説明

空気清浄装置及び空気清浄装置を組込んだキッチンユニット

【課題】 従来の空気清浄装置は、イオン化部をワイヤ放電電極と平板状の接地電極により構成するものであるが、この方法では帯電領域は確保され、集塵効率は確保できるが、経年劣化や使用者がワイヤに触れ、誤ってワイヤを切断してしまうという問題があった。
【解決手段】 本発明の空気清浄装置20においては、放電電極1、2は、平板状の対向電極3、4と対向する平行平面上に鋭角の先端部からなる放電部を有し、該放電部は、隣接する放電部間の間隔が放電時に干渉を生じない所定の間隔以上であるとともに所定の間隔の2倍以下になるように配置されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の浮遊粒子である塵埃を捕集する空気清浄装置及びこの空気清浄装置を組込んだキッチンユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建物内や車両内の空気を常に清浄化された状態に維持するために空気清浄装置が広く使用されている。空気清浄装置は産業用の大型装置から家庭用の小型装置まで種々のタイプがあり、空気清浄装置を単独で用いたり、送風機を伴ったエアコン等の装置の内部に装着されたりしている。
近年普及している空気清浄装置は、気流中の微粒子に対してコロナ放電等により電荷を与えて、この荷電粒子が電界中を通過する間に静電気力により荷電粒子を捕集して除去するものである。
【0003】
従来の空気清浄装置は、ワイヤ放電電極に平行に接地平板電極を配置し、高電圧をワイヤ放電電極に印加することで電極間にコロナ放電が発生し空気中の微粒子を帯電させるイオン化部を設け、その下流側にイオン化部で帯電した微粒子を捕集するコレクタ部を設けて空間の微粒子を除去している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−276649号公報(第7頁、図3、図13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、電気集塵装置は、空気中の浮遊粉塵を帯電させるイオン化部と、帯電された浮遊粉塵を捕集するコレクタ部とにより構成され、集塵効率を向上させるためには、如何にイオン化部で浮遊粉塵を帯電させるか、また如何にコレクタ部において帯電した浮遊粉塵をしっかり捕集するかが重要となる。
特許文献1の空気清浄装置は、イオン化部をワイヤ放電電極と平板状の接地電極により構成するものであるが、この方法では帯電領域は確保され、集塵効率は確保できるが、経年劣化や使用者がワイヤに触れ、誤ってワイヤを切断してしまうという問題があった。
【0006】
その他、従来の電気集塵装置には、イオン化部を先端が鋭角な放電電極と平板状の接地電極とで構成するものもあるが、この場合は、放電電極の先端から平板状の接地電極に向かってコロナ放電が発生するが、放電電極の放電部の分布がまばらとなり、結果として浮遊粉塵の帯電領域が狭くなり、集塵効率が低下してしまうという問題があった。
【0007】
そのため、先端が鋭角な放電電極を風上側と風下側の両側に設け、ワイヤと同等の帯電領域を確保する方法が提案されている。しかし、家庭用のような小型の空気清浄装置の場合、電気集塵デバイスに印加できる電圧は限られており、約4〜7kVである。そのため、隣接する放電電極の干渉などでイオン化部でのコロナ放電電流が数百マイクロアンペア〜数ミリアンペアに制限されてしまい、帯電に用する電荷が少なくなってしまう問題があった。そのため、流入する浮遊粉塵の量が多い場合、帯電効率が低下し、集塵効率が低下する問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、経年劣化が少なく、電極の切断等がなく、また、集塵効率の高い空気清浄装置を得ることを目的とする。
また、経年劣化が少なく、電極の切断等がなく、また、放電電極先端から接地電極面に広がりをもった放電を発生し、浮遊粉塵の広い帯電領域を得ることができる空気清浄装置を得ることを目的とする。
