窒化物系半導体レーザ素子
【課題】製造歩留まり、および、素子特性の低下を抑制することが可能な窒化物系半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】この窒化物系半導体レーザ素子100は、n型GaN基板1上に形成されるとともに、活性層3を含む複数の窒化物系半導体各層(2〜7)と、共振器面30と直交する方向([1−100]方向)に延びる凸状のリッジ部8と、窒化物系半導体各層(2〜7)とは異なる材料であるAu層から構成され、リッジ部8の一方の側方および他方の側方にそれぞれ形成されるリッジ保護層12とを備えている。このリッジ保護層12は、上面がリッジ部8よりも上方に配置されているとともに、リッジ部8に沿って([1−100]方向に)延びるように形成されている。また、リッジ保護層12は、側端面12aが共振器面30と同一面となるように形成されている。
【解決手段】この窒化物系半導体レーザ素子100は、n型GaN基板1上に形成されるとともに、活性層3を含む複数の窒化物系半導体各層(2〜7)と、共振器面30と直交する方向([1−100]方向)に延びる凸状のリッジ部8と、窒化物系半導体各層(2〜7)とは異なる材料であるAu層から構成され、リッジ部8の一方の側方および他方の側方にそれぞれ形成されるリッジ保護層12とを備えている。このリッジ保護層12は、上面がリッジ部8よりも上方に配置されているとともに、リッジ部8に沿って([1−100]方向に)延びるように形成されている。また、リッジ保護層12は、側端面12aが共振器面30と同一面となるように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物系半導体レーザ素子に関し、特に、発光層を含む複数の窒化物系半導体層が基板上に形成された窒化物系半導体レーザ素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に、窒化物系半導体各層が形成された窒化物系半導体レーザ素子が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、窒化物系半導体層に凸状のリッジ部が形成されるとともに、共振器面近傍の領域を除くリッジ部上の領域に電極層が形成された窒化物系半導体レーザ素子が記載されている。この窒化物系半導体レーザ素子では、端面破壊を抑制するために、窒化物系半導体層の共振器面近傍領域(電極層が形成されていない領域下)における不純物活性化率が、窒化物系半導体層の電極層下の領域における不純物活性化率よりも低く構成されている。
【特許文献1】特開2006−229171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の窒化物系半導体レーザ素子では、共振器面近傍のリッジ部上に電極層が形成されていないため、共振器面近傍のリッジ部が露出された状態となっている。このため、リッジ部の共振器面近傍部分は電極層によって保護されないので、窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスや、組立工程などにおいて、リッジ部の共振器面近傍部分が破損され易いという不都合がある。これにより、リッジ部の破損に起因して、製造歩留まりや、素子特性が低下するという問題点がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、製造歩留まり、および、素子特性の低下を抑制することが可能な窒化物系半導体レーザ素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による窒化物系半導体レーザ素子は、基板上に形成され、発光層を含む複数の窒化物系半導体層と、複数の窒化物系半導体層の少なくとも1つに形成され、所定の方向に延びる凸状のリッジ部と、窒化物系半導体層とは異なる材料から構成され、リッジ部の側方に形成されるリッジ保護層とを備えている。そして、リッジ保護層の上面は、リッジ部よりも上方に配置されている。
【0007】
この一の局面による窒化物系半導体レーザ素子では、上記のように、上面がリッジ部よりも上方に配置されるリッジ保護層を、凸状のリッジ部の側方に形成することによって、窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスや、組立工程などにおいて、何らかの部材が窒化物系半導体レーザ素子の上面(リッジ部が形成されている面)に接触した場合でも、その部材がリッジ部に接触する前にリッジ保護層の上面と接触して、リッジ部に接触するのを妨げることができる。このため、リッジ部に、電極層などによって保護されていない部分(露出している部分)がある場合でも、リッジ保護層によってリッジ部を保護することができるので、リッジ部の破損を抑制することができる。その結果、リッジ部の破損に起因する製造歩留まりの低下、および、素子特性の低下を抑制することができる。
【0008】
上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、前記リッジ部と直交する共振器面をさらに備え、前記リッジ保護層は、前記リッジ部の延びる方向の側端面が、前記共振器面と同一面となるように形成されている。このように構成すれば、リッジ部の側方に、共振器面までリッジ保護層が形成されるので、リッジ部の共振器面近傍部分が露出された状態(電極層などによって保護されていない状態)となっている場合でも、リッジ保護層によって、露出された状態となっているリッジ部の共振器面近傍部分を保護することができる。このため、リッジ部の共振器面近傍部分が破損するのを抑制することができるので、リッジ部の共振器面近傍部分が破損することに起因する製造歩留まりの低下、および、素子特性の低下を抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、リッジ保護層は、リッジ部の一方の側方、および、リッジ部の他方の側方のそれぞれに形成されている。このように構成すれば、リッジ部の一方の側方およびリッジ部の他方の側方のいずれか一方にのみリッジ保護層を形成した場合に比べて、リッジ部を効果的に保護することができるので、リッジ部の破損を効果的に抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、リッジ部上に形成される電極層をさらに備え、リッジ保護層は、電極層を形成する材料と同じ材料から構成されている。このように構成すれば、電極層の形成工程と同一工程でリッジ保護層を形成することができるので、窒化物系半導体レーザ素子にリッジ保護層を形成する場合でも、製造工程(工数)が増加するのを抑制することができる。
【0011】
この場合において、好ましくは、リッジ保護層は、電極層とは別体で形成されている。このように構成すれば、電極層とリッジ保護層とが一体的に形成されている場合と異なり、リッジ保護層を形成した場合でも、電極層の平面積が増加するのを抑制することができるので、電極層の平面積が増加することに起因して、窒化物系半導体レーザ素子の静電容量が増加するという不都合が生じるのを抑制することができる。このため、静電容量の増加に起因する窒化物系半導体レーザ素子の応答特性(素子特性)の低下を抑制することができる。
【0012】
上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、リッジ保護層は、リッジ部に沿った方向に延びるように形成されている。このように構成すれば、リッジ保護層の平面積を増加させることができるので、リッジ保護層の密着性を向上させることができる。このため、リッジ保護層が離脱(剥離)するのを抑制することができるので、リッジ保護層が離脱(剥離)することに起因して、リッジ保護層によるリッジ部の保護が不十分になるという不都合が生じるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、製造歩留まり、および、素子特性の低下を抑制することが可能な窒化物系半導体レーザ素子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の全体斜視図であり、図2は、図1の200−200線に沿った断面図である。図3は、図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の平面図であり、図4は、図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の活性層の断面図である。まず、図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100の構造について説明する。
