説明

移動体制御装置、及び、これを利用したスロットマシン

【課題】移動体の動作を制御しても、当該制御処理が大きな負荷にならない移動体制御装置の提供。
【解決手段】ステッピングモータ58へ駆動信号を送出する時間間隔よりも長い周期でフォトインタラプタ63, 64の検知結果信号を読み取り、これらの検知結果信号を時系列順に並べた時系列データを時系列データ保持部84に記憶させ、この時系列データ保持部84の時系列データに基づいて、フォトインタラプタ63, 64の検知結果信号が連続して所定回数以上続けて検知レベルとったことを時系列データ判定部85に判定させる。これにより、シャッター54が到達したか否かが的確に判定でき、シャッター54を適切に停止することができる。また、クロック信号に基づいて検知結果信号を読み取る場合に比べて、検知結果信号を読み取る間隔が著しく長くなるので、シャッター54の動作制御処理に係る負荷が著しく軽減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体に移動可能に設けられた移動体をステッピングモータで駆動するとともに、予め設定された所定位置に達した前記移動体を当該所定位置に停止させるべく、前記ステッピングモータの動作を停止させる移動体制御装置、及び、この移動体制御装置を利用したスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基体に設定された二位置の間を移動可能に設けられた移動体をモータで駆動する移動体駆動機構が利用されている。
このような移動体駆動機構には、その動作を自動制御するために、一般的に、前述の二位置のそれぞれに配置されるとともに、移動体の近接を検出するフォトインタラプタ等の近接センサと、移動体の動きを制御するとともに、マイクロコンピュータを含んで構成される制御装置とが設けられる。
このうち、制御装置は、予め定められた事象を契機として、前述の二位置の一方から他方へ向かって移動体の移動を開始させ、この後、近接センサからの信号に基づいて、前述の二位置の他方に移動体が到着したと判定すると、当該移動体を停止させる制御を行うものである。
【0003】
ここで、制御装置は、内部に設けられている各回路同士の間で処理の同期を取るために、クロックジェネレータといわれる発振器にクロック信号を周期的に発生させ、このクロック信号を基準にして各処理を実行していくようになっている。
例えば、前述の移動体を停止させる制御を行うにあたり、近接センサの出力信号をサンプリングするサンプリングタイミングとして、クロック信号の発生タイミングを利用している。換言すると、制御装置は、クロックジェネレータが発生するクロック信号を基準にしたタイミングで、近接センサからの信号をサンプリングし、この信号に基づいて、前述の二位置の他方に移動体が到着したと判定し、当該移動体を停止させるようになっている。
【0004】
一方、近接センサは、移動体に設けられた被検知部の近接を検知する検知部を有し、且つ、被検知部が検知部に近接すると、例えば、出力信号がローレベルからハイレベルへ移行するものとなっている。また、近接センサは、機械的振動や周囲の電磁ノイズ等により、移動体がまだ所定の位置に達していないのに、出力信号が瞬間的にハイレベルに移行するチャタリングを生じることがある。このため、近接センサからの信号を受信する前述の制御装置は、次のようにして、チャタリングを取り除いている。
すなわち、マイクロコンピュータを含んで構成される制御装置は、前述のクロック信号を基準にして動作しており、前述したように、クロック信号を基準にしたタイミングで、近接センサの出力信号をサンプリングして、サンプルデータを得ている。
【0005】
そして、サンプリングしたサンプルデータを時系列順に記憶し、所定数のサンプルデータが連続してハイレベルとなっているか否かを判別するようになっている。
ここで、所定数のサンプルデータが連続してハイレベルとなっていない場合には、チャタリングにより出力信号が瞬間的にハイレベルに移行したと見なせるので、当該出力信号のハイレベルへの移行を無効とし、移動体が近接していないと判定する。
逆に、所定数のサンプルデータが連続してハイレベルとなっている場合には、近接センサの出力信号が適正にハイレベルに移行したと見なせるので、移動体が近接したと判定する。
【0006】
このようにすれば、近接センサの出力信号からチャタリングを取り除くことができるので、制御装置は、近接センサの出力信号に基づいて、移動体が二位置のいずれかに到達したことを正しく判定できるようになり、移動体の動作を適切に制御することができる(例えば、特許文献1参照)。
ところで、回転リールの図柄を揃える遊技で人々に娯楽を提供するスロットマシンが広く利用されている。このようなスロットマシンにおいて、その前扉前面にリトラクタブル式照明装置を設け、遊技者が当たりを引き当てた場合に、リトラクタブル式照明装置を出現させて点灯させることにより、演出効果を向上することが考えられる。
【0007】
ここで、リトラクタブル式照明装置をスロットマシンに設けると、リトラクタブル式照明装置が出入りする開口を開閉するシャッターと、このシャッターを移動体として制御する制御装置とをスロットマシンに設ける必要が生じる。
【特許文献1】特開2000−270575号(第9頁第16欄、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述のような制御装置では、マイクロコンピュータ内部で発生するクロック信号の発生周期が、ステッピングモータの駆動タイミングとなる駆動信号の発信間隔よりも遙かに短いので、センサの出力信号を読み取るタイミングが必ずしもステッピングモータの動作状況に対応していないうえ、クロック信号を基準としたタイミングでサンプリングすると、単位時間当たりに得られるデータ数が、ステッピングモータの動作を制御するには過多となって、得られたサンプルデータの中に多数の不要なデータが含まれることとなる。
そして、このような不要なデータが多く含まれたサンプルデータを取り扱うと、マイクロコンピュータの負荷が必要以上に増えるので、マイクロコンピュータに無用の負荷がかかる、という問題がある。
【0009】
さらに、クロック信号を基準としたタイミングでサンプリングを行うと、短い時間でサンプリングするので、出力信号が立ち上がる際に瞬間的に発生するチャタリングを拾ってしまい、チャタリングの影響が無視できなくなることから、サンプリングしたサンプルデータに基づいてチャタリングを取り除く処理が行われるが、サンプルデータの中に含まれる不要なデータについてもチャタリングを取り除く処理が行われるので、この点からも、マイクロコンピュータに加わる無用の負荷がかかる、という問題が発生する。
また、スロットマシンにリトラクタブル式照明装置を設けて演出効果を向上することが考えられるが、この場合、シャッター等の移動体の動作を制御するにあたり、スロットマシンの遊技動作を制御している制御装置に移動体の動作制御を行わせると、マイクロコンピュータを含んで構成された制御装置に無用の負荷をかけることとなる。このため、遊技動作を制御するために設けた制御装置に移動体の制御を行わせても、当該制御装置に無用の負荷が加わらないようにしたい、という要望がある。
【0010】
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、移動体の動作制御において無用の負荷が加わらないようになる移動体制御装置、及び、遊技動作を制御する制御装置に移動体の制御を行わせても、当該制御装置に無用の負荷が加わらないようになるスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、前述の目的を達成するためになされたものである。以下に、各発明の特徴点を、図面に示した発明の実施の形態を用いて説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項1に記載された発明は、基体(30)に設定された所定の二位置の間を移動可能に設けられた移動体(54)をステッピングモータ(58)で駆動するにあたり、前記ステッピングモータへ駆動信号を送出するとともに、所定の二位置のいずれかに前記移動体(54)が達すると、前記ステッピングモータ(58)の動作を停止させる移動体制御装置であって、前記移動体(54)が前記所定の二位置のいずれかに近接すると、出力すべき検知結果信号の状態が非検知レベルから検知レベルへ移行し、反対に前記移動体(54)が前記所定の二位置のいずれかから離れると、検知結果信号の状態が検知レベルから非検知レベルへ移行する移動体検知手段(63, 64)と、所定の時間間隔をおいて前記ステッピングモータ(58)へ送出される駆動信号の送出時間間隔以上の間隔で、前記移動体検知手段(63, 64)が出力している検知結果信号を時系列順に記憶していく検知結果記憶手段(83,84、93,94)と、この検知結果記憶手段(83,84、93,94)が記憶している検知結果信号を取得していき、当該検知結果信号が連続して所定回数以上続けて検知レベルとなっている場合に、前記移動体(54)が前記二位置のいずれかに到達したと判定する到達判定手段(85, 97)とを備えていることを特徴とする。
【0012】
ここで、「移動体(54)が前記所定の二位置のいずれかに近接する」とは、移動体(54)が移動体検知手段(63, 64)のいずれかの検知可能範囲まで近づいたことをいう。
(請求項2)
前記検知結果記憶手段は、前記移動体検知手段からの検知結果信号を時系列順に記憶していく間隔が、前記ステッピングモータへ送出される駆動信号の送出時間間隔に基づいて設定されていることを特徴とする請求項1記載の移動体制御装置。
(請求項3)
(特徴点)
請求項3記載の発明は、前述した請求項1又は2記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
【0013】
すなわち、請求項3記載の発明は、前記ステッピングモータ(58)へ送出される駆動信号を取得し、取得した駆動信号の取得数をカウントしていき、取得数が所定数になると記憶契機信号を出力するカウント手段が設けられ、前記検知結果記憶手段(83,84,、93,94)は、前記カウント手段が記憶契機信号を出力すると、前記移動体検知手段(63, 64)が出力している検知結果信号を記憶するものであることを特徴とする。
(請求項4)
(特徴点)
請求項4記載の発明は、前述した請求項1から請求項3までのいずれかに記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
【0014】
すなわち、請求項4記載の発明は、前記二位置のいずれかに停止していた前記移動体(54)を当該位置から離隔させるために、前記ステッピングモータ(58)への駆動信号の送出が開始された際に、前記検知結果記憶手段(83,84,、93,94)が記憶している検知結果信号を取得していき、当該検知結果信号が連続して所定回数以上続けて検知レベルとなっている場合に、前記ステッピングモータ(58)に異常が発生したと判断するエラー判断手段(99)を備えていることを特徴とする。
(請求項5)
(特徴点)
請求項5記載の発明は、前述した請求項1から請求項4までのいずれかに記載の発明において、次の特徴点を備えているものである。
