窓構造
【課題】車体の側面にガラス窓や樹脂ガラスといった透明な窓パネル材をサッシレス形式で取り付けるにあたり、作業員の作業負担を従来よりも大幅に軽減し得る窓構造を提供する。
【解決手段】バス等の車体の側面にサッシレス形式で取り付けられるガラス窓1(窓パネル材)の車幅方向内側の表面に、車両前後方向にバー状に延在するアルミ製の骨部材2を接着して固定し、前記ガラス窓1を前記骨部材2を介して車体側の骨格3の窓柱4に取り付ける。
【解決手段】バス等の車体の側面にサッシレス形式で取り付けられるガラス窓1(窓パネル材)の車幅方向内側の表面に、車両前後方向にバー状に延在するアルミ製の骨部材2を接着して固定し、前記ガラス窓1を前記骨部材2を介して車体側の骨格3の窓柱4に取り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バス等の車両の側面に適用される窓構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バスの側窓には、窓枠内にガラス窓を組み付けたアッセンブリを車体の骨格に取り付ける形式(下記の特許文献1、2を参照)が採用されていたが、近年におけるバスの設計では、フラッシュサーフェイス(ボディ表面と部品との段差を低減して凹凸の少ない滑らかなフォルムとすること)を実現するべく、窓枠を廃止したサッシレス形式が採用されるようになってきている。
【0003】
即ち、サッシレス形式のバスの側窓では、窓枠を付けていないガラス窓を車体側の骨格に対し直接的に接着して貼り付けるようにしており、このようなサッシレス形式の採用によりガラス窓とボディ表面との段差が少なくなり、外観の見栄え向上や風切り音の低減が図られている。
【0004】
尚、従来の窓構造に関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1,2等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−177384号公報
【特許文献2】実開平6−72711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バスのガラス窓は、十分な採光や展望を得るために乗用車等と比較して非常に大きなものとなっており、このように大きなガラス窓を接着にて車体側の骨格に貼り付けるにあたっては、建て付けバラツキを抑え得るよう貼り付け位置の管理を厳しく行う必要があるが、掴み代のないパネル状のガラス窓を直接手で掴んで接着作業を精度良く行うのは容易なことではなく、また、窓枠のないガラス窓の面剛性が低いことから取り扱いを慎重に行わなければならないという事情もあり、作業員にとって非常に気配りが必要な負担の大きい作業となっていた。
【0007】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、車体の側面にガラス窓や樹脂ガラスといった透明な窓パネル材をサッシレス形式で取り付けるにあたり、作業員の作業負担を従来よりも大幅に軽減し得る窓構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車体の側面に透明な窓パネル材をサッシレス形式で取り付けるための窓構造であって、窓パネル材の表面に骨部材を固着し、該骨部材を介して前記窓パネル材を車体側に取り付けたことを特徴とするものである。
【0009】
而して、このようにすれば、骨部材を掴み代として掴むことで窓パネル材を容易に取り扱うことが可能となって作業性が大幅に向上し、しかも、骨部材を表面に固着したことで窓パネル材の面剛性が高められて取り扱い易くなる。
【0010】
また、本発明においては、窓パネル材の骨部材を車体側に取り付けるにあたり、該車体側に前記骨部材を載置して支持し得る載置面を設け、該載置面に対し前記骨部材を締結して取り付けることが好ましい。
【0011】
このようにすれば、窓パネル材の骨部材を車体側の載置面に載置して支持させることにより窓パネル材の上下の位置決めを簡便に行うことが可能となり、しかも、窓パネル材を手で持ち続けなくても済むことで作業性の更なる向上が図られる。
【0012】
更に、本発明においては、窓パネル材に対し車両前後方向に延びるバー状の骨部材を固着し、該骨部材の上側の窓パネル材に部分的に窓部を構成すると共に、該窓部を開閉するスライド窓の下部を摺動自在に支えるレール部を前記骨部材に設けるようにしても良く、このようにすれば、スライド窓の下部を摺動自在に支えるためのレール部を新たな別部材として設けなくて済み、組み付け工数が少なくなって作業負担の軽減化が図られる。
【発明の効果】
【0013】
上記した本発明の窓構造によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0014】
