説明

移動体の往復機構、清掃機構、露光装置および画像形成装置

【課題】コストアップを避けつつ、移動体(清掃部材)を円滑に往復移動させることが可能な往復機構、その往復機構を利用した清掃機構、その清掃機構を備えた露光装置、およびその露光装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】移動体の往復機構は、回転軸31の第1回転方向R1への回転に伴って第1移動方向D1に移動する第1状態と、第1移動方向D1に移動した後、回転軸31の螺旋状山部313に係合した係合状態を解消する第2状態と、回転軸31の第2回転方向R2への回転に伴い、螺旋状山部313に再係合して、第2移動方向D2に移動する第3状態との間で状態変更する移動体33と、移動体33が第2状態を取っているとき、移動体33をその自重によって螺旋状山部313の終端部314に当接させ、回転軸31の第2回転方向R2への回転に伴って移動体33を螺旋状山部313に再係合させる再係合手段34とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸の回転に伴って往復移動する移動体の往復機構、その往復機構を利用して所定の被清掃物を清掃する清掃機構、その清掃機構を備えた露光装置、その露光装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置は、感光体ドラムの軸方向に沿って延在する帯電ワイヤを有し、電圧を帯電ワイヤに印加することで感光体ドラムの周面を一様に帯電させる帯電装置や、レーザー光を、窓部を介して感光体ドラムの周面に対して走査させて前記周面上に静電潜像を形成する露光装置を含む。帯電装置や露光装置は、帯電ワイヤや窓部を清掃するための清掃部材を有する。清掃部材は、帯電ワイヤや窓部に沿って往復移動することで、帯電ワイヤや窓部を清掃する。
【0003】
清掃部材を往復移動させる往復機構として、特許文献1のものが知られている。特許文献1の往復機構では、回転軸に係合し、回転軸の回転に伴って回転軸の軸方向に沿って往復移動する清掃部材が用いられている。清掃部材は、回転軸の回転に伴い、回転軸の軸方向に沿って第1移動方向に移動し、回転軸の軸端部近傍に到達すると、回転軸は逆方向に回転される。これにより、清掃部材は、第1移動方向とは逆の第2移動方向に移動する(つまり、清掃部材は往復移動する)。回転軸を逆方向に回転させるタイミングを得る手段として、スイッチが用いられている。スイッチは、回転軸の両軸端部に対応する位置に配置されている。清掃部材が第1移動方向に進み、回転軸の軸端部に接近してスイッチを押すと、回転軸は逆回転され、清掃部材が第2移動方向に移動開始する。特許文献1では、このようなスイッチを用いた構成によって清掃部材を往復移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−194365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の清掃機構では、スイッチを用いることで適切なタイミングで清掃部材の移動方向を第1移動方向から第2移動方向に切り替えることができるものの、スイッチを用いている分、清掃機構のコストが嵩む。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、コストアップを避けつつ、移動体(清掃部材)を円滑に往復移動させることが可能な往復機構、その往復機構を利用した清掃機構、その清掃機構を備えた露光装置、およびその露光装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る移動体の往復機構は、周面と、前記周面上に形成されて軸方向に螺旋状に延びる螺旋状山部とを有し、第1回転方向と、前記第1回転方向とは逆の第2回転方向とに回転可能な回転軸と、前記回転軸を回転させる駆動源と、前記螺旋状山部に係合した係合状態で前記回転軸の回転に伴って前記軸方向に沿って往復移動する移動体であって、前記回転軸の前記第1回転方向への回転に伴って第1移動方向に移動する第1状態と、前記第1移動方向に移動した後、前記係合状態を解消する第2状態と、前記回転軸の前記第2回転方向への回転に伴い、前記螺旋状山部に再係合して、前記第1移動方向とは逆の第2移動方向に移動する第3状態との間で状態変更する移動体と、前記移動体が前記第2状態を取っているとき、前記移動体をその自重によって前記螺旋状山部の終端部に当接させ、前記回転軸の前記第2回転方向への回転に伴って前記移動体を前記螺旋状山部に再係合させる再係合手段とを含む。
【0008】
本発明に係る移動体の往復機構によれば、移動体は、回転軸の螺旋状山部との係合関係に基づき、回転軸の第1回転方向への回転に伴い、第1移動方向に移動する(第1状態)一方、回転軸の第2回転方向への回転に伴い、第2移動方向に移動する(第3状態)。このように、移動体は、回転軸の回転に伴って回転軸の軸方向に沿って往復移動する。
【0009】
そして、移動体が螺旋状山部との間の係合状態を解消した第2状態にあるとき、つまり、回転軸の回転方向が第1回転方向から第2回転方向に切り替えられるまでの間、移動体は、再係合手段により、螺旋状山部の終端部に自重によって当接している。移動体は、回転軸が第2回転方向に回転を開始すると、自重を利用して、再び、螺旋状山部に終端部から円滑に係合する。このように、移動体は、自重を利用して螺旋状山部に再係合するので、スイッチ等を用いて移動体を往復移動させる構成と比較して、コスト低減を図ることができる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、前記再係合手段は、前記移動体を前記終端部に向けて傾けることで該終端部に当接させる。
【0011】
この構成によれば、移動体を終端部に向けて傾けるという簡単な動作で、移動体をその自重によって終端部に当接させることができる。
【0012】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記再係合手段は、前記移動体を前記終端部に向けて傾ける第1傾斜面を有する第1傾斜部を含む。
【0013】
この構成によれば、傾斜面を利用するという簡単な構造で、移動体をその自重によって終端部に当接させることができる。
【0014】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記移動体は、前記螺旋状山部に係合する係合部を有し、前記第1傾斜部は、前記係合部を支点として前記移動体を傾ける。
【0015】
この構成によれば、第1傾斜部は、移動体の係合部を支点として利用するので、移動体を容易に傾けることができる。
