説明

移動体通信システム

【課題】待ち受け状態の移動端末だけでなく、待ち受け状態以外の移動端末に対しても緊急情報を通知することができ、かつ速報性を欠くことなく緊急情報を通知することができる移動体通信システムを提供する。
【解決手段】複数の移動端末及び基地局を含み、基地局から複数の移動端末へ緊急情報の配信が可能な移動体通信システムにおいて、個別データを受信中の移動端末はDCCHにより基地局から送信された緊急情報を受信し、待ち受け状態の移動端末、CELL_PCH状態の移動端末及びURA_PCH状態の移動端末はPAGING TYPE1により基地局から送信された緊急情報を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基地局及び移動端末を含む、緊急情報の通知が可能な移動体通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地震や津波等の緊急事態が発生した場合、その緊急情報を即時に大勢の人達に通知可能とするシステムの社会的必要性が高まっている。一方、携帯電話等の移動端末の市場規模は年々増加し、日本においては9000万台を超えており、多くの人が携帯電話を持つ社会状況になってきている。従って、移動体通信網を介した移動端末を利用する情報配信は、有効な緊急情報の通知手段となり得る。
【0003】
緊急情報を通知するシステムとしては、例えばJ−ALERT(全国瞬時警報システム)が検討されている。このシステムは、自治体の防災無線を利用し、主に屋内外に設置された防災放送用スピーカを通して緊急情報を通知することが想定されている。しかしながら、スピーカによる音声通知では、スピーカから離れた地域に住む人等には緊急情報を知ることができない場合がある。
【0004】
そこで、サービスに登録しているユーザが管理する移動端末に対して、既存の移動体通信網を介し音声又は電子メールで緊急情報を通知するシステムが提案されている。また、地上波デジタル放送を利用して不特定多数のユーザに緊急情報を報知することも考えられている。
【0005】
移動体通信システムにおいて、不特定多数のユーザに対して情報を報知するサービスとしては、例えばCBS(Cell Broadcast Short message service)がある(非特許文献1参照)。このCBSは、移動体通信システムにおいてサービスを提供している基地局に登録された傘下の移動端末に対してブロードキャスト通信を可能とする1対多のサービスである。なお、3GPP(3rd Generation Partnership Project)は、移動端末の取り得る状態としてIdle状態、CELL_DCH状態、CELL_FACH状態、CELL_PCH状態、URA_PCH状態を規定している(非特許文献2参照)。移動体通信システムにおいて、移動端末は、これらの状態を随時移行しながら動作する。
【0006】
また、移動体通信網を利用した従来の緊急情報通知システムとしては、例えば特許文献1に開示されるものがある。このシステムは、基地局が傘下の移動端末の全てに送信される報知情報を緊急情報の通知に利用するものであり、この報知情報に、緊急情報を受信するためのチャネル情報と緊急情報の識別子をパラメータとして付与し、このパラメータに基づいて緊急情報が送信されているチャネルの受信を行うことができる。
【0007】
一方、移動体通信システムにおいて、不特定多数のユーザ端末に対して緊急情報を送信するのに適したサービスとして、1つの送信データを同時に複数のユーザの移動端末へ配送できる放送型マルチメディアサービスが検討されている。この放送型マルチメディアサービスでは、移動体通信システムのサービスとして、特にスポーツ中継や天気予報、ラジオ等のマルチメディア情報が複数のユーザの移動端末に同時に配信される。この技術を3GPPでは、MBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)と呼んでいる(非特許文献3参照)。
【0008】
MBMSは、上述したようにマルチメディアサービスを想定しており、動画等の高速転送がサポートされている。このため、CBSと比較して高レートで大容量の情報を送信することができ、不特定多数のユーザの必要性に応じた緊急情報を報知するためのシステムに適している。
【0009】
MBMSに用いられる無線区間のチャネルとしては、非特許文献3に示されるように、3つの論理チャネル(MCCH,MTCH,MSCH)が導入され、PICHに類似のインジケータとしてMICH(MBMS Indicator CHannel)が導入されている。MCCH(MBMS Control CHannel)は、MBMSの制御情報が載るチャネルであり、MTCH(MBMS Traffic CHannel)は、MBMSのデータが載るチャネルである。MICHは、3GPPにおけるR99(リリース99)規格のPICHと同じ物理構造であり、MCCHに情報が載る場合に事前にこのビットを立てる。
【0010】
移動端末は、MBMS制御チャネル(MCCH)に則り、MTCHに載ったMBMSのデータを受信する。MCCHに何らかの情報が載る場合、MBMS通知用インジケータであるMICHのビットが立ち、移動端末はそのビットを認識すると、新たな制御情報が載ったMCCHを受信する。この場合、移動端末は、新たに受信したMCCHに則って、MBMSのデータが載ったMTCHを受信する。
【0011】
また、MCCHを受信するための手続きは、移動端末の取り得る状態(Idle状態、RRC接続状態(RRC_Connected)(CELL_DCH状態、CELL_FACH状態、CELL_PCH状態、URA_PCH状態))に依らず、MBMSに対応する全ての移動端末に適用される(非特許文献4参照)。従って、移動端末が、上述したどの状態であってもMBMSのデータを受信することができる。
【0012】
3GPPにおいて、W−CDMAとは別の通信方式として、無線区間については「ロングタームエボリューション」(Long Term Evolution LTE)、コアネットワークを含めたシステム全体構成については「システムアーキテクチャエボリューション」(System Architecture Evolution SAE)と称される新たな通信方式が検討されている。LTEのアクセス方式は、下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing )、上り方向はSC−FDMA(Single Career Frequency Division Multiple Access)を用いる。また、帯域幅は、W−CDMAが5MHzであるのに対し、LTEでは1.4/3/5/10/15/20MHzの中で基地局ごとに選択可能となっている。また、LTEでは、W−CDMAのように回線交換を含まず、パケット通信方式のみになる。
【0013】
LTEの通信システムでは、移動端末(UE: User Equipment)と通信を行う基地局(Base station)はeNB(E-UTRAN NodeB)、複数の基地局と制御データやユーザデータのやり取りを行う基地局制御装置(Radio Network Controller)はEPC(Evolved Packet Core)(aGW: Access Gatewayと称されることもある)と称される。このLTEの通信システムでは、ユニキャスト(Unicast)サービスとE-MBMSサービス(Evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)が提供される。E−MBMSサービスとは、放送型マルチメディアサービスであり、単にMBMSと称される場合もある。複数の移動端末に対してニュースや天気予報や、モバイル放送など大容量放送コンテンツが送信される。これを1対多(Point to Multipoint)サービスともいう。
【0014】
3GPPでの、LTEシステムにおける全体的なアーキテクチャ(Architecture)に関する現在の決定事項が、非特許文献5に記載されている。全体的なアーキテクチャについて図11を用いて説明する(非特許文献5 4章参照)。図11は、LTE方式の通信システムの構成を示す説明図である。図11において、移動端末101に対する制御プロトコル(例えばRRC(Radio Resource Management))とユーザプレイン(例えばPDCP: Packet Data Convergence Protocol、RLC: Radio Link Control、MAC: Medium Access Control、PHY: Physical layer)が基地局102で終端するなら、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)は1つあるいは複数の基地局102によって構成される。基地局102は、MME103(Mobility Management Entity)から通知されるページング信号(Paging Signaling、ページングメッセージ(paging messages)とも称される)のスケジューリング(Scheduling)及び送信を行う。基地局102はX2インタフェースにより、お互いに接続される。また基地局102は、S1インタフェースによりEPC(Evolved Packet Core)に接続される、より明確にはS1_MMEインタフェースによりMME103(Mobility Management Entity)に接続され、S1_UインタフェースによりS−GW104(Serving Gateway)に接続される。MME103は、複数あるいは単数の基地局102へのページング信号の分配を行う。また、MME103は待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。S−GW104はひとつまたは複数の基地局102とユーザデータの送受信を行う。
【0015】
3GPPでの、LTEシステムにおけるフレーム構成に関する現在の決定事項が、非特許文献5(5章)に記載されている。図12を用いて説明する。図12はLTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。図12において、1つの無線フレーム(Radio frame)は10msである。無線フレームは10個の等しい大きさのサブフレーム(Sub-frame)に分割される。サブフレームは、2個の等しい大きさのスロット(slot)に分割される。フレーム毎に1番目(#0)と6番目(#5)のサブフレームに下り同期チャネル(Downlink Synchronization Channel: SCH)が含まれる。同期信号には第一同期チャネル(Primary Synchronization Channel: P-SCH)と第二同期チャネル(Secondary Synchronization Channel: S-SCH)がある。サブフレーム単位にてMBSFN(Multimedia Broadcast multicast service Single Frequency Network)用とMBSFN以外のチャネルの多重が行われる。以降、MBSFN送信用のサブフレームをMBSFNサブフレーム(MBSFN sub-frame)と称する。非特許文献5に、MBSFNサブフレームの割り当て時のシグナリング例が記載されている。図13は、MBSFNフレームの構成を示す説明図である。図13において、MBSFNフレーム(MBSFN frame)毎にMBSFNサブフレームが割り当てられる。MBSFNフレームの集合(MBSFN frame Cluster)がスケジュールされる。MBSFNフレームの集合の繰り返し周期(Repetition Period)が割り当てられる。
【0016】
3GPPでの、LTEシステムにおけるチャネル構成に関する現在の決定事項が、非特許文献5に記載されている。物理チャネル(Physical channel)について図14を用いて説明する(非特許文献5 5章参照)。図14は、LTE方式の通信システムで使用される物理チャネルを説明する説明図である。図14において、物理報知チャネル401(Physical Broadcast channel: PBCH)は基地局102から移動端末101へ送信される下りチャネルである。BCHトランスポートブロック(transport block)は40ms間隔中の4個のサブフレームにマッピングされる。40msタイミングの明白なシグナリングはない。物理制御チャネルフォーマットインジケータチャネル402(Physical Control format indicator channel: PCFICH)は基地局102から移動端末101へ送信される。
PCFICHは、PDCCHsのために用いるOFDMシンボルの数について基地局102から移動端末101へ通知する。PCFICHはサブフレーム毎に送信される。物理下り制御チャネル403(Physical downlink control channel: PDCCH)は基地局102から移動端末101へ送信される下りチャネルである。PDCCHは、リソース割り当て(allocation)、DL−SCH(図15に示されるトランスポートチャネルの1つである下り共有チャネル)に関するHARQ情報、PCH(図15に示されるトランスポートチャネルの1つであるページングチャネル)を通知する。PDCCHは、上りスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)を運ぶ。PDCCHは、上り送信に対する応答信号であるACK/Nackを運ぶ。物理下り共有チャネル404(Physical downlink shared channel: PDSCH)は、基地局102から移動端末101へ送信される下りチャネルである。PDSCHはトランスポートチャネルであるDL-SCH(下り共有チャネル)がマッピングされている。物理マルチキャストチャネル405(Physical multicast channel: PMCH)は基地局102から移動端末101へ送信される下りチャネルである。PMCHはトランスポートチャネルであるMCH(マルチキャストチャネル)がマッピングされている。
【0017】
物理上り制御チャネル406(Physical Uplink control channel: PUCCH)は移動端末101から基地局102へ送信される上りチャネルである。PUCCHは下り送信に対する応答信号(response)であるACK/Nackを運ぶ。PUCCHはCQI(Channel Quality indicator)レポートを運ぶ。CQIとは受信したデータの品質、もしくは通信路品質を示す品質情報である。物理上り共有チャネル407(Physical Uplink shared channel: PUSCH)は移動端末101から基地局102へ送信される上りチャネルである。
PUSCHはUL−SCH(図15に示されるトランスポートチャネルの1つである上り共有チャネル)がマッピングされている。物理HARQインジケータチャネル408(Physical Hybrid ARQ indicator channel: PHICH)は基地局102から移動端末101へ送信される下りチャネルである。PHICHは上り送信に対する応答であるACK/Nackを運ぶ。物理ランダムアクセスチャネル409(Physical random access channel: PRACH)は移動端末101から基地局102へ送信される上りチャネルである。PRACHはランダムアクセスプリアンブル(random access preamble)を運ぶ。
【0018】
トランスポートチャネル(Transport channel)について図15を用いて説明する(非特許文献5 5章参照)。図15は、LTE方式の通信システムで使用されるトランスポートチャネルを説明する説明図である。図15(A)には下りトランスポートチャネルと下り物理チャネル間のマッピングを示す。図15(B)には上りトランスポートチャネルと上り物理チャネル間のマッピングを示す。下りトランスポートチャネルについて報知チャネル(Broadcast channel: BCH)はその基地局(セル)全体に報知される。BCHは物理報知チャネル(PBCH)にマッピングされる。下り共有チャネル(Downlink Shared channel: DL-SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。基地局(セル)全体への報知が可能である。ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。準静的なリソース割り当ては,パーシステントスケジューリング(Persistent Scheduling)とも言われる。移動端末の低消費電力化のために移動端末のDRX(Discontinuous reception)をサポートする。DL−SCHは物理下り共有チャネル(PDSCH)へマッピングされる。ページングチャネル(Paging channel: PCH)は移動端末の低消費電力を可能とするために移動端末のDRXをサポートする。基地局(セル)全体への報知が要求される。動的にトラフィックに利用できる物理下り共有チャネル(PDSCH)のような物理リソース、あるいは他の制御チャネルの物理下り制御チャネル(PDCCH)のような物理リソースへマッピングされる。マルチキャストチャネル(Multicast channel: MCH)は基地局(セル)全体への報知に使用される。マルチセル送信におけるMBMSサービス(MTCHとMCCH)のSFN合成をサポートする。準静的なリソース割り当てをサポートする。MCHはPMCHへマッピングされる。