(I)本発明の請求項1に記載の発明によれば、骨部材を掴み代として掴むことで窓パネル材を容易に取り扱い得るようにして作業性を大幅に向上することができ、しかも、骨部材を表面に固着したことで窓パネル材の面剛性を高めて取り扱い易くすることができるので、車体の側面にガラス窓や樹脂ガラスといった透明な窓パネル材をサッシレス形式で取り付けるにあたり、作業員の作業負担を従来よりも大幅に軽減することができる。
【0015】
(II)本発明の請求項2に記載の発明によれば、窓パネル材の骨部材を車体側の載置面に載置して支持させることにより窓パネル材の上下の位置決めを簡便に行うことができると共に、窓パネル材を手で持ち続けなくても済むことで作業性の更なる向上を図ることができる。
【0016】
(III)本発明の請求項3に記載の発明によれば、スライド窓の下部を摺動自在に支えるためのレール部を新たな別部材として設けなくて済むので、組み付け工数を減らして作業負担の更なる軽減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す正面図である。
【図2】図1のII−II矢視の断面図である。
【図3】図1のガラス窓の斜視図である。
【図4】図1のガラス窓を骨部材を介して車体側に取り付けた状態を示す図である。
【図5】図3のブラケットの詳細を拡大して示す斜視図である。
【図6】図4のブラケットの載置面への骨部材の締結に関する説明図である。
【図7】本発明の別の形態例を示す正面図である。
【図8】図7のVIII−VIII矢視の断面図である。
【図9】窓部下側のレール部からガラスランを取り出した状態を示す断面図である。
【図10】窓部下側のレール部からスペーサを取り出した状態を示す断面図である。
【図11】スライド窓を換気窓枠から取り外した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1〜図6は本発明を実施する形態の一例を示すもので、本形態例においては、図1及び図2に示す如く、バス等の車体の側面にサッシレス形式で取り付けられるガラス窓1の車幅方向内側の表面に、車両前後方向にバー状に延在するアルミ製の骨部材2を接着して固定し、図3及び図4に示す如く、前記ガラス窓1を前記骨部材2を介して車体側の骨格3の窓柱4に取り付けるようにしている。
【0020】
即ち、図5に拡大して示す如く、格子状に構成された車体側の骨格3の窓柱4における適宜な高さ位置に、前記骨部材2の両端部を載置して支持し得る載置面5と、該載置面5の車幅方向内側端で上方に立ち上がって車両前後方向に延びる起立面6とを備えたL字断面のブラケット7を溶接しておき、図6に示す如く、このブラケット7の載置面5に対し前記骨部材2の両端部を載置した上で下方から工具8を利用してボルト9で締結するようにしてある。
【0021】
而して、このようにすれば、骨部材2を掴み代として掴むことでガラス窓1を容易に取り扱うことが可能となって作業性が大幅に向上し、しかも、骨部材2を表面に固着したことでガラス窓1の面剛性が高められて取り扱い易くなる。
【0022】
また、ガラス窓1の骨部材2を車体側に取り付けるにあたり、該車体側に前記骨部材2を載置して支持し得るブラケット7の載置面5を設け、該載置面5に対し前記骨部材2を締結して取り付けるようにしているので、ガラス窓1の骨部材2を車体側の載置面5に載置して支持させることによりガラス窓1の上下の位置決めを簡便に行うことが可能となり、しかも、ガラス窓1を手で持ち続けなくても済むことで作業性の更なる向上が図られる。
【0023】
尚、特に本形態例の場合は、載置面5だけでなく該載置面5の車幅方向内側端で上方に立ち上がって車両前後方向に延びる起立面6を備えたL字断面のブラケット7を用いているので、該ブラケット7の起立面6にガラス窓1の骨部材2を突き当てることで車幅方向の位置決めも簡便に行うことが可能となる。
【0024】
従って、上記形態例によれば、骨部材2を掴み代として掴むことでガラス窓1を容易に取り扱い得るようにして作業性を大幅に向上することができ、しかも、骨部材2を表面に固着したことでガラス窓1の面剛性を高めて取り扱い易くすることができるので、車体の側面にガラス窓1をサッシレス形式で取り付けるにあたり、作業員の作業負担を従来よりも大幅に軽減することができる。
【0025】
また、車体側の骨格3の窓柱4に溶接したブラケット7の載置面5にガラス窓1の骨部材2の両端部を載置して支持させることによりガラス窓1の上下の位置決めを簡便に行うことができると共に、ブラケット7の起立面6にガラス窓1の骨部材2を突き当てることで車幅方向の位置決めも簡便に行うことができ、しかも、ガラス窓1を手で持ち続けなくても済むことで作業性の更なる向上を図ることができる。
【0026】
