説明

空気分離方法及び装置

【課題】3塔式プロセスで酸素を採取する際の消費動力を削減できる空気分離方法及び装置を提供する。
【解決手段】原料空気を高圧窒素ガスと高圧酸素富化液化空気とに分離する第1分離工程と、高圧酸素富化液化空気を中圧窒素ガスと中圧酸素富化液化空気とに分離する第2分離工程と、中圧酸素富化液化空気を減圧した低圧酸素富化液化空気を低圧酸素富化空気とし、中圧窒素ガスを中圧液化窒素とする第1間接熱交換工程と、低圧酸素富化空気を低圧窒素ガスと低圧液化酸素とに分離する第3分離工程と、高圧窒素ガスを高圧液化窒素とし、低圧液化酸素を低圧酸素ガスとする第2間接熱交換工程と、第1分離工程中の高圧窒素富化空気を高圧窒素富化液化空気とし、中圧酸素富化液化空気を中圧酸素富化空気とする第3間接熱交換工程と、低圧酸素ガス又は低圧液化酸素を熱回収後に製品酸素ガスとして採取する製品ガス回収工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気分離方法及び装置に関し、詳しくは、圧縮、精製、冷却した原料空気を低温蒸留することにより、酸素ガスを製品として採取する空気分離方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気を深冷分離して製品酸素ガスを製造する方法としては、従来から複式精留プロセスが最も一般的な方法として知られている。この複式精留プロセスは、圧縮、精製、冷却した原料空気を低温蒸留して高圧窒素ガスと高圧酸素富化液化空気とに分離する高圧塔と、前記高圧酸素富化液化空気を減圧後に低温蒸留して低圧窒素ガスと低圧液化酸素とに分離する低圧塔と、高圧塔頂部の高圧窒素ガスを凝縮液化すると同時に低圧塔底部の低圧液化酸素を蒸発ガス化する主凝縮器とを主な構成機器としている。また、製品酸素ガスに加えて製品窒素ガスを製造する際の消費動力を低減するためのプロセスとして、複式精留プロセスにおける高圧塔の運転圧力と低圧塔の運転圧力との中間の運転圧力で運転する中圧塔を付加した3塔式プロセスが各種提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−233457号公報
【特許文献2】特開2001−263935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたプロセスでは、低圧塔に供給される流体の酸素濃度が高くなるため、低圧塔の精留条件を改善でき、高圧塔の塔頂から複式精留プロセスに比べて多くの高圧製品窒素ガスを採取できる。また、特許文献2に記載されたプロセスでは、中圧塔の運転圧力を下げることによって中圧塔の塔底から導出される中圧酸素富化液化空気の酸素濃度を特許文献1のプロセスより高くすることができるが、中圧塔の塔頂から製品として採取する中圧窒素ガスの圧力が低くなってしまうため、中圧窒素ガスを圧縮する動力が必要になり、結果的に消費動力の低減は不十分なものとなっていた。
【0005】
そこで本発明は、3塔式プロセスにおける低圧塔に供給する流体の酸素濃度をより高くすることにより、高圧塔の塔頂や中圧塔の塔頂から導出する窒素ガスの採取量を増やすとともに、消費動力を削減することができる空気分離方法及び装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の空気分離方法における第1の構成は、原料空気を深冷液化分離して製品酸素を採取する空気分離方法において、圧縮、精製、冷却した原料空気を低温蒸留して高圧窒素ガスと高圧酸素富化液化空気とに分離する第1分離工程と、前記高圧酸素富化液化空気を減圧後に低温蒸留して中圧窒素ガスと中圧酸素富化液化空気とに分離する第2分離工程と、前記中圧酸素富化液化空気を減圧した低圧酸素富化液化空気と前記中圧窒素ガスとを間接熱交換させて中圧窒素ガスを凝縮液化して中圧液化窒素を得ると同時に前記低圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して低圧酸素富化空気を得る第1間接熱交換工程と、前記低圧酸素富化空気を低温蒸留して低圧窒素ガスと低圧液化酸素とに分離する第3分離工程と、前記高圧窒素ガスと前記低圧液化酸素とを間接熱交換させて前記高圧窒素ガスを凝縮液化して高圧液化窒素を得ると同時に前記低圧液化酸素を蒸発ガス化して低圧酸素ガスを得る第2間接熱交換工程と、前記第1分離工程の中間段階で生成した高圧窒素富化空気と前記中圧酸素富化液化空気とを間接熱交換させて前記高圧窒素富化空気を凝縮液化して高圧窒素富化液化空気を得ると同時に前記中圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して中圧酸素富化空気を得る第3間接熱交換工程と、前記低圧酸素ガス又は前記低圧液化酸素を熱回収後に製品酸素ガスとして採取する製品ガス回収工程とを含むことを特徴としている。
【0007】
