説明

空気冷却される排ガス熱伝達体、特に自動車のための排ガスクーラー

【課題】 排ガス熱伝達体をその構造およびそれと結びついた、自動車内の組込み可能性に関して改良する。排ガス還流させる配置について、排ガス温度のより激しい低下が可能であるように改良する。
【解決手段】 内燃機関の排ガスによって貫流可能な通路(排ガス通路)を有し、前記排ガス通路の間に空気冷却するためのフィンが配置されている、空気冷却される排ガス熱伝達体、特に自動車のための排ガスクーラーにおいて、排ガス通路が、パイプ、特にフラットパイプ(3)として形成されており、フィン(4)が前記フラットパイプと共にフィンパイプブロック(2)を形成し、かつパイプ(3)がパイプ端部(3a)を有しており、前記パイプ端部が排ガスのための集合ケース(5)内に収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に上位概念として記載の空気冷却される排ガス熱伝達体、特に自動車のための排ガスクーラー(すなわち、内燃機関の排ガスによって貫流可能な通路(排ガス通路)を有し、前記排ガス通路の間に空気冷却するためのフィンが配置されている、空気冷却される排ガス熱伝達体、特に自動車のための排ガスクーラー)と、請求項37に上位概念として記載の排ガスを還流させる配置に関する。
【背景技術】
【0002】
排ガスクーラーは、今日の自動車、特に商用車において、排ガス還流システム(EGRシステム)の枠内で還流された排ガスを冷却するために使用される。排ガス還流は、内燃機関の燃料消費を減少させ、かつ内燃機関の排ガス内の有害物質(特にNOx)を削減するための法律的な規則に基づいている。これまで自動車内に組み込まれてきた排ガスクーラーは、内燃機関の冷却循環から取り出される、液状の冷却剤によって冷却される。この既知の液体冷却される排ガスクーラーは、極めて効率的に働くが、排ガスの冷却が、80から100℃の領域にある、冷却剤温度と結びついている、という欠点を有している。従って排ガスクーラーの後方で約120から150℃の排ガス流出温度しか得られない。
【0003】
本出願人の従来技術(たとえば、特許文献1を参照)によって、特殊鋼構造の排ガス熱伝達体が知られており、それは、排ガスによって貫流可能なパイプ束と、液状の冷却剤によって貫流可能なハウジングとからなる。排ガスパイプは、パイプ底内に溶接されており、そのパイプ底がハウジングと溶接されている。すべての溶接継目は、好ましくはレーザービーム溶接によって形成されている。
【0004】
本出願人の他の従来技術(たとえば、特許文献2を参照)によって、排ガスの冷却が必要とされない場合に、排ガス熱伝達体の迂回を可能にする、内蔵されたバイパスと内蔵されたバイパスフラップとを有する排ガス熱伝達体が知られている。
【0005】
本出願人のさらに他の従来技術(たとえば、特許文献3を参照)によって、自動車のための排ガスクーラーについて種々の実施形態が知られており、その場合に1つの実施形態は空気冷却される排ガスクーラーを開示しており、その排ガスクーラーはディスク熱伝達体として構築されており、その間に空気冷却するための波形フィンが配置されている。排ガス通路を形成するディスクは、それぞれ2つのディスク半体からなり、それらが周側で互いに半田付けされて、互いに重ねて積み上げることのできる流入および流出開口部を介して互いに接続されている。排ガス通路ないしディスク内に、いわゆるウィングレット、すなわちV字状に配置されたフラップまたはリブが配置されており、それらが排ガス流の旋回をもたらし、かつ煤の堆積を防止する。
【0006】
本出願人のさらに他の従来技術(たとえば、特許文献4を参照)によって、内蔵された排ガス還流(AGR)弁を有する、液体冷却される排ガスクーラーが知られており、その排ガス還流弁が還流される排ガスの量を定め−従ってAGR導管内の別体のAGR弁が省かれる。
【特許文献1】ドイツ公開公報DE19907163A1
【特許文献2】ドイツ公開公報DE10203003A1
【特許文献3】欧州公開公報EP0677715A1
【特許文献4】欧州特許明細書EP916837B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの従来技術、特に空気冷却される排ガス熱伝達体に基づいて、本発明の課題は、冒頭で挙げた種類の排ガス熱伝達体をその構造およびそれと結びついた、自動車内の組込み可能性に関して改良することである。本発明の課題は、また、排ガス還流させる配置を、排ガス温度のより激しい低下が可能であるように、改良することである。さらに、排ガス熱伝達体内の凝縮液の凍結を回避しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1の特徴(すなわち、排ガス通路が、パイプ、特にフラットパイプとして形成されており、フィンが前記フラットパイプと共にフィンパイプブロックを形成し、かつパイプがパイプ端部を有しており、前記パイプ端部が排ガスのための集合ケース内に収容されていることを特徴とする排ガス熱伝達体)によって解決される。
【発明の実施の形態】
【0009】
本発明によれば、排ガス熱伝達体は、排ガスのためのパイプと空気冷却のためのフィンとから構築されたブロックおよび集合ケースを有しており、その集合ケース内に排ガスパイプが連通する。好ましくは集合ケースは、溶接または半田付けされており、パイプ底を有し、その中に排ガスパイプのパイプ端部が半田付けされ、あるいは溶接され、好ましくはレーザービーム溶接されている。排ガスパイプと集合ケースのための好ましい材料として、特殊鋼が使用される。排ガスパイプの外側にフィンを形成するために、特殊鋼または非鉄金属からなる波形フィンが使用される。空気側の熱移動を増大させるために、フィン、特に波形フィンがエラを有しており、そのエラは既知の形成方法を用いてフィン材料に形成することができる。波形フィンの代わりに、特に空気冷却される過給空気クーラーにおいて知られているような、いわゆるウェブフィンも使用することができる。それに対してエラを有する波形フィンは、特に冷却剤クーラーから知られている。本発明に基づく排ガスクーラーのこの空気冷却される構造によって、還流される排ガスを冷却剤冷却(液体冷却)によるよりも低い温度に冷却することが可能になり、それが内燃機関の出力を向上させる、という利点が得られる。
【0010】
さらに、本発明に基づく構造は、排ガスクーラーを他の空気冷却される熱伝達体とともに、冷却剤クーラー、過給空気クーラーおよび/または凝縮器からなる1つの構成ユニットに、いわゆる冷却モジュールにまとめることを許す。好ましくは本発明に基づく排ガスクーラーは、冷却剤クーラーまたは凝縮器の前に配置することができ、その場合に排ガスクーラーは、端面の一部しか占めない。端面の残りの部分は、過給空気クーラーによって覆うことができる。それにより、冷却モジュールのための極めてコンパクトな構造が得られる。
【0011】
