積層型電子部品
【課題】低周波帯域で低インピーダンスを保ちつつ、高周波帯域で高インピーダンスにすることが可能な電子部品の実装構造に用いられる積層型電子部品を提供する。
【解決手段】電流を供給するための電源ライン1,2の間にコンデンサ10とフェライトビーズインダクタ20とが直列となるように接続される実装構造に用いられるフェライトビーズインダクタ20であって、当該フェライトビーズインダクタ20は、主成分としてフェライト材料を含むビーズ素体23と、ビーズ素体23の第1の側面23cに配置される第1の端子電極21A〜21Dと、ビーズ素体23の第2の側面23dに配置される第2の端子電極22A〜22Dと、ビーズ素体23内に配置され第1及び第2の端子電極21A〜21D,22A〜22Dに接続される内部導体25とを備えている。
【解決手段】電流を供給するための電源ライン1,2の間にコンデンサ10とフェライトビーズインダクタ20とが直列となるように接続される実装構造に用いられるフェライトビーズインダクタ20であって、当該フェライトビーズインダクタ20は、主成分としてフェライト材料を含むビーズ素体23と、ビーズ素体23の第1の側面23cに配置される第1の端子電極21A〜21Dと、ビーズ素体23の第2の側面23dに配置される第2の端子電極22A〜22Dと、ビーズ素体23内に配置され第1及び第2の端子電極21A〜21D,22A〜22Dに接続される内部導体25とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関し、特に所定の実装構造等に用いられる積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電源や信号等の配線を介したノイズの漏洩や侵入を防止するためのノイズフィルタとして、例えば特許文献1に記載のインダクタとキャパシタとが組み合わされた電子部品が従来知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−234755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子機器の高周波化に伴い、電子機器に用いられる部品についても高周波化に対応することが求められている。しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の電子部品では、高周波に対応すべく高周波帯域での抵抗成分を大きくすると、低周波帯域での直流抵抗も含め、全帯域での抵抗、ひいてはインピーダンスが大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、低周波帯域で低インピーダンスを保ちつつ、高周波帯域で高インピーダンスにすることが可能な電子部品の実装構造等に用いられる積層型電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ところで、本願発明者は、高周波帯域で高インピーダンスとなる電子部品の実装構造を実現すべく鋭意研究を重ねたところ、低周波帯域ではインダクタ成分が機能し、高周波帯域では主に抵抗成分が機能するビーズインダクタの特徴に着目した。そして、低周波帯域では低インピーダンスであって高周波帯域では高インピーダンスとなる電子部品の実装構造に、低周波帯域と高周波帯域とで振る舞いが異なるというビーズインダクタの特徴を利用することに思い至り、コンデンサとビーズインダクタを直列に電源ラインの間に接続する実装構造に想到した。
【0007】
このような検討結果を踏まえ、本発明の積層コンデンサは、電源に電流を供給するための電源ラインに接続される電子部品の実装構造であって、電子部品として、コンデンサとビーズインダクタとを備え、電源ラインの間に、直列となるようにコンデンサ及びビーズインダクタを実装することを特徴とする。
【0008】
上記実装構造によれば、コンデンサとビーズインダクタとが直列となるように電源ライン間に接続されるので、ビーズインダクタの抵抗成分がコンデンサの等価直列抵抗(以下、単にESRという)として作用する。ビーズインダクタの抵抗成分は直流抵抗成分と高周波帯域で増加する損失との和で構成される。よって、この実装構造によれば、高周波帯域でのインピーダンスを増加させることが可能になり、高周波ノイズを好適に除去することが可能となる。一方、ビーズインダクタは低周波帯域では抵抗成分よりむしろインダクタ成分が機能するため、上記実装構造は低周波帯域でインピーダンスを小さく保つことが可能となる。そして、低周波ノイズに対しては、コンデンサを実装しているため、当該コンデンサでその低周波ノイズは吸収され好適に除去することができる。
【0009】
ビーズインダクタは、ビーズインダクタアレイであることが好ましい。ビーズインダクタアレイを実装することにより、直流抵抗及び等価直列インダクタンス(以下、単にESLという)を小さくでき、その結果低周波帯域でのインピーダンスを小さくすることができる。
【0010】
ビーズインダクタは、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面と、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面の長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面と、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面の短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面とを有し、主成分としてフェライト材料を含むビーズ素体と、ビーズ素体の第1の側面に配置される第1の端子電極と、ビーズ素体の第2の側面に配置される第2の端子電極と、ビーズ素体内に配置され、第1及び第2の端子電極に接続される内部導体と、を備えることが好ましい。この場合、ビーズインダクタの内部導体を通過する電流経路が短くなるので、実装構造において直流抵抗及び等価直列インダクタンス(ESL)を小さくでき、その結果低周波帯域でのインピーダンスを小さくすることができる。
【0011】
コンデンサは、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面と、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面の長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面と、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面の短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面とを有し、誘電体特性を示すコンデンサ素体と、コンデンサ素体の第1の側面に配置される第1の端子電極と、コンデンサ素体の第2の側面に配置される第2の端子電極と、第1の端子電極に接続される第1の内部電極と、第2の端子電極に接続される第2の内部電極と、を備え、第1及び第2の内部電極は、コンデンサ素体内に当該コンデンサ素体の一部を間に挟んで対向するように配置されていることが好ましい。この場合、内部電極を通過する電流経路が短くなるので、コンデンサのESLを小さくするこができる。
【0012】
電子部品は、素体と、素体の外表面に配置される第1及び第2の端子電極並びに第1及び第2の外部接続導体と、を備え、素体は、コンデンサであるコンデンサ部とビーズインダクタであるビーズ部とを有し、素体のコンデンサ部は、誘電体特性を示すと共に、素体内に当該素体の一部を間に挟んで対向するように配置された第1及び第2の内部電極を有し、素体のビーズ部は、フェライト材料を含むと共に、素体内に配置された第1及び第2の内部導体を有し、コンデンサ部の第1の内部電極は、第1の外部接続導体に接続され、コンデンサ部の第2の内部電極は、第2の外部接続導体に接続され、ビーズ部の第1の内部導体は、第1の端子電極及び第1の外部接続導体の双方に接続され、ビーズ部の第2の内部導体は、第2の端子電極及び第2の外部接続導体の双方に接続されていてもよい。この場合、1つの部品にコンデンサ及びビーズインダクタが含まれるため、1つの部品のみ実装すればよく、実装効率がよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、低周波帯域で低インピーダンスを保ちつつ、高周波帯域で高インピーダンスにすることが可能な電子部品の実装構造等に用いられる積層型電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る実装構造を概略的に示す図である。
【図2】実施形態に係る実装構造が備えるコンデンサの概略斜視図である。
【図3】実施形態に係る実装構造が備えるコンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【図4】実施形態に係る実装構造が備えるビーズインダクタアレイの概略斜視図である。
【図5】実施形態に係る実装構造が備えるビーズインダクタアレイに含まれるビーズ素体の側面の構成を説明するための図である。
【図6】実施形態に係る実装構造が備えるビーズインダクタアレイに含まれるビーズ素体の分解斜視図である。
【図7】実施形態に係る実装構造の等価回路図である。
【図8】実装された電子部品の周波数に対するESRのグラフである。
【図9】実施形態の変形例に係る実装構造が備える電子部品の概略斜視図である。
【図10】図9に示す電子部品のIX−IX矢印断面の構成を説明するための図である。
【図11】実施形態の変形例に係る実装構造が備える電子部品に含まれる素体の分解斜視図である。
【図12】実施形態の変形例に係る実装構造の等価回路図である。
【図13】実施形態の変形例に係る実装構造が備えるビーズインダクタの概略斜視図である。
【図14】実施形態の変形例に係る実装構造が備えるビーズインダクタに含まれるビーズ素体の分解斜視図である。
【図15】実施形態の変形例に係る実装構造の等価回路図である。
【図16】変形例に係る実装構造におけるビーズインダクタ及びコンデンサの実装構造を概略的に示す図である。
【図17】図16に示す実装構造の等価回路図である。
【図18】変形例に係る実装構造におけるビーズインダクタ及びコンデンサの実装構造を概略的に示す図である。
【図19】図18に示す実装構造の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
図1に基づいて、実施形態に係る実装構造について説明する。図1は、本実施形態に係る電子部品の実装構造を概略的に示す図である。実施形態に係る電子部品の実装構造では、電源供給用電流路を形成する電源ライン1、2に接続される電子部品として、コンデンサ10とビーズインダクタアレイ20とを実装する。
【0017】
電源ライン1、2は、ICチップ6の端子電極7A、7Bにそれぞれ接続されている。電源ライン1から分岐した配線3Aは、ランド電極4Aに接続されている。電源ライン2から分岐した配線3Cは、ランド電極5Bに接続されている。配線3Bは、ランド電極4Aに対向して配置されたランド電極4Bとランド電極5Bに対向して配置されたランド電極5Aとに接続されている。
【0018】
