説明

神経治療セファゾリン経口投与組成物

セファゾリン組成物、およびセファゾリン組成物を含む経口剤形を含む製薬組成物を用いる神経学的傷害の治療方法が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経精神の介入治療のための化合物および方法に関する。特に、本発明は、セファロスポリンスルフォキシド、セファロスポリンスルフォン、それらの製薬学的に受容可能な塩、および、その効果的エステルを、例えば、経口投与剤形として用いて、各種神経学的病態を治療するための製薬製剤、および治療方法にを目的とする。
【背景技術】
【0002】
製薬業界は、神経学的障害治療用薬剤の発見と実用化に向けて多大の研究・開発を行ってきた。このような障害は通常、脳における化学的なアンバランスによって起こる。関連する神経化学種の過剰生産または過小生産および/または受容体の機能不全が、精神病の診断・治療に長けた神経学者、精神科医、心理学者、およびその他の開業医によって認められる多くの病態において特定されている。神経学的に活性を持つ新規薬剤を発見するために為される努力の多くは、脳中の数多くの受容体の内の1種以上、および/またはそれらの受容体リガンドと、協調作用性/拮抗作用性薬剤との相互作用の研究に基づいている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、セファゾリン化合物およびその誘導体の経口投与剤形を、各種神経学的障害の治療における精神科治療剤として用いる使用法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に記載され、かつ、その特許が請求される本発明および各種実施態様は、一部は、ある種のカルボキシペプチダーゼE阻害剤が、脳においてその酵素阻害に関して効果的な閾値濃度を実現できるように投与された場合、強力な神経治療活性を呈するという発見に由来する。これらの阻害剤は、一部は行動的修正および認識改善によって裏付けられる、臨床的に有意な神経活性を呈する。近年得られた試験データおよび分子モデル実験から、今では、神経原性カルボキシペプチダーゼEを狙撃/抑制することは、多様な神経治療効果のための基盤を提供するものとなる可能性のあることが指摘されている。カルボキシペプチダーゼE結合部位モデルによって、カルボキシペプチダーゼEの予想される阻害因子として、ある種のセファロスポリンスルフォキシドおよびスルフォン、例えば△2-および△3-セファゾリンスルフォキシドと表される部分が特定された。セファゾリンそのものはある程度の鎮静活性を持つが、△2-および△3-セファゾリンスルフォキシドは、鎮静作用と抗不安作用の両方を持つ。さらに、セファゾリンは、非経口的に投与した場合、ある程度の抗生物質活性を持つことが知られるが、本発明のセファロスポリンスルフォキシドおよびスルフォンは、ハムスターにおいて、経口的に投与した場合でも鎮静および抗不安活性を示した。以上から、本発明の一つの実施態様は、攻撃性、強迫強制障害、不安、認識障害等の治療における精神科療法として、△2-および△3-セファゾリンスルフォキシドおよびスルフォン、およびその誘導体(下記の式II参照)を用いる用法である。ある特定の実施態様では、△2-および△3-セファゾリンスルフォキシド、およびその誘導体は、経口投与剤形として提供される。
【0005】
本発明による治療に対して感受性を持つ行動的および認識的障害の例としては、攻撃性障害、強迫・強制障害、不安、うつ、精神分裂病、ADHD、および記憶/学習障害によって検出される病気が挙げられる。予備的な動物データから、本発明の方法および組成物は、衝動性および暴力、具体的には自閉症、トゥレット症候群、精神遅滞、精神病、躁病、老人性痴呆に見られる、衝動性および暴力をコントロールするための抗攻撃剤として神経障害を治療する際に、また、人格障害および不適切な攻撃性の既往のある個人の治療において有用である可能性が示されている。臨床的応用はまたさらに拡げて、例えば、ADHDや行動障害を持つ児童の治療において抗不安薬として、老人に対しては、学習および記憶を改善し、見当識障害を緩和するための意識強化剤としても使用される。本発明によれば、セファロスポリンスルフォキシドおよびスルフォン、具体例としては△2-および△3-セファゾリンスルフォキシドおよびその誘導体の経口剤形は、多様な精神科療法用途に用いることが可能である。
【0006】
本発明の経口剤形を調製するのに使用される神経治療セファロスポリン化合物は、一般に下式の化合物である。すなわち、
【化1】

(式中、nは1または2であり、
Rは、水素、活性の高いエステル形成基、または製薬学的に受容可能な陽イオンであり、
R1は、水素;要すれば任意に置換されるアルキルであって、低級アルキルおよびC1-C4アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル等を含むアルキル;要すれば任意に置換されるアルコキシであって、低級アルコキシおよび、(C1-C4アルキル)-O-基を含むアルコキシ、あるいは、要すれば任意に置換されるアルキルチオ、例えば、低級アルキルチオ、および、メチルチオおよびエチルチオを含む(C1-C4アルキル)-S-基であり、
アシルは、カルボン酸、例えばR2-CO2Hの残基であり、ここで、R2は、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、それぞれ要すれば任意に置換が可能である、
Xは、水素、低級アルキルおよびC1-C6アルキルを含むアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシアルキル、ハロアルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アルキルチオ、要すれば任意に置換されるアリールチオ、要すれば任意に置換されるヘテロアリールチオ、アシルオキシであり、ここで、アシルは、前述の通りであり、例えば、任意に置換されるアルキルカルボニルオキシ、任意に置換されるアリールカルボニルオキシ、および、任意に置換されるヘテロアリールカルボニルオキシであり、
あるいは、Xは、-CH2Bであり、ここでBは、求核剤B-Hの残基である。)
【0007】
例として挙げると、アシルは、下記の構造体の内の一つを持ち、(*)原子に接合するラジカルである。すなわち、
【化2】

Rは、個々の出現の度毎に、水素、任意に置換されるアルキル、および製薬学的に受容可能な陽イオンの中から独立に選択され、かつ、本明細書に記載される通りのアシルの一部を形成する各アリールまたはヘテロアリールは、任意に置換される。
【0008】
求核剤B-Hは、例えば、下記の式を持つ化合物または、保護されたその誘導体の分子上の脱離基(L)を押し退けることが可能であるならばいずれの求核剤であってもよい。すなわち、
【化3】

(式中、nは1または2であり、
Rは、水素、活性の高いエステル形成基、または製薬学的に受容可能な陽イオンであり、
R1は、水素、アルキル、アルコキシ、あるいはアルキルチオであり、
アシルは、式IaおよびIbの化合物に関して定義した通りであり、
Lは、脱離基であって、例えば、ハロ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニルオキシ、ハロアルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルキルスルフォニルオキシ、ハロアルキルスルフォニルオキシ等、およびそれらの置換誘導体である。)
【0009】
例として挙げると、Xは-CH2Bであり、Bは、下記の構造体の内の一つを持ち(*)原子に接合するラジカルである。すなわち、
【化4】

Rは、個々の出現の度毎に、水素、任意に置換されるアルキル、および製薬学的に受容可能な陽イオンの中から独立に選択され、かつ、本明細書に記載される通りのXの一部を形成する各ヘテロアリールは、任意に置換される。
【0010】
例として挙げると、神経治療セファロスポリン化合物はセファゾリン誘導体であり、下記の式を持つ。すなわち、
【化5】

(式中、nは1または2であり、
結合aもしくは結合bのいずれか一方が二重結合であり、
Rは、水素、活性の高いエステル形成基、または製薬学的に受容可能な陽イオンである。)
【0011】
さらに具体例を挙げるならば、神経治療化合物は下記の構造を持つ。すなわち、
【化6】

式IIIは、△2-セファゾリンスルフォキシド(または、デルタ-2-セファゾリン-1-スルフォキシド)であり、式IVは、△3-セファゾリンスルフォキシド(または、セファゾリン-1-スルフォキシド)である。式中、nは1または2であり、Rは、水素、または製薬学的に受容可能な陽イオンである。
【0012】
本発明はまた、前述のものの中から選ばれる化合物、および、製薬学的に受容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含む、製薬組成物を目的とする。
【0013】
前述の化学式に用いられる一般的化学用語は、その通常の意味を持つ。例えば、「アルキル」という用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等の基を含む。
【0014】
「アリール」という用語は、芳香環、またはヘテロ芳香環を指し、例えば、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、テトラゾリル、フェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ナフチル、インダニル、フルオレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル等の基を含む。
【0015】
「任意に置換される」という用語は、1個以上の、好ましくは1個から3個の水素原子が、1種以上の置換基によって置換されることを指す。そのような置換基としては、例えば、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルキルチオ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロ、カルボキシ、シアノ、C1-C4ハロアルキル、C1-C4ハロアルコキシ、C1-C4アルコキシアルキル、C1-C4ハロアルコキシアルキル、アミノ、カルボキシアミド、アミノ、モノ(C1-C4アルキル)アミノ、ジ(C1-C4アルキル)アミノ、C1-C4アルキルスルフォニル、C1-C4アルキルスルフォニルアミノ等のような基が挙げられる。
