説明

積層体およびその製造方法

【課題】無機層と2層以上のポリイミド層の積層体でポリイミド層同士の剥がれなどが少ない多層積層体を提供する。
【解決手段】2層以上のポリイミド層3、4が無機層1に積層された構成を有する多層積層体であって、該ポリイミド層3、4がベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドであって、線膨張係数が−3〜10ppm/℃であり、ポリイミド層3、4と無機層1の間に、シランカップリング剤層がある多層積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス作成などに使用される積層体であって、線膨張係数が低めの特定範囲にある、耐熱性と絶縁性に優れた無機層の上に電気回路および、半導体素子を形成した後その面をそれとほぼ同程度の線膨張係数を有するポリイミド層および電気回路層を積層された寸法安定性と耐熱性と絶縁性に優れた積層体およびこれを利用した、半導体素子が形成された半導体付加積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
電力分野を中心として、耐熱性の要求される回路基板として、無機層、特にセラミックス基板は用いられてきた。セラミックスを使うことで、従来のガラス繊維補強エポキシ基板に比べて格段の耐熱性、機械強度、を持ち、さらには熱伝導性も良好な為、発熱の大きい素子用の絶縁基板としても有効であった。しかし、セラミックス上での微細回路の形成、異種材料特にポリマー材料との組み合わせにおいては、セラミックスの線膨張係数が低い事が却って、線膨張係数の違いによる、温度による応力発生の原因となり素子への応力付加や、基板の反り発生による素子や配線のダメージの発生の原因となる事が考えられてきた。
そして、セラミックスが耐熱性あることを有効に利用する為には、組み合わせる材料も耐熱性に優れているものとしないと全体の基板としての耐熱性を維持できないことになってしまい、使用できる材料は限られてきた。
また、セラミックスとポリマーでは、接着性が悪いことも多くあり、必ずしも良い組み合わせとして使用する事が出来なかった。
もう一つ、セラミックスの問題点として、配線の微細化が困難であることが挙げられる。配線微細化を推し進める為には、表面の粗さを低減する事が必要になってくるが、セラミックスの表面粗さを研磨などの工程で低減することは時間とコストのかかる事が知られている。
高い温度が加わるプロセスを通過させる必要があるときや、発熱する素子を使うことや、エンジンルーム内や、直射日光の当たる場所での使用などの高温環境で使用される場合、加熱と冷却が繰り返されるときに、半導体素子、電気回路に加わる応力を小さくする為には線膨張係数を合わせた材料で構成する事で熱による応力を小さく出来ることは周知の事実である。特に線膨張係数が小さい組合せとすることで、温度変化のある製造プロセスにその後通過させる場合および、使用中に温度を加える事がある場合でも、伸び縮みが少ない為、電気回路、半導体素子に応力が加わる事が少なく、このため、反りも生じにくいことからが安定な電気配線および電気素子をつくることができる。 しかしながらこれらの組み合わせで積層板を作る為には、接着性が良好でなければならないが、必ずしもこれらの低線膨張係数の材料のみで構成させる場合、接着性が良くない為、現実には積層体を作成する事が困難であった。
接着性を向上させる手段として、アルカリ処理を挙げられることはこれまでもあったが(特許文献1参照)、無機のアルカリ処理では、塩を形成する為、金属イオンがポリイミドフィルム中に残ることになりその後の加熱などで、悪影響をおよぼし、却ってこの処理によって脆弱になる事があった。特に表面を化学的に十分改質する事が困難である3,3′,4,4′-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られる芳香族ポリイミドおよび、芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造(骨格)を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドフィルムにおいては、アルカリ処理全般では加熱後、加熱加湿後の接着力の維持は困難であった。
また、無機アルカリKOHによる改質処理でポリイミド分子中のイミド環の加水分解が行なわれ、ポリイミド表面の改質層には、カルボキシル基にカリウムイオンが配位したカルボン酸カリウム塩を形成その後に金属イオンを吸着させる方法も提案されるが(特許文献1、2参照)、これらは、あくまでも金属層を形成する手段であり、ポリイミド上にポリイミドを密着する方法とは容易に変換しうるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−283858号公報
【特許文献2】特開2008−34430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無機基板上に絶縁性で、耐熱性を兼ね備えた線膨張係数が無機層とも半導体素子とも近い値を持った薄いポリイミドに回路などを形成した、高い温度が加わるプロセスを通過させる必要がある場合や、発熱する素子を使う場合や、エンジンルーム内や、直射日光の当たる場所での使用などの高温環境でも良好に使用される電子デバイス作成用の積層体および積層体回路板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討した結果、無機層上のポリイミド層Aと少なくとももう一つのポリイミド層Bとの間に少なくとも電気回路を有する積層体であって、該ポリイミド層A・Bが芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造(骨格)を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドからなり、該積層体の無機層の線膨張係数が、直交する2方向で測っていずれも−3pm/℃〜+10ppm/℃であり、該積層体のポリイミド層A・Bの線膨張係数が、直交する2方向で測っていずれも−5pm/℃〜+8ppm/℃であり、電気回路加工をしたポリイミド層Aの電気回路が在る側を、アルカリ処理全般ではなく、特に有機アルカリ溶液処理をした後に、ポリアミック酸ワニスを塗布して、焼成によってポリイミド層とすることを特徴とする耐熱性と絶縁性とに優れた、表面粗さの小さいポリイミド層をもつ積層体とが、電子デバイス作成などに使用される際に極めて有意義であることを見出した。
すなわち本発明は以下の構成からなる。(以下請求項の記載に合わせて修正します)
1.無機層とポリイミド層との積層体であって、該ポリイミド層がポリイミド層Aとポリイミド層Bの少なくとも2層以上あり、該ポリイミド層Aと該ポリイミド層Bがいずれも主に芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造(骨格)を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドからなり、ポリイミド層Aと該ポリイミド層Bの間および、該無機層と該ポリイミド層Aの間に電気回路を有している部分があり、かつ該無機層と該ポリイミド層Aの間にシランカップリング層を有しており、該無機層と該ポリイミド層Aの間に有機高分子からなる接着剤層を有さず、該シランカップリング層の厚さが50nm以下であり、前記無機層の面内直交2方向の線膨張係数の値が、いずれも−3ppm/℃〜+10ppm/℃で、該無機層と該ポリイミド層との180度剥離強度が1.5N/cm以上、18N/cm以下であることを特徴とする積層体。
2.前記ポリイミド層のうち、ポリイミド層Bによって被覆される側の電気回路を有するポリイミド層Aに有機アルカリ溶液処理が施されていることを特徴とする、1.に記載の積層体。
3.前記各ポリイミド層の厚さが0.5μm〜50μmであり、各ポリイミド層の面内直交2方向のいずれもの線膨張係数が、−5ppm/℃〜+8ppm/℃である1.あるいは2.に記載の積層体。
4.1.〜3.のいずれかに記載の該積層体の、前記電気回路に半導体素子が形成されてなる積層体。
5.前記半導体素子が電力用半導体素子、薄膜トランジスター、センサー、MEMS、太陽電池或は論理回路のいずれかを含むことを特徴とする4.に記載の積層体。
6.前記有機アルカリ溶液処理がテトラメチルアンモニウムヒドロキシドのジメチルスルホキシド溶液による処理であることを特徴とする、2.〜5.のいずれかに記載の積層体。
7.前記無機層の片面上に少なくとも電気回路配線を形成し、次いで該電気回路が形成された面側にシランカップリング剤処理を行った後に、該シランカップリング剤処理面上にポリアミック酸溶液を塗布後、乾燥し次いで熱処理をして前記ポリイミド層Aを形成し、該ポリイミド層A上に少なくとも電気回路配線を形成し、次いで該電気回路が形成された面側に有機アルカリ溶液処理を施し、次いで該有機アルカリ溶液処理面上にポリアミック酸溶液を塗布後、乾燥し次いで熱処理をして前記ポリイミド層Bを形成する1.〜6.のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の積層体は、温度が変化する環境におかれても、伸び縮みが少ない為、電気回路、半導体素子に応力が加わる事が少なく、また、無機基板との線膨張係数に差が少ないことから、反りも生じにくいことからが安定な電気配線および電気素子をつくることができ、また、無機層に比べ、平坦で表面粗さの小さい表面を容易に作れることから、微細配線を作成しやすい、絶縁性で可撓性、耐熱性を兼ね備えた薄いポリイミド層上に回路などを形成した電子デバイス作成などに極めて有意義である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】無機層の上にポリイミド層更にその上に電気回路を作成してその上にポリイミド層を作成した積層体例の断面図。
【図2】ポリイミド層の上に電気回路および半導体素子を作成した場合の無機層上のポリイミド層とポリイミド層積層体例の断面図。
【図3】ポリイミド層の上に電気回路および半導体素子を作成した場合の無機層上のポリイミド層とポリイミド層積層体例の断面図例示。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の積層体におけるポリイミド層とは、少なくともポリイミド層A・Bを有しそのいずれもが、自己支持性のポリイミドであることが好ましく、ポリイミドの種類は、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドのフィルムの線膨張係数(フィルムの長さ方向と幅方向でいずれも)が−3ppm/℃〜+20ppm/℃となるポリイミドであれば特に限定されないが、芳香族テトラカルボン酸類(無水物、酸、およびアミド結合性誘導体を総称して類という、以下同)と芳香族ジアミン類(アミン、およびアミド結合性誘導体を総称して類という、以下同)とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を流延、乾燥、熱処理(イミド化)してフィルム形状となす方法で得られるポリイミドであることが好ましい。これらの溶液に用いられる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
【0009】