【0015】
すなわち、請求項5記載の発明は、前記移動体検知手段として、前記移動体(54)が前記二位置の一方の位置に達したことを検知するための第1移動体検知手段(63, 64)と、前記移動体が前記二位置の他方の位置に達したことを検知するための第2移動検知手段(64, 63)とが設けられ、当該移動体制御装置(43)には、前記第1移動体検知手段(63, 64)の検知結果信号及び前記第2移動体検知手段(64, 63)の検知結果信号の両方を取得するとともに、その論理和を演算して、その演算結果である論理和値を前記検知結果記憶手段へ送出する論理和演算手段(92)が設けられていることを特徴とするものである。
(請求項6)
(特徴点)
請求項6記載の発明は、請求項1に記載の発明を利用したものである。
【0016】
すなわち、請求項6記載の発明は、遊技用の機器や装置を収納するために、前面が開口された箱状に形成された筐体(20)と、この筐体(20)の開口を塞ぐ前扉(30)とを備えたスロットマシン(10)であって、前記前扉(30)の前面に設けられた開口(51)を閉鎖可能なサイズに形成されるとともに、前記開口(51)を閉鎖する閉鎖位置及び前記開口(51)を開放する開放位置の二位置間を回動可能に設けられたシャッター(54)と、このシャッター(54)を開閉駆動するステッピングモータ(58)と、前記シャッター(54)が前記二位置のいずれかに達すると、前記ステッピングモータ(58)の動作を停止させるシャッター制御装置とを備え、このシャッター制御装置には、前記シャッター(54)が前記二位置のいずれかに近接すると、出力すべき検知結果信号の状態が非検知レベルから検知レベルへ移行し、反対に前記シャッター(54)が前記二位置のいずれかから離れると、検知結果信号の状態が検知レベルから非検知レベルへ移行するシャッター検知手段(63, 64)と、所定の時間間隔をおいて前記ステッピングモータ(58)へ送出される駆動信号の送出時間間隔に基づいて設定されるとともに前記送出時間間隔以上に長い周期で、前記シャッター検知手段(63, 64)が出力している検知結果信号を時系列順に記憶していく検知結果記憶手段(83,84、93,94)と、この検知結果記憶手段(83,84、93,94)が記憶している検知結果信号を取得していき、当該検知結果信号が連続して所定回数以上続けて検知レベルとなっている場合に、前記シャッター(54)が前記二位置のいずれかに到達したと判定する到達判定手段(85, 97)とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
(請求項1の効果)
以上のように構成されている本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、ステッピングモータの駆動タイミングとなる駆動信号の送出時間間隔以上の間隔で移動体検知手段からの検知結果信号を検知結果記憶手段が記憶していくので、検知結果記憶手段に記憶される単位時間当たりのデータ数がステッピングモータの動作を制御するのに多すぎることがなく、得られたサンプルデータの中に多数の不要なデータが含まれることもない。
そして、このような検知結果記憶手段に記憶されるデータに基づいてステッピングモータの動作を制御するので、移動体制御装置をマイクロコンピュータを含んで構成しても、移動体制御装置のマイクロコンピュータの負荷が必要以上に増えることがなく、従って、移動体制御装置に無用の負荷がかかることを回避することができる。
【0018】
しかも、検知結果記憶手段が移動体検知手段からの検知結果信号を記憶していく間隔がより長くなるので、瞬間的に信号がハイレベルに移行するチャタリングの影響を受けにくくなるうえ、移動体の制御に不必要なデータが記憶されないので、チャタリングを取り除く処理を行っても、多数の無用なデータについての処理がなされることがなくなり、この点からも、移動体制御装置のマイクロコンピュータの負荷が必要以上に増えることがなく、移動体制御装置に無用の負荷がかかることを回避することができる。
(請求項2の効果)
請求項2記載の発明によれば、上記した請求項1記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0019】
すなわち、請求項2記載の発明によれば、移動体検知手段からの検知結果信号を検知結果記憶手段が時系列順に記憶していく間隔を、ステッピングモータへ送出される駆動信号の送出時間間隔に基づいて設定したので、移動体検知手段からの検知結果信号を記憶するタイミングがステッピングモータの動作状況に対応するようになり、検知結果記憶手段には、単位時間当たり、ステッピングモータの動作を制御するのに適した数量のデータが記憶され、得られたサンプルデータに不要なデータが含まれることを抑制でき、従って、移動体制御装置に無用の負荷がかかることを確実に防止することができる。
(請求項3の効果)
請求項3記載の発明によれば、上記した請求項1又は2記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0020】
すなわち、請求項3記載の発明によれば、駆動信号の取得数が所定数になるとカウント手段から記憶契機信号が出力され、この記憶契機信号が出力されるタイミングで検知結果記憶手段が移動体検知手段からの検知結果信号を記憶するようにしたので、検知結果記憶手段にデータが記憶されるタイミングがステッピングモータの動作状況に対応するようになるうえ、検知結果記憶手段に時系列順に記憶される複数のデータで時系列データを形成しても、不要なデータが時系列データに含まれることがなくなり、当該時系列データが無用に大きくなることが防止され、コンピュータ等の内部における時系列データの取り扱いが容易になる。また、この時系列データに基づいて移動体の動作を制御するにあたり、予め記憶しておいた参照時系列データと、検知結果記憶手段に記憶された時系列データとを比較し、その結果を利用して移動体を停止させるべきか否かの判断を行うようにしても、時系列データ及び参照時系列データの両方が過度に大きくなることがなく、この点からも、移動体制御装置のマイクロコンピュータの負荷が必要以上に増えることがなく、移動体制御装置に無用の負荷がかかることを回避することができる。
【0021】
(請求項4の効果)
請求項4記載の発明によれば、上記した請求項1から請求項3までのいずれかに記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項4記載の発明によれば、検知結果記憶手段に記憶されている検知結果信号の時系列データに基づいて、ステッピングモータについて異常があるか否かを判断するエラー判断手段を設けたので、ステッピングモータに異常が発生し、移動体の移動開始時に、ステッピングモータへの電力供給が開始されているにもかかわらず、移動体が移動を開始しない場合には、時系列データに含まれる検知結果信号が所定回以上続けて検知レベルとなるので、エラー判断手段によって、ステッピングモータの異常を確実に検出することができる。これにより、ステッピングモータの異常を確実に管理者に報知することもでき、ひいては、異常発生から修理完了までの時間を短縮することも図れるようになる。
【0022】
(請求項5の効果)
請求項5記載の発明によれば、上記した請求項1から請求項4までのいずれかに記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項5記載の発明によれば、故障等の不具合が発生していない限り、第1移動体検知手段及び第2移動体検知手段の両方が、同時に、検知レベル及び非検知レベルの一方から他方へ移行することがないので、ステッピングモータを駆動させるための駆動指令が示す移動方向、換言すれば、移動体を二位置のどちらに到達させるべきかを参照すれば、論理和演算手段の出力信号のみを監視することにより、二位置のいずれかに移動体が到達したことを判定することができる。そして、この際、第1移動体検知手段及び第2移動体検知手段の一方を状況に応じて選択する処理も不要となる。
【0023】
従って、第1移動体検知手段及び第2移動体検知手段からの二つの検知結果信号を別個且つ同時に監視する場合よりも、移動体の移動制御を行う移動体制御装置の負荷が減るので、移動体制御装置で、移動体の動作を制御するのと同時に、さらに別の制御対象を制御する場合、この別の制御対象を制御する処理を容易にすることができる。
また、故障等の不具合の発生が原因で、第1移動体検知手段及び第2移動体検知手段の両方、あるいは、そのいずれかの検知結果信号が、検知レベル及び非検知レベルの一方に膠着状態となった場合には、論理和演算手段からの出力信号も、ある時点から、検知レベル及び非検知レベルの一方に膠着状態となるので、論理和演算手段の出力信号が変化しなくなったことを検知する検知手段を設ければ、第1移動体検知手段及び第2移動体検知手段の異常を検出することもできる。
【0024】
(請求項6の効果)
請求項6記載の発明によれば、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、請求項6記載の発明によれば、ステッピングモータの駆動タイミングとなる駆動信号の送出時間間隔以上の間隔でシャッター検知手段からの検知結果信号を検知結果記憶手段が記憶していくので、検知結果記憶手段に記憶される単位時間当たりのデータ数がステッピングモータの動作を制御するのに多すぎることがなく、得られたサンプルデータの中に多数の不要なデータが含まれることもない。
そして、このような検知結果記憶手段に記憶されるデータに基づいてステッピングモータの動作を制御するので、シャッター制御装置をマイクロコンピュータを含んで構成しても、シャッター制御装置のマイクロコンピュータの負荷が必要以上に増えることがなく、従って、シャッター制御装置に無用の負荷がかかることを回避することができる。
【0025】
しかも、検知結果記憶手段がシャッター検知手段からの検知結果信号を記憶していく間隔がより長くなるので、瞬間的に信号がハイレベルに移行するチャタリングの影響を受けにくくなるうえ、シャッターの制御に不必要なデータが記憶されないので、チャタリングを取り除く処理を行っても、多数の無用なデータについての処理がなされることがなくなる。
従って、シャッターを制御する装置に含まれるマイクロコンピュータの負荷が必要以上に増えることがなく、遊技動作を制御する遊技制御装置でシャッター制御装置を兼用させても、シャッター制御装置である遊技制御装置に無用の負荷がかかることを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明を実施するための最良の形態である実施形態について、図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1から図5までの図面は、本発明に係る第1実施形態を示すものである。図1は、本実施形態に係るスロットマシンを示す正面図、図2は、図1のII−II線における拡大断面図、図3は、本実施形態に係る遊技制御装置を示すブロック図、図4は、本実施形態に係るシャッター制御手段を示すブロック図、図5は、本実施形態に係るタイミング制御部を示すブロック図である。
[スロットマシン10の概要]
