説明

移動体通信装置、移動通信端末及び乗降判定方法

【課題】同一の歩行者に対して、乗車中であるとの判定及び降車したとの判定が頻繁に行われることを防ぐ移動体通信装置、移動通信端末及び乗降判定方法を提供すること。
【解決手段】車両に備えられ、他の移動体の現在位置を示す情報を含む他の移動体の移動体情報を受信する通信部と、前記他の移動体が歩行者であるときに、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出部から取得した前記車両の現在位置と前記歩行者の現在位置と第1の所定範囲とに基づいて前記歩行者が前記車両に乗車中であるか否かを判定する制御部と、を備えた移動体通信装置であって、前記制御部は、前記車両の現在位置と前記車両に乗車中であると判定した歩行者の現在位置と前記第1の所定範囲よりも広い第2の所定範囲とに基づいて該歩行者が前記車両から降車したか否かを判定することとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者が車両に乗車しているか否かを判定する移動体通信装置、移動通信端末及び乗降判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術を用いて人と道路と車両とを情報でネットワークすることにより、交通事故や渋滞などといった道路交通問題の解決を目的とした高度道路通信システム(Intelligent Transport Systems、以下「ITS」という。)が研究、開発されている。ITSの中でも特に安全運転支援システムを扱う分野における自動車向け無線通信の形態は路車間通信と車車(歩車)間通信とに大別できる。路車間通信は路側機と車両が情報を通信するのに対し、車車(歩車)間通信は車両と車両(或いは歩行者)が直接情報の通信を行う。
【0003】
路車間通信により路側機から車両に発信される情報には交差点情報や信号機情報が含まれる。交差点情報としては交差点を識別するための識別情報、信号機情報としては信号機を識別するための識別情報等の情報が含まれる。
【0004】
車車間通信により車両から車両に発信される車両の移動体情報には車両の現在位置、移動速度、進行方向などを示す情報が含まれ、歩車間通信により歩行者から車両に発信される歩行者の移動体情報には歩行者の現在位置、移動速度、進行方向などを示す情報が含まれる(車歩間通信及び歩歩間通信においても同様である)。
【0005】
そしてこのような車両の移動体情報及び歩行者の移動体情報に基づいて衝突判定を行い、衝突(事故)の可能性がある場合に様々な制御を行うことによって事故を未然に防ぐことが考えられている。一方で、歩行者が車両に乗車しているときに、歩行者の所持する携帯電話等の移動通信端末が自己を歩行者として移動体情報を送信すると、周辺の車両に搭載された車載通信装置は、存在しない歩行者について衝突判定を行うことになる。
【0006】
そこで特許文献1に開示されている走行支援システムにおいて携帯型端末器は、当該携帯型端末器(携帯型端末器を所持するユーザ(歩行者))が車両に存在するか否かを判定する存在判定手段を備えており、車両の現在位置と歩行者の現在位置が同一である場合に携帯型端末器が車両に存在していると判定し、歩行者の移動体情報の送信を中止することが開示されている。
【0007】
これにより、歩行者が車両に乗車しているときには歩行者の移動体情報が送信されないので周辺の車両が存在しない歩行者との衝突を判定して安全運転制御が行われることを防ぐことができることとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−9933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記先行技術文献に開示されている走行支援システムは、ある時点において歩行者が車両に乗車した場合に歩行者の移動体情報の送信を中止するが、歩行者が車両から降車した場合には他の通信装置が行う安全運転支援のために歩行者の移動体情報の送信を再開する必要があるので、定期的或いは不定期に歩行者が車両に存在するか否かの判定を行うものと考えられる。
【0010】
しかしながら、車両の現在位置又は歩行者の現在位置の検出精度は、外的要因(ビル街のマルチパスなど)により一時的に低下することが想定されるので、実際には降車していないのにも関わらず降車判定がなされ、その後、車両の現在位置又は歩行者の現在位置の検出精度の精度が高くなった際には改めて乗車判定がなされるというように、同一の歩行者に対して、乗車中であるとの判定及び降車したとの判定が頻繁に行われることが考えられる。
【0011】
そして乗降判定が頻繁に繰り返されると、それに伴って歩行者の移動体情報の送信開始と送信停止が繰り返されることになり、その度に他の通信装置は安全運転支援を行うことになるという問題があった。
【0012】
本発明は、上述した問題点に鑑み、同一の歩行者に対して、乗車中であるとの判定及び降車したとの判定が頻繁に行われること(降車していないのにも関わらず降車と判定してしまうこと)を防ぐ移動体通信装置、移動通信端末及び乗降判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明の移動体通信装置は、車両に備えられ、他の移動体の現在位置を示す情報を含む他の移動体の移動体情報を受信する通信部と、前記他の移動体が歩行者であるときに、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出部から取得した前記車両の現在位置に基づく第1の所定範囲と前記歩行者の現在位置とに基づいて前記歩行者が前記車両に乗車中であるか否かを判定する制御部と、を備えた移動体通信装置であって、前記制御部は、前記車両の現在位置に基づき前記第1の所定範囲よりも広い第2の所定範囲と前記車両に乗車中であると判定した歩行者の現在位置とに基づいて該歩行者が前記車両から降車したか否かを判定することを特徴としている。
【0014】
また上記構成の移動体通信装置において、前記制御部は前記歩行者が前記車両に乗車中であると判定したときには、前記歩行者が所持する他の通信装置に対して前記歩行者の移動体情報の送信について特別制御状態で行なうように指示すること、又は、前記車両の移動体情報の送信について特別制御状態で行なうことが望ましい。
【0015】
