説明

穀物乾燥機

【課題】この発明は、穀物乾燥機の乾燥機本体の側面閉塞板に発生する結露を防止し、この結露防止により結露水による塵埃の付着・堆積を防止することを目的とする。
【解決手段】この発明は、穀物を上部の貯留部から乾燥部を経て集穀部に導いた後に再び上部の貯留部に戻して循環させる間に乾燥部の流穀路において穀物を熱風により乾燥する穀物乾燥機において、流穀路を仕切る通風部材とこの通風部材が対峙する乾燥機本体の側面閉塞板との間に設けられた排風路の側面閉塞板側に遮蔽部材により仕切られた加温室を設け、この加温室と熱風室を連通管により連通したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は穀物乾燥機に係り、特に、乾燥機本体の排風室内の結露防止及び塵埃の堆積防止をすることができる穀物乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
循環型の穀物乾燥機は、乾燥機本体内に上部から順次に穀物を貯める貯留部と穀物を乾燥する乾燥部と乾燥した穀物を集める集穀部とを配設し、乾燥部内に通風部材により仕切られて貯留部と集穀部とを連絡する流穀路を設け、この流穀路の各側に熱風路と排風路とを設けている。この穀物乾燥機は、穀物を上部の貯留部から乾燥部を経て集穀部に導いた後に再び上部の貯留部に戻して循環させる間に、熱風発生機及び排風機で発生した熱風を乾燥部において熱風路から排風路に流すことで流穀路の穀物に熱風を作用させ、穀物を乾燥する。
【0003】
穀物乾燥機においては、穀物を乾燥した排風が排風路を通過する時、周囲温度と排風の温度湿度の条件により、排風路を設けた乾燥機本体の側面閉塞板に結露が発生することがある。このため、穀物乾燥機においては、この結露した水に埃やゴミ等の塵埃が付着して堆積し、固着する問題がある。
【0004】
対応案として、従来の穀物乾燥機には、流穀路下部の集穀部に繰出バルブを設け、繰出バルブ下側に穀物の案内樋を設け、繰出バルブ下方に集穀用の流穀樋を設け、熱風路下端を案内樋に向かって開放し、排風路下端を集穀樋に向かって開放し、熱風路下端の開放部位先端から排風路までの最短距離と流穀路の穀物層の穀層幅とを略同一に構成し、熱風路及び排風路内に塵埃が堆積することを防止したものがある。(特許文献1)
【0005】
また、従来の穀物乾燥機には、貯留部の機壁を組み立てている鉄製のパネルの内側面に補強リブを溶接し、パネルの外側面に結露防止用の断熱材を貼着し、機壁の内側面に結露が生ずることを防止したものがある。(特許文献2)

【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−300346号公報
【特許文献2】特開2001−33160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、前記特許文献1及び2に記載の通路構成や断熱材貼着、また隙間設置や遮蔽板による堆積防止等の対応案では、一定の効果はあるものの、排風路を設けた乾燥機本体の側面閉塞板に発生する結露を十分に防止することができず、結露水による塵埃の堆積防止を十分に果たすことができなかった。
【0008】
この発明は、穀物乾燥機の乾燥機本体の側面閉塞板に発生する結露を防止し、この結露防止により結露水による塵埃の付着・堆積を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、乾燥機本体内に上部から順次に穀物を貯める貯留部と穀物を乾燥する乾燥部と乾燥した穀物を集める集穀部とを配設し、前記乾燥部内に通風部材により仕切られて前記貯留部と前記集穀部とを連絡する流穀路を設け、この流穀路の各側に熱風路と排風路とを設け、穀物を上部の前記貯留部から前記乾燥部を経て前記集穀部に導いた後に再び上部の前記貯留部に戻して循環させる間に前記乾燥部の流穀路において穀物を熱風により乾燥する穀物乾燥機において、前記流穀路を仕切る通風部材とこの通風部材が対峙する前記乾燥機本体の側面閉塞板との間に設けられた前記排風路の前記側面閉塞板側に遮蔽部材により仕切られた加温室を設け、この加温室と前記熱風室を連通管により連通したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明の穀物乾燥機は、排風路内の側面閉塞板側に設けた加温室に熱風室の熱風を供給して加温するので、乾燥機本体の側面閉塞板を暖めることができ、排風路を流れる高湿度の空気が乾燥機本体の側面閉塞板に接する外気との温度差により冷やされて、側面閉塞板に結露する現象を防止することができる。これにより、穀物乾燥機は、乾燥機本体内での結露を防止することができ、結露水によって発生していた塵埃堆積の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図2に示す穀物乾燥機の加温室と熱風室を連通する連通管部分の断面図である。(実施例)