また、本発明の空気分離方法における第2の構成は、原料空気を深冷液化分離して製品酸素を採取する空気分離方法において、圧縮、精製、冷却した原料空気を低温蒸留して高圧窒素ガスと高圧酸素富化液化空気とに分離する第1分離工程と、前記高圧酸素富化液化空気を減圧後に低温蒸留して中圧窒素ガスと中圧酸素富化液化空気とに分離する第2分離工程と、前記中圧酸素富化液化空気を減圧した低圧酸素富化液化空気を低温蒸留して低圧窒素ガスと低圧液化酸素とに分離する第3分離工程と、前記中圧窒素ガスと前記第3分離工程の中間段階の低圧酸素富化還流液化空気とを間接熱交換させて中圧窒素ガスを凝縮液化して中圧液化窒素を得ると同時に前記低圧酸素富化還流液化空気を蒸発ガス化して低圧酸素富化蒸発空気を得る第1間接熱交換工程と、前記高圧窒素ガスと前記低圧液化酸素とを間接熱交換させて前記高圧窒素ガスを凝縮液化して高圧液化窒素を得ると同時に前記低圧液化酸素を蒸発ガス化して低圧酸素ガスを得る第2間接熱交換工程と、前記第1分離工程の中間段階の高圧窒素富化空気と前記中圧酸素富化液化空気とを間接熱交換させて前記高圧窒素富化空気を凝縮液化して高圧窒素富化液化空気を得ると同時に前記中圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して中圧酸素富化空気を得る第3間接熱交換工程と、前記低圧酸素ガス又は前記低圧液化酸素を熱回収後に製品酸素ガスとして採取する製品ガス回収工程とを含むことを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明の空気分離方法において、前記第3間接熱交換工程が、熱交換型蒸留器の一方の通路に前記高圧窒素富化空気を上方向に流しながら凝縮液化して得られた液体を下方向に流す低温蒸留を行うことによって前記高圧窒素富化液化空気に加えてより窒素が濃縮した高圧低純窒素ガスを得ると同時に、前記熱交換型蒸留器の他方の通路に前記中圧酸素富化液化空気を下方向に流しながら蒸発ガス化して得られたガスを上方向に流す低温蒸留を行うことによって前記中圧酸素富化空気に加えてより酸素が濃縮した中圧低純液化酸素を得るように構成することもでき、前記第3間接熱交換工程では、前記高圧窒素富化空気に代えて前記原料空気の一部を使用することもできる。加えて、前記第1分離工程で得られた高圧窒素ガスを熱回収後に採取する高圧窒素ガス回収工程、前記第2分離工程で得られた中圧窒素ガスを熱回収後に採取する中圧窒素ガス回収工程、前記第3分離工程で得られた低圧窒素ガスを熱回収後に採取する低圧窒素ガス回収工程、前記第2間接熱交換工程で凝縮液化した前記高圧液化窒素を採取する高圧液化窒素回収工程、前記第1間接熱交換工程で凝縮液化した前記中圧液化窒素を採取する中圧液化窒素回収工程、及び、前記第3分離工程で得られた前記低圧液化酸素を回収する低圧液化酸素回収工程のうち少なくとも1つの工程を行うことができる。
【0009】
また、本発明の空気分離装置における第1の構成は、原料空気を深冷液化分離して製品酸素を採取する空気分離装置において、圧縮、精製、冷却した原料空気を低温蒸留して高圧窒素ガスと高圧酸素富化液化空気とに分離する高圧塔と、前記高圧酸素富化液化空気を減圧後に低温蒸留して中圧窒素ガスと中圧酸素富化液化空気とに分離する中圧塔と、前記中圧酸素富化液化空気を減圧した低圧酸素富化液化空気と前記中圧窒素ガスとを間接熱交換させて中圧窒素ガスを凝縮液化して中圧液化窒素を得ると同時に前記低圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して低圧酸素富化空気を得る中圧塔凝縮器と、前記低圧酸素富化空気を低温蒸留して低圧窒素ガスと低圧液化酸素とに分離する低圧塔と、前記高圧窒素ガスと前記低圧液化酸素とを間接熱交換させて前記高圧窒素ガスを凝縮液化して高圧液化窒素を得ると同時に前記低圧液化酸素を蒸発ガス化して低圧酸素ガスを得る主凝縮蒸発器と、前記高圧塔の中間部から抜き出した高圧窒素富化空気と前記中圧酸素富化液化空気とを間接熱交換させて前記高圧窒素富化空気を凝縮液化して高圧窒素富化液化空気を得ると同時に前記中圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して中圧酸素富化空気を得る中圧塔蒸化器と、前記低圧酸素ガス又は前記低圧液化酸素を熱回収後に製品酸素ガスとして採取する製品酸素ガス回収経路とを備えていることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明の空気分離装置における第2の構成は、原料空気を深冷液化分離して製品酸素を採取する空気分離装置において、圧縮、精製、冷却した原料空気を低温蒸留して高圧窒素ガスと高圧酸素富化液化空気とに分離する高圧塔と、前記高圧酸素富化液化空気を減圧後に低温蒸留して中圧窒素ガスと中圧酸素富化液化空気とに分離する中圧塔と、前記中圧酸素富化液化空気を減圧した低圧酸素富化液化空気を低温蒸留して低圧窒素ガスと低圧液化酸素とに分離する低圧塔と、前記中圧窒素ガスと前記低圧塔の中間部を下降する低圧酸素富化還流液化空気とを間接熱交換させて中圧窒素ガスを凝縮液化して中圧液