【0016】
一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100では、図1に示すように、劈開面からなる一対の共振器面30が、[11−20]方向と平行に形成されている。この共振器面30は、後述するリッジ部8の下方の領域に、レーザ光を出射する発光領域30aを有している。また、窒化物系半導体レーザ素子100は、図3に示すように、共振器面30と直交する方向([1−100]方向)に、約600μmの長さLを有するとともに、共振器面30に沿った方向([11−20]方向)に、約400μmの幅Wを有している。
【0017】
また、一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100は、図1および図2に示すように、約100μmの厚みを有するn型GaN基板1の上面上に、約1.5μmの厚みを有するn型AlGaNからなるn型クラッド層2が形成されている。また、n型クラッド層2上には、活性層3が形成されている。この活性層3は、図4に示すように、約3.2nmの厚みを有するアンドープInGaNからなる3つの井戸層3aと、約20nmの厚みを有するアンドープInGaNからなる4つの障壁層3bとが交互に積層された多重量子井戸(MQW)構造を有している。なお、n型GaN基板1は、本発明の「基板」の一例であり、n型クラッド層2は、本発明の「窒化物系半導体層」の一例である。また、活性層3は、本発明の「発光層」の一例である。
【0018】
また、活性層3上には、図1および図2に示すように、約50nmの厚みを有するアンドープInGaNからなる光ガイド層4が形成されている。光ガイド層4上には、約20nmの厚みを有するアンドープAlGaNからなるキャップ層5が形成されている。キャップ層5上には、凸部と、凸部以外の平坦部とを有するp型AlGaNからなるp型クラッド層6が形成されている。このp型クラッド層6の平坦部の厚みは、約80nmであり、凸部の平坦部の上面からの高さは、約320nmである。また、p型クラッド層6の凸部上には、約3nmの厚みを有するアンドープInGaNからなるコンタクト層7が形成されている。このコンタクト層7とp型クラッド層6の凸部とによって、約1.5μmの幅W1(図2参照)を有するストライプ状(細長状)のリッジ部8が構成されている。このリッジ部8は、図3に示すように、共振器面30と直交する[1−100]方向に延びるように形成されている。なお、光ガイド層4、キャップ層5、p型クラッド層6、および、コンタクト層7は、それぞれ、本発明の「窒化物系半導体層」の一例である。
【0019】
また、図1および図2に示すように、リッジ部8を構成するコンタクト層7上には、約1nmの厚みを有する下層のPt層(図示せず)と、約10nmの厚みを有する上層のPd層(図示せず)とからなるp側オーミック電極9が、ストライプ状(細長状)に、リッジ部8の全長にわたって形成されている。また、p型クラッド層6上、および、コンタクト層7の側面上には、約200nmの厚みを有するとともに、SiO2からなる電流ブロック層10が形成されている。この電流ブロック層10には、p側オーミック電極9の上面を露出させる開口部10a(図2および図3参照)が設けられている。
【0020】
また、電流ブロック層10の上面上には、開口部10aを介して露出されたp側オーミック電極9を覆うように、約3μmの厚みを有するAu層からなるp側パッド電極11が形成されている。このp側パッド電極11は、図3に示すように、リッジ部8に沿った方向([1−100]方向)に、約550μmの長さL11を有しているとともに、リッジ部8と直交する方向([11−20]方向)に、約120μmの幅W11を有している。また、p側パッド電極11は、一対の共振器面30から、それぞれ、所定の距離L12(約25μm)を隔てた領域に、凸状のリッジ部8を覆うように形成されている。したがって、共振器面30近傍のリッジ部8上には、p側パッド電極11は形成されていない状態となっている。なお、p側パッド電極11は、本発明の「電極層」の一例である。
【0021】
また、p側パッド電極11には、図1に示すように、ボンディングワイヤ13が電気的に接続されるボンディング部11aが一体的に接続されている。このボンディング部11aは、図3に示すように、平面的に見て、1辺の長さaが約80μmの正方形形状に形成されている。
【0022】
ここで、本実施形態では、リッジ部8の一方の側方、および、リッジ部8の他方の側方の電流ブロック層10上には、それぞれ、リッジ部8を保護するためのリッジ保護層12が形成されている。このリッジ保護層12は、p側パッド電極11を構成する材料と同じ材料であるAu層から構成されているとともに、共振器面30に沿った方向([11−20]方向)に、リッジ部8から所定の距離W12(約100μm〜約150μm)だけ隔てた領域にそれぞれ形成されている。
【0023】
また、本実施形態では、リッジ保護層12は、p側パッド電極11と実質的に同じ厚みである約3μmの厚みに形成されている。これにより、リッジ保護層12の上面が、凸状のリッジ部8よりも上方に配置される。なお、リッジ保護層12は、p側パッド電極11とは別体で形成されているとともに、p側パッド電極11と電気的に絶縁もされている。
【0024】
また、本実施形態では、リッジ保護層12は、図3に示すように、平面的に見て、リッジ部8に沿った方向([1−100]方向)に延びる長方形形状に形成されている。具体的には、リッジ保護層12は、共振器面30と直交する方向([1−100]方向)に、約200μmの長さL13を有しているとともに、共振器面30に沿った方向([11−20]方向)に、約50μmの幅W13を有している。また、リッジ保護層12は、リッジ部8の延びる方向([1−100]方向)の側端面12aの一方が、一対の共振器面30とそれぞれ同一面となるように構成されている。
【0025】
また、n型GaN基板1の下面(裏面)上には、n型GaN基板1の下面(裏面)側から順に、約6nmの厚みを有するAl層(図示せず)と、約10nmの厚みを有するPd層(図示せず)と、約300nmの厚みを有するAu層(図示せず)とからなるn側電極14が形成されている。
【0026】
本実施形態では、上記のように、上面がリッジ部8よりも上方に配置されるリッジ保護層12を、凸状のリッジ部8の側方に形成することによって、窒化物系半導体レーザ素子100の製造プロセスや、組立工程などにおいて、何らかの部材が窒化物系半導体レーザ素子100の上面(リッジ部8が形成されている面)に接触した場合でも、その部材がリッジ部8に接触する前にリッジ保護層12の上面と接触してリッジ部8に接触するのを妨げることができる。このため、リッジ保護層12によってリッジ部8を保護することができるので、リッジ部8の破損を抑制することができる。その結果、リッジ部8の破損に起因する製造歩留まりの低下、および、素子特性の低下を抑制することができる。
【0027】
また、本実施形態では、リッジ保護層12を、その側端面12aが共振器面30と同一面となるように形成することによって、リッジ部の側方に共振器面30まで延びるリッジ保護層12を形成することができるので、共振器面30近傍のリッジ部8上にp側パッド電極11が形成されていない場合でも、リッジ保護層12によって、リッジ部8の共振器面30近傍部分を保護することができる。このため、リッジ部8の共振器面30近傍部分の破損を抑制することができるので、リッジ部8の共振器面30近傍部分が破損することに起因する製造歩留まりの低下、および、素子特性の低下を抑制することができる。
【0028】
また、本実施形態では、リッジ保護層12を、リッジ部8の一方の側方、および、リッジ部8の他方の側方のそれぞれに形成することによって、リッジ部8の一方の側方およびリッジ部8の他方の側方のいずれか一方にのみリッジ保護層12を形成した場合に比べて、リッジ部8を効果的に保護することができるので、リッジ部8の破損を効果的に抑制することができる。
【0029】
また、本実施形態では、リッジ保護層12を、p側パッド電極11を構成する材料と同じ材料であるからAu層から構成することによって、p側パッド電極11の形成工程と同一工程でリッジ保護層12を形成することができるので、リッジ保護層12を形成する場合でも、製造工程(工数)が増加するのを抑制することができる。
【0030】
また、本実施形態では、リッジ保護層12を、p側パッド電極11とは別体で形成することによって、p側パッド電極11とリッジ保護層12とを一体的に形成する場合と異なり、リッジ保護層12を形成した場合でも、p側パッド電極11の平面積が増加するのを抑制することができるので、p側パッド電極11の平面積が増加することに起因して、窒化物系半導体レーザ素子100の静電容量が増加するという不都合が生じるのを抑制することができる。このため、静電容量の増加に起因する応答特性(素子特性)の低下を抑制することができる。