上記目的を達成するために本発明の移動通信端末は、歩行者に携行され、他の移動体の現在位置を示す情報を含む他の移動体の移動体情報を受信する通信部と、前記他の移動体が車両であるときに、前記歩行者の現在位置を検出する現在位置検出部から取得した前記歩行者の現在位置に基づく第1の所定範囲と前記車両の現在位置とに基づいて前記歩行者が前記車両に乗車中であるか否かを判定する制御部と、を備えた移動通信端末であって、前記制御部は、前記歩行者の現在位置に基づき前記第1の所定範囲よりも広い第2の所定範囲と前記歩行者が乗車中であると判定した車両の現在位置とに基づいて前記歩行者が該車両から降車したか否かを判定することを特徴としている。
【0016】
また上記構成の移動通信端末において、前記制御部は前記歩行者が前記車両に乗車中であると判定したときには、前記歩行者の移動体情報の送信について特別制御状態で行なうこと、又は、前記車両に備えられた他の通信装置に対して前記車両の移動体情報の送信について特別制御状態で行うように指示することが望ましい。
【0017】
上記目的を達成するために本発明の移動体通信装置の乗降判定方法は、前記車両の現在位置を取得するステップと、他の移動体の現在位置を示す情報を含む他の移動体の移動体情報を受信するステップと、前記他の移動体が歩行者であるか否かを判定するステップと、前記他の移動体が歩行者であるときに、前記車両の現在位置に基づく第1の所定範囲と前記歩行者の現在位置とに基づいて前記歩行者が前記車両に乗車中であるか否かを判定するステップと、前記車両の現在位置に基づき前記第1の所定範囲よりも広い第2の所定範囲と前記車両に乗車中であると判定した歩行者の現在位置とに基づいて該歩行者が前記車両から降車したか否かを判定するステップと、を有することを特徴としている。
【0018】
上記目的を達成するために本発明の移動通信端末の乗降判定方法は、前記歩行者の現在位置を取得するステップと、他の移動体の現在位置を示す情報を含む他の移動体の移動体情報を受信するステップと、前記他の移動体が車両であるか否かを判定するステップと、前記他の移動体が車両であるときに、前記歩行者の現在位置に基づく第1の所定範囲と前記車両の現在位置とに基づいて前記歩行者が前記車両に乗車中であるか否かを判定するステップと、前記歩行者の現在位置に基づき前記第1の所定範囲よりも広い第2の所定範囲と前記歩行者が乗車中であると判定した車両の現在位置とに基づいて前記歩行者が該車両から降車したか否かを判定するステップと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、同一の歩行者に対して、乗車中であるとの判定及び降車したとの判定が頻繁に繰り返されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】は、本発明のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】は、第1の所定範囲に基づく乗車判定の一例を示す図である。
【図4】は、第2の所定範囲に基づく降車判定の一例を示す図である。
【図5】は、本発明の携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図6】は、本発明の携帯電話の制御部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために本発明の移動体通信装置の例である車載通信装置としてナビゲーション装置を、また、移動通信端末として携帯電話を示すものであって、本発明をこのナビゲーション装置及び携帯電話に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の装置にも等しく適応し得るものである。例えば、ナビゲーション機能を有しない装置であってもよい。また、以下の説明では、ナビゲーション装置が移動体の一例である自動車に取付けられた場合を例示するが、バイク等がナビゲーション装置を備えていてもよい。
【0022】
なお、以下の説明では、ナビゲーション装置20(移動体通信装置)が搭載され、歩行者を移動させる乗物(例えば自動車、バス、バイク、自転車など)を総称して車両と表現する。
【0023】
図1は本発明のナビゲーション装置20の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置20は制御部1と、表示部2と、操作部3と、現在位置検出部4と、速度検出部5と、地図情報記憶部6と、バッテリ7と、通信部8とを備えている。
【0024】
制御部1はナビゲーション装置20全体を総括的に制御する制御手段である。制御部1はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部1が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
【0025】
表示部2は地図画面(目的地への経路、ナビゲーション装置20が搭載された車両(以下、「ナビゲーション装置20が搭載された車両」を「自車」ということもある。)の現在位置を示すマークなどを含む地図画像を表示する画面)やメニュー画面を表示するための表示手段である。
【0026】
操作部3はユーザが目的地を入力したり、メニューを操作したりするための入力操作手段である。なお、操作部3としては、ナビゲーション装置本体に各種のキーやボタンを設けてもよいし、表示部2にタッチパネル機能を付加してもよい。また、操作部3としてナビゲーション装置20本体を遠隔操作するためのリモートコントローラを操作部3として用いても構わない。
【0027】
現在位置検出部4は自車の現在位置を検出するものであり、GPS受信機、自立航法手段、位置計算用CPU等を含んで構成される。自立航法手段は操角センサ、加速度センサ、距離センサや方位センサなどからなり、自車の走行距離と進行方向とをそれぞれ検出し、これらの値に基づいて現在位置を求める。また、GPS受信機は複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して3次元測位処理又は2次元測位処理を行って自車の絶対位置及び進行方向を計算する。ここで進行方向は現時点の自車位置と直前の自車位置とに基づいて計算される。なお、進行方向の検出方法は特に限定されず、例えば方位センサを用いて検出してもいいし、車両であればタイヤの回転方向から検出することとしてもよい。また、現在位置検出部4とは別に進行方向検出部を設けて自車の進行方向を検出するものとしてもよい。
【0028】
