説明

積層パターン基板の製造方法およびタッチパネルセンサの製造方法

【課題】セカンド露光マスクによる露光の対象となる領域と対象とならない領域との境界で上側層のパターン形状の連続性が低下するのを防ぐ積層パターン基板の製造方法を提供する。
【解決手段】ファースト露光マスク40の中間遮光部43の第1遮光部41側の端部の幅cは、積層パターン基板10の第1上側パターン31の幅wよりも大きくなっている。また、セカンド露光マスク50の中間遮光部53の第1遮光部51側の端部の幅fは、積層パターン基板10の第2上側パターン32の幅wよりも大きくなっている。これによって、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間に、少なくとも各パターン31,32の幅以上の幅を有する中間上側パターン33を形成することができる。このことにより、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間にくびれが生じるのを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトリソグラフィー法を用いて積層体をパターニングすることにより積層パターン基板を製造する積層パターン基板の製造方法に関する。また本発明は、フォトリソグラフィー法を用いて積層体をパターニングすることによりタッチパネルセンサを製造するタッチパネルセンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板と、基板上に所定パターンで設けられた下側パターンと、下側パターン上に所定パターンで設けられた上側パターンと、を含む積層パターン基板が知られている。例えば、基板と、基板上に所定のパターンで設けられ、タッチを検出する透明導電パターンと、透明導電パターンに電気的に接続された取出導電パターンと、を有するタッチパネルセンサが知られている。
【0003】
透明導電パターンは、一般に、ITOなどからなる透明導電層をパターニングすることにより形成される。また取出導電パターンは、一般に、Al合金などからなる金属層をパターニングすることにより形成される。また透明導電パターンからの信号を外部に伝達させる際の電気抵抗を低減するため、一般に、取出導電パターンと基板との間には透明導電層が介在されている。
【0004】
このようなタッチパネルセンサは、例えば、基板と、基板上に設けられた透明導電層と、透明導電層上に設けられた金属層と、金属層上に設けられた感光層と、を有する積層体を、フォトフリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより製造される。この場合、例えば特許文献1に記載されているように、パターニング工程は、透明導電層および金属層を同一パターンに成形する1回目のパターニング工程と、パターニングされた透明導電層上の金属層を部分的に除去する2回目のパターニング工程とを含んでいる。
【0005】
フォトフリソグラフィ法において、各パターニング工程は、はじめに露光マスクを用いて積層体の感光層を露光し、次に露光された感光層を現像し、その後に残っている感光層をマスクとして透明導電層や金属層をエッチングすることによって行われる。この場合、1回目のパターニング工程で用いられる露光マスク(以下、ファースト露光マスク)は、最終的に得られるタッチパネルセンサにおける透明導電層の形状に対応して感光層を残すよう設計されている。一方、2回目のパターニング工程で用いられる露光マスク(以下、セカンド露光マスク)は、除去されるべき金属層に対応する領域に感光層を残さないよう設計されている。
【0006】
ところで、近年、タッチパネルセンサの検出感度を向上させるため、ノイズを遮蔽するためのシールドパターンを設けることや、取出導電パターンにおける寄生容量の偏差を抑制するためのダミーパターンを設けることなどが提案されている(例えば特許文献2,3参照)。このようなシールドパターンやダミーパターンは、製造効率の観点から考えると、透明導電パターンや取出導電パターンのパターニングと同時に透明導電層や金属層から形成されることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−257442号公報
【特許文献2】特開2009−169720号公報
【特許文献3】特開2010−257178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のようなシールドパターンやダミーパターンは、求められる耐ノイズ特性などに応じて、様々なパターンで形成される。従って、シールドパターンやダミーパターンを透明導電パターンや取出導電パターンのパターニングと同時に透明導電層や金属層から形成する場合、従来よりも精密なパターニングが求められる。
【0009】
パターニングの精度を決定する要因の1つとして、露光の際の露光マスクの位置決めの精度が挙げられる。しかしながら、露光マスクの位置決めの精度には限界がある。従って、例えばファースト露光マスクの配置が所望の位置からずれることにより、1回目のパターニング工程によって得られる透明導電層および金属層のパターン形状が所望のパターン形状から全体的にずれることが考えられる。また、セカンド露光マスクの配置も所望の位置からずれることが考えられる。
【0010】
また上述のように、セカンド露光マスクを用いた2回目のパターニング工程では、残っている金属層のうちの一部分のみが除去される。この場合、セカンド露光マスクの配置が所望の位置からずれ、これによってファースト露光マスクとセカンド露光マスクとの間の相対的な位置関係が理想からずれると、得られる金属層のパターン形状が全体的にずれるだけでなく、セカンド露光マスクによる露光の対象となる領域と対象とならない領域との境界で金属層のパターン形状の連続性が低下することが考えられる。
【0011】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る積層パターン基板の製造方法およびタッチパネルセンサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、基板と、基板上に所定パターンで設けられた下側パターンと、下側パターン上に所定パターンで設けられた上側パターンと、を含む積層パターン基板を製造する方法において、前記基板上の領域は少なくとも、第1領域と、第2領域と、第1領域と第2領域の間に位置する中間領域と、に区画され、前記上側パターンは、前記第1領域から前記中間領域を通って前記第2領域へ延びており、前記第1領域における前記上側パターンの幅は、前記第2領域における前記上側パターンの幅と略同一となっており、前記第1領域において、前記下側パターンの幅は、前記上側パターンの幅よりも大きくなっており、前記第2領域において、前記下側パターンの幅は、前記上側パターンの幅と略同一になっており、前記積層パターン基板の製造方法は、前記基板と、前記基板上に設けられた下側層と、前記下側層上に設けられた上側層と、前記上側層上に設けられた光溶解型の感光層と、を有する積層体を準備する工程と、遮光部と透光部とを有するファースト露光マスクを用いて前記感光層を露光する工程と、前記露光された感光層を現像してファースト感光パターンを形成する工程と、前記ファースト感光パターンをマスクとして前記上側層および前記下側層をエッチングする工程と、パターニングされた上側層上に、光溶解型の感光層からなり、所定のパターンを有するセカンド感光パターンを形成する工程と、前記セカンド感光パターンをマスクとして前記上側層をさらにエッチングする工程と、を備え、前記セカンド感光パターンは、遮光部と透光部とを含むセカンド露光マスクを用いて光溶解型の感光層を露光することにより形成され、前記ファースト露光マスクの遮光部および前記セカンド露光マスクの遮光部はそれぞれ、露光の際に少なくとも部分的に前記中間領域に配置される中間遮光部を含み、前記ファースト露光マスクの前記中間遮光部の前記第1領域側の端部の幅は、前記第1領域における前記上側パターンの幅よりも大きくなっており、前記セカンド露光マスクの前記中間遮光部の前記第2領域側の端部の幅は、前記第2領域における前記上側パターンの幅よりも大きくなっていることを特徴とする積層パターン基板の製造方法である。
【0013】
本発明による積層パターン基板の製造方法において、前記ファースト露光マスクは、前記中間遮光部と、前記中間遮光部の前記第1領域側の端部に接続される第1遮光部と、前記中間遮光部の前記第2領域側の端部に接続される第2遮光部と、を含み、前記セカンド露光マスクは、前記中間遮光部と、前記中間遮光部の前記第1領域側の端部に接続される第1遮光部と、前記中間遮光部の前記第2領域側の端部に接続される第2遮光部と、を含んでいてもよい。この場合、前記ファースト露光マスクにおいて、前記第1遮光部の幅をaとし、前記第2遮光部の幅をbとし、前記中間遮光部の前記第1遮光部側の端部の幅をcとし、前記中間遮光部の前記第2遮光部側の端部の幅をcとするとき、a≧c≧c>bまたはa≧c>c≧bの関係が成立しており、前記セカンド露光マスクにおいて、前記第1遮光部の幅をdとし、前記第2遮光部の幅をeとし、前記中間遮光部の前記第1遮光部側の端部の幅をfとし、前記中間遮光部の前記第2遮光部側の端部の幅をfとするとき、e≧f≧f>dまたはe≧f>f≧dの関係が成立している。
【0014】
本発明による積層パターン基板の製造方法において、前記上側パターンが延びる方向における前記ファースト露光マスクの中間遮光部の範囲と、前記上側パターンが延びる方向における前記セカンド露光マスクの中間遮光部の範囲とが一致していてもよい。
【0015】
本発明による積層パターン基板の製造方法において、前記セカンド感光パターンは、はじめに、前記ファースト感光パターンをマスクとしてエッチングされた前記上側層上に光溶解型の感光層を設け、次に、この感光層を前記セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された感光層を現像することにより形成されてもよい。
【0016】
本発明による積層パターン基板の製造方法において、前記セカンド感光パターンは、はじめに、前記上側層上に残っている前記ファースト感光パターンを前記セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された前記ファースト感光パターンを現像することにより形成されてもよい。
【0017】
本発明は、基板と、基板上に所定パターンで設けられた下側パターンと、下側パターン上に所定パターンで設けられた上側パターンと、を含むタッチパネルセンサを製造する方法において、前記下側パターンは、透光性および導電性を有する透明導電材料からなり、前記上側パターンは、遮光性および導電性を有する金属材料からなり、前記基板上の領域は少なくとも、第1領域と、第2領域と、第1領域と第2領域の間に位置する中間領域と、に区画され、前記上側パターンは、前記第1領域から前記中間領域を通って前記第2領域へ延びており、前記第1領域における前記上側パターンの幅は、前記第2領域における前記上側パターンの幅と略同一となっており、前記第1領域において、前記下側パターンの幅は、前記上側パターンの幅よりも大きくなっており、前記第2領域において、前記下側パターンの幅は、前記上側パターンの幅と略同一になっており、前記タッチパネルセンサの製造方法は、前記基板と、前記基板上に設けられた透明導電層と、前記透明導電層上に設けられた金属層と、前記金属層上に設けられた光溶解型の感光層と、を有する積層体を準備する工程と、遮光部と透光部とを有するファースト露光マスクを用いて前記感光層を露光する工程と、前記露光された感光層を現像してファースト感光パターンを形成する工程と、前記ファースト感光パターンをマスクとして前記透明導電層および前記金属層をエッチングする工程と、パターニングされた前記金属層上に、光溶解型の感光層からなり、所定のパターンを有するセカンド感光パターンを形成する工程と、前記セカンド感光パターンをマスクとして前記金属層をさらにエッチングする工程と、を備え、前記セカンド感光パターンは、遮光部と透光部とを含むセカンド露光マスクを用いて光溶解型の感光層を露光することにより形成され、前記ファースト露光マスクの遮光部および前記セカンド露光マスクの遮光部はそれぞれ、露光の際に少なくとも部分的に前記中間領域に配置される中間遮光部を含み、前記ファースト露光マスクの前記中間遮光部の前記第1領域側の端部の幅は、前記第1領域における前記上側パターンの幅よりも大きくなっており、前記セカンド露光マスクの前記中間遮光部の前記第2領域側の端部の幅は、前記第2領域における前記上側パターンの幅よりも大きくなっていることを特徴とするタッチパネルセンサの製造方法である。
