説明

神経変性疾患のためのAMPAレセプターアンタゴニストおよびNMDAレセプターアンタゴニスト

本発明は、治療的有効量のAMPAレセプターアンタゴニストおよびNMDAレセプターアンタゴニストを患者に投与することによって、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、ピック病など)、認知症、軽度認知機能障害、緑内障、高眼圧症および疼痛(例えば、神経因性疼痛、頭痛など)を治療、予防、ならびにこれらの発症を遅らせるための方法を提供する。本発明はまた、治療的有効量のAMPAレセプターアンタゴニストおよびNMDAレセプターアンタゴニストを含む組合せ、キットおよび医薬組成物も提供する。例示的なAMAPレセプターアンタゴニストとしては、3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オンなどの1,2-ジヒドロピリジン化合物が挙げられる。例示的なNMDAレセプターアンタゴニストとしては、メマンチンなどのアダマンタン化合物が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、米国特許法第119条のもとUS仮出願番号60/904,781(2007年3月5日出願)の優先権を主張する。上記仮出願の開示は、その全体が本明細書において参考として組み込まれる。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、AMPAレセプターアンタゴニストおよびNMDAレセプターアンタゴニストを含む医薬組成物、組合せならびにキットを提供し、AMPAレセプターアンタゴニストおよびNMDAレセプターアンタゴニストを使用して疾患を治療する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
[発明の背景]
コリンエステラーゼインヒビターは、アルツハイマー病およびアルツハイマー型の老人認知症などの認知症を治療するために従来から使用されている。N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)レセプターアンタゴニストを含む他の薬物もまた使用されている。それにもかかわらず、新規な薬物および治療方法が必要とされている。
【0004】
NMDAレセプターアンタゴニストである塩酸メマンチン(NAMENDA(登録商標)、Forest Pharmaceuticals, Inc.;AXURA(登録商標)、Merz Pharmaceuticals)は、アマンタジン誘導体であって、神経細胞を保護し、パーキンソン病の症状を改善することが知られている。塩酸メマンチンは、中程度〜重篤なアルツハイマー病を治療するための薬物として最近開発されており、液状形態またはフィルムコーティング錠剤として提供される。
【0005】
1,2-ジヒドロピリジン化合物は、α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)レセプターアンタゴニストとして公知であり、米国特許第6,949,571号に記載されている。これらの化合物をコリンエステラーゼインヒビターと併用して疾患を治療し、これらを投与するための方法は、WO 2006/107859に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
新規な医薬組成物または組合せを用いて神経変性疾患および認知症を治療することに対する必要性が当該分野において存在する。本発明は、これらの重要な目的および他の重要な目的を目指すものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[発明の要旨]
本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、アルツハイマー病の治療および/または予防を必要とする患者において、アルツハイマー病を治療および/または予防するための方法を提供する。本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、アルツハイマー病の発症を遅らせるための方法を提供する。予想外なことに、AMPAレセプターアンタゴニストとNMDAレセプターアンタゴニストとの併用が、アルツハイマー病の治療および/または予防において、ならびにアルツハイマー病の発症の遅延において、相乗的な効果を生じることが見出された。
【0008】
本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、神経変性疾患の治療および/または予防を必要とする患者において、神経変性疾患を治療および/または予防するための方法を提供する。本発明はまた、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、神経変性疾患の発症を遅らせるための方法も提供する。予想外なことに、AMPAレセプターアンタゴニストとNMDAレセプターアンタゴニストとの併用が、神経変性疾患の治療および/または予防において、ならびに神経変性疾患の発症の遅延において、相乗的な効果を生じることが見出された。
【0009】
本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、認知症もしくは軽度認知機能障害の治療および/または予防を必要とする患者において、認知症もしくは軽度認知機能障害を治療および/または予防するための方法を提供する。本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、認知症または軽度認知機能障害の発症を遅らせるための方法も提供する。予想外なことに、AMPAレセプターアンタゴニストとNMDAレセプターアンタゴニストとの併用が、認知症もしくは軽度認知機能障害の治療および/または予防において、ならびに認知症もしくは軽度認知機能障害の発症の遅延において、相乗的な効果を生じることが見出された。
【0010】
本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、緑内障もしくは高眼圧症の治療および/または予防を必要とする患者において、緑内障もしくは高眼圧症を治療および/または予防するための方法を提供する。本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、緑内障または高眼圧症の発症を遅らせるための方法も提供する。予想外なことに、AMPAレセプターアンタゴニストとNMDAレセプターアンタゴニストとの併用が、緑内障もしくは高眼圧症の治療および/または予防において、ならびに緑内障もしくは高眼圧症の発症の遅延において、相乗的な効果を生じることが見出された。1つの実施形態において、活性成分は、ゲルまたは液体の形態(例えば、溶液、懸濁液など)で罹患した眼に局所的に投与することができる。
【0011】
本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、疼痛の治療および/または予防を必要とする患者において、疼痛を治療および/または予防するための方法を提供する。本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、疼痛の発症を遅らせるための方法も提供する。予想外なことに、AMPAレセプターアンタゴニストとNMDAレセプターアンタゴニストとの併用が、疼痛の治療および/または予防において、ならびに疼痛の発症の遅延において、相乗的な効果を生じることが見出された。1つの実施形態において、「疼痛」とは、神経障害性の痛みをいう。別の実施形態において、「疼痛」とは、片頭痛を含む頭痛をいう。
【0012】
本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニスト、(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニスト、および(iii)少なくとも1種の医薬的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物を提供する。
【0013】
本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを含む組合せを提供する。この組合せは、患者に別々に(例えば、同時に、連続して)投与することができる2つの処方物を含むことができる。
【0014】
本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストと、(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストと、(iii)アルツハイマー病、神経変性疾患もしくは認知症を治療および/または予防するため、あるいはアルツハイマー病、神経変性疾患もしくは認知症の発症を遅らせるための、同時、別々または連続してそれらを使用するための指示書を含むキットを提供する。AMPAレセプターアンタゴニストおよびNMDAレセプターアンタゴニストは、組成物の形態であってもよいし、組合せの形態であってもよい。
【0015】
本発明は、以下に関する:
(1)(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;
(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩;および
(iii)1以上の医薬的に許容可能なキャリア
を含む医薬組成物。
(2)前記医薬組成物が、(a)神経変性疾患;(b)認知症;(c)軽度認知機能障害;(d)緑内障;(e)高眼圧症;または(f)疼痛を治療するために使用される、(1)に記載の医薬組成物。
(3)(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;および
(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩
を含む組合せ。
(4)上記組合せが、患者に別々に投与されるか、または患者に医薬組成物の形態で投与される、(3)に記載の組合せ。
(5)前記組合せが、(a)神経変性疾患;(b)認知症;(c)軽度認知機能障害;(d)緑内障;(e)高眼圧症;または(f)疼痛を治療するために使用される、(3)に記載の組合せ。
(6)
(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;
(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩;および
(iii)(a)神経変性疾患;(b)認知症;(c)軽度認知機能障害;(d)緑内障;(e)高眼圧症;もしくは(f)疼痛を治療および/または予防するため、あるいは(a)神経変性疾患;(b)認知症;(c)軽度認知機能障害;(d)緑内障;(e)高眼圧症;もしくは(f)疼痛の発症を遅らせるための、同時、別々または連続してそれらを使用するための指示書
を含むキット。
(7)(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;および(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩が、患者に別々に投与されるか、または患者に医薬組成物の形態で投与される、(6)に記載のキット。
(8)(a)神経変性疾患;(b)認知症;(c)軽度認知機能障害;(d)緑内障;(e)高眼圧症;または(f)疼痛を治療する医薬組成物を製造するための、
(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;および
(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩
の使用。
(9)(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;および(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩が、患者に別々に投与されるか、または患者に医薬組成物の形態で投与される、(8)に記載の使用。
(10)(a)神経変性疾患;(b)認知症;(c)軽度認知機能障害;(d)緑内障;(e)高眼圧症;または(f)疼痛を治療するための方法であって、
(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;および(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩を治療が必要な患者に投与する工程
を含む、前記方法。
(11)(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;および(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩が、患者に別々に投与されるか、または患者に医薬組成物の形態で投与される、(10)に記載の方法。
(12)(a)神経変性疾患;(b)認知症;(c)軽度認知機能障害;(d)緑内障;(e)高眼圧症;または(f)疼痛の治療における、(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;および(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩。
【0016】
本発明のこれらの態様および他の態様を、本明細書においてより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、カイニン酸とNMDAとの併用によって誘導されたニューロン損傷に対するペランパネル(A)とメマンチン(B)の効果を示す。
【図2】図2は、カイニン酸とNMDAとの併用によって誘導されたニューロン損傷に対するペランパネル、メマンチン単独の効果および併用療法の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[発明の詳細な説明]
「患者」とは、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトをいう。用語「患者」には、男性および女性が含まれ、成人、小児および乳幼児を含む。1つの実施形態において、上記患者は、イヌまたはネコなどの愛玩用動物でもよい。
【0019】
「活性成分」とは、AMPAレセプターアンタゴニストおよび/またはNMDAレセプターアンタゴニストをいう。
【0020】
「治療(処置)(treatment)」および「治療(処置)する(treating)」とは、所望の薬理的効果および/または生理的効果を獲得することをいう。これらの効果は、疾患および/または症状を完全もしくは部分的に妨げるという観点からは予防的であり、そして疾患および/または疾患によって引き起こされる有害事象を完全もしくは部分的に治癒するという観点からは治療的である。「治療」および「治療する」とは、患者の疾患の全ての治療を含み、これらの治療としては、例えば、(a)ある疾患または症状に罹患しやすい疑いがあるが、まだ罹患したとは診断されていない患者において疾患または症状を防ぐこと;(b)疾患の症状を抑制すること、すなわち、症状の進行を抑制または遅らせること;および(c)疾患の症状を軽減すること、すなわち、疾患の症状を後退(reverse)もしくは消去すること;または症状の進行を後退することが挙げられる。
【0021】
本明細書に記載される疾患の治療および/または予防および/または疾患の発症を遅らせるために2以上の活性成分を投与することに関して、「別々に投与される」とは、例えば、任意の順番での活性成分の連続投与または活性成分の同時投与が挙げられる。活性成分の同時投与とは、投与様式に依存して、それらの活性成分が同じ期間に連続的に患者に投与される、または厳密に同時に患者に投与されることを意味する。活性成分の連続投与は任意の順番で行ってもよいし、活性成分の投与の間に中断の時間があってもよい。連続投与は、どの活性成分が最初に投与されるべきか、どの活性成分が二番目に投与されるべきか、そして活性成分の投与の間にどのくらいの時間の中断をとるべきかに影響する因子に基づいて行うことができる。例えば、2以上の活性成分が別々かつ連続的に投与される場合、いつ患者に活性成分を投与するかということに影響する因子としては、例えば、(a)投与される活性成分についての最良の効能が提供される時間、(b)投与される活性成分について副作用が最小限になる時間、(c)活性成分の投薬量、(d)活性成分の投与経路、(e)治療される疾患、(f)治療される患者、(g)投与される活性成分と当該分野で公知の他の因子とのインビボでの関係が挙げられる。一般的には、連続投与のための時間間隔は、活性成分を組合せて使用する際に治療される疾患に対する効果が、活性成分の一方のみを使用して得られる治療効果と比較して、相加的なレベルを超えるように選択される。
【0022】
用語「組合せ(combination)」とは、別個の医薬処方物として別々に投与されるAMPAレセプターアンタゴニストおよびNMDAレセプターアンタゴニストをいう(例えば、AMPAレセプターアンタゴニストを含む第1の医薬処方物およびNMDAレセプターアンタゴニストを含む第2の医薬処方物)。上記医薬処方物は、投与様式が同じであっても異なっていてもよい。
【0023】
「単剤療法」は、疾患の治療および/または予防および/または疾患の発症の遅延のために、1種の活性成分のみを使用する治療である。
【0024】
「併用療法」は、疾患の治療および/または予防および/または疾患の発症の遅延のために、2種以上の活性成分が別々に投与される、あるいは1つの医薬組成物の形態で投与される治療である。
【0025】
「治療的有効量」とは、疾患を治療および/または予防および/または疾患の発症を遅らせるために必要な活性成分の量をいう。2種以上の活性成分が1つの医薬組成物として、または併用療法のために投与される場合、用語「治療的有効量」とは、疾患を治療および/または予防および/または疾患の発症を遅らせるために必要な活性成分の量をいい、例えば、以下の(a)〜(d)が挙げられる:(a)治療的有効量の第1の活性成分と治療的有効量の第2の活性成分(すなわち、疾患を治療および/または予防するための単剤療法に使用される各活性成分の量が、医薬組成物または併用療法のために使用される);(b)治療的有効量の第1の活性成分と治療的有効量より少ない第2の活性成分、これらは組合せて疾患の治療および/または予防を有効に提供する(例えば、治療的有効量よりも少ない第2の活性成分が医薬組成物または併用療法において使用されて、第2の活性成分が単剤療法で使用される場合に達成される結果と等しい結果またはそれを超える結果を達成することができる);(c)治療的有効量よりも少ない第1の活性成分と治療的有効量の第2の活性成分、これらは組合せて疾患の治療および/または予防を有効に提供する(例えば、治療的有効量よりも少ない第1の活性成分が医薬組成物または併用療法において使用されて、第1の活性成分が単剤療法で使用される場合に達成される結果と等しい結果またはそれを超える結果を達成することができる);および(d)治療的有効量よりも少ない第1の活性成分と治療的有効量よりも少ない第2の活性成分、これらは併用療法において疾患もしくは障害の治療および/または予防を提供する(例えば、治療的有効量よりも少ない第1の活性成分を医薬組成物または併用療法において使用して、第1の活性成分が単剤療法で使用される場合に達成される結果と等しい結果またはそれを超える結果を達成することが可能であり、かつ、治療的有効量よりも少ない第2の活性成分を医薬組成物または併用療法において使用して、第2の活性成分が単剤療法で使用される場合に達成される結果と等しい結果またはそれを超える結果を達成することが可能である)。
【0026】
「キット」は、(i)AMPAレセプターアンタゴニストを含む第1の医薬組成物または処方物;(ii)NMDAレセプターアンタゴニストを含む第2の医薬組成物または処方物;(iii)疾患を治療もしくは予防するため、または疾患の発症を遅らせるための医薬組成物または処方物を使用することについてFDAによって承認される指示書;および(iv)必要により、医薬組成物もしくは処方物を投与するための他の材料(例えば、シリンジ、希釈剤、医療用グローブ、手の殺菌剤など)、身体中の薬物レベルをモニタリングする材料、薬剤の服用に関して患者のコンプライアンスをサポートする材料、または疾患の状態をモニタリングする材料の組合せを含むことができる。上記キットは、数日間、数週間または数ヶ月間に十分な薬剤および材料を供給することができる。別の実施形態において、「キット」は、(i)AMPAレセプターアンタゴニストおよびNMDAレセプターアンタゴニスト両方を含む医薬組成物または処方物;(ii)疾患を治療もしくは予防するため、または疾患の発症を遅らせるための医薬組成物または処方物を使用することについてFDAによって承認される指示書;および(iii)必要により、医薬組成物もしくは処方物を投与するための他の材料(例えば、シリンジ、希釈剤、医療用グローブ、手の殺菌剤など)、身体中の薬物レベルをモニタリングする材料、薬剤の服用に関して患者のコンプライアンスをサポートする材料、または疾患の状態をモニタリングする材料を含むことができる。上記キットは、数日間、数週間または数ヶ月間に十分な薬剤および材料を供給することができる。
【0027】
「溶媒和物」は水和物を含む。AMPAレセプターアンタゴニストは、無水物の形態であってもよいし、水和物などの溶媒和物の形態であってもよい。溶媒和物は、水和物または非水和物のいずれであってもよく、好ましくは水和物である。使用される溶媒は、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノールまたはn-プロパノール)、ジメチルホルムアミドなどであってよい。
