説明

移動情報検出装置

【課題】無線ICタグを取り付けた移動体を1つのアンテナおよびリーダ装置で検知して、移動体の特定と同時に、進行方向および移動速度をも検出できる移動情報検出システムを提供する。
【解決手段】移動体の移動方向に所定距離を隔てて2個の無線ICタグを取り付ける。移動体の移動経路には、移動体の2個の無線ICタグを通過した順番に個別に検知できるアンテナ303が配置される。移動体がアンテナ303を通過する際の2個の無線ICタグの読み取り順序から移動体の移動方向が判別される。また、2個の無線ICタグの読み取り時間差で2個の無線ICタグの配置間隔を除することによって、アンテナ303を通過する際の移動体の移動速度が求められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動する移動体を検知して識別すると同時に、検知時点での移動体の移動速度を検出する移動情報検出装置、詳しくは、無線識別子を用いて移動体を特定する識別情報を取得するのみならず、移動体の移動方向や移動速度をも検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバーコードとは桁違いの情報量を発信可能に保持する無線ICタグが実用化されている。無線ICタグは、半導体メモリ、アンテナ、無線通信回路を一体化した小型の素子であって、無線リーダ装置が送信する電波を受信して電源とし、無線リーダ装置の要求に応じて、半導体メモリに記録された内容を無線リーダ装置に返信する。
【0003】
無線ICタグに関しては、ISO15961規格によって無線リーダ装置とホストコンピュータの通信が規定され、ISO15962規格によって無線リーダ装置と無線ICタグとのデータ通信が規定される。また、ISO18000規格等によって無線通信方式が規定され、ISO15963規格によって無線ICタグのID仕様が規定されている。
【0004】
従来の無線ICタグは、商品パッケージに貼り付けたり、ペットの体内に埋め込んだり、自動車やIDカードに組み込んだり、工場の仕掛品や組立台車に貼り付けたりして利用されている。いずれにせよ、これらの移動体の移動経路に配置した無線リーダ装置によって、非接触、無給電に個別のID情報を検知して、瞬時に移動体を特定する識別情報を検出できる。
【0005】
例えば、電子事務機の生産に採用されるセル生産方式では、製品仕様や工程情報を書き込んで保持させた無線ICタグを仕掛品に貼り付けて工程管理を行うシステムが実用化されている。このような工程管理を行う無線リーダ装置は、各工程の入り口と出口に配置されて、仕掛品の移動方向に距離を持たせた所定の範囲に位置する無線ICタグを順に呼び出して、識別情報の読み取りや、終了した工程ごとの書き込みを行う。
【0006】
特許文献1には、無線ICタグを移動体(自転車)に取り付け、無線リーダ装置を移動体の移動経路に配置する位置検出システムが示される。ここでは、無線リーダ装置が無線ICタグから識別情報を読み取ると、ホストコンピュータが移動体を特定し、その無線リーダ装置の設置場所データに基づいて特定された移動体の位置を出力する。
【0007】
特許文献2には、無線ICタグを移動体(携帯電話)に取り付け、無線リーダ装置を地域に分散配置した位置検出システムが示される。ここでは、無線リーダ装置が、読み取った識別情報と、読み取った無線リーダ装置の設置場所データと、無線リーダ装置による検出時刻データ(タイムスタンプ)とを関連付けた送信データをホストコンピュータに送信する。ホストコンピュータは、複数の無線リーダ装置から送信された送信データを比較し、検出時刻データが最新のもの選択し、その無線リーダ装置の設置場所データを特定した移動体の現在位置として出力する。
【0008】
特許文献3には、無線ICタグを移動体(実験動物)に取り付け、移動体の移動範囲に複数のXアンテナと複数のYアンテナとを格子状に配置して無線リーダ装置に接続した位置検出システムが示される。ここでは、無線リーダ装置が無線ICタグの読取出力が最大となるXアンテナとYアンテナとを選択して移動体の座標位置を特定し、読み取った識別情報とXY座標位置とを組み合わせたデータを出力する。
【0009】
特許文献4には、特許文献2とは逆に、個別の配置位置情報を記録させた多数の無線ICタグを移動体の移動範囲の地面に格子状に配置し、移動体(歩行者)に無線リーダ装置を装着した位置検出システムが示される。ここでは、無線リーダ装置によって各位置で地面の無線ICタグを1個以上読み取って、無線ICタグに記録された位置情報と無線リーダ装置の識別情報とをホストコンピュータに送信する。ホストコンピュータでは、これらの情報を用いて、移動体の移動方向、移動姿勢(向き)と言った移動形態に関するデータを出力する。
【0010】
【特許文献1】特開2004−286668号公報
【特許文献2】特開2004−312289号公報
【特許文献3】特開2002−058648号公報
【特許文献4】特開2001−183455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
無線ICタグを用いた従来の位置検出では、無線ICタグから読み取った識別情報と、無線リーダ装置自身の識別情報とを組み合わせることにより、移動体の現在位置や移動経路を特定できる。しかし、移動体の移動速度や移動方向と言った追加的な情報は得られない。
【0012】
移動速度を求めるためには、速度検出機構を別途配置して位置情報の検出処理とは別に回路制御や速度検出処理を行う必要がある。移動方向を求めるためには、移動体に重力センサやジャイロセンサを設けて位置情報の検出処理とは別に回路制御や移動姿勢検出処理を行う必要がある。
【0013】
ところで、移動体の移動経路に複数の無線リーダ装置が配置されている場合、隣接する2つの無線リーダ装置による検出時刻の順序から移動方向を識別し、また、検出時刻の差から移動速度を求めることも不可能ではない。
【0014】
しかし、この場合、2つの無線リーダ装置の間隔における平均速度と出口の最終的な移動方向とが判別されるに止まる。その結果、無線ICタグから最初に識別情報を読み取って移動体を特定した位置とは大きくかけ離れた位置の移動速度や移動方向が最初の無線リーダ装置における移動速度や移動方向として記録されてしまう。
【0015】
ここで、無線リーダ装置の設置間隔を狭くすれば、移動速度や移動方向の誤差を少なくできるが、比較的に高価で大型の無線リーダ装置を移動経路に多数配置することは得策とは言えない。多数のアンテナを床面に配置すると、見栄えが悪く、アンテナの断線機会が増えるし、移動体の円滑な移動の妨げとなる可能性もある。
【0016】
本発明は、無線リーダ装置で無線ICタグから識別情報を読み取ると同時に、識別情報からは判断できない移動速度、移動方向と言った追加的な情報を併せて検出できる移動情報検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の移動情報検出装置は、移動体に取り付けた複数の無線識別子を検知する移動情報検出装置である。そして、前記移動体の移動経路に配置されて前記複数の無線識別子を通過する順に検知可能なアンテナ手段と、前記アンテナ手段を通過する前記無線識別子の識別情報を前記アンテナ手段を通じて通過順に取得する読取手段と、前記識別情報に基づいて前記移動体を識別する移動体識別手段と、前記識別情報の取得時期を検知する取得時期検知手段と、前記無線識別子間の距離と前記取得時期とを用いて前記移動体が前記アンテナ手段を通過する際の移動速度を演算する速度演算手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の移動情報検出装置では、アンテナ手段や読取手段に比較して格段に小型で安価な無線識別子を複数配置して、2つの無線識別子の間隔における平均速度を演算する。2つのアンテナ手段の間隔よりも各段に狭い無線識別子の配置間隔の分解能で、アンテナ手段のピンポイントにおける移動速度や移動方向と言った追加情報を自ら形成する。
【0019】
複数の無線識別子は、識別情報によって相互に関連付けられており、移動体識別手段は、識別情報によって1つの移動体を特定する。従って、複数の移動体がアンテナ手段を通過した場合でも、異なる移動体の無線識別子を混同しないで、移動体ごとに無線識別子の通過時期(識別情報の取得時期)を検知可能である。識別情報は、移動体の特定の他、アンテナ手段の配置位置を用いた移動体の時間的、空間的な位置情報や移動体の移動経路等の検出を可能にする。
【0020】
読取手段が移動体の無線識別子と無線通信して識別情報を読み取ると、移動体識別手段が識別情報に基づいて移動体を識別し、個別に読み取られた無線識別子が同じ移動体に属することを識別する。これにより、複数の移動体が並行してアンテナ手段を通過しても、速度演算手段は、正確に識別情報の取得時刻を選択して、移動体ごとに移動速度を演算できる。
【0021】
速度演算手段は、同一の移動体に取り付けた無線識別子を識別して識別情報の取得時期の時間間隔を求め、無線識別子の配置間隔を取得時期の時間間隔で除して移動速度を求める。無線識別子の配置間隔は、識別情報の中に書き込まれていてもよく、読取手段側に予め準備したデータを識別情報に基づいて検索して求めてもよい。また、通信可能な別の装置(例えばサーバ装置)に準備しておき、必要に応じて要求してデータを受信する等、種々の方法で獲得させればよい。
【0022】
これにより、移動体が1つのアンテナ手段を通り過ぎる際の移動情報を、次のアンテナ手段での無線識別子の検知を待つことなく、そのアンテナ手段の位置における移動速度として出力できる。言い換えれば、一般的なアンテナ手段の配置間隔に比較して格段に短い移動体の長さ以下の範囲で移動速度を検出するので、読み取った識別情報とともに移動速度情報を遅滞なく送信できる。
【0023】
