穀粒品位判別装置
【課題】基準板の汚れに影響を受けることなく安定的に正確な品位判別が行える穀粒品位判別装置を提供する。
【解決手段】米粒搬送用の溝には明度の異なる基準板を配設し、調整部においては、光学検出部が撮像した基準板の測定画像と初期画像から相関係数を演算し、該相関係数が所定の条件を満たしたときには基準板に濃い汚れ部分なしとして当該調整部による光量調整又は補正係数演算による調整を行う。一方、前記条件を満たさないときには、該条件を満たすようになるまで前記基準板の濃い汚れた部分と推定される画素データを測定画像及び初期画像から削除して相関係数の演算を行い前記調整が行われる。これにより、基準板における濃く汚れた部分の有無チェック及び濃い汚れ部分の除外が行われるので調整部による調整が正確となり、品位判別も安定的かつ正確となる。
【解決手段】米粒搬送用の溝には明度の異なる基準板を配設し、調整部においては、光学検出部が撮像した基準板の測定画像と初期画像から相関係数を演算し、該相関係数が所定の条件を満たしたときには基準板に濃い汚れ部分なしとして当該調整部による光量調整又は補正係数演算による調整を行う。一方、前記条件を満たさないときには、該条件を満たすようになるまで前記基準板の濃い汚れた部分と推定される画素データを測定画像及び初期画像から削除して相関係数の演算を行い前記調整が行われる。これにより、基準板における濃く汚れた部分の有無チェック及び濃い汚れ部分の除外が行われるので調整部による調整が正確となり、品位判別も安定的かつ正確となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米粒等の穀粒品位を判別する穀粒品位判別装置に係り、特に光学検出部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の穀粒品位判別装置は、被測定物の穀粒(以下「米粒」という)を1粒ずつ光学検出部に搬送し、検出された受光データ(撮像データ)に基づいて穀粒品位判別を行うものとして知られている。具体的には、前記搬送手段は、米粒が入る複数の溝を周縁部に形成した円板をモータにより回転させるように構成し、前記溝に米粒を1粒ずつ入れて前記光学検出部に搬送する。前記光学検出部は、搬送された各米粒に光を照射するとともに米粒から得られる反射光及び透過光を前記受光データとして取得し、判定部に送る。該判定部は、受光データに基づいて米粒の品位判定を1粒ずつ行なう。そしてこの判定結果は表示部に表示し、さらに、米粒を判定品位ごとに選別する選別部を構成したものもある。
【0003】
ところで、米粒測定を何度も繰り返している間に、前記光学検出部においては、照射光源等からの放射熱により測定米粒近傍(光学検出位置近傍)の温度等の変化(判定環境変化)が生じることがある。この判定環境変化が生じると、光学検出位置における照射光量がそれまでと変化し正確な品位判別が行えないので、従来、この光量変化による判定精度の低下対策が講じられている。この対策は、光量変化に対応した補正係数を求め、該補正係数を取得した受光データに掛け合わすことにより光量変化を補正し判別精度の低下を防止するものである。具体的構成は、前記円板の何れか一つの溝に任意濃度の基準板を設置し、未だ測定に使われていないときの基準板の受光データを「初期データ」として記憶しておく。一方で、米粒測定を繰り返し行っている際の任意時期に、前記基準板の受光データを「測定データ」として取得する。そして、測定データと初期データとを比較し、測定データと初期データの明度差(濃度差)を求め、該濃度差に基づいて前記補正係数の演算が行われている。
【0004】
【特許文献1】実開平5−90353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記穀粒品位判別装置においては、前記基準板の汚れによる問題点があった。この問題点とは、前記円板周縁(溝)上には各溝に米粒を供給するための米粒滞留部が構成されており、溝に埋設した前記基準板も米粒滞留部を通過することになる。このため基準板には米粒滞留部を通過する際に米ぬか等が付着し汚れてしまう。もちろん、この基準板の汚れは、円板の搬送途中に設置した清掃用のブラシ等により対策を講じているが、一度に約1000粒の測定を繰り返し行う共同乾燥施設等での使用例からすると、基準板の汚れを完全に除去することは困難であり、また基準板の汚れ状態をチェックするにしてもオペレータ任せとなるので、判定精度の安定性が問題視されてきた。
そこで本発明はこの問題点にかんがみ、基準板の汚れに影響を受けることなく安定的に正確な品位判別が行える穀粒品位判別装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1によると、
回転円板の周縁に設けた複数の溝により穀粒を一粒ずつ搬送する穀粒搬送部と、
該穀粒搬送部により搬送された穀粒に光を照射して受光データを得る光学検出部と、
該光学検出部からの光学データに基づいて穀粒の品位判定を行う判定部と、
前記光学検出部によって検出した前記溝に設けた基準板からの測定受光データと初期受光データとに基づき光学検出部の照射光量変化に対応した光量調整又は補正係数演算による調整を行う調整部と、
を備えた穀粒品位判別装置において、
前記溝には明度の異なる基準板を配設し、前記調整部は、前記光学検出部が撮像した基準板の測定画像と初期画像から相関係数を演算し、該相関係数が所定の条件を満たしているときには当該調整部による前記調整を行い、一方、前記条件を満たしてないときには、該条件を満たすようになるまで前記基準板の濃く汚れた部分と推定される画像を測定画像及び初期画像から削除して相関係数を再演算し調整部による調整を行う、という技術的手段を講じる。
【0007】
前記調整部によると、基準板の測定画像と初期画像から求められた相関係数が所定の条件を満たしているか否かにより、測定中の基準板(測定画像)に濃く汚れた部分(他の部分よりも目立って汚れている部分)が存在するか否かが判定される。条件を例えば、相関係数が所定のしきい値(例えば0.9)を超えるか否かとし、該条件を満たしていれば調整部による調整(光量調整又は補正係数演算による調整)が行われる。一方、条件を満たさないときには、濃く汚れた部分が基準板に生じているとし、この場合は相関係数が条件を満たす値になるまで、基準板に生じた濃く汚れた部分を推定しこの部分の画像を測定画像及び初期画像から除外し相関係数を演算する。これにより、濃く汚れた部分を含まない測定画像及び初期画像に基づいて調整部による調整が行われるので調整が正確となる。前記相関係数に関し、測定画像と初期画像との相関係数が大きくなるということは、未使用状態(本装置が新品で汚れの無い状態)の基準板の初期画像と、既に何度も測定を行っているときの基準板の測定画像とが全体的に同じ傾向(均一な濃度)であることを示す。つまり、全体的に薄く汚れているが部分的に濃く汚れている部分は存在しないと推測するので、正確な測定画像による調整ができる。一方、相関係数の値が小さくなるときは、相関係数値を低下させる要因となる部分的に濃く汚れた部分が存在することになり、この場合には、前述のように相関係数が前記条件を満たすようになるまで、濃く汚れた部分に相当する画像を測定画像及び初期画像から削除し相関係数の演算を行う。
【0008】
請求項2により、前記調整部は、測定画像及び初期画像をそれぞれ複数画素からなる区画に分け、相関係数の演算は測定画像の区画画素データ及び初期画像の区画画素データから演算し、また、濃く汚れた部分の削除は区画単位で行う、という技術的手段を講じる。このように、測定画像及び初期画像を同じく複数の区画に分けることにより、相関係数を演算する際には、例えば、各区画における一つ又は複数の画素データを基に演算できるので、全ての画素データに基づいた演算を行わなくてよい。よって、演算効率がよい。