【0019】
上り共有チャネル(Uplink Shared channel: UL-SCH)にはHARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。UL−SCHは物理上り共有チャネル(PUSCH)へマッピングされる。図15(B)に示されるランダムアクセスチャネル(Random access channel: RACH)は制御情報に限られている。衝突のリスクがある。RACHは物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)へマッピングされる。
【0020】
論理チャネル(Logical channel)について図16を用いて説明する(非特許文献5 6章参照)。図16は、LTE方式の通信システムで使用される論理チャネルを説明する説明図である。図16(A)には下りロジカルチャネルと下りトランスポートチャネル間のマッピングを示す。図16(B)には上りロジカルチャネルと上りトランスポートチャネル間のマッピングを示す。報知制御チャネル(Broadcast control channel: BCCH)は報知システム制御情報のための下りチャネルである。論理チャネルであるBCCHはトランスポートチャネルである報知チャネル(BCH)、あるいは下り共有チャネル(DL-SCH)へマッピングされる。ページング制御チャネル(Paging control channel: PCCH)はページング信号を送信するための下りチャネルである。PCCHは移動端末のセルロケーションをネットワークが知らない場合に用いられる。論理チャネルであるPCCHはトランスポートチャネルであるページングチャネル(PCH)へマッピングされる。共有制御チャネル(Common control channel: CCCH)は移動端末と基地局間の送信制御情報のためのチャネルである。
CCCHは移動端末がネットワークとの間でRRC接続(connection)を持っていない場合に用いられる。CCCHを下りに設けるかは現時点で決まっていない。上り方向では、CCCHはトランスポートチャネルである上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされる。
【0021】
マルチキャスト制御チャネル(Multicast control channel: MCCH)は1対多の送信のための下りチャネルである。ネットワークから移動端末への1つあるいはいくつかのMTCH用のMBMS制御情報の送信のために用いられるチャネルである。MCCHはMBMS受信中の移動端末のみに用いられるチャネルである。MCCHはトランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL-SCH)あるいはマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。個別制御チャネル(Dedicated control channel: DCCH)は移動端末とネットワーク間の個別制御情報を送信するチャネルである。DCCHは上りでは上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL-SCH)にマッピングされる。個別トラフィックチャネル(Dedicate Traffic channel: DTCH)はユーザ情報の送信のための個別移動端末への1対1通信のチャネルである。DTCHは上り・下りともに存在する。DTCHは上りでは上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL-SCH)へマッピングされる。マルチキャストトラフィックチャネル(Multicast Traffic channel: MTCH)はネットワークから移動端末へのトラフィックデータ送信のための下りチャネルである。MTCHはMBMS受信中の移動端末のみに用いられるチャネルである。MTCHは下り共有チャネル(DL-SCH)あるいはマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
【0022】
3GPPでの、E−MBMSサービスに関する現在の決定事項が、非特許文献5に記載されている。E−MBMSに関する言葉の定義について、図17を用いて説明する(非特許文献5 15章参照)。図17は、MBSFN同期エリアとMBSFNエリアとの関係を説明する説明図である。図17において、MBSFN同期エリア701(Multimedia Broadcast multicast service Single Frequency Network Synchronization Area)とは、すべての基地局が同期し、MBSFN(Multimedia Broadcast Multicast service Single Frequency Network)送信を実行することができるネットワークの領域のことである。
MBSFN同期エリアは1つ以上のMBSFNエリア(MBSFN Areas)702を含む。1つの周波数レイヤ(frequency layer)では、基地局は1つのMBSFN同期エリアにしか属すことができない。MBSFNエリア702(MBSFN Area)は、ネットワークのMBSFN同期エリアに含まれる基地局(セル)のグループから構成される。MBSFN同期エリア中の基地局(セル)は複数のMBSFNエリアを構成することもある。
【0023】
E−MBMSの論理構造(Logical Architecture)について図18を用いて説明する(非特許文献5 15章参照)。図18は、E−MBMSの論理構造(Logical Architecture)を説明する説明図である。図18において、マルチセル/マルチキャスト調整エンティティ801(Multi-cell/multicast Coordination Entity: MCE)とは論理エンティティである。MCE801は、マルチセルMBMS送信(multi-cell MBMS transmission)を行うため、MBSFNエリア中の全ての基地局に対する無線リソースの割り当てを行う。MCE801は時間あるいは/かつ周波数の無線リソースの割り当て以外に、無線構造の詳細(例えば、変調方式、コードなど)についての決定を行う。E−MBMSゲートウェイ802(MBMS GW)とは論理エンティティである。E−MBMSゲートウェイ802はeBMSCと基地局間に位置し、主要な機能は、サービスを各基地局へSYNCプロトコルにてMBMSサービスを送信/放送することである。M3インタフェースとは、MCE801とE−MBMSゲートウェイ802間の制御インタフェース(Control Plane Interface)である。M2インタフェースとは、MCE801とeNB102間の制御インタフェースである。M1インタフェースとは、E−MBMSゲートウェイ802とeNB102間のユーザデータインタフェース(User Plane Interface)である。
【0024】
E−MBMSのアーキテクチャ(Architecture)について説明する(非特許文献5 15章参照)。図19は、E−MBMSのアーキテクチャ(Architecture)を説明する説明図である。E−MBMSのアーキテクチャについては、図19(A)、(B)に示すように2つが考えられている。MBMSのセルについて説明する(非特許文献5 15章参照)。LTEシステムでは、MBMS専用セル(基地局)(MBMS-dedicated cell)とMBMSとユニキャストの両方のサービスを実行できるMBMS/ユニキャスト混合セル(MBMS/ Unicast -mixed cell)がある。
【0025】
MBMS送信について説明する(非特許文献5 15章参照)。LTEシステムでのMBMS送信は、シングルセル送信(Single-cell transmission: SC送信)とマルチセル送信(multi-cell transmission: MC送信)をサポートする。シングルセル送信ではSFN(Single frequency Network)オペレーションをサポートしない。また、マルチセル送信ではSFNオペレーションをサポートする。MBSFN(Multimedia Broadcast multicast service Single Frequency Network)エリアにてMBMSの送信は同期している。マルチセル送信におけるMBMSサービス(MTCHとMCCH)のSFN合成(Combining)がサポートされる。MTCHとMCCHは1対多送信にてMCHにマッピングされる。スケジューリングはMCEによって行われる。
【0026】
マルチキャスト制御チャネル(MCCH)構造(Structure)について説明する(非特許文献5 15章参照)。下り論理チャネルである報知制御チャネル(BCCH)は1つあるいは2つのプライマリマルチキャスト制御チャネル(Primary MCCH:P-MCCH)のスケジューリングを示す。シングルセル送信用のP−MCCHはDL−SCH(下り共有チャネル)にマッピングされる。また、マルチセル送信用のP−MCCHはMCH(マルチキャストチャネル)にマッピングされる。MCH上にセカンダリマルチキャスト制御チャネル(Secondary MCCH:S-MCCH)がマッピングされた場合、プライマリマルチキャスト制御チャネル(P-MCCH)を用いてセカンダリマルチキャスト制御チャネル(S-MCCH)のアドレスを示すことができる。報知制御チャネル(BCCH)はプライマリマルチキャスト制御チャネル(P-MCCH)のリソースを示すが、入手可能なサービスを示すことはない。
【0027】
3GPPでの、ページングに関する現在の決定事項が、非特許文献5(10章)に記載されている。ページンググループは、L1/L2シグナリングチャネル(PDCCH)を用いる。移動端末の明確な識別子(UE-ID)はページングチャネル(PCH)上で確認することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特許第3529351号公報
【非特許文献】
【0029】
【非特許文献1】3GPP規格書 TS23.041 V3.5.0
【非特許文献2】W−CDMA移動通信方式 立川敬二監修 2001.6.25発行 162−171頁
【非特許文献3】3GPP規格書 TS25.346 V7.3.0
【非特許文献4】3GPP規格書 TS25.331 V6.6.0
【非特許文献5】3GPP規格書 TS36.300 V8.2.0
【0030】
従来の移動体通信システムは、上記のように構成されていたので、不特定多数のユーザに対して緊急情報を報知するシステムとして使用するには、通信回線負荷の影響を受けやすく、また緊急情報として伝達可能な範囲が狭く、さらに情報の速報性を欠く場合があるという課題があった。
【0031】
具体的に説明すると、既存の移動体通信網を介してユーザの移動端末に対して音声又は電子メールで緊急情報を通知するシステムは、サービスに登録したユーザの移動端末と該サービスを提供する基地局との1対1の通信による情報提供となる。このため、基地局と移動端末との間での通信回線容量に依存するサービスであることから、緊急情報を通知するユーザが多数になると、通信回線にかかる負荷が増加して通知できない場合も発生し、不特定多数のユーザに対して緊急情報を通知するには適当でない。
【0032】
また、地上波デジタル放送で緊急情報を通知するシステムでは、地上波デジタル放送が移動体通信網と比較すると、屋内、建物の影、地下街等のように受信特性が悪い箇所が多く、緊急情報を的確に報知できない場合がある。さらに、地上波デジタル放送を受信するためのハードウエアを移動端末に追加する必要があるため、移動端末の小型化や低価格化に対しデメリットがある。
【0033】
CBSでは、基地局と移動端末とが1対多の通信であり、不特定多数のユーザに対して緊急情報を通知するのに適しているが、基地局から移動端末へデータ報知するにあたり、全ての移動体端末が送信データを受信できるわけではなく、待ち受け(Idle)状態の移動端末のみが受信可能である。上述したように、移動端末は、3GPPに規定される複数の状態を随時移行しながら動作している。このため、移動端末が待ち受け(Idle)状態であるならば報知された緊急情報を受信できるが、移動端末が待ち受け以外の状態であると報知された緊急情報を受信することができず、緊急情報の的確な通知がなされない場合がある。
【0034】
また、CBSでは、基地局から80オクテット程度の低レートのショートメッセージの送信を前提としている。このため、例えば地図情報や画像情報とったユーザの必要性に応じた緊急情報を通知するには、CBSで規定されるショートメッセージのデータ量では不十分である。
【0035】
これに対し、特許文献1に開示されるシステムでは、報知情報に緊急情報を受信するためのチャネル情報と緊急情報の識別子をパラメータとして付加し、このパラメータに従い移動端末が緊急情報を受信しており、基地局に登録された傘下の移動端末全てに緊急情報を報知できる。しかしながら、報知情報は定期的に通知されるものであり、移動端末は一定の間隔でしか報知情報を受信できないので、緊急情報の速報性を欠く場合がある。
【0036】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、待ち受け状態の移動端末だけでなく待ち受け状態以外の移動端末も緊急情報を受信する事ができ、かつ速報性を欠くことなく緊急情報を通知することができる移動体通信システム、これを構成する基地局及び移動端末を得ることを目的とする。
【発明の概要】
【0037】
この発明に係る移動体通信システムは、複数の移動端末及び基地局を含み、前記基地局から前記複数の移動端末へ緊急情報の配信が可能な移動体通信システムにおいて、前記基地局は、前記複数の移動端末のうち待ち受け状態の移動端末、CELL_PCH状態の移動端末及びURA_PCH状態の移動端末へPCCH中のPAGING TYPE1を用いて前記緊急情報を送信し、前記複数の移動端末のうち個別データを受信中の移動端末へDCCHを用いて前記緊急情報を送信し、前記待ち受け状態の移動端末、前記CELL_PCH状態の移動端末及び前記URA_PCH状態の移動端末は、前記基地局から送信された前記PCCH中のPAGING TYPE1により前記緊急情報を受信し、前記個別データを受信中の移動端末は、前記基地局から送信された前記DCCHにより前記緊急情報を受信することを特徴とするものである。
【0038】
この発明によれば、PAGING TYPE1やDCCHを用いることで、待ち受け状態の移動端末だけでなくCELL_PCH状態の移動端末、URA_PCH状態の移動端末及び個別データを受信中の移動端末も緊急情報を受信可能であり、さらに緊急情報の速報性を確保できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明による移動体通信システムの構成を示す図である。
【図2】この発明による移動体通信システムで取り扱われるチャネルを示す図である。
【図3】図1中の移動端末の構成を示す図である。
【図4】図1中の基地局の構成を示す図である。
【図5】図1中の基地局制御装置の構成を示す図である。
【図6】実施の形態1の移動体通信システムによる緊急情報の通知処理を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態2の移動体通信システムによる緊急情報の通知処理を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態3の移動体通信システムによる緊急情報の通知処理を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態4の移動体通信システムによる緊急情報の通知処理を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態5の移動体通信システムによる緊急情報の通知処理を示すフローチャートである。
【図11】LTE方式の通信システムの構成を示す説明図である。LTE方式の通信システムの構成を示す説明図である。
【図12】LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。
【図13】MBSFN(Multimedia Broadcast multicast service Single Frequency Network)フレームの構成を示す説明図である。
【図14】LTE方式の通信システムで使用される物理チャネルを説明する説明図である。
【図15】LTE方式の通信システムで使用されるトランスポートチャネルを説明する説明図である。
【図16】LTE方式の通信システムで使用される論理チャネルを説明する説明図である。
【図17】MBSFN同期エリアとMBSFNエリアの関係を説明する説明図である。
【図18】E−MBMSの論理構造(Logical Architecture)を説明する説明図である。
【図19】E−MBMSのアーキテクチャ(Architecture)を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について添付の図に従って説明する。
実施の形態1.
