説明

立体平形ガスケット

本発明は、二つの部品間のシールに適するガスケット(1)に関する。この種のガスケット(1)は例えば、排気管における全ての種類の管と他の接続をシールするためにエンジン構造物において用いられる。
本発明によると、このガスケット(1)は、シールされるべき貫通口(6)を囲んでいる、少なくとも一つの平坦でないガスケット層(2)を有する。このガスケット層(2)では、貫通口(6)を少なくとも領域的に囲む、少なくとも一つの周期構造(12)が、位置づけられている。この周期構造(12)は、周期構造(12)の領域におけるガスケット層(2)の全厚さがガスケット層(2)の材料厚さより大きくなるように、ガスケット層(2)において、エンボス加工されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部品間のシールに適したガスケットに関する。この種のガスケットは、例えば入口または出口の連結管に対してシリンダーヘッドをシールするために、具体的には、排気ガス再循環を含む装入の領域における排気管において、パイプと他の接続部とをシールするために、例えばエンジン構造物において用いられている。
【0002】
この種の部品は、しばしば平ら(平坦)な表面を有さず、それらの間にシールが設けられることを予定している。むしろ、シールされるべき表面はしばしば立体的に形成され、例えば円錐形に曲げられている。本発明は、ここで、この種の表面をシーリングするためのガスケットに関する。従って、シールされるべき表面に適するように、この種のガスケットは、平形であるが平坦ではないガスケット層を有する。これは、個々のガスケット層が実際には平形の寸法を有すること、すなわち、ガスケット層の厚さがその長手方向の横切る寸法よりも著しく小さいが、ガスケット層が、ガスケット層の表面がもはや基本的に一平面に延びないように形成されるということを意味する。
【背景技術】
【0003】
この種のガスケットの一例は、エンジン構造物において標準のものであって、円錐形状のシールを形成する開口を囲んでいる管フランジガスケットである。エンジン構造物における多くのガスケットのように、管フランジガスケットはまた、しばしばガスケット層の表面に延び、シールされるべき開口を囲むビードを有している。従来は、ガスケット構造物のこの分野において、立体的に形成された平形のガスケット層の構造上の条件により、ストッパーはシーリングビードに隣接して配置されていない。ストッパーが用いられる場合には、波形にされたストッパーまたは溶接されたリングが、そのようなものとして用いられ、このリングは要求されるストッパーの材料厚さを得られるようにする。
【0004】
従来のこの状態において、ストッパーなしのガスケットは、好ましくないシーリング特性を有していること、あるいは、ストッパーが多大な複雑さを伴ってのみ、具体的には、付加的な材料の開発または付加的な処理プロセスを伴ってのみ、ガスケットに一体化され得るということが不都合である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、2つの部品の平坦でない表面の間をシールするための、平形であるが平坦でない、すなわち立体的に形成されたガスケット層を有するガスケットを生産することであり、これは、経済的にガスケットに導入され得る構造に加えて設けられることを予定しているものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に係るガスケットおよび請求項36に係るその使用によって達成される。本発明に係るガスケットの有利な開発はそれぞれの従属請求項において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】本発明による異なる5つのガスケットの平面図。
【図1B】本発明による異なる5つのガスケットの平面図。
【図1C】本発明による異なる5つのガスケットの平面図。
【図1D】本発明による異なる5つのガスケットの平面図。
【図1E】本発明による異なる5つのガスケットの平面図。
【図2A】本発明による異なる9つのガスケットの断面図。
【図2B】本発明による異なる9つのガスケットの断面図。
【図2C】本発明による異なる9つのガスケットの断面図。
【図2D】本発明による異なる9つのガスケットの断面図。
【図2E】本発明による異なる9つのガスケットの断面図。
【図2F】本発明による異なる9つのガスケットの断面図。
【図2G】本発明による異なる9つのガスケットの断面図。
【図2H】本発明による異なる9つのガスケットの断面図。
【図2I】本発明による異なる9つのガスケットの断面図。
