説明

移動体通信用デバイス試験システム及び試験方法

【課題】本発明は、移動体通信機器に用いられる通信用デバイスのエラーを適切な手順で検出することを目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するために、本願発明の移動体通信用デバイス試験システム及び移動体通信用デバイス試験方法は、基地局との間でRF信号を送受する移動体通信機器に用いられかつRF信号を復調してベースバンド信号を生成する通信用デバイス92の試験を行う移動体通信用デバイス試験方法であって、通信用デバイス92からのベースバンド信号を含むフレームについて、RDS(Running Digital Sum)エラー、10bitエラー、フレームカウントエラー、フレーム長エラー、CRCエラーの順にエラーを検出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信用デバイス試験システム及び試験方法に関し、特に、基地局との間でRF(Radio Frequency)信号を送受する移動体通信機器に用いられかつRF信号を復調してベースバンド信号を生成するRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)の試験を行うための移動体通信用デバイス試験システム及びその試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信機器に用いられる通信用デバイスを試験するために、移動体端末用デバイス試験システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。従来は、エラーが付加された信号を、通信用デバイスに送信し、それに対する通信用デバイスの動作を確認することにより、通信用デバイスを評価していた。
【0003】
ここで、移動体通信機器に用いられる通信用デバイスとして、RFICが考えられる。RFICは、BBIC(Baseband Integrated Circuit)から受信したベースバンド信号を受けて、このベースバンド信号により搬送波を変調し、基地局と通信するためのRF信号として送出するとともに、基地局からのRF信号を受けて、ベースバンド信号を復調してBBICに送出する機能を有する。RFICは、また、BBICは、送信すべきデータをベースバンド信号としてRFICに送出し、RFICから受けたベースバンド信号を受信データとして処理する機能を有する。ここで、BBICとRFICとの間の通信は、所定のインタフェースにより、デジタル信号でベースバンド信号や制御信号をやりとりするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−17131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
BBICとRFICとの間のインタフェースにおけるエラーは複数存在する。そして、これらの複数のエラーは互いに影響しあう可能性がある。このため、RFICの評価を行う際には、適切な手順でエラーを検出していく必要がある。もし、不適切な手順でエラーを検出すると、適切な評価が行えない可能性がある。例えば、あるエラーAが発生すると、自動的に別のエラーBが発生する場合がある。このとき、根本の原因はエラーAにあるが、それを検出せずにエラーBを検出してしまうと、適切な評価とならない。
【0006】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、移動体通信機器に用いられる通信用デバイスのエラーを適切な手順で検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明に係る移動体通信用デバイス試験システムは、基地局との間でRF(Radio Frequency)信号を送受する移動体通信機器に用いられかつRF信号を復調してベースバンド信号を生成する通信用デバイス(92)の試験を行う移動体通信用デバイス試験システム(91)であって、前記通信用デバイスからの前記ベースバンド信号を含むフレームが入力されるデータ入力部(76−9)と、前記RDSエラー検出部の前段若しくは後段又は前記RDSエラー検出部と並列に接続され、前記データ入力部からの前記フレームを構成する符号「0」と符号「1」の個数差が予め定められた値よりも多いか否かを判定するRDS(Running Digital Sum)エラー検出部(31)と、前記データ入力部の出力する前記フレームに含まれる10bitコードが予め定められた8B10Bデコードテーブルに格納されているか否かを判定する10bitエラー検出部(32)と、前記RDSエラー検出部及び前記10bitエラー検出部の後段に接続され、前記データ入力部の出力する前記フレームに含まれるヘッダを抽出し、抽出したヘッダに含まれるフレームカウントが予め定められた規則に従った値であるか否かを判定するフレームカウントエラー検出部(33)と、前記フレームカウントエラー検出部の後段に接続され、前記データ入力部の出力する前記フレームにEOT(End