説明

移動体検知システムおよび移動体検知具

【課題】所望のエリアへの侵入体を検知するセンサを、所定の位置に簡易に設置できる移動体検知システムを提供する。
【解決手段】監視対象である所定エリアA内に、地盤に一部または全部が埋め込まれた移動体検知具2Aと、所定エリアAを監視する監視装置3とを備え、移動体検知具2Aには、監視装置3または他の移動体検知具2Bに対して無線通信を行う無線通信装置58、移動体Bを検知する移動体検知センサ52,55、移動体検知センサ52,55が移動体Bを検知すると、その旨を無線通信装置58を介して監視装置3または他の移動体検知具2Bに通知する移動体検知通知手段60、および監視装置3からの指示を受けて、または他の移動体検知具2Bの移動体検知通知手段60から移動体Bを検知した旨の通知を受けて、検知された移動体Bについての情報を取得する移動体情報取得手段54,56が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に埋め込まれる杭などからなる移動体検知具であって、移動体検知具自体の位置情報が統合的に管理されている移動体検知具杭に複数のセンサを装備して、これら移動体検知具杭を複数備えることで人体を含む移動体を検知する移動体検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
監視対象である所定のエリアへの侵入体を検知するために、ビデオカメラを配置し、このビデオカメラの映像を録画して監視することで、敵の車両や人間などの侵入体を検知する方法がある。しかし、通常、ビデオカメラを配置できる場所が限られる上に、建物の壁などへの設置には様々な条件があるため、広範囲に多数ビデオカメラを設けるのは、設置条件に照らして極めて困難である。
【0003】
一方、所望のエリアへの侵入体を検知するセンサを複数備え、人間がこの侵入体への攻撃を行うか否かを判断するために、遠隔制御するシステムが存在する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−115433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1のシステムは、センサの配置すべき位置を算出してセンサを柔軟に配置するものであるが、如何なる手段によってセンサを設置するかについては記載がない。ここで、建物の壁などでは設置場所が限定されてしまうため、センサを任意の位置に配置するためには、地盤に設置するのが望ましい。しかし、地盤にセンサを簡易に設置できる上に、その設置位置からセンサが移動してしまうことなく確実に備え付けられるようにするのは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、所望のエリアへの侵入体を検知するセンサを、所定の位置に簡易に設置できる上に、その設置位置からセンサが移動してしまうことなく確実に備え付けられる、移動体検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一構成にかかる移動体検知システムは、移動体を検知する移動体検知システムであって、監視対象である所定エリア内の地盤に一部または全部が埋め込まれた少なくとも1つの移動体検知具と、前記所定エリアを監視する監視装置とを備え、前記少なくとも1つの移動体検知具には、前記監視装置または他の移動体検知具に対して無線通信を行う無線通信装置、移動体を検知する移動体検知センサ、前記移動体検知センサが移動体を検知すると、その旨を前記無線通信装置を介して前記監視装置または前記他の移動体検知具に通知する移動体検知通知手段、および前記監視装置からの指示を受けて、または他の移動体検知具から移動体を検知した旨の通知を受けて、検知された移動体についての情報を取得する移動体情報取得手段が設けられている。
【0008】
この構成によれば、移動体検知具が、移動体を検知する移動体検知センサを有するため、移動体検知具を適切に配置すれば、監視対象である所定エリア内における移動体を確実に検知することができる。ここで、移動体検知センサを適切に配置できるのは、移動体検知具に移動体検知センサが設けられており、移動体検知具は地盤に埋め込まれるものであるため、地盤さえあれば簡易に設置され、その設置位置から容易に移動してしまうことがないからである。
また、移動体を検知すると、その旨を監視装置または他の移動体検知具に通知し、これに応答して、いくつかの移動体検知具が移動体についての情報を取得するので、移動体検知具が複数存在する場合、これら複数の移動体検知具に設置された移動体情報取得手段が連係して、移動体についての詳細な情報を取得することができる。そして、通常の監視は移動体を検知するだけで、一旦移動体を検知してから移動体検知具に設置された移動体情報取得手段が作動するため、移動体を検知するための装置全体の消費電力を抑えることができる。
【0009】
本発明の他の構成にかかる移動体検知システムは、移動体を検知する移動体検知システムであって、監視対象である所定エリア内の地盤に一部または全部が埋め込まれた複数の移動体検知具からなる、少なくとも1つの移動体検知具群と、前記所定エリアを監視する監視装置とを備え、前記移動体検知具には、それぞれ、前記監視装置または他の移動体検知具に対して無線通信を行う無線通信装置が設けられ、前記移動体検知具群のうちの少なくとも1つの第1の移動体検知具には、移動体を検知する移動体検知センサ、および前記移動体検知センサが移動体を検知すると、その旨を前記無線通信装置を介して前記監視装置または他の移動体検知具に通知する移動体検知通知手段が設けられ、前記移動体検知具群のうちの少なくとも1つの第2の移動体検知具には、前記監視装置からの指示を受けて、または他の移動体検知具の移動体検知通知手段から移動体を検知した旨の通知を受けて、検知された移動体についての情報を取得する移動体情報取得手段が設けられている。
【0010】
