説明

神経変性疾患の治療のためのアリールアミドピリミドン誘導体

式(I)で表される、遊離塩基または酸との付加塩の形態での、ピリミドン誘導体もしくはその塩、またはその溶媒和化合物もしくはその水和物


(式中、Xは、水素原子2個、硫黄原子、酸素原子またはC1−2アルキル基および水素原子を表し、Zは、結合、酸素原子、窒素原子(水素原子またはC1−3アルキル基で置換されている。)、硫黄原子、メチレン基(C1−6アルキル基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−2過ハロゲン化アルキル基またはアミノ基から選択される1または2つの基で置換されていてもよい。)を表し、R1は、2、4もしくは5−ピリミジン環または4−ピリジン環を表し、環は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されていてもよく、R2は、ベンゼン環、ナフタレン環またはベンジル基を表し、環は、C1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル基、ハロゲン原子、C1−2過ハロゲン化アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシル基、ヘテロアリール基(C1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基(C3−5シクロアルキル基、C1−2過ハロゲン化アルコキシ基、C1−6アルキルスルホニル基、ニトロ、シアノ、アミノ、C1−6モノアルキルアミノ基またはC2−12ジアルキルアミノ基で置換されていてもよい。)、アセトキシ基またはアミノスルホニル基で置換されていてもよい。)から選択される1から4つの置換基で置換されていてもよく、R3は、水素原子、C1−6アルキル基またはハロゲン原子を表し、R4は、水素原子またはC1−6アルキル基を表し、R5は、水素原子、C1−6アルキル基を表し、R6は、水素原子、C1−6アルキル基を表し、R7は、水素原子またはC1−6アルキル基を表し、nは、0から3を表し、mは0を表す。)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GSK3βの異常活性によって引き起こされる神経変性疾患の予防的および/または治療的処置のための薬剤の活性成分として有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
GSK3β(グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β)は、代謝、分化および生存の制御に重要な役割を果たすプロリン指向性セリン、スレオニンキナーゼである。当初GSK3βは、リン酸化でき、したがってグリコーゲン合成酵素を阻害できる酵素として特定された。その後、GSK3βは、アルツハイマー病およびいくつかのタウパシーにおいて過剰リン酸化されていることも判明しているエピトープ中のタウタンパク質をリン酸化する酵素であるタウタンパク質キナーゼ1(TPK1)と同一であることが分かった。
【0003】
興味深いことに、GSK3βのタンパク質キナーゼB(AKT)によるリン酸化は、GSK3βのキナーゼ活性を損失させることになり、この阻害は、神経栄養因子の作用のいくつかを媒介し得るとの仮説が立てられている。さらに、細胞生存に関与しているタンパク質であるβ−カテニンをGSK3βがリン酸化することによって、ユビキチン化依存性プロテアソーム経路によるβ−カテニンの分解が生じる。
【0004】
したがって、GSK3β活性の阻害により、神経栄養活性をもたらすことができると思われる。実際、GSK3βの非競合的阻害剤であるリチウムは、いくつかのモデルにおいて神経突起生成を増強し、Bcl−2のような生存因子の誘導ならびにp53およびBaxなどのアポトーシス促進因子の発現の阻害を介して、神経細胞の生存をも高めるという証拠がある。
【0005】
最近の研究により、β−アミロイドは、GSK3β活性およびタウタンパク質リン酸化を増大させることが実証された。さらに、この過剰リン酸化、さらにβ−アミロイドの神経毒性作用は、塩化リチウムおよびGSK3βアンチセンスmRNAにより遮断される。このような知見は、GSK3βが、アルツハイマー病の2つの主要な病理過程である異常APP(アミロイド前駆タンパク質)の進行とタウタンパク質の過剰リン酸化とをリンクしている可能性を強く示唆している。
【0006】
タウの過剰リン酸化により、神経細胞骨格の不安定化が起こるが、GSK3βの異常活性による病理学的帰結は、タウタンパク質の病理的リン酸化のみが原因ではない可能性が高い。なぜなら上述されているように、このキナーゼの過剰な活性は、アポトーシス因子および抗アポトーシス因子の発現の調節を介して生存に影響を及ぼし得るからである。さらに、β−アミロイド誘導によるGSK3β活性の増加は、リン酸化を起こし、よってエネルギー産生およびアセチルコリン合成の中心的酵素であるピルビン酸デヒドロゲナーゼの阻害をもたらすことが示されている。
【0007】
これらの実験による知見は、神経病理学的帰結ならびにアルツハイマー病に伴う認知欠陥および注意欠陥ばかりでなく、他の急性および慢性の神経変性疾患ならびにGSK3βが調節されていない他の病理(Nature reviews、第3巻、2004年6月、479−487頁、Trends in Pharmacological Sciences、第25巻、第9号、2004年9月、471−480頁、Journal of neurochemistry、2004年、89、1313−1317頁、Medicinal Research Reviews、第22巻、第4号、373−384頁、2002年)の治療にGSK3βの用途を見出すことができることを示している。
【0008】
神経変性疾患には、非限定的なものとして、パーキンソン病、タウオパチー(例えば、前頭側頭型認知症、皮質基底核変性症、ピック病、進行性核上性麻痺)、ウィルソン病、ハンチントン病(The Journal of biological chemistry、第277巻、第37号、9月13日号、33791−33798頁、2002年)、プリオン病(Biochem.J.、第372号、129−136頁、2003年)および脳血管性認知症を含めた他の認知症、急性脳卒中および他の外傷性障害、脳血管障害(例えば加齢に伴う黄斑変性症)、脳および脊髄の損傷、筋萎縮性側索硬化症(European Journal of Neuroscience、第22巻、301−309頁、2005年)、末梢神経障害、網膜症および緑内障が挙げられる。最近の研究により、GSK3βの阻害は、胚幹細胞(ESC)の神経細胞の分化を引き起こし、ヒトおよびマウスのESCの再生およびこれらの多分化能の維持を補助することも示された。これは、GSK3β阻害剤が、再生医療に応用される可能性を示唆している(Nature Medicine、10、55−63頁、2004年)。
【0009】
GSK3β阻害剤は、双極性障害(躁うつ病)など他の神経系障害の治療にもその用途を見出すことができる。例えばリチウムは、50年以上もの間、気分安定薬として使用されており、双極性障害の主要な治療法である。リチウムの治療効果は、GSK3βの直接の阻害剤となるような投与量(1−2mM)で観察されている。リチウムの作用機序は明らかではないが、GSK3βの阻害剤は、リチウムの気分安定効果を模倣するために使用することもできる。Akt−GSK3βシグナル伝達における変化も、統合失調症の発症機序に関係づけられている。
【0010】
さらに、GSK3βの阻害は、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、肺非小細胞癌、甲状腺癌、T細胞白血病もしくはB細胞白血病およびいくつかのウイルス誘導性腫瘍などの癌の治療に有用となり得る。例えば、GSK3βの活性型が、直腸結腸癌の患者の腫瘍において上昇していることが示されており、直腸結腸癌細胞内のGSK3βの阻害は、p53依存性アポトーシスを活性化し、腫瘍増殖に拮抗する。GSK3βの阻害は、前立腺癌の培養細胞株においてTRAIL誘発性アポトーシスも増強する。GSK3βはまた、紡錘体の動力学においてもある役割を果たし、GSK3β阻害剤は、染色体の運動を阻止し、微小管の安定化をもたらし、タキソールを少量投与した場合に観察されるものと同様の、分裂前中期に似た停止をもたらす。GSK3β阻害剤に対する他の可能な用途は、インスリン非依存性糖尿病(例えばII型糖尿病)、肥満および脱毛症の治療を含む。
【0011】
ヒトGSK3βの阻害剤はまた、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)内で発見された酵素のオルソログであるpfGSK3も阻害することができ、その結果、マラリアの治療に使用することができる(Biochimica et Biophysica Acta 1697、181−196頁、2004年)。
【0012】
最近、ヒト遺伝学および動物実験の両方が、骨質量の自然増加の主要な制御因子としてのWnt/LPR5経路の役割を指摘した。GSK3βの阻害が結果として標準的Wntシグナル伝達の活性化に繋がる。不十分なWntシグナル伝達が、骨質量の減少という障害に関与しているので、GSK3β阻害剤は、骨質量の減少という障害、骨関連の病理、骨粗鬆症を治療するためにも使用し得る。
【0013】
最近のデータによると、GSK3β阻害剤は、尋常性天疱瘡の治療または予防に使用することもできる。
【0014】
最近の研究で、GSK3β阻害剤での治療は、好中球および巨核球の回復を改善することが示された。したがって、GSK3β阻害剤は、癌化学療法により誘発される好中球減少症の治療に有用となる。
【0015】
以前の研究でGSK3活性は、記憶固定の電気生理的相関物であるLTPを減少させることが示されたが、これは、この酵素の阻害剤が、認知促進活性を有し得ることを示唆している。化合物の認知促進効果は、アルツハイマー病、パーキンソン病、加齢に伴う記憶機能障害、軽度の認知障害、頭部外傷、統合失調症およびそのような欠陥が観察されている他の状態に特徴的な記憶の欠損の治療にその用途を見出すことができる。
【0016】