Of Transmission)若しくはEOF(End Of Frame)が含まれるか否か、及び、EOT若しくはEOFが予め定められた位置に付加されているか否かを判定するフレーム長エラー検出部(34)と、前記フレーム長エラー検出部の後段に接続され、前記データ入力部の出力する前記フレームに含まれるヘッダ及びペイロードを用いてCRC(Cyclic Redundancy Check)を算出するとともに、前記データ入力部の出力する前記フレームに含まれるCRCを抽出し、算出したCRCと抽出したCRCが一致するか否かを判定するCRCエラー検出部(35)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
まずRDSエラー及び10bitエラーを検出し、その後段で、フレームカウントエラーと、フレーム長エラーと、CRCエラーを順に検出する。これにより、RDSエラー、10bitエラー、フレームカウントエラー、フレーム長エラー及びCRCエラーのすべてのエラーを適切に検出することができる。したがって、本願発明に係る移動体通信用デバイス試験システムは、移動体通信機器に用いられる通信用デバイスのエラーを適切な手順で検出することができる。
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明に係る移動体通信用デバイス試験方法は、基地局との間でRF(Radio Frequency)信号を送受する移動体通信機器に用いられかつRF信号を復調してベースバンド信号を生成する通信用デバイス(92)の試験を行う移動体通信用デバイス試験方法であって、前記通信用デバイスからの前記ベースバンド信号を含むフレームを構成する符号「0」と符号「1」の個数差が予め定められた値よりも多いか否かを判定するRDS(Running Digital Sum)エラー検出手順(S131)と、前記RDSエラー検出手順の前若しくは後又は前記RDSエラー検出手順と同時に、前記フレームに含まれる10bitコードが予め定められた8B10Bデコードテーブルに格納されているか否かを判定する10bitエラー検出手順(S132)と、前記RDSエラー検出手順及び前記10bitエラー検出手順の後に、前記フレームに含まれるヘッダを抽出し、抽出したヘッダに含まれるフレームカウントが予め定められた規則に従った値であるか否かを判定するフレームカウントエラー検出手順(S133)と、前記フレームカウントエラー検出手順の後に、前記フレームにEOT(End Of Transmission)若しくはEOF(End Of Frame)が含まれるか否か、及び、EOT若しくはEOFが予め定められた位置に付加されているか否かを判定するフレーム長エラー検出手順(S134)と、前記フレーム長エラー検出手順の後に、前記フレームに含まれるヘッダ及びペイロードを用いてCRC(Cyclic Redundancy Check)を算出するとともに、前記フレームに含まれるCRCを抽出し、算出したCRCと抽出したCRCが一致するか否かを判定するCRCエラー検出手順(S135)と、を有する。
【0010】
まずRDSエラー及び10bitエラーを検出し、その後に、フレームカウントエラーと、フレーム長エラーと、CRCエラーを順に検出する。これにより、RDSエラー、10bitエラー、フレームカウントエラー、フレーム長エラー及びCRCエラーのすべてのエラーを適切に検出することができる。したがって、本願発明に係る移動体通信用デバイス試験方法は、移動体通信機器に用いられる通信用デバイスのエラーを適切な手順で検出することができる。
【0011】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本願発明に係る移動体通信用デバイス試験システム及び移動体通信用デバイス試験方法は、移動体通信機器に用いられる通信用デバイスのエラーを適切な手順で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る移動体通信用デバイス試験システムの概略構成図である。
【図2】試験実行部の概略構成図である。
【図3】フレームの一例であり、(a)はフレーム構造を示し、(b)はヘッダ構造の第1例を示し、(c)はヘッダ構造の第2例を示す。
【図4】データ解析部の概略構成図である。
【図5】本実施形態に係る移動体通信用デバイス試験方法の概略を示す流れ図である。
【図6】本実施形態に係る移動体通信用デバイス試験方法の具体例を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0015】
