説明

窒素含有ガス化合物検出用の低コスト機器

窒素含有化合物は、それらを化学的に二酸化窒素に変換し(210)、二酸化窒素の量を検出する(10)ことにより、検出される。半導体レーザまたは発光ダイオード(132)は、青−紫−緑の波長領域での変調光(131)を提供し、狭小バンド幅の光音響センサ(10)は、二酸化窒素による光の吸収によって生じた定常波を検出する。光音響センサ(10)は、光(131)の変調周波数に対応する共振周波数を示す共振キャビティ(161、182a、b)を利用する。一酸化窒素の検出の際、表面化学酸化ユニット(210)を用いて、一酸化窒素を二酸化窒素に変換することが好ましく、例えば、過マンガン酸カリウム(KMnO4)フィルタまたは白金(Pt)触媒ユニット(260)が使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素含有微量ガスの検出の分野に関し、特に、窒素含有化合物を二酸化窒素に変換する変換器を用いる検出器ユニット、ならびに青色半導体レーザおよび石英増強光音響センサを有する低コストで小型の二酸化窒素(NO2)検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
モルト(James R. Mault)により2003年9月2日に発行され、本願の参照文献として取り入れられている米国特許第6,612,306号「呼吸器管用一酸化窒素メータ」には、流路に沿って流れる呼吸器ガスのガス成分を検出する呼吸器官用ガスメータが示されている。この参照文献には、喘息および他の炎症性肺病、ならびに反応性気道疾患を患う患者において、一酸化窒素(NO)の内因生成が増加することが詳しく示されている。モルト(Mault)は、1999年7月13日に発行され、本願の参照文献として取り入れられている、アルビング(Alving)らの米国特許第5,922,610号「呼気空気内のNOレベルの決定に用いられるシステム、および異常NOレベルに関する障害の診断方法」を引用して、アレルギー性喘息および鼻炎のような気道の炎症状態の診断、人の呼吸器感染症、カールタジュナー症候群ならびに胃の障害に、一酸化窒素の測定が利用できることを示している。モルトは、医療診断用の一酸化窒素検出の他の用途についても示している。
【0003】
また、医療診断用の一酸化窒素の検出のため、通常、NOxで表される各種窒素酸化物の濃度を測定する検出器を用いて、自動車の排気ガスを含む環境濃度が検出され、産業生産プロセスが制御される。また一酸化窒素検出器は、高い安全性が必要な領域での爆発性物質の検出に使用しても良い。
【0004】
米国特許第6,612,606号(モルト)には、放射線によって励起されたガスからの蛍光の検出、小型機械構造上での共振変化の検出、さらにはオゾンが気流に導入された際の化学発光の検出を含む、一酸化窒素を検出するための各種技術が示されている。
【0005】
サウサ(Rosario C. Sausa)の2002年12月12日に発行され、本願の参照文献として取り入れられている米国特許第6,160,255号「レーザ系光音響センサ、ならびに大気中のNOとNO2の微量検出および区別の方法」には、ジュアルレーザ光音響センサが示されており、このセンサは、約227nmおよび454nmの調整可能なパルスレーザで空気を励起し、その後、励起された一酸化窒素および二酸化窒素から放出された熱によって生じる音響効果を検出する。この励起は、一酸化窒素が約227nmのUV放射線を吸収し、二酸化窒素が約454nmの可視放射線を吸収することによって生じる。
【0006】
UV領域での吸収に加えて、一酸化窒素は、中間赤外スペクトルに対して吸収特性を示す。しかしながら、UVおよび中間赤外領域での構成部品のコストは、可視領域での構成部品に比べて数桁高くなるため、現在のところ、一酸化窒素を検知する光音響用の部品のコストでは、低コスト一酸化窒素検出器は、得ることができない。サウサ(Sausa)の米国特許第6,160,255号には、二重結晶および波長補償器によって、ミラー配置を介して、454nmのレーザから227nmのレーザを選択的に得ることができることが示されている。454nmの放射線を227nmの放射線に変換した際、パワーの1%未満しか残存せず、その結果、UVに対する検出感度が顕著に低下する。一方、可視領域での構成部品に関しては、光記憶デバイス(CD、DVD)および照明装置のような、大容量用途のものが継続的に開発されており、これらの可視領域の構成部品のコストは、継続して低く抑えることができる。
【0007】