【図3】本発明によるさらなるガスケット。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係るガスケットは、少なくとも一つの平形であるが平坦でないガスケット層を有する。ガスケット層は、長手方向で横切る寸法が著しくその厚さよりも大きい限り、例えば一方向で、5という因数、有利には厚さより10倍より大きく長い限り、平形として称される。このガスケット層は、本発明において、立体的に、すなわち平坦でなく形成されている。これは、ガスケット層の表面の寸法が基本的に一平面に延びていない、すなわち、例えばガスケット層における局部的なエンボス加工を無視して、むしろガスケット層が、例えば、互いに対してある角度で曲げられた2つの領域を有することができるということを意味する。一方、それは、ガスケット層は円錐台の外側の周囲面を形成するように、円錐あるいは球状形状を有する。
【0009】
ガスケット層の良好な弾性のシーリング特性を達成するために、ガスケット層は、基本的にスチール、具体的には、低温圧延スチール、鋼ばね、ステンレス鋼、温度安定スチールを含むか、あるいは、から成っている。例えば、Niに富んだスチールまたは炭素に富んだスチールが用いられる。また、温度処理によって硬化され得る低温加工性スチールが本発明のガスケット層として適している。
【0010】
従来技術の状態から知られるように、ガスケット層の表面はそれにより、部分的にあるいは完全に、被覆されることも可能である。一面あるいは二面のコーティングはそれにより可能である。適用した場合によれば、コーティングは微細なシーリングとして、摩擦減少、耐食コーティング、または、熱抵抗を改良するための平坦な金属被覆として、−必要であれば組み合わせて−、用いられる。コーティングはまた、部分的に用いられることもでき、あるいは、異なる電気的または熱的な伝導性を有する領域を提供するために、異なるコーティングの空間的な組み合わせが用いられることもできる。本発明によるガスケットは、被覆前の材料からなるか、あるいは、完全に、または、構造がエンボス加工された後に領域的に被覆されていてもよい。
【0011】
本発明によるガスケットは、取り付けられた状態でガスケットによってシールされるべき開口に位置が合わされている少なくとも一つの貫通口を有している。ガスケット層においてエンボス加工され、少なくとも一つの周期を有する周期構造が、上述のガスケット層の少なくとも一つにおいて、少なくとも領域的に貫通口を囲んでいる。この周期構造は、周期構造の領域のガスケット層の全厚さが、ガスケット層自体の材料厚さよりも大きくなるように、ガスケット層においてエンボス加工される。これは、シーリングおよび/またはストッパー構造が周期構造によって貫通口の周囲に形成されることを意味する。
【0012】
この周期構造は、例えば、ほぼ貫通口の周方向に垂直方向で、波状であって、貫通口を囲んでいる。この波状の外形は、具体的には正弦波状の断面を有することができる。波状外形は、台形の断面を有することもまた可能である。同様に、正弦波と台形の中間も可能である。
【0013】
波状の周期構造は、貫通口の任意に選択された領域でのガスケットの外縁と貫通口との間の断面を考えたときに、表面の一方における頂点が直線となるように配置されるように設計されてもよい。それぞれ他方の表面における構造と同様に表面の一方における谷としても同様である。しかしながら、波状構造が、同等の断面が、表面の一方の頂点をアーチ形の線上に示すように設計することもまた可能である。この円弧が均一であることが好ましいが、均一でない、例えば、非対称の円弧が好ましい適用も可能である。後者の2つの実施形態では、波状構造が湾曲構造によって重ねられているとして考慮されてもよい。このような構造は、シーリング要素の弾性および剛性の最適なバランスを可能にする。
【0014】
このような波状周期構造の場合、個々の波の頂点または波の谷は、平形にされあるいは水平にされることもでき、その結果、シールされるべき隣接した表面上の構造の部分的に有効な支持面が構成される。さらに、波の頂点の高さ、すなわち振幅は、全外形にわたって厳密には一定でないが、貫通口周りの特定の周辺領域では、シールされるべき部品の個々の幾何学形状を考慮して異なる高さを有することもできる。同様に、波の頂点の間隔もまた、互いに変化されることもできる。変化は、周方向に垂直で、また、周方向の長手方向の外形の範囲内で可能である。
【0015】