【0009】
請求項3により、前記区画は複数の特定の区画とする、という技術的手段を講じる。これにより、相関係数の演算を全区画に基づいて行わなくてよいので、更に演算効率がよくなる。また、区画の削除に関しても、全ての区画を対象としないので効率がよい。
【0010】
請求項4により、前記区画画素データは該当区画の画素データの平均濃度値とする、という技術的手段を講じる。これにより、区画における全画素データ、つまり、RGBの明度平均値等を加味できるので、より正確な相関係数が得られ基準板の汚れ部分の検出精度が向上する。
【0011】
請求項5により、前記調整部が行う区画の削除は、自区画を除いた区画での相関係数を演算し、該相関係数のうち最も値の大きい相関係数における自区画を一番に削除し、その次に大きい相関係数における自区画を二番に削除するように順次行う、という技術的手段を講じる。これにより、濃い汚れ部分の順に区画を特定することができるので、この順に従うことにより的確で効率的な区画削除ができる。
【0012】
請求項6により、前記調整部が削除する区画の数が所定数になった場合には、基準板の汚れによる異常を知らせる報知部を有する、という技術的手段を講じる。これにより、正確な相関係数を求めるために必要な測定画像と初期画像の最低限度が報知される。この報知により、オペレータは装置を停止し基準板の清掃を行うことができる。
【0013】
請求項7により、前記区画は、基準板の撮像画素を縦と横に任意の区画数で分けたものとする、という技術的手段を講じる。穀粒搬送部の回転円盤は回転にムラが生じるので、撮像した基準板画像の画素は回転方向に向かって長短が生じ基準板をイメージした画素数が異なってしまう。このような場合にでも、基準板の撮像画素を縦と横に任意の区画数で分割することにより、初期画像と、随時撮像する測定画像の対応する区画位置を同じにすることがきるので、相関係数の値が更に正確になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、測定画像と初期画像との相関係数を求め、該相関係数が所定条件を満たすか否かにより基準板に濃く汚れた部分が生じているか否かの判定が行われる。このとき相関係数が所定のしきい値以上であれば基準板に濃く汚れた部分が生じてないとし、調整部により、測定画像と初期画像とに基づき光学検出部の照射光量変化に対応した光量調整又は補正係数演算に基づく調整を行う。一方、前記条件を満たさないときには、基準板に濃く汚れた部分が存在していると判断し、この濃く汚れた部分に該当する画像を除外し残りの画像で相関係数を演算し前記条件を満たすようにする。したがって、基準板に濃く汚れた部分の存在が推定された場合でもこの部分の測定画像及び初期画像の画像を削除するので、正確な測定画像及び初期画像に基づいた相関係数の演算が行われて調整部による調整が正確になり、よって、判定部による品位判定精度が安定向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の穀粒品位判別装置1は被測定物の穀粒(以下「米粒S」という)を光学検出部2に搬送する搬送部3を構成する。該搬送部3は、公知の円板搬送方式のものであって、米粒Sが1粒ずつ入る溝4aを周囲に複数設けた円板4を有する。該円板4は、架台6bによって傾斜状に支持されたベース板6上に配設され、その中心部に、前記架台6bに固着したモータ5の出力軸5aが軸着されて回転自在としてある(図1及び図2参照)。本実施例において、円板4は時計回り方向(矢印Y)に回転するものとしてある。前記各溝4aは、底部4bを透明材料で構成するとともに周縁部分を開放部4cで構成する。前記ベース板6上には、前記溝4a内の米粒Sが前記開放部4cから放出されるのを防止するための堰部6aが、円板4の周縁部に沿って構成してある。また、米粒供給部7が、円板4の傾斜下方位置に構成してある。この米粒供給部7は、円板4の周縁部上部に米粒Sが滞留できるように、前記堰部6aと連結した広幅状の平面を有してなる。なお、この米粒供給部7を円板4の搬送始端側とすると、搬送終端側は、前記堰部6aを切り欠いた切欠部6cで形成し測定の終わった米粒Sを溝4aから落下させる構成になっている。
【0016】
前記光学検出部2は、第1光学検出部2aと第2光学検出部2bから構成し、円板4の傾斜上方位置に配設する(図1,2参照)。前記第1光学検出部2aは、搬送されてきた米粒Sの上面及び側面を光学検出(撮像)できる構成にしてある(図3参照)。前記第1光学検出部2aは、溝4a(米粒S)の上方に、集光レンズ8、CCDリニアセンサー(受光センサー)9及び照射部10としての赤(R)・緑(G)・青(B)の発光ダイオードを構成し、溝4aの側方には、集光レンズ11及びCCDリニアセンサー(受光センサー)12を構成してある。また、溝4aの下方には、前記ベース板6を凹状にしたその内部空間に、米粒Sを下方から照射する照射部(発光ダイオード)13を構成する。なお、前記第1光学検出部2aにおいて、溝4aの側方の堰部6aは透明材料とし、米粒Sからの光りがCCDリニアセンサー12に入光可能となるようにしてある。前記CCDリニアセンサー9,12は、赤(R)・緑(G)・青(B)の各光を受光することのできるものを用い、米粒Sの搬送方向(前記矢印Y)と直交する方向を走査するように配設する。
【0017】
次に前記第2光学検出部2bの構成であるが、該第2光学検出部2bは米粒Sの下面(底面)を光学検出(撮像)するための構成がなされている(図4参照)。第2光学検出部2bは、前記ベース板6を凹状にしたその内部空間に、集光レンズ14、CCDリニアセンサー(受光センサー)15及び照射部16としての赤(R)・緑(G)・青(B)の発光ダイオードを構成し、一方溝4aの上方には、米粒Sを上方から照射する照射部(発光ダイオード)17が構成してある。前記CCDリニアセンサー15も、赤(R)・緑(G)・青(B)の各光を受光することのできるものを用い、米粒Sの搬送方向(前記矢印Y)と直交する方向を走査するように配設する。
【0018】
次に本発明の特徴構成を説明する。
【0019】
前記円板4の溝4aに、明度(濃度)の異なる2種類の基準板を構成する。該基準板は、白色の第1基準板18と半透明の第2基準板19から構成し、連続した溝4a内にそれぞれ埋設した(図5参照)。次に、前記CCDリニアセンサー9,12,15からの受光信号を受けて信号処理を行う信号処理部(制御部)20につき、その一例を説明する(図6参照)。該信号処理部20は、中央演算処理部(以下「CPU」という)21を構成の中心とし、該CPU21と電気的に接続した入出力回路(以下「I/O」という)22、読み込み専用記憶部(以下「ROM」という)23及び読み込み・書き込み用記憶部(以下「RAM」という)24から構成する。前記I/O22は、前記CCDリニアセンサー9,12,15と電気的に接続するとともに、前記CPU21で品位判定された結果等を表示する表示部25及び設定開始ボタン22aとも同様に接続する。前記ROM23には、後述する前記初期画像取得プログラム(プログラムA)、測定画像取得兼補正係数決定プログラム(プログラムB)及びルックアップテーブルが記憶してある。また、前記信号処理部20は、前記モータ5の始動制御や前記照射部10,13,16,17の点灯出力制御を行なう回路(図示せず)とも電気的に接続してある(公知手段につき詳細説明省略)。
【0020】
本発明の作用を説明する。
【0021】