低コスト一酸化窒素検出器が利用可能になると、各内科医の病院に診断ツールが備えられ、肺疾患や他の生理学上の状態の検出および診断が容易に行えるようになり、喘息患者に、家庭用のモニタリング装置が提供することが可能になる。また低コストNOxセンサは、車両の恒久的/連続的な排気ガスのモニタリング、および環境空気の質のモニタリングに使用することができる。同様に、低コスト一酸化窒素検出器は、オフィスビル、鉄道ターミナル、空港および他のテロリストの目標となり得る場所での人々の安全の確保のため、提供することができる。
【特許文献1】米国特許第6,612,306号明細書
【特許文献2】米国特許第5,922,610号明細書
【特許文献3】米国特許第6,612,606号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、窒素含有ガス検出用の、低コストで小型の高感度検出器を提供することである。また、本発明の別の目的は、光音響技術を用いた検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらのおよび他の目的は、青−紫−緑の波長領域で発光する半導体レーザまたは発光ダイオードと、共振ピックアップユニットを有する狭小バンド幅の光音響センサとを用いたシステムによってもたらされる。二酸化窒素は、青−紫の波長領域での吸収により、直接検出されるが、他の窒素含有化合物は、化学的に二酸化窒素に変換され、その後、生成した二酸化窒素の量が感光的に検知される。表面化学酸化ユニットを用いて、例えば、過マンガン酸カリウム(KMnO4)フィルタまたは白金(Pt)触媒ユニットを用いて、一酸化窒素を二酸化窒素に変換することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
一例としての添付図面を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
【0011】
図面全体を通して、同じ素子または実質的に同様の機能を奏する素子には、同じ参照符号が付されている。図面は、一例を示すために使用されるものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0012】
図1には、本発明による光音響二酸化窒素センサ10を一例を概略的に示す。音響センサ10は、共振音叉160の形態の圧電検知ユニット111と、円柱状音響共振器182a、182bとを有する。共振器182は、セル120内のガスが管に侵入することができるよう、開放端を有する。必要であれば、ガスセル容積の一部には、固体材料が充填され、これにより、共振器を通るガスの流れがより効率的に誘導される。音叉は、高い線質係数および狭小のバンド幅を有することが好ましく、これにより二酸化窒素に対する高い検出感度が得られ、バックグラウンド音響ノイズに対する感度が抑制される。音響信号増強管182a、182bは、音叉160にできる限り接近して設置されているため、間隔183a、183bが小さくなり、実質的に連続的なキャビティ共振器が形成される。
【0013】
ケステレンの(Hans van Kesteren)2005年3月4日に出願された、出願人参照番号FR050029、欧州特許出願第05300164号「光音響分光検出器およびシステム」には、光の吸収を利用して、光音響分光システムで生じた音響信号を検出する技術が開示されており、このシステムは、音響信号の周波数またはその近傍で、構造的な共振を示す検知ユニットを有する。検知ユニットは、キャビティ共振器の少なくとも一部を形成し、この共振器は、キャビティ共振器の内部で、実質的に検知ユニットの構造共振周波数と一致するキャビティ共振周波数において、定常圧力波の形成が可能となるように配置される。コステレブ(Anatoliy A. Kosterev)の2003年6月10日に出願され、国際公開WO03/104767として公開された、PCT特許出願第PCT/US03/18299号「石英増強光音響分光法」には、光音響信号の共振増強検出の基本技術が示されている。
【0014】
センサ10は、音叉160の突起の間の円柱状キャビティ161の半径を、管状信号増強手段182a、182bの半径と等しくなるように選定することにより、出願FR050029の原理を取り込んでいることが好ましい。音響共振器は、音叉の共振周波数と近いまたは一致する共振周波数を有し、音叉の構造共振とキャビティ共振の双方の働きにより、高い光音響検出感度が得られる。
【0015】
音叉160には、石英音叉共振器の分野では、当業者に広く知られた技術を用いて、様々な音叉の表面に電極が設置され、これにより、反対方向に動く突起の対称的な振動に対応して、電気信号が提供される。音叉電極には、配線112が取り付けられ、音叉検知素子から、検出電子機器(図示されていない)に信号が提供される。
