説明

移動端末装置及びデータ送信方法

【課題】HSUPAのE−DPDCH上におけるデータ送信において、基地局から通知される受信結果がACKともNACKとも判定できない場合に、移動端末から1回目に再送されるデータ送信結果がNACKとなってしまう問題を解消する。
【解決手段】移動通信端末6のレートマッチング部12は、第1回目のデータ送信時に基地局から通知される受信結果がACKともNACKとも判定できない場合には、データを再び送信する際に、初送用のレートマッチング・パラメータに基づいて、チャネル符号化部11によって符号化されたデータをレートマッチングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA: High Speed Uplink Packet Access)のエンハンスト専用チャネル(E−DCH: Enhanced Dedicated Channel)上で送信データを基地局へ送信する移動端末装置及びデータ送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に、E−DCH上における従来のデータ送信フローを示す。ステップS10において移動端末装置は、基地局へエンハンスト個別物理制御チャネル(E−DPCCH: Enhanced Dedicated Physical Control Channel)を経由して、エンハンスト個別物理データチャネル(E−DPDCH: Enhanced Dedicated Physical Data Channel)の伝送フォーマット等の制御情報を送信し、ステップS11において移動端末装置は、基地局へE−DPDCH上を経由して、データを送信する。
【0003】
基地局は、ステップS12及びS13において、E−DPCCH及びE−DPDCHを経由して受信した信号を復号し、ステップS15において、受信結果をE−DCH HARQ確認指示チャネル(E−HICH: E-DCH HARQ Acknowledgement Indicator Channel)を介して移動端末装置へ送信する。このとき基地局は、E−DPDCHの復号結果が正常であれば受信結果としてACKを送信し、E−DPDCHの復号結果が異常であればNACKを送信する。
【0004】
基地局がACK又はNACKを送信する場合以外に、基地局がACK及びNACKのいずれも送信しない場合がある。例えば、E−DPCCHの復号結果が異常である場合には、基地局はステップS14において、E−DPDCHの受信結果を破棄し、S15においてACK及びNACKのいずれもE−HICH上で送信しない。このように基地局からACK及びNACKのいずれも送信しない状態を、以下「DTX」を表記することがある。
【0005】
移動端末装置は、1つ又は複数の基地局からE−HICH上で受信した受信信号を、各基地局毎にソフトコンバインした後、前回の送信したデータの受信結果がACKであるかNACKであるかを判定する。このとき移動端末装置は、複数の基地局から受信結果を受信したときは、これらの基地局のうち1つでもその受信結果がACKであれば、ACKと判定し次のデータを送信するが、それ以外の場合にはNACKと判定して前回送信したデータの再送を行う。
このとき、全ての無線リンクにおいてE−DPCCHの復号結果が異常であった場合には、これらの無線リンクのE−HICH上において送信される受信結果の内容が全てDTXとなり(ステップS16)、その結果として基地局は、前回送信したデータの再送を行う(ステップS17及びS18)。
【0006】
なお、下記特許文献1には、ユーザデータの再送制御を移動局及び基地局間の物理レイヤ及びMACサブレイヤにおいて行う際に、当該移動局が接続する無線基地局の数に応じてAck−DTX判定閾値を設定することが開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2006−295912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
移動端末装置から基地局へ送信されるデータは、ターボ符号化処理によってチャネル符号化され、レートマッチング処理によってチャネル符号化されたデータのサイズを伝送チャネルのデータサイズに合わせる。レートマッチング処理を決定するレートマッチング・パラメータの値は再送回数によって定まり、初送時、すなわち当該データを初めて送信する場合には、ターボ符号化されたチャネル符号化データのうちシステマチックビットが優先して送信され、1回目の再送時には、システマチックビットよりもパリティビットが優先して送信されるように定められている。このため、図1に示すフローのステップS17及びS18において再送されたデータは、パリティビットが優先して送信される。