化窒素を得ると同時に前記低圧酸素富化還流液化空気を蒸発ガス化して低圧酸素富化蒸発空気を得る中圧窒素凝縮器と、前記高圧窒素ガスと前記低圧液化酸素とを間接熱交換させて前記高圧窒素ガスを凝縮液化して高圧液化窒素を得ると同時に前記低圧液化酸素を蒸発ガス化して低圧酸素ガスを得る主凝縮蒸発器と、前記高圧塔の中間部から抜き出した高圧窒素富化空気と前記中圧酸素富化液化空気とを間接熱交換させて前記高圧窒素富化空気を凝縮液化して高圧窒素富化液化空気を得ると同時に前記中圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して中圧酸素富化空気を得る中圧塔蒸化器と、前記低圧酸素ガス又は前記低圧液化酸素を熱回収後に製品酸素ガスとして採取する製品ガス回収経路とを備えていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の空気分離装置は、前記中圧塔蒸化器に代えて、一方の通路に前記高圧窒素富化空気の一部を上方向に流しながら凝縮液化して得られた液体を下方向に流す低温蒸留を行うことによって前記高圧窒素富化液化空気に加えてより窒素が濃縮した高圧低純窒素ガスを得ると同時に、他方の通路に前記中圧酸素富化液化空気を下方向に流しながら蒸発ガス化して得られたガスを上方向に流す低温蒸留を行うことによって前記中圧酸素富化空気に加えてより酸素が濃縮した中圧低純液化酸素を得る熱交換型蒸留器を用いることができ、前記高圧窒素富化空気に代えて、前記原料空気の一部を使用することもできる。さらに、前記高圧塔で得られた高圧窒素ガスを熱回収後に採取する高圧窒素ガス回収経路、前記中圧塔で得られた中圧窒素ガスを熱回収後に採取する中圧窒素ガス回収経路、前記低圧塔で得られた低圧窒素ガスを熱回収後に採取する低圧窒素ガス回収経路、前記主凝縮蒸発器で凝縮液化した前記高圧液化窒素を採取する高圧液化窒素回収経路、前記中圧塔凝縮器で凝縮液化した前記中圧液化窒素を採取する中圧液化窒素回収経路、前記低圧塔で得られた前記低圧液化酸素を回収する低圧液化酸素回収経路のうち少なくとも1つの経路を設けることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第3分離工程を行う低圧塔に供給する低圧酸素富化空気、低圧酸素富化液化空気あるいは低圧塔内部で蒸発する低圧酸素富化蒸発空気の酸素濃度を高くすることができるので、低圧塔の精留条件を改善することができ、第2間接熱交換工程を行う主凝縮蒸発器の交換熱量を小さく抑えることができる。これにより、第1分離工程を行う高圧塔で分離した高圧窒素ガスや、第2分離工程を行う中圧塔で分離した中圧窒素ガスの抜き出し量を多くすることができる。したがって、製品酸素ガスのみを採取する場合は、高圧窒素ガスや中圧窒素ガスを膨張させて動力を回収することにより、装置全体の消費動力を低減することができる。また、高圧窒素ガスや中圧窒素ガスを製品窒素ガスとして採取する場合は、圧力の高い窒素ガスを多く採取できるので、窒素ガス送出用窒素圧縮機の小型化による設備費用の削減や動力費の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の空気分離方法を適用した空気分離装置の第1形態例を示す系統図である。
【図2】本発明の空気分離方法を適用した空気分離装置の第2形態例を示す系統図である。
【図3】本発明の空気分離方法を適用した空気分離装置の第3形態例を示す系統図である。
【図4】本発明の空気分離方法を適用した空気分離装置の第4形態例を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、図1は、本発明の第1形態例を示すもので、本形態例に示す空気分離装置10は、3塔式プロセスを採用したものであって、主要機器として、高圧塔11,中圧塔12,低圧塔13,主凝縮蒸発器14,中圧塔凝縮器15,中圧塔蒸化器16,主熱交換器17,膨張タービン18及び該膨張タービン18により駆動されるブロワ19,過冷器20を備えており、主凝縮蒸発器14は高圧塔11と低圧塔13との間に、中圧塔凝縮器15は中圧塔12の上方に、中圧塔蒸化器16は中圧塔12の底部に、それぞれ設けられている。
【0015】
この空気分離装置は、運転条件を適宜設定して以下に示す各工程を実施することにより、製品として、酸素ガス(GO2),高圧窒素ガス(HPGN2),中圧窒素ガス(MPGN2),低圧窒素ガス(LPGN2),液化酸素(LO2),高圧液化窒素(HPLN2),中圧液化窒素(MPLN2),低圧液化酸素(LPLO2)をそれぞれ採取することができる。
【0016】
まず、原料空気(AIR)は、空気圧縮機21であらかじめ設定された高い圧力に圧縮され、空気予冷器21aで圧縮熱を除去された後、空気精製器22で空気中の不純物が除去されて精製される。空気精製器22から経路L1に導出された原料空気は、該原料空気の一部が経路L2に分流して前記ブロワ19で昇圧された後、ブロワアフタークーラ19aで冷却されてから保冷外槽10a内に入って主熱交換器17に導入される。原料空気の大部分は、そのまま経路L1を流れて保冷外槽10a内に入り、主熱交換器17であらかじめ設定された温度に冷却された後、経路L3を通って高圧塔11に導入される。