そして、読取手段に比較して格段に小型で安価な無線識別子の追加だけで、識別情報の検知と発信とに要する既存の演算装置や通信回路をそのまま用いて、移動体を特定する情報(無線識別子の識別情報)と、検知した位置の情報(読取手段の識別情報)と、移動速度とを同時かつリアルタイムに送信できる。従って、位置検出機構、速度センサ、ジャイロ、検知回路、検知出力の評価処理装置等の追加的な構成を必ずしも要しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の移動情報検出装置の一実施形態である移動情報検出装置について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の移動情報検出装置は、以下に説明する移動情報検出装置の限定的な構成には限定されない。被測定物に固定された複数の識別素子を検知する限りにおいて、移動情報検出装置の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実現可能である。
【0025】
本実施形態は、移動体を組立台車として、電子機器の組立工程での応用例を説明している。しかし、本発明の移動情報検出装置は、移動体として、自動車、自転車、飛行機、船舶、鉄道車両、牛馬等、移動方向に距離を隔てて無線ICタグを装着可能な限りにおいて、種々の移動体の移動速度検出に利用可能である。
【0026】
例えば、道路に沿って多数の速度測定点を配置し、速度測定点を通過する自動車の通過時刻と通過速度とを速度測定点ごとに無線ICタグに追加記録して、事業所で記録を一括読み取りして運行管理するシステムに応用できる。
【0027】
なお、特許文献1〜4に示される識別素子、読取装置、識別情報処理システム等の構造、動作原理、製造方法、運転条件等については、本発明の趣旨と隔たりがあるので、一部図示を省略して詳細な説明も省略する。
【0028】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の移動情報検出システムの全体の構成を示すブロック図、図2はID情報を持つ識別子の取り付け状態の説明図である。図3は読取装置の機能を説明するブロック図、図4はリーダ装置におけるデータ処理のフローチャートである。図5は入り口と出口とにアンテナを設置した工程の説明図、図6は工程の入り口と出口とにおける識別子の検知の説明図である。図7は識別子の検知順序に基づく進行方向の特定処理の説明図、図8は識別子の検知の時間差に基づく移動速度の演算処理の説明図である。
【0029】
図1に示すように、無線ICタグであるIDタグ302は、移動体である組立台車301に複数個が固定されている。アンテナ303は、IDタグ302を検出するために組立台車301の移動経路に配置されている。アンテナ303ごとに設けられたリーダ装置304は、アンテナ303を制御してIDタグ302と無線通信する。
【0030】
リーダ装置304は、ネットワークを介してコントローラ305に接続している。コントローラ305は、複数のリーダ装置304が取得した各種情報を用いて必要な演算やデータ作成を行って、システム全体を制御する。コントローラ305に接続されたサーバ306は、コントローラ305から得られた移動情報を含む組立台車301の検出情報から、各工程の作業時間を把握するための機能を備えている。なお、図1では、接続されたコントローラ305は一台であるが、サーバ306は、複数のコントローラ305からの検出情報を格納することができる。
【0031】
なお、検出時刻は、末端のリーダ装置304には限らず、上流のコントローラ305、サーバ306のいずれかで付与し、何れの過程で付与しても良い。上流過程であるサーバ306側で付与する場合、時刻の管理は一元化されているが、それぞれのリーダ装置304から検出されたことを示すイベントが上がってくるまでの時間分だけ遅延が生じる。
【0032】
また、ここでは、便宜上、機能毎に装置を分けているが、例えばコントローラ305とリーダ装置304との一体化など、複数の機能を統合した装置の組み合わせによってシステムを構成しても構わない。
【0033】
図2に示すように、組立台車301には、ID情報を持つ識別子である2個のIDタグ302a、302b(図1:302)が、組立台車301の進行方向に一定の間隔を隔てて固定されている。組立台車301は、被測定物となる移動体である。本実施形態では、電子機器のセル生産の工程を想定しており、組立台車301は、電子機器の製品組立台車とする。
【0034】
電子機器の組立作業を行っている作業者は、この組立台車301上で製品を組立、自身の作業工程が終了すると次の工程へと手で動かすものとする。図の矢印は組立台車301の進行方向を示している。
【0035】
IDタグ302a、302bは、電磁誘導を利用した給電と非接触の交信とを行うRF−IDタグを想定している。第1実施形態では、被測定物の組立台車301に対して2枚のRF−IDタグが取り付けてある。2枚のIDタグ302a、302bに付与されたユニークIDのうち、割り当てのために使用されているID情報は、それぞれ重ならないように選択されている。IDタグ302aは“1”、302bは“2”の各ID情報を持っているものとする。
【0036】
アンテナ303は、組立台車301に取り付けられたIDタグ302a、302bのID情報を読み取るための磁界を発生させる。組立台車301の識別情報、組立中の電子機器の工程情報のみならず、位置、速度および進行方向をも特定すべく、アンテナ303は、床に敷設され、固定されている。
【0037】
IDタグの検知に用いられる一般的なアンテナは、広い検出エリアを持つ。しかし、本実施形態のアンテナ303の検出幅は、被測定物である組立台車301の位置を高い精度で検出する目的を考慮して組立台車301よりも短く、IDタグ302a、302bを通過した順序で1つずつ検知できるように定めてある。ただし、組立台車301の通過時に交信して、取り付けられたIDタグ302a、302bの読み取りが十分できるだけの長さは確保している。
【0038】
また、読み取りの失敗がないように、アンテナ303は、組立台車301の通過幅よりも長くしている。リーダ装置304は、アンテナ303と接続され、後述するシステムの一部として、組立台車301検出のための読み取りの制御を行う。
【0039】
上述したように、本実施形態では、コリジョンが発生しないように、組立台車301には、タイムスロット割り当てに用いられるユニークIDの一部の情報が重ならないような識別子が選択され、取り付けられている。
【0040】
第1実施形態では、2枚のIDタグ302a、302bを取り付けているが、一回の読み取りで重ならずに応答できる数だけ一つの被測定物301に取り付けることができる。ISO15693では、16スロットモードが規定されており、ID情報の一部が重ならないように選択して16枚のIDタグを一つの被測定物301に取り付けることも可能である。この場合は、一回の読み取り要求で、すべてのIDタグがコリジョンなく応答することが可能になる。
【0041】
図3に示すように、リーダ装置304のID読み取り部202は、無線IDタグ302のID情報を取得すると同時に、クロック203の時刻情報を取得して、格納判断部204にこれらの情報を送る。格納判断部204では送られたID情報が、ID情報格納用バッファ205に既に格納されているID情報かどうかを判断し、格納されていなければ、ID情報格納用バッファ205にID情報を格納する。同一のID情報がすでに格納されていた場合は、後から送られたID情報および時刻情報は削除する。
【0042】
速度算出可否判断部206では、速度の算出が可能か否かを判断する。第1実施形態では、2種類のID情報を取得している場合、速度の算出が可能であると判断する。速度算出が可能な場合、速度算出部207が、組立台車301(図2)がアンテナ304を通過した際の速度を算出する。速度算出部207は、IDタグ302a、302bの取り付け間隔の距離データと、ID情報格納用バッファ205に格納されている時刻情報とを用いて速度を算出し、検出情報格納用バッファ208に格納する。
【0043】
検出情報格納用バッファ208は、取得したID情報、時刻情報、進行方向および通過速度の情報を格納し、必要に応じて他の装置へこの情報を送信する。ID情報格納用バッファ205において、格納されているID情報が一つしか存在しなかった場合は、格納されている取得したID情報と時刻情報のみが検出情報格納用バッファ208に格納される。
【0044】
ここでは、図2の取り付け例を想定して説明を行う。図4に示すように、組立台車301がアンテナ303を通過する際、リーダ装置304は、アンテナ303上に存在するIDタグ302a、302bに対してID情報の取得要求を行う(S101)。
【0045】
IDタグ302a(または302b)が応答してID情報が取得されると(S102のYES)、リーダ装置304は、取得時刻を把握する(S103)が、そうでない場合(S102のNO)はID情報の取得要求を繰り返す(S101)。
【0046】
IDの取得時刻を把握すると(S103)、リーダ装置304は、読み取ったID情報が既に取得済みか否かを判断する(S104)。読み取ったID情報が既に取得されたものでなければ(S104のNO)、ID情報を格納した(S105)後にID情報の取得時刻を格納して(S106)、通過の判断を行うためにタイマを起動する(S107)。しかし、ID情報が既に取得済みの場合(S104のYES)は、読み取ったID情報および時刻情報を破棄してタイマを起動する(S107)。
【0047】
タイマ起動後(S107)、リーダ装置304は、残りのIDタグ302b(または302a)を検知するために、再びID取得要求を行う(S108)。そして、一定時間内にIDタグ302からの応答があれば(S109のNO)、ID取得の処理(S102)に戻ってIDタグ302b(または302a)のID情報を取得する(S102〜S107)。しかし、一定時間内に応答がなければ(S109のYES)、リーダ装置304は、組立台車301がアンテナ303上をすでに通過したと判断して、取得したID情報と取得時刻とを用いた分析処理に移行する。
【0048】
リーダ装置304は、読み取られたID情報が複数種類か否かを判断する(S110)。読み取りに成功して取得されたID情報が2種類であった場合(S110のYES)は、2種類のID情報を読み込む(S111)。そして、リーダ装置304は、2種類のID情報の取得時刻を比較して、ID情報の読み取り順序を把握し、組立台車301の進行方向を特定する(S112)。
【0049】