【図2】穀物乾燥機の貯留部及び集穀部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の穀物乾燥機は、乾燥機本体の排風路が配置される側面閉塞板を暖めることで、結露を防止し、結露水による塵埃の堆積を防止するものである。
以下図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0013】
図1・図2において、1は循環型の穀物乾燥機、2は乾燥機本体である。穀物乾燥機1は、乾燥機本体2の長手方向(図1において上下方向)の両端面の端面閉塞板3(図1においては一端面の端面閉塞板3を図示し、他端面の端面閉塞板は不図示)と、乾燥機本体2の幅方向(図2において左右方向)の両側面の側面閉塞板4と下面の下面閉塞板5と上面の上面閉塞板(図示せず)とにより、長手方向に長い四角箱形状に形成されている。穀物乾燥機1は、乾燥機本体2内に上部から順次に穀物を貯留する貯留部6と、穀物を乾燥する乾燥部7と、乾燥した穀物を集める集穀部8とを配設している。
【0014】
前記貯留部6内には、図示しない揚穀機により揚上されて上部搬送手段により均分落下される穀物を貯留する貯留室9を設けている。
【0015】
前記乾燥部7内には、多孔板や網状部材等からなる通気性を有する通風部材10により仕切られて、貯留部6の貯留室9と集穀部8の後述する集穀室16とを連絡するとともに乾燥機本体2の長手方向に延びる2つの流穀路11を幅方向両側に離して設け、2つの流穀路11の間の幅方向中央に乾燥機本体4の長手方向に延びる熱風路12を設け、2つの流穀路11の幅方向外側にそれぞれ排風路13を設けている。
【0016】
前記2つの流穀路11は、両側をそれぞれ通風部材10により仕切られて、上部が幅方向外側に位置して下部が中央側に位置するように中間で折曲して中央側に傾斜させ、上端を貯留室9側に向かい拡開して分岐部材14により2方向に分岐している。
【0017】
前記熱風路12は、乾燥部7の幅方向中央に位置させて、2つの流穀路11の各通風部材10の間に設けている。前記2つの排風路13は、2つの流穀路11の幅方向外側にそれぞれ位置させて、各流穀路11の幅方向外側を仕切る通風部材10とこの通風部材10が対峙する乾燥機本体2の側面閉塞板4との間に設けている。これより、2つの流穀路11は、中央の熱風路12と両外側の2つの排風路13との間に通風部材10により仕切って設けられている。
【0018】
前記中央の熱風路12は、長手方向両端を乾燥機本体2の端面閉塞板3により仕切られて、上端及び下端を閉塞している。熱風路12には、乾燥機本体2の長手方向一端側にバーナ(図示せず)が配置され、熱気を供給される。
【0019】
前記両外側の2つの排風路13は、幅方向両側を各流穀路11の通風部材10と乾燥機本体2の各側面閉塞板4とにより仕切られて、上端を閉塞するとともに下端を集穀部8の後述する集穀室16に開放している。2つの排風路13には、乾燥機本体2の長手方向他端側に排風機(図示せず)が配置され、熱風路12の熱気を吸引して外部に排出する。
【0020】
前記集穀部8には、乾燥機本体2の各側面閉塞板4側の上端から互いに中央下方に窄まるように下降傾斜して穀物を集める2枚の流穀板15を配置し、2枚の流穀板15上に集穀室16を形成している。集穀室16内には、各流穀路11下端の開口に乾燥機本体2の長手方向に延びる穀物の案内樋17を配置し、案内樋17内に繰出バルブ18を配置している。また、集穀部8には、2枚の流穀板15が接合される中央下部に、乾燥機本体2の長手方向に延びる集穀樋19を配置し、この集穀樋19内に下部搬送手段20を配置している。
【0021】
穀物乾燥機1は、投入された穀物を集穀部8の流穀板15により集め、下部搬送手段20により図示しない揚穀機に搬送して揚上し、図示しない上部搬送手段により貯留部6内に均分落下させ、熱風発生機及び排風機により発生した熱風を乾燥部7において熱風路12から排風路13に流すことで流穀路11の穀物に熱風を作用させ、流穀路11から流下する穀物を集穀部8で集めて下部搬送手段20により再び揚穀機下部に搬送して揚上する、という循環を繰返す間に穀物を乾燥する。
【0022】
この穀物乾燥機1は、2つの流穀路11の幅方向外側を仕切る通風部材10とこの通風部材10が対峙する乾燥機本体2の各側面閉塞板4との間に、それぞれ排風路13を設けている。この2つの排風路13内の乾燥機本体2の各側面閉塞板4側には、遮蔽部材21により排風路13から仕切られた加温室22をそれぞれ設けている。
【0023】
遮蔽部材21は、各側面閉塞板4の上端から中間まで各側面閉塞板4に近接平行して延びる上部遮蔽部材21aと、上部遮蔽部材21aの下端に連続して各側面閉塞板4から離れるように中央側に傾斜して下方に延び、乾燥部7の下端を越えて集穀部8の集穀室16を形成する流穀板15の中央近傍に達する下部遮蔽部材21bとからなる。
【0024】