まず、前記初期画像取得プログラム(以後「プログラムA」という)を実行する(図7参照)。該プログラムAの実行目的は、本発明の穀粒品位判別装置1が新品状態で、まだ汚れていない前記第1,第2基準板18,19の画像(初期画像)を取得することにある。まず、本体電源を入れ(ステップ1)前記設定開始ボタン22aを押す(ステップ2)。次にステップ3では、該設定開始ボタン22aからのON信号を受けたCPU21は、モータ5の駆動により円板4の回転を開始させるとともに、前記第1、第2光学検出部2a,2bの照射部10,13,16,17を点灯させる。次にステップ4は、前記第1光学検出部2aにおいて、円板4の回転により到達した前記第1基準板18(白色)に対し照射部10,13から光を照射する。CCDリニアセンサー9は、第1基準板18を、該第1基準板18の進行方向と直交する方向(矢印X)に走査し撮像し、順次、画像(撮像)データをCPU21に送る。
【0022】
次にステップ5では、該CPU21は、第1基準板18の画像を、複数の画素Kからなる特定区画G(1a,2a,・・・,23a)にそれぞれ区画分けを行う(図8,9参照)。CPU21は、前記特定区画Gごとに画素Kの赤(R)画像データ平均値(明度)を求め、求まった各特定区画Gの演算値(赤の平均値)は、順次、RAM24に「初期画像」としてRAM24に数列として記憶される。次にステップ6,7では、ステップ4、5と同様にして、第2基準板19(半透明)の画像測定を行い、予め定めた特定区画G(1b,2b,・・・,23b)ごとに、画素Kの赤(R)画像データ平均値(明度)を求め、各特定区画Gの演算値(赤の平均値)を、順次、RAM24の「初期画像」への追加記憶を行う。以上でプログラムA終了とし円板停止となる(ステップ8)。
【0023】
次に、測定画像取得兼補正係数決定プログラム(以後「プログラムB」という)を説明する(図10参照)。該プログラムBの実行目的は、基準板に濃く汚れた部分があっても、この部分から影響を受けることなく正確な補正係数を求めるためのものである。実行は、米粒供給部7に米粒Sを供給前の設定段階に行う。
【0024】
前記プログラムBの説明では、前記プログラムAの「ステップ」との区別のため以下、「STEP」とする。STEP1は、本体電源を入れた状態で前記設定開始ボタン22aを押す。STEP2は、前記プログラムAで述べたステップ3〜7と略同様にして行われ、すなわち、円板4が回転し、照射部10,13,16,17が点灯する。そして、第1基準板18(白)を撮像し、取得した画像から、米粒S面積に略相当する前記特定区画G(1a,2a,・・・,23a)ごとの赤の平均値(明度)を演算し、この演算値をプログラムBでは「測定画像」としてRAM24に数列として記憶する。同様に、第2基準板19(半透明)を撮像し、取得した画像から前記特定区画G(1b,2b,・・・,23b)ごとの赤の平均値(明度)を演算し、順次、この演算値をRAM24内の「測定画像」に追加記憶する。
【0025】
次にSTEP3では、これまでのSTEPで取得した、特定区画(46区画)における「初期画像」と「測定画像」との「相関係数A」をCPU21により演算する。該演算は、前記RAM24に記憶した前記初期画像及び測定画像を読み出し、公知の演算式により行う(図11参照)。本発明においては、明度(濃度)の異なる2種類の基準板、すなわち、例えば白色の第1基準板18と半透明の第2基準板19を用いているので、初期画像及び測定画像における個々のデータが、散布図において一定の直線方向に帯状に分布し、このため、両者間における正確な相関係数を求めることができる。これは、明度が一種類の基準板であった場合には、帯状のデータ分布が得られず相関係数を求めることができないのである。
【0026】
次にSTEP4ではSTEP3で求めた相関係数Aに基づき、「相関係数A>0.9」の判定を行う。このときYESであれば、前記初期画像と測定画像との相関が高いので、第1、第2基準板18,19には濃く汚れた部分はないと判定しSTEP10(後述する)に進む。一方、NOなら、相関が低いので濃く汚れた部分が基準板にあると認定し、STEP5に進む。
【0027】
前記STEP5以降では濃く汚れた部分を特定し、順次、この部分の除外を行い相関係数の再演算を行う。具体的手順は、前記初期画像と測定画像を構成する特定区画について、自己区画以外の区画での相関係数を演算する。例えば、初期画像及び測定画像における区画1aを自己区画とし、これ以外の45区画(2a,・・・,23a,1b,・・・,23b)を基に相関係数を演算し、該演算値を「相関係数B」とする。続いて同様にし、自己区画とする区画2aを除外した残りの区画により相関係数Bを演算し、その次は区画3aを自己区画とし相関係数Bを演算し、のようにして46区画について順次演算を行う。次にSTEP6に進む。
【0028】
前記STEP6では、まずSTEP5で求まった46の区画ごとの相関係数Bを大きい順に並べる。並べ替え後、一番大きい相関係数Bを前記相関係数Aとして記憶するとともに、該相関係数Bにおける自己区画を「濃く汚れた区画」と認定して該区画を「除外区画」とする。次にSTEP7に進む。
【0029】
前記STEP7では、STEP5で認定した除外区画を前記特定区画から除外する。これにより、残った45区画が特定区画となる。次にSTEP8に進む。
【0030】
前記STEP8では、「除外区画=8」の条件を満たすか否かの判定を行う。これは、これまでに除外した区画の数が8つの区画に達したか否かをチェックし、濃く汚れた区画の数(除外区画)が多すぎて第1、第2基準板18,19の面積の減少による、正確な相関係数演算を行うための測定画像(区画)の確保ができるか否かのチェックを目的とする。除外区画=8であれば(YESであれば)、第1、第2基準板18,19が汚れ過ぎている(除外区画が多い)とし、表示部25に、「基準板を清掃してください」等のメッセージを出し円板4の回転を停止させる。一方、NOであれば前記STEP4に戻り、「相関係数A>0.9」の判定を行う。該判定により、再度、NOであったときには、特定区画内にまだ濃く汚れた区画が存在すると判断し、前述の前記STEP5,6,7,8を行う。これにより、他の濃く汚れた1区画を特定区画から除外し残った特定区画に基づいて再度相関係数Aを求めてSTEP4に戻り、「相関係数A>0.9」の判定を行う。このように「相関係数A>0.9」の条件が満たされるまで、「除外区画=8」となるまで、濃く汚れた区画を上記方法により特定し順次削除し、再演算による相関係数Aとの比較が繰り返される。
【0031】
次に、前記STEP10では、これまでのSTEPにおいて除外されなかった特定区画を「最終区画」として認定する。
【0032】
次に、前記STEP11では、初期画像と測定画像の各最終区画のデータ(赤の明度平均値)を読み出し、初期画像と測定画像の各明度平均値を求める。すなわち、初期画像の最終区画における赤の明度平均値Yと、測定画像の最終区画における赤の明度平均値Xとを求める。
【0033】
次に、前記STEP12では、補正係数を決定する。該補正係数の決定は、予め設定した前記ルックアップテーブル(対応表)により行う。該ルックアップテーブルは、明度平均値Y(初期画像)と明度平均値X(測定画像)の各値の組み合わせにおける補正係数を予め求めたものである。当該STEP12のルックアップテーブルにより、前記明度平均値Yと明度平均値Xにおける補正係数を、演算処理等を行うことなく即時決定することができる。
【0034】
以上により補正係数が決定し、この後、円板4の自動停止及び本プログラムBの終了となる(STEP13)。
【0035】