【0016】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記第1傾斜部は、前記移動体が前記第1移動方向に進みつつ前記係合部が前記終端部に係合し始めるタイミングで、前記移動体を前記第1傾斜面上にガイドして傾け、前記係合部が前記終端部から外れた後、前記移動体を傾けた状態で前記終端部に当接させる。
【0017】
この構成によれば、第1傾斜部は、移動体の係合部が終端部に係合し始めるタイミングで、移動体を第1傾斜面上にガイドするので、移動体を容易に傾けることができる。
【0018】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記螺旋状山部は、所定のピッチで配列された複数の山からなり、前記第1傾斜部は、前記係合部が前記終端部から見て1/2ピッチ以内の前記山に係合するタイミングで前記移動体を前記第1傾斜面上にガイドする。
【0019】
この構成によれば、第1傾斜部が移動体を第1傾斜面上にガイドするタイミングが、係合部が終端部から見て1/2ピッチ以内の山に係合するタイミングなので、移動体を円滑に傾け始めることができる。
【0020】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記第1傾斜面は、第1傾斜角度を有し、前記回転軸は、前記終端部近傍の部位から前記軸方向の外側に向かうにつれて外径が小さくなるテーパー形状を有し、前記周面のテーパー角度は、前記第1傾斜角度以上に設定されている。
【0021】
この構成によれば、回転軸はテーパー形状を有し、その周面のテーパー角度は、第1傾斜面の第1傾斜角度以上に設定されているので、第1傾斜部が移動体を傾けるとき、回転軸がその動作に干渉しない。これにより、移動体を円滑に傾けることができる。
【0022】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記再係合手段は、さらに、前記係合部を支点として前記移動体を傾ける第2傾斜面を有する第2傾斜部を含み、前記第2傾斜部は、前記第1傾斜部よりも前記第1移動方向の下流側に位置しており、前記移動体は、前記第1移動方向下流側に延びる部材であって、前記係合部に加え、前記第1傾斜面に接触する第1接触部と、前記第1接触部よりも前記第1移動方向下流側に位置して前記第2傾斜面に接触する第2接触部とを有する。
【0023】
この構成によれば、第2傾斜部は、第1傾斜部よりも第1移動方向下流側に位置し、かつ、移動体の第2接触部は、第1接触部よりもさらに第1移動方向下流側に位置している。そのため、支点である係合部と、力点である第2接触部との間の距離が、係合部と第1接触部との間の距離よりも大きくなる。これにより、第2傾斜部は移動体を容易に傾けることができる。
【0024】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記第2傾斜面は、第2傾斜角度を有し、前記第2傾斜角度は、前記第1傾斜角度よりも大きく設定されている。
【0025】
この構成によれば、第2傾斜面の第2傾斜角度は第1傾斜面の第1傾斜角度よりも大きく設定されているので、第2傾斜部は移動体を容易に傾けることができる。
【0026】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、移動体の往復機構は、さらに、前記駆動源を制御する制御部を含み、前記制御部は、前記駆動源を制御して、前記回転軸を前記第1回転方向に第1所定時間だけ回転させた後、前記回転軸を前記第2回転方向に第2所定時間だけ回転させる。
【0027】
この構成によれば、制御部は、駆動源を制御して、回転軸を第1回転方向に第1所定時間だけ回転させた後、回転軸を第2回転方向に第2所定時間だけ回転させる。制御部は、回転軸の回転を時間によって制御する単純な制御動作を行う。そのため、回転軸の第1回転方向から第2回転方向への切替えに一定の時間を要する。その間、移動体は、自重によって終端部に当接している。回転軸が第2回転方向に回転すると、移動体が螺旋状山部に円滑に再係合することは上述した通りである。このように、回転軸の回転が時間によって単純に制御される場合であっても、本発明では、移動体を円滑に往復移動させることができる。したがって、スイッチ等を用いて移動体を往復移動させる構成と比較して、回転軸の回転を制御する構成を簡単化することができる。
【0028】
本発明の他の局面に係る清掃機構は、所定の清掃領域内で被清掃物を清掃する清掃部材と、上記に記載の移動体の往復機構とを含み、前記往復機構は、前記移動体として前記清掃部材を往復させる。
【0029】
本発明に係る清掃機構によれば、清掃部材は、回転軸の螺旋状山部との係合関係に基づき、回転軸の第1回転方向への回転に伴い、第1状態を取って第1移動方向に移動する一方、回転軸の第2回転方向への回転に伴い、第3状態を取って第2移動方向に移動する。このように、清掃部材は、回転軸の回転に伴って回転軸の軸方向に沿って往復移動する。
【0030】
そして、清掃部材が螺旋状山部との間の係合状態を解消した第2状態を取っているとき、つまり、回転軸の回転方向が第1回転方向から第2回転方向に切り替えられるまでの間、清掃部材は、再係合手段により、螺旋状山部の終端部に自重によって当接している。清掃部材は、回転軸が第2回転方向に回転を開始すると、自重を利用して、再び、螺旋状山部に終端部から円滑に係合する。このように、清掃部材は、自重を利用して螺旋状山部に再係合するので、スイッチ等を用いて清掃部材を往復移動させる構成と比較して、コスト低減を図ることができる。
【0031】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記再係合手段は、さらに、前記清掃部材が前記第2状態にあるときに前記清掃部材を前記終端部に向けて付勢する付勢部材を有する。
【0032】
この構成によれば、清掃部材は、第2状態にあるとき、自重によって終端部に当接しつつ、付勢部材によって終端部に向けて付勢されている。そのため、清掃部材は、回転軸が第2回転方向に回転を始めるとき、螺旋状山部に容易に再係合することができる。
【0033】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、清掃機構は、さらに、前記回転軸および前記清掃部を支持する支持板を含み、前記付勢部材は、弾性を備え、前記清掃部材に取り付けられた弾性部材であり、前記弾性部材は、前記清掃部材が前記第1移動方向に移動した後、前記支持板における所定の部位に当接して撓み、前記清掃部材が前記第2状態にあるとき、復元力によって前記清掃部材を前記終端部に向けて付勢する。
【0034】
この構成によれば、付勢部材として、弾性を備えた弾性部材を用い、弾性部材の復元力を利用する簡単な動作で、清掃部材を終端部に向けて付勢することができる。
