説明

神経障害および神経精神疾患を処置するためのグリシントランスポータ1(GLYT−1)阻害物質としての、スルファニル置換フェニルメタノン

本発明は、一般式(I)(式中、Rは、低級アルキルまたはハロゲンにより置換された低級アルキルであり;Rは、−S(O)−低級アルキル、−S(O)NH−低級アルキル、NOまたはCNであり;Rは、ハロゲン、CN、低級アルキル、ハロゲンにより置換された低級アルキル、NO、−C(O)−低級アルキルまたはS(O)−低級アルキルであり;X/Xは、互いに独立して、CRまたはNであり;Rは、水素またはハロゲンであり;nは、0、1または2である)で示される化合物および薬学的に許容され得るその酸付加塩に関する。一般式(I)で示される化合物は、精神分裂病を処置するための、グリシントランスポータ1(GlyT−1)の良好な阻害物質である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式I:
【0002】
【化11】

【0003】
(式中、
は、低級アルキルまたはハロゲンにより置換された低級アルキルであり;
は、−S(O)−低級アルキル、−S(O)NH−低級アルキル、NOまたはCNであり;
は、ハロゲン、CN、低級アルキル、ハロゲンにより置換された低級アルキル、NO、−C(O)−低級アルキルまたはS(O)−低級アルキルであり;
X/Xは、互いに独立して、CRまたはNであり;
は、水素またはハロゲンであり;
nは、0、1または2である)
で示される化合物および薬学的に許容され得るその酸付加塩に関する。
【0004】
本発明は、一般式Iで示される化合物、それを含む医薬組成物、ならびに神経障害および神経精神障害の処置におけるそれの使用に関する。意外にも、一般式Iで示される化合物が、グリシントランスポータ 1(GlyT−1)の良好な阻害物質であり、それがグリシントランスポータ 2(GlyT−2)阻害物質への良好な選択性を有することが見出された。
【0005】
精神分裂病は、偶発的陽性症状(例えば、妄想、幻覚、思考障害および精神病)および持続的陰性症状(例えば、感情鈍麻(flattened affect)、注意障害、社会的引きこもりおよび認知障害)を特徴とする進行性で挫折的な神経疾患である(Lewis DA and Lieberman JA, Neuron, 28:325-33, 2000)。この数十年間、研究は、「ドーパミン機能亢進」という仮説に焦点が当てられ、それがドーパミン作動系の遮断に関係する治療的介入に導いた(Vandenberg RJ and Aubrey KR., Exp. Opin. Ther. Targets, 5(4): 507-518, 2001; Nakazato A and Okuyama S, et al., Exp. Opin. Ther. Patents, 10(1): 75-98, 2000)。この薬理学的アプローチは、機能的結果の最良の予測因子である陰性症状および認知症状にほとんど取り組んでいない(Sharma T., Br. J. Psychiatry, 174(suppl. 28):44-51, 1999)。
【0006】
非競争性NMDA受容体アンタゴニストである、フェンシクリジン(PCP)および関連薬(ケタミン)のような化合物によりグルタミン酸系を封鎖することで誘引される精神異常作用に基づいて、精神分裂病の補足モデルが、1960年中期に提案された。興味深いことに、健常な志願者において、PCP誘導性精神異常作用は、陽性および陰性症状に加え、認知機能不全を合併するため、患者の精神分裂病に非常に類似する(Javitt DC et al. , Biol. Psychiatry, 45: 668-679, 1999)。その上、減少するNMDAR1サブユニットを発現するトランスジェニックマウスは、薬理学的に誘導された精神分裂病モデルにおいて観察されるものと同様の挙動異常を示し、減少するNMDA受容体活性が精神分裂病様の挙動をもたらすモデルを支持している(Mohn AR et al., Cell,98: 427-236, 1999)。
【0007】
グルタミン酸神経伝達、詳細には、NMDA受容体活性は、シナプス可塑性、学習および記憶において重大な役割を演じ、前記のNMDA受容体は、シナプス可塑性および記憶形成の閾値をゲートする(gating)ための段階的スイッチとして作用すると思われる(Wiley, NY; Bliss TV and Collingridge GL, Nature, 361: 31-39, 1993)。NMDA NR2Bサブユニットを過剰発現するトランスジェニックマウスは、高いシナプス可塑性および学習および記憶の優れた能力を示す(Tang JP et al.,Nature: 401, 63-69, 1999)。
【0008】
こうして、グルタミン酸の欠如が精神分裂病の病理生理学に関係する場合、特に、NMDA受容体活性化を通したグルタミン酸伝達の向上が、抗精神亢進(enhancing)作用および認知亢進作用の両方をもたらすと予測される。
【0009】
アミノ酸グリシンは、CNS内で少なくとも2つの重要な機能を有することが知られている。それは、阻害的アミノ酸として作用し、ストリキニン感受性グリシン受容体に結合し、興奮活性にも影響を与えて、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体機能についてグルタミン酸と共に必須のコアゴニストとして作用する。グルタミン酸はシナプス末端から活性依存的な手法(manner)で放出されるが、グリシンは見かけ上、一定のレベルで存在し、グルタミン酸への応答のための受容体を調節/制御すると思われる。
【0010】
神経伝達物質のシナプス濃度を制御するのに最も効果的な方法の一つが、シナプスでの再取込みに影響を与えることである。神経伝達物質トランスポータは、細胞外空間から神経伝達物質を除去することにより作用して、細胞外寿命を制御し、それによりシナプス伝達の大きさを調節することができる(Gainetdinov RR et al, Trends in Pharm. Sci., 23(8): 367-373, 2002)。
【0011】
グリシントランスポータは、神経伝達物質トランスポータのナトリウムおよび塩化物類の一部を形成し、シナプス前の神経末端へのグリシンの再取込みおよび周辺の細密なグリア過程(glial processes)により、シナプス後にグリシン性作用を終結させ、そして細胞外グリシンを低濃度に保持することにおいて重要な役割を果たす。
【0012】
2つの区別されるグリシントランスポータ遺伝子が、ほ乳類脳からクローン化されたが(GlyT−1およびGlyT−2)、それらは、約50%のアミノ酸配列相同性をもつ、2種のトランスポータを生成する。GlyT−1には、二者択一のスプライシングおよび二者択一のプロモータ利用から生じる、4種のイソフォームが存在する(1a、1b、1cおよび1d)。これらのイソフォームのうちの2種だけは、げっ歯類脳内に見出された(GlyT−1aおよびGlyT−1b)。GlyT−2にも、ある程度の異質性が存在する。2種のGlyT−2イソフォーム(2aおよび2b)は、げっ歯類の脳で同定された。GlyT−1はCNSおよび周辺組織内に存在することが知られているが、GlyT−2はCNSに特異的である。GlyT−1は、主にグリア分布を有し、ストリキニン感受性グリシン受容体に対応する領域内だけでなく、これらの領域の外側にも見出され、そこでは、NMDA受容体機能の調節に関わると仮定されている(Lopez-Corcuera B et al., Mol. Mem. Biol., 18:13-20, 2001)。こうして、NMDA受容体活性を高める一つの方策が、GlyT−1トランスポータの阻害により、シナプスNMDA受容体の局所的微小環境において、グリシン濃度を上昇させることである(Bergereon R. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95: 15730-15734, 1998; Chen L et al., J. Neurophysiol., 89(2): 691-703, 2003)。
【0013】
グリシントランスポータ阻害物質は、神経障害および神経精神障害の処置に適している。関与する疾患状態の大部分が、精神病、精神分裂病(Armer RE and Miller DJ, Exp. Opin. Ther. Patents, 11(4): 563-572, 2001)、精神病的気分障害(例えば、重篤な大うつ病)、精神障害に関わる気分障害(例えば、双極性障害に関わる急性躁病またはうつ病)、精神分裂病に関わる気分障害(Pralong ET et al., Prog. Neurobiol. 67:173-202, 2002)、自閉性障害(Carlsson ML, J. Neural Trans. 105:525-535, 1998)、痴呆症などの認知障害(年齢に関わる痴呆およびアルツハイマー型の老人性痴呆を含む)、ヒトを含むほ乳類の記憶障害、注意欠陥障害および疼痛(Armer RE and Miller DJ, Exp. Opin. Ther. Patents, 11(4): 563-572, 2001)である。
【0014】
こうして、GlyT−1阻害によりNMDA受容体の活性を上昇させることで、精神病、精神分裂病、痴呆症および認知過程が損傷された他の疾患(例えば、注意欠陥障害またはアルツハイマー病)を処置する薬物を得ることができる。
【0015】
本発明の目的は、式Iで示される化合物そのもの、GlyT−1阻害によりNMDA受容体の活性化に関係する疾患を処置する医薬を製造するための、式Iで示される化合物およびその薬学的に許容され得る塩の使用、それらの製造、本発明の化合物に基づく医薬およびその製造であり、それに加えて、精神病、記憶および学習における機能不全、精神分裂病、痴呆および認知過程が損傷された他の疾患(例えば、注意欠陥障害またはアルツハイマー病)のような病気の制御または予防における式Iで示される化合物の使用である。
【0016】
本発明の目的は、以下のとおりの式I:
【0017】
【化12】