本実施形態に係るスロットマシン10は、図1に示すように、略六面体の箱状に形成された筐体20を備えている。
【0027】
筐体20は、遊技用の機器や装置を収納するために、前面が開口された箱状に形成されたものである。筐体20の内部には、横並びにされた3個の回転リール41を有するリールユニット40等遊技装置が収納されている。
筐体20の前面の開口は、当該開口に対応した形状の前扉30により塞がれている。この前扉30は、筐体20に回動可能に取り付けられ、これにより、筐体20の前面開口は、全体が開放可能となっている。また、前扉30のほぼ中央には、リール窓42を備えた前扉30が当該前面開口部を覆うように設けられている。
前扉30に設けられたリール窓42は、3個の回転リール41に記された図柄を外部に露出させるための窓であり、3個すべての回転リール41の回転が停止した際に、縦横3個ずつ配列された計9個の図柄が表示できるように形成されている。
【0028】
リール窓42の下方近傍には、左側から、貯留メダルを1枚ずつ投入するためのベットスイッチ33と、回転リール41の回転を開始させるためのスタートレバー35と、貯留メダルを3枚ずつ投入するためのマックスベットスイッチ34と、3個の回転リール41の回転をそれぞれ停止させる3個のストップボタン36と、メダルが投入されるメダル投入口31とが設けられている。
また、前扉30の下部には、入賞時にメダルを払い出すための払出口32が設けられている。この払出口32の下方には、受け皿39が設けられ、払出口32の図中右方には、演出音等を発するスピーカ38が設けられている。一方、前扉30の上部には、入賞時などに点滅する演出用ランプ37等が設けられている。
【0029】
筐体20の内部には、前述したリールユニット40の他に、スロットマシン10の遊技における動作を制御する遊技制御装置43が収納されている。
遊技制御装置43は、スロットマシン10の遊技動作そのものを制御するための電子回路が形成された図示しないメイン基板と、スロットマシン10の演出動作を制御するための電子回路が形成された図示しないサブ基板とに分割されたものである。
このうち、メイン基板は、筐体20の裏面に配置された側壁の内面に取り付けられた基板ケース44の内部に収納されている。この基板ケース44は、透明な合成樹脂を平たい直方体状に成形したものとなっている。
【0030】
一方、サブ基板は、図1中左方に配置された側壁の内面に取り付けられた基板ケース45の内部に収納されている。この基板ケース45は、基板ケース44と同様に、透明な合成樹脂を平たい直方体状に成形したものとなっている。
[リトラクタブル式照明装置50]
ここで、リール窓42の図1中上方には、遊技者が大当たりを引き当てた際の演出のために点灯されるリトラクタブル式照明装置50が設けられている。
リトラクタブル式照明装置50は、遊技者が大当たりを引き当てるまでは、前扉30の内部に引き込まれて格納された状態とされ、遊技者が大当たりを引き当てると、前扉30の内部から迫り出してくるものとなっている。
【0031】
すなわち、前扉30の前面には、図2に示すように、リトラクタブル式照明装置50に応じて形成された開口51が設けられている。
一方、リトラクタブル式照明装置50は、キセノンランプ等の強力な光源52を保持した光源保持部53と、この光源保持部53が裏面に固定されたシャッター54とを備えている。
このうち、シャッター54は、図2中上方に配置された端縁部分が、前扉30の裏面における開口51の図2中上方の部分に設けられたヒンジ部55を介して前扉30の裏面に取り付けられている。これにより、光源保持部53は、開口51を通じて前扉30の裏側へ没入可能且つ前扉30の表側へ突出可能となっている。
【0032】
この際、光源保持部53は、凹面状に形成された反射板56を備え、この反射板56の内部に前述の光源52が配置され、光源保持部53が開口51を通じて前扉30の表側に突出すると、遊技者の頭部位置に向かって、光源52が発する光を照射するものとなっている。
一方、シャッター54は、前扉30の前面に設けられた開口51を閉鎖可能なサイズに形成されて、光源保持部53が開口51を通じて前扉30の裏側に没すると、開口51を塞ぐものとなっている。このようなシャッター54は、ヒンジ部55で前扉30の裏面に取り付けられていることから、開口51を閉鎖する閉鎖位置及び開口51を開放する開放位置の二位置間を回動可能となっている。
【0033】
そして、シャッター54を回動可能にしているヒンジ部55には、その回動軸55A と同軸位置に配置されるとともに、その外周縁に歯車の歯が多数形成された扇形状のラック57が設けられている。
また、ヒンジ部55の回動軸55A の近傍には、シャッター54を開閉駆動するステッピングモータ58が設けられている。
ステッピングモータ58の回転駆動力は、ステッピングモータ58の出力軸58A に固定されたピニヨン59A と、ラック57との間に設けられた歯車59B によって減速されてラック57に伝達されている。このステッピングモータ58の回転駆動力でシャッター54が開閉されるようになっている。
【0034】
ここにおいて、前扉30は、移動体であるシャッター54が所定の二位置の間を移動可能に設けられている基体となっている。
このように、閉鎖位置及び開放位置の二位置間を回動可能となったシャッター54側には、シャッター54の位置を検出するために、被検知部としてのタブ61が設けられている。
より具体的に説明すると、シャッター54の裏面に固定された光源保持部53には、前扉30の表側に突出する位置に移動した状態でも、前扉30の裏側に没入したままとなる被隠蔽部62が設けられている。この被隠蔽部62には、ヒンジ部55とは反対側となる回動端縁から径方向外側へ延びる長方形状の突起が設けられ、この突起が前述のタブ61となっている。
【0035】
一方、前扉30の裏側には、シャッター54側に設けられた被検知部であるタブ61の近接を検知する二つのフォトインタラプタ63,64が設けられている。
フォトインタラプタ63は、シャッター54が開放位置に達したことを検知するためのシャッター開放検知手段である。このフォトインタラプタ63の設置位置は、前扉30側に設定された検知位置であって、シャッター54が開放位置に達した際にタブ61が配置される位置に対応した位置、換言すると、前扉30の表面に近接する位置となっている。
フォトインタラプタ64は、シャッター54が閉鎖位置に達したことを検知するためのシャッター閉鎖検知手段である。このフォトインタラプタ64の設置位置は、前扉30側に設定された検知位置であって、シャッター54が閉鎖位置に達した際にタブ61が配置される位置に対応した位置、換言すると、前扉30の表面から離隔した位置となっている。
【0036】
これらのフォトインタラプタ63,64は、リトラクタブル式照明装置50に設けられたシャッター54の開閉動作の制御を行うためのセンサであり、後述するシャッター制御手段80を構成する構成要素の一部である。フォトインタラプタ63,64の各々は、シャッター54側のタブ61が近接したことを検知する検知部65を備えている。各検知部65には、図示しない投光素子及び受光素子が設けられている。
そして、シャッター54側のタブ61が検知部65に近接して、検知部65に備えられた図示しない投光素子と受光素子との間に進入し、図示しない投光素子が発する光を遮ると、フォトインタラプタ63,64の各々は、出力すべき出力信号である検知結果信号の状態が非検知レベルから検知レベルへ移行するようになっている。
【0037】
反対に、タブ61が検知部65から離れて、検知部65に備えられた図示しない投光素子と受光素子との間から逸脱し、図示しない投光素子が発する光を受光素子が受光すると、フォトインタラプタ63,64の各々は、検知結果信号の状態が検知レベルから非検知レベルへ移行するようになっている。
なお、本実施形態においては、検知結果信号のレベル値として、「1」が検知レベルとして、「0」が非検知レベルとして採用されている。
[遊技制御装置43の概要]
以上のようなリトラクタブル式照明装置50は、前述した遊技制御装置43により、その動作が制御されるようになっている。
【0038】
すなわち、遊技制御装置43は、マイクロコンピュータを利用したCPU並びにROM及びRAM等の記憶手段を含んで構成されたハードウェアに、演出動作制御や遊技動作制御を行うためのソフトウェアがインストールされたものである。
また、遊技制御装置43は、遊技者により操作されるスタートレバー35及びストップボタン36からの信号を受信し、これらの信号に基づいてリトラクタブル式照明装置50やリールユニット40等の各装置の動作を制御するようになっている。
この遊技制御装置43により、リトラクタブル式照明装置50のステッピングモータ58、リトラクタブル式照明装置50の光源52、演出用の音声を出力するための音源装置22A 、入賞時に遊技者へのメダルの払い出しを行うホッパーユニット21等の動作が制御されるようになっている。
【0039】
このような遊技制御装置43には、図3の如く、制御に必要な各種の信号を入力するための信号入力部71と、ホッパーユニット21やリールユニット40等の動作を制御するための制御信号を出力する制御信号出力部72と、信号入力部71に入力された信号に基づいて制御信号出力部72から出力する制御信号を生成する処理を行う遊技制御手段73と、リトラクタブル式照明装置50の動作制御を行うためのシャッター制御手段80とが設けられている。
ここで、信号入力部71には、スタートレバー35、ストップボタン36、及び、フォトインタラプタ63,64等が電気的に接続されている。
一方、制御信号出力部72には、リールユニット40の回転リール41を駆動するためのリール駆動装置40A 、ホッパーユニット21を駆動するためのホッパー駆動装置21A 、演出用の音源装置22A 、光源52を点灯するための照明駆動装置23、シャッター54を駆動するステッピングモータ58等が電気的に接続されている。
【0040】
なお、音源装置22A には、当該音源装置22A の生成した音声信号を増幅する増幅器22B が接続されている。音源装置22A が生成した演出用の音声は、増幅器22B に接続されたスピーカユニット22C からが出力されるようになっている。
[シャッター制御手段80]
ここで、シャッター制御手段80は、リトラクタブル式照明装置50に設けられたシャッター54の開閉動作の制御を主に行うものであり、シャッター54の動作制御に係る構成を以下に詳しく説明する。なお、シャッター制御手段80は、シャッター54の開閉動作に対応して、照明駆動装置23に点灯指令信号及び消灯指令信号のいずれか一方を送り、これにより、光源52を点灯又は消灯する制御機能も有しているが、この光源52の制御に係る説明は省略する。
【0041】
シャッター制御手段80は、図4に示すように、遊技制御手段73からの開指令信号及び閉指令信号を交互に受信(取得)するようになっている。そして、シャッター制御手段80は、受信した開指令信号及び閉指令信号に従ってシャッター54を開閉させるべく、ステッピングモータ58に対して正回転駆動信号及び逆回転駆動信号を送出するものとなっている。
