつかの変異体は、前述のものではない、新規な変異体である。CD44ポリペプチド、同様のものをコードしているポリヌクレオチド、ならびに、これらに対して作られた抗体およびオリゴヌクレオチドがさらに与えられ、これは神経変性疾患の治療および診断に使用されてもよい。
【背景技術】
【0003】
CD44は、脊椎動物の身体の細胞ごとに実質的に発現されたI型 膜貫通型糖タンパク質である。CD44は細胞表面接着分子であり、これは、様々な工程(細胞輸送、細胞遊走、細胞のホーミング、細胞−細胞相互作用および細胞−基質相互作用など)に関与することが示されてきた。CD44のN−末端は、分子の細胞外のリガンド結合領域を含む。様々なリガンドがCD44と相互作用することが知られる。ヒアルロン酸(HA)は、CD44の主要なリガンドであり(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)、しかし、さらなる細胞外基質(ECM)成分(ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチンおよびコンドロイチン硫酸など(非特許文献4、非特許文献5)、ならびに非ECM成分(粘膜血管のアドレシン、セルグリシン、オステオポンチンおよびクラスII インバリアント鎖)、E−セレクチンおよび、L−セレクチン(非特許文献6および非特許文献7)ならびにアグリカン(非特許文献8)もまた、CD44受容体と相互作用する可能性がある。CD44(および時折ヒアルロン酸)の顕著な蓄積が、集中的な細胞遊走および細胞増殖の領域(癒傷、組織再構築、炎症(自己炎症を含む)、形態形成および発癌など)で検出される。CD44の細胞質側末端の膜近傍の部分は、アクチンリンカー分子のエズリン−ラディキシン−モエシン(ERM)ファミリーのメンバーに結合し、従って、細胞表面結合CD44とアクチン細胞骨格との間の結合を与え(非特許文献9)、従って、CD44依存性細胞運動性の基礎を確立する。
【0004】
種によって、CD44部位は、約20のコーディングエクソン(coding exon)を含む。例えば、ヒト CD44遺伝子は、計19のエクソンを含み、一方、マウス CD44遺伝子は、20のエクソンを含む。CD44のエクソンは、2つのクラス(定常エクソン(constant exon)および可変エクソン(variable exon))に分類することができる。ヒトおよびマウスの両方の定常エクソンは、エクソンC−Cを5’末端に含み、かつ、C−Cを3’末端に含み、CD44のいわゆる定常部をコードする(非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12)。可変エクソンは、分子の中央に位置し、ヒトにおいて9のエクソン(エクソンV−V10)を含み、マウスにおいて10のエクソン(エクソンV−V10)を含む。当該可変エクソンは、CD44の可変部をコードする。細胞で発現された主要な分子種は、CD44の標準的な造血性の形態であり(CD44sまたはCD44Hとも命名される)、これはCD44の最短の形態であり、もっぱら定常エクソンからなるmRNA(メッセンジャーリボ核酸)によってコードされる。mRNAにおける可変エクソンの異なる組み合わせの保持は、無数のCD44スプライスバリアントをもたらす(CD44v、非特許文献13における概説)。しかし、理論上、1,000超の個々のスプライスバリアントは、この方法で産生される可能性があるが、複数のスプライスバリアントが1つの組織または細胞型において同時発現する場合においてさえも、CD44sは、依然として主要なアイソフォームである(例えば、非特許文献14;非特許文献15)。様々な状況および条件下で、CD44のスプライシングの様式は、しばしば変化する(例えば、非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18など)。CD44転写物は、さらなるエクソンを含むものが産生される可能性がある。例えば、スキップされていないエクソンV3、V5、V6およびV7は、活性化リンパ球および腫瘍細胞の転移性変異体によって発現されることが知られる(非特許文献19)。CD44スプライスバリアントの細胞選択は、結合親和性についての主要な決定要因である(非特許文献20、非特許文献21、非特許文献22)。
【0005】
いくつかの病状(自己免疫疾患など)における様々なCD44スプライスバリアントの発現が検討され、このような疾病の診断および治療の両方に対する標的として提案されてきた。CD44の様々な変異領域に対して作られたモノクローナル抗体(mAbs)は、自己免疫疾患の治療のための強力な薬剤として示唆されている。Reberらは、ラット膵臓腺癌のCD44V表面タンパク質の転移特異的な変異体に対して作られたmAbsについて記載している(非特許文献23)。T細胞増殖を阻害する抗CD44モノクローナル抗体はまた、様々な自己免疫疾患の治療のために提供される(非特許文献24)。エクソンv6を含んでいるCD44の変異形態に対して特異的なモノクローナル抗体はまた、リンパ腫の診断に対して有用であるとして報告されている(非特許文献25)。さらに、CD44タンパク質、ペプチドまたは誘導体の投与は、様々な自己免疫疾患の治療に対して使用できることが報告されている(非特許文献26)。CD44の発現はまた、抗腫瘍性および抗炎症性の治療のための公知の標的である。動物実験は、抗体、アンチセンスオリゴおよびCD44可溶性タンパク質によるCD44のターゲティングは、様々な腫瘍の悪性の活性を顕著に減少させることを示した。CD44発現に対して向けられたアンチセンス戦略および様々なオリゴヌクレオチドに基づいた治療が開発されてきており、例えば、特許文献1および特許文献2などに記載されている。
【0006】
CD44、およびそのスプライスバリアントのうちのいくつかが、自己免疫および病原体に誘発された神経障害(例えば、多発性硬化症(MS)およびヒト Tリンパ球向性ウイルス I(HTLV−I)関連性脊髄症/熱帯痙性不全対麻痺症(HAM/TSP)など)に関与するといういくつかのエビデンスがある。実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)のマウス系統の研究は、多発性硬化症の動物モデルとして頻繁に使用されており、CD44が、in vivoで、グリア細胞周辺の炎症病変を引き起こすことを示した(非特許文献27)。CD44V10 スプライスバリアントを発現する単核細胞は、EAEマウスの脊髄で検出された(非特許文献28)。CD44V3−V10 cDNAでワクチン接種された動物は、偽のワクチンを接種された動物または、CD44s cDNAでワクチン接種された動物と比較した場合、明らかに重症度が少ないEAEを発症した(非特許文献29)。CD44sに対する抗体によるin vivoでの治療は、疾病の負担に影響しなかったが、一方、可変部6、7および10(CD44V6、V7およびV10)を含んでいるアイソフォームに対する抗体による併用治療は、疾病の負担をかなり減少させた(非特許文献28)。
【0007】
ヒト Tリンパ球向性ウイルス I(HTLV−I)関連性脊髄症/熱帯痙性不全対麻痺症(HAM/TSP)は、HTLV−I感染によって引き起こされ、血管周囲でHTLV−Iに感染し、かつ、CD4+ T細胞浸潤が活性化された痙性対麻痺および排尿障害によって特徴付けられる。エクソンV6とV10(CD44V6/V10)との間の直接的な結合を含むCD44スプライスバリアントは、HAM/TSPの患者の末梢血液の単核細胞で頻繁に発現することが見出された(非特許文献30)。これらの発見は、V6/V10を含んでいるリンパ球は、疾病の初期段階においてさえも容易にCNSの中に移動できるという推測を導く(非特許文献30)。
【0008】
「典型的な(classic)」神経変性疾患(アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)および筋萎縮性側索硬化症(ALS)など)は、成人で発生し、慢性、進行性および不可逆的な、苛酷に無力化する疾病である。さらに、非自己免疫の神経変性疾患としては、例えば、運動ニューロン疾患(MND)が挙げられる(例えば、原発性側索硬化症(PLS)および脊髄性筋萎縮症(SMA)など、しかしこれらに限定されない)。アルツハイマー病(AD)は、結果としてアミロイドプラークの形成、神経原線維タングル、神経膠症およびニューロンの欠損を伴う、進行性の精神性かつ認知性の痴呆によって特徴付けられる。当該疾病は、臨床経過および病理学的特徴がかなり似ている、遺伝的形態および孤発性の形態の両方で生じる。3つの遺伝子が現在までに同定されてきており、これは、変異した場合、アルツハイマー病の常染色体優性形態の原因となる。これらの遺伝子は、アミロイドタンパク質前駆物質(APP)ならびに2つの構造的かつ機能的に関連したタンパク質、プレセニリン−1(PS1)およびプレセニリン−2(PS2)をコードする。3つのタンパク質のいずれかの変異は、APPのタンパク質分解性の工程を、アミロイドβ ペプチド(Aβ)(アルツハイマー病のアミロイドプラークの主成分である40−42アミノ酸長のペプチド)を産生する細胞内経路を介して亢進する。
【0009】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、各年でALSと診断された100,000人あたり1〜2人が発症する進行性の致死的な神経疾患である。ALSは、随意運動を制御する運動神経細胞が徐々に変性する場合に生じる。これらの運動神経の損失は、これらが弱めて萎縮させるように制御する筋肉に、麻痺および最終的に死をもたらす原因となる。大部分のALSの症例の原因は未知のままであるが、症例の2%は、Cu/Zn スーパーオキシドジスムターゼ遺伝子(SOD1)の変異による。後者については、変異SOD1は、未知の毒性獲得によって、非細胞自律性の運動神経の死滅を引き起こす。運動神経の選択的な脆弱性は、おそらく、いくつかの機構(タンパク質ミスフォールディング、ミトコンドリアの機能障害、酸化障害、欠陥のある軸索輸送、興奮毒性、不十分な増殖因子の情報伝達、および炎症を含む)の組み合わせから生じる。運動神経内の損傷は、非神経性の隣接する細胞によって、疾病進行を促進する炎症性反応を介して被った損傷によって亢進する(非特許文献31、非特許文献32)。
【0010】
パーキンソン病(PD)は、脳の黒質緻密部のドーパミン作動性ニューロンの選択的な変性によって引き起こされる慢性かつ進行性の神経変性疾患である。ニューロンのうち80%が、未知の原因によって、症状が現われる前に死滅する。症状は、肢の間欠的な振戦、平衡障害および運動開始困難を含む。
【0011】
原発性側索硬化症(PLS)は、随意筋の進行性の筋力低下によって特徴付けられる、まれな神経筋疾患である。運動神経疾患として、PLSは、随意筋の運動を制御する神経細胞が変性して死滅し、これらが制御する筋力の低下をもたらした場合に通常発症する。脊髄性筋萎縮症(SMA)は、遺伝的原因、ならびに脊髄および脳幹の運動神経の損失による脆弱性の徴候を共通して有する全ての様々な障害に適用するための用語である。
【0012】
自然免疫系が血液脳関門をわたり、T細胞およびリンパ球の浸潤を通じて、通常の神経細胞成分を標的とする神経性自己免疫疾患(多発性硬化症など)とは異なり、典型的な神経変性疾患では、ニューロンは未知の理由によって死滅する。典型的な神経変性疾患におけるニューロン−グリア相互作用、および炎症工程の役割が示唆されてきた。マクログリア細胞およびミクログリア細胞は、ALSおよびそれぞれの疾病モデルで、多段階の変性工程における役割を有することが示唆されている。アストログリア細胞およびミクログリア細胞の活性化は、疾病の病理発生の早期に生じ、疾病の発生および促進に多大に影響すると思われる(非特許文献33;非特許文献34;非特許文献35)。
【0013】
アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症またはパーキンソン病におけるCD44の特定の変異体の役割についての明確なエビデンスは与えられていない。マウス アストロサイトの初代培養において、CD44の表面発現およびmRNAレベルは、ホルボールエステル(PMA)、または、腫瘍壊死因子 αと、γ インターフェロンのいずれかによる刺激を介して引き起こされ得る。産生されたCD44転写物は、さらなるエクソン(エクソンv6を含む)、およびより大きいサイズの変異体を含む。しかし、このような活性化が、in vivoまたはヒトで、神経変性疾患の経過において生じるかどうかは知られていない(非特許文献27)。CD44sの局在は、対照被験者およびアルツハイマー病の患者の死後のヒト脳組織における免疫組織化学によって検討された。灰白質では、原形質の形態および線維性の形態の両方のいくつかのアストロサイトに関連することが見出された。アルツハイマー病の脳において、CD44陽性のアストロサイトの数は劇的に増加した。CD44は、これらのアストロサイトの工程において重要な接着分子である可能性がある(非特許文献36)。しかし、CD44を発現している細胞が疾病の進行に関与しているか、または、神経変性を防ぐのを補助しているか、については知られていない。これらの疾病において記載されているCD44スプライスバリアントはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6,150,162号明細書
【特許文献2】米国特許第5,990,299号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Miyakeら、J Exp Med 1990、172:69−75
【非特許文献2】Aruffoら、Cell 1990、61:1303−13
【非特許文献3】Peachら、J Cell Biol 1993、122:257−64
【非特許文献4】Jalkanenら、J Cell Biol 1992、116:817−25
【非特許文献5】Faassenら、J Cell Biol 1992、116:521−31
【非特許文献6】Dimitroffら、PNAS 2000、97:13841−6
【非特許文献7】Dimitroffら、J Cell Biol 2001、153:1277−86
【非特許文献8】Fujimotoら、Int Immunol 2001、13:359−66
【非特許文献9】Tsukitaら、J Cell Biol 1994、126:391−401
【非特許文献10】Screatonら、PNAS 1992、89:12160−4
【非特許文献11】Toelgら、Neucleic Acids Res、1993 21:1225−9
【非特許文献12】Screatonら、J Biol Chem 1993、268:12235−8
【非特許文献13】Gunthert、Curr.Top Microbiol Immunol 1993、184:47−63
【非特許文献14】Niら、J.Lab.Clin.Med 2002、139:59−65
【非特許文献15】Bellら MCB 1998、18:5930−41
【非特許文献16】Gunthertら、Cell 1991、65:13−24
【非特許文献17】Heiderら、J Cell Biol 1993、120:227−33
【非特許文献18】Wielengaら、Cancer Res 1993、53:4754−6
【非特許文献19】Naorら、Crit Rev Clin Lab Sci、2002、39:527−79
【非特許文献20】Lesleyら、J Exp Med 1995 182:431−7
【非特許文献21】Stamenkovicら Embo J 1991 10:343−8
【非特許文献22】Van der Voortら、Biochem Biophys Res Commun 1995 214:135−144
【非特許文献23】Reberら Int J Cancer、1990、46:919−27
【非特許文献24】Rothmanら J Immunol.1991 147:2493−9
【非特許文献25】Ristamakiら Blood、1994、84:238−43
【非特許文献26】Haynesら Arthritis Rheum、1991、34:1434−43
【非特許文献27】Haegelら、J Cell Biol.1993、122:1067−77
【非特許文献28】Lamanら、Mult Scler.1998、4:147−53
【非特許文献29】Garinら、J Neurol Sci.2007、258:17−26
【非特許文献30】Matsuokaら、J Neuroimmunol.2000、102:1−7
【非特許文献31】Boilleeら Neuron.2006、52:39−59
【非特許文献32】Peharら、Neurodegener.Dis.2005、2:139−46
【非特許文献33】Di Giorgioら、Nat Neurosci.2007;10:608−614
【非特許文献34】Espositoら Exp Neurol.2007
【非特許文献35】Kimら、Exp Mol Med.2006;38:333−47
【非特許文献36】Akiyamaら、Brain Res.1993、632:249−59
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
下記の実施態様およびその特徴は、系、手段および方法(模範かつ図解を意図したものであり、範囲を制限するものではない)とともに記載され、図示される。様々な実施態様では、1以上の上記の問題が減少し、または除去され、一方他の実施態様は、他の利点または改善に向けられる。
【0017】
いくつかの実施態様によれば、典型的な神経変性疾患(筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびアルツハイマー病(AD)など)と診断された患者から入手した生物学的試料中で発現が上昇しているCD44スプライスバリアントが与えられる。与えられるCD44スプライスバリアントのうち、単一のバリアントエクソンを含むいくつかの変異体は新規な変異体であり、前述のものではない。CD44ポリペプチド、同様のものをコードしているポリヌクレオチド、ならびに、これらに対して作られた抗体およびオリゴヌクレオチドがさらに与えられ、これらは神経変性疾患の治療および診断に使用されてもよい。
【0018】
いくつかの実施態様によれば、患者における神経変性疾患を診断またはモニターする方法が提供され、当該方法は、当該患者の生物学的試料中の核酸の発現レベルを検出する工程を含み、当該核酸は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、またはそのいずれかの組み合わせのうち少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列を含む。
【0019】
さらなる実施態様によれば、配列番号1の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列は、配列番号1の座標1−1212と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標639−822と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標766−822と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号3の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列は、配列番号3の座標1−1215と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標639−825と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標769−825と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号5の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列は、配列番号5の座標1−1218と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標639−828と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標772−828と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号7の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列は、配列番号7の座標1−1290と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標639−900と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標844−900と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0020】
さらなる実施態様によれば、当該神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、原発性側索硬化症(PLS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0021】
さらなる実施態様によれば、当該生物学的試料は、細胞、組織、体液、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0022】
さらなる実施態様によれば、当該核酸の発現レベルは、当該核酸によってコードされるリボ核酸(RNA)の発現レベルの測定によって検出されてもよい。当該方法は、当該核酸によって発現した当該RNAレベルを検出する工程の前に、当該生物学的試料からRNAを単離する工程を含んでいてもよい。
【0023】
さらなる実施態様によれば、当該RNAの発現レベルは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、ノーザンブロット法、リアルタイムPCR、またはそのいずれかの組み合わせによって検出されてもよい。当該RNAの発現レベルは、オリゴヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションによって検出されてもよい。当該オリゴヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)、RNA、相補的なデオキシリボ核酸(cDNA)、ゲノムDNA、合成オリゴヌクレオチド、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0024】
いくつかの実施態様によれば、患者における神経変性疾患を診断またはモニターする方法が提供され、当該方法は、当該患者の生物学的試料中のポリペプチドの発現を検出する工程を含み、当該ポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、またはそのいずれかの組み合わせの少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列を含む群から選択される。
【0025】