「アシル」および「アルカノイル」という用語は、例えば、フォルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル等のような基を含む。
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを意味する。
【0016】
本明細書に記載される用語は、化学的に関連するやり方で結合されてもよい。例えば、「アリールアルキル」という用語は、例えば、ベンジル、トリル、2-、3-、および4-ピコリニル、ピリミジニルエチル、2-(チエン-2-イル)プロピル等−ただし、それらに限定されない−を含む、アルキル鎖に連結した、任意に置換される芳香環またはヘテロ芳香環を指す。
【0017】
「製薬学的に受容可能な陽イオン」という用語は、適当な反応、溶媒、pH、またはバッファー条件下において本明細書に記載される神経治療化合物と結合して、対応するカルボン酸塩を形成することが可能な、任意の製薬学的に受容可能な塩の陽イオン残基を指す。これらの陽イオンは、通例のやり方による陽イオン交換によって調製することも可能である。本明細書に記載される神経治療化合物の、このような塩誘導体は、反応、溶媒、pH、またはバッファー条件の結果、溶液として存在する形態の他に、単離形を含むことが理解される。
【0018】
例示の製薬学的に受容可能な陽イオンとしては、アルミニウム、銀を含む無機陽イオン;リチウム、ナトリウム、またはカリウムを含むアルカリ金属塩;カルシウムまたはマグネシウムを含むアルカリ土類金属;および、アンモニウムおよび置換アンモニウム塩等が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。例示の製薬学的に受容可能な陽イオンとしては、アルキルアンモニウム、例えばトリエチルアンモニウム、ヒドロキシアルキルアンモニウム、例えば2-ヒドロキシエチルアンモニウム、ビス-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、およびトリス-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、シクロアルキルアンモニウム、例えばピロリジニウム、ピペリジニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、ジベンジルアンモニウム、N,N-ジベンジルエチレンジアンモニウム、l-エフェンアンモニウム、N-メチルモルフォリニウム、エチルピペリジニウム、N-ベンジル-β-フェネチルアンモニウム、デヒドロアビエチルアンモニウム、N,N’-ビスデヒドロアビエチルアンモニウム、エチレンジアンモニウム、ピリジニウム、例えばピリジニウム、コリジニウム、キノリニウム、セチルピリジニウム、およびテトラデシルエチルピリジニウム、およびビグアニジニウム等が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。例示の製薬学的に受容可能な陽イオンとしては、グリシン酸銅等を含む、無機/有機混合陽イオンが挙げられるが、ただしこれらに限定されない。
【0019】
「活性を持つエステル形成基」という用語は、適当に選択された条件下において生体内で加水分解されて、元のカルボン酸に転換されるカルボン酸誘導体形成基を指す。これら形成基はプロドラッグも含む。例示の活性を持つエステル形成基としては、1-インダニル、N-オキシスクシニミド;アシロキシアルキル基、例えば、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、β-アセトキシエチル、β-ピバロイルオキシエチル、1-(シクロヘキシルカルボニルオキシ)プロプ-1-イル、(1-アミノエチル)カルボニルオキシメチル等;アルコキシカルボニルオキシアルキル基、例えば、エトキシカルボニルオキシメチル、α-エトキシカルボニルオキシエチル等;ジアルキルアミノアルキル基、例えば、エトキシカルボニルオキシメチル、β-エトキシカルボニルオキシエチル等;ジ低級アルキルアミノアルキル基を含むジアルキルアミノアルキル、例えば、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノメチル、ジエチルアミノエチル等;2-(アルコキシカルボニル)-2-アルケニル基、例えば、2-(イソブトキシカルボニル)ペント-2-エニル、2-(エトキシカルボニル)ブト-2-エニル等;および、ラクトン基、例えば、フタリジ、ジメトキシフタリジル等が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。
【0020】
例示の経口剤形の調製に用いられるセファロスポリンスルフォキシドは、典型的には、従来技術で既知の対応する2-セフェムまたは3-セフェム化合物の酸化、例えば、過酢酸、m-クロロ過安息香酸(mCPBA)等の過酸による酸化によって調製される。スルフォンも、同様に、例えば、本明細書に記載される過酸、過酸化水素等の過剰な酸化剤によって、例えば、四酸化ルテニウムの存在下において、スルフォキシド類縁体を酸化することによって、または、直接2-セフェムまたは3-セフェム類縁体から調製される。
【0021】
これまでの動物実験に基づいて、本発明に従って、セファロスポリンスルフォキシドおよびスルフォン、具体的には、△2-および△3-セファゾリンスルフォキシド、およびその誘導体の経口形剤を、有効量を投与することによって治療することが可能な行動障害の全体的分類分けとしては、攻撃性障害、強迫・強制障害、不安、うつ、および、注意欠陥多動性障害(ADHD)が挙げられる。従って、本発明の一つの実施態様では、△2-または△3-セファゾリンスルフォキシド、または、△2-および△3-セファゾリンスルフォキシドの組み合わせが、自閉症、トゥレット症候群、精神遅滞、精神病、躁病、老人性痴呆に冒された患者、かつ、人格障害および不適切な攻撃性の既往のある個人の治療において、衝動性および暴力をコントロールするための抗攻撃剤として投与される。
【0022】
本発明に従って治療することが可能な、その他の神経学的病態としては、うつ病であって、大うつ病(単一エピソード、反復性、メランコリック)、非典型的、気分変調、症候以下、興奮性、遅滞性、ガンや糖尿病または心筋梗塞後発性に伴う病態、退行期、双極性障害、精神病性うつ、内因性および反応性、強迫・強制障害、または過食症を含むうつ病が挙げられる。さらに、ペプチダーゼ阻害剤は、疼痛(単独で、または、モルフィン、コデイン、またはデキストロプロポシフェンと併用して)、強迫・強制人格障害、心的外傷後ストレス障害、高血圧、アテローム性動脈硬化症、不安、神経性食欲不振、パニック、社交恐怖、吃音、睡眠障害、慢性疲労、アルツハイマー病関連認識欠損、アルコール乱用、食欲障害、体重減少、広場恐怖症、記憶改善、記憶喪失、禁煙、ニコチン中断症候群症状、月経前症候群関連気分および/または食欲変調、月経前症候群関連うつ気分および/または炭水化物過食、ニコチン中断に伴う気分変調、食欲変調、または常習に至る変調、日周リズム障害、境界人格障害、ヒポコンドリー、月経前症候群(PMS)、黄体期後期精神症状、月経前精神症候群、抜毛癖、他の抗うつ剤中断後の症状、攻撃性/間欠的爆発障害、強制的賭博耽溺、強制的消費耽溺、強制的性交耽溺、精神活性物質服用障害、性的障害、精神分裂病、早漏、または、ストレス、不安、怒り、拒絶感受性、および精神的または身体的エネルギー不足の内から選ばれる精神科症状等に悩まされる患者の治療に使用することが可能である。
【0023】
本発明に従って治療することが可能な、その他の、病理的、心理的病態の実例としては、中等度の精神遅滞(318.00)、重度の精神遅滞(318.10)、深刻な精神遅滞(318.20)、非特異的精神遅滞(319.00)、自閉症(299.00)、広範発達障害NOS(299.80)、注意欠陥多動性障害(314.01)、行動障害、グループ型(312.20)、行動障害、孤立攻撃型(312.00)、行動障害、非分化型(312.90)、トゥレット障害(307.23)、慢性的行動または音声チック障害(307.22)、一過性チック障害(307.21)、チック障害NOS(307.20)、アルツハイマー型一次的変性痴呆、老年期発症、合併症無し(290.00)、アルツハイマー型一次的変性痴呆、老年期発症、せん妄合併(290.30)、アルツハイマー型一次的変性痴呆、老年期発症、妄想合併(390.20)、アルツハイマー型一次的変性痴呆、老年期発症、うつ病合併(290.21)、アルツハイマー型一次的変性痴呆、前老年期発症、合併症無し(290.10)、アルツハイマー型一次的変性痴呆、前老年期発症、せん妄合併(290.11)、アルツハイマー型一次的変性痴呆、前老年期発症、妄想合併(390.12)、アルツハイマー型一次的変性痴呆、前老年期発症、うつ病合併(290.13)、多発梗塞性痴呆、合併症無し(290.40)、多発梗塞性痴呆、せん妄合併(290.41)、多発梗塞性痴呆、妄想合併(290.42)、多発梗塞性痴呆、うつ病合併(290.43)、老年痴呆NOS(290.10)、前老年痴呆NOS(290.10)、アルコール禁断症状に伴うせん妄(291.00)、アルコール幻覚症(291.30)、アルコール中毒関連アルコール痴呆(291.20)、アンフェタミン、または同様活性を持つ交感神経様作用薬中毒(305.70)、アンフェタミン、または同様活性を持つ交感神経様作用薬妄想障害(292.11)、大麻妄想障害(292.11)、コカイン中毒(305.60)、コカインせん妄(292.81)、コカイン妄想障害(292.11)、幻覚誘発剤による幻覚症(305,30)、幻覚誘発剤による妄想障害(292.11)、幻覚誘発剤による気分障害(292.84)、幻覚誘発剤による幻覚誘発剤服用後知覚障害(292.89)、フェンシクリジン(PCP)または同様の活性を持つアリールシクロヘキシルアミン中毒(305.90)、フェンシクリジン(PCP)または同様の活性を持つアリールシクロヘキシルアミンせん妄(292.81)、フェンシクリジン(PCP)または同様の活性を持つアリールシクロヘキシルアミン妄想障害(292.11)、フェンシクリジン(PCP)または同様の活性を持つアリールシクロヘキシルアミン気分障害(292.84)、フェンシクリジン(PCP)または同様の活性を持つアリールシクロヘキシルアミン器質性精神障害NOS(292.90)、その他の、または非特異的精神作用物質中毒(305.90)、その他の、または非特異的精神作用物質せん妄(292.81)、その他の、または非特異的精神作用物質痴呆(292.82)、その他の、または非特異的精神作用物質妄想障害(292.11)、その他の、または非特異的精神作用物質幻覚症(292.12)、その他の、または非特異的精神作用物質気分障害(292.84)、その他の、または非特異的精神作用物質不安障害(292.89)、その他の、または非特異的精精神作用物質人格障害(292.89)、その他の、または非特異的精神作用物質器質性精神障害NOS(292.90)、せん妄(293.00)、痴呆(294.10)、器質性妄想障害(293.81)、器質性幻覚症(293.81)、器質性気分障害(293.83)、器質性不安障害(294.80)、器質性人格障害(310.10)、器質性精神障害(29.80)、強迫強制障害(300.30)、心的外傷後ストレス障害(309.89)、一般的不安障害(300.02)、不安障害NOS(300.00)、身体醜形障害(300.70)、ヒポコンドリー(または、ヒポコンドリー神経症)(300.70)、身体化障害(300.81)、未分化身体表現性障害(300.70)、身体表現性障害NOS(300.70)、間欠性爆発性障害(312.34)、盗癖(312.32)、病的賭博耽溺(312.31)、放火癖(312.33)、抜毛癖(312.39)、および衝動調節障害NOS(312.39)が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。
【0024】
本発明に記載されるやり方で治療が可能な、病的、心理学的病態の追加例としては、精神分裂病、カタトニー、亜慢性(295.21)、精神分裂病、カタトニー、慢性(295.22)、精神分裂病、カタトニー、亜慢性で急性悪化(295.23)、精神分裂病、カタトニー、慢性で急性悪化(295.24)、精神分裂病、カタトニー、寛解中(295.55)、精神分裂病、カタトニー、非特異的(295.20)、精神分裂病、解体型、慢性(295.12)、精神分裂病、解体型、亜慢性で急性悪化(295.13)、精神分裂病、解体型、慢性で急性悪化(295.14)、精神分裂病、解体型、寛解中(295.15)、精神分裂病、解体型、非特異的(295.10)、精神分裂病、パラノイア様、亜慢性(295.31)、精神分裂病、パラノイア様、慢性(295.32)、精神分裂病、パラノイア様、亜慢性で急性悪化(295.33)、精神分裂病、パラノイア様、慢性で急性悪化(295.34)、精神分裂病、パラノイア様、寛解中(295.35)、精神分裂病、パラノイア様、非特異的(295.30)、精神分裂病、未分化、亜慢性(295.91)、精神分裂病、未分化、慢性(295.92)、精神分裂病、未分化、亜慢性で急性悪化(295.93)、精神分裂病、未分化、慢性で急性悪化(295.94)、精神分裂病、未分化、寛解中(295.95)、精神分裂病、未分化、非特異的(295.90)、精神分裂病、残留性、亜慢性(295.61)、精神分裂病、残留性、慢性(295.62)、精神分裂病、残留性、亜慢性で急性悪化(295.63)、精神分裂病、残留性、慢性で急性悪化(295.94)、精神分裂病、残留性、寛解中(295.65)、精神分裂病、残留性、非特異的(295.60)、妄想(パラノイア様)障害(297.10)、短期反応性精神病(298.80)、精神分裂形態障害(295.40)、分裂感情性障害(295.70)、誘発性精神障害(297.30)、精神障害NOS(非典型的精神病)(298.90)、双極性障害、混合型、重篤、精神病特徴無し(296.63)、双極性障害、躁的、重篤、精神病特徴無し(296.43)、双極性障害、うつ的、重篤、精神病特徴無し(296.53)、双極性障害、混合型、精神病特徴あり(296.64)、双極性障害、躁的、精神病特徴あり(296.44)、双極性障害、うつ的、精神病特徴あり(296.54)、双極性障害NOS(296.70)、大うつ病、単一エピソード、精神病特徴あり(296.24)、大うつ病、反復的で精神病特徴あり(296.34)、人格障害、パラノイア様(301.00)、人格障害、分裂病質(301.20)、人格障害、分裂病型(301.22)、人格障害、反社会的(301.70)、および人格障害、境界性(301.83)が挙げられる。
【0025】
本発明に従って治療が可能な不安障害としては、不安障害(235)、パニック障害(235)、パニック障害広場恐怖あり(300.21)、パニック障害広場恐怖無し(300.01)、広場恐怖、パニック障害の既往無し(300.22)、社交恐怖(300.23)、単純恐怖(300.29)、器質性不安障害(294.80)、精神作用物質不安障害(292.89)、分離不安障害(309.21)、幼年期または思春期の回避障害(313.21)、および過剰不安障害(313.00)が挙げられる。
【0026】
本明細書に記載される、カルボキシペプチダーゼ阻害化合物の有効量を用いて、下記の病的精神状態の治療に使用することが可能である。すなわち、中等度の精神遅滞;重度の精神遅滞;深刻な精神遅滞;自閉症;注意欠陥多動性障害;広範発達障害NOS;行動障害、グループ型;行動障害、孤立攻撃型;トゥレット障害;アルツハイマー型一次的変性痴呆、老年期発症、せん妄合併;アルツハイマー型一次的変性痴呆、老年期発症、妄想合併;アルツハイマー型一次的変性痴呆、前老年期発症;精神分裂病、カタトニー、亜慢性;精神分裂病、カタトニー、慢性;精神分裂病、カタトニー、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、カタトニー、慢性で急性悪化;精神分裂病、カタトニー、寛解中;精神分裂病、カタトニー、非特異的;精神分裂病、解体型、亜慢性;精神分裂病、解体型、慢性;精神分裂病、解体型、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、解体型、慢性で急性悪化;精神分裂病、解体型、寛解中;精神分裂病、解体型、非特異的;精神分裂病、パラノイア様、亜慢性;精神分裂病、パラノイア様、慢性;精神分裂病、パラノイア様、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、パラノイア様、慢性で急性悪化;精神分裂病、パラノイア様、寛解中;精神分裂病、パラノイア様、非特異的;精神分裂病、未分化、亜慢性;精神分裂病、未分化、慢性;精神分裂病、未分化、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、未分化、慢性で急性悪化;精神分裂病、未分化、寛解中;精神分裂病、未分化、非特異的;精神分裂病、残留性、亜慢性;精神分裂病、残留性、慢性;精神分裂病、残留性、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、残留性、慢性で急性悪化;精神分裂病、残留性、寛解中;精神分裂病、残留性、非特異的;妄想(パラノイア様)障害;短期反応性精神病;精神分裂形態障害;分裂感情性障害;誘発性精神障害;精神障害NOS(非典型的精神病);双極性障害、混合型、精神病特徴あり;双極性障害、躁的、精神病特徴あり;双極性障害、うつ的、精神病特徴あり;双極性障害NOS;大うつ病、単一エピソードまたは反復的で精神病特徴あり;人格障害、パラノイア様;人格障害、分裂病質;人格障害、分裂病型;人格障害、反社会的;人格障害、境界性;不安障害;パニック障害;パニック障害広場恐怖あり;パニック障害広場恐怖無し;広場恐怖、パニック障害の既往無し;社交恐怖;単純恐怖;強迫強制障害;心的外傷後ストレス障害;一般的不安障害;不安障害NOS;器質性不安障害;精神作用物質不安障害;分離不安障害;幼年期または思春期の回避障害;および過剰不安障害である。
【0027】
1種類以上の本化合物を、単独で、またはP-糖タンパク阻害剤と組み合わせて、下記の精神的病態を治療するために使用することが可能である。すなわち、精神分裂病、カタトニー、亜慢性;精神分裂病、カタトニー、慢性;精神分裂病、カタトニー、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、カタトニー、慢性で急性悪化;精神分裂病、カタトニー、寛解中;精神分裂病、カタトニー、非特異的;精神分裂病、解体型、亜慢性;精神分裂病、解体型、慢性;精神分裂病、解体型、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、解体型、慢性で急性悪化;精神分裂病、解体型、寛解中;精神分裂病、解体型、非特異的;精神分裂病、パラノイア様、亜慢性;精神分裂病、パラノイア様、慢性;精神分裂病、パラノイア様、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、パラノイア様、慢性で急性悪化;精神分裂病、パラノイア様、寛解中;精神分裂病、パラノイア様、非特異的;精神分裂病、未分化、亜慢性;精神分裂病、未分化、慢性;精神分裂病、未分化、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、未分化、慢性で急性悪化;精神分裂病、未分化、寛解中;精神分裂病、未分化、非特異的;精神分裂病、残留性、亜慢性;精神分裂病、残留性、慢性;精神分裂病、残留性、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、残留性、慢性で急性悪化;精神分裂病、残留性、寛解中;精神分裂病、残留性、非特異的;妄想(パラノイア様)障害;短期反応性精神病;精神分裂形態障害;分裂感情性障害;誘発性精神障害;精神障害NOS(非典型的精神病);双極性障害、混合型、精神病特徴あり;双極性障害、躁的、精神病特徴あり;双極性障害、うつ的、精神病特徴あり;双極性障害NOS;人格障害、パラノイア様;人格障害、分裂病質;人格障害、分裂病型;人格障害、反社会的;および人格障害、境界性である。