【0016】
音叉ピックアップ素子および音響共振器は、ガス入口121とガス出口122とを有するガスセル120内に組み込まれる。混合ガスは、ガスセル120および検知ユニット111を通って流れる。ガスセル120には、窓130が取り付けられており、レーザビーム131は、音響共振器および音叉の突起の間を通り抜けることができる。レーザモジュール132内の小型半導体レーザによって、370〜480nmの波長範囲の波長を有するレーザ光が提供される。レーザモジュール132からの発散光は、レンズまたはレンズ系133によって平行化される。小型センサを得るため、GRIN(傾斜屈折)レンズを用いても良い。
【0017】
作動の間、配線113によりレーザに供給された電流が変調され、検知ユニットの共振周波数に対応する周波数、例えば共振周波数の整数倍(1倍、2倍等)または約数(1/2倍、1/3倍等)の変調レーザビームが得られる。国際特許出願文献第WO03/104767号には、実施例が示されており、この場合、赤外線レーザの波長は、検知ユニットの共振周波数の1/2に変調され、レーザビームによる音叉の直接励起が回避される。しかしながら、本発明の好適実施例においては、低コスト青色半導体レーザでは、波長変調よりもパワー変調がより容易となるとともに、青色半導体レーザで利用できる波長領域よりも、二酸化窒素の吸収波長領域が広いため、共振周波数と等しい周波数でのレーザビームのパワー変調が好ましい。そのような実施例では、音叉および音響共振器の内部でのレーザのビーム幅が十分に制御され、または他の方法を用いて、音叉の直接励起が回避される。青色放射線の波長が赤外放射線よりも短いため、および可視波長領域での高品質光学部材の利用が可能となるため、赤外波長領域に比べて青色波長領域では、これらの微小バンド幅をより容易に得ることができる。効率の低下が生じる恐れはあるものの、共振周波数の他の倍数または約数で、レーザ変調を用いても良い。
【0018】
二酸化窒素による吸収の間、混合ガス中に熱が放出され、圧力波が生じ、これが音響共振器によって増幅され、音叉で収集される。光音響検出分野の普遍的な技術を用いて、音叉の振幅および位相感度検出応答が配線112によって通信され、二酸化窒素の濃度に対応する結果が得られる。
【0019】
二酸化窒素は、可視光スペクトル域にブロードな吸収バンドを有する。可視スペクトル領域で作動する光学部品および半導体レーザの生産量は増加しており、可視光センサ10を提供するコストは、例えば米国特許第6,160,255号(前述のSausa)に示されているような、紫外線または赤外線のセンサのコストよりも実質的に低いことが予想される。また石英音叉センサ素子は、低コストで製作することができる。この技術は、音叉周波数照合結晶を製作する技術と同様であるためである。半導体レーザおよび石英音叉は、ミリメートルの寸法を有し、低電力消費量であり、全ての部品と一体化して、携帯用途に適した、極めて小型で低電力の装置にすることができる。
【0020】
図2Aには、混合ガス中の1または2以上の窒素含有化合物を検出する検出器ユニット200を示す。検出器は、変換器210を有し、この変換器は、導入混合ガス201内の1または2以上の窒素含有化合物を、二酸化窒素(NO2)分子に変換するように構成されている。変換されたガス流219は、入口ポート121を介して光音響センサ10に供給され、出口ポート122を介して放出される。光音響センサ10は、変換された空気219中に存在する二酸化窒素分子を検出するように構成される。
【0021】
変換器210には、従来から良く知られた、窒素含有化合物を二酸化窒素に変換するいかなる多様な技術を用いても良い。窒素含有化合物の一例は、一酸化窒素(NO)、アンモニア(NH3)、アミンである。一酸化窒素は、酸化ステップによって二酸化窒素に変換されるのに対して、アンモニアは、例えば、オスワルド(Oswald)処理プロセスで変換される。オスワルド処理プロセスでは、NH3は、Pt触媒反応とその後の酸素との反応によって、NO2に変換される。
【0022】
図2B乃至2Eには、検出器200を構成する多くの例が示されている。ただし、本発明がこれらの例に限定されないことは、当業者には明らかである。
【0023】
