説明

移載装置及び移載方法

【課題】移載装置の簡素化及び小型化を図りつつ、移載対象が重量物の場合であっても高精度な位置決め及び移載を行うことができる、移載装置及び移載方法を提供する。
【解決手段】移動台車11に固定された固定フォーク2と、固定フォーク2に摺動可能に支持された中間フォーク3と、中間フォーク3に摺動可能に支持された先端フォーク4と、先端フォーク4に配置されるとともに載置台上で物品Aを支持するパレットPに係合可能な係合手段5と、を有し、先端フォーク4は、中間フォーク3が、パレットPを荷台11a上に引き込んだ退避位置からパレットPを載置台上に押し込んだ延伸位置まで移動する間に、中間フォーク3の後端から前端まで移動し、中間フォーク3は、退避位置に移動したときに移動台車11又は固定フォーク2の後端からはみ出した状態となるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の荷置き及び荷取りを行う移載装置及び移載方法に関し、特に、重量物の荷置き及び荷取りに適した移載装置及び移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、物品を格納する自動倉庫の荷棚や物品の受け渡しを行うステーションの載置台と物品を搬送する移動台車の荷台との間で物品の荷置き及び荷取りを行う際には、搬送台車等に配置された移載装置によって行う。かかる移載装置には、例えば、物品やパレットの下からすくい上げて移載するスライドフォーク式のもの、物品を両側から挟み込んで移載するサイドクランプ式のもの、パレットに爪を引っ掛けて移載するプッシュ・プル式のもの等がある。
【0003】
特許文献1に記載された移載装置はスライドフォーク式のものである。かかる移載装置は、ベースに固定された下フォークと、該下フォークに摺動自在に支持された中間フォークと、該中間フォークに摺動自在に支持された上フォークと、を有し、前記中間フォークに固着したチェーンと前記下フォークに配置したスプロケットとを噛み合せて前記中間フォークを摺動させるようにしている。
【0004】
また、前記中間フォークの前端及び後端には一対の転向輪が配置され、前端側の転向輪には一端が前記下フォークの後端に固着され他端が前記上フォークの後端に固着された索条体が巻き掛けられ、後端側の転向輪には一端が前記下フォークの前端に固着され他端が前記上フォークの前端に固着された索条体が巻き掛けられており、前記中間フォークの摺動と連動して前記上フォークを摺動させるようにしている。
【0005】
特許文献2に記載された移載装置はプッシュ・プル式のものである。かかる移載装置は、スタッカクレーンに配置されたコンベア及びプッシュ・プル装置を備え、該プッシュ・プル装置は、パレットを前記スタッカクレーンから棚の所定の位置へ押し込む作動と棚から前記スタッカクレーンのパレット搭載部へと引き出す作動を行うプッシュ・プル爪と、該プッシュ・プル爪を往復移動させる駆動装置と、を有する。
【0006】
かかる構成により、プッシュ・プル爪をパレットに係止させて棚からパレットを引き出してキャリッジ上に移動させてからコンベヤでパレットをキャリッジの中央の載置位置へ移動させ、キャリッジ上のパレットをコンベヤで棚に乗り移るまで運んでからパレットの当接端面にプッシュ・プル爪を当接させてパレットを押し込むことにより棚の載置位置へ移動させるようにしている。
【0007】
特許文献3に記載された移載装置もプッシュ・プル式のものである。かかる移載装置は、移載経路の一側方に位置する出退移動部材と、移載経路の他側方に位置する出退移動自在な荷サイドガイドと、前記出退移動部材の前後両端に軸支された一対の荷引き込み押し出しアームと、を備え、前記出退移動部材及び前記荷サイドガイドを荷支持台側の退入位置と荷支持部側の進出位置との間で移載方向に往復移動させ、前記荷引き込み押し出しアームを起立退避姿勢と移載経路内へ略水平に倒伏した倒伏作用姿勢との間で揺動駆動させるようになっている。
【0008】
かかる構成により、前記荷引き込み押し出しアームを物品(荷)の後端に係止させて前記出退移動部材を進出させることにより物品を押し出し、前記荷引き込み押し出しアームを物品(荷)の前端に係止させて前記出退移動部材を退入することにより物品を引き込むようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−99701号公報
【特許文献2】特開2006−264894号公報
【特許文献3】特許3367529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、移載する物品が重量物(例えば、数トン〜数十トン)の場合、サイドクランプ式の移載装置では、物品を挟み込んで移動させることが困難であり、スライドフォーク式又はプッシュ・プル式の移載装置が選択され得る。
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載されたスライドフォーク式の移載装置では、上フォークを物品又はパレットの下に挿入する必要があり、移載時におけるスライドフォークのストロークが長くなり、スライドフォークが長尺化したり、スライドフォークの段数が増加したりしてしまい、移載装置が大型化してしまうという問題があった。
【0012】
また、特許文献2に記載されたプッシュ・プル式の移載装置では、パレットの引き込み及び押し出しを行うプッシュ・プル装置とパレットの移動を行うコンベアとが別々の装置により構成されており、機構が複雑になってしまうという問題があった。また、コンベアによる移動では、重量物の移動に適していない、高精度な位置決め及び移載が困難である等の問題もあった。