【0028】
本発明の方法によって治療されるのがもっとも好ましい精神的病態の例としては、精神分裂病、カタトニー、亜慢性;精神分裂病、カタトニー、慢性;精神分裂病、カタトニー、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、カタトニー、慢性で急性悪化;精神分裂病、カタトニー、寛解中;精神分裂病、カタトニー、非特異的;精神分裂病、解体型、亜慢性;精神分裂病、解体型、慢性;精神分裂病、解体型、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、解体型、慢性で急性悪化;精神分裂病、解体型、寛解中;精神分裂病、解体型、非特異的;精神分裂病、パラノイア様、亜慢性;精神分裂病、パラノイア様、慢性;精神分裂病、パラノイア様、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、パラノイア様、慢性で急性悪化;精神分裂病、パラノイア様、寛解中;精神分裂病、パラノイア様、非特異的;精神分裂病、未分化、亜慢性;精神分裂病、未分化、慢性;精神分裂病、未分化、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、未分化、慢性で急性悪化;精神分裂病、未分化、寛解中;精神分裂病、未分化、非特異的;精神分裂病、残留性、亜慢性;精神分裂病、残留性、慢性;精神分裂病、残留性、亜慢性で急性悪化;精神分裂病、残留性、慢性で急性悪化;精神分裂病、残留性、寛解中;精神分裂病、残留性、非特異的;妄想(パラノイア様)障害;短期反応性精神病;精神分裂形態障害;分裂感情性障害;人格障害、分裂病質;および人格障害、分裂病型が挙げられる。
【0029】
本発明の一つの好ましい局面では、不安症の治療方法が提供される。本発明、および本発明の製薬製剤によって治療される不安障害の例としては、不安障害;パニック障害;パニック障害広場恐怖あり;パニック障害広場恐怖無し;広場恐怖、パニック障害の既往無し;社交恐怖;単純恐怖;強迫強制障害;心的外傷後ストレス障害;一般的不安障害;不安障害NOS;器質性不安障害;精神作用物質不安障害;分離不安障害;幼年期または思春期の回避障害;および過剰不安障害が挙げられる。
【0030】
もっとも好ましく治療される不安障害の例としては、パニック障害;社交恐怖;単純恐怖;器質性不安障害;強迫強制障害;心的外傷後ストレス障害;一般的不安障害;および不安障害NOSが挙げられる。
【0031】
上記リストは包括的なものではないこと、他の障害も、本明細書に記載される組成物によって治療が可能であることが理解される。
【0032】
セファロスポリンスルフォキシドおよびスルフォン、およびそれらの誘導体の有効用量は、本発明に従って用いられた場合、いくつかの因子に応じて変動する。そのような因子としては、標的ペプチダーゼに対する内在的親和度、選択された投与ルート、患者の体重、血液脳関門輸送効率等が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。本発明に従って用いられるセファロスポリンスルフォキシドおよびスルフォン、およびそれらの誘導体の有効用量は、従来技術で認められる分析技術の使用と結合させて動物モデルを用いることによって経験的に簡単に求めることが可能である。例を挙げて述べると、経口用量は、体重kg当たり約2.5 ngから30 mgの範囲、すなわち1回用量当たり100 ngから1 gの用量を表すものである。これよりも高い用量および低い用量が適当である場合もあり、主治医が患者の状態からこのように判断した時に、本発明に従って使用される。
【0033】
本発明はさらに、行動障害または認識障害の治療のためのいくつかの製薬製剤を提供する。一般に、この製剤は、1種以上の、式Iのセファロスポリンスルフォキシドまたはスルフォン、さらに実際的には、1種以上の、式IIの△2-および△3-セファゾリンスルフォキシド、および、これらに対する製薬学的に受容可能な担体を含む。化合物の量は、指定の投与ルートによって搬送された場合、その化合物が望まれる組織、すなわち脳において、カルボキシペプチダーゼE活性を抑制することによって治療が可能と考えられる、標的とする行動または認識障害、またはその他の障害の症状を治療・緩和するのに有効な濃度を実現するのに効果的な量である。本発明に従って用いられる化合物は、1種以上の製薬学的に受容可能な担体と組み合わせてもよく、また、例えば、経口的に、錠剤、カプセル、カプレット、分散性散剤、顆粒剤、薬用ドロップ、粘膜パッチ、小包等のような剤形として投与してもよい。化合物は、製薬学的に受容可能な担体、例えば、でん粉、マルトース、ラクトース、またはトレハロースと組み合わせてもよく、単独で、あるいは1種以上の錠剤形成用賦形剤と組み合わせて、錠剤または薬用ドロップとして圧縮成形してもよい。要すれば任意に、そのような錠剤、カプレット、またはカプセルは、胃における加水分解/変性を抑えるために腸管吸収用に被覆されてもよい。経口投与製剤は、約0.00001から約99重量%の活性成分、および、約1から約99重量%の、1種以上の製薬学的に受容可能な担体および/または製剤賦形剤を含む。要すれば任意に、剤形は、活性成分の薬剤半減期を延長し、その脳中濃度を向上させるために、P-糖タンパク阻害剤を有する化合物と組み合わせるように製剤してもよい。別法として、化合物は、単純に、P-糖タンパク阻害剤と共同投与してもよい。
【0034】
本発明の別の実施態様では、製薬学的調剤は、例えば、担体と組み合わせて、約4 μgから約100 mgの活性成分を、体重1 kg当たり約100 ngから約30 mgの用量となるように含んでもよい。体重1 kg当たり約300 mgという大用量も有効である可能性があることが考えられる。本発明の一つの実施態様による製薬製剤は、経口投与用、すなわち、口からの摂取投与用、または頬内または舌下投与用(小包、薬用ドロップ、および/または粘膜パッチの形)に製剤される。別の実施態様では、剤形は、活性成分を所定の期間放出するように製剤された徐放剤形として経口投与用に製剤される。
【0035】
前述の例示の実施態様は経口投与剤形を含んでいるが、他の剤形も可能である。例えば、局所投与剤形であって、本発明のセファロスポリンスルフォキシドおよびスルフォンと、投与ルートに適応した、通例の、無毒の、製薬学的に受容可能な担体、補助薬、および賦形薬とを含む、経皮パッチ、鼻腔投与、坐剤投与単位製剤を含む局所投与剤形も本発明の範囲内にある。
【0036】
別に、本発明による製薬製剤は、皮下投与、腹腔内投与、筋肉内投与、および静脈内投与を含む非経口投与を通じて搬送することも可能である。このような非経口剤形は、通常、製薬学的に受容可能な担体、例えば、等張性生理食塩水溶液、5%グルコース、またはその他の既知の製薬学的に受容可能な担体組成物液を用いて、水溶液または分散液の形を取る。
【0037】
注入用途に好適な製薬形態は、滅菌水溶液および分散液、および、滅菌注射液または分散液の即席調製用の滅菌粉末または凍結乾燥粉末を含む。剤形は、具体的に言うと、製造・保存条件下で無菌で安定しており、微生物に汚染されないように保存される。注入用製剤のための担体は、例えば、水、エタノール、またはポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液性ポリエチレングリコール)、それらの混合物、および植物油を適度に含む溶媒または分散媒であってもよい。
【0038】
行動・認識障害、および、神経原性ペプチダーゼ抑制に反応するその他の病態の治療に有用なセファロスポリンスルフォキシドおよびスルフォンの非経口剤形は、注入可能な徐放性製剤として製剤することも可能である。この製剤では、活性化合物は、1種以上の、天然または合成の、生物分解性または生物分散性ポリマー、例えば、でん粉、ゴム、およびエーテル化またはエステル化されたセルロース誘導体を含む炭水化物、ポリエーテル、ポリエステル(特に、ポリラクチド、ポリグリコリド、またはポリラクチド-グリコリド)、ポリビニールアルコール、ゼラチン、またはアルギン酸のようなポリマーと組み合わされる。このような投与製剤は、例えば、微小球懸濁液、ゲル(親水性または疎水性組成の)、または、生物学的活性成分の徐放を実現する「デポ型」薬剤搬送システムとして機能することで従来技術で既知の、ポリマー基質成形インプラントの形態を取るように調製されてもよい。このような組成物は、従来技術で認められた製剤技術を用いて調製し、広範な薬剤放出特性の内から任意に選ばれるものに合致するように設計することが可能である。
【0039】
本発明において使用する製薬組成物の投与は、治療を要する患者に対して、断続的、漸増的または連続的、定常的、または調整された頻度において行ってもよい。さらに、製薬組成物が投与する時刻および投与回数は、患者の状態および環境に応じて変動してもよい。本発明の範囲内で使用する任意の組成物の効果レベル、最適用量および剤形は、患者によって、主治医の判断において合理的な範囲内において調節が可能である。製剤は、典型的には、患者の病状を治療または予防するのに十分な時間、例えば、治療を受ける患者の行動または認識能力を修正するのに十分な時間投与する。製剤は、標的とする病状の予防のために、同じまたは低減させた投与製剤を用いて投与を続けてもよい。
【0040】
本発明の前述の実施態様は、一部は、後述する、行動認識およびスキルに関する動物モデルで集められたデータから示唆される作用機構から得られる。本発明の、他の実施態様は、下記の、非限定的実験実施例で得られたデータを分析することによって明白となろう。なお、これらの実施例は、本発明の方法および製剤を用いることによって実現することが可能な行動修正および認識機能および改善に関する例示的なものにすぎない。
【実施例】
【0041】
[実施例1]
2-および△3-セファゾリンスルフォキシド、ナトリウム塩の合成