この構成によれば、複数の移動体検知具からなる移動体検知具群のうち、少なくとも1つの第1の移動体検知具には移動体を検知する移動体検知センサが設けられ、少なくとも1つの第2の移動体検知具には、検知された移動体についての情報を取得する移動体情報取得手段が設けられているため、個々の移動体検知具は移動体検知センサと移動体情報取得手段の両方を有しなくとも、移動体検知具群が全体として移動体検知センサと移動体情報取得手段を有することができる。したがって、移動体検知具群が一体となって、一旦移動体を検知してから移動体についての情報を取得することができる。このように、各移動体検知具に設けられる要素の数を少なくできるため、各移動体検知具における消費電力を低く抑えることができる。
【0011】
前記移動体検知具は、好ましくは杭または鋲である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記移動体情報取得手段は撮像装置であり、この撮像装置によって撮像された画像は前記無線通信装置を介して前記監視装置に送信される。本構成によれば、検知した移動体を撮像装置が撮像し、この撮像された画像を監視装置に送信するので、監視装置では画像を解析および診断することができる。この画像の解析および診断は、画像処理プログラムによる自動処理であっても、人間による目視によるものであってもよい。これにより、検知した移動体が、侵入者のように対処すべきものであるか、鳥のように無視してもよいものであるかを、監視装置側において判断することができる。なお、撮像装置が撮影する画像は、静止画像であっても動画像であってもよい。
【0013】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、前記移動体情報取得手段は、物体の空間形状を測定する測域センサであり、この測域センサによって測定された空間形状は前記無線通信装置を介して前記監視装置に送信される。本構成によれば、検知した移動体に関連する空間形状を測域センサが測定し、この測定された空間形状を監視装置に送信するので、測域センサで測定された空間形状を経時的に記録すれば、監視装置では移動体の追跡を行うことができる。
「移動体に関連する空間形状」には、移動体自体の形状が含まれるが、この他にも、例えば移動体が侵入者である場合に、その足跡のような移動体によって形付けられた空間形状であって、移動体を連想させる空間形状も含まれる。
【0014】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、前記移動体検知センサが人感センサである。「人感センサ」は、例えば赤外線センサである。
【0015】
本発明の別のさらに好ましい実施形態によれば、前記移動体検知センサが加速度センサである。加速度センサは、この加速度センサが設けられた移動体検知具が振動した場合に、移動体が移動体検知具に接触したことを検知できる。さらに、移動体検知具が複数存在する場合に、隣接する移動体検知具間にわな線を延伸させておけば、わな線に何かが接触すると、移動体検知具に設けられた加速度センサが、そのことを検知することができる。そのため、移動体検知具が複数存在する場合に、これら複数の移動体検知具を適切に配置してわな線が適所に設けられるようにすれば、猪や熊などの危害を加える可能性のある動物がわな線に接触する可能性が極めて高くなり、確実に検知することができる。加速度センサは好ましくは3軸加速度センサである。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、前記複数の移動体検知具には、さらに、当該移動体検知具の位置に関する情報を取得するGPS(全地球測位システム)が設けられ、前記移動体検知通知手段は、このGPSによって取得した、当該移動体検知具の位置に関する情報を、移動体を検知した旨と共に送信する。この構成によれば、GPSによって取得された、移動体検知具の正確な位置情報が監視装置に送信されるので、監視装置では、移動体が検知された位置を正確に把握することができる。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、前記移動体検知具には、さらに、ICタグが設けられている。この構成によれば、移動体検知具に設けられたICタグのタグ情報が監視装置に送信されるので、監視装置では、移動体検知具の設置場所に関する情報、すなわち移動体が検知された位置周辺に関連する情報を取得することができる。
【0018】
ここで、「ICタグ」は、タグ情報を記録し、無線でこのタグ情報を外部に送信できるものである。また、ICタグは、好ましくはパッシブ型である。なお、「パッシブ型ICタグ」は、受動型、すなわち例えばリーダなどから電波を受信して、このように供給された電力を用いて動作するものを意味する。
「タグ情報」は、好ましくは、ICタグを収納する移動体検知具の設置位置情報および移動体検知具の設置場所に関連する管理情報である。ただし、タグ情報はICタグの識別子であってもよく、この場合、この識別子に対応づけて設置位置情報や管理情報がデータベースなどに記憶される。
【0019】
本発明にかかる移動体検知具は、監視対象である所定エリア内において、地盤に一部または全部が埋め込まれ、移動体を検知する移動体検知具であって、監視装置または他の移動体検知具に対して無線通信を行う無線通信装置と、移動体を検知する移動体検知センサと、前記移動体検知センサが移動体を検知すると、その旨を前記無線通信装置を介して前記監視装置または前記他の移動体検知具に通知する移動体検知通知手段と、前記監視装置からの指示を受けて、または前記他の移動体検知具から移動体を検知した旨の通知を受けて、検知された移動体についての情報を取得する移動体情報取得手段とが設けられている。
【0020】