このようにして補正係数が決定されると、次は米粒Sの測定である。米粒測定にあたり、まず、米粒供給部7に米粒Sを供給し測定開始ボタン(図示せず)をONにする。すると円板4が回転し、米粒供給部7の米粒Sは1粒ずつ溝4aに入って前記第1、第2光学検出部2a,2bに搬送される。前記第1光学検出部2aでは、照射部10,13から米粒Sに照射光が当り当該米粒Sを前記CCDリニアセンサー9,12により走査される。これによって、米粒Sの平面画像と側面画像が得られ、各画像データは順次前記RAM24に記憶される。前記第1光学検出部2aを経た米粒Sは前記第2光学検出部2bで撮像される。すなわち、前記第2光学検出部2bでは、照射部16,17から米粒Sに照射光が当り当該米粒Sを前記CCDリニアセンサー15により走査される。これによって、米粒Sの裏面画像が得られ、該画像データは順次前記RAM24に記憶される。前記CPU21は、前記RAM24に記憶した各米粒Sの画像データを順次読み出して品位判別し、該判別データをRAM24に記憶する。そして、前記第1、第2光学検出部2a,2bによる撮像、及びCPU21による品位判別が終了すると、CPU21はRAM24に記憶した品位判別データを集計し、集計結果を表示部25に表示させる。以上により、米粒1ロットの品位判別の終了となり、次のロット米粒を再び供給し品位判別を開始する。なお、本発明のプログラムBの実行(補正係数の演算)時期は、所定ロットの測定後に実行したり、数時間ごとに実行するようにしてもよい。
【0036】
本発明の特徴事項を更に記述する。プログラムBの実行に関し、以下の方法により、円板4の回転ムラによる悪影響を受け難くすることができる。円板4の回転速度は常に一定とはいえず、第1、第2基準板18,19をCCDリニアセンサー9で撮像した際、回転方向Yの1画素の幅が実際には異なってしまう。これは、1回の走査時に円板(第1、第2基準板18,19)がどれくらいのスピードで通過するかにより画素の幅は変化する。具体的には、回転速度が速いと画素幅が短くなり、回転速度が遅いと画素幅が長くなってしまう。本発明は、撮像した第1、第2基準板18,19の画像により溝4aのY方向とX方向の各画素を等分して区画分けするようにしている(図8参照)。つまり、1区画におけるY方向とX方向の各画素数を予め決定しておくのではなく、測定された溝画像における画素を等分するようにしてある。これにより、プログラムBを実行(補正係数の演算)するごとに前記特定区画(1a,・・・、1b,・・・)の位置がY方向に前後することなく常に同じになる。このため、回転ムラが生じても正確な相関係数を求めることができ、ついては補正係数にバラツキを生じることがないという作用効果を有する。
【0037】
以下、本発明の実施の形態における変形例を説明する。上述では、相関係数Aの演算を行う際に、特定区画における赤の平均値をのみを使用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに緑の平均値及び/又は青の平均値を使用するようにし、より正確な補正係数を求めことができる。また、更に正確な補正係数を求めるために、前記CCDリニアセンサー15も使用し、第1、第2基準板18,19の裏側の画像も利用するようにしてもよい。
【0038】
また、本発明の基準板は、上記実施例では異なる明度の第1、第2の基準板を別々の溝4aに設けたが、これに限定するものではなく、例えば、半分を前記第1基準板26aとし残る半分を前記第1基準板26aとは異なる明度の第2基準板26bとし、異なる明度部分を備えた一つの基準板26としてもよい(図12参照)。
【0039】
さらに、前記調整部に関しては、上記説明では、基準板からの測定受光データ(測定画像)と初期受光データ(初期画像)とに基づき光学検出部の照射光量変化に対応した補正係数演算を演算し、該演算値によって各米粒からの光学検出データを補正する内容のものであった。しかし、調整部は補正係数による調整に限定したものではなく、前記初期画像と測定画像の濃度差に基づいて光量自体を調整するものであってもよい。つまり、前記濃度差に基づいて照射部の出力を変更し米粒への照射光量を変えるのである。
【0040】
また、上記において相関係数の条件は相関係数A>0.9と比較したが、この比較する値は適宜変更可能であり、正の値であって1に近い値ほど前記初期画像と測定画像の相関が強いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の穀粒品位判別装置の縦側断面図を示す。
【図2】本発明の穀粒品位判別装置の平面図を示す。
【図3】本発明の第1光学検出部の縦側断面図を示す。
【図4】本発明の第2光学検出部の縦側断面図を示す。
【図5】本発明の基準板を示す。
【図6】本発明の信号処理部を示す。
【図7】本発明のプログラムAのフローを示す。
【図8】本発明における第1基準板及び第2基準板を示す。
【図9】本発明における区画を示す。
【図10】本発明のプログラムBのフローを示す。
【図11】本発明において初期画像及び測定画像から相関係数を演算する説明図である。
【図12】本発明における基準板の変形例を示す。
【符号の説明】
【0042】
1 穀粒品位判別装置
2 光学検出部
2a 第1光学検出部
2b 第2光学検出部
3 搬送部
4 円板
4a 溝
4b 底部
4c 開放部
5 モータ
5a 出力軸
6 ベース板
6a 堰部
6b 架台
6c 切欠部
7 米粒供給部
8 集光レンズ
9 CCDリニアセンサー
10 照射部
11 集光レンズ
12 CCDリニアセンサー
13 照射部
14 集光レンズ
15 CCDリニアセンサー
16 照射部
17 照射部
18 第1基準板(白色)
19 第2基準板(半透明)
20 信号処理部
21 中央演算処理部(CPU)
22 入出力回路(I/O)
22a 設定開始ボタン
23 読み込み専用記憶部(ROM)
24 読み込み・書き込み用記憶部(RAM)
25 表示部
26 基準板
26a 第1基準板
26b 第2基準板
G 区画
K 画素
S 米粒(穀粒)
【技術分野】
【0001】
本発明は、米粒等の穀粒品位を判別する穀粒品位判別装置に係り、特に光学検出部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の穀粒品位判別装置は、被測定物の穀粒(以下「米粒」という)を1粒ずつ光学検出部に搬送し、検出された受光データ(撮像データ)に基づいて穀粒品位判別を行うものとして知られている。具体的には、前記搬送手段は、米粒が入る複数の溝を周縁部に形成した円板をモータにより回転させるように構成し、前記溝に米粒を1粒ずつ入れて前記光学検出部に搬送する。前記光学検出部は、搬送された各米粒に光を照射するとともに米粒から得られる反射光及び透過光を前記受光データとして取得し、判定部に送る。該判定部は、受光データに基づいて米粒の品位判定を1粒ずつ行なう。そしてこの判定結果は表示部に表示し、さらに、米粒を判定品位ごとに選別する選別部を構成したものもある。
【0003】
ところで、米粒測定を何度も繰り返している間に、前記光学検出部においては、照射光源等からの放射熱により測定米粒近傍(光学検出位置近傍)の温度等の変化(判定環境変化)が生じることがある。この判定環境変化が生じると、光学検出位置における照射光量がそれまでと変化し正確な品位判別が行えないので、従来、この光量変化による判定精度の低下対策が講じられている。この対策は、光量変化に対応した補正係数を求め、該補正係数を取得した受光データに掛け合わすことにより光量変化を補正し判別精度の低下を防止するものである。具体的構成は、前記円板の何れか一つの溝に任意濃度の基準板を設置し、未だ測定に使われていないときの基準板の受光データを「初期データ」として記憶しておく。一方で、米粒測定を繰り返し行っている際の任意時期に、前記基準板の受光データを「測定データ」として取得する。そして、測定データと初期データとを比較し、測定データと初期データの明度差(濃度差)を求め、該濃度差に基づいて前記補正係数の演算が行われている。
【0004】
