説明

空気調和機

【課題】
室外機内にある不具合を起している温度サーミスタを検出する方法として、温度サーミスタ内の抵抗値を検出し、その抵抗値が任意の値より大きくなった場合、温度サーミスタが故障していると検出していた。しかし、上記の方法では、温度サーミスタが故障した場合は検出できるが、温度サーミスタが外れかけていた場合など温度サーミスタ自体に故障がなく、設置状況が悪い場合などの不具合までは検出することが出来なかった。
【解決手段】
本発明は、上記の課題を解決する為に、3箇所の温度サーミスタの中から2箇所ずつ温度サーミスタを選択し、その選択した温度サーミスタの値の温度差を算出し、その算出した温度差が所定の温度差以上であるか否かを判断することで、不具合を起している温度サーミスタを検出するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機、室外熱交換器を備えた室外機を少なくとも3台備えた空気調和機であって、取り付け不具合が起きた温度サーミスタを検出するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室外機内にある温度サーミスタの故障を検出する方法としては、温度サーミスタの断線を検出する抵抗の電圧値を測定し、その電圧値が変化することで温度サーミスタの断線などの故障を検出するものがあった。(特許文献1)
【0003】
ここで、温度サーミスタが設置した位置から外れる等の温度サーミスタの取り付け不具合が発生した場合、温度サーミスタ自体は正常であっても、その温度サーミスタが測定したい値を正常に検出できない。従って、特許文献1の方法では、温度サーミスタの取り付け不具合を検出することが出来ない問題があった。
【0004】
そこで、温度サーミスタを近接する2箇所に設置し、設置した2箇所の温度サーミスタが検出した値を比較することで温度サーミスタの取り付け不具合を検出する方法があった。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4―161786号公報
【特許文献2】特開2008―96383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の温度サーミスタの取り付け不具合検出方法においては、複数あるうちのいずれかの温度サーミスタに取り付け不具合が発生していることを検出することが出来る。しかし、取り付け不具合を生じている温度サーミスタがどれかを特定することが出来なかった。その為、複数の温度サーミスタを確認する必要があったり、複数の温度サーミスタを交換および修理するなど無駄な作業が生じたりするおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、複数台の室外機を備えた空気調和機において、取り付け不具合が起きている温度サーミスタを特定することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する為に、本発明の空気調和機は、第一室外機内にある第一温度サーミスタと、第二室外機内にある第二温度サーミスタと、第三室外機内にある第三温度サーミスタから2つずつ選択し、各々の温度差を算出し、算出した各々温度差が所定の温度差以上であるか否かを基に取り付け不具合が起きている温度サーミスタを特定するものである。
【発明の効果】
【0009】
このような空気調和機によれば、取り付け不具合が起きた温度サーミスタを特定することができ、温度サーミスタの取り付け不具合を検出することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の空気調和器の構成図である。
【図2】本発明の温度サーミスタの取り付け不具合を検出するフローチャートである。
【図3】本発明の温度差と所定の温度差との比較表である。
【図4】本発明の温度サーミスタの取り付け不具合を検出する第二フローチャートである。
【図5】本発明の判断部と温度サーミスタの通信回線図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、室外機を少なくとも3台備えた空気調和機であって、各室外機の取り付け不具合が起きている温度サーミスタを検出するものである。以下に、取り付け不具合が起きている温度サーミスタを検出する構成と検出手順を示す。第一室外機内にある第一室外熱交換器近傍に配置した外気温度を検出する為の温度サーミスタである第一温度検出手段で検出した温度と、第二室外機内にある第二室外熱交換器近傍に配置した外気温度を検出する為の温度サーミスタである第二温度検出手段で検出した温度と、第三室外機内にある第三室外熱交換器近傍に配置した外気温度を検出する為の温度サーミスタである第三温度検出手段で検出した温度を、判断部が取得する。