図7〜図11は本発明の別の形態例を示すもので、本形態例においては、先に図1〜図6で説明した形態例の場合と同様に、バス等の車体の側面にサッシレス形式で取り付けられるガラス窓1の車幅方向内側の表面に、車両前後方向にバー状に延在するアルミ製の骨部材2を接着して固定した窓構造に関し、骨部材2の上側のガラス窓1に部分的に窓部10を構成すると共に、該窓部10を開閉するスライド窓11の下部を摺動自在に支えるレール部12を前記骨部材2に設けたところを特徴としている。
【0027】
即ち、図7に示す如く、ガラス窓1における骨部材2の上側部分に、骨部材2を下辺とする横長の矩形状にアルミ製の換気窓枠13が構成されており、該換気窓枠13内の片側半分(図7中における左側半分)が窓部10として部分的に開口され、換気窓枠13内でスライド窓11を横行させて前記窓部10を開閉できるようにしてある。
【0028】
そして、図8に示す如く、換気窓枠13内でスライド窓11を横行させるにあたり、前記骨部材2上部のガラス窓1に沿う位置に、スライド窓11の下部を摺動自在に支えるレール部12が溝形に設けられていると共に、前記換気窓枠13の上辺を成す横枠14下部にスライド窓11の上部を摺動自在に支えるレール部15が上向きに凹む溝形に設けられている。
【0029】
ここで、前記骨部材2上部のレール部12は、前記横枠14下部のレール部15よりも深く形成され、該レール部12内にガラスラン16(スライド窓のガイドになっているゴム枠)がスペーサ17により嵩上げされた状態で着脱自在にレール部12に嵌め込まれており、このスペーサ17はスライド窓11の横幅に略相当する長さ寸法で二つに分割されている。
【0030】
尚、前記ガラスラン16は、換気窓枠13の全周に沿う無端ループ状を成しており、前記骨部材2上部のレール部12に嵌め込まれた後に、前記換気窓枠13の両側の縦枠に沿い立ち上がって横枠下部のレール部12にも嵌め込まれるようになっている。
【0031】
而して、本形態例によれば、骨部材2を利用してスライド窓11のレール部12を設けたことにより、該レール部12を新たな別部材として設けなくて済むので、組み付け工数を減らして作業負担の更なる軽減化を図ることができる。
【0032】
また、斯かる構成とした場合に、図7に図示されているスライド窓11を図7中の右側に寄せて窓部10を開放し、図9に示す如く、窓部10下側のレール部12からガラスラン16を引き上げて取り出し、次いで、図10に示す如く、ガラスラン16を引き上げた状態で下のスペーサ17をレール部12から取り外し、然る後に、図11に示す如く、スペーサ17による嵩上げのない状態でガラスラン16をレール部12に再び嵌め込んでスライド窓11を窓部10を閉じる位置に戻すと、ガラスラン16の高さがスペーサ17の高さ分だけ下がっているので、スライド窓11がレール部12に落ち込んで該スライド窓11の上部が横枠下部のレール部12から外れ、スライド窓11を車室側に倒して換気窓枠13から取り外すことが可能となり、スライド窓11を単独で交換することが可能となる。尚、新しいスライド窓11を取り付ける際には前述の図9〜図11の手順を逆に行えば良い。
【0033】
つまり、このように骨部材2側に埋設されているレール部12をスペーサ17により嵩上げした状態で着脱自在にレール部12に嵌め込んでおけば、万一、スライド窓11が破損したような場合でも、該スライド窓11だけを単独で交換することが可能となり、ガラス窓1全体を交換しなくても済むことで作業負担が少なくなる。
【0034】
尚、本発明の窓構造は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、図示例では窓パネル材としてガラス窓を採用した場合を例示しているが、窓パネル材として樹脂ガラスを採用したものであっても良いこと、また、図7〜図11の形態例ではスライド窓を一枚で構成した場合を例示しているが、二枚のスライド窓が行き違うようにした引き違い窓形式で構成したものであっても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0035】
1 ガラス窓(窓パネル材)
2 骨部材
3 骨格
4 窓柱
5 載置面
10 窓部
11 スライド窓
12 レール部
【技術分野】
【0001】
本発明は、バス等の車両の側面に適用される窓構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バスの側窓には、窓枠内にガラス窓を組み付けたアッセンブリを車体の骨格に取り付ける形式(下記の特許文献1、2を参照)が採用されていたが、近年におけるバスの設計では、フラッシュサーフェイス(ボディ表面と部品との段差を低減して凹凸の少ない滑らかなフォルムとすること)を実現するべく、窓枠を廃止したサッシレス形式が採用されるようになってきている。
【0003】