本発明にかかる移動体検知ユニットは、本発明にかかる移動体検知具と、この移動体検知具に接続された電力供給体とを備えた、移動体検知ユニットであって、前記移動体検知具は、さらに、電力を蓄える第1の蓄電池を備え、前記電力供給体には、電力を生成する発電装置と、前記発電装置によって生成された電力を蓄える第2の蓄電池とが設けられ、前記第2の蓄電池に蓄えられた電力は、前記第1の蓄電池に供給される。本構成によれば、移動体検知具には電力供給体から電力が供給されるため、移動体検知具自体に十分な蓄電力がなくとも、移動体検知具に設けられた移動体検知センサ、および移動体情報取得手段が作動できる。
【0021】
前記発電装置は、好ましくは、太陽光発電装置、および風力発電装置を含む。
【0022】
好ましくは、前記移動体検知具と前記電力供給体のいずれか一方または両方が杭または鋲である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の移動体検知システムによれば、移動体検知具に移動体検知センサおよび移動体情報取得手段が設けられているため、監視装置では、検知された移動体についての詳細な情報を取得することができ、簡易かつ適切に移動体を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る移動体検知システムの構成図である。
【図2】図1の移動体検知システムに用いられる移動体検知杭の斜視図である。
【図3】図2の移動体検知杭のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図2の移動体検知杭および電力供給杭からなる移動体検知ユニットの斜視図である。
【図5】図4の電力供給杭のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図1の移動体検知システムにおける監視装置の画面表示の例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る移動体検知システムの構成図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る移動体検知システムの構成図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る移動体検知システムの構成図である。
【図10】図9の移動体検知システムにおける無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の各実施形態に係る移動体検知システムにおける監視装置の情報発信画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の各実施形態を図面に従って説明する。
図1に、本発明の第1実施形態にかかる移動体検知システムの構成を示す。このシステム1は、地盤に一部または全部が埋め込まれる杭2であって、複数のセンサを装備した移動体検知杭(移動体検知具)2を、監視対象である所定エリアA内において複数備えている。この移動体検知杭2の数および位置は、所定エリアAにおける侵入体を確実に検知できるように決定されるものである。システム1は、また、所定エリアAを監視する、例えばパーソナルコンピュータからなる監視装置3を備える。複数の移動体検知杭2の相互間、およびこれら移動体検知杭2と監視装置3の間は、後述するように無線通信によって情報を送受信することができる。
【0026】
図2に、移動体検知杭2の構成を示す。移動体検知杭2は、例えばプラスティックからなる杭本体20、およびこの杭本体20の上面に設けられた検知部50を有する。
【0027】
図3に示すように、杭本体20には内部空間22が設けられており、この内部空間22の開口を塞ぐように、杭本体20の頭部は防護用キャップ24によって覆われている。防護用キャップ24には、内部空間22を外部と連通する孔24aが設けられている。本実施形態において、内部空間22はバッテリ収納電池26を収納するもので、この空間22には例えば蓄電池(第1の蓄電池)乾電池26が配置されており、この蓄電池26の正負極からの配線28が、孔24aを通って検知部50に案内されている。
【0028】
以下に、検知部50の詳細について説明する。
検知部50は透明なケース51を外側に有し、このケース51は、中空の円柱形状の収納外枠部51a、およびこの収納外枠部51aの下部に延出する中空の四角柱形状の支部51bを有する。収納外枠部51aには上部に蓋51aaが被せられている。この蓋51aaには、さらに、中空の半球形状を有するソーラパネル62が被せられている。ソーラパネル62によって生成される電力は、図示しない配線を介して蓄電池26に蓄えられる。収納外枠部51aの内側の下端部にはテーブル51abが設けられており、加速度センサ52が設けられた基板53がそのテーブル51ab上に配置されている。この基板53には、配線28が接続されており、前記蓄電池26によって電力が供給される。この基板53上には、また、レーザーレンジセンサ(測域センサ)54、2つの人感センサ55,55およびカメラ56が取付けられている。これらセンサ54,55およびカメラ56上には、GPS57(全地球測位システム)が設けられている。基板53上には、また、図2に示すように、ICタグ59が設けられている。ICタグ59は、ICタグを収納する杭の設置位置情報および杭の設置場所に関連する管理情報や、ICタグの識別子などからなるタグ情報を記録する。基板53上には、この他に、図示しない、メタンガスセンサや二酸化炭素センサなどが取り付けられてもよい。さらに、基板53の裏側に、図示しない超音波センサが取り付けられてもよい。また、検知部50内には、図示しない、スピーカおよびマイクが設けられている。
【0029】
基板53上には、CPU60が内蔵されており、基板53上に設けられた各センサの制御を実行する。
【0030】
検知部50内に設けられたこれら各要素の説明を以下に示す。