【0018】
(式中、
は、低級アルキルまたはハロゲンにより置換された低級アルキルであり;
は、−S(O)−低級アルキル、−S(O)NH−低級アルキル、NOまたはCNであり;
は、ハロゲン、CN、低級アルキル、ハロゲンにより置換された低級アルキル、NO、−C(O)−低級アルキル、またはS(O)−低級アルキルであり;
は、水素またはハロゲンであり;
nは、0、1または2である)
で示される更なる構造および薬学的に許容され得るその酸付加塩である。
【0019】
本発明の化合物を用いるのに好ましい適応症は、精神分裂病、認知障害およびアルツハイマー病である。
【0020】
更に、本発明は、ラセミ混合物の全て、対応する鏡像異性体の全ておよび/または光学異性体の全てを包含する。
【0021】
本明細書で用いられる用語「アルキル」は、炭素原子を1〜6個含む飽和直鎖または分枝鎖基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、2−ブチル、t−ブチルなどを示す。好ましいアルキル基は、炭素原子が1〜4個の基である。
【0022】
用語「ハロゲンにより置換されたアルキル」は、例えば以下の基:
CF、CHF、CHF、CHCF、CHCHF、CHCHF、CHCHCF、CHCHCHCF、CHCHCl、CHCFCF、CHCFCHF、CFCHFCF、C(CHCF、CH(CH)CFまたはCH(CHF)CHFを示す。好ましいのは、CHCFまたはCFである。
【0023】
用語「薬学的に許容され得る酸付加塩」は、無機酸および有機酸(例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸など)との塩を包含する。
【0024】
本願の好ましい化合物は、Rが低級アルキルである、式Iで示される化合物である。そのような化合物は、
[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]−(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニルフェニル)メタノン、
[4−(2−フルオロ−4−メタンスルホニルフェニル)ピペラジン−1−イル]−(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニルフェニル)メタノン、
(2−エチルスルファニル−5−メタンスルホニルフェニル)−[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]メタノン、
[4−(2−フルオロ−4−メタンスルホニルフェニル)ピペラジン−1−イル]−(2−イソブチルスルファニル−5−メタンスルホニルフェニル)メタノン、
1−{3−フルオロ−4−[4−(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニルベンゾイル)ピペラジン−1−イル]フェニル}エタノン、
[4−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−イル]−(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニルフェニル)メタノン、
4−イソプロピルスルファニル−N−メチル−3−[4−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−カルボニル]ベンゼンスルホンアミドまたは
(2−イソプロピルスルファニル−5−ニトロフェニル)−[4−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−イル]メタノン
である。
【0025】
本願の好ましい化合物は、Rがハロゲンにより置換された低級アルキルである、式Iで示される更なる化合物である。そのような化合物は、
[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]−[5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロエチルスルファニル)フェニル]メタノンまたは
[4−(2−フルオロ−4−メタンスルホニルフェニル)ピペラジン−1−イル]−[5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロエチルスルファニル)フェニル]メタノン
である。
【0026】
式Iで示される本発明の化合物およびその薬学的に許容され得る塩は、当該技術分野で知られている方法、例えば、下記の方法、つまり
a)活性化剤(例えば、TBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート)の存在下で、式II:
【0027】
【化13】

【0028】
で示される化合物を式III:
【0029】
【化14】

【0030】
で示される化合物と反応させて、式I:
【0031】
【化15】

【0032】
(式中、置換基:R、R、R、n、XおよびXは、先に定義したとおりである)で示される化合物にするか、または
b)場合により、触媒(例えば、Cu(I)IまたはCu(I)Br)および塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸セシウムまたはナトリウム)の存在下で、式IV:
【0033】
【化16】

【0034】
で示される化合物を式:
【0035】
【化17】

【0036】
で示される化合物と反応させて、式I:
【0037】
【化18】

【0038】
(式中、halは、ハロゲンであり、他の置換基:R、R、R、n、XおよびXは、先に定義したとおりである)で示される化合物にし、
所望なら、得られた化合物を薬学的に許容され得る酸付加塩に変換すること、
を含む方法により製造することができる。
【0039】
式Iで示される化合物は、変法a)またはb)により、そして以下のスキーム1および2により製造してもよい。出発原料は、市販されているか、または化学文献で公知であるか、または当該技術分野で周知である方法により製造してもよい。
【0040】
【化19】