即ち、サッシレス形式のバスの側窓では、窓枠を付けていないガラス窓を車体側の骨格に対し直接的に接着して貼り付けるようにしており、このようなサッシレス形式の採用によりガラス窓とボディ表面との段差が少なくなり、外観の見栄え向上や風切り音の低減が図られている。
【0004】
尚、従来の窓構造に関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1,2等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−177384号公報
【特許文献2】実開平6−72711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バスのガラス窓は、十分な採光や展望を得るために乗用車等と比較して非常に大きなものとなっており、このように大きなガラス窓を接着にて車体側の骨格に貼り付けるにあたっては、建て付けバラツキを抑え得るよう貼り付け位置の管理を厳しく行う必要があるが、掴み代のないパネル状のガラス窓を直接手で掴んで接着作業を精度良く行うのは容易なことではなく、また、窓枠のないガラス窓の面剛性が低いことから取り扱いを慎重に行わなければならないという事情もあり、作業員にとって非常に気配りが必要な負担の大きい作業となっていた。
【0007】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、車体の側面にガラス窓や樹脂ガラスといった透明な窓パネル材をサッシレス形式で取り付けるにあたり、作業員の作業負担を従来よりも大幅に軽減し得る窓構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車体の側面に透明な窓パネル材をサッシレス形式で取り付けるための窓構造であって、窓パネル材の表面に骨部材を固着し、該骨部材を介して前記窓パネル材を車体側に取り付けたことを特徴とするものである。
【0009】
而して、このようにすれば、骨部材を掴み代として掴むことで窓パネル材を容易に取り扱うことが可能となって作業性が大幅に向上し、しかも、骨部材を表面に固着したことで窓パネル材の面剛性が高められて取り扱い易くなる。
【0010】
また、本発明においては、窓パネル材の骨部材を車体側に取り付けるにあたり、該車体側に前記骨部材を載置して支持し得る載置面を設け、該載置面に対し前記骨部材を締結して取り付けることが好ましい。
【0011】
このようにすれば、窓パネル材の骨部材を車体側の載置面に載置して支持させることにより窓パネル材の上下の位置決めを簡便に行うことが可能となり、しかも、窓パネル材を手で持ち続けなくても済むことで作業性の更なる向上が図られる。
【0012】
更に、本発明においては、窓パネル材に対し車両前後方向に延びるバー状の骨部材を固着し、該骨部材の上側の窓パネル材に部分的に窓部を構成すると共に、該窓部を開閉するスライド窓の下部を摺動自在に支えるレール部を前記骨部材に設けるようにしても良く、このようにすれば、スライド窓の下部を摺動自在に支えるためのレール部を新たな別部材として設けなくて済み、組み付け工数が少なくなって作業負担の軽減化が図られる。
【発明の効果】
【0013】
上記した本発明の窓構造によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0014】
(I)本発明の請求項1に記載の発明によれば、骨部材を掴み代として掴むことで窓パネル材を容易に取り扱い得るようにして作業性を大幅に向上することができ、しかも、骨部材を表面に固着したことで窓パネル材の面剛性を高めて取り扱い易くすることができるので、車体の側面にガラス窓や樹脂ガラスといった透明な窓パネル材をサッシレス形式で取り付けるにあたり、作業員の作業負担を従来よりも大幅に軽減することができる。
【0015】
(II)本発明の請求項2に記載の発明によれば、窓パネル材の骨部材を車体側の載置面に載置して支持させることにより窓パネル材の上下の位置決めを簡便に行うことができると共に、窓パネル材を手で持ち続けなくても済むことで作業性の更なる向上を図ることができる。
【0016】
(III)本発明の請求項3に記載の発明によれば、スライド窓の下部を摺動自在に支えるためのレール部を新たな別部材として設けなくて済むので、組み付け工数を減らして作業負担の更なる軽減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す正面図である。
【図2】図1のII−II矢視の断面図である。
【図3】図1のガラス窓の斜視図である。
【図4】図1のガラス窓を骨部材を介して車体側に取り付けた状態を示す図である。
【図5】図3のブラケットの詳細を拡大して示す斜視図である。
【図6】図4のブラケットの載置面への骨部材の締結に関する説明図である。
【図7】本発明の別の形態例を示す正面図である。
【図8】図7のVIII−VIII矢視の断面図である。
