説明

移動式機械の遠隔監視方法およびその装置

【課題】 移動式機械の機体稼働情報を確実に得るとともに、通信コストの低減を図る。
【解決手段】 建設機械の機体コントローラシステム33より、衛星32を介して、ホストコンピュータシステム11と、このホストコンピュータシステム11に公衆回線21を介し接続したユーザのコンピュータシステム22とに、建設機械の機体稼働情報を送信し、ホストコンピュータシステム11およびユーザのコンピュータシステム22は、共通の機体稼働情報を蓄積する。機体コントローラシステム33は、ホストコンピュータシステム11からの送信要求信号により、ホストコンピュータシステム11が要求した送信間隔信号で建設機械の機体稼働情報を送信し、ホストコンピュータシステム11からの送信停止要求信号により機体稼働情報の送信を停止する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衛星を用いた移動式機械の遠隔監視方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】特許掲載3011256号公報には、管理部のホストコンピュータシステムからの送信要求信号があったときに、移動式作業機械の機体稼働情報をホストコンピュータシステムのみに送信し、その機体稼働情報を顧客に提供する移動式作業機械の管理システムが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、ホストコンピュータシステムからの送信要求信号があったときに、得られた移動式作業機械の機体稼働情報をホストコンピュータシステムのみに提供するシステムでは、ホストコンピュータ停電時等の動作していない時に機体稼働情報を提供できなくなる問題がある。
【0004】また、ホストコンピュータシステムからの送信要求信号があったときのみ送信するため、頻繁なデータ更新が必要なときには、ホストコンピュータシステムからの送信要求信号の通信が多くなり、通信コストが嵩む問題がある。
【0005】本発明は、このような点に鑑みなされたもので、移動式機械の機体稼働情報を確実に得るとともに、通信コストの低減を図ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された発明は、移動式機械の機体コントローラシステムより、衛星を介して、第1監視部のコンピュータシステムと、このコンピュータシステムに公衆回線を介し接続された第2監視部のコンピュータシステムとに、移動式機械の機体稼働情報を送信し、第1監視部のコンピュータシステムおよび第2監視部のコンピュータシステムは、共通の機体稼働情報を蓄積する移動式機械の遠隔監視方法であり、これにより、公衆回線を介し接続された第1監視部のコンピュータシステムおよび第2監視部のコンピュータシステムの少なくとも一方が、移動式機械の機体稼働情報を確実に蓄積する。
【0007】請求項2に記載された発明は、請求項1記載の移動式機械の遠隔監視方法における機体コントローラシステムが、第1監視部のコンピュータシステムからの送信要求信号により、要求された送信間隔信号で移動式機械の機体稼働情報を送信する方法であり、これにより、第1監視部のコンピュータシステムが機体稼働情報の頻繁なデータ更新を必要とするときでも、第1監視部のコンピュータシステムからの送信要求信号の通信が1度で済み、通信コストの低減を図れる。
【0008】請求項3に記載された発明は、請求項2記載の移動式機械の遠隔監視方法において、機体コントローラシステムが、第1監視部のコンピュータシステムからの送信停止要求信号により機体稼働情報の送信を停止する方法であり、これにより、第1監視部のコンピュータシステムが必要とする十分な機体稼働情報のデータ更新が得られる。
【0009】請求項4に記載された発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の移動式機械の遠隔監視方法において、第1監視部のコンピュータシステムと、第2監視部のコンピュータシステムが、相互に相手側からの要求により、自身に蓄積された機体稼働情報を公衆回線を介して相手側に配信する方法であり、これにより、第1監視部のコンピュータシステムおよび第2監視部のコンピュータシステムの一方が損なわれても、他方のコンピュータシステムの再構築が容易になる。
【0010】請求項5に記載された発明は、請求項1乃至4のいずれか記載の移動式機械の遠隔監視方法において、第1監視部および第2監視部の各コンピュータシステムの他に設けられた第3監視部のコンピュータシステムからの要求により、第1監視部のコンピュータシステムに蓄積された機体稼働情報を公衆回線を介して第3監視部のコンピュータシステムに提供する方法であり、これにより、第3監視部のコンピュータシステムは、第1監視部のコンピュータシステムに蓄積された機体稼働情報を必要に応じて随時利用する。