【0031】
また、本実施形態では、リッジ保護層12を、リッジ部8に沿った方向([1−100]方向)に延びるように形成することによって、リッジ保護層12の平面積を増加させることができるので、リッジ保護層12の密着性を向上させることができる。このため、リッジ保護層12が離脱(剥離)するのを抑制することができるので、リッジ保護層12が離脱(剥離)することに起因して、リッジ保護層12によるリッジ部8の保護が不十分になるという不都合が生じるのを抑制することができる。
【0032】
図5〜図14は、図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための図である。次に、図1および図3〜図14を参照して、本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100の製造方法について説明する。
【0033】
まず、図5に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、n型GaN基板1の(0001)成長面上に、約1.5μmの厚みを有するn型AlGaNからなるn型クラッド層2を成長させた後、n型クラッド層2上に、活性層3を成長させる。なお、活性層3を成長させる際には、図4に示したように、約3.5nmの厚みを有するアンドープInGaNからなる3つの井戸層3aと、約20nmの厚みを有するアンドープInGaNからなる4つの障壁層3bとを交互に成長させる。これにより、n型クラッド層2上に、3つの井戸層3aと4つの障壁層3bとからなるMQW構造を有する活性層3が形成される。
【0034】
次に、図5に示すように、活性層3上に、約50nmの厚みを有するアンドープInGaNからなる光ガイド層4および約20nmの厚みを有するアンドープAlGaNからなるキャップ層5を順次成長させる。そして、キャップ層5上に、約400nmの厚みを有するp型AlGaN層からなるp型クラッド層6および約3nmの厚みを有するアンドープInGaNからなるコンタクト層7を順次成長させる。
【0035】
続いて、図6に示すように、電子ビーム蒸着法を用いて、コンタクト層7上に、約1nmの厚みを有する下層のPt層(図示せず)と、約10nmの厚みを有する上層のPd層(図示せず)とからなるp側オーミック電極9を形成する。そして、プラズマCVD法を用いて、p側オーミック電極9上に、約240nmの厚みを有するSiO2層15を形成する。さらに、SiO2層15上に、フォトリソグラフィ技術を用いて、約1.5μmの幅を有するとともに、[1−100]方向に延びるストライプ状(細長状)のレジスト16を形成する。
【0036】
次に、図7に示すように、CF4系ガスによるRIE(Reactive Ion Etching)法を用いて、レジスト16をマスクとして、SiO2層15およびp側オーミック電極9をエッチングする。この後、レジスト16を除去する。
【0037】
次に、図8に示すように、塩素系ガスによるRIE法を用いて、SiO2層15をマスクとして、コンタクト層7の上面からp型クラッド層6の途中の深さ(p型クラッド層6の上面から約320nmの深さ)までエッチングすることにより、p型クラッド層6の凸部とコンタクト層7とによって構成されるとともに、[1−100]方向に延びるストライプ状(細長状)のリッジ部8を形成する。この後、SiO2層15を除去する。
【0038】
続いて、プラズマCVD法を用いて、全面を覆うように、約200nmの厚みを有するSiO2層(図示せず)を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびCF4系ガスによるRIE法を用いて、SiO2層(図示せず)のp側オーミック電極9の上面上に位置する部分を除去する。これにより、図9に示すような、SiO2層からなるとともに、開口部10aを有する電流ブロック層10が形成される。
【0039】
次に、図10に示すように、リフトオフ法を用いて、電流ブロック層10上に、約3μmの厚みを有するAu層からなるp側パッド電極11と、約3μmの厚みを有するAu層からなるリッジ保護層22とを形成する。この際、p側パッド電極11は、開口部10aを介して露出されたp側オーミック電極9を覆うように、電流ブロック層10上に形成する。また、p側パッド電極11は、図11に示すように、素子分離線17から所定の距離L12(約25μm、図3参照)を隔てた領域に形成する。すなわち、p側パッド電極11は、素子分離線17を跨がないように形成する。なお、p側パッド電極11は、図3に示した形状に形成する。
【0040】
ここで、本実施形態では、リッジ保護層22は、リッジ部8の一方の側方、および、リッジ部8の他方の側方のそれぞれに、リッジ部8に沿った方向([1−100]方向)に延びるように形成する。また、リッジ保護層22は、素子分離線17を跨ぐように、電流ブロック層10上に形成する。具体的には、リッジ保護層22は、リッジ部8に沿った方向([1−100]方向)の長さL23が、約400μm、リッジ部8と直交する方向([11−20]方向)の長さW13が、約50μmとなるように形成する。また、リッジ保護層22の長さL23方向の中心が、素子分離線17と重なるように形成する。なお、リッジ保護層22は、リッジ部8から所定の距離W12(約100μm〜約150μm、図3参照)を隔てた電流ブロック層10上の領域に形成する。
【0041】
次に、n型GaN基板1の厚みが約100μmになるまで、n型GaN基板1の下面(裏面)を研磨する。この後、図10に示すように、n型GaN基板1の下面(裏面)上に、n型GaN基板1の下面(裏面)側から順に、約6nmの厚みを有するAl層(図示せず)と、約10nmの厚みを有するPd層(図示せず)と、約300nmの厚みを有するAu層(図示せず)とからなるn側電極14を形成する。
【0042】
次に、図10および図11に示した状態から、一次劈開を行うことにより、素子をバー状に分割(劈開)する。具体的には、n型GaN基板1の上面側(窒化物系半導体各層が形成されている側)からYAGレーザ光を断続的に照射するとともに、n型GaN基板1を[11−20]方向に移動させることによって、図11に示すように、n型GaN基板1の上面に、リッジ部8と直交する方向([11−20]方向)に延びる破線状のスクライブライン19を形成する。なお、スクライブライン19は、隣り合うリッジ保護層22間に、素子分離線17と重なるように形成する。
【0043】
次に、図12および図13に示すように、n型GaN基板1の下面(スクライブライン19が形成されている面と反対側の面)側から、ブレーカ(図示せず)の刃を押しつけることにより、素子に応力を加えて、素子分離線17に沿ってn型GaN基板1を分割(一次劈開)する。これにより、図14に示すように、n型GaN基板1がバー状に分割される。このバー状に分割された素子の劈開面には、[11−20]方向に平行な(1−100)面と(−1100)面とにより構成される共振器面30が形成される。なお、素子の分割(一次劈開)によって、リッジ保護層22も素子分離線17に沿って分割されるので、これにより、側端面12a(図1参照)が共振器面30と同一面となるリッジ保護層12が形成される。
【0044】
最後に、図14に示した状態から、[1−100]方向である素子分離線18に沿って、素子を分割(二次劈開)することにより、チップ状に形成する。このようにして、図1に示したような、一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100が形成される。
【0045】