本発明に用いるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類の分子構造は特に限定されるものではなく、具体的には以下のものが挙げられる。
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

【0012】
【化3】

【0013】
【化4】

【0014】
【化5】

【0015】
【化6】

【0016】
【化7】

【0017】
【化8】

【0018】
【化9】

【0019】
【化10】

【0020】
【化11】

【0021】
【化12】

【0022】
【化13】

【0023】
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましく、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールがより好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明においては、全ジアミンの30モル%以下であれば下記に例示されるジアミン類を一種または二種以上を併用しても構わない。そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、1、3−(3−アミノプロピル)―1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよび上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0025】
<芳香族テトラカルボン酸無水物類>
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
【0026】
【化14】

【0027】
【化15】

【0028】
【化16】

【0029】
【化17】

【0030】
【化18】

【0031】
【化19】

【0032】
これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0033】
芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応(重合)させてポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるような量が挙げられる。
【0034】
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の重量は、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、前記ポリイミド層を得るためのものでは、凹凸の埋め込み性から、0.1〜1000Pa・sであり、より好ましくは0.5〜500Pa・sであり、前記ポリイミド層を得るためのものでは、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
【0035】
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥することによりグリーンフィルム(自己支持性の前駆体フィルム)を得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
【0036】
本発明において、ポリイミド樹脂溶液を基材上に塗布する方法は、特に限定しないが、例えば、スピンコートなど回転塗布する方法、ドクターブレードやアプリケーター、バーコーター、ベーカー式アプリケーター、マイクロメーター付フィルムアプリケーター、コンマコーターなどスキージを利用する方法、スクリーン印刷法などが挙げられる。
本発明において、基材上に塗布されたポリイミド樹脂溶液から溶媒を除去するための乾燥温度条件は、溶媒を除去できる温度であれば特に限定されるものではないが、350℃以下が好ましく、300℃以下がさらに好ましく、250℃以下がことさらに好ましい。乾燥温度が350℃より高くなると、熱劣化によりシリコンウエハや機能素揮散に時間がかかるため、概ね80℃以上であることが好ましい。
フィルムを接着剤で貼り付けた場合には、接着剤層の耐熱性がポリイミド層より劣る場合に席相対全体の耐熱性がその接着剤層の耐熱性で制限されることになるが、ポリイミド層より高い耐熱性を持つ接着剤は事実上ない。接着剤を使わない本方式ならば、高分子中で最高レベルであるポリイミドの耐熱性を持つことになる。
【0037】
本発明におけるポリイミド層においては、そのポリイミド中に滑剤を添加・含有せしめて、層(フィルム)表面に微細な凹凸を付与し層(フィルム)の接着性などを改善することが好ましい。滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜0.8μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
これらの微粒子はポリイミドに対して好ましくは、0.20〜2.0質量%の範囲で含有させることが必要である。微粒子の含有量が0.20質量%未満であるときは、接着性の向上がそれほどなく好ましくない。一方2.0質量%を超えると表面凹凸が大きくなり過ぎ接着性の向上が見られても平滑性の低下を招くなどによる課題を残し好ましくない。
電気回路の配線幅が微細になってきた場合、滑材の粒子径は配線幅に比べ十分小さい事が望ましい。このため、電気回路を形成する側のポリイミド層厚さ方向少なくとも3μmの部分には20nm以上長径を持つ粒子は入っていないものも望まれる。このことにより、電気回路層と接している側の高分子層は平滑となり、平滑な電気回路層との原子レベルで見た接触確率が上がり、接着に好適となる。また好ましくは、電気回路層と接している側の高分子層の5μm以上の部分が20nm以上長径を持つ粒子は入っていない事が好ましい。
【0038】
本発明におけるポリイミド層A・Bの厚さは、充分な絶縁性を持ち、電気特性その他の特性を維持する以上に厚いと、乾燥肯定に時間がかかり作成は困難であり、膜形成にコストと時間がかかり望ましくない、このため、実現範囲としては、0.5μm〜50μmであり、より好ましくは1μmから15μmの範囲である。
【0039】
本発明の積層体における無機層とは、セラミックおよびガラスの層、および、これらガラス板、セラミック板の複合体として、これらを積層したもの、これらが分散されているもの、これらの繊維が含有しているものなどが上げられる。
【0040】
本発明の積層体におけるセラミック層とはAL、Mullite、AlN、SiC、Si4、結晶化ガラス、Cordierite、Spodumene、Pb-BSG+CaZrO3+Al2O3、 Crystallized glass+Al2O3、 Crystallized Ca-BSG, BSG+Quartz、 BSG+ Quartz, BSG+ Al2O3、 Pb-BSG+Al2O3、 Glass−ceramic、ゼロデュア材などの 基盤用セラミックス、TiO2、、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム。アルミナ、MgO、ステアタイト、BaTi4O9、BaTi03、BaTi03+CaZrO3、BaSrCaZrTio3、Ba(TiZr)O3、PMN-PT PFN-PFWなどのキャパシター材料、PbNb2O6、Pb0.5Be0.5Nb2O6, PbTiO3, BaTiO3, PZT, 0.855PZT-.95PT-0.5BT, 0.873PZT-0.97PT-0.3BT, PLZTなどの圧電材料が含まれる。
【0041】
本発明の積層体におけるガラス層とは石英ガラス、高ケイ酸ガラス(96%シリカ)、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標))、ホウケイ酸ガラス(無アルカリ)、ホウケイ酸ガラス(マイクロシート)、アルミノケイ酸塩ガラスが含まれる。中でも線膨張係数が5ppm/℃以下のものが望ましく、液晶用ガラスのコーニング1753、イーグルXG、日本電気硝子 OA-10G、旭硝子AN100などが望ましい。
【0042】