さらなる実施態様によれば、配列番号2の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸座標1−403と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標214−274と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標256−274と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号4の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列は、配列番号4のアミノ酸座標1−404と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標214−275と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標257−275と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号6の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列は、配列番号6のアミノ酸座標1−405と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標214−276と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標258−276と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号8の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列は、配列番号8のアミノ酸座標1−429と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標214−300と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標282−300と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0026】
さらなる実施態様によれば、当該神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、原発性側索硬化症(PLS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0027】
さらなる実施態様によれば、当該生物学的試料は、細胞、組織、体液、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0028】
さらなる実施態様によれば、検出する工程は、ポリペプチドと当該ポリペプチドに特異的に結合するように適合された抗体との免疫複合体の検出を含んでいてもよい。免疫複合体の検出は、ウエスタンブロット、免疫組織化学、免疫細胞化学、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。当該抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0029】
いくつかの実施態様によれば、神経変性疾患を治療または予防する方法が提供され、当該方法は、核酸によってコードされたリボ核酸(RNA)の発現を調節できる試薬を含んでいる組成物を投与する工程を含んでいてもよく、当該核酸は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、またはそのいずれかの組み合わせのうち少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列を含んでいてもよい。
【0030】
さらなる実施態様によれば、配列番号1の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列は、配列番号1の座標1−1212と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標639−822と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標766−822と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号3の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列は、配列番号3の座標1−1215と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標639−825と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標769−825と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号5の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列は、配列番号5の座標1−1218と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標639−828と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標772−828と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号7の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列は、配列番号7の座標1−1290と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標639−900と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標844−900と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0031】
さらなる実施態様によれば、当該投与する工程は、患者、患者の細胞、患者の組織、またはそのいずれかの組み合わせへの投与を含んでいてもよい。調節は、当該核酸によってコードされたRNAの発現の減弱、当該核酸によってコードされたRNAの発現の増加、または両方を含んでいてもよい。
【0032】
さらなる実施態様によれば、当該試薬は、当該核酸とハイブリダイズできる1以上のポリヌクレオチドを含んでいてもよい。1以上のポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)、RNA、低分子干渉RNA(siRNA)、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。当該siRNAは、第1のポリヌクレオチド配列と相補的な第2のポリヌクレオチド配列にハイブリダイズされた第1のポリヌクレオチド配列を含んでいてもよく、当該第1のポリヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列の少なくとも15のヌクレオチドの少なくとも15のヌクレオチドの近接するスパンである。
【0033】
さらなる実施態様によれば、当該リボ核酸の発現を調節できる試薬は、小分子実体(small molecule entity、SME)を含んでいてもよい。当該小分子実体は、ERK−MAP キナーゼ経路の修飾因子、PKC キナーゼの修飾因子、などを含んでいてもよい。
【0034】
いくつかの実施態様によれば、神経変性疾患を治療または予防する方法がさらに提供され、当該方法は、ポリペプチドの発現および/または活性を調節できる試薬を含んでいる組成物を投与する工程を含み、当該ポリペプチドの配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、またはそのいずれかの組み合わせの少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0035】
さらなる実施態様によれば、配列番号2の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸座標1−403と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標214−274と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標256−274と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号4の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列は、配列番号4のアミノ酸座標1−404と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標214−275と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標257−275と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号6の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列は、配列番号6のアミノ酸座標1−405と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標214−276と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標258−276と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号8の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列は、配列番号8のアミノ酸座標1−429と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標214−300と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標282−300と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0036】
さらなる実施態様によれば、投与する工程は、患者、患者の細胞、患者の組織、またはそのいずれかの組み合わせへの投与を含んでいてもよい。調節は、当該ポリペプチドの発現および/もしくは活性の減弱、当該ポリペプチドの発現および/もしくは活性の増加、または両方を含んでいてもよい。
【0037】
さらなる実施態様によれば、当該試薬は、当該ポリペプチドに特異的に結合するように適合された抗体を含んでいてもよい。当該抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0038】
いくつかの実施態様によれば、単離されたポリヌクレオチド分子が提供され、その配列は、配列番号3を含む。当該単離されたポリヌクレオチド分子の補完物がさらに提供され、当該補完物および当該ポリヌクレオチドは100%相補的である。他の実施態様によれば、単離されたポリヌクレオチド分子由来の第1のポリヌクレオチドがさらに提供され、当該第1のポリヌクレオチドは、配列番号3のヌクレオチド座標639−825と少なくとも90%相同である近接する第1のヌクレオチド配列を含む。単離されたポリヌクレオチド分子由来の第2のポリヌクレオチドがさらに提供され、当該第2のポリヌクレオチドは、配列番号3のヌクレオチド座標639−696と少なくとも90%相同である近接する第2のヌクレオチド配列を含む。単離されたポリヌクレオチド分子由来の第3のポリヌクレオチドがさらに提供され、当該第3のポリヌクレオチドは、配列番号3のヌクレオチド座標769−825と少なくとも90%相同である近接する第3のヌクレオチド配列を含む。
【0039】
さらなる実施態様によれば、配列番号3の単離されたポリヌクレオチド分子は、ポリペプチドをコードしていてもよく、その配列は配列番号4を含む。配列番号4のポリペプチド由来の第1のペプチドがさらに提供され、当該第1のペプチドは、配列番号4のアミノ酸座標214−275と少なくとも90%相同である近接する第1のアミノ酸配列を含む。配列番号4のポリペプチド由来の第2のペプチドがさらに提供され、当該第2のペプチドは、配列番号4のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接する第1のアミノ酸配列を含む。配列番号4のポリペプチド由来の第3のペプチドがさらに提供され、当該第3のペプチドは、配列番号4のアミノ酸座標257−275と少なくとも90%相同である近接する第1のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様によれば、当該ポリペプチドの発現は、神経変性疾患と診断された患者から得た生物学的試料中で上昇する。当該ポリペプチドは、CD44変異体である。当該神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、原発性側索硬化症(PLS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0040】
いくつかの実施態様によれば、単離されたポリヌクレオチド分子が提供され、その配列は配列番号5を含む。当該単離されたポリヌクレオチド分子の補完物がさらに提供され、当該補完物および当該ポリヌクレオチドは100%相補的である。他の実施態様によれば、単離されたポリヌクレオチド分子由来の第1のポリヌクレオチドがさらに提供され、当該第1のポリヌクレオチドは、配列番号5のヌクレオチド座標639−828と少なくとも90%相同である近接する第1のヌクレオチド配列を含む。単離されたポリヌクレオチド分子由来の第2のポリヌクレオチドがさらに提供され、当該第2のポリヌクレオチドは、配列番号5のヌクレオチド座標639−696と少なくとも90%相同である近接する第1のヌクレオチド配列を含む。単離されたポリヌクレオチド分子由来の第3のポリヌクレオチドがさらに提供され、当該第3のポリヌクレオチドは、配列番号5のヌクレオチド座標772−828と少なくとも90%相同である近接する第3のヌクレオチド配列を含む。
【0041】
さらなる実施態様によれば、配列番号5の単離されたポリヌクレオチド分子はポリペプチドをコードしていてもよく、その配列は配列番号6を含む。さらなる実施態様によれば、配列番号6のポリペプチド由来の第1のペプチドがさらに提供され、当該第1のペプチドは、配列番号6のアミノ酸座標214−276と少なくとも90%相同である近接する第1のアミノ酸配列を含む。配列番号6のポリペプチド由来の第2のペプチドがさらに提供され、当該第2のペプチドは、配列番号6のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接する第2のアミノ酸配列を含む。配列番号6のポリペプチドに由来する第3のペプチドがさらに提供され、当該第3のペプチドは、配列番号6のアミノ酸座標258−276と少なくとも90%相同である近接する第3のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様によれば、当該ポリペプチドの発現は、神経変性疾患と診断された患者から得た生物学的試料中で上昇する。当該ポリペプチドは、CD44変異体を含んでいてもよい。当該神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、原発性側索硬化症(PLS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0042】
いくつかの実施態様によれば、神経変性疾患を診断するためのキットが提供され、当該キットは、生物学的試料中の核酸の発現を検出できる少なくとも1の試薬を含み、当該核酸は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、またはそのいずれかの組み合わせのうち少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列を含んでいてもよい。さらなる実施態様によれば、配列番号1の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列は、配列番号1の座標1−1212と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標639−822と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標766−822と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号3の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列は、配列番号3の座標1−1215と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標639−825と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標769−825と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号5の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列は、配列番号5の座標1−1218と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標639−828と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標772−828と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号7の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列は、配列番号7の座標1−1290と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標639−900と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標844−900と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。さらなる実施態様によれば、当該神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、原発性側索硬化症(PLS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。当該生物学的試料は、細胞、組織、体液、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0043】
さらなる実施態様によれば、当該少なくとも1の試薬は、当該核酸または当該核酸によってコードされるリボ核酸(RNA)分子とハイブリダイズできるオリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。当該オリゴヌクレオチドは、DNA、RNA、cDNA、ゲノムDNA、合成オリゴヌクレオチド、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0044】
いくつかの実施態様によれば、生物学的試料中のポリペプチドの発現を検出できる少なくとも1の試薬を含んでいる神経変性疾患を診断するためのキットが提供され、当該ポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、またはそのいずれかの組み合わせの少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列を含む。さらなる実施態様によれば、配列番号2の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸座標1−403と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標214−274と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標256−274と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号4の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列は、配列番号4のアミノ酸座標1−404と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標214−275と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標257−275と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号6の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列は、配列番号6のアミノ酸座標1−405と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標214−276と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標258−276と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。配列番号8の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列は、配列番号8のアミノ酸座標1−429と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標214−300と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標282−300と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。さらなる実施態様によれば、当該神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、原発性側索硬化症(PLS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。当該生物学的試料は、細胞、組織、体液、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0045】
さらなる実施態様によれば、当該少なくとも1の試薬は、当該ポリペプチドと特異的に相互作用し、かつ、検出可能な免疫複合体を形成するように適合された抗体を含んでいてもよい。当該抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0046】
上記の代表的な態様および実施態様に加え、さらなる態様および実施態様は、図への参照および下記の詳細な説明の検討によって明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
実施態様で示した例は、本願明細書に添付された図への参照とともに、下記で記載される。図において、2以上の図に現われた、同一の構造、要素または部分は、一般的に、同じ数字によって、それらが現われた全ての図において標識される。図に示された構成要素および特徴の寸法は、一般的に、説明の便宜および明確さのために選択され、必ずしも規模を示したものではない。図は以下に記載される。
【図1】CD44のゲノムの構造を模式的に示す。