そして、判断部は、3つの温度の内、2つの温度を選択し、選択した2つの温度の温度差を算出する。算出した温度差が所定の温度差以上であるか否かを判断する。これを3通りの組み合わせ全てで行なう。例えば、3つの温度差の内、二つの温度差が所定の温度差以上であり、残りの温度差が所定の温度差未満であった場合、所定の温度差以上であった二つの温度差を算出する基になった温度検出手段の組み合わせで、共通する温度検出手段に取り付け不具合があると判断する。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施の形態における空気調和機について、図1を基に説明する。図1は本発明の一実施例を示した空気調和器の冷凍サイクル系統図で、矢印は冷房運転時の冷媒の流れを示したもので、圧縮機(1a、1b、1c、1d)と、室外熱交換器(3a、3b、3c、3d)と、膨張弁(8a、8b、8c)と、室内熱交換器(4a、4b、4c)と、アキュームレータ(5a、5b、5c、5d)とを順次接続して成る冷凍サイクルから構成される。図1に示すように、本実施例における空気調和機は、4台の室外機(7a、7b、7c、7d)を備えており、この室外機(7a、7b、7c、7d)は各々、高温高圧の冷媒を吐出する圧縮機(1a、1b、1c、1d)と、その高温高圧の冷媒を凝縮する室外熱交換器(3a、3b、3c、3d)と、冷媒を液体と気体に分離するアキュームレータ(5a、5b、5c、5d)を備えている。さらに、本実施例における空気調和機は、複数台の室内機を備えており、この室内機は各々、凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁(8a、8b、8c)と、膨張した冷媒を蒸発させて室内空気と熱交換して室内空気を冷却する室内熱交換器(4a、4b、4c)を備えている。
【0013】
図1に示すように、冷房運転は、冷媒を、圧縮機(1a、1b、1c、1d)、室外熱交換器(3a、3b、3c、3d)、膨張弁(8a、8b、8c)、室内熱交換器(4a、4b、4c)、アキュームレータ(5a、5b、5c、5d)、圧縮機(1a、1b、1c、1d)の順に循環させ、室外熱交換器(3a、3b、3c、3d)が凝縮器、室内熱交換器(4a、4b、4c)が蒸発器となるように動作する。一方、暖房運転は、冷媒を、圧縮機(1a、1b、1c、1d)、室内熱交換器(4a、4b、4c)、膨張弁(8a、8b、8c)、室外熱交換器(3a、3b、3c、3d)、アキュームレータ(5a、5b、5c、5d)、圧縮機(1a、1b、1c、1d)の順に循環させ、室内熱交換器(4a、4b、4c)が凝縮器、室外熱交換器(3a、3b、3c、3d)が蒸発器となるように動作する。
【0014】
図5は、本実施例の空気調和機の概略図である。図5に示すように、第一室外機(親機)7aには、第一温度サーミスタ2aと制御基板9aと、制御部10と、判断部11を備えている。他の室外機(7b、7c、7d)には、温度サーミスタ(2b、2c、2d)と、制御基板(9b、9c、9d)を備えている。各制御基板(9a、9b、9c、9d)は図5に示すように、通信回線を介して温度サーミスタで検出した温度などの情報を相互に交換している。
【0015】
図1に示すように、第一室外熱交換器3a近傍に配置している第一温度検出手段である第一温度サーミスタ2aと、第二室外熱交換器3b近傍に配置している第二温度検出手段である第二温度サーミスタ2bと、第三室外熱交換器3c近傍に配置している第三温度検出手段である第三温度サーミスタ2cと、第四室外熱交換器3d近傍に配置している第四温度サーミスタ2dなどの室外機にある温度サーミスタや室内機内にある温度サーミスタ(図示しない)を用いて、図5に示すように、親機である室外機7a内にある制御部10が冷凍サイクルを制御して、温調を行っている。
【0016】
第一乃至第四温度サーミスタ(2a、2b、2c、2d)に取り付け不具合が起きているか否かを判断する判断手段である判断部11は、図5に示すように、親機である室外機7a内にある制御基板9a上に搭載され、マイコンなどから構成される。なお、ここで言う親機とは、親機以外の室外機(子機)の稼動状態を制御する室外機のことを指す。図5に示すように、各室外機内にある制御基板(9a、9b、9c、9d)は通信回線を介して相互に接続されている。また、各制御基板(9a、9b、9c、9d)は、各温度サーミスタ(2a、2b、2c、2d)と接続されており、温度に関する情報を取得できる。判断部11は各室外機内に配置されている上記各構成から通信回線を介して、温度サーミスタで検出した温度などの情報を収集し、収集した情報を基に第一乃至第四温度サーミスタ(2a、2b、2c、2d)に取り付け不具合が起きているか否かを判断する機能を有している。判断する際に判断部11内の記憶領域に記憶されている、図3の表に示す比較表を用いる。この表は、温度差が所定の温度差以上であるか否かを判断するもので、所定の温度差以上であれば温度サーミスタに異常があると判断される。なお、所定の温度差は、空気調和機の仕様や設置環境に応じて、温度サーミスタの取り付けが正常な状態ではありえない温度差を所定の温度差に設定する。