【0028】
「水和物」は、結晶の水分子を含む活性な成分または化合物をいう。結晶の水分子は、1個以上(例えば、1〜10個)の整数値をとってもよいし、0よりも大きいいずれの分数でも1〜10の整数の分数でもよい。例えば、水和物は、(活性成分)・1/4 H2O;(活性成分)・1/2 H2O;(活性成分)・3/4 H2O;(活性成分)・2H2O;(活性成分)・5 1/2 H2O;(活性成分)・6H2Oなどとして表すことができる。
【0029】
「医薬的に許容可能な塩」は当該分野で周知であり、これらとしては、無機酸の塩(たとえば、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩およびリン酸塩)および有機酸の塩(ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびトルエンスルホン酸塩)が挙げられる。特定の置換基が選択される場合、上記の活性成分は、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩)、有機アミン塩(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミンまたはN,N’-ジベンジルエチレンジアミンとの塩)を形成することができる。当業者は、活性成分を他の任意の医薬的に許容可能な塩の形態として作製することができることを認識する。
【0030】
「認知症」とは、知的機能の衰退をいい、認知機能障害、見当識障害、記憶障害、判断力の低下、知的障害などのうちの1以上の症状によって特徴付けられる。「認知症」には、行動障害も含まれ得る。行動障害の例としては、性的な脱抑制、活動の変化、対人関係の変化、身体的攻撃性(physical aggressiveness)、身体的非攻撃性(physical non-aggressiveness)(例えば、徘徊)、言語的攻撃性、および言語的非攻撃性(例えば、発声の繰り返し)が挙げられる。認知症に関して、本発明の方法は、(i)認知症に関連する知的機能;(ii)認知症に関連する行動障害;または(iii)認知症に関連する知的機能および行動障害を治療、予防またはこれらの発症を遅らせるために使用することができる。認知症の原因は、既知のものであっても未知のものであってもよい。例えば、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、レヴィー小体病、血管の疾患(例えば、脳血管疾患)、HIV/AIDS、てんかん、脳腫瘍、脳病変、多発性硬化症、ダウン症候群、レット症候群、進行性核上性麻痺、前頭葉症候群、精神分裂病、外傷性脳損傷(例えば、閉鎖性頭部外傷)、冠動脈バイパス移植手術の後、電気痙攣ショック療法、化学療法、放射線療法、放射線照射、脳炎、髄膜炎、胎児アルコール症候群、コルサコフ症候群、低酸素性脳損傷、心肺蘇生術、糖尿病、閉経期、脳卒中、高コレステロールレベル、または脊髄の障害によって認知症が引き起こされる場合がある。認知症についてのさらなる記載については、米国特許第6,458,807号、US公開公報(US Publication)No. 2006/0018839およびWO 2005/074535の開示が、その全体が本明細書において参考として組み込まれる。
【0031】
「軽度認知機能障害」は、通常の加齢による認識変化と、神経変性疾患によって引き起こされるより深刻な問題との間の過渡的な段階である。軽度認知機能障害は、認識の広い領域に影響し得るが(言語、注意、論証、判断、読み書き)、ほとんどの研究は、記憶に対する影響について重点的に行われている。この障害は、2つ広いサブタイプに分けることができる。健忘性の軽度認知機能障害が記憶に著しく影響する一方で、非健忘性の軽度認知機能障害はそうではない。言語および注意持続期間などの他の機能は、いずれのサブタイプでも正常に機能しなくなる場合がある。
【0032】
「神経変性疾患」とは、当該分野で公知の任意の神経変性疾患をいう。神経変性疾患の例としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、ピック病、レヴィー小体病、プリオン病(例えば、クロイツフェルト−ヤコブ病)、てんかん、脳卒中などが挙げられる。
【0033】
「アルツハイマー病」とは、軽度のアルツハイマー病、軽度〜中程度のアルツハイマー病、中程度のアルツハイマー病、中程度〜重度のアルツハイマー病、および重度のアルツハイマー病のうちの1以上をいい、そしてこれらの1以上を含む。アルツハイマー病の臨床症状には、進行性の見当識障害、健忘症および失語症が含まれ、ついには無力(incompetence)、言語喪失および運動不能を引き起こす。アルツハイマー病の病理学的徴候の例としては、神経細線維もつれ、老人斑およびアミロイド血管障害が挙げられる。「アルツハイマー病の進行を妨げる」とは、アルツハイマー病の臨床症状および/または病理学的兆候の発症またはさらなる進行を妨げることをいう。例えば、臨床症状または病理学的兆候の進行を、アルツハイマー病の臨床症状または病理学的兆候を呈していない患者に対して妨げることができる。さらに、軽度のアルツハイマー病の患者については、アルツハイマー病がより重度に進行することを妨げることができる。「アルツハイマー病の進行を遅らせる」とは、アルツハイマー病の症状および/または病理学的兆候の発症を遅らせること、あるいは、臨床症状および/または病理学的兆候によって決定されるアルツハイマー病の進行の速度を低下させることをいう。「アルツハイマー病の進行を後退させる」とは、アルツハイマー病の症状の重症度を軽減すること、すなわち、患者の症状を重度の状態からより軽度の状態に変化させることをいい、これは、臨床症状および/または病理学的兆候の減少によって決定される。
【0034】
アルツハイマー病の診断は、種々の公知の方法を用いて行うことができる。典型的には、臨床的評価および病理学的評価を合わせて、アルツハイマー病の患者を診断する。例えば、ミニメンタルステート調査(Mini Mental State Examination (MMSE) (Mohs et al, (1996) Int. Psychogeriatr8:195-203));Alzheimer's Disease Assessment Scale-Cognitive Subscale (ADAS-cog) (Galasko et al, (1997) Alzheimer Dis. Assoc. Disord., 11 Suppl. 2:S33-39);Alzheimer's Disease Cooperative Study-Activities of Daily Living scale (ADCS-ADL) (McKhann et al, (1984) Neurology 34:939-944);およびNational Institute of Neurologic Communicative Disorders and the Stroke-Alzheimer's Disease and Related Disorders Association (NINCDS-ADRDA)判定基準(Folstein et al, (1975) J. Psychiatr. Res.12:189-198; McKhann et al, (1984) Neurology34:939-944)を用いて、アルツハイマー病の進行または重症度を評価することができる。さらに、脳の種々の領域を評価して老人性斑または神経細線維もつれを推定することができる方法を使用することもできる (Braak et al (1991) Acta Neuropathol82:239-259; Khachaturian (1985) Arch Neuro 42:1097-1105; Mirra et al, (1991) Neurology, 41:479-486; Mirra et al, (1993) Arch Pathol Lab Med 117:132-144)。
【0035】
「高眼圧症」とは、しばしば「緑内障が疑われる患者(glaucoma suspect)」をさし、眼の中の圧力(眼内圧と呼ばれる)が通常よりも高い全ての状態をいう。眼圧は、水銀柱ミリメートル(mm Hg)で測定される。通常の眼圧は、10〜21mmHgの範囲である。高眼圧症は、21mmHgを超える眼圧である。高眼圧症は、一般的には、視神経の損傷または失明とは関連しない。高眼圧症は、状況次第で緑内障につながる場合がある。
【0036】
「緑内障」は、視神経の損傷および失明の症状に関連する。緑内障は、一般的には、眼内圧の上昇を伴う(しかし、常に起こるわけではない)。緑内障のタイプとしては、原発性開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障、正常眼圧緑内障および小児緑内障が挙げられる。
【0037】
「疼痛(痛み)」とは、当該分野で公知の任意のタイプの痛みをいう。1つの実施形態において、「疼痛(痛み)」は、神経因性疼痛をさす。別の実施形態において、「疼痛(痛み)」は頭痛をさす。
【0038】
「神経因性疼痛」とは、通常は組織の損傷に伴う複合的な慢性の痛みの状態をいう。神経因性疼痛の場合、神経線維自体が傷ついている場合もあるし、機能不全になっている場合もあるし、損傷を受けている場合もある。これらの損傷を受けた神経線維は、他の痛み中枢に間違ったシグナルを送る。神経線維損傷の影響は、損傷部位と損傷の周辺領域との両方における神経機能の変化を含む。神経因性疼痛の症状としては、うずくような痛み及び焼けるような痛み(shooting and burning pain)ならびに/または刺痛および痺れを挙げることができる。神経因性疼痛の一例は、幻影肢症候群と呼ばれる。これは、病気または損傷のために腕または脚が切断され、失われた肢から本来インパルスを伝える神経からの痛みメッセージを脳が受け取る場合に起こる。これらの神経は、意図された効果をあげず、痛みを引き起こす。神経因性疼痛には、はっきりとした原因がないようである場合が多いが、神経因性疼痛の原因の例としては、アルコール症;切断;背中、脚および腰の問題;化学療法;糖尿病;顔面神経の問題;HIV感染;AIDS;多発性硬化症;帯状ヘルペス;脊柱の手術などが挙げられる。
【0039】
「頭痛」とは、Cephalagia, 24(Suppl. 1):9-160 (2004)(この開示は本明細書においてその全体が参考として組み込まれる)に記載されたThe International Classification of Headache Disordersに従う原発性頭痛および二次性頭痛をいう。原発性頭痛および二次性頭痛は、一時的な場合もあるし慢性的な場合もある。「一時的な頭痛(Episodic headache)」とは、一ヶ月に1〜14日頭痛を経験する患者についてのものである。「慢性頭痛」とは、一ヶ月に15日以上頭痛を経験する患者についてのものである。治療の方法は、急性的でも慢性的でもよい。「急性治療」とは、必要な場合に頭痛を治療することをいい、例えば、頭痛を発症したときに、本明細書に記載のとおりに治療的有効量の本発明の化合物または組成物を患者に投与する。「慢性治療」とは、連続的(例えば、毎日)に頭痛を治療することをいい、この治療は、治療的有効量の本発明の化合物または組成物を投与する時点で、その患者が頭痛を起こしているかどうかに関係なく行われる。頭痛は、例えば、めまい、吐き気、嘔吐、疲労、前兆(アウラ)、光恐怖症、音恐怖症などの1つ以上の症状を引き起こし得る。
【0040】
「原発性頭痛」には、片頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛、発作性片側頭痛、結膜充血および流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(short-lasting unilateral neuralgiform headache attacks with conjunctival injection and tearing (SUNCT))、三叉神経・自律神経性頭痛(trigeminal autonomic cephalalgia)、突き刺すような頭痛(stabbing headache)、咳頭痛、労作性頭痛、性行為に伴う頭痛、睡眠時頭痛(hypnic headache)、雷鳴頭痛、持続性片側頭痛または新規発症持続性連日性頭痛が含まれる。
【0041】
「二次性頭痛」には、頭部および/または頚部の外傷が原因の頭痛;頭蓋および/または頚部の血管疾患が原因の頭痛;非血管性の頭蓋内障害が原因の頭痛;薬物が原因の頭痛;薬物の中止が原因の頭痛;感染が原因の頭痛、ホメオスタシスの障害が原因の頭痛、顔面構造および/または頭蓋構造の障害が原因の頭痛または顔面痛;あるいは精神障害が原因の頭痛が含まれる。
【0042】
「片頭痛」とは、定期的に起こる、頭の中の痛み(通常は、頭の中の片側の痛み)によって特徴付けられる症候群をいう。片頭痛は、一般的に、日常活動を抑制または妨げるような拍動性の中程度〜重度の強度を有する。片頭痛によって引き起こされる1以上の症状としては、めまい、吐き気、嘔吐、疲労、前兆(アウラ)、光恐怖症、音恐怖症などが挙げられる。片頭痛は、前兆(アウラ)とともに起こる場合もあるし、前兆(アウラ)なく起こる場合もある。例示的な片頭痛には、古典的片頭痛、普通片頭痛、複雑片頭痛、月経性片頭痛、月経前片頭痛、眼性片頭痛、眼筋麻痺性片頭痛、閃光性片頭痛、ハリス片頭痛および片麻痺性片頭痛が含まれる。片頭痛によって引き起こされるが、頭痛ではない神経症状が起こる場合がある。例えば、片頭痛の1つの発現として、頭痛を起こさずに腹痛および嘔吐が起きる場合がある。
【0043】
本発明は、治療的有効量の(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニスト、(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストおよび(iii)1以上の医薬的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物を提供する。
【0044】
他の実施形態において、本発明は、治療的有効量の(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを含む組合せを提供する。組合せは、本明細書に記載の疾患を治療するために患者に別々に(例えば、同時に、連続的に)投与することができる。
【0045】
他の実施形態において、本発明は、治療的有効量の(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニスト;ならびに(iii)本明細書に記載の疾患の治療において、それらを同時、別々または連続的に使用するための指示書を含むキットを提供する。
【0046】
他の実施形態において、本発明は、少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを含む治療的有効量の医薬組成物;ならびに本明細書に記載の疾患の治療において、それらを使用するための指示書を含むキットを提供する。
【0047】
他の実施形態において、本発明は、治療的有効量の(a)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(b)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、神経変性疾患の治療または予防、および神経変性疾患の発症の遅延を必要とする患者において(i)神経変性疾患を治療または予防するための方法;および神経変性疾患の発症を遅らせるための方法を提供する。AMPAレセプターアンタゴニストおよびNMDAレセプターアンタゴニストは、別々に投与することもできるし、組成物の形態で投与することもできる。神経変性疾患は、当該分野で公知のいずれのもの(例えば、本明細書に記載される神経変性疾患)であってもよい。
【0048】
他の実施形態において、本発明は、治療的有効量の(a)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(b)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、アルツハイマー病の治療または予防、およびアルツハイマー病の発症の遅延を必要とする患者において(i)アルツハイマー病を治療または予防するための方法;およびアルツハイマー病の発症を遅らせるための方法を提供する。AMPAレセプターアンタゴニストおよびNMDAレセプターアンタゴニストは、別々に投与することもできるし、組成物の形態で投与することもできる。
【0049】
本発明は、治療的有効量の(a)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(b)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、(i)認知症の治療または予防を必要とする患者において認知症を治療または予防するための方法;および認知症の発症の遅延を必要とする患者において認知症の発症を遅らせるための方法を提供する。AMPAレセプターアンタゴニストおよびNMDAレセプターアンタゴニストは、別々に投与することもできるし、組成物の形態で投与することもできる。
【0050】
本発明は、治療的有効量の(a)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(b)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、(i)軽度認知機能障害の治療または予防を必要とする患者において軽度認知機能障害を治療または予防するための方法;および(ii)軽度認知機能障害の発症の遅延を必要とする患者において軽度認知機能障害の発症を遅らせるための方法を提供する。AMPAレセプターアンタゴニストおよびNMDAレセプターアンタゴニストは、別々に投与することもできるし、組成物の形態で投与することもできる。
【0051】
本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、緑内障もしくは高眼圧症の治療および/または予防を必要とする患者において、緑内障もしくは高眼圧症を治療および/または予防するための方法を提供する。本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、緑内障または高眼圧症の発症を遅らせるための方法を提供する。1つの実施形態において、活性成分は、ゲルまたは液体の形態(例えば、溶液、懸濁液など)の形態で、罹患した眼に局所的に投与することができる。本方法は、一般的に、眼内圧を低下させる必要がある患者の眼内圧を低下させることを包含する。
【0052】
本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって、疼痛の治療および/または予防を必要とする患者において、疼痛を治療および/または予防するための方法を提供する。本発明は、(i)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニストおよび(ii)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストを投与することによって疼痛の発症を遅らせるための方法を提供する。種々の実施形態において、上記疼痛は、神経因性疼痛、頭痛などであってよい。
【0053】
本発明は、イヌ認知機能障害(CCD)を治療、予防またはイヌ認知機能障害の発症を遅らせる方法を提供する。イヌ認知機能障害(CCD)は、全身の医学的状態のすべての原因にはなり得ない行動変化によって特徴付けられるイヌの認知能力の年齢に関連する衰退である。動物用組成物(veterinary composition)を調製する場合、当業者は、当該組成物は、治療的有効量の(a)少なくとも1種のAMPAレセプターアンタゴニスト、(b)少なくとも1種のNMDAレセプターアンタゴニストおよび(c)獣医学的に許容可能なキャリアを含むことを理解する。イヌのための投薬量は、ヒトに対して許容可能である投薬量、そのイヌの大きさと体重、イヌの医学的状態などに基づいて容易に決定することができる。
【0054】
1つの実施形態において、本明細書に記載の方法および組成物において使用されるAMPAレセプターアンタゴニストは、当該分野で公知であるいずれのものであってもよい。例示的なAMPAレセプターアンタゴニスト(これらの全ては活性成分である)としては、1,2-ジヒドロピリジン化合物、キノキサリンジオンアミノアルキルホスホネートなどが挙げられる。
【0055】
1つの実施形態において、AMPAレセプターアンタゴニストは、1,2-ジヒドロピリジン化合物である。本明細書に記載の方法および組成物において使用される1,2-ジヒドロピリジン化合物は、当該分野で公知のいずれのものであってもよい。「1,2-ジヒドロピリジン化合物」には、1,2-ジヒドロピリジン化合物、1,2-ジヒドロピリジン化合物の医薬的に許容可能な塩、1,2-ジヒドロピリジン化合物の立体異性体、1,2-ジヒドロピリジン化合物の立体異性体の医薬的に許容可能な塩、1,2-ジヒドロピリジン化合物の水和物、1,2-ジヒドロピリジン化合物の医薬的に許容可能な塩の水和物、1,2-ジヒドロピリジン化合物の水和物の立体異性体および1,2-ジヒドロピリジン化合物の医薬的に許容可能な塩の水和物の立体異性体が含まれる。
【0056】
本明細書に記載の方法および組成物において使用される1,2-ジヒドロピリジン化合物は、式(I)の化合物:
【化1】