また、大量の浮遊粉塵が存在する場合でも帯電、捕集できる、集塵効率の高い空気清浄装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る空気清浄装置は、放電電極と対向電極との間でコロナ放電を生じさせて空気中の塵埃を帯電するイオン化部と、積層した平板電極間の電界中で、イオン化部で帯電した塵埃を捕集するコレクタ部とを備えた空気清浄装置であって、放電電極は、平板状の対向電極と対向する平行平面上に鋭角の先端部からなる放電部を有し、該放電部は、隣接する放電部間の間隔が放電時に干渉を生じない所定の間隔以上であるとともに所定の間隔の2倍以下になるように配置されるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る空気清浄装置においては、放電電極が、平板状の対向電極と対向する平行平面上に鋭角の先端部からなる放電部を有し、該放電部が、隣接する放電部間の間隔が放電時に干渉を生じない所定の間隔以上であるとともに所定の間隔の2倍以下になるように配置されるので、放電電極の経年劣化が少なく、電極の切断等がなく、また、放電時に放電電極の先端部の放電部が隣接放電部間で干渉を生じることがなく、放電電流が制限される(少なくなる)ことがなく、また、放電部がまばらな分布となることによる帯電用の電荷の減少もなく、集塵効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気清浄装置の電極部の構成を示す斜視図であり、図2は、同じく、放電電極の位置関係を説明する説明図である。
これらの図に示すように、本実施の形態の空気清浄装置20は、風上側の浮遊粉塵を帯電させるイオン化部とこのイオン化部に連続して形成された、帯電した浮遊粉塵を捕集する風下側のコレクタ部とを有し、イオン化部は、風の流れ方向と平行に、所定の間隔で立設した対向電極である複数の平板状の接地電極3、4(風上側の第1接地電極3、風下側の第2接地電極4)とこの接地電極3、4間に隣接の接地電極3、4から等間隔に配置された放電電極1、2(風上側の第1放電電極1、風下側の第2放電電極2)を有し、また、コレクタ部は、風の流れ方向と平行に、所定の間隔で交互に立設した平板状の高圧電極5と平板状の接地電極6とを有する。
本実施の形態では、第1放電電極1と第1接地電極3とで第1イオン化部を形成し、第2放電電極2と第2接地電極4とで第2イオン化部を形成する。
【0012】
放電電極1、2は、同形状であり、ステンレスや銅などの金属で形成される。また、放電電極1、2は、風の流れ方向に直交し、隣接の接地電極3、4に沿って延設された中央部の電極支持部1c、2cとこの電極支持部1c、2cから風の流れ方向で、風の流れの上流方向に立設する先端部が鋭角の突起である風上側の電極1a、2aと風の流れの下流方向に立設する先端部が鋭角の突起である風下側の電極1b、2bとが交互に形成される。
風上側の電極1a、2a、風下側の電極1b、2bは、いずれも、先端部が鋭角な三角形の板状の突起であり、先端部の鋭角がなす角度は、10〜45度であり、突起の長さは、1〜5mmとする。
また、第1放電電極1の風上側の電極1aと第2放電電極2の風上側の電極2aは風の流れ方向で上流側及び下流側の同位置に配置され、同様に第1放電電極1の風下側の電極1bと第2放電電極2の風下側の電極2bも風の流れ方向で上流側及び下流側の同位置に配置される。
【0013】
突起の先端部が接地電極3、4に対してコロナ放電を起す放電部であり、この突起の先端部は、隣接する先端部間に所定の間隔、例えば、6mmの間隔を保って、できるだけ密になるように配置されるのが望ましい。即ち、隣接放電部間の間隔は、所定の間隔以上で、所定の間隔近傍になるようにするのが望ましい。これは、隣接先端部間の間隔がこの所定の間隔より小さくなると、隣接の先端部同士が放電時に相互に干渉し放電電流が制限され(少なくなり)、帯電を生じる電荷が少なくなり帯電効率が低下し、また、間隔がこの所定の間隔より大きすぎると突起の先端部の分布密度が小さくなることにより、帯電領域が狭くなり、帯電効率が低下し、集塵効率が低下するためである。