【特許文献1】実開平5−90353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記穀粒品位判別装置においては、前記基準板の汚れによる問題点があった。この問題点とは、前記円板周縁(溝)上には各溝に米粒を供給するための米粒滞留部が構成されており、溝に埋設した前記基準板も米粒滞留部を通過することになる。このため基準板には米粒滞留部を通過する際に米ぬか等が付着し汚れてしまう。もちろん、この基準板の汚れは、円板の搬送途中に設置した清掃用のブラシ等により対策を講じているが、一度に約1000粒の測定を繰り返し行う共同乾燥施設等での使用例からすると、基準板の汚れを完全に除去することは困難であり、また基準板の汚れ状態をチェックするにしてもオペレータ任せとなるので、判定精度の安定性が問題視されてきた。
そこで本発明はこの問題点にかんがみ、基準板の汚れに影響を受けることなく安定的に正確な品位判別が行える穀粒品位判別装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1によると、
回転円板の周縁に設けた複数の溝により穀粒を一粒ずつ搬送する穀粒搬送部と、
該穀粒搬送部により搬送された穀粒に光を照射して受光データを得る光学検出部と、
該光学検出部からの光学データに基づいて穀粒の品位判定を行う判定部と、
前記光学検出部によって検出した前記溝に設けた基準板からの測定受光データと初期受光データとに基づき光学検出部の照射光量変化に対応した光量調整又は補正係数演算による調整を行う調整部と、
を備えた穀粒品位判別装置において、
前記溝には明度の異なる基準板を配設し、前記調整部は、前記光学検出部が撮像した基準板の測定画像と初期画像から相関係数を演算し、該相関係数が所定の条件を満たしているときには当該調整部による前記調整を行い、一方、前記条件を満たしてないときには、該条件を満たすようになるまで前記基準板の濃く汚れた部分と推定される画像を測定画像及び初期画像から削除して相関係数を再演算し調整部による調整を行う、という技術的手段を講じる。
【0007】
前記調整部によると、基準板の測定画像と初期画像から求められた相関係数が所定の条件を満たしているか否かにより、測定中の基準板(測定画像)に濃く汚れた部分(他の部分よりも目立って汚れている部分)が存在するか否かが判定される。条件を例えば、相関係数が所定のしきい値(例えば0.9)を超えるか否かとし、該条件を満たしていれば調整部による調整(光量調整又は補正係数演算による調整)が行われる。一方、条件を満たさないときには、濃く汚れた部分が基準板に生じているとし、この場合は相関係数が条件を満たす値になるまで、基準板に生じた濃く汚れた部分を推定しこの部分の画像を測定画像及び初期画像から除外し相関係数を演算する。これにより、濃く汚れた部分を含まない測定画像及び初期画像に基づいて調整部による調整が行われるので調整が正確となる。前記相関係数に関し、測定画像と初期画像との相関係数が大きくなるということは、未使用状態(本装置が新品で汚れの無い状態)の基準板の初期画像と、既に何度も測定を行っているときの基準板の測定画像とが全体的に同じ傾向(均一な濃度)であることを示す。つまり、全体的に薄く汚れているが部分的に濃く汚れている部分は存在しないと推測するので、正確な測定画像による調整ができる。一方、相関係数の値が小さくなるときは、相関係数値を低下させる要因となる部分的に濃く汚れた部分が存在することになり、この場合には、前述のように相関係数が前記条件を満たすようになるまで、濃く汚れた部分に相当する画像を測定画像及び初期画像から削除し相関係数の演算を行う。
【0008】
請求項2により、前記調整部は、測定画像及び初期画像をそれぞれ複数画素からなる区画に分け、相関係数の演算は測定画像の区画画素データ及び初期画像の区画画素データから演算し、また、濃く汚れた部分の削除は区画単位で行う、という技術的手段を講じる。このように、測定画像及び初期画像を同じく複数の区画に分けることにより、相関係数を演算する際には、例えば、各区画における一つ又は複数の画素データを基に演算できるので、全ての画素データに基づいた演算を行わなくてよい。よって、演算効率がよい。
【0009】
請求項3により、前記区画は複数の特定の区画とする、という技術的手段を講じる。これにより、相関係数の演算を全区画に基づいて行わなくてよいので、更に演算効率がよくなる。また、区画の削除に関しても、全ての区画を対象としないので効率がよい。
【0010】
請求項4により、前記区画画素データは該当区画の画素データの平均濃度値とする、という技術的手段を講じる。これにより、区画における全画素データ、つまり、RGBの明度平均値等を加味できるので、より正確な相関係数が得られ基準板の汚れ部分の検出精度が向上する。
【0011】
請求項5により、前記調整部が行う区画の削除は、自区画を除いた区画での相関係数を演算し、該相関係数のうち最も値の大きい相関係数における自区画を一番に削除し、その次に大きい相関係数における自区画を二番に削除するように順次行う、という技術的手段を講じる。これにより、濃い汚れ部分の順に区画を特定することができるので、この順に従うことにより的確で効率的な区画削除ができる。
【0012】
請求項6により、前記調整部が削除する区画の数が所定数になった場合には、基準板の汚れによる異常を知らせる報知部を有する、という技術的手段を講じる。これにより、正確な相関係数を求めるために必要な測定画像と初期画像の最低限度が報知される。この報知により、オペレータは装置を停止し基準板の清掃を行うことができる。
【0013】
請求項7により、前記区画は、基準板の撮像画素を縦と横に任意の区画数で分けたものとする、という技術的手段を講じる。穀粒搬送部の回転円盤は回転にムラが生じるので、撮像した基準板画像の画素は回転方向に向かって長短が生じ基準板をイメージした画素数が異なってしまう。このような場合にでも、基準板の撮像画素を縦と横に任意の区画数で分割することにより、初期画像と、随時撮像する測定画像の対応する区画位置を同じにすることがきるので、相関係数の値が更に正確になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、測定画像と初期画像との相関係数を求め、該相関係数が所定条件を満たすか否かにより基準板に濃く汚れた部分が生じているか否かの判定が行われる。このとき相関係数が所定のしきい値以上であれば基準板に濃く汚れた部分が生じてないとし、調整部により、測定画像と初期画像とに基づき光学検出部の照射光量変化に対応した光量調整又は補正係数演算に基づく調整を行う。一方、前記条件を満たさないときには、基準板に濃く汚れた部分が存在していると判断し、この濃く汚れた部分に該当する画像を除外し残りの画像で相関係数を演算し前記条件を満たすようにする。したがって、基準板に濃く汚れた部分の存在が推定された場合でもこの部分の測定画像及び初期画像の画像を削除するので、正確な測定画像及び初期画像に基づいた相関係数の演算が行われて調整部による調整が正確になり、よって、判定部による品位判定精度が安定向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の穀粒品位判別装置1は被測定物の穀粒(以下「米粒S」という)を光学検出部2に搬送する搬送部3を構成する。該搬送部3は、公知の円板搬送方式のものであって、米粒Sが1粒ずつ入る溝4aを周囲に複数設けた円板4を有する。該円板4は、架台6bによって傾斜状に支持されたベース板6上に配設され、その中心部に、前記架台6bに固着したモータ5の出力軸5aが軸着されて回転自在としてある(図1及び図2参照)。本実施例において、円板4は時計回り方向(矢印Y)に回転するものとしてある。前記各溝4aは、底部4bを透明材料で構成するとともに周縁部分を開放部4cで構成する。前記ベース板6上には、前記溝4a内の米粒Sが前記開放部4cから放出されるのを防止するための堰部6aが、円板4の周縁部に沿って構成してある。また、米粒供給部7が、円板4の傾斜下方位置に構成してある。この米粒供給部7は、円板4の周縁部上部に米粒Sが滞留できるように、前記堰部6aと連結した広幅状の平面を有してなる。なお、この米粒供給部7を円板4の搬送始端側とすると、搬送終端側は、前記堰部6aを切り欠いた切欠部6cで形成し測定の終わった米粒Sを溝4aから落下させる構成になっている。