この実施の形態1は、MBMS制御チャネルであるMCCH中に緊急情報の有無を示す緊急情報フラグ(緊急情報インジケータ)を設け、移動端末が定期的に緊急情報の有無を確認可能としている。これにより、移動端末が、MBMSで緊急情報以外の情報を受信中であっても、緊急情報フラグで緊急情報の存在を認識してMBMS中の緊急情報チャネルを受信することができる。
【0041】
図1は、この発明による移動体通信システムの構成を示す図であり、このシステムではMBMSを利用してMBMS対応の全ての移動端末1に緊急情報が通知される。図1において、この発明による移動体通信システムは、移動端末1、基地局2、基地局制御装置3、SGSN4、GGSN5及びサービスセンタ6を備える。移動端末1は、1又は複数の基地局2からのデータを受信する通信装置である。基地局2は、自局がカバーするセル内の移動端末1との間でデータを送受信する。基地局制御装置3は、複数の基地局2と接続して各基地局2の通信を制御すると共に、SGSN4と接続して基地局2とSGSN4との通信を中継する。
【0042】
SGSN(Service GPRS Support Node)4は、移動体通信システムにおけるパケット通信を担当するノードであり、GPRS(General Packet Radio Service)に登録された個々のユーザに関する認証、サービス加入、ルーティング、モビリティの管理、サービス制限、コンテキスト保管及び課金情報等を取り扱う。
【0043】
GGSN(GPRS Gateway Support Node)5は、外部ネットワーク(例えば、インターネット網)に対するゲートウェイの機能を有するノードであり、SGSN4から送信されるパケット又はSGSN4に受信されるパケットのパス(path)を確保する。また、ゲートウェイの機能以外にも、GGSN5は、課金情報の集積やモビリティ管理、QoS(Quality of Service)ネゴシエーション、トラフィックを調整するポリシー制御等の処理を行う。
【0044】
サービスセンタ6は、外部ネットワークに接続し、サービス提供のためのコンテンツを保管したり、コンテンツを配送する通信ノードであり、ユーザからの要求に従ってGGSN5へコンテンツにかかるデータを送信する。なお、W−CDMAシステムでは、移動端末1をUE(User Equipment)、基地局2をNode−B、基地局制御装置3をRNC(Radio Network Controller)と呼ぶことがある。
【0045】
次にMBMS等のパケット通信に用いられるチャネルについて説明する。
図2は、この発明による移動体通信システムで取り扱われるチャネルを示す図であり、MBMS等のパケット通信に用いられるチャネルを示している。先ず、基地局2から移動端末1に対する下り方向の物理チャネルには、CPICH、P−CCPCH、S−CCPCH、PICH、MICHがある。
【0046】
CPICH(Common Pilot CHannel)は、移動端末1におけるチャネル推定、セルサーチ、セル内における全ての下り方向の物理チャネルのタイミング基準を報知するために用いられるチャネルであり、セル内の全ての移動端末1に対して送信される。
【0047】
P−CCPCH(Primary-Common Control Physical CHannel)は、その他の報知情報をセル内の各移動端末1へ報知するためのチャネルである。また、P−CCPCHでは、BCH(Broadcast CHannel;報知情報用チャネル)が送信される。BCHには、BCCH(Broadcast Control CHannel;報知情報制御チャネル)がマッピングされる。
【0048】
S−CCPCH(Secondary-Common Control Physical CHannel)は、セル内の各移動端末1へシグナリングやデータを送信するためのチャネルであり、複数本持つことが許されている。S−CCPCHでは、PCH(Paging CHannel;ページング用チャネル)、FACH(Forward Link Access CHannel;フォワードアクセスチャネル)が送信される。
PCHには、PCCH(Paging Control CHannel;ページング制御チャネル)がマッピングされる。
【0049】
FACHには、BCCH(Broadcast Control CHannel;報知情報制御チャネル)、CCCH(Common Control Channel;共通制御チャネル)、CTCH(Common Traffic CHannel;共通トラフィックチャネル)、DCCH(Dedicated Control CHannel;個別制御チャネル)、DTCH(Dedicated Traffic CHannel;個別トラフィックチャネル)、MCCH(MBMS point-to-multipoint Control CHannel;MBMS制御チャネル)、MTCH(MBMS point-to-multipoint Traffic CHannel;MBMSトラフィックチャネル)がマッピングされる。
【0050】
PICH(Paging Indicator CHannel)は、下り方向のページング用インジケータの送信用チャネルであり、MICH(MBMS Notification Indicator CHannel)は、下り方向のMBMS通知用インジケータの送信用チャネルである。
【0051】
次に、移動端末1から基地局2に対する上り方向の共通チャネルとしては、RACH(Random Access CHannel)があり、移動端末1からの制御情報や短いパケットの転送用に用いられるチャネルである。DPCH(Dedicated Physical CHannel)は、上り方向又は下り方向として両方向のチャネルとして使用され、特定の移動端末1と基地局2との間の通信用として個々に設定される。このDPCHは、音声やデータ等の個別データの通信や上位レイヤのシグナリングのために利用される。
【0052】
DPCHは、データを送信するDPDCH(Dedicated Physical Data CHannel)と制御に関するビットを送信するDPCCH(Dedicated Physical Control CHannel)とを有する。DPCHでは、DCH(Dedicated CHannel)が送信される。DCHには、DCCH、DTCHがマッピングされる。
なお、DPCHは、個々の移動端末1に利用されるために個別チャネルと呼ばれ、その他のチャネルは、複数の移動端末1に共通で使用されるため、共通チャネルと呼ばれる。
【0053】
なお、上述の説明では、W−CDMAシステムにおける基地局2と移動端末1との間の無線区間におけるチャネル構成を述べたが、他の通信システムに適用することも可能である。また、上述のチャネルは、同様のデータを送信するチャネルであれば、どのようなものを用いても構わない。例えば、上述の複数のチャネルを一本のチャネルに相乗りさせることも可能である。
【0054】
ここで、図1及び図2を用いて、この発明の移動体通信システムによるMBMSデータ配信の概要を説明する。なお、移動端末1からサービスをリクエストする場合もあるが、コンテンツサーバからデータが配送される場合を例に挙げて説明する。
先ず、外部ネットワーク内のコンテンツプロバイダが、サービスセンタ6に対してマルチメディアデータ等(MBMSデータ)を送信する。サービスセンタ6では、コンテンツプロバイダから受信したマルチメディアデータを記憶すると共に、このマルチメディアデータを、GGSN5を介してマルチメディアサービスを利用する移動端末1を管理するSGSN4へ転送する。
【0055】
SGSN4は、基地局制御装置3を介して基地局2へマルチメディアデータを送信し、基地局2がS−CCPCHを用いてマルチメディアデータを自己が管理するセル内の移動端末1へ配信する。移動端末1では、基地局2のどれか1つのS−CCPCHのデータを受信して、基地局2からのマルチメディアデータを受信する。このとき、移動端末1は、セルエッジ等に位置して、1つの基地局2から送信されたS−CCPCHのデータの受信状態が良くない場合、他の基地局2から送信されたS−CCPCHのデータも受信して、2本以上のチャネルについて選択合成を行い、受信品質の向上を図る。
【0056】
次に、この発明による移動体通信システムを構成する移動端末1について説明する。
図3は、図1中の移動端末の構成を示す図である。図3において、移動端末1は、アプリケーション処理部7、プロトコル処理部8、上り共通チャネル送信部9、上り個別チャネル送信部10、変調部11、コード発生器12、D/A変換器13、周波数変換部14、電力増幅部15、アンテナ16、低雑音増幅部17、周波数変換部18、A/D変換器19、受信部20a〜20c、コード発生器23、サーチ部24、フィンガー割当制御部25、入力メモリ26、デコード部27、出力メモリ28、報知情報受信部29、下り個別チャネル受信部30、下り共通チャネル受信部31、選択部32及び制御部33を備える。
【0057】
アプリケーション処理部7は、音声コーデックや画像コーデック等の変換処理、キー入力、不図示の表示装置への画像表示等のマンマシンインタフェースの処理を行い、上り共通チャネル送信部9や上り個別チャネル送信部10に対して、送信すべきデータや送信要求等の情報を供給する。プロトコル処理部8は、アプリケーション処理部7から入力した要求等に応じて、チャネル設定、チャネル解放、ハンドオーバ等の通信制御に関わる処理を実行する。例えば、移動端末1の発信処理の場合、アプリケーション処理部7がユーザより電話番号の入力を受け付け、プロトコル処理部8に対して発信要求を行う。また、プロトコル処理部8は、必要な制御情報を送信するために上り共通チャネル送信部9及び上り個別チャネル送信部10を制御することにより、通信規格で定められたプロトコルに従って基地局2との接続処理を行う。
【0058】
上り共通チャネル送信部9及び上り個別チャネル送信部10は、送信データに対してターボコーディング等の符号化処理や送信タイミングの制御等を行い、符号化データを変調部11へ出力する。変調部11は、コード発生器12により生成されたチャネライゼーションコード及びスクランブリングコードを用いて、上り共通チャネル送信部9や上り個別チャネル送信部10から出力された信号を拡散して変調する。変調された信号は、D/A変換器13においてデジタルデータからアナログ信号に変換され、周波数変換部14にてRF(Radio Frequency)信号に変換される。電力増幅部15は、変換された信号を所望の電力に増幅し、アンテナ16へ出力する。アンテナ16は、増幅された信号を無線信号として基地局2へ送信する。
【0059】
低雑音増幅部17は、アンテナ16を介して受信された微弱な信号の電力を増幅する。
周波数変換部18は、低雑音増幅部17により増幅された信号をベースバンド信号に変換する。A/D変換器19は、周波数変換部18から入力したアナログのベースバンド信号をデジタル信号に変換する。受信部20a〜20cは、複数のフィンガー部21とこれらの出力を合成する合成部22を備え、コード発生器23から入力したチャネライゼーションコード及びスクランブリングコードを用いて各パスの受信信号を逆拡散し、逆拡散した結果をレイク合成することにより、自己に割り当てられたチャネルの信号を受信する。フィンガー部21は、受信部20a〜20cの各々に複数設けられ、フィンガー割当制御部25により割り当てられた各パスの信号を受信して逆拡散、位相補正等の信号処理を実行する。合成部22は、フィンガー部21により処理された信号を入力してレイク合成を行う。
【0060】
コード発生器23は、制御部33による制御に従って、受信部20a〜20cによる受信信号の復調処理に用いるチャネライゼーションコード及びスクランブリングコードを生成し、受信部20a〜20cに出力する。サーチ部24は、制御部33による制御に従って、A/D変換器19で変換されたデジタル信号からセルサーチ及びマルチパス検出を行い、検出した結果を各受信部20a〜20cに出力する。フィンガー割当制御部25は、信号を受信すべきチャネルのパスをフィンガー部21に割り当てる。
【0061】
入力メモリ26は、受信部20a〜20cの合成部22によりレイク合成された信号を記憶する。デコード部27は、入力メモリ26から読み出したデータのCRCチェックやターボデコード等の復号処理を行う。出力メモリ28は、デコード部27により復号処理されたデータを記憶する。なお、メモリ26,28は、受信部ごとに独立したメモリを用いてもよいし、1つの大きなメモリを受信部20a〜20cで共有してもよい。
【0062】
報知情報受信部29は、出力メモリ28に格納されたBCHの復号データから必要な報知情報を読み出してプロトコル処理部8に出力する。下り個別チャネル受信部30及び下り共通チャネル受信部31は、出力メモリ28から読み出された復号したアプリケーションデータをアプリケーション処理部7へ出力し、復号した制御情報のデータをプロトコル処理部8へ出力する。選択部32は、制御部33による制御に従って、出力メモリ28から読み出した復号データを下り共通チャネル受信部31へ出力する。制御部33は、上述した構成部7〜32による処理を制御する。つまり、図3では、制御部33から各構成部への信号線を一部のみ記載しているが、制御部33は信号線を記載していない構成部の処理も制御する。
【0063】
ここで、移動端末1による基地局2からのデータを受信する処理について説明する。
アンテナ16により受信された微弱な信号は、低雑音増幅部17において増幅され、周波数変換部14によってベースバンド信号に変換される。A/D変換器19は、アナログのベースバンド信号をデジタル信号に変換して受信部20a〜20c及びサーチ部24へ出力する。サーチ部24は、入力したデジタル信号から基地局2のスクランブリングコードを同定して制御部33に通知すると共に、該デジタル信号からパスタイミングを検出して、検出したタイミングを受信部20a〜20c及びフィンガー割当制御部25に出力する。また、制御部33は、サーチ部24により特定されたセルの情報に基づいて、受信部20a〜20cがどのセルのどのチャネルを受信するかを指示する。
【0064】
フィンガー割当制御部25は、サーチ部24によるサーチ結果に基づいて複数あるパスの中から有効と思われるパスを選択しフィンガー部21に割り当てる。コード発生器23は、制御部33による制御に従って、信号を受信しようとする各セルの基地局2に対応するスクランブリングコードと、信号を受信しようとするチャネルのチャネライゼーションコードを生成し、受信部20a〜20cに出力する。
【0065】
制御部33は、デコード部27における上り/下りチャネルのチャネル品質情報(CQI情報)、CRC(Cyclic Redundancy Check)のエラー発生率、及び信号電力対干渉波受信電力比等の受信電力の少なくとも1つについて、例えばこれらの値と所定の閾値を比較することにより、選択合成を行うか否かを決定する。選択合成を行う場合、制御部33は、受信部20a〜20cがそれぞれ異なる基地局2からMBMS用のS−CCPCHを受信するように、コード発生器23を制御する。
【0066】
図3では、移動端末1が受信部20a〜20cの3系統を有しており、例えば受信部20aが制御情報のためにS−CCPCHを受信し、受信部20bがMBMS用のS−CCPCHを受信する。また、受信部20cは、選択合成のために別の基地局2からMBMS用のS−CCPCHを受信する。なお、受信部20a〜20cは、これらのチャネルの信号をそれぞれ独立したタイミングで受信することができる。
【0067】
各受信部20a〜20cのフィンガー部21は、コード発生器23から入力したコードに基づいて、フィンガー割当制御部25により割り当てられた各パスの信号を受信して逆拡散、位相補正等の信号処理を実行し合成部22に出力する。合成部22は、フィンガー部21により処理された信号を入力してレイク合成して入力メモリ26に格納する。
【0068】
デコード部27は、入力メモリ26から受信部20a〜20cによる受信データを読み出して、データのCRCやターボでコード等の復号処理を行い、復号結果を出力メモリ28に書き込む。一般に、デコーダのハードウエアは、回路規模が大きいために1つを時分割で利用することが多い。しかしながら、複数のデコーダを実装している場合には、それぞれのセル又はチャネル毎にデコーダを割り当てて行うことも可能である。
【0069】
その後、チャネルごとに必要な処理が行われ、報知情報受信部29は、BCHから必要な報知情報を得てプロトコル処理部8へ渡す。下り個別チャネル受信部30は、復号したデータがアプリケーションデータの場合、そのデータをアプリケーション処理部7へ送り、制御情報である場合には、そのデータをプロトコル処理部8へ送る。
【0070】
選択部32は、選択合成をする場合、受信部20b,20cが受信した異なる基地局2のMBMS用のS−CCPCHのデータを出力メモリ28からそれぞれ読み出し、デコード部27におけるCRCの結果等に基づいて正しいと思われる方のデータを下り共通チャネル受信部31へ出力し、他方のデータを廃棄する。
【0071】
一方、選択合成を行わない場合、選択部32は、受信部20b,20cが受信した各データを捨てずに下り共通チャネル受信部31へ出力する。下り共通チャネル受信部31では、下り個別チャネル受信部30と同様に、受信したデータがアプリケーションデータの場合は、アプリケーション処理部7へ、制御情報の場合はプロトコル処理部8へ受信したデータをそれぞれ出力する。
【0072】