本発明の他の好ましい形態によれば、排ガス熱伝達体の集合ケースはプラスチックから形成可能であって、その場合にプラスチックケースは金属のパイプ底と機械的に、たとえばフランジ結合と挿入されたシールを用いて、結合される。プラスチックの使用は、排ガスに対して腐食がより生じにくい、という利点を有している。プラスチック材料は、排ガスの圧力と温度による機械的負荷にも耐えるように、選択されている。パイプ、フィンおよびパイプ底からなる金属の熱伝達体ブロックは、別に半田付けまたは溶接によって形成される。その後プラスチックケースが取り付けられる。
【0012】
他の好ましい形態は、フィン高さ、パイプ高さ、フィン高さに対するパイプ高さの比、フィン密度およびパイプの流体圧直径の寸法データないし寸法領域を有する、他の従属請求項から得られる。この寸法データの枠内で、媒体である排ガスと空気に合わせて最適化された熱伝達体が得られる。
【0013】
本発明の他の好ましい形態において、排ガスクーラーは、好ましくはバイパスフラップを介して制御される、バイパス通路を有している。それによって、外部温度が低い場合に凝縮液によるクーラーの凍結が回避される、という利点が得られる;さらに、エンジンのより迅速な加熱も得られる。
【0014】
本発明の他の好ましい形態において、排ガス熱伝達体にバイパス通路(バイパスフラップのない)が対応づけられており、その場合にバイパス通路の貫流が、バイパス通路内と排ガス熱伝達体内の異なる圧力降下を介して制御される。バイパス通路は、外部温度が凍結点の上にある場合にその圧力降下が排ガス熱伝達体の圧力降下よりも小さいように、形成されており、それはたとえば、バイパス通路の入口領域内の絞りによって達成することができる。排ガス通路が凍結した場合に、排ガス熱伝達体内の圧力降下は、バイパス通路のそれよりも大きくなるので、バイパス通路が排ガスによって貫流される。従って、排ガス通路が凍結した場合に排ガスを還流させることができる、という利点が得られる。問題のあるバイパスフラップが、省かれる。
【0015】
本発明の他の形態において、排ガス熱伝達体に、差圧制御される弁を介して開放または閉鎖される、バイパスが対応づけられている。排ガス通路内の凝縮液の凍結によって排ガス熱伝達体内の圧力降下が増大した場合に、差圧も上昇し、その差圧が弁閉鎖部材を開放し、それに伴って排ガス供給導管と排ガス還流導管の間のバイパスを解放する。これによっても、凍結した場合に排ガスクーラーを迂回して、排ガス還流を維持することができる、という利点が得られる。弁閉鎖部材を、外部で駆動することも可能である。
【0016】
本発明の他の好ましい形態において、排ガス熱伝達体、特にその排ガス通路を加熱するために、凝縮液の凍結によって危険にさらされた排ガス通路へ熱をもたらす、冷却剤通路、特にバイパス通路が設けられている。それによって、排ガス熱伝達体内の凝縮液の凍結が阻止される、という利点が得られる。
【0017】
本発明の他の好ましい形態において、排ガス熱伝達体に電気的なヒーターが対応づけられており、それが排ガス通路を加熱して、従って同様に凍結を防止する。
【0018】
本発明の他の好ましい形態において、排ガスクーラーのフィンパイプブロックの前に、ジャルージ、特にフラップジャルージが配置されている。それによって同様に、温度が非常に低い場合に凝縮液による排ガスクーラーの凍結が回避され、かつエンジンのより迅速な加熱が保証される、という利点が得られる。
【0019】
本発明の他の好ましい形態において、空気流れ方向において排ガス熱伝達体の前段に、摺動可能なカバー装置が配置されており、それが排ガス通路間に配置された冷却空気通路を遮蔽し、従って冷却を阻止することができる。それによって、排ガス通路内の凝縮液の凍結が防止されて、排ガス還流が維持される、という利点が得られる。カバー装置は、好ましくはサーモスタット、たとえば伸張物質部材を介して操作することができる。
【0020】
本発明の他の好ましい形態において、排ガスクーラーと過給空気クーラーが1つのモジュールになるように互いに結合されており、その場合に流出する排ガスは過給空気クーラーの流出ケースを通して別体の排ガス通路内で案内される。それによって組込み空間を節約することができる。過給空気クーラーの流出ケース内で排ガスと過給空気を分離することは、排ガス凝縮液の腐食を通常アルミニウムからなる排ガスクーラーによって回避するために、必要である。通路は、厚いアルミニウム壁(分離壁)が過給空気クーラーの流出ケース内へ挿入されることによって、形成され、そのアルミニウム壁はその厚みによって酸性の排ガス凝縮液の腐食攻撃に長い時間耐える。代替的に、プラスチック通路または特殊鋼通路を過給空気クーラーの流出ケース内へ挿入し、それを通して排ガスが流れることも、考えられる。この通路は、外から(付加的な部品として)過給空気クーラーの流出ケースに、あるいは流出ケースの膨出部内へ取り付けることもできる。過給空気と排ガスが過給空気クーラーから、過給空気クーラー内へ凝縮液が還流できない距離だけ下流側で、初めて混合されると、効果的である。過給空気と排ガスの混合箇所は、排ガスが部分的に排ガスクーラーから吸引されるように、ベンチュリーノズルまたは類似の装置の形式で形成することもできる。それによって、排ガス質量流がさらに増大する。
【0021】
本発明の他の好ましい形態において、排ガスクーラーと過給空気クーラーが共通のクーラーに、すなわち共通の集合ケースと共通のフィンパイプブロックを有し、そのパイプが排ガスによっても過給空気によっても、ないしは排ガスと過給空気の混合気によって貫流される、共通のクーラーに統合されている。排ガスと過給空気の供給は、共通の流入短管を介して(2つのガス流の混合の利点をもたらす)、あるいは別体の流入短管を介して行うことができる。この共通の熱伝達体によって、2つの別体の熱伝達体に比較してコストおよび重量の利点が得られる。さらに、熱くて腐食性の排ガスに基づき、好ましくは特殊鋼から形成されているクーラーは、より高い過給空気圧にも耐える、という利点が生じる。今日のエンジン開発は、この方向に、すなわち、現在のアルミニウム構造の過給空気クーラーによっては必ずしも支配できない、より高い過給の傾向にある。
【0022】
本発明の他の好ましい形態によれば、排ガス熱伝達体の前段に酸化触媒が設けられている。これは、排ガスを案内するパイプ内の煤堆積が減少される、という利点を有している。好ましくは、酸化触媒を流入側の集合ケース内に配置することもできる。
【0023】
本発明の課題は、本発明に基づく空気冷却される排ガスクーラーの前段に従来の液体冷却される排ガスクーラーが接続されている、AGRシステムのための配置によっても、解決される。それによって排ガス還流における排ガスの2段階の冷却が得られるので、空気冷却される排ガスクーラーのための流入温度を低下させることができる。それによって、排ガス温度と過給空気温度の補償も得られ、それは特に排ガスと過給空気のために共通の熱伝達体を使用する場合に、効果的である。2段階の排ガス冷却によって、排ガスは内燃機関の吸気路内へ還流される場合により低い温度に達し、それがシリンダの充填度とそれに伴ってエンジンの出力を増大させる。
【実施例】
【0024】