GSK3βの阻害剤は、腎実質性疾患の治療(Nelson PJ、Kidney International Advance online publication、12月19日、2007年)および筋萎縮の予防または治療(J.Biol.Chem(283)2008年、358−366頁)にその用途を見出すこともできる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Nature reviews、第3巻、2004年6月、479−487頁
【非特許文献2】Trends in Pharmacological Sciences、第25巻、第9号、2004年9月、471−480頁
【非特許文献3】Journal of neurochemistry、2004年、89、1313−1317頁
【非特許文献4】Medicinal Research Reviews、第22巻、第4号、373−384頁、2002年
【非特許文献5】The Journal of biological chemistry、第277巻、第37号、9月13日号、33791−33798頁、2002年
【非特許文献6】Biochem.J.、第372号、129−136頁、2003年
【非特許文献7】European Journal of Neuroscience、第22巻、301−309頁、2005年
【非特許文献8】Nature Medicine、10、55−63頁、2004年
【非特許文献9】Biochimica et Biophysica Acta 1697、181−196頁、2004年
【非特許文献10】Nelson PJ、Kidney International Advance online publication、12月19日、2007年
【非特許文献11】J.Biol.Chem(283)2008年、358−366頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、GSK3βの異常活性によって引き起こされる疾患、より具体的には、神経変性疾患の予防的および/または治療的処置のための薬剤の活性成分として有用な化合物を提供することである。より具体的には、本発明の目的は、アルツハイマー病などの神経変性疾患の予防および/または治療を可能にする薬剤の活性成分として有用な新規化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明の発明者らは、GSK3βに対する阻害活性を有する化合物を特定した。その結果、本発明者らは、以下の式(1)で表される化合物が、所望の活性を有し、上述の疾患の予防的および/または治療的処置のための薬剤の活性成分として有用であることを見い出した。
【0020】
したがって、本発明は、本発明の目的として、式(I)で表される、遊離塩基または酸との付加塩の形態でのピリミドン誘導体もしくはその塩、その溶媒和化合物もしくはその水和物を提供する
【0021】
【化1】

(式中、
Xは、水素原子2個、硫黄原子、酸素原子またはC1−2アルキル基および水素原子を表し、
Zは、結合、酸素原子、窒素原子(水素原子またはC1−3アルキル基で置換されている。)、硫黄原子、メチレン基(C1−6アルキル基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−2過ハロゲン化アルキル基またはアミノ基から選択される1または2つの基で置換されていてもよい。)を表し、
R1は、2、4もしくは5−ピリミジン環または4−ピリジン環を表し、環は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されていてもよく、
R2は、ベンゼン環、ナフタレン環またはベンジル基を表し、これらの環は、C1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル基、ハロゲン原子、C1−2過ハロゲン化アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシル基、ヘテロアリール基(C1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基(C3−7シクロアルキル基、C1−2過ハロゲン化アルコキシ基、C1−6アルキルスルホニル基、ニトロ、シアノ、アミノ、C1−6モノアルキルアミノ基またはC2−12ジアルキルアミノ基で置換されていてもよい。)、アセトキシ基またはアミノスルホニル基で置換されていてもよい。)から選択される1から4つの置換基で置換されていてもよい。
【0022】
R3は、水素原子、C1−6アルキル基またはハロゲン原子を表し、
R4は、水素原子またはC1−6アルキル基を表し、
R5は、水素原子またはC1−6アルキル基を表し、
R6は、水素原子またはC1−6アルキル基を表し、
R7は、水素原子またはC1−6アルキル基を表し、
nは、0から3を表し、
mは、0を表す。)。
【0023】
本発明の別の態様によると、式(I)で表されるピリミドン誘導体および生理学的に許容されるその塩ならびにその溶媒和化合物およびその水和物からなる群から選択される物質を活性成分として含む薬剤が提供される。薬剤の好ましい実施形態として、GSK3βの異常活性によって引き起こされる疾患の予防的および/または治療的処置に使用される上述の薬剤、ならびに神経変性疾患、さらに以下に記す他の疾患の予防的および/または治療的処置に使用される上述の薬剤が提供される。インスリン非依存性糖尿病(II型糖尿病など)および肥満症、マラリア、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、脱毛症、または結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、肺非小細胞癌、甲状腺癌、T細胞白血病もしくはB細胞白血病、いくつかのウイルス誘発性腫瘍などの癌。この薬剤はまた、再生医療、尋常性天疱瘡、好中球減少症および骨疾患にもその用途を見出すことができる。
【0024】
本発明のさらなる実施形態として、疾患が、神経変性疾患、さらにアルツハイマー病、パーキンソン病、タウオパチー(例えば前頭側頭型認知症、皮質基底核変性症、ピック病、進行性核上性麻痺)、ウィルソン病、ハンチントン病、プリオン病および脳血管性認知症を含めた他の認知症、急性脳卒中および他の外傷性障害、脳血管障害(例えば加齢に伴う黄斑変性症)、脳および脊髄の損傷、筋萎縮性側索硬化症、末梢神経障害、網膜症および緑内障からなる群から選択される上述の薬剤、ならびに1種または複数の医薬品添加剤と一緒に、上記物質を活性成分として含有する医薬組成物の形態での上述の薬剤が提供される。
【0025】
本発明のさらなる実施形態として、骨疾患が、骨粗鬆症である上述の薬剤を提供する。本発明は、式(I)のピリミドン誘導体およびその塩ならびにその溶媒和化合物およびその水和物からなる群から選択される物質を活性成分として含むGSK3β活性阻害剤をさらに提供する。
【0026】
本発明のさらなる態様により、式(I)のピリミドン誘導体およびその生理学的に許容される塩ならびにその溶媒和化合物およびその水和物からなる群から選択される物質の予防有効量および/または治療有効量を患者に投与するステップを含む、GSK3βの異常活性によって引き起こされる神経変性疾患の予防的および/または治療的処置のための方法ならびに式(I)のピリミドン誘導体およびその生理学的に許容される塩ならびにその溶媒和化合物および水和物からなる群から選択される物質の、上述の薬剤の製造のための使用が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の枠内において、
t−zは、(式中、tおよびzは、1から12の間の数字である。)tからz個の炭素原子を有する直鎖または分枝または環式鎖状の基を表し、すなわちC1−3基は、1から3個の炭素原子を有する直鎖または分枝または環式鎖を表す。
【0028】
本明細書で使用する場合、C1−6アルキル基は、1から6個の炭素原子を有する、直鎖または分枝のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基などを表す。
【0029】
1−6アルコキシ基は、1から4個の炭素原子を有するアルキルオキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などを表す。
【0030】
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の原子を表す。
【0031】
1−2過ハロゲン化アルキル基は、すべての水素原子が、ハロゲン原子、例えばCFまたはCで置換されているアルキル基を表す。
【0032】
1−3ハロゲン化アルキル基は、少なくとも1つの水素が、ハロゲン原子で置換されていないアルキル基を表す。
【0033】
1−6モノアルキルアミノ基は、1つのC1−6アルキル基で置換されているアミノ基、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基などを表す。
【0034】
2−12ジアルキルアミノ基は、2つのC1−6アルキル基で置換されているアミノ基、例えば、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基およびジイソプロピルアミノ基などを表す。
【0035】
ベンジル基は、CH−ベンゼン環である。
【0036】
ヘテロアリール基は、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾールを表す。
【0037】
脱離基Lは、容易に切断、置換できる基を表し、このような基は、例えばトシル、メシル、ブロミドなどであってよい。
【0038】
上述の式(I)で表される化合物は、塩を形成してもよい。塩の例として、酸性基が存在する場合、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩、アンモニアの塩ならびにメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エタノールアミン、N−メチルグルカミンおよびL−グルカミンなどのアミンの塩、またはリジン、δ−ヒドロキシリジンおよびアルギニンなどの塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。酸性化合物の塩基付加塩は、当分野で周知の標準的手順で調製される。