【0013】
また、特許文献3に記載されたプッシュ・プル式の移載装置では、物品を引き込む際に、荷引き込み押し出しアームを物品の背後まで進出させなければならず、スライドフォーク式と同様に、出退移動部材が長尺化してしまうという問題があった。また、押し出し時と引き込み時とで荷引き込み押し出しアームの位置を変更しなければならず、機構が複雑になってしまうという問題があった。さらに、重量物に適用する場合には、荷引き込み押し出しアーム及び揺動手段を頑丈に構成する必要があり、移載装置が大型化してしまうという問題もあった。
【0014】
本発明は、上述した問題点に鑑み創案されたものであり、移載装置の簡素化及び小型化を図りつつ、移載対象が重量物の場合であっても高精度な位置決め及び移載を行うことができる、移載装置及び移載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、物品を載置する載置台と物品を搬送する移動台車の荷台との間で物品の荷置き及び荷取りを行う移載装置であって、前記移動台車に固定された固定フォークと、該固定フォークに摺動可能に支持された中間フォークと、該中間フォークに摺動可能に支持された先端フォークと、該先端フォークに配置されるとともに前記載置台上で前記物品を支持するパレットに係合可能な係合手段と、を有し、前記先端フォークは、前記中間フォークが、前記パレットを前記荷台上に引き込んだ退避位置から前記パレットを前記載置台上に押し込んだ延伸位置まで移動する間に、前記中間フォークの後端から前端まで移動し、前記中間フォークは、前記退避位置に移動したときに前記移動台車又は前記固定フォークの後端からはみ出した状態となるように構成されている、ことを特徴とする移載装置が提供される。
【0016】
前記先端フォークを当て止めするストッパが前記載置台側に配置されていてもよい。また、前記中間フォークは前記固定フォークよりも短く、前記先端フォークは前記中間フォークよりも短く構成されていてもよい。
【0017】
前記係合手段は、例えば、前記先端フォークから鉛直方向に出没可能に構成されたロケートピンと、該ロケートピンに形成されたラックと、該ラックに噛合されるピニオンと、該ピニオンを回転させる駆動手段と、を有する。また、前記係合手段は、前記ロケートピンの位置を検出する位置検出センサを有していてもよい。
【0018】
また、本発明によれば、物品を載置する載置台と物品を搬送する移動台車の荷台との間で物品の荷置き及び荷取りを行う移載方法であって、前記移動台車に固定された固定フォークと、該固定フォークに摺動可能に支持された中間フォークと、該中間フォークに摺動可能に支持された先端フォークと、該先端フォークに配置されるとともに前記載置台上で前記物品を支持するパレットに係合可能な係合手段と、を有する移載装置を用い、荷取り時には、前記中間フォーク及び前記先端フォークを前記パレットに接近させ、前記係合手段を前記パレットに係合させ、前記中間フォーク及び前記先端フォークを前記載置台から離間させ、前記中間フォーク及び前記先端フォークが前記移動台車又は前記固定フォークの後端からはみ出した状態で前記パレットを前記荷台上に載置し、搬送時には、前記中間フォーク及び前記先端フォークが前記移動台車又は前記固定フォークの後端からはみ出した状態のまま前記移動台車を移動させ、荷置き時には、前記中間フォーク及び前記先端フォークを前記載置台に接近させ、前記係合手段を前記パレットから離脱させて前記載置台上に前記パレットを載置し、前記中間フォーク及び前記先端フォークを前記パレットから離間させ、前記中間フォーク及び前記先端フォークを前記荷台上に退避させる、ことを特徴とする移載方法が提供される。
【0019】
前記荷取り時又は前記荷置き時において、前記中間フォーク及び前記先端フォークを前記載置台に接近させたときに、前記先端フォークを前記載置台に当て止めすることによって先端フォークの位置決めを行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
上述した本発明に係る移載装置及び移載方法によれば、中間フォーク上を走行可能な先端フォークにパレットに係合可能な係合手段を配置し、中間フォークを退避位置に移動したときに移動台車又は固定フォークの後端からはみ出した状態となるように構成し、その状態のまま搬送可能としたことにより、移載装置単独でパレットを移動台車の荷台上に移載することができる。したがって、物品の移載時に、部分的に引き込み及び押し出しするプッシュ・プル機構と、移動台車上で物品を載置したパレットを移動させる移動機構と、を装備する必要がなく、構造の簡素化及び小型化を図ることができる。
【0021】
また、かかる構成により、中間フォークを固定フォークよりも短くし、先端フォークを中間フォークよりも短く構成することができ、移載装置の小型化を図ることができる。
【0022】
また、係合手段をパレットに係合させた状態で物品の荷取り及び荷置きを行うことにより、中間フォーク及び先端フォークのストローク分だけパレットを確実に移動させることができ、移載対象が重量物の場合であっても高精度な位置決め及び移載を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態に係る移載装置を示す概略側面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る移載装置を示す概略正面図である。
【図3】先端フォークの駆動機構を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は図3(a)におけるB−B矢視概略断面図、(c)は図3(a)におけるC−C矢視概略断面図、である。