コンデンサ10は、コンデンサ素体13とコンデンサ素体13の外表面に配置された第1及び第2の端子電極11、12とを備える。コンデンサ10の第1の端子電極11は、ランド電極4Aに接続されている。コンデンサ10の第2の端子電極12は、ランド電極4Bに接続されている。
【0019】
ビーズインダクタアレイ20は、ビーズ素体23とビーズ素体23の外表面に配置された第1の端子電極21A〜21D及び第2の端子電極22A〜22Dとを備える。第1の端子電極21A〜21Dはビーズ素体23の同一側面に配置され、第2の端子電極22A〜22Dはビーズ素体23の他の同一側面に配置される。ビーズインダクタアレイ20の第1の端子電極21A〜21Dは、ランド電極5Aに接続されている。ビーズインダクタアレイ20の第2の端子電極22A〜22Dは、ランド電極5Bに接続されている。
【0020】
ビーズインダクタアレイ20は、4連のビーズインダクタアレイである。具体的には、第1及び第2の端子電極21A、22Aによって1つのビーズインダクタを構成し、第1及び第2の端子電極21B、22Bによって1つのビーズインダクタを構成し、第1及び第2の端子電極21C、22Cによって1つのビーズインダクタを構成し、第1及び第2の端子電極21D、22Dによって1つのビーズインダクタを構成する。
【0021】
図1に示されるように、コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20は、電源ライン1、2の間に直列に実装される。そして、コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20とICチップ6とは並列接続の関係になる。
【0022】
図2及び図3を参照して、コンデンサ10について詳細に説明する。図2は、コンデンサ10の概略斜視図である。図3は、コンデンサ10に含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。コンデンサ10のコンデンサ素体13は、図2に示されるように、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面13a、13bと、第1及び第2の主面13a、13b間を連結するように第1及び第2の主面13a、13bの長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面13c、13dと、第1及び第2の主面13a、13b間を連結するように第1及び第2の主面13a、13bの短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面13e、13fとを有する。
【0023】
第1の端子電極11は、コンデンサ素体13の第1の側面13cに配置される。第1の端子電極11は、第1の側面13c全面を覆うとともに、第1及び第2の主面13a、13b並びに第3及び第4の側面13e、13fの一部を連続して覆う。第2の端子電極12は、コンデンサ素体13の第2の側面13dに配置される。第2の端子電極12は、第2の側面13d全面を覆うとともに、第1及び第2の主面13a、13b並びに第3及び第4の側面13e、13fの一部を連続して覆う。
【0024】
コンデンサ素体13は、図3に示されるように、積層された複数の誘電体層14を有する。各誘電体層14は、例えば誘電体セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。なお、実際のコンデンサ10では、誘電体層14の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0025】
コンデンサ素体13内には、第1及び第2の主面13a、13bの対向方向と各層の面とが交差するように複数の第1及び第2の内部電極15、16が配置されている。複数の第1及び第2の内部電極15、16は、第1及び第2の主面13a、13bの対向方向において誘電体層14を介して交互に配置されている。これにより、第1及び第2の内部電極15、16は、コンデンサ素体13の一部である誘電体層14を間に挟んで対向する。
【0026】
各第1の内部電極15は長方形状を呈し、コンデンサ素体13の第1及び第2の主面13a、13bの長辺方向とその長辺方向とが平行になるように、コンデンサ素体13内に配置される。各第1の内部電極15は、長方形状を保ったままコンデンサ素体13の第1の側面13cに引き出されるように伸び、第1の端子電極11に電気的且つ機械的に接続される。各第1の内部電極15は、第2〜第4の側面13d〜13fそれぞれからは所定距離離れて配置されている。各第1の内部電極15の第3及び第4の側面13e、13fの対向方向における長さは、第1及び第2の側面13c、13dの対向方向に沿って略一定である。
【0027】
各第2の内部電極16は長方形状を呈し、コンデンサ素体13の第1及び第2の主面13a、13bの長辺方向とその長辺方向とが平行になるように、コンデンサ素体13内で配置される。各第2の内部電極16は、長方形状を保ったままコンデンサ素体13の第2の側面13dに引き出されるように伸び、第2の端子電極12に電気的且つ機械的に接続される。各第2の内部電極16は、第1、第3、及び第4の側面13c、13e、13fそれぞれからは所定距離離れて配置されている。各第2の内部電極16の第3及び第4の側面13e、13fの対向方向における長さは、第1及び第2の側面13c、13dの対向方向に沿って略一定である。
【0028】
次に、図4〜図6を参照して、ビーズインダクタアレイ20について詳細に説明する。図4は、ビーズインダクタアレイ20の概略斜視図である。図5は、ビーズインダクタアレイ20に含まれるビーズ素体の側面の構成を説明するための図である。図6は、ビーズインダクタアレイ20に含まれるビーズ素体の分解斜視図である。なお、図5において、内部導体に相当する領域に見易さのためハッチングを施している。
【0029】
ビーズインダクタアレイ20のビーズ素体23は、図4に示されるように、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面23a、23bと、第1及び第2の主面23a、23b間を連結するように第1及び第2の主面23a、23bの長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面23c、23dと、第1及び第2の主面23a、23b間を連結するように第1及び第2の主面23a、23bの短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面23e、23fとを有する。
【0030】
第1の端子電極21A〜21Dは何れも、ビーズ素体23の第1の側面23cに配置される。第1の端子電極21A〜21Dは、第3の側面23e側から第4の側面23f側に向かってこの順に、第1の側面23c上において電気的に絶縁されて配置されている。各第1の端子電極21A〜21Dは、第1及び第2の主面23a、23bそれぞれに配置される部分を有し、これらの部分を第1及び第2の主面23a、23bの対向方向に渡って連続して接続するように第1の側面23cに形成される部分を有する。
【0031】
第2の端子電極22A〜22Dは何れも、ビーズ素体23の第2の側面23dに配置される。第2の端子電極22A〜22Dは、第3の側面23e側から第4の側面23f側に向かってこの順に、第2の側面23d上において電気的に絶縁されて配置されている。各第2の端子電極22A〜22Dは、第1及び第2の主面23a、23bそれぞれに配置される部分を有し、これらの部分を第1及び第2の主面23a、23bの対向方向に渡って連続して接続するように第2の側面23dに形成される部分を有する。
【0032】
第1の端子電極22A〜22Dはそれぞれ、第1及び第2の側面23c、23dの対向方向において第1の端子電極21A〜21Dと対向するように配置されている。
【0033】
ビーズ素体23は、図6に示されるように、積層された複数(本実施形態では5層)のフェライト層24を有する。各フェライト層24は、主成分としてフェライト材料を含む。
【0034】
ビーズ素体23内には、第1及び第2の主面23a、23bの対向方向と各層の面とが交差するように複数(本変形例では4層)の内部導体層25が配置されている。複数の内部導体層25は、第1及び第2の主面23a、23bの対向方向においてフェライト層24と交互に配置されている。
【0035】
各内部導体層25は、複数(本実施形態では4つ)の内部導体26〜29を含む。各内部導体層25において、内部導体26〜29は、第3の側面23e側から第4の側面23f側に向かってこの順に配置されている。
【0036】
各内部導体26〜29は長方形状を呈し、ビーズ素体23の第1及び第2の主面23a、23bの短辺方向とその長辺方向とが平行になるように、ビーズ素体23内に配置される。各内部導体26〜29の第3及び第4の側面23e、23fの対向方向における長さは、第1及び第2の側面23c、23dの対向方向に沿って略一定である。
【0037】
各内部導体26〜29は、長方形状を保ったままビーズ素体23の第1及び第2の側面23c、23dの双方に引き出されるように伸び、第1及び第2の端子電極21A〜21D、22A〜22Dの双方に電気的且つ機械的に接続される。図5に、内部導体26〜29の端部が引き出されたビーズ素体23の第2の側面23dを示す。第1の側面23cにも、図5に示した第2の側面23d同様、内部導体26〜29の端部が引き出されている。こうして、各内部導体26は第1及び第2の端子電極21A、22Aに接続され、各内部導体27は第1及び第2の端子電極21B、22Bに接続され、各内部導体28は第1及び第2の端子電極21C、22Cに接続され、各内部導体29は第1及び第2の端子電極21D、22Dに接続される。こうして、ビーズインダクタアレイ20では、内部導体26、内部導体27、内部導体28、内部導体29それぞれによって1つのビーズインダクタが構成され、その結果4連のビーズインダクタアレイが得られる。
【0038】
図7に、実施形態に係る実装構造の等価回路図を示す。図7に示されるように、コンデンサ10は静電容量C1を形成する。ビーズインダクタアレイ20の各ビーズインダクタは、直列に接続されたインダクタ成分L1(L2、L3、又はL4)と抵抗成分R1(R2、R3、又はR4)とを形成する。そして、ビーズインダクタアレイ20のインダクタ成分L1〜L4及び抵抗成分R1〜R4の合成成分は、コンデンサ10の静電容量C1と直列に電源ライン1,2の間に接続される。
【0039】
図8に、実施形態に係る実装構造における電子部品(コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20)の周波数に対するESRのグラフを示す。図8に示すグラフの横軸は周波数[Hz]を、縦軸はESR[Ω]を表す。図8のグラフG1は実施形態に係る実装構造の電子部品(コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20)のグラフであり、グラフG2はコンデンサ10のみを電子部品として実装した場合のグラフであり、グラフG3はコンデンサ10より直流抵抗の大きいコンデンサのみを電子部品として実装した場合のグラフである。グラフG3は、グラフG2のコンデンサのESRを増大させた場合に対応する。
【0040】
