説明

移動通信端末装置

【課題】移動通信端末装置がサーバに効率的に位置情報を通知できるようにする。
【解決手段】端末Cでは、位置取得部PGにて一定間隔で取得された現在位置をサーバSへ送信する。サーバSでは、受信した現在位置をもとに情報データベースDから店舗を検索し、条件決定部CDが次の通知条件を決定し、条件判断手段管理部CJMが条件に対応する判断手段を選択して、端末Cへ送信する。端末Cでは、サーバSからの店舗情報、条件、条件判断手段を受信し、情報表示部IVが店舗情報を表示する。サーバSにおいて、端末Cが現在位置を取得する間隔と端末Cの移動速度に対して、各店舗の存在位置間の距離が大きい場合には、条件決定部CDは、情報検索部IRが求めた端末Cの特定位置の範囲情報を情報データベースDから取得し、この情報で表現される範囲から出ることを通知すべき条件とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末で得られる位置情報を利用して、その位置に対応する様々な位置情報を通知する位置情報通知システムに係り、特にこのシステムに用いられる位置情報通知サーバと移動通信端末において効率的な運用を実現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、PHS(パーソナル・ハンディホン・システム)方式による移動電話システムにあっては、各端末の位置情報を識別する機能を有する。また、携帯電話システムにあっても、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)を利用することにより、各端末の位置情報を取得することが可能になってきている。
【0003】
従来より、このような移動通信端末の位置情報を利用した種々の位置情報通知システムが構築されている。例えば、タクシーの現在位置をセンターで管理し、効率的な配車を行うシステムや、ユーザの現在位置付近に存在する店舗の情報を提供するシステム等がある。
【0004】
このような位置情報通知システムにおいて、問題となる点は、ユーザの移動に伴って通知するコンテンツ情報を更新するタイミングをどのように設定するかという点にある。すなわち、どの程度移動したらコンテンツ情報が変わるかは、ユーザ側ではわからないため、端末側で定期的に、あるいは一定距離を移動する毎にサーバへアクセスする必要がある。これに対し、サーバ側では、端末の位置が管理領域を外れておらず、通知するコンテンツ情報が変わらない場合でも、アクセス要求に対応しなければならない。
【0005】
以上のことから、移動通信端末が効率よく現在位置をセンターのサーバに通知する方法が検討されている。例えば、予め端末が移動する範囲を複数の領域に分割し、端末が現在領域から隣接する他の領域に移動したときにサーバへ現在位置を通知する方法や、サーバが領域情報を端末に送信し、端末がその領域から外れたときにサーバへ現在位置を通知する方法などが提案されている。
【0006】
しかしながら、上記の従来技術においては、領域の情報や、サーバが通知された領域を外れたかどうかを判断するためのプログラム情報を、端末側で予め持っていなければならない。このため、領域や判断プログラムの情報を変更することが難しいという問題があった。
【0007】
特に、端末は保有している領域情報及びプログラム情報に対応した特定のサーバだけしか利用できないため、それぞれ異なった方法で領域を管理している複数のサーバを利用するようなシステムを構築する場合には、各サーバに対応した領域情報及び判断プログラム情報を端末に持たせなければならず、端末側の負担が大きくなってしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上述べたように、従来の位置情報通知システムでは、移動通信端末側で、予め現在位置を通知する条件(例えば領域等の範囲情報)や条件判断のためのプログラム等の条件判断情報を持っていなければならないため、条件や条件判断情報を変更することが難しいという問題があった。また、端末では保有している条件及び条件判断情報に対応した特定のサーバだけしか利用できず、異なった方法で条件を管理しているサーバを利用することができないという問題があった。特に、現在位置を取得する間隔と移動通信端末装置の移動速度に対して、各店舗の存在位置間の距離が大きい場合には、位置を取得するたびに位置情報の通知を行っても、サーバ側で検索する店舗情報に変わりはなく、無駄に通信量を増やし、サーバの負荷も増大させる。