【図4】第一実施形態に係る移載装置とスライドフォーク式の移載装置との作用を比較する図であり、(a)は延伸状態、(b)は退避状態、を示している。
【図5】係合手段の説明図であり、(a)は離脱状態を示す概略断面図、(b)は係合状態を示す概略断面図、である。
【図6】図5(a)に示した係合手段の概略平面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る移載方法による荷取り工程を示す図であり、(a)は移動工程、(b)は延伸工程、(c)は係合工程、(d)は退避工程、を示している。
【図8】本発明の実施形態に係る移載方法による荷置き工程を示す図であり、(a)は搬送工程、(b)は延伸工程、(c)は離脱工程、(d)は退避工程、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る移載装置について、図1〜図8を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係る移載装置を示す概略側面図である。図2は、本発明の第一実施形態に係る移載装置を示す概略正面図である。図3は、先端フォークの駆動機構を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は図3(a)におけるB−B矢視概略断面図、(c)は図3(a)におけるC−C矢視概略断面図、である。
【0025】
本発明の第一実施形態に係る移載装置1は、図1〜図3に示したように、物品Aを載置する載置台と物品Aを搬送する移動台車11の荷台11aとの間で物品Aの荷置き及び荷取りを行う移載装置であって、移動台車11に固定された固定フォーク2と、固定フォーク2に摺動可能に支持された中間フォーク3と、中間フォーク3に摺動可能に支持された先端フォーク4と、先端フォーク4に配置されるとともに載置台上で物品Aを支持するパレットPに係合可能な係合手段5と、を有し、先端フォーク4は、中間フォーク3が、パレットPを荷台11a上に引き込んだ退避位置からパレットPを載置台上に押し込んだ延伸位置まで移動する間に、中間フォーク3の後端から前端まで移動し、中間フォーク3は、退避位置に移動したときに移動台車11又は固定フォーク2の後端からはみ出した状態となるように構成されている。なお、図2において、係合手段5の図は省略してある。
【0026】
物品Aは、例えば、数トン〜数十トン程度の重量物であり、パレットP上に支持されて移載される。パレットPは、載置台及び荷台11a上を走行する車輪Wを有する。なお、図1及び図2において、物品A及びパレットPは一点鎖線で図示している。
【0027】
移動台車11は、例えば、図1及び図2に示すように、物品Aを載置する荷台11aと、床面F上に敷設されたレールR上を転動する車輪11bと、車輪11bを駆動させる駆動モータ(図示せず)と、を有する。荷台11aには、図2に示すように、物品Aの移動方向に沿って一対のレール11cが配置されている。なお、図1において、レール11cの図は省略してある。また、レール11cの一方には、パレットPの車輪Wの両側にガイドローラGが配置されており、かかるガイドローラGがレール11cを挟持しながら転動することにより、パレットPの車輪Wを案内するようにしている。なお、移動台車11は、図示した構成に限定されるものではなく、自動倉庫等において使用される従来の移動台車と同様の構成を適用することができ、例えば、レール11cと載置台のレールとの位置決めを行う位置決め手段等を有していてもよいし、ガイドローラGに代えて車輪Wの突起を受け止めるレール溝をレール11cに形成してもよい。
【0028】
固定フォーク2は、例えば、図1に示したように、移動台車11の前後方向の長さLと同じ長さを有する。また、図2に示したように、固定フォーク2には、中間フォーク3を摺動可能に支持する複数の支持ローラ21が回転可能に配置されている。ここでは、固定フォーク2に支持ローラ21を配置した場合を図示しているが、中間フォーク3にローラを配置して、固定フォーク2にレールを配置するようにしてもよい。
【0029】
中間フォーク3は、例えば、図2に示したように、両側部に配置された一対の中間フォーク本体31と、一対の中間フォーク本体31を連結する連結部材32と、を有する。中間フォーク本体31は、例えば、H型鋼により構成され、複数の連結部材32によって連結され一体化される。中間フォーク本体31の二つの開口部は、レールとして使用される。例えば、図2に示したように、中間フォーク本体31を開口部が左右に並列するように配置した場合には、一方の開口部(図では外側)に固定フォーク2の支持ローラ21を挿入し、他方の開口部(図では内側)に先端フォーク4の支持ローラ41を挿入する。図示しないが、中間フォーク本体31を開口部が上下に並列するように配置した場合には、下方の開口部に固定フォーク2の支持ローラ21を挿入し、上方の開口部に先端フォーク4の支持ローラ41を挿入するようにすればよい。なお、中間フォーク本体31は、H型鋼に限定されるものではなく、I型鋼、その他類似する形状を有する金属材により構成するようにしてもよい。
【0030】
図2に示したように、中間フォーク3の連結部材32には、ラック33が配置されている。また、図1及び図2に示したように、固定フォーク2には、中間フォーク3をスライドさせる駆動モータ22と、駆動モータ22の先端に配置された駆動ギア23と、駆動ギア23及びラック33に噛合された中間ギア24と、を有する駆動手段が配置されている。そして、駆動モータ22を駆動させることにより、駆動ギア23、中間ギア24及びラック33を介して中間フォーク3に動力を伝達し、中間フォーク3を延伸又は退避させる。なお、駆動手段は、図示したものに限定されるものではなく、駆動モータ22以外の動力源を使用してもよいし、歯車列以外の動力伝達手段を使用してもよい。