【0017】
次に本実施例の空気調和機における、第一乃至第三温度サーミスタ(2a、2b、2c)に取り付け不具合が起きているか否かを検出する手順について、図2のフローチャートを基に説明する。なお、本実施例においては、空気調和機が運転している間、起動してから2時間おきに、これから説明する第一乃至第三温度サーミスタ(2a、2b、2c)の取り付け不具合検出を行なう。また、取り付け不具合検出を行なう際に、通常の運転中に並行して行なっても良いが、これに限定したものではなく、室外機の稼動状況を同じ状態にして検査する検査モードに切り換えて取り付け不具合検出を行なっても良い。なお、取り付け不具合検出を行なう間隔は2時間に限定するものではなく、空気調和器の設置環境などに応じて、この間隔を1時間や3時間など適宜変更しても良い。
【0018】
また、図3の表は、温度サーミスタが正常であるか否かを判断する材料として、算出した温度が予め決められた所定の温度差より大きいか否かを判断する為のデータであり、判断部11内にあるメモリなどの記憶手段に記憶されている。なお、本実施例では、温度サーミスタの取り付けが正常な状態で実測した結果、温度差が5度以内に収まっていたことから、所定の温度差を5度としているが、本発明はこれに限定したものではなく、温度サーミスタの特性などを考慮して4度や7度など他の値に変更しても良い。
【実施例1】
【0019】
本実施例として、第一温度サーミスタ2aに取り付け不具合が発生し、他の温度サーミスタは正常である場合を例にして、本実施例の温度サーミスタの取り付け不具合を検出する手順を、図2を基に説明する。
【0020】
図2に示すように、室外機7a内にある第一温度サーミスタ2aで温度T2aを検出し(ステップS1)、室外機7b内にある第二温度サーミスタ2bで温度T2bを検出し(ステップS2)、室外機7c内にある第三温度サーミスタ2cで温度T2cを検出する(ステップS3)。そして、判断部11は、温度T2a、温度T2b、温度T2cについて通信回線を介して各温度サーミスタから取得する。
【0021】
そして、(T2a−T2b)の絶対値(図2では|T2a−T2b|で示す。以下の絶対値の表現も同様に示す。)を判断部11が算出する(ステップS4)。図3の表に示しているように、算出した(T2a−T2b)の絶対値が、予め設定された所定の温度差である5度未満であるか否かを判断部11が判断する(ステップS5)。もし、(T2a−T2b)の絶対値が5度未満である場合はステップS6に進み、判断部11が変数Check1を“0”とし(ステップS6)、ステップS8に進む。もし、(T2a−T2b)の絶対値が5度以上である場合はステップS7に進み、判断部11が変数Check1を“1”とし(ステップS7)、ステップS8に進む。
【0022】
本実施例では、第一温度サーミスタ2aに取り付け不具合がある為、第一温度サーミスタ2aは測定対象の温度を測定することができない。その為、第一温度サーミスタ2aは正常な値とは異なる値を検出する。例えば、T2aが27度で、T2bが33度であった場合、(T2a−T2b)の絶対値、6度を判断部11が算出する(ステップS4)。算出した絶対値6度は、所定の温度差である5度以上である為、ステップS7に進み、判断部11が変数Check1を“1”とし、ステップS8に進む。
【0023】
上記と同様に、(T2a−T2c)の絶対値(図2では|T2a−T2c|で示す。以下の絶対値の表現も同様に示す。)を判断部11が算出する(ステップS8)。図3の表に基づいて、算出した(T2a−T2c)の絶対値が、予め設定された所定の温度差である5度未満であるか否かを判断部11が判断する(ステップS9)。もし、(T2a−T2c)の絶対値が5度未満である場合はステップS10に進み、判断部11が変数Check2を“0”とし(ステップS10)、ステップS12に進む。もし、(T2a−T2c)の絶対値が5度以上である場合はステップS11に進み、判断部11が変数Check2を“1”とし(ステップS11)、ステップS12に進む。
【0024】
本実施例では、第一温度サーミスタ2aに取り付け不具合がある為、第一温度サーミスタ2aは正確な温度を測定することができない。その為、第一温度サーミスタ2aは正確な値とは異なる値を検出する。例えば、T2aが27度で、T2cが34度であった場合、(T2a−T2c)の絶対値、7度を判断部11が算出する(ステップS9)。算出した絶対値7度は、所定の温度差である5度以上であり、ステップS11に進み、判断部11が変数Check2を“1”とし、ステップS12に進む。