【0039】
塩基性基が存在する場合、塩酸、臭水素酸などの鉱酸との塩、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸などの有機酸との塩が例として挙げられる。
【0040】
塩基性化合物の酸付加塩は、適切な酸を含有するアルコール水溶液中に遊離塩基を溶解すること、および溶液を蒸発させることにより、または有機溶媒中で遊離塩基と酸を反応させることにより(この場合、塩は直接分離する、または塩は第2の有機溶媒で沈殿させる、または塩は溶液を濃縮することによって得ることができる。)塩を単離することを含む、当技術分野で周知の標準的手順により調製されるがこれらに限らない。酸付加塩を調製するために使用することができる酸は好ましくは、遊離塩基と組み合わせた場合、医薬として許容される塩、すなわち、この塩のアニオンが、この塩の医薬的投与量において動物の生体に対して比較的無害である塩を生成し、よって、遊離塩基特有の有利な性質が、このアニオンに起因する副作用により損なわれないようなものを含む。塩基性化合物の医学的に許容できる塩が好ましいが、すべての酸付加塩は本発明の範囲内である。
【0041】
上述の式(I)で表されるピリミドン誘導体およびその塩に加えて、この溶媒和化合物および水和物もまた本発明の範囲内である。
【0042】
上述の式(I)で表されるピリミドン誘導体は、1つまたは複数の不斉炭素原子を有することもできる。このような不斉炭素原子の立体化学に関して、これらは独立して(R)および(S)の立体配置のいずれかであってよく、誘導体は、光学異性体またはジアステレオマーなどの立体異性体として存在し得る。いかなる純粋な形態の立体異性体ならびに立体異性体およびラセミ体などのいずれの混合物も、本発明の範囲内に含まれる。
【0043】
本発明の化合物の例を、本明細書の以下の表1に示す。しかし、本発明の範囲は、これらの化合物により限定されない。
【0044】
本発明の目的は、式(I)(式中、mは0である。)で表され、(1)から(10)の異なるサブセットを別々にまたは混合して用いて定義される、遊離塩基または酸との付加塩の形態での化合物も含む:
(1)R1は、4−もしくは5−ピリミジン環または4−ピリジン環を表し、環は、C1−2アルキル基、C1−2アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されていてもよい、および/または
(2)R2は、ベンゼン環、ナフタレン環またはベンジル基を表し、環は、C1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル基、ハロゲン原子、C1−2過ハロゲン化アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシル基、ヘテロアリール基(C1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基(C3−5シクロアルキル基、C1−2過ハロゲン化アルコキシ基、C1−6アルキルスルホニル基、ニトロ、シアノ、アミノ、C1−3モノアルキルアミノ基またはC2−6ジアルキルアミノ基で置換されていてもよい。)、アセトキシ基またはアミノスルホニル基で置換されていてもよい。)から選択される1から4つの置換基で置換されていてもよく、および/または
(3)R3は、水素原子、C1−6アルキル基もしくはハロゲン原子を表す、および/または
(4)R4は、水素原子もしくはC1−6アルキル基を表す、および/または
(5)R5は、水素原子もしくはC1−6アルキル基を表す、および/または
(6)R6は、水素原子もしくはC1−6アルキル基を表す、および/または
(7)R7は、水素原子もしくはC1−6アルキル基を表す、および/または
(8)Xは、水素原子2個、酸素原子、もしくはC1−2アルキル基および水素原子を表す、および/または
(9)Zは、結合、酸素原子、窒素原子(水素原子またはC1−3アルキル基で置換されている。)、メチレン基(C1−3アルキル基、ヒドロキシル基、C1−3アルコキシ基、C1−2過ハロゲン化アルキル基もしくはアミノ基から選択される1または2つの基で置換されていてもよい。)を表す、および/または
(10)nは、0から3を表す。
【0045】
本発明の別の目的は、式(I)(式中、mは0である。)で表され、(1)から(10)の異なるサブセットを別々にまたは混合して用いて定義される、遊離塩基または酸との付加塩の形態での化合物を含む:
(1)R1は、非置換4−ピリミジン環を表す、および/または
(2)R2は、ベンゼン環、ナフタレン環またはベンジル基を表し、環は、C1−6アルキル基、ハロゲン原子、アミノ基、C1−2過ハロゲン化アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−2過ハロゲン化アルコキシ基またはオキサジアゾール基(C1−6アルキル基で置換されていてもよい)から選択される1から4つの置換基で置換されていてもよく、および/または
(3)R3は、水素原子を表す、および/または
(4)R4は、メチルを表す、および/または
(5)R5は、水素原子もしくはメチルを表す、および/または
(6)R6は、水素原子もしくはメチルを表す、および/または
(7)R7は、水素原子を表す、および/または
(8)Xは、酸素原子を表す、および/または
(9)Zは、結合、酸素原子、窒素原子(水素原子で置換されている。)を表す、および/または
(10)nは、0を表す。
【0046】
本発明のさらなる目的は、本明細書で定義された式の表1の化合物の群を含む:
1.2−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
2.5−クロロ−2−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
3.4−フルオロ−2−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
4.(+/−)−4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル)−ベンズアミド
5.(+)−4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
6.(−)−4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
7.4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−メチル−1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
8.4−クロロ−2−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
9.1−(4−フルオロ−フェニル)−3−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−尿素
10.1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−3−フェニル−尿素
11.N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
12.3−フルオロ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
13.4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
14.2−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
15.2−フルオロ−6−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
16.2−クロロ−5−フルオロ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
17.5−ブロモ−2−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
18.4−フルオロ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
19.N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−2−トリフルオロメチル−ベンズアミド
20.N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−2−トリフルオロメトキシ−ベンズアミド
21.2,6−ジメトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
22.ナフタレン−2−カルボン酸(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−アミド
23.2,3−ジメトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
24.2,5−ジメトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
25.2−メトキシ−4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
26.(+/−)2−メトキシ−4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
27.(+/−)5−ブロモ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
28.(+/−)N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
29.(+/−)4−クロロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
