説明

移動通信システムおよび移動局装置

【課題】移動局装置から送信される非周期的なサウンディングリファレンスシグナルを利用した、基地局装置によるチャネル推定の精度を向上することができる移動通信システム、移動局装置、および通信方法を提供する。
【解決手段】基地局装置(100)は、サウンディングリファレンスシグナルの周波数ホッピング周期を含む無線リソース制御信号を移動局装置MS1(200)へ通知し、サウンディングリファレンスシグナルの送信指示を含む下りリンク制御情報フォーマットを前記移動局装置(200)へ通知し、前記移動局装置(200)は、前記無線リソース制御信号に従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの周波数ホッピング周期を設定し、前記下りリンク制御情報フォーマットに従って、前記周波数ホッピング周期を基に算出した周波数ポジションでサウンディングリファレンスシグナルを前記基地局装置(100)へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置および移動局装置から構成される移動通信システムおよび通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)は、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)と、GSM(Global System for Mobile Communications)とを発展させたネットワークを基本した移動通信システムの仕様の検討・作成を行なうプロジェクトである。3GPPでは、W−CDMA方式が第3世代セルラー移動通信方式として標準化され、順次サービスが開始されている。また、通信速度をさらに高速化させたHSDPA(High-speed Downlink Packet Access)も標準化され、サービスが開始されている。3GPPでは、第3世代無線アクセス技術の進化(以下、「LTE(Long Term Evolution)」または「EUTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)」とも呼称する)、および、より広帯域な周波数帯域を利用して、さらに高速なデータの送受信を実現する移動通信システム(以下、「LTE−A(Long Term Evolution-Advanced)」または「Advanced−EUTRA」とも呼称する)に関する検討が進められている。
【0003】
LTEにおける通信方式としては、互いに直交するサブキャリアを用いてユーザ多重化を行なうOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式、および、SC−FDMA(Single Carrier-Frequency Division Multiple Access)方式が検討されている。すなわち、下りリンクでは、マルチキャリア通信方式であるOFDMA方式が、上りリンクでは、シングルキャリア通信方式であるSC−FDMA方式が提案されている。
【0004】
一方、LTE−Aにおける通信方式としては、下りリンクでは、OFDMA方式が、上りリンクでは、SC−FDMA方式に加えて、Clustered−SC−FDMA(Clustered-Single Carrier-Frequency Division Multiple Access、DFT-s-OFDM with Spectrum Division Control、DFT-precoded OFDMとも呼称される)方式を導入することが検討されている。ここで、LTEおよびLTE−Aにおいて、上りリンクの通信方式として提案されているSC−FDMA方式、Clustered−SC−FDMA方式は、シングルキャリア通信方式の特性上(シングルキャリア特性によって)、データ(情報)を送信する際のPAPR(Peak to Average Power Ratio:ピーク電力対平均電力比、送信電力)を低く抑えることができるという特徴を持っている。
【0005】
また、LTE−Aでは、一般的な移動通信システムで使用する周波数帯域は連続であるのに対し、連続および/または不連続な複数の周波数帯域(以下、「コンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)」または「キャリアコンポーネント(CC:Carrier Component)」とも呼称する)を複合的に使用して、1つの広帯域な周波数帯域として運用する(周波数帯域集約:Carrier aggregationとも呼称される)ことが提案されている。また、基地局装置と移動局装置が、広帯域な周波数帯域をより柔軟に使用して通信するために、下りリンクの通信に使用される周波数帯域と上りリンクの通信に使用される周波数帯域を異なる周波数帯域幅とする(非対称周波数帯域集約:Asymmetric carrier aggregation)ことも提案されている(非特許文献1)。
【0006】
図8は、従来の技術における周波数帯域集約された移動通信システムを説明する図である。図8に示されるような下りリンク(DL:Down Link)の通信に使用される周波数帯域と上りリンク(UL:Up Link)の通信に使用される周波数帯域を同じ帯域幅とすることは、対称周波数帯域集約(Symmetric carrier aggregation)とも呼称される。図8に示すように、基地局装置と移動局装置は、連続および/または不連続な周波数帯域である複数のコンポーネントキャリアを複合的に使用することによって、複数のコンポーネントキャリアによって構成される広帯域な周波数帯域で通信を行うことができる。
【0007】
図8では、例として、100MHzの帯域幅を持った下りリンクの通信に使用される周波数帯域(DLシステム帯域(幅)でも良い)が、20MHzの帯域幅を持った5つの下りリンクコンポーネントキャリア(DCC1:Downlink Component Carrier1、DCC2、DCC3、DCC4、DCC5)によって構成されていることを示している。また、例として、100MHzの帯域幅を持った上りリンクの通信に使用される周波数帯域(ULシステム帯域(幅)でも良い)が、20MHzの帯域幅を持った5つの上りリンクコンポーネントキャリア(UCC1:Uplink Component Carrier1、UCC2、UCC3、UCC4、UCC5)によって構成されていることを示している。
【0008】
図8において、下りリンクコンポーネントキャリアそれぞれには、物理下りリンク制御チャネル(以下、PDCCH:Physical Downlink Control Channel)、物理下りリンク共用チャネル(以下、PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)等の下りリンクのチャネルが配置される。
【0009】
基地局装置は、PDSCHを使用して送信される下りリンクトランスポートブロックを送信するための下りリンク制御情報(DCI:Downlink Control Information)を、PDCCHを使用して移動局装置へ割り当て(スケジュールし)、PDSCHを使用して、下りリンクトランスポートブロックを移動局装置へ送信する。ここで、図8において、基地局装置は、同一サブフレームで、最大5つまでの下りリンクトランスポートブロック(PDSCHでも良い)を移動局装置へ送信することができる。
【0010】
また、上りリンクコンポーネントキャリアそれぞれには、物理上りリンク制御チャネル(以下、PUCCH:Physical Uplink Control Channel)、物理上りリンク共用チャネル(以下、PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)等の上りリンクのチャネルが配置される。
【0011】
移動局装置は、PUCCHおよび/またはPUSCHを使用して、下りリンクのチャネル状態を示すチャネル状態情報(CSI:Channel Statement information)や、下りリンクトランスポートブロックに対するHARQにおけるACK/NACK(肯定応答:Positive Acknowledgement/否定応答:Negative Acknowledgement)を示す情報や、スケジューリング要求(SR:Scheduling Request)などの上りリンク制御情報(UCI:Uplink Control Information)を基地局装置へ送信する。ここで、図8において、移動局装置は、同一サブフレームで、最大5つまでの上りリンクトランスポートブロック(PUSCHでも良い)を基地局装置へ送信することができる。
【0012】
また、LTE−Aでは、基地局装置が、上りリンクのチャネルを測定するために、移動局装置が、参照信号(以下、サウンディングリファレンスシグナル、SRS:Sounding Reference Signalとも呼称する)を、上りリンクを使用して基地局装置へ送信することが検討されている。基地局装置は、移動局装置から送信されるSRSに基づいて、移動局装置をスケジューリングし、例えば、PUSCHリソースの割り当てやPUSCHに施すべき変調方式、符号化率の決定などを行う。
【0013】
移動局装置によるSRSの送信に関しては、基地局装置が、移動局装置に対して、周期的なSRS(以下、P−SRS:Periodic SRSとも呼称する)の送信に加えて、非周期的なSRS(以下、A−SRS:Aperiodic SRS、Dynamic SRS、Scheduled SRSとも呼称する)の送信を指示(要求、トリガ)することが検討されている。例えば、基地局装置は、移動局装置に対して、上りリンクに対する下りリンク制御情報フォーマット(DCIフォーマット、アップリンクグラント:UL grant、アップリンクアサインメント:Uplink assignmentとも呼称する)を使用して、A−SRSの送信を指示することが提案されている(非特許文献2)。
【0014】
また、移動局装置が、1回の送信指示に対して1回の非周期的なSRS(A−SRS)の送信を行うこと(シングルショットA−SRS送信)が提案されている(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】"Carrier aggregation in LTE-Advanced", 3GPP TSG RAN WG1 Meeting #53bis, R1-082468, June 30-July 4, 2008.
【非特許文献2】"Further Details on SRS for Release 10", 3GPP TSG RAN WG1 Meeting #60bis, R1-101746, April 12-16, 2010.