本発明の実施例を図面に示し、以下で詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明に基づく排ガスクーラー1を分解斜視図で、すなわち個別部品ないしアッセンブリに分解して、示している。排ガスクーラー1は、後に図4を用いてもっと詳しく説明するように、自動車の内燃機関における排ガス還流のための排ガスを冷却するために用いられる。本発明に基づく排ガスクーラー1は、フラットパイプ3とそれらの間に配置された波形フィン4からなる、フィンパイプブロック2を有している。波形フィン4は、フラットパイプと半田付けされ、あるいは溶接され、従ってコンパクトなブロック2を形成している。波形フィン4は、周囲空気によって貫流され、かつ空気に対する熱移動を上昇させるために、たとえば波形フィンのための冷却剤クーラーにおいて知られているように、図示されていないエラを有している。波形フィン4の代わりに、図示されていない、いわゆるウェブフィン、すなわち変位して配置された側面を有する蛇行して形成されたフィン、を使用することもできる。ウェブフィンは、通常、より小さい熱伝達出力を有している。パイプ3は、排ガスによって貫流され、冒頭で挙げた従来技術から知られているような、図示されていないウィングレットを有している。たとえば、これらのウィングレットを、たとえばマッシブ成形によって、フラットパイプ4のフラットな側に形成することができる。それによって改良された熱移動が得られ、煤の堆積が回避される。代替的に、パイプ内へ図示されていないインナーフィンを配置して、半田付けすることもできる。本発明に基づく排ガスクーラー1は、さらに、少なくとも1つの集合ケース5を有しており、その集合ケースは、底6、カバー7、前壁8および短管10を備えた他の前壁9から材料結合でまとめられている。上述した部品は、−排ガスパイプ3および波形フィン4と同様に−好ましくは特殊鋼からなる。底6に、フラットパイプ3の横断面に相当する、矩形の開口部11が設けられている。パイプ端部3aは、パイプ底11の開口部11内へ挿入されて、パイプ底6と、好ましくはレーザービーム溶接によって、溶接される。それによって密で堅固なパイプ底結合が生じる。他の図示されていない集合ケースが、フィンパイプブロック2の他の側に設けられているので、すべての排ガスパイプ3が平行かつ同方向に貫流される。従って周囲空気と排ガス流は、クロス流を形成する。フィンパイプブロック2は、上方と下方を側方部分12、13によって終端を形成されており、それら側方部分が一番外側のフィン層と半田付けされている。フィンパイプブロック2の、空気流れ方向における奥行きが、Tで示されている。波形フィン4の高さがhで、フラットパイプ3の高さがbで、そして波形フィンのピッチがtで示されている。ピッチtは、フィン密度の逆数である:ピッチtが大きくなるにつれて、dm当たりのフィンの数として定められるフィン密度が小さくなる。図示の実施例において、フィンパイプブロック2は、一列で形成されている;しかし、フィンパイプブロックを2列またはそれより多い列で、すなわち空気流れ方向(奥行き方向T)により短いパイプで、形成する方が、好ましいこともあり得る。それによって排ガスパイプのためのより高い内圧強度が得られる。
【0026】
本発明の好ましい実施例によれば、排ガスクーラー1ないしフィンパイプブロック2の最適な寸法設計のために、以下の寸法領域が設けられている:フィン高さhは、2から10mmの領域、好ましくは4から6mmの領域内にあり、特に5mmである。パイプ高さbは、2から5mmの領域、好ましくは3から10mmの領域にあり、特に4.5mmである。フィン高さhに対するパイプ高さbの比は、0.5から1.5の領域にある。フィン密度は、20から80フィン/dmの領域、好ましくは30から50フィン/dmの領域にあり、特に35フィン/dmである。パイプは、定義に従って濡らされる範囲に対する流れ断面の比の数倍の、流体圧直径を有している。パイプの流体圧直径は、2から20mmの領域、好ましくは3から10mmの領域にある。フィンパイプブロック2の奥行きTは、20から100mmの領域、好ましくは30から70mmの領域にある。
【0027】
図2は、本発明に基づく排ガスクーラー1をある視点で示しており、その場合に同じ部品については同一の参照符号が使用される。フィンパイプブロック2は、長さLと高さHを有する端面2aの視点で示されている。フィンパイプブロック2の両側に、それぞれ排ガスのための流入短管と流出短管として機能する、排ガス短管10と排ガス短管15を有する、集合ケース5、14が配置されている。従ってフィンパイプブロック2のパイプは、−図面内で水平に−かつ互いに対して平行に貫流される。もちろん、図示の貫流とは異なる貫流も、たとえば集合ケース内でU字状に方向変換することも、可能である。
【0028】
本発明の好ましい実施例によれば、長さLに対する高さHの比は、0.1から0.8の領域、好ましくは0.2から0.4の領域にある。従ってクーラーは、比較的長く延びており、従ってその長手方向の延びに関して冷却モジュールないし冷却剤クーラーの長さに適合させることができる。その場合に好ましくは、排ガスクーラーの上方に過給空気クーラーが配置され、それが端面の残りの部分に少なくとも部分的に重なる。
【0029】
排ガスクーラーの排ガス流出側に配置された凝縮液出口は、図面には図示されておらず、その場合に凝縮液は直接外部へ搬出されるか、あるいは排ガス導管(排気管)内へ搬出される。
【0030】
排ガス還流弁、いわゆるAGR弁も、同様に図面には示されておらず、この排ガス還流弁は流入領域内に、あるいは流出領域内、従って排ガス短管10、15の領域内に配置することができる。AGR弁は、分岐されて還流される排ガス量を制御する。排ガス流出領域内にAGR弁を配置することは、AGR弁もプラスチックから形成できる限りにおいて、そこでは流入部よりも低い排ガス温度が支配している、という利点を有している。
【0031】
図3は、本発明の変形された実施例、すなわちバイパス通路17とバイパスフラップ18を有する排ガスクーラー16を示しており、その場合にバイパス通路17は流入短管19と流出短管20の間においてフィンパイプブロック21に対して平行に延びている。バイパスフラップ18によって、全排ガス量をバイパス通路17を通して案内することができるので、排ガスの冷却は行われない。これは、たとえば、暖機相の間の内燃機関が冷たい場合に、効果的であり得る。
【0032】