なお、上述したように、受信部20a〜20cによって受信されたS−CCPCHは、S−CCPCHシステム情報(Secondary CCPCH system information)及びS−CCPCH情報(Secondary CCPCH information)を有し、これらの情報から移動端末1は、S−CCPCHに関する拡散率、チャネライゼーションコード、タイミングオフセット等の復調に必要な情報を得ることができる。これらのパラメータは、報知情報受信部29、下り個別チャネル受信部30、下り共通チャネル受信部31のいずれかにより制御情報として受信され、プロトコル処理部8に格納され管理される。プロトコル処理部8は、上述したパラメータを、受信部20a〜20c、コード発生器23、サーチ部24及びフィンガー割当制御部25に設定する。
【0073】
移動端末1は、1つのアクティブセルからのみ制御情報用S−CCPCHを受信するために異なるセルからの信号を合成しない。このとき、フィンガー割当制御部25では、1つのセルからのマルチパス成分のみをフィンガー部21に割り当てる。また、制御部33は、受信部20a〜20cがS−CCPCHの信号を受信した基地局2からの信号(電波)を観測し、この観測結果に応じて送信電力の増減を要求する送信電力制御情報をプロトコル処理部8へ送信する。プロトコル処理部8は、制御部33から入力した送信電力制御情報を、上り共通チャネル送信部9又は上り個別チャネル送信部10を用いて基地局2へ送信する。
【0074】
次に、この発明による移動体通信システムを構成する基地局(Node−B)について説明する。図4は、図1中の基地局の構成を示す図である。図4において、基地局2は、アンテナ42に加え、移動端末1へデータを送信する構成として、報知情報送信部34、下り個別チャネル送信部35、下り共通チャネル送信部36、変調部37、下り用コード発生器38、D/A変換器39、周波数変換部40及び電力増幅部41を備える。また、移動端末1からの信号を受信する構成として、低雑音増幅部43、周波数変換部44、A/D変換器45、復調部46、上り用コード発生器47、上り個別チャネル受信部48及び上り共通チャネル受信部49を備える。
【0075】
報知情報送信部34は、基地局制御装置3を介して移動端末1へ送信すべき報知情報を受信し、P−CCPCHに載せるデータとしてコーディング処理する。下り個別チャネル送信部35は、個別チャネルを利用する移動端末1ごとに設けられ、基地局制御装置3を介して個別チャネルのデータや制御情報を受信し、DPCHに載せるデータとしてコーディング処理する。また、下り共通チャネル送信部36は、基地局制御装置3を介して制御情報やマルチメディアデータを受信し、S−CCPCHに載せるデータとしてコーディング処理する。基地局2においてS−CCPCHは1つでもよいし、複数本あってもよい。
【0076】
なお、本発明では、S−CCPCHを通じて伝送されるMCCH中に緊急情報の有無を示す緊急情報フラグを新たに設ける。下り共通チャネル送信部36は、基地局制御装置3を介して緊急情報のマルチメディアデータを受信すると、MCCH中の緊急情報フラグに「有」を示すデジタル値を設定する。例えば、緊急情報フラグとして1ビットのデジタルデータを設定した場合、デジタル値1を緊急情報有り、デジタル値0を緊急情報無しとする。
【0077】
変調部37は、送信部34〜36でコーディングされたデータを入力し、下り用コード発生器38により設定されたチャネライゼーションコード及びスクランブリングコードを用いて、そのチャネルごとにデータを拡散処理する。D/A変換器39は、変調部37により拡散処理されたデジタルデータをアナログ信号に変換する。周波数変換部40は、D/A変換器39で変換されたアナログ信号をRF信号に変換する。電力増幅部41は、周波数変換部40により変換されたRF信号の電力を増幅する。なお、電力増幅部41は、移動端末1から受信した送信電力制御情報に基づいて増幅度を制御する。アンテナ42は、電力増幅部41により増幅された信号を無線信号として送信すると共に、移動端末1からの信号を受信する。
【0078】
低雑音増幅部43は、アンテナ42を介して移動端末1から受信された微弱な信号の電力を増幅する。周波数変換部44は、低雑音増幅部43により増幅された信号をベースバンド信号に変換する。A/D変換器45は、周波数変換部44から入力したアナログのベースバンド信号をデジタル信号に変換する。復調部46は、上り用コード発生器47により設定されたスクランブリングコードを用いて移動端末1からのデータを分離し、この移動端末1の各チャネルをチャネライゼーションコードで分離する。上り個別チャネル受信部48は、復調部46により復調された個別チャネルの信号をチャネルデコードして分離し基地局制御装置3へ送信する。また、上り共通チャネル受信部49は、復調部46により復調された共通チャネルの信号をチャネルデコードして分離し基地局制御装置3へ送信する。
【0079】
次に、基地局2による移動端末1へのデータ送信処理について説明する。
移動端末1へ送信すべき各種の制御情報やデータは、基地局制御装置3を介して受信され、各チャネルの制御情報やデータを送信する送信部34〜36にそれぞれ送られる。報知情報送信部34によりP−CCPCHのデータとしてコーディング処理された報知情報、下り個別チャネル送信部35によりDPCHのデータとしてコーディング処理された制御情報やデータ、下り共通チャネル送信部36によりS−CCPCHのデータとしてコーディング処理された制御情報やマルチメディアデータは、変調部37に送られる。変調部37では、下り用コード発生器38から入力したチャネライゼーションコード及びスクランブリングコードを用いて、送信部34〜36から入力したデータをチャネルごとに拡散処理し、D/A変換器39に出力する。D/A変換器39は、変調部37から入力したデジタル信号をアナログ信号に変換し、周波数変換部40は、D/A変換器39により変換されたアナログ信号をRF信号にさらに変換する。このRF信号は、電力増幅部41によって所望の電力に増幅され、アンテナ42を介して無線信号として移動端末1へ送信される。
【0080】
続いて、基地局2による移動端末1からのデータ受信処理について説明する。
アンテナ42を介して受信された移動端末1からの微弱な信号は、低雑音増幅部43により増幅される。周波数変換部44は、低雑音増幅部43により増幅された信号をベースバンド信号に変換し、A/D変換器45がベースバンド信号をデジタル信号に変換する。
復調部46は、上り用コード発生器47により設定されたスクランブリングコードを用いて自己が管理するセル内の各移動端末1からの信号を分離し、上り用コード発生器47により設定されたチャネライゼーションコードを用いて移動端末1の各チャネルを分離する。復調部46によって復調された信号は、個別チャネルの信号が上り個別チャネル受信部48に送られ、共通チャネルの信号が上り共通チャネル受信部49に送られる。上り個別チャネル受信部48及び上り共通チャネル受信部49は、入力した信号をチャネルデコード(復号)し基地局制御装置3へ送信する。
【0081】
次に、この発明による移動体通信システムを構成する基地局制御装置3について説明する。図5は、図1中の基地局制御装置の構成を示す図である。図5において、基地局制御装置3は、コアネットワークの処理と基地局2の無線回線との間を中継し、主に無線資源を管理して基地局2へチャネルの確立、解放の指示等の役割を有し、送受信処理部50、対基地局送受信処理部51、QoSパラメータマッピング部52、無線資源制御部53及び無線リンク制御部54を備える。
【0082】
送受信処理部50は、コアネットワークや他の基地局制御装置3に接続する構成要素であり、RANAP(Radio Access Network Application Part)等のコアネットワークやRNSAP(Radio Network Subsystem Application Part)等の他のRNCへの通信プロトコル処理を行う。対基地局送受信処理部51は、NBAP(Node B Application Part)等の基地局2への通信プロトコル処理を行う。QoSパラメータマッピング部52は、コアネットワークからのQoS(Quality of Service)指示に基づいて、要求を満たす無線チャネルのパラメータを取得する。
【0083】
無線資源制御部53は、無線資源に関する処理を行うと共に、RRCシグナリングにより移動端末1への制御情報やパラメータの通知を行う。無線リンク制御部54は、無線リンクにおけるバッファリングや再送制御を行う。なお、これらの構成要素における機能分担は機能上の論理的なものであり、実際のハードウエアやソフトウェアの実装においては明確に分離しているものとは限らない。
【0084】
次に、この発明の実施の形態1による移動体通信システムの動作について説明する。
図6は、実施の形態1の移動体通信システムによる緊急情報の通知処理を示すフローチャートであり、この図に沿って動作の詳細を説明する。なお、実施の形態1では、基地局2が緊急情報でないMBMSデータを送信しており、緊急情報でないMBMSデータを移動端末1が受信している際、この移動端末1に緊急情報を通知する場合を述べる。
【0085】
先ず、コンテンツプロバイダが、移動端末1へのマルチメディアデータをサービスセンタ6に送信する。サービスセンタ6は、マルチメディアデータを内部のメモリに記憶すると共に、GGSN5を介して、このマルチメディアサービスを利用する移動端末1を管理するSGSN4へ転送する。SGSN4は、基地局制御装置3を介してマルチメディアデータを基地局2に送信する。
【0086】
基地局2では、基地局制御装置3から受信したマルチメディアデータに緊急情報が有るか否かを判断する(ステップST1)。例えば、基地局2内の下り共通チャネル送信部36が、緊急情報のマルチメディアデータを受信したか否かにより緊急情報の有無を判断する。なお、基地局2へ送信される緊急情報のマルチメディアデータは、多くの基地局2間で同じ内容となる、いわゆる広域な緊急情報であっても良いし、1つあるいは少数の基地局2の間で同じ内容となる地域に密着した、いわゆる局地的な緊急情報であっても良い。
【0087】
ステップST1において緊急情報がないと判断した場合、ステップST4の処理に移行する。一方、緊急情報があると判断した場合、基地局2の下り共通チャネル送信部36は、緊急情報のマルチメディアデータを送信するS−CCPCHを通じて伝送されるMCCH中の緊急情報フラグに「有」を示すデジタル値を設定する(ステップST2)。例えば、緊急情報フラグを1ビットのデジタルデータとし、デジタル値1を緊急情報有り、デジタル値0を緊急情報無しとした場合、下り共通チャネル送信部36が、緊急情報フラグをデジタル値0から1へ変更する。
【0088】
次に、基地局2は、MCCH中に移動端末1が緊急情報チャネルを受信するのに必要な情報(以下、緊急情報チャネル情報と呼ぶ)を追加する(ステップST3)。ここで、緊急情報チャネル情報としては、例えば緊急情報チャネルの番号等が考えられる。この緊急情報チャネル情報は、下り共通チャネル送信部36によって追加される。
【0089】
なお、緊急情報チャネル情報が移動体通信システムで事前に決定されており、この移動体通信システムにおける移動端末1及び基地局2の双方が、この情報を認識している場合は、基地局2から移動端末1に対してこの情報を通知する必要がない。この場合、ステップST3を省略することが可能である。このようにすることで、基地局2における処理負荷を低減することができ、無線資源をその他の処理に有効活用することができる。
【0090】
また、緊急情報チャネル情報が基地局2で決定されている場合、この基地局2が自己のセル内にある傘下の移動端末1に対して事前に通知することで、ステップST3を省略することができる。例えば、基地局2の報知情報送信部34が、この情報を報知情報の一部としてP−CCPCHを用いて事前に通知する。このようにすることでも、基地局2における処理負荷を低減することができ、無線資源をその他の処理に有効活用することができる。
【0091】
ステップST1で緊急情報無しと判断された場合、若しくは、ステップST3の処理が完了すると、基地局2は、MCCHを傘下の移動端末1に送信する(ステップST4)。
緊急情報があると判断されている場合では、基地局2の下り共通チャネル送信部36が、MTCH中の緊急情報チャネルに、基地局制御装置3を介して受信した緊急情報をマッピングする(ステップST5)。この後、基地局2は、上述した送信処理により、アンテナ42を介して自己のセル内でMBMSを受ける傘下の移動端末1にMTCHを送信する(ステップST6)。なお、ステップST2からステップST5までの処理の順序は任意であってもよいし、これら処理を同時に行ってもよい。
【0092】
移動端末1は、基地局2から送信されたMCCHを受信すると(ステップST7)、このMCCH中の緊急情報フラグの値から緊急情報の有無を判定する(ステップST8)。
例えば、移動端末1で受信されたMCCHの内容が制御部33に送られ、制御部33が、MCCH中の緊急情報フラグの値に基づき緊急情報の有無を判定する。ここで、緊急情報フラグの値から緊急情報がないと判定されると、ステップST7の処理に戻る。
【0093】
また、ステップST8において緊急情報があると判断されると、移動端末1は、ステップST7で受信したMCCH中の緊急情報チャネル情報に従って、MTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始する(ステップST9)。図3では、緊急情報チャネル情報に従って、制御部33が、コード発生器23やフィンガー割当制御部25を制御して、受信部20bによりMBMS用のS−CCPCHを通じてMTCH中の緊急情報チャネルを受信する。
【0094】
MCCH中に緊急情報の有無を設定するための緊急情報フラグを設けることにより、MBMSデータを受信中の移動端末1は、このMCCHを常に受信することで、常に緊急情報フラグをモニタでき、移動端末1を介したユーザへの緊急情報通知に非常に有効である。
【0095】
なお、ステップST9において、緊急情報チャネル情報が移動体通信システムで事前に決定されており、この移動体通信システムにおける移動端末1及び基地局2の双方が、この情報を認識している場合は、この情報に従って移動端末1がMTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始する。また、緊急情報チャネル情報が基地局2で決定されている場合、この基地局2が自己のセル内にある傘下の移動端末1に対して、例えばP−CCPCHを用いて報知情報の一部として事前に通知しておく。この場合、移動端末1は、事前に通知された緊急情報チャネル情報に従ってMTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始することができる。
【0096】
ステップST9において、緊急情報チャネルを受信するにあたり、移動端末1は、それまでに受信していたMBMSデータを受信するのに必要な情報(以下、既存MBMS受信用情報と呼ぶ)を破棄してもよいし、緊急情報チャネル情報とは別に内部のメモリに保存してもよい。このように緊急情報チャネル情報とは別に既存MBMS受信用情報を保存しておくことにより、緊急事態が解除されて緊急情報チャネルを受信する必要がなくなった場合(あるいは、基地局2から緊急情報チャネルの送信が停止された場合)、既存MBMS受信用情報を用いて、それまでに受信していたMBMSデータの受信に迅速に復帰できる。
【0097】
なお、ステップST9において、移動端末1は、緊急情報チャネルを受信するにあたり、それまでに受信していたMBMSデータの受信を一旦停止する。ここで、移動端末1の無線性能が複数のMBMSデータを同時に受信することが可能であるならば、緊急情報チャネルのデータと合わせて、それまで受信していたMBMSデータを受信してもよい。この場合、既存MBMS受信用情報は、移動端末1内で緊急情報チャネル情報とは別に保存する必要がある。
【0098】
さらに、移動端末1としてのアプリケーション性能が同時に複数のMBMSデータをユーザに伝えることが可能である場合、緊急情報チャネルのデータと合わせて、それまでに受信していたMBMSデータをユーザに伝えるようにしてもよい。この場合においても、既存MBMS受信用情報は、緊急情報チャネル情報とは別に移動端末1内で保存する必要がある。
【0099】
以上のように、この実施の形態1によれば、MBMSに対応した移動端末1がモニタ可能なMCCH中に緊急情報の有無を示す緊急情報フラグ(緊急情報インジケータ)を設けたので、緊急情報でないMBMSデータを受信中の移動端末1であっても、MCCH中の緊急情報フラグの値によって定期的に緊急情報の有無を確認することができ、緊急情報が存在すると判断された場合、MBMS中のチャネルである緊急情報チャネルを介して緊急情報を受信することができる。
【0100】
特に、緊急情報の有無を示す構成として、少ないビット数のデジタルデータで表現可能な緊急情報フラグ(緊急情報インジケータ)をMCCH中に設けたので、この実施の形態1を適用するためにMCCH中に追加する情報量を少なく抑えることができる。
【0101】
また、移動端末1は、緊急情報フラグの値に応じてMBMS中の緊急情報データを受信することから、緊急情報の受信に際し他の不必要な情報を受信したり、ユーザ側で緊急情報チャネルを選択する動作を必要とすることなく、早期にMBMS中の緊急情報データを受信でき、緊急情報の速報性を十分に確保することができる。さらに、緊急情報がない場合であっても、他のMCCH情報を受信する必要がなくなるため、移動端末1の消費電力を低減することができる。
【0102】
この他、実施の形態1では、緊急情報フラグと緊急情報チャネル情報の双方をMCCH中に設けたので、特許文献1のように、例えばBCCH等に載せる報知情報として緊急情報に関する情報を設定する場合と比較して、より多くの情報量で緊急情報を伝達することが可能である。
【0103】
実施の形態2.