【0009】
しかし、例えばE−DPCCHの復号結果が異常であった場合のように、ステップS14で基地局側で初送時のデータを破棄していた場合には、仮にステップS19及びS20においてE−DPCCH及びE−DPDCH上の信号を正常に復号できたとしても、所定の条件の下では、符号化前の送信データを必ず復号できない場合が生じる(ステップS21)。特に、チャネル符号化前のデータサイズと、物理チャネル上で伝送されるデータのデータサイズが同程度の場合には、再送されたパリティビットだけでは情報量が足りないため符号化前の送信データを復号できない。
【0010】
その結果、ステップS17及びS18でデータを再送しても、その受信結果としてNACKが送信され(ステップS22)、ステップS23でNACKを受信した移動端末装置はステップS24及びS25で2度目の再送を行わざるを得なくなる。
【0011】
開示の装置及び方法は、上記のように基地局から通知される受信結果がACKともNACKとも判定できない場合に、1回目に再送したデータ送信結果が必ずNACKとなってしまう問題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
開示の装置及び方法では、第1回目のデータ送信時に基地局から通知される受信結果がACKともNACKとも判定できない場合には、データを再び送信する際に、初送用のレートマッチング・パラメータに基づいてレートマッチング処理を行う。
【0013】
移動端末装置と無線リンクで接続されるどの基地局についてもACK及びNACKの判定ができないときに、初送用のレートマッチング・パラメータを使用することしてよい。また、どの基地局についてもACK信号が検出されず、かつNACK信号が検出された基地局との間の通信品質が所定の基準を満たすとき、初送用のレートマッチング・パラメータを使用することとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
基地局から通知される受信結果がACKともNACKとも判定できない場合に、2度目のデータ送信結果が必ずNACKとなってしまう問題が解消され、移動端末装置及び既知局間のアップリンクにおけるデータのスループットが改善される。
また、いずれかの基地局からNACKを受信しても、これらの基地局との通信品質が所定の基準を満たすときには初送用のレートマッチング・パラメータを使用することによりより信頼性の高い無線リンクによって接続された基地局から得た受信結果情報にしたがって、初送用及び再送用のいずれのレートマッチング・パラメータを使用すべきかの判定を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付する図面を参照して実施例を説明する。図2は、開示の通信システムの概略構成図である。通信システム1は、HSUPAをサポートする通信システムであり、パケット交換ネットワークや回線交換ネットワークを含むコアネットワーク2と、コアネットワーク2に接続された無線ネットワーク制御装置3(RNC)と、無線ネットワーク制御装置R3に接続された基地局4及び5と、移動端末装置6(UE)とを含んでいる。
図示の例では、基地局4は複数のセルC1〜C3をカバーしており、移動端末装置6と基地局4とは同時に複数の無線リンクRL1及びRL2で接続されている。また基地局5は複数のセルC4及びC5をカバーしており、移動端末装置6は、基地局4だけでなく基地局5とも同時に接続されている。移動端末装置6と基地局5との間の無線リンクは参照符号RL3によって示されている。
【0016】
図3は、開示の移動端末装置の概略構成図である。図3の構成図はHSUPAをサポートする移動端末装置として備える各機能のうち、本明細書にて開示されるデータの再送機能及び再送方法の説明に関係する機能のみ記載しており、HSUPAをサポートする移動端末装置として移動端末装置6が備えるべき他の機能については説明を省略する。
移動端末装置6は、送信データの生成又は処理を行うベースバンド処理部10と、ベースバンド処理部10から出力される送信データにターボ符号化処理を行いチャネル符号化データ(S、P1、P2)を生成するチャネル符号化部11と、チャネル符号化データ(S、P1、P2)にパンクチャリング処理やレペティション処理を含むレートマッチング処理を施し、チャネル符号化されたデータのサイズを伝送チャネルのデータサイズに合わせた伝送データを生成するレートマッチング部12と、E−DPDCHを介して伝送データを、E−DPCCHを介してE−DPDCHの伝送フォーマットなどの制御情報を送信する送信部13と、レートマッチング部12行うレートマッチング処理の動作を定めるレートマッチング・パラメータを設定するパラメータ設定部14と、を備える。