【0017】
高圧塔11では、原料空気を低温蒸留して塔頂部の高圧窒素ガスと塔底部の高圧酸素富化液化空気とに分離する第1分離工程が行われる。高圧塔11の底部から経路L4に抜き出された高圧酸素富化液化空気は、経路L5と経路L6とに分流し、経路L5の高圧酸素富化液化空気は、減圧弁23であらかじめ設定された中間圧力に減圧された後、前記中圧塔12に導入される。また、経路L6の高圧酸素富化液化空気は、過冷器20で冷却された後、減圧弁24であらかじめ設定された低い圧力に減圧されてから前記低圧塔13に導入される。
【0018】
前記中圧塔12では、中間圧力に減圧されて導入された高圧酸素富化液化空気を低温蒸留して塔頂部の中圧窒素ガスと塔底部の中圧酸素富化液化空気とに分離する第2分離工程が行われる。中圧塔12の上方に設けられた中圧塔凝縮器15には、中圧塔12の頂部から経路L7に抜き出された中圧窒素ガスと、中圧塔12の底部から経路L8に抜き出した中圧酸素富化液化空気の一部を減圧弁25で減圧した後の低圧酸素富化液化空気とが導入される。
【0019】
中圧塔凝縮器15では、前記低圧酸素富化液化空気と前記中圧窒素ガスとが間接熱交換を行い、中圧窒素ガスを凝縮液化して中圧液化窒素を得ると同時に低圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して低圧酸素富化空気を得る第1間接熱交換工程が行われる。中圧塔凝縮器15で凝縮液化した中圧液化窒素は、経路L9を通って中圧塔12に戻され、中圧塔12の下降液となる。また、中圧液化窒素の一部は、経路L10に抜き出され、過冷器20で冷却された後、減圧弁26で減圧されてから前記低圧塔13に導入される。中圧塔凝縮器15で蒸発ガス化した低圧酸素富化空気は、経路L11を通って前記低圧塔13に導入される。また、中圧塔凝縮器15で蒸発ガス化する前の低圧酸素富化液化空気の一部が経路L12に抜き出されて低圧塔13に導入される。
【0020】
低圧塔13には、前記経路L6,L10,L11,L12からの各種流体の他、前記ブロワ19で昇圧し、主熱交換器17で冷却された後に前記膨張タービン18で断熱膨張した原料空気が経路L13から、前記高圧塔11の下降液の一部を中間部から抜き出して過冷器20で冷却し、減圧弁27で減圧された液流体が経路L14からそれぞれ導入され、低圧塔13では、前記低圧酸素富化空気を主とするこれらの流体を低温蒸留して塔頂部の低圧窒素ガスと塔底部の低圧液化酸素とに分離する第3分離工程が行われる。
【0021】
低圧塔13の底部の低圧液化酸素と、前記高圧塔11の頂部から経路L15に抜き出された前記高圧窒素ガスとは、前記主凝縮蒸発器14で間接熱交換を行い、前記高圧窒素ガスを凝縮液化して高圧液化窒素を得ると同時に前記低圧液化酸素を蒸発ガス化して低圧酸素ガスを得る第2間接熱交換工程が行われる。主凝縮蒸発器14で凝縮液化した高圧液化窒素は、経路L16を通って高圧塔11に戻され、高圧塔11の下降液となる。
【0022】
一方、前記中圧塔12の底部に分離した前記中圧酸素富化液化空気の残部と、前記高圧塔11における第1分離工程の中間段階で高圧塔11の下部から経路17に抜き出した高圧窒素富化空気の一部とは、前記中圧塔蒸化器16で間接熱交換を行い、前記高圧窒素富化空気を凝縮液化して高圧窒素富化液化空気を得ると同時に前記中圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して中圧酸素富化空気を得る第3間接熱交換工程が行われる。中圧塔蒸化器16で蒸発ガス化した中圧酸素富化空気は中圧塔12の上昇ガスとなり、中圧塔蒸化器16で凝縮液化した高圧窒素富化液化空気は、経路L18を通って高圧塔11に戻され、高圧塔11の下降液となる。
【0023】
また、高圧塔11の頂部から主凝縮蒸発器14に導入されて凝縮液化した高圧液化窒素の一部を経路L19に抜き出し、過冷器20で冷却して減圧弁28で減圧後に低圧塔13に導入したり、前記経路L8を流れる中圧酸素富化液化空気の一部を経路L20に分流し、減圧弁29で減圧してから低圧塔13に導入したり、経路L18を流れる高圧窒素富化液化空気の一部を経路L21に分流し、過冷器20で冷却して減圧弁30で減圧してから低圧塔13に導入したりすることもできる。
【0024】
前記主凝縮蒸発器14で蒸発ガス化した低圧酸素ガスは、一部が製品酸素ガス回収経路L22に抜き出されて主熱交換器17で熱回収された後、製品酸素ガス(GO2)として採取され、残部の低圧酸素ガスは低圧塔13の上昇ガスとなる。また、低圧塔13の頂部からは、低圧窒素ガスが低圧窒素ガス回収経路L23に抜き出されて過冷器20及び主熱交換器17で熱回収された後、製品低圧窒素ガス(LPGN2)として採取される。さらに、高圧塔11の頂部からは、高圧窒素ガスの一部が高圧窒素ガス回収経路L24に抜き出されて主熱交換器17で熱回収された後、製品高圧窒素ガス(HPGN2)として採取される。