これらの正回転駆動信号又は逆回転駆動信号をシャッター制御手段80から受信(取得)すると、ステッピングモータ58は、受信した正回転駆動信号又は逆回転駆動信号に対応した方向に回転するようになっている。なお、本実施形態では、正回転駆動信号及び逆回転駆動信号を形成する駆動信号として、おおよそ1msec程度の周期を有するパルス信号を採用することができる。
【0042】
また、シャッター制御手段80は、開放位置からの検知結果信号、すなわち、フォトインタラプタ63からの検知結果信号、及び、閉鎖位置からの検知結果信号、すなわち、フォトインタラプタ64からの検知結果信号を受信(取得)するようになっている。そして、シャッター制御手段80は、受信した開放位置からの検知結果信号、及び、閉鎖位置からの検知結果信号に基づいて、作動しているシャッター54を停止させるべく、ステッピングモータ58に対して停止信号を送出するものとなっている。
このようなシャッター制御手段80には、遊技制御手段73からの指令信号に基づいてステッピングモータ58の駆動信号を送出する電動機駆動制御部81と、ステッピングモータ58の駆動方向に応じてフォトインタラプタ63からの検知結果信号及びフォトインタラプタ64からの検知結果信号の一方を選択する検知結果信号選択部82と、検知結果信号選択部82が選択した検知結果信号を所定のタイミングで読み取ってバッファー的に保持する検知結果信号保持部83と、フォトインタラプタ63, 64から送られてきた検知結果信号を時系列データにして保持する時系列データ保持部84と、この時系列データ保持部84に保持されている時系列データが所定パターンと一致するか否かを判定する時系列データ判定部85と、この時系列データ判定部85の判定結果に応じて、ステッピングモータ58の停止信号を送出する電動機停止制御部86と、電動機駆動制御部81が送出する駆動信号の送出タイミング等を制御するための駆動信号を送出するタイミング制御部100 が設けられている。
【0043】
電動機駆動制御部81は、遊技制御手段73からの開指令信号及び閉指令信号の二つの信号を交互に受信(取得)し、受信した開指令信号及び閉指令信号の一方に応じて、ステッピングモータ58へ正回転駆動信号及び逆回転駆動信号のいずれか一方を出力するものとなっている。
ここで、電動機駆動制御部81は、正回転駆動信号及び逆回転駆動信号を送出するにあたり、その送出タイミングを、タイミング制御部100 から送出されてくるタイミング制御用のパルス信号に同期させるように形成されている。換言すると、電動機駆動制御部81は、タイミング制御部100 からタイミング制御用のパルス信号を受信(取得)する毎に、正回転駆動信号及び逆回転駆動信号のいずれか一方の駆動信号を送出するようになっている。
【0044】
例えば、ステッピングモータ58が正回転するとシャッター54が開くように構成されている場合、電動機駆動制御部81としては、開指令信号を受信(取得)すると、タイミング制御部100 からのパルス信号を受信する毎に、正回転駆動信号を出力し、閉指令信号を受信(取得)すると、タイミング制御部100 からのパルス信号を受信する毎に、逆回転駆動信号を出力するものが採用できる。
また、電動機駆動制御部81は、遊技制御手段73からの開指令信号及び閉指令信号の一方を受信すると、受信した開指令信号及び閉指令信号に応じて、ステッピングモータ58の回転方向を示す開方向信号及び閉方向信号の一方を検知結果信号選択部82へ出力するものとなっている。
【0045】
検知結果信号選択部82は、電動機駆動制御部81からの信号に応じて、フォトインタラプタ63からの検知結果信号及びフォトインタラプタ64からの検知結果信号の一方を選択して検知結果信号保持部83へ送出するものである。具体的には、検知結果信号選択部82は、電動機駆動制御部81から開方向信号を受信(取得)すると、開放位置に配置されたフォトインタラプタ63からの検知結果信号を選択する一方、電動機駆動制御部81から閉方向信号を受信すると、閉鎖位置に配置されたフォトインタラプタ64からの検知結果信号を選択するようになっている。
検知結果信号保持部83は、タイミング制御部100 が送出するパルス信号である記憶契機信号を受信(取得)する毎に、検知結果信号選択部82が選択した検知結果信号を読み取るとともに、読み取った検知結果信号のレベル値を、時系列データ保持部84がデータ更新のための準備処理を完了するまで保持するものである。
【0046】
時系列データ保持部84は、所定数のビット(例えば、4ビット)からなるデータを保持することが可能とされるともに、記憶しているデータを上位側へ1ビットずつシフトして最下位のビットを空にする準備処理を行った後、空になった最下位のビットに、検知結果信号保持部83に保持されている最新の検知結果信号を格納していくものとなっている。
これにより、時系列データ保持部84の内部には、フォトインタラプタ63, 64の検知結果信号が時系列順に配列された時系列データが形成され、この時系列データが記憶されている。換言すれば、時系列データ保持部84は、時系列データを記憶する検知結果記憶手段となっている。
【0047】
これにより、時系列データ保持部84がデータの上位側へのシフトを行う準備処理を完了させ、新たな1ビットデータの保持が可能となるまでの間、検知結果信号保持部83が検知結果信号のレベル値を保持するので、所定のタイミングで読み取った検知結果信号のレベル値で確実に時系列データ保持部84の時系列データを構成できるようになっている。換言すれば、検知結果信号保持部83の検知結果信号保持により、フォトインタラプタ63, 64の検知結果信号の読取処理を予め決められた所定のタイミング毎に確実に行うことができるようになっている。
ここにおいて、検知結果信号保持部83及び時系列データ保持部84は、ステッピングモータ58に所定の時間間隔をおいて送出される駆動信号の送出時間間隔以上の周期で、シャッター検知手段であるフォトインタラプタ63, 64が出力している検知結果信号を時系列順に記憶していく検知結果記憶手段を構成するものとなっている。
【0048】
時系列データ判定部85は、シャッター54が開放位置及び閉鎖位置のいずれかに到達したと判定する到達判定手段である。
すなわち、時系列データ判定部85は、同一レベル値のデータが所定数配列されたデータパターンとしての所定パターンに、時系列データ保持部84が記憶している時系列データが一致するか否かを判定するものである。
換言すると、時系列データ判定部85は、時系列データ保持部84が記憶している検知結果信号を取得していき、当該検知結果信号が連続して所定回数以上続けて検知レベルとなっているか否かを判定する。そして、時系列データ判定部85は、時系列データが所定パターンと一致する場合に、開放位置及び閉鎖位置のいずれかにシャッター54が到達したと判定し、電動機停止制御部86へシャッター到達信号を送出するようになっている。
【0049】
電動機停止制御部86は、時系列データ判定部85からのシャッター到達信号を受信(取得)すると、ステッピングモータ58へ停止信号を出力するものとなっている。
タイミング制御部100 は、図示しないクロック信号発生回路が発生するクロック信号を分周することにより、電動機駆動制御部81等へ送出するタイミング制御用のパルス信号を発生するものとなっている。
すなわち、タイミング制御部100 には、図5に示すように、電動機駆動制御部81の駆動信号送出タイミングを制御するためのパルス信号である送出契機信号を発生する駆動信号送出用分周部101 と、この駆動信号送出用分周部101の分周比の設定及び記憶を行うための分周比(1/n)設定記憶部102 と、検知結果信号保持部83が検知結果信号を読み取るタイミングを制御するための記憶契機信号を発生する記憶契機信号発生用分周部103 と、この記憶契機信号発生用分周部103 の分周比の設定及び記憶を行うための分周比(1/m)設定記憶部104 とが設けられている。
【0050】
駆動信号送出用分周部101 は、分周比(1/n)設定記憶部102 に設定・記憶されている分周比の設定値nを受信(取得)し、クロック信号を1/nに分周するものである。例えば、10MHzのクロック信号に対して、設定値nが1×104に設定されているとすると、駆動信号送出用分周部101 は、1kHzの送出契機信号を電動機駆動制御部81へ送出するようになっている。
記憶契機信号発生用分周部103 は、分周比(1/m)設定記憶部104 に設定・記憶されている分周比の設定値mを受信(取得)し、クロック信号を1/mに分周するものである。例えば、10MHzのクロック信号に対して、設定値mが1×105に設定されているとすると、記憶契機信号発生用分周部103 は、100Hzの記憶契機信号を検知結果信号保持部83へ送出するようになっている。
【0051】
ここで、分周比(1/m)設定記憶部104 に設定・記憶されている分周比の設定値mは、分周比(1/n)設定記憶部102 に設定・記憶されている分周比の設定値nに基づいて設定されるものであり、具体的には、m=A×nとなっている。なお、Aは、1以上の正整数である。
また、記憶契機信号発生用分周部103 が記憶契機信号を送出する送出時間間隔は、検知結果記憶手段(検知結果信号保持部83及び時系列データ保持部84)が移動体検知手段であるフォトインタラプタ63, 64からの検知結果信号を時系列順に記憶していく間隔となっている。そして、記憶契機信号の送出時間間隔は、分周比(1/m)設定記憶部104 に設定・記憶されている分周比の設定値mによって決定されるものである。
【0052】
このため、記憶契機信号の送出時間間隔は、ステッピングモータ58へ送出される駆動信号の送出時間間隔に基づいて設定されたものとなっており、ステッピングモータ58への駆動信号の送出時間間隔以上の間隔に設定されている。
以上により、検知結果記憶手段(検知結果信号保持部83及び時系列データ保持部84)は、ステッピングモータ58へ送出される駆動信号の送出時間間隔以上の間隔で、フォトインタラプタ63, 64からの検知結果信号を時系列順に記憶していくようになっている。
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、ステッピングモータ58の駆動タイミングとなる駆動信号の送出時間間隔以上の間隔で、フォトインタラプタ63, 64からの検知結果信号を検知結果信号保持部83及び時系列データ保持部84が記憶していくので、検知結果信号保持部83及び時系列データ保持部84に記憶される単位時間当たりのデータ数がステッピングモータ58の動作を制御するのに多すぎることがなく、得られたサンプルデータの中に多数の不要なデータが含まれないようにすることができる。
【0053】
そして、このような検知結果信号保持部83及び時系列データ保持部84に記憶されるデータに基づいてステッピングモータ58の動作を制御するので、マイクロコンピュータを含んで遊技制御装置43を構成しても、遊技制御装置43のマイクロコンピュータの負荷が必要以上に増えることがなく、従って、遊技制御装置43に無用の負荷がかかることを回避することができる。
しかも、検知結果信号保持部83及び時系列データ保持部84がフォトインタラプタ63, 64からの検知結果信号を記憶していく間隔がより長くなるので、瞬間的に信号がハイレベルに移行するチャタリングの影響を受けにくくなるうえ、シャッター54の制御に不必要なデータが記憶されないので、チャタリングを取り除く処理を行っても、多数の無用なデータについての処理がなされることがなくなり、この点からも、遊技制御装置43のマイクロコンピュータの負荷が必要以上に増えることがなく、遊技制御装置43に無用の負荷がかかることを回避することができる。