図4は、排ガス還流システム、自動車のためのいわゆるAGRシステム22のコンポーネントの配置を示している。内燃機関、ディーゼルエンジン23は、排ガス導管24を有しており、その排ガス導管が、コンプレッサ26を駆動する排ガスタービン25へ通じている。ターボ圧縮器26から過給空気導管27が過給空気クーラー28へ通じ、次に吸気導管29を介してエンジン23へ通じている。過給空気クーラー8は、空気冷却されており、かつ、エンジンのシリンダのための充填度を上昇させるために、圧縮器26内で加熱され、過給空気圧に圧縮された空気を、より低い温度水準に冷却する。排ガス導管24内に、すなわちエンジン23とタービン25の間に、分岐箇所30が設けられており、その分岐箇所から排ガス還流導管31が分岐して、エンジン23の吸気領域へ案内される。AGR導管31内に、第1の排ガスクーラー32が配置されており、この排ガスクーラーは液体冷却されており、かつ接続端32a、32bを介してエンジン23の図示されていない冷却循環に接続されている。排ガス流れ方向において第1の排ガスクーラー32の後方に、第2の排ガスクーラー33が配置されており、それが本発明に基づく空気冷却される排ガスクーラーとして形成されている。第2の排ガスクーラー32内で冷却された排ガスが、吸気導管29へ供給され、すなわち冷却された過給空気と混合される。従ってAGR導管31を通して還流された排ガスは、2段階で冷却され、その場合に第1の段階において排ガスクーラー32によって、約120から150℃までの冷却が達成される。第2の段階において、第2の排ガスクーラー33によって、周囲温度の5から50℃上の温度まで、排ガスがさらに冷却される。
【0033】
図面においては、空気冷却される排ガスクーラー33と過給空気クーラー28は重ねて配置されている。これは、エンジンルーム内の実際の配置にもほぼ相当し、そこで2つのクーラー28、33は空気流れ方向において、冷却剤クーラーと凝縮器からなる、図示されていない冷却モジュールの前に配置されている。従って全部の熱伝達体、すなわち冷却剤クーラー、凝縮器、過給空気クーラーおよび本発明に基づく空気冷却される排ガスクーラーを、1つの構成ユニット、いわゆる冷却モジュールにコンパクトにまとめて、自動車の前方のエンジンルーム内に配置して、固定することができる。その場合に、周囲空気の十分な供給が保証されている。
【0034】
もちろん、本発明に基づく空気冷却される排ガスクーラーを、エンジンルーム内の冷却モジュールとは異なる箇所に配置して、場合によっては排ガスクーラーに専用の通気装置を対応づけることも可能である。
【0035】
図5は、熱伝達モジュール50を示しており、これは−図面において−下方に配置された排ガスクーラー51とその上に配置された過給空気クーラーから構成されており、その場合に2つの熱伝達体51、52は周囲空気を平行に供給される。排ガスクーラー51は、排ガス流入短管54を備えた流入側のケース53と流出側のケース55を有している。2つの排ガスケース53、55は、腐食の理由から好ましくはプラスチックから形成されており、すなわちそれらはプラスチックケースからなり、そのプラスチックケースが図示されていない機械的結合によって、図示されていない金属のパイプ底と結合されている。過給空気クーラー52は、流入側の空気ケース56と流出側の空気ケース57を有している。空気ケース56、57は、好ましくは、図示されていないパイプ底と溶接可能な、アルミニウム材料からなる。流出側の空気ケース57内に、分離壁58が配置されており、それが別の通路59を形成している。流出側の排ガスケース55は、短管60を介して排ガス通路59と接続されているので、排ガスケース55と通路59の間に流れ接続が形成されている。従って排ガスは、流出ケース55から流出側の空気ケース57を通る別体の通路59内へ流入し、その場合に排ガスと過給空気の分離が保証されている。排ガスと過給空気は、流出ケース57の下流に十分な距離で配置されている、図示されていない混合ゾーン内で互いに混合される。それによって過給空気クーラー52内への排ガス凝縮液の逆流が回避される。短管60は、適切なシールによって、空気ケース57に対して密閉することができる。排ガスクーラー51と過給空気クーラー52は、図示されていないフランジまたはホルダを介して互いにねじ止めすることができる。
【0036】
図6aは、図5に示すような、熱伝達体モジュールのための排ガス通路を形成するための、他の実施例を示している。図示されていない過給空気クーラーの流出ケース61内に、別体の排ガス通路62が配置されており、これは腐食に耐える材料、特にプラスチックまたは特殊鋼から形成することができる。排ガス通路62は、接続短管63を介して、図示されていない排ガスクーラーの流出ケース64と接続されている。従ってこの解決においても、過給空気クーラーの流出ケース61を通って流れる排ガスが過給空気から分離される。
【0037】
図6bは、排ガス通路の配置と形成のための他の実施例を示しており、その場合にここでは、過給空気クーラーの流出ケース65と排ガス通路66の横断面のみが図示されている。流出ケース65は、その外側の長手側に、排ガス通路の楕円形の横断面66に適合された、凹部67を有しているので、排ガス通路がこの凹部67内へ埋め込まれている。付属部品として流出ケース65に固定されている排ガス通路66は、特殊鋼、アルミニウムまたはプラスチックから形成することができる。
【0038】
図7aは、本発明の他の実施例として、空気冷却される排ガスクーラーと空気冷却される過給空気クーラー(図3:クーラー28、33を参照)の統合である、組み合わされた熱伝達体34を示している。いわゆるコンビクーラー34は、フィンパイプブロック3、流入ケース36および流出短管38を備えた流出ケース37を有している。流入ケース36は、排ガスのための供給導管39aと過給空気のための供給導管39bを備えた流入短管39を有している。従って排ガス流と過給空気流は、短管39内で一緒に案内され、予め混合されて、流入ケース36内へ案内され、そこで全部の流れがフィンパイプブロック35の図示されていないパイプへ分配される。コンビクーラー34は、図4に示すのと同様に、すなわちそこに示されるクーラー33、29の代わりに、AGRシステム内へ組み込まれる。共通の流出短管38から、冷却されたガス流がエンジンの吸気路へ供給される。
【0039】
図7bは、排ガスのための別体の流入短管41と過給空気のための別体の流入短管42を有する、変形されたコンビクーラー40を示している。2つの短管は、共通の集合ケース43内へ通じている。パイプフィンブロックと流出ケースは、図7aに示す実施例に相当する。第1の実施例において、排ガス流と過給空気流は流入短管39内ですでに前もって混合され、それが2つのガス流の温度補償ももたらす。別体の流入短管41、42を有する第2の実施例においては、2つのガス流の混合は大体において流入ケース43内で行われる。
【0040】
図8aと8bは、フロント側に配置されたジャルージ45を有する排ガス熱伝達体44を示しており、そのジャルージは個々の揺動可能なフラップまたは薄板45a、45b、45c、…45fからなる。図8aは、閉鎖されたジャルージ45を有する排ガス熱伝達体44を示しており、すなわち排ガス熱伝達体44の空気を供給される側の端面全体が、薄板45aから45fによって覆われている。図8bは、開放された位置のジャルージ45を有する排ガス熱伝達体44を示しており、すなわち薄板45aから45fは空気流れ方向Lに対して平行に方位付けされて、従って冷却空気を通過させる。その場合に薄板45aから45fはそれぞれ空気流れ方向において、排ガス熱伝達体44の見えない、ないしは図示されていない排ガス通路の前に配置されているので、排ガス通路管のフィン46a、46b、46c、…は空気貫流のために解放されている。従って図8bに示すジャルージ位置において、排ガス熱伝達体44を貫流する排ガスの冷却が行われ、図8に示す閉鎖されたジャルージ位置においては、空気流による冷却は行われない。ジャルージ45は、特に外部温度が低い場合に、排ガス通路内の凝縮液の凍結の危険がある場合には、閉鎖される。従って凍結をほぼ阻止し、排ガス還流を維持することができる。