【0009】
そこで本発明は、上記の問題を解決し、予め位置情報を通知する条件や条件判断情報を持っていなくても、効率的に位置情報を通知し、サーバからその位置情報に応じた情報を受け取ることができ、かつ移動速度に応じて位置情報の通知を制限して無駄な通信量を低減することのできる移動通信端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために本発明に係る移動通信端末装置は、以下のような特徴的構成を有する。
【0011】
(1)サーバへ位置情報を通知し、位置情報に応じた情報を取得する移動通信端末装置であって、自装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、移動速度に基づく条件を記憶する記憶手段と、前記移動速度に基づく条件を満たすと判定した場合には、前記位置情報取得手段によって取得した位置情報をサーバへ通知するよう制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0012】
(2)(1)において、前記記憶手段が記憶する条件は、サーバから取得することを特徴とする。
【0013】
(3)(1)において、自装置の移動速度を取得する移動速度取得手段をさらに有し、前記制御手段は、前記移動速度に基づく条件を満たすと判定した場合には、前記位置情報をサーバへ通知するとともに、前記自装置の移動速度をサーバへ通知することを特徴とする。
【0014】
(4)(1)において、前記位置情報取得手段は、一定時間間隔に起動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、予め位置情報を通知する条件や条件判断情報を持っていなくても、効率的に位置情報を通知し、サーバからその位置情報に応じた情報を受け取ることができ、かつ移動速度に応じて位置情報の通知を制限して無駄な通信量を低減することのできる移動通信端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る位置情報通知システムの一実施形態の構成を示す系統図。
【図2】上記実施形態において、店舗の位置に関する情報が最寄り駅名の場合における店舗情報格納形式の例を示す図。
【図3】上記実施形態において、店舗の位置に関する情報が緯度経度情報の場合における店舗情報格納形式の例を示す図。
【図4】上記実施形態において、サーバの情報検索部がクライアント端末の現在位置から一定距離内にある店舗を検索する場合の方法を示す図。
【図5】上記実施形態において、サーバの情報検索部がクライアント端末の現在位置に近いものからある個数分の店舗を検索する場合の方法を示す図。
【図6】上記実施形態において、クライアント端末が互いに判断情報及び判断手段の異なる複数の情報提供サーバからサービスを受ける様子を示す図。
【図7】上記実施形態において、基地局のIDと存在位置の緯度経度情報を管理するテーブルを示す図。
【図8】上記実施形態において、範囲情報として、緯度経度とともに基地局IDを備える駅情報テーブルの例を示す図。
【図9】本発明に係る位置情報通知システムの他の実施形態の構成を示す系統図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明に係る位置情報通知システムの一実施形態の構成を示す系統図である。このシステムは、ユーザの現在位置付近に存在する店舗の情報(コンテンツ情報)をプッシュ型で提供する店舗情報通知サービスシステムである。すなわち、ユーザが持つ移動通信端末(以下、クライアント端末と称する)Cが、ユーザの操作によらず、公衆網等のネットワークNを通じて自動的に位置情報通知サーバ(以下、情報提供サーバと称する)Sに現在位置を通知し、サーバSが通知を受けた現在位置に基づいて情報データベースDを検索し、その位置付近に存在する店舗の情報を割り出し、クライアント端末Cに送信するというサービスを行うものである。
【0019】