図1は、本実施形態に係る移動体通信用デバイス試験システムの概略構成図である。本実施形態に係る移動体通信用デバイス試験システム91は、通信用デバイス92の試験を行う。通信用デバイス92は、基地局との間でRF信号を送受する移動体通信機器に用いられる。移動体通信機器は、例えば携帯電話である。移動体通信機器は、基地局との間でRF信号を送受するために、同相成分及び直交成分を有するベースバンド信号を生成するBBICと、BBICとの間でベースバンド信号の送受を行い、ベースバンド信号で変調したRF信号を生成するRFICを備える。通信用デバイス92は、RFICに相当し、ベースバンド信号で変調したRF信号を生成するとともにRF信号を復調してベースバンド信号を生成することで、基地局との間でRF信号を送受する。
【0016】
移動体通信用デバイス試験システム91は、通信用デバイス92に対して行う試験シーケンスを作成するシーケンス作成装置81と、シーケンス作成装置81の作成した試験シーケンスを実行する試験装置82を備える。試験装置82は、エラーが付加された信号を通信用デバイス92に送信することで、通信用デバイス92のエラー付加試験を行う。そして、試験装置82は、通信用デバイス92から受信した信号を解析してエラーを検出する。これにより、通信用デバイス92の評価を行うことができる。
【0017】
シーケンス作成装置81は、シーケンス作成部71と、シーケンス作成部71の作成する試験シーケンスを表示する表示部72と、シーケンス作成部71を操作する操作部73と、を備える。試験装置82は、シーケンス作成装置81の作成した試験シーケンスを記憶するシーケンス記憶部74と、ペイロードデータ記憶部75と、シーケンス記憶部74の記憶する試験シーケンスに従って試験を実行する試験実行部76と、表示部77と、操作部78と、を備える。シーケンス作成装置81と試験装置82は、ROM、RAM、CPU、HDD、インタフェース等を含むコンピュータにより構成され、これらは独立したコンピュータであってもよいし、一体となっていてもよい。
【0018】
ペイロードデータ記憶部75は、ベースバンド信号であるIQデータを記憶する。シーケンス記憶部74は、シーケンス作成装置81から出力された試験シーケンスを記憶する。試験実行部76は、シーケンス記憶部74に記憶されている試験シーケンスに従って、ベースバンド信号の含まれている送信フレームを通信用デバイス92に送信し、通信用デバイス92の生成するRF信号を受信して、通信用デバイス92の試験を実行する。
【0019】
言い換えると、試験装置82は、BBICの動作を模擬する疑似BBICとして動作し、通信用デバイス92との間で通信や制御を行う。それと共に、試験装置82は、基地局の動作を模擬する疑似基地局として動作し、通信用デバイス92との間でRF信号を送受する。そして、これらの動作の中で、通信用デバイス92の試験を実施する。
【0020】
図2は、試験実行部の概略構成図である。試験実行部76は、データ生成部76−1と、データ出力部76−2と、内部管理情報付加部76−3と、出力データ記憶部76−4と、試験結果解析部76−5と、RF信号処理部76−6と、カウンタ76−7と、時刻情報生成部76−8と、データ入力部76−9と、データ解析部76−10と、内部管理情報付加部76−11と、入力データ記憶部76−12と、を備える。
【0021】
データ生成部76−1は、シーケンス記憶部74に記憶されている試験シーケンスと、ペイロードデータ記憶部75に記憶されているペイロードデータが入力され、フレームを生成する。図3は、フレームの一例であり、(a)はフレーム構造を示し、(b)はヘッダ構造の第1例を示し、(c)はヘッダ構造の第2例を示す。ここで、BBICとRFICとの間のインタフェースでは、単一のフレームでなるシングルフレーム構成と、複数のフレームが連続してバースト状になるマルチフレーム構成との2種類のフレーム構成が採用されている。
【0022】
図3(a)に示すフレームは、シングルフレームであり、SOF(Start Of Frame)と、ヘッダと、ペイロードと、CRC(Cyclic Redundancy Check)と、EOT(End Of Transmission)と、で構成される。フレームがマルチフレームの場合、末尾のフレームを除き、EOTに代えてEOF(End Of Frame)となる。ヘッダには、再送識別子、フレームカウント、ペイロードタイプ、フレームタイプが含まれる。ここで、フレームカウントはフレームの順番号を示し、ペイロードタイプはペイロードの種別を示し、この種別によりペイロード長(ペイロードの有効バイト長)が確定する。フレームタイプはフレームの種別を示す。ヘッダのフォーマットタイプは限定しない。例えば、図3(b)に示すような8bitのフォーマット1であってもよいし、図3(c)に示すような16bitのフォーマット2であってもよい。
【0023】