【0041】
一般式Iで示される化合物は、TBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート)などの活性化剤の存在下で、式IIで示されるピペラジン誘導体を式IIIで示される対応する酸と反応させることにより製造することができる。式IIIで示される酸は、場合により、触媒(例えば、Cu(I)IまたはCu(I)Br)および塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸セシウムまたはナトリウム)の存在下で、式Vで示される酸を式:RSHで示されるチオールと反応させることにより製造することができる。式IIで示されるピペラジン誘導体は、場合により、有機パラジウム触媒の存在下で、式VIIで示されるピペラジンを式VIで示される類似のハロゲン化合物と共に加熱することにより製造することができる。あるいは、式IIで示されるピペラジン誘導体は、場合により、有機パラジウム触媒の存在下で、N−保護したピペラジンを式VIで示される類似のハロゲン化合物と共に加熱し、その後、保護基を開裂することによっても、製造することができる。保護基は、通常、tert−ブトキシカルボニル(Boc)である。
【0042】
【化20】

【0043】
あるいは、一般式Iで示される化合物は、場合により、触媒(例えば、Cu(I)IまたはCu(I)Br)および塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸セシウムまたはナトリウムなど)の存在下で、式IVで示されるアシルピペラジンと式:RSHで示されるチオールを反応させることにより製造することができる。式IVで示されるアシルピペラジン誘導体は、TBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート)などの活性化剤の存在下で、式Vで示される酸を式IIで示されるピペラジン誘導体と反応させることにより製造することができる。
【0044】
化合物の単離および精製
所望なら、本明細書に記載した化合物および中間体の単離および精製は、適切な分離または精製手順、例えばろ過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、厚層クロマトグラフィー(thick layer chromatography)、分取低圧もしくは高圧液体クロマトグラフィー、またはこれらの手順の組合せなどにより実行され得る。適切な分離および単離手順の具体的な例示は、本明細書の以下の製造例および実施例を参照して行われ得る。しかし、他の同等な分離または単離手順を、もちろん、用いることもできる。式Iで示されるキラル化合物のラセミ混合物は、分取キラルHPLCを利用して分離することができる。
【0045】
式Iで示される化合物の塩
式Iで示される化合物は、塩基であってもよく、例えば、その場合、該化合物は、塩基性基、例えば、脂肪族または芳香族アミン部分を含む。そのような場合、式Iで示される化合物は、対応する酸付加塩に変換されてもよい。
【0046】
変換は、少なくとも、化学量論の適切な酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、および有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸など)で処理することにより実行される。代表的には、遊離塩基は、不活性有機溶媒(例えば、ジエチルエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、エタノールまたはメタノールなど)に溶解され、酸は、同様の溶媒に添加される。温度は、0〜50℃を保持される。得られる塩は、自然に沈殿するか、またはより極性の低い溶媒で溶液から生じされてもよい。
【0047】
式Iで示される塩基性化合物の酸付加塩は、少なくとも、化学量論の適切な塩基(例えば、水酸化ナトリウムまたはカリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニアなど)で処理することにより、対応する遊離塩基に変換されてもよい。
【0048】
式Iで示される化合物および薬学的に使用され得るその付加塩は、価値有る薬理学的性質を有している。具体的には、本発明の化合物は、グリシントランスポータI(GlyT−1)の適切な阻害物質であることが見出された。
【0049】
該化合物は、本明細書の後に示すテストにより研究された。
【0050】
溶液および材料
DMEM完全培地:栄養混合物F−12(Gibco Life-Technologies)、牛胎児血清(FBS)5%(Gibco Life-Technologies)、ペニシリン/ストレプトマイシン1%(Gibco Life-Technologies)、ハイグロマイシン0.6mg/ml(Gibco Life-Technologies)、グルタミン1mM(Gibco Life-Technologies)
【0051】
取込み緩衝液(UB):150mM NaCl、10mM Hepes−Tris、pH7.4、1mM CaCl2、2.5mM KCl、2.5mM MgSO4、10mM(+)D−グルコース
mGlyT1b cDNAで安定的にトランスフェクトされたFlp-in(商標)-CHO(Invitrogen Cat No.R758-07)細胞。
【0052】
グリシン取込み阻害アッセイ(mGlyT−1b)
1日目に、mGlyT−1b cDNAでトランスフェクトされたほ乳類細胞(Flp-in(商標)-CHO)を、96穴培養プレート中で、ハイグロマイシンを含まない完全F−12培地に、密度40,000細胞/ウェルで播種した。2日目に、培地を吸引して、細胞を取込み緩衝液(UB)で2回洗浄した。その後、細胞を、(i)潜在的拮抗物質を含まずに、または(ii)10mM 非放射性グリシンと共に、または(iii)ある濃度の潜在的阻害物質と共に、22℃で20分間インキュベートした。ある濃度範囲の潜在的阻害物質を用いて、データを作成して、50%効果をもたらす阻害物質濃度(例えば、IC50:50%のグリシン取込みを阻害する競争物質の濃度)を計算した。その後、[3H]−グリシン60nM(11〜16Ci/mmol)および非放射性グリシン25μMを含む溶液を直ちに添加した。プレートを緩やかに振とうしながらインキュベートし、混合物を吸引して、氷冷したUBで洗浄(3回)することにより、反応を停止させた。細胞をシンチレーション液で溶解して、3時間振とうし、細胞中の放射能をシンチレーションカウンタを用いて計数した。
【0053】
製造した化合物は、GlyT−1で良好なIC50(μM)を示した。好ましい化合物は、以下の表に示すとおり、GlyT−1で0.006〜0.1の範囲内のIC50(μM)を示す。
【0054】
【表1】