本発明における線膨張係数とは、30から300℃の間で測った平均値をCTEとして算出している。金属やセラミックスではこの温度範囲で変化がない事が多いが、ポリイミド層ではこの温度範囲で、CTEが変化する事があるが、測定下限を0℃、30℃、50℃といったものに置き換えてもよく、測定上限を200℃、300℃、400℃に置き換えることも可能である。
【0043】
本発明の積層体における無機層の線膨張係数とは、−3ppm/℃〜+10ppm/℃であり、より好ましくは−2ppm/℃〜+8ppm/℃である。これより大きいものでは、熱履歴により部分的に応力が加わる事があり、反りの発生やポリイミド層の剥離がおき易くなる。
【0044】
本発明の積層体におけるポリイミド層の線膨張係数とは、−5ppm/℃〜+8ppm/℃であり、より好ましくは−2ppm/℃〜+3ppm/℃である。線膨張係数の無機層との差が大きいと、熱がかかった場合に応力が発生して、回路に欠陥が発生し易くなる。
【0045】
本発明における180度剥離強度とは、1.5N/cm以上18N/cm以下であり、より好ましくは3N/cm以上 8N/cm以下である。1.5N/cm以下では実用的デバイスとしての利用が困難であり、18N/cm以上の実現は技術的に困難である。
【0046】
本発明におけるシランカップリング剤層とは、シランカップリング剤を使った処理によって出来た層を指し、シランカップリング剤の溶液を無機層に塗布乾燥し熱処理する方法、シランカップリング剤の溶液中にポリイミド層を浸漬した後に乾燥し熱処理する方法、ポリイミド層の作成時に添加し、フィルム作成と同時にカップリング剤処理する方法を例示出来る。また、処理中のpHが性能に大きく影響する事が知られており、適宜pHを調整すればよい。
本発明の無機層とポリイミド層Aの間には有機高分子からなる接着剤層が介在しない。ここで本発明でいう有機高分子からなる接着剤層はSiの成分重量比10%未満のものをさす。あるのはシランカップリング剤に由来するSiを10重量%以上多く含むもののみである。シランカップリング剤層を用いることで中間層を薄くできるので加熱中の脱ガス成分が少なく、ウェットプロセスにおいても溶出しにくく、仮に溶出が起きても微量にとどまるという効果が出る。
【0047】
本発明におけるシランカップリング剤層の厚さは50nm以下であり、より好ましくは20nm以下である。これより厚いと、ポリイミド層を変質させる事があり、また、粗な膜になりやすいために、剥離強度を落とす原因となる。しかし5nm以下では、密着させる為に有効量以下となって、剥離強度を向上させる効果が少なくなる。
【0048】
本発明における有機アルカリ溶液処理とは、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、などアミン類から選択される有機化合物の有機溶媒溶液、およびまたは水溶液中に電気回路を有するポリイミド層を浸漬する処理が挙げられる。浸漬の変形として、有機アルカリ溶液をコーティングしても良い。これらの有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して更には水とも混合して使用することができる。望ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのジメチルスルホキシド溶液が上げられる。溶媒の使用量は、アミン類を溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常0.01〜40重量%、好ましくは0.5〜10重量%となるような量が挙げられる。処理温度としては、室温付近で行なえる。処理時間としては、0.1minから20minより望ましくは、0.3minから5min程度が上げられる。これより長いと、プロセスコストが上昇し、これより短い場合、時間コントロールが、難しくなる。また、有機溶媒を使わない、水溶液やエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール溶液などを利用することもできるが、この場合、バッチ処理で数時間から数十時間液に浸漬する処理とすることで同様の効果を得られる。
この処理を行わず、ポリイミド層にポリアミック酸溶液を塗布後、乾燥し次いで熱処理をして前記ポリイミド層を形成した場合、ポリイミド層とポリイミド層の180度剥離強度は1N/cm以下となり、容易に剥離するが、上記処理を行うことによって5N/cm以上の180度剥離強度が得られ、この剥離強度は、PCT処理を行うことによっての低減も少なく、PCT処理後も4N/cm以上の180度剥離強度が得られる。ポリイミド層にプラズマ処理を行った後に、ポリアミック酸溶液を塗布後、乾燥し次いで熱処理をして前記ポリイミド層を形成した場合、初期の180度剥離強度は5N/cm以上となるが、このサンプルのPCT処理後の180度剥離強度は、1N/cm以下となる。180度剥離強度1N/cm以下では容易に剥離し、実用上問題がある。4N/cm以上あれば通常の取り扱い上問題がない。またこの処理を適正に行えば10N/cm以上の180度剥離強度も得られ、この場合殆どの電気回路用途で全く問題なく使用する事が出来る。この有機アルカリ処理と併用して、補助的に別の表面処理としてプラズマ処理、UV処理、シランカップリング剤処理、グラフト化処理などを行っても良い。
【0049】
本発明におけるプラズマ処理は、特に限定されるものではないが、真空中でのRFプラズマ処理、マイクロ波プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理などがあり、フッ素を含むガス処理、イオン源を使ったイオン打ち込み処理、PBII法を使った処理、フレーム処理、イトロ処理なども含める。これらの中でも真空中でのRFプラズマ処理、マイクロ波プラズマ処理、大気圧プラズマ処理が好ましい。
【0050】
本発明における電気回路とは、銅、Al、Ni、Au、Ag、Cr、Mo、Tiなどを主成分とする。金属配線のことを言う。望ましくは銅配線にポリイミドフィルムとの間にバリア層として、NiCr合金やTi合金が入っている物が挙げられる。
【0051】
本発明における半導体素子とは、電力用半導体素子、薄膜トランジスター、センサー、太陽電池或は論理回路、MEMS素子、発光素子、受光素子、アクチュエーター素子、および、市販の半導体素子チップを貼り付けるものも含む。
【0052】
本発明における電力用半導体素子とは、電力の変換や制御用に最適化された半導体で、通常の半導体素子に比べて高耐圧化、大電流化、高速・高周波化されているものをいう。整流ダイオード、パワートランジスタ、パワーMOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ (IGBT)、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ (GTO)、トライアックなどを含む。
【0053】
本発明における薄膜トランジスターとは、トランジスターを構成する半導体層および素子を構成する絶縁膜、電極、保護絶縁膜などが、薄膜を堆積させて作製されているものをいう。通常シリコンウェハーのシリコンを半導体層として使用するものとは、区別する。通常薄膜を真空蒸着などのPVD(物理的蒸着)、プラズマCVDなどのCVD(化学的蒸着)といった、真空を利用する手法によって作製する。このため、シリコンウェハーのように単結晶ではないものを含む。Siを使っても、微結晶シリコンTFT、高温ポリシリコンTFT、低温ポリシリコンTFT、そして酸化物半導体TFT、有機半導体TFTなどを含む。
【0054】
本発明におけるセンサーとは、ストレインゲージ(ひずみゲージ) , ロードセル, 半導体圧力センサー , 光センサー , 光電素子 , フォトダイオード , 磁気センサー , 接触式温度センサー , サーミスタ温度センサー , 抵抗測温体温度センサー , 熱電対温度センサー , 非接触式温度センサー , 放射温度計 , マイクロフォン , イオン濃度センサー , ガス濃度センサー , 変位 センサー, ポテンショメータ , 差動トランス変位 センサー , 回転角センサー , リニアエンコーダ , タコジェネレータ , ロータリエンコーダ , 光位置センサー (PSD) , 超音波距離計 , 静電容量変位計 , レーザードップラー振動速度計 , レーザドップラー流速計 , ジャイロセンサー , 加速度センサー, 地震センサー, 一次元画像, リニアイメージセンサー, 二次元画像, CCDイメージセンサー, CMOSイメージセンサー, 液, 漏液センサー(リークセンサー), 液検知センサー(レベルセンサー), 硬度センサー, 電場センサー, 電流センサー, 電圧センサー, 電力センサー, 赤外線センサー, 放射線センサー, 湿度センサー, においセンサー, 流量センサー, 傾斜センサー, 振動センサー, 時間センサーおよび、これらのセンサーを複合した複合センサーや、これらのセンサーで検出した値から何らかの計算式に基づき別の物理量や感性値などを出力するセンサーなどがを含む。