【0035】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記清掃部材は、弾性を備え、前記被清掃物を前記清掃領域内で清掃するための清掃パッドを有し、前記弾性部材は、前記清掃パッドであり、前記清掃パッドは、前記清掃部材が前記第2状態にあるとき、前記清掃領域を越え、前記所定の部位に当接して撓む。
【0036】
この構成によれば、清掃部材が元来有している清掃パッドを、弾性部材として用いているので、部品点数を増加させることなく、清掃部材を終端部に向けて付勢することができる。また、弾性部材としてばねを用い、ばねの復元力によって清掃部材を終端部に押し付け、清掃部材を螺旋状山部に再係合させる構成を採用した場合、ばねの復元力によって清掃部材が終端部に叩き付けられ、そのため、騒音が発生したり、終端部や清掃部材が損傷したりする。しかしながら、本発明に係る清掃機構では、清掃パッドの弾性を利用しつつ清掃部材の自重によって清掃部材を終端部に当接させているので、上記のような問題を回避することができる。
【0037】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記清掃パッドは、前記第1傾斜部が前記清掃部材を傾け始めるタイミングで前記被清掃物から離間する。
【0038】
この構成によれば、清掃パッドは被清掃物から離間するので、清掃パッドと被清掃物との間の摩擦に起因する力が清掃部材に作用しない。これにより、第1傾斜部は、清掃部材を傾ける動作を阻害するような力を受けないので、清掃部材を円滑に傾け始めることができる。
【0039】
本発明に係る露光装置は、窓部を有し、レーザー光を、前記窓部を介して所定の対象に対して走査して前記所定の対象上に静電潜像を形成する露光機構と、前記窓部を清掃する清掃機構とを含み、前記清掃機構として、上記構成の清掃機構が用いられており、前記清掃機構の清掃部材は、前記窓部を清掃する。
【0040】
本発明に係る画像形成装置は、像担持体と、画像情報に基づいて前記像担持体に対してレーザー光を走査して、前記像担持体上に静電潜像を形成する露光装置と、前記静電潜像を顕像する現像装置と、顕像化された画像を前記像担持体から記録シート上に転写する転写部と、前記画像を前記記録シート上に定着させる定着装置とを含み、前記露光装置として、上記構成の露光装置が用いられている。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係る、移動体の往復機構、その往復機構を利用した清掃機構、その清掃機構を備えた露光装置、およびその露光装置を備えた画像形成装置によれば、移動体(清掃部材)は自重を利用して回転軸の螺旋状山部に再係合するので、コストアップを避けつつ、移動体(清掃部材)を円滑に往復移動させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
【図2】露光装置を斜め上方から見た外観斜視図である。
【図3】露光装置を上方から見た平面図である。
【図4】清掃部材の本体部が第1移動方向に進む第1状態を説明するための図である。
【図5】清掃部材の本体部が再係合手段によって第2状態に切り替えられつつある状態を説明するための図である。
【図6】清掃部材の本体部の第2状態を説明するための図である。
【図7】清掃部材の本体部が回転軸の螺旋状山部に再係合する第3状態を説明するための図である。
【図8】清掃パッドが第1移動方向に沿って進み、LSUガラスから離間した状態を断面で示す模式図である。
【図9】清掃パッドがカバー上の段差に当接して撓んだ状態を断面で示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1としてプリンターを示しているが、画像形成装置1は、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
【0044】
画像形成装置1は、図1に示すように、箱形の装置本体11内に、コンピュータ等の外部機器から伝送された画像情報に基づいて画像を形成する画像形成部12と、画像形成部12によって形成されて用紙Pに転写された画像に定着処理を施す定着部13と、転写用の用紙Pを貯留する用紙貯留部14と、定着処理後の用紙Pが排出される用紙排出部15とを含む。
【0045】
画像形成部12は、用紙貯留部14から給紙された用紙Pにトナー像を形成させるものであり、本実施形態では、上流側(図1における紙面の左側)から下流側に向けて順次配設された、マゼンタ色の現像剤を用いるマゼンタ用ユニット12Mと、シアン色の現像剤を用いるシアン用ユニット12Cと、イエロー色の現像剤を用いるイエロー用ユニット12Yと、ブラック色の現像剤を用いるブラック用ユニット12Kとを含む。
【0046】
各ユニット12M,12C,12Y,12Kは、前後方向(図1の紙面と直交する方向)に延びるドラム心回りに回転可能に設けられた感光体ドラム121の周面に沿うように、当該感光体ドラム121の図1における直下位置から時計方向に向けて帯電装置122、現像装置123、1次転写ローラー124およびクリーニング装置125が配設されるとともに、帯電装置122のさらに下方位置に露光装置(LSU)2が配設されることによって構成されている。
【0047】
感光体ドラム121は、周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像を形成させるためのものであり、周面に強靱で耐摩耗性に優れた極めて平滑なアモルファスシリコン層が積層され、これによってこれらの像を形成させるのに適したものになっている。
【0048】
帯電装置122は、ドラム心回りに時計方向に回転している感光体ドラム121の周面を一様に帯電させるものであり、コロナ放電によって感光体ドラム121の周面に電荷を付与する。
【0049】
露光装置2は、コンピュータ等の外部機器から伝送されてきた画像データに基づいて、レーザー光を感光体ドラム121の周面に対して走査して、感光体ドラム121の周面上の電荷を除去することにより、感光体ドラム121の周面上に静電潜像を形成する。本実施形態の画像形成装置1では、2つの露光装置が配置されており、左側の露光装置2がマゼンタ用ユニット12Mおよびシアン用ユニット12Cに対応すると共に、右側の露光装置2がイエロー用ユニット12Yおよびブラック用ユニット12Kに対応する。
【0050】
現像装置123は、感光体ドラム121の周面上の静電潜像にトナーを供給することにより、前記周面上にトナー像を形成する。各現像装置123には、図略のトナーカートリッジから現像剤が補給される。
【0051】