【0054】
また、フォトインタラプタ63, 64からの検知結果信号を検知結果信号保持部83及び時系列データ保持部84が時系列順に記憶していく間隔を、ステッピングモータ58へ送出される駆動信号の送出時間間隔に基づいて設定したので、フォトインタラプタ63, 64からの検知結果信号を記憶するタイミングがステッピングモータ58の動作状況に対応するようになり、検知結果信号保持部83及び時系列データ保持部84には、単位時間当たり、ステッピングモータ58の動作を制御するのに適した数量のデータが記憶され、得られたサンプルデータに不要なデータが含まれることを抑制でき、従って、遊技制御装置43に無用の負荷がかかることを確実に防止することができる。
【0055】
[第2実施形態]
図6には、本発明の第2実施形態に係るシャッター制御手段80A が示されている。本第2実施形態は、前記第1実施形態におけるクロック信号から形成された記憶契機信号を、駆動信号から形成された記憶契機信号としたものである。
すなわち、図6の如く、シャッター制御手段80A は、前記第1実施形態におけるシャッター制御手段80からタイミング制御部100 を省略し、その代わりに、クロック分周部105 及び駆動信号計数部106 を加えたものである。
クロック分周部105 は、電動機駆動制御部81の駆動信号送出タイミングを制御するためのパルス信号である送出契機信号を発生する図示しない駆動信号送出用分周部と、この駆動信号送出用分周部の分周比の設定及び記憶を行うための図示しない分周比(1/n)設定記憶部とを備えたものである。
【0056】
駆動信号送出用分周部及び分周比(1/n)設定記憶部は、前記実施形態における駆動信号送出用分周部101 及び分周比(1/n)設定記憶部102 と同様のものである。
すなわち、駆動信号送出用分周部は、分周比(1/n)設定記憶部に設定・記憶されている分周比の設定値nを受信(取得)し、クロック信号を1/nに分周するものである。
例えば、10MHzのクロック信号に対して、設定値nが1×104に設定されているとすると、駆動信号送出用分周部は、1kHzの送出契機信号を電動機駆動制御部81へ送出するようになっている。
電動機駆動制御部81は、この送出契機信号を受信(取得)する毎に、ステッピングモータ58へ正回転駆動信号又は逆回転駆動信号を送出するように形成されている。
【0057】
駆動信号計数部106 は、電動機駆動制御部81から正回転駆動信号又は逆回転駆動信号を受信(取得)し、受信した駆動信号の数を計数(カウント)するカウント手段である。そして、駆動信号計数部106 は、計数した駆動信号の数が、予め設定された設定値Aに達すると、記憶契機信号を検知結果信号保持部83へ送出するようになっている。
例えば、設定値Aとして「10」が設定されている場合、10MHzのクロック信号に対して、クロック分周部105が1kHzの送出契機信号を送出し、これに応じて、電動機駆動制御部81が1kHzの正回転駆動信号を送出するので、駆動信号計数部106 は、100Hzの記憶契機信号を検知結果信号保持部83へ送出するようになっている。
【0058】
これにより、記憶契機信号の送出時間間隔は、ステッピングモータ58へ送出される駆動信号の送出時間間隔に基づいて設定されたものとなっており、ステッピングモータ58への駆動信号の送出時間間隔以上の間隔に設定されている。
以上により、検知結果記憶手段(検知結果信号保持部83及び時系列データ保持部84)は、ステッピングモータ58へ送出される駆動信号の送出時間間隔以上の間隔で、フォトインタラプタ63, 64からの検知結果信号を時系列順に記憶していくようになっている。
[シャッター制御手段80A の動作]
次いで、本実施形態に係るシャッター制御手段80A の制御動作について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0059】
本実施形態に係るシャッター制御手段80A が行う制御処理は、スロットマシン10の基本的な遊技動作を制御するために行われる他の処理とともに時分割処理により並列処理されるものである。換言すれば、シャッター制御手段80A の制御処理は、スロットマシン10の遊技中に繰り返し行われるメインの制御ループを形成するために、複数設けられたサブの制御ループのうちの一つである。
従って、シャッター制御手段80A の制御処理は、スロットマシン10の遊技中に、ステッピングモータ58に駆動信号を出力する周期と同一の周期で何度も繰り返して実行されるようになっている。
【0060】
すなわち、シャッター制御手段80A の制御処理が開始されると、図7に示すように、ステップS1000において、ステッピングモータ58が動作しているか否かが判断される。具体的には、ステッピングモータ58の駆動状態を示すモータ駆動状態フラグFが成立しているか否か、換言すると、モータ駆動状態フラグFが「1」であるか否かが判断される。
なお、大当たりが引き当てられていない場合には、その演出が行われることがなく、リトラクタブル式照明装置50が作動せず、シャッター54を駆動するステッピングモータ58も動作していない。この場合には、モータ駆動状態フラグFが「0」となる。
一方、大当たりが引き当てられ、その演出を行うために、リトラクタブル式照明装置50が作動を開始すると、シャッター54を駆動するステッピングモータ58が動作するので、このようなときには、モータ駆動状態フラグFが「1」となる。
【0061】
ステップS1000において、モータ駆動状態フラグFが「1」でないと判断されると、ステップS2000へ進む一方、モータ駆動状態フラグFが「1」であると判断されると、ステップS3000へ進む。
ステップS2000では、遊技制御手段73からの起動指令、すなわち、開指令信号及び閉指令信号のいずれかが発信されたか否かが判断される。このステップS2000で、起動指令が発信されていないと判断された場合には、シャッター制御手段80A の制御処理が一旦終了となるので、メインの制御ループへ戻る。一方、ステップS2000で、起動指令が発信されたと判断された場合には、次のステップS2100へ進む。
【0062】
ステップS2100では、時系列データDのリセット処理を行う。具体的には、時系列データ保持部84に記憶されている時系列データDのすべてのビット、例えば、4つのビットをすべて「0」にする。このリセット処理が完了したら、次のステップS2200へ進む。
ステップS2200では、検知結果信号保持部83がフォトインタラプタ63, 64からの検知結果信号を読み取るタイミングを間接的に決定するタイマ変数Tの初期値を設定する初期値設定処理、例えば、タイマ変数Tの値を「9」に設定する初期値設定処理が行われる。なお、ここで設定される初期値は、前述の駆動信号計数部106 に予め設定された設定値Aが採用されるようになっている。
【0063】
ここで、検知結果信号保持部83がフォトインタラプタ63, 64からの検知結果信号を読み取るタイミングは、ステッピングモータ58に駆動信号が送出される送出時間間隔以上の周期で設定される。具体的に説明すると、ステッピングモータ58へ駆動信号を送出する回数がタイマ変数Tの値、例えば、「10」を超える毎に、検知結果信号保持部83がフォトインタラプタ63, 64からの検知結果信号を読み取るようになっている。
このようなステップS2200におけるタイマ変数Tの初期値設定処理が完了したら、次のステップS2300へ進む。
ステップS2300では、ステッピングモータ58へ駆動信号(パルス信号)を送出させる処理を行う。
【0064】
例えば、シャッター54を開放する際には、ステップS2300において、電動機駆動制御部81からステッピングモータ58へ正回転駆動信号、すなわち、ステッピングモータ58を正回転駆動する駆動信号を送出する処理が行われる。
逆に、シャッター54を閉鎖する際には、ステップS2300において、電動機駆動制御部81からステッピングモータ58へ逆回転駆動信号、すなわち、ステッピングモータ58を逆回転駆動する駆動信号を送出する処理が行われる。
このような駆動信号を送出する処理が完了したら、次のステップS2400へ進む。
ステップS2400では、ステッピングモータ58の駆動状態を示すモータ駆動状態フラグFを成立させる処理、換言すると、モータ駆動状態フラグFの値を「1」に設定する処理を行う。このモータ駆動状態フラグFを成立させる処理が完了したら、シャッター制御手段80の制御処理が一旦終了となるので、メインの制御ループへ戻る。
【0065】
ところで、前述したステップS1000において、モータ駆動状態フラグFが「1」であると判断されたために、ステップS3000へ進んだ場合、このステップS3000では、ステップS2300と同様に、ステッピングモータ58を駆動する駆動信号(パルス信号)を送出させる処理が行われる。そして、この駆動信号を送出させる処理が完了したら、次のステップS3100に進む。
ステップS3100では、タイマ変数Tの値が「0」よりも大きいか否かが判断される。このステップS3100で、タイマ変数Tの値が「0」よりも大きいと判断された場合には、ステップS3200へ進み、ステップS3200でタイマ変数Tの値から1を減算する処理を行う。このステップS3200における減算処理が完了したら、シャッター制御手段80A の制御処理が一旦終了となるので、メインの制御ループへ戻る。
【0066】
一方、ステップS3100で、タイマ変数Tの値が「0」よりも大きくないと判断された場合には、ステップS3300へ進む。
ステップS3300では、ステッピングモータ58が開方向へ駆動しているか否かが判断される。このステップS3300で、ステッピングモータ58が開方向へ駆動していると判断された場合には、ステップS3410へ進み、ステップS3410において、開位置に配置されたセンサであるフォトインタラプタ63の検知結果信号が読み取られ、この検知結果信号の値が保持値Sとして検知結果信号保持部83に保持される保持処理が行われる。この保持処理が完了したら、ステップS3500へ進む。
【0067】
反対にステップS3300で、ステッピングモータ58が閉方向へ駆動していると判断された場合には、ステップS3420へ進み、ステップS3420において、閉位置に配置されたセンサであるフォトインタラプタ64の検知結果信号が読み取られ、この検知結果信号の値が保持値Sとして検知結果信号保持部83に保持される保持処理が行われる。この保持処理が完了したら、ステップS3500へ進む。
ここで、フォトインタラプタ63, 64からの検知結果信号の読み取りを行う保持処理は、ステップS2200で初期値が設定され、且つ、ステップS3200で1を減算されたタイマ変数Tの値が「0」よりも小さくなったときにのみ行われる。例えば、タイマ変数Tの初期値が「10」に設定された場合、ステップS2300又はステップS3000において行われるステッピングモータ58への駆動パルスの供給が11回完了する毎に、検知結果信号の読み取りが1回だけ行われるようになっている。これにより、ステッピングモータ58に所定の時間間隔をおいて送出される駆動信号(パルス信号)の送出時間間隔以上に長い周期で、フォトインタラプタ63, 64が出力している検知結果信号が、時系列順に、検知結果記憶手段の一部である検知結果信号保持部83に記憶(保持)されていくようになっている。