【図9】窓部下側のレール部からガラスランを取り出した状態を示す断面図である。
【図10】窓部下側のレール部からスペーサを取り出した状態を示す断面図である。
【図11】スライド窓を換気窓枠から取り外した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1〜図6は本発明を実施する形態の一例を示すもので、本形態例においては、図1及び図2に示す如く、バス等の車体の側面にサッシレス形式で取り付けられるガラス窓1の車幅方向内側の表面に、車両前後方向にバー状に延在するアルミ製の骨部材2を接着して固定し、図3及び図4に示す如く、前記ガラス窓1を前記骨部材2を介して車体側の骨格3の窓柱4に取り付けるようにしている。
【0020】
即ち、図5に拡大して示す如く、格子状に構成された車体側の骨格3の窓柱4における適宜な高さ位置に、前記骨部材2の両端部を載置して支持し得る載置面5と、該載置面5の車幅方向内側端で上方に立ち上がって車両前後方向に延びる起立面6とを備えたL字断面のブラケット7を溶接しておき、図6に示す如く、このブラケット7の載置面5に対し前記骨部材2の両端部を載置した上で下方から工具8を利用してボルト9で締結するようにしてある。
【0021】
而して、このようにすれば、骨部材2を掴み代として掴むことでガラス窓1を容易に取り扱うことが可能となって作業性が大幅に向上し、しかも、骨部材2を表面に固着したことでガラス窓1の面剛性が高められて取り扱い易くなる。
【0022】
また、ガラス窓1の骨部材2を車体側に取り付けるにあたり、該車体側に前記骨部材2を載置して支持し得るブラケット7の載置面5を設け、該載置面5に対し前記骨部材2を締結して取り付けるようにしているので、ガラス窓1の骨部材2を車体側の載置面5に載置して支持させることによりガラス窓1の上下の位置決めを簡便に行うことが可能となり、しかも、ガラス窓1を手で持ち続けなくても済むことで作業性の更なる向上が図られる。
【0023】
尚、特に本形態例の場合は、載置面5だけでなく該載置面5の車幅方向内側端で上方に立ち上がって車両前後方向に延びる起立面6を備えたL字断面のブラケット7を用いているので、該ブラケット7の起立面6にガラス窓1の骨部材2を突き当てることで車幅方向の位置決めも簡便に行うことが可能となる。
【0024】
従って、上記形態例によれば、骨部材2を掴み代として掴むことでガラス窓1を容易に取り扱い得るようにして作業性を大幅に向上することができ、しかも、骨部材2を表面に固着したことでガラス窓1の面剛性を高めて取り扱い易くすることができるので、車体の側面にガラス窓1をサッシレス形式で取り付けるにあたり、作業員の作業負担を従来よりも大幅に軽減することができる。
【0025】
また、車体側の骨格3の窓柱4に溶接したブラケット7の載置面5にガラス窓1の骨部材2の両端部を載置して支持させることによりガラス窓1の上下の位置決めを簡便に行うことができると共に、ブラケット7の起立面6にガラス窓1の骨部材2を突き当てることで車幅方向の位置決めも簡便に行うことができ、しかも、ガラス窓1を手で持ち続けなくても済むことで作業性の更なる向上を図ることができる。
【0026】
図7〜図11は本発明の別の形態例を示すもので、本形態例においては、先に図1〜図6で説明した形態例の場合と同様に、バス等の車体の側面にサッシレス形式で取り付けられるガラス窓1の車幅方向内側の表面に、車両前後方向にバー状に延在するアルミ製の骨部材2を接着して固定した窓構造に関し、骨部材2の上側のガラス窓1に部分的に窓部10を構成すると共に、該窓部10を開閉するスライド窓11の下部を摺動自在に支えるレール部12を前記骨部材2に設けたところを特徴としている。
【0027】
即ち、図7に示す如く、ガラス窓1における骨部材2の上側部分に、骨部材2を下辺とする横長の矩形状にアルミ製の換気窓枠13が構成されており、該換気窓枠13内の片側半分(図7中における左側半分)が窓部10として部分的に開口され、換気窓枠13内でスライド窓11を横行させて前記窓部10を開閉できるようにしてある。
【0028】
そして、図8に示す如く、換気窓枠13内でスライド窓11を横行させるにあたり、前記骨部材2上部のガラス窓1に沿う位置に、スライド窓11の下部を摺動自在に支えるレール部12が溝形に設けられていると共に、前記換気窓枠13の上辺を成す横枠14下部にスライド窓11の上部を摺動自在に支えるレール部15が上向きに凹む溝形に設けられている。
【0029】
ここで、前記骨部材2上部のレール部12は、前記横枠14下部のレール部15よりも深く形成され、該レール部12内にガラスラン16(スライド窓のガイドになっているゴム枠)がスペーサ17により嵩上げされた状態で着脱自在にレール部12に嵌め込まれており、このスペーサ17はスライド窓11の横幅に略相当する長さ寸法で二つに分割されている。
【0030】