感光体ドラム121の上方位置には、各感光体ドラム121に当接するように駆動ローラー126aおよび従動ローラー126b間に張設された転写ベルト126が設けられている。転写ベルト126は、各感光体ドラム121に対応して設けられた1次転写ローラー124によって感光体ドラム121の周面に押し付けられた状態で各感光体ドラム121と同期しながら駆動ローラー126aと従動ローラー126bとの間を周回する。
【0052】
転写ベルト126が周回することにより、転写ベルト126の表面に対して、マゼンタ用ユニット12Mの感光体ドラム121によるマゼンタトナーのトナー像の転写が行なわれ、次いで、転写ベルト126の同一の転写位置に、シアン用ユニット12Cの感光体ドラム121によるシアントナーのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、次いで、転写ベルト126の同一位の転写置に、イエロー用ユニット12Yの感光体ドラム121によるイエロートナーのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、最後に、同一の転写位置に、ブラック用ユニット12Kの感光体ドラム121によるブラックトナーのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれる。これにより、転写ベルト126の表面にカラーのトナー像が形成される。転写ベルト126の表面に形成されたカラーのトナー像は、用紙貯留部14から搬送される用紙P上に転写される。
【0053】
クリーニング装置125は、転写処理後の感光体ドラム121の周面に残留しているトナーを取り除いて感光体ドラム121を清浄化する。
【0054】
画像形成部12の図1における右方位置には、上下方向に延びる用紙搬送路111が設けられている。用紙搬送路111には、適所に搬送ローラー対112が配設され、用紙貯留部14からの用紙Pは、搬送ローラー対112によって二次転写ローラー113に向けて搬送される。二次転写ローラー113は、転写ベルト126を挟んで駆動ローラー126aと対向配置されている。用紙Pは、転写ベルト126と2次転写ローラー113とに押圧挟持されることによって転写ベルト126上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0055】
定着部13は、転写された用紙P上のトナー像に対して定着処理を施す。定着部13は、内部に加熱源である通電発熱体を備えた加熱ローラー131と、加熱ローラー131と対向配置された定着ローラー132と、加熱ローラー131および定着ローラー132間に張設された定着ベルト133と、定着ベルト133を介して定着ローラー132と対向配置された加圧ローラー134とを含む。用紙Pが定着ベルト133と加圧ローラー134との間の定着ニップ部を通過するとき、トナー像は、加熱および加圧されて用紙P上に定着される。
【0056】
定着処理の完了したカラー画像付の用紙Pは、定着部13の上部から延設された排紙搬送路114を通って装置本体11の頂部に設けられた用紙排出部15の排紙トレイ151に向けて排出される。
【0057】
用紙貯留部14は、装置本体11の図1における左側壁に開閉自在に設けられた手差しトレイ141と、装置本体11内における露光装置2より下方位置に挿脱可能に装着された用紙トレイ142とを備えて構成されている。
【0058】
手差しトレイ141は、用紙Pを手差し操作で画像形成部12に向けて給紙するためのものであり、普段は装置本体11の左壁面に収納されているが、手差しで給紙するときのみ、図1に示すように、壁面から引き出されて手差し給紙に供される。
【0059】
用紙トレイ142は、上面が開口した箱体で構成され、複数枚の用紙Pが積層されてなる用紙束P1を貯留する。用紙束P1の最上位の用紙Pは、ピックアップローラー143によって用紙搬送路111に送り出される。用紙Pは、上述したように、用紙搬送路111を通って二次転写ローラー113、定着部13の順に搬送される。
【0060】
次に、図2および図3を参照しながら、露光装置2について説明する。2つの露光装置2は互いに同一の構成を有しているので、一方の露光装置2についてのみ説明する。図2は、露光装置2を斜め上方から見た外観斜視図である。図3は、露光装置2を上方から見た平面図である。
【0061】
露光装置2は、所謂レーザースキャナユニット(LSU)であって、感光体ドラム121の周面上に静電潜像を形成する露光機構20と、露光機構20を清掃する清掃機構30とを含む。露光機構20および清掃機構30はユニット化されている。
【0062】
露光機構20は、各種の光学素子を用いて静電潜像を形成する。露光機構20は、例えば、レーザー光を発生するLED等のレーザー光源、レーザー光源を等角度走査させるポリゴンミラー、等角度走査されたレーザー光を、感光体ドラム121に対して主走査方向に等速で走査させるfθレンズ、fθレンズからのレーザー光を反射して感光体ドラム121に導く反射ミラー等の複数の光学素子を有する。レーザー光は、画像データに基づいて感光体ドラム121の周面に対して走査され、これにより、前記周面上に静電潜像が形成される。
【0063】
露光機構20は、それらの光学素子を収用するための略直方体のハウジング21と、ハウジング21の上部開口を塞ぐカバー22とを含む。カバー22は、前記反射ミラーに対応する位置に、上面22aから裏面にかけて貫設された開口を有し、その開口にLSUガラス23(窓部)が嵌め込まれている。LSUガラス23はレーザー光の進行を阻害しない特性を有し、前記反射ミラーによって反射されたレーザー光は、LSUガラス23を通過して感光体ドラム121の周面に到達する。LSUガラス23は、一対設けられており、各LSUガラス23は露光装置2の前後方向に延びている。また、一方のLSUガラス23は露光装置2の右端部寄りに配置されており、他方のLSUガラス23は露光装置2の左端部寄りに配置されている。
【0064】
清掃機構30(往復機構)は、一対のLSUガラス23を清掃するものであって、カバー22(支持板)の上面22aに配置されている。清掃機構30は、回転軸31と、駆動源32と、清掃部材33とを含む。
【0065】
回転軸31は、後述する清掃部材33を往復移動させるものであって、露光装置2の左右方向における略中間位置で露光装置2の前後方向に延びている。回転軸31は、軸部310と、軸部310の周面310a上に形成されて軸方向に螺旋状に延びる螺旋状山部313とを有する。螺旋状山部313は、所定のピッチp(図4参照)で配列された複数の山からなる。回転軸31は、第1回転方向R1(図2では時計回り)と、第1回転方向R1とは逆の第2回転方向R2(図2では反時計回り)に回転可能である。回転軸31は、前側軸端部311と、後側軸端部312とを有する。前側軸端部311は、カバー22の上面22aの前側縁部に立設された前側支持壁26に回転可能に支持されており、後側軸端部312は、カバー22の上面22aの後側縁部に立設された後側支持壁27に回転可能に支持されている。回転軸31の前側軸端部311には、駆動ギア314が取り付けられており、駆動ギア314には、駆動源32であるモーターMが連結されている。モーターMは、駆動ギア314を介して回転軸31を第1回転方向R1および第2回転方向R2の両方に回転させることができるタイプのものである。