【0031】
先端フォーク4は、例えば、図2に示したように、中間フォーク3の中間フォーク本体31の内側に配置される一対の先端フォーク本体42と、一対の先端フォーク本体42を連結する連結部材43と、を有する。先端フォーク本体42には、中間フォーク本体31の開口部に挿入される複数の支持ローラ41が配置されている。かかる構成により、支持ローラ41が中間フォーク本体31に沿って転動することにより、先端フォーク4が中間フォーク3の長手方向に沿って移動する。
【0032】
ここで、先端フォーク4の駆動機構について図3を用いて説明する。なお、図1及び図2では、先端フォーク4の駆動機構の図を省略してある。
【0033】
図3(a)に示したように、中間フォーク3における一方のラック33(又はその支持部材)には、後端部に回転可能にスプロケット34aが配置され、他方のラック33(又はその支持部材)には、前端部に回転可能にスプロケット34bが配置されている。また、スプロケット34aには、図3(b)に示したように、一端が固定フォーク2の前端部2aに固着され、他端が先端フォーク4の前端部4aに固着されたチェーン35aが巻き掛けられている。また、スプロケット34bには、図3(c)に示したように、端が固定フォーク2の後端部2bに固着され、他端が先端フォーク4の後端部4bに固着されたチェーン35bが巻き掛けられている。
【0034】
かかる構成により、中間フォーク3を長手方向に移動させると、中間フォーク3のスライドと連動して先端フォーク4が中間フォーク3上を走行する。そして、チェーン35a,35bの長さや固定位置を調整することにより、中間フォーク3が最も前方の停止位置である延伸位置まで移動したときに、先端フォーク4が中間フォーク3の前端位置まで移動するように構成し、中間フォーク3が最も後方の停止位置である退避位置まで移動したときに、先端フォーク4が中間フォーク3の後端位置まで移動するように構成することができる。
【0035】
なお、上述した固定フォーク2、中間フォーク3及び先端フォーク4の構成は、単なる一例であって、これに限定されるものではなく、例えば、固定フォーク2又は先端フォーク4にレール溝を形成し、中間フォーク3にローラを配置するようにしてもよい等、適宜変更することができる。
【0036】
次に、固定フォーク2、中間フォーク3及び先端フォーク4の長さの関係について、従来の移載装置の一つであるスライドフォーク式の移載装置と比較しつつ説明する。ここで、図4は、第一実施形態に係る移載装置とスライドフォーク式の移載装置との作用を比較する図であり、(a)は延伸状態、(b)は退避状態、を示している。なお、各図において、上段は比較例(スライドフォーク式)、下段は本実施形態、を示しており、X軸は移載装置の長手方向を示している。
【0037】
一般に、従来のスライドフォーク式の移載装置では、パレット長と全てのフォーク長(上フォーク、中間フォーク、下フォーク)が同じ長さを有し、フォークストロークは、パレット長と移載装置及び載置台の隙間によって設定される。いま、移載装置及び載置台の隙間が従来よりも大きくなった場合(例えば、100mmが1000〜2000mに拡張された場合)を想定する。この場合、従来のスライドフォーク式の移載装置では、フォークストロークが不足するため、フォーク長を拡張された隙間分だけ長くしなければならず、移載装置が大型化してしまうことになる。本実施形態に係る移載装置1では、移載装置1及び載置台6の隙間が大きくなった場合でも移載装置1を大型化せずに、パレットPを移送することができる。
【0038】
ここで、説明の便宜上、従来のスライドフォーク式の移載装置101において、移載装置及び載置台の隙間が従来よりも大きくなった状態でパレットPを移送できるようにしたものを、フォーク長をL、パレット長を3L/4として、表現するものとする。この場合、移載装置及び載置台の隙間はL/8と考えることができる。また、一般に、フォーク間において、上側のフォークは下側のフォークの半分の長さを少し超えた位置まで移動(オーバーハング)させることができるが、ここでは、説明を簡単にするために、上側のフォークは下側のフォークの半分の位置まで移動(オーバーハング量=0)するものとする。
【0039】
従来のスライドフォーク式の移載装置101は、図4(a)及び(b)に示したように、下フォーク102、中間フォーク103及び上フォーク104を有し、物品Aを搭載したパレットPを下からすくい上げて移載するように構成されている。また、図4(b)に示したように、下フォーク102、中間フォーク103及び上フォーク104は、同じ長さL(=16L/16)を有しているものとする。そのX軸上の中心位置を原点Oとする。したがって、下フォーク102、中間フォーク103及び上フォーク104の前端は、L/2(=8L/16)の位置にあり、後端は、−L/2(=−8L/16)の位置にあることとなる。
【0040】
