説明

移動通信端末、移動通信端末によるネットワーク選択方法、及びプログラム

【課題】予め定められたネットワークが利用可能であるか否かに関わらず、滞在国とは異なる国又は地域のネットワークに対して自動的に接続することを規制できるようにする。
【解決手段】移動通信端末1は、無線通信部11、位置計測部14、及び通信制御部15を含む。通信制御部15は、無線通信部11を介して無線通信ネットワークから受信した無線信号に含まれる識別情報を用いて判定される第1の滞在地域情報と、位置計測部14によって計測された現在地に対応する第2の滞在地域情報とが矛盾する場合に、無線通信ネットワークに対する自動的な接続を制限できるよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワークに接続可能な移動通信端末に関し、特に、国際ローミングサービスを利用可能な移動通信端末による接続先ネットワークの選択に関する。
【背景技術】
【0002】
ローミングサービスに対応した移動通信端末(例えば携帯電話端末、タブレットPC)が実用化されている。移動通信端末のユーザは、ローミングサービスを利用することで、契約している通信事業者と相互乗り入れの契約を行っている他キャリアのサービスエリアにおいても無線通信サービスを利用することができる。ここで、無線通信サービスは、セルラ通信サービスだけでなく、公衆無線LAN(Local Area Network)サービス、WiMAXサービス等を含む。移動通信端末のユーザは、自国で使用している移動通信端末を外国等のローミング先においてそのまま使用できる場合もあるし、通信方式の違いのために自国で使用している移動通信端末とは別の端末を使用する場合もある。別の端末を使用する場合にも、契約者情報が記録されたSIM(Subscriber Identity Module)をローミング先の端末に差し替えることで、ローミング先においても自国の移動通信端末で使用している電話番号をそのまま利用できる。
【0003】
通信事業者は、一般的に、複数の外国又は他地域の通信事業者との間で国際ローミングサービスを提供している。移動通信端末のユーザは、様々な国や地域で国際ローミングサービスを利用することが可能となっている。国際ローミングサービスを利用することによって、移動通信端末のユーザは、契約している通信事業者が直接サービスを提供していない外国(旅行先の滞在国など)であっても、無線通信サービスを利用することができる。
【0004】
特許文献1は、ローミング機能を有する移動通信端末が複数の接続可能なネットワークの中から接続先ネットワークを選択する技術について開示している。具体的には、特許文献1に開示された移動通信端末は、GPS(Global Positioning System)受信機などの測位装置を用いて移動通信端末の現在地を計測し、現在地において優先的に接続するネットワークとして予めユーザによって設定された"優先ネットワーク"と現在接続しているネットワークとが一致するかを判定する。そして、判定結果が不一致である場合、特許文献1に開示された移動通信端末は、現在地に対応付けられた"優先ネットワーク"に接続先を変更する。つまり、特許文献1に開示された移動通信端末は、現在地に対応付けられた"優先ネットワーク"が利用できる限り、これを優先的に利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−027355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
国境付近などで、単に隣接国の通信事業者の無線品質が良いからといって移動通信端末が自動的にローミング先のネットワークに接続することは好ましくない場合がある。このような場合、移動通信端末のユーザは、高い国際通話料金、ローミング料金を請求されてしまうためである。我が国においても、近隣国との距離が近い地域では近隣国の通信事業者の電波を受信可能であるためにこの問題を生じ得る。例えば対馬では韓国の通信事業者の電波を受信でき、北海道北東部ではロシアの通信事業者の電波を受信できる。
【0007】