【0055】
式Iで示される化合物および式Iで示される化合物の薬学的に許容され得る塩は、医薬として、例えば、医薬製剤の形態で用いることができる。該医薬製剤は、例えば、錠剤、コート錠、糖剤、ハードおよびソフトゼラチンカプセル、溶液、乳濁液または懸濁液の形態で、経口投与することができる。しかし、投与は、経直腸的に(例えば、坐剤の形態で)または非経口的に(例えば、注射溶液の形態で)行われ得る。
【0056】
式Iで示される化合物を、医薬製剤の製造用の薬学的に不活性の無機または有機担体と共に加工してもよい。ラクトース、コーンスターチまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその誘導体などを、例えば、錠剤、コート錠、糖剤およびハードゼラチンカプセル用の担体として用いることができる。ソフトゼラチンカプセル用の適切な担体は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固形および液体ポリマーなどである。しかし、活性物質の性質によるが、ソフトゼラチンカプセルの場合には、通常、担体は必要ない。溶液およびシロップの製造用の適切な担体は、例えば、水、ポリオール、グリセリン、植物油などである。坐剤用の適切な担体は、例えば、天然油、硬化油、ワックス、脂肪、半液体ポリオールまたは液体ポリオールなどである。
【0057】
その上、該医薬製剤は、防腐剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香料、浸透圧を変動させる塩、緩衝液、マスキング剤または抗酸化剤を含んでいてもよい。それは、他の治療的に価値有る物質を含んでいてもよい。
【0058】
式Iで示される化合物または薬学的に許容され得るその塩、および治療的に不活性の担体を含む医薬も、それらの製造方法と同様に、本発明の目的であり、該製造方法は、式Iで示される化合物1種以上および/または薬学的に許容され得る酸付加塩1種以上、ならびに所望なら他の治療的に価値有る物質1種以上を、治療的に不活性の担体1種以上と共にガレン薬投与形態にすること、を含む。
【0059】
本発明の最も好ましい適応症は、中枢神経系の障害を含むもの、例えば、精神分裂病、認知障害およびアルツハイマー病の処置または予防である。
【0060】
投与は、広い限界内で変動してもよいが、もちろん、個々の症例の各要件に適合させなければならない。経口投与の場合、成人への投与量は、一般式Iで示される化合物または薬学的に許容され得るその塩が対応する量の、1日あたり約0.01mg〜約1000mgで変動してもよい。1日用量は、単回用量または分割用量で投与されてもよく、加えて、適切であることが見出された場合には、その上限を超えていてもよい。
【0061】
錠剤の処方(湿式顆粒化)
項目 成分 mg/錠剤
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式Iの化合物 5 25 100 500
2.無水乳糖DTG 125 105 30 150
3.Sta-Rx 1500 6 6 6 30
4.微晶質セルロース 30 30 30 150
5.ステアリン酸マグネシウム 1 1 1 1
合計 167 167 167 831
【0062】
製造手順
1.品目1、2、3及び4を混合し、精製水と共に造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥する。
3.顆粒を適切な微粉砕装置に通す。
4.品目5を加え、3分間混合し、適切な成形機で圧縮する。
【0063】
カプセルの処方
項目 成分 mg/カプセル
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式Iの化合物 5 25 100 500
2.含水乳糖 159 123 148 ---
3.トウモロコシデンプン 25 35 40 70
4.タルク 10 15 10 25
5.ステアリン酸マグネシウム 1 2 2 5
合計 200 200 300 600
【0064】
製造手順
1.品目1、2及び3を適切なミキサーで30分間混合する。
2.品目4及び5を加え、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0065】
下記の実施例は本発明を説明するが、本発明の範囲を制限するものではない。次の略語が実施例で使用された。
n−Boc−ピペラジン:tert−ブチル1−ピペラジンカルボキシラート、
Oxone(登録商標):(ペルオキシ一硫酸カリウム)2KHSO・KHSO・KSO
TBTU:2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート
【0066】
式IIの中間体の合成
【0067】
実施例A1
1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン
(a)4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0068】
【化21】

【0069】
アセトニトリル300ml中のN−Boc−ピペラジン120mmol及び炭酸カリウム229mmolの混合物に、アセトニトリル15ml中の2,3−ジフルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン(EP0104715)115mmolの溶液をゆっくりと加えた。反応混合物を2時間還流した。その後、混合物を濾過し、濾液を真空下で濃縮した。得られた白色の固体を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して、標記化合物を白色の固体(収率94%)として得た。MS(m/e):294.2(M−C、100%)
【0070】
(b)1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン
【0071】
【化22】

【0072】
ジクロロメタン376ml中の4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル107.3mmolの溶液に、トリフルオロ酢酸41mlを加え、反応混合物を16時間還流した。その後、反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を水に溶解した。水相を5N NaOHで塩基性化し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた抽出液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して、標記化合物を淡黄色の固体(収率99%)として得た。MS(m/e):250.2(MH、100%)
【0073】
実施例A2
2−ピペラジン−1−イル−5−トリフルオロメチル−ピリミジン
a)2−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−ピリミジン
【0074】

【化23】

【0075】
アセトニトリル10ml中の(3−ジメチルアミノ−2−トリフルオロメチル−アリリデン)−ジメチル−塩化アンモニウム(Tetrahedron.Lett.1996,37,1829のように調製)2.60mmolの溶液に、4−ベンジル−ピペラジン−1−カルボキサミジン塩酸塩(Tetrahedron.Lett.2002,43,7105のように調製)3.03mmol及びトリエチルアミン6.25mmolを加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した。その後、反応混合物を真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を淡黄色の固体(0.79g)として得た。MS(m/e):323.4(M+H)。
【0076】
b)2−ピペラジン−1−イル−5−トリフルオロメチル−ピリミジン
【0077】
【化24】

【0078】
メタノ−ル中の2−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−ピリミジン(0.63g)の溶液に、パラジウム−担持炭(5%w/w)を加え、水素雰囲気下で、反応混合物を60℃で加熱した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、触媒を濾別し、溶媒を真空下で除去して、標記化合物を白色の固体(0.41g)として得た。MS(m/e):233.1(M+H)。
【0079】
実施例A3
1−(3−フルオロ−4−ピペラジン−1−イル−フェニル)−エタノン
【0080】
【化25】

【0081】
本化合物(CS:189763-57-3)を、WO9714690に従って調製した。MS(m/e):223.2(M+H)。
【0082】
実施例A4
1−(2−クロロ−4−ニトロ−フェニル)−ピペラジン
【0083】
【化26】

【0084】
DMF11ml中のピペラジン43.4mmolの混合物に、DMF15ml中の1,2−ジクロロ−4−ニトロベンゼン8.6mmolの溶液をゆっくりと加えた。反応混合物を100℃で2.5時間加熱した。その後、混合物を濾過し、濾液を真空下で濃縮した。残渣をジクロロメタン(25ml)で希釈し、NaHCOの飽和水溶液で洗浄した。次に、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。次に、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO、CHCl−MeOH 0−10%)により精製して、標記化合物を黄色の固体(766mg、収率37%)として得た。MS(m/e):242.3(M+H、100%)。
【0085】
実施例A5
1−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン
【0086】
【化27】