尚、前記ガラスラン16は、換気窓枠13の全周に沿う無端ループ状を成しており、前記骨部材2上部のレール部12に嵌め込まれた後に、前記換気窓枠13の両側の縦枠に沿い立ち上がって横枠下部のレール部12にも嵌め込まれるようになっている。
【0031】
而して、本形態例によれば、骨部材2を利用してスライド窓11のレール部12を設けたことにより、該レール部12を新たな別部材として設けなくて済むので、組み付け工数を減らして作業負担の更なる軽減化を図ることができる。
【0032】
また、斯かる構成とした場合に、図7に図示されているスライド窓11を図7中の右側に寄せて窓部10を開放し、図9に示す如く、窓部10下側のレール部12からガラスラン16を引き上げて取り出し、次いで、図10に示す如く、ガラスラン16を引き上げた状態で下のスペーサ17をレール部12から取り外し、然る後に、図11に示す如く、スペーサ17による嵩上げのない状態でガラスラン16をレール部12に再び嵌め込んでスライド窓11を窓部10を閉じる位置に戻すと、ガラスラン16の高さがスペーサ17の高さ分だけ下がっているので、スライド窓11がレール部12に落ち込んで該スライド窓11の上部が横枠下部のレール部12から外れ、スライド窓11を車室側に倒して換気窓枠13から取り外すことが可能となり、スライド窓11を単独で交換することが可能となる。尚、新しいスライド窓11を取り付ける際には前述の図9〜図11の手順を逆に行えば良い。
【0033】
つまり、このように骨部材2側に埋設されているレール部12をスペーサ17により嵩上げした状態で着脱自在にレール部12に嵌め込んでおけば、万一、スライド窓11が破損したような場合でも、該スライド窓11だけを単独で交換することが可能となり、ガラス窓1全体を交換しなくても済むことで作業負担が少なくなる。
【0034】
尚、本発明の窓構造は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、図示例では窓パネル材としてガラス窓を採用した場合を例示しているが、窓パネル材として樹脂ガラスを採用したものであっても良いこと、また、図7〜図11の形態例ではスライド窓を一枚で構成した場合を例示しているが、二枚のスライド窓が行き違うようにした引き違い窓形式で構成したものであっても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0035】
1 ガラス窓(窓パネル材)
2 骨部材
3 骨格
4 窓柱
5 載置面
10 窓部
11 スライド窓
12 レール部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の側面に透明な窓パネル材をサッシレス形式で取り付けるための窓構造であって、窓パネル材の表面に骨部材を固着し、該骨部材を介して前記窓パネル材を車体側に取り付けたことを特徴とする窓構造。
【請求項2】
窓パネル材の骨部材を車体側に取り付けるにあたり、該車体側に前記骨部材を載置して支持し得る載置面を設け、該載置面に対し前記骨部材を締結して取り付けることを特徴とする請求項1に記載の窓構造。
【請求項3】
窓パネル材に対し車両前後方向に延びるバー状の骨部材を固着し、該骨部材の上側の窓パネル材に部分的に窓部を構成すると共に、該窓部を開閉するスライド窓の下部を摺動自在に支えるレール部を前記骨部材に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の窓構造。
【請求項1】
車体の側面に透明な窓パネル材をサッシレス形式で取り付けるための窓構造であって、窓パネル材の表面に骨部材を固着し、該骨部材を介して前記窓パネル材を車体側に取り付けたことを特徴とする窓構造。
【請求項2】
窓パネル材の骨部材を車体側に取り付けるにあたり、該車体側に前記骨部材を載置して支持し得る載置面を設け、該載置面に対し前記骨部材を締結して取り付けることを特徴とする請求項1に記載の窓構造。
【請求項3】
窓パネル材に対し車両前後方向に延びるバー状の骨部材を固着し、該骨部材の上側の窓パネル材に部分的に窓部を構成すると共に、該窓部を開閉するスライド窓の下部を摺動自在に支えるレール部を前記骨部材に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の窓構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−166595(P2012−166595A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26979(P2011−26979)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】
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