加速度センサ52は、例えば3軸加速度センサであり、移動体検知杭2に振動や衝撃が加えられたことを検出できる。人感センサ55は例えば赤外線センサであり、人間を含む動物が一定の範囲内に存在することを検出する。この赤外線センサは、例えば120°の検出角度範囲を有し、本実施形態ではこのような赤外線センサ55を2つ設けることで、検出角度範囲は240°に拡大されている。さらに赤外線センサの数を増やして、全方位を検出できるようにしてもよい。カメラ56は、動画像を撮像できるビデオカメラである。ただし、カメラ56は、静止画像を撮像するものであってもよい。カメラ56は、好ましくは赤外線カメラである。GPS57は、移動体検知杭2の位置情報を取得するために用いられる。
【0031】
メタンガスセンサ(図示せず)は、産業廃棄物の処分場や埋め立て地に移動体検知杭2が設置された場合に、メタンガスの発生を監視することができる。二酸化炭素センサ(図示せず)は空気中の二酸化炭素量を測定できるため、このセンサを用いて二酸化炭素の量を定期的に測定することで、温暖化ガスの径時的な変化を観測することができる。超音波センサは、例えば水位の検出が可能であるため、当該杭が浸水した場合に、その水位を監視することができる。
【0032】
メタンガスセンサや二酸化炭素センサなどの検知情報は、人感センサ55による検知情報とは異なり、早急に通知が必要なものではないため、例えば、ICタグ59に記憶されて、経時的に記録される。そして、ICタグ59がパッシブ型であれば、作業者が図示しないリーダをこのICタグ59が設けられた杭2に近づけることによって、記憶された検知情報を読み出すことができる。
【0033】
検知部50の基板53上には、さらに、無線通信装置58が設けられている。この無線通信装置58は、例えば2.4GHz帯(ISMバンド)の無線通信を実現するものである。これにより、移動体検知杭2同士の無線通信が可能である。また、図1の監視装置3にも2.4GHz帯(ISMバンド)の無線通信装置58が設けられている。そのため、各移動体検知杭2と監視装置3との無線通信も可能である。ただし、各無線通信装置58は、消費電力を抑制するために、通電は常時されておらず、数秒周期で通電されるものとする。
【0034】
基板53のCPU60は、無線通信装置58の制御も実行し、各センサの検知情報を無線通信装置58を介して送信するように無線通信装置58を制御する。
【0035】
検出部50の支部51bは下端が開口しており、支部51bがこの杭本体20の頭部を覆うように設置されている。そして、支部51bの側壁には、図3に示すようにねじ孔51baが設けられており、ねじ51bcによって、支部51bが杭本体20に固定されている。
【0036】
移動体検知杭2には、さらに、図4に示す電力供給杭(電力供給体)100が接続されてもよく、移動体検知杭2および電力供給杭100によって、移動体検知ユニット101が構成される。電力供給杭100は、例えばプラスティックからなり、四角柱形状の本体部120および本体部120から延びて先細り形状の先端部130を有する。本体部120の4つの側面120aには、長方形状のソーラパネル(太陽光発電装置)140がそれぞれ1つずつ貼り付けられている。
【0037】
図5に示すように、電力供給杭100の本体部120の内部には上方が開口した収納空間120bが形成されており、その収納空間120bを囲む収納壁120cの上部には蓋150が被せられている。この蓋の上面150aには、風車(風力発電装置)160が設けられている。
【0038】
本体部120の収納空間120bには、蓄電池(第2の蓄電池)170が配置されており、各ソーラパネル140および風車160によって生成された電力が、図示しない変換器を介して、この蓄電池170に蓄えられる。
【0039】
図4に戻って、移動体検知杭2内に配置された蓄電池26と、電力供給杭100内に配置された蓄電池170とは、配線180によって接続されている。移動体検知杭2および電力供給杭100には、例えばそれぞれの側面に孔が設けられており、これらの孔を貫通して配線180が各蓄電池26および170を接続している。この配線180は、好ましくは地盤中に配置される。この配線180によって、電力供給杭100の蓄電池170に蓄えられた電力が、移動体検知杭2の蓄電池26に送出される。送出のタイミングは、例えば、蓄電池170に蓄えられた電力が所定のしきい値に達した時点である。この代わりに、定期的に電力が送出されてもよい。
【0040】
図1に戻って、監視装置3は表示画面31を有し、複数の移動体検知杭2の検知情報に基づいて、侵入体を特定して関連する画像を表示することで、侵入体の解析を可能にするものである。
【0041】
図6に、監視装置の表示画面31の例を示す。表示画面31は、地形図表示部31a、侵入体表示部31b、および例えば2つの撮影画像表示部31c,31cを有する。地形図表示部31aは、監視対象のエリアA(図1)を全て含む、広範囲なGIS(地理情報システム)の情報を示したもので、図示の例では特定の島Iが示されている。地形図表示部31aは、また、各移動体検知杭2(図1)の設置位置に対応した杭表示32を有する。侵入体表示部31bは、地形図表示部31aの表示を拡大して表示したもので、静止物体などに相当する静止物表示33、杭表示32、および侵入体B(図1)に相当する侵入体表示34を表示することができる。撮影画像表示部31c,31cには、侵入体表示部31bに表示されている2つの杭表示32に対応した移動体検知杭2(図1)の各カメラ(図2)が撮像した動画像をリアルタイムに表示する。このように、地盤に埋め込まれて位置が決められた図2の移動体検知杭2にカメラが設けられているため、定点監視、すなわち一定の位置の時系列的な監視が可能である。このような監視を行うことで、災害が生じた場所の安全管理を確実に行うことができる。
【0042】
次に、図1を参照して、このシステムの処理の流れを示す。