図8のグラフG1から明らかなように、実施形態に係る実装構造の電子部品(コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20)では、ビーズインダクタアレイ20の作用により高周波帯域においてESRが増大する。また、図8のグラフG2及びG3から明らかなように、コンデンサ自体によってESRを制御した場合、高周波帯域のみならず周波数帯域全域でESRが上がってしまう。
【0041】
このように、実施形態に係る実装構造によれば、コンデンサ10とビーズインダクタアレイ20とが直列となるように電源ライン間に接続されるので、ビーズインダクタアレイ20の抵抗成分R1〜R4がコンデンサのESRのように回路に対して作用する。ビーズインダクタアレイ20の抵抗成分R1〜R4は直流抵抗成分と高周波帯域で増加する損失との和で構成される。よって、この実装構造によれば、高周波帯域でのインピーダンスを大きくすることが可能になり、高周波ノイズを好適に除去することが可能となる。
【0042】
ビーズインダクタアレイ20は低周波帯域では抵抗成分よりむしろインダクタ成分が機能するため、図8のグラフG3のように低周波帯域でもESRが増加することがなく、実施形態に係る実装構造は低周波帯域でインピーダンスを小さく保つことが可能となる。そして、低周波ノイズに対しては、コンデンサ10を実装しているため、コンデンサ10でその低周波ノイズは吸収され好適に除去することができる。
【0043】
このように、実施形態に係る実装構造によれば、高周波側の抵抗成分が増大するため、この抵抗成分によってノイズ電力をより一層消費させることができ、他方への伝搬を抑制することができる。また、低周波帯域の抵抗成分は増大しないため、低周波ノイズが増加することが抑制される。
【0044】
ビーズインダクタアレイ20では、ビーズインダクタが並列に接続されているため、直流抵抗及びESLを小さくすることができる。その結果、実施形態に係る実装構造では、低周波帯域でのインピーダンスを小さくすることができる。
【0045】
ビーズインダクタはインダクタ成分があるため、高周波インピーダンスが増加し、抵抗成分の効力が劣化してしまうおそれがある。実施形態のビーズインダクタアレイ20は4連のアレイ状になっているため、インダクタンスを4分の1に低減させることができる。さらに、実施形態のビーズインダクタアレイ20は、直流抵抗も4分の1に低減させることができる。そのため、低周波ノイズへの影響も小さい。
【0046】
具体的には、例えば100MHz〜1GHzで0.5Ω〜2.0Ωくらいの直流抵抗を持たせることが好ましい。すなわち、図8のグラフG1のESRの増加開始位置が100MHzに対応し、増加が安定した位置が1GHzに対応するような直流抵抗の振る舞いが好ましい。これにより、輻射ノイズを好適に低減させることができる。
【0047】
ビーズインダクタアレイ20のインダクタ成分は、コンデンサ10のESLのように回路に対して作用してしまう。実施形態に係る実装構造では、インダクタ成分が並列に接続されたビーズインダクタアレイ20を実装しているため、ビーズインダクタアレイ20のインダクタ成分を小さくしている。そのため、実施形態に係る実装構造では、コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20からなる電子部品のESLを小さくすることができる。
【0048】
また、実施形態に係る実装構造では、ビーズインダクタアレイ20はチップ単体の中に4連のビーズインダクタを有するアレイとして構成されている。しかしながら、異なる独立した4つのビーズインダクタチップを並列に接続して実装してもよい。ただし、複数のビーズインダクタをそれぞれ独立したチップで構成する場合に比べ、本実施形態に係る実装構造のビーズインダクタアレイ20は実装のためのスペースが少なくてすむため、実装効率が良い。
【0049】
ビーズインダクタアレイ20では、第1及び第2の端子電極21A〜21D、22A〜22Dが、ビーズ素体23の長手方向に伸びる第1及び第2の側面23c、23dにそれぞれ配置されている。そのため、ビーズインダクタアレイ20の内部導体35を通過する電流の経路が短くなるので、実施形態の実装構造において直流抵抗及びESLを小さくすることができる。そして、その結果、実施形態に係る実装構造では、低周波帯域でのインピーダンスを小さくすることができる。
【0050】
コンデンサ10では、第1及び第2の端子電極11、12が、コンデンサ素体13の長手方向に伸びる第1及び第2の側面13c、13dにそれぞれ配置されている。この場合、第1及び第2の内部電極15、16を通過する電流の経路が短くなるので、コンデンサ10のESLを小さくするこができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、ビーズインダクタアレイ20ではなく、複数の独立したビーズインダクタ素子を並列に接続してもよい。コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20の素体の形状は直方体形状に限られない。また、コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20の端子電極が配置される側面は、素体の長手方向に伸びる側面に限られない。
【0052】
また、コンデンサ素体13及びコンデンサ部70に含まれる誘電体層14、71の積層数並びに第1及び第2の内部電極15、16、72,73の積層数は、上述した実施形態及び変形例にて示された数に限られない。各内部電極15、16、72,73の形状は、上述した実施形態及び変形例に示された形状に限られない。
【0053】
また、ビーズ素体23及びビーズ部60に含まれるフェライト層34、61の積層数並びに内部導体35、62,63の積層数は、上述した実施形態及び変形例にて示された数に限られない。各内部導体35、62,63の形状は、上述した実施形態及び変形例に示された形状に限られない。
【0054】
また、コンデンサ及びビーズインダクタを実装する実装構造において、コンデンサ及びビーズインダクタを実施形態のようにそれぞれ別部品とせずに1つの部品として実装してもよい。図9〜図11を参照して、実装する電子部品が1つの部品のみである場合の実施形態の変形例を示す。図9は、変形例に係る実装構造が備える電子部品50の概略斜視図である。図10は、図9の電子部品50のIX−IX矢印断面構成を説明するための図である。図11は、電子部品50に含まれる素体の分解斜視図である。なお、図10の断面図において、内部導体及び内部電極を除く素体内部に相当する領域のハッチングは見易さのため省略している。
【0055】
図9に示されるように、電子部品50は、素体55と、素体55の外表面に配置される第1及び第2の端子電極51、52並びに第1及び第2の外部接続導体53、54とを備える。素体55は、図9に示されるように、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面55a、55bと、第1及び第2の主面55a、55b間を連結するように第1及び第2の主面55a、55bの長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面55c、55dと、第1及び第2の主面55a、55b間を連結するように第1及び第2の主面55a、55bの短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面55e、55fとを有する略直方体形状を呈する。
【0056】
第1の端子電極51は、素体55の第3の側面55eに配置される。第1の端子電極51は、第3の側面55e全面を覆うとともに、第1及び第2の主面55a、55b並びに第1及び第2の側面55c、55dの一部を連続して覆う。第2の端子電極52は、素体55の第4の側面55fに配置される。第2の端子電極52は、第4の側面55f全面を覆うとともに、第1及び第2の主面55a、55b並びに第1及び第2の側面55c、55dの一部を連続して覆う。
【0057】
第1の外部接続導体53は、素体55の第1の側面55cに配置される。第1の外部接続導体53は、第1の側面55cの第3及び第4の側面55e、55fの対向方向における略中央付近に配置され、第1の側面55cを第1及び第2の主面55a、55bの対向方向に渡って覆うと共に第1及び第2の主面55a、55bの一部を連続して覆う。第2の外部接続導体54は、素体55の第2の側面55dに配置される。第2の外部接続導体54は、第2の側面55dの第3及び第4の側面55e、55fの対向方向における略中央付近に配置され、第2の側面55dを第1及び第2の主面55a、55bの対向方向に渡って覆うと共に第1及び第2の主面55a、55bの一部を連続して覆う。
【0058】
素体55は、ビーズインダクタとして機能するビーズ部60とコンデンサとして機能するコンデンサ部70とを有する。ビーズ部60とコンデンサ部70とは、素体55内において、第1及び第2の主面55a、55bの対向方向に沿って積層される。
【0059】
素体55のビーズ部60は、図11に示されるように、積層された複数(本変形例では5層)のフェライト層61を有する。各フェライト層61は、主成分としてフェライト材料を含む。
【0060】
ビーズ部60内には、複数(本変形例では各4層)の第1及び第2の内部導体62、63が配置されている。第1の内部導体62と第2の内部導体63とは、第1及び第2の主面55a、55bの対向方向において同層に位置する。同層に位置する第1及び第2の内部導体62、63は、第1及び第2の主面55a、55bの対向方向においてフェライト層61と交互に配置されている。
【0061】
各第1の内部導体62は、長方形状を呈する2つの導体部分62A、62Bを有する。すなわち、各第1の内部導体62は、フェライト層61の、第1及び第2の側面55c、55dの対向方向における略中央より第1の側面55c側であって且つ第3及び第4の側面55e、55fの対向方向における略中央から、第1及び第2の側面55c、55dと平行に第3の側面55eに引き出されるように伸びる導体部分62Aと、導体部分62Aの第4の側面55f側の端部から、第3及び第4の側面55e、55fと平行に第1の側面55cに引き出されるように伸びる導体部分62Bとを有する。
【0062】
各第1の内部導体62の導体部分62Aは、第1の端子電極51に電気的且つ機械的に接続される。各第1の内部導体62の導体部分62Bは、第1の外部接続導体53に電気的且つ機械的に接続される。
【0063】
各第2の内部導体63は、長方形状を呈する2つの導体部分63A、63Bを有する。すなわち、各第2の内部導体63は、フェライト層61の、第1及び第2の側面55c、55dの対向方向における略中央より第2の側面55d側であって且つ第3及び第4の側面55e、55fの対向方向における略中央から、第1及び第2の側面55c、55dと平行に第4の側面55fに引き出されるように伸びる導体部分63Aと、導体部分63Aの第3の側面55e側の端部から、第3及び第4の側面55e、55fと平行に第2の側面55dに引き出されるように伸びる導体部分63Bとを有する。
【0064】
各第2の内部導体63の導体部分63Aは、第2の端子電極52に電気的且つ機械的に接続される。各第2の内部導体63の導体部分63Bは、第2の外部接続導体54に電気的且つ機械的に接続される。
【0065】