本実施形態では、上記のように、素子を分割(一次劈開)する際に、n型GaN基板1の下面側からブレーカ(図示せず)の刃を押しつけることによって、n型GaN基板1の下面にスクライブライン19を形成するとともに、n型GaN基板1の上面側からブレーカの刃を押しつけて素子の分割(一次劈開)を行う場合と異なり、対向する共振器面30近傍のリッジ部8同士が互いにぶつかるという不都合が生じるのを抑制することができる。このため、素子を分割(一次劈開)する際に、リッジ部8の共振器面30近傍部分に圧縮応力が加わるのを抑制することができるので、これによっても、リッジ部8の損傷を抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態では、リッジ部8の側方にリッジ保護層22を形成することによって、n型GaN基板1の下面側からブレーカ(図示せず)の刃を押しつけて素子を分割(一次劈開)する際に、劈開装置(図示せず)の載置台40(図13参照)などに、リッジ部8の共振器面30近傍部分が接触するのを抑制することができるので、n型GaN基板1の下面側からブレーカ(図示せず)の刃を押しつけて素子を分割(一次劈開)する場合でも、リッジ部8が損傷するのを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、p側パッド電極11を、素子分離線17から所定の距離L12(約25μm、図3参照)を隔てた領域に形成することによって、素子分離線17に沿って素子を分割(一次劈開)した場合でも、p側パッド電極11が変形するのを抑制することができるので、p側パッド電極11が変形することに起因して、p側パッド電極11が共振器面30の発光領域30a(図1参照)に覆い被さってしまうという不都合が生じるのを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、リッジ保護層22(12)を、リッジ部8の側方に形成することによって、リッジ保護層22を素子分離線17を跨いで形成することにより、素子の分割(一次劈開)後にリッジ保護層22(12)が変形した場合でも、リッジ部8の下方に位置する発光領域30a(図1参照)にリッジ保護層22(12)が覆い被さってしまうのを抑制することができる。
【0049】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0050】
たとえば、上記実施形態では、リッジ保護層を、リッジ部の一方の側方、および、リッジ部の他方の側方のそれぞれに形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、リッジ保護層を、リッジ部の一方の側方、および、リッジ部の他方の側方のいずれか一方のみに形成してもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、リッジ保護層を、リッジ部の延びる方向([1−100]方向)の側端面の一方が、共振器面と同一面となるように形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、リッジ保護層を、リッジ部の延びる方向([1−100]方向)の側端面の両方(一方の側端面および他方の側端面)が、それぞれ、一対の共振器面(一方の共振器面および他方の共振器面)と同一面となるように形成してもよい。すなわち、リッジ保護層を、窒化物系半導体レーザ素子の全長(一方の共振器面から他方の共振器面まで)にわたって形成してもよい。また、リッジ保護層を、側端面が共振器面と同一面とならないように形成してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、リッジ保護層を、p側パッド電極と同じAu層から構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、リッジ保護層を、p側パッド電極とは異なる材料から構成してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、リッジ保護層を、p側パッド電極とは別体で形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、リッジ保護層を、p側パッド電極と一体的に形成してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、リッジ保護層を、リッジ部に沿って([1−100]方向に)延びるように形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、リッジ保護層を、リッジ部に沿った方向([1−100]方向)以外の方向に延びるように形成してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、リッジ部を[1−100]方向に延びるように形成するとともに、共振器面を[11−20]方向と平行に形成した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、これらの方向が結晶学的に等価な方向であればよい。すなわち、リッジ部は、<1−100>で表せる方向に延びるように形成すればよく、共振器面は、<11−20>で表せる方向と平行に形成すればよい。また、上記実施形態における[1−100]方向および[11−20]方向も、それぞれ、<1−100>で表せる方向、および、<11−20>で表せる方向であればよい。
【0056】
また、上記実施形態では、MOCVD法を用いて、窒化物系半導体各層を結晶成長させた例を示したが、本発明はこれに限らず、MOCVD法以外の方法を用いて、窒化物系半導体各層を結晶成長させるようにしてもよい。MOCVD法以外の方法としては、たとえば、HVPE法(Hydride Vapor Phase Epitaxy:ハライド気相成長法)、および、ガスソースMBE法(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシャル成長法)などが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の全体斜視図である。
【図2】図1の200−200線に沿った断面図である。
【図3】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の平面図である。
【図4】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の活性層の断面図である。
【図5】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図6】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図7】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図8】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図9】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図10】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図11】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための平面図である。
【図12】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための斜視図である。
【図13】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための側面図である。
【図14】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 n型GaN基板(基板)
2 n型クラッド層(窒化物系半導体層)
3 活性層(発光層)
4 光ガイド層(窒化物系半導体層)
5 キャップ層(窒化物系半導体層)
6 p型クラッド層(窒化物系半導体層)
7 コンタクト層(窒化物系半導体層)
8 リッジ部
9 p側オーミック電極
10 電流ブロック層
11 p側パッド電極(電極層)
12、22 リッジ保護層
12a 側端面
14 n側電極
30 共振器面
30a 発光領域
100 窒化物系半導体レーザ素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物系半導体レーザ素子に関し、特に、発光層を含む複数の窒化物系半導体層が基板上に形成された窒化物系半導体レーザ素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に、窒化物系半導体各層が形成された窒化物系半導体レーザ素子が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、窒化物系半導体層に凸状のリッジ部が形成されるとともに、共振器面近傍の領域を除くリッジ部上の領域に電極層が形成された窒化物系半導体レーザ素子が記載されている。この窒化物系半導体レーザ素子では、端面破壊を抑制するために、窒化物系半導体層の共振器面近傍領域(電極層が形成されていない領域下)における不純物活性化率が、窒化物系半導体層の電極層下の領域における不純物活性化率よりも低く構成されている。