【0018】
本発明によるタッチパネルセンサの製造方法において、前記ファースト露光マスクは、前記中間遮光部と、前記中間遮光部の前記第1領域側の端部に接続される第1遮光部と、前記中間遮光部の前記第2領域側の端部に接続される第2遮光部と、を含み、前記セカンド露光マスクは、前記中間遮光部と、前記中間遮光部の前記第1領域側の端部に接続される第1遮光部と、前記中間遮光部の前記第2領域側の端部に接続される第2遮光部と、を含んでいてもよい。この場合、前記ファースト露光マスクにおいて、前記第1遮光部の幅をaとし、前記第2遮光部の幅をbとし、前記中間遮光部の前記第1遮光部側の端部の幅をcとし、前記中間遮光部の前記第2遮光部側の端部の幅をcとするとき、a≧c≧c>bまたはa≧c>c≧bの関係が成立しており、前記セカンド露光マスクにおいて、前記第1遮光部の幅をdとし、前記第2遮光部の幅をeとし、前記中間遮光部の前記第1遮光部側の端部の幅をfとし、前記中間遮光部の前記第2遮光部側の端部の幅をfとするとき、e≧f≧f>dまたはe≧f>f≧dの関係が成立している。
【0019】
本発明によるタッチパネルセンサの製造方法において、前記上側パターンが延びる方向における前記ファースト露光マスクの中間遮光部の範囲と、前記上側パターンが延びる方向における前記セカンド露光マスクの中間遮光部の範囲とが一致していてもよい。
【0020】
本発明によるタッチパネルセンサの製造方法において、前記セカンド感光パターンは、はじめに、前記ファースト感光パターンをマスクとしてエッチングされた前記金属層上に光溶解型の感光層を設け、次に、この感光層を前記セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された感光層を現像することにより形成されてもよい。
【0021】
本発明によるタッチパネルセンサの製造方法において、前記セカンド感光パターンは、はじめに、エッチングされた前記金属層上に残っている前記ファースト感光パターンを前記セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された前記ファースト感光パターンを現像することにより形成されてもよい。
【0022】
本発明によるタッチパネルセンサの製造方法において、前記下側パターンは、多列に並べられ、各々が所定方向に延びる複数の透明導電パターンと、シールドパターンと、を有し、前記上側パターンは、各透明導電パターンに接続された取出導電パターンと、前記シールドパターンを少なくとも部分的に覆うとともに、前記各取出導電パターンのうち最も外側に位置する取出導電パターンに少なくとも部分に沿って延びるダミーパターンと、を有していてもよい。この場合、好ましくは、前記シールドパターンは前記第1領域内に設けられており、前記ダミーパターンは、前記第1領域から前記中間領域を通って前記第2領域へ延びている。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ファースト露光マスクの中間遮光部の第1領域側の端部の幅は、第1領域における上側パターンの幅よりも大きくなっており、セカンド露光マスクの中間遮光部の第2領域側の端部の幅は、第2領域における上側パターンの幅よりも大きくなっている。このため、ファースト露光マスクとセカンド露光マスクとの間の相対的な位置関係がずれた場合であっても、第1領域の上側パターンと第2領域の上側パターンとの間にくびれが生じるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】図1Aは、本発明の第1の実施の形態における積層パターン基板を示す平面図。
【図1B】図1Bは、図1Aの積層パターン基板をIB−IB方向から見た縦断面図。
【図1C】図1Cは、図1Aの積層パターン基板をIC−IC方向から見た縦断面図。
【図2A】図2Aは、積層体を示す平面図。
【図2B】図2Bは、積層体を示す縦断面図。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態におけるファースト露光マスクおよびセカンド露光マスクを示す図。
【図4】図4(a)(b)(c)(d)は、1回目のパターニング工程を示す図。
【図5】図5(a)(b)(c)(d)は、2回目のパターニング工程を示す図。
【図6】図6(a)は、本発明の第1の実施の形態において、ファースト露光マスクとセカンド露光マスクの相対的な位置関係が幅方向にずれている場合を示す図、図6(b)は、図6(a)の場合に得られる積層パターン基板を示す平面図。
【図7】図7(a)(b)は、本発明の第1の実施の形態において、ファースト露光マスクとセカンド露光マスクの相対的な位置関係が長さ方向にずれている場合に得られる積層パターン基板を示す図。
【図8】図8(a)は、比較の形態におけるファースト露光マスクおよびセカンド露光マスクを示す図、図8(b)(c)は、比較の形態において得られる積層パターン基板を示す図。
【図9】図9(a)(b)(c)は、本発明の第1の実施の形態において、ファースト露光マスクの変形例を示す図。
【図10】図10(a)(b)(c)は、本発明の第1の実施の形態において、セカンド露光マスクの変形例を示す図。
【図11】図11(a)(b)は、図9(a)に示すファースト露光マスクと図10(a)に示すセカンド露光マスクが用いられる形態を示す図。
【図12】図12(a)(b)は、図9(a)に示すファースト露光マスクと図10(a)に示すセカンド露光マスクが用いられる場合に得られる積層パターン基板を示す図。
【図13】図13(a)は、図9(a)に示すファースト露光マスクと図10(b)に示すセカンド露光マスクが用いられる場合に得られる積層パターン基板を示す図、図13(b)は、図9(a)に示すファースト露光マスクと図10(c)に示すセカンド露光マスクが用いられる場合に得られる積層パターン基板を示す図。
【図14】図14(a)は、本発明の第2の実施の形態におけるファースト露光マスクおよびセカンド露光マスクを示す図、図14(b)(c)は、図14(a)の場合に得られる積層パターン基板を示す平面図。
【図15】図15(a)(b)は、本発明の第2の実施の形態において、ファースト露光マスクとセカンド露光マスクの相対的な位置関係が長さ方向にずれている場合に得られる積層パターン基板を示す図。
【図16】図16(a)は、本発明の第2の実施の形態の変形例におけるファースト露光マスクおよびセカンド露光マスクを示す図、図16(b)(c)は、図16(a)の場合に得られる積層パターン基板を示す平面図。
【図17】図17(a)(b)は、本発明の第2の実施の形態の変形例において、ファースト露光マスクとセカンド露光マスクの相対的な位置関係が長さ方向にずれている場合に得られる積層パターン基板を示す図。
【図18】図18は、本発明の第3の実施の形態におけるタッチパネルセンサを示す平面図。
【図19】図19は、タッチパネルセンサの基板の一側に設けられる積層パターンを示す平面図。
【図20】図20は、タッチパネルセンサの基板の他側に設けられる積層パターンを示す平面図。
【図21】図21は、本発明の第3の実施の形態におけるファースト露光マスクを示す図。
【図22】図22は、本発明の第3の実施の形態におけるセカンド露光マスクを示す図。
【図23】図23は、本発明の第3の実施の形態において、配線領域と端子領域との境界における一側ダミーパターンを示す図。
【図24】図24(a)(b)は、図23に示す一側ダミーパターンに対応するファースト露光マスクおよびセカンド露光マスクを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
第1の実施の形態
以下、図1A乃至図13(a)(b)を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。まず図1A乃至図1Cにより、本実施の形態における積層パターン基板10について説明する。
【0026】
積層パターン基板
図1Aは、積層パターン基板10を示す平面図であり、図1Bは、図1Aの積層パターン基板10をIB−IB方向から見た縦断面図であり、図1Cは、図1Aの積層パターン基板をIC−IC方向から見た縦断面図である。図1A乃至図1Cに示すように、積層パターン基板10は、基板12と、基板12上に所定パターンで設けられた下側パターン20と、下側パターン20上に所定パターンで設けられた上側パターン30と、を含んでいる。なお、「下側パターン20上に設けられた上側パターン30」とは、基板12と上側パターン30との間に下側パターン20が介在されていることを意味している。このような積層パターンは、後述するように、はじめに下側パターン20および上側パターン30の元となる層がそれぞれ基板12上に積層された積層体を準備し、その後に積層体の各層を順次パターニングすることにより形成される。
【0027】
図1Aに示すように、基板12上の領域は、第1領域Rと、第2領域Rと、第1領域Rと第2領域Rとの間に位置する中間領域Rとに区画される。図1Aに示すように、下側パターン20および上側パターン30は、第1領域Rから中間領域Rを通って第2領域Rへ延びている。
【0028】
(第1領域および第2領域)
第1領域Rおよび第2領域Rについて詳細に説明する。本実施の形態において、第1領域Rは、下側パターン20の幅が上側パターン30の幅よりも大きくなっている領域として定義される。また第2領域Rは、下側パターン20の幅が上側パターン30の幅と略同一となっており、かつ、上側パターン30の幅が第1領域Rにおける上側パターン30の幅と略同一となっている領域として定義される。なお「幅」とは、第1領域Rから中間領域Rを通って第2領域Rへ延びる上側パターン30の延びる方向(図1Aにおける上下方向)に直交する方向(図1Aにおける左右方向)における寸法のことである。また以下の説明において、「長さ」とは、上側パターン30の延びる方向における寸法のことである。また「幅方向」および「長さ方向」とはそれぞれ、上記「幅」および「長さ」が画定される方向のことであり、図1Aにおける左右方向および上下方向のことである。また図1Aに示すように、第1領域Rにおける上側パターン30が符号wで示されており、第2領域Rにおける上側パターン30の幅が符号wで示されている。
【0029】
なお「下側パターン20の幅が上側パターン30の幅と略同一」における「略同一」とは、製造時の誤差などに起因して第2領域Rにおける下側パターン20の幅が上側パターン30の幅とわずかに異なっている場合も本実施の形態の範囲に含まれるということを意味している。例えばエッチングによるパターニングにおいては、感光層などでマスクされている領域であっても、側方からエッチングされることにより、マスクされている領域にある層が若干除去されることが考えられるが、このような意図しない除去の結果として第2領域Rの下側パターン20の幅が上側パターン30の幅とわずかに異なっている場合も、本実施の形態の範囲に含まれる。