上述した特許文献1によれば、ユーザが優先ネットワークとして自国(例えば日本)の通信事業者を指定しておくことによって、優先ネットワークの電波が受信できる限りにおいてこれを優先的に利用できる。しかしながら、特許文献1の技術では、優先ネットワークの無線品質が十分でないために優先ネットワークを利用できない場合には、移動通信端末は他の利用可能なネットワーク(例えば韓国又はロシアの通信事業者などの隣接国のネットワーク)に接続してしまうと考えられる。この場合、移動通信端末のユーザは、高い国際通話料金、ローミング料金を請求されてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、本件発明者による上述の知見に基づいてなされたものであり、予め定められたネットワークが利用可能であるか否かに関わらず、滞在国とは異なる国又は地域のネットワークに対して自動的に接続することを規制することが可能な移動通信端末、移動通信端末によるネットワーク選択方法、及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、移動通信端末を含む。当該移動通信端末は、無線通信部、位置計測部、及び通信制御部を含む。前記通信制御部は、前記無線通信部を介して無線通信ネットワークから受信した無線信号に含まれる識別情報を用いて判定される第1の滞在地域情報と、前記位置計測部によって計測された現在地に対応する第2の滞在地域情報とが矛盾する場合に、前記無線通信ネットワークに対する自動的な接続を制限可能に構成されている。
【0010】
本発明の第2の態様は、移動通信端末によるネットワーク選択方法を含む。当該方法は、移動通信端末が有する無線通信部を介して無線通信ネットワークから受信した無線信号に含まれる識別情報を用いて判定される第1の滞在地域情報と、前記移動通信端末が有する位置計測部によって計測された現在地に対応する第2の滞在地域情報とが矛盾する場合に、前記無線通信ネットワークに対する自動的な接続を制限することを含む。
【0011】
本発明の第3の態様は、上述した本発明の第2の態様に係る方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
上述した本発明の各態様によれば、予め定められたネットワークが利用可能であるか否かに関わらず、滞在国とは異なる国又は地域のネットワークに対して自動的に接続することを規制することが可能な移動通信端末、移動通信端末によるネットワーク選択方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る移動通信端末の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る移動通信端末による通信制御方法の具体例を示すフローチャートである。
【図3】図2のフローチャートに示した接続制限処理の第1の具体例を示すフローチャートである。
【図4】図2のフローチャートに示した接続制限処理の第2の具体例を示すフローチャートである。
【図5】無線通信ネットワークに接続するか否かの選択を促す表示の例を示す図である。
【図6】無線通信ネットワークに対する接続動作の設定画面の例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る移動通信端末の他の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る移動通信端末による通信制御方法の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0015】
<発明の実施の形態1>
本実施の形態に係る移動通信端末1の構成例を図1に示す。移動通信端末1は、国際ローミング機能を有し、複数の通信事業者によって提供される複数の無線通信ネットワークに接続することができる。移動通信端末1の具体例は、携帯電話端末、スマートフォン、タブレットPC、ノートPC、USB(Universal serial Port)型やPCカード型のデータ通信デバイス等を含む。ここで、無線通信ネットワークは、典型的にはサービスエリアが広く国又は地域の境界線を跨いで電波が到達する可能性が高いセルラ通信ネットワークである。しかしながら、無線通信ネットワークは、セルラ通信ネットワーク以外のもの、例えば、公衆無線LAN(Local Area Network)、又はWiMAXネットワーク等でもよい。
【0016】
図1において、コントローラ10は、移動通信端末1の全体的な制御、監視、情報処理を行う。コントローラ10は、通信制御部15を含む。通信制御部15については後述する。
【0017】
無線通信部11は、基地局(又は無線アクセスポイント)を介して無線通信ネットワークに接続する。無線通信部11には、公知のセルラ通信方式、例えば、UTRA(UMTS Terrestrial Radio Access)、E−UTRA(Evolved UTRA)、GSM(Global System for Mobile Communications)、無線LAN(Local Area Network)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等に準拠した送受信機を用いればよい。
【0018】
