説明

立位乗車移動体における姿勢調整装置、搭乗者姿勢調整方法、及び、搭乗者姿勢調整用プログラム

【課題】搭乗者の体型に合わせて、複数の部位の調整が必要な椅子を持つ移動体において、複数の部位を調整することの煩雑さを解消した姿勢調整装置を提供する。
【解決手段】背もたれ2a及び座部2bに内蔵されている姿勢センサと、背もたれ2aの高さ及び座部2bの前後位置及び支柱5の高さを変更できる調整機構30,31,32と、姿勢センサの出力を用いて搭乗者の着座状況を判断する着座状況判断部と、着座状況判断部の判断結果を用いて、支柱5、座部2b、背もたれ2aの順に調整する部位を決定する調整部位決定部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立位乗車移動体の座面、背もたれ、又は、支柱を調整して搭乗者の姿勢を調整する、立位乗車移動体の姿勢調整装置、搭乗者姿勢調整方法、及び、搭乗者姿勢調整用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、快適に長時間着座しても疲れず快適に搭乗できる移動支援機器として、座面と足置きとに体重をバランスよく負担分散させながら立位搭乗ができる立位乗車移動体を提案して既に出願している。立位乗車移動体の搭乗時の快適性を保持するためには、搭乗者の体型が異なっても、座面の適切な高さと角度とを維持できたり、背もたれ面と座面との適切な角度を維持できるための、調整機能が必要である。さらに、これらの複数の部位の位置を簡単に調整できる調整手段が必要となる。
【0003】
従来、車のシートなどでは、複数個所の調整を、簡単にわかり易く行う手段が提案されている。たとえば、特許文献1に記載の車両シートの操作スイッチを図17に示す。車両には、シートを前後にスライドさせるスライド機構と、シートバックの着座姿勢角度を調整するためのリクライニング機構と、着座者の腰の保持状態を調整するランバーサポート機構となどが装備されており、それぞれの操作スイッチ220(220A、220A,220B,220C,220D)は、座席210の横212に設置されている。操作スイッチ220のうち、220Aがシートスライドスイッチ、220Bがリクライニング操作スイッチ、220Cがシートヒータスイッチ、220Dがランバーサポートスイッチである。このようなスイッチ配置では、操作スイッチ220が座席横に配置されているため、搭乗者が目でスイッチ220を直接確認できず、機構操作が煩雑であった。
【0004】
特許文献1は、この課題を解決するために、スイッチ220に近接センサを組み込み、手がスイッチ220に近づくと、4つのスイッチ220Aから220Dのどのスイッチを動作しようとしているかを検知するしくみと、さらに、搭乗者が着座しながらでも確認できるセンターコンソール232の前側に、前記4つのスイッチ220Aから220Dに対応した4つの表示部230、具体的には、シートスライド表示部230Aと、リクライニング表示部230Bと、シートヒータ表示部230Cと、ランバーサポート表示部230Dとを設けている。この表示部230により、検知したスイッチの結果を搭乗者に知らせることで、搭乗者が迷いなく、然るべき機構を操作することが可能なシート操作スイッチを提供するものである。
【0005】
また、図18は、特許文献2における運転姿勢調整装置のブロック図を示す。これも、車両のシートの調整手段に関する特許であるが、これは、一人の搭乗者が繰り返し搭乗することを前提に、フロア位置調整機構230や、ペダル位置調整機構240を、位置制御手段271やMAP補正手段272にて調整を行った後に、調整結果を記憶手段280にて記憶しておき次に調整する際には、記憶手段280にて記憶された調整結果の形状までシートを移動させた後に手動で微調整を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−269528号
【特許文献2】特開2005−324623号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のシート調整のための操作スイッチは、スイッチ自身調整手段が複数個あり、どのスイッチから調整すれば良いか迷ったり、スイッチと部位の対応に迷ったりする基本的な煩雑さが解決できていないことと、快適に調整するには、一つの機構を調整するのに他の機構の状況を考慮しながら調整する必要があり、場合によっては、複数の機構を繰り返し調整しなければいけない煩雑さが伴う。
【0008】
また、特許文献2に記載の調整手段は、1人又は限られた少数搭乗者が、繰り返し搭乗する場合には有効だが、初回の調整には前記特許文献2に記載の煩雑さが伴うのと、多数の搭乗者が少数回ずつ使用する場合には、煩雑さと精度は向上しない。
【0009】
本発明の目的は、前記従来の課題を解決するもので、搭乗者の体型に合わせて、複数の部位の調整が必要な椅子を持つ移動体において、複数の部位を調整することの煩雑さを解消することができる立位乗車移動体の姿勢調整装置、搭乗者姿勢調整方法、及び、搭乗者姿勢調整用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0011】
本発明の第1態様によれば、背もたれ面の全面又は一部に背もたれ用姿勢センサが内蔵されている背もたれの高さを調整できる背もたれ高さ調整機構と、
座面の全面又は一部に座部用姿勢センサが内蔵されている座部の前後の位置を調整できる座部位置調整機構と、
前記背もたれ及び前記座部を支える支柱の高さを調整できる支柱高さ調整機構と、
前記背もたれ用姿勢センサと前記座部用姿勢センサの出力を用いて搭乗者の着座状況を判断する着座状況判断部と、
前記着座状況判断部の判断結果を用いて、(I)前記支柱の高さ調整、(II)前記座部の位置調整、(III)前記背もたれの高さ調整の順序で調整する部位を決定する調整部位情報を出力する調整部位決定部と、
前記調整部位決定部により決定された前記調整部位情報に基づき、前記背もたれ高さ調整機構と前記座部位置調整機構と前記支柱高さ調整機構とのうちの前記調整する部位に関係する調整機構を駆動可能とする調整機構駆動制御部と、
を備える、立位乗車移動体の姿勢調整装置を提供する。
【0012】
本発明の第6態様によれば、背もたれ面の全面又は一部に背もたれ用姿勢センサが内蔵されている背もたれの高さを調整できる背もたれ高さ調整機構と、
座面の全面又は一部に座部用姿勢センサが内蔵されている座部の前後の位置を調整できる座部位置調整機構と、
前記背もたれ及び前記座部を支える支柱の高さを調整できる支柱高さ調整機構とを備える、立位乗車移動体の姿勢調整装置を使用して搭乗者姿勢調整を行う、立位乗車移動体の搭乗者姿勢調整方法であって、
前記背もたれ用姿勢センサと前記座部用姿勢センサの出力を用いて搭乗者の着座状況を着座状況判断部で判断し、
前記着座状況判断部の判断結果を用いて、まず、前記支柱の高さ調整を行い、次いで、前記座部の位置調整を行い、次いで、前記背もたれの高さ調整を行うといった順に調整する部位を決定する調整部位情報を調整部位決定部で出力し、
前記調整部位決定部により決定された前記調整部位情報に基づき、前記背もたれ高さ調整機構と前記座部位置調整機構と前記支柱高さ調整機構とのうちの前記調整する部位に関係する調整機構を調整機構駆動制御部で駆動可能とする、立位乗車移動体の搭乗者姿勢調整方法を提供する。
【0013】
本発明の第7態様によれば、背もたれ面の全面又は一部に背もたれ用姿勢センサが内蔵されている背もたれの高さを調整できる背もたれ高さ調整機構と、
座面の全面又は一部に座部用姿勢センサが内蔵されている座部の前後の位置を調整できる座部位置調整機構と、
前記背もたれ及び前記座部を支える支柱の高さを調整できる支柱高さ調整機構とを備える、立位乗車移動体の姿勢調整装置を使用して搭乗者姿勢調整を行う、立位乗車移動体の搭乗者姿勢調整用プログラムであって、
コンピュータに、
前記背もたれ用姿勢センサと前記座部用姿勢センサの出力を用いて搭乗者の着座状況を判断する着座状況判断部と、
前記着座状況判断部の判断結果を用いて、まず、前記支柱の高さ調整を行い、次いで、前記座部の位置調整を行い、次いで、前記背もたれの高さ調整を行うといった順に調整する部位を決定する調整部位情報を出力する調整部位決定部と、
前記調整部位決定部により決定された前記調整部位情報に基づき、前記背もたれ高さ調整機構と前記座部位置調整機構と前記支柱高さ調整機構とのうちの前記調整する部位に関係する調整機構を駆動可能とする調整機構駆動制御部と、
を実現させるための、立位乗車移動体の搭乗者姿勢調整用プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、本発明の立位乗車移動体の姿勢調整装置、搭乗者姿勢調整方法、及び、搭乗者姿勢調整用プログラムによれば、搭乗者の着座状況を自動的に判断し、さらに着座状況にて一意的に調整する部位を一つに決定できることにより、搭乗者の体型に合わせるために複数の部位を調整する必要があっても、搭乗者がどの部位をどの順序で調整すれば良いか迷うことなく、単数のスイッチで複数の部位を順次調整することが可能となり、従来の煩雑さを解消可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の立位乗車移動体の外観斜視図
【図2】本発明の実施形態の移動体の外観側面図
【図3】本発明の実施形態の移動体の外観側面図(人の搭乗イメージを表す説明図)
【図4】本発明の実施形態の移動体の走行駆動系のブロック図
【図5A】本発明の実施形態の移動体の姿勢調整装置の姿勢調整前の搭乗イメージを表す説明図
【図5B】本発明の実施形態の移動体の姿勢調整後の搭乗イメージを表す説明図
【図6A】本発明の実施形態における移動体の背もたれ高さ調整機構の支板側の構成図
【図6B】本発明の実施形態における移動体の背もたれ高さ調整機構の構成図
【図6C】本発明の実施形態における移動体の背もたれ高さ調整機構の背もたれと背もたれ用支板との位置関係を示す概略透視正面図
【図6D】本発明の実施形態における移動体の背もたれ高さ調整機構の背もたれ用ラックと歯車との位置関係を示す概略斜視図
【図6E】本発明の実施形態における移動体の背もたれ高さ調整機構の背もたれと背もたれ用支板との組み合わせの位置関係を示す概略透視斜視図
【図6F】本発明の実施形態における移動体の背もたれ高さ調整機構のラックと歯車との位置関係を示す概略側面図
【図6G】本発明の実施形態における移動体の背もたれ高さ調整機構の歯車とモータの他の例での位置関係を示す図
【図7A】本発明の実施形態における移動体の座部位置調整機構の支板側の構成図
【図7B】本発明の実施形態における移動体の座部位置調整機構の構成図
【図7C】本発明の実施形態における移動体の座部位置調整機構の座部と座部支板との位置関係を示す概略透視底面図
【図7D】本発明の実施形態における移動体の座部位置調整機構の座部用ラックと歯車との位置関係を示す概略斜視図
【図7E】本発明の実施形態における移動体の座部位置調整機構の座部と座部支板との組み合わせの位置関係を底面側から見た概略透視斜視図
【図7F】本発明の実施形態における移動体の座部位置調整機構の座部用ラックと歯車との位置関係を示す概略側面図
【図7G】本発明の実施形態における移動体の座部位置調整機構の歯車とモータの他の例での位置関係を示す図
【図8】本発明の実施形態における移動体の支柱位置調整機構の構成を示す概略透視斜視図
【図9】本発明の実施形態における移動体の調整用レバーの構成図
【図10】本発明の実施形態における移動体の姿勢調整装置に関係する部分のブロック図
【図11】本発明の実施形態における移動体の姿勢調整装置のブロック図、