【0087】
DMA12ml及び水30ml中の6−クロロ−3−メチルピリジン23mmolの溶液に、ピペラジン115mmolを加えた。反応混合物を4日間還流した。その後、2N 炭酸ナトリウム水溶液を加え、反応混合物をジクロロメタンで抽出し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲル(ジクロロメタン/MeOH 1/1)上で精製して、標記化合物を白色の固体(17%収率)として得た。MS(m/e):178(M+H、100%)
【0088】
式Iの化合物の合成
【0089】
実施例1
4−[4−(5−メタンスルホニル−2−メチルスルファニル−ベンゾイル)−ピペラジン−1−イル]−ベンゾニトリル
a)2−ヨ−ド−5−メタンスルホニル−安息香酸
【0090】
【化28】

【0091】
硫酸1.7ml及び水1.7mlの混合物中の2−アミノ−5−メタンスルホニル−安息香酸(WO2003091245)3.0mmolの懸濁液に、温度が3℃を超えない速度で、水1.7ml中の亜硝酸ナトリウム3.92mmolの溶液を滴下した。混合物を0℃で1時間撹拌した。水1.7ml中のヨウ化カリウム3.0mmolの溶液を0℃で滴下した。褐色の懸濁液を室温まで温め、30分間撹拌した。亜硫酸水素ナトリウム溶液を数滴加えて、過剰ヨウ素を分解した。固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥して(HV、50℃、1時間)、標記化合物を得た。MS(m/e):325.0([M−H]、100%)
【0092】
b)4−[4−(2−ヨ−ド−5−メタンスルホニル−ベンゾイル)−ピペラジン−1−イル]−ベンゾニトリル
【0093】
【化29】

【0094】
ジメチルホルムアミド20ml中の2−ヨ−ド−5−メタンスルホニル−安息香酸6.1mmolの溶液に、TBTU6.75mmol、N−エチルジイソプロピルアミン43mmol及び4−ピペラジン−1−イル−ベンゾニトリル6.75mmol(例えば、Flukaから市販)を連続して加えた。反応混合物を20℃で1.5時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。水200mlを加え、続いて濾過して、粗生成物を得て、それをメタノ−ルから再結晶化して、標記化合物を白色の固体として得た(収率87%)。MS(m/e):495.9(M+H、100%)。
【0095】
c)4−[4−(5−メタンスルホニル−2−メチルスルファニル−ベンゾイル)−ピペラジン−1−イル]−ベンゾニトリル
【0096】
【化30】

【0097】
ジメチルホルムアミド2ml中の4−[4−(2−ヨ−ド−5−メタンスルホニル−ベンゾイル)−ピペラジン−1−イル]−ベンゾニトリル0.2mmolの溶液をナトリウム メタンチオラート0.2mmolで処理し、50℃で2時間、80℃で2時間、及び140℃で1時間保持した。次に、反応混合物を濃縮し、生成物をクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノ−ル)により精製して、標記化合物を無色の泡状物として得た。MS(m/e):474.2([M+CHCOO、100%)。
【0098】
実施例2
(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
a)(2−ヨ−ド−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0099】
【化31】

【0100】
実施例1b)と同様にして、1−(4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン(例えば、Peakdaleから市販)及び2−ヨ−ド−5−メタンスルホニル−安息香酸(実施例1a)から調製した。白色の固体。MS(m/e):566.2(M+NH、100%)。
【0101】
b)(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0102】
【化32】

【0103】
ジメチルホルムアミド10ml中の(2−ヨ−ド−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン0.9mmolの溶液を、2−プロパンチオール1.2mmol、炭酸カリウム1.6mmol、銅粉末0.1mmol及びヨウ化銅(I)1mgで処理し、4時間還流した。濃縮し、続いて水100mlにより希釈して、暗色の固体を得て、それをクロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製して、標記化合物を無色の泡状物として得た。MS(m/e):555.2([M+CHCOO、100%)。
【0104】
実施例3
[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−メタノン
a)2−フルオロ−5−メチルスルファニル−安息香酸
【0105】
【化33】

【0106】
標記化合物を、Journal of Organometallic Chemistry 1991, 419(1-2), 1-8に記載の下記の手順により調製した。
【0107】
b)2−フルオロ−5−メタンスルホニル−安息香酸
【0108】
【化34】

【0109】
メタノ−ル5ml中の2−フルオロ−5−メタンスルファニル−安息香酸2.68mmolに、0℃で、Oxone(登録商標)8.05mmolを加え、混合物を室温で72時間撹拌した。沈殿物を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を水で処理し、ジクロロメタン400mlで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発して、標記化合物を白色の結晶質固体として得た(収率79%)。MS(m/e):217.2(M−H、100%)。
【0110】
c)2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸
【0111】
【化35】

【0112】
N,N−ジメチルアセトアミド6ml中の2−フルオロ−5−メタンスルホニル−安息香酸4.58mmolの溶液に、炭酸セシウム15.2mol及び2−プロパンチオール10.1mmolを加え、混合物を90℃で3時間撹拌した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、塩酸を加えてpH1に酸性化し、その後酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して、標記化合物を淡黄色の液体として得て、それを更に精製しないで次の工程で使用した(収率99%)。EI−MS(m/e):274.1(M、35%)、232.1([M−C、30%、214.1(M−C−HO)、100%)。
【0113】
d)[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−メタノン
【0114】
【化36】

【0115】
テトラヒドロフラン5ml中の2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸0.51mmolの溶液に、TBTU0.38mmol、N−エチルジイソプロピルアミン1.02mmol及び1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン(実施例A1)0.30mmolを連続して加えた。反応混合物を45℃で16時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)に付して、標記化合物を淡黄色のガム状物として得た(収率56%)。MS(m/e):506.1(M+H、100%)。
【0116】
実施例4
(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0117】
【化37】

【0118】
実施例3(d)と同様にして、2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸及び2−ピペラジン−1−イル−5−トリフルオロメチル−ピリミジン(実施例A2)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物を褐色の固体として得た(収率55%)。MS(m/e):489.0(M+H、100%)。
【0119】
実施例5
(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0120】
【化38】

【0121】
実施例3(d)と同様にして、2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸及び1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン(例えば、Fluorochemから市販)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製し、続いてペンタン中で突き砕き、標記化合物を淡黄色の泡状物として得た(収率40%)。MS(m/e):487.3(M+H、100%)。
【0122】
実施例6
[4−(2−フルオロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−メタノン
【0123】
【化39】

【0124】
実施例3(d)と同様にして、2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸及び1−(2−フルオロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン(例えば、Peakdaleから市販)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物を黄色の固体として得た(収率28%)。MS(m/e):515.0(M+H、100%)。
【0125】
実施例7
(2−エチルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
a)2−エチルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸
【0126】
【化40】