また、周方向に垂直に連続し、外形の一部である起伏の数は、貫通口の異なる周辺領域において異なることもできる。さらに、外形の高さ、および/または、貫通口の周方向に垂直な方向からみて、外形の波の頂点の間隔が、貫通口の周りの異なる周辺領域において、異なる大きさからなることもできる。この種の異なる構成および寸法の結果として、波状の外形を、弾性、弾性的な剛性、または特定の所望の塑性変形度が、貫通口の周方向に沿った外形の異なる領域において、個々に調整されるという想定される要求に適合させることが可能である。
【0016】
外形の圧縮された領域は、これにより、少ない弾性を有し、限定された方法でのみ塑性的に変形され得る。結果として、ストッパーが補強されることができる。したがって、全体で、貫通口の周方向に垂直な方向と、貫通口の周方向に沿った方向との両方で、対応する外形の構成によって、本発明のガスケットの、個々の、適当な、耐久性のシーリング効果を達成することが可能である。特に、有利な方法において、それらの形状、例えば、その高さ、個々の波の頂点または波の谷の間隔、幾何学的形状、および/または、材料厚さ等に関し、ガスケット層の異なる側面に配置された、波状の周期構造の波の頂点/谷を異なるように構成することも可能である。結果として、シーリング機能およびストッパー機能は、ガスケット層の両側で、シールされるべき隣接する表面のそれぞれに個々に適合され得る。
【0017】
このような波状周期的外形の個々の起伏の弾性および弾性的な剛性は、さらに、頂点および/または谷が、それぞれの起伏の側面と比較して材料がテーパーを有するように、外形が頂点および/または谷の領域において据え込まれるという点で、変化されてもよい。他の方法において、起伏の側面は、波の頂点および/または谷と比較して、その材料厚さに関して、テーパーを有するように、据え込まれることもまた可能である。その厚さは、それにより、側面の領域で材料表面に垂直に、且つ、頂点または溝の領域において材料表面に垂直に測定されることができる。
【0018】
具体的には、相対的に高い弾性的な剛性を有することを予定されたストッパーを形成するために、側面のテーパーを設けることが可能である。結果として、ストッパーの起伏の高さが隣接するシーリングビードの高さより小さいときであっても、弾性の十分に大きい欠如が達成され、ストッパーの起伏は、より高いシーリングビードのためのストッパーとして働く。個々のビードがストッパーの起伏よりも小さい高さを有することができる異なるガスケット層におけるその頂点で他方の上に一方が位置された2つの隣接するビードで置き換えられる場合に、同様になる。
【0019】
本発明による周期構造は、ガスケットを幾何学的条件に、および、例えばそこに生じる力に適合させ、これらの部品上でガスケットを支持するのに非常に適している。さらに、それ自体のシーリング機能を取り入れ、または、ストッパーとして、隣接するシーリング構造のためのストッパー、例えば貫通口を囲んでいるビードを示すことが可能である。この種の周期構造は、シールされるべき部品の形状に、局所的に適合されることが可能である。
【0020】
貫通口の周方向に垂直な波状の断面を有する周期的シーリング構造としての前述の起伏に加え、さらに構造上の形状が用いられることが有利である。シーリングビードが、異なるシーリング層におけるそれらの先端で一方が他方の上に位置づけられている2以上の隣接するビードと置き換えられる場合に、同様になる。
【0021】
この種の構造は、具体的には、請求項2から10に記載されている。
ガスケット層(2)における周期構造(12)は、ガスケット層の表面と垂直で、貫通口の周方向に平行または垂直なガスケット層の断面において、それらは、隣接して連続的な、分離した隆起部および凹部を有している。断面からみて、一方の表面上の隆起部は、それにより、他方の表面上の凹部にそのまま対向して位置づけられている。この隆起部および凹部は、U字形の断面を有することができる。これらは、例えば、貫通口の周方向に沿って、周方向に対して横切って蛇行する構造がガスケット層にエンボス加工される場合に、形成される。代わりに、貫通口の周方向に垂直に、多くのビードが特定の長さにわたって互いにほぼ平行に延びている構造が構成されることもできる。用いられ得る周期構造として、その頂点が有利には平形にされ、ガスケット層の面方向にほぼ平行に構成された、チェスボード状またはハニカム状のこぶ状突起の規則的パターンが可能である。
【0022】
チェスボード状パターンは、互いに対しておよび貫通口に対して同心円状に延びているビード状の隆起部および凹部を有する波状の構成を有する構造の、個々の隆起部および/または凹部が互いに繊維(webs)を介して接続された場合に形成される。繊維の間隔の機能として、チェスボード状パターンがここで形成される。
【0023】