【0066】
清掃部材33(移動体)は、回転軸31の螺旋状山部313に係合した係合状態で回転軸31の回転に伴って軸方向に沿って往復移動することにより、一対のLSUガラス23を、所定の清掃領域(つまり、LSUガラス23が延在する領域)内で清掃する。清掃部材33は、一対の清掃パッド331と、対応する清掃パッド331を保持する一対のホルダ332と、回転軸31の螺旋状山部313に係合する本体部333と、本体部333と一対のホルダ332とを連結する一対の連結アーム334とを含む。ホルダ332、本体部333および連結アーム334は一体成形品である。清掃部材33は、本発明の移動体の一例である。
【0067】
一対の清掃パッド331は、一対のLSUガラス23に対応して設けられており、対応するLSUガラス23を清掃する。各清掃パッド331は、LSUガラス23の幅方向寸法(回転軸31の軸方向と略直交する方向における寸法)と略同一の幅方向寸法を有する。また、各清掃パッド331は、LSUガラス23の長手方向に沿う厚み寸法を有する。
【0068】
一対のホルダ332のそれぞれは、対応するLSUガラス23の上方位置でLSUガラス23を幅方向に横切って延びており、清掃パッド331をLSUガラス23に接触させた状態で保持する。
【0069】
本体部333は、筒状の形状を有し、その中空部に回転軸31が回転可能に挿通されている。本体部333の内周面には、回転軸31の螺旋状山部313と係合可能な略1周分の螺旋状の本体側山部335(係合部)が形成されている(図4参照)。本体部333は、本体側山部335が螺旋状山部313に係合している係合状態にあるとき、回転軸31の回転に伴って回転軸31の軸方向に往復移動することが可能である。本体部333は、本体側山部335と螺旋状山部313との係合状態に応じて、第1移動方向D1に移動する第1状態と、係合状態を解消する第2状態と、第2移動方向D2に移動する第3状態との間で状態変更する。
【0070】
具体的には、本体部333が第1状態にあるとき、本体側山部335は回転軸31の螺旋状山部313と係合しており、本体部333は、回転軸31が第1回転方向R1に回転すると、本体側山部335と螺旋状山部313との係合関係により、回転軸31の前側軸端部311に向かって第1移動方向D1に移動する。
【0071】
また、本体部333が第1移動方向D1に移動した後、本体側山部335は螺旋状山部313から外れ、本体部333は、回転軸31との係合状態を解消した第2状態となる。
【0072】
さらに、回転軸31が第2回転方向R2に回転すると、回転軸31の回転動作によって本体側山部335が螺旋状山部313に再係合する。これにより、本体部333は、回転軸31の後側軸端部312に向かって第2移動方向D2に移動する第3状態となる。
【0073】
一対の連結アーム334は、対応するホルダ332と、本体部333の外周面とを連結する。したがって、回転軸31が第1回転方向R1に回転すると、一対の清掃パッド331は、本体部333の第1移動方向D1への移動に伴って移動して、対応するLSUガラス23を第1移動方向D1に沿って清掃する。一方、回転軸31が第2回転方向R2に回転すると、一対の清掃パッド331は、本体部333の第2移動方向D2への移動に伴って移動して、対応するLSUガラス23を第2移動方向D2に沿って清掃する。
【0074】
回転軸31を駆動する駆動源32は、制御部Cによって制御される。制御部Cは、駆動源32を制御して、回転軸31を第1回転方向R1に第1所定時間だけ回転させた後、回転軸31を第2回転方向R2に第2所定時間だけ回転させる。第1所定時間は、清掃パッド331がホームポジション(LSUガラス23における最も後端の位置)から第1移動方向D1に沿って移動し、折り返し位置(LSUガラス23における最も前端の位置)に到達するまでに要する時間である。同様に、第2所定時間は、清掃パッド331が折り返し位置から第2移動方向D2に沿って移動し、ホームポジションに到達するまでに要する時間である。回転軸31の回転速度は、通常、第1回転方向R1および第2回転方向R2において略同一であるから、第1所定時間および第2所定時間は略同一である。
【0075】
また、第1所定時間は、清掃部材33の本体部333が第1状態にある時間の長さに相当し、第2所定時間は、本体部333が第3状態にある時間の長さに相当する。さらに、制御部Cが回転軸31の回転方向を第1回転方向R1から第2回転方向R2に切り替えるまでの間、本体部333は第2状態にある。
【0076】
カバー22の上面22aには、回転軸31の回転に伴う本体部333の移動、ひいては清掃パッド331の清掃動作を円滑に行うために、一対の第1レール25と、一対の第2レール24とが配設されている。一対の第1レール25には、対応するホルダ332が摺動可能に取り付けられている。一対の第2レール24には、対応する連結アーム334が摺動可能に取り付けられている。
【0077】
一対の第1レール25のうち、一方の第1レール25は、右側のLSUガラス23よりも右方に配設されており、他方の第1レール25は、左側のLSUガラス23よりも左方に配設されている。一対の第1レール25は、露光装置2の前後方向においてLSUガラス23を超える範囲で延びている。また、一対の第2レール24のうち、一方の第2レール24は、右側のLSUガラス23と回転軸31との間に配設されており、他方の第2レール24は、左側のLSUガラス23と回転軸31との間に配設されている。一対の第2レール24は、露光装置2の前後方向においてLSUガラス23を超える範囲で延びている。
【0078】
以上説明した構成の露光装置2では、清掃部材33の本体部333を回転軸31の螺旋状山部313に再係合させる、つまり、本体部333の状態を、第2状態から第3状態に切り替えるために、再係合手段34が設けられている。以下、再係合手段34およびその切り替え動作について、図2および図3に加え、図4〜図7を参照して説明する。図4は、清掃部材33の本体部333が第1移動方向D1に進む第1状態を説明するための図である。図5は、清掃部材33の本体部333が再係合手段34によって第2状態に切り替えられつつある状態を説明するための図である。図6は、清掃部材33の本体部333の第2状態を説明するための図である。図7は、清掃部材33の本体部333が回転軸31の螺旋状山部313に再係合する第3状態を説明するための図である。
【0079】