また、無線通信部は、接続可能な無線通信ネットワーク(具体的には基地局)を検出するセルサーチ動作を行い、検出された基地局から報知情報を含む無線信号を受信し、報知情報を取得する。報知情報は、送信元の基地局及び無線通信ネットワークを特定するための識別情報を含む。本実施の形態では、この識別情報は、「第1の滞在地域情報」としての通信事業者の国情報を含む。例えば、UTRA(W−CDMA)の場合、通信事業者の識別情報としてPLMNid(Public Land Mobile Network identifier)を含む報知情報が基地局から送信される。PLMNidは、国コード(MCC:Mobile Country Code)及び事業者コード(MNC:Mobile Network Code)を含む。
【0019】
入力デバイス12は、ユーザによる操作を受け付けるデバイスである。入力デバイス12の具体例は、タッチパネル、キーボード、及びマウスである。ディスプレイ13は、ユーザが視認できるように画像表示を行う。ディスプレイ13の具体例は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Cristal Display)、EL(electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。
【0020】
位置計測部14は、移動通信端末1の現在地を示す位置情報を取得する。例えば、位置計測部14は、GPS(Global Positioning System)受信機を含み、GPS衛星からの電波を受信することによって位置計測を行ってもよい。また、位置計測部14は、無線LANアクセスポイントからの電波を利用した位置計測(WiFi測位等と呼ばれる)を利用してもよい。WiFi測位は、移動通信端末1が検出したアクセスポイントの識別情報を、アクセスポイントの位置情報が記録されたデータベースと照合することによって現在地を特定する。
【0021】
通信制御部15は、無線通信部11を介して無線通信ネットワーク(つまり基地局)から受信した無線信号に含まれる識別情報を用いて判定される通信事業者の国情報と、位置計測部14によって計測された現在地に対応する滞在国とが矛盾する場合に、セルサーチで検出された上述の無線通信ネットワークに対する自動的な接続を制限することができる。通信制御部15による自動的な接続の制限の1つの例は、接続を行わないことである。また、他の例として、通信制御部15は、通信事業者の国情報と滞在国とが矛盾する場合に、無線通信ネットワークへの接続に対するユーザの許可を求める(言い換えると、自動的ではなく手動での接続を行う)こととしてもよい。
【0022】
具体的に述べると、通信制御部15は、位置計測部14から現在地を示す位置情報を受け取る。そして、通信制御部15は、位置計測部14によって計測された位置情報を元に「第2の滞在地域情報」としての滞在国を判定する。例えば、通信制御部15は、現在地を示す位置情報を地図データ(不図示)と照合することによって滞在国を判定すればよい。地図データは、緯度及び経度によって特定される座標点がどの国に該当するかを示す情報を含んでいればよい。地図データは、移動通信端末1に搭載されたメモリ(不図示)に格納されてもよいし、無線通信部11を介してアクセス可能な遠隔地のサーバに保持されていてもよい。
【0023】
通信事業者の国情報と、位置計測部14によって測定された現在地に由来する滞在国情報とが"矛盾する"場合とは、典型的には、これら2つの情報によって示される2つの国又は地域が不一致である場合である。また通信事業者の国情報と、位置計測部14によって測定された現在地に由来する滞在国情報のうちいずれか一方が複数の国を含む地域(例えば、ヨーロッパ連合(EU))を指定することが考えられる。このケースでは、通信制御部15は、いずれか一方によって指定される地域が他の一方によって示される国を包含していない場合に、2つの情報が"矛盾する"と判定してもよい。
【0024】
また、無線通信ネットワークへ接続することは、(a)無線通信ネットワークに位置登録を行って待ち受け動作を行うこと、(b)移動通信端末1と無線通信ネットワークの間で制御信号(例えば、セッション管理及びモビリティ管理のための制御信号)を送受信するための制御チャネルを接続すること、及び(c)移動通信端末1と無線通信ネットワークの間でユーザデータを送受信するためのデータチャネルを接続すること、のうち少なくとも1つを含む。
【0025】
なお、図1の構成例では、移動通信端末1が入力デバイス12及びディスプレイ13を含む例を示した。しかしながら、例えば、移動通信端末1がUSB(Universal serial Port)型又はPCカード型等のデータ通信デバイスである場合、移動通信端末1は入力デバイス12及びディスプレイ13を有していなくてもよい。
【0026】