【図12】本発明の実施形態における移動体の姿勢調整処理のフローチャート
【図13A】本発明の実施形態の移動体での姿勢調整処理を説明するための図であって、(a)は姿勢調整前の搭乗イメージを表す説明図、(b)は姿勢調整前の背もたれの圧力分布を表す説明図、(c)は姿勢調整前の座面の圧力分布を表す説明図((b)と(c)との図の見方は、以下の図において、図13Aと同様であり、斜線領域は圧力の大きい場所を示している。)
【図13B】本発明の実施形態の移動体での姿勢調整処理を説明するための図であって、(a)は支柱高さ調整後の搭乗イメージを表す説明図、(b)は支柱高さ調整後の背もたれの圧力分布を表す説明図、(c)は支柱高さ調整後の座面の圧力分布を表す説明図
【図13C】本発明の実施形態の移動体での姿勢調整処理を説明するための図であって、(a)は支柱高さ及び座部位置調整後の搭乗イメージを表す説明図、(b)は支柱高さ及び座部位置調整後の背もたれの圧力分布を表す説明図、(c)は支柱高さ及び座部位置調整後の座面の圧力分布を表す説明図
【図13D】本発明の実施形態の移動体での姿勢調整処理を説明するための図であって、(a)は支柱高さ、座部位置及び背もたれ高さ調整後の搭乗イメージを表す説明図、(b)は支柱高さ、座部位置及び背もたれ高さ調整後の圧力分布を表す説明図、(c)は支柱高さ、座部位置及び背もたれ高さ調整後の座面の圧力分布を表す説明図
【図14A】本発明の実施形態の移動体の姿勢調整前の搭乗イメージを表す説明図
【図14B】本発明の実施形態の移動体において、支柱高さ調整の前に座部位置を調整した比較例の搭乗イメージを表す説明図
【図14C】本発明の実施形態の移動体において、支座部位置を調整した後に支柱高さを調整した比較例の搭乗イメージを表す説明図
【図15A】本発明の実施形態の移動体の座部位置調整の前に背もたれ高さを調整した場会の姿勢調整前の搭乗イメージを表す説明図
【図15B】本発明の実施形態の移動体において、背もたれ高さ調整後に座部位置調整した比較例の搭乗イメージを表す説明図
【図15C】本発明の実施形態の移動体において、座部位置を調整した後に再度背もたれ高さを調整した比較例の搭乗イメージを表す説明図
【図16A】本発明の実施形態の移動体の姿勢調整処理における手動調整による支柱高さ調整のフローチャート
【図16B】本発明の実施形態の移動体の姿勢調整処理における手動調整による座部位置調整のフローチャート
【図16C】本発明の実施形態の移動体の姿勢調整処理における手動調整による背もたれ高さ調整のフローチャート
【図17】特許文献1に記載の車両シートの操作スイッチを示す斜視図
【図18】特許文献2における運転姿勢調整装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
以下、図面を参照して本発明における実施形態を詳細に説明する前に、本発明の種々の態様について説明する。
【0018】
本発明の第1態様によれば、背もたれ面の全面又は一部に背もたれ用姿勢センサが内蔵されている背もたれの高さを調整できる背もたれ高さ調整機構と、
座面の全面又は一部に座部用姿勢センサが内蔵されている座部の前後の位置を調整できる座部位置調整機構と、
前記背もたれ及び前記座部を支える支柱の高さを調整できる支柱高さ調整機構と、
前記背もたれ用姿勢センサと前記座部用姿勢センサの出力を用いて搭乗者の着座状況を判断する着座状況判断部と、
前記着座状況判断部の判断結果を用いて、(I)前記支柱の高さ調整、(II)前記座部の位置調整、(III)前記背もたれの高さ調整の順序で調整する部位を決定する調整部位情報を出力する調整部位決定部と、
前記調整部位決定部により決定された前記調整部位情報に基づき、前記背もたれ高さ調整機構と前記座部位置調整機構と前記支柱高さ調整機構とのうちの前記調整する部位に関係する調整機構を駆動可能とする調整機構駆動制御部と、
を備える、立位乗車移動体の姿勢調整装置を提供する。
【0019】
このような構成により、搭乗者の着座状況を自動的に判断し、さらに着座状況にて一意的に調整する部位を一つに決定できることにより、搭乗者の体型に合わせるために複数の部位を調整する必要があっても、搭乗者がどの部位をどの順序で調整すれば良いか迷うことなく、単数のスイッチで複数の部位を順次調整することが可能となり、従来の煩雑さを解消可能とする。
【0020】
本発明の第2態様によれば、前記着座状況判断部は、前記搭乗者が前記座面に着座した際に前記搭乗者の大腿部が接触する座面前面部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値が一定値未満の場合に、前記座面が低すぎて前記搭乗者が足が閊えた状況で前記搭乗者が前記座面に着座していると判断し、
前記調整部位決定部は、前記座面が低すぎて前記搭乗者が足が閊えた状況で前記搭乗者が前記座面に着座していると前記着座状況判断部で判断した場合に、前記支柱の高さを、より高くするように、高さ調整するように調整部位情報を出力し、
前記調整機構駆動制御部は、前記調整部位決定部からの前記調整部位情報を基に、前記支柱高さ調整機構を駆動可能として前記支柱を高く調整可能とする、第1の態様に記載の立位乗車移動体の姿勢調整装置を提供する。
【0021】
このような構成により、搭乗者が、座面が低すぎて足が閊えた状況で着座しており、まずは支柱の高さを調整する必要があることを自動的に判断することが可能となり、搭乗者がどの部位をどの順序で調整すれば良いか迷うことなく調整することが可能となり、従来の煩雑さを解消可能とする。
【0022】
本発明の第3態様によれば、前記着座状況判断部は、前記搭乗者が前記座面に着座した際に前記搭乗者の坐骨と臀部が接触する座面後方中央部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値が一定値未満の場合に、前記座面が前記搭乗者の坐骨又は臀部に接触せず前記座面から滑り落ち易い状況で着座していると判断し、
前記調整部位決定部は、前記座面が前記搭乗者の坐骨又は臀部に接触せず前記座面から滑り落ち易い状況で着座していると前記着座状況判断部で判断した場合に、前記座部の位置を、より前方に位置するように、位置調整するように調整部位情報を出力し、
前記調整機構駆動制御部は、前記調整部位決定部からの前記調整部位情報を基に、前記座部位置調整機構を駆動可能として前記座部の位置を前方に移動可能とする、第1の態様に記載の姿勢調整装置を提供する。
【0023】
この構成により、搭乗者が、座面から滑り落ち易い状況で着座しており、座面の位置を調整する必要があることを自動的に判断することが可能となり、搭乗者がどの部位をどの順序で調整すれば良いか迷うことなく調整することが可能となり、従来の煩雑さを解消可能とする。
【0024】
本発明の第4態様によれば、前記着座状況判断部は、前記搭乗者が前記座面に着座した際に前記搭乗者の大腿部が接触する座面前面部分に内蔵された前記座部用姿勢センサと、前記搭乗者が前記座面に着座した際に前記搭乗者の坐骨と臀部が接触する座面後方中央部分とに内蔵された前記座部用姿勢センサとからの出力の総和値がそれぞれ一定値未満の場合に、前記座面が低すぎて前記搭乗者が足が閊えた状況で着座していると判断し、前記座面前面部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値が一定値以上で、前記座面後方中央部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値が一定値未満の場合には、前記足は閊えていないが、前記座面から滑り落ちやすい状況で着座していると判断し、前記座面前面部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値と前記座面後方中央部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値とのどちらもが一定値以上の場合には、前記搭乗者は前記座面に快適に着座していると判断し、
前記調整部位決定部は、前記足が閊えていると前記着座状況判断部で判断した場合には、前記調整する部位を前記支柱に決定する調整部位情報を出力し、前記滑り落ち易い状況で着座していると前記着座状況判断部で判断した場合には、前記調整する部位を前記座面に決定する調整部位情報を出力し、前記快適に着座していると前記着座状況判断部で判断した場合には、調整しないことを決定し、
前記調整機構駆動制御部は、前記調整部位決定部からの前記調整部位情報を基に、前記足が閊えていると前記着座状況判断部で判断した場合には、前記支柱高さ調整機構を駆動可能として前記支柱を高く調整可能とし、前記滑り落ち易い状況で着座していると前記着座状況判断部で判断した場合には、前記座部位置調整機構を駆動可能として前記座部の位置を前方に移動可能とする一方、
前記調整機構駆動制御部が、前記調整部位決定部からの前記調整部位情報を基に、前記背もたれ高さ調整機構と前記座部位置調整機構と前記支柱高さ調整機構とのうちの前記調整する部位に関係する調整機構を駆動可能とするとき、前記駆動可能となる調整機構を手動で駆動させて前記調整部位を手動で調整する手動調整操作部と、
前記搭乗者に調整の必要性を通知するとともに、前記調整機構駆動制御部で調整しないと決定された場合には調整の必要がないことを前記搭乗者に知らせる通知装置とをさらに備える第1の態様に記載の姿勢調整装置を提供する。
【0025】
このような構成により、搭乗者の着座状況を自動的に判断し、さらに着座状況にて一意的に調整する部位を一つに決定できることにより、搭乗者の体型に合わせるために複数の部位を調整する必要があっても、搭乗者がどの部位をどの順序で調整すれば良いか迷うことなく、単数のスイッチで複数の部位を順次調整することが可能となり、従来の煩雑さを解消可能とする。
【0026】
本発明の第5態様によれば、前記着座状況判断部は、前記搭乗者が前記座面に着座した際に前記搭乗者の大腿部が接触する座面前面部分に内蔵された前記座部用姿勢センサと、前記搭乗者が前記座面に着座した際に前記搭乗者の坐骨と臀部が接触する座面後方中央部分に内蔵された前記座部用姿勢センサと、前記搭乗者が前記座面に着座した際に前記搭乗者の左右肩甲骨が接触する背もたれ左右上部に内蔵されている前記背もたれ用姿勢センサとからの出力の総和値のそれぞれが一定値未満の場合には、前記座面が低すぎて前記搭乗者が足が閊えた状況で着座していると判断し、前記座面前面部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値が一定値以上で、前記座面後方中央部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値が一定値未満の場合には、前記足は閊えていないが、前記座面から滑り落ちやすい状況で着座していると判断し、前記座面前面部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値と前記座面後方中央部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値とのどちらも一定値以上の場合には、前記搭乗者は前記座面に快適に着座していると判断し、前記背もたれ左右上部に内蔵されている前記背もたれ用姿勢センサからの出力の総和値が一定値未満の場合には前記背もたれが低すぎて後ろにもたれかかると不安定になる状態で着座していると判断し、
前記調整部位決定部は、前記足が閊えていると前記着座状況判断部で判断した場合には、前記調整部位を前記支柱に決定する調整部位情報を出力し、前記足が閊えていないが滑り落ち易い状況で着座していると前記着座状況判断部で判断した場合には背調整部位を前記座面に決定する調整部位情報を出力し、前記足が閊えておらず滑り易い状態でもないが、前記背もたれが低すぎてもたれかかると不安定になる状態だと前記着座状況判断部で判断した場合には、前記調整部位を前記背もたれに決定する調整部位情報を出力し、前記搭乗者は前記座面に快適に着座していると前記着座状況判断部で判断した場合には調整しないことを決定し、