【0016】
前記光学検出部2は、第1光学検出部2aと第2光学検出部2bから構成し、円板4の傾斜上方位置に配設する(図1,2参照)。前記第1光学検出部2aは、搬送されてきた米粒Sの上面及び側面を光学検出(撮像)できる構成にしてある(図3参照)。前記第1光学検出部2aは、溝4a(米粒S)の上方に、集光レンズ8、CCDリニアセンサー(受光センサー)9及び照射部10としての赤(R)・緑(G)・青(B)の発光ダイオードを構成し、溝4aの側方には、集光レンズ11及びCCDリニアセンサー(受光センサー)12を構成してある。また、溝4aの下方には、前記ベース板6を凹状にしたその内部空間に、米粒Sを下方から照射する照射部(発光ダイオード)13を構成する。なお、前記第1光学検出部2aにおいて、溝4aの側方の堰部6aは透明材料とし、米粒Sからの光りがCCDリニアセンサー12に入光可能となるようにしてある。前記CCDリニアセンサー9,12は、赤(R)・緑(G)・青(B)の各光を受光することのできるものを用い、米粒Sの搬送方向(前記矢印Y)と直交する方向を走査するように配設する。
【0017】
次に前記第2光学検出部2bの構成であるが、該第2光学検出部2bは米粒Sの下面(底面)を光学検出(撮像)するための構成がなされている(図4参照)。第2光学検出部2bは、前記ベース板6を凹状にしたその内部空間に、集光レンズ14、CCDリニアセンサー(受光センサー)15及び照射部16としての赤(R)・緑(G)・青(B)の発光ダイオードを構成し、一方溝4aの上方には、米粒Sを上方から照射する照射部(発光ダイオード)17が構成してある。前記CCDリニアセンサー15も、赤(R)・緑(G)・青(B)の各光を受光することのできるものを用い、米粒Sの搬送方向(前記矢印Y)と直交する方向を走査するように配設する。
【0018】
次に本発明の特徴構成を説明する。
【0019】
前記円板4の溝4aに、明度(濃度)の異なる2種類の基準板を構成する。該基準板は、白色の第1基準板18と半透明の第2基準板19から構成し、連続した溝4a内にそれぞれ埋設した(図5参照)。次に、前記CCDリニアセンサー9,12,15からの受光信号を受けて信号処理を行う信号処理部(制御部)20につき、その一例を説明する(図6参照)。該信号処理部20は、中央演算処理部(以下「CPU」という)21を構成の中心とし、該CPU21と電気的に接続した入出力回路(以下「I/O」という)22、読み込み専用記憶部(以下「ROM」という)23及び読み込み・書き込み用記憶部(以下「RAM」という)24から構成する。前記I/O22は、前記CCDリニアセンサー9,12,15と電気的に接続するとともに、前記CPU21で品位判定された結果等を表示する表示部25及び設定開始ボタン22aとも同様に接続する。前記ROM23には、後述する前記初期画像取得プログラム(プログラムA)、測定画像取得兼補正係数決定プログラム(プログラムB)及びルックアップテーブルが記憶してある。また、前記信号処理部20は、前記モータ5の始動制御や前記照射部10,13,16,17の点灯出力制御を行なう回路(図示せず)とも電気的に接続してある(公知手段につき詳細説明省略)。
【0020】
本発明の作用を説明する。
【0021】
まず、前記初期画像取得プログラム(以後「プログラムA」という)を実行する(図7参照)。該プログラムAの実行目的は、本発明の穀粒品位判別装置1が新品状態で、まだ汚れていない前記第1,第2基準板18,19の画像(初期画像)を取得することにある。まず、本体電源を入れ(ステップ1)前記設定開始ボタン22aを押す(ステップ2)。次にステップ3では、該設定開始ボタン22aからのON信号を受けたCPU21は、モータ5の駆動により円板4の回転を開始させるとともに、前記第1、第2光学検出部2a,2bの照射部10,13,16,17を点灯させる。次にステップ4は、前記第1光学検出部2aにおいて、円板4の回転により到達した前記第1基準板18(白色)に対し照射部10,13から光を照射する。CCDリニアセンサー9は、第1基準板18を、該第1基準板18の進行方向と直交する方向(矢印X)に走査し撮像し、順次、画像(撮像)データをCPU21に送る。
【0022】
次にステップ5では、該CPU21は、第1基準板18の画像を、複数の画素Kからなる特定区画G(1a,2a,・・・,23a)にそれぞれ区画分けを行う(図8,9参照)。CPU21は、前記特定区画Gごとに画素Kの赤(R)画像データ平均値(明度)を求め、求まった各特定区画Gの演算値(赤の平均値)は、順次、RAM24に「初期画像」としてRAM24に数列として記憶される。次にステップ6,7では、ステップ4、5と同様にして、第2基準板19(半透明)の画像測定を行い、予め定めた特定区画G(1b,2b,・・・,23b)ごとに、画素Kの赤(R)画像データ平均値(明度)を求め、各特定区画Gの演算値(赤の平均値)を、順次、RAM24の「初期画像」への追加記憶を行う。以上でプログラムA終了とし円板停止となる(ステップ8)。
【0023】
次に、測定画像取得兼補正係数決定プログラム(以後「プログラムB」という)を説明する(図10参照)。該プログラムBの実行目的は、基準板に濃く汚れた部分があっても、この部分から影響を受けることなく正確な補正係数を求めるためのものである。実行は、米粒供給部7に米粒Sを供給前の設定段階に行う。
【0024】
前記プログラムBの説明では、前記プログラムAの「ステップ」との区別のため以下、「STEP」とする。STEP1は、本体電源を入れた状態で前記設定開始ボタン22aを押す。STEP2は、前記プログラムAで述べたステップ3〜7と略同様にして行われ、すなわち、円板4が回転し、照射部10,13,16,17が点灯する。そして、第1基準板18(白)を撮像し、取得した画像から、米粒S面積に略相当する前記特定区画G(1a,2a,・・・,23a)ごとの赤の平均値(明度)を演算し、この演算値をプログラムBでは「測定画像」としてRAM24に数列として記憶する。同様に、第2基準板19(半透明)を撮像し、取得した画像から前記特定区画G(1b,2b,・・・,23b)ごとの赤の平均値(明度)を演算し、順次、この演算値をRAM24内の「測定画像」に追加記憶する。
【0025】
次にSTEP3では、これまでのSTEPで取得した、特定区画(46区画)における「初期画像」と「測定画像」との「相関係数A」をCPU21により演算する。該演算は、前記RAM24に記憶した前記初期画像及び測定画像を読み出し、公知の演算式により行う(図11参照)。本発明においては、明度(濃度)の異なる2種類の基準板、すなわち、例えば白色の第1基準板18と半透明の第2基準板19を用いているので、初期画像及び測定画像における個々のデータが、散布図において一定の直線方向に帯状に分布し、このため、両者間における正確な相関係数を求めることができる。これは、明度が一種類の基準板であった場合には、帯状のデータ分布が得られず相関係数を求めることができないのである。
【0026】