データ出力部76−2は、フレームを通信用デバイス92に出力する。フレームのペイロードは、通信用デバイス92の制御信号や、通信用デバイス92がRF信号に変調するベースバンド信号を含む。これにより、試験実行部76はBBICとして擬似する。このため、エラーが生じるような試験シーケンスを作成することで、エラーを付加した信号を通信用デバイス92に受信させることができる。
【0024】
内部管理情報付加部76−3は、時刻情報生成部76−8を参照して、いつどのようなデータがデータ出力部76−2から出力されたのかなどのログを生成する。ログには、いつどのようなエラーが付加されたのか、1つのフレームに幾つのエラーが付加されたかも含まれる。出力データ記憶部76−4は、内部管理情報付加部76−3からのログを記憶する。
【0025】
データ入力部76−9は、通信用デバイス92からフレームが入力される。フレームのペイロードは、通信用デバイス92の制御信号や、通信用デバイス92から送信するベースバンド信号を含む。これにより、試験実行部76はBBICとして擬似する。このため、データ入力部76−9に入力されたフレームを解析することで、通信用デバイス92で発生する信号に含まれるエラーを検出することができる。
【0026】
データ解析部76−10は、データ入力部76−9に入力されたデータを解析し、エラーを検出する。内部管理情報付加部76−11は、時刻情報生成部76−8を参照して、いつどのようなデータがデータ入力部76−9に入力されたのかなどのログを生成する。ログには、いつどのようなエラーが検出されたのか、1つのフレームに幾つのエラーが検出されたかも含まれる。入力データ記憶部76−12は、内部管理情報付加部76−11からのログを記憶する。
【0027】
RF信号処理部76−6は、シーケンス記憶部74の記憶する試験シーケンスに従って、通信用デバイス92との間でRF信号を送受信する。これにより、試験実行部76は基地局として擬似する。
【0028】
試験結果解析部76−5は、シーケンス記憶部74の記憶する試験シーケンス、RF信号処理部76−6の送受信するデータ、出力データ記憶部76−4に記憶されているログ及び入力データ記憶部76−12に記憶されているログを解析する。これにより、図1に示す通信用デバイス92の動作を確認し、通信用デバイス92の評価を行うことができる。
【0029】
図4は、データ解析部の概略構成図である。データ解析部76−10は、RDS(Running Digital Sum)エラー検出部31と、10bitエラー検出部32と、フレームカウントエラー検出部33と、フレーム長エラー検出部34と、CRCエラー検出部35と、連続エラー検出部41と、を備え、本実施形態に係る移動体通信用デバイス試験方法を実行する。
【0030】
図5は、本実施形態に係る移動体通信用デバイス試験方法の概略を示す流れ図である。移動体通信用デバイス試験方法は、RDSエラー検出手順S131と、10bitエラー検出手順S132と、フレームカウントエラー検出手順S133と、フレーム長エラー検出手順S134と、CRCエラー検出手順S135と、を順に有する。
【0031】
まず、データ入力部76−9からデータ解析部76−10に、通信用デバイス(図1に示す符号92)からのベースバンド信号を含むフレームが入力される。
【0032】
そして、RDSエラー検出手順S131を実行する。例えば、図4に示すRDSエラー検出部31は、データ入力部76−9からのフレームを構成する符号「0」と符号「1」の個数差が予め定められた値よりも多いか否かを判定する。前記個数差が予め定められた値以下であればRDSエラーなしと判定する。一方、前記個数差が予め定められた値よりも多い場合はRDSエラーありと判定する。そして、判定結果を10bitエラー検出部32及び連続エラー検出部41、カウンタ76−7、内部管理情報付加部76−11に出力する。
【0033】
次に、10bitエラー検出手順S132を実行する。例えば、図4に示す10bitエラー検出部32は、RDSエラー検出部31の後段に接続され、RDSエラー検出部31がRDSエラーなしと判定した場合に、10bitエラー検出手順S132を実行する。
【0034】
10bitエラー検出手順S132を実行するとき、図4に示す10bitエラー検出部32は、データ入力部76−9の出力するフレームに含まれる10bitコードが予め定められた8B10Bデコードテーブルに格納されているか否かを判定する。10bitコードが予め定められた8B10Bデコードテーブルに格納されている場合は10bitエラーなしと判定する。一方、10bitコードが予め定められた8B10Bデコードテーブルに格納されていない場合は10bitエラーありと判定する。そして、判定結果をフレームカウントエラー検出部33及び連続エラー検出部41、カウンタ76−7、内部管理情報付加部76−11に出力する。
【0035】
次に、フレームカウントエラー検出手順S133を実行する。例えば、図4に示すフレームカウントエラー検出部33は、RDSエラー検出部31及び10bitエラー検出部32の後段に接続され、10bitエラー検出部32が10bitエラーなしと判定した場合に、フレームカウントエラー検出手順S133を実行する。