この実施の形態2による移動体通信システムは、音声通話やパケット等の個別データを通信中でMBMSデータを受信していない移動端末であっても、緊急情報の発生を通知し、MBMS中の緊急情報チャネルの受信を可能とするものである。
【0104】
実施の形態2による移動体通信システムにおける移動端末、基地局、基地局制御装置の基本的な構成は、上記実施の形態1で示した図1〜5と同様であるが、基地局が緊急情報が発生した際、MCCHに先駆けてMICHを移動端末に送信し、音声通話やパケット等の個別データを通信中でMBMSデータを受信していない移動端末がMICHのインジケータの内容に応じてMCCHを受信し、MCCH中の緊急情報フラグの値で緊急情報の有無を判断してMBMSで緊急情報を受信する点で異なる。以降では、この実施の形態2による移動体通信システムの構成も図1〜5を用いて説明する。
【0105】
なお、MICHは、MBMS対応である移動端末1に対して、基地局2が、MBMSのチャネル情報が更新され、MBMSデータの受信に必要なMCCH(MBMS制御情報チャネル)の内容が更新される度に、その更新内容を示すために、MCCHに先駆けて通知されるインジケータ用チャネルである。つまり、移動端末1は、MBMSデータを受信していないときであっても、MICHは受信してその内容をモニタしており、MICHのインジケータ内容がMBMSで受信したいサービスもしくはサービスグループを示すものであるならば、MCCHの受信を開始してそのサービスのデータをMBMSで受信することができる。
【0106】
実施の形態2では、通話やデータ通信によってMBMSサービスを受信していない状態にある移動端末1であっても、MICHをモニタすることによって、このMICH中のインジケータが緊急情報を含む内容を示している場合にMCCHの受信を開始する。移動端末1がMCCH中に設けた緊急情報フラグを検出することで、上記実施の形態1と同様にして緊急情報の有無を判断する。これらの動作を定期的に行うことにより、MBMSを受信していない移動端末1が定期的に緊急情報の有無を確認でき、MCCHの緊急情報フラグの値により緊急情報の存在を判断した移動端末1が、MBMS中の緊急情報チャネルを受信できる。
【0107】
また、この実施の形態2では、移動端末1が音声やパケット等の個別データの通信中に緊急情報の存在を認識した場合、振動やアイコン点滅、文字表示等でユーザに緊急情報の発生を通知する。これにより、通話やWeb閲覧等のパケット通信に影響を与えることなく、ユーザに緊急情報の発生を通知することができる。
【0108】
次に動作について説明する。
図7は、実施の形態2の移動体通信システムによる緊急情報の通知処理を示すフローチャートであり、この図に沿って動作の詳細を説明する。なお、実施の形態2では、基地局2が音声通話やデータ通信を移動端末1との間で行っており、この移動端末1に緊急情報を通知する場合を述べる。
【0109】
先ず、基地局2は、移動端末1との間でDPCHにマッピングされたDTCHやDCCHを用いて、音声やパケット等の個別データの通信を行っている(ステップST1a、ステップST9a)。このとき、コンテンツプロバイダが、移動端末1へのマルチメディアデータをサービスセンタ6に送信する。サービスセンタ6は、マルチメディアデータを内部のメモリに記憶すると共に、GGSN5を介して、このマルチメディアサービスを利用する移動端末1を管理するSGSN4へ転送する。SGSN4は、基地局制御装置3を介してマルチメディアデータを基地局2に送信する。
【0110】
続いて、基地局2は、上記実施の形態1と同様に基地局制御装置3から受信したマルチメディアデータに緊急情報が有るか否かを判断する(ステップST2a)。例えば、基地局2の下り共通チャネル送信部36が、緊急情報のマルチメディアデータを受信したか否かにより緊急情報の有無を判断する。なお、基地局2へ送信される緊急情報のマルチメディアデータは、多くの基地局2間で同じ内容となる、いわゆる広域な緊急情報であっても良いし、1つあるいは少数の基地局2の間で同じ内容となる地域に密着した、いわゆる局地的な緊急情報であっても良い。
【0111】
ステップST2aにおいて緊急情報がないと判断した場合、ステップST1aの処理に戻る。一方、緊急情報があると判断した場合、基地局2の下り共通チャネル送信部36は、緊急情報のマルチメディアデータを送信するS−CCPCHを通じて伝送されるMCCH中の緊急情報フラグに「有」を示すデジタル値を設定する(ステップST3a)。例えば、緊急情報フラグを1ビットのデジタルデータとし、デジタル値1を緊急情報有り、デジタル値0を緊急情報無しとした場合、下り共通チャネル送信部36が、緊急情報フラグをデジタル値0から1へ変更する。
【0112】
次に、基地局2は、MCCH中に移動端末1が緊急情報チャネルを受信するのに必要な情報(緊急情報チャネル情報)を追加する(ステップST4a)。緊急情報チャネル情報としては、上記実施の形態1と同様に、例えば緊急情報チャネルの番号等が考えられる。
この情報は、下り共通チャネル送信部36によって追加される。
【0113】
なお、緊急情報チャネル情報が移動体通信システムで事前に決定されており、この移動体通信システムにおける移動端末1及び基地局2の双方が、この情報を認識している場合は、基地局2から移動端末1に対してこの情報を通知する必要がない。この場合、ステップST4aを省略することが可能である。このようにすることで、基地局2における処理負荷を低減することができ、無線資源をその他の処理に有効活用することができる。
【0114】
また、緊急情報チャネル情報が基地局2で決定されている場合、この基地局2が自己のセル内にある傘下の移動端末1に対して事前に通知することで、ステップST4aを省略することができる。例えば、基地局2の報知情報送信部34が、この情報を報知情報の一部としてP−CCPCHを用いて事前に通知する。このようにすることでも、基地局2における処理負荷を低減することができ、無線資源をその他の処理に有効活用することができる。
【0115】
ステップST4aでMCCHの内容が更新されるか、若しくは、上述のようにしてステップST4aの処理が省略されて、ステップST2aで緊急情報の存在が認識され、ステップST3aでMCCH中の緊急情報フラグが「有」に設定されると、基地局2は、全てのサービスもしくはサービスグループに対応したMICHフレームの所望の通知用インジケータのデジタル値を変更させる。例えば、通知用インジケータを2ビットのデジタルデータとし、デジタル値11をMCCH変更有り、デジタル値00をMCCH変更無しとした場合、通知用インジケータをデジタル値00から11へ変更させる。基地局2は、MICHを傘下の移動端末1に対して送信する(ステップST5a)。例えば、基地局2の下り共通チャネル送信部36が、上述したステップの処理でMCCHが更新されると、上記実施の形態1で示した送信処理により、アンテナ42を介してMICHを移動端末1に送信する。
【0116】
続いて、基地局2は、MCCHを傘下の移動端末1に送信する(ステップST6a)。
緊急情報があると判断されている場合では、基地局2の下り共通チャネル送信部36が、MTCH中の緊急情報チャネルに、基地局制御装置3を介して受信した緊急情報をマッピングする(ステップST7a)。この後、基地局2は、上述した送信処理により、アンテナ42を介して自己のセル内でMBMSを受ける傘下の移動端末1にMTCHを送信する(ステップST8a)。なお、ステップST3a及びステップST4aの処理順序は任意であってもよいし、これら処理を同時に行ってもよい。
【0117】
ステップST9aにおいて、移動端末1は、基地局2との間で音声やパケット等の個別データを送受信している。このとき、移動端末1は、上述のようにして基地局2から送信されたMICHを受信すると(ステップST10a)、このMICH中のインジケータが緊急情報チャネルを含む移動端末1のMBMS受信対象内容を示すものである否かを判定する(ステップST11a)。例えば、移動端末1に受信されたMICHの内容が制御部33に送られ、制御部33が、MICH中のインジケータの内容に基づいて緊急情報チャネルを含む移動端末1のMBMS受信対象のMCCH変更を示すものであるか否かを判定する。ここで、緊急情報チャネルを含む移動端末1のMBMS受信対象のMCCH変更を示すものでないと判定されると、ステップST9aの処理に戻る。
【0118】
また、ステップST11aで緊急情報チャネルを含む移動端末1のMBMS受信対象内容を示すものであると判断されると、移動端末1は、上述のようにして基地局2から送信されたMCCHを受信(ステップST12a)し、このMCCH中の緊急情報フラグの値から緊急情報の有無を判定する(ステップST13a)。例えば、移動端末1で受信されたMCCHの内容が制御部33に送られ、制御部33が、MCCH中の緊急情報フラグの値に基づき緊急情報の有無を判定する。ここで、緊急情報フラグの値から緊急情報がないと判定されると、ステップST9aの処理に戻る。
【0119】
また、ステップST13aで緊急情報があると判断されると、移動端末1は、ステップST12aで受信したMCCH中の緊急情報チャネル情報に従って、上述のようにして基地局2から送信されたMTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始する(ステップST14a)。
【0120】
なお、ステップST14aにおいて、緊急情報チャネル情報が移動体通信システムで事前に決定されており、この移動体通信システムにおける移動端末1及び基地局2の双方が、この情報を認識している場合は、この情報に従って移動端末1がMTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始する。また、緊急情報チャネル情報が基地局2で決定されている場合、この基地局2が自己のセル内にある傘下の移動端末1に対して、例えばP−CCPCHを用いて報知情報の一部として事前に通知しておく。この場合、移動端末1は、事前に通知された緊急情報チャネル情報に従ってMTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始することができる。
【0121】
このように、音声やパケット等の個別データを基地局2との間で通信しており、MBMSデータを受信していない移動端末1であっても、MICHを受信するようにし、このMICHのインジケータが緊急情報チャネルを含むMBMS受信対象内容を示していると、MCCHの受信を開始し、その緊急情報フラグの値により緊急情報の有無を認識できるように構成したので、移動端末1がMBMSデータを受信していない場合においても、またはどのサービスを選択していても、基地局2からの緊急情報の有無をモニタすることが可能であり、移動端末1を介したユーザへの緊急情報通知に非常に有効である。
【0122】
移動端末1は、緊急情報チャネルの受信を開始すると、音や振動、その表示装置の画面上に文字表示することで緊急情報の受信を開始したことをユーザに通知する(ステップST15a)。例えば、通話中若しくはパケット通信中であっても、緊急情報チャネルの受信開始に応じて、制御部33が、不図示の音声出力部やバイブレーション機構、表示処理部を制御することにより、上述のような緊急情報の通知を行う。
【0123】
以上のように、この実施の形態2によれば、基地局2がMCCHに先駆けてMICHを移動端末1に送信し、移動端末1がMICHのインジケータの内容に応じてMCCHを受信し、MCCH中の緊急情報フラグの値で緊急情報の有無を判断してMBMSで緊急情報を受信するので、音声通話やパケット等の個別データ通信中でMBMSデータを受信していない移動端末1であっても、緊急情報発生を通知し、MBMS中の緊急情報チャネルを受信させることができる。また、個別データ通信中の移動端末1のユーザに、MBMS中の緊急チャネルで受信した緊急情報を通知できる。
【0124】
実施の形態3.