次にSTEP4ではSTEP3で求めた相関係数Aに基づき、「相関係数A>0.9」の判定を行う。このときYESであれば、前記初期画像と測定画像との相関が高いので、第1、第2基準板18,19には濃く汚れた部分はないと判定しSTEP10(後述する)に進む。一方、NOなら、相関が低いので濃く汚れた部分が基準板にあると認定し、STEP5に進む。
【0027】
前記STEP5以降では濃く汚れた部分を特定し、順次、この部分の除外を行い相関係数の再演算を行う。具体的手順は、前記初期画像と測定画像を構成する特定区画について、自己区画以外の区画での相関係数を演算する。例えば、初期画像及び測定画像における区画1aを自己区画とし、これ以外の45区画(2a,・・・,23a,1b,・・・,23b)を基に相関係数を演算し、該演算値を「相関係数B」とする。続いて同様にし、自己区画とする区画2aを除外した残りの区画により相関係数Bを演算し、その次は区画3aを自己区画とし相関係数Bを演算し、のようにして46区画について順次演算を行う。次にSTEP6に進む。
【0028】
前記STEP6では、まずSTEP5で求まった46の区画ごとの相関係数Bを大きい順に並べる。並べ替え後、一番大きい相関係数Bを前記相関係数Aとして記憶するとともに、該相関係数Bにおける自己区画を「濃く汚れた区画」と認定して該区画を「除外区画」とする。次にSTEP7に進む。
【0029】
前記STEP7では、STEP5で認定した除外区画を前記特定区画から除外する。これにより、残った45区画が特定区画となる。次にSTEP8に進む。
【0030】
前記STEP8では、「除外区画=8」の条件を満たすか否かの判定を行う。これは、これまでに除外した区画の数が8つの区画に達したか否かをチェックし、濃く汚れた区画の数(除外区画)が多すぎて第1、第2基準板18,19の面積の減少による、正確な相関係数演算を行うための測定画像(区画)の確保ができるか否かのチェックを目的とする。除外区画=8であれば(YESであれば)、第1、第2基準板18,19が汚れ過ぎている(除外区画が多い)とし、表示部25に、「基準板を清掃してください」等のメッセージを出し円板4の回転を停止させる。一方、NOであれば前記STEP4に戻り、「相関係数A>0.9」の判定を行う。該判定により、再度、NOであったときには、特定区画内にまだ濃く汚れた区画が存在すると判断し、前述の前記STEP5,6,7,8を行う。これにより、他の濃く汚れた1区画を特定区画から除外し残った特定区画に基づいて再度相関係数Aを求めてSTEP4に戻り、「相関係数A>0.9」の判定を行う。このように「相関係数A>0.9」の条件が満たされるまで、「除外区画=8」となるまで、濃く汚れた区画を上記方法により特定し順次削除し、再演算による相関係数Aとの比較が繰り返される。
【0031】
次に、前記STEP10では、これまでのSTEPにおいて除外されなかった特定区画を「最終区画」として認定する。
【0032】
次に、前記STEP11では、初期画像と測定画像の各最終区画のデータ(赤の明度平均値)を読み出し、初期画像と測定画像の各明度平均値を求める。すなわち、初期画像の最終区画における赤の明度平均値Yと、測定画像の最終区画における赤の明度平均値Xとを求める。
【0033】
次に、前記STEP12では、補正係数を決定する。該補正係数の決定は、予め設定した前記ルックアップテーブル(対応表)により行う。該ルックアップテーブルは、明度平均値Y(初期画像)と明度平均値X(測定画像)の各値の組み合わせにおける補正係数を予め求めたものである。当該STEP12のルックアップテーブルにより、前記明度平均値Yと明度平均値Xにおける補正係数を、演算処理等を行うことなく即時決定することができる。
【0034】
以上により補正係数が決定し、この後、円板4の自動停止及び本プログラムBの終了となる(STEP13)。
【0035】
このようにして補正係数が決定されると、次は米粒Sの測定である。米粒測定にあたり、まず、米粒供給部7に米粒Sを供給し測定開始ボタン(図示せず)をONにする。すると円板4が回転し、米粒供給部7の米粒Sは1粒ずつ溝4aに入って前記第1、第2光学検出部2a,2bに搬送される。前記第1光学検出部2aでは、照射部10,13から米粒Sに照射光が当り当該米粒Sを前記CCDリニアセンサー9,12により走査される。これによって、米粒Sの平面画像と側面画像が得られ、各画像データは順次前記RAM24に記憶される。前記第1光学検出部2aを経た米粒Sは前記第2光学検出部2bで撮像される。すなわち、前記第2光学検出部2bでは、照射部16,17から米粒Sに照射光が当り当該米粒Sを前記CCDリニアセンサー15により走査される。これによって、米粒Sの裏面画像が得られ、該画像データは順次前記RAM24に記憶される。前記CPU21は、前記RAM24に記憶した各米粒Sの画像データを順次読み出して品位判別し、該判別データをRAM24に記憶する。そして、前記第1、第2光学検出部2a,2bによる撮像、及びCPU21による品位判別が終了すると、CPU21はRAM24に記憶した品位判別データを集計し、集計結果を表示部25に表示させる。以上により、米粒1ロットの品位判別の終了となり、次のロット米粒を再び供給し品位判別を開始する。なお、本発明のプログラムBの実行(補正係数の演算)時期は、所定ロットの測定後に実行したり、数時間ごとに実行するようにしてもよい。
【0036】
本発明の特徴事項を更に記述する。プログラムBの実行に関し、以下の方法により、円板4の回転ムラによる悪影響を受け難くすることができる。円板4の回転速度は常に一定とはいえず、第1、第2基準板18,19をCCDリニアセンサー9で撮像した際、回転方向Yの1画素の幅が実際には異なってしまう。これは、1回の走査時に円板(第1、第2基準板18,19)がどれくらいのスピードで通過するかにより画素の幅は変化する。具体的には、回転速度が速いと画素幅が短くなり、回転速度が遅いと画素幅が長くなってしまう。本発明は、撮像した第1、第2基準板18,19の画像により溝4aのY方向とX方向の各画素を等分して区画分けするようにしている(図8参照)。つまり、1区画におけるY方向とX方向の各画素数を予め決定しておくのではなく、測定された溝画像における画素を等分するようにしてある。これにより、プログラムBを実行(補正係数の演算)するごとに前記特定区画(1a,・・・、1b,・・・)の位置がY方向に前後することなく常に同じになる。このため、回転ムラが生じても正確な相関係数を求めることができ、ついては補正係数にバラツキを生じることがないという作用効果を有する。
【0037】
以下、本発明の実施の形態における変形例を説明する。上述では、相関係数Aの演算を行う際に、特定区画における赤の平均値をのみを使用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに緑の平均値及び/又は青の平均値を使用するようにし、より正確な補正係数を求めことができる。また、更に正確な補正係数を求めるために、前記CCDリニアセンサー15も使用し、第1、第2基準板18,19の裏側の画像も利用するようにしてもよい。
【0038】
また、本発明の基準板は、上記実施例では異なる明度の第1、第2の基準板を別々の溝4aに設けたが、これに限定するものではなく、例えば、半分を前記第1基準板26aとし残る半分を前記第1基準板26aとは異なる明度の第2基準板26bとし、異なる明度部分を備えた一つの基準板26としてもよい(図12参照)。
【0039】
さらに、前記調整部に関しては、上記説明では、基準板からの測定受光データ(測定画像)と初期受光データ(初期画像)とに基づき光学検出部の照射光量変化に対応した補正係数演算を演算し、該演算値によって各米粒からの光学検出データを補正する内容のものであった。しかし、調整部は補正係数による調整に限定したものではなく、前記初期画像と測定画像の濃度差に基づいて光量自体を調整するものであってもよい。つまり、前記濃度差に基づいて照射部の出力を変更し米粒への照射光量を変えるのである。