続いて、図2のフローチャートを用いて、本実施の形態に係る移動通信端末1によって行われる通信制御方法の具体例について説明する。ステップS10では、無線通信部11は、セルサーチを行って、接続可能な無線通信ネットワーク(つまり基地局)を検出する。通常、移動通信端末1は、定期的にセルサーチ動作を実行する。ステップS11では、無線通信部11は、セルサーチよって検出された基地局から報知情報を受信し、通信事業者の国情報を取得する。
【0027】
ステップS12では、位置計測部14は、移動通信端末1の現在地を計測し、現在地を示す位置情報を生成する。ステップS13では、通信制御部15は、位置計測部14によって得られた位置情報をもとに滞在国を判定する。なお、ステップS10及びS11と、ステップS12及びS13の実行順序は特に限定されない。例えば、ステップS12及びS13又はステップS12のみをステップS10及びS11の前に行ってもよいし、ステップS12及びS13をステップS10及びS11と時間的に並行して行ってもよい。
【0028】
ステップS14では、通信制御部15は、無線通信ネットワークの報知情報に由来する通信事業者の国情報と、位置計測部14によって測定された現在地に由来する滞在国情報とが矛盾するか否かを判定する。2つの情報が矛盾しない場合(ステップS14でNO)、通信制御部15は、セルサーチで検出されたネットワークに自動的に接続するよう無線通信部11を制御する(ステップS15)。一方、2つの情報が矛盾する場合(ステップS14でYES)、通信制御部15は、セルサーチで検出されたネットワークへの自動接続を制限する処理(接続制限処理と呼ぶ)を行う(ステップS16)。
【0029】
上述したように、接続制限処理(ステップS16)の1つの例は、無線通信ネットワークへの接続を行わないことである。図3は、この例の具体的手順を示すフローチャートである。ステップS160では、通信制御部15は、セルサーチで検出されたネットワークの通信事業者の国情報を破棄する。ステップS161では、通信制御部15は、セルサーチで検出されたネットワークに接続しないよう無線通信部11を制御する。
【0030】
接続制限処理(ステップS16)の他の例は、セルサーチで検出されたネットワークへの接続をユーザによる許可を条件として行うことである。図4は、この例の具体的手順を示すフローチャートである。ステップS162では、通信制御部15は、セルサーチで検出されたネットワークに接続するか否かの選択を促す表示をディスプレイ13に出力する。そして、通信制御部15は、入力デバイス12を介してユーザの選択を受け付ける。ステップS162での表示例を図5に示す。
【0031】
ステップS163では、ユーザの選択が接続許可であるか否かを判定する。ユーザが接続を許可する場合(ステップS163でYES)、通信制御部15は、セルサーチで検出されたネットワークに接続するよう無線通信部11を制御する(ステップS164)。これに対して、ユーザが接続を許可しない場合(ステップS163でNO)、通信制御部15は、セルサーチで検出されたネットワークに接続しないよう無線通信部11を制御する(ステップS165)。
【0032】
なお、移動通信端末1は、図4に示したようにセルサーチで検出されたローミング先のネットワークへの接続をユーザの許可を条件として行う動作モード(以下、手動モード)と、接続制限を行わずに自動的に接続する動作モード(以下、自動モード)をユーザの操作によって変更できるよう構成されてもよい。図6(a)及び(b)は、手動モードと自動モードの設定操作を受け付けるためのディスプレイ13の画面表示例を示している。
【0033】
上述したように、本実施の形態に係るコントローラ10(具体的には通信制御部15)を含む移動通信端末1は、位置計測部14によって得られた現在地に由来する滞在国と、無線通信ネットワークから送信される無線信号に含まれる通信事業者の国情報とが矛盾する場合に、この無線通信ネットワークに対する自動的な接続を制限できる。このため、移動通信端末1は、特許文献1に記載されている優先ネットワークのような予め定められたネットワークが利用できない場合であっても、滞在国とは異なる国又は地域の通信事業者の無線通信ネットワークに対して自動的に接続することを規制できる。
【0034】
なお、本実施の形態で説明した通信制御部15の機能は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサを含むコンピュータシステムに1又は複数のプログラムを実行させることによって実現してもよい。具体的には、無線通信ネットワークの報知情報に由来する通信事業者の国情報と、位置計測部14によって測定された現在地に由来する滞在国情報とが矛盾するか否かを判定する第1の命令群と、当該判定結果に応じて無線通信部11を制御する第2の命令群をプロセッサがアクセス可能なメモリに記憶しておけばよい。これら第1及び第2の命令群は、1のプログラムとして提供されてもよいし、複数のプログラムに分割されて提供されてもよい。プロセッサを含むコンピュータシステムは、第1及び第2の命令群を実行することによって、通信制御部15として動作する。