そこで、本例では、鋭角の先端部からなる放電部の隣接放電部間の間隔は、6〜12mmとする。即ち、隣接する放電部間の間隔が放電時に干渉を生じない所定の間隔以上であるとともにこの所定の間隔の2倍以下になるようにする。
第1放電電極1及び第2放電電極2を、図2に示すように配置させたのは、上記の帯電を生じる電荷を増やす効果を得るための一例である。即ち、図2においては、第1放電電極1及び第2放電電極2は共に、隣接の突起の先端部同士の距離(隣接1a同士、隣接1aと1b、隣接2a同士、隣接2aと2b)は、6〜12mmとし、第1放電電極1と第2放電電極2の突起の先端部同士の距離(1bと2aの距離)は、6〜12mmとする。
【0014】
平板状の接地電極3、4は、放電電極1、2と同じくステンレスや銅などの金属、またはカーボンや金属、炭素繊維等が混合された導電性の樹脂、または絶縁性の樹脂に金属メッキをしたものなどで形成される。
また、図2に示すように、第1接地電極3、第2接地電極4と分割せずに、第1放電電極1及び第2放電電極2に対応する一体の接地電極3(4)としても良い。
【0015】
コレクタ部の接地電極6は、イオン化部の接地電極3、4と同じ材料で形成され、電気的に接続されている。また、イオン化部の接地電極3、4と物理的に接続させ、一体としても良い。イオン化部の接地電極3、4及びコレクタ部の接地電極6は、接地される。
コレクタ部の高圧電極5は、コレクタ部の接地電極6と同様の形状となっており、ステンレスや銅などの金属、またはカーボンや金属、炭素繊維等が混合された導電性の樹脂、または絶縁性の樹脂に金属メッキしたもの、または半導電性樹脂などで形成される。半導電性樹脂は、イオン伝導性の物質を混合したもの、カーボンや金属、炭素繊維等の導電材料を混合したものが使用される。
また、コレクタ部の高圧電極5、接地電極6に火災安全性が求められる場合には、金属等の不燃性の材質を使用する方が良いが、樹脂を使用する場合でも難燃性の樹脂を使用することで解決できる。イオン化部の接地電極3、4も同様である。
コレクタ部における集塵効率は、集塵面積が大きくなることが重要であるため、板状の高圧電極5と板状の接地電極6を多数積層することが望ましい。
コレクタ部を形成する平板状の高圧電極5と平板状の接地電極6は、風の流れ方向に交互に平行に配列されるが、図1に示すように、イオン化部の放電電極1、2と接地電極3、4の平行配列と配列方向が直交する。直交させることにより、強度アップができる。
【0016】
イオン化部の第1放電電極1と第2放電電極2には1〜10kVの直流電圧が印加され、第1接地電極3、第2接地電極4間に数ミリアンペア〜数10ミリアンペアのコロナ放電電流が流れる。この電圧は1つのトランスから供給される。
同様にコレクタ部の高圧電極5にも直流1〜10kVの電圧が印加される。この電圧は前記イオン化部のトランスと同じものまたは別のトランスが使用される。
【0017】
次に動作について説明する。
このような電気集塵装置においては、流入した浮遊粉塵はイオン化部において第1放電電極1と第1接地電極3の間で発生するコロナ放電により帯電される。浮遊粉塵の帯電は、第1放電電極1の風上側の電極1aまたは風下側の電極1bを通過するときに帯電されるため、第1放電電極1でのコロナ放電領域を必ず通過する構造となっている。即ち、図2に示すように、第1放電電極1の風上側の電極1a、風下側の電極1bを、それぞれ、突起の先端部が風上を向くように、風下を向くように電極支持部1cから交互に立設させ、隣接する突起の先端部間(電極1aと1a、電極1aと1b、電極1bと1b)の間隔を、放電時に相互に干渉しない距離以上で、できるだけ先端部である放電部が密に分布する間隔とする。具体的には、隣接する突起の先端部間の間隔は、相互に干渉しない距離、例えば6mm以上とし、6mm〜12mmとすることにより、隣接する先端部は放電時に相互に干渉せず、また、先端部が密に分布するので、第1放電電極1の風上側の電極1a、風下側の電極1bの先端部から第1接地電極3に広がりをもった放電を発生し、浮遊塵を帯電させる充分の電荷を有する広い帯電領域を得ることができる。