速度検出部5は自車の移動速度を検出する。移動速度は速度センサや加速度センサの出力から算出してもよいし、GPS履歴間の移動距離とGPS受信時刻の差から算出してもよい。なお、自車の移動速度は現在位置検出部4が検出することとしてもよい。現在位置検出部4が自車の現在位置に加えて移動速度を検出することができる場合には速度検出部5を別途設けない構成とすることができる。その場合、現在位置検出部4に速度検出部5が含まれる構成となる。
【0029】
なお、操角センサ、加速度センサ、速度センサや方位センサなどは、ナビゲーション装置20が備えていてもよいし、車両(自車)が上記各種センサを備えており、ナビゲーション装置20は、上記各種センサの出力を取得するインターフェースを備える構成としてもよい。
【0030】
地図情報記憶部6は目的地への経路探索や誘導を行う際に参照される地図情報などが記憶されている。地図情報には、ネットワークデータ(ノードデータ、リンクデータ)が含まれる。地図情報記憶部6としてはNANDフラッシュやSDメモリカードなどを好適に用いることができる。地図情報記憶部6はナビゲーション装置20に内蔵しても構わないし、ナビゲーション装置20に着脱可能な構成としても構わない。なお、地図情報には、地図画像が含まれていてもよいし、地図情報に含まれるネットワークデータ(ノードデータ、リンクデータ)に基づき地図画像を表示部2に描画してもよい。また、地図情報は予め地図情報記憶部6に記憶される以外にも、後述する通信部8が路側機などから地図情報を受信し、受信された地図情報が地図情報記憶部6に記憶されてもよい。
【0031】
ここで、地図情報はネットワークデータを含み、ネットワークデータは、道路をその屈曲点、分岐点等の結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータから構成される。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標(緯度・経度)、道路種別、交差点情報や交差点名称などを示す情報等のノード属性、さらに接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。
【0032】
また、リンクデータは、リンクの始点及び終点となるノード番号、道路種別(一般道路、高速道路)、距離及び/又は所要時間等を含むリンクコスト、道路の幅を示す情報、国道○号線のような道路名称、進行方向のデータを含んで構成される。リンクデータは上記に加えて、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所等のデータが付与される。
【0033】
本発明においては、ネットワークデータに、道路のノードデータ・リンクデータが含まれる。自車の現在位置を特定する際には、制御部1が現在位置検出部4によって検出される自車の現在位置(進行方向や移動速度も加えてもよい)と地図情報とに基づき、マップマッチング処理を行うことで特定することができる。
【0034】
なお、マップマッチング処理については、制御部1が行なってもよいが、現在位置検出部4が行なってもよい。すなわち、GPS受信機及び/又は自律航法手段を用いて検出した現在位置と地図情報とに基づき、マップマッチング処理を行い、マップマッチング処理を行なった現在位置を現在位置として制御部1へ出力してもよい。或いは、制御部1のマップマッチング処理までを含めて現在位置検出部4としてもよい。
【0035】
バッテリ7はナビゲーション装置20の携帯使用時における電源供給手段であり、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池を好適に用いることが可能である。もちろん、バッテリ7として、アルカリマンガン乾電池やマンガン乾電池などの一次電池を用いても構わないし、燃料電池を用いても構わない。
【0036】
通信部8はナビゲーション装置20と通信可能な他の通信装置(以下、「他の通信装置」という。)に情報を送信する送信部(図示せず)と他の通信装置から送信される情報を受信する受信部(図示せず)とを有する。通信方法は無線通信や赤外線通信などの非接触通信とすることが好ましい。他の通信装置としては他の車両に搭載されたナビゲーション装置等の車載通信装置、路側機、歩行者が所持する携帯電話等の移動通信端末などを挙げることができる。
【0037】
通信部8が他の車両に搭載されたナビゲーション装置等の車載通信装置から受信する情報には他の車両の移動体情報が含まれ、歩行者が所持する移動通信端末から受信する情報には歩行者の移動体情報が含まれる。
【0038】
ここで通信部8が受信する歩行者の移動体情報について説明を行う。歩行者の移動体情報には、移動通信端末を所持する歩行者(以下、「移動通信端末を所持する歩行者」を「歩行者」ということもある。)の現在位置、進行方向、移動速度を示す情報が含まれる。
【0039】
また、歩行者の移動体情報には、移動種別(例えば、歩行者)を示す情報が含まれていてもよい。その場合、移動種別を示す情報に基づいて、通信部8を介して取得した他の移動体の移動体情報が、どの移動種別の移動体情報であるか(歩行者の移動体情報であるか否か)を判定することができる。なお、移動種別を示す情報が含まれていない場合であっても、ヘッドライトの点灯状態を示す情報の有無(歩行者の移動体情報にはヘッドライトの点灯状態を示す情報は含まれていない)等に基づいて移動種別を判定することができる。
【0040】
歩行者の現在位置は、マップマッチング処理後の現在位置であってもよいし、マップマッチング処理前の現在位置(GPS受信機等により測位された現在位置)であってもよい。マップマッチング処理前の現在位置であれば、制御部1(現在位置検出部4)がマップマッチング処理を行なってもよい。
【0041】
なお、上記において通信部8は、車載通信装置から他の車両の車両情報を受信し、移動通信端末から歩行者の移動体情報を受信しているが、例えば歩行者の移動体情報は携帯電話等の移動通信端末以外にも他の車両に搭載されたナビゲーション装置等の車載通信装置や、路側機などから受信してもよい。また、他の車両の車両情報についても同様である。
【0042】
また、通信部8を介して自車の移動体情報(現在位置、進行方向、移動速度などを示す情報を含む)が(例えば定期的に)他の通信装置に送信される。
【0043】
図5は本発明の携帯電話50の構成を示すブロック図である。携帯電話50は制御部31と、表示部32と、操作部33と、現在位置検出部34と、速度検出部35と、地図情報記憶部36と、バッテリ37と、通信部38とを備えている。制御部31〜バッテリ37は上述のナビゲーション装置20の構成と共通しているため説明を省略する。なお、上述のナビゲーション装置20の構成を携帯電話50の構成に適用する際には、上記説明中「ナビゲーション装置」を「携帯電話」に変更し、「自車」を「歩行者」に変更するなど適宜変更すればよい。