【0040】
また、上記において相関係数の条件は相関係数A>0.9と比較したが、この比較する値は適宜変更可能であり、正の値であって1に近い値ほど前記初期画像と測定画像の相関が強いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の穀粒品位判別装置の縦側断面図を示す。
【図2】本発明の穀粒品位判別装置の平面図を示す。
【図3】本発明の第1光学検出部の縦側断面図を示す。
【図4】本発明の第2光学検出部の縦側断面図を示す。
【図5】本発明の基準板を示す。
【図6】本発明の信号処理部を示す。
【図7】本発明のプログラムAのフローを示す。
【図8】本発明における第1基準板及び第2基準板を示す。
【図9】本発明における区画を示す。
【図10】本発明のプログラムBのフローを示す。
【図11】本発明において初期画像及び測定画像から相関係数を演算する説明図である。
【図12】本発明における基準板の変形例を示す。
【符号の説明】
【0042】
1 穀粒品位判別装置
2 光学検出部
2a 第1光学検出部
2b 第2光学検出部
3 搬送部
4 円板
4a 溝
4b 底部
4c 開放部
5 モータ
5a 出力軸
6 ベース板
6a 堰部
6b 架台
6c 切欠部
7 米粒供給部
8 集光レンズ
9 CCDリニアセンサー
10 照射部
11 集光レンズ
12 CCDリニアセンサー
13 照射部
14 集光レンズ
15 CCDリニアセンサー
16 照射部
17 照射部
18 第1基準板(白色)
19 第2基準板(半透明)
20 信号処理部
21 中央演算処理部(CPU)
22 入出力回路(I/O)
22a 設定開始ボタン
23 読み込み専用記憶部(ROM)
24 読み込み・書き込み用記憶部(RAM)
25 表示部
26 基準板
26a 第1基準板
26b 第2基準板
G 区画
K 画素
S 米粒(穀粒)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転円板の周縁に設けた複数の溝により穀粒を一粒ずつ搬送する穀粒搬送部と、
該穀粒搬送部により搬送された穀粒に光を照射して受光データを得る光学検出部と、
該光学検出部からの光学データに基づいて穀粒の品位判定を行う判定部と、
前記光学検出部によって検出した前記溝に設けた基準板からの測定受光データと初期受光データとに基づき光学検出部の照射光量変化に対応した光量調整又は補正係数演算による調整を行う調整部と、
を備えた穀粒品位判別装置において、
前記溝には明度の異なる基準板を配設し、前記調整部は、前記光学検出部が撮像した基準板の測定画像と初期画像とから相関係数を演算し、該相関係数が所定の条件を満たしているときには当該調整部による前記調整を行い、一方、前記条件を満たしてないときには、該条件を満たすようになるまで前記基準板の濃く汚れた部分と推定される画像を測定画像及び初期画像から削除して相関係数を再演算し調整部による調整を行うことを特徴とする穀粒品位判別装置。
【請求項2】
前記調整部は、測定画像及び初期画像をそれぞれ複数画素からなる区画に分け、相関係数の演算は測定画像の区画画素データ及び初期画像の区画画素データから演算し、また、濃く汚れた部分の削除は区画単位で行うことを特徴とする請求項1に記載の穀粒品位判別装置。
【請求項3】
前記区画は複数の特定の区画とすることを特徴とする請求項2に記載の穀粒品位判別装置。
【請求項4】
前記区画画素データは該当区画の画素データの平均濃度値とすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の穀粒品位判別装置。
【請求項5】
前記調整部が行う区画の削除は、自区画を除いた区画での相関係数を演算し、該相関係数のうち最も値の大きい相関係数における自区画を一番に削除し、その次に大きい相関係数における自区画を二番に削除するように順次行うことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の穀粒品位判別装置。
【請求項6】
前記調整部が削除する区画の数が所定数になった場合には、基準板の汚れによる異常を知らせる報知部を有することを特徴とする請求項2又は請求項5に記載の穀粒品位判別装置。
【請求項7】
前記区画は、基準板の撮像画素を縦と横に任意の区画数で分けたものとすることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載の穀粒品位判別装置。
【請求項1】
回転円板の周縁に設けた複数の溝により穀粒を一粒ずつ搬送する穀粒搬送部と、
該穀粒搬送部により搬送された穀粒に光を照射して受光データを得る光学検出部と、
該光学検出部からの光学データに基づいて穀粒の品位判定を行う判定部と、
前記光学検出部によって検出した前記溝に設けた基準板からの測定受光データと初期受光データとに基づき光学検出部の照射光量変化に対応した光量調整又は補正係数演算による調整を行う調整部と、
を備えた穀粒品位判別装置において、
前記溝には明度の異なる基準板を配設し、前記調整部は、前記光学検出部が撮像した基準板の測定画像と初期画像とから相関係数を演算し、該相関係数が所定の条件を満たしているときには当該調整部による前記調整を行い、一方、前記条件を満たしてないときには、該条件を満たすようになるまで前記基準板の濃く汚れた部分と推定される画像を測定画像及び初期画像から削除して相関係数を再演算し調整部による調整を行うことを特徴とする穀粒品位判別装置。
【請求項2】
前記調整部は、測定画像及び初期画像をそれぞれ複数画素からなる区画に分け、相関係数の演算は測定画像の区画画素データ及び初期画像の区画画素データから演算し、また、濃く汚れた部分の削除は区画単位で行うことを特徴とする請求項1に記載の穀粒品位判別装置。
【請求項3】
前記区画は複数の特定の区画とすることを特徴とする請求項2に記載の穀粒品位判別装置。
【請求項4】
前記区画画素データは該当区画の画素データの平均濃度値とすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の穀粒品位判別装置。
【請求項5】
前記調整部が行う区画の削除は、自区画を除いた区画での相関係数を演算し、該相関係数のうち最も値の大きい相関係数における自区画を一番に削除し、その次に大きい相関係数における自区画を二番に削除するように順次行うことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の穀粒品位判別装置。
【請求項6】
前記調整部が削除する区画の数が所定数になった場合には、基準板の汚れによる異常を知らせる報知部を有することを特徴とする請求項2又は請求項5に記載の穀粒品位判別装置。
【請求項7】
前記区画は、基準板の撮像画素を縦と横に任意の区画数で分けたものとすることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載の穀粒品位判別装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−200945(P2006−200945A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10706(P2005−10706)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】
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