素体55のコンデンサ部70は、図11に示されるように、積層された複数(本変形例では7層)の誘電体層71を有する。各誘電体層71は、例えば誘電体セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。なお、実際のコンデンサ部70では、誘電体層71の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0066】
コンデンサ部70内には、素体55の第1及び第2の主面55a、55bの対向方向と各層の面とが交差するように複数(本変形例では各3層)の第1及び第2の内部電極72、73が配置されている。複数の第1及び第2の内部電極72、73は、第1及び第2の主面55a、55bの対向方向において誘電体層71を介して交互に配置されている。これにより、第1及び第2の内部電極72、73は、コンデンサ部70の一部である誘電体層71を間に挟んで対向する。
【0067】
各第1の内部電極72は、第1〜第4の側面55c〜55fそれぞれから所定距離離れて配置される長方形状の主電極部72Aと、当該主電極部72Aから第1の側面55cに向かって伸び且つ第1の外部接続導体53に接続される引き出し電極部72Bとを有する。主電極部72Aの長辺方向は、素体55の第1及び第2の主面55a、55bの長手方向と平行である。
【0068】
各第2の内部電極73は、第1〜第4の側面55c〜55fそれぞれから所定距離離れて配置される長方形状の主電極部73Aと、当該主電極部73Aから第2の側面55dに向かって伸び且つ第2の外部接続導体54に接続される引き出し電極部73Bとを有する。主電極部73Aの長辺方向は、素体55の第1及び第2の主面55a、55bの長手方向と平行である。
【0069】
第1及び第2の内部電極72、73は、それぞれの主電極部72A、73Bが誘電体層71を間に挟んで対向することにより、静電容量を形成する。
【0070】
図12に、変形例に係る電子部品50の実装構造の等価回路図を示す。ビーズ部60の4つの第1の内部導体62は、図12に示すように、直列に接続されたインダクタ成分L11と抵抗成分R11とを形成する。ビーズ部60の4つの第2の内部導体63は、図12に示すように、直列に接続されたインダクタ成分L12と抵抗成分R12とを形成する。
【0071】
そして、ビーズ部60の内部導体62によって形成されるインダクタ成分L11及び抵抗成分R11並びにビーズ部60の内部導体62によって形成されるインダクタ成分L12及び抵抗成分R12は、図12に示されるように、第1及び第2の外部接続導体53、54により、コンデンサ部70の静電容量C2と直列に接続される。
【0072】
この場合、1つの電子部品50にコンデンサ及びビーズインダクタが含まれるため、1つの部品のみ実装すればよく、実装効率がよい。
【0073】
また、実施形態の実装構造において、ビーズインダクタアレイ20ではなく、1つのビーズインダクタをコンデンサと直列に電源ラインの間に接続してもよい。この場合のビーズインダクタの構成を図13、図14に、またこの場合の等価回路図を図15にそれぞれ示す。
【0074】
図13及び図14を参照して、ビーズインダクタ30の構成について説明する。図13は、ビーズインダクタ30の概略斜視図である。図14は、ビーズインダクタ30に含まれるビーズ素体33の分解斜視図である。
【0075】
ビーズインダクタ30は、ビーズ素体33と、ビーズ素体33の外表面に配置された第1及び第2の端子電極31、32とを備える。
【0076】
ビーズインダクタ30のビーズ素体33は、図13に示されるように、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面33a、33bと、第1及び第2の主面33a、33b間を連結するように第1及び第2の主面33a、33bの長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面33c、33dと、第1及び第2の主面33a、33b間を連結するように第1及び第2の主面33a、33bの短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面33e、33fとを有する。
【0077】
第1の端子電極31は、ビーズ素体33の第1の側面33cに配置される。第2の端子電極32は、ビーズ素体33の第2の側面33dに配置される。
【0078】
ビーズ素体33は、図14に示されるように、積層された複数(本変形例では5層)のフェライト層34を有する。各フェライト層34は、主成分としてフェライト材料を含む。ビーズ素体33内には、第1及び第2の主面33a、33bの対向方向と各層の面とが交差するように複数(本変形例では4層)の内部導体35が配置されている。複数の内部導体35は、第1及び第2の主面33a、33bの対向方向においてフェライト層34と交互に配置されている。
【0079】
各内部導体35は長方形状を呈し、ビーズ素体33の第1及び第2の主面33a、33bの長辺方向とその長辺方向とが平行になるように、ビーズ素体33内に配置される。各内部導体35は、長方形状を保ったままビーズ素体33の第1及び第2の側面33c、33dの双方に引き出されるように伸び、第1及び第2の端子電極33、32に電気的且つ機械的に接続される。各内部導体35は、第3及び第4の側面33e、33fそれぞれからは所定距離離れて配置されている。各内部導体35の第3及び第4の側面33e、33fの対向方向における長さは、第1及び第2の側面33c、33dの対向方向に沿って略一定である。
【0080】
図15に、ビーズインダクタ30を電源ラインの間にコンデンサ10と直列になるように接続したときの等価回路図を示す。図15に示されるように、ビーズインダクタ30の抵抗成分R1及びインダクタ成分L1は、コンデンサ10の静電容量成分C1と直列に接続される。
【0081】
また、コンデンサ及びビーズインダクタを実装する実装構造において、実施形態のようにコンデンサ及びビーズインダクタを1つずつ実装する場合に限らず、複数実装してもよい。図16を参照して、2つのビーズインダクタがコンデンサに直列に電源ラインの間に接続される実施形態の変形例について説明する。図16は、本変形例に係る実装構造におけるビーズインダクタ及びコンデンサの実装構造を概略的に示す図である。本変形例に係る実装構造では、電源ラインに接続される電子部品として、コンデンサ80とビーズインダクタ91、92とを実装する。
【0082】
図16に示すように、コンデンサ80は、リード付2端子コンデンサであって、そのリード部分86、87がそれぞれ、図1の実施形態の実装構造の電源ライン1、2に接続される。
【0083】
コンデンサ80は、コンデンサ素体83とコンデンサ素体83の外表面に配置された第1及び第2の端子電極81、82とを備える。コンデンサ80の第1の端子電極81は、接続用導体(半田等)84を介して、リード部分86に接続されている。コンデンサ80の第2の端子電極82は、接続用導体(半田等)85を介して、リード部分87に接続されている。リード部分86の第1の端子電極81との接続部分及びリード部分87の第2の端子電極82との接続部分はそれぞれ、平板状に加工してもよい。また、コンデンサ80は、積層セラミックコンデンサであっても、フィルムコンデンサであっても、電解コンデンサであってもよい。
【0084】
ビーズインダクタ91は、フェライトからなり、リード部分86をその中に貫通させている。ビーズインダクタ92は、フェライトからなり、リード部分87をその中に貫通させている。
【0085】
図17に、本変形例に係る実装構造の等価回路図を示す。図17に示されるように、コンデンサ80は静電容量C1を形成する。ビーズインダクタ91は、直列に接続されたインダクタ成分L1と抵抗成分R1とを形成する。ビーズインダクタ92は、直列に接続されたインダクタ成分L2と抵抗成分R2とを形成する。そして、ビーズインダクタ91のインダクタ成分L1及び抵抗成分R1と、ビーズインダクタ92のインダクタ成分L2及び抵抗成分R2とは、コンデンサ80の静電容量C1と直列に電源ライン1,2の間に接続される。
【0086】
次に、図18を参照して、3端子フィルタであって、グランドに対応するリード部分に配置されたビーズインダクタがコンデンサに直列に電源ラインの間に接続される実施形態の変形例について説明する。図18は、本変形例に係る実装構造におけるビーズインダクタ及びコンデンサの実装構造を概略的に示す図である。本変形例に係る実装構造では、電源ラインに接続される電子部品として、コンデンサ80とビーズインダクタ91とを実装する。
【0087】
図18に示すように、コンデンサ80は、リード付3端子コンデンサであって、そのリード部分86が図1の実施形態の実装構造の電源ライン1に、リード部分87が図1の実施形態の実装構造の電源ライン1に、リード部分88が図1の実施形態の実装構造の電源ライン2に、それぞれ接続される。
【0088】
コンデンサ80の第1の端子電極81は、リード部分86及びリード部分87に接続されている。コンデンサ80の第2の端子電極82は、リード部分88に接続されている。
【0089】
ビーズインダクタ91は、フェライトからなり、リード部分88をその中に貫通させている。
【0090】
図19に、本変形例に係る実装構造の等価回路図を示す。図19に示されるように、コンデンサ80は静電容量C1を形成する。ビーズインダクタ91は、直列に接続されたインダクタ成分L1と抵抗成分R1とを形成する。そして、ビーズインダクタ91のインダクタ成分L1及び抵抗成分R1は、コンデンサ80の静電容量C1と直列に電源ライン1,2の間に接続される。
【符号の説明】
【0091】
1、2…電源ライン、3A〜3C…配線、4A、4B、5A、5B…ランド電極、6…ICチップ、10、80…コンデンサ、11、81…第1の端子電極、12、82…第2の端子電極、13、83…コンデンサ素体、14…誘電体層、15…第1の内部電極、16…第2の内部電極、20…ビーズインダクタアレイ、21A〜21D、31、51…第1の端子電極、22A〜22D、32、52…第2の端子電極、23、33…ビーズ素体、24、34…フェライト層、25…内部導体層、26〜29、35…内部導体、50…電子部品、53…第1の外部接続導体、54…第2の外部接続導体、55…素体、60…ビーズ部、61…フェライト層、62…第1の内部導体、63…第2の内部導体、70…コンデンサ部、71…誘電体層、72…第1の内部電極、73…第2の内部電極、91、92…ビーズインダクタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関し、特に所定の実装構造等に用いられる積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電源や信号等の配線を介したノイズの漏洩や侵入を防止するためのノイズフィルタとして、例えば特許文献1に記載のインダクタとキャパシタとが組み合わされた電子部品が従来知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−234755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子機器の高周波化に伴い、電子機器に用いられる部品についても高周波化に対応することが求められている。しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の電子部品では、高周波に対応すべく高周波帯域での抵抗成分を大きくすると、低周波帯域での直流抵抗も含め、全帯域での抵抗、ひいてはインピーダンスが大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、低周波帯域で低インピーダンスを保ちつつ、高周波帯域で高インピーダンスにすることが可能な電子部品の実装構造等に用いられる積層型電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ところで、本願発明者は、高周波帯域で高インピーダンスとなる電子部品の実装構造を実現すべく鋭意研究を重ねたところ、低周波帯域ではインダクタ成分が機能し、高周波帯域では主に抵抗成分が機能するビーズインダクタの特徴に着目した。そして、低周波帯域では低インピーダンスであって高周波帯域では高インピーダンスとなる電子部品の実装構造に、低周波帯域と高周波帯域とで振る舞いが異なるというビーズインダクタの特徴を利用することに思い至り、コンデンサとビーズインダクタを直列に電源ラインの間に接続する実装構造に想到した。