【0068】
ステップS3500では、時系列データDの更新処理を行う。具体的には、ステップS3500においては、時系列データ保持部84に記憶されている時系列データDを上位側へ1ビットずつシフトして最下位のビットを空にした後、空になった最下位のビットに、検知結果信号保持部83に保持されている最新の検知結果信号の値である保持値Sを格納することで、時系列データDの内容を更新する更新処理を行う。このような更新処理が完了したら、次のステップS3600へ進む。
ステップS3600では、時系列データDの全ビットが「1」であるか否かが判断される。このステップS3600で、時系列データDの全ビットが「1」ではないと判断された場合には、シャッター54が未だ開放位置又は閉鎖位置に到達していないと判断できるので、次のステップS3700及びステップS3800をスキップしてステップS3900へ進む。
【0069】
一方、ステップS3600で、時系列データDの全ビットが「1」であると判断された場合には、シャッター54が開放位置又は閉鎖位置に到達したと判断できるので、次のステップS3700へ進み、ステップS3700でステッピングモータ58を停止する停止処理を行う。この後、ステップS3800へ進み、ステップS3800において、ステッピングモータ58の駆動状態を示すモータ駆動状態フラグFをリセットするリセット処理、具体的には、モータ駆動状態フラグFの値を「0」に設定するリセット処理を行い、このようなリセット処理が完了したら、その次のステップS3900へ進む。
ステップS3900では、タイマ変数Tを初期値に戻す初期化処理、例えば、タイマ変数Tの値を初期値である「10」に設定する初期化処理が行われる。このステップS3900における初期化処理が完了したら、シャッター制御手段80A の制御処理が終了となるので、メインの制御ループへ戻る。
【0070】
前述のような本実施形態によれば、前記第1実施形態の効果に加えて次のような効果が得られる。
すなわち、駆動信号の取得数が所定数になると駆動信号計数部106 から記憶契機信号が出力され、この記憶契機信号が出力されるタイミングで検知結果信号保持部83及び時系列データ保持部84がフォトインタラプタ63, 64からの検知結果信号を記憶するようにしたので、検知結果信号保持部83及び時系列データ保持部84にデータが記憶されるタイミングがステッピングモータの動作状況に対応するようになるうえ、時系列データ保持部84に時系列順に記憶される複数のデータで時系列データを形成しても、不要なデータが時系列データに含まれることがなくなり、当該時系列データが無用に大きくなることが防止され、コンピュータ等の内部における時系列データの取り扱いが容易になり、この点からも、遊技制御装置43のマイクロコンピュータの負荷が必要以上に増えることがなく、遊技制御装置43に無用の負荷がかかることを回避することができる。
【0071】
[第3実施形態]
図8には、本発明の第3実施形態に係るシャッター制御手段90が示されている。本第3実施形態は、前記第2実施形態におけるフォトインタラプタ63, 64の一方を選択し、選択された一方の検知結果信号に基づいてその後の処理を行う信号選択方式のシャッター制御手段80A を、フォトインタラプタ63, 64から出力される二つの検知結果信号の論理和を演算し、演算された論理和に基づいてその後の処理を行う論理和演算式のシャッター制御手段90としたものである。
[シャッター制御手段90]
すなわち、シャッター制御手段90は、図8に示すように、前記第2実施形態と同様に、クロック分周部105 及び駆動信号計数部106 を備えたものとなっている。
【0072】
クロック分周部105 は、クロック信号を分周したことにより、送出契機信号を発生するものであり、駆動信号計数部106 は、取得した駆動信号の数を計数(カウント)することにより、記憶契機信号を送出するものである。
また、シャッター制御手段90には、クロック分周部105 及び駆動信号計数部106 に加えて、遊技制御手段73からの指令信号に基づいてステッピングモータ58の起動指令信号を送出する電動機駆動制御部91と、フォトインタラプタ63, 64から出力される二つの検知結果信号の論理和を演算する論理和演算部92と、この論理和演算部92が演算した論理和を所定のタイミングで読み取ってバッファー的に保持する検知結果信号保持部93と、検知結果信号保持部93が保持した論理和の値を時系列データにして保持する時系列データ保持部94と、時系列データ保持部94が保持している時系列データ及び調整用の乗数値の論理積を求める論理演算を行う時系列データ論理積演算部95と、時系列データ論理積演算部95が算出した論理積の比較対象となる所定の参照値を保持している参照値保持部96と、時系列データ論理積演算部95の論理積及び参照値保持部96の参照値を相互に比較する時系列データ論理積比較部97と、この時系列データ論理積比較部97の比較結果に応じて、ステッピングモータ58の停止信号を送出する電動機停止制御部98と、時系列データ保持部94が保持している時系列データに基づいてステッピングモータ58の動作エラーを検知するエラー検知部99とが設けられている。
【0073】
電動機駆動制御部91は、遊技制御手段73からの開指令信号及び閉指令信号の二つの信号を交互に受信(取得)し、受信した開指令信号及び閉指令信号の一方に応じて、ステッピングモータ58へ正回転駆動信号及び逆回転駆動信号のいずれか一方を送出するものとなっている。
論理和演算部92は、フォトインタラプタ63の検知結果信号の値と、フォトインタラプタ64の検知結果信号の値との論理和を信号の値とする論理和信号を送出するものである。さらに具体的に説明すれば、論理和演算部92は、フォトインタラプタ63の検知結果信号値、及び、フォトインタラプタ64の検知結果信号値の少なくとも一方が「1」である場合に、その値が「1」となった検知結果信号を送出し、フォトインタラプタ63の検知結果信号値、及び、フォトインタラプタ64の検知結果信号値の両方がともに「0」である場合にのみ、その値が「0」となった検知結果信号を送出するように構成されている。
【0074】
検知結果信号保持部93は、ステッピングモータ58に供給される駆動信号の供給時間間隔以上に長い周期で、論理和演算部92が送出した論理和信号を読み取るとともに、読み取った論理和信号のレベル値を、時系列データ保持部94がデータ更新のための準備処理を完了するまで保持するものである。
時系列データ保持部94は、所定数のビット(例えば、16ビット)からなるデータを保持することが可能とされるともに、記憶しているデータを上位側へ1ビットずつシフトして最下位のビットを空にする準備処理を行った後、空になった最下位のビットに、検知結果信号保持部93に保持されている最新の検知結果信号を格納していくものとなっている。
【0075】
これにより、時系列データ保持部94の内部には、フォトインタラプタ63, 64の検知結果信号の論理和が時系列順に配列されて、下位のビットほど新しい検知結果信号の値となった時系列データが形成され、且つ、この時系列データが記憶されることとなる。換言すれば、時系列データ保持部94は、フォトインタラプタ63, 64の検知結果信号の論理和からなる時系列データを記憶する検知結果記憶手段となっている。
時系列データ論理積演算部95は、時系列データ保持部94が保持している時系列データからチャタリングによる影響を取り除くために、当該時系列データ及び調整用の乗数値の互いに対応するビット同士を掛け合わせて論理積を算出するものである。
【0076】
ここで、調整用の乗数値は、時系列データと同じビット長を有するとともに、開放位置及び閉鎖位置のいずれかにシャッター54が到達したことを判定する際に、検査対象となる時系列データの下位部分の直前に配置された中間部分に相当するビットが「0」に設定されるとともに、残りのビットがすべて「1」に設定されたパターンの数値列である。
例えば、時系列データが16ビットの数値列を形成するとともに、時系列データの下6桁がシャッター54の到達判定時における検査対象となる場合、調整用の乗数値としては、「1111−1100−0011−1111」が採用できる。
このような調整用の乗数値を採用した時系列データ論理積演算部95は、調整用の乗数値及び時系列データの互いに対応するビット同士を掛け合わせることにより、時系列データの検査対象となる下1桁目から下6桁目までの数値を維持したまま、その直前位置に配置された下7桁目から下10桁目までの数値をすべて「0」にし、これにより、検査直前にチャタリングによるノイズが発生していても、そのノイズの影響を除去することができるようになっている。
【0077】
参照値保持部96は、開放位置及び閉鎖位置のいずれかにシャッター54が到達したことを判定する際に参照されるとともに、当該判定の基準値となる参照値の保持及び記憶を行うものである。ここで、参照値は、時系列データと同じビット長を有するとともに、開放位置及び閉鎖位置のいずれかにシャッター54が到達した際に時系列データが呈するのと同じパターンの数値列である。具体的には、参照値は、検査対象となる時系列データの下位部分に相当するビットが「1」に設定されるとともに、残りのビットがすべて「0」に設定されたパターンの数値列である。
例えば、時系列データが16ビットの数値列を形成するとともに、時系列データの下6桁がシャッター54の到達判定時における検査対象となる場合、参照値としては、「0000−0000−0011−1111」が採用できる。
【0078】
時系列データ論理積比較部97は、シャッター54が開放位置及び閉鎖位置のいずれかに到達したと判定する到達判定手段である。
すなわち、時系列データ論理積比較部97は、時系列データ論理積演算部95の論理積及び参照値保持部96の参照値を相互に比較し、論理積と参照値とが一致するか否かに基づいてシャッター54の到着の判定を行うものである。そして、時系列データ論理積比較部97は、論理積と参照値とが一致する場合に、開放位置及び閉鎖位置のいずれかにシャッター54が到達したと判定し、電動機停止制御部98へシャッター到達信号を送出するようになっている。
【0079】
電動機停止制御部98は、時系列データ論理積比較部97からのシャッター到達信号を受信(取得)すると、ステッピングモータ58へ停止信号を送出するものとなっている。
エラー検知部99は、時系列データ保持部94が保持している時系列データの全ビットが同一の値であるか否かに基づいて、ステッピングモータ58の動作において動作エラーが発生したことの検知及び判定を行うエラー判定手段である。
換言すると、エラー検知部99は、時系列データ保持部94の時系列データのビットの値がすべて「0」及び「1」のいずれかである場合に、ステッピングモータ58の動作において動作エラーが発生したと判定するものである。そして、エラー検知部99は、ステッピングモータ58の動作エラー発生を検知すると、図示しないエラー発生警報装置等にエラー発生信号を送出して、その旨を報知するようになっている。
[シャッター制御手段90の動作]