【0030】
また「第2領域Rにおける上側パターン30の幅が第1領域Rにおける上側パターン30の幅と略同一」における「略同一」とは、第2領域Rにおける上側パターン30の幅が第1領域Rにおける上側パターン30の幅とわずかに異なっている場合も本実施の形態の範囲に含まれるということを意味している。例えば、第1領域Rにおける上側パターン30の幅と第2領域Rにおける上側パターン30の幅が、露光マスクの位置決めの誤差の程度よりも小さな程度でわずかに異なっている場合も、本実施の形態の範囲に含まれる。
【0031】
(中間領域)
また中間領域Rは、上述のような第1領域Rと第2領域Rとの間に介在される領域であって、下側パターン20の幅が第2領域Rにおける下側パターン20の幅以上となっている領域として定義される。
【0032】
以下の説明において、第1領域R、第2領域Rおよび中間領域Rに位置する下側パターン20をそれぞれ第1下側パターン21、第2下側パターン22および中間下側パターン23と称する。同様に、第1領域R、第2領域Rおよび中間領域Rに位置する上側パターン30をそれぞれ第1上側パターン31、第2上側パターン32および中間上側パターン33と称する。
【0033】
(下側パターンおよび上側パターンの材料)
次に、下側パターン20および上側パターン30を構成する材料について説明する。本実施の形態において、下側パターン20および上側パターン30は、それぞれ異なる機能を実現するよう異なる材料から構成されている。例えば下側パターン20は、透光性および導電性を有する透明導電材料から構成されており、また上側パターン30は、透明導電材料よりも高い導電性を有する金属材料から構成されている。このように異なる材料を用いて下側パターン20および上側パターン30を構成することにより、積層パターン基板10に様々な機能や特性を付与することができる。
【0034】
例えば下側パターン20は、透光性が求められる領域に形成される電極パターンやシールドパターンとしての機能を果たすことができる。ところで、透光性を有する透明導電材料は、透光性を有さない金属などの導電材料に比べて、導電性が低くなっている。ここで本実施の形態によれば、下側パターン20上には上側パターン30が設けられている。これによって、下側パターン20の導電性の低さを上側パターン30によって補うことができる。例えば下側パターン20がタッチパネルセンサや液晶の表示領域の電極パターンとして形成される場合、下側パターン20上に部分的に上側パターン30を設けることにより、透明導電材料からなる電極パターンの信号を低抵抗で所定位置まで伝達することが可能となる。また下側パターン20がシールドパターンとして形成される場合、下側パターン20上に部分的に上側パターン30を設けることにより、低抵抗でシールドパターンを接地することが可能となる。
【0035】
下側パターン20を構成する透明導電材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物が用いられる。これらの金属酸化物が2種以上複合されてもよい。
【0036】
上側パターン30を構成する金属材料としては、アルミニウム(Al)、モリブデン、パラジウム、銀(Ag)、クロム、銅等の金属及びそれらを主成分とする合金、あるいはそれら合金を含む積層体が用いられる。このうち銀を含む合金の例としては、銀、パラジウム、銅を含んでなるAPC合金が挙げられる。
【0037】
積層パターン基板の製造方法
次に、積層パターン基板10の製造方法について説明する。本実施の形態による積層パターン基板10は、フォトリソグラフィー法を用いて積層体をパターニングすることにより得られる。はじめに、用いられる積層体について説明する。
【0038】
(積層体)
図2Aは、積層体13を示す平面図であり、図2Bは、図2Aの積層体をIIB−IIB方向から見た縦断面図である。積層体13は、基板12と、基板12上に設けられた下側層と、下側層上に設けられた上側層と、上側層上に設けられた感光層16と、を有している。このうち下側層は、透明導電材料からなる透明導電層14となっており、また上側層は、金属材料からなる金属層15となっている。感光層16としては、所定の光、例えば紫外線によって照射されることにより溶解する光溶解型の感光層が用いられる。
【0039】
(露光マスク)
次に、フォトリソグラフィー法において用いられる露光マスクについて説明する。本実施の形態においては、後述するように2回の露光工程が実施される。1回目の露光工程においては、図3の左側に示すファースト露光マスク40が使用され、2回目の露光工程においては、図3の右側に示すセカンド露光マスク50が使用される。図3においては、便宜上、ファースト露光マスク40およびセカンド露光マスク50が、上述の積層パターン基板10における第1領域R、第2領域Rおよび中間領域Rと対応されて示されている。
【0040】
(ファースト露光マスク)
はじめにファースト露光マスク40について説明する。ファースト露光マスク40は、光を遮蔽する遮光部44と、光を透過させる透光部45とからなっている。このうち遮光部44は、図3に示すように、第1遮光部41、第2遮光部42および中間遮光部43を含んでいる。このうち中間遮光部43は、図3に示すように、露光の際に中間領域Rに配置される部分となっている。また第1遮光部41は、中間遮光部43の第1領域R側の端部に接続された部分となっており、第2遮光部42は、中間遮光部43の第2領域R側の端部に接続された部分となっている。
【0041】
図3において、第1遮光部41の幅が符号aで示されており、第2遮光部42の幅が符号bで示されており、中間遮光部43の第1遮光部41側の端部の幅および第2遮光部42側の端部の幅がそれぞれ符号cおよびcで示されている。このうち第1遮光部41の幅aは、積層パターン基板10の第1下側パターン21の幅に一致しており、第2遮光部42の幅bは、積層パターン基板10の第2下側パターン22および第2上側パターン32の幅に一致している。また中間遮光部43の各端部の幅cおよびcはそれぞれ、積層パターン基板10の中間下側パターン23の第1領域R側の端部および第2領域R側の端部の幅に一致している。
【0042】
以下、各遮光部41,42,43の幅の特徴について説明する。はじめに、中間遮光部43の幅の特徴について説明する。
【0043】
中間遮光部43の第1遮光部41側の端部の幅cは、積層パターン基板10の第1上側パターン31の幅wよりも大きくなっている。なお幅cを第1上側パターン31の幅wよりも大きくすることは、後述するように、幅方向におけるファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置がずれた場合であっても、中間上側パターン33にくびれが生じるのを防ぐことを目的としてなされている。従って「大きくなっている」とは、起こりうる露光マスクの相対的な位置のずれの程度を超えて、中間遮光部43の幅cが第1上側パターン31の幅wよりも大きくなっていることを意味している。例えば、露光マスクの位置のずれが最大50μmである場合、中間遮光部43の幅cは第1上側パターン31の幅wよりも50μm以上大きくなっている。なお露光マスクを透過した光に回り込みが生じることが考えられる場合、中間遮光部43の幅cが、回り込みの程度も考慮してより大きい値に設定されてもよい。
【0044】
次に、各遮光部41,42,43の幅の相対関係について説明する。ファースト露光マスク40の各遮光部41,42,43の幅に関して、a≧c≧c>bまたはa≧c>c≧bの関係が成立している。例えば図3に示す例においては、a>c=c>bの関係が成立している。これによって、中間遮光部43の第1遮光部41側の端部の幅cが、第2遮光部42の幅bよりも大きくなっている。なお「大きくなっている」とは、上述の中間遮光部43の幅cと第1上側パターン31の幅wとの関係の場合と同様に、露光マスクの位置のずれの程度を超えて、幅cが幅bよりも大きくなっていることを意味している。
ところで上述のように、第2遮光部42の幅bは、積層パターン基板10の第2上側パターン32の幅wに一致しており、また第2上側パターン32の幅wは第1上側パターン31の幅wと略同一となっている。従って、a≧c≧c>bまたはa≧c>c≧bの関係が成立していることは、幅cが積層パターン基板10の第1上側パターン31の幅wよりも大きくなっていることを意味している。
【0045】
(セカンド露光マスク)
次にセカンド露光マスク50について説明する。セカンド露光マスク50もファースト露光マスク40と同様に、光を遮蔽する遮光部54と、光を透過させる透光部55とからなっている。このうち遮光部54は、図3に示すように、第1遮光部51、第2遮光部52および中間遮光部53を含んでいる。このうち中間遮光部53は、図3に示すように、露光の際、中間領域Rとなる領域内に配置される部分となっている。また第1遮光部51は、中間遮光部53の第1領域R側の端部に接続された部分となっており、第2遮光部52は、中間遮光部53の第2領域R側の端部に接続された部分となっている。
【0046】
図3において、第1遮光部51の幅が符号dで示されており、第2遮光部52の幅が符号eで示されており、中間遮光部53の第1遮光部51側の端部の幅および第2遮光部52側の端部の幅がそれぞれ符号fおよびfで示されている。このうち第1遮光部51の幅dは、積層パターン基板10の第1上側パターン31の幅に一致しており、第2遮光部52の幅eは、積層パターン基板10の第2上側パターン32の幅wよりも十分に大きくなっている。また中間遮光部53の各端部の幅fおよびfはそれぞれ、積層パターン基板10の中間上側パターン33の第1領域R側の端部および第2領域R側の端部の幅に一致している。
【0047】
なお図3に示すように、本実施の形態においては、長さ方向におけるファースト露光マスク40の中間遮光部43の範囲および長さ方向におけるセカンド露光マスク50の中間遮光部53の範囲はそれぞれ、長さ方向における中間領域Rの範囲に一致している。すなわち、長さ方向におけるファースト露光マスク40の中間遮光部43の範囲と、長さ方向におけるセカンド露光マスク50の中間遮光部53の範囲とが一致している。
【0048】
以下、各遮光部51,52,53の幅の特徴について説明する。はじめに、中間遮光部53の幅の特徴について説明する。
【0049】
中間遮光部53の第1遮光部51側の端部の幅fは、積層パターン基板10の第2上側パターン32の幅wよりも大きくなっている。なお幅fを第2上側パターン32の幅wよりも大きくすることは、ファースト露光マスク40の場合と同様に、幅方向におけるファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置がずれた場合であっても、中間上側パターン33にくびれが生じるのを防ぐことを目的としてなされている。従って「大きくなっている」とは、起こりうる露光マスクの相対的な位置のずれの程度を超えて、中間遮光部53の幅fが第2上側パターン32の幅wよりも大きくなっていることを意味している。例えば、露光マスクの位置のずれが最大50μmである場合、中間遮光部53の幅fは第2上側パターン32の幅wよりも50μm以上大きくなっている。なお露光マスクを透過した光に回り込みが生じることが考えられる場合、中間遮光部53の幅fが、回り込みの程度も考慮してより大きい値に設定されてもよい。
【0050】