【0044】
なお、現在位置検出部34には自立航法手段が含まれていなくてもよく、また、携帯電話50は地図情報記憶部36を備えない構成であってもよい。
【0045】
通信部38は携帯電話50と通信可能な他の通信装置(以下、「他の通信装置」という。)に情報を送信する送信部(図示せず)と他の通信装置から送信される情報を受信する受信部(図示せず)とを有する。通信方法は無線通信や赤外線通信などの非接触通信とすることが好ましい。他の通信装置としては車両に搭載されたナビゲーション装置等の車載通信装置、路側機、他の歩行者が所持する携帯電話等の移動通信端末などを挙げることができる。
【0046】
通信部38が車両に搭載されたナビゲーション装置等の車載通信装置から受信する情報には車両の移動体情報が含まれ、他の歩行者が所持する移動通信端末から受信する情報には他の歩行者の移動体情報が含まれる。
【0047】
ここで通信部38が受信する車両の移動体情報について説明を行う。車両の移動体情報には、ナビゲーション装置等の車載通信装置が搭載された車両(以下、「ナビゲーション装置等の車載通信装置が搭載された車両」を「車両」ということもある。)の現在位置、進行方向、移動速度を示す情報などが含まれる。
【0048】
また、車両の移動体情報には、移動種別(例えば、車両)を示す情報が含まれていてもよい。その場合、移動種別を示す情報に基づいて、通信部38を介して取得した他の移動体の移動体情報が、どの移動種別の移動体情報であるか(車両の情報であるか否か)を判定することができる。また、移動種別を示す情報が含まれていない場合であっても、ヘッドライトの点灯状態を示す情報の有無(車両の移動体情報にはヘッドライトの点灯状態を示す情報は含まれている)等に基づいて移動種別を判定することができる。
【0049】
なお、車両の現在位置は、マップマッチング処理後の現在位置であってもよいし、マップマッチング処理前の現在位置(GPS受信機等により測位された現在位置)であってもよい。マップマッチング処理前の現在位置であれば、制御部31(現在位置検出部34)がマップマッチング処理を行なってもよい。
【0050】
なお、上記において通信部38は、車載通信装置から車両の車両情報を受信し、移動通信端末から他の歩行者の移動体情報を受信しているが、例えば他の歩行者の移動体情報は携帯電話等の移動通信端末以外にも車両に搭載されたナビゲーション装置等の車載通信装置や、路側機などから受信してもよい。また、車両の車両情報についても同様である。
【0051】
また、歩行者が車両に乗っていない場合、通信部38を介して歩行者の移動体情報(現在位置、進行方向、移動速度などを示す情報を含む)が(後述する通常制御状態で例えば定期的に)他の通信装置に送信される。
[第1実施形態]
本発明の移動体通信装置の第1実施形態について図2を用いて説明する。図2は本発明のナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示すフローチャートである。なお、ナビゲーション装置20の制御部1は以下に示す処理を歩行者毎(移動通信端末の端末ID毎)に行うものとする。
【0052】
ステップS101において制御部1は通信部8が受信した歩行者の移動体情報を取得する。歩行者の移動体情報には、歩行者のID(移動通信端末の端末ID)を示す情報、歩行者の現在位置(緯度、経度)を示す情報、歩行者の進行方向を示す情報、歩行者の移動速度を示す情報などが含まれる。
【0053】
なお、ステップS101では、制御部1は歩行者の移動体情報を取得するが、正確には、制御部1は通信部8が受信した他の移動体(他の車両や歩行者など)の移動体情報を取得する。
【0054】
そして、取得した他の移動体(他の車両や歩行者など)の移動体情報が歩行者の移動体情報である場合、制御部1は歩行者の移動体情報を取得したとしてステップS102に進む。
【0055】
なお、取得した他の移動体(他の車両や歩行者など)の移動体情報が歩行者の移動体情報であるか否かの判定は、他の移動体の移動体情報に移動種別を示す情報が含まれる場合では、移動種別(車両、歩行者)に基づいて、歩行者の移動体情報であるか否かを判定することが可能であり(移動種別が歩行者である移動体情報であれば歩行者の移動体情報である)、また、移動体情報に含まれる移動速度(現在位置と(同一のIDから送信された)前回の現在位置との距離などに基づく移動速度でもよい)が所定速度以上か否かに基づいて歩行者の移動体情報であるか否かを判定することも可能である。
【0056】
さらに、歩行者の移動体情報であるか否かの判定は、現在位置から特定することも可能である。例えば、地図情報と他の移動体の移動体情報に含まれる現在位置とに基づき、現在位置が車道上であれば車両の移動体情報とし、現在位置が歩道上であれば歩行者の移動体情報として判定してもよい。
【0057】
次にステップS102において制御部1は自車の移動体情報を取得する。自車の移動体情報には、現在位置検出部4によって検出される自車の現在位置を示す情報、現在位置検出部4(ナビゲーション装置20が進行方向検出部を備えるときは進行方向検出部でもよい)により検出される自車の進行方向を示す情報、速度検出部5により検出される自車の移動速度を示す情報などが含まれる。
【0058】
なお、本実施形態において制御部1は、ステップS101において歩行者の移動体情報を取得し、ステップS102において自車の移動体情報を取得しているが、制御部1がこれらの情報を取得する順番はフローチャートに示した順序でなくてもよく、例えば最初に同時に取得するものであってもよいし、最初に自車の移動体情報を取得するものであってもよい。
また、制御部1が歩行者の移動体情報及び自車の移動体情報を取得するタイミングは当該タイミングとは限られない。定期的或いは不定期(例えば、他の通信装置の送信タイミングに基づいて(通信部8が受信したとき))に取得されてもよく、定期的或いは不定期に複数回情報を取得する場合には、取得された情報のうち最も新しい情報を使用することとしてもよい。
【0059】
ステップS103において制御部1は歩行者が自車に乗車しているか否かを判定する。歩行者が自車に乗車しているか否かの判定は、歩行者の現在位置と自車の現在位置と第1の所定範囲に基づいて判定される。図3は第1の所定範囲に基づく乗車判定の一例を示す図である。図3が示すように歩行者の現在位置が自車の現在位置を中心とする第1の所定範囲に存在するときは、歩行者が自車に乗車していると判定する。