【0025】
上記と同様に、(T2b−T2c)の絶対値(図2では|T2b−T2c|で示す。以下の絶対値の表現も同様に示す。)を判断部11が算出する(ステップS12)。図3の表に示しているように、算出した(T2b−T2c)の絶対値が、予め設定された所定の温度差である5度未満であるか否かを判断部11が判断する(ステップS13)。もし、(T2b−T2c)の絶対値が5度未満である場合はステップS14に進み、判断部11が変数Check3を“0”とし(ステップS14)、ステップS16に進む。もし、(T2b−T2c)の絶対値が5度以上である場合はステップS15に進み、判断部11が変数Check3を“1”とし(ステップS15)、ステップS16に進む。
【0026】
本実施例では、第二温度サーミスタ2b、第三温度サーミスタ2cが正常である為、第二温度サーミスタ2bと第三温度サーミスタ2cは共に正常な値を検出する。例えば、T2bが33度で、T2cが34度であった場合、(T2b−T2c)の絶対値、1度を判断部11が算出する(ステップS13)。算出した絶対値1度は、所定の温度差である5度未満となり、ステップS14に進み、判断部11が変数Check3を“0”とし、ステップS16に進む。
【0027】
判断部11は、ステップS16に進んだ後、図2に示すように、Check1に1が代入されているか否かを判断する(ステップS16)。もし、Check1が1である場合、ステップS17に進む。もし、Check1が0である場合、ステップS20に進む。
【0028】
本実施例では、Check1に1が代入されているのでステップS17に進む。
【0029】
判断部11は、ステップS17に進んだ後、図2に示すように、Check2に1が代入されているか否かを判断する(ステップS17)。もし、Check2が1である場合、ステップS18に進む。もし、Check2が0である場合、ステップS19に進む。
【0030】
本実施例では、Check2に1が代入されているのでステップS18に進む。
【0031】
判断部11は、ステップS18に進んだ後、図2に示すように、Check3に1が代入されているか否かを判断する(ステップS18)。もし、Check3が1である場合、ステップS23に進む。もし、Check3が0である場合、ステップS24に進む。ステップS24に進むと、判断部11は第一温度サーミスタに取り付け不具合があると判断する。
【0032】
本実施例では、Check3に0が代入されているのでステップS24に進む。よって、第一温度サーミスタに取り付け不具合があることが検出できる。そして、第一温度サーミスタに取り付け不具合があることを、この空気調和機の使用者もしくは、管理者に音声や文字等で報知する。
【0033】
なお、上記実施例では、第一温度サーミスタ2aだけに取り付け不具合がある場合を例に説明した。第二温度サーミスタ2bだけに取り付け不具合がある場合も、上記実施例と同様に図2のフローチャートに沿って、取り付け不具合検出を行なえる。第二温度サーミスタ2bだけに取り付け不具合がある為、(T2a−T2c)の絶対値のみが所定の温度差未満となる。よって、ステップS1からステップS7、ステップS10、ステップS15を経由してステップS16に進む。つまり、Check2だけ0であり、他のCheck1とCheck3は1である。そして、ステップS17、ステップS19、ステップS25と進む。これにより、第二温度サーミスタ2bに取り付け不具合があることを検出できる。
【0034】
同様に、第三温度サーミスタ2cだけに取り付け不具合がある場合も、図2のフローチャートに沿って、取り付け不具合検出を行なえる。第三温度サーミスタ2cだけに取り付け不具合がある為、(T2a−T2b)の絶対値のみが所定の温度差未満となる。よって、ステップS1からステップS6、ステップS11、ステップS15を経由してステップS16に進む。つまり、Check1だけ0であり、他のCheck2とCheck3は1である。そして、ステップS20、ステップS21、ステップS27と進む。これにより、第三温度サーミスタ2cに取り付け不具合があることを検出できる。
【実施例2】
【0035】
全ての温度サーミスタ(2a、2b、2c)が正常である場合の検出手順について図2を基に説明する。全ての温度サーミスタ(2a、2b、2c)が正常である為、温度差が生じず、所定の温度差未満と成る。その為、ステップS1からステップS6、ステップS10、ステップS14を経由してステップS16に進む。つまり、Check1、Check2、Check3全てが0である。そして、ステップS20、ステップS22、ステップS30と進む。これにより、判断部11は第一乃至第三温度サーミスタ全てが正常であると判断する。
