説明

移動通信端末装置

【課題】 親が想定していない状況で子供が車両に乗った場合にすばやく検知し、通知することのできる移動通信端末装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 通信制御部4は、加速度センサー1で検出した加速度により得られる加速度パターンが、加速度情報記憶部3に記憶している車両の走行時の加速度パターンに基づいて、車両の走行時の加速度パターンであるか否かを判断し、車両の走行時の加速度パターンであると判断した場合には、GPS受信部2により現在位置情報を検出し、検出された現在位置情報と共に、車両での移動の情報を無線通信部5により予め設定してある通知先へ電子メール等で通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯として用いる携帯電話等の移動通信端末装置に関し、特に加速度センサーにより動作する移動通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話においては、携帯電話を所持する相手(子供や被介護者)の位置情報を、携帯電話網またはインターネットから得ることができるサービスがある。また、設定した携帯電話を所有した相手が危険を感じた場合や、携帯電話の電源をOFFされた場合に子供のもつ携帯電話の位置情報を親の携帯電話に通知し、親は位置情報と子供に発生したイベント(電源OFFまたは危険察知)を知ることができる。
【0003】
従来のサービスでは、親に対して位置情報を送信するきっかけとなるのは、設定した携帯電話を所有した相手が危険を感じて通知した場合や、携帯電話の電源がOFFされた場合のみである。このような機能のみでは、実際に子供にどのような危険が起こったのか、親は気づくことが出来ない。また、危険が起きたことを知るのに時間がかかることが考えられる。このことは子供を持つ親の最も危惧する点である。
【0004】
子供に起きる危険の一つとして挙げられる子供の連れ去りは、多くの場合に自動車を用いて行われている。特許文献1では、GPS(Global Positioning System)受信機と無線通信装置等を備えた携帯型防犯装置において、GPS受信機で得られる最新の現在位置情報と直前の位置情報とから移動速度を算出し、移動速度が走行車両の速度であると判定した場合に、予め設定された通信先に電子メールを送信し、警報音を鳴らす携帯型防犯装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−251908号公報(0016〜0037段、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1においては、一定時間ごとにGPS受信機により現在位置の測位を行わなければならず、測定時間の間隔が短いと、装置の消費電力が大きくなり長時間使用することができないという問題があった。また、測定時間を長くすると、判定までの時間が長くなり、連れ去り等が起きた場合の通知等が遅れてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、親が想定していない状況で子供が車両に乗った場合にすばやく検知し、通知することのできる移動通信端末装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る移動通信端末装置は、移動時の加速度を検出する加速度検出部と、加速度検出部で検出した加速度に基づいて得られる移動情報に応じて車両での移動であるか否かを判断し、車両での移動であると判断した場合に、移動情報を通知する通信制御手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動通信端末装置は、加速度検出部で検出した加速度により得られる移動情報に基づいて車両での移動であるか否かを判断することにより、子供に連れ去り等の危険が起きた場合に、車両での移動の情報をすばやく保護者等に通知できる。また、消費電力も小さく、長時間使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る移動通信端末装置の各種実施の形態について、図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1における移動通信端末装置101の構成を示すブロック図である。図1において、移動通信端末装置101は、加速度検出部としての加速度センサー1、GPS受信部2、加速度情報記憶部3、通信制御手段としての通信制御部4、無線通信部5、車両乗車検出モード管理部6、端末表示部7、キー入力部8から構成されている。
【0011】
加速度センサー1は、移動通信端末装置101の移動時の加速度を検出し、通信制御部4に出力する。GPS受信部2は、移動通信端末装置101の移動時の現在位置を検出し、通信制御部4に出力する。加速度情報記憶部3は、車両走行時の加速度の変化を加速度のパターンとして記憶する。
【0012】
通信制御部4は、加速度センサー1から検出した加速度の変化を加速度パターンとして認識し、加速度パターンを移動通信端末装置101の移動情報として捉え、加速度情報記憶部3に記憶されている車両の加速度パターンに基づいて、車両での移動か否かを判断する。通信制御部4は、移動通信端末装置101が車両で移動していると判断した場合に、無線通信部5により、GPS受信部2からの現在位置情報と共に、車両での移動の情報を、予め設定してある通知先に電子メール等で通知する。
【0013】
車両乗車検出モード管理部6は、移動通信端末装置101の車両乗車検出モードをON/OFFの設定で管理する。端末表示部7は、液晶表示画面等からなりメニューや画像等を表示する。キー入力部8は、テンキーやタッチパッドなどの入力インターフェースを備え、各種指示が入力操作される。キー入力部8から、保護者等が、車両乗車検出モード管理部6の検出モードを予めONにしておくことにより、または、遠隔操作でONにすることにより、移動通信端末装置101は車両での移動を検出する。