なお露光マスクの位置のずれとは、所定のアライメントマーク(図示せず)を基準とした場合のファースト露光マスク40に対するセカンド露光マスク50の位置ずれだけでなく、積層パターン基板10の中間遮光部43を基準とした場合のファースト露光マスク40に対するセカンド露光マスク50の位置ずれも含む概念とする。従って、露光マスクの位置のずれは、各露光マスク40,50を位置決めする露光機(図示せず)のアライメント精度に起因して生じるだけでなく、ファースト露光マスク40を用いた露光からセカンド露光マスク50を用いた露光までの間に生じうる積層体13の伸縮などにも起因して生じ得る。
【0051】
次に、第2遮光部52の幅eの特徴について説明する。後述するように、セカンド露光マスク50を用いた2回目のパターニング工程は、1回目のパターニング工程の後に下側パターン20上に存在している上側パターン30を部分的に除去するために実施される。ところで、図1Aに示す積層パターン基板10と図3に示すファースト露光マスク40との比較から明らかなように、第2領域Rに位置する第2下側パターン22および第2上側パターン32の形状は、ファースト露光マスク40を用いた1回目のパターニング工程によって画定される。すなわち、2回目のパターニング工程において、第2下側パターン22および第2上側パターン32またはそれらの周辺をセカンド露光マスク50によって露光する必要はない。従って、仮に露光マスクの相対的な位置のずれが生じた場合であっても第2下側パターン22および第2上側パターン32がエッチングされてしまうことを防ぐため、図3に示すように、第2遮光部52の幅eは、第2上側パターン32の幅wよりも十分に大きくなっている。これによって、セカンド露光マスク50を用いた露光の際に第2下側パターン22および第2上側パターン32またはそれらの周辺に光が照射されるのを確実に防ぐことができる。
【0052】
次に、各遮光部51,52,53の幅の相対関係について説明する。セカンド露光マスク50の各遮光部51,52,53の幅に関して、e≧f≧f>dまたはe≧f>f≧dの関係が成立している。例えば図3に示す例においては、e=f=f>dの関係が成立している。これによって、中間遮光部53の第2遮光部52側の端部の幅fが、第1遮光部51の幅dよりも大きくなっている。なお「大きくなっている」とは、上述の中間遮光部53の幅fと第2上側パターン32の幅wとの関係の場合と同様に、露光マスクの位置のずれの程度を超えて、幅fが幅dよりも大きくなっていることを意味している。
ところで上述のように、第1遮光部51の幅dは、積層パターン基板10の第1上側パターン31の幅wに一致しており、また第1上側パターン31の幅wは第2上側パターン32の幅wと略同一となっている。従って、e≧f≧f>dまたはe≧f>f≧dの関係が成立していることは、幅fが積層パターン基板10の第2上側パターン32の幅wよりも大きくなっていることを意味している。
【0053】
(1回目のパターニング工程)
次に、ファースト露光マスク40およびセカンド露光マスク50を用いて積層体13をパターニングする工程について説明する。はじめに図4(a)(b)(c)(d)を参照して、ファースト露光マスク40を用いる1回目のパターニング工程について説明する。
【0054】
まず積層体13を準備する。次に図4(a)に示すように、積層体13上にファースト露光マスク40を配置する。
【0055】
その後、感光層16の感光特性に対応した露光光(例えば、紫外線)を、ファースト露光マスク40を介して感光層16に照射する。この結果、感光層16が、最終的に得られる下側パターン20に対応したパターンで露光される。次に、露光された感光層16を現像する。これによって、図4(b)に示すように、最終的に得られる下側パターン20と略同一のパターンを有するファースト感光パターン16aが形成される。
【0056】
次に、ファースト感光パターン16aをマスクとして、金属層15をエッチングする。これによって、図4(c)に示すように、金属層15がファースト感光パターン16aと略同一のパターンにパターニングされる。この際、エッチング液は、金属層15を構成する材料に応じて適宜選択されるが、例えば燐酸、硝酸、酢酸および水などを所定の割合で含むエッチング液が用いられる。
【0057】
次に、ファースト感光パターン16aをマスクとして、透明導電層14をエッチングする。これによって、図4(d)に示すように、透明導電層14がファースト感光パターン16aと略同一のパターンにパターニングされる。この際、エッチング液は、透明導電層14を構成する材料に応じて適宜選択されるが、例えば塩化第二鉄を含むエッチング液が用いられる。
【0058】
(2回目のパターニング工程)
次に図5(a)(b)(c)(d)を参照して、セカンド露光マスク50を用いる2回目のパターニング工程について説明する。はじめに図5(a)に示すように、1回目のパターニングが実施された後の積層体13上にセカンド露光マスク50を配置する。
【0059】
次に露光光を、セカンド露光マスク50を介してファースト感光パターン16aに照射する。この結果、ファースト感光パターン16aのうち第1領域R内の部分が、最終的に得られる第1上側パターン31に対応したパターンで露光される。次に、露光されたファースト感光パターン16aを現像する。これによって、図5(b)に示すように、最終的に得られる上側パターン30と略同一のパターンを有するセカンド感光パターン16bが形成される。
【0060】
次に、セカンド感光パターン16bをマスクとして、透明導電層14上に残っている金属層15をエッチングする。これによって、図5(c)に示すように、金属層15がセカンド感光パターン16bと略同一のパターンにパターニングされる。この際、エッチング液としては、透明導電層14をエッチングすることなく金属層15のみを選択的にエッチングするエッチング液が用いられ、例えば燐酸、硝酸、酢酸および水などを所定の割合で含むエッチング液が用いられる。
【0061】
最後に、金属層15上に残っているセカンド感光パターン16bを除去する。これによって、図5(d)に示すように、基板12と、基板12上に所定パターンで設けられた下側パターン20と、下側パターン20上に所定パターンで設けられた上側パターン30と、を含む積層パターン基板10が得られる。
【0062】
(露光マスクの配置がずれる場合について)
ところで上述のように、露光マスクの位置決めの精度には限界がある。このため、上述した2回のパターニング工程において、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係がずれることが考えられる。以下、そのような相対的な位置関係のずれが生じた場合における、本実施の形態の効果について説明する。
【0063】
はじめに、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が幅方向にずれる場合について説明する。図6(a)は、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が幅方向に距離sだけずれた場合を示す図であり、図6(b)は、相対的な位置関係が幅方向に距離sだけずれた場合に得られる積層パターン基板10を示す図である。
【0064】
本実施の形態によれば、上述のように、ファースト露光マスク40の中間遮光部43の第1遮光部41側の端部の幅cが、第1上側パターン31の幅wよりも大きくなっている。このため、ファースト露光マスク40に対するセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が幅方向に距離sだけずれたとしても、図6(b)に示すように、形成される第1上側パターン31の第2領域R側の端部は、中間上側パターン33の第1領域R側の端部に包含されている。このため、第1上側パターン31と中間上側パターン33との境界で上側パターン30の幅が細くなることはない。
【0065】
また本実施の形態によれば、上述のように、セカンド露光マスク50の中間遮光部53の第2遮光部52側の端部の幅fが、第2上側パターン32の幅wよりも大きくなっている。このため、ファースト露光マスク40に対するセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が幅方向に距離sだけずれたとしても、2回目のパターニングの際に第2上側パターン32がエッチングされることはない。従って図6(b)に示すように、形成される第2上側パターン32の第1領域R側の端部は、中間上側パターン33の第2領域R側の端部に包含されている。すなわち、第2上側パターン32と中間上側パターン33との境界で上側パターン30の幅が細くなることはない。
【0066】
このように本実施の形態によれば、ファースト露光マスク40に中間遮光部43が設けられ、セカンド露光マスク50に中間遮光部53が設けられている。これによって、ファースト露光マスク40に対するセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が幅方向にずれた場合であっても、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間にくびれが生じるのを防ぐことができる。
【0067】
次に、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が長さ方向にずれる場合について説明する。図7(a)は、ファースト露光マスク40に対してセカンド露光マスク50が上方向にずれて配置された場合に得られる積層パターン基板10を示す図である。また図7(b)は、ファースト露光マスク40に対してセカンド露光マスク50が下方向にずれて配置された場合に得られる積層パターン基板10を示す図である。本実施の形態によれば、図7(a)(b)に示すように、ファースト露光マスク40に対するセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が長さ方向にずれた場合であっても、くびれの無い上側パターン30を得ることができる。
【0068】
比較の形態
次に、図8(a)(b)(c)を参照して、本実施の形態の効果を比較の形態と比較して説明する。図8(a)(b)(c)に示す比較の形態による各露光マスクは、中間遮光部が設けられていない点が異なるのみであり、他の構成は、上述の本実施の形態における各露光マスクと略同一である。図8(a)(b)(c)に示す比較の形態において、上述の本実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
図8(a)の左側には、1回目の露光工程で用いられるファースト露光マスク140が示されており、図8(a)の右側には、2回目の露光工程で用いられるセカンド露光マスク150が示されている。
【0070】
図8(a)に示すように、ファースト露光マスク140は、光を遮蔽する遮光部144と、光を透過させる透光部145とからなっている。このうち遮光部144は、第1遮光部41と第2遮光部42とを含んでいる。このように比較の形態によるファースト露光マスク140の遮光部144においては、第1遮光部41と第2遮光部42との間に、上述の本実施の形態における中間遮光部43が介在されていない。
【0071】
また図8(a)に示すように、セカンド露光マスク150は、光を遮蔽する遮光部154と、光を透過させる透光部155とからなっている。このうち遮光部154は、第1遮光部51と第2遮光部52とを含んでいる。このように比較の形態によるセカンド露光マスク150の遮光部154においても、第1遮光部51と第2遮光部52との間に、上述の本実施の形態における中間遮光部53が介在されていない。
【0072】