ガスケット層の平面図において、隆起部が全体で成形される表面は、少なくとも周期構造の全表面の半分である場合に、特に有利である。隆起部が全体で成形される表面は全表面の50%より著しく大きいことが有利である。隆起部が成形される表面は、ガスケット層を形成することによって隆起部を形成する間に形成された、すなわち、形成されることのない、あるいは形成前のガスケット層によって定義される平面から突出する、ガスケット層の全ての領域の表面として定義される。
【0024】
隆起部および凹部は、ガスケット層の表面の平面図において、貫通口の周方向に連続していることが有利である。これは、例えば上述の蛇行を伴う場合であり、あるいはまた、チェスボード状またはハニカム状の規則的な構造の場合である。
【0025】
ガスケット層は、貫通口の周方向に沿い、且つガスケット層の表面に垂直の断面において見られる場合、隣接するシーリング面に対して押される隆起部の頂点を有するこれらの構造は、少なくとも領域的にあるいは完全に周方向において貫通口を囲み、少なくとも領域的に完全に互いに接続され、あるいは、完全に互いに接続されるが貫通口の周方向に周期的に長手方向に遮られるコンタクトゾーンを形成する。この種のコンタクトゾーンの構成は、例えば上述の蛇行、チェスボード状またはハニカム状のパターンによって形成されるように、実際に要求されている本発明のガスケットの領域において、シーリング要素またはストッパーを提供することを可能にする。
【0026】
全体で、本発明によるガスケットの結果は、例えば、さらなる製造工程(リングの溶接あるいは波形にすること)によってガスケット上へストッパーを適用することが要求されないので、このために、特に経済的な製造プロセスが実施され得るということである。むしろ、その後にガスケット層になることを予定している金属平板においてさえ、周期構造をエンボス加工し、その後にこの金属板を3D形状に再形成し、必要であれば、同時にまたはその後に、例えばビードを金属板に導入する等のような、この成形、具体的にはシーリング構造を、エンボス加工することが可能である。外形をエンボス加工し、ビードをエンボス加工し、立体形成をする、という上述の3つの形成プロセスの異なる組み合わせあるいは順列が、同様に考えられる。一つの処理工程において3つすべてのステップを組み合わせることも同様に可能である。再形成およびビードのエンボス加工に続いて、ガスケットは金属板から型打ちされる。このように、この種の立体的に形成されたガスケットにストッパーを有するビードを導入するために、付加的な材料も、付加的な処理プロセスも、必要とされない。仕上げられるガスケットは道具から出て完成される。代わりに、他の製造順もまた考えられる。
【0027】
貫通口およびガスケット自体の外形のいずれも、回転対称であったり、または一様な円形であることを必ずしも要求しない。ガスケットはまた、長円形または他の形状を有することもできる。
【0028】
周期構造はまた、必ずしも貫通口を完全に囲んでいる必要はない。しかしながら、周期構造が貫通口を完全に囲むことは有利となり得る。
【0029】
本発明によるガスケットはまた、上述のものと対応する方法で、同様に周期構造を有する複数のガスケット層を有することもできる。周期構造は、それにより、例えばそれらの外形高さ、波の頂点の間隔、またはそれらの曲率半径において異なることが可能である。
【0030】
本発明によるガスケットの場合のガスケット層は、平坦でないガスケット層として構成される。このような平坦でないガスケット層は、例えば、円錐形のガスケット層の形状で存在し得る。
【0031】
円錐形の領域、一般に、平坦でない領域に加え、ガスケット層はさらに平坦な領域を有することもできる。既に述べたように、この領域が基本的に一平面、例えば、基準として貫通口の中心軸によって定義される平面に延びるときに、平坦な領域が存在する。これは、貫通口に向かっている、あるいは、ガスケット層の外側に向かってもいる円錐形の、または、一般に平坦でない領域で終端となることができる。平坦な、および、平坦でない領域の両方を有するさらなる構成もまた可能である。
【0032】
ガスケットは、それが、一方で、貫通口を囲むビード、例えばフルビードまたはハーフビードを有し、本発明による周期構造が、ストッパーとして、同じガスケット層または隣接するガスケット層において、ビードに隣接して配置される場合に、特に有利に構成される。ビードおよびストッパーは、貫通口から見て、一方が他方の後となる順番で配置されることも可能である。周期構造が、ストッパーとして、全周上においてビードに隣接することもまた必要とはされていない。部分的に、例えば、この目的のために設けられたガスケット層の突起において、ストッパーを配置することは、十分である。