上記のシステム構成において、クライアント端末Cは、位置取得部起動部PGK、位置取得部PG、位置情報通知部PN、条件判断部CJ、情報受信部IR、情報表示部IVを備えている。情報提供サーバSには、位置情報受信部PR、情報検索部IR、条件決定部CD、条件判断手段管理部CJM、情報送信部ISを備えている。
【0020】
以下、情報データベースDの情報内容、情報提供サーバS及びクライアント端末Cにある各機能部について順に説明する。
【0021】
まず、情報データベースDの情報内容について説明する。
【0022】
情報データベースDには、予め店舗情報が格納されている。店舗情報には、店舗の位置に関する情報も含む。位置に関する情報は、どのような形式のものでもかまわない。例えば、最寄り駅の名前や、緯度経度情報等が考えられる。図2に店舗の位置に関する情報が最寄り駅名の場合における店舗情報格納形式の例を示し、図3に緯度経度情報の場合における店舗情報格納形式の例を示す。
【0023】
最寄り駅名を用いて情報を格納する場合は、駅の存在位置に関するテーブルも用意する。このテーブルでは、駅の位置情報と、その駅が最寄り駅となる範囲の情報を管理する。この位置情報は、どのような形式のものでもかまわない。例えば、緯度経度情報や、PHSの基地局ID等が考えられる。図2の例では、緯度経度情報を格納している。
【0024】
範囲の情報としては、範囲を特定するのに最低限必要な情報であれば、どのような形式のものでもかまわない。例えば、範囲を円で表現する場合は中心点の緯度経度情報と円の半径、矩形で表現する場合は各頂点の緯度経度情報、多角形で表現する場合は各頂点を結ぶベクトル情報等が考えられる。その他、範囲に含まれるPHSの基地局ID等も考えられる。図2の例では、範囲を円で表現し、中心点の緯度経度情報と円の半径の情報を格納している。
【0025】
次に、情報提供サーバSの各機能部について説明する。
【0026】
位置情報受信部PRは、クライアント端末Cが通知する、クライアント端末Cの位置情報を受信する機能を持つ。位置情報はどのような形式のものでもかまわない。例えば、緯度経度情報や、PHSの基地局ID等が考えられる。
【0027】
情報検索部IRは、情報データベースDから情報を検索する機能を持ち、位置情報受信部PRが受信したクライアント端末Cの位置の付近にある店舗を検索する。
【0028】
例えば、図2の形式で店舗情報が情報データベースDに格納され、クライアント端末Cの現在位置が緯度経度情報で表されている場合は、まず駅情報テーブルの各駅の存在位置情報を用い、クライアント端末Cから各駅までの距離を計算し、最寄り駅を決定する。次に、店舗情報テーブルから、最寄り駅がクライアント端末Cの最寄り駅と一致する店舗を取り出す。
【0029】
図3の形式で店舗情報が情報データベースDに格納されている場合は、クライアント端末Cから各店舗までの距離を計算し、例えば、クライアント端末Cの現在位置から一定距離内にある店舗や、クライアント端末Cの現在位置に近いものからある個数分の店舗を取り出す。
【0030】
条件決定部CDは、クライアント端末Cが次に位置情報を通知すべき条件を決定する機能を持つ。以下に具体例をあげて条件決定内容を説明する。
【0031】
まず、図2の形式で店舗情報が情報データベースDに格納されている場合、クライアント端末Cが最寄り駅が同じである位置で位置情報の通知を繰り返しても、情報検索部IRが検索する店舗情報に変わりはない。このような位置の通知は、無駄に通信量を増やし、情報提供サーバSの負荷も増大させることになる。
【0032】
この場合は、最寄り駅が同じである範囲から出たときに通知を行えばよい。そこで、条件決定部CDは、情報検索部IRが求めたクライアント端末Cの最寄り駅の範囲情報を情報データベースDから取得し、この情報で表現される範囲から出ることを通知すべき条件とする。その他、図2の駅情報テーブルで、隣接する範囲の情報を管理するようにし、隣接する範囲の情報で表現される範囲に入ることを通知すべき条件とすることも考えられる。
【0033】
また、図3の形式で店舗情報が情報データベースDに格納され、クライアント端末Cの現在位置から一定距離内にある店舗、または、近いものからある個数分の店舗の情報をクライアント端末Cに提供するような場合においても、上記と同様の問題が生じる。すなわち、現在位置を取得する間隔とクライアント端末Cの移動速度に対して、各店舗の存在位置間の距離が大きい場合には、位置を取得するたびに位置情報の通知を行っても、情報検索部IRが検索する店舗情報に変わりはなく、無駄に通信量を増やし、サーバの負荷も増大させる。