再係合手段34は、清掃部材33の本体部333が第2状態を取っているとき、本体部333、ひいては清掃部材33をその自重によって螺旋状山部313の終端部314に当接させ、回転軸31の第2回転方向R2への回転に伴って清掃部材33を螺旋状山部313に再係合させる。再係合手段34は、本体部333を終端部314に向けて傾けることで該終端部314に当接させる。再係合手段34および清掃部材33が、本発明の清掃部を構成する。
【0080】
具体的には、再係合手段34は、図2および図3に示すように、回転軸31の前側軸端部311の直下方位置で、カバー22の上面22aにおける前側支持壁26の近傍部位(実際には、上面22aにおける前側支持壁26の裏面側の部位)に一体に形成されている。再係合手段34は、図4〜図7に示すように、第1傾斜面341aを有する第1傾斜部341と、第2傾斜面342aを有する第2傾斜部342とを含む。第1傾斜面341aおよび第2傾斜面342aが本体部333を螺旋状山部313の終端部314に向けて傾ける。
【0081】
第2傾斜部342は、本体部333の第1移動方向D1から見て第1傾斜部341よりも下流側に位置している。第2傾斜面342aの第2傾斜角度β(図5参照)は、第1傾斜面341aの第1傾斜角度α(図4参照)よりも大きく設定されている。回転軸31の前側軸端部311の外径は、螺旋状山部313の終端部314近傍の部位から、より具体的には、本体部333の第1移動方向D1から見て終端部314よりも直下流側の部位から、軸方向の外側に向かうにつれて小さくなっており、前側軸端部311はテーパー形状を有する。前側軸端部311の周面310aにおけるテーパー角度γは、第1傾斜角度α以上に設定されている。
【0082】
本体部333は、その筒形状が第1移動方向D1の下流側に延びる部材であって、本体側山部335に加え、第1接触部336と、第2接触部337とを含む。第1接触部336は、本体部333の外周面に突設され、第1傾斜部341の第1傾斜面341aに接触する部位である。第2接触部337は、第1接触部336よりも第1移動方向D1下流側に位置して、第2傾斜部342の第2傾斜面342aに接触する。第2接触部337は、より具体的には、第1移動方向D1下流側の端面と外周面との間の角部である。
【0083】
清掃部材33の本体部333は、回転軸31の第1回転方向R1への回転に伴って第1移動方向D1に移動し(第1状態)、図4に示すように、回転軸31の前側軸端部311に接近すると、本体部333の第1接触部336が第1傾斜部341の第1傾斜面341aに接触すると共に、本体部333の第2接触部337が第2傾斜部342の第2傾斜面342aに接触する。このとき、清掃パッド331は、第1移動方向D1に沿ってホームポジションから折り返し位置に向かってLSUガラス23を清掃する。
【0084】
回転軸31が第1回転方向R1にさらに回転され、本体部333が第1移動方向D1にさらに移動すると、図5に示すように、第1傾斜部341は、第1接触部336を第1傾斜面341a上にガイドすると共に、第2傾斜部342は、第2接触部337を第2傾斜面342a上にガイドする。このとき、第1傾斜部341および第2傾斜部342は、本体側山部335を支点として利用して、本体部333を傾ける。第1傾斜部341および第2傾斜部342の位置は、本体部333が第1移動方向D1に進みつつ本体側山部335が螺旋状山部313の終端部314に係合し始めるタイミングで、第1傾斜部341および第2傾斜部342が本体部333を傾け始めることが可能な位置に設定されている。前記タイミングは、より具体的には、本体側山部335が終端部314から見て1/2ピッチp以内の山に係合するタイミングである。
【0085】
本体部333の第1移動方向D1への移動に伴い、第1接触部336が第1傾斜面341a上を摺動しつつさらに登ると共に、第2接触部337が第2傾斜面342a上を摺動しつつさらに登ると、本体部333はさらに傾く。前側軸端部311のテーパー角度γは、第1傾斜面341aの第1傾斜角度α以上に設定されているので、前側軸端部311は、傾きつつある本体部333の傾き動作に干渉しない。これにより、本体部333は円滑に傾く。
【0086】
そして、図6に示すように、本体側山部335が終端部314から外れると(本体側山部335が螺旋状山部313との係合状態を解消すると)、本体側山部335は、本体部333が終端部314側に傾いた状態で終端部314に当接する(第2状態)。このとき、本体部333は、ひいては清掃部材33は、本体側山部335を介して終端部314に自重のみによって当接している。また、このとき、終端部314は、回転軸31の軸心Xを含む水平面よりも下方に位置しており、本体側山部335は、前記水平面よりも下方に延在する下方部分335aが終端部314に当接している。本体部333は、回転軸31の回転方向が第1回転方向R1から第2回転方向R2に切り替えられるまでの間、自重によって終端部314に当接した状態を保つ。なお、第1接触部336は、第1移動方向D1から見て、本体側山部335の下方部分335aよりも下流側に位置する。
【0087】
そして、回転軸31が第2回転方向R2に回転すると、本体部333は、自重によって螺旋状山部313に終端部314から円滑に係合する。本体部333は、回転軸31の第2回転方向R2への回転に伴って第2移動方向D2に移動する(第3状態)。本体部333の第1接触部336は、本体部333の第1移動方向D1への移動に伴って第1傾斜面341a上を摺動して該第1傾斜面341aから離間する。回転軸31は第2所定時間だけ第2回転方向R2に回転され、これにより、清掃パッド331は、第2移動方向D2に沿ってLSUガラス23を清掃しつつ、折り返し位置からホームポジションに向かって移動する。
【0088】
以上説明した本実施形態に係る露光装置2の清掃機構30では、上述したように、清掃部材33の本体部333が回転軸31の螺旋状山部313との間の係合状態を解消した第2状態にあるとき、つまり、回転軸31の回転方向が第1回転方向R1から第2回転方向R2に切り替えられるまでの間、本体部333は、再係合手段34により、本体側山部335を介して螺旋状山部313の終端部314に自重によって当接している。本体部333は、回転軸31が第2回転方向R2に回転を開始すると、自重を利用して、再び、螺旋状山部313に終端部314から円滑に係合する。このように、本体部333、ひいては清掃部材33は、自重を利用して螺旋状山部313に再係合するので、スイッチ等を用いて清掃部材を往復移動させる構成と比較して、コスト低減を図ることができる。
【0089】
また、本実施形態に係る露光装置2では、再係合手段34は、第1傾斜部341および第2傾斜部342によって本体部333を終端部314に向けて傾けるという簡単な動作かつ簡単な構造で、本体部333をその自重によって終端部314に当接させることができる。