【0007】
このような検討結果を踏まえ、本発明の積層コンデンサは、電源に電流を供給するための電源ラインに接続される電子部品の実装構造であって、電子部品として、コンデンサとビーズインダクタとを備え、電源ラインの間に、直列となるようにコンデンサ及びビーズインダクタを実装することを特徴とする。
【0008】
上記実装構造によれば、コンデンサとビーズインダクタとが直列となるように電源ライン間に接続されるので、ビーズインダクタの抵抗成分がコンデンサの等価直列抵抗(以下、単にESRという)として作用する。ビーズインダクタの抵抗成分は直流抵抗成分と高周波帯域で増加する損失との和で構成される。よって、この実装構造によれば、高周波帯域でのインピーダンスを増加させることが可能になり、高周波ノイズを好適に除去することが可能となる。一方、ビーズインダクタは低周波帯域では抵抗成分よりむしろインダクタ成分が機能するため、上記実装構造は低周波帯域でインピーダンスを小さく保つことが可能となる。そして、低周波ノイズに対しては、コンデンサを実装しているため、当該コンデンサでその低周波ノイズは吸収され好適に除去することができる。
【0009】
ビーズインダクタは、ビーズインダクタアレイであることが好ましい。ビーズインダクタアレイを実装することにより、直流抵抗及び等価直列インダクタンス(以下、単にESLという)を小さくでき、その結果低周波帯域でのインピーダンスを小さくすることができる。
【0010】
ビーズインダクタは、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面と、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面の長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面と、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面の短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面とを有し、主成分としてフェライト材料を含むビーズ素体と、ビーズ素体の第1の側面に配置される第1の端子電極と、ビーズ素体の第2の側面に配置される第2の端子電極と、ビーズ素体内に配置され、第1及び第2の端子電極に接続される内部導体と、を備えることが好ましい。この場合、ビーズインダクタの内部導体を通過する電流経路が短くなるので、実装構造において直流抵抗及び等価直列インダクタンス(ESL)を小さくでき、その結果低周波帯域でのインピーダンスを小さくすることができる。
【0011】
コンデンサは、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面と、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面の長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面と、第1及び第2の主面間を連結するように第1及び第2の主面の短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面とを有し、誘電体特性を示すコンデンサ素体と、コンデンサ素体の第1の側面に配置される第1の端子電極と、コンデンサ素体の第2の側面に配置される第2の端子電極と、第1の端子電極に接続される第1の内部電極と、第2の端子電極に接続される第2の内部電極と、を備え、第1及び第2の内部電極は、コンデンサ素体内に当該コンデンサ素体の一部を間に挟んで対向するように配置されていることが好ましい。この場合、内部電極を通過する電流経路が短くなるので、コンデンサのESLを小さくするこができる。
【0012】
電子部品は、素体と、素体の外表面に配置される第1及び第2の端子電極並びに第1及び第2の外部接続導体と、を備え、素体は、コンデンサであるコンデンサ部とビーズインダクタであるビーズ部とを有し、素体のコンデンサ部は、誘電体特性を示すと共に、素体内に当該素体の一部を間に挟んで対向するように配置された第1及び第2の内部電極を有し、素体のビーズ部は、フェライト材料を含むと共に、素体内に配置された第1及び第2の内部導体を有し、コンデンサ部の第1の内部電極は、第1の外部接続導体に接続され、コンデンサ部の第2の内部電極は、第2の外部接続導体に接続され、ビーズ部の第1の内部導体は、第1の端子電極及び第1の外部接続導体の双方に接続され、ビーズ部の第2の内部導体は、第2の端子電極及び第2の外部接続導体の双方に接続されていてもよい。この場合、1つの部品にコンデンサ及びビーズインダクタが含まれるため、1つの部品のみ実装すればよく、実装効率がよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、低周波帯域で低インピーダンスを保ちつつ、高周波帯域で高インピーダンスにすることが可能な電子部品の実装構造等に用いられる積層型電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る実装構造を概略的に示す図である。
【図2】実施形態に係る実装構造が備えるコンデンサの概略斜視図である。
【図3】実施形態に係る実装構造が備えるコンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
【図4】実施形態に係る実装構造が備えるビーズインダクタアレイの概略斜視図である。
【図5】実施形態に係る実装構造が備えるビーズインダクタアレイに含まれるビーズ素体の側面の構成を説明するための図である。
【図6】実施形態に係る実装構造が備えるビーズインダクタアレイに含まれるビーズ素体の分解斜視図である。
【図7】実施形態に係る実装構造の等価回路図である。
【図8】実装された電子部品の周波数に対するESRのグラフである。
【図9】実施形態の変形例に係る実装構造が備える電子部品の概略斜視図である。
【図10】図9に示す電子部品のIX−IX矢印断面の構成を説明するための図である。
【図11】実施形態の変形例に係る実装構造が備える電子部品に含まれる素体の分解斜視図である。
【図12】実施形態の変形例に係る実装構造の等価回路図である。
【図13】実施形態の変形例に係る実装構造が備えるビーズインダクタの概略斜視図である。
【図14】実施形態の変形例に係る実装構造が備えるビーズインダクタに含まれるビーズ素体の分解斜視図である。
【図15】実施形態の変形例に係る実装構造の等価回路図である。
【図16】変形例に係る実装構造におけるビーズインダクタ及びコンデンサの実装構造を概略的に示す図である。
【図17】図16に示す実装構造の等価回路図である。
【図18】変形例に係る実装構造におけるビーズインダクタ及びコンデンサの実装構造を概略的に示す図である。
【図19】図18に示す実装構造の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
図1に基づいて、実施形態に係る実装構造について説明する。図1は、本実施形態に係る電子部品の実装構造を概略的に示す図である。実施形態に係る電子部品の実装構造では、電源供給用電流路を形成する電源ライン1、2に接続される電子部品として、コンデンサ10とビーズインダクタアレイ20とを実装する。
【0017】
電源ライン1、2は、ICチップ6の端子電極7A、7Bにそれぞれ接続されている。電源ライン1から分岐した配線3Aは、ランド電極4Aに接続されている。電源ライン2から分岐した配線3Cは、ランド電極5Bに接続されている。配線3Bは、ランド電極4Aに対向して配置されたランド電極4Bとランド電極5Bに対向して配置されたランド電極5Aとに接続されている。
【0018】
コンデンサ10は、コンデンサ素体13とコンデンサ素体13の外表面に配置された第1及び第2の端子電極11、12とを備える。コンデンサ10の第1の端子電極11は、ランド電極4Aに接続されている。コンデンサ10の第2の端子電極12は、ランド電極4Bに接続されている。
【0019】
ビーズインダクタアレイ20は、ビーズ素体23とビーズ素体23の外表面に配置された第1の端子電極21A〜21D及び第2の端子電極22A〜22Dとを備える。第1の端子電極21A〜21Dはビーズ素体23の同一側面に配置され、第2の端子電極22A〜22Dはビーズ素体23の他の同一側面に配置される。ビーズインダクタアレイ20の第1の端子電極21A〜21Dは、ランド電極5Aに接続されている。ビーズインダクタアレイ20の第2の端子電極22A〜22Dは、ランド電極5Bに接続されている。
【0020】
ビーズインダクタアレイ20は、4連のビーズインダクタアレイである。具体的には、第1及び第2の端子電極21A、22Aによって1つのビーズインダクタを構成し、第1及び第2の端子電極21B、22Bによって1つのビーズインダクタを構成し、第1及び第2の端子電極21C、22Cによって1つのビーズインダクタを構成し、第1及び第2の端子電極21D、22Dによって1つのビーズインダクタを構成する。
【0021】
図1に示されるように、コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20は、電源ライン1、2の間に直列に実装される。そして、コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20とICチップ6とは並列接続の関係になる。
【0022】
図2及び図3を参照して、コンデンサ10について詳細に説明する。図2は、コンデンサ10の概略斜視図である。図3は、コンデンサ10に含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。コンデンサ10のコンデンサ素体13は、図2に示されるように、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面13a、13bと、第1及び第2の主面13a、13b間を連結するように第1及び第2の主面13a、13bの長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面13c、13dと、第1及び第2の主面13a、13b間を連結するように第1及び第2の主面13a、13bの短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面13e、13fとを有する。
【0023】