【非特許文献3】"Further Details on dynamic aperiodic SRS", 3GPP TSG RAN WG1 Meeting #62bis, R1-105582, October 11-15, 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来の技術では、移動局装置が、送信サブフレーム毎でSRSを送信する際の送信回数(累積のSRSサブフレーム数)は、移動局装置固有に設定される送信周期(サブフレーム周期、送信間隔)とサブフレームインデックス(SRSを送信するサブフレームの番号)を用いて、移動局装置によって算出されていた。
【0017】
また、移動局装置が、SRSを送信する周波数ポジションは、SRSを送信する回数を基に移動局装置によって算出されていた。すなわち、移動局装置が、SRSを送信する際に周波数ホッピングを適用する場合、SRSを送信した次の送信タイミングでは、必ず異なる送信回数になるため、移動局装置が算出する周波数ポジションはSRS送信毎に異なっていた。ここで、移動局装置は、SRSを所定の回数まで送信することによって、所望の周波数帯域幅をカバーしたSRSを送信することができる。
【0018】
すなわち、移動局装置が、同一の周波数ポジションでSRSを送信するためには、所定のサイクル(所定のSRSサブフレームの期間)を要することになる。しかしながら、時間領域に適用するノイズフィルタの帯域はその所定のサイクルにおけるチャネルの時間変動を考慮すると十分に狭帯域化することができず、結果として、チャネル推定の精度が劣化し、変調符号化方式(MCS: Modulation and Coding Scheme)や複数の送信アンテナの位相制御を行うためのプレコーダ(Precoder)の推定精度を十分に高めることができないという問題が発生してしまう。
【0019】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、移動局装置から送信されるA−SRSを利用した基地局装置によるチャネル推定の精度を向上することができる移動通信システム、基地局装置、移動局装置、および通信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の移動通信システムは、基地局装置と移動局装置から構成される移動通信システムであって、前記基地局装置は、サウンディングリファレンスシグナルの周波数ホッピング周期を含む無線リソース制御信号を前記移動局装置へ通知し、サウンディングリファレンスシグナルの送信指示を含む下りリンク制御情報フォーマットを前記移動局装置へ通知し、前記移動局装置は、前記無線リソース制御信号に従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの周波数ホッピング周期を設定し、前記下りリンク制御情報フォーマットに従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの送信指示が含まれている場合には、前記周波数ホッピング周期を基に算出されたサウンディングリファレンスシグナルの周波数ポジションでサウンディングリファレンスシグナルを前記基地局装置へ送信することを特徴としている。
【0021】
(2)また、前記移動局装置は、前記周波数ホッピング周期がサウンディングリファレンスシグナルを送信可能なサブフレームの周期よりも長い周期が設定された場合には、前記周波数ホッピング周期を基に周波数ポジションを算出し、前記周波数ホッピング周期がサウンディングリファレンスシグナルを送信可能なサブフレームの周期よりも短い周期が設定された場合には、前記サウンディングリファレンスシグナルを送信可能なサブフレームの周期を基に周波数ポジションを算出することを特徴としている。
【0022】
(3)また、基地局装置と移動局装置から構成される移動通信システムであって、前記基地局装置は、サウンディングリファレンスシグナルの周波数ホッピング周期とサウンディングリファレンスシグナルの送信指示が通知された場合送信される非周期サウンディングリファレンスシグナルの送信周期およびサブフレームオフセットを含む無線リソース制御信号を前記移動局装置へ通知し、サウンディングリファレンスシグナルの送信指示を含む下りリンク制御情報フォーマットを前記移動局装置へ通知し、前記移動局装置は、前記無線リソース制御信号に従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの周波数ホッピング周期と非周期サウンディングリファレンスシグナルの周期およびサブフレームオフセットを設定し、前記下りリンク制御情報フォーマットに従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの送信指示が含まれている場合には、周波数ホッピング周期を基に算出された周波数ポジションでサウンディングリファレンスシグナルを前記基地局装置へ送信することを特徴としている。
【0023】
(4)また、前記移動局装置は、前記非周期サウンディングリファレンスシグナルの送信周期が前記周波数ホッピング周期より短い場合には、前記周波数ホッピング周期を基に、サウンディングリファレンスシグナルの周波数ポジションを算出し、前記非周期サウンディングリファレンスシグナルの送信周期が前記周波数ホッピング周期より長い場合には、前記非周期サウンディングリファレンスシグナルの送信周期を基に、サウンディングリファレンスシグナルの周波数ポジションを算出することを特徴としている。
【0024】
(5)また、基地局装置と移動局装置から構成される移動通信システムにおける移動局装置であって、前記無線リソース制御信号に従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの周波数ホッピング周期を設定する手段と、前記下りリンク制御情報フォーマットに従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの送信指示が含まれている場合には、前記周波数ホッピング周期を基に算出されたサウンディングリファレンスシグナルの周波数ポジションでサウンディングリファレンスシグナルを前記基地局装置へ送信する手段と、を有することを特徴としている。
【0025】
(6)また、前記移動局装置は、前記周波数ホッピング周期がサウンディングリファレンスシグナルを送信可能なサブフレームの周期よりも長い周期が設定された場合には、前記周波数ホッピング周期を基に周波数ポジションを算出し、前記周波数ホッピング周期がサウンディングリファレンスシグナルを送信可能なサブフレームの周期よりも短い周期が設定された場合には、前記サウンディングリファレンスシグナルを送信可能なサブフレームの周期を基に周波数ポジションを算出する手段を有することを特徴としている。
【0026】
(7)また、基地局装置と移動局装置から構成される移動通信システムにおける移動局装置であって、前記無線リソース制御信号に従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの周波数ホッピング周期と非周期サウンディングリファレンスシグナルの周期およびサブフレームオフセットを設定する手段と、前記下りリンク制御情報フォーマットに従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの送信指示が含まれている場合には、周波数ホッピング周期を基に算出された周波数ポジションにサウンディングリファレンスシグナルを配置し、前記基地局装置へ送信する手段と、を有することを特徴としている。
【0027】
(8)また、前記移動局装置は、前記非周期サウンディングリファレンスシグナルの送信周期が前記周波数ホッピング周期より短い場合には、前記周波数ホッピング周期を基に、サウンディングリファレンスシグナルの周波数ポジションを算出し、前記非周期サウンディングリファレンスシグナルの送信周期が前記周波数ホッピング周期より長い場合には、前記非周期サウンディングリファレンスシグナルの送信周期を基に、サウンディングリファレンスシグナルの周波数ポジションを算出する手段を有することを特徴としている。
【0028】
このように、基地局装置は、移動局装置に対して周波数ホッピング周期を設定することで、A−SRSのリソース割り当てをより柔軟に行うことができ、A−SRSを利用した基地局装置によるチャネル推定の精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、移動局装置から送信されるA−SRSを利用した基地局装置によるチャネル推定の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る物理チャネルの構成を概念的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基地局装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る移動局装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】移動局装置による周期的なSRS(P−SRS、A−SRS)送信と非周期的なSRS(A−SRS)の送信の例を示す図である。
【図5】移動局装置が、シングルショットA−SRSを送信する際に、基地局装置によって周波数ホッピング周期が設定された場合の動作の一例を示す図である。
【図6】移動局装置が、マルチショットA−SRSを送信する際に、基地局装置によって周波数ホッピング周期が設定された場合の動作の一例を示す図である。
【図7】移動局装置が、シングルショットA−SRSを送信する際に、基地局装置によって周波数ホッピング周期とA−SRS固有の送信可能サブフレームが設定された場合の動作の一例を示す図である。
【図8】従来の技術における周波数帯域集約の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態におけるチャネルの一構成例を示す図である。下りリンクの物理チャネルは、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)、物理下りリンク共用チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)によって構成される。上りリンクの物理チャネルは、物理上りリンク共用チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)によって構成される。
【0032】
また、基地局装置は、下りリンク参照信号(DRS:Downlink Reference Signal、下りリンクパイロット信号、下りリンクパイロットチャネルとも呼称する)を、移動局装置へ送信する。また、移動局装置は、上りリンク参照信号(URS:Uplink Reference Signal、上りリンクパイロット信号、上りリンクパイロットチャネルとも呼称する)を基地局装置へ送信する。ここで、上りリンク参照信号には、基地局装置が、主に、PUCCHおよび/またはPUSCHを復調するために使用する復調参照信号(DRS:Demodulation Reference Signal)が含まれる。また、上りリンク参照信号には、基地局装置が、主に、上りリンクのチャネル状態を推定するために使用するサウンディング参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)が含まれる。
【0033】
PDCCHは、PDSCHのリソース割り当て、下りリンクデータに対するHARQ処理情報、および、PUSCHのリソース割り当てなどを、移動局装置に通知(指定)するために使用されるチャネルである。PDCCHは、複数の制御チャネル要素(CCE:Control Channel Element)から構成され、移動局装置は、CCEから構成されるPDCCHを検出することによって、基地局装置からのPDCCHを受信する。このCCEは、周波数、時間領域において分散している複数のリソースエレメントグループ(REG:Resource Element Group、mini-CCEとも呼ばれる)によって構成される。ここで、リソースエレメントとは、1OFDMシンボル(時間成分)、1サブキャリア(周波数成分)で構成される単位リソースである。
【0034】
また、PDCCHによって送信される下りリンク制御情報(DCI:Downlink Control Information)には、複数のフォーマットが定義される。以下、下りリンク制御情報のフォーマットを、DCIフォーマット(DCI format)とも呼称する。
【0035】
例えば、下りリンクに対するDCIフォーマットとしては、基地局装置が、PDSCHを1つの送信アンテナポート、または、複数の送信アンテナポートを使用して送信ダイバーシチ方式で送信する際に用いられるDCIフォーマット1/1Aが定義される。また、例えば、下りリンクに対するDCIフォーマットとしては、基地局装置が、PDSCHを、MIMO(Multiple Input Multiple Output)を利用したSM(空間多重:Spatial Multiplexing)で送信する際に用いられるDCIフォーマット2が定義される。