【0014】
図2は、移動通信端末装置101における情報の流れを示す。まず、移動通信端末装置101は、加速度センサー1により加速度パターンとして移動情報を検出する(S201)。
【0015】
次に、移動通信端末装置101は、通信制御部4で検出された移動情報が車両での移動であると判断すると、GPS受信部2により上空のGPS衛星111等から現在位置情報を検出する(S202)。
【0016】
続いて、移動通信端末装置101は、通信制御部4により予め通知先として設定してある移動通信端末装置102に、無線通信部5を用いて、車両での移動の情報と現在位置情報を電子メール等で通知する(S203)。
【0017】
次に、図3のフローチャートに従い、本実施の形態1における移動通信端末装置101の具体的な動作について説明する。まず、移動通信端末装置101において、キー入力部8により端末の電源をONにする(S301)。続いて、通信制御部4は、車両乗車検出モード管理部6が「ON」の検出モードの状態であるか否かを判定する(S302)。
【0018】
「ON」の検出モード状態の場合、通信制御部4は、加速度センサー1により加速度を検出する(S303)。加速度は、所定時間内(ミリ秒単位)に数回測定され、通信制御部4は、加速度の変化を加速度パターンとして認識する。
【0019】
通信制御部4は、加速度センサー1から検出された加速度パターンを、加速度情報記憶部3に記憶している車両動作時の種々の加速度パターンと比較し(S304)、検出された加速度パターンが車両の加速度パターンであるか否かを判定する(S305)。
【0020】
検出された加速度パターンが車両の加速度パターンではないと判断した場合には、通信制御部4は、所定時間毎(秒単位)に加速度センサー1から検出される加速度から、次の加速度パターンを検出し(S303)、車両の加速度パターンが検出されるまでこの動作(S303、S304、S305)を繰り返す。
【0021】
検出された加速度パターンが車両の加速度パターンであると判断した場合には、通信制御部4は、GPS受信部2により現在位置情報を検出し(S306)、検出された現在位置情報と共に、車両での移動の情報を無線通信部5により予め設定してある通知先へ電子メール等で通知する(S307)。
【0022】
以上のように、本実施の形態1では、通信制御部4が加速度センサー1で検出した加速度により得られる加速度パターンに基づいて車両での移動であるか否かを判断するようにしたので、子供に連れ去り等の危険な状態が発生した場合に、車両での移動の情報をすばやく保護者等に通知できる。また、移動情報の検出に加速度センサーを用いたので、消費電力も小さく、長時間使用することができる。
【0023】
また、GPS受信部を備えたので、車両での移動の情報と共に現在位置情報を早期に通知することができ、子供に連れ去り等の危険な状態が発生した場合に、通知を受けた保護者等は、警察等への通報やGPS受信部からの現在位置情報の取得により追跡等、迅速な対応を取ることができる。
【0024】
なお、本実施の形態1では、移動通信端末装置101の加速度パターンが車両の加速度パターンであると判断した後に、車両での移動の情報と現在位置情報を通知したが、車両での移動の情報を通知した後に、所定時間経過毎に、現在位置を検出し通知するようにしてもよい。この場合、詳細な位置情報を通知でき、子供の連れ去り等の危険な状態が発生した場合に通知を受けた保護者等は、より適切に対応できる。
【0025】
実施の形態2.
本実施の形態1の移動通信端末装置101においては、加速度センサー1で検出した加速度パターンを移動情報として車両での移動を判断する場合について示したが、本実施の形態2では、GPS受信部からの移動情報により判断する場合について示す。
【0026】
図4は、本実施の形態2における移動通信端末装置201の構成を示すブロック図である。図4において、移動通信端末装置201は、実施の形態1の加速度情報記憶部3の替わりに速度算出部9と、通信制御部4の替わりに速度算出部9等を制御する通信制御部10とを備えている。速度算出部9は、GPS受信部2で検出される現在位置情報と所定時間後の位置情報とから移動速度を算出する。
【0027】
通信制御部10は、加速度センサー1から検出した加速度が所定値以上であると、速度算出部9に移動速度を算出させる。算出した移動速度が所定速度以上の場合には、通信制御部10は、移動通信端末装置201が車両で移動していると判断し、GPS受信部2からの現在位置情報と共に、車両での移動の情報を、予め設定してある通知先に電子メール等で通知する。
【0028】
その他の構成に関しては、実施の形態1と同様であり、相当部分には図1と同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
図5は、移動通信端末装置201における情報の流れを示す。まず、移動通信端末装置201は、加速度センサー1により加速度情報を検出する(S501)。
【0030】
次に、移動通信端末装置201は、通信制御部10で、検出された加速度情報が通常の移動の加速度(例えば、子供が移動通信端末装置201を所持している場合は、子供が移動する速度)ではないと判断すると、GPS受信部2により上空のGPS衛星111等から一回目の現在位置情報を検出し(S502)、所定時間経過後(秒単位)に二回目の現在位置情報を検出する(S503)。
【0031】
続いて、移動通信端末装置201は、速度算出部9で、二回目の現在位置情報と一回目の現在位置情報から求めた移動距離と、経過時間により移動速度を算出し、算出された移動速度を通信制御部10により移動情報として検出する(S504)。