この実施の形態3による移動体通信システムは、待ち受け状態でMBMSデータを受信していない移動端末であっても、緊急情報の発生を通知し、MBMS中の緊急情報チャネルの受信を可能とするものである。
【0125】
実施の形態3による移動体通信システムにおける移動端末、基地局、基地局制御装置の基本的な構成は、上記実施の形態1で示した図1〜5と同様であるが、基地局が緊急情報が発生した際、MCCHに先駆けてMICHを移動端末に送信し、待ち受け状態でMBMSデータを受信していない移動端末がMICHのインジケータの内容に応じてMCCHを受信し、MCCH中の緊急情報フラグの値で緊急情報の有無を判断してMBMSで緊急情報を受信する点で異なる。以降では、この実施の形態3による移動体通信システムの構成も図1〜5を用いて説明する。
【0126】
なお、上記実施の形態2で示したようにMICHは、MBMS対応である移動端末1に対して、基地局2が、MBMSのチャネル情報が更新され、MBMSデータの受信に必要なMCCH(MBMS制御情報チャネル)の内容が更新される度に、その更新内容を示すために、MCCHに先駆けて通知されるインジケータ用チャネルである。つまり、移動端末1は、MBMSデータを受信していないときであっても、MICHは受信してその内容をモニタしており、MICHのインジケータ内容がMBMSで受信したいサービスもしくはサービスグループを示すものであるならば、MCCHの受信を開始してそのサービスのデータをMBMSで受信することができる。
【0127】
実施の形態3では、待ち受け状態でMBMSサービスを受信していない移動端末1であっても、MICHをモニタすることによって、このMICH中のインジケータが緊急情報を含む内容を示している場合にMCCHの受信を開始する。移動端末1がMCCH中に設けた緊急情報フラグを検出することで、上記実施の形態1と同様にして緊急情報の有無を判断する。これらの動作を定期的に行うことにより、MBMSを受信していない移動端末1が定期的に緊急情報の有無を確認でき、MCCHの緊急情報フラグの値により緊急情報の存在を判断した移動端末1が、MBMS中の緊急情報チャネルを受信できる。
【0128】
また、この実施の形態3では、上記実施の形態2と同様に、移動端末1が音声やパケット等の個別データの通信中に緊急情報の存在を認識した場合、振動やアイコン点滅、文字表示等でユーザに緊急情報の発生を通知する。これにより、通話やWeb閲覧等のパケット通信に影響を与えることなく、ユーザに緊急情報の発生を通知することができる。
【0129】
次に動作について説明する。
図8は、実施の形態3の移動体通信システムによる緊急情報の通知処理を示すフローチャートであり、この図に沿って動作の詳細を説明する。なお、実施の形態3では、待ち受け状態にあり、MBMSデータを受信していない移動端末1に対して緊急情報を通知する場合を述べる。
【0130】
先ず、移動端末1が待ち受け状態にある場合、基地局2は、自己のセル内の傘下の移動端末1に対してPICHを周期的に送信している(ステップST1b)。このとき、コンテンツプロバイダが、移動端末1へのマルチメディアデータをサービスセンタ6に送信する。サービスセンタ6は、マルチメディアデータを内部のメモリに記憶すると共に、GGSN5を介して、このマルチメディアサービスを利用する移動端末1を管理するSGSN4へ転送する。SGSN4は、基地局制御装置3を介してマルチメディアデータを基地局2に送信する。
【0131】
続いて、基地局2は、上記実施の形態1と同様に基地局制御装置3から受信したマルチメディアデータに緊急情報が有るか否かを判断する(ステップST2b)。例えば、基地局2内の下り共通チャネル送信部36が、緊急情報のマルチメディアデータを受信したか否かにより緊急情報の有無を判断する。なお、基地局2へ送信される緊急情報のマルチメディアデータは、多くの基地局2間で同じ内容となる、いわゆる広域な緊急情報であっても良いし、1つあるいは少数の基地局2の間で同じ内容となる地域に密着した、いわゆる局地的な緊急情報であっても良い。
【0132】
ステップST2bで緊急情報がないと判断した場合、ステップST1bの処理に戻る。
一方、緊急情報があると判断した場合、基地局2の下り共通チャネル送信部36は、緊急情報のマルチメディアデータを送信するS−CCPCHを通じて伝送されるMCCH中の緊急情報フラグに「有」を示すデジタル値を設定する(ステップST3b)。例えば、緊急情報フラグを1ビットのデジタルデータとし、デジタル値1を緊急情報有り、デジタル値0を緊急情報無しとした場合、下り共通チャネル送信部36が、緊急情報フラグをデジタル値0から1へ変更する。
【0133】
次に、基地局2は、MCCH中に移動端末1が緊急情報チャネルを受信するのに必要な情報(緊急情報チャネル情報)を追加する(ステップST4b)。緊急情報チャネル情報としては、上記実施の形態1と同様に、例えば緊急情報チャネルの番号等が考えられる。
この情報は、下り共通チャネル送信部36によって追加される。
【0134】
なお、緊急情報チャネル情報が移動体通信システムで事前に決定されており、この移動体通信システムにおける移動端末1及び基地局2の双方が、この情報を認識している場合は、基地局2から移動端末1に対してこの情報を通知する必要がない。この場合、ステップST4bを省略することが可能である。このようにすることで、基地局2における処理負荷を低減することができ、無線資源をその他の処理に有効活用することができる。
【0135】
また、緊急情報チャネル情報が基地局2で決定されている場合、この基地局2が自己のセル内にある傘下の移動端末1に対して事前に通知することで、ステップST4bを省略することができる。例えば、基地局2の報知情報送信部34が、この情報を報知情報の一部としてP−CCPCHを用いて事前に通知する。このようにすることでも、基地局2における処理負荷を低減することができ、無線資源をその他の処理に有効活用することができる。
【0136】
ステップST4bでMCCHの内容が更新されるか、若しくは、上述のようにしてステップST4bの処理が省略されて、ステップST2bで緊急情報の存在が認識され、ステップST3bでMCCH中の緊急情報フラグが「有」に設定されると、基地局2は、全てのサービスもしくはサービスグループに対応したMICHフレームの所望の通知用インジケータのデジタル値を変更させる。例えば、通知用インジケータを2ビットのデジタルデータとし、デジタル値11をMCCH変更有り、デジタル値00をMCCH変更無しとした場合、通知用インジケータをデジタル値00から11へ変更させる。基地局2は、MICHを傘下の移動端末1に対して送信する(ステップST5b)。例えば、基地局2の下り共通チャネル送信部36が、上述したステップの処理でMCCHが更新されると、上記実施の形態1で示した送信処理により、アンテナ42を介してMICHを移動端末1に送信する。
【0137】
続いて、基地局2は、MCCHを傘下の移動端末1に送信する(ステップST6b)。
緊急情報があると判断されている場合では、基地局2の下り共通チャネル送信部36が、MTCH中の緊急情報チャネルに、基地局制御装置3を介して受信した緊急情報をマッピングする(ステップST7b)。この後、基地局2は、上述した送信処理により、アンテナ42を介して自己のセル内でMBMSを受ける傘下の移動端末1にMTCHを送信する(ステップST8b)。なお、ステップST3b及びステップST4bの処理順序は任意であってもよいし、これら処理を同時に行ってもよい。
【0138】
ステップST9bにおいて、移動端末1は、基地局2からのPICHを受信して自局(自端末)向けの情報(PI;Paging Indicator)の有無を判断している。例えば、移動端末1で受信されたPICHの内容が制御部33に送られ、制御部33がPICHで自局向けの情報の有無を判定する。このとき、自局向けの情報があると判断されると、移動端末1は、この自局向けの情報に基づいて基地局2からのS−CCPCHの受信を開始する(ステップST10b)。
【0139】
一方、自局向けの情報がないと判断されると、移動端末1は、上述のようにして基地局2から送信されたMICHを受信(ステップST11b)し、このMICH中のインジケータが緊急情報チャネルを含む移動端末1のMBMS受信対象内容を示すものである否かを判定する(ステップST12b)。例えば、移動端末1に受信されたMICHの内容が制御部33に送られ、制御部33が、MICH中のインジケータの内容に基づいて緊急情報チャネルを含む移動端末1のMBMS受信対象のMCCH変更を示すものであるか否かを判定する。ここで、緊急情報チャネルを含む移動端末1のMBMS受信対象のMCCH変更を示すものでないと判定されると、ステップST9bの処理に戻る。
【0140】
また、ステップST12bにおいて緊急情報チャネルを含む移動端末1のMBMS受信対象内容を示すものであると判断されると、移動端末1は、上述のようにして基地局2から送信されているMCCHを受信(ステップST13b)し、このMCCH中の緊急情報フラグの値から緊急情報の有無を判定する(ステップST14b)。例えば、移動端末1で受信されたMCCHの内容が制御部33に送られ、制御部33が、MCCH中の緊急情報フラグの値に基づき緊急情報の有無を判定する。ここで、緊急情報フラグの値から緊急情報がないと判定されると、ステップST9bの処理に戻る。
【0141】
また、ステップST14bにおいて緊急情報があると判断されると、移動端末1は、ステップST13bで受信したMCCH中の緊急情報チャネル情報に従って、上述のようにして基地局2から送信されたMTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始する(ステップST15b)。
【0142】
なお、ステップST15bにおいて、緊急情報チャネル情報が移動体通信システムで事前に決定されており、この移動体通信システムにおける移動端末1及び基地局2の双方が、この情報を認識している場合は、この情報に従って移動端末1がMTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始する。また、緊急情報チャネル情報が基地局2で決定されている場合、この基地局2が自己のセル内にある傘下の移動端末1に対して、例えばP−CCPCHを用いて報知情報の一部として事前に通知しておく。この場合、移動端末1は、事前に通知された緊急情報チャネル情報に従ってMTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始することができる。
【0143】
このように、待ち受け状態にあってMBMSデータを受信していない移動端末1であっても、MICHを受信するようにし、このMICHのインジケータが緊急情報チャネルを含むMBMS受信対象内容を示していると、MCCHの受信を開始し、その緊急情報フラグの値により緊急情報の有無を認識できるように構成したので、移動端末1がMBMSデータを受信していない場合においても、またはどのサービスを選択していても、基地局2からの緊急情報の有無をモニタすることが可能であり、移動端末1を介したユーザへの緊急情報通知に非常に有効である。
【0144】
移動端末1は、緊急情報チャネルの受信を開始すると、音や振動、その表示装置の画面上に文字表示することで緊急情報の受信を開始したことをユーザに通知する(ステップST16b)。例えば、通話中若しくはパケット通信中であっても、緊急情報チャネルの受信開始に応じて、制御部33が、不図示の音声出力部やバイブレーション機構、表示処理部を制御することにより、上述のような緊急情報の通知を行う。
【0145】
以上のように、この実施の形態3によれば、基地局2がMCCHに先駆けてMICHを移動端末1に送信し、移動端末1がMICHのインジケータの内容に応じてMCCHを受信し、MCCH中の緊急情報フラグの値で緊急情報の有無を判断してMBMSで緊急情報を受信するので、待ち受け状態にあってMBMSデータを受信していない移動端末1であっても、緊急情報発生を通知し、MBMS中の緊急情報チャネルを受信させることができる。また、個別データ通信中の移動端末1のユーザに、MBMS中の緊急チャネルで受信した緊急情報を通知できる。
【0146】
なお、上記実施の形態2および3では、MICH中のインジケータが緊急情報を含む内容を示す方法として、MCCH中の緊急情報フラグが「有」に設定された場合に、全てのサービスもしくはサービスグループに対応したMICHフレームの所望の通知用インジケータのデジタル値を変更させることとした。
他の方法として、全てのMICHフレームの中にMCCH中緊急情報フラグ変更通知専用のインジケータを設けておいても良い。この場合は、ステップST3a、ST3bでMCCH中の緊急情報フラグが「有」に設定されると、基地局2は、全てのサービスもしくはサービスグループに対応したMICHフレームのMCCH中緊急情報フラグ変更通知専用のインジケータのデジタル値を変更させる。例えば、MCCH中緊急情報フラグ変更通知専用インジケータを2ビットのデジタルデータとし、デジタル値11をMCCH変更有り、デジタル値00をMCCH変更無しとした場合、通知用インジケータをデジタル値00から11へ変更させる。移動端末1は、ステップST11a、ST12bで、受信したいサービスに対応したMICHフレームを受信し、所望のインジケータによりMCCH変更を判断するとともに、同じMICHフレーム中のMCCH中緊急情報フラグ変更通知専用インジケータをモニタし、MCCH中の緊急情報フラグが「有」に設定されたかどうかも判断するようにしておく。なお、MCCH中緊急情報フラグ変更通知専用インジケータは他の通知用インジケータと同じビット数のデジタルデータとしても良い。
上記のように、全てのMICHフレームの中にMCCH中緊急情報フラグ変更通知専用インジケータを設けておくことで、通常(緊急でない)受信したいサービスもしくはサービスグループが無い場合の移動端末も、MCCH中緊急情報フラグ変更通知専用インジケータのみを受信することで、緊急の場合のMCCH緊急情報フラグが「有」に設定されたかどうかを判定することができるようになる効果が得られる。また、全てのMICHフレームの中にMCCH中緊急情報フラグ変更通知専用インジケータを設けておくので、移動端末はどのMICHフレームを受信しても良く、基地局と移動端末間で柔軟なスケジューリングをすることが可能となる。
【0147】
さらに他の方法として、MCCH緊急情報チャネル専用のサービスもしくはサービスグループを設定しておいても良い。この場合は、ステップST3a、ST3bでMCCH中の緊急情報フラグが「有」に設定されると、基地局2は、MCCH緊急情報チャネル専用のサービスもしくはサービスグループに対応したMICHフレームのMCCH中緊急情報フラグ変更通知用インジケータのデジタル値を変更させる。例えば、MCCH中緊急情報フラグ変更通知用インジケータを2ビットのデジタルデータとし、デジタル値11をMCCH変更有り、デジタル値00をMCCH変更無しとした場合、通知用インジケータをデジタル値00から11へ変更させる。移動端末1は、ステップST11a、ST12bで、MCCH緊急情報チャネル専用のサービスもしくはサービスグループに対応したMICHフレーム中のMCCH中緊急情報フラグ変更通知用インジケータによりMCCH中の緊急情報フラグが「有」に設定されたかどうかを判断するようにしておく。
なお、MCCH中緊急情報フラグ変更通知用インジケータは他のサービスもしくはサービスグループ通知用インジケータと同じビット数のデジタルデータとしても良い。
上記のように、MCCH緊急情報チャネル専用のサービスもしくはサービスグループを設定しておくことで、通常(緊急でない)受信したいサービスもしくはサービスグループが無い場合の移動端末も、MCCH中緊急情報チャネル専用のサービスもしくはサービスグループ対応のMICHフレームのみを受信することで、そのフレームの中にある緊急の場合のMCCH緊急情報フラグが「有」に設定されたかどうかを判定することができるようになる効果が得られる。
【0148】
なお、上記の実施の形態2および3では、移動端末が個別データ通信中(CELL_DCH状態)や待ち受け(Idle状態)の場合について開示したが、MCCH中に緊急情報フラグを設け、移動端末がMICHを受信し、そのインジケータの内容に応じてMCCHを受信し、MCCH中の緊急情報フラグの値で緊急情報の有無を判断してMBMSで緊急情報を受信する方法は、上記の状態に限らず、CELL_FACH状態、CELL_PCH状態、URA_PCH状態においても適用することが可能であるため、従って、移動端末の取り得る状態によらず、緊急情報データを受信でき、緊急情報の受信に際し他の不必要な情報を受信したり、ユーザ側で緊急情報チャネルを選択する動作を必要とすることなく、早期にMBMS中の緊急情報データを受信でき、緊急情報の速報性を十分に確保することができる。