前記調整機構駆動制御部は、前記調整部位決定部からの前記調整部位情報を基に、前記足が閊えていると前記着座状況判断部で判断した場合には、前記支柱高さ調整機構を駆動可能として前記支柱を高く調整可能とし、前記滑り落ち易い状況で着座していると前記着座状況判断部で判断した場合には、前記座部位置調整機構を駆動可能として前記座部の位置を前方に移動可能とする一方、
前記調整機構駆動制御部が、前記調整部位決定部からの前記調整部位情報を基に、前記背もたれ高さ調整機構と前記座部位置調整機構と前記支柱高さ調整機構とのうちの前記調整する部位に関係する調整機構を駆動可能とするとき、前記駆動可能となる調整機構を手動で駆動させて前記調整部位を手動で調整する手動調整操作部と、
前記搭乗者に調整の必要性を通知するとともに、前記調整機構駆動制御部で調整しないと決定された場合には調整の必要がないことを前記搭乗者に知らせる通知装置とをさらに備える第1の態様第記載の姿勢調整装置を提供する。
【0027】
このような構成により、搭乗者の着座状況を自動的に判断し、さらに着座状況にて一意的に調整する部位を一つに決定できることにより、搭乗者の体型に合わせるために複数の部位を調整する必要があっても、搭乗者がどの部位をどの順序で調整すれば良いか迷うことなく、単数のスイッチで複数の部位を順次調整することが可能となり、従来の煩雑さを解消可能とする。
【0028】
本発明の第6態様によれば、背もたれ面の全面又は一部に背もたれ用姿勢センサが内蔵されている背もたれの高さを調整できる背もたれ高さ調整機構と、
座面の全面又は一部に座部用姿勢センサが内蔵されている座部の前後の位置を調整できる座部位置調整機構と、
前記背もたれ及び前記座部を支える支柱の高さを調整できる支柱高さ調整機構とを備える、立位乗車移動体の姿勢調整装置を使用して搭乗者姿勢調整を行う、立位乗車移動体の搭乗者姿勢調整方法であって、
前記背もたれ用姿勢センサと前記座部用姿勢センサの出力を用いて搭乗者の着座状況を着座状況判断部で判断し、
前記着座状況判断部の判断結果を用いて、まず、前記支柱の高さ調整を行い、次いで、前記座部の位置調整を行い、次いで、前記背もたれの高さ調整を行うといった順に調整する部位を決定する調整部位情報を調整部位決定部で出力し、
前記調整部位決定部により決定された前記調整部位情報に基づき、前記背もたれ高さ調整機構と前記座部位置調整機構と前記支柱高さ調整機構とのうちの前記調整する部位に関係する調整機構を調整機構駆動制御部で駆動可能とする、立位乗車移動体の搭乗者姿勢調整方法を提供する。
【0029】
このような構成により、搭乗者の着座状況を自動的に判断し、さらに着座状況にて一意的に調整する部位を一つに決定できることにより、搭乗者の体型に合わせるために複数の部位を調整する必要があっても、搭乗者がどの部位をどの順序で調整すれば良いか迷うことなく、単数のスイッチで複数の部位を順次調整することが可能となり、従来の煩雑さを解消可能とする。
【0030】
本発明の第7態様によれば、背もたれ面の全面又は一部に背もたれ用姿勢センサが内蔵されている背もたれの高さを調整できる背もたれ高さ調整機構と、
座面の全面又は一部に座部用姿勢センサが内蔵されている座部の前後の位置を調整できる座部位置調整機構と、
前記背もたれ及び前記座部を支える支柱の高さを調整できる支柱高さ調整機構とを備える、立位乗車移動体の姿勢調整装置を使用して搭乗者姿勢調整を行う、立位乗車移動体の搭乗者姿勢調整用プログラムであって、
コンピュータに、
前記背もたれ用姿勢センサと前記座部用姿勢センサの出力を用いて搭乗者の着座状況を判断する着座状況判断部と、
前記着座状況判断部の判断結果を用いて、まず、前記支柱の高さ調整を行い、次いで、前記座部の位置調整を行い、次いで、前記背もたれの高さ調整を行うといった順に調整する部位を決定する調整部位情報を出力する調整部位決定部と、
前記調整部位決定部により決定された前記調整部位情報に基づき、前記背もたれ高さ調整機構と前記座部位置調整機構と前記支柱高さ調整機構とのうちの前記調整する部位に関係する調整機構を駆動可能とする調整機構駆動制御部と、
を実現させるための、立位乗車移動体の搭乗者姿勢調整用プログラムを提供する。
【0031】
このような構成により、搭乗者の着座状況を自動的に判断し、さらに着座状況にて一意的に調整する部位を一つに決定できることにより、搭乗者の体型に合わせるために複数の部位を調整する必要があっても、搭乗者がどの部位をどの順序で調整すれば良いか迷うことなく、単数のスイッチで複数の部位を順次調整することが可能となり、従来の煩雑さを解消可能とする。
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0033】
(実施形態)
まず、図1から図16Cを用いて、本発明の一実施形態にかかる、姿勢調整装置を有する立位乗車移動体110の構成を説明する。
【0034】
図1及び図2は、本発明の実施形態の立位乗車移動体110の外観図の一例を示す。図3は、基本的な姿勢で、搭乗者111が本実施形態の移動体110に搭乗した場合の姿勢を示す。
【0035】
なお、以下の説明において、移動体110において、搭乗者111が移動体110に搭乗した際に腰より上の上半身が接触する部分を背もたれ2aと言い、搭乗者111の股関節より下の下半身が接触する部分を座部2bと言う。また、搭乗者111の左右肩甲骨さらに各々の肩甲骨の幅で背中肋骨が位置する背中部分を含む範囲を背もたれ左右上部と言う。
【0036】
図1に示す立位乗車移動体110は、少なくとも立位乗車移動体110に乗車した搭乗者111の腰から背中(少なくとも背中)を支持する背もたれ面PS1を有する背もたれ2a及び立位乗車移動体110に乗車した搭乗者111の臀部と坐骨(少なくとも坐骨付近の臀部)を支持する座面PS3を有する座部2bとを含む椅子として機能する座席3と、立位乗車移動体110に乗車した搭乗者111の足裏を支持する足置き面PS2を有する板状の足置き1とを少なくとも備えている。
【0037】
より詳しくは、立位乗車移動体110は、移動体本体4と、移動体本体4の上方に支柱5で支持される座部2bと、移動体本体4の上方でかつ座部2bから立ち上がって連結された背もたれ2aと、移動体本体4の下部の前部に固定的に支持された足置き1とを有して、移動体本体4は、その下部に、駆動用電源21及びモータ15a、15bなどが格納されている。
【0038】
背もたれ2aと座部2bとを有する座席3は、立位乗車移動体110の上部側に、移動体本体4の下部から支柱5を介して上下方向に位置調整可能に配置されている。移動体本体4の下部には、例えば、その両側面に、合計4個の車輪6a、6b、7a、7bをそれぞれ回転可能に配置して、4個の車輪6a、6b、7a、7bで立位乗車移動体110が前後移動可能及び旋回可能としている。実施形態の立位乗車移動体110では、足置き1の左右に自由に回転可能な前輪7a、7bを設け、移動体本体5の下部の後部の左右に駆動輪6a、6bを設けて、移動機構を構成している。また、移動体110の走行駆動系としては、駆動輪制御部の一例として機能する駆動輪用モータコントローラ14と、駆動用電源21と、左右のモータ6a、6bとを備えている。これにより、駆動部92は、移動体本体4の下部に配置された複数の駆動車輪6a、6bをそれぞれ独立して駆動して、立位乗車移動体110を前進、後退、又は、旋回させるようにしている。
【0039】
このような構成の移動体110は、前記従来の作業用椅子又は車椅子の課題に鑑み、着座部である座席3は、背もたれ2aと座部2bとで構成され、負荷の少ない立位姿勢で着座して搭乗者111の頭部を直立に保つことのできるよう、図3に示すように、背もたれ2aは後方に約10度傾斜している。さらに、背もたれ2aと座部2bは、搭乗者111が背もたれ2aにもたれて座部2bに着座した際に搭乗者111の脊椎から骨盤への重心線と大腿骨とで成す角度が約135度となるように配置されている。これにより、自然で負担の少ない立位姿勢を維持して搭乗者111は移動体110に乗車することができる。
【0040】
座席3の両側に設置されている手すり10の右側手すり10の先端10aには、移動体110の運転操作のためのジョイスティック11が設置されており、ジョイスティック11のレバー11aを前後左右に傾けることで、移動体110の移動方向を走行駆動系に伝えることができる。
【0041】
図4は、本移動体110の走行駆動系のブロック図である。ジョイスティック11の前後左右信号の出力は、移動体本体4に内蔵されている操作コントローラ20に入力されて左右各輪のモータ電圧値が決められる。その後、本体4に内蔵されている駆動用モータコントローラ14にて、前記モータ電圧値を速度値に変換して、駆動用モータ15a、15bが回転する。
【0042】
本移動体110において、様々な体型の搭乗者111が、漏れなく自然で負担の少ない立位姿勢を維持するためには、体型に合わせて、背もたれ2a、座部2b、さらには、座席3を支える支柱5のそれぞれの位置を調整する必要がある。たとえば、図5Aは、小さい体型の搭乗者111に合わせた図1の立位乗車移動体110に大きい体系の搭乗者111が搭乗した際の姿勢の模擬図である。大きい体系の搭乗者111は、そのままでは、中立位すなわち最適な搭乗位置を保持することができない。すなわち、脊椎から骨盤への重心線と大腿骨とで成す角度が狭くなっていることと、大腿部が座部に接触せず、坐骨付近の狭い範囲のみが接触するため、負担が大きい姿勢となってしまう。
【0043】
さらに、背もたれ2aが肩甲骨に触れる長さになっていないので、背もたれ2aが後方10度の傾斜している場合は、背もたれ2aにもたれかかるには不安がある。このような場合は少なくとも、支柱5の高さ、座部2bの前後位置、背もたれ2aの上下位置を、体型に合わせて調整する必要があり(図5B参照)、このような複数個所の調整は、なるべく調整機構と手段が煩雑にならないための工夫が必要である。
【0044】
以下、本実施形態の姿勢センサと背もたれ高さ調整機構30と座部位置調整機構31と支柱高さ調整機構32とを説明する。
【0045】
背もたれ2a及び座部2bには、姿勢センサ(例えば圧力センサ)の一例としての圧力センサシート9a、9b、9c、9dが図1の位置に内蔵されており、圧力センサシート9a、9b、9c、9dの出力から、搭乗者111がどのような姿勢で搭乗しているかを感知検出する。すなわち、背もたれ用姿勢センサの一例としての左右の背もたれ用圧力センサシート9a、9bは、背もたれ2aの、搭乗者111の左右肩甲骨と、さらに各々の肩甲骨の幅で背中肋骨が位置する背中部分とを含む背もたれ左右上部の範囲が接触可能な部分に配置されている。座面後部用姿勢センサの一例としての座面後部用圧力センサシート9cは、座部2bの搭乗者111の坐骨付近の臀部が接触可能な、座部2bの後部(座面後方中央部分)に配置されている。座面前部用姿勢センサの一例としての座面前部用圧力センサシート9dは、座部2bの搭乗者111の両大腿部が接触可能な、座部2bの前部(座面前面部分)に配置されている。圧力センサシート9a、9b、9c、9dは、別途下記に詳細に説明するが、搭乗者111が移動体110に着座したこと及び姿勢調整が調整目標に到達したことを感知する。
【0046】
背もたれ2aは、図2及び図3に示すように支柱5に座部用支板64を介して固定された背もたれ用支板54に対して、背もたれ高さ調整機構30を介して取り付けられて、背もたれ2aが背もたれ用支板54に対して、上下方向に移動することにより上下方向の位置調整を可能としている。