【0055】
本発明におけるMEMSとは、MEMS技術を利用して作成した物をさし、インクシ゛ェットプリンターヘッド、走査型プローブ顕微鏡用プローブ、 LSIフ゜ローバー用コンタクタ、マスクレス露光用光空間変調器、 光集積化素子、 赤外線センサー、 流量センサー、加速度センサー、MEMSジャイロセンサー、RF MEMS スイッチ、 体内、体外血圧センサーそして、グレーティングライトバルブ、デジタルマイクロミラーデバイスなどを使ったビデオプロジェクター、などを含む。
【0056】
本発明における太陽電池とは、上述した積層体のポリイミド層上に半導体からなる光電変換層を含む積層体が形成されてなる。この場合ポリイミド層は可視光を透過するものが望ましい。前記積層体は、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換層を必須の構成として有し、通常、得られた電気エネルギーを取出すための電極層などをさらに有するものである。
以下、フィルム状太陽電池を構成するよう形成される上記積層体の典型例として、光電変換層を一対の電極層で挟んでなる積層構造を説明する。しかし光電変換層を何層か積み重ねた構成なども、PVD,CVDでの作製ならば、本発明の太陽電池といえる。本発明で形成される積層構造は以下に記載される態様に限定されず、従来技術の太陽電池が有する積層体の構成を適宜参照してよく、保護層や公知補助手段を付加してもよいものである。
上記一対の電極層における一方の電極層(以下、裏面電極層とも記載する)は、好ましくは、フィルム基材の一主面上に形成される。裏面電極層は自体公知の方法、例えばCVD(ケミカル・ベ−パ−・デポジション)法やスパッタ法によって、導電性無機材料を積層することによって得られる。導電性無機材料としては、Al、Au、Ag、Cu、Ni、ステンレス鋼などの金属薄膜や、In23、SnO2、ZnO、Cd2SnO4、ITO(In23 にSnを添加したもの)などの酸化物半導体系の導電材料などが挙げられる。裏面電極層の厚さは特に限定はなく、通常、30〜1000nm程度である。好ましくは、裏面電極層は金属薄膜である。また、一部の電極引き出しで、Agペーストといった真空を利用しない膜形成を使用しても、本発明の太陽電池といえる。
【0057】
太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換層は、半導体からなる層であり、I族元素とIII族元素とVI族元素とからなる化合物半導体薄膜(カルコパイライト構造半導体薄膜)であるCuInSe2(CIS)膜、またはこれにGaを固溶したCu(In,Ga)Se(CIGS)膜(以下、両者をまとめてCIS系膜ともいう)、シリコン系半導体からなる層である。シリコン系半導体には、薄膜シリコン層、無定形シリコン層、多結晶シリコン層などが挙げられる。光電変換層は、異なる半導体からなる複数の層を有する積層体であってもよい。また、色素を用いた光電変換層であっても良い。
薄膜シリコン層は、プラズマCVD法、熱CVD法、スパッタリング法、クラスタイオンビーム法、蒸着法などによって得られるシリコン層である。
無定形シリコン層は、実質的に結晶性をもたないシリコンからなる層である。実質的に結晶性をもたないことは、X線を照射しても回折ピークを与えないことによって確かめることができる。無定形シリコン層を得る手段は公知であり、そのような手段には、例えば、プラズマCVD法や熱CVD法などが含まれる。
多結晶シリコン層は、シリコンからなる微小結晶の集合体からなる層である。上述の無定形シリコン層とは、X線の照射により回折ピークを与えることによって区別される。多結晶シリコン層を得る手段は公知であり、そのような手段には、無定形シリコンを熱処理する手段などが含まれる。
本発明で用いる光電変換層は、シリコン系半導体層に限られず、例えば、厚膜半導体層であってもよい。厚膜半導体層とは酸化チタン、酸化亜鉛、ヨウ化銅などのペーストから形成される半導体層である。
半導体材料を光電変換層として構成する手段は公知の方法を適宜参照してよい。例えば、200〜500℃の温度下で、SiHにフォスフィン(PH)を添加したガス中で高周波プラズマ放電を行うことで約20nmのa−Si(n層)を形成し、続いてSiHガスのみで約500nmのa−Si(i層)を形成し、続いてSiHにジボラン(B)を添加して、約10nmのp−Si(p層)を形成することができる。
【0058】
光電変換層を挟む一対の電極層のうち、フィルム基材とは反対側に設けられる電極層(以下、集電電極層ともいう)は、導電フィラーとバインダー樹脂を含む導電性ペーストを固めてなる電極層であったり、透明電極層であったりしてもよい。透明電極層としては、In、SnO、ZnO、CdSnO、ITO(InにSnを添加したもの)などの酸化物半導体系の材料を好ましく用いることができる。
かくして、本発明の好適な態様例である、透明電極/p型a−Si/i型a−Si/n型a−Si/金属電極/ポリイミドフィルム層の順で積層されてなるフィルム状太陽電池が得られる。
また、p層をa−Si、n層を多結晶シリコンとして、両者の間に薄いアンド−プa−Si層を挿入した構造にしてもよい。特に、a−Si/多結晶シリコン系のハイブリッド型にすると、太陽光スペクトルに対する感度が改善される。
太陽電池の作成においては、上記構成に加えて、反射防止層、表面保護層などを付加せしめてもよい。
【0059】
本発明における論理回路とは、NAND、ORを基本とした論理回路および、クロックにより、同期が取られたものも含む。
【実施例】
【0060】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
【0061】
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
2.ポリイミド層などの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
3.ポリイミド層の引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
上記力学特性測定用サンプルは、8インチのシリコンウェハー上に、シランカップリング剤を塗布する事無く、ワニスを塗布した。 塗布はスピンコーターにて、焼成後膜厚が5μmとなるように調整した。 100℃にて乾燥を10分行なった後に、N2を流しているマッフル炉に入れて、3℃/minの昇温速度で室温から350℃に昇温して、350℃で、1時間温度を維持してワニスを焼成した。この後にポリイミド層を剥がしたものを使い、測定した。 塗布および焼成条件は、測定対象のポリイミド層を、100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(R) 機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。
【0062】
4.180度剥離強度
JIS C6471 の180度剥離法に従って、試料の剥離強度は下記条件で180度剥離試験を行うことで求めた。剥離強度測定用サンプルは、パターンをつける前の無機層にポリイミド層を実施例1と同様にしてつけたもので測定した。具体的にはポリイミド層Bを付けた後にニッカン工業製SAFWと更にその上に、大き目の市販ポリイミドフィルム25μm厚のものを100℃にてロールラミネート後に、160℃1時間のプレスを行い、室温冷却の後にSAFWを挟んだ両側の市販ポリイミドフィルムと無機層ポリイミド層積層体とを市販ポリイミドフィルムが180度折れ曲がる側として、N=5の測定を行い平均値を測定値とした。
装置名 ; 島津製作所社製 オートグラフAG−IS
測定温度 ; 室温
剥離速度 ; 50mm/min
雰囲気 ; 大気
測定サンプル幅 ; 1cm