セファゾリン。セファゾリンナトリウム塩(998 mg, 2.095 mmol, Chemifarma S.A.マドリード、スペイン、Fujian Fukang Pharmaceutical Co., Ltd., Fuzhou、中国から市販される)の水(100 mL)に溶解させた水溶液を、1N aq. HCl(pH2.90まで)で処理した。得られた沈殿を吸引ろ過し、水で洗浄した。ろ液を、1N aq. NaOH(pH3.50まで)で処理しアルカリ性とし、酢酸エチル(2 x 20 mL)で抽出した。酢酸エチル抽出物をNa2SO4上で乾燥し、ろ過し、蒸発させ、前記ろ過物と合わせ乾燥したところ、標記の化合物751 mg(79%)が得られた。
【0042】
2-および△3-セファゾリンジフェニルメチル・エステル。ジフェニルジアゾメタンを生成するために、N2下-78℃において、テトラメチルグアニジン(3.84 g, 33.4 mmol)を含む、ジクロロメタン(40 mL)に溶解したベンゾフェノンヒドラゾン(437 mg, 2.22 mmol)の攪拌溶液に、Pb(OAc)4(986 mg, 2.22 mmol)を加えた。70分後、冷却(-20℃)30% aq. KOH (100 mL)を加えることによって反応を停止させた。混合液を、分離用漏斗に注ぎ、ヘキサン(30 mL)で処理し、攪拌し、相を分離させた。有機相を、低温の(-20℃)の30% KOH(100 mL)で更に洗浄し、次にこのKOH洗液を合わせてヘキサン(20 mL)で再抽出した。このヘキサン抽出物を合わせ、低温(-10℃)2% aq. KOH(5 x 150 mL)で洗浄し、K2CO3上で乾燥し、これを下記の反応のために用いた。エステル化のために、セファゾリン(674 mg, 1.48 mmol)と塩化メチル(250 mL)の混合液を、室温において、ジフェニルジアゾメタンの全ヘキサン液にて処理した。1.5時間後、DMF(15 mL)を加え、ジクロロメタンを室温減圧下にゆっくりと除去した。セファゾリンが溶解して30分後、酢酸(2 mL)を加えた。高真空下にDMFを除去し、残渣をジクロロメタン(5 mL)に取り、激しく攪拌した石油エーテル:ヘキサン(1:1, 100 mL)の溶液に加えた。得られたゴム状液を分離し、石油エーテルで洗浄し、ジクロロメタン(30 mL)に溶解し、飽和aq. NaHCO3(10 mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、ろ過し、蒸発させたところ、それぞれ、1:1.7の比として標記の化合物875 mg(95%)が得られた。
【0043】
2-および△3-セファゾリンスルフォキシドジフェニルメチル・エステル。ジクロロメタン(20 mL)に溶解させた△2-および△3-セファゾリンジフェニルメチル・エステル(875 mg, 1.41 mmol)の溶液を、30%H2O2(196 mg, 1.83 mmol)と酢酸(339 mg, 5.64 mmol)で処理した。得られた2相の混合物を18時間攪拌し、次に後処理をした。混合液を、ジクロロメタン(20 mL)と20%K2CO3(30 mL)の間で分配した。有機抽出物を、Na2SO4上で乾燥し、ろ過し、蒸発させ、得られた油状体をカラムクロマトグラフィーにて精製した。クロマトグラフィー条件は、SiO2、メルク70-230メッシュ、12 cm x 5 cm、勾配移動相50:1-40:1-30:1-25:1 CH2Cl2:MeOHで第1生成物を溶出し、次に、20:1-10:1-15:1-8:1 CH2Cl2:MeOHで第2生成物を溶出した。それぞれ、△2-異性体284 mg(32%)、△3-異性体511 mg(57%)であった。△2-異性体:1H-NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.92(s, 1H), 8.33 (d, J=8.5 Hz, 1H), 7.50-7.21 (m, 10H), 6.89 (s, 1H), 6.29 (s, 1H), 5.57 (dd, J=8.5, 4.0Hz, 1H), 5.47-5.29 (m, 3H), 4.25 (d, J=4.0 Hz, 1H), 3.93 (ABq, J=14.3 Hz, 2H), 2.67 (s, 3H)。△3-異性体:1H-NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.84 (s, 1H), 7.63 (d, J=9.6 Hz, 1H), 7.40-7.25 (m, 8H), 7.13-7.02 (m, 1H), 6.93 (s, 1H), 5.94 (dd, J=9.6, 4.4 Hz, 1H), 5.01 (ABq, J=17.5 Hz, 2H), 4.50 (d, J=4.4 Hz, 1H), 4.33 (ABq, J=13.7 Hz, 2H), 3.77 (ABq, J=18.8 Hz, 2H), 2.58 (s, 3H)。
【0044】
3-セファゾリンスルフォキシド。ジクロメタン(0.5 mL)に溶解させた△3-スルフォキシドジフェニルメチル・エステル(505 mg, 793 μmol)およびアニソール(52 mg, 480 μmol)の溶液を、0℃で90分トリフルオロ酢酸(13 mL)で処理した。溶媒を減圧留去し、得られた油状体をジクロロメタン(1 ml)に溶解した。沈殿し始めた。メタノールを加え、得られた白色沈殿を吸引ろ過にて収集したところ、標記の化合物の299 mg(80%)が得られた。1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ13.90 (bs, 1H), 9.37 (s, 1H), 8.99 (d, J=8.5 Hz, 1H), 5.85 (dd, J=8.5, 4.3 Hz, 1H), 5.44 (ABq, J=17.2 Hz, 2H), 4.90 (d, J=4.3 Hz, 1H), 4.44 (ABq, J=13.7 Hz, 2H), 3.89 (ABq, J=18.3 Hz, 2H), 2.68 (s, 3H)。
【0045】
-セファゾリンスルフォキシド。△-セファゾリンスルフォキシドは、△-セファゾリンスルフォキシドジフェニルメチル・エステル(284 mg, 402 μmol)から出発して同様のやり方で調製され、標記の加工物の190 mg(80%)が得られた。1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ13.77 (bs, 1H), 9.57 (d, J=7.9 Hz, 1H), 9.36 (s, 1H), 6.71 (s, 1H), 5.51 (dd, J=7.9, 3.9 Hz, 1H), 5.36 (ABq, J=16.8 Hz, 2H), 5.18 (d, J=3.9 Hz, 1H), 5.08 (s, 1H), 4.21 (ABq, J=14.0 Hz, 2H), 2.70 (s, 3H)。
【0046】
3-セファゾリンスルフォキシド、ナトリウム塩。水(6 mL)に溶解させたNaHCO3(53 mg, 631 μmol)を、DMSO(3 mL)に溶解したセファゾリンスルフォキシド(297 mg, 631 μmol)に加えた。得られた溶液を回転攪拌し、凍結し、凍結乾燥したところ、油状/固相の混合物が得られた。これを、メタノール/塩化メチレンで粉化した。得られた固体を吸引ろ過し、石油エーテルで洗浄したところ、標記の化合物の283 mg(91%)が得られた。1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ9.37 (s, 1H), 8.84 (d, J=8.2 Hz, 1H), 5.62 (dd, J=8.2, 4.4 Hz, 1H), 5.43 (ABq, J=16.9 Hz, 2H), 4.73 (d, J=4.4 Hz, 1H), 4.28 (ABq, J=12.6 Hz, 2H), 3.59 (ABq, J=18.1 Hz, 2H), 2.65 (s, 3H)。
【0047】
-セファゾリンスルフォキシド、ナトリウム塩。△-セファゾリンスルフォキシド、ナトリウム塩は、△-セファゾリンスルフォキシド(189 mg, 402 μmol)から出発して同様のやり方で調製され、標記の加工物の160 mg(81%)が得られた。1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ9.56-9.46 (m, 1H), 9.36 (s, 1H), 6.31 (s, 1H), 5.50-5.10 (m, 5H), 4.35 (ABq, J=13.5 Hz, 2H), 2.69 (s, 3H)。
【0048】
[実施例2]
不安行動実験:種子を探索する不安モデルにおける用量-応答
原理。ゴールデンハムスターによる、種子を探索する不安モデルは、CNS活性に関してベータラクタムをスクリーニングするための強力で単純なバイオアッセイである。手短に言うと、ハムスターを一晩絶食させる。次の日、ホームケージから取り出して新規の環境に数分置くという新たなストレスにさらす。ホームケージを不在にしている間に、ヒマワリの種を四隅の一つの寝藁の下に隠しておく。ホームケージに戻されると、ハムスターは、通常、身を落ち着け、種を探り当て、食べる迄に、1-2分壁に沿ってぐるぐる歩き回る。しかしながら、伝統的な抗不安薬、例えば、クロルジアゼポキシド、フルオキセチン、またはブスピロンを投薬した動物は、20秒以内に種を見つける(King JA, et al. (2001) Neuropsychobiology 45:150-155)。この、数分から数秒への、種子探索時間の短縮は、ある種のベータラクタム抗生物質の投薬後にも見られる。
【0049】
実験プロトコール。雄ゴールデンハムスターを、プレクシグラス・ケージ(24 cm x 24cm x 20 cm)に個別に収容し、逆転させた照明:暗サイクル(14:10、19:00時に照明)下に飼育し、餌と水を自由に与えた。セファゾリン-1-スルフォキシド(△3-セファゾリンスルフォキシド)、およびデルタ-2-セファゾリン-1-スルフォキシド(△-セファゾリンスルフォキシド)それぞれについて、4匹の動物から成る4グループを用いて、ある用量範囲(100 ng/kg, 10 μg/kg, 1 mg/kg、およびコントロールとして生理食塩水溶液のみ)について試験した(図1a-b)。試験は全て、日周サイクルの暗期において暗赤照明の下で行われた。試験前、動物は全て20-24時間絶食させた。薬剤を強制経口投与した90分後、動物をホームケージから取り出し、待合ケージに2分間置いた。動物の不在の間に、6個のヒマワリ種子をホームケージの1隅の寝藁の下に埋めた。動物をホームケージに戻す際、ランダムに空の隅の任意の一つに直面するように置き、5分間の観察期間において種子を見つけるまでの潜時を計った。潜時は、二元配置分散分析、その後にBonferroniのポストホックテストで分析した。