【0036】
基地局装置は、下りリンクに対するDCIフォーマットにA−SRSの送信指示を含めて移動局装置へ送信することによって、移動局装置に対して、A−SRSの送信を指示することができる。
【0037】
また、例えば、上りリンクに対するDCIフォーマットとしては、移動局装置が、PUSCHを1つの送信アンテナポートで送信する際に用いられるDCIフォーマット0が定義される。また、例えば、上りリンクスケジューリングに対するDCIフォーマットとしては、移動局装置が、PUSCHを、MIMOを利用したSMで送信する際に用いられるDCIフォーマット0Aが用意される。
【0038】
基地局装置は、上りリンクに対するDCIフォーマットにA−SRSの送信指示を含めて移動局装置へ送信することによって、移動局装置に対して、A−SRSの送信を指示することができる。
【0039】
また、例えば、DCIフォーマットとして、複数の移動局装置に対するグループスケジューリングに使用されるDCIフォーマットが定義される。ここで、複数の移動局装置に対するグループスケジューリングに使用されるDCIフォーマットは、複数の移動局装置によって受信される(検出される)必要があるために、全ての移動局装置がPDCCHの検索(検出)を試みる共通検索領域(CSS:Common Search Spaceとも呼称する)に配置される。一方、ある(特定の)移動局装置宛てのPDCCHは、ある(特定の)移動局装置がPDCCHの検索(検出)を試みる移動局装置固有検索領域(USS:User equipment specific Search Space、UE specific Search Spaceとも呼称する)に配置される。
【0040】
基地局装置は、グループスケジューリングに使用されるDCIフォーマットにA−SRSの送信指示を含めて移動局装置へ送信することによって、移動局装置に対して、A−SRSの送信を指示することができる。
【0041】
ここで、基地局装置は、DCIを基に生成した巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)符号を、RNTI(Radio Network Temporary Identity)でスクランブル(scramble)した系列をDCIに付与して、移動局装置へ送信する。移動局装置は、巡回冗長検査符号がいずれのRNTIでスクランブルされているかに応じて、DCIの解釈を変更する。例えば、移動局装置は、DCIが、基地局装置から割り当てられたC−RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identity)によって巡回冗長検査符号がスクランブルされていた場合には、そのDCIを、自装置宛のDCIだと判断する。
【0042】
移動局装置は、PDCCHを検出して、下りリンクのリソース割り当てや、上りリンクのリソース割り当てや、その他の制御情報を取得する。PDCCHには、CRC(巡回冗長検査)が付与されており、移動局装置は、PDCCHが構成される可能性のあるCCEのセットのそれぞれに対してCRCチェックを行い、CRCが成功したPDCCHを、自装置宛のPDCCHとして取得する。これは、ブラインドデコーディング(blind decoding)とも呼称され、移動局装置が、ブラインドデコーディングを行うPDCCHが構成される可能性のあるCCEのセットの範囲は、検索領域(Search Space)と呼称される。すなわち、移動局装置は、検索領域内のCCEに対して、ブラインドデコーディングを行い、自装置宛のPDCCHの検出を行う。
【0043】
移動局装置は、自装置宛のPDCCHに、PDSCHのリソース割り当てが含まれる場合、基地局装置からのPDCCHによって指示されたリソース割り当てに応じて、PDSCHを使用して、下りリンク信号(下りリンクデータ(下りリンク共用チャネル(DL−SCH)に対するトランスポートブロック)および/または下りリンク制御データ(下りリンク制御情報)および/または下りリンク参照信号(DRS))を受信する。すなわち、このPDCCH(DCIフォーマット)は、下りリンクに対するリソース割り当てを行なう信号(以下、「下りリンク送信許可信号」、「下りリンクグラント」とも呼称する)とも言える。
【0044】
また、移動局装置は、自装置宛のPDCCHに、PUSCHのリソース割り当てが含まれる場合、基地局装置からのPDCCHによって指示されたリソース割り当てに応じて、PUSCHを使用して、上りリンク信号(上りリンクデータ(上りリンク共用チャネル(UL−SCH)に対するトランスポートブロック)および/または上りリンク制御データ(上りリンク制御情報)および/または上りリンク参照信号(URS))を送信する。すなわち、このPDCCH(DCIフォーマット)は、上りリンクに対するデータ送信を許可する信号(以下、「上りリンク送信許可信号」、「上りリンクグラント」とも呼称する)とも言える。
【0045】
PDSCHは、下りリンクデータ(下りリンク共用チャネル(DL−SCH)に対するトランスポートブロック)またはページング情報(ページングチャネル:PCH)を送信するために使用されるチャネルである。ここで、下りリンクデータとは、例えば、ユーザーデータを示しており、DL−SCHは、トランスポートチャネルである。
【0046】
PUSCHは、主に、上りリンクデータ(上りリンク共用チャネル(UL−SCH)に対するトランスポートブロック)を送信するために使用されるチャネルである。移動局装置は、基地局装置から送信されたPDCCHによって割り当てられたPUSCHを使用して、上りリンクトランスポートブロック(上りリンク共用チャネル(UL−SCH)に対するトランスポートブロック)を基地局装置へ送信する。また、基地局装置が、移動局装置をスケジューリングした場合には、上りリンク制御情報(UCI)もPUSCHを使用して送信される。ここで、上りリンクデータとは、例えば、ユーザーデータを示しており、UL−SCHは、トランスポートチャネルである。
【0047】
ここで、上りリンクデータ(UL−SCH)および下りリンクデータ(DL−SCH)には、基地局装置と移動局装置の間でやり取りされる無線資源制御信号(以下、「RRCシグナリング:Radio Resource Control Signaling」と呼称する)が含まれていても良い。また、上りリンクデータ(UL−SCH)および下りリンクデータ(DL−SCH)には、基地局装置と移動局装置の間でやり取りされるMAC(Medium Access Control)コントロールエレメントが含まれていても良い。
【0048】
基地局装置と移動局装置は、RRCシグナリングを上位層(無線リソース制御(Radio Resource Control)層)において送受信する。また、基地局装置と移動局装置は、MACコントロールエレメントを上位層(媒体アクセス制御(MAC:Medium Access Control)層)において送受信する。
【0049】
PUCCHは、上りリンク制御情報(UCI)を送信するために使用されるチャネルである。ここで、上りリンク制御情報には、チャネル状態情報(CSI)や、チャネル品質識別子(CQI)や、プレコーディングマトリックス識別子(PMI)や、ランク識別子(RI)が含まれる。また、上りリンク制御情報には、下りリンクトランスポートブロックに対するHARQにおけるACK/NACKを示す情報が含まれる。また、上りリンク制御情報には、移動局装置が上りリンクデータを送信するためのリソースの割り当てを要求する(UL−SCHでの送信を要求する)スケジューリング要求が含まれる。
【0050】
[基地局装置の構成]
図2は、本発明の実施形態に係る基地局装置100の概略構成を示すブロック図である。基地局装置100は、データ制御部101と、送信データ変調部102と、無線部103と、スケジューリング部104と、チャネル推定部105と、受信データ復調部106と、データ抽出部107と、上位層108と、アンテナ109と、を含んで構成される。また、無線部103、スケジューリング部104、チャネル推定部105、受信データ復調部106、データ抽出部107、上位層108およびアンテナ109で受信部を構成し、データ制御部101、送信データ変調部102、無線部103、スケジューリング部104、上位層108およびアンテナ109で送信部を構成している。
【0051】
アンテナ109、無線部103、チャネル推定部105、受信データ復調部106、データ抽出部107で上りリンクの物理層の処理を行なう。アンテナ109、無線部103、送信データ変調部102、データ制御部101で下りリンクの物理層の処理を行なう。
【0052】
データ制御部101は、スケジューリング部104からトランスポートチャネルを受信する。データ制御部101は、トランスポートチャネルと、物理層で生成される信号およびチャネルを、スケジューリング部104から入力されるスケジューリング情報に基づいて、物理チャネルにマッピングする。以上のようにマッピングされた各データは、送信データ変調部102へ出力される。
【0053】
送信データ変調部102は、送信データをOFDM方式に変調する。送信データ変調部102は、データ制御部101から入力されたデータに対して、スケジューリング部104からのスケジューリング情報や、各PRBに対応する変調方式および符号化方式に基づいて、データ変調、符号化、入力信号の直列/並列変換、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)処理、CP(Cyclic Prefix)挿入、並びに、フィルタリングなどの信号処理を行ない、送信データを生成して、無線部103へ出力する。ここで、スケジューリング情報には、下りリンク物理リソースブロックPRB(Physical Resource Block)割り当て情報、例えば、周波数、時間から構成される物理リソースブロック位置情報が含まれ、各PRBに対応する変調方式および符号化方式には、例えば、変調方式:16QAM、符号化率:2/3コーディングレートなどの情報が含まれる。
【0054】
無線部103は、送信データ変調部102から入力された変調データを無線周波数にアップコンバートして無線信号を生成し、アンテナ109を介して、移動局装置200に送信する。また、無線部103は、移動局装置200からの上りリンクの無線信号を、アンテナ109を介して受信し、ベースバンド信号にダウンコンバートして、受信データをチャネル推定部105と受信データ復調部106とに出力する。
【0055】
スケジューリング部104は、媒体アクセス制御(MAC:Medium Access Control)層の処理を行なう。スケジューリング部104は、論理チャネルとトランスポートチャネルのマッピング、下りリンクおよび上りリンクのスケジューリング(HARQ処理、トランスポートフォーマットの選択など)などを行なう。スケジューリング部104は、各物理層の処理部を統合して制御するため、スケジューリング部104と、アンテナ109、無線部103、チャネル推定部105、受信データ復調部106、データ制御部101、送信データ変調部102およびデータ抽出部107との間のインターフェースが存在する(ただし、図示しない)。
【0056】
スケジューリング部104は、下りリンクのスケジューリングでは、移動局装置200から受信した上りリンク信号(CSIや、下りリンクトランスポートブロックに対するACK/NACKを示す情報や、スケジューリング要求や、参照信号など)や、各移動局装置の使用可能なPRBの情報や、バッファ状況や、上位層108から入力されたスケジューリング情報などに基づいて、各データを変調するための下りリンクのトランスポートフォーマット(送信形態、すなわち、物理リソースブロックの割り当ておよび変調方式および符号化方式など)の選定処理およびHARQにおける再送制御および下りリンクに使用されるスケジューリング情報の生成を行なう。これら下りリンクのスケジューリングに使用されるスケジューリング情報は、データ制御部101へ出力される。
【0057】
また、スケジューリング部104は、上りリンクのスケジューリングでは、チャネル推定部105が出力する上りリンクのチャネル状態(無線伝搬路状態)の推定結果、移動局装置200からのリソース割り当て要求、各移動局装置200の使用可能なPRBの情報、上位層108から入力されたスケジューリング情報などに基づいて、各データを変調するための上りリンクのトランスポートフォーマット(送信形態、すなわち、物理リソースブロックの割り当ておよび変調方式および符号化方式など)の選定処理および上りリンクのスケジューリングに使用されるスケジューリング情報の生成を行なう。これら上りリンクのスケジューリングに使用されるスケジューリング情報は、データ制御部101へ出力される。
【0058】
また、スケジューリング部104は、上位層108から入力された下りリンクの論理チャネルをトランスポートチャネルにマッピングし、データ制御部101へ出力する。また、スケジューリング部104は、データ抽出部107から入力された上りリンクで取得した制御データとトランスポートチャンネルを、必要に応じて処理した後、上りリンクの論理チャネルにマッピングし、上位層108へ出力する。