(I)
(式中、Qは、NH、OまたはSであり;R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1-6アルキルまたは-X-Aであり;Xは、単結合、必要により置換されたC1-6アルキレン、必要により置換されたC2-6アルケニレン、必要により置換されたC2-6 アルキニレン、-O-、-S-、-CO-、-SO-、-SO2-、-N(R6)-、-N(R7)-CO-、-CO-N(R8)-、-N(R9)-CH2-、-CH2-N(R10)-、-CH2-CO-、-CO-CH2-、-N(R11)-S(O)m-、-S(O)n-N(R12)-、-CH2-S(O)p-、-S(O)q-CH2-、-CH2-O-、-O-CH2-、-N(R13)-CO-N(R14)-または-N(R15)-CS-N(R16)-であり;R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキルまたはC1-6アルコキシであり;m、n、pおよびqは、それぞれ独立して0、1または2の整数であり;Aは、必要により置換されたC3-8シクロアルキル、必要により置換されたC3-8シクロアルケニル、必要により置換された5〜14員の非芳香族へテロ環式環、必要により置換されたC6-14芳香族炭化水素環式環(hydrocarbocyclic ring)または必要により置換された5〜14員の芳香族ヘテロ環式環であり;但し、R1、R2、R3、R4およびR5 のなかの3つの基は-X-Aであり;R1、R2、R3、R4およびR5のなかの残りの2つの基は、独立して水素、ハロゲンまたはC1-6アルキルである)
であってよい。
【0057】
1つの実施形態において、以下の化合物は、式(I)の化合物の範囲から除外される:(1)QがOであり;R1およびR5が水素であり;かつR2、R3およびR4 がフェニルである化合物;(2)QがOであり;R1およびR4 が水素であり;かつR2、R3およびR5 がフェニルである化合物;および(3)QがOであり;R1およびR2が水素であり;かつR3、R4およびR5がフェニルである化合物。
【0058】
本明細書に記載の方法および組成物において使用される1,2-ジヒドロピリジン化合物は、式(II)の化合物:
【化2】