【0047】
背もたれ高さ調整機構30について、真横から見た背もたれ2aの外観図である図3を、正面からの透視図も含めて、さらに詳細に記した構成図を図6Aから図6Fに示す。
【0048】
図6B及び図6Cに示すように、背もたれ2aには、その背面に、歯が直線状にかつ互いに平行に配置してある2本のラック51a、51bと、それぞれのラック51a、51bの外側に2枚ずつ配置された板部材50a,50c,50b,50dとを備えている。
【0049】
図6C及び図6Eに示すように、一方のラック51bの外側の2枚の板部材50b,50dのうちの外側の板部材50bは一枚の平板が、背もたれ2aの表面である背もたれ面PS1に垂直な方向沿いに、背もたれ2aの背面に固定されて構成されている。外側の板部材50bの内側には、背もたれ面PS1に垂直な方向沿いに配置された平板の背もたれ側の端部が、一旦内側(ラック側)に直角に屈曲したのち再び背もたれ側に直角に屈曲した、略Z字状に屈曲した屈曲部分を有する板部材50dが、背もたれ2aの背面に固定されている。この2枚の板部材50b,50dの間には、ラック支え覆い55aが移動可能に挟み込まれるように配置されている。ラック支え覆い55aは、背もたれ面PS1に垂直な方向沿いに配置された平板と、平板の背もたれ側の端部がL字状に直角に屈曲した屈曲部とで構成されている。ラック支え覆い55aの他方の端部は、背もたれ2aの背面に対向して配置された背もたれ用支板54に固定されている。すなわち、図6C及び図6Eのように、外側の板部材50bとラック支え覆い55aと屈曲板部材50dとの3枚の細い板を“かぎ型”に組み合わされた背もたれ高さ調整ガイド機構30aとして構成して、背もたれ2a側に固定された外側の板部材50bと屈曲板部材50dとが、背もたれ用支板54側に固定されたラック支え覆い55aに対して図6C及び図6Eの上下方向に移動するのを案内することにより、背もたれ2aが背もたれ用支板54に対して上下方向に円滑に移動できるようにしている。
【0050】
他方のラック51aの外側の2枚の板部材50a,50cとラック支え覆い55bも、一方のラック51bの外側の2枚の板部材50b,50dとラック支え覆い55aとは位置関係が背もたれ2aの中心軸に対して対称になっているだけで、同様な構造となっている。すなわち、他方のラック51aの外側の2枚の板部材50a,50cのうちの外側の板部材50aは一枚の平板が、背もたれ2aの表面である背もたれ面PS1に垂直な方向沿いに、背もたれ2aの背面に固定されて構成されている。外側の板部材50aの内側には、背もたれ面PS1に垂直な方向沿いに配置された平板の背もたれ側の端部が、一旦内側(ラック側)に直角に屈曲したのち再び背もたれ側に直角に屈曲した、略Z字状に屈曲した屈曲板部材50cが、背もたれ2aの背面に固定されている。この2枚の板部材50a,50cの間には、ラック支え覆い55aが移動可能に挟み込まれるように配置されている。ラック支え覆い55aは、背もたれ面PS1に垂直な方向沿いに配置された平板と、平板の背もたれ側の端部がL字状に直角に屈曲した屈曲部とで構成されている。ラック支え覆い55aの他方の端部は、背もたれ2aの背面に対向して配置された背もたれ用支板54に固定されている。すなわち、図6C及び図6Eと同様に、外側の板部材50aとラック支え覆い55aと屈曲板部材50cとの3枚の細い板を“かぎ型”に組み合わされた背もたれ高さ調整ガイド機構30aとして構成して、背もたれ2a側に固定された外側の板部材50aと屈曲板部材50cとが、背もたれ用支板54側に固定されたラック支え覆い55aに対して図6C及び図6Eの上下方向に移動するのを案内することにより、背もたれ2aが背もたれ用支板54に対して上下方向に円滑に移動できるようにしている。
【0051】
さらに、図6A、図6C、図6D、及び、図6Fに示すように、ラック51a、51bとそれぞれ噛み合い可能な歯車53a、53bが回転軸52aの両端に固定されている背もたれ調整用モータ52は、その外装が連結棒56を介して、背もたれ用支板54の背もたれ側に支持されている。
【0052】
前記したように、背もたれ用支板54の背もたれ側には、ラック支え覆い55a、55bが固定されており、背もたれ2aと背もたれ用支板54の背もたれ側とは、先のラック横の板50a,50b、50c、50dと、ラック支え覆い55a、55bとが、図6C及び図6Eのように組み合わせられた位置関係に設置することで、先の背もたれ調整用モータ52に連結された2つの歯車53a、53bが、背もたれ2aの支板側の面に固定されたラック51a、51bと噛み合う位置に固定される。すなわち、背もたれ2aと背もたれ用支板54との間隔が離れる方向に対しては、板部材50c,50dの屈曲部分とラック支え覆い55a,55bの屈曲部とが分離不可に係合している一方、上下方向に対しては、板部材50c,50dと板部材50a,50bとの間でラック支え覆い55a,55bが摺動することにより、移動可能となっている。図6Fは、真横から、背もたれ2に設置されたラック51aと、背もたれ用支板54に設置された歯車53aとが組み合わされている図であり、背もたれ調整用モータ52の駆動により、背もたれ調整用モータ52の回転軸52aの両端の歯車53a、53bが一体的に正逆回転し、背もたれ用支板54に対して背もたれ2aが上下に移動する。
【0053】
背もたれ高さ調整機構30の背もたれ調整用モータ52の回転軸52aの両端に歯車53a、53bを固定する代わりに、図6Gの他の例でもよい。この例では、背もたれ調整用モータ57の回転軸に固定された歯車57aと、両端に歯車53a、53bが固定された駆動軸58の中央に固定された歯車58aとをかみ合わせることにより、背もたれ調整用モータ57の正逆回転により、歯車57aと歯車58aと駆動軸58とを介して、歯車53a、53bを正逆回転させるようにしている。
【0054】
座部2bは、支柱5に固定された座部用支板64に対して、座部位置調整機構31を介して取り付けられて、座部2bが座部用支板64に対して、上下方向と大略直交する前後方向に移動することにより前後方向の位置調整を可能としている。
【0055】
座部位置調整機構31について、図7Aから図7Fは座部2bの構成図であり、前記背もたれ2aと同様、真横からみた座部2bの外観図を詳細に記載している。
【0056】
図7B及び図7Cに示すように、背もたれ2aの構造と同様に、座部2bには、その背面に、歯が直線状にかつ互いに平行に配置してある2本のラック61a、61bと、それぞれのラック61a、61bの外側脇に2枚ずつ配置された板部材60a,60c,60b,60dとを備えている。
【0057】
図7C及び図7Eに示すように、一方のラック61bの外側の2枚の板部材60b,60dのうちの外側の板部材60bは一枚の平板が、座部2bの表面(上面)である座面PS3に垂直な方向沿いに、座部2bの下面に固定されて構成されている。外側の板部材60bの内側には、座面PS3に垂直な方向沿いに配置された平板の座部側の端部が、一旦、内側(ラック側)に直角に屈曲したのち再び座部側に直角に屈曲した、略Z字状に屈曲した屈曲部分を有する板部材60dが、座部2bの下面に固定されている。この2枚の板部材60b,60dの間には、ラック支え覆い65aが移動可能に挟み込まれるように配置されている。ラック支え覆い65aは、座面PS3に垂直な方向沿いに配置された平板と、平板の座部側の端部がL字状に直角に屈曲した屈曲部とで構成されている。ラック支え覆い65aの他方の端部は、座部2bの下面に対向して配置されかつ支柱5に固定された座部用支板64に固定されている。すなわち、図7C及び図7Eのように、外側の板部材60bとラック支え覆い65aと屈曲板部材60dとの3枚の細い板を“かぎ型”に組み合わされた座部位置調整ガイド機構31aとして構成して、座部2b側に固定された外側の板部材60bと屈曲板部材60dとが、座部用支板64側に固定されたラック支え覆い65aに対して前後方向(図7Cの上下方向及び図7Eの斜め上下方向)に移動するのを案内することにより、座部2bが座部用支板64に対して前後方向に円滑に移動できるようにしている。
【0058】
他方のラック61aの外側の2枚の板部材60a,60cとラック支え覆い65bも、一方のラック61bの外側の2枚の板部材60b,60dとラック支え覆い65aとは位置関係が座部2bの中心軸に対して対称になっているだけで、同様な構造となっている。すなわち、他方のラック61aの外側の2枚の板部材60a,60cのうちの外側の板部材60aは一枚の平板が、座部2bの表面(上面)である座面PS3に垂直な方向沿いに、座部2bの下面に固定されて構成されている。外側の板部材60aの内側には、座面PS3に垂直な方向沿いに配置された平板の座部側の端部が、一旦、内側(ラック側)に直角に屈曲したのち再び座部側に直角に屈曲した、略Z字状に屈曲した屈曲板部材60cが、座部2bの下面に固定されている。この2枚の板部材60a,60cの間には、ラック支え覆い65aが移動可能に挟み込まれるように配置されている。ラック支え覆い65aは、座面PS3に垂直な方向沿いに配置された平板と、平板の座部側の端部がL字状に直角に屈曲した屈曲部とで構成されている。ラック支え覆い65aの他方の端部は、座部2bの背面に対向して配置されかつ支柱5に固定されたた座部用支板64に固定されている。すなわち、図7C及び図7Eと同様に、外側の板部材60aとラック支え覆い65aと屈曲板部材60cとの3枚の細い板を“かぎ型”に組み合わされた座部位置調整ガイド機構31aとして構成して、座部2b側に固定された外側の板部材60aと屈曲板部材60cとが、座部用支板64側に固定されたラック支え覆い65aに対して前後方向(図7Cの上下方向及び図7Eの斜め上下方向)に移動するのを案内することにより、座部2bが座部用支板64に対して前後方向に円滑に移動できるようにしている。
【0059】
さらに、図7A、図7C、図7D、及び、図7Fに示すように、ラック61a、61bとそれぞれ噛み合い可能な歯車63a、63bが回転軸62aの両端に固定されている座部調整用モータ62は、その外装が連結棒66を介して、座部用支板64の座部側に支持されている。
【0060】
前記したように、座部用支板64の座部側には、ラック支え覆い65a、65bが固定されており、座部2bと座部用支板64の座部側とは、先のラック横の板60a,60b、60c、60dと、ラック支え覆い65a、65bとが、図7C及び図7Eのように組み合わせられた位置関係に設置することで、先の座部調整用モータ62に連結された2つの歯車63a、63bが、座部2bの支板側の面に固定されたラック61a、61bと噛み合う位置に固定される。すなわち、座部2bと座部用支板64との間隔が離れる方向に対しては、板部材60c,60dの屈曲部分とラック支え覆い65a,65bの屈曲部とが分離不可に係合している一方、前後方向に対しては、板部材60c,60dと板部材60a,60bとの間でラック支え覆い65a,65bが摺動することにより、移動可能となっている。図7Fは、真横から、座部2に設置されたラック61aと、座部用支板64に設置された歯車63aとが組み合わされている図であり、座部調整用モータ62の駆動により、座部調整用モータ62の回転軸62aの両端の歯車63a、63bが一体的に正逆回転し、座部用支板64に対して座部2bが前後に移動する。
【0061】
座部位置調整機構31の座部調整用モータ62の回転軸62aの両端に歯車63a、63bを固定する代わりに、図7Gの他の例でもよい。この例では、座部調整用モータ67の回転軸に固定された歯車67aと、両端に歯車63a、63bが固定された駆動軸68の中央に固定された歯車68aとをかみ合わせることにより、座部調整用モータ67の正逆回転により、歯車67aと歯車68aと駆動軸68とを介して、歯車63a、63bを正逆回転させるようにしている。