【0017】
また、移動端末装置6は、E−DPDCHを介して送信された上記データの受信結果に関して、基地局4及び5がE−HICHを介して送信した受信結果情報を受信する受信部15と、受信部15が受信した受信信号に基づいて、基地局4及び5から送信されるACK信号又はNACK信号を検出する受信結果検出部16を備える。受信品質測定部17については後述する。
【0018】
受信結果検出部16は、基地局4及び5によって所定の拡散コードで拡散されたACK信号又はNACK信号を逆拡散することによってこれらの信号を検出し、基地局4及び5から受信した受信結果情報がACK、NACK又はこれらの何れでもないDTXであるかを、パラメータ設定部14に通知する。
【0019】
パラメータ設定部14は、受信結果検出部16がNACK信号を検出したとき、前回送信したチャネル符号化データ(S、P1、P2)にレートマッチング処理を施すレートマッチング部12に、再送用のレートマッチング・パラメータを設定する。第1回目の再送用のレートマッチング・パラメータを設定されたレートマッチング部12は、誤り訂正符号であるパリティビットP1及びP2を優先して伝送データを生成する。
【0020】
一方で、受信結果検出部16がACK信号もNACK信号も検出しないとき、すなわちDTXとなる状態では、パラメータ設定部14は、前回送信したチャネル符号化データ(S、P1、P2)にレートマッチング処理を施すレートマッチング部12に、初送用のレートマッチング・パラメータを設定する。初送用のレートマッチング・パラメータを設定されたレートマッチング部12は、システマチックビットSを優先して伝送データを生成する。
【0021】
特に、物理チャネルを伝送する伝送データのデータ長と符号化前のデータ長とがほぼ同じ場合には、ターボ符号化後のチャネル符号化データのデータ長はほぼ伝送データのデータ長の3倍程度となる。
このとき、第1回目の再送用のレートマッチング・パラメータが設定されたレートマッチング部12が生成する伝送データは、パリティビットP1及びP2をほぼ50%ずつ含んだデータであり、元の送信データを再現するにはデータが必ず不足する。したがって再送されたデータのみから基地局側で元のデータを再現することはできない。
【0022】
一方で、初送用のレートマッチング・パラメータが設定されたレートマッチング部12が生成する伝送データは、最低でも全てのシステマチックビットを含んでいるので、このデータのみから元の送信データを再現することができる。このようにして、開示の装置及び方法は、第1回目に再送されたデータの受信結果がACKとなる可能性を高めて第2回目の再送の発送を避けることによってスループットを向上させる。
開示の装置及び方法は、第1回目の再送用のレートマッチング・パラメータが設定されたレートマッチング部12が出力する伝送データが、元の送信データを再現するのに必要な全ての情報を含まなくなる場合に良好な効果を発揮する。したがって、物理チャネルを伝送する伝送データのデータ長に対する符号化前のデータ長の比が1〜1/2程度の場合に特に良好な効果を発揮する。
【0023】
図4は、開示のデータ送信方法によるE−DCH上におけるデータ送信フローを示す図である。ステップS10〜S16は、図1を参照して説明したフローと同様である。
基地局4及び5がE−HICHを介して送信した受信結果を示す信号を、移動端末装置6の受信部15が受信し、ステップS16において、受信結果検出部16が受信信号を復号してACK信号又はNACK信号を検出する。
【0024】
受信結果検出部16が、現在接続中の無線リンクのうちいずれかでNACK信号を検出した場合には、パラメータ設定部14は従来と同様に第1回目の再送用のレートマッチング・パラメータを生成する。
受信結果検出部16が、現在接続中のいずれの無線リンクでもACK信号又はNACK信号を検出しない場合には、受信結果検出部16は、ACK信号及びNACK信号のいずれも検出されなかったDTX状態であることをパラメータ設定部14に通知し、ステップS30にてパラメータ設定部14は、初送用のレートマッチング・パラメータを生成する。
【0025】