【0060】
歩行者が自車に乗車しているときは(ステップS103のY)ステップS104に進み、歩行者が自車に乗車していないときは(ステップS103のN)ステップS101に戻る。
【0061】
ステップS104において制御部1は自車に乗車中である歩行者が所持する携帯電話等の移動通信端末の端末IDを、自車に乗車中の移動通信端末であることを示す記憶領域に登録(記憶)する。
【0062】
すなわち、歩行者の移動体情報に含まれる現在位置(歩行者の現在位置)が車の現在位置を中心とする第1の所定範囲に存在する場合、制御部1は、当該歩行者の現在位置が含まれていた移動体情報に含まれる移動通信端末の端末IDを登録(記憶)するため、登録(記憶)されている端末IDを有する移動通信端末(該移動通信端末を保持する歩行者)は乗車中である。
【0063】
なお、端末IDは、制御部1のRAMに登録(記憶)されてもよいし、別途、端末IDを登録(記憶)する記憶媒体を設ける構成としてもよい。
【0064】
ステップS105において制御部1はステップS104において登録した移動通信端末に対して、歩行者の移動体情報の送信の制御を変更するように指示する。
【0065】
すなわち、制御部1は、歩行者の移動体情報の送信の制御を変更するように指示する情報に宛先として端末ID(登録(記憶)された端末ID)を付加した情報を通信部8を介して送信する。
【0066】
通信部8を介して送信された情報を受信した他の通信装置(移動通信端末)は、宛先の端末IDと自己の端末ID(受信した他の通信装置のID)を比較し、宛先の端末IDと自己の端末IDが同一であれば、歩行者の移動体情報の送信の制御を変更するように指示する情報に基づき、歩行者の移動体情報の送信の制御を変更する。
【0067】
本ステップにおける送信の制御の変更とは、移動通信端末が行う歩行者の移動体情報の送信について通常制御状態とは異なる制御状態(特別制御状態)で行うように指示することである。制御部1は特別制御状態の具体的な内容を指定して変更を指示してもよいし、移動通信端末に予め特別制御状態の内容が設定されている場合には単に特別制御状態で行うように指示するものであってもよい。
【0068】
ここで移動通信端末が行う通常制御状態による歩行者の移動体情報の送信とは、ITS通信において移動通信端末から他の通信装置に対して送信するものとして予め定められている歩行者に関する情報を歩行者の移動体情報として送信することである。歩行者に関する情報としては、歩行者のID(移動通信端末の端末ID)を示す情報、歩行者の現在位置を示す情報、歩行者の進行方向を示す情報、歩行者の移動速度を示す情報などが挙げられる。
【0069】
一方、特別制御状態による歩行者の移動体情報の送信とは、通常制御状態とは異なる制御であり、例えば、歩行者の移動体情報として送信される歩行者に関する情報を変更する制御、歩行者の移動体情報の送信範囲を変更する制御、歩行者の移動体情報の送信を停止する制御、これらを組み合わる制御などが考えられる。
【0070】
本実施形態において、歩行者の移動体情報として送信される歩行者に関する情報を変更する場合には、例えば、通常制御状態時には上述した歩行者に関する情報(端末ID、現在位置、進行方向、移動速度)が歩行者の移動体情報として送信されるが、特別制御状態時には、端末IDを示す情報のみが歩行者の移動体情報として送信されることとする。つまり、特別制御状態時においては通常制御状態時に比べて、歩行者の移動体情報として送信される歩行者に関する情報が少ない。なお、歩行者の移動体情報に移動種別(歩行者)を示す情報が含まれている場合には、歩行者に関する情報を少なくすることなく、移動種別を車両或いは乗車中の歩行者等に変更して送信することとしてもよい。
【0071】
また、歩行者の移動体情報の送信範囲を変更する場合には、例えば通常制御状態時には歩行者の移動体情報を送信する範囲を制限しないこととし、特別制御状態時には乗車している車両に搭載された車載通信装置が受信できる程度の狭い範囲に歩行者の移動体情報を送信することとする(特別制御状態時には通常制御状態時より送信電力を低下させる)。また、歩行者の移動体情報の送信を停止する場合には、通常制御状態時には歩行者の移動体情報の送信を行い、特別制御状態時には歩行者の移動体情報の送信を行わないこととする。さらに、これらを組み合わせて特別制御状態とすることも可能である。
【0072】
ステップS106において制御部1は、乗車中である移動通信端末について乗降判定の閾値(第1の所定範囲)を第2の所定範囲に変更する。第1の所定範囲及び第2の所定範囲は共に制限されるものではないが、第2の所定範囲は第1の所定範囲よりも広くなるように設定される。
【0073】
ステップS107において制御部1は歩行者の移動体情報を取得し、ステップS108において制御部1は自車の移動体情報を取得する。ステップS107〜ステップS108はステップS109において判定の基準となる歩行者の現在位置及び自車の現在位置がステップS101〜ステップS102で取得したものではないこと(最新のものであること)を明確にするために記載しているが、上述したように、歩行者の移動体情報と自車の移動体情報が定期的或いは不定期に取得されることとすればステップS107〜ステップS108は省略することができる。
【0074】
なお、ステップS105において制御部1はステップS104において登録した移動通信端末に対して、歩行者の移動体情報の送信の制御を変更するように指示している。従って、指示を受けた移動通信端末は歩行者の現在位置を示す情報を含まない歩行者の移動体情報を送信している、或いは歩行者の移動体情報を送信していないことが考えられる。そのような場合には、登録されている移動通信端末に対して直接、歩行者の現在位置を示す情報を含む歩行者の移動体情報を要求することにより、当該移動通信端末から歩行者の現在位置を示す情報を含む歩行者の移動体情報を受信する(取得する)ことができる。
【0075】
登録されている移動通信端末に対して直接、歩行者の現在位置を示す情報を含む歩行者の移動体情報を要求するとは、登録されている移動通信端末の端末IDを付加して、ナビゲーション装置20へ(ナビゲーション装置20のIDを付加して)現在位置を示す情報を含む歩行者の移動体情報を送信するように指示する情報を通信部8を介して送信することであってもよいし、また、例えば、ITS通信とは異なる無線通信を用いてナビゲーション装置20へ現在位置を示す情報を含む歩行者の移動体情報を送信する指示する情報を送信することであってもよい。