図8(b)(c)は、図8(a)に示すファースト露光マスク140およびセカンド露光マスク150を用いてパターニングを実施する場合に得られる積層パターン基板110を示す図である。このうち図8(b)は、ファースト露光マスク140とセカンド露光マスク150の相対的な位置関係にずれがない場合に得られる積層パターン基板110を示している。一方、図8(c)は、ファースト露光マスク140とセカンド露光マスク150の相対的な位置関係が幅方向にずれる場合に得られる積層パターン基板110を示している。
【0073】
上述のように、ファースト露光マスク140を用いたパターニングにより成形される第2上側パターン32の幅と、セカンド露光マスク150を用いたパターニングにより成形される第1上側パターン31の幅は略同一になっている。このため、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が幅方向にずれる場合、図8(c)に示すように、セカンド露光マスク150を用いたパターニングの対象となる領域(第2領域R)とならない領域(第1領域R)との境界で上側パターン30の幅が狭くなってしまう。すなわち、上側パターン30にくびれが生じてしまい、これによって上側パターン30の電気抵抗が増加してしまうことが考えられる。
【0074】
これに対して本実施の形態によれば、上述のように、ファースト露光マスク40に中間遮光部43が設けられ、セカンド露光マスク50に中間遮光部53が設けられている。これによって、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間に、少なくとも各パターン31,32の幅以上の幅を有する中間上側パターン33を形成することができる。このことにより、ファースト露光マスク40に対するセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が幅方向にずれた場合であっても、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間にくびれが生じるのを防ぐことができる。これによって、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間で上側パターン30の電気抵抗が増加することを防ぐことができる。
【0075】
(ファースト露光マスクの変形例)
なお本実施の形態において、ファースト露光マスク40の各遮光部41,42,43の幅に関して、a>c=c>bの関係が成立している例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図9(a)に示すように、各遮光部41,42,43の幅に関して、a=c=c>bの関係が成立していてもよい。若しくは図9(b)に示すように、a>c>c=bの関係が成立していてもよい。
【0076】
また本実施の形態において、ファースト露光マスク40の中間遮光部43の長さ方向における輪郭が直線状の輪郭となっている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、中間遮光部43の幅が第2領域Rから第1領域Rに向かうにつれて大きくなる若しくは同一となっている限りにおいて、中間遮光部43の長さ方向における輪郭として様々な形状が用いられ得る。例えば図9(c)に示すように、中間遮光部43の長さ方向における輪郭が曲線状の輪郭となっていてもよい。
【0077】
(セカンド露光マスクの変形例)
また本実施の形態において、セカンド露光マスク50の各遮光部51,52,53の幅に関して、e=f=f>dの関係が成立している例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図10(a)に示すように、各遮光部51,52,53の幅に関して、e>f=f>dの関係が成立していてもよい。若しくは図10(b)に示すように、e>f>f=dの関係が成立していてもよい。
【0078】
また本実施の形態において、セカンド露光マスク50の中間遮光部53の長さ方向における輪郭が直線状の輪郭となっている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、中間遮光部53の幅が第1領域Rから第2領域Rに向かうにつれて大きくなる若しくは同一となっている限りにおいて、中間遮光部53の長さ方向における輪郭として様々な形状が用いられ得る。例えば図10(c)に示すように、中間遮光部53の長さ方向における輪郭が曲線状の輪郭となっていてもよい。
【0079】
以下、図11(a)(b)乃至図13(a)(b)を参照して、変形例によるファースト露光マスク40およびセカンド露光マスク50が用いられる場合に得られる積層パターン基板10について説明する。
【0080】
図11(a)(b)は、図9(a)に示すファースト露光マスク40と図10(a)に示すセカンド露光マスク50が用いられる形態を示す図である。このうち図11(a)は、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が幅方向に距離sだけずれた場合を示す図であり、図11(b)は、相対的な位置関係が幅方向に距離sだけずれた場合に得られる積層パターン基板10を示す図である。図11(b)に示すように、変形例によるファースト露光マスク40およびセカンド露光マスク50を用いることにより、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間にくびれが生じるのを防ぐことができる。
【0081】
また図12(a)(b)は、図9(a)に示すファースト露光マスク40と図10(a)に示すセカンド露光マスク50が用いられる際に、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が長さ方向にずれる場合に得られる積層パターン基板10を示す図である。図12(a)(b)に示すように、相対的な位置関係が長さ方向にずれる場合であっても、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間にくびれが生じるのを防ぐことができる。
【0082】
また図13(a)は、図9(a)に示すファースト露光マスク40と図10(b)に示すセカンド露光マスク50が用いられる場合に得られる積層パターン基板10を示す図であり、図13(b)は、図9(a)に示すファースト露光マスク40と図10(c)に示すセカンド露光マスク50」が用いられる場合に得られる積層パターン基板10を示す図である。図13(a)(b)に示すように、変形例によるファースト露光マスク40およびセカンド露光マスク50を様々に組み合わせて用いることにより、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が幅方向にずれる場合に、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間にくびれが生じるのを防ぐことができる。
【0083】
なお本実施の形態において、1回目のパターニング工程において、金属層15と透明導電層14とが順次エッチングされる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、金属層15と透明導電層14とが同時にエッチングされてもよい。この場合、金属層15と透明導電層14の両方に対する浸食性を有するエッチング液が用いられる。
【0084】
第2の実施の形態
次に図14(a)(b)(c)乃至図17(a)(b)を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0085】
上述の第1の実施の形態において、長さ方向におけるファースト露光マスクの中間遮光部の範囲および長さ方向におけるセカンド露光マスクの中間遮光部の範囲がそれぞれ、中間領域の範囲に一致している例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、長さ方向におけるファースト露光マスクの中間遮光部の範囲と、長さ方向におけるセカンド露光マスクの中間遮光部の範囲とが少なくとも部分的に重複していればよい。以下に説明する第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0086】
図14(a)の左側に示すように、本実施の形態によるファースト露光マスク40の中間遮光部43は、第1領域Rと中間領域Rとの間の境界を跨ぐよう、第1領域Rおよび中間領域Rの双方に部分的に対応している。また図14(a)の右側に示すように、本実施の形態によるセカンド露光マスク50の中間遮光部53は、第2領域Rと中間領域Rとの間の境界を跨ぐよう、第2領域Rおよび中間領域Rの双方に部分的に対応している。また図14(a)に示すように、長さ方向におけるファースト露光マスク40の中間遮光部43の範囲と、長さ方向におけるセカンド露光マスク50の中間遮光部53の範囲とが部分的に重複している。図14(a)に示すように、この重複範囲が中間領域Rに対応している。
【0087】
図14(b)(c)は、図14(a)に示すファースト露光マスク40およびセカンド露光マスク50を用いてパターニングを実施する場合に得られる積層パターン基板10を示す図である。このうち図14(b)は、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係にずれがない場合に得られる積層パターン基板10を示している。一方、図14(c)は、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が幅方向にずれる場合に得られる積層パターン基板10を示している。
【0088】
本実施の形態においても、第1の実施の形態の場合と同様に、ファースト露光マスク40に中間遮光部43が設けられ、セカンド露光マスク50に中間遮光部53が設けられている。また中間遮光部43および中間遮光部53は、露光の際に長さ方向において少なくとも部分的に重複するよう配置されている。これによって、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間に、少なくとも各パターン31,32の幅以上の幅を有する中間上側パターン33を形成することができる。このことにより、ファースト露光マスク40に対するセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が幅方向にずれた場合であっても、図14(c)に示すように、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間にくびれが生じるのを防ぐことができる。これによって、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間で上側パターン30の電気抵抗が増加することを防ぐことができる。
【0089】
図15(a)(b)は、図14(a)に示すファースト露光マスク40およびセカンド露光マスク50が用いられる際に、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が長さ方向にずれる場合に得られる積層パターン基板10を示す図である。図15(a)(b)に示すように、相対的な位置関係が長さ方向にずれる場合であっても、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間にくびれが生じるのを防ぐことができる。
【0090】
(ファースト露光マスクおよびセカンド露光マスクの変形例)
本実施の形態においても、ファースト露光マスク40の中間遮光部43およびセカンド露光マスク50の中間遮光部53の具体的な形状が特に限られることはない。例えば、図9(a)(b)(c)および図10(a)(b)(c)に示す上述の第1の実施の形態の変形例の場合と同様に、様々な形状の中間遮光部43および中間遮光部53が採用され得る。例えば図16(a)(b)に示す中間遮光部43および中間遮光部53が設けられたファースト露光マスク40およびセカンド露光マスク50が用いられてもよい。