レートマッチング部12は、パラメータ設定部14により生成された初送用のレートマッチング・パラメータに従って、システマチックビットSを優先して含んだ初送用のデータを伝送データを生成し、E−DPCCH及びEーDPDCHを経由して伝送データが基地局へ送信される(ステップS31及びS32)。
【0026】
基地局4及び5では、受信データが正常に復号できると(ステップS33及びS34)、受信データにはチャネル符号化前の元データを再現する全ての情報が含まれているので、ステップS35において元データを再現することができる。したがって、図1を参照した説明した従来のフローと異なり、基地局4及び5は、2回目の再送を要求することなくACK信号を移動端末装置6に送信することができる(ステップS36)。移動端末装置6の受信部15及び受信結果検出部は、それぞれACK信号を受信及び復号して当該データの送信処理が完了する。
【0027】
上記の実施例では、基地局4及び5と移動端末装置6との間を接続する全ての無線リンクにおいて受信結果がDTXであった場合に、初送用の伝送データを再度送信した。
しかしながら、例えば、通信結果が最も信頼できる基地局との間を接続する無線リンクであるServing RLにおける判定結果がDTXであった場合には、たとえNon-Serving RLにおける判定結果がNACKであったとしても、初送用の伝送データを再度送信することで2回目の再送の発生を低減することができる。
【0028】
このため図3に示す移動端末装置6は、現在接続中の無線リンクにおける受信品質を測定する受信品質測定部17を備える。
例えば、受信品質測定部17は、受信部15にて検出した受信電波のSIR(受信信号電力対干渉電力比)を受信品質として測定してよい。また受信データのビット誤り率を受信品質として測定してもよい。
【0029】
受信結果検出部16が、接続中の基地局のいずれからもACK信号を受信したことを検出しないときには、パラメータ設定部14は、受信品質測定部17が各基地局毎に測定した受信品質の指数を参照し、NACK信号が検出された基地局について測定された受信品質が所定の基準を満たすときには、レートマッチング部12に、初送用のレートマッチング・パラメータを設定する。
一方で、接続中の基地局のいずれからもACK信号を受信したことが検出されず、NACK信号が検出された基地局について測定された受信品質が上記の所定の基準を満たさないときには、レートマッチング部12に、第1回目の再送用のレートマッチング・パラメータを設定する。
【0030】
図5は、開示のデータ送信方法におけるデータ再送手順を示すフローチャートである。
ステップS50において、移動端末装置6は、基地局に対して、データの第1回目の送信を行う。このとき、レートマッチング部12は、初送用のレートマッチング・パラメータを用いてチャネル符号化データのレートマッチングを行う。
ステップS51において、基地局は、ステップS50で送信された受信結果の判定を行う。現在無線リンクで接続されている全て基地局から送信された受信結果がACKであれば、移動端末装置6は、処理をS50に移して次のデータの第1回目の送信を行う。
【0031】
現在無線リンクで接続されている基地局のうち受信結果がACKでない基地局がある場合には、ステップS52において受信品質測定部17は、受信部15にて検出した受信信号の品質を各基地局毎に測定する。受信品質測定部17は、各基地局毎の受信品質の指数を決定する。
例えば指数は、最も受信品質が高い基地局からの受信品質の測定値に対する、各基地局からの受信品質の測定値の比として求めてもよい。
【0032】
以下の説明のため、例えば、移動端末装置6が、4つの基地局BS0〜BS3と接続されており、各基地局BS0〜BS3について決定した指数がそれぞれ1.0、0.75、0.5及び0.1であり、かつ基地局BS0及びBS1による受信結果はDTXであり、基地局BS2及びBS3による受信結果はNACKであったと仮定する。
【0033】
ステップS53において、パラメータ設定部14は、受信結果がDTXと判定された基地局以外の他の基地局における受信品質の指数の合計値を算出する。上述の例では、基地局BS2及びBS3による受信結果がDTXでないため、これらの基地局における受信品質の指数の合計値(0.5+0.1=0.6)を算出する。
【0034】
ステップS54では、ステップS53で算出した合計値が所定の閾値未満であるか否かを判定する。
判定の結果、上記合計値が所定の閾値未満である場合には、受信結果がDTXでない基地局(本例では基地局BS2及びBS3)における受信品質が許容される値より低いと考えられる。このため、これらの基地局による受信結果を採用しないこととし、ステップS55においてパラメータ設定部14は、初送用のレートマッチング・パラメータをレートマッチング部12に設定する。このため、初送用の伝送データが基地局BS0〜BS3へ再度送信される。