図2Bには、NO検出ユニットの一例を示す。導入混合ガス201は、3方向バルブ220を介して、NO−NO2変換ユニット210の方に供給される。低コストで小型の設計を可能とするため、表面酸化装置を用いることが好ましい。表面酸化装置の一例は、フルーバーガー(B. Fruhberger)ら、「化学抵抗小型センサをベースとした半導体酸化物を用いた、人の呼吸息中の一酸化窒素の検出および定量化」、センサおよびアクチュエータB:化学、76巻(1-3)、p226-34、2001年に示されており、この文献では、アルミナ担持過マンガン酸塩(KMnO4)フィルタによって、一酸化窒素から二酸化窒素への表面化学酸化が提供される。導入ガス流中に含まれるNO2と、変換ユニット内で生じたNO2の合計は、光音響センサ10で測定される。導入ガス流中に存在するNO2を補正するため、変換器を使用せずに、3方向バルブ220を用いて、導入混合ガス201をバイパス230を介してセンサ10の方に誘導することにより、照合測定が実施される。
【0024】
図2Cには、ガス流201内の総NOx濃度、すなわち、NOおよびNO2の総和を測定するための構成を示す。オゾン系の変換器250は、ガス流201内に存在する一酸化窒素を、NO2に変換し、これがガス流中に既に存在するNO2とともに検出される。変換器は、オゾン発生器251と、混合チャンバ252とで構成され、オゾンは、この混合チャンバ内で、混合ガス中に含まれる一酸化窒素と反応する。オゾンは、多くの公知の技術を用いて、周囲空気から発生させることができる。
【0025】
あるいは、図2Dに示すように、白金(Pt)触媒変換器を用いて、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させても良い。この代替例では、触媒は、300℃まで加熱する必要があるが、図2Bに示す過マンガン酸塩のフィルタを規則的に取り替える必要がなくなる。例えば車の排気ガスからの導入ガス流201は、触媒変換器260を介して、光音響センサ10の方に供給される。導入混合ガス中のNOとNO2の間の識別が必要な場合、触媒温度を変換温度よりも下げた状態で、NO2濃度を得るための参照測定が実施される。別のより高速の方法は、図に示すように、3方向バルブ220およびバイパス230を適用することである。
【0026】
図2Eには、洗浄器215および変換器210を組み込んだ構成のブロック図の一例を示す。この構成は、密閉環境225での窒素含有ガス化合物の発生のモニタリングに適用され得る。洗浄器は、導入混合ガス202から、1または複数の窒素含有化合物を除去する。洗浄器は、少なくとも二酸化窒素、変換器に通された際に導入混合ガスから二酸化窒素を形成する化合物、および部屋225内で生じる化合物を除去する必要がある。洗浄器と変換器とを組み合わせることにより、比較的簡単な洗浄器と変換器の構成で、特定の窒素含有化合物の検出に適した良好な特定装置が得られるという利点が得られる。
【0027】
図3Aには、洗浄器312、変換ユニット310、および小型光音響センサ10をベースとした、一酸化窒素の検出に適した呼吸息テスタのブロック図を示す。マウスピース301を通しての吸息の間、入口302、洗浄器312、および1方向バルブ330を介して、周囲空気が供給される。洗浄器は、吸息空気からNOおよびNO2を除去する。呼気の間、空気は、マウスピース301を通り、1方向バルブ350およびフローレストリクタ360を介して、変換器ユニット310まで誘導される。フローレストリクタ340によって、流れの一部が光音響センサ10に入り、別の部分は、バイパス390に入り、呼気空気は、出口ポート309を介して、呼吸息テスタから排出される。
【0028】
洗浄器312は、吸気空気からNOおよびNO2を除去することが好ましく、変換器310は、表面化学変換に基づいて、一酸化窒素を二酸化窒素に変換する。洗浄器312および変換器310は、交換式ユニット315の一部となっている。吸気空気は、一酸化窒素を含まないため、呼気ガス流中に存在する全ての一酸化窒素は、呼気空気を提供する体内で生じたものである。従って、センサ10で測定された二酸化窒素の量は、体内で生じた一酸化窒素の量と直接対応する。
【0029】
また呼気および吸気のモニタのため、圧力センサ311が提供される。呼気の間、流れは360によって、一定の流速に制限されることが好ましく、通常の場合、呼気空気中の一酸化窒素測定用の許容測定条件に適合するように制限される。信号検出用、圧力モニタリング用、レーザパワー制御用などの電子機器は、ブロック317で示されている。呼吸息テストの結果は、ユーザインターフェース316を介して、内科医または患者に提供されても良い。
【0030】
図3Bおよび3Cには、呼気呼吸息テスタの代替実施例を示す。図3Aに使用されるものと同様のブロックには、同じ参照符号が付されている。
【0031】