【実施例3】
【0036】
図2のフローチャートに沿って、温度サーミスタの取り付け不具合検出を行なった結果、ステップS26に進んだ場合について説明する。ステップS26では、Check1が1であり、Check2とCheck3が0である。この条件だけでは、取り付け不具合が起きている温度サーミスタを特定することが出来ない。そこで、第一室外機乃至第三室外機(7a、7b、7c)以外である第四室外機7dを使用する。図4に示すように、第四室外機7d内にある第四温度サーミスタ2dと、Check1の算出に用いた第一温度サーミスタ2aと第二温度サーミスタ2bを用いて、各温度サーミスタ(2a、2b、2d)の温度差を算出し、取り付け不具合が起きている温度サーミスタを検出する。
【0037】
初めに、Check1が1であることから、判断部11は、第一温度サーミスタと第二温度サーミスタ各々で検出した温度(T2a、T2b)取得する。さらに、第四温度サーミスタが温度T2dを検出し(ステップS41)、判断部11は検出した温度T2d取得する。
【0038】
次に、判断部11は、第一温度サーミスタ2aが検出した温度T2aと第四温度サーミスタ2dが検出した温度T2dの温度差、(T2a−T2d)の絶対値(図4では|T2a−T2d|で示す。以下の絶対値の表現も同様に示す。)を算出する(ステップS42)。図3の表に示しているように、算出した(T2a−T2d)の絶対値が、予め設定された所定の温度差である5度未満であるか否かを判断部11が判断する(ステップS43)。もし、(T2a−T2d)の絶対値が5度未満である場合はステップS44に進み、判断部11が変数Check4を“0”とし(ステップS44)、ステップS46に進む。もし、(T2a−T2d)の絶対値が5度以上である場合はステップS45に進み、判断部11が変数Check4を“1”とし(ステップS45)、ステップS46に進む。
【0039】
さらに、判断部11は、第二温度サーミスタ2bが検出した温度T2bと第四温度サーミスタ2dが検出した温度T2dの温度差である、(T2b−T2d)の絶対値(図4では|T2b−T2d|で示す。以下の絶対値の表現も同様に示す。)を算出する(ステップS46)。図3の表に示しているように、算出した(T2b−T2d)の絶対値が、予め設定された所定の温度差である5度未満であるか否かを判断部11が判断する(ステップS47)。もし、(T2b−T2d)の絶対値が5度未満である場合はステップS48に進み、判断部11が変数Check5を“0”とし(ステップS48)、ステップS50に進む。もし、(T2b−T2d)の絶対値が5度以上である場合はステップS49に進み、判断部11が変数Check5を“1”とし(ステップS49)、ステップS50に進む。
【0040】
そして、判断部11は、変数Check4と変数Check5に1が代入されているか否かを判断することで、不具合の起きている温度サーミスタを特定する。例えば、Check4が1であり、Check5が0である場合(ステップS54)は、第一温度サーミスタ2aに取り付け不具合があると判断する。Check4が0であり、Check5が1である場合(ステップS55)は、第二温度サーミスタ2bに取り付け不具合があると判断する。それ以外の場合(ステップS53、ステップS56)、第一室外機7a、第二室外機7b、第三室外機7cを一度停止した後、再起動して、再び図2のフローチャートに沿って、温度サーミスタの取り付け不具合検出を行なう。
【0041】
なお、本実施例ではステップS26に進んだ場合について説明したが、ステップS28、ステップS29に進んだ場合でも上記の実施例と同様に、第四温度サーミスタ2dを用いて、取り付け不具合が起きている温度サーミスタの特定をすることが出来る。
【0042】
なお、本実施例では、ステップS26、ステップS28、ステップS29に進んだ場合、第四室外機7d内にある第四温度サーミスタ2dを用いて、各温度サーミスタ(2a、2b、2d)の取り付け不具合を検出しているが、本発明はこれに限定したものではない。特に、室外機が3台しかない場合は、室外機3台を再起動し、第一温度サーミスタ2a、第二温度サーミスタ2b、第三温度サーミスタ2cを用いて、再度図2のフローチャートに沿って、温度サーミスタの取り付け不具合を検出しても良い。
【実施例4】
【0043】
図2のフローチャートに沿って、温度サーミスタの取り付け不具合検出を行なった結果、ステップS23に進んだ場合について説明する。ステップS23では、Check1、Check2、Check3全てに1が代入されている。その為、どの温度サーミスタが異常なのかが判断できない。そこで、一旦、第一室外機7a、第二室外機7b、第三室外機7c、全ての室外機を3分間停止させる。その後、全ての室外機(7a、7b、7c)を再起動し、再び図2のフローチャートに沿って、温度サーミスタの取り付け不具合検出を行なう。なお、停止時間を3分間としているが、本発明はこれに限定したものではなく、空気調和器の設置環境などに応じて短くしてもよく、長くしても良い。