【図2】V3バリアントエクソンのヌクレオチド配列およびタンパク質配列、ならびにV3バリアントエクソンのスプライスジャンクションを、定常エクソンC5およびC6とともに模式的に示す。
【図3】V6バリアントエクソンのヌクレオチド配列およびタンパク質配列、ならびにV6バリアントエクソンのスプライスジャンクションを、定常エクソンC5およびC6とともに模式的に示す。
【図4】V7バリアントエクソンのヌクレオチド配列およびタンパク質配列、ならびにV7バリアントエクソンのスプライスジャンクションを、定常エクソンC5およびC6とともに、模式的に示す。
【図5】V10バリアントエクソンのヌクレオチド配列およびタンパク質配列、ならびにV10バリアントエクソンのスプライスジャンクションを定常エクソンC5およびC6とともに模式的に示す。
【図6】CD44V6抗体による、AD患者の海馬の切片の免疫組織化学染色を示す。
【図7】いくつかの実施態様による、様々なCD44変異体のmRNA発現へのsiRNAの効果を示す。
【図8】いくつかの実施態様による、様々なCD44変異体のmRNA発現へのSMEの効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
下記の記載において、本発明の様々な態様が記載される。説明のため、特定の配置および詳細は、本発明の十分な理解を与えるために示される。しかし、当業者には、本発明は、本願明細書に示された詳細な情報なく行うことができることも明らかだろう。さらに、周知の特色は、本発明を不明瞭にしないために、省略され、または単純化され得る。
【0049】
いくつかの実施態様によれば、発現が、典型的な神経変性疾患(筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびアルツハイマー病(AD)など)と診断された患者から入手した生物学的試料中で上方制御されたCD44スプライスバリアントが与えられる。同様のものをコードしているCD44 ポリペプチド、ポリヌクレオチドがさらに与えられ、これらに対して作られた抗体およびオリゴヌクレオチドは、神経変性疾患の治療および診断で使用してもよい。
【0050】
下記は、本願明細書全体で使用され、かつ、下記を意味するように、様々な実施態様に従って理解されるべき用語である。
【0051】
本願明細書で言及される用語「CD44 遺伝子」は、CD44の遺伝子配列および/または遺伝子構造に関し、これは図1Aに模式的に示される。
【0052】
本願明細書で言及される用語「CD44スプライスバリアント核酸配列」(「CD44変異コード配列」または「CD44変異体」または「CD44スプライスバリアント転写物」とも交換可能に呼ばれる)は、1以上のCD44スプライスバリアントに関連していてもよく、これは本願明細書において下記で記載される。
【0053】
本願明細書で言及される用語「CD44スプライスバリアントV3核酸コード配列」(「CD44スプライスバリアントV3コード配列」または「CD44V3」または「CD44V3転写物」または「CD44V3コード配列」または「CD44スプライスバリアントV3」とも交換可能に呼ばれる)は、配列番号1に示された配列を有する核酸分子、当該配列と少なくとも90%の同一性(下記参照)を有する核酸分子、および少なくとも20のヌクレオチド長の上記分子の断片(下記参照)に関連していてもよい。この分子は、天然かつ公知のCD44転写物の、自然に存在する別のスプライスバリアントをコードしている配列を含む。CD44V3(図1Bで模式的に示される)は、少なくとも定常エクソンC5、バリアントエクソンV3および定常エクソンC6を含み、さらに好ましくは、CD44遺伝子の定常エクソンC1−C5、C6−C9および可変エクソンV3を含む。図2Aは、バリアントエクソンV3のヌクレオチド配列を記載する。図2Bは、定常エクソンC5とバリアントエクソンV3との間の接合ブリッジ(junction bridge)のヌクレオチド配列を記載する。図2Cは、バリアントエクソンV3と定常エクソンC6との間の接合ブリッジのヌクレオチド配列を記載する。
【0054】
本願明細書で言及される用語「CD44スプライスバリアントV6核酸コード配列」(「CD44スプライスバリアントV6コード配列」または「CD44V6」または「CD44V6転写物」または「CD44V6コード配列」または「CD44スプライスバリアントV6」とも交換可能に呼ばれる)は、配列番号3に示された配列を有する核酸分子、当該配列と少なくとも90%の同一性(下記参照)を有する核酸分子、および少なくとも20のヌクレオチド長の上記分子の断片(下記参照)に関連していてもよい。この分子は、天然かつ公知の、CD44転写物の新規な別のスプライスバリアントをコードしている配列を含む。CD44V6(図1Cに模式的に示される)は、少なくとも定常エクソンC5、バリアントエクソンV6および定常エクソンC6を含み、さらに好ましくは、CD44遺伝子の定常エクソンC1−C5、C6−C9および可変エクソンV6を含む。図3Aは、バリアントエクソンV6のヌクレオチド配列を記載する。図3Bは、定常エクソンC5とバリアントエクソンV6との間の接合ブリッジのヌクレオチド配列を記載する。図3Cは、バリアントエクソンV6と定常エクソンC6との間の接合ブリッジのヌクレオチド配列を記載する。
【0055】
本願明細書で言及される用語「CD44スプライスバリアントV7核酸コード配列」(「CD44スプライスバリアントV7コード配列」または「CD44V7」または「CD44V7転写物」または「CD44V7コード配列」または「CD44スプライスバリアントV7」とも交換可能に呼ばれる)は、配列番号5に示された配列を有する核酸分子、当該配列と少なくとも90%の同一性(下記参照)を有する核酸分子、および少なくとも20のヌクレオチド長の上記分子の断片(下記参照)に関連していてもよい。この分子は、新規な、自然に存在する、天然かつ公知のCD44転写物の別のスプライスバリアントをコードしている配列を含む。CD44V7(図1Dに模式的に示される)は、少なくとも定常エクソンC5、バリアントエクソンV7および定常エクソンC6を含み、さらに好ましくは、CD44遺伝子の定常エクソンC1−C5、C6−C9および可変エクソンV7を含む。図4Aは、バリアントエクソンV7のヌクレオチド配列を記載する。図4Bは、定常エクソンC5とバリアントエクソンV7との間の接合ブリッジのヌクレオチド配列を記載する。図4Cは、バリアントエクソンV7と定常エクソンC6との間の接合ブリッジのヌクレオチド配列を記載する。
【0056】
本願明細書で言及される用語「CD44スプライスバリアントV10核酸コード配列」(「CD44スプライスバリアントV10コード配列」、または「CD44V10」、または「CD44V10転写物」または「CD44V10コード配列」または「CD44スプライスバリアントV10」とも交換可能に呼ばれる)は、配列番号7に示された配列を有する核酸分子、当該配列と少なくとも90%の同一性(下記参照)を有する核酸分子、および少なくとも20のヌクレオチド長の上記分子の断片(下記参照)に関連していてもよい。この分子は、天然かつ公知のCD44転写物の、自然に存在する別のスプライスバリアントをコードしている配列を含む。CD44V10(図1Eに模式的に示される)は、少なくとも定常エクソンC5、バリアントエクソンV10および定常エクソンC6を含み、さらに好ましくは、CD44遺伝子の定常エクソンC1−C5、C6−C9および可変エクソンV10を含む。図5Aは、バリアントエクソンV10のヌクレオチド配列を記載する。図5Bは、定常エクソンC5とバリアントエクソンV10との間の接合ブリッジのヌクレオチド配列を記載する。図5Cは、バリアントエクソンV10と定常エクソンC6との間の接合ブリッジのヌクレオチド配列を記載する。
【0057】
本願明細書で言及される用語「CD44スプライスバリアント生成物」(「CD44変異生成物」または「CD44変異体タンパク質」または「CD44変異体ペプチド」とも交換可能に呼ばれる)は、本願明細書に下記で記載された1以上のCD44スプライスバリアント生成物に関連していてもよい。
【0058】
本願明細書で言及される用語「CD44V3生成物」(「CD44V3タンパク質」または「CD44V3ペプチド」とも交換可能に呼ばれる)は、CD44V3コード配列によってコードされるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。「ポリペプチド」により、ペプチドまたはタンパク質、および、化学的に修飾されたアミノ酸を有するペプチドまたはタンパク質(下記参照)(糖ペプチドまたは糖タンパク質など)が意図される。CD44V3生成物のアミノ酸配列は配列番号2に示される。CD44V3のC5−V3−C6領域のアミノ酸配列は、配列番号2の座標214−274に対応する。図2Aは、バリアントエクソンV3のアミノ酸配列を記載する。図2Bは、定常エクソンC5とバリアントエクソンV3との間の接合ブリッジのアミノ酸配列を記載する。図2Cは、バリアントエクソンV3と定常エクソンC6との間の接合ブリッジのアミノ酸配列を記載する。「CD44V3生成物」はまた、1以上のアミノ酸が付加され、欠損され、置換され(下記参照)または化学的に修飾された(下記参照)当該アミノ酸配列の相同体(下記参照)、および少なくとも6のアミノ酸を有するこの配列の断片(下記参照)を含む。
【0059】
本願明細書で言及される用語「CD44V6生成物」(「CD44V6タンパク質」または「CD44V6ペプチド」とも交換可能に呼ばれる)は、CD44V6コード配列によってコードされたアミノ酸配列を有するポリペプチドである。「ポリペプチド」により、ペプチドまたはタンパク質、および、化学的に修飾されたアミノ酸を有するペプチドまたはタンパク質(下記参照)(糖ペプチドまたは糖タンパク質など)が意図される。CD44V6生成物のアミノ酸配列は、配列番号4に示される。CD44V6のC5−V6−C6領域のアミノ酸配列は、配列番号4の座標214−275に対応する。図3Aは、バリアントエクソンV6のアミノ酸配列を記載する。図3Bは、定常エクソンC5とバリアントエクソンV6との間の接合ブリッジのアミノ酸配列を記載する。図3Cは、バリアントエクソンV6と定常エクソンC6との間の接合ブリッジのアミノ酸配列を記載する。「CD44V6生成物」はまた、1以上のアミノ酸が付加され、欠損され、置換され(下記参照)または化学的に修飾された(下記参照)当該アミノ酸配列の相同体(下記参照)、および少なくとも6のアミノ酸を有するこの配列の断片(下記参照)を含む。
【0060】
本願明細書で言及される用語「CD44V7生成物」(「CD44V7タンパク質」または「CD44V7ペプチド」とも交換可能に呼ばれる)は、CD44V7コード配列によってコードされたアミノ酸配列を有するポリペプチドである。「ポリペプチド」により、ペプチドまたはタンパク質、および、化学的に修飾されたアミノ酸を有するペプチドまたはタンパク質(下記参照)(糖ペプチドまたは糖タンパク質など)が意図される。CD44V7生成物のアミノ酸配列は、配列番号6に示される。CD44V7のC5−V7−C6領域のアミノ酸配列は、配列番号6の座標214−276に対応する。図4Aは、バリアントエクソンV7のアミノ酸配列を記載する。図4Bは、定常エクソンC5とバリアントエクソンV7との接合ブリッジのアミノ酸配列を記載する。図4Cは、バリアントエクソンV7と定常エクソンC6との間の接合ブリッジのアミノ酸配列を記載する。「CD44V10生成物」はまた、1以上のアミノ酸が付加され、欠損され、置換され(下記参照)または化学的に修飾された(下記参照)当該アミノ酸配列の相同体(下記参照)、および少なくとも6のアミノ酸を有するこの配列の断片(下記参照)を含む。
【0061】
本願明細書で言及される用語「CD44V10生成物」(「CD44V10タンパク質」または「CD44V10ペプチド」とも交換可能に呼ばれる)は、CD44V10コード配列によってコードされたアミノ酸配列を有するポリペプチドである。「ポリペプチド」により、ペプチドまたはタンパク質、および、化学的に修飾されたアミノ酸を有するペプチドまたはタンパク質(下記参照)(糖ペプチドまたは糖タンパク質など)が意図される。CD44V10生成物のアミノ酸配列は、配列番号8に示される。CD44V10のC5−V10−C6領域のアミノ酸配列は、配列番号8の座標214−300に対応する。図5Aは、バリアントエクソンV10のアミノ酸配列を記載する。図5Bは、定常エクソンC5とバリアントエクソンV10との間の接合ブリッジのアミノ酸配列を記載する。図5Cは、バリアントエクソンV10と定常エクソンC6との間の接合ブリッジのアミノ酸配列を記載する。「CD44V10生成物」はまた、1以上のアミノ酸が付加され、欠損され、置換され(下記参照)または化学的に修飾された(下記参照)当該アミノ酸配列の相同体(下記参照)、および少なくとも6のアミノ酸を有するこの配列の断片(下記参照)を含む。
【0062】
相同体は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8のうちいずれか1の配列と少なくとも90%同一である、または、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8の配列のうちいずれか1つの少なくとも6のアミノ酸の断片と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドと関連する。相同体と、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8のうちいずれか1の配列またはその断片との間のアミノ酸配列の変異は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8のうちいずれか1の配列の1以上のアミノ酸の付加、欠損、置換または化学修飾から生じる。当該相同体が置換を含む場合、その置換は、好ましくは保存的なものである。
【0063】
「核酸分子」または「核酸」または「ポリヌクレオチド」は、DNA(デオキシリボ核酸)ヌクレオチド、RNA(リボ核酸)ヌクレオチドもしくは両方のタイプの組み合わせからなる一本鎖または二本鎖のポリマーに関連し、天然のヌクレオチド、化学的に修飾されたヌクレオチドおよび合成ヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0064】
「アミノ酸配列」は、20の自然に存在するアミノ酸、化学的に修飾されたアミノ酸(下記参照)、または合成アミノ酸のうちいずれか1からなる配列に関連する。
【0065】
「保存的な置換」は、1つのクラスのアミノ酸を同一のクラスのアミノ酸によって置換することを意味し、クラスは、一般的な物理化学的なアミノ酸の側鎖の特性、および自然で見出される相同のタンパク質の高い置換頻度によって定義され、例えば、標準的なデイホフ(Dayhoff)周波数頻度マトリックスまたはBLOSUM マトリックスによって測定される。アミノ酸側鎖の6の一般的なクラスが分類され、以下を含む:クラス I(Cys);クラス II(Ser、Thr、Pro、Ala、Gly);クラス III(Asn、Asp、Gin、Glu);クラス IV(His、Arg、Lys);クラス V(He、Leu、Val、Met);およびクラス VI(Phe、Tyr、Trp)。例えば、Aspの、別のクラス IIIの残基(Asn、Gin、またはGluなど)への置換は保存的な置換である。
【0066】
「非保存的な置換」は、1つのクラスのアミノ酸を別のクラスからのアミノ酸と置換すること(例えば、Ala(クラス IIの残基)を、クラスIIIの残基(Asp、Asn、Glu、またはGinなど)と置換する)を意味する。
【0067】
「化学的に修飾された」とは、少なくとも1のそのアミノ酸残基が、自然の工程(プロセシングまたは他の翻訳後の修飾など)または、当該技術分野で周知の化学修飾技術のいずれかによって修飾された生成物(タンパク質)を意味する。多数の公知の修飾のうち、典型的な例(しかし、排他的ではない)としては、アセチル化、アシル化、アミド化、ADP−リボシル化、グリコシル化、グリコサミノグリカン化(glycosaminoglycanation)、GPI アンカー形成、脂質もしくは脂質誘導体の共有結合、メチル化、ミリストイル化(myristlyation)、ペグ化、プレニル化、リン酸化、ユビキチン化(ubiqutination)、またはいずれかの類似する工程が挙げられる。
【0068】
「最適な配列比較」は、最も高い同一性スコアの割合を与える配列比較として定義される。このような配列比較は、初期状態のパラメータの設定を使用して、局所配列比較プログラム LALIGNなどの様々な市販の配列分析プログラムを用いて、行うことができる。
【0069】
アミノ酸または核酸配列の2つのセットに関して「少なくとも90%の同一性を有している」とは、配列が最適に整列された場合に、2つの配列において同一である残基の割合を意味する。従って、少なくとも90%のアミノ酸配列の同一性とは、2以上の最適に整列されたポリペプチド配列において少なくとも90%のアミノ酸が同一であることを意味する。しかし、この定義は、最初の核酸配列または最初のタンパク質配列(変異体はこれらから変化した)と100%同一である配列を明確に除外する。
【0070】
「変異核酸配列を有する単離された核酸分子」および「単離されたポリヌクレオチド分子」は、変異コード配列を含む核酸分子を意味する。当該単離された核酸分子は、独立した挿入物としての変異コード配列を含んでいてもよいがこれに限定されず、変異コード配列が優性のコード配列である融合タンパク質を一緒にコードしている、さらなるコード配列と融合された変異コード配列を含んでいてもよく(例えば、当該さらなるコード配列は、シグナルペプチドをコードしていてもよい)、当該変異コード配列は、適した宿主におけるコード配列の発現に効果的な非コード配列(例えば、イントロンまたは調節領域(プロモーターならびにターミネーター領域または5’および/もしくは3’の非翻訳領域など))と組み合わせてもよく、あるいは、変異体タンパク質コード配列が異種であるベクターであってもよい。
【0071】
「発現ベクター」は、異種のDNA断片を外来細胞に取り込むことができ、発現させることができるベクターを意味する。多くの原核生物および真核生物の発現ベクターは公知であり、かつ/または市販されている。適切な発現ベクターの選択は、当業者の知識の範囲内である。
【0072】
「オリゴヌクレオチド」は、リボ核酸(RNA)もしくはデオキシリボ核酸(DNA)もしくはその模倣物の、一本鎖もしくは二本鎖のオリゴマーまたはポリマーを意味する。この用語は、自然に存在する塩基、糖、および共有結合性のヌクレオシド内(internucleoside)連鎖(例えば、主鎖)からなるオリゴヌクレオチド、ならびに自然に存在しない部分(これは、それぞれ自然に存在する部分と同様に機能する)を有しているオリゴヌクレオチドを含む。
【0073】
「欠損」は、自然に存在する配列と比較した場合、1以上のヌクレオチド残基またはアミノ酸残基がそれぞれ存在しない、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列のいずれかの変化を意味する。
【0074】
「挿入」または「付加」は、自然に存在する配列と比較した場合、1以上のヌクレオチド残基またはアミノ酸残基の付加をそれぞれもたらす、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の変化を意味する。
【0075】
「置換」は、自然に存在する配列と比較した場合、それぞれ異なるヌクレオチドもしくはアミノ酸による、1以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の置換を意味する。アミノ酸配列に関しては、当該置換は保存的または非保存的であってもよい。
【0076】
「抗体」は、IgG、IgM、IgD、IgA、およびIgE抗体のいずれかのクラスの抗体を意味する。当該定義は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を含む。この用語は、全抗体、または抗変異生成物の抗体(例えば、scFv、Fab、F(ab’)2、Fc部分のない他の抗体、単鎖抗体、二重特異性抗体、二特異性抗体、基本的に抗体の可変の抗原−結合領域のみからなる他の断片など)の抗原−結合領域を含み、その由来である当該全抗体の抗原結合特性を実質的に保持する当該抗体の断片を意味する。
【0077】
「作動薬」は、CD44変異生成物の効果を模倣し、またはCD44変異生成物と比較して増強された活性を有し、または、時折、変異生成物の生物学的活性の持続時間を、変異生成物自身によって引き起こされるものと比較して増加もしくは延長さえもする分子を意味する。当該機構は、生物学的分子の活性(受容体への結合など)の延長;分子の寿命の延長;その標的への分子の活性の増加;その受容体に対する分子の結合性の増加;分子の分解またはタンパク質分解の阻害などについて知られるいずれかの機構であってもよい。作動薬は、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、もしくはその誘導体、または、変異生成物の活性を正に調節できるいずれかの他の分子であってもよい。
【0078】
「拮抗薬」は、CD44変異生成物の生物学的活性の持続時間を抑制または短縮する分子を意味する。このことは、生物学的分子を非活性化または阻害することが知られたいずれかの機構(受容体の遮断、活性部位の遮断、結合部位上の競合、分解の亢進、など)によって達成してもよい。拮抗薬は、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、もしくはその誘導体、またはCD44変異生成物の活性を負に調節できるいずれかのほかの分子であってもよい。
【0079】
「生物学的試料」は、様々な実施態様および実施例で使用される生物学的試料は、いずれかの適切な身体由来の試料であってもよい。当該試料は、液体試料(全血、末梢血液の単球、白血球など)を含んでいてもよい。当該試料は、様々な細胞および組織を含んでいてもよい。当該試料は、固定および/または包埋された組織切片を含んでいてもよい。当該試料は、抽出したばかりのもの、または冷凍されたもののいずれであってもよい。当該試料は、生きている被験者または死亡した被験者から入手してもよく、いずれかの生物(例えば、ヒト、マウスおよびラットなど)から入手してもよい。
【0080】
「疾病を治療する」とは、疾病に関連する症状を寛解させ、重症度を和らげ、もしくは疾病を治療し、または疾病の発症を予防するのに効果的な、少なくとも1の試薬/物質を含む組成物の投与を意味する。
【0081】
本願明細書で言及される用語「調節する」とは、核酸および/もしくはポリペプチドの発現ならびに/または活性に影響する(変化させる)ことに向けられる。用語、調節は、核酸および/もしくはポリペプチドの発現および/もしくは活性の増加ならびに/または減弱(下方制御)を意味していてもよい。
【0082】
「検出」、「診断」は、疾病、症状、障害、病理学的また通常の症状の検出;疾病、症状、障害、病理学的症状の分類;疾病、症状、障害、病理学的症状の重症度の判定;疾病、症状、障害、病理学的症状の進行のモニター;これらの回復の結果および/または見通しの予測、をする方法を意味する。
【0083】
「プローブ」は、試料中の他の類似する配列の存在を検出するために使用される場合、変異コード配列を含んでいる核酸分子、またはその相補的な配列である。当該検出は、プローブとアッセイされた配列との間のハイブリダイゼーション複合体の同定によって行われる。当該プローブは、いくつかの実施態様では、固体の担体または検出可能な標識に付着していてもよい。当該プローブは、一般的に一本鎖であり、一般的に10〜100ヌクレオチドの間である。プローブの特定の特性は、特定の使用に依存し、当業者の能力の範囲内で容易に決定される。