【0018】
また、流入する浮遊粉塵の量が多いときや流入速度が速い場合は、放電電極1を通過するとき電荷が充分でない場合がある。そのときは、同様に形成された第2放電電極2の風上側の電極2aまたは風下側の電極2bを通過するときに帯電されるため、確実に浮遊粉塵は帯電される。正に帯電された浮遊粉塵は、コレクタ部に流入し、この電解中で高圧電極5による反発力と接地電極6による吸引力により、接地電極6に吸引され付着し、捕集される。
【0019】
以上のように、イオン化部は、風上側の電極1aと風下側の電極1bからなる両側突起電極を備えた第1放電電極1及び第1接地電極3からなる一段目のイオン化部と、風上側の電極2aと風下側の電極2bからなる両側突起電極を備えた第2放電電極2及び第2接地電極4からなり、同様の構成からなる二段目のイオン化部との二段のイオン化部から構成され、また、コレクタ部は、高圧電極5と接地電極6からなる平行平板電極を積層し構成され、一段目のイオン化部と二段目のイオン化部のそれぞれの放電電極1、2の突起の先端部が放電時に隣接先端部間で干渉を生じない所定の距離以上の間隔で、密に分布するように配置されるので、放電電極1、2の先端部である放電部から接地電極3、4に広がりをもった放電を発生し、浮遊粉塵を帯電させる充分の電荷をもつ広い帯電領域を得ることができ、大量の浮遊粉塵が存在する場合や流入速度が速い場合でも集塵効率を向上することができる。
【0020】
本空気清浄装置20は、イオン化部は、同様な考えによる三段目以上のイオン化を設けてもよく、さらに多量の浮遊塵埃の捕集が可能となる。また、一段目のイオン化部だけでも充分に利用可能である。
【0021】
本空気清浄装置20の放電電極1、2は、風の流れ方向で、風の流れの上流方向に立設し、鋭角の先端部からなる放電部を有する突起、及び風の流れ方向で、風の流れの下流方向に立設し、鋭角の先端部からなる放電部を有する突起が交互に形成された第1放電電極1と、該第1放電電極1の風下側に第1放電電極1と同様に形成された第2放電電極2とを備え、第1放電電極1と、該第1放電電極1と対向する対向電極3とで一段目のイオン化部を形成し、また、第2放電電極2と、該第2放電電極2と対向する対向電極4とで二段目のイオン化部を形成するので、放電部間の間隔を放電時に干渉を生じない所定の間隔以上とし、また、所定の間隔以上で所定の間隔近傍に放電部を配置することが容易となる。また、このような放電電極1、2を有するイオン化部を一段目、二段目と形成することにより、帯電領域が広くなり、浮遊塵埃の量が多くても、また、浮遊塵埃を持つ空気の流速が大きくても確実に浮遊塵埃の捕集が可能となる。
【0022】
実施の形態2.
実施の形態1の空気清浄装置20では、風上側と風下側の両方に先端部が鋭角な突起を備えた第1放電電極1、同形状の第2放電電極2、平板状の第1接地電極3及び第2接地電極4からなるイオン化部と、平板状の高圧電極5及び同じく平板状の接地電極6が複数積層されたコレクタ部とから構成されるようにしたものであるが、本実施の形態の空気清浄装置20は、第1放電電極1と第2放電電極2の形状を突起電極ではない形状にした場合の例である。
図3は、本空気清浄装置20の放電電極を示す斜視図である。放電電極は、第1放電電極1と第2放電電極2とからなり、第1放電電極1と第2放電電極2とは、同形状である。
本放電電極1、2は、2本づつ組になった長形の平板である電極部1c、2cの2対が一体化した枠体である。1組の電極部1c、2cは、対向する端部1d、2dが厚さ0.2mm以下の放電部である。
【0023】