【0035】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0036】
移動通信端末1がコンピュータシステムを用いて製造される場合の構成例を図7に示す。タッチパネル121は、入力デバイス12の具体例である。LCD131は、ディスプレイ13の具体例である。不揮発性記憶部102(例えばフラッシュメモリ、又はハードディスクドライブ)に格納されたOS(Operating System)103及び通信制御プログラム104は、RAM(Random Access Memory)101にロードされる。MPU100がRAM101にロードされたOS103及び通信制御プログラム104を実行することにより、通信制御部15を含むコントローラ10の機能が実現される。
【0037】
<発明の実施の形態2>
本実施の形態では、上述した発明の実施の形態1に係る移動通信端末1の変形例について説明する。本実施の形態では、移動通信端末1が過去に記憶済みの通信事業者の国情報と、新たにセルサーチを行って得た報知情報に由来する通信事業者の国情報とが不一致であることを条件として、発明の実施の形態1で説明した動作、すなわち、位置計測部14による現在地の計測、及びセルサーチを行って得た報知情報に由来する通信事業者の国情報と現在地に由来する滞在国との比較を含む通信制御動作を行う。これにより、セルサーチを行って得た報知情報に由来する通信事業者の国情報が過去に記憶済みのものから更新されている場合にだけ位置計測部14を動作させて現在地を計測すればよい。言い換えると、定期的なセルサーチのたびに位置計測部14を動作させて現在地を計測する必要がないため、移動通信端末1の電力消費を抑制できる。
【0038】
以下では、本実施の形態にかかる移動通信端末による通信制御方法の具体例について説明する。なお、本実施の形態にかかる通信端末の構成例は、図1及び7に示した実施の形態1の構成例と同様とすればよい。図8は、本実施の形態に係る通信制御方法の具体例を示すフローチャートである。図8のステップS10、S11、S12、S13、S14、及びS16の各々にける処理内容は、図2に示した同一符号の対応するステップと同様である。
【0039】
図8のステップS20及びS21では、新たにセルサーチを行って取得した通信事業者の国情報と、移動通信端末1に過去に記憶済みの通信事業者の国情報を比較する。2つの国情報が一致する場合(ステップS21でYES)、通信制御部15は、過去に記憶済みの通信事業者の国情報に対応する通信事業者の無線通信ネットワークに接続するよう無線通信部11を制御する(ステップS24)。
【0040】
これに対して、2つの国情報が不一致である場合(ステップS21でNO)、発明の実施の形態1で述べたステップS12〜S14が行われる。すなわち、位置計測部14は現在地を計測し(ステップS12)、通信制御部15は位置計測部14によって得られた現在地をもとに滞在国を判定する(ステップS13)。そして、通信制御部15は、新たなセルサーチで検出された無線通信ネットワークの報知情報に由来する通信事業者の国情報と、位置計測部14によって測定された現在地に由来する滞在国情報とが矛盾するか否かを判定する(ステップS14)。
【0041】
2つの情報が矛盾しない場合(ステップS14でNO)、通信制御部15は、新たなセルサーチで検出された無線通信ネットワークの報知情報に由来する通信事業者の国情報によって、過去に記憶済みの通信事業者の国情報を更新する(ステップS23)。これにより、ステップS23の後のステップS24では、新たなセルサーチで検出された無線通信ネットワークに接続する制御が行われる。
【0042】
これに対して、2つの情報が矛盾する場合(ステップS14でYES)、通信制御部15は、セルサーチで検出されたネットワークへの自動接続を制限する処理(接続制限処理と呼ぶ)を行う(ステップS16)。
【0043】
本実施の形態で述べた通信制御部15の機能も、発明の実施の形態1で述べたのと同様に、コンピュータシステムにプログラムを実行させることによって実現してもよい。
【0044】
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0045】
例えば、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0046】
(付記1)
無線通信部と、
位置計測部と、
前記無線通信部を介して無線通信ネットワークから受信した無線信号に含まれる識別情報を用いて判定される第1の滞在地域情報と、前記位置計測部によって計測された現在地に対応する第2の滞在地域情報とが矛盾する場合に、前記無線通信ネットワークに対する自動的な接続を制限可能な通信制御部と、