次いで、本実施形態に係るシャッター制御手段90の制御動作について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0080】
本実施形態に係るシャッター制御手段90が行う制御処理は、前記第2実施形態に係るシャッター制御手段80A と同様に、スロットマシン10の基本的な遊技動作制御処理とともに並列処理されるものであり、具体的には、スロットマシン10の遊技中に、ステッピングモータ58に駆動信号を送出する周期と同一の周期で何度も繰り返して実行されるようになっている。
すなわち、シャッター制御手段90の制御処理が開始されると、図9に示すように、ステップS5000において、ステッピングモータ58の駆動状態を示すモータ駆動状態フラグFが「1」であるか否かが判断される。ステップS1000で、モータ駆動状態フラグFが「1」でないと判断されると、ステップS6000へ進む一方、モータ駆動状態フラグFが「1」であると判断されると、ステップS7000へ進む。
【0081】
ステップS6000では、遊技制御手段73からの起動指令、すなわち、開指令信号及び閉指令信号のいずれかが送出されたか否かが判断される。このステップS6000で、起動指令が送出されていないと判断された場合には、シャッター制御手段90の制御処理が一旦終了となるので、メインの制御ループへ戻る。一方、ステップS6000で、起動指令が送出されたと判断された場合には、次のステップS6100へ進む。
ステップS6100では、時系列データDの初期値を時系列データ保持部94に保持させる。ここで、時系列データDの初期値としては、エラー検知部99によってエラー発生と見なされないものであれば、適宜な形態のパターンに設定された数値列が採用でき、例えば、時系列データが16ビットの数値列を形成する場合、「1111−1111−1111−1110」が採用できる。このステップS6100で時系列データDの初期値保持処理が完了したら、次のステップS6110へ進む。
【0082】
ステップS6110では、時系列データ論理積演算部95に調整用の乗数値Cを保持させるとともに、時系列データ論理積比較部97が比較及び参照に用いる参照値Gを参照値保持部96に保持させる。このステップS6110で乗数値C及び参照値Gの保持処理が完了したら、次のステップS6200へ進む。
ステップS6200では、検知結果信号保持部93がフォトインタラプタ63, 64からの検知結果信号を読み取るタイミングを間接的に決定するタイマ変数Tの初期値を設定する初期値設定処理、例えば、タイマ変数Tの値を「9」に設定する初期値設定処理が行われる。このタイマ変数Tの初期値設定処理が完了したら、次のステップS6300へ進む。
【0083】
ステップS6300では、ステッピングモータ58を駆動する駆動信号(パルス信号)を送出させる処理、例えば、ステッピングモータ58を正回転駆動又は逆回転駆動する駆動信号を送出する処理が行われる。このような駆動信号を送出する処理が完了したら、次のステップS6400へ進む。
ステップS6400では、ステッピングモータ58の駆動状態を示すモータ駆動状態フラグFを成立させる処理、換言すると、モータ駆動状態フラグFの値を「1」に設定する処理が行われる。このモータ駆動状態フラグFを成立させる処理が完了したら、シャッター制御手段90の制御処理が一旦終了となるので、メインの制御ループへ戻る。
【0084】
一方、前述のステップS5000において、モータ駆動状態フラグFが「1」であると判断されたために、ステップS7000へ進んだ場合、このステップS7000では、ステップS6300と同様に、ステッピングモータ58を駆動する駆動信号(パルス信号)を送出させる処理が行われる。そして、この駆動信号を送出させる処理が完了したら、次のステップS7100に進む。
ステップS7100では、タイマ変数Tの値が「0」よりも大きいか否かが判断される。
このステップS7100で、タイマ変数Tの値が「0」よりも大きいと判断された場合には、ステップS7200へ進み、ステップS7200でタイマ変数Tの値から1を減算する処理が行われる。このステップS7200における減算処理が完了したら、シャッター制御手段90の制御処理が一旦終了となるので、メインの制御ループへ戻る。
【0085】
反対にステップS7100で、タイマ変数Tの値が「0」よりも大きくないと判断された場合には、ステップS7300へ進む。
ステップS7300では、フォトインタラプタ63の検知結果信号S1の値と、フォトインタラプタ64の検知結果信号S2の値との論理和Bを論理和演算部92に算出させ、算出された論理和Bの値を保持する検知結果信号保持部93に保持させる論理和演算処理が行われ、この論理和演算処理が完了したら、次のステップS7310へ進む。
ステップS7310では、時系列データDの更新処理が行われる。具体的には、ステップS7310においては、時系列データ保持部94に記憶されている時系列データDを上位側へ1ビットずつシフトして最下位のビットを空にした後、空になった最下位のビットに、検知結果信号保持部93に保持されている最新の論理和Bを格納することにより、時系列データDの内容を更新する更新処理が行われる。このような更新処理が完了したら、次のステップS7320へ進む。
【0086】
ステップS7320では、時系列データ保持部94に記憶されている時系列データDを構成するビットの値がすべて「0」及び「1」のいずれかであるか否かが判断される。
このステップS7320で、時系列データDのビットがすべて同じ、すなわち、「0」及び「1」のいずれか一方であると判断された場合には、ステップS7500へ進む。
反対に、ステップS7320において、時系列データDのビットがすべて同じではない、換言すると、時系列データDが「0」及び「1」の両方を含んでいると判断された場合には、ステップS7400へ進む。
ステップS7400では、調整用の乗数値C及び時系列データDの互いに対応するビット同士を掛け合わせる論理演算を時系列データ論理積演算部95に行わせることにより、その演算結果である論理積Eを算出する論理積演算処理が行われ、この論理積演算処理が完了したら、次のステップS7410へ進む。
【0087】
ステップS7410では、ステップS7400で算出した論理積Eと、参照値保持部96が保持している参照値Gとを相互に比較する比較処理が行われる。この比較処理が完了したら、次のステップS7420へ進む。
ステップS7420では、ステップS7410の比較結果に基づき論理積Eと参照値Gとが一致しているか否かが判断される。
このステップS7420で、論理積Eと参照値Gとが一致していないと判断された場合には、次のステップS7430及びステップS7440をスキップして、ステップS7450へ進む。
一方、ステップS7420で、論理積Eと参照値Gとが一致していると判断された場合には、次のステップS7430へ進む。
【0088】
ステップS7430では、ステッピングモータ58を停止する停止処理を行う。この停止処理が完了したら、ステップS7440へ進み、このステップS7440において、ステッピングモータ58の駆動状態を示すモータ駆動状態フラグFをリセットするリセット処理、具体的には、モータ駆動状態フラグFの値を「0」に設定するリセット処理を行い、このようなリセット処理が完了したら、その次のステップS7450へ進む。
ステップS7450では、タイマ変数Tを初期値に戻す初期化処理、例えば、タイマ変数Tの値を初期値である「10」に設定する初期化処理が行われる。このステップS7450における初期化処理が完了したら、シャッター制御手段90の制御処理が終了となるので、メインの制御ループへ戻る。
【0089】
ところで、前述したステップS7320において、時系列データ保持部94に記憶されている時系列データDを構成するビットの値がすべて「0」及び「1」のいずれかであると判断されたために、ステップS7500へ進んだ場合、ステッピングモータ58等にエラーが発生したと判断されるので、ステップS7500において、エラーの発生に対処するために、エラー発生時の処理が実行され、このエラー発生時の処理が完了したら、次のステップS7510に進む。
ステップS7510では、ステッピングモータ58を停止する停止処理を行う。この停止処理が完了したら、ステップS7520へ進み、このステップS7520において、ステッピングモータ58の駆動状態を示すモータ駆動状態フラグFをリセットするリセット処理、具体的には、モータ駆動状態フラグFの値を「0」に設定するリセット処理を行い、このようなリセット処理が完了したら、シャッター制御手段90の制御処理がエラー終了する。そして、シャッター制御手段90の制御処理がエラー終了すると、その後に、メインの制御ループへ戻り、メインの制御ループにおいて、スロットマシン10の遊技を中断する等のエラーに対応する処理が行われるようになっている。
【0090】
前述のような本第3実施形態によれば、前記第2実施形態と同様の効果を達成できる他、次のような効果を付加できる。
すなわち、時系列データ保持部94に記憶されている検知結果信号の時系列データに基づいて、ステッピングモータ58について異常があるか否かを判断するエラー判断手段としてエラー検知部99を設けたので、ステッピングモータ58に異常が発生し、シャッター54の移動開始時に、ステッピングモータ58への駆動信号の送出が開始されているにもかかわらず、シャッター54が移動を開始しない場合には、時系列データに含まれる検知結果信号が所定回以上続けて検知レベルとなるので、エラー検知部99によって、ステッピングモータ58の異常を確実に検出することができる。これにより、ステッピングモータ58の異常を確実に管理者に報知することもでき、ひいては、異常発生から修理完了までの時間を短縮することも図れるようになる。
【0091】
また、故障等の不具合が発生していない限り、フォトインタラプタ63及びフォトインタラプタ64の両方が、同時に、検知レベル及び非検知レベルの一方から他方へ移行することがないので、ステッピングモータ58を駆動させるための駆動指令が示す移動方向、換言すれば、シャッター54を二位置のどちらに到達させるべきかを参照すれば、論理和演算部92の出力信号のみを監視することにより、二位置のいずれかにシャッター54が到達したことを判定することができる。そして、この際、フォトインタラプタ63及びフォトインタラプタ64の一方を状況に応じて選択する処理も不要となる。
従って、フォトインタラプタ63及びフォトインタラプタ64からの二つの検知結果信号を別個且つ同時に監視する場合よりも、シャッター54の移動制御を行う遊技制御装置43の負荷が減るので、遊技制御装置43で、遊技動作を制御しながら、シャッター54の動作を制御する処理を容易にすることができる。
【0092】
さらに、故障等の不具合の発生が原因で、フォトインタラプタ63及びフォトインタラプタ64の両方、あるいは、そのいずれかの検知結果信号が、検知レベル及び非検知レベルの一方に膠着状態となった場合に、論理和演算部92からの出力信号も、ある時点から、検知レベル及び非検知レベルの一方に膠着状態となる。ここで、論理和演算部92の出力信号が変化しなくなったことをエラー検知部99で検知するようにしたので、このエラー検知部99により、フォトインタラプタ63及びフォトインタラプタ64の異常を検出することもできる。