【0011】請求項6に記載された発明は、第1監視部のコンピュータシステムと、第1監視部のコンピュータシステムに公衆回線により接続された第2監視部のコンピュータシステムと、第1監視部のコンピュータシステムおよび第2監視部のコンピュータシステムと衛星を介して送受信可能であって第1監視部のコンピュータシステムからの送信要求信号から送信停止要求信号があるまでの間に要求された送信間隔信号で機体稼働情報を送信する移動式機械の機体コントローラシステムとを具備した移動式機械の遠隔監視装置であり、これにより、公衆回線を介し接続された第1監視部のコンピュータシステムおよび第2監視部のコンピュータシステムの少なくとも一方が、移動式機械の機体稼働情報を確実に蓄積し、さらに、移動式機械の機体コントローラシステムが、第1監視部のコンピュータシステムからの送信要求信号から送信停止要求信号があるまでの間に要求された送信間隔信号で機体稼働情報を送信するから、第1監視部のコンピュータシステムで機体稼働情報の頻繁なデータ更新が必要なときでも、第1監視部のコンピュータシステムからの送信要求信号の通信が1度で済み、通信コストの低減を図れるとともに、必要とする十分な機体稼働情報をデータ更新でき、また、第1監視部のコンピュータシステムと第2監視部のコンピュータシステムとが公衆回線により接続されたから、第1監視部のコンピュータシステムおよび第2監視部のコンピュータシステムの一方が損なわれても、他方のコンピュータシステムの再構築が容易になる。
【0012】請求項7に記載された発明は、請求項6記載の移動式機械の遠隔監視装置において、第1監視部のコンピュータシステムと公衆回線により接続された第3監視部のコンピュータシステムを具備した装置であり、これにより、移動式機械の機体コントローラシステムと直接データ通信できない第3監視部のコンピュータシステムも、第1監視部のコンピュータシステムに機体稼働情報の抽出要求をすることで、第1監視部のコンピュータシステムに蓄積された機体稼働情報を公衆回線を介して得られる。
【0013】請求項8に記載された発明は、請求項7記載の移動式機械の遠隔監視装置において、移動式機械の機体コントローラシステムが、建設機械の機体コントローラシステムであり、第1監視部のコンピュータシステムが、建設機械を製造する製造元のホストコンピュータシステムであり、第2監視部のコンピュータシステムが、建設機械を用いるユーザのコンピュータシステムであり、第3監視部のコンピュータシステムは、建設機械を販売する販売会社のコンピュータシステムであるとしたものであり、これにより、建設機械の機体稼働情報をホストコンピュータシステムとユーザのコンピュータシステムとに、要求された時間間隔で同時に送信することで、データの二重化を構築し、ユーザのコンピュータシステムは、ホストコンピュータシステムにアクセスすることなく、送信されてきた機体稼働情報を受信して蓄積することが可能であるとともに、送信されてきた機体稼働情報から、必要な情報のみを抽出することも可能であり、また、ユーザのコンピュータシステムが故障し、蓄積した受信データが壊れた場合や、ユーザのコンピュータシステムを更新する場合などは、ホストコンピュータシステムが蓄積しているデータを一括して書き込むことで、ユーザのコンピュータシステムの再構築が容易となり、さらに、販売会社のコンピュータシステムは、ホストコンピュータシステムから、機体稼働情報を入手して、提供された機体稼働情報からオイル交換等の機体のメンテナンス時期等の把握に役立てる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図1R>1および図2を参照しながら説明する。
【0015】図1に示されるように、移動式機械としての例えば油圧ショベル、ブルドーザ等の建設機械を製造する製造元には、第1監視部のコンピュータシステムとしてのホストコンピュータシステム11が設置されている。
【0016】このホストコンピュータシステム11は、ホストコンピュータ12に、キーボード、タッチパネル等の入力部13と、カソードレイチューブ型表示装置(CRТ)、プリンタ等の出力部14と、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスク等のデータ記憶部15とが接続されている。
【0017】さらに、ホストコンピュータ12には、データの授受を制御する一方の通信コントローラ16および他方の通信コントローラ17を介して、公衆回線との一方の送受信機18および他方の送受信機19が接続されている。
【0018】また、ホストコンピュータシステム11には、電送複写機(ファクシミリ)、電子メール、ワールドワイドウェブ等の公衆回線21により、第2監視部のコンピュータシステムとしての建設機械を用いるユーザ(顧客1)のコンピュータシステム22が接続されている。