まず、各移動体検知杭2は、杭本体20(図2)と検出部50(図2)が分離されて、それぞれ監視対象であるエリアAまで運ばれる。そして、まず図2の杭本体20の一部が地盤に埋め込まれて適切に設置される。その後、検出部50が杭本体20の上部に備え付けられる。
【0043】
このようにして杭本体20に検出部50が固定された後、検出部50に設けられた稼動スイッチ(図示せず)がオンにされる。これにより、検出部50のGPS57が起動されて、移動体検知杭2の位置情報が取得される。この位置情報は、無線通信58を介して監視装置3(図1)に送信される。この時点で、監視装置3(図1)の図6の表示画面31の地形図表示部31aには、取得された位置情報に相当する箇所に、杭表示32が示される。また、各移動体検知杭2(図2)のレーザーレンジセンサ54(図2)によって静止物の空間形状が特定されて、表示画面31の侵入体表示部31bに静止物表示33が所定の色で示される。このように、静止物を特定しておくことで、侵入体と静止物を区別することができる。そして、図2の移動体検知杭2の検出部50の構成要素のうち、加速度センサ52と人感センサ55のみが通電される。すなわち、人体を含む移動体を検知するために最低限必要とされるセンサ(移動体を検知する移動体検知センサとして機能するセンサ)のみが通電されることで、いわゆる待機状態における消費電力を抑えることができる。
【0044】
この状態で、図1に示すように人間である侵入体Bが監視対象エリアAに入ってきて、移動体検知杭2Aの人感センサ55(図2)の検知範囲内に侵入体Bが入ったとする。移動体検知杭2Aの人感センサ55(図2)が人体を検知すると、CPU(移動体検知通知手段)60(図2)が、その旨を、無線通信の範囲内に存在する他の移動体検知杭2Bおよび2Cに通知する。その後、人体を検知した移動体検知杭2Aと、その旨が通知された移動体検知杭2Bおよび2Cとは、それぞれのレーザーレンジセンサ54(図2)をオンにする。オンにされたレーザーレンジセンサ54(図2)が検出した対象物の距離に関する情報つまり測位情報は、監視装置3に送信される。ここで、例えば移動体検知杭2Aおよび2Bの測位情報は監視装置3に送信されるが、移動体検知杭2Cは侵入体までの距離が大きいために、測位情報を得られないとする。その場合、移動体検知杭2Cは待機状態、すなわち、そのレーザーレンジセンサ54(図2)をオフにして加速度センサ52(図2)および人感センサ55(図2)のみがオンにされた状態つまり通電状態に戻る。
【0045】
このように複数の移動体検知杭2から測位情報を取得した監視装置3では、各移動体検知杭2の稼動時にそのGPS57(図2)による位置情報を受信しているため、各移動体検知杭2の正確な位置を把握している。そのため、移動体検知杭2から測位情報を受信すると、侵入体Bの位置を特定することができる。また、測位情報を時間追跡することで、侵入体Bの進路を特定することもできる。さらに、複数の移動体検知杭2Aおよび2Bから測位情報が得られるため、監視装置3は侵入体Bの進路を正確に特定することができる。特に、レーザーレンジセンサ54(図2)は周囲の明るさに左右されないため、夜間であっても性能が低下せず、侵入体Bの進路を正確に特定することができる。監視装置3は、受信した測位情報に基づいて、図6の表示画面31の侵入体表示部31bに、侵入体表示34を示す。この表示34は、侵入体B(図1)の移動に伴ってリアルタイムに変更されるため、侵入体の進路が特定される。一方、図1の各移動体検知杭2は、そのレーザーレンジセンサ54(図2)をオンにする際には、カメラ56(図2)も稼動する。監視者は、監視装置3に表示されている地理情報において、任意の場所を指定することができる。場所が指定されると、監視装置3は、指定された場所が撮影範囲であるカメラ56を有する移動体検知杭2に通信して、撮影中の画像を取得する。そして、監視装置3の図6の表示画面31の撮影画像表示部31cには撮影中の動画像がリアルタイムで表示される。
【0046】
このように、監視装置3の監視者は、侵入体の進路のみでなくカメラ56(図2)の撮影画像も見ることができるため、確実に侵入体を把握して分析することができる。そして、図1の移動体検知杭2を監視エリアAに多数配置しているにもかかわらず、消費電力の大きいレーザーレンジセンサ54(図2)およびカメラ56(図2)(いずれも、移動体情報取得手段)は常時稼動しているわけではないため、監視に要する消費電力が大きくなることを抑制できる。
【0047】
なお、CPU60は、移動体を検知した旨を、無線通信の範囲内に存在する他の移動体検知杭に通知するものとしたが、この代わりに、またはこれに加えて、監視装置3に移動体を検知した旨を通知してもよい。この場合、監視装置3が、移動体を検知した杭の位置から所定範囲内の杭のCPU60に対して、レーザーレンジセンサ54(図2)および/またはカメラ56(図2)を作動するように指示する。
【0048】
移動体検知杭2の各構成要素は、監視装置3からの指示に基づいてオフされることができる。したがって、侵入体に関して、監視者がレーザーレンジセンサ54(図2)による情報およびカメラ56(図2)の画像による分析を終了した際に、監視装置3から移動体検知杭2に移動体検知杭のレーザーレンジセンサ54(図2)による情報およびカメラ56(図2)をオフするように指示を通知する。
【0049】
本実施形態において、図2の加速度センサ52は省略されてもよい。これは、移動体検知杭2の配置および人感センサ55の検出範囲によっては、検知対象である人間や動物を確実に検知することができるため、人体検知杭2に衝撃が加えられた場合にのみ移動体を検知できる加速度センサ52が移動体検知杭2に設けられていなくても、移動体の検知の精度を低下させることがないためである。
【0050】
加速度センサ52と人感センサ55に加えて、またはこれらに代えて、検知部50に設けられたマイク(図示せず)が移動体の検知に用いられてもよい。具体的には、マイクを常時稼動させておき、マイクが取得する音量が一定のしきい値を超えた場合や、マイクが取得する音の周波数解析によって異常を示す周波数帯域の音を検出した場合には、移動体を検知したと判断されることができる。