【特許文献1】特開2006−229171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の窒化物系半導体レーザ素子では、共振器面近傍のリッジ部上に電極層が形成されていないため、共振器面近傍のリッジ部が露出された状態となっている。このため、リッジ部の共振器面近傍部分は電極層によって保護されないので、窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスや、組立工程などにおいて、リッジ部の共振器面近傍部分が破損され易いという不都合がある。これにより、リッジ部の破損に起因して、製造歩留まりや、素子特性が低下するという問題点がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、製造歩留まり、および、素子特性の低下を抑制することが可能な窒化物系半導体レーザ素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による窒化物系半導体レーザ素子は、基板上に形成され、発光層を含む複数の窒化物系半導体層と、複数の窒化物系半導体層の少なくとも1つに形成され、所定の方向に延びる凸状のリッジ部と、窒化物系半導体層とは異なる材料から構成され、リッジ部の側方に形成されるリッジ保護層とを備えている。そして、リッジ保護層の上面は、リッジ部よりも上方に配置されている。
【0007】
この一の局面による窒化物系半導体レーザ素子では、上記のように、上面がリッジ部よりも上方に配置されるリッジ保護層を、凸状のリッジ部の側方に形成することによって、窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスや、組立工程などにおいて、何らかの部材が窒化物系半導体レーザ素子の上面(リッジ部が形成されている面)に接触した場合でも、その部材がリッジ部に接触する前にリッジ保護層の上面と接触して、リッジ部に接触するのを妨げることができる。このため、リッジ部に、電極層などによって保護されていない部分(露出している部分)がある場合でも、リッジ保護層によってリッジ部を保護することができるので、リッジ部の破損を抑制することができる。その結果、リッジ部の破損に起因する製造歩留まりの低下、および、素子特性の低下を抑制することができる。
【0008】
上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、前記リッジ部と直交する共振器面をさらに備え、前記リッジ保護層は、前記リッジ部の延びる方向の側端面が、前記共振器面と同一面となるように形成されている。このように構成すれば、リッジ部の側方に、共振器面までリッジ保護層が形成されるので、リッジ部の共振器面近傍部分が露出された状態(電極層などによって保護されていない状態)となっている場合でも、リッジ保護層によって、露出された状態となっているリッジ部の共振器面近傍部分を保護することができる。このため、リッジ部の共振器面近傍部分が破損するのを抑制することができるので、リッジ部の共振器面近傍部分が破損することに起因する製造歩留まりの低下、および、素子特性の低下を抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、リッジ保護層は、リッジ部の一方の側方、および、リッジ部の他方の側方のそれぞれに形成されている。このように構成すれば、リッジ部の一方の側方およびリッジ部の他方の側方のいずれか一方にのみリッジ保護層を形成した場合に比べて、リッジ部を効果的に保護することができるので、リッジ部の破損を効果的に抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、リッジ部上に形成される電極層をさらに備え、リッジ保護層は、電極層を形成する材料と同じ材料から構成されている。このように構成すれば、電極層の形成工程と同一工程でリッジ保護層を形成することができるので、窒化物系半導体レーザ素子にリッジ保護層を形成する場合でも、製造工程(工数)が増加するのを抑制することができる。
【0011】
この場合において、好ましくは、リッジ保護層は、電極層とは別体で形成されている。このように構成すれば、電極層とリッジ保護層とが一体的に形成されている場合と異なり、リッジ保護層を形成した場合でも、電極層の平面積が増加するのを抑制することができるので、電極層の平面積が増加することに起因して、窒化物系半導体レーザ素子の静電容量が増加するという不都合が生じるのを抑制することができる。このため、静電容量の増加に起因する窒化物系半導体レーザ素子の応答特性(素子特性)の低下を抑制することができる。
【0012】
上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、リッジ保護層は、リッジ部に沿った方向に延びるように形成されている。このように構成すれば、リッジ保護層の平面積を増加させることができるので、リッジ保護層の密着性を向上させることができる。このため、リッジ保護層が離脱(剥離)するのを抑制することができるので、リッジ保護層が離脱(剥離)することに起因して、リッジ保護層によるリッジ部の保護が不十分になるという不都合が生じるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、製造歩留まり、および、素子特性の低下を抑制することが可能な窒化物系半導体レーザ素子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の全体斜視図であり、図2は、図1の200−200線に沿った断面図である。図3は、図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の平面図であり、図4は、図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の活性層の断面図である。まず、図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100の構造について説明する。
【0016】
一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100では、図1に示すように、劈開面からなる一対の共振器面30が、[11−20]方向と平行に形成されている。この共振器面30は、後述するリッジ部8の下方の領域に、レーザ光を出射する発光領域30aを有している。また、窒化物系半導体レーザ素子100は、図3に示すように、共振器面30と直交する方向([1−100]方向)に、約600μmの長さLを有するとともに、共振器面30に沿った方向([11−20]方向)に、約400μmの幅Wを有している。
【0017】
また、一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100は、図1および図2に示すように、約100μmの厚みを有するn型GaN基板1の上面上に、約1.5μmの厚みを有するn型AlGaNからなるn型クラッド層2が形成されている。また、n型クラッド層2上には、活性層3が形成されている。この活性層3は、図4に示すように、約3.2nmの厚みを有するアンドープInGaNからなる3つの井戸層3aと、約20nmの厚みを有するアンドープInGaNからなる4つの障壁層3bとが交互に積層された多重量子井戸(MQW)構造を有している。なお、n型GaN基板1は、本発明の「基板」の一例であり、n型クラッド層2は、本発明の「窒化物系半導体層」の一例である。また、活性層3は、本発明の「発光層」の一例である。
【0018】
また、活性層3上には、図1および図2に示すように、約50nmの厚みを有するアンドープInGaNからなる光ガイド層4が形成されている。光ガイド層4上には、約20nmの厚みを有するアンドープAlGaNからなるキャップ層5が形成されている。キャップ層5上には、凸部と、凸部以外の平坦部とを有するp型AlGaNからなるp型クラッド層6が形成されている。このp型クラッド層6の平坦部の厚みは、約80nmであり、凸部の平坦部の上面からの高さは、約320nmである。また、p型クラッド層6の凸部上には、約3nmの厚みを有するアンドープInGaNからなるコンタクト層7が形成されている。このコンタクト層7とp型クラッド層6の凸部とによって、約1.5μmの幅W1(図2参照)を有するストライプ状(細長状)のリッジ部8が構成されている。このリッジ部8は、図3に示すように、共振器面30と直交する[1−100]方向に延びるように形成されている。なお、光ガイド層4、キャップ層5、p型クラッド層6、および、コンタクト層7は、それぞれ、本発明の「窒化物系半導体層」の一例である。
【0019】