30.(+/−)2,4−ジメトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
31.(+/−)2,6−ジメトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
32.(+/−)4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
33.(+/−)2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
34.(+/−)[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル
35.(+)−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
36.(−)−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
37.(+)−4−クロロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
38.(−)−4−クロロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
【0047】
さらなる目的として、本発明はまた、上述の式(I)により表されるピリミドン化合物を調製するための方法にも関する。
【0048】
このような化合物は、例えば、以下に説明する方法により調製することができる。
【0049】
調製方法
上述の式(I)により表されるピリミドン化合物は、スキーム1に記載されている方法に従い調製し得る。
【0050】
【化2】

(上記スキームにおいて、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、m、n、XおよびZの定義は、式(I)の化合物に対してすでに記載されているものと同じである。)
【0051】
本方法に従い、上記の式(III)で表されるピリミドン誘導体(式中、R1、R3、R4、R5、R6およびmは、式(I)の化合物に対して定義されている通りである。)を、トリエチルアミン、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの塩基と、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドまたはクロロホルムなどの溶媒中、0から130℃の範囲の適切な温度で、通常の空気下で反応させ、次いで式(II)の化合物(式中、R2、X、Zおよびnは、式(I)の化合物に対して定義されている通りであり、Lは、脱離基好ましくは塩素、ブロミドを表す。)と反応させることによって、上述の式(I)の化合物を得る。
【0052】
あるいは、式(I)の化合物(式中、Xは、水素原子2個を表す。)は、当業者に周知の方法で、式(II)の化合物(式中、Xは、酸素原子を表し、Lは、水素原子を表す。)を、式(III)の化合物(式中、R1、R3、R4、R5、R6およびmは、式(I)の化合物に対して定義された通りであり、R7は、水素である。)で還元アミノ化することによって調製することもできる。
【0053】
式(II)の化合物は、市販されておりまたは当業者に周知の方法で合成することもできる。
【0054】
式(III)の化合物は、スキーム2において定義されている方法により調製することもできる。
【0055】
【化3】

(上記スキームにおいて、R1、R3、R4、R5、R6およびmの定義は、すでに記載したものと同じである。)
【0056】
本方法によると、式(IV)の3−ケトエステル(式中、R1およびR3は、式(I)の化合物に対して定義されている通りであり、Rは、例えばメチルまたはエチルなどのアルキル基である。)を、式(V)の化合物(式中、R5、R6およびmは、式(I)の化合物に対して定義されている通りであり、Pgは、例えばフタルイミド基またはアルコキシカルボニル基などの適切な保護基である。)と反応させる。炭酸カリウムまたは水酸化ナトリウムなどの塩基の存在下、メタノール、エタノールなどのアルコール性溶媒中または溶媒なしで、25℃から140℃の範囲の適切な温度で、通常の空気下で反応を行うことによって、上述の式(VI)の化合物を得ることができる。式(VI)の化合物を、式R4Lの化合物(式中、R4は、式(I)の化合物に対して定義されている通りであり、Lは、脱離基、好ましくは塩素またはブロミドを表す。)で、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウムなどの塩基の存在下、ジオキサンまたはジメチルホルムアミドなどの溶媒中でアルキル化することによって、保護基(Pg)の除去後に、式(III)の化合物を得ることができる。
【0057】
さらに、式(III)の化合物(式中、R3は、水素原子を表す。)をハロゲン化することによって、式(III)の化合物(式中、R3は、臭素原子または塩素原子などのハロゲン原子である。)を得ることができる。反応は、酢酸またはプロピオン酸などの酸性媒体中、ブロモスクシンイミドまたはクロロスクシンイミドまたは臭素の存在下行うこともできる。
【0058】
加えて、式(IV)の化合物(式中、R3は、フッ素原子を表す。)は、Tetrahedron Letters、第30巻、第45号、6113−6116頁、1989年に記載されている方法と類似の方法で得ることもできる。
【0059】
加えて、式(IV)の化合物(式中、R3は、水素原子を表す。)は、特許DE2705582号明細書に記載されている方法と類似の方法で得ることもできる。
【0060】
さらなる目的として、本発明はまた、式(I)の化合物の中間体として、式(III)の化合物にも関する。
【0061】
式(IV)の化合物は、市販されておりまたは当業者に周知の方法で合成することもできる。
【0062】
例えば式(IV)の化合物(式中、R1は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されていてもよいピリミジン環を表す。)は、イソニコチン酸またはピリミジンカルボン酸(C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基またはハロゲンで置換されていてもよい。)と、対応するマロン酸モノエステルとをそれぞれ反応させることによって調製することができる。反応は、例えば1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾールなどのカップリング剤の存在下、テトラヒドロフランなどの溶媒中、20から70℃の範囲の温度で、当業者に周知の方法を用いて行うことができる。
【0063】
式(V)の化合物は、当業者に周知の方法で合成することができる。
【0064】
例えば式(V)の化合物(式中、m、R5およびR6は、式(I)の化合物に対して定義されている通りであり、適切な保護基Pgは、例えばフタルイミド基またはアルコキシカルボニル基などである。)は、式(VII)の化合物から開始して、スキーム3に定義されている方法に従い調製することができる。使用し得る条件を、化学的実施例に記載する。
【0065】
【化4】

【0066】
式(VII)の化合物は、市販されておりまたは当業者に周知の方法に従い合成することもできる。
【0067】
式(VIII)の化合物は、Bulletin of the Chemical Society of Japan(1979年)、52(10)、2938−41頁に記載されている方法に従い合成することもできる。
【0068】
式(V)の化合物は、WO96/14844およびJournal of Organic Chemistry(1981年)、46(12)、2455−65頁に記載されている方法に従い合成することもできる。
【0069】
あるいは式(III)の化合物(式中、R5およびR6は、式(I)の化合物に対して定義された通りである。)は、スキーム4に定義されている方法に従い調製することもできる。
【0070】
【化5】

(上記スキームにおいて、R1、R3、R4、R5およびR6の定義は、すでに記載されているものと同じである。)
【0071】
式(IX)の化合物は、市販されておりまたは当業者に周知の方法に従い合成することもできる。
【0072】
式(XII)の化合物は、Ger.(East)(1986年)、3頁、DD238974に記載されている方法と類似の方法で合成することもできる。
【0073】
上記反応において、官能基の保護または脱保護が必要なこともあり得る。適切な保護基Pgは、官能基の種類に応じて選択することができ、文献に記載されている方法を適用し得る。保護基、保護および脱保護の方法の例は、例えばGreeneらのProtective groups in Organic Synthesis、第3版(John Wiley & Sons,Inc.、New York)1999年に記載されている。
【0074】
本発明の化合物は、GSK3βに対する阻害活性を有する。したがって、本発明の化合物は、GSK3βの異常活性によって引き起こされる疾患、より具体的にはアルツハイマー病などの神経変性疾患の予防的および/または治療的処置を可能にする薬剤の調製のための活性成分として有用である。加えて、本発明の化合物はまた、神経変性疾患、例えばパーキンソン病、タウオパチー(例えば前頭側頭型認知症、皮質基底核変性症、ピック病、進行性核上性麻痺)、ウィルソン病、ハンチントン病、プリオン病および脳血管性認知症を含めた他の認知症、急性脳卒中および他の外傷性障害、脳血管障害(例えば加齢に伴う黄斑変性症)、脳および脊髄の損傷、筋萎縮性側索硬化症、末梢神経障害、網膜症および緑内障、ならびに他の疾患、例えばインスリン非依存性糖尿病(II型糖尿病)および肥満、マラリア、躁うつ病、統合失調症、脱毛症、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、肺非小細胞癌、甲状腺癌、T細胞白血病もしくはB細胞白血病、いくつかのウイルス誘発性腫瘍などの癌、さらに骨に関連した病理などの予防的および/または治療的処置のための薬剤の調製のための活性成分として有用である。この薬剤は、再生医療にもその用途を見出すことができる。