【0051】
以上のように、本発明の第1実施形態にかかる移動体検知システムによれば、侵入体の監視は複数の杭に備え付けられた、複数のレーザーレンジセンサおよび複数のカメラによって行われ、監視装置は、これら複数の情報に基づいた処理を行うため、極めて精度の高い測位情報および撮影画像が得られる。ここで、杭は設置場所が限定されず、設置作業も簡易であるため、多数の移動体検知杭を配置することができる。そのため本移動体検知システムでは、極めて精度の高い監視を容易に達成することができる。
【0052】
図7に、本発明の第2実施形態にかかる移動体検知システム1Aの構成を示す。このシステム1Aにおける、本発明の第1実施形態にかかる移動体検知システム1(図1)との相違点は、複数(本実施形態では3つ)の移動体検知杭221,222,223によって、移動体検知杭群(移動体検知具群)220を構成する点である。この移動体検知杭群220中の移動体検知杭221,222,223が、第1実施形態にかかる移動体検知システム1(図1)の移動体検知杭2(図2)と異なる点は、例えば、第1の移動体検知杭(第1の移動体検知具)221には人感センサ55,55(図2)が設けられているが、第2および第3の移動体検知杭222,223には人感センサ55,55(図2)が設けられておらず、第2の移動体検知杭(第2の移動体検知具)222にはカメラ56(図2)が設けられているが、第1および第3の移動体検知杭221,223にはカメラ56(図2)が設けられておらず、第3の移動体検知杭223にはメタンガスセンサが設けられているが、第1および第2の移動体検知杭221,222にはメタンガスセンサが設けられていない点である。すなわち、移動体検知杭群220を構成するいずれかの移動体検知杭に必要なセンサが設けられており、移動体検知杭群220が全体として、必要な機能を達成する。これにより、各移動体検知杭221,222,223に設けられる要素の数が低減されて、各移動体検知杭221,222,223における消費電力が低減される。
【0053】
なお、いずれの移動体検知杭221,222,223にいずれのセンサなどの要素が装備されるかは任意であり、移動体検知杭群220ごとに異なっていてもよい。ただし、好ましくは、1つの移動体検知杭にセンサが1つだけ設けられている。これによれば、各移動体検知杭における消費電力を最小限に抑えることができる。
【0054】
図8に、本発明の第3実施形態にかかる移動体検知システム1Bの構成を示す。このシステム1Aにおける、本発明の第1実施形態にかかる移動体検知システム1(図1)との相違点は、監視対象である所定エリアAに配置された移動体検知杭2の間にわな線25が延伸されている点であり、各移動体検知杭2(図2)は第1実施形態に関連して説明したものと同一である。わな線25は、例えば紐または網からなり、その両端部が2つの移動体検知杭2に固定して張架されている。この2つの移動体検知杭2は、好ましくは互いに近接するものである。第1実施形態に関連して説明したように、加速度センサ52(図2)が移動体検知杭2に設けられている。そのため、わな線25に移動体が接触すると移動体検知杭2が振動して加速度センサ52(図2)がこれを検知するため、動物などが侵入しそうな箇所にわな線25が配置されていれば、確実に動物などの侵入を検知することができる。好ましくは、エリアAの外周に近い移動体検知杭2の隣接するもの同士にわな線25が架け渡されおり、これによりエリアAの外周にほぼ沿ってわな線25が配置されていることになる。このようにわな線が配置されていれば、エリアAに侵入する、猪や熊などの危害を加える可能性のある動物を即座に検知することができる。
【0055】
わな線を適切に配置すれば図2の加速度センサ52によって移動体を確実に検知できるため、第1実施形態に関連して説明した人感センサ55が移動体検知杭2から省略されてもよい。しかし、より確実に移動体を検知するためには、加速度センサ52と人感センサ55の両方が移動体検知杭2に設けられることが好ましい。
【0056】
なお、猪や熊などの危害を加える可能性のある動物を検知した際には、移動体検知杭2の検知部50(図2)に設けられたスピーカ(図示せず)によって警告音を発生して、検知した動物を威嚇してもよい。
【0057】
図9に、本発明の第4実施形態にかかる移動体検知システム1Cの構成を示す。このシステム1Cにおける、本発明の第1実施形態にかかる移動体検知システム1(図1)との相違点は、各移動体検知杭2間の無線通信、および移動体検知杭と監視装置3との間の無線通信の技法にある。本実施形態に係る移動体検知システム1Cでは、所定エリアAに、1つの主移動体検知杭2Eと、複数の従移動体検知杭2Fとが配置されている。図10に本システム1Cの通信システム構成を示す。主移動体検知杭2Eは、その無線通信装置として、無線LANの通信規格(例えば、WiFi規格)を実装する第1の無線通信装置71と、携帯電話の通信規格を実装する第2の無線通信装置72とを備える。各従移動体検知杭2Fは、無線通信装置として、無線LANの通信規格(例えば、WiFi規格)を実装する第1の無線通信装置71のみを備える。監視装置3は、無線通信装置として、携帯電話の通信規格を実装する第2の無線通信装置72のみを備える。
【0058】