【0084】
「プライマー対」は一連の2つの核酸分子(「プライマー」)であり、これらのそれぞれは、ポリメラーゼまたは転写酵素による鋳型に向けられた重合を刺激する役目を果たすことができ、このプライマーは、プライマーハイブリダイゼーションの領域の間に位置する二本鎖配列のヌクレオチド配列の重合(および増幅)に方向付けるような様式で、二本鎖核酸配列(「鋳型」)の逆ストランドにハイブリダイズする。このようなプライマー対は、周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において使用できる。プライマー対の設計は、当該技術分野で周知であり、増幅される特定の配列に依存する。一般的に、当該プライマーは一本鎖であり、長さが10〜40塩基の間であり、50〜2000塩基離れて位置する鋳型配列の領域にハイブリダイズする。
【0085】
「スプライスジャンクション」(「ブリッジングジャンクション(bridging junction)」とも交換可能に呼ばれる)は、スプライシングが生じるヌクレオチド領域に関連する。これは、エクソンが、その隣接しているエクソンに、処理された転写物の配列において結合する領域である。
【0086】
「ハイブリダイゼーション」、または「核酸ハイブリダイゼーション」は、一本鎖の核酸分子と相補的な核酸分子との間を1分子に結合(相互作用)する工程に関連する。
【0087】
ここで、ヒトCD44遺伝子構造を模式的に図示する図1が参照される。図1Aは、9つの可変エクソン(塗りつぶされた正方形、V2〜10と示されている)および定常エクソン(塗りつぶされていない正方形、Cl〜5およびC6〜10と示されている)から構成されるヒトCD44遺伝子の構造を図示する。図1Bは、定常エクソンに加えて、可変エクソン3を含むCD44変異体転写物CD44V3の構造を模式的に図示する。図1Cは、定常エクソンに加えて、可変エクソン6を含むCD44変異体転写物CD44V6の構造を模式的に図示する。図1Dは、定常エクソンに加えて、可変エクソン7を含むCD44変異体転写物CD44V7の構造を模式的に図示する。図1Eは、定常エクソンに加えて、可変エクソン10を含むCD44変異体転写物CD44V10の構造を模式的に図示する。
【0088】
いくつかの実施態様によれば、RNA試料は、神経変性疾患と診断された被験者(患者)の生物学的試料から、またはモデル動物(例えば、神経変性疾患のモデルとして使用される遺伝子導入マウスなど)から抽出されてもよい。当該抽出されたRNAは、全RNAまたはmRNAを含んでいてよい。当該抽出されたRNAは、逆転写されてPCR増幅反応で使用されてもよい。このPCR増幅反応は、CD44遺伝子の様々なバリアントエクソン内の領域、CD44遺伝子の様々な定常エクソン内の領域、定常エクソンおよび可変エクソンをブリッジするジャンクション領域のヌクレオチド配列を包含する領域、またはこれらのいずれかの組み合わせからヌクレオチド配列が誘導され得るプライマーをさらに含んでいてもよい。次いで、結果として得られるPCR生成物は分析されて、その配列が決定されてもよい。このようにして、とりわけ、当該技術分野で前例がなかった新規なCD44スプライスバリアント転写物を含んでいてもよい様々なCD44転写物が同定され得る。
【0089】
さらに、RNA試料は、神経変性疾患と診断された被験者(患者)の生物学的試料から、および神経変性疾患と診断されなかった年齢および性別が合致する被験者(正常対照)から抽出されてもよい。当該抽出されたRNAは、全RNAまたはmRNAを含んでいてよい。当該抽出されたRNAは、逆転写されてPCR増幅反応で使用されてもよい。このPCR増幅反応は、CD44遺伝子の様々なバリアントエクソン内の領域、CD44遺伝子の様々な定常エクソン内の領域、定常エクソンおよび可変エクソンをブリッジするジャンクション領域のヌクレオチド配列を包含する領域、およびこれらのいずれかの組み合わせからヌクレオチド配列が誘導され得るプライマーをさらに含んでいてもよい。次いで、当該患者の生物学的試料および当該正常対照被験者から得られる結果として得られるPCR生成物は分析されて、その配列が決定されてもよい。このPCR生成物は、とりわけ、当該技術分野で前例がなかった新規なCD44スプライスバリアント転写物を含んでいてもよいCD44転写物を含んでいてもよい。さらに、様々なCD44変異体転写物を表すこの様々なPCR生成物の発現レベルは、患者から得た試料と正常対照から得た試料との間で比較されてもよい。様々なCD44変異体転写物の発現レベルおよび異なる試料間の発現レベルの比較は、当該技術分野で公知の様々な方法により(例えば、半定量的逆転写(RT)−PCR、リアルタイムPCRの方法によるなど)判定され得る。例えば、このような比較は、正常対照から得た試料と比べて、患者から得た試料における特異的スプライスバリアント(単数または複数)の排他的な発現を示し得る。例えば、このような比較は、正常対照から得た試料と比べて、患者から得た試料における特異的スプライスバリアント(単数または複数)の高められた発現レベル(上方調節)を示し得る。例えば、このような比較は、正常対照から得た試料と比べて、患者から得た試料における特異的スプライスバリアント(単数または複数)の発現レベルの減少(下方調節)を示し得る。例えば、このような比較は、正常対照から得た試料と比べて、患者から得た試料において特異的スプライスバリアント(単数または複数)の発現レベルの変化がまったく認められないことを示し得る。例えば、このような比較は、患者から得た試料と比べて、正常対照から得た試料における特異的スプライスバリアント(単数または複数)の排他的な発現を示し得る。
【0090】
いくつかの代表的な実施態様によれば、全RNAは、アルツハイマー病と診断された被験者(AD患者)由来、および当該疾病と診断されなかった年齢および性別が合致する被験者(正常対照)由来の死亡後の海馬試料から抽出される。当該RNAは、本願明細書で後述される実施例1でさらに詳述されるように、逆転写されてPCR増幅反応で使用される。このPCRは、CD44遺伝子の様々なバリアントエクソン内の領域、CD44遺伝子の様々な定常エクソン内の領域、定常エクソンおよび可変エクソンをブリッジするジャンクション領域のヌクレオチド配列を包含する領域、およびこれらのいずれかの組み合わせからヌクレオチド配列が誘導されてもよいプライマーをさらに含む。代表的なプライマー配列は、本願明細書で後述される実施例1に列挙される。このようにして得られる結果として得られるPCR生成物の分析によって、正常対照から得た試料と比べて患者から得た試料において発現が上方調節されるCD44のいくつかのスプライスバリアントが示される。特に、CD44の定常エクソンに隣接している単一のスキップされていないバリアントエクソンを含み正常対照と比べてAD患者において発現の有意な増加を呈したいくつかのCD44スプライスバリアントがこのように同定された。このように同定されたCD44スプライスバリアントとしては、CD44V3、CD44V6、CD44V7およびCD44V10が挙げられる。本願明細書で後述される実施例2で詳述されるリアルタイムPCR実験は、CD44V3、CD44V6、およびCD44V10スプライスバリアントが、正常対照と比べてAD患者においてそれぞれ約7.17、7.02および18.15倍の発現の上方調節を呈したことを示す。さらに、CD44のCD44Sアイソフォームは、正常対照と比べてAD患者において約4.95倍の発現の上方調節を呈した。
【0091】
さらなる実施態様によれば、全RNAは、本願明細書で後述される実施例3でさらに詳述されるように、AD様の病理についてのモデルとして使用されてもよいAPP751遺伝子導入マウスから抽出される。海馬組織由来のRNAは、7〜7.5月齢の雌のAPP751遺伝子導入マウスおよび非遺伝子導入同腹仔(litter mate)から単離される。当該RNAは、本願明細書で後述される実施例3でさらに詳述されるように、逆転写されてPCR増幅反応で使用される。その結果は、対照の非遺伝子導入マウスと比べてAPP751遺伝子導入マウスにおいて、V7−C10接合部を有する転写物をコードするmRNAの発現の7.2倍の増加を示した。同一条件下では、CD44Sの発現レベルは16%の増加を示した。APP751遺伝子導入マウスにおけるCD44V7発現の上方調節(実施例3に示されるとおり)は、AD患者の脳においてCD44V7が見出されること(実施例1に示されるとおり)とともに、例えばAβ(特定の脳領域におけるAβの蓄積はADの顕著な特徴の1つである)の蓄積の下流でのAD病理へのCD44V7の関与を示す。
【0092】
いくつかの実施態様によれば、そして図1Bに模式的に図示されるように、スプライスバリアントCD44V3転写物は、少なくとも定常エクソンC5、バリアントエクソンV3および定常エクソンC6を含む。より好ましくは、スプライスバリアントCD44V3転写物は、定常エクソンC1〜C5、バリアントエクソン3および定常エクソンC6〜C9を含む。初期状態のパラメータを使用しかつCD44V3のヌクレオチド配列を使用する、ヒトの発現された配列の公のデータベースのBlastサーチは、いずれの公知のmRNAに対しても同一性を有しない1つのEST(受入番号DA283531)を与えた。CD44V3のC5−V3−C6領域のヌクレオチド配列(配列番号:1の座標639〜822、および図2A〜Cに図示されるとおり)を使用する同様のBlastサーチは同様の結果を与えた。
【0093】
いくつかの実施態様によれば、そして図1Cに模式的に図示されるように、スプライスバリアントCD44V6転写物は、少なくとも定常エクソンC5、バリアントエクソンV6および定常エクソンC6を含む。より好ましくは、スプライスバリアントCD44V6転写物は、定常エクソンC1〜C5、バリアントエクソン6および定常エクソンC6〜C9を含む。初期状態のパラメータを使用しかつCD44V6のヌクレオチド配列を使用する、ヒトの発現された配列の公のデータベースのBlastサーチは、類似のESTまたはmRNA配列を1つも与えなかった。CD44V6のC5−V6−C6領域のヌクレオチド配列(配列番号:3の座標639〜825、および図3A〜Cに図示されるとおり)を使用する同様のBlastサーチは、同じ分子の中にC5V6およびV6C6の両方のヌクレオチド配列の組み合わせを含むと見出されたmRNAまたはESTは1つも存在しないことを示した。従って、CD44V6は、前例がなかったCD44遺伝子の新規なスプライスバリアントである。Guriecら(Breast Cancer Res Treat.1997 44:261−8)は、V6のみには触れているが、V6−C6領域のみを確認し、V6に連結された他の領域は確認していない。
【0094】
いくつかの実施態様によれば、そして図1Dに模式的に図示されるように、スプライスバリアントCD44V7転写物は、少なくとも定常エクソンC5、バリアントエクソンV7および定常エクソンC6を含む。より好ましくは、スプライスバリアントCD44V7転写物は、定常エクソンC1〜C5、バリアントエクソン7および定常エクソンC6〜C9を含む。CD44V7のC5−V7−C6領域のヌクレオチド配列は、配列番号:5の座標639−828に対応する。初期状態のパラメータを使用しかつCD44V7のヌクレオチド配列を使用する、ヒトの発現された配列の公のデータベースのBlastサーチは、同一のESTまたはmRNA配列を1つも与えなかった。すなわち、同じ分子の中にC5V7およびV7C6ブリッジの両方を含むmRNAは見出されなかった。
【0095】
いくつかの実施態様によれば、そして図1Eに模式的に図示されるように、スプライスバリアントCD44V10転写物は、少なくとも定常エクソンC5、バリアントエクソンV10および定常エクソンC6を含む。より好ましくは、スプライスバリアントCD44V10転写物は、定常エクソンC1〜C5、バリアントエクソン10および定常エクソンC6〜C9を含む。初期状態のパラメータを使用しかつCD44V10のヌクレオチド配列を使用する、ヒトの発現された配列の公のデータベースのBlastサーチは、1つのmRNA(EF581837)および2つのEST(CD641177およびAW995521)を与えた。CD44V10のC5−V10−C6領域のヌクレオチド配列(配列番号:7の座標639〜900、および図5A〜C図示されるとおり)を使用する同様のBlastサーチは、同様の結果を与えた。
【0096】
さらに代表的な実施態様によれば、そして本願明細書で後述される実施例4でさらに詳述されるように、全RNAは、ALSと診断された被験者(ALS患者)由来および当該疾病と診断されなかった被験者(正常対照)由来の死後の腰髄および運動皮質試料から抽出される。当該RNAは、逆転写されてPCR増幅反応で使用される。このPCRは、CD44遺伝子の様々なバリアントエクソン内の領域、CD44遺伝子の様々な定常エクソン内の領域、定常エクソンおよび可変エクソンをブリッジするジャンクション領域のヌクレオチド配列を包含する領域、およびこれらのいずれかの組み合わせからヌクレオチド配列が誘導されてもよいプライマーをさらに含む。このようにして得られる結果として得られるPCR生成物の分析によって、正常対照から得た試料と比べて患者から得た試料において発現が上方調節されるCD44のいくつかのスプライスバリアントが示された。特に、CD44の定常エクソンに隣接している単一のスキップされていないバリアントエクソンを含み正常対照と比べてAD患者において発現の有意な増加を呈したいくつかのCD44スプライスバリアントが同定された。このように同定されたCD44スプライスバリアントとしては、CD44V3、CD44V6、およびCD44V10が挙げられる。
【0097】
このように同定されたCD44変異体転写物(例えば、CD44V3、CD44V6、CD44V7およびCD44V10など)、およびそれらのそれぞれのタンパク質生成物は、常在性のグリア細胞(ミクログリアまたはアストロサイト)により、または浸潤性の炎症性細胞(保護的または有害のいずれかである可能性があるTリンパ球など)により媒介される可能性があり、かつ当該疾病の過程においていくつかのエクソンの非スキッピング(non−skipping)へと刺激される炎症工程に関与する可能性がある。スプライスバリアントの選択は、種および疾病に特異的であるように思われる。
【0098】
いくつかの実施態様によれば、様々なCD44変異体タンパク質の配列から誘導されるペプチドは、様々な手段によって(例えば、化学合成および/または組み換え方法によってなど)調製されてもよく、それらのペプチドに対して方向付けられる特異的抗体の生産のための抗原として使用されてもよい。このように調製された抗体には、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含めることができ、このように調製された抗体は様々なCD44変異体タンパク質を特異的に認識し得る。この抗体の調製および精製は、当該技術分野で公知のいずれの方法によって行われてもよい。様々なCD44変異体タンパク質を特異的に認識して結合する抗体は、本願明細書に記載された実施態様のいずれにも記載されていない当該技術分野で公知の他のCD44変異体タンパク質に結合することと比較して、少なくとも2倍高い親和性を示す。結合の特異性は、当業者に周知の様々な方法(結合アッセイ、生物学的アッセイおよびこれらのいずれかの組み合わせなど)によって評価されてよい。
【0099】
いくつかの実施態様によれば、本発明で同定された様々なCD44変異体生成物(CD44V3生成物、CD44V6生成物、CD44V7生成物、CD44S生成物およびCD44V10生成物など)の配列から誘導されるペプチドは、固相合成(Merrifield,J. 1964、Biochemistry、3:1385−90)によって化学的に合成されてもよく、CD44変異体タンパク質を特異的に認識し得る抗体の生産のために使用されてもよい。この抗体としては、例えば、ポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体を挙げることができる。好ましくは、様々なCD44変異体生成物の配列から誘導されるペプチドは、可変エクソンと定常エクソンとの間のジャンクションに対応する領域から得てもよい。CD44V3タンパク質から誘導されるペプチドは、例えば、エクソンC5およびV3をブリッジするアミノ酸配列(配列番号:2のアミノ酸214〜233および図2B)に対応するジャンクション領域を含んでいてもよい。例えば、CD44V3タンパク質から誘導されるペプチドは、エクソンV3およびC6をブリッジするアミノ酸配列(配列番号:2のアミノ酸256〜275、および図2Cに図示されるとおり)に対応するジャンクション領域を含んでいてもよい。CD44V6タンパク質から誘導されるペプチドは、例えば、エクソンC5およびV6をブリッジするアミノ酸配列(配列番号:4のアミノ酸214〜233、および図3B)に対応するジャンクション領域を含んでいてもよい。例えば、CD44V6タンパク質から誘導されるペプチドは、エクソンV6およびC6をブリッジするアミノ酸配列(配列番号:4のアミノ酸257〜276、および図3Cに図示されるとおり)に対応するジャンクション領域を含んでいてもよい。CD44V10タンパク質から誘導されるペプチドは、エクソンC5およびV10をブリッジするアミノ酸配列(配列番号:8のアミノ酸214〜233および図5B)に対応するジャンクション領域を含んでいてもよい。例えば、CD44V10タンパク質から誘導されるペプチドは、エクソンV10およびC6をブリッジするアミノ酸配列(配列番号:8のアミノ酸282〜301、および図5Cに図示されるとおり)に対応するジャンクション領域を含んでいてもよい。これらのペプチドを用いて免疫されたマウスの脾細胞は骨髄腫細胞に融合されてもよく、そして特定のモノクローナルAbを産生するハイブリドーマは、それらの細胞の上清の、形質移入されていない対照細胞またはCD44sで形質移入された対照細胞に対してではくてCD44変異体をコードする組み換え構築物を用いて安定に形質移入されたNamalwa Burkittのリンパ腫株化細胞に対して結合する能力を試験することによって選択されてもよい。
【0100】
いくつかの実施態様によれば、様々なCD44スプライスバリアントタンパク質に対して特異的に反応してもよくかつそれらを認識してもよい試薬(特異的抗体など)は、神経変性疾患の診断において使用されてもよい。様々なCD44スプライスバリアントタンパク質の発現の分析は、試験されるべき個体から得られた様々な生物学的試料に対して行われてもよい。このような試料としては、例えば、血漿試料、組織試料などを挙げることができる。当該試料の分析は、様々なCD44変異体タンパク質の存在(presence)、存在(existence)、および発現レベルを測定するために使用されてもよい。当該分析は、試料中のタンパク質発現を測定するために使用される様々な周知の方法(ウエスタンブロッティング、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)など)を含んでいてもよい。当該CD44変異体タンパク質の存在および/または発現レベルは既知の、予め較正された対照と比較されてもよく、そして試験された個体とその対照との間の発現の相違は、疾病の存在および当該疾病の進行のレベルに関する指標を与え得る。
【0101】
いくつかの代表的な実施態様によれば、本願明細書で後述される実施例5でさらに詳述されるように、AD患者の脳の海馬組織の免疫組織化学的分析が行われる。AD患者の脳組織の免疫組織化学的染色のためのCD44S、CD44V3、CD44V6またはCD44V10に対する特異的抗体。免疫組織化学的染色の結果は、様々なCD44アイソフォームの差異的な細胞内局在および細胞レベル下(subcellular)内局在を示す。実施例5に詳述されるように、CD44Sは主にアストロサイト中および老人斑内で見出されるが、CD44V6およびCD44V10染色は、リポフスチンの自己蛍光の領域と重なる核傍領域のニューロンにおいて見出される。CD44V3染色は、アストロサイトおよび神経核傍領域の両方において見出された。リポフスチンは、時間を経た(aged)ニューロンに蓄積される酸化されたタンパク質および脂質分解残基のリソソーム複合体である。当該結果は、CD44Sとは対照的に、ニューロンで発現されるCD44変異体タンパク質は、神経細胞の死滅につながり得る病態生理的工程において直接的な役割を有し得ることを示す。例えば、CD44変異体は、ニューロンのAPP前駆体タンパク質からのAβの細胞内プロセッシング(processing)において新規な機能を有し得る。例えば、CD44変異体(CD44V3、CD44V6、CD44V7およびCD44V10など)は、長命の(long−lived)タンパク質および小器官(organelles)の分解、細胞再構築、ならびに栄養飢餓の際の生存に関与する主要経路である自己貪食に関与する場合がある。自己貪食は、凝集する傾向があるα−シヌクレイン(Ravikumar Nat.Genet. 2004、36:585−95)およびハンチンチン(Shibata J.Biol.Chem. 2006、281:14474−85)の細胞内分解に関与する。自己貪食空胞は、これまでにAD脳の異栄養性の神経突起において同定されており、それはAβ生産のための部位である場合がある(Yuら、J.Cell Biol. 2005、171:87−98)。自己貪食は、ADマウスモデルにおいてAβ蓄積、細胞外のAβ沈着およびニューロン変性において重要な予防的役割を有することが最近示された(Pickfordら、J Clin Invest. 2008、118:2190−99)。ここで、図6Aおよび図6Bが参照される。図6Aおよび図6Bは、それぞれCD44V6およびCD44V10抗体を用いた、AD患者の海馬の切片の典型的な染色を図示する。図6Aに示されるように、様々な神経細胞(例えば、神経細胞2A〜Fなど)が、海馬の切片(4)内に同定される場合がある。当該細胞は、典型的に陽性に染色されたニューロンである細胞2Fによって例証されるように、染色され得る。図6Aの下方右手側(パネル6)は代表的な陽性に染色された細胞(8)の拡大図を示すのに対し、細胞核(10)は染色されておらず、他方、核傍および細胞質区画(12)はCD44V6抗体で陽性に染色され、すなわち、CD44V6生成物はこれらの細胞区画で発現される。図6Bに示されるように、様々な神経細胞(例えば、神経細胞12A〜Fなど)は、海馬の切片(14)内に同定される場合がある。当該細胞は、典型的に陽性に染色されたニューロンである細胞12Fによって例証されるように、染色され得る。図6Bの下方右手側(パネル16)は代表的な陽性に染色された細胞(18)の拡大図を示すのに対し、細胞核(20)は染色されておらず、他方、核傍および細胞質区画(22)はCD44V10抗体で陽性に染色され、すなわち、CD44V10生成物はこれらの細胞区画で発現される。要するに、当該染色結果は、ニューロンの細胞質における強い染色を示し、従ってこれがCD44変異体生成物が発現されるニューロン区画である。
【0102】