【0034】
そこで、情報検索部IRがクライアント端末Cの現在位置から一定距離内にある店舗を検索する場合は、例えば図4に示すように、一定距離の範囲の外に存在する店舗の中からクライアント端末Cの現在位置から最短距離にあるものを調べ、その距離から上記一定距離を引いた値を求め、最初に現在位置の通知を行った地点から求めた値の距離以上離れることを通知すべき条件とする。
【0035】
情報検索部IRがクライアント端末Cの現在位置に近いものからある個数分の店舗を検索する場合は、例えば図5に示すように、クライアント端末Cから通知を受けた地点に最も近い位置にある店舗までの距離を求め、通知を行った地点から求めた距離以上離れることを通知すべき条件とする。
【0036】
尚、図4と図5は、それぞれ、通知する必要がないと確実にわかる範囲を求めている。このような条件決定方法以外にも、クライアント端末Cの移動速度や移動方向も考慮して条件を決定すること等が考えられる。
【0037】
条件判断手段管理部CJMは、クライアント端末Cが条件判断を行うための手段に関する情報を管理する機能を持つ。この情報はどのような形式のものでもかまわない。例えば、計算式や、実際に判断処理を行うプログラム等が考えられる。
【0038】
条件判断を行うための手段は、情報データベースDに格納されている店舗の位置情報の形式に大きく依存することになる。図2の形式で店舗情報が格納されている場合は、クライアントの緯度経度情報と、範囲情報として与えられる円の中心点の緯度経度情報とから2点間の距離を求め、求めた距離が、範囲情報として与えられる円の半径よりも長いかどうかを調べる計算式等になる。
【0039】
情報送信部ISは、クライアント端末Cに情報を送信する機能を持つ。この情報には、情報検索部IRによって検索された店舗情報と、条件決定部CDによって決定された、次にクライアント端末Cが位置情報を通知すべき条件に関する情報と、条件判断手段管理部CJMが管理している、クライアント端末Cが条件判断を行うための手段に関する情報が含まれる。
【0040】
続いて、クライアント端末Cの各機能部について説明する。
【0041】
位置取得部起動部PGKは、位置取得部PGを起動する機能を持つ。起動を決定する方法は、どのようなものでもかまわない。例えば、一定時間間隔に起動する方法や、ある条件を満たした場合に起動する方法等がある。
【0042】
位置取得部PGは、クライアント端末の現在位置を取得する機能を持つ。位置情報を取得する手段は、どのようなものでもかまわない。例えば、GPSを用いて緯度経度情報を取得する方法や、PHSの基地局IDを取得する方法がある。
【0043】
位置情報通知部PNは、位置取得部PGで取得した位置情報を情報提供サーバSに送信する機能を持つ。
【0044】
条件判断部CJは、情報提供サーバSから指定された条件をもとに、情報提供サーバSから指定された条件判断手段を用いて、位置情報を通知するかどうかの判断を行う機能を持つ。情報提供サーバSから指定される条件及び条件判断手段は、情報受信部IRから取得する。
【0045】
情報受信部IRは、情報提供サーバSから送信される情報を受信する機能を持つ。この情報には、店舗情報と、次に位置情報を通知すべき条件に関する情報、条件判断を行うための手段に関する情報が含まれる。店舗情報は情報表示部IVに渡し、条件及び条件判断手段は、条件判断部CJに渡す。
【0046】
情報表示部IVは、情報提供サーバSから通知された店舗情報をユーザが見やすい形式で表示する機能を持つ。この店舗情報は、情報受信部IRから取得する。
【0047】
図1のシステムにおいて、以下にクライアント端末Cが情報提供サービスを受ける際の処理の流れを説明する。ここでは、クライアント端末Cにおいて、位置取得起動部PGKが、サービスを受け始めるときから一定時間間隔で位置取得部PGを起動するものとする。
【0048】
クライアント端末C側
(1)ユーザの操作により情報サービスを受ける旨の指示を受けると、位置取得起動部PGKが位置取得部PGを起動する。
【0049】
(2)位置取得部PGがクライアント端末Cの現在位置の情報を取得し、位置情報通知部PNに渡す。
【0050】