(II)
(式中、QはNH、OまたはSであり;X1、X2およびX3は、それぞれ独立して、単結合、必要により置換されたC1-6アルキレン、必要により置換されたC2-6アルケニレン、必要により置換されたC2-6アルキニレン、-O-、-S-、-CO-、-SO-、-SO2-、-N(R6)- 、-N(R7)-CO-、-CO-N(R8)-、-N(R9)-CH2-、-CH2-N(R10)-、-CH2-CO-、-CO-CH2-、-N(R11)-S(O)m-、-S(O)n-N(R12)-、-CH2-S(O)p-、-S(O)q-CH2-、-CH2-O-、-O-CH2-、-N(R13)-CO-N(R14)-または-N(R15)-CS-N(R16)であり;R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキルまたはC1-6アルコキシであり;m、n、pおよびqは、それぞれ独立して0、1または2の整数であり;A1、A2およびA3は、それぞれ独立して、必要により置換されたC3-8シクロアルキル、必要により置換されたC3-8シクロアルケニル、必要により置換された5〜14員の非芳香族ヘテロ環式環、必要により置換されたC6-14芳香族炭化水素環式環または必要により置換された5〜14員の芳香族ヘテロ環式環であり;そしてR17およびR18は、それぞれ独立して、水素、ハロゲンまたはC1-6アルキルである)
であってもよい。
【0059】
本発明は、式(II)の化合物(式中、X1、X2およびX3は、それぞれ独立して、単結合、必要により置換されたC1-6アルキレン、必要により置換されたC2-6アルケニレンまたは必要により置換されたC2-6 アルキニレンである)を提供する。置換基は、-O-、-S-、-CO-、-SO-、-SO2-、-N(R6)-、-N(R7)-CO-、-CO-N(R8)-、-N(R9)-CH2-、-CH2-N(R10)-、-CH2-CO-、-CO-CH2-、-N(R11)-S(O)m-、-S(O)n-N(R12)-、-CH2-S(O)p-、-S(O)q-CH2-、-CH2-O-、-O-CH2-、-N(R13)-CO-N(R14)-および-N(R15)-CS-N(R16)-の1以上であってよく;R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキルまたはC1-6アルコキシであり;m、n、pおよびqは、それぞれ独立して0、1または2の整数であり;A1、A2およびA3は、それぞれ独立して、必要により置換されたC3-8シクロアルキル、必要により置換されたC3-8シクロアルケニル、必要により置換された5〜14員の非芳香族ヘテロ環式環、必要により置換されたC6-14芳香族炭化水素環式環または必要により置換された5〜14員の芳香族ヘテロ環式環である。
【0060】
本発明の1,2-ジヒドロピリジン化合物のための置換基は、以下のものの1以上であってよい:ヒドロキシ;ハロゲン;ニトリル;ニトロ;C1-6アルキル;C2-6アルケニル;C2-6アルキニル[ここで、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、独立して、かつ必要により、ヒドロキシ、ニトリル、ハロゲン、C1-6アルキルアミノ、ジ(C1-6アルキル)アミノ、C2-6アルケニルアミノ、ジ(C2-6アルケニル)アミノ、C2-6アルキニルアミノ、ジ(C2-6 アルキニル)アミノ、N-C1-6アルキル-N-C2-6アルケニルアミノ、N-C1-6アルキル-N-C2-6アルキニルアミノ、N-C2-6アルケニル-N-C2-6アルキニルアミノ、アラルキルオキシ、TBDMSオキシ、C1-6アルキルスルホニルアミノ、C1-6アルキルカルボニルオキシ、C2-6 アルケニルカルボニルオキシ、C2-6アルキニルカルボニルオキシ、N-C1-6アルキルカルバモイル、N-C2-6アルケニルカルバモイルおよびN-C1-6アルキニルカルバモイルから選択される1以上の基で置換され得る];C1-6アルコキシ;C2-6アルケニルオキシ;C2-6アルキニルオキシ[ここで、アルコキシ、アルケニルオキシおよびアルキニルオキシは、独立して、かつ必要により、C1-6アルキルアミノ、アラルキルオキシおよびヒドロキシから選択される1以上の基で置換され得る];C1-6アルキルチオ;C2-6アルケニルチオ;C2-6アルキニルチオ[ここで、アルキルチオ、アルケニルチオおよびアルキニルチオは、独立して、かつ必要により、ヒドロキシ、ニトリル、ハロゲン、C1-6アルキルアミノ、アラルキルオキシ、TBDMSオキシ、C1-6アルキルスルホニルアミノ、C1-6アルキルカルボニルオキシおよびC1-6アルキルカルバモイルから選択される1以上の基によって置換され得る];必要により置換されたカルボニル[これは、C1-6アルコキシ、アミノ、C1-6アルキルアミノ、ジ(C1-6アルキル)アミノ、C2-6アルケニルアミノ、ジ(C2-6アルケニル)アミノ、C2-6アルキニルアミノ、ジ(C2-6アルキニル)アミノ、N-C1-6アルキル-N-C2-6アルケニルアミノ、N-C1-6アルキル-N-C2-6アルキニルアミノおよびN-C2-6アルケニル-N-C2-6アルキニルアミノによって置換され得る];必要により置換されたアミノ[これは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6アルキルスルホニル、C2-6アルケニルスルホニル、C2-6アルキニルスルホニル、C1-6アルキルカルボニル、C2-6アルケニルカルボニルおよびC2-6アルキニルカルボニルから選択される1または2の基で置換され得る];C1-6アルキルスルホニル;C2-6アルケニルスルホニル;C2-6アルキニルスルホニル;C1-6アルキルスルフィニル;C2-6アルケニルスルフィニル;C2-6 アルキニルスルフィニル;ホルミル;必要により置換されたC3-8シクロアルキル;必要により置換されたC3-8シクロアルケニル[ここで、シクロアルキル基および/またはシクロアルケニル基は、独立して、かつ必要により、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキルおよびアラルキルから選択される1以上の基によって置換され得る];5〜14員の非芳香族ヘテロ環式環[これは、必要により、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキルおよびアラルキルから選択される1以上の基によって置換され得る];C6-14芳香族炭化水素環式環[これは、必要により、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6 アルキルオキシC1-6アルキルおよびアラルキルから選択される1以上の基によって置換され得る];および5〜14員の芳香族ヘテロ環式環[これは、必要により、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキルおよびアラルキルから選択される1以上の基によって置換され得る]。
【0061】
別の実施形態において、本発明は、式(II)の化合物(式中、A1、A2およびA3は、それぞれ独立して、必要により置換されたC3-8シクロアルキル、必要により置換されたC3-8シクロアルケニルまたは必要により置換された5〜14員の非芳香族へテロ環である)を提供する。別の実施形態において、本発明は、式(II)の化合物(式中、A1、A2およびA3は、それぞれ独立して、必要により置換されたC6-14 芳香族炭化水素環または必要により置換された5〜14員の芳香族へテロ環である)を提供する。別の実施形態において、本発明は、式(II)の化合物(式中、A1、A2およびA3は、それぞれ独立して、フェニル、ピロリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、チアゾリル、フリル、ナフチル、キノリル、iso-キノリル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾピリジル、カルバゾリル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ジオキシニル、アダマンチル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリル(morpholyl)であり;これらのうちのいずれも、必要により置換基を有していてもよい)を提供する。別の実施形態において、本発明は、式(II)の化合物(式中、A1、A2およびA3は、それぞれ独立して:
【化3】