また、図4(a)に示したように、オーバーハング量=0と仮定した場合には、中間フォーク103が前方に最大限移動した状態は、中間フォーク103の後端が原点Oの位置まで移動した状態であり、上フォーク104が前方に最大限移動した状態は、上フォーク104の後端が中間フォーク103の中心位置(X軸上の8L/16の位置)まで移動した状態である。移載装置101は、この状態において、載置台(図示せず)に載置された物品A及びパレットPを支持可能であるとする。なお、パレットPは、説明の便宜上、上フォーク104の長さLに対して3L/4(=12L/16)の長さを有している。そして、図4(a)の状態において、上フォーク104の中心位置とパレットPの中心位置は一致しているものとする。このとき、パレットPの中心位置はX軸上のL(=16L/16)に位置し、上フォーク104のX軸方向の片側の余裕はL/4の半分であるL/8(=2L/16)となる。
【0041】
一方、本実施形態における移載装置1は、図4(a)及び(b)に示したように、固定フォーク2、中間フォーク3及び先端フォーク4を有し、物品Aを搭載したパレットPの側面部を引っ掛けて引き込んで移載するように構成されている。いま、物品A及びパレットPは、図4(a)に示したように、比較例と同様に、中心位置がX軸上のL(=16L/16)に位置しているものとする。このとき、パレットPの幅は3L/4(=12L/16)であったから、パレットPの移載装置1側の側面部はX軸上の10L/16に位置することとなる。
【0042】
移載装置1は、先端フォーク4がパレットPの側面部と隣接する位置まで移動しなければならないから、中間フォーク3は前端がX軸上の10L/16の位置まで移動されることとなる。このとき、移載装置1が従来の移載装置101よりも大きくならないようにするためには、中間フォーク3の後端が、原点Oの位置よりも後方側(負側)に超えないようにすることが好ましい。ここでは、中間フォーク3の後端が、原点Oの位置にあるものとする。この場合、中間フォーク3の長さは10L/16(=5L/8)となる。また、中間フォーク3の中心位置は、X軸上の5L/16に位置することとなる。
【0043】
そして、固定フォーク2は、図4(a)の状態にある中間フォーク3を支持しなければならないことから、オーバーハング量=0と仮定した場合には、固定フォーク2の前端は少なくとも中間フォーク3の中心位置に達しなければならない。したがって、固定フォーク2の前端は、少なくともX軸上の5L/16に位置しなければならない。また、移載装置1の小型化を図るためには、固定フォーク2の長さを従来の移載装置101の下フォーク102よりも短くする必要がある。すなわち、固定フォーク2の前端位置をXとすれば、前端位置Xは、5L/16≦X<8L/16(=L/2)の式を満たすように設定される。したがって、固定フォーク2の長さ(2X)は、10L/16≦2X<16L/16(=L)に設定される。
【0044】
また、図4(b)に示したように、先端フォーク4がパレットPを引っ掛けて、パレットPの中心位置が固定フォーク2の中心位置(原点O)と一致する位置まで移動させて移載した状態を考える。このとき、移載装置1が従来の移載装置101よりも大きくならないようにするためには、中間フォーク3の後端がX軸上の−L/2(=−8L/16)の位置となるように設定する必要がある。このとき、先端フォーク4の後端が、中間フォーク3の後端よりもはみ出さないように設定するには、先端フォーク4がX軸上の−8L/16から−6L/16の間に位置するように、その長さを2L/16に設定することが好ましい。
【0045】
このように移載装置1の固定フォーク2、中間フォーク3及び先端フォーク4の長さを設定することにより、図4(a)に示したように、従来の移載装置101と同じ位置にある物品A及びパレットPを移載可能にしつつ、図4(b)に示したように、移載装置1の長さ(2X)を従来の移載装置101の長さLよりも短く設定することができる。したがって、移載装置1の小型化を図ることができる。
【0046】
ところで、中間フォーク3及び先端フォーク4の長さも従来の移載装置101のフォーク長(L)よりも短ければよいとの条件を考慮すれば、中間フォーク3の長さは、10L/16≦中間フォーク長<16L/16の範囲で任意に設定することができ、先端フォーク4の長さは、2L/16≦先端フォーク長<16L/16の範囲で任意に設定することができる。ただし、移載装置1の安定性や移動台車走行時に要する空間等を考慮すれば、中間フォーク3の長さを固定フォーク2の長さ以下に設定し、先端フォーク4の長さを中間フォーク3の長さ以下に設定することが好ましい。
【0047】
次に、係合手段5について、図5及び図6を用いて説明する。ここで、図5は、係合手段の説明図であり、(a)は離脱状態を示す概略断面図、(b)は係合状態を示す概略断面図、である。図6は、図5(a)に示した係合手段の概略平面図である。係合手段5は、図5及び図6に示したように、先端フォーク4に配置される。
【0048】
係合手段5は、例えば、先端フォーク4から鉛直方向に出没可能に構成されたロケートピン51と、ロケートピン51に形成されたラック52と、ラック52に噛合されるピニオン53と、ピニオン53を回転させる駆動手段54と、駆動手段54の動力をピニオン53に伝達するリンク機構55と、ロケートピン51の位置を検出する位置検出センサ56と、を有する。
【0049】
ロケートピン51は、例えば、図5(a)及び(b)に示したように、円柱状に形成されたピンであり、先端フォーク4に配置されたピンホルダー51aにより上下方向に移動可能に保持されている。また、先端フォーク4の連結部材43には貫通孔が形成されており、ピンホルダー51a及びロケートピン51が挿通されている。ピンホルダー51aは、ラック52の部分を開口した筒状部材であってもよいし、ピンホルダー51aのラック52以外の側面部を支持する板状部材であってもよい。
【0050】