【0036】
フレームカウントエラー検出手順S133を実行するとき、図4に示すフレームカウントエラー検出部33は、データ入力部76−9の出力するフレームに含まれるヘッダを抽出し、抽出したヘッダに含まれるフレームカウントが予め定められた規則に従った値であるか否かを判定する。フレームカウントが予め定められた規則に従った値である場合はフレームカウントエラーなしと判定する。一方、フレームカウントが予め定められた規則に従った値でない場合はフレームカウントエラーありと判定する。そして、判定結果をフレーム長エラー検出部34及び連続エラー検出部41、カウンタ76−7、内部管理情報付加部76−11に出力する。
【0037】
次に、フレーム長エラー検出手順S134を実行する。例えば、図4に示すフレーム長エラー検出部34は、フレームカウントエラー検出部33の後段に接続され、フレームカウントエラー検出部33がフレームカウントエラーなしと判定した場合に、フレーム長エラー検出手順S134を実行する。
【0038】
フレーム長エラー検出手順S134を実行するとき、図4に示すフレーム長エラー検出部34は、データ入力部76−9の出力するフレームにEOT若しくはEOFが含まれるか否か、及び、EOT若しくはEOFが予め定められた位置に付加されているか否かを判定する。EOT若しくはEOFが予め定められた位置に付加されている場合はフレーム長エラーなしと判定する。一方、EOT若しくはEOFが含まれないか、又は、EOT若しくはEOFが予め定められた位置に付加されていない場合はフレーム長エラーありと判定する。そして、判定結果をCRCエラー検出部35及び連続エラー検出部41、カウンタ76−7、内部管理情報付加部76−11に出力する。
【0039】
次に、CRCエラー検出手順S135を実行する。例えば、図4に示すCRCエラー検出部35は、フレーム長エラー検出部34の後段に接続され、フレーム長エラー検出部34がフレーム長エラーなしと判定した場合に、CRCエラー検出手順S135を実行する。
【0040】
CRCエラー検出手順S135を実行するとき、図4に示すCRCエラー検出部35は、データ入力部76−9の出力するフレームに含まれるヘッダ及びペイロードを用いてCRCを算出するとともに、データ入力部76−9の出力するフレームに含まれるCRCを抽出し、算出したCRCと抽出したCRCが一致するか否かを判定する。算出したCRCと抽出したCRCが一致する場合はCRCエラーなしと判定する。一方、算出したCRCと抽出したCRCが一致しない場合はCRCエラーありと判定する。そして、判定結果を、カウンタ76−7と、内部管理情報付加部76−11と、連続エラー検出部41に出力する。
【0041】
連続エラー検出部41は、前のフレームで検出されたエラーを記憶し、2フレーム連続してエラーが検出されたか否かを判定する。例えば、最新のフレームでRDSエラー、10bitエラー、フレームカウントエラー、フレーム長エラー又はCRCエラーのいずれかが検出され、最新のフレームの1つ前に受信したフレームでRDSエラー、10bitエラー、フレームカウントエラー、フレーム長エラー又はCRCエラーのいずれかが検出された場合、2フレーム連続してエラーが検出されたと判定する。
【0042】
図6に、本実施形態に係る移動体通信用デバイス試験方法の具体例を示す流れ図を示す。
手順S131−1及び手順S131−2は、図5に示すRDSエラー検出手順S131において実行する。手順S131−1では、フレームのRDSを算出して、RDSの値が2以下であるか否かを判定する。RDSの値が−2以上、かつ、+2以下である場合は、RDSエラーなしとして、手順S132−1に移行する。一方、RDSの値が−2よりも小さい、又は、+2よりも大きい場合は、手順S131−2に移行する。手順S131−2では、RDSエラーを検出した旨を出力する。
【0043】
手順S132−1及び手順S132−2は、図5に示す10bitエラー検出手順S132において実行する。手順S132−1では、フレームに含まれる10bitコードが予め定められた8B10Bデコードテーブルに格納されているか否かを判定する。10bitコードが予め定められた8B10Bデコードテーブルに格納されている場合は手順S136に移行し、10bitコードが予め定められた8B10Bデコードテーブルに格納された10bitコード外である場合は手順S132−2に移行する。手順S132−2では、10bitエラーを検出した旨を出力する。
【0044】
手順S136では、フレームに含まれるSOFを検出する。これにより、フレームの先頭を検出することができる。手順S137では、フレームに含まれるヘッダを読み出して解析する。これにより、フレームの内容を解析することができる。このとき、ヘッダに含まれるフレームカウントを抽出する。そして、手順S133−1に移行する。
【0045】