(これらのうちのいずれも、必要により置換され得る)から選択される)を提供する。別の実施形態において、本発明は、式(II)の化合物(式中、A1、A2およびA3は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノまたはニトリルで置換される)を提供する。別の実施形態において、本発明は、式(II)の化合物(式中、A1、A2およびA3は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトリルまたはニトロである)を提供する。別の実施形態において、本発明は、式(II)の化合物(式中、Qは酸素である)を提供する。
【0062】
別の実施形態において、本発明は、式(I)または(II)の化合物(式中、X1、X2およびX3は、それぞれ独立して、単結合、-CH2-、-CH(OH)-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-C≡C-、-O-または-CO-である)を提供する。別の実施形態において、本発明は、式(I)または(II)の化合物(式中、X1、X2およびX3は、それぞれ単結合である)を提供する。別の実施形態において、本発明は、式(I)または(II)の化合物(式中、R17およびR18は、それぞれ独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、n-プロピルまたはiso-プロピルである)を提供する。別の実施形態において、本発明は、式(I)または(II)の化合物(式中、R17およびR18は、それぞれ水素である)を提供する。
【0063】
「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などを示し、好ましいハロゲン原子としては、フッ素、塩素および臭素が挙げられる。
【0064】
「C1-6アルキル」とは、1〜6個の炭素を有するアルキル基をいい、例としては、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル(1-メチルプロピル)、tert-ブチル、iso-ペンチル、n-ペンチル、tert-ペンチル(1,1-ジメチルプロピル)、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル(ネオペンチル)、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、n-ヘキシル、iso-ヘキシル、1,2-ジメチルブチル、1-エチル-1-メチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチルブチル、1-メチルブチル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチルなどの直鎖または分岐鎖のアルキル基が挙げられる。
【0065】
「C2-6アルケニル」とは、2〜6個の炭素を有するアルケニル基をいい、例としては、ビニル、1-エチルエテニル(1-ブテン-2-イル)、アリル(2-プロペニル)、1-プロペニル、iso-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル(2-ブテン-2-イル)、2-メチル-2-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、1-ブテニル(1-ブテン-1-イル)、2-ブテニル(2-ブテン-1-イル)、3-ブテニル、1-ペンテニル、1-ヘキセニル、1,3-ヘキサジエニル、1,6-ヘキサジエニルなどが挙げられる。
【0066】
「C2-6アルキニル」とは、2〜6個の炭素を有するアルキニル基をいい、例としては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-エチル-1-プロピニル、1-エチニル-2-プロピニル、2-メチル-3-ブテニル、1-ペンチニル、1-ヘキシニル、1,3-ヘキサジイニル(hexadiynyl)、1,6-ヘキサジイニルなどが挙げられる。
【0067】
「C1-6アルコキシ」とは、1〜6個の炭素を有するアルコキシ基をいい、例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、iso-プロポキシ、n-ブトキシ、iso-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、iso-ペンチルオキシ、tert-ペンチルオキシ、1,2-ジメチルプロポキシ、ネオペンチルオキシ、1-エチルプロポキシ、1-メチルブトキシ、2-メチルブトキシ(methylbutyoxy)、n-ヘキシルオキシ、iso-ヘキシルオキシ、1-エチル-1-メチルプロポキシ、1-エチル-2-メチルプロポキシ、1,1,2-トリメチルプロポキシ、1,2,2-トリメチルプロポキシ、1,1-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、2,3-ジメチルブトキシ、3,3-ジメチルブトキシ、2-エチルブトキシ、1,3-ジメチルブトキシ、1-エチルブトキシ、1-メチルブトキシ、1-メチルペンチルオキシ、2-メチルペンチルオキシ、3-メチルペンチルオキシなどが挙げられる。
【0068】
「C2-6アルキニルオキシ」とは、2〜6個の炭素原子を有するアルキニルオキシ基をいい、例としては、エチニルオキシ、1-プロピニルオキシ、2-プロピニルオキシ、1-ブチニルオキシ、2-ブチニルオキシ、3-ブチニルオキシ、1-メチル-2-プロピニルオキシ、1-エチル-2-プロピニルオキシ、1-エチニル-2-プロピニルオキシ、1-ペンチニルオキシ、1-ヘキシニルオキシ、1,3-ヘキサジニルオキシ、1,6-ヘキサジニルオキシなどが挙げられる。
【0069】
「C2-6アルケニルオキシ」とは、2〜6個の炭素を有するアルケニルオキシ基をいい、例としては、ビニルオキシ、1-エチルエテニルオキシ(1-ブテン-2-イルオキシ)、アリルオキシ(2-プロペニルオキシ)、1-プロペニルオキシ、iso-プロペニルオキシ、2-メチル-1-プロペニルオキシ、1-メチル-1-プロペニルオキシ(2-ブテン-2-イルオキシ)、2-メチル-2-プロペニルオキシ、1-メチル-2-プロペニルオキシ(1-ブテン-3-イルオキシ)、1-ブテニルオキシ(1-ブテン-1-イルオキシ)、2-ブテニルオキシ(2-ブテン-1-イルオキシ)、3-ブテニルオキシ、1-ペンテニルオキシ、1-ヘキセニルオキシ、1,3-ヘキサジエニルオキシ、1,6-ヘキサジエニルオキシなどが挙げられる。
【0070】
「C3-8シクロアルキル」とは、3〜8個の炭素原子で構成されるシクロアルキル基をいい、例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。
【0071】
「C3-8シクロアルケニル」とは、3〜8個の炭素原子で構成されるシクロアルケニル基をいい、例としては、シクロプロペン-1-イル、2-シクロプロペン-1-イル、シクロブテン-1-イル、2-シクロブテン-1-イル、1,3-シクロブタジエン-1-イル、シクロペンテン-1-イル、2-シクロペンテン-1-イル、3-シクロペンテン-1-イル、1,3-シクロペンタジエン-1-イル、1,4-シクロペンタジエン-1-イル、2,4-シクロペンタジエン-1-イル、シクロヘキセン-1-イル、2-シクロヘキセン-1-イル、3-シクロヘキセン-1-イル、1,3-シクロヘキサジエン-1-イル、1,4-シクロヘキサジエン-1-イル、1,5-シクロヘキサジエン-1-イル、2,4-シクロヘキサジエン-1-イル、2,5-シクロヘキサジエン-1-イル、シクロヘプテン-1-イル、2-シクロヘプテン-1-イル、3-シクロヘプテン-1-イル、4-シクロヘプテン-1-イル、1,3-シクロペンタジエン-1-イル、1,4-シクロペンタジエン-1-イル、1,5-シクロヘプタジエン-1-イル、1,6-シクロヘプタジエン-1-イル、2,4-シクロヘプタジエン-1-イル、2,5-シクロヘプタジエン-1-イル、2,6-シクロヘプタジエン-1-イル、3,5-シクロヘプタジエン-1-イル、1,3,5-シクロヘプタトリエン-1-イル、1,3,6-シクロヘプタトリエン-1-イル、1,4,6-シクロヘプタトリエン-1-イル、2,4,6-シクロヘプタトリエン-1-イル、シクロオクテン-1-イル、2-シクロオクテン-1-イル、3-シクロオクテン-1-イル、4-シクロオクテン-1-イル、1,3-シクロオクタジエン-1-イル、1,4-シクロオクタジエン-1-イル、1,5-シクロオクタジエン-1-イル、1,6-シクロオクタジエン-1-イル、1,7-シクロオクタジエン-1-イル、2,4-シクロオクタジエン-1-イル、2,5-シクロオクタジエン-1-イル、2,6-シクロオクタジエン-1-イル、2,7-シクロオクタジエン-1-イル、3,5-シクロオクタジエン-1-イル、3,6-シクロオクタジエン-1-イル、1,3,5-シクロオクタトリエン-1-イル、1,3,6-シクロオクタトリエン-1-イル、1,3,7-シクロオクタトリエン-1-イル、1,4,6-シクロオクタトリエン-1-イル、1,4,7-シクロオクタトリエン-1-イル、1,5,7-シクロオクタトリエン-1-イル、2,4,6-シクロオクタトリエン-1-イル、2,4,7-シクロオクタトリエン-1-イル基などが挙げられる。
【0072】
「5〜14員の非芳香族ヘテロ環式環」とは、窒素、硫黄および酸素から選択される1以上のヘテロ原子を含む、単環式、二環式または三環式の5〜14員の非芳香族ヘテロ環式環をいう。具体的な例としては、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、イミダゾリニル、オキサゾリニルなどが挙げられる。さらに、ピリドン環および非芳香族縮合環に由来する基(例えば、フタルイミド環、スクシンイミド環などに由来する基)もまた、非芳香族へテロ環式環に含まれる。
【0073】
「C6-14芳香族炭化水素環式環およびアリール(C6-14 aromatic hydrocarbocyclic ring and the aryl)」とは、6〜14個の炭素原子から構成される芳香族炭化水素環式環、単環式環、および縮合した二環式環、三環式環などをいう。具体的な例としては、フェニル、インデニル、1-ナフチル、2-ナフチル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、インデニル(indathenyl)、アセナフチル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、アントラセニル、シクロペンタシクロオクテニル、ベンゾシクロオクテニルなどが挙げられる。
【0074】
「5〜14員の芳香族ヘテロ環式環およびヘテロアリール環」とは、窒素、硫黄および酸素から選択される1以上のヘテロ原子を含む単環式、二環式または三環式の5〜14員の芳香族ヘテロ環式環をいう。具体的な例としては、(1)ピロリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリル、iso-インドリル、インドリジニル、プレニル、インダゾリル、キノリル、iso-キノリル、キノリジニル、フタラジル、ナフチルイジニル(naphthylidinyl)、キノキサリル(quinoxalyl)、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、イミダゾトリアジニル、ピラジノピリダジニル、アクリジニル、フェナントリジニル、カルバゾリル、カルバゾリニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イミダゾピリジル、イミダゾピリミジニルまたはピラゾロピリジルなどの窒素を含有する芳香族ヘテロ環式環;(2)チエニルまたはベンゾチエニルなどの硫黄を含有する芳香族ヘテロ環式環;(3)フリル、ピラニル、シクロペンタピラニル、ベンゾフリルまたはiso-ベンゾフリルなどの酸素を含有する芳香族ヘテロ環式環;および(4)チアゾリル、iso-チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フェノチアジニル、イソオキサゾリル、フラザニル、フェノキサジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾロオキサジアゾリル(pyrazoloxadiazolyl)、イミダゾチアゾリル、チエノフラニル、フロピロリルまたはピリドキサジニル(pyridoxadinyl)などの2以上の異なるヘテロ原子を含有する芳香族ヘテロ環式環が挙げられる。
【0075】
本明細書に記載の方法および組成物において使用される1,2-ジヒドロピリジン化合物は、式(III)の化合物:
【化4】

(III)
(式中、X1、X2、X3、A1、A2、A3、R17およびR18は、上記の式(II)の化合物において定義された意味と同じ意味を有する)
であってもよい。
【0076】
別の実施形態において、本発明は、式(III)の化合物(式中、A1、A2およびA3は、それぞれ独立して、必要により置換されたC6-14芳香族炭化水素環または5〜14員の芳香族へテロ環である)を提供する。別の実施形態において、本発明は、式(III)の化合物(式中、A1、A2およびA3は、それぞれ独立して、フェニル、ピロリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、チアゾリル、フリル、ナフチル、キノリル、iso-キノリル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾピリジル、カルバゾリル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ジオキシニル、アダマンチル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリル(morpholyl)であり;ここで各々は、必要により置換され得る)を提供する。別の実施形態において、本発明は、式(III)の化合物(式中、A1、A2およびA3は、それぞれ独立して:
【化5】



(これらの各々は、必要により置換され得る)から選択される)を提供する。別の実施形態において、本発明は、式(III)の化合物(式中、A1、A2およびA3における置換基の結合部位は、それぞれ、基X1、X2およびX3に結合する炭素原子のα位である)を提供する。別の実施形態において、本発明は、式(III)の化合物(式中、X1、X2およびX3は単結合である)を提供する。別の実施形態において、本発明は、式(III)の化合物(式中、R7およびR18は水素である)を提供する。
【0077】
本明細書に記載の方法および組成物において使用される1,2-ジヒドロピリジン化合物は、化合物Aであってよい:
【化6】