また、ステッピングモータ58の動作エラー発生を検知するエラー検知部99として、時系列データ保持部94の時系列データのビットの値がすべて「0」及び「1」のいずれかである場合に、ステッピングモータ58の動作エラーが発生したと判定するものを採用したので、時系列データを検査する際に、そのビットの値がすべて同じ値であることを検知できればよいこととなり、簡単な構成でエラー検知部99を形成することができる。
【0093】
そのうえ、シャッター54が開放位置及び閉鎖位置のいずれかに膠着状態となっている場合には、時系列データ保持部94の時系列データに含まれる値がすべて「1」となり、シャッター54が開放位置と閉鎖位置との間の途中位置で膠着状態となっている場合には、時系列データ保持部94の時系列データに含まれる値がすべて「0」となることから、ステッピングモータ58の動作エラー発生を検出するにあたり、時系列データのビットの値がすべて同じ値であることを検知すればよいので、簡単な構成のエラー検知部99でも、ステッピングモータ58の動作エラー発生を確実に検知することができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形及び改良などをも含むものである。
【0094】
例えば、前記実施形態では、基体である前扉側に、フォトインタラプタの本体である検知部を設け、移動体であるシャッター側にフォトインタラプタに検知される被検知部としてのタブを設けたが、逆に、基体である前扉側に、フォトインタラプタに検知される被検知部を設け、移動体であるシャッター側に、フォトインタラプタの本体である検知部を設けてもよく、移動体検知手段の設置位置は、実施にあたり適宜設定できる。
また、移動体検知手段(シャッター検知手段)としては、フォトインタラプタに限らず、磁気式の近接センサや静電容量式の近接センサ等、他の検知方式を利用したものでもよい。
【0095】
さらに、前記第1実施形態では、駆動信号送出用分周部101 と、記憶契機信号発生用分周部103 とに対して、それぞれ別々に分周比が設定されるタイミング制御部100 を採用していたが、タイミング制御部としては、これに限らず、図10に示すように、駆動信号送出用分周部101 について分周比の設定がなされると、これに連動して、記憶契機信号発生用分周部103 についても分周比の設定が自動的なされるタイミング制御部100Aを採用してもよい。
具体的には、図10の如く、タイミング制御部100Aは、タイミング制御部100 から分周比(1/m)設定記憶部104 が取り除かれ、その代わりに、分周比乗算(1/A)設定部105 及び定数(A)設定部106 とが設けられたものである。
【0096】
分周比乗算(1/A)設定部105 は、分周比(1/n)設定記憶部102 から分周比(1/n)を受信(取得)し、受信した分周比(1/n)に定数(A)の逆数(1/A)を掛け合わせて分周比(1/m)を算出し、算出した分周比(1/m)を記憶契機信号発生用分周部103 へ送出するものである。記憶契機信号発生用分周部103 は、分周比乗算(1/A)設定部105 から受信(取得)した分周比でクロック信号を分周するようになっている。
定数(A)設定部106 は、分周比乗算(1/A)設定部105 に設定すべき定数(A)の設定するものである。分周比乗算(1/A)設定部105 は、定数(A)設定部106 から定数(A)を受信(取得)し、この定数(A)で乗算を行うようになっている。
【0097】
以上により、分周比(1/n)設定記憶部102 によって駆動信号送出用分周部101対して分周比(1/n)が設定されると、分周比(1/n)設定記憶部102 から分周比(1/n)が分周比乗算(1/A)設定部105 へも送出され、分周比乗算(1/A)設定部105 によって、記憶契機信号発生用分周部103 に対しても分周比(1/m)が自動的に設定されるようになる。
また、前記実施形態では、スロットマシンのシャッターの回動制御に本発明を適用したが、パチンコ機等の弾球遊技機において、ステッピングモータで駆動される電動役物の動作を制御する場合、あるいは、家電製品において所定の二位置間を自動的に移動させられる部位を有するもの、例えば、CDプレーヤ装置において、スライド可能に設けられたディスクトレーをステッピングモータで駆動する際に、その動作を制御する場合に本発明を適用することができ、要するに、本発明は、所定の二位置の間を移動可能に設けられた移動体をステッピングモータで駆動する装置全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスロットマシンを示す正面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線における拡大断面図である。
【図3】前記第1実施形態に係る遊技制御装置を示すブロック図である。
【図4】前記第1実施形態に係るシャッター制御手段を示すブロック図である。
【図5】前記第1実施形態に係るタイミング制御部を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るシャッター制御手段を示すブロック図である。
【図7】前記第2実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第3実施形態に係るシャッター制御手段を示すブロック図である。
【図9】前記第3実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の変形例を示す図5に相当する図である。
【符号の説明】
【0099】
10 スロットマシン
20 筐体
30 基体としての前扉
43 移動体制御装置(シャッター制御装置)としての遊技制御装置
51 開口
54 移動体としてのシャッター
58 ステッピングモータ
63, 64 移動体検知手段(シャッター検知手段)としてのフォトインタラプタ
83, 93 検知結果記憶手段を構成する検知結果信号保持部
84, 94 検知結果記憶手段を構成する時系列データ保持部
85 到達判定手段としての時系列データ判定部
92 論理和演算手段としての論理和演算部
97 到達判定手段としての時系列データ論理積比較部
99 エラー判断手段としてのエラー検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に設定された所定の二位置の間を移動可能に設けられた移動体をステッピングモータで駆動するにあたり、前記ステッピングモータへ駆動信号を送出するとともに、所定の二位置のいずれかに前記移動体が達すると、前記ステッピングモータの動作を停止させる移動体制御装置であって、
前記移動体が前記所定の二位置のいずれかに近接すると、出力すべき検知結果信号の状態が非検知レベルから検知レベルへ移行し、反対に前記移動体が前記所定の二位置のいずれかから離れると、検知結果信号の状態が検知レベルから非検知レベルへ移行する移動体検知手段と、
所定の時間間隔をおいて前記ステッピングモータへ送出される駆動信号の送出時間間隔以上の間隔で、前記移動体検知手段が出力している検知結果信号を時系列順に記憶していく検知結果記憶手段と、
この検知結果記憶手段が記憶している検知結果信号を取得していき、当該検知結果信号が連続して所定回数以上続けて検知レベルとなっている場合に、前記移動体が前記二位置のいずれかに到達したと判定する到達判定手段とを備えていることを特徴とする移動体制御装置。
【請求項2】
前記検知結果記憶手段は、前記移動体検知手段からの検知結果信号を時系列順に記憶していく間隔が、前記ステッピングモータへ送出される駆動信号の送出時間間隔に基づいて設定されていることを特徴とする請求項1記載の移動体制御装置。
【請求項3】
前記ステッピングモータへ送出される駆動信号を取得し、取得した駆動信号の取得数をカウントしていき、取得数が所定数になると記憶契機信号を出力するカウント手段が設けられ、
前記検知結果記憶手段は、前記カウント手段が記憶契機信号を出力すると、前記移動体検知手段が出力している検知結果信号を記憶するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の移動体制御装置。
【請求項4】
前記二位置のいずれかに停止していた前記移動体を当該位置から離隔させるために、前記ステッピングモータへの駆動信号の送出が開始された際に、前記検知結果記憶手段が記憶している検知結果信号を取得していき、当該検知結果信号が連続して所定回数以上続けて検知レベルとなっている場合に、前記ステッピングモータに異常が発生したと判断するエラー判断手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の移動体制御装置。
【請求項5】
前記移動体検知手段として、前記移動体が前記二位置の一方の位置に達したことを検知するための第1移動体検知手段と、前記移動体が前記二位置の他方の位置に達したことを検知するための第2移動検知手段とが設けられ、
当該移動体制御装置には、前記第1移動体検知手段の検知結果信号及び前記第2移動体検知手段の検知結果信号の両方を取得するとともに、その論理和を演算して、その演算結果である論理和値を前記検知結果記憶手段へ送出する論理和演算手段が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の移動体制御装置。
【請求項6】
遊技用の機器や装置を収納するために、前面が開口された箱状に形成された筐体と、この筐体の開口を塞ぐ前扉とを備えたスロットマシンであって、
前記前扉の前面に設けられた開口を閉鎖可能なサイズに形成されるとともに、前記開口を閉鎖する閉鎖位置及び前記開口を開放する開放位置の二位置間を回動可能に設けられたシャッターと、
このシャッターを開閉駆動するステッピングモータと、
前記シャッターが前記二位置のいずれかに達すると、前記ステッピングモータの動作を停止させるシャッター制御装置とを備え、
このシャッター制御装置には、
前記シャッターが前記二位置のいずれかに近接すると、出力すべき検知結果信号の状態が非検知レベルから検知レベルへ移行し、反対に前記シャッターが前記二位置のいずれかから離れると、検知結果信号の状態が検知レベルから非検知レベルへ移行するシャッター検知手段と、
所定の時間間隔をおいて前記ステッピングモータへ送出される駆動信号の送出時間間隔以上の間隔で、前記シャッター検知手段が出力している検知結果信号を時系列順に記憶していく検知結果記憶手段と、
この検知結果記憶手段が記憶している検知結果信号を取得していき、当該検知結果信号が連続して所定回数以上続けて検知レベルとなっている場合に、前記シャッターが前記二位置のいずれかに到達したと判定する到達判定手段とを備えていることを特徴とするスロットマシン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−264416(P2008−264416A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115096(P2007−115096)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(390026620)山佐株式会社 (108)
【Fターム(参考)】