【0041】
図9aと9bは、冷却空気流から遮蔽可能な排ガスクーラー47のための、本発明の他の実施形態を示している。空気流れ方向において排ガスクーラー47の前に、ウェブ49a、49b、49c、…とウェブの間に配置された長手スロット50a、50b、50c、…からなる、摺動可能なカバー装置48が配置されている。ウェブ49a、49b、49c、…は、適切なサーボモータによって図示されていない排ガス通路の長手方向に対して横方向に移動することができ、従って排ガスクーラー47の端面を部分的に解放し、あるいは閉鎖することができる。図9aは、閉鎖されたカバー装置48を有する排ガスクーラー47を示しており、すなわちウェブ49a、49b、49c、…がここには見えない冷却空気通路を覆っており、スロット50a、50b、50c、…は空気流れ方向において排ガス通路の前に位置している。従ってカバー装置48が閉鎖されている場合には、空気冷却は行われない。図9bは、開放されたカバー装置48を有する排ガスクーラー47を示しており、その場合に排ガス通路間の、フィン51a、51b、51c、…を有する冷却空気通路は解放されている。排ガス通路の前に、ウェブ49a、49b、49c、…ある。カバー装置48は、格子構造(格子ジャルージ)として形成することができ、その場合に個々の格子棒は折り畳み可能あるいは共通に摺動可能であるので、空気流を供給されるその端面を拡大し、あるいは縮小することができる。このカバー装置48も、排ガス通路内の凝縮液の凍結を阻止し、排ガス還流を維持するのに、適している。カバー装置48の駆動、すなわちその横方向移動は、適切なサーボモータによって、たとえば温度に依存する伸張物質部材、負圧ボックスあるいはその他のモータによって行うことができる。
【0042】
図10は、いわゆるコンビクーラー52を有する、本発明の他の実施例を示しており、そのコンビクーラーは過給空気クーラー53と排ガスクーラー54から構成されており、それら両者が冷却空気を供給される。排ガスクーラー54は、空気フィン55と図示されていない排ガス通路からなるブロック56を有しており、−空気流れ方向において−そのブロックの前に蛇行して形成された冷却剤通路57が配置されており、その冷却剤通路は自動車の内燃機関の図示されていない冷却剤循環に接続可能である。冷却剤通路57は、まっすぐな部分57aを有しており、それらの部分が終端側において円弧パイプ57bによって結合されている。従って冷却剤通路57、57a、57bは蛇行パイプを形成しており、その場合にまっすぐな部分57aは排ガスクーラー54の図示されていない排ガス通路の前に配置されており、すなわち、冷却空気通路を形成する、空気フィン55が、冷却空気流に完全にさらされる。蛇行パイプ57のまっすぐな部分57aは、排ガスクーラーと(熱伝導によってであろうと、熱放射によってであろうと)熱伝達接続されており、従って外部温度が低い場合に排ガス通路内の凝縮液の凍結とそれにともなって詰まりを阻止する。従って排ガス還流は、外部温度が低い場合でも、より高い温度の冷却剤によって貫流される蛇行パイプ57によって、維持することができる。好ましくは冷却剤は、エンジン還流から、すなわち冷却循環のクーラーアプローチから取り出される。蛇行パイプ57を貫流するために熱い冷却剤を取り出すことは、図示されていない弁を介して制御することができる。蛇行パイプ57は、好ましくは排ガス通路全体を覆うが、少なくとも排ガス通路の一部を覆う。
【0043】
図11は、空気冷却される排ガスクーラー58を有する、本発明の他の実施例を示しており、その排ガスクーラーは冷却空気を供給される端面59を有している。空気流れ方向において排ガスクーラー58の端面59の前に、多数のヒートワイヤからなる、電気的に加熱可能な加熱格子60が配置されており、それらヒートワイヤは図示されていない排ガス通路およびそれらの間に配置されている空気フィンと熱伝達接続されている。電気的に加熱可能な発熱格子60は、その熱を(加熱格子60を貫流する空気流によっても)排ガス通路と空気フィンへ放出するので、それらは外部温度が低い場合に加熱される。従って排ガスクーラー58内の凝縮液の凍結を阻止することができる。加熱のオンは、たとえば周囲温度または排ガスクーラーの後方の排ガス流出温度に従って、手動または自動で行うことができる。
【0044】
図12は、空気冷却される排ガスクーラー61を有する、本発明の他の実施例を示しており、この排ガスクーラーは排ガス側の流入ケース62と排ガス側の流出ケース63を有しており、それらの間に、排ガス通路64と冷却フィン65からなる排ガスブロック66が配置されている。流入ケース62は、排ガス供給導管67と、そして流出ケース63は排ガス還流導管68と接続されている。排ガスクーラー61には、弁69が対応づけられており、その弁は分離壁70によって分割された2つの弁室71、72を有している。分離壁70内に、弁開口部73が配置されており、その弁開口部は、弁閉鎖ばね74によって付勢された弁閉鎖部材75を介してコントロールされる。弁室71は、排ガス供給導管67によって貫流され、弁室72は排ガス還流導管68によって貫流される。弁開口部73は、弁閉鎖部材75によって、弁閉鎖ばね74の力が弁部材75に作用する押圧力よりも大きい間、閉鎖されている。弁室71内では、排ガスクーラー61の流入側の排ガス圧に相当する、圧力P1が支配しており、弁室72内の圧力P2は、排ガスクーラー61の流出側の排ガス圧に相当する。従って皿状の弁閉鎖部材75には、排ガスクーラー61内の排ガス側の圧力降下(P1マイナスP2)に相当する差圧ΔPが作用する。排ガスパイプ64が自由である間、排ガス熱伝達体61は比較的小さい圧力降下ΔP=P1=P2を有している。しかし、外部温度が低い場合に、凝縮液の凍結によって排ガスパイプ64の部分的または完全な詰まりが生じた場合に、排ガスクーラー61内の排ガス側の圧力降下とそれに伴って弁閉鎖部材75へ作用する差圧が増大する:差圧からもたらされる力が、閉鎖ばね74の力より大きくなるまで、P2は小さくなり、P1は大きくなり−その後弁閉鎖部材75が開放し、弁開口部73を解放し、その弁開口部がその後排ガス供給導管67と排ガス還流導管68の間のバイパスとして作用する。その場合に排ガスクーラー61は、開放されたバイパス73によって完全に、あるいは部分的に迂回される。従って、周囲温度が低く、排ガスクーラー61内の凍結した凝縮液がパイプ64を詰まらせた場合でも、排ガスが還流できることが、保証される。さらに、圧力または温度に従って弁69の−電気的または空気式の−外部の駆動も可能である。
【0045】