【0091】
図16(b)(c)は、図16(a)に示すファースト露光マスク40およびセカンド露光マスク50を用いてパターニングを実施する場合に得られる積層パターン基板10を示す図である。このうち図16(b)は、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係にずれがない場合に得られる積層パターン基板110を示している。一方、図16(c)は、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が幅方向にずれる場合に得られる積層パターン基板110を示している。また図17(a)(b)は、図15(a)に示すファースト露光マスク40およびセカンド露光マスク50が用いられる際に、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係が長さ方向にずれる場合に得られる積層パターン基板10を示す図である。
【0092】
本変形例においても、中間遮光部43および中間遮光部53は、露光の際に長さ方向において少なくとも部分的に重複するよう配置されている。これによって、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間に、少なくとも各パターン31,32の幅以上の幅を有する中間上側パターン33を形成することができる。このことにより、ファースト露光マスク40に対するセカンド露光マスク50の相対的な位置関係がずれた場合であっても、図16(b)(c)および図17(a)(b)に示すように、第1上側パターン31と第2上側パターン32との間にくびれが生じるのを防ぐことができる。
【0093】
第3の実施の形態
次に図18乃至図24を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態においては、積層体をパターニングすることによりタッチパネルセンサを製造する例について説明する。図18乃至図24に示す第3の実施の形態において、上述の第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0094】
タッチパネルセンサ
はじめに図18を参照して、本実施の形態によるタッチパネルセンサ60全体について説明する。図18は、タッチパネルセンサ60を示す平面図である。
【0095】
タッチパネルセンサ60は、タッチパネルセンサ60への外部導体(例えば、人間の指)の接触位置または接近位置を検知して、検知に基づく信号を外部に送るものである。このタッチパネルセンサ60は、基板12と、基板12上に所定のパターンで設けられ、接触位置などのいわゆるタッチを検出する透明導電パターン61,62と、透明導電パターン61,62にそれぞれ電気的に接続された取出導電パターン63,64と、を備えている。このうち基板12の一側(例えば観察者側)に設けられているパターンが、x方向に延びる複数の一側透明導電パターン61と、各一側透明導電パターン61に接続された複数の一側取出導電パターン63となっている。また、基板12の他側(例えば表示部側)に設けられているパターンが、y方向に延びる複数の他側透明導電パターン62と、各他側透明導電パターン62に接続された複数の他側取出導電パターン64となっている。また、一側透明導電パターン61および他側透明導電パターン62からの信号を外部へ取り出すための一側端子部65および他側端子部66が、それぞれ一側取出導電パターン63および他側取出導電パターン64に接続されている。なお図18においては、基板12の他側に設けられている構成要素が点線で表されている。
【0096】
図18に示すように、基板12上の領域は、表示部(図示せず)からの映像が表示される表示領域Tであって、タッチを検出する一側透明導電パターン61および他側透明導電パターン62が配置される表示領域Tと、表示領域Tの周囲に形成され、一側取出導電パターン63および他側取出導電パターン64が配置される配線領域Tと、配線領域Tの外側に形成され、一側端子部65および他側端子部66が配置される端子領域Tと、に区画される。このうち配線領域Tおよび端子領域Tは、表示部からの映像が表示されない非表示領域となっている。図18に示すように、一側取出導電パターン63および他側取出導電パターン64は、配線領域Tから端子領域Tへ延びている。
【0097】
上述のように、一側透明導電パターン61および他側透明導電パターン62は、表示部からの映像が表示される表示領域Tに設けられている。このため、一側透明導電パターン61および他側透明導電パターン62は、導電性および透光性を有する透明導電材料から構成されている。一方、上述のように、一側取出導電パターン63、他側取出導電パターン64、一側端子部65および他側端子部66は、表示部からの映像が表示されない非表示領域に設けられている。このため、取出導電パターン63,64および端子部65,66を構成する材料が透光性を有する必要はない。従って取出導電パターン63,64および端子部65,66は一般に、透透明導電材料よりも高い電気伝導率を有する金属材料から構成される。
【0098】
(一側の構成要素)
次に図18および図19を参照して、タッチパネルセンサ60の各構成要素のうち基板12の一側に設けられているさらなる構成要素について説明する。図19は、基板12の一側に設けられている構成要素を示す平面図である。
【0099】
(シールドパターン)
図19に示すように、基板12の一側の配線領域Tには一側シールドパターン71が設けられている。この一側シールドパターン71は、図18から見て取れるように、基板12の他側に設けられている上述の他側取出導電パターン64を、基板12の法線方向から見て覆うよう形成されている。このような一側シールドパターン71を設けることにより、タッチパネルセンサ60の一側において生じるノイズが基板12の他側の他側取出導電パターン64に伝達されることを防ぐことができる。例えば、指などの外部導体が基板12の一側の一側透明導電パターン61にタッチし、この際の容量変化に基づいて基板12の一側でノイズが発生したとしても、このノイズが、基板12の他側の他側取出導電パターン64に伝達されることを防ぐことができる。これによって、基板12の他側における検出の感度を向上させることができる。
【0100】
このような一側シールドパターン71は、好ましくは、透光性を有する材料から構成される。例えば、一側透明導電パターン61を構成する透明導電材料と同一の透明導電材料から構成される。これによって、タッチパネルセンサ60の製造工程において、一側シールドパターン71の反対側に形成される他側取出導電パターン64を視認することが可能となり、このことにより、他側取出導電パターン64の断線チェックなどを簡易に実施することができる。
【0101】
フォトリソグラフィー法を用いてタッチパネルセンサ60が製造される場合、一側透明導電パターン61および一側シールドパターン71は、例えば積層体13の透明導電層14をパターニングすることにより同時に形成される。これによって、より少ない工数で一側透明導電パターン61および一側シールドパターン71を形成することが可能となる。
【0102】
(ダミーパターン)
また図19に示すように、複数の一側取出導電パターン63のうち最も外側にある各一側取出導電パターン63のさらに外側に、一側ダミーパターン73が設けられている。この一側ダミーパターン73は、最も外側にある各一側取出導電パターン63に部分的に沿って延びるとともに、上述した一側シールドパターン71に接続されるよう形成されている。また一側ダミーパターン73は、配線領域Tから端子領域Tへ延び、そして一側端子部75に接続されている。一側端子部75は、適切な配線(図示せず)などを介して接地されている。
【0103】
このような一側ダミーパターン73は、各一側取出導電パターン63における寄生容量の偏差を低減するという目的のために設けられるものである。以下、この目的について説明する。
【0104】
図19に示すように、複数の一側取出導電パターン63のうち最も外側にある各一側取出導電パターン63においては、隣接する一側取出導電パターン63が片側にしか形成されていない。このため、仮に一側ダミーパターン73が設けられていないとする場合、最も外側にある各一側取出導電パターン63において形成される静電容量は、その他の一側取出導電パターン63において形成される静電容量よりも小さくなってしまう。この場合、最も外側にある各一側取出導電パターン63に対応する一側透明導電パターン61をスキャンする際の容量検出感度が、その他の一側取出導電パターン63に対応する一側透明導電パターン61をスキャンする際の容量検出感度と異なることが考えられる。
ここで本実施の形態によれば、最も外側にある各一側取出導電パターン63のさらに外側に、一側ダミーパターン73が設けられている。このため、最も外側にある各一側取出導電パターン63において形成される静電容量と、その他の一側取出導電パターン63において形成される静電容量とをほぼ等しくすることができる。これによって、一側透明導電パターン61による検出感度が向上することが期待される。
【0105】
このような一側ダミーパターン73は、好ましくは、一側取出導電パターン63を構成する金属材料と同一の金属材料から、一側取出導電パターン63と略同一のパターン幅で形成される。これによって、寄生容量の偏差を低減するという効果をより高めることができる。
【0106】
また上述のように、一側ダミーパターン73は一側シールドパターン71に接続されている。これによって、一側ダミーパターン73を介して一側シールドパターン71を低抵抗で接地することができ、このことにより、一側シールドパターン71のシールド効果を高めることができる。
【0107】
フォトリソグラフィー法を用いてタッチパネルセンサ60が製造される場合、一側取出導電パターン63、一側端子部65、一側ダミーパターン73および一側端子部75は、例えば積層体13の金属層15をパターニングすることにより同時に形成される。これによって、より少ない工数で一側取出導電パターン63、一側端子部65、一側ダミーパターン73および一側端子部75を形成することが可能となる。
【0108】
ところでフォトリソグラフィー法を用いてタッチパネルセンサ60が製造される場合、一側取出導電パターン63、一側端子部65、一側ダミーパターン73および一側端子部75と基板12との間には、一般に透明導電層14が介在される。なぜなら、これによって、一側取出導電パターン63、一側端子部65、一側ダミーパターン73および一側端子部75における電気抵抗を、透明導電層14の分だけ低減することができるからである。このようにタッチパネルセンサ60において、一側取出導電パターン63、一側端子部65、一側ダミーパターン73および一側端子部75は、一側透明導電パターン61および一側シールドパターン71を含むパターニングされた透明導電層14上に設けられたパターンとなっている。すなわち、一側透明導電パターン61および一側シールドパターン71を含むパターニングされた透明導電層14は、上述の第1の実施の形態における下側パターン20に相当しており、一側取出導電パターン63、一側端子部65、一側ダミーパターン73および一側端子部75は、上述の第1の実施の形態における上側パターン30に相当している。
【0109】
なお図19に示すように、積層体13の金属層15をパターニングして一側取出導電パターン63、一側端子部65、一側ダミーパターン73および一側端子部75を形成する際、同時に一側アライメントマーク67が形成されてもよい。この一側アライメントマーク67は、例えば、タッチパネルセンサ60を表示部(図示せず)に組み合わせる際のアライメントマークとして利用される。