8N/cm付近でポリイミド層BとSAFWの界面剥離或は、SAFWの材料破壊との混合破壊が起きる為、無機層とポリイミド層の剥離強度はそれ以上とのみ推定できる。
【0063】
5.線膨張係数(CTE)
測定対象のポリイミド層を、直交する2方向において、下記条件にて伸縮率を測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、…と15℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値をCTEとして算出した。試料は前記3.ポリイミド層の引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度の測定用試料を用いた。
機器名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
荷重 ;35g/mm
6.シランカップリング剤層厚さの測定法
シランカップリング層厚さはSiウェハーに作成した膜厚を測定した。
膜厚測定法は、エリプソメトリーにて行い、測定器はPhotal社製FE-5000を使用した。この測定器のハード仕様は以下の通りである。
反射角度範囲 45から80°、波長範囲 250から800nm、波長分解能1.25nm、スポット径 1mm、tanΨ 測定精度±0.01、cosΔ 測定精度±0.01、方式回転検光子法。
測定は偏向子角度 45°、入射 70°固定、検光子は11.25°刻みで0〜360°、250〜800nmの測定を行った。
非線形最小2乗法によるフィッティングで、膜厚を求めた。このとき、モデルとしては、Air/薄膜/Siのモデルで、
n=C3/λ+C2/λ2+C1
k=C6/λ+C5/λ2+C4
の式で波長依存C1〜C6を求めた。
実施例、比較例共に塗布条件は実施例1と同じであり、この条件での塗布量は15nmであった。
【0064】
〔ワニス製造例1〕
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール22.53質量、N―メチルー2−ピロリドン176.44質量部を導入し、完全に溶解させた後、ピロメリット酸二無水物19.62質量部、マレイン酸無水物1.96質量部を導入し、25℃の反応温度で24時間攪拌すると、黄色で粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。これをワニスAと呼ぶ。このワニスの測定結果とこのワニスからポリイミド層を作ったときの機械特性を表1にまとめた。
【0065】
〔ワニス製造例2〕
(ポリアミド酸溶液Bの作成)
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール20.27質量部、1、3−(3−アミノプロピル)―1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン2.63質量部、N―メチルー2−ピロリドン178.16質量部を導入し、完全に溶解させた後、ピロメリット酸二無水物20.07質量部、マレイン酸無水物1.57質量部を導入し、25℃の反応温度で24時間攪拌すると、黄色で粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。これをワニスBと呼ぶ。このワニスの測定結果とこのワニスからポリイミド層を作ったときの機械特性を表1にまとめた。
【0066】
〔ワニス製造例3〕
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル20.02質量部、N―メチルー2−ピロリドン166.40質量部を導入し、完全に溶解させた後、ピロメリット酸二無水物19.62質量部、マレイン酸無水物1.96質量部を導入し、25℃の反応温度で24時間攪拌すると、黄色で粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。これをワニスCと呼ぶ。このワニスの測定結果とこのワニスからポリイミド層を作ったときの機械特性を表1にまとめた。
【0067】
【表1】