手順S133−1及び手順S133−2は、図5に示すフレームカウントエラー検出手順S133において実行する。手順S133−1では、手順S137で抽出したフレームカウントが予め定められた規則に従った値であるか否かを判定する。例えば、フレームカウントが、0、1、2、3、・・・6、7、0、1、2、・・・のように規則的に変化する場合、1つ前に受信したフレームのフレームカウント「2」と比較して、上記規則に従ったフレームカウント「3」となっているか否かを判定する。フレームカウントが予め定められた規則に従った値「3」である場合は手順S134−1に移行し、フレームカウントが予め定められた規則に従った値「3」でない例えば「4」である場合は手順S133−2に移行する。手順S133−2では、フレームカウントエラーを検出した旨を出力する。
【0046】
手順S134−1及び手順S134−2は、図5に示すフレーム長エラー検出手順S134において実行する。手順S134−1では、フレームにEOT若しくはEOFが含まれるか否か、及び、検出したEOT若しくはEOFが予め定められた位置に付加されているか否かを判定する。予め定められた位置は、ヘッダのフォーマットタイプ、ヘッダ内のペイロードタイプ又はペイロード長などを基に判断することができる。EOT若しくはEOFが予め定められた位置に付加されている場合は手順S135−1に移行する。一方、EOT若しくはEOFが検出されないか、又は、EOT若しくはEOFが予め定められた位置に付加されていない場合は、手順S134−2に移行する。手順S134−2では、フレーム長エラーを検出した旨を出力する。
【0047】
手順S135−1及び手順S135−2は、図5に示すCRCエラー検出手順S135において実行する。手順S135−1では、フレームに含まれるヘッダ及びペイロードを用いてCRCを算出するとともに、データ入力部76−9の出力するフレームに含まれるCRCを抽出し、この2つのCRCが一致するか否かを判定する。CRCの算出は、例えば、ITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector) CRC−16規格に従って算出する。2つのCRCが一致する場合はエラー検出を終了し、2つのCRCが一致しない場合は手順S135−2に移行する。手順S135−2では、CRCエラーを検出した旨を出力する。
【0048】
手順S131−2、手順S132−2、手順S133−2、手順S134−2及び手順S135−2の後、連続エラー検出手順S141を実行する。手順S131−2、手順S132−2、手順S133−2、手順S134−2及び手順S135−2で出力された信号は、図4に示す連続エラー検出部41に入力される。そして、連続エラー検出部41は、エラーを検出した旨の信号が入力されると、連続エラー検出手順S141を実行する。連続エラー検出手順S141では、図4に示す連続エラー検出部41が、前のフレームで検出されたエラーを記憶し、2フレーム連続してエラーが検出されたか否かを判定する。
【0049】
なお、図6には図示していないが、手順S131−2、手順S132−2、手順S133−2、手順S134−2、手順S135−2の各エラー検出手順では、各エラー検出結果を、図2に示すカウンタ76−7及び内部管理情報付加部76−11にも出力している。
【0050】
本実施形態に係る移動体通信用デバイス試験システムが本実施形態に係る移動体通信用デバイス試験方法を実行することで、移動体通信機器に用いられる通信用デバイスのエラーを適切な手順で検出することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、RDSエラー検出部31と、10bitエラー検出部32と、フレームカウントエラー検出部33と、フレーム長エラー検出部34と、CRCエラー検出部35と、のそれぞれにフレームが入力される例を示したが、これに限定されない。例えば、RDSエラー検出部31が10bitエラー検出部32にフレームを出力するなどしてもよい。
【0052】
本実施形態では、RDSエラー検出手順S131の後に10bitエラー検出手順S132を実行する例を示したが、これに限定されない。例えば、10bitエラー検出手順S132の後にRDSエラー検出手順S131を実行してもよいし、RDSエラー検出手順S131と同時に10bitエラー検出手順S132を実行してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、RFICの試験を行うことができるので、情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
31:RDSエラー検出部
32:10bitエラー検出部
33:フレームカウントエラー検出部
34:フレーム長エラー検出部
35:CRCエラー検出部
41:連続エラー検出部
71:シーケンス作成部
72:表示部
73:操作部