続いて、リーダ装置304は、ID情報の取得時刻を格納する(S113)。そして、リーダ装置304は、格納された時刻情報と、あらかじめ関連付けられているIDタグ302a、302b間の距離情報とを用いて、アンテナ303を通過した際の組立台車301の通過速度を算出する。これにより、組立台車301が特定の時刻にアンテナ303上を通過したという情報に加え、通過時の組立台車301の進行方向および通過速度を情報として得ることができる。
【0050】
一方、格納されたID情報が1種類であると判断された場合(S110のNO)、組立台車301の進行方向の特定および通過速度の算出ができないので、組立台車301がアンテナ304上を取得時刻に通過したという情報のみを格納する(S115)。以上が処理の流れである。
【0051】
図5の(a)〜(e)に示すように、組立台車301は、アンテナ303iとアンテナ303jとの間に配置された工程Nを通過する。アンテナ303i、303j(303:図2)は、組立台車301に固定されたIDタグ302(302a、302b:図2)を読み取るためのアンテナ素子で、各工程の境界に敷設されている。アンテナ303iはN−1番目の工程とN番目の工程との境界に、アンテナ303jはN番目とN+1番目の工程との境界にそれぞれ配置されている。
【0052】
従って、アンテナ303iでIDタグ302が検出された場合は、工程N−1から被検出対象であり移動体でもある組立台車301が運び出されて、次工程である工程Nに運び込まれたことを意味する。
【0053】
しかし、実際には、移動体である組立台車301には2個のIDタグ302が取り付けられ、組立台車301がアンテナ303iを通過する際には2個のIDタグ302が順番に読み込まれる。
【0054】
そこで、リーダ装置304は、アンテナ303iを通じて1個目のIDタグ302が最初に検出された取得時刻を工程N−1が終了した時刻、2個目のIDタグ302が最後に検出された取得時刻を工程Nが開始された時刻と見なす。ただし、最後に検出されたかどうかは、その時点では判断が付かないので、読み取りが行われてから任意の時間が経過した時点で対象となる組立台車301のIDタグ302の読み取りが行われていない場合に判断する。また、工程Nの終了を検知する次のアンテナ303jによってIDタグ302が検知されて次の工程へ進んだことが判断された場合にも、最後に検出されたと判断する。
【0055】
図5の(b)から(e)までは被検出対象である組立台車301の移動と工程Nとの関係を示している。移動体でもある組立台車301には、不図示であるが2個のIDタグ302(302a、302b:図2)が取り付けられている。図5の(b)では、組立台車301は工程N−1に存在し、工程N−1内で作業が行われているものと見なされる。
【0056】
図5の(c)では、組立台車301がアンテナ303i上を通過しており、IDタグ302の検出によって、工程N−1の作業終了と同時に、次工程である工程Nの作業開始を特定する時刻を把握することになる。
【0057】
図5の(d)では、組立台車301がアンテナ303iを通過した後、工程Nにおいて作業が行われている状態を示している。
【0058】
図5の(e)では、アンテナ303j上を通過しており、工程Nの作業終了と同時に、次工程である工程N+1の作業開始を示している。
【0059】
このように、IDタグ302(302a、302b:図2)が工程Nの入り口と出口とに設けたアンテナ303i、303jによって検出されることで、工程Nでの作業の終了と次工程の開始をIDタグ302の検出時刻によって把握することが可能になる。
【0060】
また、図2、図4を参照して上述したように、IDタグ302a、302bの通過順序を判別することで、アンテナ303i、303jを通過する際の組立台車301の向きが把握される。図8を参照して後述するように、IDタグ302a、302bの取り付け間隔L1をIDタグ302a、302bの検出時間差T1で除することで、アンテナ303i、303jを通過する際の組立台車301の速度が把握される。
【0061】
これらの情報は、図1に示すリーダ装置304からコントローラ305に送信されて、サーバ306に記録される。工程Nに関してコントローラ305で作成された必要な書き込み情報がコントローラ305からリーダ装置304へ送信されて、出口のアンテナ303jを通過する際に、組立台車301の先頭側のIDタグ302(302aまたは302b)に記録される。書き込み情報とは、作業開始時刻、工程経歴、担当者名等である。
【0062】
図6は、アンテナ303i、303jにおける読み取り時刻t1、t2と工程N内での作業時間Tとの関係を示している。時刻t1は、アンテナ303iにおけるIDタグ302の検知終了時刻を示している。同様に、時刻t2は、アンテナ303jにおけるIDタグ302の検知開始時刻を示している。工程Nの開始時刻は、組立台車301が入り口のアンテナ303iを通過した時刻t1であり、終了時刻は、出口のアンテナ303jでの検知が開始された時刻t2である。従って、工程Nの作業時間Tは時刻t2とt1との間の時間となり、図中Tがそれに該当する。
【0063】
図7の(a)は、組立台車301へのIDタグ602の取り付け例と、アンテナ303i、303jの設置例とを示している。図7の(b)は、組立台車301の進行方向とIDタグ302a、302bの読み取り順序との対応を示している。組立台車301は、図7の(a)に示す“1”または“2”の方向に、向きを変えずに移動するものとする。
【0064】
組立台車301が方向“1”に移動してアンテナ303jを通過した際に、IDタグ302a、302bの読み取りが確実に行われると、図7の(b)に示すように読み取り順序は“1、2”となる。反対に、組立台車301が進行方向“2”に移動してアンテナ303iを通過した際に、IDタグ302b、302aの読み取りが確実に行われると、読み取り順序は“2、1”となる。これによって、IDタグ302a、302bの読み取りの順序によって組立台車301の進行方向を特定することが可能になる。
【0065】
図8の(a)に示すように、組立台車301には、進行方向に距離L1を隔ててIDタグ302a、302bが固定され、組立台車301は矢印方向に移動している。このとき、図8の(b)に示すように、IDタグ302aは時刻t1に検知開始され、IDタグ302bは時刻t2に検知開始される。予め定数としてIDタグ302a、302bに書き込まれているIDタグ302a、302b間の距離L1と、IDタグ302a、302bの取得時刻の差T1=t2−t1から求められる通過時間T1とを用いて組立台車301の通過速度を算出する。組立台車301の通過速度は、L1/T1の式で与えることができる。
【0066】
以上説明したように、2枚のIDタグ302a、302bを取り付けたシステム構成により、一つのアンテナ303によるID取得情報から検出の有無や検出時刻のみならず、組立台車301の進行方向の推定や移動速度の算出が可能となる。これらのシステムは、ISO15693やISO18000等の国際規格に準拠した汎用的なRF−IDのIDタグおよび無線リーダ装置での実現が可能である。
【0067】
<第2実施形態>
図9は第2実施形態の移動情報検出システムの全体の構成を示すブロック図、図10は識別子の取り付け状態と進行方向の特定処理の説明図、図11はリーダ装置におけるデータ処理のフローチャートである。図12は組立台車の進行方向と識別子の検知順序との関係の一例の説明図、図13は組立台車の進行方向と識別子の検知順序との関係の別の例の説明図である。図14は組立台車が工程内で方向転換した状態の説明図、図15は検知エラーの一例の説明図、図16は検知エラーの別の例の説明図である。
【0068】
第2実施形態の移動情報検出システムの特徴は、第1実施形態のシステムでは2枚のIDタグを使用していたことに対して、第2実施形態においてはより多くのIDタグを使用する点にある。第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、組立台車301の移動経路である各工程の入り口と出口とにアンテナ303が配置されて、アンテナ303ごとに配置されたリーダ装置404がIDタグ302からID情報を読み取る。従って、図9〜図16中、第1実施形態と共通する構成には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0069】
図9に示すように、リーダ装置404は、図1に示すリーダ装置304を置き換えてアンテナ303ごとに配置され、ネットワークを通じてコントローラ305およびサーバ306に接続されている。被測定物である組立台車301には、複数のIDタグ302が図10の(a)に示す位置関係で取り付けてある。
【0070】
リーダ装置404のID読み取り部902は、IDタグ302のID情報を取得すると同時に、クロック903の時刻情報を取得し、格納判断部904にID情報と時刻情報とを送る。格納判断部904では、送られたID情報が既に格納されているID情報か否かを判断し、未格納であればID情報格納用バッファ905にIDタグ302のID情報を格納する。同一のID情報がすでに格納されていた場合は、後から送られたデータは削除する。
【0071】
パターンマッチング部908では、ID情報格納用バッファ905に格納されたID情報と時刻情報とから読み取り順序を求める。そして、予めメモリ906内に用意された参照用のテーブル907(図10の(b)参照)と読み取り順序とが一致するかどうかを判断する。一致するテーブル907があった場合は、テーブル907に関連付けられた進行方向とIDタグ302間の距離情報とを速度算出部909に送る。また、テーブル907に関連付けられた進行方向情報と取得ID情報と時刻情報とを検出情報格納用バッファ910に格納する。
【0072】
速度算出部909では、進行方向と、距離情報と、ID情報格納用バッファ905に格納されている時刻情報とから、図10の(a)に示す組立台車301がアンテナ303を通過した際の速度を算出し、検出情報格納用バッファ910に格納する。検出情報格納用バッファ910は、取得ID、時刻、進行方向、通過速度の情報を格納し、コントローラ305へこれらの情報を送信する。
【0073】