例えば、上記の例では、閾値が0.625に予め設定されていると、ステップS53において算出した合計値0.6は閾値より小さいため、処理がステップS55に移り、初送用の伝送データが基地局BS0〜BS3へ再度送信されることになる。
【0035】
一方ステップS54における判定の結果、上記合計値が所定の閾値未満である場合には、受信結果がDTXでない基地局(本例では基地局BS2及びBS3)における受信品質が許容値を満たすと考えられる。このため、ステップS56においてパラメータ設定部14は、再送第1回目用のレートマッチング・パラメータをレートマッチング部12に設定する。このため、再送第1回目用の伝送データが基地局BS0〜BS3へ再度送信される。
【0036】
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0037】
(付記1)
高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)のエンハンスト個別物理データチャネル(E−DPDCH)上で送信データを基地局へ送信する移動端末装置であって、
前記送信データの送信が初送及び再送のいずれであるかに応じて定まるレートマッチング・パラメータに従って、前記送信データのチャネル符号化データをパンクチャリングして伝送データを生成するレートマッチング部と、
前記伝送データを基地局に送信する送信部と、
前記伝送データの受信結果に関して前記基地局から送信されるACK信号又はNACK信号を検出する受信結果検出部と、
前記送信データの初送時に送信された前記伝送データについて、前記受信結果検出部がACK信号及びNACK信号のいずれも検出しないとき、当該送信データを再び送信するための前記チャネル符号化データのレートマッチングに使用する前記レートマッチング・パラメータとして、初送用のレートマッチング・パラメータを設定するパラメータ設定部と、
を備える移動端末装置。(1、図3)
【0038】
(付記2)
前記レートマッチング部は、再送用のレートマッチング・パラメータが指定されるとき、誤り検出符号を含む前記伝送データを生成する付記1に記載の移動端末装置。
【0039】
(付記3)
前記パラメータ設定部は、前記移動端末装置と無線リンクで接続されるどの基地局についてもACK信号及びNACK信号のいずれも検出されないとき、当該初送の送信データを再び送信する際の前記レートマッチング・パラメータとして、初送用のレートマッチング・パラメータを設定する、付記1に記載の移動端末装置。(2、図4)
【0040】
(付記4)
前記移動端末装置と基地局の間の通信品質を測定する通信品質測定部を備え、
前記移動端末装置と無線リンクで接続されるどの基地局についてもACK信号が検出されず、かつNACK信号が検出された基地局との間の通信品質が所定の基準を満たすとき、当該初送の送信データを再び送信する際の前記レートマッチング・パラメータとして、初送用のレートマッチング・パラメータを設定する、付記1に記載の移動端末装置。(3、図5)
【0041】
(付記5)
高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)のエンハンスト個別物理データチャネル(E−DPDCH)上における、移動端末装置から基地局へのデータ送信方法であって、
送信データの送信が初送及び再送のいずれであるかに応じて定まるレートマッチング・パラメータに従って、前記送信データのチャネル符号化データをパンクチャリングすることにより該チャネル符号化データのレートマッチング処理を行い、
前記符号化データをパンクチャリングして得た伝送データを基地局へ送信し、
前記伝送データの受信結果に関して前記基地局から送信されるACK信号又はNACK信号を検出し、
前記送信データの初送時に送信された前記伝送データについて、ACK信号及びNACK信号のいずれも検出されないとき、該送信データを再び送信するために、初送用のレートマッチング・パラメータに基づいて、前記チャネル符号化データの前記レートマッチング処理を行う、ことを特徴とするデータ送信方法。(4、図4)
【0042】
(付記6)
前記レートマッチング処理は、再送用のレートマッチング・パラメータが指定されるとき、誤り検出符号を含む前記伝送データを生成する付記5に記載のデータ送信方法。
【0043】
(付記7)