【0076】
ステップS109において制御部1は歩行者が自車に乗車しているか否かを判定する。本ステップにおける歩行者とは、ステップS103で自車に乗車していると判定された歩行者であり、本ステップにおいて歩行者が乗車しているか否か(降車したか否か)の判定(降車判定)は、歩行者の現在位置と自車の現在位置と第2の所定範囲に基づいて判定される。図4は第2の所定範囲に基づく降車判定の一例を示す図である。
【0077】
上述したように第2の所定範囲は第1の所定範囲よりも広くなるように設定されている。従って、歩行者が車両に乗車しているにも関わらず、歩行者の現在位置や自車の現在位置の検出精度が低下することにより歩行者の現在位置が第1の所定範囲内ではなくなっても、第2の所定範囲内であれば乗車していない(降車した)と判定されない(乗車中であると判定される)。
【0078】
歩行者が自車に乗車しているときは(ステップS109のY)ステップS107に戻り、歩行者が自車に乗車していないときは(ステップS109のN)ステップS110に進む。
【0079】
ステップS110において制御部1は、自車に乗車中の移動通信端末であることを示す記憶領域から、降車した歩行者が所持する携帯電話等の移動通信端末の端末IDの登録を解除する(記憶されている移動通信端末の端末IDを削除する)。
【0080】
ステップS111において制御部1はステップS110において登録を解除した移動通信端末に対して、歩行者の移動体情報の送信の制御を変更するように指示する。本ステップにおける送信の制御の変更とは、移動通信端末が行う歩行者の移動体情報の送信について通常制御状態で行うように指示することである。
【0081】
ステップS112において制御部1は、降車した移動通信端末について乗降判定の閾値(第2の所定範囲)を第1の所定範囲に変更する。
【0082】
なお、図2のフローチャートにおいて、ステップS105とステップS106についてこの順で処理を行ったがこの処理に関しては順不同であっても良いものとし、又同時処理を実施しても良いものとする。ステップS111とステップS112についても同様である。
【0083】
まとめると、本実施形態においてナビゲーション装置20の制御部1は自車に乗車中であるものとして登録されていない移動通信端末の乗降(乗車)判定については第1の所定範囲を基準として乗降(乗車)判定を行うが、自車に乗車中であるものとして登録されている移動通信端末の乗降(降車)判定については第2の所定範囲を基準として乗降(降車)判定を行う。また、自車に乗車中であるものとして登録されている移動通信端末に対してのみ、歩行者の移動体情報の送信について特別制御状態で行うように指示する。
【0084】
本実施形態によれば、自車に乗車していない(自車に乗車中として登録されていない)歩行者が自車に乗車したか否かを判定する際に判定の基準となる第1の所定範囲よりも、自車に乗車している(自車に乗車中として登録されている)歩行者が自車に乗車しているか否か(自車から降車したか否か)を判定する際に判定の基準となる第2の所定範囲のほうが広くなるように設定されているので、歩行者の現在位置及び/又は自車の現在位置の検出精度が低下したときに歩行者が自車から降車していないにも関わらず降車した(乗車していない)と判定されることがない。これにより、歩行者の移動体情報の送信について通常制御状態で送信される場合と特別制御状態で送信される場合とが頻繁に入れ替わることによって当該歩行者の移動体情報を受信した他の通信装置が行う安全運転支援を妨げることがない。
[第2実施形態]
本発明の移動体通信装置の第2実施形態について図6を用いて説明する。図6は本発明の携帯電話50の制御部31が実行する処理の流れを示すフローチャートである。なお、下記説明において第1実施形態と同一の部分(例えば、用語の説明、各種情報を取得するタイミングの可変性、処理の順番の順不同性等)については適宜省略するものとする。
【0085】
ステップS201において制御部31は車両の移動体情報を取得する。車両の移動体情報には、車両のID(車載通信装置の装置ID)を示す情報、車両の現在位置(緯度、経度)を示す情報、車両の進行方向を示す情報、車両の移動速度を示す情報などが含まれる。
【0086】
なお、ステップS201では、制御部31は車両の移動体情報を取得するが、正確には、制御部31は通信部38が受信した他の移動体(他の車両や歩行者など)の移動体情報を取得する。
【0087】
そして、取得した他の移動体(他の車両や歩行者など)の移動体情報が車両の移動体情報である場合、制御部31は車両の移動体情報を取得したとしてステップS202に進む。
【0088】
取得した他の移動体(他の車両や歩行者など)の移動体情報が車両の移動体情報であるか否かの判定は、上述のステップS101と同様に判定することが可能である。
【0089】
次にステップS202において制御部31は自端末(携帯電話50)を所持する歩行者(本実施形態において、「自端末(携帯電話50)を所持する歩行者」を単に「歩行者」という。)の移動体情報を取得する。歩行者の移動体情報には、現在位置検出部34によって検出される歩行者の現在位置を示す情報、現在位置検出部34(携帯電話50が進行方向検出部を備えるときは進行方向検出部でもよい)により検出される歩行者の進行方向を示す情報、速度検出部35により検出される歩行者の移動速度を示す情報などが含まれる。
【0090】
ステップS203において制御部31は歩行者が車両に乗車しているか否かを判定する。歩行者が車両に乗車しているか否かの判定は、第1実施形態と同様に歩行者の現在位置と車両の現在位置と第1の所定範囲に基づいて判定される。
【0091】
歩行者が車両に乗車しているときは(ステップS203のY)ステップS204に進み、歩行者が車両に乗車していないときは(ステップS203のN)ステップS201に戻る
ステップS204において制御部31は歩行者が乗車している車両に搭載されたナビゲーション装置等の車載通信装置の装置IDを歩行者が車両に乗車中であることを示す記憶領域に登録(記憶)する。なお、本実施形態においては本ステップ以降、登録されている車両の現在位置に対してのみ乗降判定を行い、その他の車両の現在位置に対して乗降判定を行わない(後述のステップS209の乗降判定のみを行う)こととしてもよい。歩行者が2台の車両に同時に乗車することはないからである。
【0092】