第1の端子電極11は、コンデンサ素体13の第1の側面13cに配置される。第1の端子電極11は、第1の側面13c全面を覆うとともに、第1及び第2の主面13a、13b並びに第3及び第4の側面13e、13fの一部を連続して覆う。第2の端子電極12は、コンデンサ素体13の第2の側面13dに配置される。第2の端子電極12は、第2の側面13d全面を覆うとともに、第1及び第2の主面13a、13b並びに第3及び第4の側面13e、13fの一部を連続して覆う。
【0024】
コンデンサ素体13は、図3に示されるように、積層された複数の誘電体層14を有する。各誘電体層14は、例えば誘電体セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。なお、実際のコンデンサ10では、誘電体層14の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0025】
コンデンサ素体13内には、第1及び第2の主面13a、13bの対向方向と各層の面とが交差するように複数の第1及び第2の内部電極15、16が配置されている。複数の第1及び第2の内部電極15、16は、第1及び第2の主面13a、13bの対向方向において誘電体層14を介して交互に配置されている。これにより、第1及び第2の内部電極15、16は、コンデンサ素体13の一部である誘電体層14を間に挟んで対向する。
【0026】
各第1の内部電極15は長方形状を呈し、コンデンサ素体13の第1及び第2の主面13a、13bの長辺方向とその長辺方向とが平行になるように、コンデンサ素体13内に配置される。各第1の内部電極15は、長方形状を保ったままコンデンサ素体13の第1の側面13cに引き出されるように伸び、第1の端子電極11に電気的且つ機械的に接続される。各第1の内部電極15は、第2〜第4の側面13d〜13fそれぞれからは所定距離離れて配置されている。各第1の内部電極15の第3及び第4の側面13e、13fの対向方向における長さは、第1及び第2の側面13c、13dの対向方向に沿って略一定である。
【0027】
各第2の内部電極16は長方形状を呈し、コンデンサ素体13の第1及び第2の主面13a、13bの長辺方向とその長辺方向とが平行になるように、コンデンサ素体13内で配置される。各第2の内部電極16は、長方形状を保ったままコンデンサ素体13の第2の側面13dに引き出されるように伸び、第2の端子電極12に電気的且つ機械的に接続される。各第2の内部電極16は、第1、第3、及び第4の側面13c、13e、13fそれぞれからは所定距離離れて配置されている。各第2の内部電極16の第3及び第4の側面13e、13fの対向方向における長さは、第1及び第2の側面13c、13dの対向方向に沿って略一定である。
【0028】
次に、図4〜図6を参照して、ビーズインダクタアレイ20について詳細に説明する。図4は、ビーズインダクタアレイ20の概略斜視図である。図5は、ビーズインダクタアレイ20に含まれるビーズ素体の側面の構成を説明するための図である。図6は、ビーズインダクタアレイ20に含まれるビーズ素体の分解斜視図である。なお、図5において、内部導体に相当する領域に見易さのためハッチングを施している。
【0029】
ビーズインダクタアレイ20のビーズ素体23は、図4に示されるように、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面23a、23bと、第1及び第2の主面23a、23b間を連結するように第1及び第2の主面23a、23bの長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面23c、23dと、第1及び第2の主面23a、23b間を連結するように第1及び第2の主面23a、23bの短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面23e、23fとを有する。
【0030】
第1の端子電極21A〜21Dは何れも、ビーズ素体23の第1の側面23cに配置される。第1の端子電極21A〜21Dは、第3の側面23e側から第4の側面23f側に向かってこの順に、第1の側面23c上において電気的に絶縁されて配置されている。各第1の端子電極21A〜21Dは、第1及び第2の主面23a、23bそれぞれに配置される部分を有し、これらの部分を第1及び第2の主面23a、23bの対向方向に渡って連続して接続するように第1の側面23cに形成される部分を有する。
【0031】
第2の端子電極22A〜22Dは何れも、ビーズ素体23の第2の側面23dに配置される。第2の端子電極22A〜22Dは、第3の側面23e側から第4の側面23f側に向かってこの順に、第2の側面23d上において電気的に絶縁されて配置されている。各第2の端子電極22A〜22Dは、第1及び第2の主面23a、23bそれぞれに配置される部分を有し、これらの部分を第1及び第2の主面23a、23bの対向方向に渡って連続して接続するように第2の側面23dに形成される部分を有する。
【0032】
第1の端子電極22A〜22Dはそれぞれ、第1及び第2の側面23c、23dの対向方向において第1の端子電極21A〜21Dと対向するように配置されている。
【0033】
ビーズ素体23は、図6に示されるように、積層された複数(本実施形態では5層)のフェライト層24を有する。各フェライト層24は、主成分としてフェライト材料を含む。
【0034】
ビーズ素体23内には、第1及び第2の主面23a、23bの対向方向と各層の面とが交差するように複数(本変形例では4層)の内部導体層25が配置されている。複数の内部導体層25は、第1及び第2の主面23a、23bの対向方向においてフェライト層24と交互に配置されている。
【0035】
各内部導体層25は、複数(本実施形態では4つ)の内部導体26〜29を含む。各内部導体層25において、内部導体26〜29は、第3の側面23e側から第4の側面23f側に向かってこの順に配置されている。
【0036】
各内部導体26〜29は長方形状を呈し、ビーズ素体23の第1及び第2の主面23a、23bの短辺方向とその長辺方向とが平行になるように、ビーズ素体23内に配置される。各内部導体26〜29の第3及び第4の側面23e、23fの対向方向における長さは、第1及び第2の側面23c、23dの対向方向に沿って略一定である。
【0037】
各内部導体26〜29は、長方形状を保ったままビーズ素体23の第1及び第2の側面23c、23dの双方に引き出されるように伸び、第1及び第2の端子電極21A〜21D、22A〜22Dの双方に電気的且つ機械的に接続される。図5に、内部導体26〜29の端部が引き出されたビーズ素体23の第2の側面23dを示す。第1の側面23cにも、図5に示した第2の側面23d同様、内部導体26〜29の端部が引き出されている。こうして、各内部導体26は第1及び第2の端子電極21A、22Aに接続され、各内部導体27は第1及び第2の端子電極21B、22Bに接続され、各内部導体28は第1及び第2の端子電極21C、22Cに接続され、各内部導体29は第1及び第2の端子電極21D、22Dに接続される。こうして、ビーズインダクタアレイ20では、内部導体26、内部導体27、内部導体28、内部導体29それぞれによって1つのビーズインダクタが構成され、その結果4連のビーズインダクタアレイが得られる。
【0038】
図7に、実施形態に係る実装構造の等価回路図を示す。図7に示されるように、コンデンサ10は静電容量C1を形成する。ビーズインダクタアレイ20の各ビーズインダクタは、直列に接続されたインダクタ成分L1(L2、L3、又はL4)と抵抗成分R1(R2、R3、又はR4)とを形成する。そして、ビーズインダクタアレイ20のインダクタ成分L1〜L4及び抵抗成分R1〜R4の合成成分は、コンデンサ10の静電容量C1と直列に電源ライン1,2の間に接続される。
【0039】
図8に、実施形態に係る実装構造における電子部品(コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20)の周波数に対するESRのグラフを示す。図8に示すグラフの横軸は周波数[Hz]を、縦軸はESR[Ω]を表す。図8のグラフG1は実施形態に係る実装構造の電子部品(コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20)のグラフであり、グラフG2はコンデンサ10のみを電子部品として実装した場合のグラフであり、グラフG3はコンデンサ10より直流抵抗の大きいコンデンサのみを電子部品として実装した場合のグラフである。グラフG3は、グラフG2のコンデンサのESRを増大させた場合に対応する。
【0040】
図8のグラフG1から明らかなように、実施形態に係る実装構造の電子部品(コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20)では、ビーズインダクタアレイ20の作用により高周波帯域においてESRが増大する。また、図8のグラフG2及びG3から明らかなように、コンデンサ自体によってESRを制御した場合、高周波帯域のみならず周波数帯域全域でESRが上がってしまう。
【0041】
このように、実施形態に係る実装構造によれば、コンデンサ10とビーズインダクタアレイ20とが直列となるように電源ライン間に接続されるので、ビーズインダクタアレイ20の抵抗成分R1〜R4がコンデンサのESRのように回路に対して作用する。ビーズインダクタアレイ20の抵抗成分R1〜R4は直流抵抗成分と高周波帯域で増加する損失との和で構成される。よって、この実装構造によれば、高周波帯域でのインピーダンスを大きくすることが可能になり、高周波ノイズを好適に除去することが可能となる。
【0042】
ビーズインダクタアレイ20は低周波帯域では抵抗成分よりむしろインダクタ成分が機能するため、図8のグラフG3のように低周波帯域でもESRが増加することがなく、実施形態に係る実装構造は低周波帯域でインピーダンスを小さく保つことが可能となる。そして、低周波ノイズに対しては、コンデンサ10を実装しているため、コンデンサ10でその低周波ノイズは吸収され好適に除去することができる。
【0043】
このように、実施形態に係る実装構造によれば、高周波側の抵抗成分が増大するため、この抵抗成分によってノイズ電力をより一層消費させることができ、他方への伝搬を抑制することができる。また、低周波帯域の抵抗成分は増大しないため、低周波ノイズが増加することが抑制される。
【0044】
ビーズインダクタアレイ20では、ビーズインダクタが並列に接続されているため、直流抵抗及びESLを小さくすることができる。その結果、実施形態に係る実装構造では、低周波帯域でのインピーダンスを小さくすることができる。
【0045】
ビーズインダクタはインダクタ成分があるため、高周波インピーダンスが増加し、抵抗成分の効力が劣化してしまうおそれがある。実施形態のビーズインダクタアレイ20は4連のアレイ状になっているため、インダクタンスを4分の1に低減させることができる。さらに、実施形態のビーズインダクタアレイ20は、直流抵抗も4分の1に低減させることができる。そのため、低周波ノイズへの影響も小さい。
【0046】
具体的には、例えば100MHz〜1GHzで0.5Ω〜2.0Ωくらいの直流抵抗を持たせることが好ましい。すなわち、図8のグラフG1のESRの増加開始位置が100MHzに対応し、増加が安定した位置が1GHzに対応するような直流抵抗の振る舞いが好ましい。これにより、輻射ノイズを好適に低減させることができる。