【0059】
チャネル推定部105は、上りリンクデータの復調のために、復調参照信号(DRS:Demodulation Reference Signal)から上りリンクのチャネル状態を推定し、その推定結果を受信データ復調部106に出力する。また、上りリンクのスケジューリングを行なうために、サウンディング参照信号(SRS)から上りリンクのチャネル状態を推定し、その推定結果をスケジューリング部104に出力する。
【0060】
受信データ復調部106は、OFDM方式、および/または、SC−FDMA方式に変調された受信データを復調するOFDM復調部および/またはDFT−Spread−OFDM(DFT−S−OFDM)復調部を兼ねている。受信データ復調部106は、チャネル推定部105から入力された上りリンクのチャネル状態推定結果に基づいて、無線部103から入力された変調データに対し、DFT変換、サブキャリアマッピング、IFFT変換、フィルタリング等の信号処理を行なって、復調処理を施し、データ抽出部107に出力する。
【0061】
データ抽出部107は、受信データ復調部106から入力されたデータに対して、正誤を確認するとともに、確認結果(ACKまたはNACK)をスケジューリング部104に出力する。また、データ抽出部107は、受信データ復調部106から入力されたデータからトランスポートチャネルと物理層の制御データとに分離して、スケジューリング部104に出力する。分離された制御データには、移動局装置200から送信されたCSI、CQI、PMI、RIや、下りリンクトランスポートブロックに対するACK/NACKを示す情報や、スケジューリング要求などが含まれている。
【0062】
上位層108は、パケットデータ統合プロトコル(PDCP:Packet Data Convergence Protocol)層、無線リンク制御(RLC:Radio Link Control)層、無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)層の処理を行なう。上位層108は、下位層の処理部を統合して制御するため、上位層108と、スケジューリング部104、アンテナ109、無線部103、チャネル推定部105、受信データ復調部106、データ制御部101、送信データ変調部102およびデータ抽出部107との間のインターフェースが存在する(ただし、図示しない)。
【0063】
上位層108は、無線リソース制御部110(制御部とも言う。)を有している。また、無線リソース制御部110は、各種設定情報の管理、システム情報の管理、ページング制御、各移動局装置の通信状態の管理、ハンドオーバーなどの移動管理、移動局装置ごとのバッファ状況の管理、ユニキャストおよびマルチキャストベアラの接続設定の管理、移動局識別子(UEID)の管理などを行なっている。上位層108は、別の基地局装置への情報および上位ノードへの情報の授受を行なう。
【0064】
[移動局装置の構成]
図3は、本発明の実施形態に係る移動局装置200の概略構成を示すブロック図である。移動局装置200は、データ制御部201と、送信データ変調部202と、無線部203と、スケジューリング部204と、チャネル推定部205と、受信データ復調部206と、データ抽出部207と、上位層208、アンテナ209と、を含んで構成されている。また、データ制御部201、送信データ変調部202、無線部203、スケジューリング部204、上位層208、アンテナ209で送信部を構成し、無線部203、スケジューリング部204、チャネル推定部205、受信データ復調部206、データ抽出部207、上位層208、アンテナ209で受信部を構成している。
【0065】
データ制御部201、送信データ変調部202、無線部203、で上りリンクの物理層の処理を行なう。無線部203、チャネル推定部205、受信データ復調部206、データ抽出部207、で下りリンクの物理層の処理を行なう。
【0066】
データ制御部201は、スケジューリング部204からトランスポートチャネルを受信する。トランスポートチャネルと、物理層で生成される信号およびチャネルを、スケジューリング部204から入力されるスケジューリング情報に基づいて、物理チャネルにマッピングする。このようにマッピングされた各データは、送信データ変調部202へ出力される。
【0067】
送信データ変調部202は、送信データをOFDM方式、および/または、SC−FDMA方式に変調する。送信データ変調部202は、データ制御部201から入力されたデータに対し、データ変調、DFT(離散フーリエ変換)処理、サブキャリアマッピング、IFFT(逆高速フーリエ変換)処理、CP挿入、フィルタリングなどの信号処理を行ない、送信データを生成して、無線部203へ出力する。
【0068】
無線部203は、送信データ変調部202から入力された変調データを無線周波数にアップコンバートして無線信号を生成し、アンテナ209を介して、基地局装置100に送信する。また、無線部203は、基地局装置100からの下りリンクのデータで変調された無線信号を、アンテナ209を介して受信し、ベースバンド信号にダウンコンバートして、受信データを、チャネル推定部205および受信データ復調部206に出力する。
【0069】
スケジューリング部204は、媒体アクセス制御(MAC:Medium Access Control)層の処理を行なう。スケジューリング部104は、論理チャネルとトランスポートチャネルのマッピング、下りリンクおよび上りリンクのスケジューリング(HARQ処理、トランスポートフォーマットの選択など)などを行なう。スケジューリング部204は、各物理層の処理部を統合して制御するため、スケジューリング部204と、アンテナ209、データ制御部201、送信データ変調部202、チャネル推定部205、受信データ復調部206、データ抽出部207および無線部203との間のインターフェースが存在する(ただし、図示しない)。
【0070】
スケジューリング部204は、下りリンクのスケジューリングでは、基地局装置100や上位層208からのスケジューリング情報(トランスポートフォーマットやHARQ再送情報)などに基づいて、トランスポートチャネルおよび物理信号および物理チャネルの受信制御、HARQ再送制御および下りリンクのスケジューリングに使用されるスケジューリング情報の生成を行なう。これら下りリンクのスケジューリングに使用されるスケジューリング情報は、データ制御部201へ出力される。
【0071】
スケジューリング部204は、上りリンクのスケジューリングでは、上位層208から入力された上りリンクのバッファ状況、データ抽出部207から入力された基地局装置100からの上りリンクのスケジューリング情報(トランスポートフォーマットやHARQ再送情報など)、および、上位層208から入力されたスケジューリング情報などに基づいて、上位層208から入力された上りリンクの論理チャネルをトランスポートチャネルにマッピングするためのスケジューリング処理および上りリンクのスケジューリングに使用されるスケジューリング情報の生成を行なう。なお、上りリンクのトランスポートフォーマットについては、基地局装置100から通知された情報を利用する。これらスケジューリング情報は、データ制御部201へ出力される。
【0072】
また、スケジューリング部204は、上位層208から入力された上りリンクの論理チャネルをトランスポートチャネルにマッピングし、データ制御部201へ出力する。また、スケジューリング部204は、チャネル推定部205から入力されたCSIや、データ抽出部207から入力されたCRCチェックの確認結果についても、データ制御部201へ出力する。また、スケジューリング部204は、データ抽出部207から入力された下りリンクで取得した制御データとトランスポートチャネルを、必要に応じて処理した後、下りリンクの論理チャネルにマッピングし、上位層208へ出力する。
【0073】
チャネル推定部205は、下りリンクデータの復調のために、復調参照信号から下りリンクのチャネル状態を推定し、その推定結果を受信データ復調部206に出力する。また、チャネル推定部205は、基地局装置100に下りリンクのチャネル状態(無線伝搬路状態、CSI)の推定結果を通知するために、下りリンク参照信号から下りリンクのチャネル状態を推定し、この推定結果を、例えば、CSIとして、スケジューリング部204に出力する。
【0074】
受信データ復調部206は、OFDM方式に変調された受信データを復調する。受信データ復調部206は、チャネル推定部205から入力された下りリンクのチャネル状態推定結果に基づいて、無線部203から入力された変調データに対して、復調処理を施し、データ抽出部207に出力する。
【0075】
データ抽出部207は、受信データ復調部206から入力されたデータに対して、CRCチェックを行ない、正誤を確認するとともに、確認結果(ACKまたはNACKを示す情報)をスケジューリング部204に出力する。また、データ抽出部207は、受信データ復調部206から入力されたデータからトランスポートチャネルと物理層の制御データに分離して、スケジューリング部204に出力する。分離された制御データには、下りリンクまたは上りリンクのリソース割り当てや上りリンクのHARQ制御情報などのスケジューリング情報が含まれている。
【0076】
上位層208は、パケットデータ統合プロトコル(PDCP:Packet Data Convergence Protocol)層、無線リンク制御(RLC:Radio Link Control)層、無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)層の処理を行なう。上位層208は、下位層の処理部を統合して制御するため、上位層208と、スケジューリング部204、アンテナ209、データ制御部201、送信データ変調部202、チャネル推定部205、受信データ復調部206、データ抽出部207および無線部203との間のインターフェースが存在する(ただし、図示しない)。
【0077】
上位層208は、無線リソース制御部210(制御部とも言う)を有している。無線リソース制御部210は、各種設定情報の管理、システム情報の管理、ページング制御、自局の通信状態の管理、ハンドオーバーなどの移動管理、バッファ状況の管理、ユニキャストおよびマルチキャストベアラの接続設定の管理、移動局識別子(UEID)の管理を行なう。
【0078】
[サウンディングリファレンスシグナルの送信方法]
図4は、移動局装置による周期的なSRS(P−SRS、A−SRS)送信と非周期的なSRS(A−SRS)の送信の例を示す図である。図4において、横軸はサブフレーム(時間)を示している。また、縦軸は周波数(周波数帯域)を示している。ここで、図4は、例として、移動局装置による1つの上りリンクコンポーネントキャリア内におけるSRSの送信を示している。
【0079】
図4において、基地局装置は、移動局装置に対して、周期的なSRS(P−SRS:Periodic SRS)の送信を指示することができる。例えば、基地局装置は、移動局装置が、P−SRSを送信する際のインターバル(送信周期)を示す情報を、移動局装置毎に送信するRRCシグナリングに含めて移動局装置へ送信することによって、移動局装置に対して、P−SRSの送信を指示することができる。
【0080】
基地局装置によってP−SRSの送信が指示された移動局装置は、周期的にP−SRSを基地局装置へ送信する。例えば、移動局装置は、基地局装置によって設定されたインターバルに従って、P−SRSを基地局装置へ送信する。
【0081】
また、図4において、基地局装置は、移動局装置に対して、非周期的なA−SRSの送信を指示することができる。例えば、基地局装置は、上記で示したように、DCIフォーマットに、A−SRSの送信指示を含めて移動局装置へ送信することによって、移動局装置に対して、A−SRSの送信を指示することができる。
【0082】
例えば、基地局装置は、明示的なA−SRSの送信指示(例えば、1ビットの情報フィールドで表されるA−SRSの送信指示)をDCIフォーマットに含めて移動局装置へ送信することによって、移動局装置に対して、A−SRSの送信を指示することができる。
【0083】
また、例えば、基地局装置は、DCIフォーマットに含まれるある特定の情報(情報フィールド)をある特定の値にセットすることによって、移動局装置に対して、A−SRSの送信を指示することができる。すなわち、基地局装置は、DCIフォーマットにコードポイントをセットすることによって、移動局装置に対して、A−SRSの送信を指示することができる。
【0084】