いくつかの実施態様によれば、従って、神経変性疾患(例えば、ADおよびALSなど)の存在および/または進行レベルを診断する定性的方法が提供される。当該方法は、様々なCD44スプライスバリアントタンパク質(CD44V3タンパク質、CD44V6タンパク質、CD44V10タンパク質、またはこれらのいずれかの組み合わせなど)に対して特異的に反応してもよくかつそれらを認識してもよい試薬の使用を含んでいてもよい。当該試薬としては、例えば、個別に当該様々なCD44変異体タンパク質を認識する特異的モノクローナルおよび/またはポリクローナル抗体を挙げることができる。当該CD44変異体タンパク質(CD44V3タンパク質、CD44V6タンパク質および/またはCD44V10タンパク質など)の存在は、試験される被験者から得られる生物学的試料(例えば、組織、液体試料、細胞など)において試験されてもよい。当該CD44スプライスバリアントタンパク質(CD44V3タンパク質、CD44V6タンパク質および/またはCD44V10タンパク質など)の存在は、当該生物学的試料から得られる組織切片および/またはタンパク質抽出物に対して行われる免疫組織化学および/またはウエスタンブロット分析によって試験されてもよい。上で示されたように、当該様々なCD44スプライスバリアントタンパク質(CD44V3タンパク質、CD44V6タンパク質、CD44V10タンパク質、またはこれらのいずれかの組み合わせなど)の検出された発現(存在)は、当該試験された被験者における神経変性疾患の存在を示し得る。さらに、定性的方法として本願明細書に記載される方法はまた、定量的方法としても使用されてもよい。定量的方法において、当該試験された被験者における当該CD44V3タンパク質、CD44V6タンパク質、CD44V10タンパク質またはこれらのいずれかの組み合わせの発現レベルは、これらのタンパク質の既知の較正された発現レベルと比較される。当該CD44スプライスバリアントタンパク質(CD44V3タンパク質、CD44V6タンパク質、CD44V10タンパク質など)の発現レベルの数量化によって、当該神経変性疾患の進行状態が推定することができる。
【0103】
いくつかの実施態様によれば、様々なCD44スプライスバリアントタンパク質に対して特異的に反応してもよくかつそれらを認識してもよい試薬(特異的抗体など)は、発生または進行について神経変性疾患の治療のために使用されてもよい。従って、必要とする患者において神経変性疾患を治療する方法であって、必要とする患者に、有効量の試薬(CD44スプライスバリアントタンパク質(CD44V3タンパク質、CD44V6タンパク質、CD44V10タンパク質、またはこれらのいずれかの組み合わせなど)に対して方向付けられる特異的抗体など)を投与する工程を含む方法が提供される。当該試薬(特異的抗体など)は、当該CD44スプライスバリアントの活性または発現を下方調節し、これにより当該神経変性疾患を治療することができる。
【0104】
いくつかの実施態様によれば、様々な生物学的試料におけるCD44V3、CD44V6、CD44V7およびCD44V10スプライスバリアントの発現の同定、特性解析、検出および定量化のために使用してもよいオリゴヌクレオチド分子が提供される。当該オリゴヌクレオチド分子としては、当該CD44V3(配列番号:1)および/またはCD44V6(配列番号:3)および/またはCD44V7(配列番号:5)および/またはCD44V10(配列番号:7)転写物のヌクレオチド配列の少なくともある1つの領域にヌクレオチド配列がハイブリダイズし得るDNAまたはRNA核酸(例えば、オリゴヌクレオチドプローブ、オリゴヌクレオチドプライマーまたはこれらのいずれかの組み合わせなど)を挙げることができる。例えば、当該オリゴヌクレオチド分子は核酸プローブを含んでいてもよい。適した核酸プローブは100〜200ヌクレオチドを含むことができ、このようなプローブは、様々な生物系におけるCD44スプライスバリアントの発現を同定および定量化するために使用されてもよい。CD44スプライスバリアントの発現の同定および定量化のための当該プローブの使用は、当該プローブと当該CD44スプライスバリアントとの特異的ハイブリダイゼーションに頼る様々な方法によって成し遂げられてもよい。このような方法としては、例えば、ノーザンブロット法分析およびRNAインサイツハイブリダイゼーションを挙げることができる。例えば、当該核酸分子はプライマー対をも含んでいてもよい。プライマー対は、2つの短いオリゴヌクレオチド分子(例えば、10〜30ヌクレオチド長のものなど)であり、当該技術分野で周知の逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)などの方法で様々なCD44スプライスバリアントのmRNA(CD44スプライスバリアント転写物)の発現を検出し定量するために使用されてもよい。この方法では、生物学的試料から抽出されたRNA分子は、逆転写酵素によってDNAへと逆転写される。結果として得られるDNA分子は、次いで、配列が個々のCD44スプライスバリアントの領域の少なくとも一部と同一またはそれに相補的である特異的プライマー対とともに、PCR反応における鋳型として使用される。特異的CD44スプライスバリアントが発現される場合(そのmRNAがある生物学的試料の中に見出されることを意味する)、増幅反応の際に、PCR生成物を認めることができ、そのレベルを定量化することができる。本願明細書に上で記載された様々なCD44スプライスバリアントの各々について、少なくとも1つの特異的プライマー対が設計および調製されてもよい。当該プライマー対の配列は、好ましくは、当該スプライスバリアントの各々の独特の配列領域から誘導されてもよい。当該スプライスバリアントの各々の独特の配列領域は、定常エクソンとバリアントエクソンとをブリッジするジャンクション領域(スプライスジャンクション)に最近接していることが最も好ましい。その目的のために使用されてもよい代表的な特異的プライマー対配列は、本願明細書に後述される実施例1および実施例3に列挙される。
【0105】
いくつかの実施態様によれば、従って、様々なCD44スプライスバリアントを特異的に認識するオリゴヌクレオチド(特異的プローブおよびプライマー対(本願明細書に後述される実施例1および実施例3に列挙されるものなど)など)は、神経変性疾患の診断のために使用されてもよい。当該様々なCD44スプライスバリアントの発現の分析は、試験されるべき個体から得られる様々な生物学的試料に対して行われてもよい。このような試料としては、例えば、血漿試料、組織試料などを挙げることができる。当該試料の分析は、様々なCD44変異体の存在(presence)、存在(existence)、および発現レベルを測定するために使用されてもよい。この分析としては、試料中の転写物発現を測定するために使用される様々な周知の方法(RT−PCR、RT−リアルタイムPCR、ノーザンブロット法、インサイツハイブリダイゼーションなど)を挙げることができる。当該CD44変異体転写物の存在および/または発現レベルは既知の、予め較正された対照と比較されてもよく、そして試験された個体とその対照との間の発現の相違は、疾病の存在および当該疾病の進行のレベルに関する指標を与え得る。例えば、上でおよび実施例1〜2で詳述されるように、様々なCD44転写物(例えば、CD44S、CD44V3、CD44V6および/またはCD44V10など)の発現レベルは、対照の脳と比べてAD患者の脳では有意に上昇している。例えば、CD44V3およびCD44V6転写物発現は、対照と比べてAD患者では約7倍増加される。例えば、CD44V10発現は、対照と比べてAD患者では約18倍増加される。
【0106】
いくつかの実施態様によれば、従って、患者において神経変性疾患(ALS、AD、PDなど)を診断またはモニターする方法であって、当該患者の生物学的試料における核酸の発現レベルを検出する工程を含み、前記核酸は配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む方法が提供される。当該生物学的試料としては、細胞、組織、体液、またはこれらのいずれかの組み合わせを挙げることができる。この発現レベルは、当該生物学的試料から単離される核酸によってコードされるRNAの発現レベルを測定することによって検出され得る。RNA発現レベルの検出は、例えば、PCR、RT−PCR、ノーザンブロット法、リアルタイムPCRなど、またはオリゴヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、cDNA、ゲノムDNA、合成オリゴヌクレオチドなど、またはこれらのいずれかの組み合わせなど)への当該RNAのハイブリダイゼーションを検出するために使用されてもよいこれらのいずれかの組み合わせなど、様々な方法を含んでいてもよい。例えば、当該診断方法は、当該患者の生物学的試料においてポリペプチドの発現レベルを検出する工程であって、当該ポリペプチドが配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む群から選択され得る工程を含んでいてもよい。当該ポリペプチドの発現レベルを検出する工程は、当該ポリペプチドと、当該ポリペプチドに特異的に結合するように適合された抗体との免疫複合体を、ウエスタンブロット、免疫組織化学、免疫細胞化学、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)など、またはこれらのいずれかの組み合わせのような方法(これらに限定されない)によって、検出する工程を含んでいてもよい。例えば、神経変性疾患(例えば、AD、ALSおよびパーキンソン病など)の存在および/または進行レベルを診断する定性的方法は、様々なCD44スプライスバリアント転写物(例えば、CD44S転写物、CD44V3転写物、CD44V6転写物、CD44V7転写物CD44V10転写物、またはこれらのいずれかの組み合わせなど)を認識するオリゴヌクレオチドの使用を含んでいてもよい。当該オリゴヌクレオチドとしては、例えば、合成オリゴヌクレオチド(例えば、実施例1および実施例3に列挙されるもののようなプライマー対など)を挙げることができる。当該CD44変異体転写物(CD44V3転写物、CD44V6転写物、CD44V7転写物、CD44S転写物、および/またはCD44V10転写物など)の存在は、試験された被験者から得られた生物学的試料において試験されてもよい。当該CD44スプライスバリアント転写物(CD44V3転写物、CD44V6転写物、CD44V7転写物、CD44V10転写物またはこれらのいずれかの組み合わせなど)の存在は、当該生物学的試料から得られたRNA抽出物に対して行われる例えばRT−PCR分析、RT−リアルタイムPCR分析などによって試験されてもよい。当該様々なCD44スプライスバリアント転写物(例えば、CD44V3転写物、CD44V6転写物、CD44V10転写物、CD44S、CD44V7、またはこれらのいずれかの組み合わせ)の検出された発現(存在)は、当該試験された被験者における神経変性疾患の存在を示し得る。さらに、定性的方法として本願明細書に記載される方法はまた、定量的方法としても使用されてもよい。定量的方法では、当該試験された被験者における当該CD44V3転写物、CD44V6転写物、CD44V6転写物、CD44V10転写物、CD44S、またはこれらのいずれかの組み合わせの発現レベルは、例えばRT−PCR法またはリアルタイムPCR法によって測定されてよく、これらの転写物の既知の較正された発現レベルと比較される。当該CD44スプライスバリアント転写物(CD44V3転写物および/またはCD44V6転写物、CD44V6転写物、および/またはCD44V10転写物、および/またはCD44S転写物など)の発現レベルの定量化によって、当該神経変性疾患の進行状態が推定され得る。
【0107】
いくつかの実施態様によれば、当該技術分野で公知の様々な方法、試薬および技術が、当該様々なCD44変異体転写物、CD44V3、CD44V6および/またはCD44V10の発現レベルに影響を及ぼすために使用されてもよい。例えば、これらの技術としては、とりわけ、当該CD44変異体転写物、CD44V3、CD44V6および/またはCD44V10の配列に対して少なくとも部分的に相補的な配列を有していてもよい核酸分子(通常は、オリゴヌクレオチドの形態にある)の使用を含んでいてもよい。このような核酸分子としては、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどを挙げることができる。例えば、当該技術分野で周知のsiRNAは、2つのヌクレオチド3’−オーバーハングによって特徴付けられる塩基対構造を有する短いヌクレオチド配列(約21〜23ヌクレオチド)を含んでいてもよい(TuschlおよびBorkhardt、Molecular Intervent. 2002、2(3):158−67)。動物細胞へのsiRNAの導入は、当該siRNAが方向付けられる遺伝子の強力な、長期間持続する、特定の転写後サイレンシングを結果として生じ得る(Caplenら、Proc Natl Acad Sci U.S.A. 2001、98:9742−7;Elbashirら、Nature. 2001、411:494−8;Elbashirら、Genes Dev. 2001、15:188−200;Elbashirら、EMBO J. 2001、20:6877−88)。siRNAを使用するための方法および組成物は、例えば、米国特許第6,506,559号明細書に記載されている。in vitro系から21〜23ヌクレオチド長のsiRNAを生産する方法、および細胞または生物の中で遺伝子のmRNAと干渉させるための当該siRNAの使用は、例えば国際公開第0175164号パンフレットに記載されている。当該siRNAはまた、安定な発現系を用いて哺乳類細胞の中でin vivoで製造されてもよい。例えば、哺乳類細胞の中での低分子干渉RNA(siRNA)の合成を方向付けるpSUPERと名づけられたベクター系が報告された(Brummelkampら、2002、Science 296:550−3)。実施例6(およびその中の表5)に詳述されるように、当該様々なCD44変異体転写物(CD44V3、および/またはCD44V6および/またはCD44V10および/またはCD44Sなど)に対して方向付けられる特定のsiRNA配列は、本願明細書で上述された方法のいずれかによって調製されてもよい。当該siRNAは当該技術分野で公知のいずれかの方法(例えばMeadeら、Adv Drug Deliv.Rev、2007に記載されるものなど)によって投与されてもよい。当該CD44V3、CD44V6、CD44V10、CD44Sおよびこれらのいずれかの組み合わせの発現のサイレンシングの成功を確実にするために、当該siRNAは、当該様々なCD44変異体転写物のmRNAの様々な配列領域に対して方向付けられ得る。実施例6に詳述されるように、そして図7に示されるように、様々なCD44変異体のmRNAの発現レベルは特定のsiRNA分子の使用によって減弱され得る。実施例6に詳述されるように、3つのsiRNA分子がCD44S、CD44V3、CD44V3およびCD44V10変異体の各々に対して設計された。当該siRNA分子は細胞の中へと導入されて、mRNAの発現レベル、および当該CD44のタンパク質はRT−PCRによって検出された。ここで、様々なCD44転写物のmRNA発現に対する様々なsiRNA分子の効果を示す図7を参照する。図7のパネルIは、異なる実験条件下(「−RT」 − 反応液中に逆転写酵素なし;「NT」 − 形質移入されていない細胞;「NR」 − 関連性のないsiRNA;CD44V3 siRNA #1−#3 − 表6に列挙されたそれぞれの配列を有するsiRNA分子)でのCD44V3転写物の発現レベルを示すアガロースゲルピクトグラムを図示する。図7、パネルIに示すように、当該siRNAのうちの少なくとも2つの存在下でのCD44V3の発現レベルは有意に減少されるが、これに対して、対照遺伝子アクチンのmRNAの発現レベル、およびCD44Sの発現レベルは影響を受けなかった。図7のパネルIIは、異なる実験条件下(「−RT」 − 反応液中に逆転写酵素なし;「NT」 − 形質移入されていない細胞;「NR」 − 関連性のないsiRNA;CD44V6 siRNA #1−#3 − 表6に列挙されたそれぞれの配列を有するsiRNA分子)でのCD44V6転写物の発現レベルを示すアガロースゲルピクトグラムを図示する。図7、パネルIIに示すように、当該siRNAのうちの少なくとも2つの存在下でのCD44V6の発現レベルは有意に減少されるが、これに対して、対照遺伝子アクチンのmRNAの発現レベル、およびCD44Sの発現レベルは影響を受けなかった。図7のパネルIIIは、異なる実験条件下(「−RT」 − 反応液中に逆転写酵素なし;「NT」 − 形質移入されていない細胞;「NR」 − 関連性のないsiRNA;CD44V10 siRNA #1−#3 − 表6に列挙されたそれぞれの配列を有するsiRNA分子)でのCD44V10転写物の発現レベルを示すアガロースゲルピクトグラムを図示する。図7、パネルIIIに示すように、当該siRNAのうちの少なくとも2つの存在下でのCD44V10の発現レベルは有意に減少されるが、これに対して、対照遺伝子アクチンのmRNAの発現レベル、およびCD44Sの発現レベルは影響を受けなかった。実施例6の表7に提示される定量分析は、siRNA分子は当該様々なCD44変異体のmRNAの発現を有意に減少させることができるということを示す。
【0108】
アンチセンス技術は、一般的に、(DNAまたはRNA分子(例えば、mRNA分子など)を含んでいてもよい)標的の発現を減弱および/または抑制するために使用され、RNA−RNA相互作用、RNA−DNA相互作用、三重らせん相互作用、リボザイムおよびリボヌクレアーゼH媒介性の効果が伴う場合がある。アンチセンス核酸分子(アンチセンスオリゴヌクレオチドなど)は、通常はRNAまたはDNA分子(上記標的)の中の相補的な塩基とのハイブリダイゼーションの際に、例えば特定の遺伝子、mRNA分子などを含んでいてもよい標的の発現を減弱および/または抑制し得る一本鎖の核酸分子である。当該アンチセンス核酸分子は、合成的に調製されてもよいし、または細胞中での発現のための組み換え遺伝子によってコードされてもよい。合成オリゴヌクレオチドのいくつかの非限定的な例は、ホスホロチオエート、リン酸トリエステル、ホスホン酸メチル、短鎖アルキル、またはシクロアルキル糖間(intersugar)連鎖または短鎖へテロ原子もしくは複素環式糖間連鎖を含むオリゴヌクレオチドを挙げることができる。窒素リンカーまたは窒素含有基もまた、オリゴヌクレオチド模倣物を調製するために使用されてもよい。ホスホロアミド酸およびホスホロチオアミド酸(phosphorothioamidate)オリゴマー化合物、ならびにモルホリノ骨格構造を有するオリゴヌクレオチドもまた含まれる。オリゴヌクレオチドのリン酸ジエステル骨格がポリアミド骨格で置き換えられて、塩基が当該ポリアミド骨格のアザ窒素原子に直接にまたは間接的に結合されてもよいペプチド−核酸(PNA)骨格もまた、使用されてもよい。他の合成オリゴヌクレオチドは、2’位置に以下のもののうちの1つを含む置換された糖部分を含んでいてもよい:OH、SH、SCH、F、OCN、O(CHまたはO(CH(式中、nは1〜約10である);C〜C10低級アルキル、置換された低級アルキル、アルカリールまたはアラルキル;Cl;Br;CN;CF;OCF;O−−;S−−、またはN−アルキル;O−−、S−−、またはN−アルケニル;SOCH;SOCH;ONO;NO;N;NH;ヘテロシクロアルキル;ヘテロシクロアルカリール;アミノアルキルアミノ;ポリアルキルアミノ;置換されたシリル;蛍光部分;RNA切断基;レポーター基;介入物(intercalator);オリゴヌクレオチドの薬物動態および/または薬力学的特性を改善するための基;および同様の特性を有する他の置換基。オリゴヌクレオチドはまた、ペントフラノシル基の代わりに糖模倣物(シクロブチルまたは他の炭素環式部分)をも有していてもよい。例えば、様々なCD44変異体転写物(CD44V3、および/またはCD44V6および/またはCD44V10など)に対して方向付けられるアンチセンスオリゴヌクレオチドなどのアンチセンス分子が調製されてもよい。当該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、CD44V3、CD44V6、CD44V10、およびこれらのいずれかの組み合わせの発現の減弱/サイレンシングの成功を確実にするために、当該様々なCD44変異体転写物のmRNAの様々な配列領域に対して方向付けられてもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用は、好ましい細胞条件(例えば、Du L.ら、PNAS、2007,104:6007−12;Huaら、PloS Biol. 2007、5:e73に記載されるような、最適な温度およびバッファー条件を含む)下で行われる。
【0109】
いくつかの実施態様によれば、当該CD44変異体転写物配列(CD44V3、CD44V6、CD44V7、CD44Sおよび/またはCD44V10など)の発現を減弱(下方調節)するように設計される、これらの転写物の様々な領域に対して方向付けられるオリゴヌクレオチドは、神経変性疾患を治療するために使用されてもよい。当該オリゴヌクレオチドとしては、例えば、本願明細書で上記および実施例6に記載されたもののようなsiRNA分子を挙げることができる。従って、このように、患者の神経変性疾患の治療方法であって、核酸によってコードされるRNAの発現を減弱し得る試薬を含んでいる組成物の投与を含んでいてもよく、当該核酸は配列番号:1、配列番号:3、配列番号:7、またはこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される方法が提供される。当該試薬は、例えば、前記核酸とハイブリダイズし得る1以上のポリヌクレオチドを含んでいてもよい。当該1以上のポリヌクレオチドは、DNA、RNA、siRNA、またはこれらのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。例えば、当該試薬は、1以上のSME(例えば、ERK MAP−キナーゼ経路修飾因子、PKC修飾因子など)を含んでいてもよい。例えば、当該方法は、様々なCD44変異体(CD44V3、CD44V6、CD44V7、CD44Sおよび/またはCD44V10など)のRNA(mRNA)を標的とするアンチセンス核酸および/またはsiRNA分子を、神経変性疾患を有する患者、患者の細胞、または生物の中へと導入する工程と;導入された細胞または生物を、オリゴヌクレオチドとともに、当該オリゴヌクレオチドと当該様々なCD44スプライスバリアントの標的mRNAとの相互作用を優先する条件下で維持する工程と;当該様々なCD44スプライスバリアント、CD44V3、CD44V6、CD44V7、CD44V10、CD44S、またはこれらのいずれかの組み合わせの発現の下方制御を検証することによって、当該神経変性疾患を治療する工程とを含んでいてもよい。
【0110】
いくつかの実施態様によれば、様々なCD44スプライスバリアントの活性および/または発現に影響を及ぼし得る(調節し得る)小分子実体(SME)が同定されてもよい。小分子実体としては、当該CD44スプライスバリアントと相互作用して、当該CD44変異体とその生理学的に関連するリガンドとの相互作用を崩壊し得るいずれの分子または物質を挙げることができる。例えば、SMEは、物質を同定することが当該技術分野で公知の適切なハードウェアおよびソフトウェアを用いてコンピュータ内(in silico)で開発されてもよい。SMEは、例えば当該CD44スプライスバリアントと相互作用し得る分子実体についての化学ライブラリのin−vitroおよびin−vivoスクリーニングによって、開発されてもよい。例えば、CD44スプライスバリアント(CD44V3、CD44V6および/またはCD44V10など)と生理的リガンドであるヒアルロン酸およびその誘導体との結合は、当該SMEの存在下または不存在下で評価されてもよい。同様に、CD44V3、CD44V6および/またはCD44V10の相互作用は、SME候補の存在下または不存在下で試験されてもよい。このようにして同定されたSMEは、当該様々なCD44スプライスバリアントの活性および/または発現に影響を及ぼす(調節する)ために使用されてもよい。例えば、当該SMEは、当該CD44スプライスバリアントの拮抗薬として使用されてもよい。例えば、当該SMEは、当該CD44スプライスバリアントの作動薬として使用されてもよい。例えば、当該SMEは、当該様々なCD44変異体の発現に直接にまたは間接的に影響を及ぼし得る(調節し得る)いずれの分子または物質を含んでいてもよい。例えば、当該SMEは、様々なCD44変異体の発現レベルを直接または間接的に減少させる(減弱する)および/または増加させるために使用されてもよい阻害剤および/または活性化剤を含んでいてもよい。