【0149】
上記実施の形態2および3では、移動端末がMICHを受信し、そのインジケータの内容に応じてMCCHを受信する方法について開示しているが、MICHでなくPICHを利用しても良い。具体的には、全てのPICHフレームの中にMCCH中緊急情報フラグ変更通知専用のインジケータを設けておいても良い。この場合は、ステップST3a、ST3bでMCCH中の緊急情報フラグが「有」に設定されると、基地局2は、全ての移動端末もしくは移動端末グループに対応したPICHフレームのMCCH中緊急情報フラグ変更通知専用のインジケータのデジタル値を変更させる。例えば、MCCH中緊急情報フラグ変更通知専用インジケータを2ビットのデジタルデータとし、デジタル値11をMCCH変更有り、デジタル値00をMCCH変更無しとした場合、通知用インジケータをデジタル値00から11へ変更させる。移動端末1は、ステップST11a、ST12bで、自移動端末に対応したPICHフレームを受信し、PICHフレーム中のMCCH中緊急情報フラグ変更通知専用インジケータをモニタし、MCCH中の緊急情報フラグが「有」に設定されたかどうかを判断するようにしておく。なお、MCCH中緊急情報フラグ変更通知専用インジケータはPICHフレーム中の他のインジケータ(ページングインジケータ)と同じビット数のデジタルデータとしても良い。ステップST11a、ST12bで「有」と判断した移動端末は、ただちにステップST12a、ST13bでMCCHの受信を行う動作に移行するようにしておく。
【0150】
その他の方法として、MCCH緊急情報チャネル専用のPICHフレームを設定しておいても良い。この場合は、ステップST3a、ST3bでMCCH中の緊急情報フラグが「有」に設定されると、基地局2は、MCCH緊急情報チャネル専用のPICHフレームのMCCH中緊急情報フラグ変更通知用インジケータのデジタル値を変更させる。例えば、MCCH中緊急情報フラグ変更通知用インジケータを2ビットのデジタルデータとし、デジタル値11をMCCH変更有り、デジタル値00をMCCH変更無しとした場合、通知用インジケータをデジタル値00から11へ変更させる。移動端末1は、ステップST11a、ST12bで、MCCH緊急情報チャネル専用のPICHフレーム中のMCCH中緊急情報フラグ変更通知用インジケータによりMCCH中の緊急情報フラグが「有」に設定されたかどうかを判断するようにしておく。ステップST11a、ST12bで「有」と判断した移動端末は、ただちにステップST12a、ST13bでMCCHの受信を行う動作に移行するようにしておく。
PICHは通常移動端末が待ちうけ(Idle状態)の場合に受信するが、その状態に限らず、移動端末はCELL_DCH状態、CELL_FACH状態、CELL_PCH状態、URA_PCH状態においてもPICHを受信するようにしておくことで、移動端末の取り得る状態によらず、緊急情報データを受信でき、緊急情報の受信に際しBCCH等の他の不必要な情報を受信したり、ユーザ側で緊急情報チャネルを選択する動作を必要とすることなく、早期にMBMS中の緊急情報データを受信でき、緊急情報の速報性を十分に確保することが可能となる。
【0151】
なお、上記実施の形態1から上記実施の形態3では、基地局2で、基地局制御装置3から受信したマルチメディアデータに緊急情報が有るか否か判断し、緊急情報があると判断した場合、緊急情報のマルチメディアデータを送信するS−CCPCHを通じて伝送されるMCCH中の緊急情報フラグに「有」を示すデジタル値を設定し、MCCH中に移動端末1が緊急情報チャネルを受信するのに必要な情報(緊急情報チャネル情報)を追加し、MTCH中の緊急情報チャネルに緊急情報をマッピングしたが、基地局制御装置3でこれらの処理を行っても良い。
【0152】
具体例を示す。SGSN4よりマルチメディアデータが送信された基地局制御装置3はステップST1、ST2a、ST2bで、そのマルチメディアデータの中に緊急情報が有るか否かを判断する。例えば、基地局制御装置3の無線資源制御部53が、緊急情報のマルチメディアデータを受信したか否かにより緊急情報の有無を判断する。基地局制御装置3が緊急情報がないと判断した場合、ステップST4、ST5a、ST5bの処理に移行する。一方、緊急情報があると判断した場合、基地局制御装置3の無線資源制御部53は、緊急情報のマルチメディアデータを送信するS−CCPCHを通じて伝送されるMCCH中の緊急情報フラグに「有」を示すデジタル値を設定する(ステップST2、ST3a、ST3b)。例えば、緊急情報フラグを1ビットのデジタルデータとし、デジタル値1を緊急情報有り、デジタル値0を緊急情報無しとした場合、無線資源制御部53が、緊急情報フラグをデジタル値0から1へ変更する。
【0153】
次に、基地局制御装置3は、MCCH中に緊急情報チャネル情報を追加する(ステップST3、ST4a、ST4b)。ここで、緊急情報チャネル情報としては、例えば緊急情報チャネルの番号等が考えられる。この緊急情報チャネル情報は、無線資源制御部53によって追加される。なお、緊急情報チャネル情報が移動体通信システムで事前に決定されており、この移動体通信システムにおける移動端末1及び基地局制御装置3の双方が、この情報を認識している場合は、基地局制御装置から基地局2を介して移動端末1に対してこの情報を通知する必要がない。この場合、ステップST3、ST4a、ST4bを省略することが可能である。このようにすることで、基地局制御装置3における処理負荷を低減することができ、無線資源をその他の処理に有効活用することができる。また、緊急情報チャネル情報が基地局制御装置3で決定されている場合、この基地局制御装置3が基地局2を介して基地局2のセル内にある傘下の移動端末1に対して事前に通知することで、ステップST3を省略することができる。例えば、基地局2の報知情報送信部34が、この情報を報知情報の一部としてP−CCPCHを用いて事前に通知する。このようにすることでも、基地局制御装置3における処理負荷を低減することができ、無線資源をその他の処理に有効活用することができる。
【0154】
ステップST1、ST2a、ST2bで緊急情報無しと判断された場合、若しくは、ステップST3、ST4a、ST4bの処理が完了すると、基地局制御装置3は、MCCHを基地局2を介して傘下の移動端末1に送信する(ステップST4、ST6a、ST6b)。緊急情報があると判断されている場合では、基地局制御装置3の無線資源制御部53が、MTCH中の緊急情報チャネルに緊急情報をマッピングする(ステップST5、ST7a、ST7b)。この後、基地局制御装置3は基地局2を介して、上述した基地局2の送信処理により、アンテナ42を介して自己のセル内でMBMSを受ける傘下の移動端末1にMTCHを送信する(ステップST6、ST8a、ST8b)。なお、これらの処理の順序は任意であってもよいし、これら処理を同時に行ってもよい。
【0155】
上記のように、基地局制御装置3で、受信したマルチメディアデータに緊急情報が有るか否か判断し、緊急情報があると判断した場合に緊急情報のマルチメディアデータを送信するS−CCPCHを通じて伝送されるMCCH中の緊急情報フラグに「有」を示すデジタル値を設定し、次にMCCH中に移動端末1が緊急情報チャネルを受信するのに必要な情報(緊急情報チャネル情報)を追加する処理を行うようにしたため、複数の基地局2から同じ内容のいわゆる広域な緊急情報を送信するのに各基地局2が上記のような処理をすることなく可能となり、セル端にいる移動端末が、前記複数の基地局2からの受信電力を合成でき、受信品質の向上が図れ、緊急情報が早く正確に伝えられるという効果がある。
【0156】
実施の形態4.
この実施の形態4は、BCCH中に設けた緊急情報フラグを利用して、緊急情報でない個別データを受信中の移動端末であっても、緊急情報の発生を通知し、MBMS中の緊急情報チャネルの受信を可能とするものである。
【0157】
実施の形態4による移動体通信システムにおける移動端末、基地局、基地局制御装置の基本的な構成は、上記実施の形態1で示した図1〜5と同様であるが、報知情報制御チャネルであるBCCH中に緊急情報の有無を示す緊急情報フラグ(緊急情報インジケータ)を設け、基地局が緊急情報が発生した際、BCCHを移動端末に送信し、緊急情報でない個別データを受信中の移動端末が、BCCH中の緊急情報フラグの値で緊急情報の有無を判断してMBMSで緊急情報を受信する点で異なる。以降では、この実施の形態4による移動体通信システムの構成も図1〜5を用いて説明する。
【0158】
次に動作について説明する。
図9は、実施の形態4の移動体通信システムによる緊急情報の通知処理を示すフローチャートであり、この図に沿って動作の詳細を説明する。なお、実施の形態4では、基地局2が緊急情報でない個別データを移動端末1に送信中であり、この移動端末1に緊急情報を通知する場合を述べる。
【0159】
先ず、コンテンツプロバイダが、移動端末1へのマルチメディアデータをサービスセンタ6に送信する。サービスセンタ6は、マルチメディアデータを内部のメモリに記憶すると共に、GGSN5を介して、このマルチメディアサービスを利用する移動端末1を管理するSGSN4へ転送する。SGSN4は、基地局制御装置3を介してマルチメディアデータを基地局2に送信する。
【0160】
基地局2では、上記実施の形態1と同様に基地局制御装置3から受信したマルチメディアデータに緊急情報が有るか否かを判断する(ステップST1c)。例えば、基地局2の下り共通チャネル送信部36が、緊急情報のマルチメディアデータを受信したか否かにより緊急情報の有無を判断する。なお、基地局2へ送信される緊急情報のマルチメディアデータは、多くの基地局2間で同じ内容となる、いわゆる広域な緊急情報であっても良いし、1つあるいは少数の基地局2の間で同じ内容となる地域に密着した、いわゆる局地的な緊急情報であっても良い。
【0161】
ステップST1cにおいて緊急情報がないと判断した場合、ステップST4cの処理に移行する。一方、緊急情報があると判断した場合、基地局2の下り共通チャネル送信部36は、緊急情報のマルチメディアデータを送信するS−CCPCHを通じて伝送されるBCCH中の緊急情報フラグに「有」を示すデジタル値を設定する(ステップST2c)。
例えば、緊急情報フラグを1ビットのデジタルデータとし、デジタル値1を緊急情報有り、デジタル値0を緊急情報無しとした場合、下り共通チャネル送信部36が、緊急情報フラグをデジタル値0から1へ変更する。
【0162】
次に、基地局2は、DCCH中のPAGING TYPE 2にBCCH Modify情報を追加する(ステップST3c)。BCCH Modify情報とは、BCCHの内容が変更された場合にその変更内容を示すものである。この情報は、下り個別チャネル送信部35、または下り共通チャネル送信部36によって追加される。
【0163】
続いて、基地局2は、DCCHを傘下の移動端末1に送信する(ステップST4c)。
この後、基地局2は、MCCH中に移動端末1が緊急情報チャネルを受信するのに必要な情報(緊急情報チャネル情報)を追加する(ステップST5c)。緊急情報チャネル情報としては、上記実施の形態1と同様に、例えば緊急情報チャネルの番号等が考えられる。
この情報は、下り共通チャネル送信部36によって追加される。
【0164】
なお、緊急情報チャネル情報が移動体通信システムで事前に決定されており、この移動体通信システムにおける移動端末1及び基地局2の双方が、この情報を認識している場合は、基地局2から移動端末1に対してこの情報を通知する必要がない。この場合、ステップST5cを省略することが可能である。このようにすることで、基地局2における処理負荷を低減することができ、無線資源をその他の処理に有効活用することができる。
【0165】
また、緊急情報チャネル情報が基地局2で決定されている場合、この基地局2が自己のセル内にある傘下の移動端末1に対して事前に通知することで、ステップST5cを省略することができる。例えば、基地局2の報知情報送信部34が、この情報を報知情報の一部としてP−CCPCHを用いて事前に通知する。このようにすることでも、基地局2における処理負荷を低減することができ、無線資源をその他の処理に有効活用することができる。
【0166】
次に、基地局2は、MCCHを傘下の移動端末1に送信する(ステップST6c)。緊急情報があると判断されている場合では、基地局2の下り共通チャネル送信部36が、MTCH中の緊急情報チャネルに、基地局制御装置3を介して受信した緊急情報をマッピングする(ステップST7c)。この後、基地局2は、上述した送信処理により、アンテナ42を介して自己のセル内でMBMSを受ける傘下の移動端末1にMTCHを送信する(ステップST8c)。なお、ステップST2cからステップST7cまでの処理順序は任意であってもよいし、これら処理を同時に行ってもよい。
【0167】
移動端末1は、上述のようにして基地局2から送信されたDCCHを受信(ステップST9c)し、このDCCH中のPAGING TYPE 2にBCCH Modify情報の有無を判定する(ステップST10c)。例えば、移動端末1で受信されたDCCHの内容が制御部33に送られ、制御部33が、DCCH中のPAGING TYPE 2の内容を解析してBCCH Modify情報の有無を判定する。ここで、BCCH Modify情報がないと判定されると、ステップST9cの処理に戻る。
【0168】
一方、ステップST10cでBCCH Modify情報があると判断されると、移動端末1は、基地局2からBCCHを受信(ステップST11c)し、このBCCH中の緊急情報フラグの値から緊急情報の有無を判定する(ステップST12c)。例えば、移動端末1で受信されたBCCHの内容が制御部33に送られ、制御部33が、BCCH中の緊急情報フラグの値に基づき緊急情報の有無を判定する。ここで、緊急情報フラグの値から緊急情報がないと判定されると、移動端末1は、ステップST15cの処理に移行して、通常のBCCH更新処理を実行してから、ステップST9cの処理に戻る。
【0169】
ステップST12cで緊急情報があると判断されると、移動端末1は、上述のようにして基地局2から送信されたMCCHを受信(ステップST13c)し、MCCH中の緊急情報チャネル情報に従って、基地局2から送信されたMTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始する(ステップST14c)。
【0170】
なお、ステップST14cにおいて、緊急情報チャネル情報が移動体通信システムで事前に決定されており、この移動体通信システムにおける移動端末1及び基地局2の双方が、この情報を認識している場合は、この情報に従って移動端末1がMTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始する。
【0171】
また、緊急情報チャネル情報が基地局2で決定されている場合、この基地局2が自己のセル内にある傘下の移動端末1に対して、例えばP−CCPCHを用いて報知情報の一部として事前に通知しておく。この場合、移動端末1は、事前に通知された緊急情報チャネル情報に従ってMTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始することができる。
【0172】
以上のように、この実施の形態4によれば、BCCH中に緊急情報の有無を示す緊急情報フラグ(緊急情報インジケータ)を設けたので、緊急情報ではない個別データを受信中の移動端末1であっても、BCCHにより緊急情報発生を通知し、MBMS中の緊急情報チャネルを受信させることができる。また、MBMSに対応する移動端末1にのみ受信可能なMCCHに緊急情報フラグを設ける場合と異なり、BCCHは、MBMSに対応していない移動端末1であっても受信可能であることから、基地局2が自己のセル内における全ての移動端末1に対して緊急情報の有無を通知することができる。
【0173】
なお、特許文献1では、緊急情報の有無を示す情報に加え、緊急情報チャネルを受信するために必要な情報である緊急情報チャネル情報が、例えばBCCHの報知情報として送信されるため、報知情報の情報量が多くなってしまい、報知情報として伝達する他の情報を削減する必要が生じる可能性がある。
これに対して、この実施の形態4では、緊急情報の有無を示す緊急情報フラグ(緊急情報インジケータ)のみをBCCH中に設ける構成としたので、緊急情報の有無を通知するために必要な最小限の情報量で済み、BCCH中の他の情報を削減する必要がない。また、移動端末1は、BCCHを介して緊急情報の受信に不必要な情報を受信せずにすみ、早期にMBMS中の緊急情報データを受信できることから、緊急情報の速報性を確保することができる。
【0174】
実施の形態5.