図面には示されていない、本発明の他の実施例は、図3に示す実施例にほぼ相当するが、排ガスバイパスフラップのない、排ガスのためのバイパス通路を有する、空気冷却される排ガス熱伝達体に関する。それによって、温度が低い場合でも、そしてクーラー内の凝縮液が凍結して排ガスクーラーが排ガス側において一部または完全に閉鎖された(「ロックされた」)場合でも、排ガスが還流できることが、保証される。その場合にバイパス通路、特にその入口は、まずバイパス通路を介しての圧力損失が、排ガスクーラー内の排ガス側の圧力損失(凍結されない、従って最大の排ガス側の通過横断面を有する状態)よりも大きいように、形成されている。この状態において、次の関係が成立する:
ΔPBy>ΔPAk
その場合にPByは、バイパス内の圧力降下であり、PAkは、排ガスクーラー内の圧力降下である。排ガスクーラー内の凝縮液が凍結した場合に、排ガスクーラー内の圧力降下は、その圧力降下がバイパス通路内の圧力損失に達してそれを上回るまで、増大する。その後まず、バイパス通路を通って部分質量流が流れ、排ガスクーラーが完全に詰まった場合に、全排ガス質量流が流れる。バイパス通路の幾何学配置と寸法は、バイパス通路内で凝縮液が凍結できないように、構成されている;好ましくはバイパス通路は、質量流に従って十分な横断面を有する丸パイプまたは矩形パイプとして形成される。圧力損失自体によって制御されるこのバイパスにおいて、バイパスフラップも、このバイパスフラップの駆動も必要ないことが、効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に基づく空気冷却される排ガスクーラーを示す分解斜視図である。
【図2】本発明に基づく排ガスクーラーをある視点で示している。
【図3】バイパス通路を有する、本発明に基づく排ガスクーラーの展開を示している。
【図4】液体冷却される排ガスクーラーと空気冷却される排ガスクーラーによる2段階の排ガス冷却を有するAGRシステムを示している。
【図5】別体の排ガス通路の第1の形態を有する、排ガスクーラーと過給空気クーラーとからなる、熱伝達体モジュールを示している。
【図6a】過給空気クーラーの流出ケース内の別体の排ガス通路の第2の実施形態を示している。
【図6b】過給空気クーラーの流出ケースの外側にある別体の排ガス通路の第3の実施形態を示している。
【図7a】組み合わされた排ガスクーラーと過給空気クーラーの第1の実施形態を示している。
【図7b】組み合わされた排ガスクーラーと過給空気クーラーの第2の実施形態を示している。
【図8a】閉鎖されたジャルージを有する排ガスクーラーを示している。
【図8b】開放されたジャルージを有する排ガスクーラーを示している。
【図9a】摺動可能な閉鎖されたカバー装置を有する排ガスクーラーを示しており。
【図9b】摺動可能な開放されたカバー装置を有する排ガスクーラーを示している。
【図10】冷却剤バイパス通路を有する排ガスクーラーを示している。
【図11】電気的な加熱を有する排ガスクーラーを示している。
【図12】バイパス弁を有する排ガスクーラーを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排ガスによって貫流可能な通路(排ガス通路)を有し、前記排ガス通路の間に空気冷却するためのフィンが配置されている、空気冷却される排ガス熱伝達体、特に自動車のための排ガスクーラーにおいて、
排ガス通路が、パイプ、特にフラットパイプ(3)として形成されており、フィン(4)が前記フラットパイプと共にフィンパイプブロック(2)を形成し、かつ
パイプ(3)がパイプ端部(3a)を有しており、前記パイプ端部が排ガスのための集合ケース(5)内に収容されていることを特徴とする排ガス熱伝達体。
【請求項2】
集合ケース(5)が、開口部(11)を備えたパイプ底(6)を有しており、前記開口部内にパイプ端部(3a)が溶接され、あるいは半田付けされていることを特徴とする請求項1に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項3】
パイプ(3)が、鋼、特に特殊鋼から形成可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項4】
フィン(4)が、鋼、特に特殊鋼から、あるいは非鉄金属、特に銅から形成可能であることを特徴とする請求項2または3に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項5】
フィンが、波形フィン(4)として形成されて、エラを有していることを特徴とする請求項1から4の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項6】
フィンが、ウェブフィンとして形成されていることを特徴とする請求項1から4の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項7】
パイプ(3)が、乱流挿入片、半田付けされたインナーフィンあるいはいわゆるウィングレットを有していることを特徴とする請求項1から6の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項8】
パイプ(3)が、空気流れ方向に見て、複数列で配置されていることを特徴とする請求項1から7の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項9】
フィンパイプブロック(2)が、側方部分(12、13)を有していることを特徴とする請求項1から8の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項10】
排ガスのための集合ケース(5)が、特殊鋼から、あるいはプラスチックから形成可能であることを特徴とする請求項1から9の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項11】
側方部分(12、13)が、貫流できないフラットパイプとして形成されており、前記フラットパイプが最も外側のフィン層と材料によって結合され、特に半田付けされていることを特徴とする請求項9に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項12】
空気側のフィン、特に波形フィン(4)または排ガス側のインナーフィンが、フィン高さhを有しており、その場合に以下の寸法領域が成立する:
2≦h≦10mm、好ましくは4≦h≦6mm
ことを特徴とする請求項1から11の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項13】
フィン高さh=5mmであることを特徴とする請求項12に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項14】
フラットパイプ(3)が、パイプ高さbを有しており、その場合に以下の寸法領域が成立する:
2≦b≦15mm、特に3≦b≦10mm
ことを特徴とする請求項1から13の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項15】