【0019】このコンピュータシステム22は、ユーザのコンピュータ23に、キーボード、タッチパネル等の入力部24と、カソードレイチューブ型表示装置(CRТ)、プリンタ等の出力部25と、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスク等のデータ記憶部26とが接続され、さらに、コンピュータ23には、データの授受を制御する通信コントローラ27を介して、公衆回線21との送受信機28が接続されている。
【0020】ホストコンピュータシステム11とユーザのコンピュータシステム22は、公衆回線21を介して基地局31に接続され、さらに、衛星32を用いた衛星通信により建設機械と双方向通信可能に設けられている。
【0021】建設機械は、ホストコンピュータシステム11およびユーザのコンピュータシステム22と衛星32を介して送受信可能であって、機体動作を制御するとともにホストコンピュータシステム11からの送信要求信号によって自身の機体稼働情報をホストコンピュータシステム11などに送信することも可能な機体コントローラシステム33を有する。
【0022】この機体コントローラシステム33は、コンピュータである機体コントローラ34に、機体作動部の位置センサ、油圧回路の圧力センサ、温度センサ、電気回路の各種スイッチ等の入力部35と、油圧回路を制御する電磁弁等の出力部36と、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスク等のデータ記憶部37とが接続され、さらに、機体コントローラ34には、データの授受を制御する通信コントローラ38を介して、衛星32との通信用の送受信機39が接続されている。
【0023】さらに、前記ホストコンピュータシステム11に、電送複写機(ファクシミリ)、電子メール、ワールドワイドウェブ等の公衆回線41により、第3監視部のコンピュータシステムとしての建設機械を販売する販売会社(顧客2)のコンピュータシステム42が接続されている。
【0024】このコンピュータシステム42は、販売会社のコンピュータ43に、キーボード、タッチパネル等の入力部44と、カソードレイチューブ型表示装置(CRТ)、プリンタ等の出力部45と、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスク等のデータ記憶部46とが接続され、さらに、コンピュータ43には、データの授受を制御する通信コントローラ47を介して、公衆回線41との送受信機48が接続されている。
【0025】次に、この実施の形態の作用を説明する。
【0026】図2に示されるように、機体コントローラシステム33は、建設機械の機体に装着されている各種のセンサ、スイッチ等の入力部35から、機体の状態(エンジン回転速度および冷却水温、油圧回路の油温、油圧ポンプのポンプ吐出圧力、ポンプ吐出流量制御手段の作動量、燃料残量、エンジンキースイッチのオン時間等)を読み込む入力処理をし(ステップ1)、機体稼働情報を演算し、その演算された各種の機体稼働情報をデータ記憶部37に書き込み蓄積する(ステップ2)。
【0027】次に機体コントローラシステム33は、ホストコンピュータシステム11からの送信要求信号を受信したか否かを判断する(ステップ3)。
【0028】ホストコンピュータシステム11は、衛星32を通じて機体コントローラシステム33に対して、送信要求信号とともに送信間隔信号を、また送信終了時は送信停止要求信号の各信号をそれぞれ送る。
【0029】機体コントローラシステム33が、ホストコンピュータシステム11からの送信要求信号を受信した場合は、送信要求フラッグをオンにし、また送信間隔信号から送信タイミングを記憶する(ステップ4)。
【0030】このステップ4を経た後、または送信要求信号を受信しないときは、ホストコンピュータシステム11からの送信停止要求信号を受信したか否かを判断する(ステップ5)。
【0031】その送信停止要求信号を受信した場合は、送信要求フラッグをオフにする(ステップ6)。
【0032】このステップ6を経た後、または送信停止要求信号を受信しないときは、送信要求フラッグがオンか否かを判断し(ステップ7)、送信要求フラッグがオンのときは、送信タイミングか否かを判断し(ステップ8)、要求された送信タイミングで、データ記憶部37より機体稼働情報を読み出して、その機体稼働情報を通信衛星32を通じて、ホストコンピュータシステム11およびユーザのコンピュータシステム22に送信する(ステップ9)。
【0033】また、ステップ7で送信要求フラッグがオフのとき、またはステップ8で送信タイミングでないときは、機体稼働情報の読み出しと送信をすることなく、ステップ1に戻り、新たな入力処理で、新たな機体稼働情報を演算して、データ記憶部37に書き込む。