また、図1および図2に示すように、リッジ部8を構成するコンタクト層7上には、約1nmの厚みを有する下層のPt層(図示せず)と、約10nmの厚みを有する上層のPd層(図示せず)とからなるp側オーミック電極9が、ストライプ状(細長状)に、リッジ部8の全長にわたって形成されている。また、p型クラッド層6上、および、コンタクト層7の側面上には、約200nmの厚みを有するとともに、SiO2からなる電流ブロック層10が形成されている。この電流ブロック層10には、p側オーミック電極9の上面を露出させる開口部10a(図2および図3参照)が設けられている。
【0020】
また、電流ブロック層10の上面上には、開口部10aを介して露出されたp側オーミック電極9を覆うように、約3μmの厚みを有するAu層からなるp側パッド電極11が形成されている。このp側パッド電極11は、図3に示すように、リッジ部8に沿った方向([1−100]方向)に、約550μmの長さL11を有しているとともに、リッジ部8と直交する方向([11−20]方向)に、約120μmの幅W11を有している。また、p側パッド電極11は、一対の共振器面30から、それぞれ、所定の距離L12(約25μm)を隔てた領域に、凸状のリッジ部8を覆うように形成されている。したがって、共振器面30近傍のリッジ部8上には、p側パッド電極11は形成されていない状態となっている。なお、p側パッド電極11は、本発明の「電極層」の一例である。
【0021】
また、p側パッド電極11には、図1に示すように、ボンディングワイヤ13が電気的に接続されるボンディング部11aが一体的に接続されている。このボンディング部11aは、図3に示すように、平面的に見て、1辺の長さaが約80μmの正方形形状に形成されている。
【0022】
ここで、本実施形態では、リッジ部8の一方の側方、および、リッジ部8の他方の側方の電流ブロック層10上には、それぞれ、リッジ部8を保護するためのリッジ保護層12が形成されている。このリッジ保護層12は、p側パッド電極11を構成する材料と同じ材料であるAu層から構成されているとともに、共振器面30に沿った方向([11−20]方向)に、リッジ部8から所定の距離W12(約100μm〜約150μm)だけ隔てた領域にそれぞれ形成されている。
【0023】
また、本実施形態では、リッジ保護層12は、p側パッド電極11と実質的に同じ厚みである約3μmの厚みに形成されている。これにより、リッジ保護層12の上面が、凸状のリッジ部8よりも上方に配置される。なお、リッジ保護層12は、p側パッド電極11とは別体で形成されているとともに、p側パッド電極11と電気的に絶縁もされている。
【0024】
また、本実施形態では、リッジ保護層12は、図3に示すように、平面的に見て、リッジ部8に沿った方向([1−100]方向)に延びる長方形形状に形成されている。具体的には、リッジ保護層12は、共振器面30と直交する方向([1−100]方向)に、約200μmの長さL13を有しているとともに、共振器面30に沿った方向([11−20]方向)に、約50μmの幅W13を有している。また、リッジ保護層12は、リッジ部8の延びる方向([1−100]方向)の側端面12aの一方が、一対の共振器面30とそれぞれ同一面となるように構成されている。
【0025】
また、n型GaN基板1の下面(裏面)上には、n型GaN基板1の下面(裏面)側から順に、約6nmの厚みを有するAl層(図示せず)と、約10nmの厚みを有するPd層(図示せず)と、約300nmの厚みを有するAu層(図示せず)とからなるn側電極14が形成されている。
【0026】
本実施形態では、上記のように、上面がリッジ部8よりも上方に配置されるリッジ保護層12を、凸状のリッジ部8の側方に形成することによって、窒化物系半導体レーザ素子100の製造プロセスや、組立工程などにおいて、何らかの部材が窒化物系半導体レーザ素子100の上面(リッジ部8が形成されている面)に接触した場合でも、その部材がリッジ部8に接触する前にリッジ保護層12の上面と接触してリッジ部8に接触するのを妨げることができる。このため、リッジ保護層12によってリッジ部8を保護することができるので、リッジ部8の破損を抑制することができる。その結果、リッジ部8の破損に起因する製造歩留まりの低下、および、素子特性の低下を抑制することができる。
【0027】
また、本実施形態では、リッジ保護層12を、その側端面12aが共振器面30と同一面となるように形成することによって、リッジ部の側方に共振器面30まで延びるリッジ保護層12を形成することができるので、共振器面30近傍のリッジ部8上にp側パッド電極11が形成されていない場合でも、リッジ保護層12によって、リッジ部8の共振器面30近傍部分を保護することができる。このため、リッジ部8の共振器面30近傍部分の破損を抑制することができるので、リッジ部8の共振器面30近傍部分が破損することに起因する製造歩留まりの低下、および、素子特性の低下を抑制することができる。
【0028】
また、本実施形態では、リッジ保護層12を、リッジ部8の一方の側方、および、リッジ部8の他方の側方のそれぞれに形成することによって、リッジ部8の一方の側方およびリッジ部8の他方の側方のいずれか一方にのみリッジ保護層12を形成した場合に比べて、リッジ部8を効果的に保護することができるので、リッジ部8の破損を効果的に抑制することができる。
【0029】
また、本実施形態では、リッジ保護層12を、p側パッド電極11を構成する材料と同じ材料であるからAu層から構成することによって、p側パッド電極11の形成工程と同一工程でリッジ保護層12を形成することができるので、リッジ保護層12を形成する場合でも、製造工程(工数)が増加するのを抑制することができる。
【0030】
また、本実施形態では、リッジ保護層12を、p側パッド電極11とは別体で形成することによって、p側パッド電極11とリッジ保護層12とを一体的に形成する場合と異なり、リッジ保護層12を形成した場合でも、p側パッド電極11の平面積が増加するのを抑制することができるので、p側パッド電極11の平面積が増加することに起因して、窒化物系半導体レーザ素子100の静電容量が増加するという不都合が生じるのを抑制することができる。このため、静電容量の増加に起因する応答特性(素子特性)の低下を抑制することができる。
【0031】
また、本実施形態では、リッジ保護層12を、リッジ部8に沿った方向([1−100]方向)に延びるように形成することによって、リッジ保護層12の平面積を増加させることができるので、リッジ保護層12の密着性を向上させることができる。このため、リッジ保護層12が離脱(剥離)するのを抑制することができるので、リッジ保護層12が離脱(剥離)することに起因して、リッジ保護層12によるリッジ部8の保護が不十分になるという不都合が生じるのを抑制することができる。
【0032】
図5〜図14は、図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための図である。次に、図1および図3〜図14を参照して、本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100の製造方法について説明する。
【0033】
まず、図5に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、n型GaN基板1の(0001)成長面上に、約1.5μmの厚みを有するn型AlGaNからなるn型クラッド層2を成長させた後、n型クラッド層2上に、活性層3を成長させる。なお、活性層3を成長させる際には、図4に示したように、約3.5nmの厚みを有するアンドープInGaNからなる3つの井戸層3aと、約20nmの厚みを有するアンドープInGaNからなる4つの障壁層3bとを交互に成長させる。これにより、n型クラッド層2上に、3つの井戸層3aと4つの障壁層3bとからなるMQW構造を有する活性層3が形成される。
【0034】
次に、図5に示すように、活性層3上に、約50nmの厚みを有するアンドープInGaNからなる光ガイド層4および約20nmの厚みを有するアンドープAlGaNからなるキャップ層5を順次成長させる。そして、キャップ層5上に、約400nmの厚みを有するp型AlGaN層からなるp型クラッド層6および約3nmの厚みを有するアンドープInGaNからなるコンタクト層7を順次成長させる。
【0035】
続いて、図6に示すように、電子ビーム蒸着法を用いて、コンタクト層7上に、約1nmの厚みを有する下層のPt層(図示せず)と、約10nmの厚みを有する上層のPd層(図示せず)とからなるp側オーミック電極9を形成する。そして、プラズマCVD法を用いて、p側オーミック電極9上に、約240nmの厚みを有するSiO2層15を形成する。さらに、SiO2層15上に、フォトリソグラフィ技術を用いて、約1.5μmの幅を有するとともに、[1−100]方向に延びるストライプ状(細長状)のレジスト16を形成する。