ロケートピン51の先端は、パレットPの側面部に配置された係合部57の係合孔57aに挿入し易いように、テーパ状に形成されてもよい。パレットPの係合孔57aは、例えば、図6に示したように、先端フォーク4の幅方向(移動方向に垂直な方向)に長く形成された長孔形状を有する。係合孔57aをかかる長孔形状に形成することにより、移動台車11の停止位置が若干ずれていた場合やパレットPの移載時に先端フォーク4にずれが生じた場合であっても、ロケートピン51にかかる負荷が過大とならないようにすることができる。
【0051】
ラック52は、図5(a)及び(b)に示したように、ロケートピン51の一側面に配置されており、ピニオン53の回転運動をロケートピン51の直線運動に変換する。このように、ロケートピン51の駆動機構をラック・ピニオン機構とすることにより、例えば、物品A及びパレットPが重量物の場合であって、ロケートピン51の先端が係合孔57aに挿入できなかった場合であっても、ラック52とピニオン53とが噛み合ってその衝撃に耐えることができる。
【0052】
ピニオン53は、図6に示したように、軸受53aにより支持された駆動軸に接続されており、駆動軸に回転と連動してピニオン53が回転するように構成されている。かかる駆動軸は、リンク機構55を介して駆動手段54(例えば、電動モータ)により回転される。リンク機構55は、例えば、一端がピニオン53の駆動軸に接続された一対の第一リンク55aと、一対の第一リンク55aの各他端に回動可能に連結された一対の第二リンク55bと、一対の第二リンク55bの各他端に回動可能に連結された一対の第三リンク55cと、を有する。各第三リンク55cの他端は減速機等を介して駆動手段54に接続されており、駆動手段54を作動させると第三リンク55cを回転させることができる。
【0053】
例えば、図5(a)に示したように、ロケートピン51が係合孔57aから離脱している状態において、駆動手段54を作動させると第三リンク55cが載置台6側に向かって回転し、第二リンク55bが載置台6側に向かって移動する。この第二リンク55bの移動によって、第一リンク55aが反時計回りに回転され、連動してピニオン53も反時計回りに回転する。ピニオン53は、ラック52に噛合していることから、ロケートピン51を上方に押し上げる。なお、ピニオン53の駆動機構は、上述した構成に限定されるものではなく、例えば、リンク機構55に代えてチェーンベルト機構を適用してもよいし、電導モータの先端にピニオン53を接続して直接的に駆動させるようにしてもよい等、適宜変更することができる。
【0054】
また、一方の第三リンク55cには揺動アーム56aが連結されており、第三リンク55cの回動とともに揺動できるように構成されている。揺動アーム56aは、先端フォーク4の連結部材43に形成された開口部43aから連結部材43の上方に突出するように構成されており、揺動アーム56aの揺動位置の両端部近傍に一対の位置検出センサ56が配置されている。揺動アーム56aの先端部には、図6に示したように、検出板56bが配置されている。この検出板56bの位置を位置検出センサ56によって検出することによって、揺動アーム56aがどちらの位置にあるか検出できるように構成されており、揺動アーム56aの位置によってロケートピン51が係合孔57aに係合しているか否かを把握することができる。位置検出センサ56は、静電容量型の近接センサであってもよいし、光センサや赤外線センサ等の光学式のセンサであってもよいし、圧力等を検出する接触式のセンサであってもよい。
【0055】
また、先端フォーク4の連結部材43の上面には、開口部43aに臨むように一対のストッパ56cが配置されている。かかるストッパ56cにより、揺動アーム56a及び第三リンク55cの回転を規制し、ロケートピン51の移動量を制御することができる。なお、図6において、ストッパ56cの図は省略してある。
【0056】
また、図6に示したように、先端フォーク4と接近する載置台6の前面には、先端フォーク4を当て止めするストッパ61が載置台6側に配置されている。ストッパ61は、例えば、先端フォーク4と接触する部分が、金属材や硬質ゴム等の素材により形成される。また、ストッパ61には、複数の調整ピン62が配置されており、かかる調整ピン62の締め込み具合を調整することによって、ストッパ61の突出量や接触面の傾斜等を個別に変更することができる。
【0057】
さらに、先端フォーク4の連結部材43の下面には近接センサ58が配置されており、載置台6側の近接センサ58に接近可能な位置に検出板63が配置されている。検出板63は、例えば、ストッパ61の調整ピン62により固定するようにしてもよい。近接センサ58は、位置検出センサ56と同様に、静電容量型の近接センサであってもよいし、光センサや赤外線センサ等の光学式のセンサであってもよいし、圧力等を検出する接触式のセンサであってもよい。かかる近接センサ58を配置することによって、先端フォーク4と載置台6との接近状態を把握することができ、先端フォーク4の駆動機構や係合手段5の駆動手段54に信号を伝達して所望の制御を行うことができる。
【0058】
次に、上述した第一実施形態に係る移載装置1を使用した移載方法について説明する。ここで、図7は、本発明の実施形態に係る移載方法による荷取り工程を示す図であり、(a)は移動工程、(b)は延伸工程、(c)は係合工程、(d)は退避工程、を示している。また、図8は、本発明の実施形態に係る移載方法による荷置き工程を示す図であり、(a)は搬送工程、(b)は延伸工程、(c)は離脱工程、(d)は退避工程、を示している。なお、上述した第一実施形態に係る移載装置1と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0059】