一方、パターンマッチング部908において、一致するテーブル907が存在しなかった場合は、ID情報格納用バッファ905に格納されているID情報と時刻情報のみが検出情報格納用バッファ910に格納される。
【0074】
図10の(a)に示すように、組立台車301の四隅と中央とに、合計5つのIDタグ302a〜302eが取り付けてある。組立台車301の45度ごとの8つの進行方向1〜8は、図10の(b)に示すように、IDタグ302a〜302eの読み取り順序と対応付けて、メモリ906にテーブル907として保持されている(図9参照)。
【0075】
組立台車301が進行方向1に移動する場合、進行方向1と直交するアンテナ303によって、最初にIDタグ302a、302bがほぼ同時に検知される。その後、IDタグ302eが単独で検知され、続いて、IDタグ302c、302dがほぼ同時に検知される。
【0076】
つまり、進行方向“1”のときのID読み取り順序(1、2)は、ID“1”とID“2”の取得時刻の間隔が、ID“1”またはID“2”とID“5”の取得時刻の間隔と比べて非常に短いことを示している。つまり、ID“1”とID“2”とがほぼ同時刻に取得されたことを示している。組立台車301が進行方向“1”に移動する過程でID情報の読み取りが確実に行われた場合、その順序は“(1、2)、5、(3、4)”となる。
【0077】
図10の(b)には、すべてのID情報が取得できた場合について示しているが、実際には一部のIDタグ1002がアンテナ上を通過しないことや読み取りエラーが発生することにより、すべてのIDが取得できない場合もある。すべてのIDが取得できない場合でも、例えば、ID読み取り順序が“(1、2)、5”のような場合には進行方向は“1”であると判断できる。メモリ906には、進行方向を特定できるテーブル907を用意している。
【0078】
図11に示すデータ処理の基本的な処理の流れは、第1実施形態と同様であるが、ステップS810以降の処理が異なる。従って、ステップS801からステップS809までの詳細な説明は省略する。
【0079】
ステップS801〜S809の処理によって、リーダ装置404は、アンテナ303を通過する組立台車301のIDタグ302a〜302eを、通過する順番に検知して、それぞれのID情報を読み取る。そして、最後のIDタグ(302a〜302eのいずれか)の応答が途絶えて一定時間が経過すると(S809のYES)、リーダ装置404は、組立台車301がアンテナ303を通過したと見なす。そして、ID情報とその取得時刻とを用いた演算を開始する(S810〜)。
【0080】
まず、リーダ装置404は、取得したID情報が複数か否かの判断を行う(S810)。取得したIDが複数であった場合(S810のYES)、複数のID情報の読み込みを行って、ID情報の取得時刻を比較してID情報の取得順序を把握する(S811)。ここでは、読み取り順序が前後しているID同士で取得時刻を比較して、読み取りの時間間隔を求める。そして、すべてのID情報を読み込むのに要した時間と比較して、相対的に時間間隔が短い間隔で取得されているID情報に関しては、同時に取得されたものとみなしてグループ分けを行う(S811)。
【0081】
次に、リーダ装置404は、グループ分けされたID情報の読み取り順序を、あらかじめメモリ906内に用意された読み取り順序の参照テーブル907a〜とそれぞれ比較する。そして、テーブル907a〜のいずれかと一致すれば(S812のYES)、図10の(b)に示すように、一致したテーブル907a〜に関連付けられている進行方向から組立台車301の進行方向を特定する(S813)。
【0082】
読み取りエラーが発生して、組立台車301に取り付けられたIDタグ302a〜302eの一部を取得できなかったとする。このような場合においても、進行方向の特定が可能なすべてのパターンをテーブル907a〜として用意しておき、各テーブル907a〜には、それぞれ個別の進行方向およびIDタグ302a〜302e間の距離情報を関連付けておく。
【0083】
その後、リーダ装置404は、ID情報の取得時の時刻情報を格納する(S814)。そして、格納された時刻情報と、特定された進行方向に関連付けられたIDタグ302a〜302e間の距離情報とを用いて、アンテナ303を通過した際の組立台車301の通過速度を算出する。これにより、特定の組立台車301が特定の時刻にアンテナ303上を通過したという情報に加えて、通過時の進行方向および通過速度を情報として得ることができる。
【0084】
一方、格納されたID情報が1種類であると判断された場合(S810のNO)、または、グループ分けされたIDタグ302a〜302eの読み取り順序がテーブル907a〜のいずれにも一致しなかった場合(S812のNO)は次のように処理する。組立台車301の進行方向の特定および通過速度の算出が出来ないため、1つのID情報に基づいて特定の組立台車301がアンテナ303上を特定の時刻に通過したという情報のみを格納する。以上が処理の流れである。
【0085】
特定された進行方向に関連付けられたIDタグ302a〜302e間の距離情報の例を図12の(a)に示す。図12の(b)は、アンテナ303を組立台車301が通過する過程でのIDタグ302a〜302eの読み取り時刻を示している。
【0086】
図12の(a)に示す斜め矢印の方向に組立台車301が移動し、進行方向と直角なアンテナ303を通過すると、図12の(b)に示すように、IDタグ302a〜302eが通過順に読み取られる。
【0087】
読み取り順序とのパターンマッチングによって進行方向が特定されると、その進行方向に対応付けられたIDタグ302a、302d間の距離L1が読み出される。ID“1”とID“4”との取得時刻の差T1=t4−t1から通過時間T1が演算されると、距離L1/通過時間T1を演算して、組立台車301の通過速度とする。
【0088】
また、ID“4”が読み取れなくても、特定された進行方向に基づく次善の対応として、IDタグ302a、302e間の距離L2が読み出される。従って、ID“1”とID“5”の取得時刻の差T2=t5−t1から通過時間T2が演算され、IDタグ302a、302e間の距離L2を通過時間T2で除したL2/T2により、組立台車301の移動速度が算出される。
【0089】
図13の(a)に示す上向き矢印の方向に組立台車301が移動し、進行方向と直角なアンテナ303を通過すると、図13の(b)に示すように、IDタグ302a〜302eが通過順に読み取られる。この場合も同様に、読み取り順序とのパターンマッチングによって進行方向が特定されると、その進行方向に対応付けられたIDタグ302a、302c間の距離L3が読み出される。そして、ID“1”とID“3”との取得時刻の差T3=t3−t1から通過時間T3が演算され、距離L3/通過時間T3から通過速度が演算される。
【0090】
また、ID“3”が読み取れない場合、特定された進行方向に基づく次善の対応として、IDタグ302a、302e間の距離L4が読み出される。そして、ID“1”とID“5”との取得時刻の差T4=t5−t1から通過時間T4が演算され、距離L4/通過時間T4から通過速度が演算される。 このようにして、IDタグ302a〜302eの読み取り順序と、テーブル907a〜とのパターンマッチングによって進行方向が特定される。そして、進行方向に対応する距離情報と、IDタグ302a〜302eの検出時間差とを用いて通過速度が演算される。
【0091】
工程Nの入り口のアンテナ303iと出口のアンテナ303jとによって、図14の(a)に示すようにIDタグ302a〜302eが検知された場合、工程Nで組立台車301の進行方向が変化したと判断される。図14の(b)に示すように、工程Nの入り口にはアンテナ303i、出口にはアンテナ303jが設置されている。組立台車301は、IDタグ302a、302cを先頭にしてアンテナ303i上を横断し、工程Nで右回りに180度回転して、IDタグ302a、302cを末尾にしてアンテナ303j上を横断している。
【0092】
図14の(a)は、アンテナ303i、303jで取得したID情報と時刻との関係であり、図14の(b)は移動体である組立台車301の進行方向を示している。アンテナ303iを通過するときの組立台車301の進行方向と、アンテナ303jを通過するときの組立台車301の進行方向とが異なっている。従って、アンテナ303i、303j間の経路上で組立台車301の進行方向が変化したことを推測できる。
【0093】
図14の(b)に点線で示した図は、経路上での組立台車301の進行方向の例であり、実際の進行方向と一致するとは限らない。しかし、工程Nにおける組立台車301の進行方向の変化を把握することにより、工程Nにおける意図しない動きを検出でき、その結果を工程のレイアウトや作業工程に反映できる。
【0094】
図15、図16は、IDタグ302a〜302eのID情報を一部しか正常に取得できない場合の判断例を示している。図15は、検出された唯一のID情報が移動体である組立台車301の角に取り付けられたIDタグ302cのID情報であった場合の読み取り結果である。図16は、検出された唯一のID情報が移動体である組立台車301の中央に取り付けられたIDタグ302eのID情報であった場合の読み取り結果である。
【0095】
図15の(a)に示すようにIDタグ302cが検出された場合、図15の(b)に示すように、組立台車301は、アンテナ303の端を通過していると判断できる。
【0096】
図16の(a)に示すようにIDタグ302eが検出された場合、図16の(b)、(c)、(d)に示すような様々なケースを想定できる。図中でバツ印のついているIDタグが、読み取りエラーが発生したIDタグを示している。
【0097】
図16の(b)は、ID“1”、ID“3”、ID“4”、ID“5”がアンテナ303上を通過しているが、ID“5”以外は読み取りエラーにより取得できなかった場合の例である。
【0098】
図16の(c)は、ID“3”、ID“4”、ID“5”がアンテナ303上を通過しているが、ID“5”以外は読み取りエラーにより取得できなかった場合の例である。
【0099】
図16の(d)は、すべてのIDがアンテナ303上を通過しているが、ID“5”以外は、読み取りエラーによって取得できなかった場合の例である。
【0100】