【0090】
さらに、本実施形態に係る露光装置2では、第1傾斜部341および第2傾斜部342は、本体部333の本体側山部335を支点として利用するので、本体部333を容易に傾けることができる。また、第2傾斜部342は、第1傾斜部341よりも第1移動方向D1下流側に位置し、かつ、本体部333の第2接触部337は、第1接触部336よりもさらに第1移動方向D1下流側に位置している。そのため、支点である本体側山部335と、力点である第2接触部337との間の距離が、本体側山部335と第1接触部336との間の距離よりも大きくなる。そのうえ、2傾斜部の第2傾斜面342aの第2傾斜角度βは、第1傾斜部341の第1傾斜面341aの第1傾斜角度αよりも大きく設定されている。これにより、第2傾斜部342は本体部333を容易に傾けることができる。
【0091】
さらに、本実施形態に係る露光装置2では、第1傾斜部341は、本体部333の本体側山部335が終端部314に係合し始めるタイミングで、具体的には、本体側山部335が終端部314から見て1/2ピッチp以内の山に係合するタイミングで、本体部333を第1傾斜面341a上にガイドするので、本体部333を円滑に傾け始めることができる。
【0092】
さらに、本実施形態に係る露光装置2では、制御部Cは、駆動源32を制御して、回転軸31を第1回転方向R1に第1所定時間だけ回転させた後、回転軸31を第2回転方向R2に第2所定時間だけ回転させる。制御部Cは、回転軸31の回転を時間によって制御する単純な制御動作を行う。そのため、回転軸31の第1回転方向R1から第2回転方向R2への切替えに一定の時間を要する。その間、本体部333は、自重によって終端部314に当接している。回転軸31が第2回転方向R2に回転すると、本体部333の本体側山部335が螺旋状山部313に円滑に再係合することは上述した通りである。このように、回転軸31の回転が時間によって単純に制御される場合であっても、本実施形態では、本体部333を円滑に往復移動させることができる。したがって、スイッチ等を用いて清掃部材を往復移動させる構成と比較して、回転軸31の回転を制御する構成を簡単化することができる。
【0093】
以上説明した本実施形態に係る露光装置2では、再係合手段34は、第1傾斜部341および第2傾斜部342に加え、LSUガラス23を清掃する清掃パッド331を含んでもよい。この場合、清掃パッド331は、弾性を備えた材料から形成された部材であって、本体部333が第2状態にあるとき、その弾性によって本体部333を、連結アーム334を介して終端部314に向けて付勢する付勢部材として作用する。以下、図8および図9を参照して、清掃パッド331およびその動作について説明する。図8は、清掃パッド331が第1移動方向D1に沿って進み、LSUガラス23から離間した状態を断面で示す模式図である。図9は、清掃パッド331がカバー22上の段差22bに当接して撓んだ状態を断面で示す模式図である。
【0094】
清掃パッド331は、上述したように、第1移動方向D1に沿ってホームポジションから折り返し位置に向かって移動しつつ、LSUガラス23を清掃する。清掃パッド331は、その下端部においてLSUガラス23を摺擦して清掃する。したがって、清掃パッド331の清掃動作の間、清掃パッド331とLSUガラス23との間には、摩擦が生じる。
【0095】
清掃パッド331は、図8に示すように、LSUガラス23を清掃してLSUガラス23から離間した後も(清掃領域を越えた後も)、第1移動方向D1に沿って所定距離だけ移動する。清掃パッド331がLSUガラス23から離間するタイミングは、第1傾斜部341および第2傾斜部342が本体部333を傾け始めるタイミングである。そのため、清掃パッド331とLSUガラス23との間の前記摩擦に起因する力が、ホルダ332および連結アーム334を通して本体部333に作用しない。これにより、第1傾斜部341および第2傾斜部342は、本体部333を傾ける動作を阻害するような力を受けないので、本体部333を円滑に傾け始めることができる。
【0096】
カバー22の上面22aにおける所定の位置には、段差22bが形成されている。段差22bの位置は、清掃パッド331の折り返し位置である。したがって、本体部333が第1移動方向D1への移動を終えるタイミングで、清掃パッド331は、その下端部において段差22bに当接して、第1移動方向D1とは略反対の方向(つまり、第2移動方向D2)に撓む。このとき、本体部333は、自重によって螺旋状山部313の終端部314に当接する第2状態にある。
【0097】
清掃パッド331は弾性部材であるため、その復元力Fは、ホルダ332および連結アーム334を介して本体部333を終端部314に向けて付勢する。そのため、本体部333は、自重によって終端部314に当接しつつ、清掃パッド331の復元力Fによって終端部314に付勢されている。これにより、回転軸31が第2回転方向R2に回転し始めるとき、本体部333を螺旋状山部313に終端部314から容易に再係合させることができる。
【0098】
また、弾性部材である清掃パッド331の復元力Fを利用するだけなので、簡単な動作で、本体部333を終端部314に向けて付勢することができる。さらに、清掃パッド331は清掃部材33が元来有している部材なので、本体部333を終端部314に向けて付勢するための別の部材を用いる必要が無く、部品点数が増加することはない。さらに、付勢部材としてばねを用い、ばねの復元力によって本体部333を終端部314に押し付け、本体部333を螺旋状山部313に再係合させる構成を採用した場合、ばねの復元力によって本体部333が終端部314に叩き付けられ、そのため、騒音が発生したり、終端部314や本体部333が損傷したりする。しかしながら、本実施形態に係る露光装置2の清掃機構30では、清掃パッド331の弾性を利用しつつ本体部333(清掃部材33)の自重によって本体部333を終端部314に当接させているので、上記のような問題を回避することができる。
【0099】
なお、上記の本実施形態においては、清掃機構30を、露光装置2のLSUガラス23を清掃するために適用したが、これに限らず、清掃機構30を、帯電装置122の帯電ワイヤを清掃するために適用することもできる。
【符号の説明】
【0100】
1 画像形成装置
2 露光装置
20 露光機構
21 ハウジング
22 カバー
23 LSUガラス(窓部)
30 清掃機構
31 回転軸
314 螺旋状山部
32 駆動源
33 清掃部材
331 清掃パッド(弾性部材)
332 ホルダ
333 本体部
334 連結アーム
335 本体側山部
336 第1接触部
337 第2接触部
34 再係合手段
341 第1傾斜部
341a 第1傾斜面
342 第2傾斜部
342a 第2傾斜面
D1 第1移動方向