パイプ高さb=4.5mmであることを特徴とする請求項14に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項16】
フィン高さhに対するパイプ高さbの比が、0.5≦b/h≦1.5の領域にあることを特徴とする請求項14または15に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項17】
フィン(4)がパイプ(3)の間において、20から80フィン/dmの領域、特に30から50フィン/dmの領域内の密度を有していることを特徴とする請求項1から16の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項18】
パイプ(3)が、2≦dh≦20の領域、好ましくは3≦dh≦10mmの領域の、流体圧直径dhを有していることを特徴とする請求項1から17の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項19】
フィンパイプブロック(2)が、空気流れ方向に測定して、20≦T≦100mmの領域、好ましくは30≦T≦70mmの領域の、奥行きTを有していることを特徴とする請求項1から18の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項20】
フィンパイプブロック(2)が、高さHと長さLを有しており、かつ
長さLに対する高さHの比が、0.1≦H/L≦0.8の領域、好ましくは0.2≦H/L≦0.4の領域内にあることを特徴とする請求項1から19の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項21】
排ガス熱伝達体(1)が、冷却剤クーラー、凝縮器および/または過給空気クーラーからなる、冷却モジュールの付加的なコンポーネントを形成していることを特徴とする請求項1から20の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項22】
排ガス熱伝達体(1)と過給空気クーラーが、冷却モジュール内に重ねて配置されていることを特徴とする請求項21に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項23】
排ガス熱伝達体(16)が、特にバイパスフラップ(18)を備えた、排ガスのためのバイパス通路(17)を有していることを特徴とする請求項1から22の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項24】
排ガス熱伝達体(16)に、排ガスのためのバイパス通路(17)に対応づけられており、かつ
排ガス熱伝達体(16)が圧力降下ΔPAkを有し、かつバイパス通路が圧力降下ΔPByを有しており、その場合に排ガス熱伝達体が開放されている場合に、関係ΔPBy>ΔPAkが成立し、排ガス熱伝達体が部分的または完全に詰まっている場合に、関係ΔPBy<ΔPAkが成立することを特徴とする請求項1から22の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項25】
排ガス熱伝達体(61)の排ガス側にバイパス(69、73)が対応づけられており、前記バイパスが排ガス熱伝達体(61)の排ガス入口(62)と排ガス出口(63)の間の差圧ΔP=P1−P2によって制御可能であることを特徴とする請求項1から22のいずれか1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項26】
バイパスが、弁閉鎖部材(75)によって分離可能かつ短絡可能な、排ガス供給通路(67)と排ガス還流通路(68)を有する差圧弁(69)として形成されていることを特徴とする請求項25に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項27】
排ガス供給通路(67)が排ガス熱伝達体(61)の入口(62)と、排ガス還流通路(68)が排ガス熱伝達体(61)の出口(63)と接続されていることを特徴とする請求項26に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項28】
弁閉鎖部材(75)が、閉鎖ばね(74)によって付勢可能であることを特徴とする請求項26または27に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項29】
排ガス熱伝達体(61)の排ガス側にバイパス(69)が対応づけられており、前記バイパスが排ガス熱伝達体(61)の通過横断面に従って外部で駆動可能であることを特徴とする請求項1から22の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項30】
排ガス熱伝達体(54)の排ガス通路に、少なくとも1つの冷却剤通路(57、57a)、特にバイパス通路、が熱伝達するように対応づけられていることを特徴とする請求項1から22の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項31】
少なくとも1つの冷却剤通路(57)が、蛇行して形成されており、かつ、排ガス通路に対して平行に配置された、まっすぐな通路部分(57a)を有していることを特徴とする請求項30に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項32】
冷却剤通路(57)が、内燃機関の冷却循環に接続可能であることを特徴とする請求項30または31に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項33】
排ガス熱伝達体(58)、特に排ガス通路および/またはフィンに、電気的なヒーター(60)が対応づけられていることを特徴とする請求項1から22の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項34】
電気的なヒーター(60)が、ヒートワイヤを有しており、前記ヒートワイヤが排ガス通路の外側に熱伝達するように配置されていることを特徴とする請求項33に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項35】
空気流れ方向において排ガス熱伝達体(44)の前に、ジャルージ、好ましくはフラップジャルージ(45)が配置されていることを特徴とする請求項1から22の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項36】
排ガス熱伝達体(47)、特に排ガス通路および/またはフィンに、長手スロット(50a、50b、50c、…)を有する摺動可能なカバー装置(48)が対応づけられていることを特徴とする請求項1から22の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項37】