【0047】
ビーズインダクタアレイ20のインダクタ成分は、コンデンサ10のESLのように回路に対して作用してしまう。実施形態に係る実装構造では、インダクタ成分が並列に接続されたビーズインダクタアレイ20を実装しているため、ビーズインダクタアレイ20のインダクタ成分を小さくしている。そのため、実施形態に係る実装構造では、コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20からなる電子部品のESLを小さくすることができる。
【0048】
また、実施形態に係る実装構造では、ビーズインダクタアレイ20はチップ単体の中に4連のビーズインダクタを有するアレイとして構成されている。しかしながら、異なる独立した4つのビーズインダクタチップを並列に接続して実装してもよい。ただし、複数のビーズインダクタをそれぞれ独立したチップで構成する場合に比べ、本実施形態に係る実装構造のビーズインダクタアレイ20は実装のためのスペースが少なくてすむため、実装効率が良い。
【0049】
ビーズインダクタアレイ20では、第1及び第2の端子電極21A〜21D、22A〜22Dが、ビーズ素体23の長手方向に伸びる第1及び第2の側面23c、23dにそれぞれ配置されている。そのため、ビーズインダクタアレイ20の内部導体35を通過する電流の経路が短くなるので、実施形態の実装構造において直流抵抗及びESLを小さくすることができる。そして、その結果、実施形態に係る実装構造では、低周波帯域でのインピーダンスを小さくすることができる。
【0050】
コンデンサ10では、第1及び第2の端子電極11、12が、コンデンサ素体13の長手方向に伸びる第1及び第2の側面13c、13dにそれぞれ配置されている。この場合、第1及び第2の内部電極15、16を通過する電流の経路が短くなるので、コンデンサ10のESLを小さくするこができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、ビーズインダクタアレイ20ではなく、複数の独立したビーズインダクタ素子を並列に接続してもよい。コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20の素体の形状は直方体形状に限られない。また、コンデンサ10及びビーズインダクタアレイ20の端子電極が配置される側面は、素体の長手方向に伸びる側面に限られない。
【0052】
また、コンデンサ素体13及びコンデンサ部70に含まれる誘電体層14、71の積層数並びに第1及び第2の内部電極15、16、72,73の積層数は、上述した実施形態及び変形例にて示された数に限られない。各内部電極15、16、72,73の形状は、上述した実施形態及び変形例に示された形状に限られない。
【0053】
また、ビーズ素体23及びビーズ部60に含まれるフェライト層34、61の積層数並びに内部導体35、62,63の積層数は、上述した実施形態及び変形例にて示された数に限られない。各内部導体35、62,63の形状は、上述した実施形態及び変形例に示された形状に限られない。
【0054】
また、コンデンサ及びビーズインダクタを実装する実装構造において、コンデンサ及びビーズインダクタを実施形態のようにそれぞれ別部品とせずに1つの部品として実装してもよい。図9〜図11を参照して、実装する電子部品が1つの部品のみである場合の実施形態の変形例を示す。図9は、変形例に係る実装構造が備える電子部品50の概略斜視図である。図10は、図9の電子部品50のIX−IX矢印断面構成を説明するための図である。図11は、電子部品50に含まれる素体の分解斜視図である。なお、図10の断面図において、内部導体及び内部電極を除く素体内部に相当する領域のハッチングは見易さのため省略している。
【0055】
図9に示されるように、電子部品50は、素体55と、素体55の外表面に配置される第1及び第2の端子電極51、52並びに第1及び第2の外部接続導体53、54とを備える。素体55は、図9に示されるように、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面55a、55bと、第1及び第2の主面55a、55b間を連結するように第1及び第2の主面55a、55bの長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面55c、55dと、第1及び第2の主面55a、55b間を連結するように第1及び第2の主面55a、55bの短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面55e、55fとを有する略直方体形状を呈する。
【0056】
第1の端子電極51は、素体55の第3の側面55eに配置される。第1の端子電極51は、第3の側面55e全面を覆うとともに、第1及び第2の主面55a、55b並びに第1及び第2の側面55c、55dの一部を連続して覆う。第2の端子電極52は、素体55の第4の側面55fに配置される。第2の端子電極52は、第4の側面55f全面を覆うとともに、第1及び第2の主面55a、55b並びに第1及び第2の側面55c、55dの一部を連続して覆う。
【0057】
第1の外部接続導体53は、素体55の第1の側面55cに配置される。第1の外部接続導体53は、第1の側面55cの第3及び第4の側面55e、55fの対向方向における略中央付近に配置され、第1の側面55cを第1及び第2の主面55a、55bの対向方向に渡って覆うと共に第1及び第2の主面55a、55bの一部を連続して覆う。第2の外部接続導体54は、素体55の第2の側面55dに配置される。第2の外部接続導体54は、第2の側面55dの第3及び第4の側面55e、55fの対向方向における略中央付近に配置され、第2の側面55dを第1及び第2の主面55a、55bの対向方向に渡って覆うと共に第1及び第2の主面55a、55bの一部を連続して覆う。
【0058】
素体55は、ビーズインダクタとして機能するビーズ部60とコンデンサとして機能するコンデンサ部70とを有する。ビーズ部60とコンデンサ部70とは、素体55内において、第1及び第2の主面55a、55bの対向方向に沿って積層される。
【0059】
素体55のビーズ部60は、図11に示されるように、積層された複数(本変形例では5層)のフェライト層61を有する。各フェライト層61は、主成分としてフェライト材料を含む。
【0060】
ビーズ部60内には、複数(本変形例では各4層)の第1及び第2の内部導体62、63が配置されている。第1の内部導体62と第2の内部導体63とは、第1及び第2の主面55a、55bの対向方向において同層に位置する。同層に位置する第1及び第2の内部導体62、63は、第1及び第2の主面55a、55bの対向方向においてフェライト層61と交互に配置されている。
【0061】
各第1の内部導体62は、長方形状を呈する2つの導体部分62A、62Bを有する。すなわち、各第1の内部導体62は、フェライト層61の、第1及び第2の側面55c、55dの対向方向における略中央より第1の側面55c側であって且つ第3及び第4の側面55e、55fの対向方向における略中央から、第1及び第2の側面55c、55dと平行に第3の側面55eに引き出されるように伸びる導体部分62Aと、導体部分62Aの第4の側面55f側の端部から、第3及び第4の側面55e、55fと平行に第1の側面55cに引き出されるように伸びる導体部分62Bとを有する。
【0062】
各第1の内部導体62の導体部分62Aは、第1の端子電極51に電気的且つ機械的に接続される。各第1の内部導体62の導体部分62Bは、第1の外部接続導体53に電気的且つ機械的に接続される。
【0063】
各第2の内部導体63は、長方形状を呈する2つの導体部分63A、63Bを有する。すなわち、各第2の内部導体63は、フェライト層61の、第1及び第2の側面55c、55dの対向方向における略中央より第2の側面55d側であって且つ第3及び第4の側面55e、55fの対向方向における略中央から、第1及び第2の側面55c、55dと平行に第4の側面55fに引き出されるように伸びる導体部分63Aと、導体部分63Aの第3の側面55e側の端部から、第3及び第4の側面55e、55fと平行に第2の側面55dに引き出されるように伸びる導体部分63Bとを有する。
【0064】
各第2の内部導体63の導体部分63Aは、第2の端子電極52に電気的且つ機械的に接続される。各第2の内部導体63の導体部分63Bは、第2の外部接続導体54に電気的且つ機械的に接続される。
【0065】
素体55のコンデンサ部70は、図11に示されるように、積層された複数(本変形例では7層)の誘電体層71を有する。各誘電体層71は、例えば誘電体セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。なお、実際のコンデンサ部70では、誘電体層71の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0066】
コンデンサ部70内には、素体55の第1及び第2の主面55a、55bの対向方向と各層の面とが交差するように複数(本変形例では各3層)の第1及び第2の内部電極72、73が配置されている。複数の第1及び第2の内部電極72、73は、第1及び第2の主面55a、55bの対向方向において誘電体層71を介して交互に配置されている。これにより、第1及び第2の内部電極72、73は、コンデンサ部70の一部である誘電体層71を間に挟んで対向する。
【0067】
各第1の内部電極72は、第1〜第4の側面55c〜55fそれぞれから所定距離離れて配置される長方形状の主電極部72Aと、当該主電極部72Aから第1の側面55cに向かって伸び且つ第1の外部接続導体53に接続される引き出し電極部72Bとを有する。主電極部72Aの長辺方向は、素体55の第1及び第2の主面55a、55bの長手方向と平行である。
【0068】
各第2の内部電極73は、第1〜第4の側面55c〜55fそれぞれから所定距離離れて配置される長方形状の主電極部73Aと、当該主電極部73Aから第2の側面55dに向かって伸び且つ第2の外部接続導体54に接続される引き出し電極部73Bとを有する。主電極部73Aの長辺方向は、素体55の第1及び第2の主面55a、55bの長手方向と平行である。
【0069】
第1及び第2の内部電極72、73は、それぞれの主電極部72A、73Bが誘電体層71を間に挟んで対向することにより、静電容量を形成する。
【0070】
図12に、変形例に係る電子部品50の実装構造の等価回路図を示す。ビーズ部60の4つの第1の内部導体62は、図12に示すように、直列に接続されたインダクタ成分L11と抵抗成分R11とを形成する。ビーズ部60の4つの第2の内部導体63は、図12に示すように、直列に接続されたインダクタ成分L12と抵抗成分R12とを形成する。
【0071】
そして、ビーズ部60の内部導体62によって形成されるインダクタ成分L11及び抵抗成分R11並びにビーズ部60の内部導体62によって形成されるインダクタ成分L12及び抵抗成分R12は、図12に示されるように、第1及び第2の外部接続導体53、54により、コンデンサ部70の静電容量C2と直列に接続される。
【0072】
この場合、1つの電子部品50にコンデンサ及びビーズインダクタが含まれるため、1つの部品のみ実装すればよく、実装効率がよい。
【0073】