【0127】
N,N−ジメチルホルムアミド6ml中の2−フルオロ−5−メタンスルホニル−安息香酸4.58mmolの溶液に、炭酸セシウム13.8mol及びエタンチオール9.25mmolを加え、混合物を90℃で30分間撹拌した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、塩酸を加えてpH1に酸性化し、その後酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して、標記化合物を白色の固体として得て、それを更に精製しないで次の工程で使用した(収率99%)。MS(m/e):259.0([M−H]、100%)。
【0128】
b)(2−エチルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0129】
【化41】

【0130】
テトラヒドロフラン5ml中の2−エチルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸0.27mmolの溶液に、TBTU 0.40mmol、N−エチルジイソプロピルアミン1.08mmol及び1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン(実施例A1)0.32mmolを連続して加えた。反応混合物を45℃で16時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)に付して、標記化合物を淡黄色の固体として得た(収率61%)。MS(m/e):492.0(M+H、100%)。
【0131】
実施例8
(2−エチルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0132】
【化42】

【0133】
実施例7(b)と同様にして、2−エチルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸及び2−ピペラジン−1−イル−5−トリフルオロメチル−ピリミジン(実施例A2)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物を淡黄色の固体として得た(収率52%)。MS(m/e):475.0(M+H、100%)。
【0134】
実施例9
(2−エチルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0135】
【化43】

【0136】
実施例7(b)と同様にして、2−エチルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸及び1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン(例えば、Fluorochemから市販)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物を白色の固体として得た(収率60%)。MS(m/e):473.0(M+H、100%)。
【0137】
実施例10
(2−エチルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(2−フルオロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0138】
【化44】

【0139】
実施例7(b)と同様にして、2−エチルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸及び1−(2−フルオロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン(例えば、Peakdaleから市販)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物を淡褐色の固体として得た(収率74%)。MS(m/e):501.0(M+H、100%)。
【0140】
実施例11
[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−[5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチルスルファニル)−フェニル]−メタノン
a)5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチルスルファニル)−安息香酸
【0141】
【化45】

【0142】
N,N−ジメチルホルムアミド6ml中の2−フルオロ−5−メタンスルホニル−安息香酸4.58mmolの溶液に、炭酸セシウム13.8mol及び2,2,2−トリフルオロ−エタンチオール9.16mmolを加え、混合物を90℃で30分間撹拌した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、塩酸を加えてpH1に酸性化し、その後酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して、標記化合物を赤褐色の固体として得て、それを更に精製しないで次の工程で使用した(収率99%)。MS(m/e):312.9([M−H]、100%)。
【0143】
b)[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−[5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチルスルファニル)−フェニル]−メタノン
【0144】
【化46】

【0145】
テトラヒドロフラン5ml中の5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチルスルファニル)−安息香酸0.22mmolの溶液に、TBTU 0.33mmol、N−エチルジイソプロピルアミン0.89mmol及び1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン(実施例A1)0.27mmolを連続して加えた。反応混合物を40℃で16時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)に付して、標記化合物を白色の泡状物として得た(収率47%)。MS(m/e):546.0(M+H、100%)。
【0146】
実施例12
[5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチルスルファニル)−フェニル]−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0147】
【化47】

【0148】
実施例11(b)と同様にして、5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチルスルファニル)−安息香酸及び2−ピペラジン−1−イル−5−トリフルオロメチル−ピリミジン(実施例A2)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物を白色の泡状物として得た(収率58%)。MS(m/e):529.0(M+H、100%)。
【0149】
実施例13
[5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチルスルファニル)−フェニル]−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0150】
【化48】

【0151】
実施例11(b)と同様にして、5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチルスルファニル)−安息香酸及び1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン(例えば、Fluorochemから市販)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物を褐色の固体として得た(収率76%)。MS(m/e):527.2(M+H、100%)。
【0152】
実施例14
[4−(2−フルオロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−[5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチルスルファニル)−フェニル]−メタノン
【0153】
【化49】

【0154】
実施例11(b)と同様にして、5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−エチルスルファニル)−安息香酸及び1−(2−フルオロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン(例えば、Peakdaleから市販)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物を淡褐色の固体として得た(収率74%)。MS(m/e):555.0(M+H、100%)。
【0155】
実施例15
[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−(2−イソブチルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−メタノン
a)2−イソブチルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸
【0156】
【化50】

【0157】
N,N−ジメチルホルムアミド6ml中の2−フルオロ−5−メタンスルホニル−安息香酸4.58mmolの溶液に、炭酸セシウム13.8mol及び2−メチル−1−プロパンチオール9.97mmolを加え、混合物を90℃で30分間撹拌した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、塩酸を加えてpH1に酸性化し、その後酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して、標記化合物を白色の固体として得て、それを更に精製しないで次の工程で使用した(収率99%)。MS(m/e):287.0([M−H]、100%)。
【0158】
b)[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−(2−イソブチルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−メタノン
【0159】
【化51】

【0160】
テトラヒドロフラン5ml中の2−イソブチルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸0.24mmolの溶液に、TBTU 0.36mmol、N−エチルジイソプロピルアミン0.97mmol及び1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン(実施例A1)0.29mmolを連続して加えた。反応混合物を45℃で16時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)に付して、標記化合物を淡褐色の固体として得た(収率57%)。MS(m/e):520.0(M+H、100%)。
【0161】
実施例16
(2−イソブチルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0162】
【化52】

【0163】
実施例15(b)と同様にして、2−イソブチルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸及び2−ピペラジン−1−イル−5−トリフルオロメチル−ピリミジン(実施例A2)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物を白色の泡状物として得た(収率77%)。MS(m/e):503.0(M+H、100%)。
【0164】
実施例17
(2−イソブチルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0165】
【化53】

【0166】
実施例15(b)と同様にして、2−イソブチルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸及び1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン(例えば、Fluorochemから市販)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物を褐色の固体として得た(収率99%)。MS(m/e):501.0(M+H、100%)。
【0167】
実施例18
[4−(2−フルオロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−(2−イソブチルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−メタノン
【0168】
【化54】

【0169】
実施例15(b)と同様にして、2−イソブチルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸及び1−(2−フルオロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン(例えば、Peakdaleから市販)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物を橙色の泡状物として得た(収率99%)。MS(m/e):529.0(M+H、100%)。
【0170】
実施例19
[4−(2−フルオロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−(5−メタンスルホニル−2−メチルスルファニル−フェニル)−メタノン
a)5−メタンスルホニル−2−メチルスルファニル−安息香酸
【0171】
【化55】