【0062】
図8は、支柱5の支柱高さ調整機構32の構成図である。移動体本体4には、支柱調整用モータ70が設置されており、支柱調整用モータ70によりボールネジ71が正逆回転する。ボールネジ71にねじ込まれているナット72は、支柱5に固定されており、ボールネジ71とナット72とは一体的に回転せず、支柱調整用モータ70が正逆回転することで、ボールネジ71が正逆回転し、ナット72が支柱5と共にボールネジ71に沿って上下し、座席3の高さが変更できる。このようにして、支柱高さ調整機構32により、支柱5の高さを上下に調整することができる。
【0063】
さらに、図1に示すように、座席3の左側の側部には、背もたれ2aと、座部2bと、支柱5との各調整部位を手動調整する手段として調整用レバー12が設置されている。図9に調整用レバー12の構成を示す。調整用レバー12は、上下の2方向に動き、この動きをレバー信号変換部81にて電気信号に変換し、変換した電気信号を、通信ケーブル82を経て、調整用モータコントローラ93に入力する。詳しくは後述するが、搭乗者111が背もたれ2a又は座部2b又は支柱5の高さ又は位置を調整するとき、この調整用レバー12を上又は下に動かすことにより、対応する調整機構30,31,32のモータ52,62,70を正逆駆動して、手動で、背もたれ2a又は座部2b又は支柱5の高さ又は位置を上下又は前後に調整するために使用するものである。
【0064】
たとえば、レバー信号変換部81では、上方向に調整用レバー12を傾けた場合は、正値の電気信号を調整用モータコントローラ93に入力し、下方向に調整用レバー12を傾けた場合は、負値の電気信号を調整用モータコントローラ93に入力する。調整用モータコントローラ93では、別途、パーソナルコンピュータ(PC)91にて定められた調整部位(背もたれ2aと、座部2bと、支柱5とのいずれかの部位)に応じて、背もたれ調整用モータ52と、座部調整用モータ62と、支柱調整用モータ70とのどれか1つを選択し、調整部位が支柱5か背もたれ2aならば上下に動作するように背もたれ調整用モータ52又は支柱調整用モータ70を制御し、座部2bならば前後に動作するように座部調整用モータ62を制御する。
【0065】
さらに、調整用レバー12の先端には押しボタン80が配置されており、搭乗者111が自らの姿勢調整を開始する及び姿勢調整を終了すると決めた際に、押しボタン80をそれぞれ押すことで、パーソナルコンピュータ91に調整開始及び調整終了の意志を電気信号で伝えることができる。
【0066】
さらに、左側の手すり10には、現在の調整目標部位及び調整の開始及び終了を搭乗者111に通知するためのスピーカー13が設置されている。
【0067】
なお、移動体本体4は、前記した駆動系モータ15a,15b支柱調整用モータ70に加えて、位置又は高さ調整用モータ52、62,70のための調整用モータ電源94と、それらをコントロールできるコントローラと有している。具体的には、駆動輪用モータコントローラ14と、駆動用電源21と、左右駆動輪用モータ15a、15bと、センサ用コントローラ90と、パーソナルコンピュータ91と、センサ電源92と、調整用モータコントローラ93と、調整用モータ電源94とが内蔵されている。駆動用電源21からは、必要な電力が、駆動輪用モータコントローラ14と左右駆動輪用モータ15a、15bとなどに供給される。センサ電源92からは、必要な電力が、圧力センサシート9a、9b、9c、9dとセンサ用コントローラ90となどに供給される。調整用モータ電源94からは、必要な電力が、パーソナルコンピュータ91などと調整用モータコントローラ93とモータ52、62、70となどに供給される。
【0068】
次に、搭乗者111の姿勢調整装置112の詳細を説明する。
【0069】
図10は、姿勢調整に関わる移動体110の姿勢調整装置112の構成であり、図11は姿勢調整装置112のパーソナルコンピュータ91内の機能ブロック図、図12は姿勢調整処理のフローチャートである。
【0070】
図10において、センサ用コントローラ90は、各圧力センサシート9a、9b、9c、9dを構成する圧力素子の出力値が入力され、各圧力センサシート9a、9b、9c、9dを構成する圧力素子の出力値の総和値を算出し、各センサシート9a、9b、9c、9dの圧力値を出力する。
【0071】
また、PC91は、押しボタン80からの調整開始及び調整終了信号及び前記センサ用コントローラ90の出力総和値を入力とし、着座状況判断部100と、調整部位情報を決定する調整部位決定部101と制御部115との処理を行い、処理結果に基づき、制御部115で音声DB(データベース)98を利用してスピーカー13から必要な情報(音声メッセージ)を出力するとともに、制御部115で、調整機構駆動制御部の一例として機能する調整用モータコントローラ93を動作させる。制御部115は、移動体110の前後左右の移動を制御する駆動輪用モータコントローラ14と、着座状況判断部100と、調整部位決定部101と、スピーカー13と、調整用モータコントローラ93などのそれぞれの動作を制御するとともに、移動体全体の動作をも制御する。よって、例えば、姿勢調整中に、誤って移動体110が前後左右に移動しないように、駆動輪用モータコントローラ14を制御部115で動作制御することができる。
【0072】
着座状況判断部100は、背もたれ2aと座部2bの姿勢センサ9a,9b,9c,9dの圧力値の出力を用いて搭乗者111の着座状況を判断する。
【0073】
調整部位決定部101は、着座状況判断部100の判断結果を用いて、まず、支柱5の高さ調整可能とし、支柱5の調整が終了すると座部2bの位置調整可能とし、支柱5と座部2bの調整が終了すると背もたれ2aの位置調整可能とするように、支柱5、座部2b、背もたれ2aの順に調整可能な部位を決定して、その決定情報である調整部位情報を出力する。
【0074】
調整用モータコントローラ93は、調整部位決定部101により決定された調整部位情報に基づき、背もたれ高さ調整機構30と座部位置調整機構31と支柱高さ調整機構32とのうちの調整する部位に関係する調整機構に関係するモータ52、62、又は、70を、後述する調整レバー12で駆動可能として調整を可能とするように制御する。
【0075】
また、図13A〜図13Dは、姿勢調整処理を説明するための図である。図13A〜図13Dにおいて、それぞれ、(a)は姿勢調整のために各部位を調整している際の搭乗イメージを表す説明図、(b)は各部位調整中の背もたれの圧力分布イメージを表す説明図、(c)は各部位調整中の座面の圧力分布イメージを表す説明図である。さらに図16A〜図16Cは各部位の手動調整のフローチャートである。
【0076】
移動体110の姿勢調整装置112は、背もたれ高さ調整機構30と、座部位置調整機構31と、支柱高さ調整機構32と、着座状況判断部100と、調整部位決定部101と、調整機構駆動制御部の一例として機能する調整用モータコントローラ93とで大略構成している。
【0077】
まず、搭乗者111は、移動体110の姿勢調整が必要かどうかを判断する。必要だと判断する場合は、たとえば、搭乗者111が初めて移動体110に乗る場合、搭乗者111本人が移動体110搭乗した後に別の搭乗者が同じ移動体110に乗った場合、又は、同じ搭乗者111が同じ移動体110に繰り返し搭乗する場合でも、搭乗者111本人が再度自分の体型に合わせて調整が必要だと判断した場合などである。
【0078】
搭乗者111は姿勢調整が必要だと判断した場合は、ジョイスティック11の電源すなわち駆動用電源21を立ち上げた後、まず、調整用レバー12の先端の押しボタン80を押して、調整開始の信号をパーソナルコンピュータ91に入力して、ステップS50の処理を開始する。なお、ジョイスティック11の電源すなわち駆動用電源21は常時立ち上がっていてもよい。
【0079】
(ステップS50)
移動体110は、調整用レバー12の押しボタン80が押された場合には、図12のステップS50にて、背もたれ2aと、座部2bと、支柱5とを然るべき初期位置に戻す。すなわち、具体的には、背もたれ調整用モータ52を駆動して背もたれ高さ調整機構30を動作して背もたれ2aを初期位置(例えば、最も下端位置)に位置させる。また、
座部調整用モータ62を駆動して座部位置調整機構31を動作して座部2bを初期位置(例えば、最も後端位置)に位置させる。また、支柱調整用モータ70を駆動して支柱高さ調整機構32を動作して支柱5を初期位置(例えば、最も下端位置)に位置させる。この際に、搭乗者111の安全性を確保するために、前記各部位が移動することをスピーカー13から音声で知らせても良い。この際に、パーソナルコンピュータ91の内部で保管されている音声DB98の中から、たとえば、「今から調整が開始しますので、搭乗しないでください」という音声メッセージでも良い。また、この際の初期位置は、どんな体型の搭乗者111であっても着座できる位置に戻すことが好ましく、たとえば、支柱5と背もたれ2aは一番低い位置、座部は最も後方の位置とする。
【0080】
移動体110は初期位置まで各部位を移動した後、初期設定が終了したことを搭乗者111にスピーカー13から音声で知らせてもよい。たとえば、音声DB98の中から、「初期設定が終わりました。搭乗下さい。」という音声メッセージでも良い。
【0081】
(ステップS51)
前記初期設定後、ステップS51に進み、移動体110は、一定時間ごと、たとえば10秒おきに、背もたれ2aと座部2bとの各圧力センサシート9a,9b,9c,9dの出力総和値がセンサ用コントローラ90にてそれぞれ算出され、算出結果がパーソナルコンピュータ91入力される。算出結果がパーソナルコンピュータ91入力されると同時に、ステップS51においては、パーソナルコンピュータ91で、前記センサ用コントローラ90にて算出された座面総和圧力値が算出され、これが一定閾値未満であれば、まだ、搭乗者111が搭乗していないとみなし、再度、前記処理を一定時間ごとに繰り返す。前記算出された座面総和圧力値が一定閾値以上であれば、搭乗者111が移動体110に搭乗しているとみなし、ステップS52に進み、着座状況判断部100にて、移動体110の背もたれ2a、座部2b、支柱5が、搭乗者111の体型や姿勢に適しているかどうかの判断を開始する。
【0082】
前記判断を開始する前に、パーソナルコンピュータ91に含まれた音声DB98より、調整の必要性判断を開始する旨を、スピーカー13から搭乗者111に通知してもよい。経験的には、座部2bの前方センサーシート9dが例えば20×10個の圧電素子、後方センサーシート9cが例えば10×10個の圧電素子から構成されているとして、各々の圧電素子9d,9cが1〜5段階で圧力値を表すと仮定すると、座部2bの2つのセンサ出力値合計が、各々のセンサシートの1/4の面が圧力値2を示したとする150を、搭乗の有無を判断する座面圧力閾値とするのが妥当である。
【0083】
前記判断を開始する前に、パーソナルコンピュータ91に含まれた音声DB98より、調整の必要性判断を開始する旨の音声メッセージの例としては、たとえば、「これから姿勢の適性を確認します。リラックスして着座し、しばらくお待ち下さい」という音声メッセージをスピーカー13から出力してもよい。
【0084】
(ステップS52)