【0050】
結果。図1a-bに示すように、両薬剤共、100 ng/kgから1 mg/kgの用量で、種子探索潜時を、平均潜時が5分近い生理食塩水溶液のみと比べると有意に(p<0.01)短縮した。
【0051】
要約。データは、ハムスターに対して経口投与されたセファゾリンが、不安に関する種子探索試験において効果的であることを示す。種子探索定量試験は、抗不安活性について速やかに薬剤をスクリーニングするのに極めて感度の高い動物モデルのようである(King JA, et al. (2001) Neuropsychobiology 45:150-151)。このモデルは経験的妥当性を持つようである(McKinney, W.T. (1989) Basis of development of animal models in psychiatry: An overview. In: ANIMAL MODELS OF DEPRESSION, Eds. G.G. Koob, C.L. Ehlers, E.J. Kupfer Birkanser, Boston)、すなわち、クロルジアゼポキシド、フルオキセチン、およびブスピロンのような抗不安薬は、1 μg/kg以上の用量で種子探索を劇的に短縮するのに対して、デシプラミン、ヨヒンビン、およびクロザピンのような薬剤は無効である。
【0052】
[実施例3]
不安行動実験:高架式十字迷路における抗不安活性
高架式十字迷路は、ラットにおける抗不安薬および不安誘発薬作用の評価のために開発された(Pellow et al., (1985) Journal of Neuroscience Methods 14:149-167)。この方法の妥当性は、行動的にも、生理的にも、薬理学的にも確かめられている。十字迷路は、2本の開放アームと2本の閉鎖アームを持つ。ラットは生まれつき、閉鎖アーム(暗)より開放アーム(明)への進入度数が少なく、開放アームで過ごす時間はかなり短い。開放アームへの閉じ込めは、閉鎖アームへの閉じ込めよりも、不安関連行動により多く相関し、ストレスホルモンレベルがより高くなる。臨床的に効果的な抗不安薬、例えば、クロルジアゼポキシドまたはジアゼパムは、開放アームで過ごす時間のパーセント、および開放アームに対する進入度数を有意に増す。逆に、ヨヒンビンまたはアンフェタミンのような不安誘発化合物は、開放アームに対する進入度数および開放アームで過ごす時間を少なく、短くする。
【0053】
方法。体重250-300 gの雄ウィスターラットを、照明0800時オンの、正常な12:12明暗サイクルにおいて集団飼育し、餌と水を自由に与えた。十字迷路は、2本の開放アーム50 x 10 cm、および、開放天井付きの2本の閉鎖アーム50 x 10 x 40 cmから成り、2本の開放アームは対向するように配置された。迷路は、50 cmの高さに設けられた。各5匹の動物から成る4グループを、賦形剤のみ、または、デルタ-2-セファゾリン-1-スルフォキシド(△-セファゾリンスルフォキシド)100 ng/kg, 10 μg/kg、または1 mg/kgを強制経口投与した90分後に試験した。実験開始時、動物を、十字迷路の中心に閉鎖アームに面するように置いた。3分間の観察期間を通じて、動物が閉鎖アームに入るまでの潜時、閉鎖アームで過ごした時間、および、初回の閉鎖アーム占拠後における開放アームに対する進入度数を測定した。
【0054】
結果。賦形剤のみの場合に比べ、デルタ-2-セファゾリン-1-スルフォキシド(△-セファゾリンスルフォキシド)の投薬によって、閉鎖アームへ進入する潜時が増加した(p<0.05)(図2a)。一方、開放アームで過ごす時間は、賦形剤のみに比べ有意に(p<0.01)増加した(図2b)。
【0055】
要約。ラットに経口投与された△-セファゾリンスルフォキシドは、高架式十字迷路において用量依存性抗不安活性を示す。
【0056】
[実施例4]
鎮静活性試験
対決行動は、積極的または防御的攻撃のどちらかに分類することが可能である(Blanchard, R.J., Blanchard, D.C. (1977) Physiology and Behavior, 1, 197-224; Adams, D.B. (1979) The Behavioral Brain Sciences, 2, 201-241; Albert, D.J. and Walsh, M.L. (1984) Neuroscience and Behavioral Reviews, 8, 5-24)。積極的攻撃は、攻撃者が敵に対して攻撃を仕掛けることによって特徴付けられるが、一方、防御的攻撃は、積極的な接近を欠く。いずれのタイプの攻撃も、その独自の神経行動システムを持つ。積極的攻撃と防御的攻撃を誘発する刺激は、各対決反応に伴う行動順序と同様、異なる。積極的および防御的攻撃それぞれ独自の神経ネットワークがあるとする考えを支持する経験データの多くが動物モデルから収集されている一方で、ヒトの攻撃にも、同様の神経組織があることを示唆する、興味深い、説得的な類似性がある(Blanchard, D.C. (1984) Applicability of animal models to human aggression, In:Biological Perspectives on Aggression, Alan R. Liss, Inc., pgs 49-74)。積極的攻撃は、積極的攻撃の、既に確立したモデルである、居住者/侵入者範型においてゴールデンハムスターを試験することによって簡単に調べられる(Ferris, C.F., Potegal, M. (1988) Physiology and Behavior, 44, 235-239)。1匹の未知の雄ハムスターを、別の雄ハムスターのホームケージの中に置くと、その居住者から、積極的攻撃を含む、よく定義された一連の対決行動が誘発される。
【0057】
動物飼育。Harlan Sprague-Dawley Laboratories(インディアナポリス、インディアナ州)から入手した、雄シリア・ゴールデンハムスター(Mesocricetus auratus)(140-150 g)を、プレクシグラス・ケージ(24 cm x 24 cm x 20 cm)に個別に収容し、逆転明:暗サイクル(14明:10暗、19:00に照明オン)下に維持し、餌と水を自由に与えた。動物は、試験前少なくとも2週間この逆転明:暗サイクルに順応させた。行動試験は全て、日周サイクルの暗期において実行された。
【0058】
行動測定および分析。ハムスターは夜行性であるから、それに応じて、行動試験は、暗期の最初の4時間に暗い赤色照明の下で行った。居住者について、10分間の試験期間における、積極的攻撃、例えば、侵入者に噛み付くまでの潜時、侵入者との取っ組み合いの合計時間、噛み付きの合計数、および横腹マーキングを計り、数えた(Ferris, C.F., Potegal, M. (1988) Physiology and Behavior, 44, 235-239)。横腹マーキングとは、1種の嗅覚コミュニケーションであり、ハムスターが背中を弓なりに反らし、横腹のフェロモン分泌腺を、周囲の対象物にこすり付けて行う(Johnston, R.E. (1985) Communication, In: The Hamster Reproduction and Behavior. Ed. Siegel, H.I. Plenum Press, New York, pp. 121-154)。横腹マーキングの頻度は、攻撃的対峙の際には際立って強調され、特に、戦闘を仕掛けて勝利を治めた優勢な動物では著明である(Ferris, C.F., et al., (1987) Physiology and Behavior, 40, 661-664)。
【0059】
変数データ、すなわち、潜時と取っ組み合い時間は、一元配置分散分析、その後Newman-Keulsポストホックテストにて分析した。非変数データ、すなわち、噛み付きと横腹マークの度数は、グループ間の差を定めるために、Kruskal-Wallisテスト、その後Mann-Whitney Uテストにて分析した。
【0060】
方法。デルタ-2-セファゾリン-1-スルフォキシド(△-セファゾリンスルフォキシド)を、ある用量範囲について(100 ng/kg, 10 μg/kg、1 mg/kg、および生理食塩水溶液のみをコントロールして)、それぞれ5匹の動物から成る4グループを用いて試験した(図3a-d)。経口強制投与の90分後、侵入者をホームケージに置き、居住者の積極的攻撃を数えた。攻撃試験後、動物を、開放野範型および性的モティベーション試験で運動活性について調べた(図4a-b)。
【0061】
結果。デルタ-2-セファゾリン-1-スルフォキシド(△-セファゾリンスルフォキシド)投薬により、有意に噛み付き潜時は増大し、かつ噛み付き度数は減少した(p<0.01)。取っ組み合い時間は、最高用量では有意に減少する一方、横腹マーキングは有意に増加した。
【0062】
要約。これらのデータは、デルタ-2-セファゾリン-1-スルフォキシド(△-セファゾリンスルフォキシド)が、極めて効果的な鎮静剤であり、積極的攻撃を抑制するものであることを示す。嗅覚に基づく行動である横腹マーキングは減少しない。図4a-bに示すように、運動活性または性的モティベーションに変化はない。これは、攻撃の低下は、活性の低下、または嗜好行動の低下によるものでは無いことを示している。
【0063】
[実施例5]
放射状迷路における学習・記憶試験