を備える移動通信端末。
【0047】
(付記2)
画像を表示可能なディスプレイ部をさらに備え、
前記通信制御部は、前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾する場合に、前記無線通信ネットワークに接続するか否かの選択を促す表示を前記ディスプレイ部に出力する、付記1に記載の移動通信端末。
【0048】
(付記3)
前記通信制御部は、前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾する場合に前記無線通信ネットワークに自動的に接続するか否かをユーザの操作に応じて変更できるよう構成されている、付記1又は2に記載の移動通信端末。
【0049】
(付記4)
前記通信制御部は、前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾する場合に前記無線通信ネットワークに自動的に接続しない、付記1に記載の移動通信端末。
【0050】
(付記5)
前記通信制御部は、予め記憶済みの滞在地域情報と前記第1の滞在地域情報とが不一致であることを条件として、前記第2の滞在地域情報の取得、並びに前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾するかの判定を行う、付記1〜4のいずれか1項に記載の移動通信端末。
【0051】
(付記6)
前記通信制御部は、前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾しない場合に、前記無線通信ネットワークに自動的に接続する、付記1〜5のいずれか1項に記載の移動通信端末。
【0052】
(付記7)
前記通信制御部は、前記位置計測部によって計測された現在地を示す位置情報を地図データと照合することによって、前記第2の滞在国情報を取得する、付記1〜6のいずれか1項に記載の移動通信端末。
【0053】
(付記8)
前記識別情報は、前記無線通信ネットワークから報知される事業者識別情報に含まれる国情報を含む、付記1〜7のいずれか1項に記載の移動通信端末。
【0054】
(付記9)
前記無線通信ネットワークに接続することは、(a)前記無線通信ネットワークに位置登録を行って待ち受け動作を行うこと、(b)前記移動通信端末と前記無線通信ネットワークの間で制御信号を送受信するための制御チャネルを接続すること、及び(c)前記移動通信端末と前記無線通信ネットワークの間でユーザデータを送受信するためのデータチャネルを接続すること、のうち少なくとも1つを含む、付記1〜8のいずれか1項に記載の移動通信端末。
【0055】
(付記10)
移動通信端末が有する無線通信部を介して無線通信ネットワークから受信した無線信号に含まれる識別情報を用いて判定される第1の滞在地域情報と、前記移動通信端末が有する位置計測部によって計測された現在地に対応する第2の滞在地域情報とが矛盾する場合に、前記無線通信ネットワークに対する自動的な接続を制限することを備える、移動通信端末によるネットワーク選択方法。
【0056】
(付記11)
前記無線通信ネットワークに対する自動的な接続を制限することは、前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾する場合に、前記無線通信ネットワークに接続するか否かの選択を促す表示を出力することを含む、付記10に記載の方法。
【0057】
(付記12)
前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾する場合に前記無線通信ネットワークに自動的に接続するか否かをユーザの操作に応じて変更することをさらに備える、付記10又は11に記載の方法。
【0058】
(付記13)
前記無線通信ネットワークに対する自動的な接続を制限することは、前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾する場合に前記無線通信ネットワークに自動的に接続しないことを含む、付記10に記載の方法。
【0059】
(付記14)
予め記憶済みの滞在地域情報と前記第1の滞在地域情報とが不一致であることを条件として、前記位置計測部による前記第2の滞在地域情報の取得、並びに前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾するかの判定を行うことをさらに備える、付記10〜13のいずれか1項に記載の方法。
【0060】
(付記15)
前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾しない場合に、前記無線通信ネットワークに自動的に接続することをさらに備える、付記10〜14のいずれか1項に記載の方法。