【0068】
実施例1
あらかじめ配線のテストハ゜ターンを導電ペーストにて印刷焼成したAl基板を入手して、これに、1wt%のシランカップリング剤(3−アミノプロピルトリメトキシシラン:商品名KBM903信越シリコーン)を2プロパノールにて希釈した液をスピンコーターにて塗布して100℃のホットプレートに1分間置いた。この後ワニスAを塗布した。塗布はスピンコーターにて、焼成後膜厚が5μmとなるように調整した。 100℃にて乾燥を10分行なった後に、炉内雰囲気を窒素に置換したマッフル炉に入れて、3℃/minの昇温速度で室温から350℃に昇温して、350℃で、1時間温度を維持してワニスを焼成したポリイミド層Aを形成した。この後に膜厚を測定すると5μm厚であった。次いで、このワニス膜にCO2レーザーを電流値12A、周波数200Hz、ON時間24μsec、ショット回数4回にて、照射して、Φ80μmの穴を開けた。
この後に、Al2O3基板をワニス膜側をスパッタ薄膜堆積側として、スパッタリング装置内の基板ホルダーに固定した。基板ホルダーと、Al2O3は密着するように固定する。基板ホルダー内に冷媒を流すことによってAl2O3の温度を設定できる。基板温度を2℃に設定した。次いでワニス膜表面のプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件はアルゴンガス中で、周波数13.56MHz、出力200W、ガス圧1×10−3Torrの条件であり、処理時の温度は2℃、処理時間は2分間であった。次いで、周波数13.56MHz、出力450W、ガス圧3×10−3Torrの条件、ニッケル−クロム(クロム10wt%)合金のターゲットを用い、アルゴン雰囲気下にてDCマグネトロンスパッタリング法により、1nm/秒のレートで厚さ7nmのニッケル−クロム合金被膜(下地層)を形成し、次いで、基板の温度を2℃に設定するよう、基板のスパッタ面の裏面を2℃に温度コントロールした冷媒を中に流した、基板ホルダーのSUSプレートと接する状態でスパッタリングを行った。10nm/秒のレートで銅を蒸着し、厚さ0.25μmの銅薄膜を形成させた。銅およびNiCr層の厚さは蛍光X線法によって確認した。