【0034】そして、ホストコンピュータシステム11から機体コントローラシステム33に、通信衛星32を通じて送信要求信号が送信されると、次にホストコンピュータシステム11から送信停止要求信号が出されるまで、機体コントローラシステム33は、要求された送信間隔で、自動的に建設機械の最新の機体稼働情報を送信し続ける。これにより、ホストコンピュータシステム11での頻繁なデータ更新が必要なときにも、ホストコンピュータシステム11からの送信要求信号の送信は1度で済み、通信コストが低く抑えられる。
【0035】このように、建設機械は、ホストコンピュータシステム11からの送信要求信号により、ホストコンピュータシステム11から要求された送信間隔信号で、建設機械に搭載されている機体コントローラシステム33のデータ記憶部37から最新の機体稼働情報を、衛星32を介しホストコンピュータシステム11およびユーザのコンピュータシステム22に送信する。
【0036】すなわち、各種機体稼働情報をホストコンピュータシステム11とユーザのコンピュータシステム22とに、要求された時間間隔で同時に送信することで、データの二重化を構築することができ、ホストコンピュータシステム11およびユーザのコンピュータシステム22は、受信した各種の機体稼働情報をそれぞれ蓄積することによって、次のような種々の効果を有する。
【0037】ユーザのコンピュータシステム22は、ホストコンピュータシステム11にアクセスすることなく、送信されてきた機体稼働情報を受信して蓄積でき、送信されてきた機体稼働情報から、必要な情報のみを抽出することもできる。
【0038】また、相互に補完し合うことができ、ユーザのコンピュータシステム22が故障し、蓄積した受信データが壊れた場合や、ユーザのコンピュータシステム22を更新する場合などに、ホストコンピュータシステム11が蓄積しているデータを一括して書き込むことで、ホストコンピュータシステム11から機体稼働情報を入手して、ユーザのコンピュータシステム22を容易に再構築できる。
【0039】逆に、ホストコンピュータシステム11が停電等で動作できない問題が生じた場合は、ユーザのコンピュータシステム22により機体稼働情報を蓄積し、この機体稼働情報を、回復した後のホストコンピュータシステム11が取込むことで、上記問題に容易に対処できる。
【0040】さらに、ホストコンピュータシステム11は、ユーザのコンピュータシステム22から要求があった場合、その蓄積されたデータを公衆回線21を介してユーザのコンピュータシステム22に配信できるだけでなく、販売会社のコンピュータシステム42から機体稼働情報の抽出要求があった場合も、同様に、蓄えられている機体稼働情報を公衆回線41を介して提供でき、一方、販売会社のコンピュータシステム42は、ホストコンピュータシステム11から、機体稼働情報を容易に入手でき、提供された機体稼働情報からオイル交換等の機体のメンテナンス時期の把握に役立てることができる。
【0041】このように、衛星32を介して送受信が可能な建設機械において、ホストコンピュータシステム11からの送信要求信号と送信間隔信号によって、建設機械は各種の機体稼働情報をホストコンピュータシステム11を含む2個以上のコンピュータシステムに要求された送信間隔信号で送信するシステムと、ホストコンピュータシステム11からの送信中止指令により、建設機械は各種の機体稼働情報の送信を停止するシステムと、ホストコンピュータシステム11に蓄積された各種機体稼働情報をユーザのコンピュータシステム22からの要求により、公衆回線(ファクシミリ、電子メール、ワールドワイドウェブ等)21を介して配信するシステムと、ホストコンピュータシステム11に蓄積された各種機体稼働情報を販売会社のコンピュータシステム42からの要求により、公衆回線(ファクシミリ、電子メール、ワールドワイドウェブ等)41を介して提供するシステムとを備えている。
【0042】次に、この実施の形態の特徴を列記する。
【0043】建設機械の機体コントローラシステム33より、衛星32を介して、ホストコンピュータシステム11と、このコンピュータシステム11に公衆回線21を介し接続されたユーザのコンピュータシステム22とに、建設機械の機体稼働情報を送信するから、ホストコンピュータシステム11およびユーザのコンピュータシステム22の少なくとも一方が、共通の機体稼働情報を確実に蓄積でき、信頼性を向上できる。
【0044】建設機械の機体コントローラシステム33は、ホストコンピュータシステム11からの送信要求信号により、建設機械の機体稼働情報を要求された送信間隔で送信するから、建設機械の機体稼働情報の頻繁なデータ更新が必要なときでも、ホストコンピュータシステム11からの送信要求信号の通信が1度で済み、通信コストの低減を図れる。
【0045】機体コントローラシステム33は、ホストコンピュータシステム11からの送信停止要求信号により機体稼働情報の送信を停止するから、ホストコンピュータシステム11で必要とする十分な機体稼働情報のデータ更新が得られる。