【0033】
本発明によるガスケットの立体的形状の機能として、本発明によるビードおよびストッパーは、ガスケットの立体的形状の異なる領域においてもまた配置され得る。例えば、第一の平坦領域においてビードを配置することが可能である一方、その部分として、実際に平坦であるが、第一の平坦領域に対してある角度で延びる第二の領域において、ストッパーが配置されている。また、同じ領域、すなわち曲がり終わった領域(angling−over)に隣接する一側面で、ビードとストッパーの配置が可能である。
【0034】
本発明によるガスケットは、特に、互いに接続された二つの管の管接続をシールするのに適している。特に、それは、一方の他方への対応する係合のためのシーリング方法において、円錐形または球状の末端を有する管を互いに接続するために用いられ得る。この種の管の接続は、特に、内燃機関の排気管において生じる。しかしながら、本発明によるガスケットは、管接続が生じ、表面が互いに対してシールされることを要求する、さらにすべての領域において用いられることが可能である。
【0035】
以下に、本発明によるガスケットのいくつかの例が示される。示される例は、典型的な特性のもののみであり、本発明はそれらに限定されない。
【0036】
全ての図において、同じおよび同様の符号は、同じおよび同様の要素を示す。
【0037】
図1は、部分図のAからEにおいて、少なくともここに示されたガスケット層2を備える、異なるガスケット1を示す。ガスケット層2は、図A、B、C、およびDにおいて、中心軸3をそれにより対称的に囲んでいる。ガスケット層2は、金属板から打ち抜かれたものであり、例えば、排気管、燃焼室、液体等のための貫通口としての開口6を有する。この層2は、開口6に向けられた側に内縁4を、開口6から離れるように向けられた側に外縁5を有する。この層2は、この内縁4で、その他、センタリング装置として働くタブ17を有している。
【0038】
図1Bにおいて、ガスケット層2の円周の直径が外縁5で拡張された突起7aから7cが示されている。
【0039】
図1に示されたガスケットの全ては、貫通口6を囲み、貫通口6をシールするシーリングビード11を有する。ビード11に隣接して、シーリングビード11のストッパーとして働く周期構造12が配置されている。図1Aでは、また、ちょうど図1C、1D、1Eのように、周期構造12は完全に全周性である。図1Bでは、周期構造12は、突起7a、7b又は7cにおける個々の部分12a、12b、12cにおいて延びており、従って、シーリングビード11を不完全に囲んでいる。
【0040】
図1に示されたガスケット1の例における周期構造12は、貫通口6およびビード11の周方向に垂直な断面で、波状、具体的には正弦波状の構造を有している。周期構造12の個々の起伏の高さは、第1シーリングラインを形成するシーリング層におけるシーリングビードの高さの合計よりも低い。
【0041】
図1において、本発明によるガスケットの、5つの異なる形状、具体的には、円形、四角形、三角形、及び自由に形成された形状が示されている。
【0042】
ここで、図2は、本発明の異なるガスケットの、合計で9つの断面を示す。本願に係るガスケットは、覆われてもよく、あるいは、覆われなくてもよい。この点において、明瞭のために、図において表示を省略している。これらは、基本的に、円錐形の立体的な、すなわち平坦でない形状を有する。図2Aから2Gにおいて、波状のストッパー12がシーリングビード11の一つにそれぞれ割り当てられる、ということが断面において認められる。この波状のストッパー12は、周期的に配列された隆起部15を有し、この隆起部15には、反対の面にそのまま反対に位置している対応する凹部16が割り当てられている。隆起部15と凹部16との両者は、同じ処理プロセスにおいて周期構造12のエンボス加工によって形成される。
【0043】
図2Aから2Cにおいて、ガスケット層2は、ビードおよびストッパーを有し、エンボス加工され、円錐形状に形成された金属板として認められ得る。波状のストッパーは、例えば、図2Aのように、ビード11の外側に配置されることができ、図2Bのように、ストッパー12A及びストッパー12Bとして、ビード11の両側に配置されることができ、あるいは、図2Cのように、2つのビード11aと11Bの間の中心に、ストッパー12として配置されることができる。
【0044】
図2Dにおいて、ガスケット層2の形状は、円錐形だけでなく、一方でそれ自体が、球面部に延びるように湾曲される、すなわち、さらに球状に構成されてもいる。
【0045】