例えば、基地局装置は、DCIフォーマットに含まれる情報(他のDCIフォーマットとの識別に使用される情報(Flag for format differentiation)、ホッピングを伴う送信を指示する情報(Hopping flag)、PUSCHに対するリソース割り当て情報(Resource block assignment)、変調方式や符号化率、再送用のパラメータを示す情報(Modulation and Coding Scheme and Redundancy version)、送信データが新データかどうかを識別するための情報(New data indicator)、スケジュールされたPUSCHに対するTPCコマンド(TPC command for scheduled PUSCH)情報、復調参照信号に施されるサイクリックシフトを示す情報(Cyclic shift for DM RS)、CQIの送信要求情報(CQI request)、パディングビット(Padding bit))のいずれかの情報をある特定の値にセットすることによって、移動局装置に対して、A−SRSの送信を指示することができる。
【0085】
また、基地局装置は、A−SRSの送信指示に使用しなかった残りの情報(情報フィールド)に、後述するA−SRSパラメータをセットして、移動局装置へ送信することができる。
【0086】
ここで、DCIフォーマットBに含まれるどの情報(どの情報フィールド)をどの値にセットした際に、A−SRSの送信指示を示すのかは、仕様等によって事前に定義され、基地局装置と移動局装置の間で、既知とすることができる。
【0087】
また、図4において、基地局装置は、移動局装置が、SRS(P−SRS、A−SRS)を送信するサブフレームを、セル固有(cell specific)および/または移動局装置固有(UE specific)に、移動局装置へ設定することができる。ここで、基地局装置によって設定される、移動局装置が、P−SRSおよび/またはA−SRSを送信するサブフレームをSRSサブフレームとも記載する。
【0088】
例えば、基地局装置は、SRSサブフレームを、報知情報(報知チャネル)を使用して、セル固有に、移動局装置へ設定することができる。また、基地局装置は、SRSサブフレームを、RRCシグナリングを使用して、移動局装置固有に、移動局装置へ設定することができる。例えば、基地局装置は、SRSサブフレームを、基準となるあるサブフレームからのオフセット値と周期によって設定することができる。
【0089】
移動局装置は、基地局装置によって設定されたSRSサブフレームで、P−SRSを送信する。例えば、移動局装置は、基地局装置によって設定されたインターバルに従って、SRSサブフレームで、周期的にP−SRSを送信する。
【0090】
また、移動局装置は、基地局装置によって設定されたSRSサブフレームで、A−SRSを送信する。例えば、移動局装置は、基地局装置によってA−SRSの送信指示が含まれるDCIフォーマットが通知されたサブフレームの後の、最初のSRSサブフレームで、A−SRSを送信する。すなわち、移動局装置は、基地局装置からA−SRSの送信指示が含まれるDCIフォーマットを検出した後の、SRSを送信可能な最初のサブフレームで、A−SRSを送信する。
【0091】
すなわち、移動局装置は、ある特定の期間の中で、少なくとも1つのA−SRSの送信指示を含むDCIフォーマットを受信した場合には、SRSを送信可能な最初のサブフレームで、A−SRSを送信する。例えば、SRSサブフレームをサブフレームnとすると、ある特定の期間は、n−k−a_Period+1からn−kによって表される。ここで、a_Periodは、基地局装置によって設定されるSRSサブフレーム周期を示し、kは、所定の値(例えば、k=4)を示す。
【0092】
また、基地局装置は、移動局装置が、P−SRSを送信する際に使用するパラメータ(P−SRSパラメータ)を、移動局装置に対して設定することができる。例えば、基地局装置は、P−SRSパラメータを、RRCシグナリングを使用して、移動局装置へ設定することができる。また、例えば、基地局装置は、移動局装置が、P−SRSパラメータを、DCIフォーマットを使用して、移動局装置へ設定することができる。
【0093】
ここで、P−SRSパラメータには、移動局装置がP−SRSを送信する際のインターバル(送信周期)が含まれる。また、P−SRSパラメータには、移動局装置がP−SRSを送信するための送信帯域幅(SRS送信帯域幅)が含まれる。また、P−SRSパラメータには、移動局装置間または信号間の直交性を維持するために使用されるサイクリックシフト(CS:Cyclic Shit)が含まれる。また、P−SRSパラメータには、P−SRSを配置する周波数位置を示す周波数割り当て位置を示す情報が含まれる。また、P−SRSパラメータには、P−SRSの送信を満了するための送信回数または送信停止時間が含まれる。また、P−SRSパラメータには、P−SRSを送信するアンテナポート(アンテナインデックス)が含まれる。また、P−SRSパラメータには、MIMOのように複数のアンテナを同時に使用してP−SRSの送信を行うか否かを示す複数アンテナ同時送信フラグが含まれる。また、P−SRSパラメータには、P−SRSに対するTPCコマンド(送信電力制御情報)が含まれる。また、P−SRSパラメータには、P−SRSの周波数ホッピングの可否と周波数ホッピングの帯域幅を決定するホッピング帯域幅が含まれる。また、P−SRSパラメータには、送信アンテナポート数が含まれる。
【0094】
また、基地局装置は、移動局装置が、A−SRSを送信する際に使用するパラメータ(A−SRSパラメータ)を、移動局装置に対して設定することができる。例えば、基地局装置は、A−SRSパラメータを、RRCシグナリングを使用して、移動局装置へ設定することができる。また、例えば、基地局装置は、移動局装置が、A−SRSパラメータを、DCIフォーマットを使用して、移動局装置へ割り当てることができる。また、上記で説明したように、基地局装置は、DCIフォーマットにコードポイントをセットすることによって、A−SRSパラメータを、移動局装置へ割り当てることができる。
【0095】
ここで、A−SRSパラメータには、移動局装置がA−SRSを送信する際の送信帯域幅(SRS送信帯域幅)が含まれる。また、A−SRSパラメータには、移動局装置間または信号間の直交性を維持するために使用されるサイクリックシフト(CS:Cyclic Shit)が含まれる。また、A−SRSパラメータには、A−SRSを配置する周波数位置を示す周波数割り当て位置を示す情報が含まれる。また、A−SRSパラメータには、A−SRSの送信を満了するための送信回数または送信停止時間が含まれる。また、A−SRSパラメータには、A−SRSを送信するアンテナポート(アンテナインデックス)が含まれる。また、A−SRSパラメータには、MIMOのように複数のアンテナを同時に使用してA−SRSの送信を行うか否かを示す複数アンテナ同時送信フラグが含まれる。また、A−SRSパラメータには、A−SRSに対するTPCコマンド(送信電力制御情報)が含まれる。また、A−SRSパラメータには、A−SRSの周波数ホッピングの可否と周波数ホッピングの帯域幅を決定するホッピング帯域幅が含まれる。また、A−SRSパラメータには、送信アンテナポート数が含まれる。
【0096】
例えば、基地局装置は、移動局装置に対して、上りリンクコンポーネント毎にP−SRSパラメータ、A−SRSパラメータをそれぞれ独立に設定し、移動局装置は、基地局装置によって設定されたパラメータに従って、P−SRS、A−SRSを基地局装置へ送信する。
【0097】
ここで、移動局装置が、上りリンク信号をマッピングするSC−FDMAシンボルそれぞれは、異なる用途に使用される。例えば、移動局装置が、上りリンク信号を7つのSC−FDMAシンボル(0番から6番の7つのSC−FDMAシンボル)にマッピングして基地局装置へ送信する場合、SRS(P−SRS、A−SRS)は、6番目のSC−FDMAシンボルにマップされる。
【0098】
以下、簡単のために、移動局装置は、サブフレームにおいてSRS(P−SRS、A−SRS)を基地局措置へ送信するとも記載するが、SRS(P−SRS、A−SRS)は、サブフレーム内の、あるSC−FDMAシンボルにマッピングされて基地局装置へ送信されても良い。また、以下に記載するような、P−SRSの送信とA−SRSの送信が同時に生じる(P−SRSの送信とA−SRSの送信が衝突する)ことは、P−SRSの送信とA−SRSの送信が、シンボルレベルで、同時に生じる(衝突する)ことを示していても良い。
【0099】
図4では、基地局装置が、SRSサブフレームとして、サブフレームn−2、サブフレームn、サブフレームn+2、サブフレームn+4、サブフレームn+6、サブフレームn+8、サブフレームn+10を移動局装置へ設定していることを示している。移動局装置は、基地局装置によって設定されたSRSサブフレームで、SRS(P−SRS、A−SRS)を基地局装置へ送信する。
【0100】
また、移動局装置は、基地局装置からA−SRSの送信指示を含むDCIフォーマットが通知されたサブフレームの所定のサブフレーム以降(例えば、4サブフレーム以降のサブフレーム)で、A−SRSを送信する。すなわち、移動局装置は、基地局装置からA−SRSの送信指示を含むDCIフォーマットが通知されたサブフレームの後の、最初のSRSサブフレーム(SRSを送信可能なサブフレーム)で、A−SRSを送信する。
【0101】
図4では、移動局装置が、基地局装置からの指示に従って、P−SRS(網線で示される)を、サブフレームn−2、サブフレームn+2、サブフレームn+4、サブフレームn+6、サブフレームn+10で基地局装置へ送信していることを示している。すなわち、移動局装置は、基地局装置によって設定されたインターバル(2サブフレーム毎、2ms毎)に従って、周期的に(2サブフレーム毎に、2ms毎に)P−SRSを基地局装置へ送信する。
【0102】
ここで、移動局装置は、サブフレームn+4、サブフレームn+10で、基地局装置によって設定された送信帯域幅(SRS送信帯域幅)に従って、帯域Cの一部である(帯域Cを分割した帯域の一部である)帯域C−1(周波数ポジション)でP−SRSを基地局装置へ送信する。
【0103】
また、移動局装置は、サブフレームn−2、サブフレームn+2、サブフレームn+6、サブフレームn+10で、基地局装置によって設定された送信帯域幅(SRS送信帯域幅)に従って、帯域Cの一部である(帯域Cを分割した帯域の一部である)帯域C−2(周波数ポジション)でP−SRSを基地局装置へ送信する。
【0104】
ここで、移動局装置が、ある帯域(帯域C−1、帯域C−2)で、P−SRSを送信する送信する順番は、予め定義される(基地局装置によって設定されても良い)。また、基地局装置は、P−SRSを1回だけ送信するように、移動局装置へ設定することができる。
【0105】
また、図4では、移動局装置が、基地局装置からの指示に従って、A−SRS(斜線で示される)を、サブフレームn、サブフレームn+8で基地局装置へ送信していることを示している。
【0106】
ここで、移動局装置は、サブフレームnで、基地局装置によって設定された送信帯域幅(SRS送信)帯域幅)に従って、帯域A(周波数ポジション)でA−SRSを基地局装置へ送信する。また、移動局装置は、サブフレームn+8で、基地局装置によって設定された送信帯域幅(SRS送信)帯域幅)に従って、帯域B(周波数ポジション)でA−SRSを基地局装置へ送信する。
【0107】
また、図4において、サブフレームn、サブフレームn+8は、P−SRSの送信とA−SRSの送信が同時に生じているサブフレームを示している。図4において、移動局装置は、P−SRSの送信とA−SRSの送信が同時に生じた場合には、P−SRSを送信せずに(ドロップして)、A−SRSを基地局装置へ送信する。
【0108】
ここで、移動局装置は、P−SRSの送信とA−SRSの送信が同時に生じた場合には、P−SRSとA−SRSを多重して共に、基地局装置へ送信しても良い。例えば、移動局装置は、P−SRSの送信とA−SRSの送信が同時に生じた場合には、P−SRSとA−SRSをコード多重して共に、基地局装置へ送信することができる。
【0109】
ここで、図4では、例として、移動局装置が、基地局装置によって設定されたSRSサブフレーム全てにおいて、SRS(P−SRS、A−SRS)を送信しているが、移動局装置は、基地局装置によってSRSの送信が指示されていない場合には、SRSを送信しない。すなわち、移動局装置は、基地局装置によって設定された全てのSRSサブフレームで、SRSを送信しなくても良い。
【0110】
(第1の実施形態)
次に、基地局装置100および移動局装置200を用いた移動通信システムにおける第1の実施形態を説明する。第1の実施形態では、基地局装置は、A−SRSの周波数ホッピング周期を含む無線リソース制御信号を移動局装置へ通知し、A−SRSの送信指示を含んだDCIフォーマットを移動局装置へ通知する。
【0111】
また、移動局装置は、無線リソース制御信号に従ってA−SRSの周波数ホッピング周期を設定し、DCIフォーマットにA−SRSの送信指示が含まれている場合には、周波数ホッピング周期を基に算出されたA−SRSの周波数ポジションでA−SRSを送信する。
【0112】
図5は、移動局装置が、シングルショットA−SRSを送信する際に、基地局装置によって周波数ホッピング周期(周波数ホッピング用の送信周期)が設定された場合の動作の一例を示す図である。図5において、横軸はサブフレーム(時間)、縦軸は周波数(ホッピング帯域幅(リソースブロック数))を示している。