(A)
化合物AについてのIUPAC名称は、2-(2-オキソ-1-フェニル-5-ピリジン-2-イル-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)ベンゾニトリルである。化合物Aは、3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オンと呼ばれる場合もある。化合物Aは、ペランパネル(perampanel)としても公知である。
【0078】
用語「化合物A」、「2-(2-オキソ-1-フェニル-5-ピリジン-2-イル-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)ベンゾニトリル」、「3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン」および「ペランパネル」は、その医薬的に許容可能な塩、その立体異性体、その立体異性体の医薬的に許容可能な塩、その水和物、その医薬的に許容可能な塩の水和物、その水和物の立体異性体およびその医薬的に許容可能な塩の水和物の立体異性体を含むことが意図される。別の実施形態において、用語「化合物A」、「2-(2-オキソ-1-フェニル-5-ピリジン-2-イル-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)ベンゾニトリル」、「3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン」および「ペランパネル」は、その医薬的に許容可能な塩、その水和物およびその医薬的に許容可能な塩の水和物を含むことが意図される。
【0079】
他の実施形態において、本発明の方法および組成物において有用な1,2-ジヒドロピリジン化合物は、以下のものである:3-(2-シアノフェニル)-5-(2-メチルスルホニルアミノフェニル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-クロロ-3-ピリジル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン; 3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-ニトロフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-アミノフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-メチルスルホニルアミノフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-メチルアミノフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-ジメチルアミノフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-[3-(5-メトキシメチル-2-オキサゾリジノン-3-イル)-フェニル]-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-メトキシカルボニルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-メチルアミノカルボニルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノ-3-ピリジル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-クロロフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-クロロフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(4-ジメチルアミノエトキシフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-ホルミルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-ヒドロキシメチルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-シアノメチルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-アセチルアミノメチルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-メチルスルホニルアミノメチルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-アセトキシメチルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(4-メチルチオフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(4-メチルスルホニルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ホルミルチオフェン-3-イル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ジエチルアミノメチルチオフェン-3-イル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ヒドロキシメチルチオフェン-3-イル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-ベンジル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-フェニル-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-1,5-ジフェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-メトキシフェニル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(チオフェン-3-イル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-フルオロフェニル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(チオフェン-2-イル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(3-フルフリル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-フルフリル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-クロロフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-メトキシカルボニルフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-フェニル-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-フルオロフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-クロロフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-メトキシフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-フルオロ-3-ピリジル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(4-メトキシ-3-ピリジル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-フルオロ-3-ピリジル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-メトキシフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-フルオロ-3-ピリジル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-フルオロフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(4-フルオロフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-フルオロフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(4-メトキシフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-メトキシ-フェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-フェニル-5-(2-ピリジル)-1-(3-フルオロフェニル-)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-クロロフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(4-フルオロフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(4-ホルミルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(2-ホルミルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-クロロフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-トリル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(チオフェン-3-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-フルフリル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(4-トリル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(4-トリフルオロメチルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(2-メトキシピリジン-5-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(ピリミジン-5-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-ベンジルオキシメチルピリジン-5-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(2-エチルチオピリジン-5-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(4-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-メトキシピリジン-5-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(2-クロロピリジン-5-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(2-フルオロピリジン-5-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(2-メトキシフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-フェニル-5-(2-ピリジル)-1-(3-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-クロロフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(チオフェン-3-イル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2,6-ジメチルフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノチオフェン-3-イル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-フルオロ-3-ピリジル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-クロロフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-クロロフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-ジメチルアミノエトキシフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-クロロフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(3-ジメチルアミノプロポキシフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(2-ヒドロキシメチルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(4-シアノメチルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(2-シアノメチルフェニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(6-ジエチルアミノメチル-2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-1-フェニル-5-(2-ピリミジニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-ヒドロキシピリジン-6-イル)-1-フェニル-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;1-(2-アミノベンゾチアゾール-6-イル)-3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(1-ベンジル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-5-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-[2-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]-1-フェニル-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(6-メチルピリジン-2-イル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(5-メチルピリジン-2-イル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(3-ヒドロキシピリジン-2-イル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-1-フェニル-5-(2-チアゾリル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-メトキシピリジン-6-イル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;1-(4-アミノフェニル)-3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;1-(3-アミノフェニル)-3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリミジニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(2-アミノトルエン-4-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-1-[3-(ジメチルアミノエトキシ)フェニル]-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-1-[3-(ピペリジノエトキシ)フェニル]-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-1-[3-(ピロリジノエトキシ)フェニル]-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-1-[3-(ジイソプロピルアミノエトキシ(diisoproylaminoethoxy))フェニル]-5-(-2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-1-[3-(4-ピペリジノブチル-1-オキシ)フェニル]-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-1-(4-ニトロフェニル)-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;1-フェニル-5-(2-ピリジル)-3-(2-チアゾリル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-1-(3-ピリジル)-5-(2-ピリミジニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-フルオロピリジン-3-イル)-1-フェニル-5-(2-ピリミジニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノピリジン-3-イル)-1-フェニル-5-(2-ピリミジニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-1-(3-ニトロフェニル)-5-(2-ピリミジニル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-ニトロフェニル)-1-フェニル-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-ホルミルチオフェン-3-イル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(2-ナフチル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(1-ナフチル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;5-(2-アミノピリジン-6-イル)-3-(2-シアノフェニル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;5-(2-ブロモピリジン-6-イル)-3-(2-シアノフェニル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-モルホリノピリジン-6-イル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロ

ピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-1-(3-ヒドロキシフェニル)-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-1-[3-(4-ピペリジルオキシ)]フェニル-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;1-[3-(N-アセチルピペリジン-4-イル-オキシ)フェニル]-3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-1-{3-[1-(メタンスルホニル)ピペリジン-4-イル-オキシ]フェニル}-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;1-[3-(N-メチルピペリジン-4-イル-オキシ)フェニル]-3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(6-クロロ-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-(2-ニトロトルエン-4-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-(2-シアノチオフェン-3-イル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-[2-(5-オキサゾリル)フェニル]-1-フェニル-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;3-[2-(5-オキサゾリル)チオフェン-3-イル]-1-フェニル-5-(2-ピリジル)-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン;および3-(2-エトキシカルボニルビニルチオフェン-3-イル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン。
【0080】
上記1,2-ジヒドロピリジン化合物および上記1,2-ジヒドロピリジン化合物を作製するための方法は、米国特許第6,949,571号、米国公開公報2004/0023973号、ならびにPCT公開公報WO 03/047577、WO 04/009553、WO 06/004100、WO 06/004107、WO07/072868、およびWO07/072869に記載されており、これらの開示は、その全体が本明細書において参考として組み込まれる。
【0081】
キノキサリジオンアミノアルキルホスホネートなどの他のAMPAレセプターアンタゴニストを作製するための方法は、例えば、WO 2005/094797に記載されている。
【0082】
活性成分であるNMDAレセプターアンタゴニストは、当該分野で公知のいずれのものであってもよい。1つの実施形態において、NMDAレセプターアンタゴニストは、式(IV)によって表される化合物:
【化7】

(IV)
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素または直鎖もしくは分岐鎖のC1-6アルキル基であるか、あるいは、R1およびR2は、窒素原子とともにC5-6ヘテロ環式環を形成し;R3およびR4は、それぞれ独立して、水素、直鎖もしくは分岐鎖の C1-6 アルキル基、C5-6シクロアルキル基またはフェニルであり;かつR5は、水素または直鎖もしくは分岐鎖のC1-6アルキル基である)
、その医薬的に許容可能な塩、その立体異性体またはその立体異性体の医薬的に許容可能な塩である。1つの実施形態において、R1、R2、R3、R4およびR5は、同時に水素原子ではない。1つの実施形態において、上記医薬的に許容可能な塩は、医薬的に許容可能な酸付加塩である。例示的な分岐鎖または直鎖のC1-6アルキル基としては、メチル、エチル、iso-プロピル、n-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルおよびその異性体が含まれる。
【0083】
1つの実施形態において、式(IV)の化合物は、化合物(B)、その医薬的に許容可能な塩、その立体異性体、またはその立体異性体の医薬的に許容可能な塩である:
【化8】

(B)
【0084】
別の実施形態において、式(IV)の化合物は、化合物(B1)またはその医薬的に許容可能な塩である:
【化9】

(B1)
【0085】
化合物(B1)は、メマンチンとしても公知であり、当該分野で公知の任意の医薬的に許容可能な塩の形態であることができる。1つの実施形態において、メマンチンは、塩酸塩の形態である。化合物(B)および(B1)は、1-アミノ-3,5-ジメチル-アダマンタン(adamantane)としても公知である。
【0086】
1つの実施形態において、アダマンタン化合物は、以下のものである:1-アミノアダマンチン(adamantine);1-アミノ-3-フェニルアダマンチン;1-アミノ-メチル-アダマンタン;1-アミノ-3,5-ジメチルアダマンチン;1-アミノ-3-エチルアダマンチン;1-アミノ-3-イソプロピルアダマンチン;1-アミノ-3-n-ブチルアダマンチン;1-アミノ-3,5-ジエチルアダマンチン;1-アミノ-3,5-ジイソプロピルアダマンチン;1-アミノ-3,5-ジ-n-ブチルアダマンチン;1-アミノ-3-メチル-5-エチルアダマンチン;1-N-メチルアミノ-3,5-ジメチルアダマンチン;1-N-エチルアミノ-3,5-ジメチルアダマンチン;1-N-イソプロピル-アミノ-3,5-ジメチルアダマンチン;1-N,N-ジメチル-アミノ-3,5-ジメチルアダマンチン;1-N-メチル-N-イソプロピル-アミノ-3-メチル-5-エチルアダマンチン;1-アミノ-3-ブチル-5-フェニルアダマンチン;1-アミノ-3-ペンチルアダマンチン;1-アミノ-3,5-ジペンチルアダマンチン;1-アミノ-3-ペンチル-5-ヘキシルアダマンチン;1-アミノ-3-ペンチル-5-シクロヘキシルアダマンチン;1-アミノ-3-ペンチル-5-フェニルアダマンチン;1-アミノ-3-ヘキシルアダマンチン;1-アミノ-3,5-ジヘキシルアダマンチン;1-アミノ-3-ヘキシル-5-シクロヘキシルアダマンチン;1-アミノ-3-ヘキシル-5-フェニルアダマンチン;1-アミノ-3-シクロヘキシルアダマンチン;1-アミノ-3,5-ジシクロヘキシルアダマンチン;1-アミノ-3-シクロヘキシル-5-フェニルアダマンチン;1-アミノ-3,5-ジフェニルアダマンチン;1-アミノ-3,5,7-トリメチルアダマンチン;1-アミノ-3,5-ジメチル-7-エチルアダマンチン;1-アミノ-3,5-ジエチル-7-メチルアダマンチン;1-N-ピロリジノおよび1-N-ピペリジンの誘導体;1-アミノ-3-メチル-5-プロピルアダマンチン;1-アミノ-3-メチル-5-ブチルアダマンチン;1-アミノ-3-メチル-5-ペンチルアダマンチン;1-アミノ-3-メチル-5-ヘキシルアダマンチン;1-アミノ-3-メチル-5-シクロヘキシルアダマンチン;1-アミノ-3-メチル-5-フェニルアダマンチン;1-アミノ-3-エチル-5-プロピルアダマンチン;1-アミノ-3-エチル-5-ブチルアダマンチン;1-アミノ-3-エチル-5-ペンチルアダマンチン;1-アミノ-3-エチル-5-ヘキシルアダマンチン;1-アミノ-3-エチル-5-シクロヘキシルアダマンチン;1-アミノ-3-エチル-5-フェニルアダマンチン;1-アミノ-3-プロピル-5-ブチルアダマンチン;1-アミノ-3-プロピル-5-ペンチルアダマンチン;1-アミノ-3-プロピル-5-ヘキシルアダマンチン;1-アミノ-3-プロピル-5-シクロヘキシルアダマンチン;1-アミノ-3-プロピル-5-フェニルアダマンチン;1-アミノ-3-ブチル-5-ペンチルアダマンチン;1-アミノ-3-ブチル-5-ヘキシルアダマンチン;1-アミノ-3-ブチル-5-シクロヘキシルアダマンチン;これらのN-メチル、N,N-ジメチル、N-エチル、N-プロピル誘導体。これらの化合物の各々は、その医薬的に許容可能な塩、その立体異性体またはその立体異性体の医薬的に許容可能な塩の形態であってもよい。
【0087】
化合物(IV)、(B)および(B1)を調製するための方法は、米国特許第5,061,703号に記載されており、当該特許の開示は、その全体が本明細書において参考として組み込まれる。メマンチンは、Forest LaboratoriesからNAMENDA(登録商標)として市販されている。
【0088】
別の実施形態において、NMDAレセプターアンタゴニストは、式(V)の化合物:
【化10】