図3Bの呼気呼吸息テスタには、交換式のNO−NO2変換器ユニット315が組み込まれているが、これには洗浄ユニットは含まれていない。図3Bの実施例では、吸気空気は、入口ポート302、1方向バルブ303、および変換器310を流通する。この段階の間、変換器内で生じた二酸化窒素と、周囲空気に予め存在する二酸化窒素との合計は、光音響センサ10によって検出される。図3Aのように、検出器を通る流れは、フローレストリクタ340によって制限され、吸気空気の余分な分は、バイパス390の方を通る。空気は、別の1方向バルブ330を通った後、マウスピース301を通り、口に入る;1方向バルブ370によって、出口ポート309からの空気の吸い込みが回避される。
【0032】
図3Bの呼気空気は、図3Aと同様の経路を通って流れる。体内で生じた一酸化窒素は、センサユニット10で測定された、吸気および呼気の混合ガス中でのNO2濃度の差異から求めることができる。
【0033】
図3Cには、呼気呼吸息中の1または複数の他のガスを含む一酸化窒素を測定するための、呼気呼吸息テスタのブロック図を示す。特に、O2、CO2およびH2Oは、高濃度で存在しており、各種タイプのセンサで比較的簡単に測定することができる。O2、CO2および/またはH2Oの呼気プロファイルの測定によって、ならびにこのプロファイルと一酸化窒素の呼気プロファイルとの関連づけによって、特定の気道疾患をより診断し易くするための情報が提供される。また、気道または肺の特定の部分から生じた呼気空気中の、NO濃度のサンプリングが可能となる。O2、CO2またはH2Oの測定用の測定ユニットは、図3Cでは、符号321で示されている。酸素および水は、可視領域に吸収特性を有する。このため、センサ10と321の破線の組み合わせ320で示すように、二酸化窒素と例えば酸素のセンサを、一つの光音響モジュールに組み合わせることは、魅力的である。
【0034】
図4には、組み合わせ320で使用される、二酸化窒素と酸素を組み合わせた光音響モジュールのブロック図の一例を示す。酸素は、波長約760nmで吸収特性を示し、半導体レーザを利用することが可能である。光音響センサモジュール320において、ダイクロイックミラー440は、赤色レーザユニット430からのレーザビームと、青色レーザユニット420からのレーザビームの両方を、図1のセンサ10のような光音響センサ450内に誘導する。音叉、音響共振器および窓のような光音響センサ10内にある部品は、可視波長領域内で特定の波長特性を示さず、従って、2つの波長での作動が可能である。作動の際、2つのレーザに、呼気時間の間、短期間に交互に電力が供給され、酸素と二酸化窒素の両方の呼気プロファイルが得られる。
【0035】
特許請求の範囲の請求項を解釈する際に、
a)「有する」という用語は、所与の請求項に記載されたもの以外の他の素子または動作が存在することを排斥するものではないこと、
b)素子の前の「一つの」という用語は、そのような素子が複数あることを排斥するものではないこと、
c)請求項内のいかなる参照符号も、本発明の範囲を限定するものではないこと、
d)いくつかの「手段」は、同じ構造もしくは機能を発揮する物品またはハードウェアまたはソフトウェアによって表されても良いこと、
e)示された素子の各々は、ハードウェア部分(例えば、個別のおよび一体化された電子回路を含む)、ソフトウェア部分(例えば、コンピュータプログラム)、およびこれらのいかなる組み合わせで構成されても良いこと、
f)ハードウェア部分は、アナログおよびデジタルの部分の一方または両方で構成されても良いこと、
g)特に記載がない限り、示されたいかなる装置またはその一部も、相互に組み合わされ、あるいはさらなる部分に分離されても良いこと、
h)特に示唆がない限り、動作には、特定の順番が必要ではないこと、
i)「複数の」素子という用語は、記載された2または3以上の素子を含み、素子の数のいかなる特定の範囲を意味するものでもないこと、すなわち、複数の素子は、2つの素子であっても良いこと、
を理解する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による一例としての光音響二酸化窒素検出器の概略図である。
【図2A】混合ガス中の窒素含有化合物の検出に適した、本発明による検出ユニットのブロック図の一例である。
【図2B】表面化学変換ユニットを組み込んだ、本発明による一酸化窒素検出ユニットのブロック図の一例である。
【図2C】オゾン系変換ユニットを組み込んだ、本発明によるNOx検出ユニットのブロック図の一例である。
【図2D】触媒変換ユニットを組み込んだ、本発明によるNOx検出ユニットのブロック図の一例である。
【図2E】洗浄ユニットと変換ユニットとを組み込んだ、本発明による窒素化合物検出ユニットのブロック図の一例である。