図16の(b)、(c)、(d)の例から、読み取りエラーが発生しない限り、中央のIDタグ302eのみが取得されることはないことが分かる。従って、中央に取り付けられたIDタグ302eのみが読み取れた場合は、読み取りエラーがあったと判断できる。
【0101】
以上説明してきたように、第2実施形態に記載したシステム構成およびアルゴリズムを用いることにより、第1実施形態と同様な種々の情報を取得できる。すなわち、一つのアンテナ303によるID情報から特定の組立台車301の検出の有無やその検出時刻のみならず、IDタグ302a〜302eを取り付けた組立台車301の進行方向の推定や移動速度の算出が可能である。また、読み取りエラーのパターンにもよるが、読み取りエラーが生じた際にも、進行方向の推定や移動速度の算出を行うことが可能となる。進行方向の特定ができなかった場合にも、IDタグの取り付け位置情報から、読み取りエラーの発生や、アンテナ303の設置場所の見直しの必要性を推測できる。
【0102】
さらに、複数(ここでは5枚)のIDタグを用いることで、第1実施形態(IDタグが2枚)では2方向だった推定可能な進行方向が第2実施形態では8方向となり、より細かい推定が行える。また、隣接するアンテナ303i、303jの取得情報を用いることにより、アンテナ303が設置されていない範囲(工程N内)での、組立台車301の進行方向の変化を推定できる。
【0103】
<第3実施形態>
図17は第3実施形態の移動情報検出システムの全体の構成を示すブロック図、図18はリーダ装置におけるデータ処理のフローチャートである。図19は図18のフローチャートにおける検出処理のフローチャート、図20は図18のフローチャートにおける進行方向特定処理のフローチャートである。
【0104】
第3実施形態の移動情報検出システムは、第2実施形態と同様に、組立台車301に5個のIDタグ302a〜302eが固定される。しかし、第2実施形態では進行方向の判別にパターンマッチングを用いたことに対して、第3実施形態では、二次元配列のデータ構造を用いる。
【0105】
第3実施形態でも、組立台車301の移動経路である各工程の入り口と出口とにアンテナ303が配置されて、アンテナ303ごとに配置されたリーダ装置504がIDタグ302a〜302eからID情報を読み取る。従って、図17〜図20中、第2実施形態と共通する構成には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0106】
図17に示すように、リーダ装置504は、図1に示すリーダ装置304を置き換えてアンテナ303ごとに配置され、ネットワークを通じてコントローラ305およびサーバ306に接続されている。被測定物である組立台車301には、5個のIDタグ302a〜302eが図10の(a)に示す位置関係で取り付けてある。
【0107】
リーダ装置504のID読み取り部902は、IDタグ302のID情報を取得すると同時に、クロック903の時刻情報を取得し、格納判断部904にID情報と時刻情報とを送る。格納判断部904では、送られたID情報が既に格納されているID情報か否かを判断し、未格納であればID情報格納用バッファ905にIDタグ302のID情報を格納する。同一のID情報がすでに格納されていた場合は、後から送られたデータは削除する。
【0108】
ID情報格納バッファ905に格納されたID情報の取得時刻に関する情報は、二次元配列格納部1706において、各IDタグ302a〜302eの取り付け位置に対応した配列に格納される。進行方向検出部1707は、二次元配列格納部1706で生成された二次元配列データを用いて、組立台車301の進行方向が特定され、進行方向情報、および取得ID、時刻情報が検出情報格納バッファ1709に格納される。
【0109】
続いて、速度算出部1708で、組立台車301の通過速度が算出され、通過速度情報が同じく検出情報格納バッファ1709に格納される。検出情報格納バッファ1709は、取得ID、取得時刻、進行方向、通過速度の各情報を格納し、必要に応じてコントローラ305や他の装置にここから情報を送信する。進行方向検出部1707において、組立台車301の進行方向が特定できなかった場合、二次元配列に格納されているID情報と取得時刻のみが検出情報格納バッファ1709に格納される。
【0110】
図18に示すように、ステップS801〜S809の処理によって、リーダ装置504は、アンテナ303を通過する組立台車301のIDタグ302a〜302eを、通過する順番に検知して、それぞれのID情報を読み取る。そして、最後のIDタグ(302a〜302eのいずれか)の応答が途絶えて一定時間が経過すると(S809のYES)、リーダ装置504は、組立台車301がアンテナ303を通過したと見なす。そして、ID情報とその取得時刻とを用いた演算を開始する(S1410〜)。
【0111】
まず、リーダ装置504は、取得したID情報が複数か否かの判断を行う(S1410)。取得したIDが複数であった場合(S1410のYES)、複数のID情報の読み込みを行って進行方向の検出処理を行う(S1412)。進行方向の検出処理の詳細は図19に示される。
【0112】
図19の(a)に示すように、進行方向の検出処理では、リーダ装置504は、まず、作業用メモリに設定された二次元配列に、ID情報の取得時刻を格納する。この二次元配列には、図19の(b)に示すように、組立台車301へのIDタグ302a〜302eの取り付け位置に関する情報を反映させてある。
【0113】
リーダ装置504は、3行3列の二次元配列を用意して、ID“1”の時刻情報は1行1列の番地に、ID“2”の時刻情報は1行3列の番地に、ID“3”の時刻情報は3行1列の番地に格納する。ID“4”の時刻情報は3行3列の番地に、ID“5”の時刻情報は2行2列の番地に格納する。
【0114】
取得したすべてのIDタグ302a〜302eの時刻情報を格納した後、ID情報の取得時刻によってグループ分けを行う(S1502)。図19の(b)に示す()内の数値は、1/10秒単位で示した読み取り時刻の例であり、点線はグループ分けの例を示している。早く読み取られたID“1”、ID“3”がグループ#1、遅く読み取られたID“2”、ID“4”がグループ#3、中間のID“5”がグループ#2にグループ分けされている。読み取り時刻によるグループ分けの方法は、第2実施形態と同様の方法で行うことができる。
【0115】
続いて、リーダ装置504は、グループが一つであるか否かを判断する(S1503)。そして、グループが複数ある場合(S1503のNO)は、複数のグループのうちで複数のIDを含むグループが一つ以上あるか否かを判断する(S1504)。複数のIDを含むグループが一つでもある場合は、組立台車301の進行方向を検知可能であると判断する(S1506)。
【0116】
しかし、グループが一つの場合(S1503のYES)、または、すべてのグループにおいてグループ内のIDが一つであった場合(S1504のNO)、組立台車301の進行方向を検知できないと判断する(S1505)。そして、検出処理を抜ける。
【0117】
図18のフローチャートにおける検出処理(S1412)が終わると、進行方向の検知が可能か否かを判断する(S1413)。検出処理(S1412)において進行方向の検知が不可であった場合(S1413のNO)、ID情報によって特定された組立台車301がアンテナ303上を特定の時刻に通過したという情報が格納される(S1417)。
【0118】
しかし、検出処理(S1412)において進行方向の検知が可能とされた場合(S1413のYES)は、図20に示すフローチャートに従って進行方向の特定処理(S1414)が行われる。組立台車301の進行方向の特定処理(S1414)には、図19の(b)に示す二次元配列に格納された取得時刻のグループ分けの結果を用いる。
【0119】
図20に示すように、リーダ装置504は、ID情報の取得時刻が一番早いグループに着目し(S1601)、一番早いグループ内に複数のID情報を含んでいるか否かを判断する(S1602)。そして、グループに複数のID情報が含まれている場合(S1602のYES)、複数のID情報の格納位置の列が一致しているか否かの判断を行う(S1603)。グループの複数のID情報の列が一致していた場合(S1603のYES)、一致した列の方向に組立台車301が移動していると判断して検出処理を抜ける。
【0120】
図19の(b)に例示するように、取得時刻が一番早いグループ#1にID“1”とID“3”が含まれていた場合を考える。ID“1”とID“3”の取得情報はそれぞれ二次元配列の[1、1]と[3、1]に格納されている。ここで、2つのID情報の格納されている列が一致していることから、組立台車301は、ID“1”とID“3”の列の方向からアンテナ303上を通過したと判断できる。
【0121】
ID情報の格納位置の列が一致していない場合(S1603のNO)、取得時刻が一番早いグループのID情報の格納位置の行が一致しているか否かの判断を行う(S1604)。行が一致していた場合(S1604のYES)、一致した行の方向に組立台車301が移動していると判断し、検出処理を抜ける。
【0122】
例として、取得時刻が一番早いグループにID“1”とID“2”とが含まれていた場合を考える。このとき、それぞれが二次元配列の[1、1]と[1、2]に格納されているので、2つのID情報が格納されている行は一致しており、組立台車301はその行を先頭にしてアンテナ303上を通過したと判断できる。
【0123】
ID情報の格納位置の行が一致していない場合(S1604のNO)、次の取得時刻のグループをチェックする(S1605)。そして、次の取得時刻のグループに含まれるIDタグが取り付けられている位置の反対の方向に組立台車301が移動していると判断して処理を抜ける。
【0124】
例として、取得時刻が一番早いグループに含まれるID情報がID“2”、ID“3”、ID“5”のすべて、またはいずれか2つの組み合わせであった場合について説明する。図19の(b)に示すように、それぞれのID情報の格納場所は[1、3]、[2、2]、[3、1]となり、行も列も一致しない。従って、組立台車301は、ID“1”かID“4”の頂点方向のどちらか移動していると判断する。そこで、次のID情報の取得時刻を持つグループに注目する。次のグループに含まれるIDが、二次元配列の[3、3]に格納されているID“4”である場合は、組立台車301はID“1”を先頭にして移動している。逆に、次のグループに含まれるIDが、二次元配列の[1、1]に格納されているID“1”である場合は、組立台車301はID“4”を先頭にして移動している。