放電電極1、2が放電する対向電極である接地電極3、4は、実施の形態1と同様の平板であり、放電電極1、2の1組の電極部1c、2c間を、垂直に貫通する。そこで、放電電極1、2の電極部1c、2cの端部1d、2dの端面が接地電極3、4の板面に対向する。放電時は、接地電極3、4を鋏む両側の電極部1c、2cの接地電極3、4に対向する対向面である端面から放電する。
接地電極3、4は、同形状のものが風の流れの方向の上流側、下流側に実施の形態1と同様に第1接地電極3、第2接地電極4として配列し、対向電極とで一段目のイオン化部、二段目のイオン化部を形成する。
接地電極3、4は、一体化した接地電極としてもよいのは実施の形態1と同様である。
【0024】
放電電極1、2は、放電部である端部1d、2dの厚さが0.2mm以下となるように、ステンレスや銅などの金属を圧延して製造される。端面厚さが0.2mm以下であれば良いため、太いワイヤ線をつぶす方法や、平板を押しつぶす方法や、ステンレステープを貼り付ける方法などで製造することが可能である。
放電電極1、2以外の構成、イオン化部に続くコレクタ部、各電極の材質等は、実施の形態1と同様である。
【0025】
このように構成された空気清浄装置20においては、流入した浮遊粉塵は一段目のイオン化部において放電電極1と接地電極3の間で発生するコロナ放電により荷電される。浮遊粉塵の帯電は、放電電極1を通過するときに帯電されるため、即ち、放電電極1の放電部が接地電極3の板面に沿って連続して形成されているため、放電電極1でのコロナ放電領域を必ず通過する。
また、流入する浮遊粉塵の量が多いときや流入速度が速い場合は、放電電極1を通過するとき充分な荷電がなされない場合がある。そのときは、二段目のイオン化部を構成する第2の放電電極2を通過するときに帯電されるため、確実に浮遊粉塵は荷電される。帯電された浮遊粉塵は、コレクタ部に流入し、高圧電極5による反発力と接地電極6による吸引力により、接地電極6に吸引され付着する。
【0026】
以上のように、端部薄型電極1、2と平板電極3、4を使用したイオン化部と平行平板5、6を積層したコレクタ部により構成され、イオン化部は端部薄型電極1と平板電極3による一段目のイオン化部と、同様の構成からなる二段目のイオン化部との二段のイオン化部から構成され、コレクタ部は金属平板を積層し構成されているので、放電電極1、2の放電部から接地電極面に広がりをもった放電を発生し、浮遊粉塵の広い帯電領域を得ることができ、大量の浮遊粉塵が存在する場合や流入速度が速い場合でも集塵効率を向上することができる。
【0027】
本空気清浄装置20の放電電極1、2は、図3に示すように、1組の電極部1c、2cを2対有するものとしているが、当然ながら、3対以上としても良い。電極部1c、2cを増やすことにより、帯電量も増加する。
また、本空気清浄装置20においても、イオン化部は、同様な考えによる三段目以上のイオン化を設けてもよく、さらに多量の浮遊塵埃の捕集が可能となる。また、一段目のイオン化部だけでも充分に利用可能である。
【0028】
本空気清浄装置20は、放電電極1、2と対向電極3、4との間でコロナ放電を生じさせて空気中の塵埃を帯電するイオン化部と、積層した平板電極5、6間の電界中で、イオン化部で帯電した塵埃を捕集するコレクタ部とを備えた空気清浄装置20であって、放電電極1、2の放電部を、平板状の放電電極1、2の厚さが0.2mm以下の端部1d、2dで形成し、該端部1d、2dの端面を平板状の対向電極3、4の板面に対向させるので、放電電極1、2の連続する放電部を通過するときに帯電されるため、確実に浮遊粉塵は帯電、捕集される。
【0029】
また、本空気清浄装置20は、上記の放電電極1、2を風の流れ方向の上流側と下流側とに設置し、それぞれ第1放電電極1、第2放電電極2とし、第1放電電極1と、該第1放電電極1と対向する対向電極とで一段目のイオン化部を形成し、また、第2放電電極2と、該第2放電電極2と対向する対向電極とで二段目のイオン化部を形成するので、浮遊塵埃に対して、広い帯電領域が確保でき、浮遊塵埃の量が多くても、また、浮遊塵埃を有する空気の流れが大きくとも、確実に帯電、捕集できる。
【0030】
実施の形態3.