【0075】
本発明は、式(I)の化合物の有効量を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、GSK3βの異常活性によって引き起こされる神経変性疾患および上述の疾患を治療するための方法にさらに関する。
【0076】
本発明の薬剤の活性成分として、上述の式(I)により表される化合物および薬理的に許容されるその塩ならびにその溶媒和化合物およびその水和物からなる群から選択される物質を使用してもよい。この物質自体は、本発明の薬剤として投与することができる。しかし、上述の物質を活性成分として含み、1つまたは複数の医薬品添加剤を含む医薬組成物の形態で、薬剤を投与することが望ましい。本発明の薬剤の活性成分として、上述の物質を2種以上組み合わせて使用することもできる。上述の疾患の治療のための別の薬剤の活性成分を上記医薬組成物に補充してもよい。医薬組成物の種類は、特に限定されないが、組成物は、経口投与または非経口投与のためのいかなる製剤として提供することができる。例えば、医薬組成物は、例えば、経口投与のための医薬組成物の形態、例えば粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ、乳濁液、懸濁液、溶液など、または非経口投与のための医薬組成物の形態、例えば静脈内投与、筋肉内投与または皮下投与用の注射剤、点滴剤、経皮製剤、経粘膜製剤、点鼻薬、吸入剤、坐薬などに配合し得る。注射剤または点滴剤は、凍結乾燥剤の形態など粉末製剤として調製することができ、使用直前に生理食塩水など適切な水性媒体に溶解して使用することもできる。ポリマーでコーティングされたような徐放性製剤は、脳内に直接投与してもよい。
【0077】
医薬組成物の製造のために使用される医薬品添加剤の種類、活性成分に対する医薬品添加剤の含有比および医薬組成物を調製するための方法は、当業者が適宜選択し得る。無機物質もしくは有機物質または固体物質もしくは液体物質を、医薬品添加剤として使用してもよい。一般的に、医薬品添加剤は、活性成分の重量に対して、1重量%から90重量%の範囲の割合で組み込むことができる。
【0078】
固体医薬組成物の調製に使用される賦形剤の例として、例えば、乳糖、ショ糖、澱粉、タルク、セルロース、デキストリン、カオリン、炭酸カルシウムなどが挙げられる。経口投与用の液体組成物の調製に、水または植物油などの従来からの不活性希釈剤を使用してもよい。液体組成物は、不活性希釈剤に加えて、湿潤剤、懸濁助剤、甘味剤、芳香剤、着色剤および保存剤などの助剤を含有してもよい。液体組成物は、ゼラチンなどの吸収性物質で作られたカプセル剤に充填することもできる。例えば注射剤、坐薬などの非経口投与用の組成物の調製のために使用される溶媒または懸濁媒体の例として、水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、オレイン酸エチル、レシチンなどが挙げられる。坐薬に使用される基剤の例として、例えば、カカオバター、乳化カカオバター、ラウリン酸脂質、ウイテプゾールが挙げられる。
【0079】
本発明の薬剤の投与量および投与回数は、特に限定されないが、予防的および/または治療的処置の目的、疾患の種類、患者の体重もしくは年齢、疾患の重症度などの条件に応じて、適宜選択し得る。一般的に、成人に対する経口投与の1日量は、0.01から1,000mg(活性成分の重量)であってよく、この投与量を、1日1回もしくは1日数回に分けた分量で、または数日に1回投与してもよい。薬剤が注射として使用される場合、成人に対する1日量0.001から100mg(活性成分の重量)の投与は、好ましくは持続的または断続的に行われてもよい。
【実施例】
【0080】
化学的実施例
(実施例1)
(表1の化合物番号20)
ナフタレン−2−カルボン酸(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−アミド
【0081】
1.1 2−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン
アセトアミジン塩酸塩200g(2.11モル)(1:1)のエタノール1.2L中懸濁液に、水酸化ナトリウム84g(2.11モル)およびエチル3−(4−ピリミジニル)−3−オキソプロピオネート410g(2.11モル)(特許DE2705582に記載されている方法と類似の方法により調製した。)を加えた。生成した混合物を、還流下で12時間攪拌した。冷却した溶液を蒸発させて溶媒を取り除いた。この混合物を水で処理し、沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルおよび酢酸エチルで洗浄した。沈殿物を2/1比のエタノール/水の混合物中で30分間攪拌し、所望の化合物200g(50%)を茶色粉末として得た。
Mp:320−322℃。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):12.70(br s,1H);9.30(s,1H);9.00(d,1H);8.20(d,1H);7.15(s,1H);2.40(s,3H)。
【0082】
1.2 1,2−ジメチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン
2−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン96g(0.51モル)の無水ジメチルホルムアミド480mL中懸濁液に、炭酸カリウム77.55g(0.56モル)を加えた。生成した混合物を室温で15分間攪拌させ、0℃で冷却し、ヨウ化メチル31.78mL(0.51モル)を滴加した。
【0083】
この混合物を室温で温め、3時間攪拌した。冷却水を加え、この混合物を90/10比のクロロホルム/メタノール混合物で抽出し、乾燥蒸発させた。残留物をジイソプロピルエーテルで粉末化し、濾過することによって、純粋生成物81g(78%)を茶色粉末として得た。
Mp:179−181℃。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):9.30(s,1H);9.00(d,1H);8.25(d,1H);7.20(s,1H);3.55(s,3H);2.60(s,3H)。
【0084】
1.3 2−ヨードメチル−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン
1,2−ジメチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン17g(0.084モル)の水45mL中懸濁液に、硫酸8.5mL、四塩化炭素25mLおよびアイオダイド9.6g(0.037モル)を加えた。生成した混合物を還流させ、過酸化水素(35%水溶液)16.38mLを滴加した。この混合物を還流下で5時間攪拌し、室温で冷却し、塩化アンモニウムの飽和水溶液100mLおよびクロロホルム100mLを加えた。生成した沈殿物を濾別し、濾液をクロロホルムで抽出し、乾燥蒸発させることによって、生成物13.6が得られ、これをそのまま次のステップで使用した。
【0085】
1.4 2−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−イソインドール−1,3−ジオン
2−ヨードメチル−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン14.80g(45.11mmol)の無水ジメチルホルムアミド30ml中溶液に、フタルイミドカリウム16.71g(90.21mmol)を加えた。生成した混合物を130℃で3時間攪拌した。冷却後、水を加え、生成した混合物を0℃で12時間攪拌した。この沈殿物を濾過し、酢酸エチル中で加熱し、沈殿物を濾過した。生成物を乾燥することによって、純粋な化合物5.3g(30%)を茶色固体として得た。
Mp:273−275℃。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):9.40(s,1H);8.85(d,1H);8.20(m,4H);7.50(d,1H);7.40(s,1H);5.35(s,2H);3.80(s,3H)。
【0086】
1.5 2−アミノメチル−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン
2−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−イソインドール−1,3−ジオン5.3g(15.26mmol)のエタノール40ml中溶液に、ヒドラジン水化物2.37mL(76.30mmol)を加え、生成した混合物を還流下で3時間加熱した。この混合物を濾過し、得た固体を24時間ジクロロメタンで粉末化し、濾過し、生成した濾液を蒸発乾燥させ、残留物をジエチルエーテルで粉末化し、濾過することによって、純粋な化合物1.8gを固体として得た。
Mp:153−155℃。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):9.40(s,1H);9.10(d,1H);8.50(d,1H);7.30(s,1H);3.95(s,2H);3.50(s,3H);2.15(br d,2H)。
【0087】
1.6 ナフタレン−2−カルボン酸(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−アミド
2−アミノメチル−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン0.07g(0.32mmol)のテトラヒドロフラン6mL中溶液に、トリエチルアミン50μl(0.39mmol)およびナフタレン−2−カルボニルクロリド0.074g(0.39mmol)を加えた。生成した混合物を室温で1時間攪拌した。
【0088】
水を加え、混合物をジクロロメタンで抽出した。抽出物を塩化アンモニウムの飽和水溶液で洗浄し、乾燥蒸発させた。90/10/1比のジクロロメタン/メタノール/アンモニア水溶液(29%)の混合物で溶出する分取薄層クロマトグラフィーで残留物を精製することによって、所望の化合物0.045g(38%)を白色粉末として得た。