【0111】
例えば、ERK MAP−キナーゼ経路がCD44選択的スプライシングの調節に関与する場合があることが示されている(Weg−Remersら、EMBO J. 2001、20:4194−203)。いくつかの実施態様によれば、ニューロン由来の細胞でのCD44選択的スプライシングに対する当該ERK経路の関与は、実施例7に詳述され、図8に示される。胚の脊髄運動ニューロンおよび神経芽細胞腫細胞の融合物に由来するマウスのNSC−34細胞の細胞培養液が播かれ、未処置のまま残されるか、またはMEK阻害剤U0126で処置されるかされた。CD44変異体のmRNAの発現レベルはRT−PCRによって検出された。図8に示されるように、U0126によるERK−MAPK経路の調節(阻害による)はCD44バリアントエクソンスプライシングの有意な減少を引き起こす。図8、パネルAに示されるように、CD44SのmRNAレベルは阻害剤(UO126)の存在下でも変化しない。図8、パネルBに示されるように、CD44V3のmRNAレベルは、当該阻害剤の不存在下でのCD44V3の発現レベル(「−」、中央レーン)と比べて、当該阻害剤の存在下で減少される(「+」、右レーン)。図8、パネルCに示されるように、CD44V7のmRNAレベルは、当該阻害剤の不存在下でのCD44V7の発現レベル(「−」、中央レーン)と比べて、当該阻害剤の存在下で減少される(「+」、右レーン)。図8、パネルDに示されるように、CD44V5のmRNAレベルは、当該阻害剤の不存在下でのCD44V5の発現レベル(「−」、中央レーン)と比べて、当該阻害剤の存在下で減少される(「+」、右レーン)。図8、パネルEに示されるように、CD44V10のmRNAレベルは、当該阻害剤の不存在下でのCD44V10の発現レベル(「−」、中央レーン)と比べて、当該阻害剤の存在下で減少される(「+」、右レーン)。図8にさらに示されるように、パネルFは対照であり、対照遺伝子、アクチンの発現に対する当該阻害剤UO126の効果の欠如を示す。また、パネルA〜Fの左手レーンは、RT酵素の不存在下(「−RT」)で行われた陰性対照である。従って、ERK経路を調節することが知られている小分子は、神経細胞におけるCD44選択的スプライシングの調節のためにさらに使用されてもよい。
【0112】
患者の神経変性疾患の治療を目的とする当該様々なCD44スプライスバリアントの発現および/または活性を(下方調節(減弱)および/または増加することによって)調節するように設計される本願明細書に上記された試薬(例えばsiRNA分子など)は、それが薬剤的に許容できる担体および賦形剤と混合される医薬組成物の一部であるまたは一部であり得るとして当該患者に提供されてもよい。当該siRNA分子は、例えば当該患者の細胞、組織などへさらに導入されてもよい。試薬および/またはそれを含有する医薬組成物は、いずれかの公知の投与経路によって提供されてもよい。当該試薬はまた、パックまたは分注器装置(キットなど)の中で提供されてもよい。さらに、当該試薬はまた、様々な他の有効成分と組み合わせても投与されてもよい。
【0113】
当該様々なCD44スプライスバリアントおよび当該CD44スプライスバリアント生成物の発現を検出および定量化するように設計される本願明細書に上記された試薬は、キットの形態で提供されてもよい。例えば、当該キットとしては、神経変性疾患を診断するためのキットを挙げることができる。当該キットは、生物学的試料における核酸の発現を検出し得る少なくとも1つの試薬を含んでいてよく、当該核酸は配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、またはこれらのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。当該試薬は、例えば、当該核酸または当該核酸によってコードされるRNA分子とハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。例えば、当該キットは、生物学的試料におけるポリペプチドの発現を検出し得る少なくとも1つの試薬を含んでいてよく、当該ポリペプチドは配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、またはこれらのいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。当該試薬は、例えば、当該ポリペプチドと特異的に相互作用しかつ当該ポリペプチドと検出可能な免疫複合体を形成するように適合された抗体を含んでいてもよい。
【0114】
他の実施態様によれば、当該様々なCD44スプライスバリアントのコード配列(CD44V3コード配列またはCD44V6コード配列またはCD44V7コード配列またはCD44V10コード配列など)を含んでいてもよい組み換え構築物(例えば発現ベクターなど)が調製されてもよい。当該構築物は、当該CD44スプライスバリアントのヌクレオチド配列がフォーワード配向またはリバース配向で挿入されるベクター(プラスミドまたはウイルスベクターなど)を含んでいてもよい。さらに、当該構築物はさらに、制御配列(プロモーターなど)を含んでいてもよい。当該構築物はさらに、当該CD44スプライスバリアントヌクレオチド配列の前後にインフレームに挿入されてもよい様々な他の非関連タンパク質および/またはペプチドのさらなるコード配列を含んでいてもよい。当該ベクターの中に導入されるCD44スプライスバリアントのヌクレオチド配列は、当該CD44スプライスバリアント転写物の全体の、全長のコード配列、または一部の配列のみを含んでいてもよい。ベクターの選択および当該組み換え構築物の構築は、当該技術分野で公知の方法のいずれかによって行われてもよい。当該組み換え構築物は、例えば実験目的、診断目的および/または治療目的のために、様々な生物系において当該様々なCD44スプライスバリアント(CD44V3、CD44V6、またはCD44V7および/またはCD44V10など)の発現を誘導するために、使用されてもよい。
【0115】
いくつかの代表的な態様および実施態様が上で議論されたが、当業者は、特定の修飾、順列、付加およびこれらのサブコンビネーションを認識するだろう。従って、添付の特許請求の範囲および今後導入される請求項が、全てのこのような修飾、順列、付加およびこれらのサブコンビネーションを、それらの真の趣旨および範囲内にあるものとして含むと解釈されるものとすることが意図されている。
【実施例】
【0116】
(実施例1 − AD患者および正常対照の海馬におけるCD44V3、CD44V6およびCD44V10の発現)
死後のAD患者および正常対照から単離した凍結した海馬試料から全RNAを抽出した(EZ RNAキット、Beit Haemek)。次いでRNAを半定量的RT−PCR分析で使用した。まず、RNAを逆転写反応(RT)に供した。逆転写を、5UのSuperscript II逆転写酵素(インビトロジェン)を用いて行った。反応混合物を、42℃で1時間インキュベーションした。200μM dNTPs、1.25U Thermoprime Plus DNAポリメラーゼ(エービージーン(ABgene))および0.5mM プライマー:
V3_F:5’−TGACCACACAAAACAGAACCA−3’
C6_R:5’−CCCATGTGAGTGTCCATCTG−3’
C5_F:5’−GAGCAGCACTTCAGGAGGTTAC−3’
V6_R:5’−GGGTAGCTGTTTCTTCCGTTG−3’
C5V10_F:5’−GACAGAATCCCTGCTACCAATAGG−3’
V10C6_R:5’−GGAATGTGTCTTGGTCTCCTGAT−3’
を含む20μlの反応体積で、1μlのRT反応液を用いて、マイクロプロセッサ制御の恒温器の中でPCR工程を行った。
【0117】
増幅のために42サイクルを行い、各サイクルは94℃で1分間、55℃で1分間および72℃で1分間からなっていた。さらに、結果の正規化のためにアクチン用プライマーを当該PCR反応液の中に含めた。増幅生成物を、アガロースゲル(QIAquickゲル抽出キット、キアゲン(Qiagen))から精製し、当該PCR反応で使用したプライマーのうちの1つを用いて配列決定した。配列データを、ヒトRefSeqおよびゲノムのデータベース(NCBI)に対して実行されるBlastNアルゴリズムを用いて解析した。
【0118】
当該半定量的RT−PCRの結果を表1にまとめた。表1の左カラムは、配列決定により確認したバリアントエクソンの同一性および定常エクソンへの連結ブリッジ(connection bridge)を示す。当該様々なPCR生成物の発現レベルは、アガロースゲル上で認められた相対的なバンド強度によって判定した。相対的な発現のレベルは、+記号の数(1、2および3。それぞれ、弱い発現、中程度の発現、強い発現を表す)で示した。0は認められるバンドがなかったことを意味し(発現がなかったことを意味する)、NDは反応を行わなかったことを意味する。
【0119】
【表1】

【0120】
(実施例2 − リアルタイムPCRにより正常対照と比較した、ADの脳におけるCD44S、CD44V3、CD44V6およびCD44V10の発現)
EZ RNAキット(Beit Haemek)を用いて、死後のAD患者(n=10)および正常対照(n=10)から単離した凍結した海馬の試料から、全RNAを抽出した。全RNA濃度は、nanodrop 1000装置(サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific))を用いて測定した。製造業者の指示に従ってBioscript逆転写酵素(バイオライン(Bioline))を用いて、各試料からの1.5μgのRNAを逆転写した。当該反応混合物を42℃で1時間インキュベーションした。Platinum SYBR Green qPCR SuperMix−UDG(インビトロジェン)試薬を、500nM プライマーとともに、qPCRのために用いた。qPCR反応の線形性を確実にするためおよび当該Ct実験値を相対的な発現値に変換するために、標準曲線を、プライマーの各対に対して、(cDNAプールの6つの濃度(二重)に対して)行った。リアルタイムPCRサイクルプログラムは以下のとおりである:50℃、2分間、95℃、2分間、次いで95℃ 15秒間および60℃ 34秒間を40サイクル。全てのqPCR反応を、アプライドバイオシステムズ 7500 リアルタイムPCRシステム(ABI)で行った。
【0121】
データは、年齢および性別を合致させた正常対照と比較した、AD患者におけるCD44S、CD44V3、CD44V6、CD44V10の発現の有意な増加を示す。
【0122】
【表2】

【0123】
(実施例3 − APP751遺伝子導入マウスおよび正常対照におけるCD44V7の発現)
AD様病理におけるCD44V7変異体の発現を特徴付けるために、マウスのThy−1プロモーターの調節下でロンドン(V717I)およびスウェーデン(K670M/N671L)変異(両変異は家族性のADと関連することが見出された)を含むヒトAPP751を発現するhAPPマウスを使用した。当該APP751マウスは、4〜6月齢で新皮質および海馬にアミロイド斑を発生し、6ヶ月で始まる記憶欠損を示す。7〜7.5月齢の雌のAPP751遺伝子導入マウスおよび遺伝子導入していない同腹仔から海馬組織を単離した。EZ−RNA(Beit Haemek)を使用して、RNAを抽出した。5UのSuperscript II逆転写酵素(インビトロジェン)を用いて、等量の全RNAをcDNAへと逆転写した。当該反応混合物を42℃で1時間インキュベーションした。200μM dNTPs、1.25U Thermoprime plus DNAポリメラーゼ(ラローバ(Larova))および0.5μMの、下記の一覧からのオリゴヌクレオチド、
C3F:5’−TCTGTGCAGCAAACAACACA
C6R:5’−CCCATGTGAGTGTCCATCTG
V7F:5’−TGTTTCCTGGACAGATTTCTTCG
アクチンF:5’−CTCCCTGGAGAAGAGCTACGAG
アクチンR:5’−CGTCATACTCCTGCTTGCTGAT
を含む20μlの反応体積で、1μlのRTを用いて、マイクロプロセッサ制御の恒温器の中で半定量的PCR工程を行った。当該PCRのための工程サイクルプログラムは、42サイクル(CD44V7について)、32サイクル(CD44S増幅について)または25サイクル(基準遺伝子として使用したβ−アクチンについて)に対して、94℃で30秒間の変性、58℃で30秒間のアニーリングおよび72℃で30秒間の伸張を含んでいた。アガロースゲル上で流したPCR生成物のバンド強度を、TotalLabソフトウェアを用いて数量化した。非遺伝子導入マウスと比べて、APP751マウスでは、V7−C10接合部を有する転写物を含むmRNAの発現の7.2倍の増加が認められた。CD44Sの16%の増加を、類似の条件下で認めた。
【0124】
(実施例4 − ALS患者および正常対照の腰髄および運動皮質におけるCD44V3、CD44V6およびCD44V10の発現)
組織を、Human Brain and Spinal Fluid Resource Centre(米国、カリフォルニア州)から得た。ALS患者および年齢および性別を合致させた正常対照の腰髄および運動皮質からRNAを抽出した。当該RNAを、実施例1で詳述したとおりの半定量的RT−PCR反応で用いた。ALS患者および正常対照の運動皮質および腰髄から得たRNA試料に対して行った半定量的RT−PCRの結果を表3に提示する。表3の左カラムは、配列決定により確認したバリアントエクソンの同一性および定常エクソンへの連結ブリッジを示す。当該様々なPCR生成物の発現レベルは、アガロースゲル中で認められた相対的なバンド強度によって判定した。相対的な発現のレベルは、+記号の数(1、2および3。それぞれ、弱い発現、中程度の発現、強い発現を表す)で示した。0は認められるバンドがなかったことを意味し(発現がなかったことを意味する)、NDは反応を行わなかったことを意味する。
【0125】
【表3】


【0126】
(実施例5 − AD患者の脳の中のCD44スプライスバリアントの免疫細胞化学的分析)
8μmの切片を、ホルマリンで固定した、パラフィンに包埋した海馬組織(Netherland’s brain bank)から調製した。用いた一次抗体は、CD44(HCAM、ラットクローン IM7、サンタクルーズ(Santa Cruz))、CD44V3(マウスモノクローナル vff−327、エービーカム(ABcam))、CD44V6(ウサギポリクローナル、ケミコン(Chemicon))およびCD44V10(ウサギポリクローナル、ケミコン(Chemicon))に対してものであった。用いた二次抗体は、HRPに接合した関連種、ポリマー増強(Envision(登録商標)、ダコ(Dako))、基質:DABに対してものであった。陰性対照は、当該ウサギポリクローナル抗体については、当該一次抗体と同じタンパク質濃度のnon−immuneウサギ血清中のアイソタイプを合致させた血清対照であり、当該マウス抗体については複数のアイソタイプ対照(ダコ(Dako))であった。当該ラット抗体については、それは当該一次抗体と同じタンパク質濃度の合致したアイソタイプの対照であった。表4は、免疫組織化学的染色の結果をまとめる。
【0127】
この免疫組織化学的染色は、差異的な細胞内および細胞レベル下(subcellular)内局在を明らかにする。CD44sは主にアストロサイト中および老人斑内に見出されるが、CD44変異体染色は、細胞質内核傍領域のニューロンに見出される。
【0128】
【表4】

【0129】
(実施例6 − siRNA実験 − ヒト細胞におけるCD44発現のノックダウン)
確立したパラメータを用いて様々なCD44変異体に対して方向付けられる様々なsiRNA分子を設計し、その配列を下記の表5に列挙した。HeLa細胞(前日に、6穴プレートに15×10細胞を播いた)に、製造業者の指示に従ってリポフェクタミン RNAi Max(インビトロジェン)を用いて、10nMの最終濃度で様々なsiRNA(IDT)を用いて形質移入した。陰性対照として、細胞を形質移入しないまま残す(NT)か、または細胞を、5’末端でTYE563で標識した関連性のないsiRNA(その配列はいずれの公知のヒトmRNAに対してもまったく意味ある相同性を有しない)を用いて形質移入した(NR)。CD44V6 siRNAで形質移入した細胞は形質移入後24時間血清不足にし、さらに8時間血清更新した(serum renewal)(例えば、Chengら、Genes Dev.(2006)20:1715−20に記載されるとおり)。陽性対照として、この変異体については、Chengらが使用したsiRNA配列を基準として用いた(siRNA #2)。
【0130】
EZ−RNA(Beit Haemek)を用いて形質移入後48時間のHela細胞から全RNAを単離し、5UのSuperscript II逆転写酵素(インビトロジェン)を用いて等量の全RNAをcDNAへと逆転写した。当該反応混合物を42℃で1時間インキュベーションした。200μM dNTPs、1.25U Thermoprime plus DNAポリメラーゼ(ラローバ(Larova))、および0.5μMの、下記の一覧:
C3F:5’−TCTGTGCAGCAAACAACACA
C6R:5’−CCCATGTGAGTGTCCATCTG
V3R:5’−AGCCTGCTGAGATGGTATTTGA
V6R:5’−GGGTAGCTGTTTCTTCCGTTG
V10R:5’−TCTTCCACCTGTGACATCATTC
アクチンF:5’−CTCCCTGGAGAAGAGCTACGAG
アクチンR:5’−CGTCATACTCCTGCTTGCTGAT
からのオリゴヌクレオチドを含む20μlの反応体積で、1μlのRT反応液を用いて、マイクロプロセッサ制御の恒温器の中で半定量的PCR工程を行った。
【0131】
当該PCRのための工程サイクルプログラムは、42サイクル(V3、V6およびV10増幅)、32サイクル(CD44S増幅)または25サイクル(基準遺伝子として使用したβ−アクチンについて)に対して、94℃で30秒間の変性、58℃で30秒間のアニーリングおよび72℃で30秒間の伸張に設定した。データのさらなる定量化のために、TotalLabソフトウェアを用いてバンド強度を数量化した。数量化の結果を表6に提示する。表6は、形質移入していない細胞(NT)に対して正規化したCD44変異体とβ−アクチン(対照遺伝子)との間の比を示す。
【0132】
CD44S、CD44V3、CD44V6およびCD44V10のmRNA発現レベルの有意な減少(>80%)が、当該CD44アイソフォームの各々に対して方向付けられる少なくとも1つの新規なsiRNAの同時発現の結果として、認められた。
【0133】
【表5】

【0134】
【表6】

【0135】
(実施例7 − ニューロン由来の細胞におけるERK−MAPキナーゼの阻害剤によるCD44選択的スプライシングの調節)
ニューロン由来の細胞でのCD44選択的スプライシングに関するERK経路の関与を試験するために、胚の脊髄運動ニューロンおよび神経芽細胞腫細胞の融合物に由来するマウスのNSC−34細胞を使用した。NSC−34細胞培養(前日に、6穴プレートに15×10細胞を播いた)を、未処置のまま残すか、または10μMのMEK阻害剤U0126(シグマ(Sigma))で6時間処置するかした。EZ−RNAキット(Beit Haemek)を用いて全RNAを当該細胞から単離し、等量のRNAを、5UのSuperscript II逆転写酵素(インビトロジェン)を用いてcDNAへと逆転写した。当該反応混合物を42℃で1時間インキュベーションした。200μM dNTPs、1.25U Thermoprime plus DNAポリメラーゼ(エービージーン(ABgen))および0.5μMの、以下:
C5F:5’−GAGCACCCCAGAAAGCTACATT−3
C7R:5’−CCAGAAGTTGTGGTCACTCCAC−3
V3R:5’−ATCATCAATGCCTGATCCAGA−3
V5F:5’−CCACAGCCTCCTTTCAATAACC−3
V7F:5’−TGTTTCCTGGACAGATTTCTTCG−3
V10F:5’−TCTGGGTATTGAAAGGTGTAGCC−3
アクチンF:5’−CTCCCTGGAGAAGAGCTACGAG−3
アクチンR:5’−CGTCATACTCCTGCTTGCTGAT−3
のプライマーを含む20μlの反応体積で、1μlのRTを用いて、マイクロプロセッサ制御の恒温器の中で半定量的PCR工程を行った。当該PCRのための工程サイクルプログラムを、42サイクル(V3、V7、V5およびV10増幅)または32サイクル(CD44S増幅)に対して、94℃で30秒間の変性、58℃で30秒間のアニーリングおよび72℃で30秒間の伸張に設定した。アクチン対照PCRを、結果の正規化のために行った。図8、パネルB〜Eに見られ得るように、U0126(右レーン、「=」)によるERK経路の阻害により、CD44バリアントエクソンスプライシングの有意な減少が認められた。
【0136】
(参考文献)
Miyakeら、(1990) Hyaluronate can function as a cell adhesion molecule and CD44 participates in hyaluronate recognition。 J.Exp Med、172:69−75。
Aruffoら、(1990) CD44 is the principal cell surface receptor for hyaluronate Cell、61:1303−13。
Peachら、(1993) Identification of hyaluronic acid binding sites in the extracellular domain of CD44。 J. Cell Biol、122:257−64。
Jalkanenら、(1992) Lymphocyte CD44 binds the COOH−terminal heparin−binding domain of fibronectin。 J Cell Biol、116:817−25。
Fasssenら、(1992) A cell surface chondroitin sulfate proteoglycan, immunologically related to CD44, is involved in type I collagen−mediated melanoma cell motility and invasion。 J Cell Biol、116:521−31。
Dimitroffら、(2000) A distinct glycoform of CD44 is an L−selectin ligand on human hematopoietic cells。 PNAS、97:13841−6。