【0025】
また、必要に応じて、前記中圧塔12で得られた中圧窒素ガスの一部を熱回収後に製品中圧窒素ガス(MPGN2)として採取する中圧窒素ガス回収経路L25、前記主凝縮蒸発器14で凝縮液化した高圧液化窒素の一部を製品高圧液化窒素(HPLN2)として採取する高圧液化窒素回収経路L26、前記中圧塔凝縮器15で凝縮液化した中圧液化窒素の一部を製品中圧液化窒素(MPLN2)として採取する中圧液化窒素回収経路L27、前記低圧塔11で得られた低圧液化酸素の一部を製品低圧液化酸素(LPLO2)として回収する低圧液化酸素回収経路L28を設け、中圧窒素ガス回収工程、高圧液化窒素回収工程、中圧液化窒素回収工程、低圧液化酸素回収工程をそれぞれ行うこともできる。さらに、低圧塔13の上部から経路L29に廃ガス(WG)を抜き出すこともできる。
【0026】
このように構成した空気分離装置10において、特に、中圧塔12の底部に分離した中圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化させるための温流体として、高圧塔11の高圧窒素ガスよりも酸素濃度が高く、温度が高い高圧窒素富化空気、好ましくは酸素濃度が8モル%以上、さらに好ましくは11モル%以上の高圧窒素富化空気を高圧塔11の中間部から抜き出して使用し、中圧酸素富化液化空気の温度を、低圧塔13底部の低圧液化酸素の温度よりも高くすることにより、中圧塔12の底部から経路L8に抜き出される中圧酸素富化液化空気の酸素濃度、及び、中圧酸素富化液化空気を減圧後に中圧塔凝縮器15で蒸発ガス化した低圧酸素富化空気の酸素濃度を高くすることができる。
【0027】
したがって、前述の各工程を実施することにより、低圧塔13に経路L11を介して供給する低圧酸素富化空気の酸素濃度を高くすることができるので、低圧塔13の精留条件を改善することができ、消費動力を削減しながら主凝縮蒸発器14の交換熱量を小さく抑えることができる。これにより、高圧塔11の頂部から導出可能な高圧窒素ガスや中圧塔12の頂部から導出可能な中圧窒素ガスの採取量を増加させることができ、これらの高圧又は中圧窒素ガスを膨張させて動力を回収することにより、例えば窒素ガスを膨張させた動力を原料空気の圧縮に用いたりすることにより、空気圧縮機21の消費動力の削減を図ることができる。また、これらの高圧又は中圧窒素ガスを製品として圧送する場合には、窒素圧縮機の消費動力の削減や小型化を図ることができる。
【0028】
図2は、本発明の第2形態例を示している。なお、以下の説明において、前記第1形態例に示した空気分離装置の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0029】
本形態例に示す空気分離装置は、前記第1形態例における中圧塔蒸化器16に導入する温流体を、高圧塔11の中間部から経路L17に抜き出した前記高圧窒素富化空気に代えて、主熱交換器17で冷却された後の原料空気の一部を使用した例を示している。
【0030】
主熱交換器17で冷却された原料空気の一部は、前記経路L3から経路L31に分流して中圧塔蒸化器16に導入され、残部の原料空気の大部分は、そのまま経路L3を進んで高圧塔11に導入される。中圧塔蒸化器16では、経路L31からの原料空気と中圧塔12で塔底部に分離した前記中圧酸素富化液化空気とが間接熱交換を行い、前記中圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して中圧酸素富化空気を得ると同時に原料空気を凝縮液化して原料液化空気を得る前記第3間接熱交換工程と同様の工程が行われる。中圧塔蒸化器16で蒸発ガス化した中圧酸素富化空気は、前記同様に中圧塔12の上昇ガスとなり、中圧塔蒸化器16で凝縮液化した原料液化空気は、経路L32を通って高圧塔11に下降液として導入される。
【0031】
本形態例においても、製品酸素ガス回収経路L22から製品酸素ガスが、低圧窒素ガス回収経路L23から製品低圧窒素ガスが、高圧窒素ガス回収経路L24から製品窒素ガスがそれぞれ採取される。また、図示は省略するが、前記同様に、製品中圧窒素ガス、製品高圧液化窒素、製品中圧液化窒素、製品低圧液化酸素を採取することや廃ガスを抜き出すことも可能である。
【0032】
本形態例に示すように、中圧塔蒸化器16で中圧酸素富化液化空気と間接熱交換を行う温流体に原料空気の一部を用いることにより、中圧塔蒸化器16における温流体の組成を一定にして温流体の温度を安定したものとすることができるので、中圧塔蒸化器16の負荷変動が抑えられ、中圧塔12の操作性を改善することができる。したがって、外乱によって高圧塔11の濃度分布が変動するようなことがあっても、中圧塔12を安定した運転状態に保持することができる。
【0033】