【0032】
次いで、移動通信端末装置201は、検出された移動情報が車両での移動であると判断すると、通信制御部10により予め通知先として設定してある移動通信端末装置202に、無線通信部5を用いて、車両での移動の情報と二回目に検出された現在位置情報を電子メール等で通知する(S505)。
【0033】
次に、図6のフローチャートに従い、本実施の形態2における移動通信端末装置201の具体的な動作について説明する。まず、移動通信端末装置201において、キー入力部8により端末の電源をONにする(S601)。続いて、通信制御部10は、車両乗車検出モード管理部6が「ON」の検出モードの状態であるか否かを判定する(S602)。
【0034】
「ON」の検出モード状態の場合、通信制御部10は、加速度センサー1により加速度を検出する(S603)。加速度は、所定時間毎(秒単位)に検出され、通信制御部10は、検出された加速度の値と加速度の所定値と比較し(S604)、所定値を超えて加速度を検出したか否かを判定する(S605)。
【0035】
検出された加速度の値が所定値以下と判断した場合には、通信制御部10は、所定時間毎(秒単位)に加速度センサー1から検出される加速度から、次の加速度を検出し(S603)、所定値を超える加速度が検出されるまでこの動作(S603、S604、S605)を繰り返す。
【0036】
検出された加速度が所定値を超えたと判断した場合には、通信制御部10は、GPS受信部2により一回目の現在位置情報を検出し(S606)、所定時間経過後(秒単位)に二回目の現在位置情報を検出する(S606)。
【0037】
二回目の現在位置情報の検出を確認すると(S607)、通信制御部10は、速度算出部9で、二回目の現在位置情報と一回目の現在位置情報から移動距離を求めた後、移動通信端末装置201に内蔵されるタイマー(図示せず)で計測された所定の経過時間により移動速度を算出する(S608)。
【0038】
通信制御部10は、算出された移動速度の値と移動速度の所定値と比較し(S609)、所定値を超えて移動速度が算出されたか否かを判定する(S610)。算出された移動速度が所定値以下と判断した場合には、通信制御部10は、所定時間毎(秒単位)に加速度センサー1から検出される次の加速度を検出する(S603)ところから動作を繰り返す(S603乃至S610)。
【0039】
算出された移動速度が所定値を超えたと判断した場合には、通信制御部10は、二回目に検出された現在位置情報と共に、車両での移動の情報を無線通信部5により予め設定してある通知先へ電子メール等で通知する(S611)。
【0040】
以上のように、本実施の形態2では、通信制御部10が、加速度センサー1で通常でない加速度を検知すると、GPS受信部2からの位置情報により速度算出部9で算出した移動速度を、移動情報として検出するようにしたので、加速度センサーの利用により、低消費電力化で長時間使用できる。
【0041】
なお、本実施の形態2では、移動通信端末装置201の移動速度が車両の移動であると判断した後に、車両での移動の情報と現在位置情報を通知したが、車両での移動の情報を通知した後に、所定時間経過毎に、現在位置を検出し通知するようにしてもよい。この場合、詳細な位置情報を通知でき、子供の連れ去り等の危険な状態が生じた場合に通知を受けた保護者等は、より適切に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る移動通信端末装置の実施の形態1の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る移動通信端末装置の実施の形態1の情報の流れを示す図である。
【図3】本発明に係る移動通信端末装置の実施の形態1の動作手順を示すフローチャート図である。
【図4】本発明に係る移動通信端末装置の実施の形態2の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る移動通信端末装置の実施の形態2の情報の流れを示す図である。
【図6】本発明に係る移動通信端末装置の実施の形態2の動作手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0043】
1 加速度センサー
2 GPS受信部
3 加速度情報記憶部
4 通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動時の加速度を検出する加速度検出部と、
この加速度検出部で検出した加速度に基づいて得られる移動情報に応じて車両での移動であるか否かを判断し、車両での移動であると判断した場合に、前記車両での移動の情報を通知する通信制御手段とを備えた移動通信端末装置。
【請求項2】
車両が走行する時の加速度のパターンを記憶する加速度情報記憶部をさらに備え、通信制御手段は、前記加速度検出部で検出する加速度のパターンを移動情報として、前記加速度検出部で検出する加速度のパターンが、前記加速度情報記憶部の前記加速度のパターンに基づいて、車両が走行する時の加速度のパターンであるか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末装置。
【請求項3】
現在の自装置の位置情報を取得するGPS受信部をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の移動通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−140227(P2008−140227A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326843(P2006−326843)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】