本実施の形態は、実施の形態1、2のどちらかの空気清浄装置20を組み込んだ装置に関するものである。
図4は、実施の形態1または2の空気清浄装置を組み込んだキッチンユニットを示す構成図である。
本キッチンユニット10は、上部にIHクッキングヒータ9を搭載し、IHクッキングヒータ9の下部に空気清浄装置20、空気清浄装置20の風下側に脱臭デバイス7、送風機8を搭載する。
キッチンユニット10の背部にフードが設けられ、空気清浄装置20の風上側である、このフードの吸込口11に油煙を除去するグリスフィルタ12、その下流側に、グリスフィルタ12で捕捉された油煙を蓄積する油受け13が設置され、フードはダクト状のもので空気清浄装置20に連通している。そして、通風機8により吸込口11から吸込んだ空気を最終的に排気する吹出口14がキッチンユニット10の背部に設けられている。
IHクッキングヒータ9のヒータ口の上には調理に使用される調理なべ15が載置される。空気清浄装置20は、実施の形態1または2に記載のものであり、脱臭デバイス7には調理臭を除去、分解可能な金属酸化物や貴金属で構成される触媒や活性炭、ゼオライトなどの吸着剤が使用される。風路の圧力損失を低減するために、ハニカム状やコルゲート状、発泡体が使用される。また、グリスフィルタ12は、金属メッシュやパンチングなどのレンジフードで使用されるものと同等のものが使用される。
【0031】
次に動作について説明する。
このように構成されたキッチンユニット10においては、IHクッキングヒータ9の複数のヒータ口のうちの1口で調理を実施した場合は、調理なべ15から発生する油煙や調理臭は吸い込み口11から吸引され、はじめにグリスフィルタ12で大きな油煙が除去される。その後、グリスフィルタ12を通過した油煙や調理臭は、空気清浄装置20に吸引される。空気清浄装置20では一段目のイオン化部に数kV〜数十kVの直流の電圧が印加されており、放電電極1と接地電極3の間で発生するコロナ放電により油煙は帯電される。
帯電された油煙は、コレクタ部に流入し、高圧電極5による反発力と接地電極6による吸引力により、接地電極6に吸引され付着する。空気清浄装置20を通過した調理臭は、脱臭デバイス7で除去・分解され、清浄化した空気がキッチンユニット10の吹出口14から吹き出される。
【0032】
IHクッキングヒータ9でヒータ口数が2口または3口で調理を実施した場合は、調理なべ15から発生する油煙や調理臭は吸い込み口11から吸引され、はじめにグリスフィルタ12で大きな油煙が除去される。その後、グリスフィルタを通過した油煙や調理臭は、空気清浄装置20に吸引される。空気清浄装置20では一段目のイオン化部と二段目のイオン化部に数kV〜数十kVの直流の電圧が印加されており、放電電極1と接地電極3の間で発生するコロナ放電により油煙は帯電される。帯電された油煙は、コレクタ部に流入し、高圧電極5による反発力と接地電極6による吸引力により、接地電極6に吸引され付着する。空気清浄装置20を通過した調理臭は、脱臭デバイス7で除去・分解され、清浄化した空気が吹出口14から吹き出す。
このように、IHクッキングヒータ9の使用口数と空気清浄装置20の二段目のイオン化部への電圧給電は連動しており、IHクッキングヒータ9の使用口数が多いときは、発生する油煙量が多いと判断し、空気清浄装置20の二段目のイオン化部への電圧給電を行う制御を行う。
空気清浄装置20が三段目以上のイオン化部を有する場合は、使用口数に応じて、イオン化部を増やすことができる。
【0033】
以上のように、空気清浄装置20はIHクッキングヒータ9と組み合わせて使用され、IHクッキングヒータ9の使用口数が1口のときには、一段目のイオン化部にのみ電圧を給電し、IHクッキングヒータ9の使用口数が2口もしくは3口のときには、一段目のイオン化部と二段目のイオン化部に電圧を給電するよう構成されているため、多量の油煙が吸入したときでも高い集塵効率を維持することが可能となる。
【0034】
本空気清浄装置20を組込んだキッチンユニット10は、上部に設置したIHクッキングヒータ9と、IHクッキングヒータ9の下部に設置した実施の形態1または2に記載の空気清浄装置20及び通風機8とを備え、IHクッキングヒータ9で発生した油煙を空気清浄装置20で捕集し、排気を吹出口から排出するキッチンユニット10であって、IHクッキングヒータ9の使用するヒータ口数に応じて一段目のイオン化部の給電に加えて、二段目のイオン化部に給電するかどうかを決定するので、IHクッキングヒータ9の使用ヒータ口数に応じて発生する油煙に対応でき、必要以上にイオン化部を動作させないことにより、節電できる。
【0035】