(3)位置情報通知部PNが情報提供サーバSをアクセスし、(2)で取得した位置情報を送信する。
【0051】
情報提供サーバS側
(4)位置情報受信部PRがクライアント端末Cからのアクセスに応答して位置情報を受信し、情報検索部IRに渡す。
【0052】
(5)情報検索部IRが、(4)で取得した位置情報をもとに、情報データベースDからクライアント端末Cの現在位置付近に存在する店舗の情報を検索し、検索結果を条件決定部CD及び情報送信部ISに渡す。続いて、条件決定部CDが、検索結果をもとに、クライアント端末Cが次に位置情報を通知すべき条件を決定し、決定した条件を条件判断手段管理部CJM及び情報送信部ISに渡す。条件判断手段管理部CJMが、決定された条件をクライアント端末Cが判断するための手段に関する情報を情報送信部ISに渡す。
【0053】
(6)情報送信部ISが、(5)で取得した店舗情報、条件及びクライアント端末Cが条件判断を行うための手段に関する情報をクライアント端末Cに送信する。
【0054】
クライアント端末C側
(7)情報受信部IRが、情報提供サーバSから送信される店舗情報、条件、条件判断手段を受信し、店舗情報を情報表示部IVに渡し、条件と条件判断手段を条件判断部CJに渡す。
【0055】
(8)情報表示部IVが店舗情報を表示する。
【0056】
(9)位置取得起動部PGKが、前回位置取得部PGを起動したときから一定時間後に位置取得部PGを起動する。
【0057】
(10)位置取得部PGがクライアント端末Cの現在位置の情報を取得し、位置情報通知部PNに渡すとともに、条件判断部CJを呼び出す。
【0058】
(11)条件判断部CJが、サーバSから与えられた条件及び条件判断手段に基づいて、位置情報を通知するべきかどうかを判断する。条件判断部CJで通知するという判断が出た場合は、(3)以降の処理を繰り返す。通知しないという判断が出た場合は、(9)以降の処理を繰り返す。
【0059】
このように、サーバSがクライアント端末Cに対して位置情報を通知する条件を動的に指定することにより、サーバSにとって有用な位置情報のみをクライアント端末CがサーバSに通知することが可能となる。この結果、位置情報通知のための通信量を削減し、サーバSの負荷を軽減することができる。また、条件判断を行う手段もサーバSが提供することにより、クライアント端末Sはデータ形式の変更に柔軟に対応でき、図6のように、複数のサーバSA(判断情報:円中心点の緯度経度及び半径距離、判断手段:f(x,y) )、SB(判断情報:矩形頂点の緯度経度、判断手段:g(x,y) )、SC(判断情報:ベクトルの集合、判断手段:h(x,y) )、…を利用することも可能になる。
【0060】
ところで、上記実施形態において、情報データベースDでは図2のような緯度経度情報に基づいた形式で位置情報が格納されているのに対し、クライアント端末Cから通知される位置情報が基地局IDであるような場合は、サーバSにおいて基地局IDから緯度経度情報を求めることが必要になる。
【0061】
これを実現する方法としては、図7に示すような、基地局のIDと存在位置の緯度経度情報を管理するテーブルを作成する方法がある。サーバSの情報検索部IRは、位置情報受信部PRからクライアントが通知した基地局IDの情報を受け取ると、図7のテーブルを用いて該当する基地局の緯度経度情報を取得し、その緯度経度情報を用いて上記実施形態と同様に、店舗情報の検索を行う。
【0062】
また、上記実施形態では、条件決定部CD及び条件判断手段管理部CJMが全て緯度経度情報を用いている場合の方法を説明したが、上述のように、クライアント端末Cが取得・通知する位置情報が基地局IDであるような場合は、条件を判断する方法が緯度経度情報に基づいたものであると、クライアント端末C内で条件判断を行うことができない。
【0063】
そこで、クライアント端末Cから通知される位置情報が基地局IDである場合は、基地局IDを用いて位置情報を通知するかどうかの判断を行うための条件、及び、条件判断手段を情報提供サーバSがクライアント端末Cに提供するようにする。
【0064】
これを実現する方法としては、図2の駅情報テーブルを、図8に示すように、基地局IDを用いた範囲情報も管理する方法がある。その他、図2の駅情報テーブルの範囲情報と図7の基地局情報を用い、図2で表されている範囲に含まれる基地局のIDを動的に求める方法等も考えられる。