(V)
(式中、R1はアミノ基または
【化11】


であり;ここで、X1およびX2は、それぞれ独立して水素またはC1-5脂肪族基であり;R2〜R16 は、それぞれ独立して水素または鎖状のC1-5脂肪族基であり、R4およびR10は、代替的および独立して、水素であってもアシル基であってもよい)
、その医薬的に許容可能な塩、その立体異性体またはその立体異性体の医薬的に許容可能な塩である。
【0089】
1つの実施形態において、式(V)の化合物は、アマンタジン、その医薬的に許容可能な塩、その立体異性体またはその立体異性体の医薬的に許容可能な塩である(ここで、R2-R16はすべて水素原子である)。別の実施形態において、式(V)の化合物は、メマンチン、その医薬的に許容可能な塩、その立体異性体またはその立体異性体の医薬的に許容可能な塩であり、メマンチンは化合物(B)および(B1)として示される。別の実施形態において、式(V)の化合物は、リマンタジン、その医薬的に許容可能な塩、その立体異性体またはその立体異性体の医薬的に許容可能な塩である(ここで、R2-R17はすべて水素原子であり、R1は:
【化12】


である(式中、X1は水素であり、X2はメチルである))。
【0090】
化合物(V)を調製するための方法は、米国特許第5,614,560号に記載されており、この開示は、その全体が本明細書において参考として組み込まれる。
【0091】
別の実施形態において、NMDAレセプターアンタゴニストは、米国特許第6,034,134号およびWO 2004/037234(これらの開示はその全体が本明細書において参考として組み込まれる)に記載されるネラメキサン(neramexane)(すなわち、1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン)またはその医薬的に許容可能な塩である。
【0092】
他の実施形態において、本明細書に記載の組成物、組合せおよび方法において使用することができる例示的なNMDAレセプターアンタゴニストには、ケタミンまたはその医薬的に許容可能な塩、エリプロディル(eliprodil)またはその医薬的に許容可能な塩、イフェンプロジルまたはその医薬的に許容可能な塩、ジゾシルピンまたはその医薬的に許容可能な塩、レマセミド(remacemide)またはその医薬的に許容可能な塩、ラモトリジン(lamotrigine)またはその医薬的に許容可能な塩、リルゾールまたはその医薬的に許容可能な塩、アプチガネル(aptiganel)またはその医薬的に許容可能な塩、フェンシクリジンまたはその医薬的に許容可能な塩、フルピルチン(flupirtine)またはその医薬的に許容可能な塩、セルフォテル(celfotel)またはその医薬的に許容可能な塩、フェルバメートまたはその医薬的に許容可能な塩、スペルミンまたはその医薬的に許容可能な塩、スペルミジンまたはその医薬的に許容可能な塩、レベモパミル(levemopamil)またはその医薬的に許容可能な塩、デキストロメトルファン((+)-3-ヒドロキシ-N-メチルモルフィナン)またはその医薬的に許容可能な塩、デキストロファン(dextrorphan)((+)-3-ヒドロキシ-N-メチルモルフィナン)またはその医薬的に許容可能な塩などが含まれる。これらのNMDAレセプターアンタゴニストは、当該分野で公知であり、例えば、PCT公開公報WO 2004/071431およびWO 2006/121560に記載されている(これらの開示は、その全体が本明細書において参考として組み込まれる)。
【0093】
当該分野で公知の他のNMDAレセプターアンタゴニストを、本明細書に記載の組成物、組合せおよび方法で使用することができ、これらとしては、米国特許第4,346,112号、同第5,061,703号、同第5,334,618号、同第5,382,601号、同第6,444,702号、同第6,620,845号および同第6,662,845号に記載のNMDAレセプターアンタゴニストが挙げられる(これらの開示は、その全体が本明細書において参考として組み込まれる)。
【0094】
本発明の組合せ、キットおよび/または医薬組成物に含まれる処方物の投薬形態は、その形態がAMPAレセプターアンタゴニストおよびNMDAレセプターアンタゴニストを含有するかぎり、特に限定されない。本発明の組合せ、キットおよび/または医薬組成物は、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、ピック病など)、認知症、軽度認知機能障害、緑内障、高眼圧症および疼痛(例えば、神経因性疼痛、頭痛など)を治療するための組合せ、キットおよび/または医薬組成物として有用である。
【0095】
本発明の組合せ、キットおよび/または医薬組成物は、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、ピック病など)、認知症、軽度認知機能障害、緑内障、高眼圧症および疼痛(例えば、神経因性疼痛、頭痛など)を治療するための薬物として使用することができる。
【0096】
本発明の組合せ、キットおよび/または医薬組成物は、患者に投与することができる。
【0097】
本発明の組合せ、キットおよび/または医薬組成物は、経口投与または非経口投与によって使用することができる。本発明の組合せ、キットおよび/または医薬組成物が使用される場合、本発明の化合物の投与される用量は、患者の症状の程度、年齢、性別、体重および感受性の差、投与の様式、投与期間、投与間隔、医薬組成物の性質、処方およびタイプ、ならびに活性な要素のタイプに依存して異なる。通常、上記化合物の用量は、成人(体重60kg)に対して0.1 mg/日〜1000 mg/日、好ましくは0.5 mg/日〜100 mg/日、より好ましくは1 mg/日〜40 mg/日であるが、これに限定されず、これらは、1日に1回〜3回投与することができる。
【0098】
本発明の医薬組成物は、種々の形態(例えば、固体経口用処方物、注射用液体など)にすることができる。
【0099】
AMPAレセプターアンタゴニストおよびNMDAレセプターアンタゴニストは、所望の慣用的な非毒性の医薬的に許容可能な賦形剤を含有する投薬単位処方物で、経口的、局所的、非経口的、吸入(鼻または経口)により、または経直腸的に投与することができる。用語「非経口」には、皮下、静脈内、筋肉内、髄腔内、胸骨内への注射または注入技術が含まれる。
【0100】
本発明の1,2-ジヒドロピリジン化合物(例えば、3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オン)などのAMPAレセプターアンタゴニストの一日の用量は、通常、経口投与の場合、30 μg/日〜10 g/日;好ましくは、100 μg/日〜5 g/日、またはより好ましくは、100 μg/日〜100 mg/日である。注射による投与の場合、一日の用量は、通常、30 μg/日〜1 g/日;好ましくは、100 μg/日〜500 mg/日、またはより好ましくは、100 μg/日〜30 mg/日である。AMPAレセプターアンタゴニストは、一日に一回または一日数回に分けて投与される。投薬量の文脈で使用される場合、数値重量は、すべての塩、対イオン、水和物などを除く、AMPAレセプターアンタゴニスト(例えば、本発明の1,2-ジヒドロピリジン化合物)の重量をいう。したがって、500 mgの3-(2-シアノフェニル)-5-(2-ピリジル)-1-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-2-オンの相当物を得るためには、医薬的に許容可能な塩および/または水和物の重量が追加されているので、その化合物の医薬的に許容可能な塩および/または水和物を500 mgより多く使用することが必要になる。ペランパネルの一日の用量は、通常、経口投与の場合、1 mg/日〜30 mg/日、好ましくは、1 mg/日〜20 mg/日、好ましくは、2 mg/日〜12 mg/日、またはより好ましくは、2 mg/日〜8 mg/日である。
【0101】
本発明のアダマンタン化合物(例えば、メマンチン)などのNMDAレセプターアンタゴニストの一日の用量は、通常、0.01 mg/日〜100 mg/日;0.01 mg/日〜1000 mg/日;好ましくは、0.1 mg/日〜500 mg/日;好ましくは、1 mg/日〜100 mg/日;好ましくは、1 mg/日〜50 mg/日;またはより好ましくは、10 mg/日〜30 mg/日である。NMDAレセプターアンタゴニストは、一日に一回または一日数回に分けて投与される。投薬量の文脈で使用される場合、数値重量は、すべての塩、対イオン、水和物などを除く、NMDAレセプターアンタゴニストの重量をいう。したがって、500 mgのメマンチンの相当物を得るためには、医薬的に許容可能な塩の重量が追加されているので、メマンチンの医薬的に許容可能な塩を500 mgより多く使用することが必要になる。メマンチンの一日の用量は、通常、経口投与の場合、1 mg/日〜40 mg/日、好ましくは、5 mg/日〜28 mg/日、好ましくは、5 mg/日〜20 mg/日、またはより好ましくは、10 mg/日〜20 mg/日である。
【0102】
1つの実施形態において、投与の様式は、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射または動脈内注射などの注射によるものである。適切な分散剤または湿潤剤、懸濁剤(例えば、メチルセルロース、Polysorbate 80、ヒドロキシエチルセルロース、アカシア、粉末トラガカント、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなど)、pH調整剤、緩衝剤、可溶化剤(例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、Polysorbate 80、ニコチンアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マクロゴール、ヒマシ油脂肪酸のエチルエステルなど)、安定剤(例えば、亜硫酸ナトリウムおよびピロ亜硫酸ナトリウム;保存剤の例としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾールなど)、等張化剤および保存剤を使用して、当該分野に従って注射用調製物(例えば、滅菌注射用水溶液または油性懸濁液)を処方することができる。滅菌注射用調製物は、例えば、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中(例えば、1,3-ブタンジオール溶液中)の滅菌注射用溶液または懸濁液としてもよい。使用することができる許容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液および等張性の塩化ナトリウム溶液がある。さらに、溶媒または懸濁媒質として滅菌固定油が慣用的に使用される。この目的にために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の刺激の少ない固定油を使用することができ、さらに、オレイン酸などの脂肪酸も、注射用調製物において使用することができる。このような調製物は、当該分野で公知の方法によって、凍結乾燥することができる。
【0103】
固体の経口処方物を調製するために、賦形剤、および必要により、結合剤、崩壊剤、滑剤、着色剤、矯味矯臭剤などを主薬に添加し、次いで、慣用的な方法に従って錠剤、コーティング剤、顆粒剤、細粒剤、分散剤、カプセル剤などに成形する。
【0104】
例えば、賦形剤として、ラクトース、コーンスターチ、スクロース、グルコース、ソルビトール(sorbit)、結晶セルロール、二酸化ケイ素などを使用することができ;例えば、結合剤として、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセスロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを使用することができ;例えば、滑剤として、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカなどを使用することができ;着色剤として薬物に添加することができるものを使用することができ;例えば、矯味矯臭剤として、ココアパウダー、メントール、芳香族酸、ペパーミント油、樟脳油、シナモンパウダーなどを使用することができる。もちろん、必要な場合には、これらの錠剤および顆粒剤は、糖コーティング、ゼラチンコーティングなどにより適宜コーティングされていてもよい。
【0105】
経口投与のための固体投薬形態としては、チューインガム、カプセル剤、錠剤、舌下剤、粉剤、顆粒剤およびゲルを挙げることができる。このような固体投薬形態において、活性成分は、ラクトースまたはデンプンなどの1以上の不活性な希釈剤と混合することができる。慣行として、そのような投薬形態は、他の物質(ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤が挙げられる)も含むことができる。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、上記投薬形態は、緩衝剤を含むこともできる。錠剤は、腸溶性コーティングまたはフィルムコーティングなどにより調製することもできる。
【0106】
錠剤を作製するために、ビヒクル(例えば、ラクトース、白砂糖、マンニトール、グルコース、デンプン、炭酸カルシウム、結晶セルロース、ケイ酸など)、結合剤(例えば、水、エタノール、ミラノール(myranol)、グルコース溶液、デンプン溶液、ゼラチン溶液、 ポリビニルピロリドンなど)、分解剤(例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、ラクトースなど)、吸収促進剤(例えば、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、湿潤剤(例えば、グリセリン、デンプンなど)、滑剤(例えば、ステアリン酸、ポリエチレングリコールなど)、および矯味矯臭剤(例えば、甘味料)などの当該分野で公知の医薬的に許容可能なキャリアと活性成分を混合することができる。錠剤は、従来の錠剤、成形剤、カシェ剤などの形態にすることができる。舌下投与とは、口の中での投与(例えば、舌の下、頬と歯肉との間、舌と口蓋との間)をいう。口の中の血管の多い粘膜内層は、身体に投与されるべき活性成分にとって都合のよい位置である。
【0107】