【0113】
ここで、例えば、1サブフレームの時間長は1msであり、10サブフレーム(10ms)で1フレームとなる。また、1サブフレームは、2スロットによって構成され、1フレームは20スロットで構成される。また、1フレームに含まれるサブフレームには、0から9までの番号(インデックス)が付与され、1フレームに含まれるスロットには、0から19までの番号が付与される。
【0114】
さらに、図5において、基地局装置から移動局装置が通知される第1の送信指示、第2の送信指示、第3の送信指示、第4の送信指示、第5の送信指示、第6の送信指示は、A−SRSの送信指示を示している。また、移動局装置は、基地局装置からA−SRSの送信指示を含むDCIフォーマットを受信した後の、最初のSRS送信可能サブフレームでA−SRSを基地局装置へ送信する。ここで、図5において、下りリンクサブフレームと上りリンクサブフレームのインデックスは同じタイミングで送信されるものとみなす。
【0115】
図5において、ドットで示される領域は、基地局装置によって設定されたA−SRS送信に対する候補リソースを概念的に示している。また、同様に、斜線で示される領域は、基地局装置によって設定されたA−SRS送信に対する候補リソースを概念的に示している。図5において、移動局装置は、斜線で示されるリソースを使用して、A−SRSを基地局装置へ送信している。
【0116】
例えば、基地局装置は、移動局装置が4回の周波数ホッピングを適用してA−SRSを送信することによって、ホッピング帯域幅(全ての周波数帯域幅)をカバーできるように設定することができる。
【0117】
図5において、基地局装置は、周波数ホッピング周期(以下、TApSRS−hopとも記載する)を、移動局装置に対して設定することができる。また、基地局装置は、SRS送信可能サブフレームの周期(以下、サブフレーム周期Tとも記載する)とサブフレームオフセットを、移動局装置に対して設定することができる。
【0118】
ここで、周波数ホッピング周期とは、移動局装置が、周波数ホッピングを適用してA−SRSを送信する場合に、周波数ホッピングを行うまで間隔(周期)を示している。また、上記で示した通り、SRS送信可能サブフレームの周期は、移動局装置がA−SRSを送信可能なサブフレーム(候補リソース)を示している。さらに、サブフレームオフセットは、サブフレーム番号(サブフレームインデックス)によって定義することができる。
【0119】
例えば、基地局装置は、周波数ホッピング周期を、RRCシグナリングを使用して設定することができる。また、上記で示したように、基地局装置は、SRS送信可能サブフレームを、報知情報を使用して、セル固有に設定することができる。また、基地局装置は、SRS送信可能サブフレームを、RRCシグナリングを使用して、移動局装置固有に設定することができる。さらに、基地局装置は、サブフレームオフセットを、RRCシグナリングを使用して設定することができる。
【0120】
移動局装置は、基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期とSRS送信可能サブフレームの周期とサブフレームオフセットに基づいて、A−SRSを基地局装置へ送信する。
【0121】
ここで、基地局装置は、周波数ホッピング周期を設定することによって、移動局装置に対して、どの周波数ポジションでA−SRSを送信するのかを設定することができる。より具体的には、例えば、移動局装置は、基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期をパラメータとして、下記の数式1に基づいて、A−SRS送信に対する周波数ポジションを算出(決定)することができる。
【0122】
ここで、移動局装置が、A−SRS送信に対する周波数ポジションは、数式1に基づいて算出されるnSRSを含む関数によって、移動局装置によって算出されても良い。すなわち、移動局装置は、数式1によって算出したnSRSを1つのパラメータとして、さらに、別の数式を使用することによって、A−SRS送信に対する周波数ポジションを算出しても良い。すなわち、移動局装置は、A−SRS送信サブフレームに対する累積の周波数ホッピング回数を、数式1を用いて算出することができる。
【0123】
【数1】

【0124】
ここで、nは、A−SRSを送信するフレーム番号(フレームインデックス)、nは、A−SRSを送信するスロット番号(スロットインデックス)を示している。
【0125】
ここで、例えば、図5において、周波数ホッピング周期を10サブフレーム、ある基準のサブフレームとして、サブフレームn−8をフレームインデックス0のサブフレームインデックス0(n=0、n=1)のサブフレームとした場合、第1の送信指示に対するA−SRS送信サブフレームn−4(n=0、n=9)はフレームインデックス0、サブフレームインデックス4(スロットインデックス9)のサブフレームとなる。また、第2の送信指示に対するA−SRS送信サブフレームn−2(n=0、n=13)はフレームインデックス0、サブフレームインデックス6(スロットインデックス13)のサブフレームになる。すなわち、第1の送信指示に対するA−SRS送信サブフレーム、第2の送信指示に対するA−SRS送信サブフレームそれぞれに対するnSRSは、同一の値(nSRS=0)となる。
【0126】
一方、例えば、第4の送信指示に対するA−SRS送信サブフレームn+4(n=1、n=5)はフレームインデックス1、サブフレームインデックス2(スロットインデックス5)のサブフレームであり、nSRSは、第1の送信指示に対するA−SRS送信サブフレーム、第2の送信指示に対するA−SRS送信サブフレームそれぞれに対するnSRS(nSRS=0)とは、異なる値(nSRS=1)となる。ここで、累積の周波数ホッピング回数とは、周波数ホッピングを行う場合、SRS送信サブフレームに対して、何回目の周波数ホッピングかを示している。すなわち、連続したSRS送信サブフレーム(またはSRS送信可能サブフレーム)で、累積の周波数ホッピング回数が同じ値を示す場合、連続したSRS送信サブフレーム間で周波数ホッピングを行っていない、すなわち、同一の周波数ポジション(周波数帯域、候補リソースおよび送信リソース)でSRSが割り当てられていることを示している。
【0127】
ここで、移動局装置によって(基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期を1つのパラメータとして)算出されるnSRS(nSRSの値)が、SRS送信可能サブフレーム間で同一である場合には、移動局装置が、同一の周波数ポジションでA−SRSを送信可能であることを示している。すなわち、基地局装置は、周波数ホッピング周期を設定することによって、移動局装置に対して、SRS送信可能サブフレーム間において、同一の周波数ポジションでのA−SRSの送信を指示することができる(移動局装置が、A−SRS送信を送信する際の周波数ポジションを同一の周波数ポジションに割り当てることができる)。
【0128】
一方、移動局装置によって(基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期をパラメータの1つとして)算出されるnSRS(nSRSの値)が、SRS送信可能サブフレーム間で異なる場合には、移動局装置が、異なる周波数ポジションでA−SRSを送信可能であることを示している。すなわち、この場合には、移動局装置が、周波数ホッピングを適用してA−SRSを送信することを示している。すなわち、基地局装置は、周波数ホッピング周期を設定することによって、移動局装置に対して、SRS送信可能サブフレーム間において、異なる周波数ポジションでのA−SRSの送信を指示することができる(移動局装置が、A−SRS送信を送信する際の周波数ポジションを異なる周波数ポジションに割り当てることができる)。また、基地局装置は、周波数ホッピング周期を設定することによって、移動局装置に対して、周波数ホッピングを適用したA−SRSの送信を指示することができる。
【0129】
ここで、移動局装置によって算出されるnSRS(nSRSの値)が、SRS送信可能サブフレーム間で異なる場合においても、移動局装置は、同一の周波数ポジションでA−SRSを送信しても良い。例えば、移動局装置は、4回のA−SRSの送信によって所望のホッピング帯域幅(周波数帯域幅)をカバーした場合には、5回目のA−SRSの送信において、1回目のA−SRSの送信と同一の周波数ポジションでA−SRSを送信することができる。
【0130】
図5において、基地局装置は、周波数ホッピング周期として10ms(10サブフレーム)を、移動局装置に対して設定している。また、基地局装置は、SRS送信可能サブフレームとしてサブフレーム周期2ms(2サブフレーム)を、移動局装置に対して設定している。また、基地局装置は、サブフレームオフセットとしてオフセット値0を、移動局装置に対して設定している。
【0131】
移動局装置は、基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期とSRS送信可能サブフレームとサブフレームオフセットに従って、A−SRSを送信する。例えば、移動局装置は、基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期に従って、10ms毎に周波数ホッピングを適用して、A−SRSを送信する。
【0132】
上記で示したように、移動局装置は、基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期をパラメータの1つとして、数式1に基づいて算出した周波数ポジションでA−SRSを送信する。ここで、基地局装置は、周波数ホッピング周期とSRS送信可能サブフレームとサブフレームオフセットを設定することによって、移動局装置に対して、同一の周波数ポジションでA−SRSを送信させることができる。
【0133】
例えば、図5に示すように、基地局装置は、周波数ホッピング周期として、SRS送信可能サブフレームよりも長い周期の周波数ホッピング周期を設定することによって、移動局装置に対して、SRSサブフレーム間において同一の周波数ポジションでのA−SRSの送信を指示することができる。図5において、基地局装置は、SRS送信可能サブフレーム(2ms(2サブフレーム))よりも長い周期の周波数ホッピング周期(10ms(10サブフレーム))を設定することによって、移動局装置に対して、SRSサブフレーム間において同一の周波数ポジションでのA−SRSの送信を指示している。
【0134】
ここで、図5において、基地局装置が、SRS送信可能サブフレームとして、周波数ホッピング周期よりも短い周期のSRS送信可能サブフレームを設定することによって、同様の効果が得られることは勿論である。
【0135】
図5において、基地局装置は、周波数ホッピング周期として、SRS送信可能サブフレームよりも短い周期の周波数ホッピング周期を設定した場合には、SRS送信可能サブフレームの周期を基にnSRSを算出することによって、移動局装置に対して、SRS送信可能サブフレーム間において異なる周波数ポジションでのA−SRSの送信を指示することができる。すなわち、移動局装置は、A−SRS送信サブフレームに対する累積の周波数ホッピング回数(累積のA−SRSサブフレーム数)を、数式2を用いて算出することができる。
【0136】
【数2】

【0137】
ここで、図5において、基地局装置が、SRS送信可能サブフレームとして、周波数ホッピング周期よりも長い周期のSRS送信可能サブフレームを設定することによって、同様の効果が得られることは勿論である。
【0138】
図5において、サブフレームn−10で基地局装置から第1の送信指示を含むDCIフォーマットを受信した移動局装置は、サブフレームn−6でA−SRSを送信する。同様に、サブフレームn−6で基地局装置から第2の送信指示を含むDCIフォーマットを受信した移動局装置は、サブフレームn−2でA−SRSを送信する。
【0139】
この際、移動局装置は、数式1に基づいて算出した周波数ポジションでA−SRSを送信する。例えば、図5では、移動局装置は、第1の送信指示に対してA−SRSを送信する際と、第2の送信指示に対してA−SRSを送信する際に、同一の周波数ポジション(同一の候補リソースでも良い)でA−SRSを送信する。
【0140】
さらに、サブフレームn−4で基地局装置から第3の送信指示を含むDCIフォーマットを受信した移動局装置は、サブフレームnでA−SRSを送信する。この際、移動局装置は、数式1に基づいて算出した周波数ポジションでA−SRSを送信する。例えば、図5では、移動局装置は、第2の送信指示に対してA−SRSを送信する際と、第3の送信指示に対してA−SRSを送信する際に、異なる周波数ポジション(異なる候補リソースでも良い)でA−SRSを送信する。
【0141】