【0065】
このように、サーバSがクライアント端末Cの通知する位置情報の形式に応じて、位置情報を通知する条件の形式を変更することにより、クライアント端末Cが位置情報を取得する手段に関わらず、サーバSにとって有用な位置情報のみをクライアント端末CがサーバSに通知することが可能になり、位置情報通知のための通信量を削減し、サーバSの負荷を軽減することができる。
【0066】
また、上記実施形態において、情報データベースDに格納されているデータ形式がテーブル内で統一されており、クライアント端末Cがサービスを受けている間に頻繁に接続する情報提供サーバを変えない場合は、情報提供サーバSが、クライアント端末Cからの位置情報通知の応答のたびに条件判断に関する情報を送信する必要はない。
【0067】
そこで、図9に示すように、図1のクライアント端末Cに条件判断手段要求部CJS、情報提供サーバSに条件判断手段回答部CJRを追加する。
【0068】
クライアント端末Cの条件判断手段要求部CJSは、情報提供サーバSに位置情報通知条件を判断する手段の提供を依頼し、応答として判断手段を受信する機能を持つ。提供を依頼する際、情報提供サーバSが判断手段を選択するのに必要な情報も渡すようにする。この情報としては、例えばクライアント端末Cが取得できる位置情報の形式に関する情報等が考えられる。情報提供サーバSから受信した判断手段は、条件判断部CJに渡す。
【0069】
情報提供サーバSの条件判断手段回答部CJRは、クライアント端末Cから位置情報通知条件を判断する手段の提供依頼を受けつけ、適切な判断手段をクライアント端末Cに回答する機能を持つ。クライアント端末Cから送信される情報をもとに、条件判断手段管理部CJMからクライアント端末Cに適した判断手段を取得する。
【0070】
図9における、クライアント端末Cが情報提供サービスを受ける際の処理の流れを、以下に説明する。ここでは、位置取得起動部PGKがサービスを受け始めるときから一定時間間隔で位置取得部PGを起動するものとする。
【0071】
クライアント端末C側
(1)ユーザの操作により情報サービスを受ける旨の指示を受けると、条件判断手段要求部CJSが情報提供サーバSをアクセスし、条件判断手段回答部CJRに判断手段提供の依頼を行う。
【0072】
情報提供サーバS側
(2)クライアント端末Cからのアクセスにより、条件判断手段回答部CJRが、条件判断手段管理部CJMから判断手段を取得し、クライアント端末Cの条件判断手段要求部CJSに送信する。
【0073】
クライアント端末C側
(3)条件判断手段要求部CJSがサーバSの条件判断手段回答部CJRから判断手段を受信し、条件判断部CJに渡す。
【0074】
(4)位置取得起動部PGKが、位置取得部PGを起動する。
【0075】
(5)位置取得部PGがクライアント端末Cの現在位置の情報を取得し、位置情報通知部PNに渡す。
【0076】
(6)位置情報通知部PNが情報提供サーバSをアクセスし、(5)で取得した位置情報を位置情報受信部PRに送信する。
【0077】
情報提供サーバS側
(7)位置情報受信部PRがクライアント端末Cからのアクセスに応答して位置情報を受信し、情報検索部IRに渡す。
【0078】
(8)情報検索部IRが、(7)で取得した位置情報をもとに、情報データベースDからクライアント端末Cの現在位置付近に存在する店舗の情報を検索し、検索結果を条件決定部CD及び情報送信部ISに渡す。続いて、条件決定部CDが、検索結果をもとに、クライアント端末Cが次に位置情報を通知すべき条件を決定し、決定した条件を情報送信部ISに渡す。
【0079】
(9)情報送信部ISが、(8)で取得した店舗情報と条件をクライアント端末Cに送信する。
【0080】
クライアント端末C側
(10)情報受信部IRが、情報提供サーバSから送信される店舗情報、条件を受信し、店舗情報を情報表示部IVに渡し、条件を条件判断部CJに渡す。
【0081】
(11)情報表示部IVが店舗情報を表示する。
【0082】
(12)位置取得起動部PGKが、前回位置取得部PGを起動したときから一定時間後に位置取得部PGを起動する。
【0083】
(13)位置取得部PGがクライアント端末Cの現在位置の情報を取得し、位置情報通知部PNに渡すとともに、条件判断部CJを呼び出す。