【0036】
次に、図7に示すように、CF4系ガスによるRIE(Reactive Ion Etching)法を用いて、レジスト16をマスクとして、SiO2層15およびp側オーミック電極9をエッチングする。この後、レジスト16を除去する。
【0037】
次に、図8に示すように、塩素系ガスによるRIE法を用いて、SiO2層15をマスクとして、コンタクト層7の上面からp型クラッド層6の途中の深さ(p型クラッド層6の上面から約320nmの深さ)までエッチングすることにより、p型クラッド層6の凸部とコンタクト層7とによって構成されるとともに、[1−100]方向に延びるストライプ状(細長状)のリッジ部8を形成する。この後、SiO2層15を除去する。
【0038】
続いて、プラズマCVD法を用いて、全面を覆うように、約200nmの厚みを有するSiO2層(図示せず)を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびCF4系ガスによるRIE法を用いて、SiO2層(図示せず)のp側オーミック電極9の上面上に位置する部分を除去する。これにより、図9に示すような、SiO2層からなるとともに、開口部10aを有する電流ブロック層10が形成される。
【0039】
次に、図10に示すように、リフトオフ法を用いて、電流ブロック層10上に、約3μmの厚みを有するAu層からなるp側パッド電極11と、約3μmの厚みを有するAu層からなるリッジ保護層22とを形成する。この際、p側パッド電極11は、開口部10aを介して露出されたp側オーミック電極9を覆うように、電流ブロック層10上に形成する。また、p側パッド電極11は、図11に示すように、素子分離線17から所定の距離L12(約25μm、図3参照)を隔てた領域に形成する。すなわち、p側パッド電極11は、素子分離線17を跨がないように形成する。なお、p側パッド電極11は、図3に示した形状に形成する。
【0040】
ここで、本実施形態では、リッジ保護層22は、リッジ部8の一方の側方、および、リッジ部8の他方の側方のそれぞれに、リッジ部8に沿った方向([1−100]方向)に延びるように形成する。また、リッジ保護層22は、素子分離線17を跨ぐように、電流ブロック層10上に形成する。具体的には、リッジ保護層22は、リッジ部8に沿った方向([1−100]方向)の長さL23が、約400μm、リッジ部8と直交する方向([11−20]方向)の長さW13が、約50μmとなるように形成する。また、リッジ保護層22の長さL23方向の中心が、素子分離線17と重なるように形成する。なお、リッジ保護層22は、リッジ部8から所定の距離W12(約100μm〜約150μm、図3参照)を隔てた電流ブロック層10上の領域に形成する。
【0041】
次に、n型GaN基板1の厚みが約100μmになるまで、n型GaN基板1の下面(裏面)を研磨する。この後、図10に示すように、n型GaN基板1の下面(裏面)上に、n型GaN基板1の下面(裏面)側から順に、約6nmの厚みを有するAl層(図示せず)と、約10nmの厚みを有するPd層(図示せず)と、約300nmの厚みを有するAu層(図示せず)とからなるn側電極14を形成する。
【0042】
次に、図10および図11に示した状態から、一次劈開を行うことにより、素子をバー状に分割(劈開)する。具体的には、n型GaN基板1の上面側(窒化物系半導体各層が形成されている側)からYAGレーザ光を断続的に照射するとともに、n型GaN基板1を[11−20]方向に移動させることによって、図11に示すように、n型GaN基板1の上面に、リッジ部8と直交する方向([11−20]方向)に延びる破線状のスクライブライン19を形成する。なお、スクライブライン19は、隣り合うリッジ保護層22間に、素子分離線17と重なるように形成する。
【0043】
次に、図12および図13に示すように、n型GaN基板1の下面(スクライブライン19が形成されている面と反対側の面)側から、ブレーカ(図示せず)の刃を押しつけることにより、素子に応力を加えて、素子分離線17に沿ってn型GaN基板1を分割(一次劈開)する。これにより、図14に示すように、n型GaN基板1がバー状に分割される。このバー状に分割された素子の劈開面には、[11−20]方向に平行な(1−100)面と(−1100)面とにより構成される共振器面30が形成される。なお、素子の分割(一次劈開)によって、リッジ保護層22も素子分離線17に沿って分割されるので、これにより、側端面12a(図1参照)が共振器面30と同一面となるリッジ保護層12が形成される。
【0044】
最後に、図14に示した状態から、[1−100]方向である素子分離線18に沿って、素子を分割(二次劈開)することにより、チップ状に形成する。このようにして、図1に示したような、一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子100が形成される。
【0045】
本実施形態では、上記のように、素子を分割(一次劈開)する際に、n型GaN基板1の下面側からブレーカ(図示せず)の刃を押しつけることによって、n型GaN基板1の下面にスクライブライン19を形成するとともに、n型GaN基板1の上面側からブレーカの刃を押しつけて素子の分割(一次劈開)を行う場合と異なり、対向する共振器面30近傍のリッジ部8同士が互いにぶつかるという不都合が生じるのを抑制することができる。このため、素子を分割(一次劈開)する際に、リッジ部8の共振器面30近傍部分に圧縮応力が加わるのを抑制することができるので、これによっても、リッジ部8の損傷を抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態では、リッジ部8の側方にリッジ保護層22を形成することによって、n型GaN基板1の下面側からブレーカ(図示せず)の刃を押しつけて素子を分割(一次劈開)する際に、劈開装置(図示せず)の載置台40(図13参照)などに、リッジ部8の共振器面30近傍部分が接触するのを抑制することができるので、n型GaN基板1の下面側からブレーカ(図示せず)の刃を押しつけて素子を分割(一次劈開)する場合でも、リッジ部8が損傷するのを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、p側パッド電極11を、素子分離線17から所定の距離L12(約25μm、図3参照)を隔てた領域に形成することによって、素子分離線17に沿って素子を分割(一次劈開)した場合でも、p側パッド電極11が変形するのを抑制することができるので、p側パッド電極11が変形することに起因して、p側パッド電極11が共振器面30の発光領域30a(図1参照)に覆い被さってしまうという不都合が生じるのを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、リッジ保護層22(12)を、リッジ部8の側方に形成することによって、リッジ保護層22を素子分離線17を跨いで形成することにより、素子の分割(一次劈開)後にリッジ保護層22(12)が変形した場合でも、リッジ部8の下方に位置する発光領域30a(図1参照)にリッジ保護層22(12)が覆い被さってしまうのを抑制することができる。
【0049】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0050】