ワニス膜上にCu薄膜をつけたものに、硫酸銅めっき浴をもちいて、10μm厚さの厚付銅層を形成した。電解めっき条件は電解めっき液(硫酸銅80g/l、硫酸210g/l、HCl、光沢剤少量)に浸漬、電気を1.5Adm流した。これにより厚さ4μmの厚付け銅メッキ層(厚付け層)を形成し引き続き120℃で10分間熱処理乾燥し、金属膜付きワニス膜をつけたAl2O3を得た。
得られた試料を使用し、フォトレジスト:FR−200、シプレー社製を塗布・乾燥後にガラスフォトマスクで密着露光し、さらに1.2質量%KOH水溶液にて現像した。次に、HClと過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cm2のスプレー圧でエッチングし、ライン/スペース=50μm/50μmのライン列をテストパターンとして形成を行った。光学顕微鏡で観察して、だれ、パターン残りの無い良好なパターンが得られた。
次いでTMAH(2.5wt%)、水(7.5wt%)、 DMSO(90wt%)混合溶液200ccを作成し、パッドに入れ、この中に上記のパターンを作成した積層体を1分浸漬後に取り出して、液を切ってから、メチルアルコールを入れたパッドに1分浸漬、取り出して液を切ってから、純水を入れたパッドに1分浸漬した後に乾燥させた。この積層体の銅配線のある側を上にしてガラス板にカプトンテープで固定後に、アプリケーターを使ってワニスXAを塗布した。塗布厚は、焼成した後に5μm厚となるように、ポリイミド層Bの厚さを調整した。 今回アプリケーターギャップは50μmであった。その後にガラス板と共に、マッフル炉に100℃20分入れ乾燥させる。これを取り出し、ガラス板からこの積層体を取り外し、次に再度マッフル炉にいれて、室温から350℃に3℃/分の昇温速度で、80分かけ昇温後に350℃で1時間保持した。 この後にマッフル炉から取り出し、積層体を得た。評価結果などを表2に示す。
【0069】
実施例2
使用するワニスをワニスAからワニスBに変えた以外は実施例1と同じとして積層板2を得た。
【0070】
実施例3
使用する基板をAl2O3からSi3N4に変えた以外は実施例1と同じとして積層板3を得た。
【0071】
実施例4
使用する基板をAl2O3からSi3N4に変えた以外は実施例2と同じとして積層板4を得た。
【0072】
実施例5
使用する基板をAl2O3から青板カ゛ラスに変えた以外は実施例1と同じとして積層板5を得た。
【0073】
比較例1
使用するワニスをワニスAからワニスCに変えた以外は実施例1と同じとして積層板6を得た。
【0074】
比較例2
使用する基板をAl2O3からSi3N4に変えた以外は実施例3と同じとして積層板7を得た。
【0075】
比較例3
ワニス塗布前にシランカップリング剤処理を行わないように変えた以外は実施例1と同じとして積層板8を得た。
【0076】
比較例4
ワニス塗布前にTMAHを含む溶液による処理を行わないように変えた以外は実施例3と同じとして積層板9を得た。
【0077】
【表2】