放射状迷路は、げっ歯類における空間学習および記憶を試験するためにもっとも広く用いられる方法の一つである。Oltonおよびその共同研究者によって開発された(Olton, D.S., Samuelson, R.J. (1976) J. Experimental Psychology, 2:97-115)この迷路は、被験動物に対して、いくつかの経路について同時選択を提供する。動物は、視覚空間的手がかりを用いてどの場所が餌を提供するのかを学習しなければならない(場所学習)。
【0064】
動物飼育。体重21-23 gのBALBc雄マウスを、正常な12:12明暗サイクル下(0600時に照明オン)に個別に収容し、餌と水を自由に与えた。下記の方法はCrusio等によって報告された、Crusio et al., (1987) Brain Research, 425:182-185。放射状迷路は、透明なプレクシグラス製の、中央のプラットフォームおよび8本のアームから成る。中央部の直径は22 cmである。閉ざされたアームは、長さ25 cm、高さ6 cm、および幅6 cmであった。いくつかの新鮮な餌ペレットが、各アーム末端の向こうの穴明き壁の裏に置かれている。この配置は、動物が、餌付きアームを、報酬の有無を嗅ぎ付けることによって選択できることのないようにする。低い障壁の裏に1個の餌ペレット(約10 mg)を置くことによって全てのアームに餌付けを行った。迷路を床の上に置き、迷路の近傍およびアームの間にいくつかの迷路外手がかりを設けた。各試行の開始時、マウスを迷路の中心に置き、全部で8本のアームの内から自由に選ばせた。選択試行の間、マウスは、迷路の中心に5秒間、各アームの入口に設けた透明なくぐり戸によって閉じ込められた。マウス達は、試験試行前24時間に、全てのアームに自由に出入りできる10分間の馴化試行を与えられた。その後、マウス達は、絶食させられたが、水は摂ることは許された。試験試行中、体重は、試験前体重の85%に維持された。
【0065】
方法。セファゾリン-1-スルフォキシド(△3-セファゾリンスルフォキシド)を、ある濃度範囲について(生理食塩水溶液のみ、2.5 ng/kg, 250 ng、25 μg/kg)、それぞれ6または7匹の動物から成る4グループを用いて試験した(図5)。試験試行は、1日1試行5日連続で、0.5 mlの△3-セファゾリンスルフォキシドの腹腔内注入後60から90分後に行った。試行は、動物が全ての報酬を食べ終わった時点、または15分後に終了させた。アームへの進入は、動物が穴明き壁に達した時点でカウントされた。動物が以前に訪れたアームに進入した場合エラーが記録された。各試行日についてエラーの数を記録した。試行の最後の3日間のデータのみをその後の分析に用いた。繰り返し測定による二元配置分散分析と、その後のBonferroniのポストホックテストによって用量反応効果を評価した。
【0066】
結果。△3-セファゾリンスルフォキシドの投薬は、生理食塩水コントロールの比べて、試験3日目および4日目において、エラーの数を有意に(*p<0.05, **p<0.01)減少させた(図5)。5日目では、生理食塩水のみを服用した5匹のマウスも、3日目および4日目に比べて、エラー数において有意の減少(p<0.05)を示した。5日目では、投薬グループのいずれにおいても、生理食塩水のみのグループとの間に、エラー数において有意差は認められなかった。
【0067】
要約。放射状迷路において、△3-セファゾリンスルフォキシドの腹腔内投薬は、生理食塩水コントロールに比べて、不正なアームへの進入度数を減らした。これは、前記投薬はこの認識試験において空間記憶を強化することを示唆する。生理食塩水を投薬されたマウスの成績も時間と共に向上し、5日の試験期間の終了までには、その成績は、セファゾリン投薬動物のものに事実上匹敵した。
【0068】
[実施例6]
微小透析実験
セファゾリン-1-スルフォキシド(△3-セファゾリンスルフォキシド)の生物学的特性、例えば、抗不安作用、攻撃性緩和、および学習能強化は、セロトニン様およびカテコーラミン様神経伝達を含む作用機構を示唆する。この仮説を検証するため、坐核領域の神経伝達物質の細胞外濃度を、△3-セファゾリンスルフォキシド投与後における微小透析によって評価した。坐核とは、精神分裂病、条件強化、および薬剤嗜癖と関連することでもっともよく知られており、そればかりか、不安障害PTSD、すなわち心的外傷後ストレス障害に至る、幼児期心的外傷に対する感受性に関与すると考えられる辺縁系前脳の一部である(Charney and Brenner (1999) The neurobiology of anxiety disorder. In:Neurobiology of Mental Illness (Charney, DS, et al eds.), Oxford University Press, New York, pgs 494-517)。
【0069】
方法。24匹のSprague Dawley雄ラットを、ナトリウム・ペントバルビタール(50 mg/kg)で麻酔し、坐核を標的として一側性微小透析ガイドカニューレを埋め込んだ。動物を、それぞれ4匹の動物から成る6グループに分け、ある範囲のセファゾリン用量(生理食塩水溶液のみ、10 ng, 100 ng, 1 μg, 10 μg, 100 μg/kg)を投与した(図6a-c)。手術から回復して2日後、微小透析プローブ(2 mm)を前記領域に下ろし、タイゴンチューブを介して注入ポンプに接続した。透析液は、1.8 μl/分の流速で搬送されるpH7.4の人工CSFである。最初の30分間の透析液は廃棄した。その後、サンプルを、△3-セファゾリンスルフォキシドの腹腔内投与の45分前から、同投与後75分まで、15分間隔で収集した。サンプルは、カテコーラミン類を安定化させるための5 μl の0.16N過塩素酸を含む微小遠心管に集めた。実験の終了時に、動物を屠殺し、微小透析プローブの部位を実証するために、脳を組織学検査のために調製した。
【0070】
ドーパミン代謝産物DOPAC(図6a)とHVA(図6b)、およびセロトニン代謝産物HIAA(図6c)の濃度を、電気化学的検出法によって評価した。腹腔内注入後の最初の15分に得られたサンプルは、薬剤投与のために動物を操作することによって引き起こされる変動のために分析から排除した。投薬後15-75分の間に収集された、残りの4サンプルそれぞれの測定値を分析した。各群各動物における各代謝産物に対するサンプル(合計16サンプル)を平均した。平均値を、一元配置分散分析、その後のBonferroniポストホックテストによって分析した。
【0071】
結果。△3-セファゾリンスルフォキシド投薬後、DOPACとHVA、およびHIAA濃度において有意な(*p<0.05, **p<0.01)用量依存性増加が得られた。
【0072】
要約。これらの微小透析実験から、△3-セファゾリンスルフォキシドは、坐核のセロトニンおよびドーパミン神経伝達を増進することが示された。不安障害、衝動性、および暴力の治療における最近の進歩は、セロトニン神経伝達の活性化に焦点を当てている(Feighner JP. (1999) J. Clinical Psychiatry, 60:18-22; Ferris, C.F. et al. (1997) J. Neuroscience, 17:4331-4340; Coccaro et al. (1998) Archives of General Psychiatry, 55:708-714)。この領域においてこのような研究があることに鑑みれば、△3-セファゾリンスルフォキシドによるセロトニン放出が、動物モデルにおいて強力な抗不安活動および鎮静行動を伴うことも当然と思われる。
【0073】
坐核においてセロトニンおよびドーパミンの神経伝達が活性化されることから、セファゾリンスルフォキシドは、薬剤嗜癖、肥満、および精神分裂病の治療にも使用可能である可能性が示唆される。国立薬剤乱用研究所(National Institute of Drug Abuse)および国立糖尿病・消化器腎臓病研究所(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Disease)の科学者達の研究によって、アンフェタミン類縁体のフェンテルミンとフェンフルラミン(PHEN/FEN)の併合投与は、ラットの坐核においてドーパミンおよびセロトニンの細胞外レベルを増すことが示された(Baumann et al., (2000) Synapse, 36:102-113)。PHEN/FENは、肥満症に対する効果的な薬物療法であり(Weintraub et al., (1984) Archive of Internal Medicine, 144:1143-1148)、開放臨床治験では、コカイン渇望を下げ、離脱症状を緩和し、薬剤禁欲を延長した(Rothman et al. (1994) J. Substance Abuse Treatment, 11:273-275)。国立衛生研究所の科学者達は、坐核においてセロトニンおよびドーパミンの神経伝達の増加を招くPHEN/FENと類似の機構を備えた薬剤は、物質乱用および肥満症の治療に有効である可能性があると結論した。
【0074】
イーライリリー社(インディアナポリス、インディアナ州)の科学者達の研究では、精神病治療のために開発された、代謝指向グルタミン酸受容体作用剤の作用機構を評価するために、前前頭皮質および坐核について、微小透析と体外組織分析を行った(Cartmell et al., (2000) Brain Research, 887:378-384; Cartmell et al. (2000) J. Neurochemistry, 75:1147-1154)。リスペリドンのような非定型的抗精神病剤は、前前頭皮質および坐核におけるドーパミンおよびセロトニン神経伝達を増す(Cartmell et al. (2000) J. Neurochemistry, 75:1147-1154; Hertel et al. (1996) Psychopharmacology, 124:74-86)。リリー社の科学者達は、代謝指向性グルタミン酸受容体の活性化は、上記脳領域において、類似の機構を用いてDOPAC、HIAA、およびHVAを上昇させることを見出した。
【0075】
[実施例7]