【0172】
N,N−ジメチルホルムアミド6ml中の2−フルオロ−5−メタンスルホニル−安息香酸4.58mmolの溶液に、炭酸セシウム13.8mol及びナトリウム メタンチオラート10.0mmolを加え、混合物を90℃で30分間撹拌した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、塩酸を加えてpH1に酸性化し、その後酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して、標記化合物を無色の油状物として得て、それを更に精製しないで次の工程で使用した(収率99%)。MS(m/e):244.9([M−H]、100%)。
【0173】
b)[4−(2−フルオロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−(5−メタンスルホニル−2−メチルスルファニル−フェニル)−メタノン
【0174】
【化56】

【0175】
テトラヒドロフラン5ml中の5−メタンスルホニル−2−メチルスルファニル−安息香酸0.28mmolの溶液に、TBTU 0.43mmol、N−エチルジイソプロピルアミン1.14mmol及び1−(2−フルオロ−4−メタンスルホニル−フェニル)−ピペラジン(例えば、Peakdaleから市販)0.34mmolを連続して加えた。反応混合物を45℃で16時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)に付して、標記化合物を淡褐色の固体として得た(収率77%)。MS(m/e):487.3(M+H、100%)。
【0176】
実施例20
[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−(5−メタンスルホニル−2−メチルスルファニル−フェニル)−メタノン
【0177】
【化57】

【0178】
実施例19(b)と同様にして、5−メタンスルホニル−2−メチルスルファニル−安息香酸及び1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン(実施例A1)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物を橙色の泡状物として得た(収率99%)。MS(m/e):478.0(M+H、100%)。
【0179】
実施例21
(5−メタンスルホニル−2−メチルスルファニル−フェニル)−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0180】
【化58】

【0181】
実施例19(b)と同様にして、5−メタンスルホニル−2−メチルスルファニル−安息香酸及び1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン(例えば、Fluorochemから市販)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物を褐色の泡状物として得た(収率99%)。MS(m/e):459.1(M+H、100%)。
【0182】
実施例22
1−{3−フルオロ−4−[4−(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−ベンゾイル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−エタノン
【0183】
【化59】

【0184】
実施例3(d)と同様にして、2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸及び1−(3−フルオロ−4−ピペラジン−1−イル−フェニル)−エタノン(実施例A3)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、メタノール/ジクロロメタン)により精製して、標記化合物を白色の固体として得た(収率13%)。MS(m/e):479.3(M+H、100%)。
【0185】
実施例23
[4−(2−クロロ−4−ニトロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−メタノン
【0186】
【化60】

【0187】
実施例3(d)と同様にして、2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸及び1−(2−クロロ−4−ニトロ−フェニル)−ピペラジン(実施例A4)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物を橙色の固体として得た(収率86%)。MS(m/e):500.2({37Cl}M+H、59%}、498.2({35Cl}M+H、100%)。
【0188】
実施例24
(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−フェニル)−[4−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0189】
【化61】

【0190】
実施例3(d)と同様にして、2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニル−安息香酸及び1−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン(実施例A5)から調製した。粗物質をクロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)により精製して、標記化合物をオフホワイトの固体として得た(収率24%)。MS(m/e):434.1(M+H、100%)。
【0191】
実施例25
4−イソプロピルスルファニル−N−メチル−3−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド
a)2−クロロ−5−メチルスルファモイル−安息香酸
【0192】
【化62】

【0193】
ジオキサン100ml中の2−クロロ−5−(フルオロスルホニル)スルファニル−安息香酸41.9mmolに、メチルアミン溶液(41%水溶液)420mmolを滴下し、混合物を室温で2時間撹拌した。次に、過剰量の2M塩酸水溶液を反応混合物に加え、次に得られた混合物を真空下で濃縮した。残渣を水で処理し、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で蒸発して、標記化合物を白色の結晶質固体として得た(収率96%)。MS(m/e):248.1([M−H]、100%)。
【0194】
b)2−イソプロピルスルファニル−5−メチルスルファモイル−安息香酸
【0195】
【化63】

【0196】
N,N−ジメチルアセトアミド3ml中の2−クロロ−5−メチルスルファモイル−安息香酸1.99mmolの溶液に、炭酸セシウム6.37mmol及び2−プロパンチオール4.39mmolを加え、混合物を100℃で3時間撹拌した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、塩酸を加えてpH1に酸性化し、その後酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して、標記化合物をオフホワイトの固体として得て、それを更に精製しないで次の工程で使用した(収率85%)。MS(m/e):288.1([M−H]、100%)。
【0197】
c)4−イソプロピルスルファニル−N−メチル−3−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド
【0198】
【化64】

【0199】
テトラヒドロフラン3ml中の2−イソプロピルスルファニル−5−メチルスルファモイル−安息香酸0.17mmolの溶液に、TBTU 0.16mmol、N−エチルジイソプロピルアミン0.42mmol及び1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−ピペラジン(例えば、Fluorochemから市販)0.11mmolを連続して加えた。反応混合物を35℃で16時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)に付し、続いてペンタン中で突き砕き、標記化合物を白色の固体として得た(収率66%)。MS(m/e):502.1(M+H、100%)。
【0200】
実施例26
4−イソプロピルスルファニル−3−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−ベンゾニトリル
【0201】
a)5−シアノ−2−イソプロピルスルファニル−安息香酸
【0202】
【化65】

【0203】
N,N−ジメチルアセトアミド3ml中の5−シアノ−2−ヨード−安息香酸(CAS: 219841-92-6、WO2005014563に記載の通り調製)1.45mmolの溶液に、炭酸セシウム4.91mmol及び2−プロパンチオール3.19mmolを加え、混合物を120℃で4時間撹拌した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、塩酸を加えてpH1に酸性化し、その後酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して、標記化合物をオフホワイトの固体として得て、それを更に精製しないで次の工程で使用した(収率97%)。MS(m/e):220.1([M−H]、100%)。
【0204】
b)4−イソプロピルスルファニル−3−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−カルボニル]−ベンゾニトリル
【0205】
【化66】

【0206】
テトラヒドロフラン5ml中の5−シアノ−2−イソプロピルスルファニル−安息香酸0.32mmolの溶液に、TBTU 0.31mmol、N−エチルジイソプロピルアミン0.84mmol及び1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−ピペラジン(例えば、Fluorochemから市販)0.22mmolを連続して加えた。反応混合物を35℃で16時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)に付し、続いてペンタン中で突き砕き、標記化合物をオフホワイトの固体として得た(収率94%)。MS(m/e):434.4(M+H、100%)。
【0207】
実施例27
(2−イソプロピルスルファニル−5−ニトロ−フェニル)−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
a)2−イソプロピルスルファニル−5−ニトロ−安息香酸
【0208】
【化67】