図2E、2Fおよび図2Gにおいて、ガスケット層2は、曲げ位置10で所定の角度で曲げられた2つの部分8、9に分割されている。図2Eでは、ガスケット層は、第1の外側の平形で平坦な部分8を有し、内側の部分9は、第1の部分8に対して曲げ位置10である角度で曲げられた円錐状の部分9として構成されている。図2Eでは、シーリングビード11が第2の内側の部分9に構成され、ストッパーは外側の平形で平坦な部分8にエンボス加工されている。図2Fでは、ガスケットが図2Eのように示されているが、ここではビード11は外側の部分8に配置されている。内側の部分9は、ここでは、波状ストッパー12を持っている。
【0046】
図2Gでは、曲げ位置10で所定の角度で互いに曲げられた外側および内側の両方の部分が円錐状の構成を有し、外側の部分8は上方に開く円錐状の層を示し、部分9は下方に開く円錐状の層を示す。ここでは、また、ビードは内側の部分9に配置され、波状の外形は外側の部分8にエンボス加工されている。
【0047】
図2Hは、図2Aのようなガスケットを示すが、このガスケットはビードでなく単に波状の外形をシールのために有している。この波状の外形は、前述の図2Aから2Gの例のように、隆起部15と、それらとそのまま反対に位置している、対応する凹部16とを有している。ガスケット層2の両側には、エラストマー13が、付加的なシーリング要素として全外形にわたって適用されている。
【0048】
図2Iは、図2Aから2Cの例のような円錐状の基本形状を有するガスケット1の例において、本発明のさらなる実施形態を示す。しかしながら、これらの例と比較した周期構造12は、ガスケットの一面の隆起部が、図2Aから2Cの場合でそうだったように直線を示すのではなく、アーチ形を示すように変形されている。図2Iに示されるガスケットは、さらに、強制的ではないが、周期構造の隣の付加的なビードなしで設計されている。
【0049】
図3は、ここで、図1Aにすでに示されたガスケットのさらなる例を示す。このガスケットと対比して、ここで、詳細の拡大は、周期的外形12がビード11に隣接する外縁5に配置され、蛇行するビードとして構成されているということを示している。この蛇行するビードは、開口6の周縁に沿った断面で、隆起部と凹部とを有するこぶ状構造を有している。この周期構造は、開口6を囲む実際のシーリングラインを形成するビード11のためのストッパーとして働いている。
【図1A−B】

【図1C−D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの平形であるが平坦でないスチールからなるガスケット層(2)を有し、2つの部品間のシールのためのガスケット(1)であって、
前記ガスケット層(2)は、シールされるべき貫通口(6)を有し且つ該貫通口を囲んでおり、
非平坦のガスケット層(2)では、貫通口(6)を少なくとも領域的に囲む、1より大きい周期長を有する少なくとも一つの周期構造(12)が、周期構造(12)の領域におけるガスケット層(2)の全厚さがガスケット層(2)の材料厚さより大きくなるようにエンボス加工されていることを特徴とする、ガスケット。
【請求項2】
ガスケット層(2)における周期構造(12)は、ガスケット層(2)の表面と垂直なガスケット層(2)の断面においてガスケット層(2)が開口(6)の周方向に平行または垂直で、分離しており、連続的で互いに隣接している隆起部(15)と、ガスケット層(2)において前記隆起部と直接反対に位置している対応する凹部(16)とを有するようなガスケット層(2)の形成によって形成されることを特徴とする、前述の請求項に記載のガスケット(1)。
【請求項3】
ガスケット層(2)の平面図において、隆起部(15)が全体で成形される表面は、少なくとも周期構造(12)の全表面の半分であることを特徴とする、前述の請求項に記載のガスケット(1)。
【請求項4】
ガスケットの一方の表面から見て、隆起部(15)および凹部(16)は、貫通口(6)の周方向に連続していることを特徴とする、前述の2つの請求項のうち1つに記載のガスケット(1)。
【請求項5】
開口(6)の周方向に沿い且つガスケット層(2)の表面に垂直の、ガスケット層(2)の断面において、周方向で少なくとも領域的に貫通口を囲むコンタクトゾーンを、このシーリング面で形成する隣接するシーリング面に対して導入されたガスケットにおいて押されるべき隆起部(15)の頂点が、少なくとも領域的に接続されるが、貫通口(2)の周方向に対して長手方向に、周期的に遮られることを特徴とする、請求項2乃至4のうち1つに記載のガスケット(1)。
【請求項6】