上記までに説明してきた第1の実施形態は、移動局装置が、マルチショットA−SRSを送信する際にも適用できる。すなわち、基地局装置は、移動局装置に対して、マルチショットA−SRSの送信を指示するとともに、周波数ホッピング周期を設定することができる。
【0142】
図6は、移動局装置が、マルチショットA−SRSを送信する際に、基地局装置によって周波数ホッピング周期が設定された場合の動作の一例を示す図である。図6は、図5と同様の図を示している。ここで、マルチショットA−SRS送信とは、移動局装置が、基地局装置からの1回のA−SRS送信指示に従って、所定の回数(または、所定の満了時間)に達するまでSRSを送信することである。例えば、基地局装置は、所定の回数(または、所定の満了時間)を、RRCシグナリングを使用して移動局装置に対して設定することができる。
【0143】
図6において、移動局装置は、基地局装置からのA−SRSの送信指示に従って、数式1に基づいて算出される周波数ポジションで、マルチショットSRSを送信することができる。基地局装置は、周波数ホッピング周期を設定することによって、同一の周波数ポジションでの連続したA−SRSの送信を指示することができる。また、基地局装置は、周波数ホッピング周期を設定することによって、異なる周波数ポジションでの連続したA−SRSの送信を指示することができる。
【0144】
ここで、基地局装置は、移動局装置がマルチショットA−SRSを送信するための所定の回数(または、所定の満了時間)と周波数ホッピング周期を、移動局装置に対して、それぞれ独立に設定することができる。図6において、基地局装置は、所定の回数(または、所定の満了時間)として(送信回数)5回(または、満了時間8ms)を、移動局装置に対して、設定している。
【0145】
図6において、サブフレームn−10で基地局装置から第1の送信指示を含むDCIフォーマットを受信した移動局装置は、サブフレームn−6でA−SRSを送信し、さらに、基地局装置によって設定された所定の回数(5回)(または、所定の満了時間(8ms))に達するまで、SRS送信可能サブフレームにおいてA−SRSを送信する。この際、移動局装置は、基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期をパラメータの1つとして、数式1に基づいて算出された周波数ポジションでA−SRSを送信する。
【0146】
同様に、図6において、サブフレームn+4で基地局装置から第2の送信指示を含むDCIフォーマットを受信した移動局装置は、サブフレームn+8でA−SRSを送信し、さらに、基地局装置によって設定された所定の回数(5回)(または、所定の満了時間(8ms))に達するまで、SRS送信可能サブフレームにおいてA−SRSを送信する。この際、移動局装置は、基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期をパラメータの1つとして、数式1に基づいて算出された周波数ポジションでA−SRSを送信する。
【0147】
上記までに説明したように、基地局装置が、A−SRS送信に対する周波数ホッピング周期を設定し、移動局装置が、基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期をパラメータの1つとして、A−SRS送信の周波数ポジションを算出(決定)することによって、移動局装置から送信されるA−SRSを利用した基地局装置によるチャネル推定の精度を向上することができる。
【0148】
基地局装置は、周波数ホッピング周期を設定することによって、移動局装置による同一の周波数ポジションでのA−SRS送信を指示することが可能となり、移動局装置から送信されるA−SRSを利用したチャネル推定の精度を向上することができる。
【0149】
また、基地局装置は、周波数ホッピング周期を設定することによって、移動局装置による異なる周波数ポジションでのA−SRS送信を指示することが可能となり、移動局装置に対して、より柔軟な周波数ポジションでのA−SRSの送信を指示することが可能となる。
【0150】
結果として、基地局装置は、移動局装置に割り当てる変調符号化方式(MCS: Modulation and Coding Scheme)や複数の送信アンテナの位相制御を行うためのプレコーダ(Precoder)の推定精度を十分に高めることができる。
【0151】
また、移動局装置が、マルチショットA−SRSを送信する際に、数式1に基づいて周波数ポジションを算出することによって、周波数ホッピング周期とA−SRSを送信するサブフレームのみに関連するパラメータ(すなわち、A−SRSを送信するフレーム番号(フレームインデックス)とA−SRSを送信するスロット番号(スロットインデックス))から、周波数ポジションを算出することができる。
【0152】
ここで、例えば、移動局装置が、SRSを送信する際に、SRSの累計の送信回数(現在、送信するSRSは、何回目のSRS送信なのか)に依存して(基づいて)、周波数ポジションが算出(決定)される場合、基地局装置と移動局装置の間で、周波数ポジションの不一致が発生してしまう。例えば、SRSの送信と物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)の送信が同一サブフレームで発生した場合、移動局装置は、SRSの送信を停止する(SRSを送信しない)可能性がある。このような場合において、基地局装置と移動局装置の間で、SRS送信に対する送信回数の不一致が生じる可能性があり、結果として、SRSの周波数ポジションの不一致が発生してしまう。
【0153】
さらに、基地局装置が意図していない周波数ポジションで、移動局装置がSRSを送信することになり、複数の移動局装置間におけるSRS送信の衝突が多発し、基地局装置によるチャネル推定精度が劣化する。通常、基地局装置は、複数の移動局装置間におけるSRS送信の衝突を考慮して、SRS送信に対する周波数ポジションを決定する。
【0154】
このように、移動局装置が、周波数ホッピング周期とA−SRSを送信するサブフレームのみに関連するパラメータから、数式1に基づいて周波数ポジションを算出することによって、基地局装置と移動局装置の間における周波数ポジションの不一致を回避することが可能となり(複数の移動局装置間におけるSRS送信の衝突を回避することが可能となり)、基地局装置によるチャネル推定精度を向上することが可能となる。
【0155】
また、移動局装置が、シングルショットA−SRSを送信する場合、基地局装置は、DCIフォーマットに含まれるA−SRS送信指示を用いることによって、同一の周波数ポジションで、連続してA−SRSを送信させるか否かを柔軟に制御することができる。
【0156】
さらに、移動局装置が、マルチショットA−SRSを送信する場合、基地局装置は、同一の周波数ポジションに連続して配置するだけでなく、周波数ホッピングによって、異なる周波数ポジションに切り替わるまで送信するように制御することができる。また、1回の送信指示で複数のSRSサブフレームのリソースを確保できるため、基地局装置によるA−SRSのリソース管理を簡単にすることができる。
【0157】
移動局装置が、基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期を使用して、A−SRSを割り当てる周波数帯域(リソース割り当て、候補リソースおよび送信リソース、周波数ポジション)を算出することによって、A−SRSをインプリシットに同じ周波数帯域に割り当て、時間平均効果によるチャネル推定精度の向上を図る。また、A−SRSを周波数ホッピングすることによって、異なる周波数帯域に割り当て、全ての帯域についてチャネル推定を行うことができ、基地局装置は、特性の良い周波数帯域を用いて、移動局装置と通信を行うことができる。
【0158】
(第2の実施形態)
次に、基地局装置100および移動局装置200を用いた移動通信システムにおける第2の実施形態を説明する。第2の実施形態では、基地局装置は、A−SRSの周波数ホッピング周期とA−SRSサブフレームの周期およびサブフレームオフセットを含む無線リソース制御信号を移動局装置へ通知し、A−SRSの送信指示を含んだDCIフォーマットを移動局装置へ通知する。
【0159】
また、移動局装置は、無線リソース制御信号に従ってA−SRSの周波数ホッピング周期とA−SRSサブフレームおよびサブフレームオフセットを設定し、DCIフォーマットにA−SRSの送信指示が含まれている場合には、周波数ホッピング周期を基に算出されたA−SRSの周波数ポジションでA−SRSを送信する。
【0160】
図7は、移動局装置が、シングルショットA−SRSを送信する際に、基地局装置によって周波数ホッピング周期(周波数ホッピング用の送信周期)とA−SRS固有の送信可能サブフレーム(A−SRSサブフレームとも呼称する)が設定された場合の動作の一例を示す図である。図7において、横軸はサブフレーム(時間)、縦軸は周波数(ホッピング帯域幅(リソースブロック数))を示している。
【0161】
ここで、例えば、1サブフレームの時間長は1msであり、10サブフレーム(10ms)で1フレームとなる。また、1サブフレームは、2スロットによって構成され、1フレームは20スロットで構成される。また、1フレームに含まれるサブフレームには、0から9までの番号(インデックス)が付与され、1フレームに含まれるスロットには、0から19までの番号が付与される。
【0162】
さらに、図7において、基地局装置から移動局装置が通知される第1の送信指示、第2の送信指示、第3の送信指示、第4の送信指示は、A−SRSの送信指示を示している。また、移動局装置は、基地局装置からA−SRSの送信指示を含むDCIフォーマットを受信した後の、最初のA−SRS固有の送信可能サブフレームでA−SRSを基地局装置へ送信する。ここで、図7において、下りリンクサブフレームと上りリンクサブフレームのインデックスは同じタイミングで送信されるものとみなす。
【0163】
図7において、ドットで示される領域は、基地局装置によって設定されたA−SRS送信に対する候補リソースを概念的に示している。また、同様に、斜線で示される領域は、基地局装置によって設定されたA−SRS送信に対する候補リソースを概念的に示している。図7において、移動局装置は、斜線で示されるリソースを使用して、A−SRSを基地局装置へ送信している。
【0164】
例えば、基地局装置は、移動局装置が4回の周波数ホッピングを適用してA−SRSを送信することによって、ホッピング帯域幅(全ての周波数帯域幅)をカバーできるように設定することができる。
【0165】
A−SRSサブフレームの周期およびサブフレームオフセットは、P−SRSの送信周期およびサブフレームオフセットと異なる値に設定できる。ここで、SRS(A−SRS、P−SRS)の送信周期およびサブフレームオフセットはテーブル管理されており、送信周期とサブフレームオフセットのセットはインデックス(サブフレームコンフィグレーションインデックス)で対応付けられている。すなわち、A−SRSの送信可能サブフレームは、P−SRSが送信されるサブフレームとは異なるSRS送信可能サブフレームが設定され、A−SRSとP−SRSで異なるサブフレームコンフィグレーションインデックスが割り当てられていることを示している。ここで、基地局装置は、A−SRSのサブフレームコンフィグレーションインデックスと周波数ホッピング周期を、RRCシグナリングを使用して設定することができる。また、上記で示したように、基地局装置は、SRS送信可能サブフレームを、報知情報を使用して、セル固有に設定することができる。また、基地局装置は、(A−SRS、P−SRSそれぞれの)SRS送信可能サブフレームを、RRCシグナリングを使用して、移動局装置固有に設定することができる。さらに、基地局装置は、(A−SRS、P−SRSそれぞれの)サブフレームオフセットを、RRCシグナリングを使用して設定することができる。
【0166】
移動局装置は、基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期とA−SRSサブフレームの周期とサブフレームオフセットに基づいて、A−SRSを基地局装置へ送信する。
【0167】
ここで、基地局装置は、周波数ホッピング周期を設定することによって、移動局装置に対して、どの周波数ポジションでA−SRSを送信するのかを設定することができる。より具体的には、例えば、移動局装置は、基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期をパラメータとして、下記の数式1に基づいて、A−SRS送信に対する周波数ポジションを算出(決定)することができる。
【0168】
A−SRSサブフレームの周期が周波数ホッピング周期よりも短い周期で設定された場合には、移動局装置は、数式1を用いて、A−SRSの周波数ポジションを算出する。
【0169】
図7において、基地局装置は、周波数ホッピング周期として10ms(10サブフレーム)を、移動局装置に対して設定している。また、基地局装置は、SRS送信可能サブフレームとしてサブフレーム周期2ms(2サブフレーム)を、移動局装置に対して設定している。また、基地局装置は、サブフレームオフセットとしてオフセット値0を、移動局装置に対して設定している。