たとえば、上記実施形態では、リッジ保護層を、リッジ部の一方の側方、および、リッジ部の他方の側方のそれぞれに形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、リッジ保護層を、リッジ部の一方の側方、および、リッジ部の他方の側方のいずれか一方のみに形成してもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、リッジ保護層を、リッジ部の延びる方向([1−100]方向)の側端面の一方が、共振器面と同一面となるように形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、リッジ保護層を、リッジ部の延びる方向([1−100]方向)の側端面の両方(一方の側端面および他方の側端面)が、それぞれ、一対の共振器面(一方の共振器面および他方の共振器面)と同一面となるように形成してもよい。すなわち、リッジ保護層を、窒化物系半導体レーザ素子の全長(一方の共振器面から他方の共振器面まで)にわたって形成してもよい。また、リッジ保護層を、側端面が共振器面と同一面とならないように形成してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、リッジ保護層を、p側パッド電極と同じAu層から構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、リッジ保護層を、p側パッド電極とは異なる材料から構成してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、リッジ保護層を、p側パッド電極とは別体で形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、リッジ保護層を、p側パッド電極と一体的に形成してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、リッジ保護層を、リッジ部に沿って([1−100]方向に)延びるように形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、リッジ保護層を、リッジ部に沿った方向([1−100]方向)以外の方向に延びるように形成してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、リッジ部を[1−100]方向に延びるように形成するとともに、共振器面を[11−20]方向と平行に形成した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、これらの方向が結晶学的に等価な方向であればよい。すなわち、リッジ部は、<1−100>で表せる方向に延びるように形成すればよく、共振器面は、<11−20>で表せる方向と平行に形成すればよい。また、上記実施形態における[1−100]方向および[11−20]方向も、それぞれ、<1−100>で表せる方向、および、<11−20>で表せる方向であればよい。
【0056】
また、上記実施形態では、MOCVD法を用いて、窒化物系半導体各層を結晶成長させた例を示したが、本発明はこれに限らず、MOCVD法以外の方法を用いて、窒化物系半導体各層を結晶成長させるようにしてもよい。MOCVD法以外の方法としては、たとえば、HVPE法(Hydride Vapor Phase Epitaxy:ハライド気相成長法)、および、ガスソースMBE法(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシャル成長法)などが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の全体斜視図である。
【図2】図1の200−200線に沿った断面図である。
【図3】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の平面図である。
【図4】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の活性層の断面図である。
【図5】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図6】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図7】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図8】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図9】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図10】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図11】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための平面図である。
【図12】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための斜視図である。
【図13】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための側面図である。
【図14】図1に示した本発明の一実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 n型GaN基板(基板)
2 n型クラッド層(窒化物系半導体層)
3 活性層(発光層)
4 光ガイド層(窒化物系半導体層)
5 キャップ層(窒化物系半導体層)
6 p型クラッド層(窒化物系半導体層)
7 コンタクト層(窒化物系半導体層)
8 リッジ部
9 p側オーミック電極
10 電流ブロック層
11 p側パッド電極(電極層)
12、22 リッジ保護層
12a 側端面
14 n側電極
30 共振器面
30a 発光領域
100 窒化物系半導体レーザ素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成され、発光層を含む複数の窒化物系半導体層と、
前記複数の窒化物系半導体層の少なくとも1つに形成され、所定の方向に延びる凸状のリッジ部と、
前記窒化物系半導体層とは異なる材料から構成され、前記リッジ部の側方に形成されるリッジ保護層とを備え、
前記リッジ保護層の上面は、前記リッジ部よりも上方に配置されていることを特徴とする、窒化物系半導体レーザ素子。
【請求項2】
前記リッジ部と直交する共振器面をさらに備え、
前記リッジ保護層は、前記リッジ部の延びる方向の側端面が、前記共振器面と同一面となるように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
【請求項3】
前記リッジ保護層は、前記リッジ部の一方の側方、および、前記リッジ部の他方の側方のそれぞれに形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
【請求項4】
前記リッジ部上に形成される電極層をさらに備え、
前記リッジ保護層は、前記電極層を構成する材料と同じ材料から構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
【請求項5】
前記リッジ保護層は、前記電極層とは別体で形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
【請求項6】
前記リッジ保護層は、前記リッジ部に沿った方向に延びるように形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
【請求項1】
基板上に形成され、発光層を含む複数の窒化物系半導体層と、
前記複数の窒化物系半導体層の少なくとも1つに形成され、所定の方向に延びる凸状のリッジ部と、
前記窒化物系半導体層とは異なる材料から構成され、前記リッジ部の側方に形成されるリッジ保護層とを備え、
前記リッジ保護層の上面は、前記リッジ部よりも上方に配置されていることを特徴とする、窒化物系半導体レーザ素子。
【請求項2】
前記リッジ部と直交する共振器面をさらに備え、
前記リッジ保護層は、前記リッジ部の延びる方向の側端面が、前記共振器面と同一面となるように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
【請求項3】
前記リッジ保護層は、前記リッジ部の一方の側方、および、前記リッジ部の他方の側方のそれぞれに形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
【請求項4】
前記リッジ部上に形成される電極層をさらに備え、
前記リッジ保護層は、前記電極層を構成する材料と同じ材料から構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
【請求項5】
前記リッジ保護層は、前記電極層とは別体で形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
【請求項6】
前記リッジ保護層は、前記リッジ部に沿った方向に延びるように形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−205139(P2008−205139A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38784(P2007−38784)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
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