Mp:250−252℃。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):9.40(s,1H);9.25(brs,1H);8.90(d,1H);8.60(d,1H);8.20−8.00(m,5H);7.50(brs,2H);7.30(s,1H);4.80(s,2H);3.75(s,3H)。
【0089】
(実施例2)
(表1の化合物番号4)
(+/−)−4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
【0090】
2.1 2−エチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン
実施例1(ステップ1.1)に記載されている方法と類似の方法により、アセトアミジン塩酸塩(1:1)の代わりにプロピオンアミジン塩酸塩(1:1)を用いて、この化合物を茶色粉末として得た。
Mp.:227−229℃。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):9.30(s,1H);9.10(d,1H);8.30(d,1H);7.15(s,1H);3.50(brs,1H);2.70(q,2H);1.35(t,3H)。
【0091】
2.2 2−エチル−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン
実施例1(ステップ1.2)に記載されている方法と類似の方法により、1,2−ジメチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オンの代わりに2−エチル1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オンを用いて、この化合物を茶色粉末として得た。
Mp.:150−152℃。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):9.40(s,1H);9.10(d,1H);8.40(d,1H);7.30(s,1H);3.60(s,3H);3.00(q,2H);1.40(t,3H)。
【0092】
2.3 (+/−)2−(1−ヨード−エチル)−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン
実施例1(ステップ1.3)に記載されている方法と類似の方法により、1,2−ジメチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オンの代わりに2−エチル1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オンを用いて、この化合物をそのまま次のステップで使用した。
【0093】
2.4 (+/−)2−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−イソインドール−1,3−ジオン
実施例1(ステップ1.4)に記載されている方法と類似の方法により、2−ヨードメチル−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オンの代わりに(+/−)2−(1−ヨード−エチル)−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オンを用いて、この化合物をそのまま次のステップで使用した。
【0094】
2.5 (+/−)2−(1−アミノ−エチル)−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン
実施例1(ステップ1.5)に記載されている方法と類似の方法により、2−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−イソインドール−1,3−ジオンの代わりに(+/−)2−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−イソインドール−1,3−ジオンを用いて、この化合物を茶色粉末として得た。
Mp.:158−160℃。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):9.40(s,1H);9.20(d,1H);8.70(d,1H);8.50(brs,2H);7.35(s,1H);4.90(m,1H);3.60(s,3H);1.55(d,3H)。
【0095】
2.6 (+/−)−4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
(+/−)2−(1−アミノ−エチル)−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン0.112g(0.48mmol)のジメチルホルムアミド5mL中溶液に、4−フルオロ−2−メトキシ−安息香酸0.082g(0.48mmol)およびシアノホスホン酸ジエチル(DEPC)90μL(0.58mmol)を加えた。生成した混合物を0℃で冷却し、トリエチルアミン70μL(0.53mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。
【0096】
水を加え、混合物をジエチルアセテートで抽出した。抽出物を塩化アンモニウムの飽和水溶液で洗浄し、乾燥蒸発させた。95/5/0.5比のジクロロメタン/メタノール/アンモニア水溶液(29%)の混合物で溶出する分取薄層クロマトグラフィーで残留物を精製することによって、所望の化合物0.12g(66%)を白色粉末として得た。
Mp.:201−203℃。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):9.40(s,1H);9.20(d,1H);8.90(d,1H);8.30(d,1H);7.90(m,1H);7.30(s,1H);7.15(m,1H);6.90(m,1H);5.50(m,1H);3.90(s,3H);3.60(s,3H);1.65(d,3H)。
【0097】
(実施例3)
(表1の化合物番号5)
4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−メチル−1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
【0098】
3.1. [1−メチル−1−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル
実施例1(ステップ1.1)に記載されている方法と類似の方法により、アセトアミジン塩酸塩(1:1)の代わりに(1−カルバムイミドイル−1−メチル−エチル)−カルバミン酸ベンジルエステル塩酸塩(1:1)を用いて、茶色粉末としてこの化合物を得た。
Mp:210−212℃
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):9.30(s,1H);9.00(d,1H);8.20(d,1H);7.50(brs,1H);7.30(m,5H);7.10(s,1H);5.00(s,2H);1.60(s,6H)。
【0099】
3.2. [1−メチル−1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル
[1−メチル−1−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル0.13g(0.36mmol)の無水ジオキサン1.5mL中懸濁液に、水素化リチウム0.003g(0.39mmol)を加えた、生成した混合物を40℃で45分間攪拌させておいた。室温まで冷却した後、硫酸ジメチル0.058g(0.46mmol)を加え、この反応混合物を60℃で12時間加熱した。0℃に冷却後、水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。抽出物を塩化ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、乾燥蒸発させた。95/5/0.5比のジクロロメタン/メタノール/アンモニア水溶液(29%)の混合物で溶出する分取薄層クロマトグラフィーで残留物を精製することによって所望の化合物0.015g(11%)を無色のオイルとして得た。
RMN H(CDCl3;200MHz)
δ(ppm):9.30(s,1H);8.80(d,1H);8.10(brs,1H);7.50(brs,1H);7.30−7.10(m,5H);4.90(brs,2H);3.60(s,3H);1.70(brs,6H)。
【0100】
3.3. 2−(1−アミノ−1−メチル−エチル)−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン臭化水酸酸塩
[2−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル0.015g(0.04mmol)を、酢酸中臭化水素酸0.017g(0.04mmol)に溶解した。生成した混合物を室温で2時間攪拌し、蒸発させた。残留物をエチルエーテルで粉末化することによって、純粋な生成物0.012gを黄色のオイルとして得た。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):9.30(s,1H);9.00(d,1H);8.20(d,1H);7.20(s,1H);3.50(s,3H);3.25(brs,2H);3.10−2.80(m,4H)。
【0101】
3.4. 4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−メチル−1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