【0110】
(他側の構成要素)
次に図18および図20を参照して、タッチパネルセンサ60の各構成要素のうち基板12の他側に設けられているさらなる構成要素について説明する。図20は、基板12の他側に設けられている構成要素を示す平面図である。なお便宜上、図20には、基板12の一側から見た場合のパターン形状が示されている。
【0111】
(シールドパターン)
図20に示すように、基板12の他側の配線領域Tには他側シールドパターン72が設けられている。この他側シールドパターン72は、図18から見て取れるように、基板12の一側に設けられている上述の一側取出導電パターン63を、基板12の法線方向から見て覆うよう形成されている。このような他側シールドパターン72を設けることにより、タッチパネルセンサ60の他側において生じるノイズが基板12の一側の一側取出導電パターン63に伝達されることを防ぐことができる。例えば、表示部から放射されるノイズが基板12の一側の一側取出導電パターン63に伝達されることを防ぐことができる。これによって、基板12の一側における検出の感度を向上させることができる。
【0112】
他側シールドパターン72の製造方法や材料は、上述の一側シールドパターン71の場合と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0113】
(ダミーパターン)
また図20に示すように、複数の他側取出導電パターン64のうち最も外側にある他側取出導電パターン64のさらに外側に、他側ダミーパターン74が設けられている。この他側ダミーパターン74は、最も外側にある各他側取出導電パターン64に部分的に沿って延びるとともに、上述した他側シールドパターン72に接続されるよう形成されている。また他側ダミーパターン74は、配線領域Tから端子領域Tへ延び、そして他側端子部76に接続されている。
【0114】
この他側ダミーパターン74により、上述の一側ダミーパターン73の場合と同様に、各他側取出導電パターン64における寄生容量の偏差を低減するとともに、他側シールドパターン72を低抵抗で接地することができる。
【0115】
他側ダミーパターン74および他側端子部76の製造方法や材料は、上述の一側ダミーパターン73および一側端子部75の場合と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0116】
また図20に示すように、金属層をパターニングして他側取出導電パターン64、他側端子部66、他側ダミーパターン74および他側端子部76を形成する際、同時に他側アライメントマーク68や他側ID領域70が形成されてもよい。他側アライメントマーク68は、例えば、タッチパネルセンサ60を表示部(図示せず)に組み合わせる際のアライメントマークとして利用される。また他側ID領域70は、タッチパネルセンサ60の製品名や製造番号などのID情報を表示するよう利用される。
【0117】
タッチパネルセンサの製造方法
次にタッチパネルセンサ60の製造方法について説明する。本実施の形態によるタッチパネルセンサ60は、フォトリソグラフィー法を用いて積層体をパターニングすることにより得られる。
【0118】
(積層体)
積層体としては、図2Bにおいて一点鎖線で示すように、上述の第1の実施の形態において説明した積層体13の基板12の他側にさらに、透明導電層17、金属層18および感光層19が設けられた積層体が用いられる。この場合、透明導電層14および金属層15をパターニングすることにより、基板12の一側の各パターンが得られ、透明導電層17および金属層18をパターニングすることにより、基板12の他側の各パターンが得られる。透明導電層17および金属層18をパターニングする方法と、透明導電層14および金属層15をパターニングする方法は略同一となっているので、ここでは、透明導電層14および金属層15をパターニングして基板12の一側の各パターンを形成する方法について説明する。
【0119】
(露光マスク)
本実施の形態においても、上述の第1の実施の形態の場合と同様に2回の露光工程が実施される。1回目の露光工程においては、図21に示すファースト露光マスク40が使用され、2回目の露光工程においては、図22に示すセカンド露光マスク50が使用される。
【0120】
図21に示すように、ファースト露光マスク40は、光を遮蔽する遮光部44と、光を透過させる透光部45とからなっている。図19と図21の対比から明らかなように、遮光部44は、基板12の一側に形成される、透明導電層14からなる下側パターン20のパターン形状に一致する形状を有している。
【0121】
図22に示すように、セカンド露光マスク50も、光を遮蔽する遮光部54と、光を透過させる透光部55とからなっている。図19と図22の対比から明らかなように、セカンド露光マスク50は、透明導電層14のうち一側透明導電パターン61および一側シールドパターン71となるべき領域上の感光層16を除去するよう構成されている。
【0122】
上述のファースト露光マスク40およびセカンド露光マスク50を用いてパターニングを実施することにより、図19に示す基板12の一側の各パターンが形成される。具体的なパターニング方法は、上述の第1の実施の形態におけるパターニング方法と同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0123】
ところでタッチパネルセンサ60においても、上述の第1の実施の形態において示される第1領域Rおよび第2領域Rに相当する領域が形成され得る。例えば図19において一点鎖線で囲まれている、配線領域Tと端子領域Tとの境界近傍の領域であって、一側ダミーパターン73を含む領域である。図23は、この領域を拡大して示す図である。
【0124】
図23に示す領域において、配線領域Tにおける一側ダミーパターン73(以下、第1ダミーパターン73a)の幅は、その下に位置する一側シールドパターン71の幅よりも小さくなっている。また端子領域Tにおける一側ダミーパターン73(以下、第2ダミーパターン73b)の幅は、その下に位置する透明導電層14の幅と略同一となっている。また第1ダミーパターン73aの幅は、第2ダミーパターン73bの幅と略同一になっている。従って、図23に示す例において、配線領域Tが第1の実施の形態における第1領域Rに相当しており、端子領域Tが第1の実施の形態における第2領域Rに相当していると言える。従って、図23に示す領域のパターニングを実施する際、ファースト露光マスク40とセカンド露光マスク50の相対的な位置関係がずれると、得られる一側ダミーパターン73にくびれが形成されることが考えられる。
【0125】
このような懸念に対応するため、本実施の形態においても、図23に示すように、第1ダミーパターン73aと第2ダミーパターン73bとの間に中間ダミーパターン73cが介在されている。この中間ダミーパターン73cの幅は、図23に示すように、第1ダミーパターン73aおよび第2ダミーパターン73bの幅以上となっている。すなわち本実施の形態においても、配線領域Tと端子領域Tとの間に、第1の実施の形態における中間領域Rに相当する中間領域Tが介在されている。
【0126】
図24(a)(b)は、上述の中間ダミーパターン73cを得るために用いられるファースト露光マスク40およびセカンド露光マスク50を示す図である。図24(a)に示すように、ファースト露光マスク40のうち中間ダミーパターン73cに対応する部分には中間遮光部43が形成されている。また図24(b)に示すように、セカンド露光マスク50のうち中間ダミーパターン73cに対応する部分には中間遮光部53が形成されている。これによって、本実施の形態においても、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、ファースト露光マスク40に対するセカンド露光マスク50の相対的な位置関係がずれた場合であっても、くびれの無い一側ダミーパターン73を得ることができる。
【0127】
なお、ファースト露光マスク40の中間遮光部43およびセカンド露光マスク50の中間遮光部53の具体的な形状が特に限られることはなく、図9(a)(b)(c)および図10(a)(b)(c)に示す上述の第1の実施の形態の変形例の場合と同様に、様々な形状の中間遮光部43および中間遮光部53が採用され得る。
【0128】
また本実施の形態において、配線領域Tと端子領域Tとの境界近傍の領域であって、一側ダミーパターン73を含む領域に、上述の第1の実施の形態において示される第1領域Rおよび第2領域Rに相当する領域が形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、タッチパネルセンサ60の様々な領域において、上述の第1の実施の形態において示される第1領域Rおよび第2領域Rに相当する領域が形成され得る。すなわち、タッチパネルセンサ60の様々な領域において、上述の第1の実施の形態において示した積層パターン基板の製造方法が適用され得る。
【0129】
また上述の各実施の形態において、セカンド感光パターン16bが、はじめに、上側パターン30上に残っているファースト感光パターン16aをセカンド露光マスク50を用いて露光し、その後、露光されたファースト感光パターン16aを現像することにより形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、1回目のパターニング工程の後、上側パターン30上に残っているファースト感光パターン16aを除去し、次に、上側パターン30上に新たに追加で光溶解型の感光層(図示せず)を設け、その後、この追加の感光層をセカンド露光マスク50を用いて露光し、そして、露光された追加の感光層を現像することによりセカンド感光パターン16bが形成されてもよい。
なお、上側パターン30上に新たに追加で光溶解型の感光層を設ける方法は特に限定されず、様々な公知の方法が用いられ得る。例えば、感光層の材料が溶解している感光液中に積層体13を浸漬させる方法、いわゆるディップコート法により、上側パターン30上に新たに追加で光溶解型の感光層が設けられる。なおディップコート法を用いる場合、上側パターン30上にファースト感光パターン16aが残っていたとしても、積層体13が感光液中に浸漬されている間にファースト感光パターン16aが感光液中に溶解され得る。すなわち、ディップコート法を用いる場合、上側パターン30上に残っているファースト感光パターン16aを除去することと、上側パターン30上に新たに追加で光溶解型の感光層(図示せず)を設けることとを同時に実施することができる。またディップコート法を用いる場合、基板12の両側に同時に感光層を同時に設けることができる。従って、上述の第3の実施の形態のように基板12の両側に感光層が設けられる場合、ディップコート法が好ましく用いられる。
【0130】
また上述の各実施の形態において、感光層16として光溶解型の感光層が用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、感光層16として光硬化型の感光層が用いられてもよい。
なお光硬化型の感光層が用いられる場合、当業者にとって自明なことではあるが、ファースト露光マスク40およびセカンド露光マスク50における遮光部と透光部のパターンが反転されることになる。従って、光硬化型の感光層が用いられる場合、中間遮光部ではなく中間透光部がファースト露光マスク40およびセカンド露光マスク50に設けられる。
また光硬化型の感光層が用いられる場合、1回目のパターニング工程の後、残っている感光層が除去されることになる。その後、2回目のパターニング工程において、新たな感光層が設けられ、そしてセカンド露光マスクによって感光層が露光される。