【0125】
次に、ID情報の取得時刻が一番早いグループに含まれるID情報が一つしかなかった場合(S1602のNO)、ID情報の取得時刻が一番遅いグループをチェックする(S1606)。ID情報の取得時刻が一番遅いグループ内に複数のID情報が含まれているか否かを判断する(S1607)。複数のID情報がある場合(S1607のYES)は、複数のID情報の格納位置の列が一致するか否かを判断する(S1608)。
【0126】
複数のID情報の格納位置の列が一致した場合(S1608のYES)は、一致した列の反対方向に組立台車301が移動していると判断して(1613のYES)、処理を抜ける。しかし、複数のID情報の格納位置の列が一致しなかった場合(S1608のNO)は、複数のID情報の格納位置の行が一致するか否かを判断する(S1609)。
【0127】
そして、複数のID情報の格納位置の行が一致した場合(S1609のYES)、一致した行の反対方向に組立台車301が移動していると判断して(S1614)、処理を抜ける。
【0128】
最後に、ID情報の取得時刻が一番遅いグループにIDが一つしか含まれなかった場合(S1607のNO)、または、ID情報の格納位置の行が一致しなかった場合(S1609のNO)は処理を抜ける。最初にID情報を取得したIDタグの取り付け位置の方向に被測定物は移動していると判断して(S1615)、処理を抜ける。
【0129】
図18に示すように、被測定物の進行方向の特定処理(S1414)の後、IDタグ302a〜302eの読み取り時刻を格納して(S1415)、通過速度の算出を行う(S1416)。通過速度の算出には、第2実施形態と同様、ID情報の取得時刻と進行方向に応じたIDタグ間の距離情報とが必要となる。ID情報の取得時刻に関してはすでに二次元配列に格納されている情報を利用でき、IDタグ間の距離情報については、予めリーダ装置504にデータとして用意しておく。これにより、組立台車の通過速度を算出できる。
【0130】
ところで、IDタグ間の距離情報については、二次元配列の未使用領域、すなわち[1、2]、[2、1]、[2、3]、[3、2]の配列に格納しておくことで、処理側の記憶領域を節約することも可能である。ただし、この場合は、記憶領域が限られるため、組立台車301にIDタグ302a〜302eを取り付ける際に工夫が必要である。
【0131】
例えば、ID“1”からID“2”の間の距離をL1、ID“1”からID“3”の間の距離をL2とする。そして、ID“5”をID“1”からID“2”方向にL1/2、ID“1”からID“3”方向にL2/2の距離となる位置に取り付け、ID“1”からID“5”の間の距離がL3/2となる距離L3の位置にID“4”を取り付ける。これにより、L1、L2、L3の3つの距離情報のみですべてのID間距離を表すことができ、二次元配列の空き領域に全ての距離情報を格納することができる。
【0132】
以上説明してきたように、第3実施形態では、第2実施形態のパターンマッチングの代わりに二次元配列のデータ構造を用いる。これにより、第2実施形態と同様に、検出の有無や検出時刻のみならず組立台車301の進行方向および移動速度の検出等の機能を実現できる。この場合、パターンマッチングに利用する参照テーブルを格納するためのメモリ容量を削減することが可能である。
【0133】
<比較例の移動情報検出システム>
従来、移動する物や人の位置を特定する際に、検出対象である移動体にRF−IDのタグを取り付け、位置が相対的もしくは絶対的に把握されている固定の読み取り装置(無線リーダ装置)でID情報を読み取る手法が提案されている。
【0134】
例えば、工場における製品組立において、人が仕掛品を作業の進行に応じて受け渡しながら組立を行うセル生産方式で使用する仕掛品を乗せた組立台車に利用可能な移動情報検出システムである。広く自動車や携帯電話や電子機器等の位置のみならず、特許文献1、特許文献2に示されるように、特定位置の通過速度や進行方向も含めて高速かつ確実に把握する移動体検知装置、検知システムおよび検知方法に関するものである。
【0135】
図21は、複数のアンテナによるIDタグの読み取りシステムの説明図である。特許文献3には複数のアンテナ108を用いてIDタグ302の位置座標を自動取得するシステムが示される。移動体である被測定物1802には、固有のIDを持つ無線IDタグ1801が取り付けられ、被測定物1802の移動範囲には、無線リーダ装置1804と接続された複数の無線IDタグアンテナ1803が配置されている。
【0136】
無線リーダ装置1804から無線IDタグアンテナ1803を通じて電磁誘導方式により無線IDタグ1801に電力を供給し、無線IDタグ1801の持つID情報を送信させる。なお、最近ではUHF波帯を使用した方式の他、マイクロ波を使用した読み取りシステムも実用化されている。
【0137】
ここで、無線IDタグ1801や無線リーダ装置1804の構成について簡単に説明する。無線リーダ装置1804は、変復調回路、アンテナ、通信制御回路および電源等から、無線IDタグ1801は、アンテナ、電力生成回路、変復調回路、制御回路等から構成される。電力生成回路は、タグのアンテナで受信された電力供給信号を直流電力に変換して、各部に供給する。
【0138】
これらのシステムでは、一つのアンテナでID情報を読み取ることができる空間的範囲が限られるため、どのアンテナで読み取られたかによって被測定物1802の位置を特定することができる。さらに、位置特定の精度を高めるためには、読み取りの範囲をより狭くして、多数の無線IDタグアンテナ1803を隙間なく配置すればよい。被測定物の存在範囲を時間ごと追うことにより、被測定物の進行方向を把握することも可能である。
【0139】
位置特定の精度を高めるため、特許文献4には、無線リーダ装置の代わりに設置面積の比較的狭いIDタグの方を床や地面に多数設置し、移動体の方に無線リーダ装置を取り付ける構成も提案されている。どちらの手法も移動体の位置を把握し、特定するという目的の上では同じものである。
【0140】
しかし、上述した比較例のシステムにおいては、以下のような問題があった。無線IDタグを用いて移動体の位置のみならず進行方向などを把握しようとした場合、被測定物に対して一つの無線IDタグもしくは無線リーダ装置を取り付け、複数の無線リーダ装置もしくは無線IDタグを被測定物の移動範囲全体に設置する必要がある。従って、設置の手間やコストがかかる。
【0141】
これに対して、本実施形態の移動情報検出システムは、被測定物である移動体に複数の無線IDタグを取り付ける。これにより、一つのアンテナもしくは無線リーダ装置による読み込み情報で、被測定物の位置検出と同時に進行方向や通過速度を把握して算出することができる。システム設置の際の手間やコストを軽減した移動体検知システムを提供できる。
【0142】
本実施形態の移動情報検出システムは、グループ化された複数の異なる識別子を被測定物に取り付け、その複数の識別子の読み取りを無線リーダ装置によって行う。読み取られた識別情報から識別子がどのグループに属するのかを判断するグループ属性判断手段と、読み取りが行われた時刻を把握する読み取り時刻特定手段とを備える。また、任意の時間内における該当するグループの識別情報から被測定物の移動速度を算出する速度算出手段と、同じく識別情報から被測定物の進行方向を推定する進行方向推定手段とを備える。
【0143】
移動体速度算出手段は、識別情報とその識別情報の読み取りが行われた時刻の順番から得られた検出時間と、予め計測され判明している識別子の取り付け間隔である距離との関係から算出される。
【0144】
進行方向推定手段は、識別情報とその識別情報の読み取りが行われた時刻の順番と、予め判明している被測定物への取り付け位置の関係によって推定される。進行方向推定手段による推定は、進行方向を特定する検出パターンとのマッチングによって行われる。パターンマッチングは、検出時刻をグループ化した情報と検出パターンとのマッチングによって行われる。検出時刻のグループ化は、識別情報の取得間隔が相対的に短いものをまとめることによって行われる。進行方向推定手段による推定は、検出した識別情報と検出時刻との関係をマッピングした二次元配列によって行われる。識別子の読み取りの結果、進行方向の特定や速度算出ができない場合、被測定物のイレギュラーな動作や読み取りエラーの可能性を推測し判断する。識別子は、RF−IDタグ、もしくは無線タグと呼ばれるものである。被測定物もしくは無線リーダ装置のうち、固定されている対象の位置によって読み取り時の位置を把握し、特定する。複数の異なる識別子のうち、そのうちの一つの識別子の認識によって被測定物の位置を特定する。タイムスロットを利用した読み取りの要求は、識別子の存在有無に関わらず、一回の読み取り機会が終了した時点で繰り返して行われる。
【0145】
本実施形態の移動情報検出システムは、グループ化された複数の異なる識別子を被測定物に取り付け、その複数の識別子の読み取りを隣接配置した2台の無線リーダ装置によって行う。2台の無線リーダ装置は、読み取られた識別情報から識別子がどのグループに属するのかを判断するグループ属性判断手段と、任意の時間内における該当するグループのID情報から被測定物の進行方向を推定する進行方向推定手段とをそれぞれ備える。隣接する無線リーダ装置で検知した進行方向から移動経路上での被測定物の動きを推測する。
【0146】
動作推測手段は、隣接する無線リーダ装置での進行方向推定情報が異なる向きを示している場合に、被測定物の回転やイレギュラーな動きがあったことを推測する。読み取りが行われた時刻を、無線リーダ装置の内部もしくはシステム内で取得する。
【0147】
応用例としては、人が仕掛品を作業の進行に応じて受け渡しながら組立を行うセル生産方式において、各工程の入り口と出口を兼用する無線リーダ装置を配置し、各工程の作業時間を読み取り時刻から算出する。
【0148】