実施例2(ステップ2.6)に記載されている方法と類似の方法により、(+/−)2−(1−アミノ−エチル)−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オンの代わりに2−(1−アミノ−1−メチル−エチル)−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オンを用いて、この化合物を白色粉末として得た。
Mp.:200−202℃。
RMN H(CDCl3;200MHz)
δ(ppm):9.20(s,1H);8.80(d,1H);8.20(d,1H);8.00(m,2H);7.50(s,1H);6.70(m,2H);4.00(s,3H);3.60(s,3H);1.80(s,6H)。
【0102】
(実施例4)
(表1の化合物番号33)
(+)−4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
(+/−)−4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド0.105g(0.27mmol)(表1の化合物4)を、イソプロパノールで溶出するキラル分取HPLC(Daicel CHIRALCEL AD−H 20μm50×220)で分離することによって、純粋な生成物0.045gを遊離塩基の形態で得た。t:8.3分。
Mp.:158−160℃。[α]20=+17.43°(c=0.272、DMSO)。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):9.40(s,1H);9.20(d,1H);8.90(d,1H);8.30(d,1H);7.90(m,1H);7.30(s,1H);7.15(m,1H);6.90(m,1H);5.50(m,1H);3.90(s,3H);3.60(s,3H);1.65(d,3H)。
【0103】
(実施例5)
(表1の化合物番号34)
(−)−4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
(+/−)−4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド(表1の化合物4)0.105g(0.25mmol)を、イソプロパノールで溶出するキラル分取HPLC(Daicel CHIRALCEL AD−H2Oμm50×220)で分離することによって、純粋な生成物0.048gを遊離塩基の形態で得た。
:13.7分。
Mp.:158−160℃。[α]20=−17.59°(c=0.079、DMSO)。
RMN H(DMSO−d;200MHz)
δ(ppm):9.40(s,1H);9.20(d,1H);8.90(d,1H);8.30(d,1H);7.90(m,1H);7.30(s,1H);7.15(m,1H);6.90(m,1H);5.50(m,1H);3.90(s,3H);3.60(s,3H);1.65(d,3H)。
【0104】
本発明を例示している、上述の式(I)の化合物の化学構造および物理的データの一覧が表1に示されている。これらの化合物は、実施例の方法に従い調製された。表1において、Phは、フェニル基を表し、(Rot.)は、鏡像異性化合物の左旋性特性または右旋性特性を示し、mは0である。
【0105】
【化6】

【0106】
【表1】




【0107】
試験実施例:GSK3βに対する本発明の薬剤の阻害活性:
2つの異なるプロトコルを使用することができる。
【0108】
第1のプロトコル:予めリン酸化したGS1ペプチド(7.5μM)および10μMのATP(33P−ATPを300,000cpm含有)を、GSK3ベータ(総反応量:100μl)の存在下、室温で1時間、25mMトリス−HCl、pH7.5、0.6mM DTT、6mM MgCl、0.6mM EGTA、0.05mg/ml BSA緩衝液中で温置した。
【0109】
第2のプロトコル:予めリン酸化したGS1ペプチド(4.1μM)および42μMのATP(33P−ATPを260,000cpm含有)を、GSK3ベータ存在下、室温で2時間、80mM Mes−NaOH、pH6.5、1mM Mg酢酸、0.5mM EGTA、5mM 2−メルカプトエタノール、0.02%Tween20、10%グリセロール緩衝液中で温置した。
【0110】
阻害剤をDMSO(反応媒体中の最終溶媒濃度、1%)中に可溶化させた。
【0111】
ポリリン酸(85%P)25g、85%HPO(126ml)、HOで500mlにした溶液(100μl)で反応を停止させ、次いで使用前に1:100に希釈した。次いで反応混合物1アリコートをWhatman P81カチオン交換フィルターに移し、上述の溶液ですすいだ。取り込まれた33P放射活性を液体シンチレーションスペクトロメータで求めた。
【0112】
リン酸化したGS−1ペプチドの配列は以下の通りである:
NH2−YRRAAVPPSPSLSRHSSPHQS(P)EDEE−COOH(Woodgett,J.R.(1989年)、Analytical Biochemistry、180、237−241頁。
【0113】
本発明の化合物のGSK3β阻害活性はIC50で表され、例示のように、表1の化合物のIC50の範囲は、0.1ナノモルから3マイクロモルの間の濃度である。
【0114】
例えば表1の化合物番号1は、0.023μMのIC50を示している。
【0115】
配合実施例
(1)錠剤
以下の成分を通常方法で混合し、従来の装置を用いて圧縮した。
実施例1の化合物 30mg
結晶性セルロース 60mg
コーンスターチ 100mg
乳糖 200mg
ステアリン酸マグネシウム 4mg
(2)軟カプセル剤
以下の成分を通常の方法で混合し、軟カプセル剤に充填した。
実施例1の化合物 30mg
オリーブ油 300mg
レシチン 20mg
(3)非経口製剤
以下の成分を通常の方法で混合し、1mlアンプル中に含有される注射剤を調製した。
実施例1の化合物 3mg
塩化ナトリウム 4mg
注射用蒸留水 1ml
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の化合物は、GSK3β阻害活性を有し、GSK3βの異常活性によって引き起こされる疾患、より具体的には神経変性疾患の予防的および/または治療的処置のための薬剤の活性成分として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される、遊離塩基または酸との付加塩の形態での、ピリミドン誘導体もしくはその塩、またはその溶媒和化合物もしくはその水和物
【化1】

(式中、
Xは、水素原子2個、硫黄原子、酸素原子またはC1−2アルキル基および水素原子を表し、
Zは、結合、酸素原子、窒素原子(水素原子またはC1−3アルキル基で置換されている。)、硫黄原子、メチレン基(C1−6アルキル基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−2過ハロゲン化アルキル基またはアミノ基から選択される、1または2つの基で置換されていてもよい。)を表し、
R1は、2、4もしくは5−ピリミジン環または4−ピリジン環を表し、環は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されていてもよく、
R2は、ベンゼン環、ナフタレン環またはベンジル基を表し、環は、C1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル基、ハロゲン原子、C1−2過ハロゲン化アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシル基、ヘテロアリール基(C1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基(C3−7シクロアルキル基、C1−2過ハロゲン化アルコキシ基、C1−6アルキルスルホニル基、ニトロ、シアノ、アミノ、C1−6モノアルキルアミノ基またはC2−12ジアルキルアミノ基で置換されていてもよい。)、アセトキシ基またはアミノスルホニル基で置換されていてもよい。)から選択される1から4つの置換基で置換されていてもよく、
R3は、水素原子、C1−6アルキル基またはハロゲン原子を表し、
R4は、水素原子またはC1−6アルキル基を表し、
R5は、水素原子またはC1−6アルキル基を表し、
R6は、水素原子またはC1−6アルキル基を表し、
R7は、水素原子またはC1−6アルキル基を表し、
nは、0から3を表し、
mは、0を表す。)。
【請求項2】
R1が、非置換4−ピリミジン環を表す、請求項1に記載のピリミドン誘導体もしくはその塩、またはその溶媒和化合物もしくはその水和物。
【請求項3】
R1が、4−もしくは5−ピリミジン環または4−ピリジン環を表し、環は、C1−2アルキル基、C1−2アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されていてもよく、および/または
R2が、ベンゼン環、ナフタレン環またはベンジル基を表し、環は、C1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル基、ハロゲン原子、C1−2過ハロゲン化アルキル基、C1−3ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシル基、ヘテロアリール基(C1−6アルキル基、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルキル−C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基(C3−5シクロアルキル基、C1−2過ハロゲン化アルコキシ基、C1−6アルキルスルホニル基、ニトロ、シアノ、アミノ、C1−3モノアルキルアミノ基またはC2−6ジアルキルアミノ基で置換されていてもよい。)、アセトキシ基またはアミノスルホニル基で置換されていてもよい。)から選択される1から4つの置換基で置換されていてもよく、および/または
R3が、水素原子、C1−6アルキル基もしくはハロゲン原子を表し、および/または
R4が、水素原子もしくはC1−6アルキル基を表し、および/または
R5が、水素原子もしくはC1−6アルキル基を表し、および/または
R6が、水素原子もしくはC1−6アルキル基を表し、および/または