長手スロット(50a、50b、50c、…)が、排ガス通路に対して平行に配置されていることを特徴とする請求項36に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項38】
カバー装置(48)が、長手スロット(50a、50b、50c、…)の間にウェブ(49a、49b、49c、…)を有しており、前記ウェブによって排ガス熱伝達体(47)のフィン(51a、51b、51c、…)が遮蔽可能であることを特徴とする請求項36または37に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項39】
カバー装置(48)が、排ガス通路に対して横方向に摺動可能であることを特徴とする請求項36、37または38に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項40】
排ガスクーラー(51)と過給空気クーラー(52)が、熱伝達体モジュール(50)になるように互いに結合されていることを特徴とする請求項1から39のいずれか1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項41】
排ガスが、流出側において過給空気から分離されており、かつ流出側の空気ケース(57、61、65)を通して、あるいはその回りを案内されていることを特徴とする請求項40に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項42】
排ガスが、−流入側の集合ケースの上流側および/または流出側の集合ケースの下流側において(55、64)−別体の通路(59、62、66)内で案内されていることを特徴とする請求項41に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項43】
別体の通路(59、62、66)が、流出側の過給空気ケース(57、61、65)の内側および/または外側に配置されていることを特徴とする請求項42に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項44】
別体の通路(59)が、過給空気ケース(57)内に分離壁(58)によって形成されることを特徴とする請求項43に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項45】
排ガスのための別体の通路(62、66)が、プラスチック、ゴムまたは鋼からなるパイプまたはチューブとして、あるいはプラスチックブロー成型部品として形成可能であることを特徴とする請求項42または43に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項46】
過給空気ケース(57、61、65)の下流側において、排ガスと過給空気が、混合ゾーン内で混合可能であることを特徴とする請求項41から45のすく1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項47】
混合ゾーンが、過給空気ケース(57、61、65)からの過給空気の出口より測地学的に低く配置されていることを特徴とする請求項46に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項48】
排ガスが、既知のベンチュリー効果に従って働く装置によって、特にベンチュリーノズルによって、過給空気により吸込み可能であることを特徴とする請求項40から47の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項49】
排ガス熱伝達体と過給空気クーラーが、共通の熱伝達体(34、40)になるように一体化されており、前記熱伝達体が一次側を過給空気と排ガスによって、二次側を空気によって冷却可能であることを特徴とする請求項20から23のいずれか1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項50】
排ガスと過給空気が、共通の流入短管(39)を介して、あるいは別体の流入短管(41、42)を介して、共通の熱伝達体(34、40)へ供給可能であることを特徴とする請求項49に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項51】
排ガス熱伝達体が、排ガス流出側に凝縮液出口を有していることを特徴とする請求項1から50の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項52】
吸気導管(29)と排ガス導管(24)および排ガスクーラーを有するAGR導管(31)を備え、内燃機関(23)を有する自動車内の排ガスを還流させる配置(AGR)において、
排ガスクーラーが、請求項1から51のいずれか1項に記載の排ガス熱伝達体(33)として形成されていることを特徴とする排ガスを還流させる配置。
【請求項53】
排ガス熱伝達体(23)の前段において、AGR導管(31)内に排ガスクーラー(32)が接続されており、前記排ガスクーラーが液状の冷却剤、特に内燃機関(23)の冷却循環の冷却剤によって冷却可能であることを特徴とする請求項52に記載の配置。
【請求項54】
排ガス熱伝達体(33)が、エンジンルーム内の任意の箇所に、しかし冷却モジュールにではなく、配置されていることを特徴とする請求項52または53に記載の配置。
【請求項55】
排ガス熱伝達体(33)の前段または後段に、冷却空気を給送するための専用の通気装置が接続されていることを特徴とする請求項52、53または54に記載の配置。
【請求項56】
排ガス熱伝達体(1)または共通の熱伝達体(34、40)が、統合されたAGR弁を有していることを特徴とする請求項1から51の少なくとも1項に記載の熱伝達体または請求項52から55の少なくとも1項に記載の配置。
【請求項57】
排ガス熱伝達体または共通の熱伝達体の前段に、酸化触媒が接続されていることを特徴とする前記請求項の少なくとも1項に記載の排ガス熱伝達体。
【請求項58】
酸化触媒が、排ガスのための流入側の集合ケースの内部または外部に配置されていることを特徴とする請求項57に記載の排ガス熱伝達体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−516176(P2008−516176A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535080(P2007−535080)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010718
【国際公開番号】WO2006/040053
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(594042033)ベール ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (222)
【Fターム(参考)】