本発明の実施形態にかかる移載方法は、物品Aを載置する載置台6と物品Aを搬送する移動台車11の荷台との間で物品Aの荷置き及び荷取りを行う移載方法であって、移動台車11に固定された固定フォーク2と、固定フォーク2に摺動可能に支持された中間フォーク3と、中間フォーク3に摺動可能に支持された先端フォーク4と、先端フォーク4に配置されるとともに載置台6上で物品を支持するパレットPに係合可能な係合手段5と、を有する移載装置1を用いる。なお、載置台6上に一点鎖線で示した部品はパレットPを支持する走行レールSRを示し、移動台車11上に一点鎖線で示した部品はパレットPを支持するレール11cを示している。
【0060】
まず、図7(a)〜(d)に基づいて、荷取り工程について説明する。図7(a)に示したように、物品Aは載置台6上に配置されているものとする。なお、「荷取り」とは、載置台6上に載置された物品Aを移動台車11の荷台上に移載する処理を意味する。
【0061】
図7(a)に示した移動工程は、所定の載置台6と対峙する位置に移動台車11を移動させる工程である。このとき、中間フォーク3及び先端フォーク4は、図示したように、退避位置に配置されていてもよいし、移動台車11の中央部に寄せられていてもよい。移動台車11は、所定の位置で停止するように位置決めされる。
【0062】
図7(b)に示した延伸工程は、中間フォーク3及び先端フォーク4をパレットPに接近させる工程である。中間フォーク3及び先端フォーク4を所定の延伸位置までスライドさせると、中間フォーク3はパレットPに隣接する位置まで延伸され、先端フォーク4は中間フォーク3の前端まで移動する。このとき、先端フォーク4は、図5及び図6に示した当て止め用のストッパ61に接触して停止し、高精度に位置決めされる。
【0063】
図7(c)に示した係合工程は、係合手段5をパレットPに係合させる工程である。具体的には、係合手段5のロケートピン51を上昇させて、パレットPの係合部57の係合孔にロケートピン51を挿入させる。
【0064】
図7(d)に示した退避工程は、中間フォーク3及び先端フォーク4を載置台6から離間させる工程である。中間フォーク3及び先端フォーク4は、最終的に、中間フォーク3及び先端フォーク4が移動台車11又は固定フォーク2の後端からはみ出した状態でパレットPを移動台車11の荷台上に載置した状態となるまで退避される。
【0065】
そして、図7(d)に示した退避状態のまま移動台車11を移動させて物品Aを所定の場所まで搬送する。すなわち、本発明に係る移載方法によれば、荷取り時には、中間フォーク3及び先端フォーク4をパレットPに接近させ、係合手段5をパレットPに係合させ、中間フォーク3及び先端フォーク4を載置台6から離間させ、中間フォーク3及び先端フォーク4が移動台車11又は固定フォーク2の後端からはみ出した状態でパレットPを移動台車11の荷台上に載置し、搬送時には、中間フォーク3及び先端フォーク4が移動台車11又は固定フォーク2の後端からはみ出した状態のまま移動台車11を移動させるようにしている。また、上述した荷取り時において、中間フォーク3及び先端フォーク4を載置台6に接近させたときに、先端フォーク4を載置台6に当て止めすることによって先端フォーク4の位置決めを行うようにしている。
【0066】
次に、図8(a)〜(d)に基づいて、荷置き工程について説明する。図8(a)に示したように、物品Aは移動台車11の荷台上に配置されているものとする。なお、「荷置き」とは、移動台車11の荷台上に載置された物品Aを載置台6上に移載する処理を意味する。
【0067】
図8(a)に示した搬送工程は、所定の載置台6と対峙する位置に移動台車11を移動させる工程である。このとき、中間フォーク3及び先端フォーク4は、図示したように、退避位置に配置されており、物品Aを載置したパレットPは、移動台車11の荷台上に載置されている。移動台車11は、所定の位置で停止するように位置決めされる。
【0068】
図8(b)に示した延伸工程は、中間フォーク3及び先端フォーク4を載置台6に接近させる工程である。中間フォーク3及び先端フォーク4を所定の延伸位置までスライドさせると、中間フォーク3は載置台6に隣接する位置まで延伸され、先端フォーク4は中間フォーク3の前端まで移動する。このとき、先端フォーク4は、図5及び図6に示した当て止め用のストッパ61に接触して停止し、高精度に位置決めされる。そして、パレットPは、走行レールSRに沿って移動し、載置台6の所定の載置位置に移載される。
【0069】
図8(c)に示した離脱工程は、係合手段5をパレットPから離脱させる工程である。具体的には、係合手段5のロケートピン51を下降させて、パレットPの係合部57の係合孔からロケートピン51を離脱させ、載置台6上にパレットPを載置する。
【0070】
図8(d)に示した退避工程は、中間フォーク3及び先端フォーク4を載置台6から離間させる工程である。中間フォーク3及び先端フォーク4は、最終的に、中間フォーク3及び先端フォーク4が移動台車11又は固定フォーク2の後端からはみ出した状態となるまで退避される。なお、中間フォーク3及び先端フォーク4の退避位置は、図示したように、はみ出した状態であってもよいし、移動台車11の中央部に寄せられていてもよい。
【0071】
そして、図8(d)に示した退避状態のまま移動台車11を所定の場所まで移動させる。すなわち、本発明に係る移載方法によれば、荷置き時には、中間フォーク3及び先端フォーク4を載置台6に接近させ、係合手段5をパレットPから離脱させて載置台6上にパレットPを載置し、中間フォーク3及び先端フォーク4をパレットPから離間させ、中間フォーク3及び先端フォーク4を移動台車11の荷台上に退避させるようにしている。また、上述した荷置き時において、中間フォーク3及び先端フォーク4を載置台6に接近させたときに、先端フォーク4を載置台6に当て止めすることによって先端フォーク4の位置決めを行うようにしている。