R7が、水素原子もしくはC1−6アルキル基を表し、および/または
Xが、水素原子2個、酸素原子、もしくはC1−2アルキル基および水素原子を表し、および/または
Zが、結合、酸素原子、窒素原子(水素原子またはC1−3アルキル基で置換されている。)、メチレン基(C1−3アルキル基、ヒドロキシル基、C1−3アルコキシ基、C1−2過ハロゲン化アルキル基もしくはアミノ基から選択される1もしくは2つの基で置換されていてもよい。)を表し、および/または
nが、0から3を表す、
遊離塩基または酸との付加塩の形態での、請求項1に記載のピリミドン誘導体もしくはその塩、またはその溶媒和化合物もしくはその水和物。
【請求項4】
R1が、非置換4−ピリミジン環を表し、および/または
R2が、ベンゼン環、ナフタレン環またはベンジル基を表し、環は、C1−6アルキル基、ハロゲン原子、アミノ基、C1−2過ハロゲン化アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−2過ハロゲン化アルコキシ基またはオキサジアゾール基(C1−6アルキル基で置換されていてもよい。)から選択される1から4つの置換基で置換されていてもよく、および/または
R3が、水素原子を表し、および/または
R4が、メチルを表し、および/または
R5が、水素原子もしくはメチルを表し、および/または
R6が、水素原子もしくはメチルを表し、および/または
R7が、水素原子を表し、および/または
Xが、酸素原子を表し、および/または
Zが、結合、酸素原子、窒素原子(水素原子で置換されている。)を表し、および/または
nが、0を表す、
遊離塩基または酸との付加塩の形態での、請求項1に記載のピリミドン誘導体もしくはその塩、またはその溶媒和化合物もしくはその水和物。
【請求項5】
以下からなる群から選択される、請求項1に記載のピリミドン誘導体もしくはその塩、またはその溶媒和化合物もしくはその水和物:
・2−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・5−クロロ−2−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・4−フルオロ−2−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・(+/−)−4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル)−ベンズアミド
・(+)−4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
・(−)−4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
・4−フルオロ−2−メトキシ−N−[1−メチル−1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
・4−クロロ−2−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・1−(4−フルオロ−フェニル)−3−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−尿素
・1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−3−フェニル−尿素
・N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・3−フルオロ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・2−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
・2−フルオロ−6−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・2−クロロ−5−フルオロ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・5−ブロモ−2−メトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・4−フルオロ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−2−トリフルオロメチル−ベンズアミド
・N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−2−トリフルオロメトキシ−ベンズアミド
・2,6−ジメトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・ナフタレン−2−カルボン酸(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−アミド
・2,3−ジメトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・2,5−ジメトキシ−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・2−メトキシ−4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−N−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イルメチル)−ベンズアミド
・(+/−)2−メトキシ−4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
・(+/−)5−ブロモ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
・(+/−)N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
・(+/−)4−クロロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
・(+/−)2,4−ジメトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
・(+/−)2,6−ジメトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
・(+/−)4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
・(+/−)2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
・(+/−)[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル
・(+)−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
・(−)−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
・(+)−4−クロロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド
・(−)−4−クロロ−2−メトキシ−N−[1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−エチル]−ベンズアミド。
【請求項6】
請求項1から5に記載の式(I)で表されるピリミドン誘導体もしくはその塩、またはその溶媒和化合物もしくはその水和物からなる群から選択される物質を活性成分として含む薬剤。
【請求項7】
請求項1に記載の式(I)で表されるピリミドン誘導体もしくはその塩、またはその溶媒和化合物もしくは水和物の群から選択されるGSK3β阻害剤。
【請求項8】
GSK3βの異常活性によって引き起こされる疾患の予防的および/または治療的処置のための、請求項1から5に記載の化合物。
【請求項9】
神経変性疾患の予防的および/または治療的処置のための、請求項1から5に記載の化合物。
【請求項10】
神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、タウオパチー、脳血管性認知症、急性脳卒中、外傷性障害、脳血管障害、脳損傷、脊髄損傷、末梢神経障害、網膜症または緑内障からなる群から選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
インスリン非依存性糖尿病、肥満、躁うつ病、統合失調症、脱毛症、癌、腎実質性疾患または筋萎縮の予防的および/または治療的処置のための、請求項1から5に記載の化合物。
【請求項12】
癌が、乳癌、肺非小細胞癌、甲状腺癌、T細胞白血病もしくはB−細胞白血病またはウイルス誘発性腫瘍である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
マラリアの予防的および/または治療的処置のための、請求項1から5に記載の化合物。
【請求項14】
骨疾患の予防的および/または治療的処置のための、請求項1から5に記載の化合物。
【請求項15】
尋常性天疱瘡の予防的および/または治療的処置のための、請求項1から5に記載の化合物。
【請求項16】
癌化学療法で誘発される好中球減少症の予防的および/または治療的処置のための、請求項1から5に記載の化合物。
【請求項17】
認知欠陥および記憶欠損を特徴とする疾患の治療的処置のための、請求項1から5に記載の化合物。
【請求項18】
式(III)で表されるピリミドン誘導体
【化2】

(式中、R1、R3、R4、R5、R6およびmは、請求項1に記載の、式(I)の化合物に対して定義された通りである。)。

【公表番号】特表2010−526866(P2010−526866A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508004(P2010−508004)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/IB2008/002446
【国際公開番号】WO2008/155669
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】