【0209】
N,N−ジメチルアセトアミド3ml中の5−フルオロ−2−ニトロ−安息香酸(例えば、Aldrichから市販)2.67mmolの溶液に、炭酸セシウム8.58mmol及び2−プロパンチオール5.83mmolを加え、混合物を35℃で4時間撹拌した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、塩酸を加えてpH1に酸性化し、その後酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮して、標記化合物をオフホワイトの固体として得て、それを更に精製しないで次の工程で使用した(収率74%)。MS(m/e):240.3([M−H]、100%)。
【0210】
b)(2−イソプロピルスルファニル−5−ニトロ−フェニル)−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−メタノン
【0211】
【化68】

【0212】
テトラヒドロフラン5ml中の2−イソプロピルスルファニル−5−ニトロ−安息香酸0.31mmolの溶液に、TBTU 0.31mmol、N−エチルジイソプロピルアミン0.84mmol及び1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−ピペラジン(例えば、Fluorochemから市販)0.22mmolを連続して加えた。反応混合物を35℃で16時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、酢酸エチル/ヘプタン)に付し、続いてペンタン中で突き砕き、標記化合物を黄色の固体として得た(収率83%)。MS(m/e):454.4(M+H、100%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】


(式中、
は、低級アルキルまたはハロゲンにより置換された低級アルキルであり;
は、−S(O)−低級アルキル、−S(O)NH−低級アルキル、NOまたはCNであり;
は、ハロゲン、CN、低級アルキル、ハロゲンにより置換された低級アルキル、NO、−C(O)−低級アルキルまたはS(O)−低級アルキルであり;
X/Xは、互いに独立して、CRまたはNであり;
は、水素またはハロゲンであり;
nは、0、1または2である)
で示される化合物および薬学的に許容され得るその酸付加塩。
【請求項2】
一般式I−A:
【化2】


(式中、
が、低級アルキルまたはハロゲンにより置換された低級アルキルであり;
が、−S(O)−低級アルキル、−S(O)NH−低級アルキル、NOまたはCNであり;
が、ハロゲン、CN、低級アルキル、ハロゲンにより置換された低級アルキル、NO、−C(O)−低級アルキルまたはS(O)−低級アルキルであり;
が、水素またはハロゲンであり;
nが、0、1または2である)で示される、請求項1記載の式I−Aの化合物および薬学的に許容され得るその酸付加塩。
【請求項3】
一般式I−B:
【化3】


(式中、
が、低級アルキルまたはハロゲンにより置換された低級アルキルであり;
が、−S(O)−低級アルキル、−S(O)NH−低級アルキル、NOまたはCNであり;
が、ハロゲン、CN、低級アルキル、ハロゲンにより置換された低級アルキル、NO、−C(O)−低級アルキルまたはS(O)−低級アルキルであり;
nが、0、1または2である)で示される、請求項1記載の式I−Bの化合物および薬学的に許容され得るその酸付加塩。
【請求項4】
一般式I−C:
【化4】


(式中、
が、低級アルキルまたはハロゲンにより置換された低級アルキルであり;
が、−S(O)−低級アルキル、−S(O)NH−低級アルキル、NOまたはCNであり;
が、ハロゲン、CN、低級アルキル、ハロゲンにより置換された低級アルキル、NO、−C(O)−低級アルキルまたはS(O)−低級アルキルであり;
が、水素またはハロゲンであり;
nが、0、1または2である)で示される、請求項1記載の式I−Cの化合物および薬学的に許容され得るその酸付加塩。
【請求項5】
が、低級アルキルである、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項6】
化合物が、
[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]−(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニルフェニル)メタノン、
[4−(2−フルオロ−4−メタンスルホニルフェニル)ピペラジン−1−イル]−(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニルフェニル)メタノン、
(2−エチルスルファニル−5−メタンスルホニルフェニル)−[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]メタノン、
[4−(2−フルオロ−4−メタンスルホニルフェニル)ピペラジン−1−イル]−(2−イソブチルスルファニル−5−メタンスルホニルフェニル)メタノン、
1−{3−フルオロ−4−[4−(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニルベンゾイル)ピペラジン−1−イル]フェニル}エタノン、
[4−(2−クロロ−4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−イル]−(2−イソプロピルスルファニル−5−メタンスルホニルフェニル)メタノン、
4−イソプロピルスルファニル−N−メチル−3−[4−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−カルボニル]ベンゼンスルホンアミドまたは
(2−イソプロピルスルファニル−5−ニトロフェニル)−[4−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−イル]メタノン
である、請求項5記載の式Iで示される化合物。
【請求項7】
が、ハロゲンにより置換された低級アルキルである、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項8】
化合物が、
[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]−[5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロエチルスルファニル)フェニル]メタノンまたは
[4−(2−フルオロ−4−メタンスルホニルフェニル)ピペラジン−1−イル]−[5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロエチルスルファニル)フェニル]メタノン
である、請求項7記載の式Iで示される化合物。
【請求項9】
a)活性化剤の存在下で、式II:
【化5】


で示される化合物を式III:
【化6】


で示される化合物と反応させて、式I:
【化7】


(式中、置換基:R、R、R、n、XおよびXは、先に定義したとおりである)で示される化合物にするか、または
b)場合により、触媒および塩基の存在下で、式IV:
【化8】


で示される化合物を式:
【化9】


で示される化合物と反応させて、式I:
【化10】


(式中、halは、ハロゲンであり、他の置換基:R、R、R、n、XおよびXは、先に定義したとおりである)で示される化合物にし、
所望なら、得られた化合物を薬学的に許容され得る酸付加塩に変換することを含む、請求項1記載の式Iで示される化合物を製造する方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法または均等な方法により製造される、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
請求項1記載の、1種以上の化合物および薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬。
【請求項12】
グリシン取込み阻害物質に基づく疾病を処置するための、請求項8記載の医薬。
【請求項13】
疾病が、精神病、疼痛、記憶および学習における神経変性機能不全、精神分裂病、痴呆、注意欠陥障害またはアルツハイマー病である、請求項12記載の医薬。
【請求項14】
精神病、疼痛、記憶および学習における神経変性機能不全、精神分裂病、痴呆、注意欠陥障害またはアルツハイマー病の処置用の医薬を製造するための、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項15】
本明細書内の先に記載の発明。

【公表番号】特表2008−526795(P2008−526795A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549823(P2007−549823)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/014081
【国際公開番号】WO2006/072435
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】