【0046】ホストコンピュータシステム11とユーザのコンピュータシステム22が、相互に相手側からの要求により、自身に蓄積された機体稼働情報を公衆回線21を介して相手側に配信するから、ホストコンピュータシステム11およびユーザのコンピュータシステム22の一方が損なわれても、他方のコンピュータシステムの再構築が容易になる。
【0047】ホストコンピュータシステム11およびユーザのコンピュータシステム22の他に設けられた販売会社のコンピュータシステム42からの要求により、ホストコンピュータシステム11に蓄積された機体稼働情報を公衆回線41を介して販売会社のコンピュータシステム42に提供でき、販売会社のコンピュータシステム42は、公衆回線41を経て得た機体稼働情報より建設機械のメンテナンス時期等を適切に把握できる。
【0048】なお、以上の説明では、移動式機械を油圧ショベルなどの建設機械としたが、例えば乗用車や、船舶等にも適用できる。
【0049】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、移動式機械の機体コントローラシステムより、衛星を介して、第1監視部のコンピュータシステムと、このコンピュータシステムに公衆回線を介し接続された第2監視部のコンピュータシステムとに、移動式機械の機体稼働情報を送信するから、第1監視部のコンピュータシステムおよび第2監視部のコンピュータシステムの少なくとも一方により、移動式機械の機体稼働情報を確実に蓄積でき、信頼性を向上できる。
【0050】請求項2記載の発明によれば、移動式機械の機体コントローラシステムが、第1監視部のコンピュータシステムからの送信要求信号により、要求された送信間隔信号で移動式機械の機体稼働情報を送信するから、第1監視部のコンピュータシステムが機体稼働情報の頻繁なデータ更新を必要とするときでも、第1監視部のコンピュータシステムからの送信要求信号の通信が1度で済み、通信コストの低減を図れる。
【0051】請求項3記載の発明によれば、機体コントローラシステムが、第1監視部のコンピュータシステムからの送信停止要求信号により機体稼働情報の送信を停止するから、第1監視部のコンピュータシステムが必要とする十分な機体稼働情報のデータ更新が得られる。
【0052】請求項4記載の発明によれば、第1監視部のコンピュータシステムと、第2監視部のコンピュータシステムが、相互に相手側からの要求により、自身に蓄積された機体稼働情報を公衆回線を介して相手側に配信するから、第1監視部のコンピュータシステムおよび第2監視部のコンピュータシステムの一方が損なわれても、他方のコンピュータシステムの再構築を容易にできる。
【0053】請求項5記載の発明によれば、第3監視部のコンピュータシステムからの要求により、第1監視部のコンピュータシステムに蓄積された機体稼働情報を公衆回線を介して第3監視部のコンピュータシステムに提供するから、第3監視部のコンピュータシステムは、第1監視部のコンピュータシステムに蓄積された機体稼働情報を必要に応じて随時利用できる。
【0054】請求項6記載の発明によれば、公衆回線を介し接続された第1監視部のコンピュータシステムおよび第2監視部のコンピュータシステムの少なくとも一方が、移動式機械の機体稼働情報を確実に蓄積でき、さらに、移動式機械の機体コントローラシステムが、第1監視部のコンピュータシステムからの送信要求信号から送信停止要求信号があるまでの間に要求された送信間隔信号で機体稼働情報を送信するから、第1監視部のコンピュータシステムで機体稼働情報の頻繁なデータ更新が必要なときでも、第1監視部のコンピュータシステムからの送信要求信号の通信が1度で済み、通信コストの低減を図れるとともに、必要とする十分な機体稼働情報をデータ更新でき、また、第1監視部のコンピュータシステムと第2監視部のコンピュータシステムとが公衆回線により接続されたから、第1監視部のコンピュータシステムおよび第2監視部のコンピュータシステムの一方が損なわれても、他方のコンピュータシステムを容易に再構築できる移動式機械の遠隔監視装置を提供できる。
【0055】請求項7記載の発明によれば、第1監視部のコンピュータシステムと第3監視部のコンピュータシステムが公衆回線により接続されたから、移動式機械の機体コントローラシステムと直接データ通信できない第3監視部のコンピュータシステムも、第1監視部のコンピュータシステムに機体稼働情報の抽出要求をすることで、第1監視部のコンピュータシステムに蓄積された機体稼働情報を公衆回線を介して利用できる。