【0044】
なお、本実施例では、図2のフローチャートに沿って、取り付け不具合が起きている温度サーミスタの検出を行なったが、本発明はこれに限定したものではない。例えば、ステップS1〜ステップS3までの順番を入れ代えたりなどしても良い。
【0045】
なお、室外機の稼動台数が3台未満であった場合は、停止中の室外機を稼動させ、少なくとも3台の室外機が稼動している状態にして、第一乃至第三温度サーミスタ(2a、2b、2c)の取り付け不具合検出を行なっても良い。停止中の室外機を稼動させた場合は、室外機の運転状態が安定させる必要がある為、稼動させてから5、6分経過後、温度サーミスタの取り付け不具合検出を行なう。
【0046】
また、上記のように室外機の稼動台数が3台未満であった場合、温度サーミスタの不具合を検出する為に温度サーミスタが温度を検出する時だけ、該当する室外機を稼動させて、温度を検出しても良い。
【符号の説明】
【0047】
1a 第一圧縮機
1b 第二圧縮機
1c 第三圧縮機
1d 第四圧縮機
2a 第一温度サーミスタ
2b 第二温度サーミスタ
2c 第三温度サーミスタ
2d 第四温度サーミスタ
3a 第一室外熱交換器
3b 第二室外熱交換器
3c 第三室外熱交換器
3d 第四室外熱交換器
4a、4b、4c 室内熱交換器
5a、5b、5c、5d アキュームレータ
6a 第一吐出冷媒用サーミスタ
6b 第二吐出冷媒用サーミスタ
6c 第三吐出冷媒用サーミスタ
6d 第四吐出冷媒用サーミスタ
7a 第一室外機(親機)
7b 第二室外機(子機)
7c 第三室外機(子機)
7d 第四室外機(子機)
8a、8b、8c 膨張弁
9a、9b、9c、9d 制御基板
10 制御部
11 判断部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外熱交換器と、温度検出手段とを備えた室外機を少なくとも3台備えた空気調和機であって、
第一室外熱交換器と、前記第一室外熱交換器の近傍に配置されている第一温度検出手段とを備えた第一室外機と、
第二室外熱交換器と、前記第二室外熱交換器の近傍に配置されている第二温度検出手段とを備えた第二室外機と、
第三室外熱交換器と、前記第三室外熱交換器の近傍に配置されている第三温度検出手段とを備えた第三室外機と、
少なくとも1台の前記室外機内に設置され、他の室外機と通信回線を介して情報を取得し、前記温度検出手段が正常か異常かを判断する判断手段と、
を備え、
前記第一室外機と、前記第二室外機と、前記第三室外機全てが稼動しており、
前記判断手段は、前記第一温度検出手段が検出した温度と前記第二温度検出手段が検出した温度との温度差である第一温度差を算出し、かつ、前記第二温度検出手段が検出した温度と前記第三温度検出手段が検出した温度との温度差である第二温度差を算出し、かつ、前記第三温度検出手段が検出した温度と前記第一温度検出手段が検出した温度との温度差である第三温度差を算出し、
前記第一温度差と前記第二温度差と前記第三温度差の内、二つの温度差が所定の温度差以上であり、残り一つの温度差が所定の温度差未満であった場合、
前記判断手段は、前記所定の温度差以上であった二つの温度差に共通する温度検出手段に不具合があると判断することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機であって、
前記第一温度差のみが所定の温度差未満であった場合は、第三温度検出手段に不具合があると判断し、
前記第二温度差のみが所定の温度差未満であった場合は、第一温度検出手段に不具合があると判断し、
前記第三温度差のみが所定の温度差未満であった場合は、第二温度検出手段に不具合があると判断することを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の空気調和機であって、
前記室外機の稼動台数が3台未満であった場合、
前記判断部が、前記温度検出手段が検出した温度を取得する時だけ、該当する前記室外機を稼動させることを特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−77986(P2012−77986A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222901(P2010−222901)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】