-セファゾリンスルフォキシドおよび△3-セファゾリンスルフォキシドのそれぞれ、またはそれらの組み合わせを、製薬学的に受容可能な錠剤混合物と合わせ、それぞれの錠剤組成物を調製し、圧縮成形して錠剤とし、あるいは、ゼラチンカプセルに充填して、錠剤/カプセル当たり、△-、または△3-セファゾリンスルフォキシド、またはそれらの組み合わせ100 ng, 1 μg, 10 μg, 100 μg, 1 mg, 10 mg, 50 mg, 100 mg, 200 mg, 350 mg, 500 mgを含むものを製造した。
【0076】
[実施例8]
ADHDの患者に対して、病気の症状緩和のために、上記実施例7の製剤を投与した。
【0077】
[実施例9]
攻撃行動によって特徴付けられる神経学的障害の患者に対して、患者の攻撃行動を緩和するために、上記実施例7の製剤を1日当たり2から3回投与した。
【0078】
[実施例10]
痴呆の患者に対して、患者の認知を改善するために、上記実施例7の製剤を1日当たり3回投与した。
【0079】
[実施例11]
不安障害の患者に対して、患者の不安を緩和するために、上記実施例7の製剤を1日当たり2から3回投与した。
【0080】
これまでいくつかの好ましい実施態様を参照しながら本発明を詳細に説明してきたが、頭書の請求項に記述され、定義される本発明の範囲や精神内においても数々の変型および修正が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1a-bは、不安の種子探索モデルにおける用量-反応実験における、△3-セファゾリン-1-スルフォキシド(図1a)、および△-セファゾリン-1-スルフォキシド(図1b)を用いた場合の結果を示す。
【図2】図2a-bは、高架式十字迷路における、△-セファゾリン-1-スルフォキシドを用いた場合の結果を示す。図2aは、閉鎖アームに進入するまでの潜時を示し、図2bは、開放アームで過ごす時間を示す。
【図3】図3a-dは、△-セファゾリン-1-スルフォキシドを用い居住者/侵入者モデルシステムで鎮静活性を試験した結果を示す。図3aは噛み付き潜時、図3bは取っ組み合い時間、図3cは噛み付き度数、および図3dは横腹マークの度数を示す。
【図4】図4a-bは、図3a-dにまとめた居住者/侵入者試験後における運動活性を示す。図4aは開放野活性を示し、図4bは性的モティベーションを示す。
【図5】図5は、放射状迷路システムにおける学習・記憶を裏付けるエラーの数を示す。
【図6】図6a-cは、電気化学的検出法で評価した場合の、△-セファゾリン-1-スルフォキシド投薬後における、ドーパミン代謝産物DOPAC(図6a)とHVA(図6b)、とセロトニン代謝産物(図6c)の濃度を示す。濃度は全てpg/15 μlで表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口剤形による神経治療製薬製剤であって、
神経学的疾患の症状を治療および緩和するのに有効な量の神経治療化合物であって、セファロスポリンスルフォキシド、セファロスポリンスルフォン、その製薬学的に受容可能な塩、および、活性を有するそのエステルから成る群から選ばれる神経治療化合物、および、
その製薬学的に受容可能な担体、
を含む神経治療製薬製剤。
【請求項2】
前記化合物は、2-セフェムスルフォキシドであることを特徴とする、請求項1の神経治療製薬製剤。
【請求項3】
前記化合物は、3-セフェムスルフォキシドであることを特徴とする、請求項1の神経治療製薬製剤。
【請求項4】
前記化合物は、2-セフェムスルフォンであることを特徴とする、請求項1の神経治療製薬製剤。
【請求項5】
前記化合物は、3-セフェムスルフォンであることを特徴とする、請求項1の神経治療製薬製剤。
【請求項6】
前記化合物は、△2-セファゾリンスルフォキシド、△3-セファゾリンスルフォキシド、△2-セファゾリンスルフォキシドと△3-セファゾリンスルフォキシドの混合物から成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項1の神経治療製薬製剤。
【請求項7】
下式

の化合物であって、
式中、nは1または2であり、
式中、結合aまたは結合bのいずれかは二重結合であり、
Rは、水素、活性を持つエステル形成基、または、製薬学的に受容可能な陽イオンであることを特徴とする、化合物。
【請求項8】
結合aは二重結合であり、結合bは一重結合であることを特徴とする、請求項7の化合物。
【請求項9】
下式

の化合物であって、
式中、nは1または2であり、
式中、結合aまたは結合bのいずれかは二重結合であり、
Rは、水素、活性を持つエステル形成基、または、製薬学的に受容可能な陽イオンである化合物、および、
製薬学的に受容可能な担体、希釈剤、または賦形剤、
を含む製剤
【請求項10】
経口剤形として提供されることを特徴とする、請求項9の製剤。
【請求項11】
前記経口剤形は、錠剤、カプセル、カプレット、分散性散剤、顆粒剤、薬用ドロップ、粘膜パッチ、および小包から成る群から選ばれる単位剤形であることを特徴とする、請求項10の製剤。
【請求項12】
P-糖タンパク阻害剤をさらに含むことを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の製剤。
【請求項13】
経口剤形の神経治療製薬製剤であって、
行動障害または認識障害の症状を治療し、緩和するのに有効な量の神経治療化合物であって、ペニシリンスルフォキシド、ペニシリンスルフォン、セファロスポリンスルフォキシド、セファロスポリンスルフォン、および、製薬学的に受容可能なそれらの塩から成る群から選ばれる化合物、および、
その製薬学的に受容可能な担体
を含む、神経治療製薬製剤。
【請求項14】
前記経口剤形は、錠剤、カプセル、カプレット、分散性散剤、顆粒剤、薬用ドロップ、粘膜パッチ、および小包から成る群から選ばれる単位剤形であることを特徴とする、請求項13の神経治療製薬製剤。
【請求項15】
前記神経治療製薬化合物は、下式のセファロスポリンスルフォキシドまたはセファロスポリンスルフォンであり、すなわち、

式中、nは1または2であり、
Rは、水素、活性を持つエステル形成基、または製薬学的に受容可能な陽イオンであり、
R1は、水素、アルキル、アルコキシ、またはアルキルチオであり、
アシルは、R2-C(O)であり、ここで、R2は、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアリール、任意に置換されるアリールアルキル、任意に置換されるヘテロアリール、または任意に置換されるヘテロアリールアルキルであり、および、
Xは、水素、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシアルキル、ハロアルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アルキルチオ、任意に置換されるアリールチオ、任意に置換されるヘテロアリールチオ、任意に置換されるアルキルカルボニルオキシ、任意に置換されるアリールカルボニルオキシ、任意に置換されるヘテロアリールカルボニルオキシであり、あるいは、Xは、-CH2Bであり、ここでBは、求核剤B-Hの残基である
ことを特徴とする、請求項13の神経治療製薬製剤。
【請求項16】
行動障害または認知障害の治療方法であって、
請求項1〜6および請求項9〜15のいずれかに記載の神経治療製薬製剤の有効用量を経口投与する工程を含む方法。
【請求項17】
行動障害または認知障害の治療方法であって、
行動障害または認知障害の症状を治療し、緩和するのに有効な量の神経治療化合物、および、その製薬学的に受容可能な担体を含む神経治療製薬製剤の有効用量を経口投与する工程を含み、
前記化合物は、△2-セファゾリンスルフォキシド、△3-セファゾリンスルフォキシド、△2-セファゾリンスルフォキシドと△3-セファゾリンスルフォキシドの混合物、および、それらの製薬学的に受容可能な塩、から成る群から選ばれることを特徴とする方法。
【請求項18】
行動障害または認知障害の治療方法であって、
行動障害または認知障害の症状を治療し、緩和するのに有効な量の神経治療化合物、および、その製薬学的に受容可能な担体を含む神経治療製薬製剤の有効用量を経口投与する工程を含み、
前記化合物は、△2-セファゾリンスルフォキシド、△3-セファゾリンスルフォキシド、および、△2-セファゾリンスルフォキシドと△3-セファゾリンスルフォキシドの混合物、および、製薬学的に受容可能なその塩から成る群から選ばれ、
前記有効用量は、体重Kg当たり約1.2 ngから約30 mgの範囲にあることを特徴とする方法。
【請求項19】
単位剤形の神経治療製薬製剤であって、
約4μgから約100 mgの量の神経治療化合物、および、その製薬学的に受容可能な担体を含み
前記化合物は、△2-セファゾリンスルフォキシド、△3-セファゾリンスルフォキシド、△2-セファゾリンスルフォキシドと△3-セファゾリンスルフォキシドの混合物、および、それらの製薬学的に受容可能な塩から成る群から選ばれることを特徴とする製剤。
【請求項20】
行動障害または認知障害の治療方法であって、
請求項19の神経治療製薬製剤の有効用量を投与する工程を含み、前記有効用量は、体重Kg当たり約100 ngから約1 mgの範囲にあることを特徴とする方法。
【請求項21】
行動障害または認知障害の治療方法であって、
請求項19の神経治療製薬製剤の有効用量を投与する工程を含み、前記有効用量は、体重Kg当たり最大約30 mgであることを特徴とする方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−503447(P2007−503447A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524794(P2006−524794)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/027451
【国際公開番号】WO2005/020904
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(506065150)リヴァアックス ファーマスーティカルズ,エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】