次に、ステップS52においては、調整部位決定部101にて、まず、搭乗者111の搭乗姿勢に対し、姿勢調整が必要かどうかを判断する。判断は、以降に示す各々の部位の適応の必要条件を全て満たしていれば姿勢調整の必要がなく、姿勢調整の処理フローを終了する一方、以降に示す各々の部位の適応の必要条件を一つでも満たさない場合は姿勢調整が必要だとみなして、各ステップにそれぞれ進む。具体的には、座面前部用圧力センサシート9dからの座面前方部の全ての圧力出力値(出力総和値)(すなわち、座面前方の圧力総和値)、座面後部用圧力センサシート9cからの座面後方中部の全ての圧力出力値(出力総和値)、左右の背もたれ用圧力センサシート9a、9bからの背もたれ左右上部の全ての圧力出力値(出力総和値)のそれぞれが、対応するそれぞれの一定値(閾値)以上であると調整部位決定部101で判断すれば、姿勢調整を開始しない(ステップS53)。前記の部位の一つでも全ての圧力出力値が一定値(閾値)未満であると調整部位決定部101で判断すれば、その部位については姿勢調整を開始するため、ステップS100に進む。すなわち、姿勢調整が必要な場合は、最初に支柱5から調整するため、ステップS100に進む。全ての部位で姿勢調整が不要な場合には(ステップS53)、姿勢調整処理は終了する。
【0085】
経験的には、先に示したように、例えば、座面前部用圧力センサシート9dは20×10個の圧電素子、座面後部用圧力センサーシート9cは10×10の圧電素子、さらに左右の背もたれ用圧力センサシート9a、9bはそれぞれ片側7×10個の圧電素子から構成されているとする。そして、各々の圧電素子が1〜5段階で圧力値を表すと仮定すると、各々のセンサシートの半分の面が圧力値2を示したとする値、具体的には、座面前部用圧力センサーシート9dは200、座面後部用圧力センサーシート9cは100、左右の背もたれ用圧力センサーシート9a、9bは各々70を、適切な調整ができたとみなされる各部位の着座閾値とするのが妥当である。
【0086】
(ステップS100)
まずは、ステップS100において、着座状況判断部100で、着座状況の分析を開始する。まず、センサ用コントローラ90にて出力された座面前方(座面2bの進行方向側の前半分)の圧力総和値と、予め定められた座面前方着座閾値とを比較する。座面前方の圧力総和値が着座閾値以上であると着座状況判断部100で判断した場合には、ステップS101に進む。座面前方の圧力総和値が着座閾値未満であったと着座状況判断部100で判断した場合には、ステップS110に進む。
【0087】
(ステップS110)
ステップS110にて、座面2bが低すぎて搭乗者111の足が閊えて着座している(たとえば、図13Aの(a)及び(c)のイメージの場合)と着座状況判断部100で判断し、制御部115により、スピーカー13から、支柱調整を搭乗者111に促す意図の音声DB98の音声メッセージを出力する。音声DB98の音声メッセージの一例としては「支柱の高さ調整を始めます。」でもよい。そして、ステップS111に進む。
【0088】
(ステップS111) 前記音声通知と同時に、ステップS111にて、着座状況判断部100での判断結果に基づき調整部位決定部101からの調整部位情報により、調整部位フラグを支柱5に設定して、調整用モータコントローラ93にその調整部位情報を入力する。調整用モータコントローラ93では、調整用レバー12からのレバー位置の信号が支柱高さの上下方向に反映されるように、調整用レバー12からの信号が支柱調整用モータ70に入力されるよう設定され、ステップS112に進む。
【0089】
(ステップS112)
ステップS112において、支柱5の調整が開始する。具体的には、図16AのステップS140〜ステップS144の処理を行う。
【0090】
(ステップS140、S141)
まずは、搭乗者111が手動での調整を開始する前に、ステップS140、S141では、着座状況判断部100で、座面前方の圧力総和値が一定値(たとえば後に示す座面前方部の着座閾値の半分の値)以上になるかどうかを判断し、もし一定値以下の場合は、が支柱5の高さを上げていく方向に、PC91の制御部115から自動制御する。この制御は、調整用モータコントローラ93経由で支柱調整用モータ70を動作させることで実現する。この際には、搭乗者111の安全のために、制御部115で、「お客様に調整頂く前に、適切な高さに自動調整します。そのままお待ち下さい。」という音声DB98の音声メッセージをスピーカー13から出力し、搭乗者111が動かないように通知するのが好ましい。座面前方の圧力総和値が前記一定値(着座閾値よりも小さい値の調整準備用閾値)以上になった段階で、ステップS142に進む。
【0091】
(ステップS142)
ステップS142では、自動調整を終了し、自動調整ではなく、調整用レバー12を手動で上又は下に動かした際の信号が調整用モータコントローラ93に反映されるよう、制御部115から切替信号を調整用モータコントローラ93に入力して、調整用モータコントローラ93での制御を切り替える。その後、ステップS143に進む。
【0092】
(ステップS143)
ステップS143で、搭乗者111による手動調整を開始する。その際には、制御部115で、たとえば「微調整をお願いします。」という音声DB98の音声メッセージをスピーカー13から搭乗者111に、手動調整の開始のタイミングを通知しても良い。
【0093】
手動調整は、調整用レバー12を上又は下に傾けて、支柱5の高さ調整を行う。たとえば、調整用レバー12を上に傾けた際には、支柱調整用モータ70が駆動されて支柱5が高くなり、搭乗者111の大腿部が座部2bの座面PS3に接触するとともに座面前方の圧力総和値は大きくなる。反対に、調整用レバー12を下に傾けた際には、支柱調整用モータ70が逆駆動されて支柱5が低くなり、大腿部から座部2bの座面PS3が離れるとともに座面前方の圧力総和値は小さくなる。この際に、着座状況判断部100では、常に、座面前方の圧力総和値と、予め定められた座面前方の着座閾値とを比較する。そして、座面前方の圧力総和値が座面前方の着座閾値より大きいと着座状況判断部100で判断した場合には、調整目標を達成したことを搭乗者111に知らせるために、制御部115でスピーカー13より定められた目標達成通知音を発信する。座面前方の圧力総和値が座面前方の着座閾値以下であると着座状況判断部100で判断した場合には、そのまま、手動調整に伴う前記判断処理を続ける。
【0094】
(ステップS144)
搭乗者111は、目標達成通知音を耳で確認しながら、通知音が発信されている範囲で、最適に感じる高さに支柱5を手動で調整し、調整したのち、調整用レバー12の先のボタン80を押すことで、制御部115に調整が終了したことを知らせる(ステップS144)。この段階で、搭乗イメージを表す説明図と背もたれ及び座部のセンサ出力イメージを表す説明図は、それぞれ図13Bの(a),(b),(c)となる。次いで、ステップ101に進む。
【0095】
(ステップS101)
ステップS100で高さ調整が必要でないと判断された場合、及び、ステップS112で前記の支柱調整が終わると、次に、ステップS101で、座部2bを調整する。
【0096】
まずは、ステップS101において、着座状況判断部100で、着座状況の分析を開始する。まず、センサ用コントローラ90にて出力された座面後方(座面2bの進行方向とは反対側の後半分)の圧力総和値と、予め定められた座面後方着座閾値とを比較する。座面後方の圧力総和値が着座閾値以上であると着座状況判断部100で判断した場合には、ステップS102に進む。座面後方の圧力総和値が着座閾値未満であったと着座状況判断部100で判断した場合には、ステップS120に進む。
【0097】
(ステップS120)
ステップS120において、座部2bから滑り落ち易い着座(たとえば、図13Bの(a)及び(c)のイメージの場合)と着座状況判断部100で判断し、制御部115により、スピーカー13から、座部調整を搭乗者111に促す意図の音声DB98の音声メッセージを出力する。音声DB98の音声メッセージの一例としては「座部の調整をお願いします。」でもよいし、「座部はすべりやすくはないですか? 調整をお願いします。」でもよい。そして、ステップS121に進む。
【0098】
(ステップS121) 前記音声通知と同時に、ステップS121において、着座状況判断部100での判断結果に基づき調整部位決定部101からの調整部位情報により、調整部位を座部2bに設定すべく調整部位フラグを座部2bに設定して、調整用モータコントローラ93にその調整部位情報を入力する。調整用モータコントローラ93では、調整用レバー12からのレバー位置の信号が座面位置の前後方向に反映されるよう設定される。その後、ステップS122に進む。
【0099】
(ステップS122)
設定後、ステップS122において、座部2bの調整が開始する。具体的には、図16BのステップS150〜ステップS154の処理を行う。
【0100】
(ステップS150、S151)
まずは、搭乗者111が手動での調整を開始する前に、ステップS150、S151では、着座状況判断部100で、座面後方の圧力総和値が一定値(たとえば後に示す座面後方の着座閾値の半分の値)以上になるかどうかを判断し、もし一定値以下の場合は、が座部2bの高さを上げていく方向に、PC91の制御部115から自動制御する。この制御は、調整用モータコントローラ93経由で座席調整用モータ62を動作させることで実現する。この際には、搭乗者111の安全のために、制御部115で、「お客様に調整頂く前に、適切な位置に自動調整します。そのままお待ち下さい。」という音声DB98の音声メッセージをスピーカー13から出力し、搭乗者111が動かないように通知するのが好ましい。座面後方部の圧力総和値が前記一定値以上になった段階で、ステップS152に進む。
【0101】
(ステップS152)
ステップS152では、自動調整を終了し、自動調整ではなく、調整用レバー12を手動で上又は下に動かした際の信号が調整用モータコントローラ93に反映されるよう、制御部115から切替信号を調整用モータコントローラ93に入力して、調整用モータコントローラ93での制御を切り替える。その後、ステップS153に進む。
【0102】
(ステップS153)
ステップS153で搭乗者111による手動調整を開始する。その際には、制御部115で、たとえば「微調整をお願いします。」という音声DB98の音声メッセージをスピーカー13から搭乗者111に、手動調整の開始のタイミングを通知しても良い。
【0103】
手動調整は、調整用レバー12を上又は下に傾けて、座部2bの前後方向の位置調整を行う。たとえば、調整用レバー12を上に傾けた際には、座部調整用モータ62が駆動されて座部2bが後方に移動し、座部2bに作用する搭乗者111の坐骨付近の臀部の圧力が大きくなって、座面後方の圧力総和値が大きくなる。反対に、調整用レバー12を下に傾けた際には、座部調整用モータ62が駆動されて座部2bが前方に移動し、座部2bに作用する搭乗者111の坐骨付近の臀部の圧力が小さくなって、座面後方の圧力総和値は小さくなる。この際に、着座状況判断部100では、常に、座面後方の圧力総和値と、予め定められた座面後方の着座閾値とを比較する。そして、座面後方の圧力総和値が座面後方の着座閾値より大きいと着座状況判断部100で判断した場合には、調整目標を達成したことを搭乗者111に知らせるために、制御部115でスピーカー13より定められた目標達成通知音を発信する。座面後方の圧力総和値が座面後方の着座閾値以下であると着座状況判断部100で判断した場合には、そのまま、手動調整に伴う前記判断処理を続ける。
【0104】
(ステップS154)
搭乗者111は、目標達成通知音を耳で確認しながら、通知音が発信されている範囲で、最も快適に感じる位置に座部2bを手動で調整し、調整したのち、調整用レバー12の先の押しボタン80を押すことで、制御部115に調整が終了したことを知らせる(ステップS154)。この段階で、搭乗イメージを表す説明図と背もたれ及び座部のセンサ出力イメージを表す説明図は図13Cの(a),(b),(c)となる。次いで、ステップ102に進む。