本実施形態の移動情報検出システムは、グループ化された複数の異なる識別子を被測定物に取り付け、その複数の識別子の読み取りを無線リーダ装置によって行う。読み取られた識別情報から識別子がどのグループに属するのかを判断するグループ属性判断工程と、読み取りが行われた時刻を把握する読み取り時刻特定工程と、任意の時間内における該当するグループの識別情報から被測定物の移動速度を算出する速度算出工程と、同じく識別情報から被測定物の進行方向を推定する進行方向推定工程とを備える。
【0149】
このような構成によって、二次元空間的に高い密度で検出器を並べなくても、位置検出と同時に特定位置における被測定物の進行方向や移動速度を把握することが可能になる。被測定物である移動体に複数の異なるID情報を持つ無線IDタグを取り付けることによって、一つのアンテナもしくは無線リーダ装置による読み込み情報で移動体の位置、検出時刻、進行方向や通過速度を把握、算出することができる。従って、システム設置の際の手間やコストを軽減した移動体検知システムを提供できる。
【0150】
無線IDタグを移動体の外周部と中央部にそれぞれ取り付けることにより、アンテナ通過時にIDが一つしか読み取れなかった場合に、アンテナ設置位置の問題か、読み取りエラーの発生かを判断することも可能になる。
【0151】
さらに、空間的に離れた場所に設置した隣接アンテナの情報を利用することで、アンテナの読み取り範囲外である経路上での移動体の進行方向の変化を推測することが可能となり、その結果を工程のレイアウトや作業工程の見直しに反映させることもできる。
【0152】
<発明との対応>
第1実施形態の移動体情報検出システム10は、組立台車301に取り付けた複数のIDタグ302を検知する。組立台車301の移動経路に配置されて、複数のIDタグ302を通過する順に検知可能なアンテナ303と、アンテナ303を通過するIDタグ302の識別情報を、アンテナ303を通じて通過順に取得するID読み取り部202とを備える。識別情報の取得時期を検知するクロック203と、識別情報に基づいて組立台車301を識別する格納判断部204と、IDタグ302間の距離と取得時期とを用いて、組立台車301がアンテナ303を通過する際の移動速度を演算する速度算出部207とを備える。
【0153】
移動情報検出システム10は、アンテナ303やリーダ装置304に比較して格段に小型で安価なIDタグ302を複数配置して、2つのIDタグ302の間隔における平均速度を演算する。2つのアンテナ303の間隔よりも各段に狭いIDタグ302の配置間隔の分解能で、アンテナ303のピンポイントにおける移動速度や移動方向と言った追加情報を自ら形成する。
【0154】
複数のIDタグ302には、複数の組立台車301を相互に識別可能な識別情報が書き込まれている。識別情報は、組立台車301の特定の他、アンテナ303の配置位置を用いた組立台車301の時間的、空間的な位置情報や組立台車301の移動経路等の検出を可能にする。
【0155】
ID読み取り部202が組立台車301のIDタグ302と無線通信して識別情報を読み取ると、格納判断部204が識別情報に基づいて組立台車301を識別し、個別に読み取られたIDタグ302が同じ組立台車301に属することを識別する。これにより、複数の組立台車301が並行してアンテナ303を通過しても、速度算出部207は、正確に識別情報の取得時刻を選択して、組立台車301ごとに移動速度を演算できる。
【0156】
速度算出部207は、結果的に、同一の組立台車301に取り付けたIDタグ302を識別して、識別情報の取得時期の時間間隔を求め、IDタグ302の配置間隔を取得時期の時間間隔で除して移動速度を求める。IDタグ302の配置間隔は、識別情報の中に書き込まれていてもよく、ID読み取り部202側に予め準備したデータを識別情報に基づいて検索して求めてもよい。また、通信可能な別の装置(例えばサーバ装置)に準備しておき、必要に応じて要求してデータを受信する等、種々の方法で獲得させればよい。
【0157】
これにより、組立台車301が1つのアンテナ303を通り過ぎる際の移動情報を、次のアンテナ303でのIDタグ302の検知を待つことなく、そのアンテナ303の位置における移動速度として出力できる。言い換えれば、一般的なアンテナ303の配置間隔に比較して格段に短い組立台車301の長さ以下の範囲で移動速度を検出するので、読み取った識別情報とともに移動速度情報を遅滞なく送信できる。
【0158】
そして、ID読み取り部202に比較して格段に小型で安価なIDタグ302の追加だけで、組立台車301を特定する情報(IDタグ302の識別情報)と、検知した位置の情報(アンテナ303の設置位置情報)と、移動速度とを得る。識別情報の検知と発信とに要する既存の演算装置や通信回路をそのまま用いて、位置検出機構、速度センサ、ジャイロ、検知回路、検知出力の評価処理装置等の追加的な構成を要することなく、同時かつリアルタイムにこれらの情報を送信できる。
【0159】
移動体情報検出システム10は、取得時期に基づいて組立台車301がアンテナ303を通過する際の移動方向を識別する速度算出可否判断部206を備える。
【0160】
移動体情報検出システム10は、平面的に分散して組立台車301に3以上取り付けたIDタグ302を検知する。組立台車301の移動経路に配置されて、複数のIDタグ302を通過する順に検知可能なアンテナ303と、アンテナ303を通過するIDタグ302の識別情報をアンテナ303を通じて通過順に取得するID読み取り部202とを備える。識別情報の取得時期を検知するクロック203と、識別情報に基づいて組立台車301を識別する格納判断部204と、取得時期に基づいて組立台車301がアンテナ303を通過する際の移動方向を特定する速度算出可否判断部206と、移動方向に応じたIDタグ302間の距離と取得時期とを用いて、組立台車301がアンテナ303を通過する際の移動速度を演算する速度算出部207とを備える。
【0161】
移動速度を演算するためには移動方向に距離を持たせた2つの無線識別子があればよい訳であるが、3以上を配置することで、1つを読み取り損ねても残りの無線識別子を読み取って移動速度を演算できる。無線識別子の検知の分解能を上げるためにアンテナ303の検知幅を短くすると、移動速度が高い場合には無線識別子を読み取り損なう可能性が高まる。しかし、3以上の無線識別子を配置することで、読み取り損なうことを想定した安全率の高いシステムが得られる。
【0162】
第2実施形態の移動体情報検出システム20は、取得した識別情報と取得時期とをIDタグ302ごとに関連付けて保持するID情報格納用バッファ905と、移動方向の可能な選択肢に対応させて識別情報の取得順序が個別に準備されたメモリ906とを備える。パターンマッチング部908は、ID情報格納用バッファ905に保持された取得時期に基づいて選択した識別情報と前記選択肢との照合度を演算して移動方向を識別する。
【0163】
第3実施形態の移動体情報検出システム30は、取得した識別情報と取得時期とを前記IDタグ302の平面配置に関連付けて保持する二次元配列格納部1706と、移動方向の可能な選択肢に対応させて、取得順位ごとの識別情報の組み合わせが準備された進行方向検出部1707とを備える。進行方向検出部1707は、二次元配列格納部1706に保持された取得時期に基づいて選択した識別情報と前記選択肢との照合度を演算して移動方向を識別する。
【0164】
移動体情報検出システム10は、速度算出可否判断部206は、選択した識別情報が、予め定めた検出不可能な組み合わせに合致した場合と、予め定めた検出可能な組み合わせに合致しない場合との少なくとも一方であると、読み取りエラー処理を開始する。
【0165】
移動体情報検出システム10におけるアンテナ303は、IDタグ302間の距離よりも短くて組立台車301の通過範囲に相当する長さの細長い検知領域を設定されている。
【0166】
移動体情報検出システム10におけるID読み取り部202は、タイムスロットを利用した読み取りの要求を、IDタグ302の存在有無に関わらず、一回の読み取り機会が終了した時点で繰り返して行う。
【0167】
移動体情報検出システム10は、移動方向と移動速度と識別情報とをアンテナ303の設置位置に関連付けた記録データを作成する検出情報格納用バッファ208を備える。
【0168】
移動体情報検出システム10は、ID読み取り部202、クロック203、格納判断部204、および速度算出部207を有するリーダ装置304がアンテナ303ごとに配置される。複数のリーダ装置304と通信可能に配置されて、リーダ装置304から受信した記録データを処理するコントローラ305と、コントローラ305と通信可能に配置されて、処理された記録データを記録保持するサーバ306とを備える。
【0169】
移動体情報検出システム10は、ID読み取り部202を有する読取装置がアンテナ303ごとに配置され、複数の読取装置と通信可能に配置されて読取装置から受信した識別情報を処理する制御装置と、制御装置と通信可能に配置されて処理された識別情報を記録保持するサーバ装置とを備える構成としてもよい。
【0170】
移動体情報検出システム10は、移動経路にアンテナ303が複数配置され、コントローラ305は、アンテナ303ごとに識別される移動方向に基づいて移動方向の変化を識別し、アンテナ303の間の移動経路ごとに予め設定された移動方向の変化パターンに合致しない場合に異常事態処理を開始する。
【0171】
移動体情報検出システム10は、仕掛品を運搬する組立台車301または仕掛品に複数のIDタグ302が取り付けられ、仕掛品を組み立てる工程の入り口と出口とにアンテナ303i、303jが配置され、コントローラ395は、仕掛品の組立工程管理を行う。
【0172】
移動体情報検出システム10は、特定の位置関係を持たせた複数のIDタグ302を組立台車301に取り付け、複数のIDタグ302を通過順に非接触で検知可能なリーダ装置304を組立台車301の移動経路に配置する。組立台車301がリーダ装置304を通過する過程で、それぞれのIDタグ302の検知時期を測定し、前記位置関係に基づくIDタグ302間の距離を、対応する前記検知時期の時間間隔で除して、組立台車301の移動速度を求める。
【0173】