この実施の形態5は、BCCH中に設けた緊急情報フラグを利用して、待ち受け状態でMBMSデータを受信していない移動端末であっても、緊急情報の発生を通知し、MBMS中の緊急情報チャネルの受信を可能とするものである。
【0175】
実施の形態5による移動体通信システムにおける移動端末、基地局、基地局制御装置の基本的な構成は、上記実施の形態1で示した図1〜5と同様であるが、報知情報制御チャネルであるBCCH中に緊急情報の有無を示す緊急情報フラグ(緊急情報インジケータ)を設け、基地局が緊急情報が発生した際、BCCHを移動端末に送信し、待ち受け状態でMBMSデータを受信していない移動端末が、BCCH中の緊急情報フラグの値で緊急情報の有無を判断してMBMSで緊急情報を受信する点で異なる。以降では、この実施の形態5による移動体通信システムの構成も図1〜5を用いて説明する。
【0176】
次に動作について説明する。
図10は、実施の形態5の移動体通信システムによる緊急情報の通知処理を示すフローチャートであり、この図に沿って動作の詳細を説明する。なお、実施の形態5では、待ち受け状態にあり、MBMSデータを受信していない移動端末1に対して緊急情報を通知する場合を述べる。
【0177】
先ず、基地局2は、自己のセル内における傘下の移動端末1に対してPICHを周期的に送信しており、移動端末1は自局向けの情報がPICHで受信されるまで待ち受け状態にある。このとき、コンテンツプロバイダが、移動端末1へのマルチメディアデータをサービスセンタ6に送信すると、サービスセンタ6は、マルチメディアデータを内部のメモリに記憶すると共に、GGSN5を介して、このマルチメディアサービスを利用する移動端末1を管理するSGSN4へ転送する。SGSN4は、基地局制御装置3を介してマルチメディアデータを基地局2に送信する。
【0178】
基地局2は、上記実施の形態1と同様に基地局制御装置3から受信したマルチメディアデータに緊急情報が有るか否かを判断する(ステップST1d)。例えば、基地局2の下り共通チャネル送信部36が、緊急情報のマルチメディアデータを受信したか否かにより緊急情報の有無を判断する。なお、基地局2へ送信される緊急情報のマルチメディアデータは、多くの基地局2間で同じ内容となる、いわゆる広域な緊急情報であっても良いし、1つあるいは少数の基地局2の間で同じ内容となる地域に密着した、いわゆる局地的な緊急情報であっても良い。
【0179】
ステップST1dにおいて緊急情報がないと判断した場合、ステップST4dの処理に移行する。一方、緊急情報があると判断した場合、基地局2の下り共通チャネル送信部36は、緊急情報のマルチメディアデータを送信するS−CCPCHを通じて伝送されるBCCH中の緊急情報フラグに「有」を示すデジタル値を設定する(ステップST2d)。
例えば、緊急情報フラグを1ビットのデジタルデータとし、デジタル値1を緊急情報有り、デジタル値0を緊急情報無しとした場合、下り共通チャネル送信部36が、緊急情報フラグをデジタル値0から1へ変更する。
【0180】
次に、基地局2は、PCCHにBCCH Modify情報を追加する(ステップST3d)。BCCH Modify情報とは、上記実施の形態4で示したようにBCCHの内容が変更された場合にその変更内容を示すものである。この情報は、下り共通チャネル送信部36によって追加される。
【0181】
基地局2は、自己のセル内の傘下の移動端末1に対してPICHを送信(ステップST4d)。次に、基地局2は、MCCH中に移動端末1が緊急情報チャネルを受信するのに必要な情報(緊急情報チャネル情報)を追加する(ステップST5d)。緊急情報チャネル情報としては、上記実施の形態1と同様に、例えば緊急情報チャネルの番号等が考えられる。この情報は、下り共通チャネル送信部36によって追加される。
【0182】
なお、緊急情報チャネル情報が移動体通信システムで事前に決定されており、この移動体通信システムにおける移動端末1及び基地局2の双方が、この情報を認識している場合は、基地局2から移動端末1に対してこの情報を通知する必要がない。この場合、ステップST5dを省略することが可能である。このようにすることで、基地局2における処理負荷を低減することができ、無線資源をその他の処理に有効活用することができる。
【0183】
また、緊急情報チャネル情報が基地局2で決定されている場合、この基地局2が自己のセル内にある傘下の移動端末1に対して事前に通知することで、ステップST5dを省略することができる。例えば、基地局2の報知情報送信部34が、この情報を報知情報の一部としてP−CCPCHを用いて事前に通知する。このようにすることでも、基地局2における処理負荷を低減することができ、無線資源をその他の処理に有効活用することができる。
【0184】
次に、基地局2は、MCCHを傘下の移動端末1に送信する(ステップST6d)。緊急情報があると判断されている場合では、基地局2の下り共通チャネル送信部36が、MTCH中の緊急情報チャネルに、基地局制御装置3を介して受信した緊急情報をマッピングする(ステップST7d)。この後、基地局2は、上述した送信処理により、アンテナ42を介して自己のセル内でMBMSを受ける傘下の移動端末1にMTCHを送信する(ステップST8d)。なお、ステップST2dからステップST7dまでの処理順序は任意であってもよいし、これら処理を同時に行ってもよい。
【0185】
ステップST9dにおいて、移動端末1は、基地局2からのPICHを受信して自局(自端末)向けの情報(PI;Paging Indicator)の有無を判断している。例えば、移動端末1で受信されたPICHの内容が制御部33に送られ、制御部33がPICHで自局向けの情報の有無を判定する。このとき、自局向けの情報がないと判断されると、移動端末1は、ステップST9dの処理に戻ってPICHの受信を周期的に繰り返す。
【0186】
一方、自局向けの情報があると判断されると、移動端末1は、この自局向けの情報に基づいて基地局2からのS−CCPCHの受信を開始(ステップST10d)し、S−CCPCHを通じて送信されたPCCH中におけるBCCH Modify情報の有無を判定する(ステップST11d)。例えば、移動端末1で受信されたPCCHの内容が制御部33に送られ、制御部33がPCCHを解析し、BCCH Modify情報の有無を判定する。このとき、BCCH Modify情報がなければ、移動端末1は、呼び出しの有無を判定する(ステップST12d)。ここで、呼び出しがなければ、ステップST9dの処理に戻り、呼び出しがあれば、着呼処理を実行し、音声、データ通信を開始する(ステップST13d)。
【0187】
また、ステップST11dでBCCH Modify情報があると判断された場合、移動端末1は、基地局2からBCCHを受信(ステップST14d)し、このBCCH中の緊急情報フラグの値から緊急情報の有無を判定する(ステップST15d)。例えば、移動端末1で受信されたBCCHの内容が制御部33に送られ、制御部33が、BCCH中の緊急情報フラグの値に基づき緊急情報の有無を判定する。ここで、緊急情報フラグの値から緊急情報がないと判定されると、移動端末1は、ステップST17dの処理に移行して、通常のBCCH更新処理を実行してから、ステップST9dの処理に戻る。
【0188】
ステップST15dで緊急情報があると判断されると、移動端末1は、上述のようにして基地局2から送信されたMCCHを受信(ステップST16d)し、MCCH中の緊急情報チャネル情報に従って、基地局2から送信されたMTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始する(ステップST18d)。
【0189】
なお、ステップST18dにおいて、緊急情報チャネル情報が移動体通信システムで事前に決定されており、この移動体通信システムにおける移動端末1及び基地局2の双方が、この情報を認識している場合は、この情報に従って移動端末1がMTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始する。また、緊急情報チャネル情報が基地局2で決定されている場合、この基地局2が自己のセル内にある傘下の移動端末1に対して、例えばP−CCPCHを用いて報知情報の一部として事前に通知しておく。この場合、移動端末1は、事前に通知された緊急情報チャネル情報に従ってMTCH中の緊急情報チャネルの受信を開始することができる。
【0190】
移動端末1は、緊急情報チャネルの受信を開始すると、音や振動、その表示装置の画面上に文字表示することで緊急情報の受信を開始したことをユーザに通知する(ステップST19d)。例えば、通話中若しくはパケット通信中であっても、緊急情報チャネルの受信開始に応じて、制御部33が、不図示の音声出力部やバイブレーション機構、表示処理部を制御することにより、上述のような緊急情報の通知を行う。
なお、上記の実施の形態5では、移動端末が待ち受け(Idle状態)の場合について示したが、本方法はPICHを用いているため、CELL_PCH状態、URA_PCH状態にも適用可能である。
【0191】
以上のように、この実施の形態5によれば、BCCH中に緊急情報の有無を示す緊急情報フラグ(緊急情報インジケータ)を設けたので、待ち受け状態でMBMSデータを受信していない移動端末1であっても、BCCHにより緊急情報発生を通知し、MBMS中の緊急情報チャネルを受信させることができる。また、上記実施の形態4と同様に、BCCHは、MBMSに対応していない移動端末1であっても受信可能であることから、基地局2が自己のセル内における全ての移動端末1に対して緊急情報の有無を通知することができる。
なお、上記実施の形態4、5では、基地局2で、MCCH中に移動端末1が緊急情報チャネルを受信するのに必要な情報(緊急情報チャネル情報)を追加し、MTCH中の緊急情報チャネルに緊急情報をマッピングしたが、基地局制御装置3でこれらの処理を行っても良い。この場合も、複数の基地局2から同じ内容のいわゆる広域な緊急情報を送信するのに各基地局2が上記処理をすることなく可能となり、セル端にいる移動端末が、前記複数の基地局2からの受信電力を合成でき、受信品質の向上が図れ、緊急情報が早く正確に伝えられるという効果がある。
【0192】
なお、上記実施の形態4ではDCCH中のPAGING TYPE2にBCCHの内容が変更されたことを示す情報(BCCH Modify情報)を、上記実施の形態5ではPCCH中のPAGING TYPE1にBCCHの内容が変更されたことを示す情報(BCCH Modify情報)を追加したが、変更されたことを示すだけでなく、緊急情報が有ることを示す情報または緊急情報を追加しても良い。
当該緊急情報があることを示す情報として、MCCH中に緊急情報が有ることを示す情報であっても良いし、または/かつBCCH中に緊急情報が有ることを示す情報であっても良い。
こうすることによって、移動端末は緊急情報の有無を早く判断することが可能となり、緊急情報通知における制御遅延を削減することができるため、緊急情報を受信するまでの時間が短縮できるという効果が生じる。
【0193】
また、上記実施の形態4では、DCCH中のPAGING TYPE2にBCCHの内容が変更されたことを示す情報(BCCH Modify情報)を、上記実施の形態5ではPCCH中のPAGING TYPE1にBCCHの内容が変更されたことを示す情報(BCCH Modify情報)を追加したが、BCCHの内容が変更されたことを示す情報ではなく、MCCHの内容が変更されたことを示す情報であっても良い。
こうすることによって、BCCHを受信せずにただちにMCCHを受信することができ、MCCH中の緊急情報チャネルに関する情報に従って、緊急情報チャネルを受信することが可能となる。したがって、移動端末は緊急情報の有無を早く判断することが可能となり、緊急情報通知における制御遅延を削減することができるため、緊急情報を受信するまでの時間が短縮できるという効果が生じる。
【0194】
なお、上記実施の形態1から上記実施の形態5で示した緊急情報フラグとして、特に1ビットの場合について記載したが、緊急情報を表していれば良い。さらには、当該緊急情報があった場合に、緊急情報有りと移動端末1が判断するようにしても良い。
こうすることによって、緊急情報の有無だけでなく、緊急情報の内容種別や緊急事態発生場所などの情報も通知可能となる。
【0195】
上記実施の形態1から上記実施の形態5までで示したように、本発明では、基地局2が自己のセル内における全ての移動端末1に対して緊急事態が発生した旨を報知することができ、放送型マルチメディアサービスに緊急情報を流すことにより、MBMSに対応する全ての移動端末1がその状態にかかわらず自動的に緊急情報チャネルに接続し、移動体通信網に過大な負荷をかけず、移動端末1に特別なハードウエアを追加することなしに不特定多数のユーザに対して緊急情報を速報性に欠くことなく通知することができる。
【0196】
なお、上述の説明では、3GPPにおける放送型マルチメディアサービスであるMBMSを利用する場合を示したが、MBMSに限定されるものではなく、移動体通信網を利用して大容量のデータを同報配信する放送型マルチメディアサービスであれば、本発明を適用することができる。
【0197】
また、以上の例はW−CDMA方式における例であるが、本発明は、他の通信方式における緊急情報の通知に対しても適用できる。例えば、背景技術で記載したLTE(Long Term Evolution LTE)や、CDMA2000 1xEV−DOにも適用できる。
【符号の説明】
【0198】
1 移動端末、2 基地局、3 基地局制御装置、4 SGSN、5 GGSN、6 サービスセンタ、7 アプリケーション処理部、8 プロトコル処理部、9 上り共通チャネル送信部、10 上り個別チャンネル送信部、11 変調部、12 コード発生器、13 D/A変換器、14 周波数変換部、15 電力増幅部、16 アンテナ、17 低雑音増幅部、18 周波数変換部、19 A/D変換器、20a〜20c 受信部、23 コード発生器、24 サーチ部、25 フィンガー割当制御部、26 入力メモリ、27 デコード部、28 出力メモリ、29 報知情報受信部、30 下り個別チャネル受信部、31 下り共通チャネル受信部、32 選択部、33 制御部、34 報知情報送信部、35 下り個別チャネル送信部、36 下り共通チャネル送信部、37 変調部、38 下り用コード発生器、39 D/A変換器、40 周波数変換部、41 電力増幅部、43 低雑音増幅部、44 周波数変換部、45 A/D変換器、46 復調部、47 上り用コード発生器、48 上り個別チャネル受信部、49 上り共通チャネル受信部、50 送受信処理部、51 対基地局送受信処理部、52 QoSパラメータマッピング部、53 無線資源制御部、54 無線リンク制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動端末及び基地局を含み、前記基地局から前記複数の移動端末へ緊急情報の配信が可能な移動体通信システムにおいて、
前記基地局は、
前記複数の移動端末のうち待ち受け状態の移動端末、CELL_PCH状態の移動端末及びURA_PCH状態の移動端末へPCCH中のPAGING TYPE1を用いて前記緊急情報を送信し、
前記複数の移動端末のうち個別データを受信中の移動端末へDCCHを用いて前記緊急情報を送信し、
前記待ち受け状態の移動端末、前記CELL_PCH状態の移動端末及び前記URA_PCH状態の移動端末は、前記基地局から送信された前記PCCH中のPAGING TYPE1により前記緊急情報を受信し、
前記個別データを受信中の移動端末は、前記基地局から送信された前記DCCHにより前記緊急情報を受信することを特徴とする移動体通信システム。
【請求項2】
前記基地局は、
前記複数の移動端末のうち前記待ち受け状態の移動端末、前記CELL_PCH状態の移動端末及び前記URA_PCH状態の移動端末へPICHを送信し、
S−CCPCHを通じて前記PCCH中のPAGING TYPE1を送信し、
前記待ち受け状態の移動端末、前記CELL_PCH状態の移動端末及び前記URA_PCH状態の移動端末は、
前記基地局から送信された前記PICHを受信して自局向けの情報の有無を判定し、
前記自局向けの情報があると判断すると前記S−CCPCHを受信し、
前記S−CCPCHを通じて送信された前記PCCH中のPAGING TYPE1により前記緊急情報を受信することを特徴とする請求項1記載の移動体通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−259112(P2010−259112A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179332(P2010−179332)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【分割の表示】特願2009−521539(P2009−521539)の分割
【原出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】