【0105】
(ステップS102)
ステップS101で座部2bの位置調整が必要ないと判断した場合、及び、ステップS122で前記座部2bの調整が終わると、次に、ステップS102で、背もたれ2aの調整を行う。
【0106】
まずは、ステップS102において、着座状況判断部100で、着座状況の分析を開始する。まず、センサ用コントローラ90にて出力された背もたれ左上部(背もたれ2aの上半分の左半分)及び右上部(背もたれ2aの上半分の左側)各々の圧力総和値と、予め定められた各左右上部の背もたれ着座閾値とを比較する。どちらかの圧力総和値が着座閾値以上であると着座状況判断部100で判断した場合には、姿勢頂礼処理を終了する。どちらかの圧力総和値が着座閾値未満であったと着座状況判断部100で判断した場合には、ステップS130に進む。
【0107】
(ステップS130)
ステップS130にて、背もたれ2aが低すぎて、後ろに倒れこむ危険がある(たとえば、図13Cの(a)及び(b)のイメージ)と着座状況判断部100で判断し、制御部115により、スピーカー13から、背もたれ調整を搭乗者111に促す意図の音声DB98の音声メッセージを出力する。音声DB98の音声メッセージの一例としては「背もたれの調整をお願いします。」でもよい、「背もたれは低すぎないですか? 調整をお願いします。」でもよい。そして、ステップS131に進む。
【0108】
(ステップS131)
前記音声通知と同時に、ステップS131において、着座状況判断部100での判断結果に基づき調整部位決定部101からの調整部位情報により、調整部位を背もたれ2aに設定し、支柱5と座部2bの場合と同様、調整部位フラグを背もたれ2aに設定して、調整用モータコントローラ93にその調整部位情報を入力する。調整用モータコントローラ93では、調整用レバー12からのレバー位置の信号が、背もたれ2aの上下方向の高さに反映されるように設定される。その後、ステップS132に進む。
【0109】
(ステップS132)
設定後、ステップS132において、背もたれ2aの調整が開始する。具体的には、図16CのステップS160〜ステップS164の処理を行う。
【0110】
(ステップS160、S161)
まずは、搭乗者111が手動での調整を開始する前に、ステップS160、S161では、着座状況判断部100で、背もたれ左上部及び右上部の圧力総和値が一定値(たとえば、背もたれの着座閾値の半分の値)以上になるかどうかを判断し、もし一定値以下の場合は、背もたれ2aの高さを上げていく方向に、PC91の制御部115から自動制御する。この制御は、調整用モータコントローラ93経由で背もたれ調整用モータ52を動作させることで実現する。この際には、搭乗者111の安全のために、制御部115で、「お客様に調整頂く前に、適切な高さに自動調整します。そのままお待ち下さい。」という音声DB98の音声メッセージをスピーカー13から出力し、搭乗者111が動かないように通知するのが好ましい。背もたれ左上部及び右上部の圧力総和値が前記一定値以上になった段階で、ステップS162に進む。
【0111】
(ステップS162)
ステップS162では、自動調整を終了し、自動調整ではなく、調整用レバー12を手動で上又は下に動かした際の信号が調整用モータコントローラ93に反映されるよう、制御部115から切替信号を調整用モータコントローラ93に入力して、調整用モータコントローラ93での制御を切り替える。その後、ステップS163に進む。
【0112】
(ステップS163)
ステップS163で搭乗者111による手動調整を開始する。その際には、制御部115で、たとえば「微調整をお願いします。」という音声DB98の音声メッセージをスピーカー13から搭乗者111に、手動調整の開始のタイミングを通知しても良い。
【0113】
手動調整は、調整用レバー12を上又は下に傾けて、背もたれ2aの上下方向の高さ調整を行う。この際に、たとえば、調整用レバー12を上に傾けた際には、背もたれ調整用モータ52が駆動されて背もたれ2aが上方に移動し、背もたれ2aに作用する搭乗者111の背中の圧力が大きくなって、背もたれ左右上部の各々の圧力総和値が大きくなる。反対に、調整用レバー12を下に傾けた際には、背もたれ調整用モータ52が駆動されて背もたれ2aが下方に移動し、背もたれ2aに作用する搭乗者111の背中の圧力が小さくなって、背もたれ左右上部の各々の圧力総和値は小さくなる。この際に、着座状況判断部100では、常に、背もたれ左右上部の圧力総和値と、予め定められた背もたれの着座閾値とを比較する。そして、背もたれ左右上部各々の圧力総和値がどちらも背もたれの着座閾値より大きいと着座状況判断部100で判断した場合には、調整目標を達成したことを搭乗者111に知らせるために、制御部115でスピーカー13より定められた目標達成通知音を発信する。背もたれ左右上部各々の圧力総和値がどちらも背もたれの着座閾値以下であると着座状況判断部100で判断した場合には、そのまま、手動調整に伴う前記判断処理を続ける。
【0114】
(ステップS164)
搭乗者111は、目標達成通知音を耳で確認しながら、通知音が発信されている範囲で、最も快適に感じる高さに背もたれ2aを手動で調整し、調整したのち、調整用レバー12の先の押しボタン80を押すことで、制御部115に調整が終了したことを知らせる(ステップS164)。この段階で、搭乗イメージを表す説明図と背もたれ及び座部のセンサ出力イメージを表す説明図は図13Dの(a),(b),(c)となる。これで、姿勢調整処理を終了する。
【0115】
すなわち、ステップS102で背もたれの上下調整が必要でないと判断した場合、及び、ステップS132で前記背もたれ2aの調整が終わった段階で、全ての部位の調整処理を終了する。
【0116】
姿勢調整を終了する際には、制御部115で搭乗者111に調整を終了することを知らせる。たとえば、スピーカー13から、「調整を終了します。」という音声DB98の音声メッセージを出力しても良い。
【0117】
本実施形態では、支柱5、座部2b、背もたれ2aの順に姿勢調整しているが、各部位の調整を何度も繰り返すことなく、調整作業が煩雑にならないためには、この順序が適切であると考える。
【0118】
たとえば、支柱調整の前に座部調整を行った場合の、座部調整後の搭乗姿勢イメージを表す説明図を図14Bに示す。支柱5が低いまま座席2bを前方に調整すると、背もたれ2aに搭乗者111は背中をつけたまま足で体重を支えられなくなるので、背中が背もたれ2aから浮き、腰の角度が135度より鋭角となり、相対的に体重が座面前方に移動する。従って、場合によっては、前後方向のどの位置に座部2bを移動させても、搭乗者111の坐骨付近の臀部が接触する座面後方中央部(図14Bの座部2bの黒線の部分200)には一定値以上の圧力がかからず、座部2bを適切な位置に決められなくなったり、たとえ座面後方中央部に圧力がかかり座部位置を設定したとしても、次に支柱5の高さを調整する段階(図14C参照)で、腰の角度が変化することに伴い、座面後方中央部の圧力値(図14Cの座部の黒線201の分)が変化してしまうため、支柱調整後に、再度、座部2bの位置を調整する必要がある。
【0119】
また、座部調整の前に背もたれ調整を行った場合の、背もたれ調整後の搭乗姿勢イメージを表す説明図を図15Aに示す。座部調整前は、座部2bから滑らないように坐骨又は臀部(すなわち、少なくとも坐骨付近の臀部)で体重を支えられている保証がないので、場合によっては、必要以上に足でつっぱって体重を支えていることがある。このような場合は、腰の角度が135度より鈍角になり、この状態で背もたれ2aを調整すると、適切な高さより低い状態で肩甲骨が背もたれ2aと接触してしまう。従って、座部2bを調整後、腰の角度が135度になり(図15B参照)、再度背もたれを調整する必要がある(図15C参照)。
【0120】
各部位の調整は支柱5、座部2b、背もたれ2aの順で行うのが妥当であると考える。
【0121】
前記実施形態によれば、座席3が背もたれ2aと座部2bとで構成され、負荷の少ない立位姿勢で搭乗者111が座面PS3に着座して頭部を直立に保つことのできるよう、背もたれ面PS1と座面PS3との角度を考慮している移動体110において、搭乗者111の体型に依らず、快適な姿勢で搭乗できる立位乗車移動体110を実現することができる。このために、姿勢センサ9a,9b,9c,9dからの情報を基に、搭乗者111の着座状況を着座状況判断部100で自動的に判別し、判別した着座状況によって一意的に調整すべき部位を調整部位決定部101で決定することができる。このように構成することで、調整目標となる複数の部位に対応した複数の調整スイッチを用いることなく、姿勢調整装置が自動的に定めた調整部位の順序に従うことで、搭乗者111は、部位の状態又は調整順序に迷うことなく、一つのスイッチ(調整レバー12)で複数の部位を順次適切に調整することが可能となる。すなわち、搭乗者111の体型に合わせるために複数の部位を調整する必要があっても、搭乗者111がどの部位をどの順序で調整すれば良いか迷うことなく、一つのスイッチ(調整レバー12)で複数の部位を順次調整することが可能となり、従来の調整の煩雑さを解消した移動体110の姿勢調整装置を提供することができる。
【0122】
前記実施形態では、姿勢センサ9a,9bは、背もたれ面PS1の一部に配置したが、全面に配置するようにしてもよい。同様に、姿勢センサ9cも座面PS3の後部の一部に配置しているが、後部の全面に配置するようにしてもよい。姿勢センサ9dも座面PS3の前部の全面に配置しているが、前部の一部(大腿部が接触する部分)に配置するようにしてもよい。
【0123】
なお、本発明は、立位乗車移動体に限らず、通常の座位乗車移動体も適用可能である。
【0124】
なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明にかかる立位乗車移動体及び立位乗車移動体、搭乗者姿勢調整方法、及び、搭乗者姿勢調整用プログラムは、搭乗型の立位乗車移動体において、搭乗者の体型又は姿勢に合わせて座部又は背もたれ又は支柱の高さ又は位置など複数の箇所を調整する必要がある場合に有用である。その他、パーソナルな移動体、移動支援ロボット、又は、健康支援機器などの体型に合わせた適応方法としても有用である。
【符号の説明】
【0126】
1 足置き
2a 背もたれ
2b 座部
3 座席
4 移動体本体
5 支柱
6a、6b 左右駆動輪
7a、7b 前輪
9a、9b、9c、9d 圧力センサシート
9 圧力センサシート
10 肘掛
11 ジョイスティック
12 調整用レバー
13 スピーカー
14 駆動輪用モータコントローラ
15a、15b 左右駆動輪用モータ
20 操作コントローラ
21 駆動用電源
30 背もたれ高さ調整機構
30a 背もたれ高さ調整ガイド機構
31 座部位置調整機構
31a 座部位置調整ガイド機構
50a、50b 背もたれの左右溝
51a、51b 背もたれの左右ラック
52 背もたれ調整用モータ
52a 回転軸
53a、53b 背もたれ調整用歯車
54 背もたれ支板
55a、55b 背もたれ用ラック支え覆い
56 背もたれ用支板連結棒
57 歯車回転用モータ
58 回転軸
60a、60b 座部の左右溝
61a、61b 座部の左右ラック
62 座部調整用モータ
63a、63b 座部調整用歯車
64 座部用支板
65a、65b 座部用ラック固定用覆い
66 ラック固定用覆いと座部支板との連結棒
70 支柱調整用モータ