図3は、本発明の第3形態例を示すもので、前記中圧塔蒸化器16に代えて熱交換型蒸留器31を使用した例を示している。熱交換型蒸留器31は、ガス状の温流体が上向流で流れる第1通路32と液状の冷流体が下降流で流れる第2通路33とを備えるもので、本形態例では、第1通路32に原料空気を、第2通路32に中圧酸素富化液化空気をそれぞれ導入している。
【0034】
すなわち、高圧塔11に向かう前記経路L3から経路L31に分流した原料空気の一部は、熱交換型蒸留器31の下部から第1通路32に上向流として導入され、該第1通路32を上向きに流れる間に第2通路33を流れる中圧酸素富化液化空気と間接熱交換を行う。この間接熱交換で原料空気の一部が凝縮液化し、第1通路32を下向きに流れることによって第1通路32内で低温蒸留が行われ、第1通路32を上昇するガス中に窒素が濃縮し、第1通路32を流下する液中に酸素が濃縮する。第1通路32を上昇する窒素が濃縮したガス(高圧低純窒素ガス)は経路L34に抜き出され、弁34を通って高圧塔11に導入される。また、第1通路32を流下する酸素が濃縮した液は経路L35に抜き出され、高圧塔11の底部から抜き出されて経路L4を流れる高圧酸素富化液化空気と合流する。なお、弁34は、熱交換型蒸留器31の第1通路32の一次側に設けてもよい。
【0035】
一方、中圧塔12の底部から経路L36に抜き出された中圧酸素富化液化空気は、熱交換型蒸留器31の上部から第2通路33に下向流として導入され、該第2通路33を下向きに流れる間に第1通路32を流れる原料空気と間接熱交換を行う。この間接熱交換で中圧酸素富化液化空気の一部が蒸発ガス化し、第2通路33を上向きに流れることによって第2通路33内で低温蒸留が行われ、第2通路33を上昇するガス中に窒素が濃縮し、第2通路33を流下する液中に酸素が濃縮する。第2通路33を上昇する窒素が濃縮したガスは経路L37に抜き出され、中圧塔12に上昇ガスとして導入される。また、第2通路33を流下する酸素が濃縮した液(中圧低純液化酸素)は経路L38に抜き出され、減圧弁35で低圧に減圧されて中圧塔凝縮器15に導入される。さらに、酸素が濃縮した液は、必要に応じて経路L38から経路L39に分流させ、減圧弁36で低圧に減圧されて低圧塔13に導入することができる。
【0036】
このように、中圧塔蒸化器16に代えて熱交換型蒸留器31を使用することにより、第1通路32で窒素が濃縮したガスを高圧塔11に供給できるので、高圧塔11の精留条件を改善できるとともに、第2通路33で酸素が濃縮した液を中圧塔凝縮器15に導入して蒸発ガス化したガスを低圧塔13に供給できるので、低圧塔13の精留条件も改善できる。また、原料空気に代えて、前記第1形態例と同様に、高圧塔11の中間部から抜き出した高圧窒素富化空気を温流体として使用することもできる。この場合も、第1通路32で窒素が濃縮したガス及び凝縮液化した液を高圧塔11に戻したり、凝縮液化した液の一部を分流して過冷器20で冷却後、減圧してから低圧塔13に導入してもよい。また、本形態例においても、前記第1形態例と同様に、各種ガス製品や液製品を採取することが可能である。
【0037】
図4は、本発明の第4形態例を示すもので、中圧塔12の頂部に生成した中圧窒素ガスを凝縮させるための冷流体として低圧塔13の中間部を流下する低圧酸素富化還流液化空気を使用した例を示している。
【0038】
低圧塔13の中間部で、低圧塔13内に各種流体が流入する位置より下方には、中圧窒素凝縮器41が設けられており、中圧塔12の頂部から経路L41に抜き出された中圧窒素ガスが中圧窒素凝縮器41に導入され、低圧塔13内を流下する低圧酸素富化還流液化空気の一部と間接熱交換を行うことにより凝縮液化して中圧液化窒素になるとともに、低圧酸素富化還流液化空気を蒸発ガス化して低圧酸素富化蒸発空気とする。凝縮液化した中圧液化窒素は、経路L42を通って中圧塔12の上部に下降液として導入され、一部の中圧液化窒素は、経路L43に分流して過冷器20を通り、減圧弁42で減圧された後に低圧塔13に導入される。さらに、過冷器20で過冷却状態となった中圧液化窒素の一部を、経路L44に分流して製品中圧液化窒素として採取することもできる。また、蒸発ガス化した低圧酸素富化蒸発空気は、低圧塔13内の上昇ガスとなる。一方、中圧塔12の底部から経路L45に抜き出された中圧酸素富化液化空気は、減圧弁43で減圧されてから低圧塔13に導入される。
【0039】
このように、中圧塔12頂部の中圧窒素ガスを凝縮させる冷流体として低圧塔13の中間部を流下する低圧酸素富化還流液化空気を用いることにより、低圧塔13に対する中圧窒素凝縮器41の位置を調整することによって低圧酸素富化還流液化空気の組成を任意に選択することが可能となり、運転条件や設計条件の設定幅を広げることができ、空気分離効率の向上を図ることができる。
【0040】