他の実施形態において、固体投薬形態は、医薬的に許容可能なキャリア中に、顆粒剤または粉剤としてパッケージされていてもよく、顆粒剤または粉剤は、パッケージから取り出して食物に振りかけられるか、または水もしくはジュースなどの液体と混合されるか、あるいは、顆粒剤は、カプセルに封入される。この実施形態において、本明細書に記載の活性成分は、矯味矯臭剤または甘味剤と混合することができる。パッケージする材料は、プラスチックでもコーティング紙でもよいし、顆粒剤または粉剤に水もしくは湿気が到達することを防ぐ任意の材料でもよい。
【0108】
経口投与のための液体投薬形態としては、当該分野で一般的に使用される不活性な希釈剤(例えば、水)を含む、医薬的に許容可能なゲル、乳剤、溶液、舌下用溶液、懸濁液およびシロップを挙げることができる。このような組成物は、アジュバント(例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、ならびに甘味剤、矯味矯臭剤および香料)も含むことができる。舌下用溶液を作製するために、活性成分は、種々のキャリア、賦形剤、pH調整剤など(例えば、水、砂糖、乳酸、酢酸、フルクトース、グルコース、サッカリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、アルコール、ベントナイト、トラガカント、ゼラチン、アルギン酸塩、アスパルテーム、ソルビトール、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、人工の矯味矯臭剤および着色剤)と混合することができる。他の実施形態において、液体投薬形態は、眼への局所投与に適した眼科用組成物であってもよい。
【0109】
以下に、本発明を特定の実施例によって説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0110】
[材料と方法]
[皮質細胞の培養]
皮質細胞の培養物をWistar系の胎児ラット(在胎齢:17〜19日、Charles River Japan、Kanagawa、Japan)から調製した。皮質を切開し、2% B27補充物(Invitrogen)、25 μM 2-メルカプトエタノール(Wako)、0.5 mM L-グルタミン(Invitrogen)および×1/100容量の抗生物質−抗真菌物質(antibiotic-antimycotic)(Invitrogen)を含むNeurobasal培地(Invitrogen Corp., Carlsbad, CA, USA)に入れ、次いで、0.25%トリプシン(Invitrogen)および0.2 mg/mlデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)(Sigma)を含むCa2+/Mg2+非含有ハンクス塩溶液(HBSS;10 mM HEPES、pH 7.3)中で、37oCで30分間インキュベートした。軽くすりつぶすことによって、皮質組織を1種の細胞(single cell)まで分離させた。310×gで3分間細胞懸濁液を遠心分離し、得られたペレットを上記に記載の培地に再懸濁した。
【0111】
[NMDAおよびカイニン酸が誘導する毒性]
ポリ-L-リジン(Sigma)でコーティングした96ウェルプレートに、初期細胞密度5×105細胞/cm2で細胞をまいた。上記に記載のNeurobasal培地中、細胞を37oC、CO2インキュベータ(5%(v/v))内で7日間培養し、その後の4日は、抗酸化物質B27補充物および2-メルカプトエタノールを含まない培養培地で培養した。100 μMのN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)(Sigma)および100 μMのカイニン酸(Sigma)に、37oCで24時間この培養物をさらした。ペランパネル(0.03、0.3、3または30 μM)およびメマンチンHCl(0.1、1、10または100 μM)により、細胞を処理した(これらのアゴニストへ細胞をさらす24時間前およびアゴニストへ細胞をさらしている間)。併用実験では、ペランパネル(3 μM)またはメマンチン(10 μM)またはその組合せを用いた。
【0112】
[MTTアッセイ]
96ウェルプレートで増殖させた細胞の生存率を、3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(MTT)アッセイによって測定した。各ウェルに、10 μlの8 mg/ml MTT(Sigma)溶液(D-PBS(-)中(Dulbeccoリン酸緩衝化食塩水、Sigma))を添加した。37oCでの10分間のインキュベーションの間、生きているミトコンドリア中の活性化デヒドロゲナーゼによってMTTのテトラゾリウム環が還元されて、青色の沈殿物を生じさせる。細胞を溶解し、20%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS:Wako)を含む100 μlのMTT可溶化緩衝剤(50% N,N-ジメチルホルムアミド中、pH 4.7)中に沈殿物を溶かし、550〜690 nmでの分光光度によって定量した。
培地とMTT溶液とのみを含んで細胞を含まないウェルを測定してバックグラウンド値を得て、以下のように550〜690 nmでの測定値からこの値を差し引いた:
回収%=(サンプル−NMDA/カイニン酸処理コントロール)/(非処理のコントロール−NMDA/カイニン酸処理コントロール)×100
【0113】
[統計分析]
ソフトウェアパッケージSAS ver. 8.2(SAS Institute Japan Ltd., Tokyo, Japan)を用いて、一元配置分散分析(ANOVA)、次いでDunnett多重比較検定により得られたデータを分析した。
【0114】
[結果]
ペランパネルおよびメマンチンは、カイニン酸とNMDAとによる併用処理によって誘導される興奮毒性からニューロンを保護した(図1A、B)。このアッセイにおいて、ペランパネルとメマンチンとの併用は、相加効果を超える効果を引き起こした(図2)。
図1:
A:カイニン酸とNMDAとの併用によって引き起こされるニューロン損傷に対するペランパネルの効果
B:カイニン酸とNMDAとの併用によって引き起こされるニューロン損傷に対するメマンチンの効果
#はコントロール vs 薬物、Dunnett多重比較検定によりP<0.05である。
図2:
カイニン酸とNMDAとの併用によって誘導されるニューロン損傷に対するペランパネル、メマンチンの単独および併用療法の効果
#はコントロール vs 薬物、Dunnett多重比較検定によりP<0.05である。*は薬物単独 vs 併用療法、P<0.05である。
【0115】
種々の認知症に対するメマンチンの効能が臨床試験で示されている。メマンチンは、認知症、特にアルツハイマー病を治療するための有望な神経保護薬であると考えられる(Jain KK, Evaluation of memantine for neuroprotection in dementia. Expert Opin Investig Drugs 2000; 9(6): 1397-406.)。メマンチンの臨床的な投薬量は20 mg/日である。20 mgでのメマンチンの最大血漿濃度は、一回投与処置の後、約20〜25 ng/mlであった(Periclou A, et al., Pharmacokinetic study of memantine in healthy and renally impaired subjects. Clin Pharmacol Ther 2006; 79: 134-43.)。この血漿濃度は、おおよそ0.1 μMに対応する。臨床的に意義のある濃度のメマンチンは、本発明者らの系において顕著な神経保護効果をもたらすことができたが、臨床的に意義のある濃度でのメマンチンの効果サイズは小さく、最大効果をはるかに下回った。
【0116】
同じアッセイ系において、ペランパネルは、顕著な神経保護効果を示した(0.3〜30 μM)が、神経保護を示す最も低い濃度で最高限度の効果を示した。
【0117】
したがって、どちらの化合物もニューロンを損傷から守ることができるが、両方の化合物を用いる単剤療法は、最大効果をもたらさない場合がある。実際、メマンチンの臨床的効果は、アルツハイマー病での試験ではそれほど大きくないことが報告された。用量を増やせば臨床効能が改善する可能性はあるが、メマンチンは、20 mg/日での用量と比較して、40 mg/日では有害事象のリスクが高くなることが示されていることが知られている(Center for Drug Evaluation and Research Approval Package for: Application Number 21-487, Medical Review Part 3, http://www.fda.gov/cder/foi/nda/2003/21-487_Namenda_Medr_P3.pdf)。
【0118】
本明細書において、本発明者らは、メマンチンとペランパネルとの併用が、ニューロン保護において相加効果を超える効果をもたらし得ることを示した。メマンチンとペランパネルによる併用療法は、現在の状況の臨床診療を克服することができる。
【0119】
本明細書において引用される特許、特許出願および公報の各々は、その全体が本明細書において参考として組み込まれる。
当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、本発明に対して種々の改変がなされ得ることを理解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;
(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩;および
(iii)1以上の医薬的に許容可能なキャリア
を含む医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬組成物が、(a)神経変性疾患;(b)認知症;(c)軽度認知機能障害;(d)緑内障;(e)高眼圧症;または(f)疼痛を治療するために使用される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;および
(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩
を含む組合せ。
【請求項4】
上記組合せが、患者に別々に投与されるか、または患者に医薬組成物の形態で投与される、請求項3に記載の組合せ。
【請求項5】
前記組合せが、(a)神経変性疾患;(b)認知症;(c)軽度認知機能障害;(d)緑内障;(e)高眼圧症;または(f)疼痛を治療するために使用される、請求項3に記載の組合せ。
【請求項6】
(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;
(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩;および
(iii)(a)神経変性疾患;(b)認知症;(c)軽度認知機能障害;(d)緑内障;(e)高眼圧症;もしくは(f)疼痛を治療および/または予防するため、あるいは(a)神経変性疾患;(b)認知症;(c)軽度認知機能障害;(d)緑内障;(e)高眼圧症;もしくは(f)疼痛の発症を遅らせるための、同時、別々または連続してそれらを使用するための指示書
を含むキット。
【請求項7】
(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;および(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩が、患者に別々に投与されるか、または患者に医薬組成物の形態で投与される、請求項6に記載のキット。
【請求項8】
(a)神経変性疾患;(b)認知症;(c)軽度認知機能障害;(d)緑内障;(e)高眼圧症;または(f)疼痛を治療する医薬組成物を製造するための、
(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;および
(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩
の使用。
【請求項9】
(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;および(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩が、患者に別々に投与されるか、または患者に医薬組成物の形態で投与される、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
(a)神経変性疾患;(b)認知症;(c)軽度認知機能障害;(d)緑内障;(e)高眼圧症;または(f)疼痛を治療するための方法であって、
(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;および(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩を治療が必要な患者に投与する工程
を含む、前記方法。
【請求項11】
(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;および(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩が、患者に別々に投与されるか、または患者に医薬組成物の形態で投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(a)神経変性疾患;(b)認知症;(c)軽度認知機能障害;(d)緑内障;(e)高眼圧症;または(f)疼痛の治療における、(i)ペランパネル、医薬的に許容可能なその塩、その水和物、または医薬的に許容可能なその塩の水和物;および(ii)メマンチンまたは医薬的に許容可能なその塩。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−520154(P2010−520154A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537341(P2009−537341)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/JP2008/054422
【国際公開番号】WO2008/111590
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】