また、実施形態の実装構造において、ビーズインダクタアレイ20ではなく、1つのビーズインダクタをコンデンサと直列に電源ラインの間に接続してもよい。この場合のビーズインダクタの構成を図13、図14に、またこの場合の等価回路図を図15にそれぞれ示す。
【0074】
図13及び図14を参照して、ビーズインダクタ30の構成について説明する。図13は、ビーズインダクタ30の概略斜視図である。図14は、ビーズインダクタ30に含まれるビーズ素体33の分解斜視図である。
【0075】
ビーズインダクタ30は、ビーズ素体33と、ビーズ素体33の外表面に配置された第1及び第2の端子電極31、32とを備える。
【0076】
ビーズインダクタ30のビーズ素体33は、図13に示されるように、互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面33a、33bと、第1及び第2の主面33a、33b間を連結するように第1及び第2の主面33a、33bの長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面33c、33dと、第1及び第2の主面33a、33b間を連結するように第1及び第2の主面33a、33bの短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面33e、33fとを有する。
【0077】
第1の端子電極31は、ビーズ素体33の第1の側面33cに配置される。第2の端子電極32は、ビーズ素体33の第2の側面33dに配置される。
【0078】
ビーズ素体33は、図14に示されるように、積層された複数(本変形例では5層)のフェライト層34を有する。各フェライト層34は、主成分としてフェライト材料を含む。ビーズ素体33内には、第1及び第2の主面33a、33bの対向方向と各層の面とが交差するように複数(本変形例では4層)の内部導体35が配置されている。複数の内部導体35は、第1及び第2の主面33a、33bの対向方向においてフェライト層34と交互に配置されている。
【0079】
各内部導体35は長方形状を呈し、ビーズ素体33の第1及び第2の主面33a、33bの長辺方向とその長辺方向とが平行になるように、ビーズ素体33内に配置される。各内部導体35は、長方形状を保ったままビーズ素体33の第1及び第2の側面33c、33dの双方に引き出されるように伸び、第1及び第2の端子電極33、32に電気的且つ機械的に接続される。各内部導体35は、第3及び第4の側面33e、33fそれぞれからは所定距離離れて配置されている。各内部導体35の第3及び第4の側面33e、33fの対向方向における長さは、第1及び第2の側面33c、33dの対向方向に沿って略一定である。
【0080】
図15に、ビーズインダクタ30を電源ラインの間にコンデンサ10と直列になるように接続したときの等価回路図を示す。図15に示されるように、ビーズインダクタ30の抵抗成分R1及びインダクタ成分L1は、コンデンサ10の静電容量成分C1と直列に接続される。
【0081】
また、コンデンサ及びビーズインダクタを実装する実装構造において、実施形態のようにコンデンサ及びビーズインダクタを1つずつ実装する場合に限らず、複数実装してもよい。図16を参照して、2つのビーズインダクタがコンデンサに直列に電源ラインの間に接続される実施形態の変形例について説明する。図16は、本変形例に係る実装構造におけるビーズインダクタ及びコンデンサの実装構造を概略的に示す図である。本変形例に係る実装構造では、電源ラインに接続される電子部品として、コンデンサ80とビーズインダクタ91、92とを実装する。
【0082】
図16に示すように、コンデンサ80は、リード付2端子コンデンサであって、そのリード部分86、87がそれぞれ、図1の実施形態の実装構造の電源ライン1、2に接続される。
【0083】
コンデンサ80は、コンデンサ素体83とコンデンサ素体83の外表面に配置された第1及び第2の端子電極81、82とを備える。コンデンサ80の第1の端子電極81は、接続用導体(半田等)84を介して、リード部分86に接続されている。コンデンサ80の第2の端子電極82は、接続用導体(半田等)85を介して、リード部分87に接続されている。リード部分86の第1の端子電極81との接続部分及びリード部分87の第2の端子電極82との接続部分はそれぞれ、平板状に加工してもよい。また、コンデンサ80は、積層セラミックコンデンサであっても、フィルムコンデンサであっても、電解コンデンサであってもよい。
【0084】
ビーズインダクタ91は、フェライトからなり、リード部分86をその中に貫通させている。ビーズインダクタ92は、フェライトからなり、リード部分87をその中に貫通させている。
【0085】
図17に、本変形例に係る実装構造の等価回路図を示す。図17に示されるように、コンデンサ80は静電容量C1を形成する。ビーズインダクタ91は、直列に接続されたインダクタ成分L1と抵抗成分R1とを形成する。ビーズインダクタ92は、直列に接続されたインダクタ成分L2と抵抗成分R2とを形成する。そして、ビーズインダクタ91のインダクタ成分L1及び抵抗成分R1と、ビーズインダクタ92のインダクタ成分L2及び抵抗成分R2とは、コンデンサ80の静電容量C1と直列に電源ライン1,2の間に接続される。
【0086】
次に、図18を参照して、3端子フィルタであって、グランドに対応するリード部分に配置されたビーズインダクタがコンデンサに直列に電源ラインの間に接続される実施形態の変形例について説明する。図18は、本変形例に係る実装構造におけるビーズインダクタ及びコンデンサの実装構造を概略的に示す図である。本変形例に係る実装構造では、電源ラインに接続される電子部品として、コンデンサ80とビーズインダクタ91とを実装する。
【0087】
図18に示すように、コンデンサ80は、リード付3端子コンデンサであって、そのリード部分86が図1の実施形態の実装構造の電源ライン1に、リード部分87が図1の実施形態の実装構造の電源ライン1に、リード部分88が図1の実施形態の実装構造の電源ライン2に、それぞれ接続される。
【0088】
コンデンサ80の第1の端子電極81は、リード部分86及びリード部分87に接続されている。コンデンサ80の第2の端子電極82は、リード部分88に接続されている。
【0089】
ビーズインダクタ91は、フェライトからなり、リード部分88をその中に貫通させている。
【0090】
図19に、本変形例に係る実装構造の等価回路図を示す。図19に示されるように、コンデンサ80は静電容量C1を形成する。ビーズインダクタ91は、直列に接続されたインダクタ成分L1と抵抗成分R1とを形成する。そして、ビーズインダクタ91のインダクタ成分L1及び抵抗成分R1は、コンデンサ80の静電容量C1と直列に電源ライン1,2の間に接続される。
【符号の説明】
【0091】
1、2…電源ライン、3A〜3C…配線、4A、4B、5A、5B…ランド電極、6…ICチップ、10、80…コンデンサ、11、81…第1の端子電極、12、82…第2の端子電極、13、83…コンデンサ素体、14…誘電体層、15…第1の内部電極、16…第2の内部電極、20…ビーズインダクタアレイ、21A〜21D、31、51…第1の端子電極、22A〜22D、32、52…第2の端子電極、23、33…ビーズ素体、24、34…フェライト層、25…内部導体層、26〜29、35…内部導体、50…電子部品、53…第1の外部接続導体、54…第2の外部接続導体、55…素体、60…ビーズ部、61…フェライト層、62…第1の内部導体、63…第2の内部導体、70…コンデンサ部、71…誘電体層、72…第1の内部電極、73…第2の内部電極、91、92…ビーズインダクタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面と、前記第1及び第2の主面間を連結するように前記第1及び第2の主面の長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面と、前記第1及び第2の主面間を連結するように前記第1及び第2の主面の短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面とを有し、主成分としてフェライト材料を含むビーズ素体と、
前記ビーズ素体の前記第1の側面に配置される第1の端子電極と、
前記ビーズ素体の前記第2の側面に配置される第2の端子電極と、
前記ビーズ素体内に配置され、前記第1及び第2の端子電極に接続される内部導体と、
を備える積層型電子部品。
【請求項2】
前記ビーズ素体を構成する一のフェライト層の上に、前記第3の側面から前記第4の側面に向かって複数の前記内部導体が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記内部導体は、長方形状を呈しており、前記ビーズ素体の第1及び第2の主面の長辺方向と前記内部導体の長辺方向とが平行になるように、前記ビーズ素体内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記積層型電子部品がビーズインダクタであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項1】
互いに対向する長方形状の第1及び第2の主面と、前記第1及び第2の主面間を連結するように前記第1及び第2の主面の長辺方向に伸び且つ互いに対向する第1及び第2の側面と、前記第1及び第2の主面間を連結するように前記第1及び第2の主面の短辺方向に伸び且つ互いに対向する第3及び第4の側面とを有し、主成分としてフェライト材料を含むビーズ素体と、
前記ビーズ素体の前記第1の側面に配置される第1の端子電極と、
前記ビーズ素体の前記第2の側面に配置される第2の端子電極と、
前記ビーズ素体内に配置され、前記第1及び第2の端子電極に接続される内部導体と、
を備える積層型電子部品。
【請求項2】
前記ビーズ素体を構成する一のフェライト層の上に、前記第3の側面から前記第4の側面に向かって複数の前記内部導体が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記内部導体は、長方形状を呈しており、前記ビーズ素体の第1及び第2の主面の長辺方向と前記内部導体の長辺方向とが平行になるように、前記ビーズ素体内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記積層型電子部品がビーズインダクタであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の積層型電子部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−77560(P2011−77560A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8087(P2011−8087)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【分割の表示】特願2009−130584(P2009−130584)の分割
【原出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【分割の表示】特願2009−130584(P2009−130584)の分割
【原出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]