この第4実施形態にかかる移動体検知システム1Cにおける移動体検知時の処理を以下に示す。図10の複数の従移動体検知杭2Fのうちの1つである従移動体検知杭2Faに設けられた人感センサ55(図2)が、その所定範囲内に動物が存在することを検出すると、従移動体検知杭2Faに設けられた第1の無線通信装置71が、移動体を検知した旨の通知、およびその従移動体検知杭2Faに設けられたGPS57(図2)によって予め取得された位置情報からなるデータを送信する。このように送信されたデータは、第1の無線通信装置71からの電波の到達距離内に位置する他の従移動体検知杭2Fbによって受信される。また、移動体を検出した従移動体検知杭2Fの第1の無線通信装置71からの電波の到達距離内に主移動体検知杭2Eが存在すれば、この主移動体検知杭2Eの第1の無線通信装置71が、そのデータを受信する。移動体を検出した従移動体検知杭2Faの第1の無線通信装置71からの電波の到達距離内に主移動体検知杭2Eが存在しない場合は、データを受信した従移動体検知杭2Fbの第1の無線通信装置71が、そのデータを中継して、そのデータが主移動体検知杭2Eの第1の無線通信装置71に到達する。主移動体検知杭2Eの第1の無線通信装置71がそのデータを受信すると、その第2の無線通信装置72を介して、監視装置3の第2の無線通信装置72にそのデータを送信する。
【0059】
監視装置3の第2の無線通信装置72がそのデータを受信すると、移動体を検出した従移動体検知杭2Faに設けられたカメラ56(図2)を作動する指示、および/またはレーザーレンジセンサ54(図2)を作動する指示からなるデータを、監視装置3の第2の無線通信装置72が、主移動体検知杭2Eの第2の無線通信装置72に送信する。次に、主移動体検知杭2Eでは、第1の無線通信装置71から、他の従移動体検知杭2Fの第1の無線通信装置71の中継を介するか、または介さずに、移動体を検出した従移動体検知杭2Faの第1の無線通信装置71、およびその杭2Faの周辺の杭2Fに、そのデータを送信する。このデータを受信した1つ以上の従移動体検知杭2Fは、そのカメラ56(図2)の作動および/またはそのレーザーレンジセンサ54(図2)の作動を実行する。このカメラ56(図2)やレーザーレンジセンサ54(図2)で取得された情報は、移動体を検知した旨の通知および位置情報からなるデータと同様の経路で、監視装置3に収集される。なお、赤外線カメラで撮像した影像が監視装置3で解析されて、その解析結果に応じて、他のセンサに作動命令を発行してもよい。
【0060】
このように監視装置3に収集された情報は、検出した移動体の解析および診断に用いられるだけでなく、図示しないインターネットを介して配信されてもよい。例えば、いわゆる「マイクロメディア」と称される、ブログ、"Facebook(登録商標)"または"Twitter(登録商標)"などによって、検知された情報が公開される。これら「マイクロメディア」の発信源は各杭に対応しており、つまり杭ごとにアカウントが割り当てられており、杭に関連した情報を発信する。図11に、情報を発信する情報発信画面80の例を示す。この画面80は、地図上に当該杭の位置を示した、位置表示ウィンドウ81と、杭に対応した情報を表示する杭情報表示ウィンドウ82とを有する。位置表示ウィンドウ81は、地図上における当該杭の位置の表示81aを含む。杭情報表示ウィンドウ82は、画像情報、例えば杭2(図2)に設けられたカメラ56(図2)が撮像した画像を表示する画像情報表示部82aと、当該杭に設けられた各センサの検知情報をほぼリアルタイムに更新して表示する検知情報表示部82bとを含む。
【0061】
このような情報発信画面80は、ユーザによってアクセスされると、まず位置表示ウィンドウ81が表示される。位置表示ウィンドウ81には地図が表示されているため、ユーザは入力装置を用いてこの地図上の所望の位置を選択することができる。ユーザによって地図上の位置が選択されると、その近傍の杭に関連する、杭情報表示ウィンドウ82がオープンされて、各種の情報が表示される。なお、位置表示ウィンドウ81では、移動体が検知された旨、つまり異常が発生した旨を通知した杭の地図上の位置が点滅して、ユーザに異常の発生を知らせるものとしてもよい。このように異常が発生したことのみが通知されたユーザは、その異常を解析すべく、位置表示ウィンドウ81の地図上の点滅位置を選択して、オープンした杭情報表示ウィンドウ82から各種の情報を取得することができる。
【0062】
「マイクロメディア」を用いることで、GIS(地理情報システム)によって空間情報を発信する場合に比べて、杭に関連付けられた情報は簡易に発信されると共に、閲覧のためのアクセスが容易である。
【0063】
このように「マイクロメディア」を用いて監視装置3から検知情報を発信することができるが、この他にも、監視装置3ではユーザインタフェース(図示せず)を提供し、管理者を含む者は、このユーザインタフェースを介して監視装置3にアクセスして検知情報を取得することができる。このユーザインタフェースは、ウェブページを用いたものであってもよく、この場合、検知情報を取得する者は、監視装置3の入出力機器を介さずに、インターネットで相互に接続された端末から、監視装置3のウェブページにアクセスして、検知情報を取得することができる。
【0064】
各実施形態に係る移動体検視システムの各移動体検知杭2には、LEDが設けられてもよい。LEDが点灯すれば夜間であっても杭が視認されるため、例えば、杭が夜間の非難経路の標識として機能する。特に、通常LEDが設けられた杭は所定の間隔で設置されているため、経路を示すのに有効である。また、図4および図5に示した電力供給杭100にも、同様にLEDが設けられてもよい。そして、例えば、電力供給杭100の蓄電池170が蓄電量を増加させている最中に、すなわち発電機140および/または発電機160の発電中に、このLEDが点滅してもよい。
【0065】
上述の各実施形態では、移動体検知具が杭の場合を説明したが、地盤に一部または全部が埋め込まれるもので、センサなどの要素が設けられることができるものであれば、いかなるものであってもよい。したがって、移動体検知具は鋲であってもよい。
【0066】
本移動体検知システムの適用対象としては、例えば、私有地や国有地への侵入者の検知および監視、高価な農作物の栽培地への盗難目的による侵入の監視、工場や住宅への侵入の監視、駅やバスターミナルにおける交通機関の移動量の調査、病院や刑務所からの逃亡者の監視、博物館や展示場などにおける展示品の盗難の監視、森林や山道における移動体の監視、山崩れや斜面崩壊などの監視が挙げられる。