2つの排風路13内の乾燥機本体2の各側面閉塞板4側に設けた2つの加温室22は、上部遮蔽部材21aと、下部遮蔽部材21bと、上部遮蔽部材21a及び下部遮蔽部材21bが対峙する各側面閉塞板4と、下部遮蔽部材21aが対峙する各流穀板15の一部とにより、排風路13内の側面閉塞板4側に乾燥機本体2の長手方向に延びる形状に形成される。加温室22における乾燥機本体2の長手方向両端側は、各端側遮蔽板23により閉鎖している。なお、この実施例においては、図1において一端側遮蔽板23を図示し、他端側遮蔽板を図示していない。
【0025】
前記熱風室12には、図1に示すように、乾燥機本体2の長手方向一端を閉鎖する一端面閉塞板3に熱風を取り出す連通箱24を接続している。連通箱24には、2本の連通管25の各一端側を接続している。各連通管25は、他端側を前記2つの加温室22の一端側遮蔽板23にそれぞれ接続している。加温室22は、連通箱24及び連通管25により熱風室11に連通され、熱風を供給される。
【0026】
2つの加温室22は、上部遮蔽部材21aの上端に排風路13に連通する複数の上部排気孔26を設け、下部遮蔽部材21bに連続する一端側遮蔽板23に排風路13に連通する複数の下部排気孔27を設けている。加温室22に供給された熱風は、上部排気孔26及び下部排気口27から排風路13に排出される。
【0027】
次に作用を説明する。
穀物乾燥機2は、穀物を上部の貯留部6から乾燥部7を経て集穀部8に導いた後に再び上部の貯留部6に戻して循環させる間に、乾燥部7において流穀路11を流れる穀物を熱風により乾燥する。穀物乾燥機2は、穀物の乾燥運転中に、排風機の吸引力により圧力差が生じ、熱風発生機の熱風が熱風路12から流穀路11内の穀物を通過して排風路13に流れ、排風機から外部に排出される。
【0028】
熱風路12の熱風の一部は、連通箱24から連通管25に流れ、加温室22に供給されて加温室22を形成する各側面閉塞板4、遮蔽部材21、および流穀板15の一部を暖める。加温室22に供給された熱風は、上部排気孔26及び下部排気口27から排風路13に排出される。
【0029】
加温室22に供給される熱風は、排風路13の穀物を加熱後の空気の温度よりも高温であり、排風路13に流れる高湿度の空気が外気との温度差により冷やされて、乾燥機本体2内部の加温室22を形成する各側面閉塞板4、遮蔽部材21、流穀板15の一部で結露する現象を防ぐことができる。
【0030】
これにより、穀物乾燥機1は、乾燥機本体2内での結露が解消され、結露水によって発生していた塵埃の堆積発生も防止することができる。熱風の温度が高い場合、結露しやすくなるが、同時に熱風室12に供給される熱風も温度が高くなるため、遮蔽部材21で形成した加温室22の温度も必然的に高温となる。よって、熱風の温度が高い場合でも、結露が防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明の穀物乾燥機は、乾燥機本体内の結露発生を防止し、結露による塵埃堆積の発生を防止することができるものであり、穀物以外の物品の乾燥機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 穀物乾燥機
2 乾燥機本体
4 側面閉塞板
6 貯留部
7 乾燥部
8 集穀部
10 通風部材
11 流穀路
12 熱風路
13 排風路
15 流穀板
16 集穀室
21 遮蔽部材
22 加温室
23 各端側遮蔽板
24 連通箱
25 連通管
26 上部排気孔
27 下部排気孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥機本体内に上部から順次に穀物を貯める貯留部と穀物を乾燥する乾燥部と乾燥した穀物を集める集穀部とを配設し、前記乾燥部内に通風部材により仕切られて前記貯留部と前記集穀部とを連絡する流穀路を設け、この流穀路の各側に熱風路と排風路とを設け、穀物を上部の前記貯留部から前記乾燥部を経て前記集穀部に導いた後に再び上部の前記貯留部に戻して循環させる間に前記乾燥部の流穀路において穀物を熱風により乾燥する穀物乾燥機において、前記流穀路を仕切る通風部材とこの通風部材が対峙する前記乾燥機本体の側面閉塞板との間に設けられた前記排風路の前記側面閉塞板側に遮蔽部材により仕切られた加温室を設け、この加温室と前記熱風室を連通管により連通したことを特徴とする穀物乾燥機。




【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−237121(P2011−237121A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108938(P2010−108938)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000197344)静岡製機株式会社 (37)
【Fターム(参考)】