【符号の説明】
【0131】
10 積層パターン基板
12 基板
13 積層体
14 透明導電層(下側層)
15 金属層(上側層)
16 感光層
20 下側パターン
21 第1下側パターン
22 第2下側パターン
23 中間下側パターン
30 上側パターン
31 第1上側パターン
32 第2上側パターン
33 中間上側パターン
40 ファースト露光マスク
41 第1遮光部
42 第2遮光部
43 中間遮光部
44 遮光部
45 透光部
50 セカンド露光マスク
51 第1遮光部
52 第2遮光部
53 中間遮光部
54 遮光部
55 透光部
60 タッチパネルセンサ
61 一側透明導電パターン
62 他側透明導電パターン
63 一側取出導電パターン
64 他側取出導電パターン
65 一側端子部
66 他側端子部
67 一側アライメントマーク
68 他側アライメントマーク
70 他側ID領域
71 一側シールドパターン
72 他側シールドパターン
73 一側ダミーパターン
74 他側ダミーパターン
75 一側端子部
76 他側端子部
第1領域
第2領域
中間領域
表示領域
配線領域
端子領域
中間領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、基板上に所定パターンで設けられた下側パターンと、下側パターン上に所定パターンで設けられた上側パターンと、を含む積層パターン基板を製造する方法において、
前記基板上の領域は少なくとも、第1領域と、第2領域と、第1領域と第2領域の間に位置する中間領域と、に区画され、
前記上側パターンは、前記第1領域から前記中間領域を通って前記第2領域へ延びており、
前記第1領域における前記上側パターンの幅は、前記第2領域における前記上側パターンの幅と略同一となっており、
前記第1領域において、前記下側パターンの幅は、前記上側パターンの幅よりも大きくなっており、
前記第2領域において、前記下側パターンの幅は、前記上側パターンの幅と略同一になっており、
前記積層パターン基板の製造方法は、
前記基板と、前記基板上に設けられた下側層と、前記下側層上に設けられた上側層と、前記上側層上に設けられた光溶解型の感光層と、を有する積層体を準備する工程と、
遮光部と透光部とを有するファースト露光マスクを用いて前記感光層を露光する工程と、
前記露光された感光層を現像してファースト感光パターンを形成する工程と、
前記ファースト感光パターンをマスクとして前記上側層および前記下側層をエッチングする工程と、
パターニングされた上側層上に、光溶解型の感光層からなり、所定のパターンを有するセカンド感光パターンを形成する工程と、
前記セカンド感光パターンをマスクとして前記上側層をさらにエッチングする工程と、を備え、
前記セカンド感光パターンは、遮光部と透光部とを含むセカンド露光マスクを用いて光溶解型の感光層を露光することにより形成され、
前記ファースト露光マスクの遮光部および前記セカンド露光マスクの遮光部はそれぞれ、露光の際に少なくとも部分的に前記中間領域に配置される中間遮光部を含み、
前記ファースト露光マスクの前記中間遮光部の前記第1領域側の端部の幅は、前記第1領域における前記上側パターンの幅よりも大きくなっており、
前記セカンド露光マスクの前記中間遮光部の前記第2領域側の端部の幅は、前記第2領域における前記上側パターンの幅よりも大きくなっていることを特徴とする積層パターン基板の製造方法。
【請求項2】
前記ファースト露光マスクは、前記中間遮光部と、前記中間遮光部の前記第1領域側の端部に接続される第1遮光部と、前記中間遮光部の前記第2領域側の端部に接続される第2遮光部と、を含み、
前記セカンド露光マスクは、前記中間遮光部と、前記中間遮光部の前記第1領域側の端部に接続される第1遮光部と、前記中間遮光部の前記第2領域側の端部に接続される第2遮光部と、を含み、
前記ファースト露光マスクにおいて、前記第1遮光部の幅をaとし、前記第2遮光部の幅をbとし、前記中間遮光部の前記第1遮光部側の端部の幅をcとし、前記中間遮光部の前記第2遮光部側の端部の幅をcとするとき、a≧c≧c>bまたはa≧c>c≧bの関係が成立しており、
前記セカンド露光マスクにおいて、前記第1遮光部の幅をdとし、前記第2遮光部の幅をeとし、前記中間遮光部の前記第1遮光部側の端部の幅をfとし、前記中間遮光部の前記第2遮光部側の端部の幅をfとするとき、e≧f≧f>dまたはe≧f>f≧dの関係が成立していることを特徴とする請求項1に記載の積層パターン基板の製造方法。
【請求項3】
前記上側パターンが延びる方向における前記ファースト露光マスクの中間遮光部の範囲と、前記上側パターンが延びる方向における前記セカンド露光マスクの中間遮光部の範囲とが一致していることを特徴とする請求項1または2に記載の積層パターン基板の製造方法。
【請求項4】
前記セカンド感光パターンは、はじめに、前記ファースト感光パターンをマスクとしてエッチングされた前記上側層上に光溶解型の感光層を設け、次に、この感光層を前記セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された感光層を現像することにより形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の積層パターン基板の製造方法。
【請求項5】
前記セカンド感光パターンは、はじめに、前記上側層上に残っている前記ファースト感光パターンを前記セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された前記ファースト感光パターンを現像することにより形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の積層パターン基板の製造方法。
【請求項6】
基板と、基板上に所定パターンで設けられた下側パターンと、下側パターン上に所定パターンで設けられた上側パターンと、を含むタッチパネルセンサを製造する方法において、
前記下側パターンは、透光性および導電性を有する透明導電材料からなり、
前記上側パターンは、遮光性および導電性を有する金属材料からなり、
前記基板上の領域は少なくとも、第1領域と、第2領域と、第1領域と第2領域の間に位置する中間領域と、に区画され、
前記上側パターンは、前記第1領域から前記中間領域を通って前記第2領域へ延びており、
前記第1領域における前記上側パターンの幅は、前記第2領域における前記上側パターンの幅と略同一となっており、
前記第1領域において、前記下側パターンの幅は、前記上側パターンの幅よりも大きくなっており、
前記第2領域において、前記下側パターンの幅は、前記上側パターンの幅と略同一になっており、
前記タッチパネルセンサの製造方法は、
前記基板と、前記基板上に設けられた透明導電層と、前記透明導電層上に設けられた金属層と、前記金属層上に設けられた光溶解型の感光層と、を有する積層体を準備する工程と、
遮光部と透光部とを有するファースト露光マスクを用いて前記感光層を露光する工程と、
前記露光された感光層を現像してファースト感光パターンを形成する工程と、
前記ファースト感光パターンをマスクとして前記透明導電層および前記金属層をエッチングする工程と、
パターニングされた前記金属層上に、光溶解型の感光層からなり、所定のパターンを有するセカンド感光パターンを形成する工程と、
前記セカンド感光パターンをマスクとして前記金属層をさらにエッチングする工程と、を備え、
前記セカンド感光パターンは、遮光部と透光部とを含むセカンド露光マスクを用いて光溶解型の感光層を露光することにより形成され、
前記ファースト露光マスクの遮光部および前記セカンド露光マスクの遮光部はそれぞれ、露光の際に少なくとも部分的に前記中間領域に配置される中間遮光部を含み、
前記ファースト露光マスクの前記中間遮光部の前記第1領域側の端部の幅は、前記第1領域における前記上側パターンの幅よりも大きくなっており、
前記セカンド露光マスクの前記中間遮光部の前記第2領域側の端部の幅は、前記第2領域における前記上側パターンの幅よりも大きくなっていることを特徴とするタッチパネルセンサの製造方法。
【請求項7】
前記ファースト露光マスクは、前記中間遮光部と、前記中間遮光部の前記第1領域側の端部に接続される第1遮光部と、前記中間遮光部の前記第2領域側の端部に接続される第2遮光部と、を含み、
前記セカンド露光マスクは、前記中間遮光部と、前記中間遮光部の前記第1領域側の端部に接続される第1遮光部と、前記中間遮光部の前記第2領域側の端部に接続される第2遮光部と、を含み、
前記ファースト露光マスクにおいて、前記第1遮光部の幅をaとし、前記第2遮光部の幅をbとし、前記中間遮光部の前記第1遮光部側の端部の幅をcとし、前記中間遮光部の前記第2遮光部側の端部の幅をcとするとき、a≧c≧c>bまたはa≧c>c≧bの関係が成立しており、
前記セカンド露光マスクにおいて、前記第1遮光部の幅をdとし、前記第2遮光部の幅をeとし、前記中間遮光部の前記第1遮光部側の端部の幅をfとし、前記中間遮光部の前記第2遮光部側の端部の幅をfとするとき、e≧f≧f>dまたはe≧f>f≧dの関係が成立していることを特徴とする請求項6に記載のタッチパネルセンサの製造方法。
【請求項8】
前記上側パターンが延びる方向における前記ファースト露光マスクの中間遮光部の範囲と、前記上側パターンが延びる方向における前記セカンド露光マスクの中間遮光部の範囲とが一致していることを特徴とする請求項6または7に記載のタッチパネルセンサの製造方法。
【請求項9】
前記セカンド感光パターンは、はじめに、前記ファースト感光パターンをマスクとしてエッチングされた前記金属層上に光溶解型の感光層を設け、次に、この感光層を前記セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された感光層を現像することにより形成されることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のタッチパネルセンサの製造方法。
【請求項10】
前記セカンド感光パターンは、はじめに、エッチングされた前記金属層上に残っている前記ファースト感光パターンを前記セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された前記ファースト感光パターンを現像することにより形成されることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のタッチパネルセンサの製造方法。
【請求項11】
前記下側パターンは、多列に並べられ、各々が所定方向に延びる複数の透明導電パターンと、シールドパターンと、を有し、
前記上側パターンは、各透明導電パターンに接続された取出導電パターンと、前記シールドパターンを少なくとも部分的に覆うとともに、前記各取出導電パターンのうち最も外側に位置する取出導電パターンに少なくとも部分に沿って延びるダミーパターンと、を有し、
前記シールドパターンは前記第1領域内に設けられており、
前記ダミーパターンは、前記第1領域から前記中間領域を通って前記第2領域へ延びていることを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載のタッチパネルセンサの製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−189870(P2012−189870A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54238(P2011−54238)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】