D2 第2移動方向
R1 第1回転方向
R2 第2回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面と、前記周面上に形成されて軸方向に螺旋状に延びる螺旋状山部とを有し、第1回転方向と、前記第1回転方向とは逆の第2回転方向とに回転可能な回転軸と、
前記回転軸を回転させる駆動源と、
前記螺旋状山部に係合した係合状態で前記回転軸の回転に伴って前記軸方向に沿って往復移動する移動体であって、前記回転軸の前記第1回転方向への回転に伴って第1移動方向に移動する第1状態と、前記第1移動方向に移動した後、前記係合状態を解消する第2状態と、前記回転軸の前記第2回転方向への回転に伴い、前記螺旋状山部に再係合して、前記第1移動方向とは逆の第2移動方向に移動する第3状態との間で状態変更する移動体と、
前記移動体が前記第2状態を取っているとき、前記移動体をその自重によって前記螺旋状山部の終端部に当接させ、前記回転軸の前記第2回転方向への回転に伴って前記移動体を前記螺旋状山部に再係合させる再係合手段と、
を備えた移動体の往復機構。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体の往復機構において、
前記再係合手段は、前記移動体を前記終端部に向けて傾けることで該終端部に当接させる移動体の往復機構。
【請求項3】
請求項2に記載の移動体の往復機構において、
前記再係合手段は、前記移動体を前記終端部に向けて傾ける第1傾斜面を有する第1傾斜部を含む移動体の往復機構。
【請求項4】
請求項3に記載の移動体の往復機構において、
前記移動体は、前記螺旋状山部に係合する係合部を有し、
前記第1傾斜部は、前記係合部を支点として前記移動体を傾ける移動体の往復機構。
【請求項5】
請求項4に記載の移動体の往復機構において、
前記第1傾斜部は、前記移動体が前記第1移動方向に進みつつ前記係合部が前記終端部に係合し始めるタイミングで、前記移動体を前記第1傾斜面上にガイドして傾け、前記係合部が前記終端部から外れた後、前記移動体を傾けた状態で前記終端部に当接させる移動体の往復機構。
【請求項6】
請求項5に記載の移動体の往復機構において、
前記螺旋状山部は、所定のピッチで配列された複数の山からなり、
前記第1傾斜部は、前記係合部が前記終端部から見て1/2ピッチ以内の前記山に係合するタイミングで前記移動体を前記第1傾斜面上にガイドする移動体の往復機構。
【請求項7】
請求項5または6に記載の移動体の往復機構において、
前記第1傾斜面は、第1傾斜角度を有し、
前記回転軸は、前記終端部近傍の部位から前記軸方向の外側に向かうにつれて外径が小さくなるテーパー形状を有し、
前記周面のテーパー角度は、前記第1傾斜角度以上に設定されている移動体の往復機構。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の移動体の往復機構において、
前記再係合手段は、さらに、前記係合部を支点として前記移動体を傾ける第2傾斜面を有する第2傾斜部を含み、
前記第2傾斜部は、前記第1傾斜部よりも前記第1移動方向の下流側に位置しており、
前記移動体は、前記第1移動方向下流側に延びる部材であって、前記係合部に加え、前記第1傾斜面に接触する第1接触部と、前記第1接触部よりも前記第1移動方向下流側に位置して前記第2傾斜面に接触する第2接触部とを有する移動体の往復機構。
【請求項9】
請求項8に記載の移動体の往復機構において、
前記第2傾斜面は、第2傾斜角度を有し、
前記第2傾斜角度は、前記第1傾斜角度よりも大きく設定されている移動体の往復機構。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の移動体の往復機構において、
さらに、前記駆動源を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記駆動源を制御して、前記回転軸を前記第1回転方向に第1所定時間だけ回転させた後、前記回転軸を前記第2回転方向に第2所定時間だけ回転させる移動体の往復機構。
【請求項11】
所定の清掃領域内で被清掃物を清掃する清掃部材と、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の移動体の往復機構と、を含み、
前記往復機構は、前記移動体として前記清掃部材を往復させる、清掃機構。
【請求項12】
請求項11に記載の清掃機構において、
前記再係合手段は、さらに、前記清掃部材が前記第2状態にあるときに前記清掃部材を前記終端部に向けて付勢する付勢部材を有する清掃機構。
【請求項13】
請求項12に記載の清掃機構において、
さらに、前記回転軸および前記清掃部を支持する支持板を備え、
前記付勢部材は、弾性を備え、前記清掃部材に取り付けられた弾性部材であり、
前記弾性部材は、前記清掃部材が前記第1移動方向に移動した後、前記支持板における所定の部位に当接して撓み、前記清掃部材が前記第2状態にあるとき、復元力によって前記清掃部材を前記終端部に向けて付勢する清掃機構。
【請求項14】
請求項13に記載の清掃機構において、
前記清掃部材は、弾性を備え、前記被清掃物を前記清掃領域内で清掃するための清掃パッドを有し、
前記弾性部材は、前記清掃パッドであり、
前記清掃パッドは、前記清掃部材が前記第2状態にあるとき、前記清掃領域を越え、前記所定の部位に当接して撓む清掃機構。
【請求項15】
請求項14に記載の清掃機構において、
前記清掃パッドは、前記第1傾斜部が前記清掃部材を傾け始めるタイミングで前記被清掃物から離間する清掃機構。
【請求項16】
窓部を有し、レーザー光を、前記窓部を介して所定の対象に対して走査して前記所定の対象上に静電潜像を形成する露光機構と、
前記窓部を清掃する清掃機構と、
を備え、
前記清掃機構として、請求項11〜15のいずれか一項に記載の清掃機構が用いられており、
前記清掃機構の清掃部材は、前記窓部を清掃する露光装置。
【請求項17】
像担持体と、
画像情報に基づいて前記像担持体に対してレーザー光を走査して、前記像担持体上に静電潜像を形成する露光装置と、
前記静電潜像を顕像する現像装置と、
顕像化された画像を前記像担持体から記録シート上に転写する転写部と、
前記画像を前記記録シート上に定着させる定着装置と、
を備え、
前記露光装置として、請求項16に記載の露光装置が用いられている画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−234012(P2012−234012A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101708(P2011−101708)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】