【0056】請求項8記載の発明によれば、建設機械の機体稼働情報をホストコンピュータシステムとユーザのコンピュータシステムとに、要求された時間間隔で同時に送信することで、データの二重化を構築することができ、ユーザのコンピュータシステムは、ホストコンピュータシステムにアクセスすることなく、送信されてきた機体稼働情報を受信して蓄積できるとともに、送信されてきた機体稼働情報から、必要な情報のみを抽出することもできる。また、ユーザのコンピュータシステムが故障し、蓄積した受信データが壊れた場合や、ユーザのコンピュータシステムを更新する場合などは、ホストコンピュータシステムが蓄積しているデータを一括して書き込むことで、ユーザのコンピュータシステムを容易に再構築できる。さらに、販売会社のコンピュータシステムは、ホストコンピュータシステムから、機体稼働情報を容易に入手でき、提供された機体稼働情報からオイル交換等の機体のメンテナンス時期等の把握に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】移動式機械の遠隔監視方法およびその装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】同上監視方法における機体コントローラシステムの制御手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11 第1監視部のコンピュータシステムとしてのホストコンピュータシステム
21 公衆回線
22 第2監視部としてのユーザのコンピュータシステム
32 衛星
33 移動式機械としての建設機械の機体コントローラシステム
41 公衆回線
42 第3監視部としての販売会社のコンピュータシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】 移動式機械の機体コントローラシステムより、衛星を介して、第1監視部のコンピュータシステムと、このコンピュータシステムに公衆回線を介し接続された第2監視部のコンピュータシステムとに、移動式機械の機体稼働情報を送信し、第1監視部のコンピュータシステムおよび第2監視部のコンピュータシステムは、共通の機体稼働情報を蓄積することを特徴とする移動式機械の遠隔監視方法。
【請求項2】 機体コントローラシステムは、第1監視部のコンピュータシステムからの送信要求信号により、要求された送信間隔信号で移動式機械の機体稼働情報を送信することを特徴とする請求項1記載の移動式機械の遠隔監視方法。
【請求項3】 機体コントローラシステムは、第1監視部のコンピュータシステムからの送信停止要求信号により機体稼働情報の送信を停止することを特徴とする請求項2記載の移動式機械の遠隔監視方法。
【請求項4】 第1監視部のコンピュータシステムと、第2監視部のコンピュータシステムは、相互に相手側からの要求により、自身に蓄積された機体稼働情報を公衆回線を介して相手側に配信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の移動式機械の遠隔監視方法。
【請求項5】 第1監視部および第2監視部の各コンピュータシステムの他に設けられた第3監視部のコンピュータシステムからの要求により、第1監視部のコンピュータシステムに蓄積された機体稼働情報を公衆回線を介して第3監視部のコンピュータシステムに提供することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の移動式機械の遠隔監視方法。
【請求項6】 第1監視部のコンピュータシステムと、第1監視部のコンピュータシステムに公衆回線により接続された第2監視部のコンピュータシステムと、第1監視部のコンピュータシステムおよび第2監視部のコンピュータシステムと衛星を介して送受信可能であって第1監視部のコンピュータシステムからの送信要求信号から送信停止要求信号があるまでの間に要求された送信間隔信号で機体稼働情報を送信する移動式機械の機体コントローラシステムとを具備したことを特徴とする移動式機械の遠隔監視装置。
【請求項7】 第1監視部のコンピュータシステムと公衆回線により接続された第3監視部のコンピュータシステムを具備したことを特徴とする請求項6記載の移動式機械の遠隔監視装置。
【請求項8】 移動式機械の機体コントローラシステムは、建設機械の機体コントローラシステムであり、第1監視部のコンピュータシステムは、建設機械を製造する製造元のホストコンピュータシステムであり、第2監視部のコンピュータシステムは、建設機械を用いるユーザのコンピュータシステムであり、第3監視部のコンピュータシステムは、建設機械を販売する販売会社のコンピュータシステムであることを特徴とする請求項7記載の移動式機械の遠隔監視装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2002−167809(P2002−167809A)
【公開日】平成14年6月11日(2002.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−366886(P2000−366886)
【出願日】平成12年12月1日(2000.12.1)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】