ステップS205において制御部31は通信部38を介して行われる歩行者の移動体情報の送信について特別制御状態で行う。
【0093】
ステップS206において制御部31は、乗降判定の閾値(第1の所定範囲)を第2の所定範囲に変更する。
【0094】
ステップS207において制御部31は車両の移動体情報を取得し、ステップS208において制御部31は歩行者の移動体情報を取得する。
【0095】
ステップS209において制御部31は歩行者が登録されている車両に乗車しているか否かを判定する。本ステップにおいて歩行者が乗車しているか否か(降車したか否か)の判定(降車判定)は、第1実施形態と同様に歩行者の現在位置と車両の現在位置と第2の所定範囲に基づいて判定される。
【0096】
歩行者が登録されている車両に乗車しているときは(ステップS209のY)ステップS207に戻り、歩行者が登録されている車両に乗車していないときは(ステップS209のN)ステップS210に進む。
【0097】
ステップS210において制御部31は、歩行者が車両に乗車中であることを示す記憶領域から、歩行者が乗車している車両に搭載されたナビゲーション装置等の車載通信装置の装置IDの登録を解除する。
【0098】
ステップS211において制御部31は通信部38を介して行われる歩行者の移動体情報の送信について通常制御状態で行う。
【0099】
ステップS212において制御部31は、乗降判定の閾値(第2の所定範囲)を第1の所定範囲に変更する。
【0100】
まとめると、本実施形態において携帯電話50の制御部31は歩行者が車両に乗車中であると登録されていないときにおける歩行者の乗降判定(乗車判定)については第1の所定範囲を基準として乗降判定(乗車判定)を行うが、歩行者が車両に乗車中であると登録されているときにおける歩行者の乗降判定(降車判定)については第2の所定範囲を基準として乗降判定(降車判定)を行う。また、歩行者が車両に乗車中であると登録されているときは歩行者の移動体情報の送信について特別制御状態で行う。
【0101】
本実施形態によれば、車両に乗車していない(車両が登録されていない)歩行者が車両に乗車したか否かを判定する際に判定の基準となる第1の所定範囲よりも、車両に乗車している(車両が登録されている)歩行者が車両に乗車しているか否か(車両から降車したか否か)を判定する際に判定の基準となる第2の所定範囲のほうが広くなるように設定されているので、歩行者の現在位置及び/又は車両の現在位置の検出精度が低下したときに歩行者が車両から降車していないにも関わらず降車した(乗車していない)と判定されることがない。これにより、歩行者の移動体情報の送信について通常制御状態で送信される場合と特別制御状態で送信される場合とが頻繁に入れ替わることによって当該歩行者の移動体情報を受信した他の通信装置が行う安全運転支援を妨げることがない。
[その他の実施形態]
上述の第1実施形態のステップS103及び第2実施形態のステップS203において制御部1は歩行者の現在位置と自車(車両)の現在位置と第1の所定範囲に基づいて、歩行者の現在位置が自車(車両)の現在位置を中心とする第1の所定範囲に存在するときは、歩行者が自車(車両)に乗車していると判定することとしているが、歩行者の現在位置が自車(車両)の現在位置を中心とする第1の所定範囲に所定時間継続して(複数回)存在しているときに歩行者が自車(車両)に乗車していると判定することとしてもよい。
【0102】
これにより、単に歩行者が自車(車両)の側を通り過ぎた際に自車(車両)に乗車したものと判定されることを防ぐことができる。
【0103】
また、上記実施形態では歩行者が車両に乗車したときに、移動通信端末による歩行者の移動体情報の送信について特別制御状態で行うように車載通信装置の制御部1が指示し、又は移動通信端末の制御部31が通信部38を介して行なう歩行者の移動体情報の送信について、特別制御状態で行なうこととしているが、車載通信装置による車両の移動体情報の送信について特別制御状態で行うものであってもよい。
【0104】
すなわち、歩行者が車両に乗車したときに、車載通信装置による車両の移動体情報の送信について特別制御状態で行うように移動通信端末の制御部31が指示し、又は車載通信装置の制御部1が通信部8を介して行なう車両の移動体情報の送信について、特別制御状態で行なうこととしてもよい。
【0105】
歩行者が車両から降車したときについても同様であり、歩行者が車両に乗車したときに車両の移動体情報の送信について特別制御状態で行うこととする場合には、歩行者が車両から降車したときには車両の移動体情報の送信について通常制御状態で行う(通常制御状態に戻す)こととする。
【0106】
なお、歩行者が車両に乗車しているときに、車両の移動体情報の送信について特別制御状態にし、歩行者の移動体情報の送信について通常制御状態とする場合に、当該歩行者の移動体情報に移動種別を示す情報が含まれているときは、移動種別を車両或いは乗車中の歩行者等に変更することとしてもよい。
【0107】
なお、上記実施形態においては、現在位置を検出する現在位置検出部4や表示部2などの構成をナビゲーション装置20が備える構成として説明を行なったが、これに限ることはなく、例えば、ナビゲーション装置20が搭載された車両に搭載された現在位置検出部4を備える通信装置と無線又は有線通信を行うことで現在位置を取得してもよいし、同様に、表示部2を備える通信装置と無線又は有線通信を介して表示指示を行うことで表示部2に画像が表示されてもよい(携帯電話50についても同様である)。
【0108】
また、上記実施例では、通信部8が他の通信装置(携帯電話50などの移動通信端末)などと無線通信(移動体情報の送受信)を行なう場合を記載したが、例えば、第3の通信装置が他の通信装置から歩行者の移動体情報を受信し、第3の通信装置から無線又は有線通信を介して通信部8が歩行者の移動体情報を受信してもよい。送信についても同様に通信部8から無線又は有線通信を介して第3の通信装置へ自車の移動体情報を送信し、第3の通信装置から他の通信装置へ自車の移動体情報が送信されてもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、第1の所定範囲として、自車(歩行者)の現在位置を中心とする円範囲(図3参照)を例示し、第2の所定範囲として、第1の所定範囲(円)より半径が大きい、自車(歩行者)の現在位置を中心とする円範囲(図4参照)を例示したが、第1及び第2の所定範囲は、これに限らず、円以外の範囲であってもよいし、自車(歩行者)の現在位置を中心としていなくてもよい(例えば、自車の現在位置から自車の進行方向の後方向きに所定距離離れた位置を中心としてもよい)。