移動体情報検出システム20は、図10の(a)に示すように、平面的に特定の位置関係を持たせて5個のIDタグ302a〜302eを組立台車301に取り付けている。IDタグ302a〜302eを通過順に非接触で検知可能なアンテナ303、リーダ装置304を組立台車301の移動経路に配置し、組立台車301がアンテナ303を通過する過程で、それぞれのIDタグ302a〜302eの検知時期を測定する。そして、図10の(b)に示すように、前記検知時期が近接したIDタグ302a〜302eの組み合わせを、前記特定の位置関係に基づいて評価する。これにより、組立台車301がアンテナ303を通過した際の組立台車301の向きを特定している。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】第1実施形態の移動情報検出システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図2】ID情報を持つ識別子の取り付け状態の説明図である。
【図3】読取装置の機能を説明するブロック図である。
【図4】リーダ装置におけるデータ処理のフローチャートである。
【図5】入り口と出口とにアンテナを設置した工程の説明図である。
【図6】工程の入り口と出口とにおける識別子の検知の説明図である。
【図7】識別子の検知順序に基づく進行方向の特定処理の説明図である。
【図8】識別子の検知の時間差に基づく移動速度の演算処理の説明図である。
【図9】第2実施形態の移動情報検出システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図10】識別子の取り付け状態と進行方向の特定処理の説明図である。
【図11】リーダ装置におけるデータ処理のフローチャートである。
【図12】組立台車の進行方向と識別子の検知順序との関係の一例の説明図である。
【図13】組立台車の進行方向と識別子の検知順序との関係の別の例の説明図である。
【図14】組立台車が工程内で方向転換した状態の説明図である。
【図15】検知エラーの一例の説明図である。
【図16】検知エラーの別の例の説明図である。
【図17】第3実施形態の移動情報検出システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図18】リーダ装置におけるデータ処理のフローチャートである。
【図19】図18のフローチャートにおける検出処理のフローチャートである。
【図20】図18のフローチャートにおける進行方向特定処理のフローチャートである。
【図21】複数のアンテナによるIDタグの読み取りシステムの説明図である。
【符号の説明】
【0175】
10、20、30 移動体情報検出システム
202 読取手段(1D読み取り部)
203 取得時期検知手段(クロック)
204 移動体識別手段(格納判断部)
205、905、1706 記憶手段(ID情報格納用バッファ、二次元配列格納部)
206、908、1707 方向識別手段(速度算出可否判断部、パターンマッチング部、進行方向検出部)
207、909、1708 速度演算手段(速度算出部)
208、910、1709 データ作成手段(検出情報格納用バッファ)
301 移動体(組立台車)
302 識別子、無線ICタグ(IDタグ)
303 アンテナ手段(アンテナ)
304 読取装置(リーダ装置)
305 制御装置(コントローラ)
306 サーバ手段(サーバ)
906 参照手段(メモリ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に取り付けた複数の無線識別子を検知する移動情報検出装置であって、
前記移動体の移動経路に配置されて、前記複数の無線識別子を通過する順に検知可能なアンテナ手段と、
前記アンテナ手段を通過する前記無線識別子の識別情報を、前記アンテナ手段を通じて通過順に取得する読取手段と、
前記識別情報に基づいて前記移動体を識別する移動体識別手段と、
前記識別情報の取得時期を検知する取得時期検知手段と、
前記無線識別子間の距離と前記取得時期とを用いて、前記移動体が前記アンテナ手段を通過する際の移動速度を演算する速度演算手段と、を備えたことを特徴とする移動情報検出装置。
【請求項2】
前記取得時期に基づいて前記移動体が前記アンテナ手段を通過する際の移動方向を識別する方向識別手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の移動情報検出装置。
【請求項3】
平面的に分散して移動体に3以上取り付けた無線識別子を検知する移動情報検出装置であって、
前記移動体の移動経路に配置されて、前記複数の無線識別子を通過する順に検知可能なアンテナ手段と、
前記アンテナ手段を通過する前記無線識別子の識別情報を、前記アンテナ手段を通じて通過順に取得する読取手段と、
前記識別情報に基づいて前記移動体を識別する移動体識別手段と、
前記識別情報の取得時期を検知する取得時期検知手段と、
前記取得時期に基づいて前記移動体が前記アンテナ手段を通過する際の移動方向を特定する方向識別手段と、
前記移動方向に応じた前記無線識別子間の距離と前記取得時期とを用いて、前記移動体が前記アンテナ手段を通過する際の移動速度を演算する速度演算手段と、を備えたことを特徴とする移動情報検出装置。
【請求項4】
取得した前記識別情報と前記取得時期とを前記無線識別子ごとに関連付けて保持する記憶手段と、
前記移動方向の可能な選択肢に対応させて前記識別情報の取得順序が個別に準備された参照手段と、を備え、
前記方向識別手段は、前記記憶手段に保持された前記取得時期に基づいて選択した前記識別情報と前記選択肢との照合度を演算して前記移動方向を識別することを特徴とする請求項2または3記載の移動情報検出装置。
【請求項5】
取得した前記識別情報と前記取得時期とを前記無線識別子の平面配置に関連付けて保持する記憶手段と、
前記移動方向の可能な選択肢に対応させて、取得順位ごとの前記識別情報の組み合わせが準備された参照手段と、を備え、
前記方向識別手段は、前記記憶手段に保持された前記取得時期に基づいて選択した前記識別情報と前記選択肢との照合度を演算して前記移動方向を識別することを特徴とする請求項2または3記載の移動情報検出装置。
【請求項6】
前記方向識別手段は、選択した前記識別情報が、予め定めた検出不可能な組み合わせに合致した場合と、予め定めた検出可能な組み合わせに合致しない場合との少なくとも一方であると、読み取りエラー処理を開始することを特徴とする請求項4または5項記載の移動情報検出装置。
【請求項7】
前記アンテナ手段は、前記無線識別子間の距離よりも短くて前記移動体の通過範囲に相当する長さの細長い検知領域を設定されていることを特徴とする請求項2乃至6いずれか1項記載の移動情報検出装置。
【請求項8】
前記読取手段は、タイムスロットを利用した読み取りの要求を、前記無線識別子の存在有無に関わらず、一回の読み取り機会が終了した時点で繰り返して行うことを特徴とする請求項2乃至7いずれか1項記載の移動情報検出装置。
【請求項9】
前記移動方向と前記移動速度と前記識別情報とを前記アンテナ手段の設置位置に関連付けた記録データを作成するデータ作成手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至7いずれか1項記載の移動情報検出装置。
【請求項10】
前記読取手段、前記取得時期検知手段、前記移動体識別手段、および前記速度演算手段を有する読取装置が前記アンテナ手段ごとに配置され、
複数の前記読取装置と通信可能に配置されて、前記読取装置から受信した前記記録データを処理する制御装置と、
前記制御装置と通信可能に配置されて、処理された前記記録データを記録保持するサーバ装置と、を備えたことを特徴とする請求項9記載の移動情報検出装置。
【請求項11】
前記読取手段を有する読取装置が前記アンテナ手段ごとに配置され、
複数の前記読取装置と通信可能に配置されて、前記読取装置から受信した前記識別情報を処理する制御装置と、
前記制御装置と通信可能に配置されて、処理された前記識別情報を記録保持するサーバ装置と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載の移動情報検出装置。
【請求項12】
前記移動経路に前記アンテナ手段が複数配置され、
前記制御装置は、前記アンテナ手段ごとに識別される前記移動方向に基づいて前記移動方向の変化を識別し、前記アンテナ手段の間の前記移動経路ごとに予め設定された前記移動方向の変化パターンに合致しない場合に異常事態処理を開始することを特徴とする請求項10または11記載の移動情報検出装置。
【請求項13】
仕掛品を運搬する組立台車または仕掛品に複数の無線識別子が取り付けられ、
前記仕掛品を組み立てる工程の入り口と出口とに前記アンテナ手段が配置され、
前記制御装置は、前記仕掛品の組立工程管理を行うことを特徴とする請求項10乃至12いずれか1項記載の移動情報検出装置。
【請求項14】
特定の位置関係を持たせた複数の識別子を移動体に取り付け、
前記複数の識別子を通過順に非接触で検知可能な読取装置を前記移動体の移動経路に配置し、
前記移動体が前記読取装置を通過する過程で、それぞれの前記識別子の検知時期を測定し、
前記位置関係に基づく前記識別子間の距離を、対応する前記検知時期の時間間隔で除して、前記移動体の移動速度を求めることを特徴とする移動速度検出方法。
【請求項15】
平面的に特定の位置関係を持たせて複数の識別子を移動体に取り付け、
前記複数の識別子を通過順に非接触で検知可能な読取装置を前記移動体の移動経路に配置し、
前記移動体が前記読取装置を通過する過程で、それぞれの前記識別子の検知時期を測定し、
複数の前記識別子の前記検知時期を、前記特定の位置関係に基づいて評価することにより、前記移動体が前記読取装置を通過した際の前記移動体の向きを求めることを特徴とする移動体の通過姿勢検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−205754(P2007−205754A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22282(P2006−22282)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】