前記移動端末装置と無線リンクで接続されるどの基地局についてもACK信号及びNACK信号のいずれも検出されないとき、初送用のレートマッチング・パラメータに基づいて、前記チャネル符号化データの前記レートマッチング処理を行う、付記5に記載のデータ送信方法。
【0044】
(付記8)
前記移動端末装置と基地局の間の通信品質を測定し、
前記移動端末装置と無線リンクで接続されるどの基地局についてもACK信号が検出されず、かつNACK信号が検出された基地局との間の通信品質が所定の基準を満たすとき、初送用のレートマッチング・パラメータに基づいて、前記チャネル符号化データの前記レートマッチング処理を行う、付記5に記載のデータ送信方法。(図5)
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】E−DCH上における従来のデータ送信フローを示す図である。
【図2】開示の通信システムの概略構成図である。
【図3】開示の移動端末装置の概略構成図である。
【図4】開示のデータ送信方法によるE−DCH上におけるデータ送信フローを示す図である。
【図5】開示のデータ送信方法におけるデータ再送手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 通信システム
2 コアネットワーク
3 無線ネットワーク制御装置
4、5 基地局
6 移動端末装置
C1〜C5 セル
RL1〜RL3 無線リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速アップリンクパケットアクセスのエンハンスト個別物理データチャネル上で送信データを基地局へ送信する移動端末装置であって、
前記送信データの送信が初送及び再送のいずれであるかに応じて定まるレートマッチング・パラメータに従って、前記送信データのチャネル符号化データをパンクチャリングして伝送データを生成するレートマッチング部と、
前記伝送データを基地局に送信する送信部と、
前記伝送データの受信結果に関して前記基地局から送信されるACK信号又はNACK信号を検出する受信結果検出部と、
前記送信データの初送時に送信された前記伝送データについて、前記受信結果検出部がACK信号及びNACK信号のいずれも検出しないとき、当該送信データを再び送信するための前記チャネル符号化データのレートマッチングに使用する前記レートマッチング・パラメータとして、初送用のレートマッチング・パラメータを設定するパラメータ設定部と、
を備える移動端末装置。
【請求項2】
前記パラメータ設定部は、前記移動端末装置と無線リンクで接続されるどの基地局についてもACK信号及びNACK信号のいずれも検出されないとき、当該初送の送信データを再び送信する際の前記レートマッチング・パラメータとして、初送用のレートマッチング・パラメータを設定する、請求項1に記載の移動端末装置。
【請求項3】
前記移動端末装置と基地局の間の通信品質を測定する通信品質測定部を備え、
前記移動端末装置と無線リンクで接続されるどの基地局についてもACK信号が検出されず、かつNACK信号が検出された基地局との間の通信品質が所定の基準を満たすとき、当該初送の送信データを再び送信する際の前記レートマッチング・パラメータとして、初送用のレートマッチング・パラメータを設定する、請求項1に記載の移動端末装置。
【請求項4】
高速アップリンクパケットアクセスのエンハンスト個別物理データチャネル上における、移動端末装置から基地局へのデータ送信方法であって、
送信データの送信が初送及び再送のいずれであるかに応じて定まるレートマッチング・パラメータに従って、前記送信データのチャネル符号化データをパンクチャリングすることにより該チャネル符号化データのレートマッチング処理を行い、
前記符号化データをパンクチャリングして得た伝送データを基地局へ送信し、
前記伝送データの受信結果に関して前記基地局から送信されるACK信号又はNACK信号を検出し、
前記送信データの初送時に送信された前記伝送データについて、ACK信号及びNACK信号のいずれも検出されないとき、該送信データを再び送信するために、初送用のレートマッチング・パラメータに基づいて、前記チャネル符号化データの前記レートマッチング処理を行う、ことを特徴とするデータ送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−302864(P2009−302864A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154536(P2008−154536)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】