【符号の説明】
【0067】
1 移動体検知システム
2 移動体検知具
3 監視装置
A 所定エリア
58,71 無線通信装置
52,55 移動体検知センサ
60 移動体検知通知手段
54,56 移動体情報取得手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を検知する移動体検知システムであって、
監視対象である所定エリア内の地盤に一部または全部が埋め込まれた少なくとも1つの移動体検知具と、
前記所定エリアを監視する監視装置とを備え、
前記少なくとも1つの移動体検知具には、
前記監視装置または他の移動体検知具に対して無線通信を行う無線通信装置、
移動体を検知する移動体検知センサ、
前記移動体検知センサが移動体を検知すると、その旨を前記無線通信装置を介して前記監視装置または前記他の移動体検知具に通知する移動体検知通知手段、および
前記監視装置からの指示を受けて、または前記他の移動体検知具から移動体を検知した旨の通知を受けて、検知された移動体についての情報を取得する移動体情報取得手段が設けられている、移動体検知システム。
【請求項2】
移動体を検知する移動体検知システムであって、
監視対象である所定エリア内の地盤に一部または全部が埋め込まれた複数の移動体検知具からなる、少なくとも1つの移動体検知具群と、
前記所定エリアを監視する監視装置とを備え、
前記移動体検知具には、それぞれ、前記監視装置または他の移動体検知具に対して無線通信を行う無線通信装置が設けられ、
前記移動体検知具群のうちの少なくとも1つの第1の移動体検知具には、移動体を検知する移動体検知センサ、および前記移動体検知センサが移動体を検知すると、その旨を前記無線通信装置を介して前記監視装置または前記他の移動体検知具に通知する移動体検知通知手段が設けられ、
前記移動体検知具群のうちの少なくとも1つの第2の移動体検知具には、前記監視装置からの指示を受けて、または前記他の移動体検知具の移動体検知通知手段から移動体を検知した旨の通知を受けて、検知された移動体についての情報を取得する移動体情報取得手段が設けられている、移動体検知システム。
【請求項3】
請求項1または2において、前記移動体検知具が杭または鋲である、移動体検知システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項において、前記移動体情報取得手段は撮像装置であり、
この撮像装置によって撮像された画像は前記無線通信装置を介して前記監視装置に送信される、移動体検知システム。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項において、前記移動体情報取得手段は、物体の空間形状を測定する測域センサであり、
この測域センサによって測定された空間形状は前記無線通信装置を介して前記監視装置に送信される、移動体検知システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項において、前記移動体検知センサが人感センサである、移動体検知システム。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項において、前記移動体検知センサが加速度センサである、移動体検知システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項において、前記移動体検知具には、さらに、当該移動体検知具の位置に関する情報を取得するGPSが設けられ、
前記移動体検知通知手段は、このGPSによって取得した、当該移動体検知具の位置に関する情報を、移動体を検知した旨と共に送信する、移動体検知システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項において、前記移動体検知具には、さらに、ICタグが設けられている、移動体検知システム。
【請求項10】
監視対象である所定エリア内において、地盤に一部または全部が埋め込まれ、移動体を検知する移動体検知具であって、
監視装置または他の移動体検知具に対して無線通信を行う無線通信装置と、
移動体を検知する移動体検知センサと、
前記移動体検知センサが移動体を検知すると、その旨を前記無線通信装置を介して前記監視装置または前記他の移動体検知具に通知する移動体検知通知手段と、
前記監視装置からの指示を受けて、または前記他の移動体検知具から移動体を検知した旨の通知を受けて、検知された移動体についての情報を取得する移動体情報取得手段とが設けられた、移動体検知具。
【請求項11】
請求項10に記載の移動体検知具と、
この移動体検知具に接続された電力供給体とを備えた、移動体検知ユニットであって、
前記移動体検知具は、さらに、電力を蓄える第1の蓄電池を備え、
前記電力供給体には、
電力を生成する発電装置と、
前記発電装置によって生成された電力を蓄える第2の蓄電池とが設けられ、
前記第2の蓄電池に蓄えられた電力は、前記第1の蓄電池に供給される、移動体検知ユニット。
【請求項12】
請求項11において、前記発電装置が、太陽光発電装置と風力発電装置のいずれか一方または両方を含む、移動体検知ユニット。
【請求項13】
請求項11または12において、前記移動体検知具と前記電力供給体のいずれか一方または両方が杭または鋲である、移動体検知ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−190449(P2012−190449A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−38315(P2012−38315)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【出願人】(591034017)株式会社リプロ (15)
【Fターム(参考)】