なお、各形態例において、高圧の製品酸素ガスを必要とする場合は、主凝縮蒸発器14で蒸発ガス化した低圧酸素ガスを採取することに代えて、低圧塔13の底部から低圧液化酸素を抜き出し、液化酸素ポンプによって低圧液化酸素を所望の圧力に昇圧して高圧液化酸素とした後、主熱交換器17で蒸発ガス化させることにより、製品高圧酸素ガスとして採取することができる。これにより、高価な酸素圧縮機を設置する必要がなくなり、設備コストの上昇を抑えることができる。また、各種流体を間接熱交換させる主凝縮蒸発器、中圧塔凝縮器、中圧塔蒸化器などに使用する熱交換器の形式は任意であり、各種様式の熱交換器を使用することができる。
【符号の説明】
【0041】
10…空気分離装置、10a…保冷外槽、11…高圧塔、12…中圧塔、13…低圧塔、14…主凝縮蒸発器、15…中圧塔凝縮器、16…中圧塔蒸化器、17…主熱交換器、18…膨張タービン、19…ブロワ、19a…ブロワアフタークーラ、20…過冷器、21…空気圧縮機、21a…空気予冷器、22…空気精製器、23,24,25,26,27,28,29,30…減圧弁、31…熱交換型蒸留器、32…第1通路、33…第2通路、34…弁、35,36,37…減圧弁、41…中圧窒素凝縮器、42,43…減圧弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料空気を深冷液化分離して製品酸素を採取する空気分離方法において、
圧縮、精製、冷却した原料空気を低温蒸留して高圧窒素ガスと高圧酸素富化液化空気とに分離する第1分離工程と、
前記高圧酸素富化液化空気を減圧後に低温蒸留して中圧窒素ガスと中圧酸素富化液化空気とに分離する第2分離工程と、
前記中圧酸素富化液化空気を減圧した低圧酸素富化液化空気と前記中圧窒素ガスとを間接熱交換させて中圧窒素ガスを凝縮液化して中圧液化窒素を得ると同時に前記低圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して低圧酸素富化空気を得る第1間接熱交換工程と、
前記低圧酸素富化空気を低温蒸留して低圧窒素ガスと低圧液化酸素とに分離する第3分離工程と、
前記高圧窒素ガスと前記低圧液化酸素とを間接熱交換させて前記高圧窒素ガスを凝縮液化して高圧液化窒素を得ると同時に前記低圧液化酸素を蒸発ガス化して低圧酸素ガスを得る第2間接熱交換工程と、
前記第1分離工程の中間段階で生成した高圧窒素富化空気と前記中圧酸素富化液化空気とを間接熱交換させて前記高圧窒素富化空気を凝縮液化して高圧窒素富化液化空気を得ると同時に前記中圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して中圧酸素富化空気を得る第3間接熱交換工程と、
前記低圧酸素ガス又は前記低圧液化酸素を熱回収後に製品酸素ガスとして採取する製品ガス回収工程とを含む空気分離方法。
【請求項2】
原料空気を深冷液化分離して製品酸素を採取する空気分離方法において、
圧縮、精製、冷却した原料空気を低温蒸留して高圧窒素ガスと高圧酸素富化液化空気とに分離する第1分離工程と、
前記高圧酸素富化液化空気を減圧後に低温蒸留して中圧窒素ガスと中圧酸素富化液化空気とに分離する第2分離工程と、
前記中圧酸素富化液化空気を減圧した低圧酸素富化液化空気を低温蒸留して低圧窒素ガスと低圧液化酸素とに分離する第3分離工程と、
前記中圧窒素ガスと前記第3分離工程の中間段階の低圧酸素富化還流液化空気とを間接熱交換させて中圧窒素ガスを凝縮液化して中圧液化窒素を得ると同時に前記低圧酸素富化還流液化空気を蒸発ガス化して低圧酸素富化蒸発空気を得る第1間接熱交換工程と、
前記高圧窒素ガスと前記低圧液化酸素とを間接熱交換させて前記高圧窒素ガスを凝縮液化して高圧液化窒素を得ると同時に前記低圧液化酸素を蒸発ガス化して低圧酸素ガスを得る第2間接熱交換工程と、
前記第1分離工程の中間段階の高圧窒素富化空気と前記中圧酸素富化液化空気とを間接熱交換させて前記高圧窒素富化空気を凝縮液化して高圧窒素富化液化空気を得ると同時に前記中圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して中圧酸素富化空気を得る第3間接熱交換工程と、
前記低圧酸素ガス又は前記低圧液化酸素を熱回収後に製品酸素ガスとして採取する製品ガス回収工程とを含む空気分離方法。
【請求項3】
前記第3間接熱交換工程は、熱交換型蒸留器の一方の通路に前記高圧窒素富化空気を上方向に流しながら凝縮液化して得られた液体を下方向に流す低温蒸留を行うことによって前記高圧窒素富化液化空気に加えてより窒素が濃縮した高圧低純窒素ガスを得ると同時に、前記熱交換型蒸留器の他方の通路に前記中圧酸素富化液化空気を下方向に流しながら蒸発ガス化して得られたガスを上方向に流す低温蒸留を行うことによって前記中圧酸素富化空気に加えてより酸素が濃縮した中圧低純液化酸素を得る請求項1又は2記載の空気分離方法。
【請求項4】
前記第3間接熱交換工程は、前記高圧窒素富化空気に代えて前記原料空気の一部を使用する請求項1乃至3のいずれか1項記載の空気分離方法。
【請求項5】