【0061】
(付記16)
付記10〜15のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0062】
1 移動通信端末
10 コントローラ
11 無線通信部
12 入力デバイス
13 ディスプレイ
14 位置計測部
15 通信制御部
100 MPU(Micro Processing Unit)
101 RAM(Random Access Memory)
102 不揮発性記憶部
103 オペレーティングシステム(Operating System(OS))
104 通信制御プログラム
121 タッチパネル
131 液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)
141 GPS(Global Positioning System)受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信部と、
位置計測部と、
前記無線通信部を介して無線通信ネットワークから受信した無線信号に含まれる識別情報を用いて判定される第1の滞在地域情報と、前記位置計測部によって計測された現在地に対応する第2の滞在地域情報とが矛盾する場合に、前記無線通信ネットワークに対する自動的な接続を制限可能な通信制御部と、
を備える移動通信端末。
【請求項2】
画像を表示可能なディスプレイ部をさらに備え、
前記通信制御部は、前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾する場合に、前記無線通信ネットワークに接続するか否かの選択を促す表示を前記ディスプレイ部に出力する、請求項1に記載の移動通信端末。
【請求項3】
前記通信制御部は、前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾する場合に前記無線通信ネットワークに自動的に接続するか否かをユーザの操作に応じて変更できるよう構成されている、請求項1又は2に記載の移動通信端末。
【請求項4】
前記通信制御部は、前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾する場合に前記無線通信ネットワークに自動的に接続しない、請求項1に記載の移動通信端末。
【請求項5】
前記通信制御部は、予め記憶済みの滞在地域情報と前記第1の滞在地域情報とが不一致であることを条件として、前記第2の滞在地域情報の取得、並びに前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾するかの判定を行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の移動通信端末。
【請求項6】
前記通信制御部は、前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾しない場合に、前記無線通信ネットワークに自動的に接続する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の移動通信端末。
【請求項7】
前記無線通信ネットワークに接続することは、(a)前記無線通信ネットワークに位置登録を行って待ち受け動作を行うこと、(b)前記移動通信端末と前記無線通信ネットワークの間で制御信号を送受信するための制御チャネルを接続すること、及び(c)前記移動通信端末と前記無線通信ネットワークの間でユーザデータを送受信するためのデータチャネルを接続すること、のうち少なくとも1つを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の移動通信端末。
【請求項8】
移動通信端末が有する無線通信部を介して無線通信ネットワークから受信した無線信号に含まれる識別情報を用いて判定される第1の滞在地域情報と、前記移動通信端末が有する位置計測部によって計測された現在地に対応する第2の滞在地域情報とが矛盾する場合に、前記無線通信ネットワークに対する自動的な接続を制限することを備える、移動通信端末によるネットワーク選択方法。
【請求項9】
前記無線通信ネットワークに対する自動的な接続を制限することは、前記第1及び第2の滞在地域情報が矛盾する場合に、前記無線通信ネットワークに接続するか否かの選択を促す表示を出力することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−169719(P2012−169719A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26711(P2011−26711)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】