【図3A】本発明による洗浄および変換ユニットを組み込んだ、一酸化窒素呼吸息テスタに使用される、光音響センサのブロック図の一例である。
【図3B】変換ユニットを組み込んだ一酸化窒素呼吸息テスタに使用される光音響センサであって、本発明による差分測定手順に適用される光音響センサのブロック図の一例である。
【図3C】本発明による呼気息中の一酸化窒素と1または2以上の他のガスとを測定することが可能な、呼吸息テスタに使用される光音響センサのブロック図の一例である。
【図4】いくつかのガスの測定に適した、本発明による光音響センサユニットを示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合ガス中の1または2以上の窒素含有化合物を検出するための検出器であって、
前記混合ガス中の少なくとも一つの窒素含有化合物を、二酸化窒素に変換するように構成された変換器と、
該変換器に作動可能に結合され、前記変換器によって提供された前記二酸化窒素を検出するように構成された光音響センサと、
を有し、
前記光音響センサは、
共振周波数で構造的な共振を示す音響ピックアップユニット、および
可視波長領域における二酸化窒素の吸収に対応する波長の光を放射するように構成された光源であって、前記光は、前記共振周波数に対応する変調周波数を有する光源、
を有する、検出器。
【請求項2】
前記光源は、半導体レーザおよび発光ダイオードのうちの少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1に記載の検出器。
【請求項3】
前記音響ピックアップユニットは、
圧電式検知ユニットを有し、
該圧電式検知ユニットは、
共振音叉、および
1または2以上の円柱状音響共振器
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の検出器。
【請求項4】
前記音叉は、円柱状キャビティを有するように構成され、該キャビティは、前記1または2以上の円柱状音響共振器の半径と実質的に等しい半径を有することを特徴とする請求項3に記載の検出器。
【請求項5】
さらに、
前記混合ガスの発生に利用されるインプットから、1または2以上の窒素含有化合物を除去するように構成された洗浄器を有することを特徴とする請求項1に記載の検出器。
【請求項6】
さらに、
前記混合ガスに関連する圧力量を検出するように構成された圧力センサを有することを特徴とする請求項1に記載の検出器。
【請求項7】
前記センサは、前記混合ガス中の少なくとも一つの他のガスを検出するように構成され、
前記光源は、さらに、可視波長領域における前記少なくとも一つの他のガスの吸収に対応する波長の光を放射するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の検出器。
【請求項8】
前記変調周波数は、前記共振周波数、前記共振周波数の倍数、および前記共振周波数の約数のいずれかと、実質的に等しいことを特徴とする請求項1に記載の検出器。
【請求項9】
混合ガス中の1または2以上の窒素含有化合物を検出する方法であって、
前記混合ガス中の少なくとも一つの窒素含有化合物を、二酸化窒素に変換するステップと、
前記二酸化窒素を検出するステップと、
を有し、
前記二酸化窒素を検出するステップは、
共振キャビティ内で、可視波長領域における二酸化窒素の吸収に対応する波長の光に、前記混合ガスを暴露するステップ、
前記共振キャビティの共振周波数に対応する変調周波数に、前記光を変調するステップ、および
前記吸収により、前記共振キャビティ内で生じた振動を検出するステップ
を有する、方法。
【請求項10】
さらに、
前記混合ガスの発生に利用されるインプットを洗浄して、前記インプット中の窒素含有化合物を除去するステップを有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも一つの窒素含有化合物を変換するステップは、
酸化、
触媒変換、および
オゾン発生
のうちの少なくとも一つを有することを特徴とする請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−539416(P2008−539416A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508389(P2008−508389)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051288
【国際公開番号】WO2006/114766
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】