Dimitroffら、(2001) CD44 is a major E−selectin ligand on human hematopoietic progenitor cells J Cell Biol、153:1277−86。
Fujimotoら、(2001) CD44 binds a chondroitin sulfate proteoglycan, aggrecan。 Int Immunol、13:359−66。
Tsukitaら、(1994) ERM family members as molecular linkers between the cell surface glycoprotein CD44 and actin−based cytoskeletons J Cell Biol、126:391−401。
Screatonら、(1992) Genomic structure of DNA encoding the lymphocyte homing receptor CD44 reveals at least 12 alternatively spliced exons。 PNAS、89:12160−4。
Toelgら、(1993) Splicing choice from ten variant exons establishes CD44 variability NAR、21:1225−9。
Screatonら、(1993) The identification of a new alternative exon with highly restricted tissue expression in transcripts encoding the mouse Pgp−1(CD44) homing receptor. Comparison of all 10 variable exons between mouse, human, and rat。 J Biol Chem, 268:12235−8。
Gunthert, (1993) CD44:a multitude of isoforms with diverse functions。 Curr.Top Microbiol Immunol、184:47−63。
Niら、(2002) Expression of CD44 variants in colorectal carcinoma quantified by real−time reverse transcriptase−polymerase chain reaction。 J.Lab.Clin.Med、139:59−65。
Bellら、(1998) Influence of intron length on alternative splicing of CD44。 Mol Cell Biol、18:5930−41。
Gunthertら、 (1991) A new variant of glycoprotein CD44 confers metastatic potential to rat carcinoma cells。 Cell、65:13−24。
Heiderら、(1993) A human homologue of the rat metastasis−associated variant of CD44 is expressed in colorectal carcinomas and adenomatous polyps。 J Cell Biol、120:227−33。
Wielengaら、(1993) Expression of CD44 variant proteins in human colorectal cancer is related to tumor progression. Cancer Res、53:4754−6。
Naorら、(2002) CD44 in cancer。 Crit Rev Clin Lab Sci、39:527−79。
Lesleyら、(1995) Site−specific de−N−glycosylation of CD44 can activate hyaluronan binding, and CD44 activation states show distinct threshold densities for hyaluronan binding。 J Exp Med、182:431−7。
Stamenkovicら、(1991) The hematopoietic and epithelial forms of CD44 are distinct polypeptides with different adhesion potentials for hyaluronate−bearing cells。 Embo J 1991、10:343−8。
Van der Voortら、(1995) Binding of cell−surface expressed CD44 to hyaluronate is dependent on splicing and cell type。 Biochem Biophys Res Commun、214:135−144。
Reberら、(1990) Retardation of metastatic tumor growth after immunization with metastasis−specific monoclonal antibodies。 Int J Cancer、46:919−27。
Rothmanら、(1991) Human T cell activation by OKT3 is inhibited by a monoclonal antibody to CD44。 J Immunol、147:2493−9。
Ristamakiら、(1994) Serum CD44 in malignant lymphoma:an association with treatment response。 Blood、84:238−43。
Haynesら、(1991) Measurement of an adhesion molecule as an indicator of inflammatory disease activity. Up−regulation of the receptor for hyaluronate(CD44) in rheumatoid arthritis。 Arthritis Rheum、1991、34:1434−43。
Haegelら、(1993) Activated mouse astrocytes and T cells express similar CD44 variants. Role of CD44 in astrocyte/T cell binding J Cell Biol.、122:1067−77。
Lamanら、(1998) Therapy with antibodies against CD40L (CD154) and CD44−variant isoforms reduces experimental autoimmune encephalomyelitis induced by a proteolipid protein peptide Mult Scler.、4:147−53。
Garinら、(2007) CD44 variant DNA vaccination with virtual lymph node ameliorates experimental autoimmune encephalomyelitis through the induction of apoptosis。 J Neurol Sci.、258:17−26。
Matsuokaら、(2000) CD44 splice variant involvement in the chronic inflammatory disease of the spinal cord:HAM/TSP。 J Neuroimmunol. 2000、102:1−7。
Boilleeら、(2006) ALS:a disease of motor neurons and their nonneuronal neighbors Neuron、52:39−59。
Peharら、 (2005) Complexity of astrocyte−motor neuron interactions in amyotrophic lateral sclerosis Neurodegener.Dis., 2:139−46。
Di Giorgio、(2007)ら、Non−cell autonomous effect of glia on motor neurons in an embryonic stem cell−based ALS model Nat Neurosci.、10:608−614。
Espositoら、(2007) Non−steroidal anti−inflammatory drugs in Parkinson’s disease。 Exp Neurol. 205:295−312。
Kimら、(2006) Microglia, major player in the brain inflammation:their roles in the pathogenesis of Parkinson’s disease。 Exp Mol Med. 38:333−47。
Haegelら、(1993) Activated mouse astrocytes and T cells express similar CD44 variants. Role of CD44 in astrocyte/T cell binding。 J Cell Biol、122:1067−77。
Akiyamaら、(1993) Morphological diversities of CD44 positive astrocytes in the cerebral cortex of normal subjects and patients with Alzheimer’s disease。 Brain Res.、632:249−59。
Lobsigerら、(2007) Toxicity from different SOD1 mutants dysregulates the complement system and the neuronal regenerative response in ALS motor neurons。 Proc Natl Acad Sci.,104(18):7319−26。
Guriecら、(1997) CD44 isoforms with exon v6 and metastasis of primary N0M0 breast carcinomas。 Breast Cancer Res Treat.、44:261−8。
Merrifield J.、(1964) Solid−phase peptide synthesis. 3. An improved synthesis of bradykinin。 Biochemistry、3:1385−90。
Ravikumarら、(004) Inhibition of mTOR induces autophagy and reduces toxicity of polyglutamine expansions in fly and mouse models of Huntington disease。 Nat. Genet、36:585−95D。
Shibataら、(2006) Regulation of intracellular accumulation of mutant Huntingtin by Beclin 1。 J.Biol.Chem.、281:14474−85。
Yuら、(2005) Macroautophagy−−a novel Beta−amyloid peptide−generating pathway activated in Alzheimer’s disease。 J.Cell Biol.、171:87−98。
Pickfordら、(2008) The autophagy−related protein beclin 1 shows reduced expression in early Alzheimer disease and regulates amyloid beta accumulation in mice。 J Clin Invest.、118:2190−99。
TuschlおよびBorkhardt、(2002) Small interfering RNAs:a revolutionary tool for the analysis of gene function and gene therapy。 Molecular Intervent.、2:158−67。
Caplenら、(2001) Specific inhibition of gene expression by small double−stranded RNAs in invertebrate and vertebrate systems。 Proc Natl Acad Sci U.S.A.、98:9742−7。
Elbashirら、(2001) Duplexes of 21−nucleotide RNAs mediate RNA interference in cultured mammalian cells。 Nature、411:494−8。
Elbashirら、(2001) RNA interference is mediated by 21− and 22−nucleotide RNAs Genes Dev.、15:188−200。
Elbashirら、(2001) Functional anatomy of siRNAs for mediating efficient RNAi in Drosophila melanogaster embryo lysate。 EMBO J.、20:6877−88。
Brummelkampら、(2002) A system for stable expression of short interfering RNAs in mammalian cells。 Science、296:550−3。
MeadeおよびDowdy、(2007) Exogenous siRNA delivery using peptide transduction domains/cell penetrating peptides。 Adv Drug Deliv.Rev.、59:134−40。
Du,Lら、(2007) Correction of prototypic ATM splicing mutations and aberrant ATM function with antisense morpholino oligonucleotides。 Proc Natl Acad Sci U.S.A、104:6007−12。
Huaら、(2007) Enhancement of SMN2 exon 7 inclusion by antisense oligonucleotides targeting the exon。 PloS Biol.、2007、5:e73。
Weg−Remersら、(2001) Regulation of alternative pre−mRNA splicing by the ERK MAP− kinase pathway。 EMBO J.、20:4194−203。
Chengら、(2006) A positive feedback loop couples Ras activation and CD44 alternative splicing。 Genes Dev. 20:1715−20。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における神経変性疾患を診断またはモニターする方法であって、前記患者の生物学的試料中の核酸の発現レベルを検出する工程を含み、前記核酸は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、またはそのいずれかの組み合わせのうち少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列を含む方法。
【請求項2】
前記神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、原発性側索硬化症(PLS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、またはそのいずれかの組み合わせを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記生物学的試料は、細胞、組織、体液、またはそのいずれかの組み合わせを含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記発現レベルは、前記核酸によってコードされたリボ核酸(RNA)の発現レベルの測定によって検出される請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記核酸によって発現したRNAレベルを検出する工程の前に、前記生物学的試料からRNAを単離する工程をさらに含む請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記RNAの発現レベルは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、ノーザンブロット法、リアルタイムPCR、またはそのいずれかの組み合わせによって検出される請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記RNAの発現レベルは、オリゴヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションによって検出される請求項4記載の方法。
【請求項8】
前記オリゴヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)、RNA、相補的なデオキシリボ核酸(cDNA)、ゲノムDNA、合成オリゴヌクレオチド、またはそのいずれかの組み合わせを含む請求項7記載の方法。
【請求項9】
配列番号1の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である前記近接するヌクレオチド配列は、配列番号1の座標1−1212と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標639−822と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標766−822と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
配列番号3の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である前記近接するヌクレオチド配列は、配列番号3の座標1−1215と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標639−825と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標769−825と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
配列番号5の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である前記近接するヌクレオチド配列は、配列番号5の座標1−1218と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標639−828と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標772−828と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
配列番号7の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である前記近接するヌクレオチド配列は、配列番号7の座標1−1290と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標639−900と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標844−900と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
患者における神経変性疾患を診断またはモニターする方法であって、前記患者の生物学的試料中のポリペプチドの発現を検出する工程を含み、前記ポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、またはそのいずれかの組み合わせの少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列からなる群から選択される方法。
【請求項14】
配列番号2の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である前記近接するアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸座標1−403と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標214−274と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標256−274と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
配列番号4の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である前記近接するアミノ酸配列は、配列番号4のアミノ酸座標1−404と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標214−275と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標257−275と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
配列番号6の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である前記近接するアミノ酸配列は、配列番号6のアミノ酸座標1−405と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標214−276と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標258−276と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項13記載の方法。
【請求項17】
配列番号8の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である前記近接するアミノ酸配列は、配列番号8のアミノ酸座標1−429と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標214−300と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標282−300と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、原発性側索硬化症(PLS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記生物学的試料は、細胞、組織、体液、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項13記載の方法。