前記第1分離工程で得られた高圧窒素ガスを熱回収後に採取する高圧窒素ガス回収工程、前記第2分離工程で得られた中圧窒素ガスを熱回収後に採取する中圧窒素ガス回収工程、前記第3分離工程で得られた低圧窒素ガスを熱回収後に採取する低圧窒素ガス回収工程、前記第2間接熱交換工程で凝縮液化した前記高圧液化窒素を採取する高圧液化窒素回収工程、前記第1間接熱交換工程で凝縮液化した前記中圧液化窒素を採取する中圧液化窒素回収工程、及び、前記第3分離工程で得られた前記低圧液化酸素を回収する低圧液化酸素回収工程のうち少なくとも1つの工程を含む請求項1乃至4のいずれか1項記載の空気分離方法。
【請求項6】
原料空気を深冷液化分離して製品酸素を採取する空気分離装置において、
圧縮、精製、冷却した原料空気を低温蒸留して高圧窒素ガスと高圧酸素富化液化空気とに分離する高圧塔と、
前記高圧酸素富化液化空気を減圧後に低温蒸留して中圧窒素ガスと中圧酸素富化液化空気とに分離する中圧塔と、
前記中圧酸素富化液化空気を減圧した低圧酸素富化液化空気と前記中圧窒素ガスとを間接熱交換させて中圧窒素ガスを凝縮液化して中圧液化窒素を得ると同時に前記低圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して低圧酸素富化空気を得る中圧塔凝縮器と、
前記低圧酸素富化空気を低温蒸留して低圧窒素ガスと低圧液化酸素とに分離する低圧塔と、
前記高圧窒素ガスと前記低圧液化酸素とを間接熱交換させて前記高圧窒素ガスを凝縮液化して高圧液化窒素を得ると同時に前記低圧液化酸素を蒸発ガス化して低圧酸素ガスを得る主凝縮蒸発器と、
前記高圧塔の中間部から抜き出した高圧窒素富化空気と前記中圧酸素富化液化空気とを間接熱交換させて前記高圧窒素富化空気を凝縮液化して高圧窒素富化液化空気を得ると同時に前記中圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して中圧酸素富化空気を得る中圧塔蒸化器と、前記低圧酸素ガス又は前記低圧液化酸素を熱回収後に製品酸素ガスとして採取する製品酸素ガス回収経路とを備えている空気分離装置。
【請求項7】
原料空気を深冷液化分離して製品酸素を採取する空気分離装置において、
圧縮、精製、冷却した原料空気を低温蒸留して高圧窒素ガスと高圧酸素富化液化空気とに分離する高圧塔と、
前記高圧酸素富化液化空気を減圧後に低温蒸留して中圧窒素ガスと中圧酸素富化液化空気とに分離する中圧塔と、
前記中圧酸素富化液化空気を減圧した低圧酸素富化液化空気を低温蒸留して低圧窒素ガスと低圧液化酸素とに分離する低圧塔と、
前記中圧窒素ガスと前記低圧塔の中間部を下降する低圧酸素富化還流液化空気とを間接熱交換させて中圧窒素ガスを凝縮液化して中圧液化窒素を得ると同時に前記低圧酸素富化還流液化空気を蒸発ガス化して低圧酸素富化蒸発空気を得る中圧窒素凝縮器と、
前記高圧窒素ガスと前記低圧液化酸素とを間接熱交換させて前記高圧窒素ガスを凝縮液化して高圧液化窒素を得ると同時に前記低圧液化酸素を蒸発ガス化して低圧酸素ガスを得る主凝縮蒸発器と、
前記高圧塔の中間部から抜き出した高圧窒素富化空気と前記中圧酸素富化液化空気とを間接熱交換させて前記高圧窒素富化空気を凝縮液化して高圧窒素富化液化空気を得ると同時に前記中圧酸素富化液化空気を蒸発ガス化して中圧酸素富化空気を得る中圧塔蒸化器と、前記低圧酸素ガス又は前記低圧液化酸素を熱回収後に製品酸素ガスとして採取する製品ガス回収経路とを備えている空気分離装置。
【請求項8】
前記中圧塔蒸化器に代えて、一方の通路に前記高圧窒素富化空気の一部を上方向に流しながら凝縮液化して得られた液体を下方向に流す低温蒸留を行うことによって前記高圧窒素富化液化空気に加えてより窒素が濃縮した高圧低純窒素ガスを得ると同時に、他方の通路に前記中圧酸素富化液化空気を下方向に流しながら蒸発ガス化して得られたガスを上方向に流す低温蒸留を行うことによって前記中圧酸素富化空気に加えてより酸素が濃縮した中圧低純液化酸素を得る熱交換型蒸留器を用いる請求項6又は7記載の空気分離装置。
【請求項9】
前記高圧窒素富化空気に代えて、前記原料空気の一部を使用する請求項6乃至8のいずれか1項記載の空気分離装置。
【請求項10】
前記高圧塔で得られた高圧窒素ガスを熱回収後に採取する高圧窒素ガス回収経路、前記中圧塔で得られた中圧窒素ガスを熱回収後に採取する中圧窒素ガス回収経路、前記低圧塔で得られた低圧窒素ガスを熱回収後に採取する低圧窒素ガス回収経路、前記主凝縮蒸発器で凝縮液化した前記高圧液化窒素を採取する高圧液化窒素回収経路、前記中圧塔凝縮器で凝縮液化した前記中圧液化窒素を採取する中圧液化窒素回収経路、前記低圧塔で得られた前記低圧液化酸素を回収する低圧液化酸素回収経路のうち少なくとも1つの経路を含む請求項6乃至9のいずれか1項記載の空気分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−11374(P2013−11374A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143159(P2011−143159)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【Fターム(参考)】