上段、下段は直交2方向の測定値
(*)はSAFWとポリイミド層Bの界面剥離
【0078】
【表3】


上段、下段は直交2方向の測定値
(*)はSAFWとポリイミド層Bの界面剥離
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の多層積層体は、特定物性の耐熱性ポリイミド層とセラミック層とが積層された多層基板であって、前記セラミック層にはインピーダンス素子などが形成されるとともに、前記耐熱性ポリイミド層には導体回路や電子部品が装着される多層基板であり、セラミック層にインピーダンス素子などが形成されているので、温度変化に対して安定するとともに正確な値を維持することができ、ポリイミド層に導体回路が形成できるため細密回路が形成できるので、基板の実装密度が向上し小型化が可能となり、セラミック層をその内部に有しているため多層基板としての湾曲が抑えられかつ、セラミック層とポリイミド層との線膨張係数の乖離がなくそのために多層基板の反りや基板内での剥がれなどが少ないため多層基板として極めて有用である。
さらに温度サイクルが加えられた後も良好な高温高湿度下での接着信頼性を兼ね備え、さらにセラミック層との線膨張係数差が小さく、ベアチップ実装時の接続信頼性が高いインターポーザ用多層基板を作製することが可能であり、産業上極めて有意義な物である。
【符号の説明】
【0080】
(図1)
1:無機層
2:電気回路部
3:ポリイミド層
4:ポリイミド層
5:電気回路部
(図2)
1:無機層
2:無機層上の電気回路部
3:貫通電極
4:ポリイミド層
5:電気回路部
6:半導体素子
7:ポリイミド層
(図3)
1:無機層
2:無機層上の電気回路部
3:貫通電極
4:ポリイミド層
5:電気回路部
6:半導体素子
7:ポリイミド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機層とポリイミド層との積層体であって、該ポリイミド層がポリイミド層Aとポリイミド層Bの少なくとも2層以上あり、該ポリイミド層Aと該ポリイミド層Bがいずれも主に芳香族テトラカルボン酸類とベンゾオキサゾール構造(骨格)を有する芳香族ジアミン類との反応によって得られるポリイミドからなり、ポリイミド層Aと該ポリイミド層Bの間および、該無機層と該ポリイミド層Aの間に電気回路を有している部分があり、かつ該無機層と該ポリイミド層Aの間にシランカップリング層を有しており、該無機層と該ポリイミド層Aの間に有機高分子からなる接着剤層を有さず、該シランカップリング層の厚さが50nm以下であり、前記無機層の面内直交2方向の線膨張係数の値が、いずれも−3ppm/℃〜+10ppm/℃で、該無機層と該ポリイミド層との180度剥離強度が1.5N/cm以上、18N/cm以下であることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記ポリイミド層のうち、ポリイミド層Bによって被覆される側の電気回路を有するポリイミド層Aに有機アルカリ溶液処理が施されていることを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記各ポリイミド層の厚さが0.5μm〜50μmであり、各ポリイミド層の面内直交2方向のいずれもの線膨張係数が、−5ppm/℃〜+8ppm/℃である請求項1あるいは請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の該積層体の、前記電気回路に半導体素子が形成されてなる積層体。
【請求項5】
前記半導体素子が電力用半導体素子、薄膜トランジスター、センサー、MEMS、太陽電池或は論理回路のいずれかを含むことを特徴とする請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
前記有機アルカリ溶液処理がテトラメチルアンモニウムヒドロキシドのジメチルスルホキシド溶液による処理であることを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】
前記無機層の片面上に少なくとも電気回路配線を形成し、次いで該電気回路が形成された面側にシランカップリング剤処理を行った後に、該シランカップリング剤処理面上にポリアミック酸溶液を塗布後、乾燥し次いで熱処理をして前記ポリイミド層Aを形成し、該ポリイミド層A上に少なくとも電気回路配線を形成し、次いで該電気回路が形成された面側に有機アルカリ溶液処理を施し、次いで該有機アルカリ溶液処理面上にポリアミック酸溶液を塗布後、乾燥し次いで熱処理をして前記ポリイミド層Bを形成する請求項1〜6のいずれかに記載の積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−190976(P2012−190976A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52729(P2011−52729)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】