71 ボールネジ
72 ナット
80 調整終了ボタン
81 レバー信号変換部
90 センサ用コントローラ
91 パーソナルコンピュータ
92 センサ電源
93 調整用モータコントローラ
94 調整用モータ電源
98 音声データベース
100 着座状態判断部
101 調整部位決定部
102 搭乗者による調整
110 移動体
111 搭乗者
112 姿勢調整装置
115 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背もたれ面の全面又は一部に背もたれ用姿勢センサが内蔵されている背もたれの高さを調整できる背もたれ高さ調整機構と、
座面の全面又は一部に座部用姿勢センサが内蔵されている座部の前後の位置を調整できる座部位置調整機構と、
前記背もたれ及び前記座部を支える支柱の高さを調整できる支柱高さ調整機構と、
前記背もたれ用姿勢センサと前記座部用姿勢センサの出力を用いて搭乗者の着座状況を判断する着座状況判断部と、
前記着座状況判断部の判断結果を用いて、(I)前記支柱の高さ調整、(II)前記座部の位置調整、(III)前記背もたれの高さ調整の順序で調整する部位を決定する調整部位情報を出力する調整部位決定部と、
前記調整部位決定部により決定された前記調整部位情報に基づき、前記背もたれ高さ調整機構と前記座部位置調整機構と前記支柱高さ調整機構とのうちの前記調整する部位に関係する調整機構を駆動可能とする調整機構駆動制御部と、
を備える、立位乗車移動体の姿勢調整装置。
【請求項2】
前記着座状況判断部は、前記搭乗者が前記座面に着座した際に前記搭乗者の大腿部が接触する座面前面部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値が一定値未満の場合に、前記座面が低すぎて前記搭乗者が足が閊えた状況で前記搭乗者が前記座面に着座していると判断し、
前記調整部位決定部は、前記座面が低すぎて前記搭乗者が足が閊えた状況で前記搭乗者が前記座面に着座していると前記着座状況判断部で判断した場合に、前記支柱の高さを、より高くするように、高さ調整するように調整部位情報を出力し、
前記調整機構駆動制御部は、前記調整部位決定部からの前記調整部位情報を基に、前記支柱高さ調整機構を駆動可能として前記支柱を高く調整可能とする、請求項1に記載の立位乗車移動体の姿勢調整装置。
【請求項3】
前記着座状況判断部は、前記搭乗者が前記座面に着座した際に前記搭乗者の臀部が接触する座面後方中央部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値が一定値未満の場合に、前記座面が前記搭乗者の坐骨又は臀部に接触せず前記座面から滑り落ち易い状況で着座していると判断し、
前記調整部位決定部は、前記座面が前記搭乗者の坐骨又は臀部に接触せず前記座面から滑り落ち易い状況で着座していると前記着座状況判断部で判断した場合に、前記座部の位置を、より前方に位置するように、位置調整するように調整部位情報を出力し、
前記調整機構駆動制御部は、前記調整部位決定部からの前記調整部位情報を基に、前記座部位置調整機構を駆動可能として前記座部の位置を前方に移動可能とする、請求項1に記載の姿勢調整装置。
【請求項4】
前記着座状況判断部は、前記搭乗者が前記座面に着座した際に前記搭乗者の大腿部が接触する座面前面部分に内蔵された前記座部用姿勢センサと、前記搭乗者が前記座面に着座した際に前記搭乗者の坐骨と臀部が接触する座面後方中央部分とに内蔵された前記座部用姿勢センサとからの出力の総和値がそれぞれ一定値未満の場合に、前記座面が低すぎて前記搭乗者が足が閊えた状況で着座していると判断し、前記座面前面部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値が一定値以上で、前記座面後方中央部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値が一定値未満の場合には、前記足は閊えていないが、前記座面から滑り落ちやすい状況で着座していると判断し、前記座面前面部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値と前記座面後方中央部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値とのどちらもが一定値以上の場合には、前記搭乗者は前記座面に快適に着座していると判断し、
前記調整部位決定部は、前記足が閊えていると前記着座状況判断部で判断した場合には、前記調整する部位を前記支柱に決定する調整部位情報を出力し、前記滑り落ち易い状況で着座していると前記着座状況判断部で判断した場合には、前記調整する部位を前記座面に決定する調整部位情報を出力し、前記快適に着座していると前記着座状況判断部で判断した場合には、調整しないことを決定し、
前記調整機構駆動制御部は、前記調整部位決定部からの前記調整部位情報を基に、前記足が閊えていると前記着座状況判断部で判断した場合には、前記支柱高さ調整機構を駆動可能として前記支柱を高く調整可能とし、前記滑り落ち易い状況で着座していると前記着座状況判断部で判断した場合には、前記座部位置調整機構を駆動可能として前記座部の位置を前方に移動可能とする一方、
前記調整機構駆動制御部が、前記調整部位決定部からの前記調整部位情報を基に、前記背もたれ高さ調整機構と前記座部位置調整機構と前記支柱高さ調整機構とのうちの前記調整する部位に関係する調整機構を駆動可能とするとき、前記駆動可能となる調整機構を手動で駆動させて前記調整部位を手動で調整する手動調整操作部と、
前記搭乗者に調整の必要性を通知するとともに、前記調整機構駆動制御部で調整しないと決定された場合には調整の必要がないことを前記搭乗者に知らせる通知装置とをさらに備える請求項1に記載の姿勢調整装置。
【請求項5】
前記着座状況判断部は、前記搭乗者が前記座面に着座した際に前記搭乗者の大腿部が接触する座面前面部分に内蔵された前記座部用姿勢センサと、前記搭乗者が前記座面に着座した際に前記搭乗者の坐骨と臀部が接触する座面後方中央部分に内蔵された前記座部用姿勢センサと、前記搭乗者が前記座面に着座した際に前記搭乗者の左右肩甲骨が接触する背もたれ左右上部に内蔵されている前記背もたれ用姿勢センサとからの出力の総和値のそれぞれが一定値未満の場合には、前記座面が低すぎて前記搭乗者が足が閊えた状況で着座していると判断し、前記座面前面部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値が一定値以上で、前記座面後方中央部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値が一定値未満の場合には、前記足は閊えていないが、前記座面から滑り落ちやすい状況で着座していると判断し、前記座面前面部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値と前記座面後方中央部分に内蔵された前記座部用姿勢センサからの出力の総和値とのどちらも一定値以上の場合には、前記搭乗者は前記座面に快適に着座していると判断し、前記背もたれ左右上部に内蔵されている前記背もたれ用姿勢センサからの出力の総和値が一定値未満の場合には前記背もたれが低すぎて後ろにもたれかかると不安定になる状態で着座していると判断し、
前記調整部位決定部は、前記足が閊えていると前記着座状況判断部で判断した場合には、前記調整部位を前記支柱に決定する調整部位情報を出力し、前記足が閊えていないが滑り落ち易い状況で着座していると前記着座状況判断部で判断した場合には背調整部位を前記座面に決定する調整部位情報を出力し、前記足が閊えておらず滑り易い状態でもないが、前記背もたれが低すぎてもたれかかると不安定になる状態だと前記着座状況判断部で判断した場合には、前記調整部位を前記背もたれに決定する調整部位情報を出力し、前記搭乗者は前記座面に快適に着座していると前記着座状況判断部で判断した場合には調整しないことを決定し、
前記調整機構駆動制御部は、前記調整部位決定部からの前記調整部位情報を基に、前記足が閊えていると前記着座状況判断部で判断した場合には、前記支柱高さ調整機構を駆動可能として前記支柱を高く調整可能とし、前記滑り落ち易い状況で着座していると前記着座状況判断部で判断した場合には、前記座部位置調整機構を駆動可能として前記座部の位置を前方に移動可能とする一方、
前記調整機構駆動制御部が、前記調整部位決定部からの前記調整部位情報を基に、前記背もたれ高さ調整機構と前記座部位置調整機構と前記支柱高さ調整機構とのうちの前記調整する部位に関係する調整機構を駆動可能とするとき、前記駆動可能となる調整機構を手動で駆動させて前記調整部位を手動で調整する手動調整操作部と、
前記搭乗者に調整の必要性を通知するとともに、前記調整機構駆動制御部で調整しないと決定された場合には調整の必要がないことを前記搭乗者に知らせる通知装置とをさらに備える請求項1に記載の姿勢調整装置。
【請求項6】
背もたれ面の全面又は一部に背もたれ用姿勢センサが内蔵されている背もたれの高さを調整できる背もたれ高さ調整機構と、
座面の全面又は一部に座部用姿勢センサが内蔵されている座部の前後の位置を調整できる座部位置調整機構と、
前記背もたれ及び前記座部を支える支柱の高さを調整できる支柱高さ調整機構とを備える、立位乗車移動体の姿勢調整装置を使用して搭乗者姿勢調整を行う、立位乗車移動体の搭乗者姿勢調整方法であって、
前記背もたれ用姿勢センサと前記座部用姿勢センサの出力を用いて搭乗者の着座状況を着座状況判断部で判断し、
前記着座状況判断部の判断結果を用いて、まず、前記支柱の高さ調整を行い、次いで、前記座部の位置調整を行い、次いで、前記背もたれの高さ調整を行うといった順に調整する部位を決定する調整部位情報を調整部位決定部で出力し、
前記調整部位決定部により決定された前記調整部位情報に基づき、前記背もたれ高さ調整機構と前記座部位置調整機構と前記支柱高さ調整機構とのうちの前記調整する部位に関係する調整機構を調整機構駆動制御部で駆動可能とする、立位乗車移動体の搭乗者姿勢調整方法。
【請求項7】
背もたれ面の全面又は一部に背もたれ用姿勢センサが内蔵されている背もたれの高さを調整できる背もたれ高さ調整機構と、
座面の全面又は一部に座部用姿勢センサが内蔵されている座部の前後の位置を調整できる座部位置調整機構と、
前記背もたれ及び前記座部を支える支柱の高さを調整できる支柱高さ調整機構とを備える、立位乗車移動体の姿勢調整装置を使用して搭乗者姿勢調整を行う、立位乗車移動体の搭乗者姿勢調整用プログラムであって、
コンピュータに、
前記背もたれ用姿勢センサと前記座部用姿勢センサの出力を用いて搭乗者の着座状況を判断する着座状況判断部と、
前記着座状況判断部の判断結果を用いて、まず、前記支柱の高さ調整を行い、次いで、前記座部の位置調整を行い、次いで、前記背もたれの高さ調整を行うといった順に調整する部位を決定する調整部位情報を出力する調整部位決定部と、
前記調整部位決定部により決定された前記調整部位情報に基づき、前記背もたれ高さ調整機構と前記座部位置調整機構と前記支柱高さ調整機構とのうちの前記調整する部位に関係する調整機構を駆動可能とする調整機構駆動制御部と、
を実現させるための、立位乗車移動体の搭乗者姿勢調整用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−192901(P2012−192901A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60100(P2011−60100)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】