貫通口(6)の周方向に沿い且つガスケット層(2)の表面に垂直なガスケット層(2)の断面において、隆起部(15)は、ほぼU字形状の断面を有することを特徴とする、請求項2乃至5の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項7】
隆起部(15)は、こぶ状構造を有することを特徴とする、請求項2乃至6の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項8】
ガスケット層(2)の平面図において、隆起部(15)は、ハニカムパターンまたはチェスボード状のパターンを形成することを特徴とする、請求項2乃至7の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項9】
隣接する隆起部(15)は、ガスケット層(2)の平面図において少なくとも領域的に貫通口(6)を囲む少なくとも一つのビードによって形成され、少なくともその長さの部分にわたって、貫通口(6)の周方向に延び、且つそれらに対して横方向に蛇行する蛇行を形成することを特徴とする、請求項2乃至5の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項10】
ガスケット層(2)の平面図において、隆起部(15)は、貫通口を少なくとも領域的に囲み、貫通口(6)の周縁に関してほぼ半径方向に延びるビードを備える、少なくとも一つの頭頂部又は頂上部分によって形成されることを特徴とする、請求項2乃至6の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項11】
周期構造(12)は、少なくとも領域的に、周方向にほぼ垂直に貫通口(6)の周りに波状の外形の形状に構成されることを特徴とする、請求項1に記載のガスケット(1)。
【請求項12】
周方向に垂直な特定の領域において周期構造(12)の隆起部(15)の頂点が直線を示すことを特徴とする、前述の請求項に記載のガスケット(1)。
【請求項13】
周方向に垂直な特定の領域において周期構造(12)の隆起部(15)の頂点がアーチ形状を示すことを特徴とする、請求項11に記載のガスケット(1)。
【請求項14】
外形(12)が構成されるガスケット層(2)に隣接して、同じ又は異なる外形高さ(振幅)、および/または、波の頂点の間隔(周期長)、および/または、曲率半径を有して、対応して形成されたさらなる層があることを特徴とする、前述の請求項に記載のガスケット(1)。
【請求項15】
外形(12)内で、外形高さ(振幅)、および/または、波の頂点の間隔が、周方向にほぼ垂直で異なることを特徴とする、請求項11乃至14の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項16】
波の頂点および/または溝は、少なくとも部分的に平形にされ、または水平にされることを特徴とする、請求項11乃至15の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項17】
周方向にほぼ垂直で、貫通口(6)の周りの異なる周領域において、起伏の数が異なることを特徴とする、請求項11乃至16の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項18】
周方向にほぼ垂直で、貫通口(6)の周辺で異なる周辺領域における外形の高さおよび/または外形(12)の波の頂点(15)の間隔が異なる大きさからなることを特徴とする、請求項11乃至17の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項19】
外形の波の谷には、繊維(webs)があることを特徴とする、請求項11乃至18の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項20】
ガスケット層(2)の異なる側に配置された波の頂点/谷は、異なる形状、例えば、高さ、間隔、形状等および/又は材料厚さを有することを特徴とする、請求項11乃至19の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項21】
外形(12)は、正弦波状または台形状であることを特徴とする、請求項11乃至12、および15乃至20の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項22】
外形(15)は、波の頂点および/または谷(16)と比較して、テーパー状となるように、その側面の領域における起伏の形状に据え込まれていることを特徴とする、請求項11乃至21の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項23】