【請求項20】
前記検出する工程は、前記ポリペプチドと前記ポリペプチドに特異的に結合するように適合された抗体との免疫複合体の検出を含む、請求項13記載の方法。
【請求項21】
免疫複合体を検出する前記工程は、ウエスタンブロット、免疫組織化学、免疫細胞化学、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項20記載の方法。
【請求項23】
神経変性疾患を治療または予防する方法であって、前記方法は、核酸によってコードされたリボ核酸(RNA)の発現を調節できる試薬を含んでいる組成物を投与する工程を含み、前記核酸は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、またはそのいずれかの組み合わせのうち少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列からなる群から選択される方法。
【請求項24】
配列番号1の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である前記近接するヌクレオチド配列は、配列番号1の座標1−1212と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標639−822と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標766−822と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
配列番号3の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である前記近接するヌクレオチド配列は、配列番号3の座標1−1215と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標639−825と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標769−825と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
配列番号5の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である前記近接するヌクレオチド配列は、配列番号5の座標1−1218と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標639−828と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標772−828と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項23記載の方法。
【請求項27】
配列番号7の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である前記近接するヌクレオチド配列は、配列番号7の座標1−1290と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標639−900と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標844−900と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項23記載の方法。
【請求項28】
前記投与する工程は、患者、患者の細胞、患者の組織、またはそのいずれかの組み合わせへの投与を含む、請求項23記載の方法。
【請求項29】
前記調節は、核酸によってコードされた前記リボ核酸(RNA)の発現の減弱および/または発現の増加を含む、請求項23記載の方法。
【請求項30】
前記試薬は、前記核酸とハイブリダイズできる1以上のポリヌクレオチドを含む、請求項23記載の方法。
【請求項31】
前記1以上のポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)、RNA、低分子干渉RNA(siRNA)、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記siRNAは、第1のポリヌクレオチド配列と相補的な第2のポリヌクレオチド配列にハイブリダイズされた第1のポリヌクレオチド配列を含み、前記第1のポリヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列の少なくとも15のヌクレオチドの近接するスパンである請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記試薬は小分子実体(SME)である請求項23記載の方法。
【請求項34】
前記小分子実体は、ERK−MAP キナーゼ経路の修飾因子、PKC経路の修飾因子、または両方を含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
神経変性疾患を治療または予防する方法であって、前記方法は、ポリペプチドの発現および/または活性を調節できる試薬を含んでいる組成物を投与する工程を含み、前記ポリペプチドの配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、またはそのいずれかの組み合わせの少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列からなる群から選択される方法。
【請求項36】
配列番号2の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である前記近接するアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸座標1−403と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標214−274と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標256−274と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
配列番号4の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である前記近接するアミノ酸配列は、配列番号4のアミノ酸座標1−404と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標214−275と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標257−275と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項35記載の方法。
【請求項38】
配列番号6の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である前記近接するアミノ酸配列は、配列番号6のアミノ酸座標1−405と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標214−276と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標258−276と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項35記載の方法。
【請求項39】
配列番号8の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である前記近接するアミノ酸配列は、配列番号8のアミノ酸座標1−429と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標214−300と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標282−300と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項35記載の方法。
【請求項40】
前記投与する工程は、患者、患者の細胞、患者の組織、またはそのいずれかの組み合わせへの投与を含む、請求項35記載の方法。
【請求項41】
前記調節は、前記ポリペプチドの発現の減弱、前記ポリペプチドの発現の増加、または両方を含む、請求項35記載の方法。
【請求項42】
前記試薬は、前記ポリペプチドに特異的に結合するように適合された抗体を含む、請求項35記載の方法。
【請求項43】
前記抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
単離されたポリヌクレオチド分子であって、その配列は配列番号3を含む、ポリヌクレオチド分子。
【請求項45】
請求項44記載のポリヌクレオチド分子の補完物であって、前記補完物および前記ポリヌクレオチドは100%相補的である補完物。
【請求項46】
請求項44記載の単離されたポリヌクレオチド分子由来の第1のポリヌクレオチドであって、前記第1のポリヌクレオチドは、配列番号3のヌクレオチド座標639−825と少なくとも90%相同である近接する第1のヌクレオチド配列を含む、第1のポリヌクレオチド。
【請求項47】
請求項44記載の単離されたポリヌクレオチド分子由来の第2のポリヌクレオチドであって、前記第2のポリヌクレオチドは、配列番号3のヌクレオチド座標639−696と少なくとも90%相同である近接する第2のヌクレオチド配列を含む、第2のポリヌクレオチド。
【請求項48】
請求項44記載の単離されたポリヌクレオチド分子由来の第3のポリヌクレオチドであって、前記第3のポリヌクレオチドは、配列番号3のヌクレオチド座標769−825と少なくとも90%相同である近接する第3のヌクレオチド配列を含む、第3のポリヌクレオチド。
【請求項49】
前記ポリヌクレオチド分子は配列番号4を含んでいるポリペプチドをコードする請求項44記載の単離されたポリヌクレオチド分子。
【請求項50】
請求項49記載のポリペプチド由来の第1のペプチドであって、前記第1のペプチドは、配列番号4のアミノ酸座標214−275と少なくとも90%相同である近接する第1のアミノ酸配列を含む、第1のペプチド。
【請求項51】
請求項49記載のポリペプチド由来の第2のペプチドであって、前記第2のペプチドは、配列番号4のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接する第2のアミノ酸配列を含む、第2のペプチド。
【請求項52】
請求項49記載のポリペプチド由来の第3のペプチドであって、前記第3のペプチドは、配列番号4のアミノ酸座標257−275と少なくとも90%相同である近接する第3のアミノ酸配列を含む、第3のペプチド。
【請求項53】
前記ポリペプチドの発現は、神経変性疾患と診断された患者から得た生物学的試料中で調節される請求項49記載の単離されたポリヌクレオチド分子。
【請求項54】
前記ポリペプチドは、CD44変異体である請求項49記載の単離されたポリヌクレオチド分子。
【請求項55】
前記神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、原発性側索硬化症(PLS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項49記載の単離されたポリヌクレオチド分子。
【請求項56】
単離されたポリヌクレオチド分子であって、その配列は配列番号5を含む、ポリヌクレオチド分子。
【請求項57】
請求項56記載のポリヌクレオチド分子の補完物であって、前記補完物および前記ポリヌクレオチドは100%相補的である補完物。
【請求項58】
請求項56記載の単離されたポリヌクレオチド分子由来の第1のポリヌクレオチドであって、前記第1のポリヌクレオチドは、配列番号5のヌクレオチド座標639−828と少なくとも90%相同である近接する第1のヌクレオチド配列を含む、第1のポリヌクレオチド。
【請求項59】
請求項56記載の単離されたポリヌクレオチド分子由来の第2のポリヌクレオチドであって、前記第2のポリヌクレオチドは、配列番号5のヌクレオチド座標639−696と少なくとも90%相同である近接する第2のヌクレオチド配列を含む、第2のポリヌクレオチド。
【請求項60】
請求項56記載の単離されたポリヌクレオチド分子由来の第3のポリヌクレオチドであって、前記第3のポリヌクレオチドは、配列番号5のヌクレオチド座標772−828と少なくとも90%相同である近接する第3のヌクレオチド配列を含む、第3のポリヌクレオチド。
【請求項61】
前記ポリヌクレオチド分子は、配列番号6を含んでいるポリペプチドをコードしている請求項56記載の単離されたポリヌクレオチド分子。
【請求項62】
請求項61記載のポリペプチド由来の第1のペプチドであって、前記第1のペプチドは、配列番号6のアミノ酸座標214−276と少なくとも90%相同である近接する第1のアミノ酸配列を含む、第1のペプチド。
【請求項63】
請求項61記載のポリペプチド由来の第2のペプチドであって、前記第2のペプチドは、配列番号6のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接する第2のアミノ酸配列を含む、第2のペプチド。
【請求項64】
請求項61記載のポリペプチド由来の第3のペプチドであって、前記第3のペプチドは、配列番号6のアミノ酸座標258−276と少なくとも90%相同である近接する第3のアミノ酸配列を含む、第3のペプチド。
【請求項65】
前記ポリペプチドの発現は、神経変性疾患と診断された患者から得た生物学的試料中で調節される、請求項61記載の単離されたポリヌクレオチド分子。
【請求項66】
前記ポリペプチドは、CD44スプライスバリアントである請求項61記載の単離されたポリヌクレオチド分子。
【請求項67】
前記神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、原発性側索硬化症(PLS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項65記載の単離されたポリヌクレオチド分子。
【請求項68】
神経変性疾患を診断するためのキットであって、生物学的試料中の核酸の発現を検出できる少なくとも1の試薬を含み、前記核酸は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、またはそのいずれかの組み合わせのうち少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列を含むキット。
【請求項69】
配列番号1の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である前記近接するヌクレオチド配列は、配列番号1の座標1−1212と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標639−822と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号1の座標766−822と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項68記載のキット。
【請求項70】
配列番号3の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である前記近接するヌクレオチド配列は、配列番号3の座標1−1215と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標639−825と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号3の座標769−825と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項68記載のキット。
【請求項71】
配列番号5の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である前記近接するヌクレオチド配列は、配列番号5の座標1−1218と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標639−828と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号5の座標772−828と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項68記載のキット。
【請求項72】
配列番号7の少なくとも20のヌクレオチドと少なくとも90%相同である前記近接するヌクレオチド配列は、配列番号7の座標1−1290と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標639−900と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標639−696と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、配列番号7の座標844−900と少なくとも90%相同である近接するヌクレオチド配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項68記載のキット。
【請求項73】
前記神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、原発性側索硬化症(PLS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項68記載のキット。
【請求項74】
前記少なくとも1の試薬は、前記核酸または前記核酸によってコードされるリボ核酸(RNA)分子とハイブリダイズできるオリゴヌクレオチドを含む、請求項68記載のキット。
【請求項75】
前記オリゴヌクレオチドは、DNA、RNA、cDNA、ゲノムDNA、合成オリゴヌクレオチド、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項74記載のキット。
【請求項76】
前記生物学的試料は、細胞、組織、体液、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項68記載のキット。
【請求項77】
神経変性疾患を診断するためのキットであって、生物学的試料中のポリペプチドの発現を検出できる少なくとも1の試薬を含み、前記ポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、またはそのいずれかの組み合わせの少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列を含むキット。
【請求項78】
配列番号2の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である前記近接するアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸座標1−403と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標214−274と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号2のアミノ酸座標256−274と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項77記載のキット。
【請求項79】
配列番号4の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である前記近接するアミノ酸配列は、配列番号4のアミノ酸座標1−404と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標214−275と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号4のアミノ酸座標257−275と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項77記載のキット。
【請求項80】
配列番号6の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である前記近接するアミノ酸配列は、配列番号6のアミノ酸座標1−405と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標214−276と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸座標258−276と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項77記載のキット。
【請求項81】
配列番号8の少なくとも10のアミノ酸と少なくとも90%相同である前記近接するアミノ酸配列は、配列番号8のアミノ酸座標1−429と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標214−300と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標214−232と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、配列番号8のアミノ酸座標282−300と少なくとも90%相同である近接するアミノ酸配列、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項77記載のキット。
【請求項82】
前記神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、原発性側索硬化症(PLS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項77記載のキット。
【請求項83】
前記少なくとも1の試薬は、前記ポリペプチドと特異的に相互作用し、かつ、検出可能な免疫複合体を形成するように適合された抗体を含む、請求項77記載のキット。
【請求項84】
前記抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項83記載のキット。
【請求項85】
前記生物学的試料は、細胞、組織、体液、またはそのいずれかの組み合わせを含む、請求項77記載のキット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2010−532989(P2010−532989A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515648(P2010−515648)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052786
【国際公開番号】WO2009/007934
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(510007481)ニューリム ファーマシューティカルズ (1991) リミテッド (1)
【Fターム(参考)】