74:シーケンス記憶部
75:ペイロードデータ記憶部
76:試験実行部
76−1:データ生成部
76−2:データ出力部
76−3:内部管理情報付加部
76−4:出力データ記憶部
76−5:試験結果解析部
76−6:RF信号処理部
76−7:カウンタ
76−8:時刻情報生成部
76−9:データ入力部
76−10:データ解析部
76−11:内部管理情報付加部
76−12:入力データ記憶部
77:表示部
78:操作部
81:シーケンス作成装置
82:試験装置
91:移動体通信用デバイス試験システム
92:通信用デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局との間でRF(Radio Frequency)信号を送受する移動体通信機器に用いられかつRF信号を復調してベースバンド信号を生成する通信用デバイス(92)の試験を行う移動体通信用デバイス試験システム(91)であって、
前記通信用デバイスからの前記ベースバンド信号を含むフレームが入力されるデータ入力部(76−9)と、
前記RDSエラー検出部の前段若しくは後段又は前記RDSエラー検出部と並列に接続され、前記データ入力部からの前記フレームを構成する符号「0」と符号「1」の個数差が予め定められた値よりも多いか否かを判定するRDS(Running Digital Sum)エラー検出部(31)と、
前記データ入力部の出力する前記フレームに含まれる10bitコードが予め定められた8B10Bデコードテーブルに格納されているか否かを判定する10bitエラー検出部(32)と、
前記RDSエラー検出部及び前記10bitエラー検出部の後段に接続され、前記データ入力部の出力する前記フレームに含まれるヘッダを抽出し、抽出したヘッダに含まれるフレームカウントが予め定められた規則に従った値であるか否かを判定するフレームカウントエラー検出部(33)と、
前記フレームカウントエラー検出部の後段に接続され、前記データ入力部の出力する前記フレームにEOT(End Of Transmission)若しくはEOF(End Of Frame)が含まれるか否か、及び、EOT若しくはEOFが予め定められた位置に付加されているか否かを判定するフレーム長エラー検出部(34)と、
前記フレーム長エラー検出部の後段に接続され、前記データ入力部の出力する前記フレームに含まれるヘッダ及びペイロードを用いてCRC(Cyclic Redundancy Check)を算出するとともに、前記データ入力部の出力する前記フレームに含まれるCRCを抽出し、算出したCRCと抽出したCRCが一致するか否かを判定するCRCエラー検出部(35)と、
を備えることを特徴とする移動体通信用デバイス試験システム。
【請求項2】
基地局との間でRF(Radio Frequency)信号を送受する移動体通信機器に用いられかつRF信号を復調してベースバンド信号を生成する通信用デバイス(92)の試験を行う移動体通信用デバイス試験方法であって、
前記通信用デバイスからの前記ベースバンド信号を含むフレームを構成する符号「0」と符号「1」の個数差が予め定められた値よりも多いか否かを判定するRDS(Running Digital Sum)エラー検出手順(S131)と、
前記RDSエラー検出手順の前若しくは後又は前記RDSエラー検出手順と同時に、前記フレームに含まれる10bitコードが予め定められた8B10Bデコードテーブルに格納されているか否かを判定する10bitエラー検出手順(S132)と、
前記RDSエラー検出手順及び前記10bitエラー検出手順の後に、前記フレームに含まれるヘッダを抽出し、抽出したヘッダに含まれるフレームカウントが予め定められた規則に従った値であるか否かを判定するフレームカウントエラー検出手順(S133)と、
前記フレームカウントエラー検出手順の後に、前記フレームにEOT(End Of Transmission)若しくはEOF(End Of Frame)が含まれるか否か、及び、EOT若しくはEOFが予め定められた位置に付加されているか否かを判定するフレーム長エラー検出手順(S134)と、
前記フレーム長エラー検出手順の後に、前記フレームに含まれるヘッダ及びペイロードを用いてCRC(Cyclic Redundancy Check)を算出するとともに、前記フレームに含まれるCRCを抽出し、算出したCRCと抽出したCRCが一致するか否かを判定するCRCエラー検出手順(S135)と、
を有することを特徴とする移動体通信用デバイス試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−41107(P2011−41107A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188087(P2009−188087)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】