【0110】
さらに、実施形態1において乗車中であると判定され、歩行者の移動体情報の送信について特別制御状態で行なっている移動通信端末において、特別制御状態で行なってから所定時間以上経過しても、ナビゲーション装置20から歩行者の移動体情報の送信について通常制御状態で行なうよう指示がない場合、歩行者の移動体情報の送信について通常制御状態で行なってもよい。
【0111】
また、ステップS102又はステップS202の後に、取得した他の移動体(歩行者又は車両)の移動体情報に含まれるID(端末ID又は装置ID)が登録(記憶)されているか否かを判定し、登録(記憶)されていなければ(すなわち、乗車中でなければ)、ステップS103〜ステップS106(ステップS203〜ステップS206)の処理を行い、登録(記憶)されていれば(すなわち、乗車中であれば)、ステップS109〜S112(ステップS209〜S212)の処理を行なうこととしてもよい。
【0112】
なお、上記実施形態では、移動体通信装置の例示として自動車に搭載されたナビゲーション装置(車載通信装置)を例示したが、移動体通信装置は車両に備えられればナビゲーション装置に限定されない。
【0113】
なお、「車両に備えられる移動体通信装置」とは、車両に固定されるものに限ることはなく、車両から取り外して持ち出せる装置(例えばポータブルナビゲーション装置)であってもよい。この場合、例えば、車両のバッテリなどから電源供給(12V)を受けると、車両に備えられたと判定することができる。なお、車両に備えられたか否かは公知の種々の方法を用いることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、歩行者が車両に乗車しているか否かを判定する移動体通信装置、移動通信端末及び乗降判定方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0115】
1、31・・・制御部
2、32・・・表示部
3、33・・・操作部
4、34・・・現在位置検出部
5、35・・・速度検出部
6、36・・・地図情報記憶部
7、37・・・バッテリ
8、38・・・通信部
20・・・ナビゲーション装置
50・・・携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられ、
他の移動体の現在位置を示す情報を含む他の移動体の移動体情報を受信する通信部と、
前記他の移動体が歩行者であるときに、前記車両の現在位置を検出する現在位置検出部から取得した前記車両の現在位置に基づく第1の所定範囲と前記歩行者の現在位置とに基づいて前記歩行者が前記車両に乗車中であるか否かを判定する制御部と、を備えた移動体通信装置であって、
前記制御部は、前記車両の現在位置に基づき前記第1の所定範囲よりも広い第2の所定範囲と前記車両に乗車中であると判定した歩行者の現在位置とに基づいて該歩行者が前記車両から降車したか否かを判定することを特徴とする移動体通信装置。
【請求項2】
前記制御部は前記歩行者が前記車両に乗車中であると判定したときには、前記歩行者が所持する他の通信装置に対して前記歩行者の移動体情報の送信について特別制御状態で行なうように指示すること、又は、前記車両の移動体情報の送信について特別制御状態で行なうことを特徴とする請求項1に記載の移動体通信装置。
【請求項3】
歩行者に携行され、
他の移動体の現在位置を示す情報を含む他の移動体の移動体情報を受信する通信部と、
前記他の移動体が車両であるときに、前記歩行者の現在位置を検出する現在位置検出部から取得した前記歩行者の現在位置に基づく第1の所定範囲と前記車両の現在位置とに基づいて前記歩行者が前記車両に乗車中であるか否かを判定する制御部と、を備えた移動通信端末であって、
前記制御部は、前記歩行者の現在位置に基づき前記第1の所定範囲よりも広い第2の所定範囲と前記歩行者が乗車中であると判定した車両の現在位置とに基づいて前記歩行者が該車両から降車したか否かを判定することを特徴とする移動通信端末。
【請求項4】
前記制御部は前記歩行者が前記車両に乗車中であると判定したときには、前記歩行者の移動体情報の送信について特別制御状態で行なうこと、又は、前記車両に備えられた他の通信装置に対して前記車両の移動体情報の送信について特別制御状態で行うように指示することを特徴とする請求項3に記載の移動通信端末。
【請求項5】
車両に備えられた移動体通信装置が行う歩行者の車両への乗降判定方法であって、
前記車両の現在位置を取得するステップと、
他の移動体の現在位置を示す情報を含む他の移動体の移動体情報を受信するステップと、
前記他の移動体が歩行者であるか否かを判定するステップと、
前記他の移動体が歩行者であるときに、前記車両の現在位置に基づく第1の所定範囲と前記歩行者の現在位置とに基づいて前記歩行者が前記車両に乗車中であるか否かを判定するステップと、
前記車両の現在位置に基づき前記第1の所定範囲よりも広い第2の所定範囲と前記車両に乗車中であると判定した歩行者の現在位置とに基づいて該歩行者が前記車両から降車したか否かを判定するステップと、
を有することを特徴とする歩行者の車両への乗降判定方法。
【請求項6】
歩行者に携行された移動通信端末が行う歩行者の車両への乗降判定方法であって、
前記歩行者の現在位置を取得するステップと、
他の移動体の現在位置を示す情報を含む他の移動体の移動体情報を受信するステップと、
前記他の移動体が車両であるか否かを判定するステップと、
前記他の移動体が車両であるときに、前記歩行者の現在位置に基づく第1の所定範囲と前記車両の現在位置とに基づいて前記歩行者が前記車両に乗車中であるか否かを判定するステップと、
前記歩行者の現在位置に基づき前記第1の所定範囲よりも広い第2の所定範囲と前記歩行者が乗車中であると判定した車両の現在位置とに基づいて前記歩行者が該車両から降車したか否かを判定するステップと、
を有することを特徴とする歩行者の車両への乗降判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−194627(P2012−194627A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56313(P2011−56313)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】