【0072】
上述した移載方法によれば、中間フォーク3上を走行可能な先端フォーク4にパレットPに係合可能な係合手段5を配置し、中間フォーク3を退避位置に移動したときに移動台車11又は固定フォーク2の後端からはみ出した状態となるように構成し、その状態のまま搬送可能としたことにより、移載装置1単独でパレットPを移動台車11の荷台上に移載することができる。したがって、物品Aの移載時に、部分的に引き込み及び押し出しするプッシュ・プル機構と、移動台車上で物品を載置したパレットを移動させる移動機構と、を装備する必要がなく、構造の簡素化及び小型化を図ることができる。
【0073】
また、係合手段5をパレットPに係合させた状態で物品の荷取り及び荷置きを行うことにより、中間フォーク3及び先端フォーク4のストローク分だけパレットPを確実に移動させることができ、移載対象が重量物の場合であっても高精度な位置決め及び移載を行うことができる。
【0074】
本発明は上述した実施形態に限定されず、載置台6は床面上に複数配置されていてもよい、載置台6は自動倉庫のように立体的に複数配置されていてもよい、移動台車11はスタッカクレーンのような構成であってもよい、移載装置1を備えた移動台車11を搬送システム上に複数配置するようにしてもよい等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
1 移載装置
2 固定フォーク
3 中間フォーク
4 先端フォーク
5 係合手段
6 載置台
11 移動台車
11a 荷台
51 ロケートピン
52 ラック
53 ピニオン
54 駆動手段
55 リンク機構
56 位置検出センサ
61 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置する載置台と物品を搬送する移動台車の荷台との間で物品の荷置き及び荷取りを行う移載装置であって、
前記移動台車に固定された固定フォークと、
該固定フォークに摺動可能に支持された中間フォークと、
該中間フォークに摺動可能に支持された先端フォークと、
該先端フォークに配置されるとともに前記載置台上で前記物品を支持するパレットに係合可能な係合手段と、を有し、
前記先端フォークは、前記中間フォークが、前記パレットを前記荷台上に引き込んだ退避位置から前記パレットを前記載置台上に押し込んだ延伸位置まで移動する間に、前記中間フォークの後端から前端まで移動し、
前記中間フォークは、前記退避位置に移動したときに前記移動台車又は前記固定フォークの後端からはみ出した状態となるように構成されている、
ことを特徴とする移載装置。
【請求項2】
前記先端フォークを当て止めするストッパが前記載置台側に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記中間フォークは前記固定フォークよりも短く、前記先端フォークは前記中間フォークよりも短く構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の移載装置。
【請求項4】
前記係合手段は、前記先端フォークから鉛直方向に出没可能に構成されたロケートピンと、該ロケートピンに形成されたラックと、該ラックに噛合されるピニオンと、該ピニオンを回転させる駆動手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の移載装置。
【請求項5】
前記係合手段は、前記ロケートピンの位置を検出する位置検出センサを有する、ことを特徴とする請求項3に記載の移載装置。
【請求項6】
物品を載置する載置台と物品を搬送する移動台車の荷台との間で物品の荷置き及び荷取りを行う移載方法であって、
前記移動台車に固定された固定フォークと、該固定フォークに摺動可能に支持された中間フォークと、該中間フォークに摺動可能に支持された先端フォークと、該先端フォークに配置されるとともに前記載置台上で前記物品を支持するパレットに係合可能な係合手段と、を有する移載装置を用い、
荷取り時には、前記中間フォーク及び前記先端フォークを前記パレットに接近させ、前記係合手段を前記パレットに係合させ、前記中間フォーク及び前記先端フォークを前記載置台から離間させ、前記中間フォーク及び前記先端フォークが前記移動台車又は前記固定フォークの後端からはみ出した状態で前記パレットを前記荷台上に載置し、
搬送時には、前記中間フォーク及び前記先端フォークが前記移動台車又は前記固定フォークの後端からはみ出した状態のまま前記移動台車を移動させ、
荷置き時には、前記中間フォーク及び前記先端フォークを前記載置台に接近させ、前記係合手段を前記パレットから離脱させて前記載置台上に前記パレットを載置し、前記中間フォーク及び前記先端フォークを前記パレットから離間させ、前記中間フォーク及び前記先端フォークを前記荷台上に退避させる、
ことを特徴とする移載方法。
【請求項7】
前記荷取り時又は前記荷置き時において、前記中間フォーク及び前記先端フォークを前記載置台に接近させたときに、前記先端フォークを前記載置台に当て止めすることによって先端フォークの位置決めを行うようにした、ことを特徴とする請求項6に記載の移載方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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