また、本空気清浄装置を組込んだキッチンユニットは、IHクッキングヒータの使用するヒータ口数が1口のとき、一段目のイオン化部にのみ給電し、2口以上の使用で一段目のイオン化部及び二段目のイオン化部に給電するので、IHクッキングヒータ9の使用ヒータ口数に応じて発生する油煙に対応でき、油煙を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1の空気清浄装置の電極部の構成を示す斜視図である。
【図2】図1の電極部の放電電極の位置関係を説明する説明図である。
【図3】本発明の実施の形態2の空気清浄装置の放電電極を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態3のキッチンユニットを示す側面から見た構成図である。
【符号の説明】
【0037】
1 放電電極(第1放電電極)、2 放電電極(第2放電電極)、1d、2d 放電電極の端部、3、4 対向電極、8 通風機、9 IHクッキングヒータ、10 キッチンユニット、20 空気清浄装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極と対向電極との間でコロナ放電を生じさせて空気中の塵埃を帯電するイオン化部と、積層した平板電極間の電界中で、前記イオン化部で帯電した塵埃を捕集するコレクタ部とを備えた空気清浄装置において、
前記放電電極は、平板状の対向電極と対向する平行平面上に鋭角の先端部からなる放電部を有し、該放電部は、隣接する放電部間の間隔が放電時に干渉を生じない所定の間隔以上であるとともに前記所定の間隔の2倍以下になるように配置されることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
前記放電電極は、風の流れ方向で、風の流れの上流方向に立設し、前記鋭角の先端部からなる放電部を有する突起、及び風の流れ方向で、風の流れの下流方向に立設し、前記鋭角の先端部からなる放電部を有する突起が交互に形成された第1放電電極と、該第1放電電極の風下側に前記第1放電電極と同様に形成された第2放電電極とを備え、
前記第1放電電極と、該第1放電電極と対向する前記対向電極とで一段目のイオン化部を形成し、また、前記第2放電電極と、該第2放電電極と対向する前記対向電極とで二段目のイオン化部を形成することを特徴とする請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
放電電極と対向電極との間でコロナ放電を生じさせて空気中の塵埃を帯電するイオン化部と、積層した平板電極間の電界中で、前記イオン化部で帯電した塵埃を捕集するコレクタ部とを備えた空気清浄装置において、
前記放電電極の放電部を、平板状の前記放電電極の厚さが0.2mm以下の端部で形成し、該端部の端面を平板状の前記対向電極の板面に対向させることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項4】
請求項3に記載の放電電極を風の流れ方向の上流側と下流側とに設置し、それぞれ第1放電電極、第2放電電極とし、前記第1放電電極と、該第1放電電極と対向する前記対向電極とで一段目のイオン化部を形成し、また、前記第2放電電極と、該第2放電電極と対向する前記対向電極とで二段目のイオン化部を形成することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項5】
上部に設置したIHクッキングヒータと、前記IHクッキングヒータの下部に設置した請求項2または請求項4に記載の空気清浄装置及び通風機とを備え、前記IHクッキングヒータで発生した油煙を前記空気清浄装置で捕集し、排気を吹出口から排出するキッチンユニットであって、
前記IHクッキングヒータの使用するヒータ口数に応じて前記一段目のイオン化部の給電に加えて、前記二段目のイオン化部に給電するかどうかを決定することを特徴とする空気清浄装置を組込んだキッチンユニット。
【請求項6】
前記IHクッキングヒータの使用するヒータ口数が1口のとき、前記一段目のイオン化部にのみ給電し、2口以上の使用で前記一段目のイオン化部及び前記二段目のイオン化部に給電することを特徴とする請求項5に記載の空気清浄装置を組込んだキッチンユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−297182(P2006−297182A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118173(P2005−118173)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】