【0170】
移動局装置は、基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期とA−SRSサブフレームとサブフレームオフセットに従って、A−SRSを送信する。例えば、移動局装置は、基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期に従って、10ms毎に周波数ホッピングを適用して、A−SRSを送信する。
【0171】
上記で示したように、移動局装置は、基地局装置によって設定された周波数ホッピング周期をパラメータの1つとして、数式1に基づいて算出した周波数ポジションでA−SRSを送信する。ここで、基地局装置は、周波数ホッピング周期とA−SRSサブフレームとサブフレームオフセットを設定することによって、移動局装置に対して、同一の周波数ポジションでA−SRSを送信させることができる。
【0172】
例えば、図7に示すように、基地局装置は、周波数ホッピング周期として、A−SRSサブフレームよりも長い周期の周波数ホッピング周期を設定することによって、移動局装置に対して、A−SRSサブフレーム間において同一の周波数ポジションでのA−SRSの送信を指示することができる。図7において、基地局装置は、A−SRSサブフレーム(5ms(5サブフレーム))よりも長い周期の周波数ホッピング周期(10ms(10サブフレーム))を設定することによって、移動局装置に対して、A−SRSサブフレーム間において同一の周波数ポジションでのA−SRSの送信を指示している。
【0173】
ここで、図7において、基地局装置が、A−SRSサブフレームとして、周波数ホッピング周期よりも短い周期のA−SRSサブフレームを設定することによって、同様の効果が得られることは勿論である。
【0174】
図7において、基地局装置は、周波数ホッピング周期として、A−SRSサブフレームよりも短い周期の周波数ホッピング周期を設定した場合には、A−SRSサブフレームの周期TApSRSを基にnSRSを算出することによって、移動局装置に対して、A−SRSサブフレーム間において異なる周波数ポジションでのA−SRSの送信を指示することができる。すなわち、移動局装置は、A−SRSサブフレームに対する累積の周波数ホッピング回数(累積のA−SRSサブフレーム数)を、数式3を用いて算出することができる。
【0175】
【数3】

【0176】
ここで、図7において、基地局装置が、SRS送信可能サブフレームとして、周波数ホッピング周期よりも長い周期のSRS送信可能サブフレームを設定することによって、同様の効果が得られることは勿論である。
【0177】
図7において、サブフレームn−10で基地局装置から第1の送信指示を含むDCIフォーマットを受信した移動局装置は、サブフレームn−6でA−SRSを送信する。同様に、サブフレームn−4で基地局装置から第2の送信指示を含むDCIフォーマットを受信した移動局装置は、サブフレームnでA−SRSを送信する。
【0178】
この際、移動局装置は、数式1に基づいて算出した周波数ポジションでA−SRSを送信する。例えば、図7では、移動局装置は、第1の送信指示に対してA−SRSを送信する際と、第2の送信指示に対してA−SRSを送信する際に、異なる周波数ポジション(異なる候補リソースでも良い)でA−SRSを送信する。
【0179】
さらに、サブフレームn−1で基地局装置から第3の送信指示を含むDCIフォーマットを受信した移動局装置は、サブフレームn+5でA−SRSを送信する。この際、移動局装置は、数式1に基づいて算出した周波数ポジションでA−SRSを送信する。例えば、図7では、移動局装置は、第2の送信指示に対してA−SRSを送信する際と、第3の送信指示に対してA−SRSを送信する際に、同一の周波数ポジション(同一の候補リソースでも良い)でA−SRSを送信する。
【0180】
上記までに説明してきた第1の実施形態は、移動局装置が、マルチショットA−SRSを送信する際にも適用できる。すなわち、基地局装置は、移動局装置に対して、マルチショットA−SRSの送信を指示するとともに、周波数ホッピング周期を設定することができる。
【0181】
本実施形態では、A−SRSサブフレームの周期ではなく、周波数ホッピング周期を用いて、周波数ポジションを算出することで、同一周波数ポジションのA−SRSを連続して割り当てることができ、時間平均効果が得られる。また、周波数ホッピングを行うことで、周波数ダイバーシチ効果が得られ、チャネル推定精度を改善する。さらに、A−SRSサブフレームとサブフレームオフセットを定義することにより、A−SRSとP−SRSの時間分割多重(TDM: Time Domain Multiplexing)を容易にし、送信タイミングをずらすことで、異なるSRS帯域幅を有する移動局装置から送信されるA−SRSの衝突による直交崩れを回避でき、よりフレキシブルなA−SRSのリソース割り当てを可能にする。また、基地局装置は、A−SRSとP−SRSのリソース管理を分離できるため、A−SRSとP−SRSが同じタイミングで送信されることを回避することができ、チャネル推定精度を改善できる。
【0182】
以上説明した実施形態は、基地局装置および移動局装置に搭載される集積回路/チップセットにも適用される。また、以上説明した実施形態において、基地局装置内の各機能や、移動局装置内の各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより基地局装置や移動局装置の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0183】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、更に前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0184】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0185】
100 基地局装置
101 データ制御部
102 送信データ変調部
103 無線部
104 スケジューリング部
105 チャネル推定部
106 受信データ復調部
107 データ抽出部
108 上位層
109 アンテナ
110 無線リソース制御部
200 移動局装置
201 データ制御部
202 送信データ変調部
203 無線部
204 スケジューリング部
205 チャネル推定部
206 受信データ復調部
207 データ抽出部
208 上位層
209 アンテナ
210 無線リソース制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置と移動局装置とが通信を行う移動通信システムであって、
前記基地局装置は、
サウンディングリファレンスシグナルの周波数ホッピング周期を含む無線リソース制御信号を前記移動局装置へ通知し、
サウンディングリファレンスシグナルの送信指示を含む下りリンク制御情報フォーマットを前記移動局装置へ通知し、
前記移動局装置は、
前記無線リソース制御信号に従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの周波数ホッピング周期を設定し、
前記下りリンク制御情報フォーマットに従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの送信指示が含まれている場合には、前記周波数ホッピング周期を基に算出されたサウンディングリファレンスシグナルの周波数ポジションでサウンディングリファレンスシグナルを前記基地局装置へ送信する
ことを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
前記移動局装置は、前記周波数ホッピング周期がサウンディングリファレンスシグナルを送信可能なサブフレームの周期よりも長い周期が設定された場合には、前記周波数ホッピング周期を基に周波数ポジションを算出し、前記周波数ホッピング周期がサウンディングリファレンスシグナルを送信可能なサブフレームの周期よりも短い周期が設定された場合には、前記サウンディングリファレンスシグナルを送信可能なサブフレームの周期を基に周波数ポジションを算出することを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項3】
基地局装置と移動局装置とが通信を行う無線通信システムであって、
前記基地局装置は、
サウンディングリファレンスシグナルの周波数ホッピング周期とサウンディングリファレンスシグナルの送信指示が通知された場合に送信される非周期サウンディングリファレンスシグナルの送信周期およびサブフレームオフセットを含む無線リソース制御信号を前記移動局装置へ通知し、
サウンディングリファレンスシグナルの送信指示を含む下りリンク制御情報フォーマットを前記移動局装置へ通知し、
前記移動局装置は、
前記無線リソース制御信号に従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの周波数ホッピング周期と非周期サウンディングリファレンスシグナルの周期およびサブフレームオフセットを設定し、
前記下りリンク制御情報フォーマットに従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの送信指示が含まれている場合には、周波数ホッピング周期を基に算出された周波数ポジションでサウンディングリファレンスシグナルを前記基地局装置へ送信する
ことを特徴とする移動通信システム。
【請求項4】
前記移動局装置は、前記非周期サウンディングリファレンスシグナルの送信周期が前記周波数ホッピング周期より短い場合には、前記周波数ホッピング周期を基に、サウンディングリファレンスシグナルの周波数ポジションを算出し、前記非周期サウンディングリファレンスシグナルの送信周期が前記周波数ホッピング周期より長い場合には、前記非周期サウンディングリファレンスシグナルの送信周期を基に、サウンディングリファレンスシグナルの周波数ポジションを算出することを特徴とする請求項3に記載の移動通信システム。
【請求項5】
基地局装置と通信を行う移動局装置であって、
前記無線リソース制御信号に従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの周波数ホッピング周期を設定する手段と、
前記下りリンク制御情報フォーマットに従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの送信指示が含まれている場合には、前記周波数ホッピング周期を基に算出されたサウンディングリファレンスシグナルの周波数ポジションでサウンディングリファレンスシグナルを前記基地局装置へ送信する手段と、を有する
ことを特徴とする移動局装置。
【請求項6】
前記移動局装置は、前記周波数ホッピング周期がサウンディングリファレンスシグナルを送信可能なサブフレームの周期よりも長い周期が設定された場合には、前記周波数ホッピング周期を基に周波数ポジションを算出し、前記周波数ホッピング周期がサウンディングリファレンスシグナルを送信可能なサブフレームの周期よりも短い周期が設定された場合には、前記サウンディングリファレンスシグナルを送信可能なサブフレームの周期を基に周波数ポジションを算出する手段を有することを特徴とする請求項5に記載の移動局装置。
【請求項7】
基地局装置と通信を行う移動局装置であって、
前記無線リソース制御信号に従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの周波数ホッピング周期と非周期サウンディングリファレンスシグナルの周期およびサブフレームオフセットを設定する手段と、
前記下りリンク制御情報フォーマットに従って、前記サウンディングリファレンスシグナルの送信指示が含まれている場合には、周波数ホッピング周期を基に算出された周波数ポジションにサウンディングリファレンスシグナルを配置し、前記基地局装置へ送信する手段と、を有する
ことを特徴とする移動局装置。
【請求項8】
前記移動局装置は、前記非周期サウンディングリファレンスシグナルの送信周期が前記周波数ホッピング周期より短い場合には、前記周波数ホッピング周期を基に、サウンディングリファレンスシグナルの周波数ポジションを算出し、前記非周期サウンディングリファレンスシグナルの送信周期が前記周波数ホッピング周期より長い場合には、前記非周期サウンディングリファレンスシグナルの送信周期を基に、サウンディングリファレンスシグナルの周波数ポジションを算出する手段を有することを特徴とする請求項7に記載の移動局装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−100213(P2012−100213A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248570(P2010−248570)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】