【0084】
(14)条件判断部CJが、サーバSから与えられた条件及び条件判断手段に基づいて、位置情報を通知するべきかどうかを判断する。通知するという判断が出た場合は、(6)以降の処理を繰り返す。通知しないという判断が出た場合は、(12)以降の処理を繰り返す。途中、情報提供サーバを変更する場合は、(1)からの処理を繰り返す。
【0085】
このように、サーバSがクライアント端末Cに対して位置情報を通知する条件を動的に指定し、かつ、条件判断を行う手段は、クライアント端末CがサーバSに最初に接続する際にサーバSからクライアント端末Cに提供することにより、条件通知に必要なデータ通信量を最低限に抑えながら、サーバSにとって有用な位置情報のみをクライアント端末CがサーバSに通知することが可能になり、通信量を削減し、サーバの負荷を軽減することができる。
【0086】
上記構成による位置情報通知システムは、情報を提供する領域を任意の形式に設定できることから、様々なサービスへの応用が可能である。
【0087】
例えば、広告サービスへの応用が考えられる。
【0088】
スーパーマーケットなどでは、店舗から半径2km以内にいるユーザに提示できればよいと考えられる。この場合は、領域を円で表現できる(図6(a))。
【0089】
宅配ピザなどのようにテリトリーが決まっている場合は、領域を矩形で表現すればよい(図6(b))。
【0090】
駅ビル内の店舗であれば、駅周辺だけでなく、電車内にいるユーザへの提示も有効となる。このような場合は、単純な円や矩形では領域を表現することができない。そこで、ベクトル集合等の手法により領域を表現する(図6(c))。
【0091】
このように、複数の形式の領域を扱う必要がある場合に、本発明による位置情報通知システムは特に効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0092】
C…クライアント端末(移動通信端末)
S…位置情報通知サーバ(情報提供サーバ)
D…情報データベース
N…ネットワーク
PGK…位置取得部起動部
PG…位置取得部
PN…位置情報通知部
CJ…条件判断部
IR…情報受信部
IV…情報表示部
PR…位置情報受信部
IR…情報検索部
CD…条件決定部
CJM…条件判断手段管理部
IS…情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバへ位置情報を通知し、位置情報に応じた情報を取得する移動通信端末装置であって、
自装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
移動速度に基づく条件を記憶する記憶手段と、
前記移動速度に基づく条件を満たすと判定した場合には、前記位置情報取得手段によって取得した位置情報をサーバへ通知するよう制御する制御手段とを有することを特徴とする移動通信端末装置。
【請求項2】
前記記憶手段が記憶する条件は、サーバから取得することを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末装置。
【請求項3】
自装置の移動速度を取得する移動速度取得手段をさらに有し、前記制御手段は、前記移動速度に基づく条件を満たすと判定した場合には、前記位置情報をサーバへ通知するとともに、前記自装置の移動速度をサーバへ通知することを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末装置。
【請求項4】
前記位置情報取得手段は、一定時間間隔に起動することを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−57197(P2010−57197A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278031(P2009−278031)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【分割の表示】特願2000−197110(P2000−197110)の分割
【原出願日】平成12年6月29日(2000.6.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】