外形(12)は、フランジ(側面)と比較して、テーパー状となるように、頂点(15)および/または谷(16)の領域における起伏の形状に据え込まれていることを特徴とする、請求項11乃至22の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項24】
外形(12)内において、充填材料、例えばエラストマーが少なくとも部分的におよび/あるいは領域的に含まれていることを特徴とする、請求項11乃至23の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項25】
少なくとも、外形(12)が構成されたガスケット層(2)が、低温圧延スチール、鋼ばね、ステンレス鋼、温度安定スチール、具体的には、Niに富んだスチール、および/またはC−スチールを含む、あるいは、から成ることを特徴とする、前述の請求項の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項26】
少なくとも、外形(12)が構成されたガスケット層(2)が、温度処理によって硬化され得る低温加工性スチールを含むあるいは有することを特徴とする、請求項1乃至24の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項27】
ガスケット層(2)における貫通口(6)は、円形(circular、round)、長円形、三角形、多角形、あるいは自由に形成された構成を有することを特徴とする、前述の請求項の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項28】
周期構造(12)が構成されたガスケット層(2)において、および/または、貫通口(6)を囲む隣接するガスケット層において、少なくとも、周期構造(12)の一つの延長に沿い、且つ、少なくとも一つの周期構造(12)に隣接して、シーリングラインを形成する少なくとも一つのビード(11)が構成され、少なくとも一つのビード(11)に隣接する少なくとも一側面に配置された少なくとも一つの周期構造(12)が、少なくとも一つのビード(11)の少なくとも一つのためのストッパーを形成することを特徴とする、前述の請求項の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項29】
周期構造がストッパーを形成するためのビードの全高さが周期構造の高さよりも大きいことを特徴とする、前述の請求項に記載のガスケット(1)。
【請求項30】
少なくとも一つのビード(11)は貫通口(6)と少なくとも一つのストッパー(12)との間を回り、または、ストッパー(12)が貫通口(6)と少なくとも一つのビード(11)との間に配置されていることを特徴とする、前述の請求項の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項31】
少なくとも一つのビード(1)の少なくとも一つはフルビードまたはハーフビードであることを特徴とする、前述の3つの請求項の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項32】
ガスケット層(2)は、貫通口(6)を囲む円錐形または球形形状を有することを特徴とする、前述の請求項の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項33】
貫通口(6)周辺の半径方向に、ガスケット層(2)が少なくとも一つの曲げ位置(10)を有し、存在し得るシーリングラインを形成するビードが、外形と、曲げ位置の同じ側あるいは反対側に配置されることを特徴とする、前述の請求項の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項34】
ガスケット層(2)は、貫通口(6)に隣接する、半径方向で内側の第1の円錐または球状領域(9)と、ガスケット層(2)の外縁に隣接する、半径方向で外側の第2の平坦な領域(8)とを有することを特徴とする、前述の請求項の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項35】
ガスケット層(2)は、貫通口(6)に隣接する、半径方向で内側の第1の平坦領域(9)と、ガスケット層(2)の外縁に隣接する、半径方向で外側の第2の円錐形または球状領域(8)とを有し、両領域(8、9)の開く角度は、ガスケット(1)の中心軸(3)に対して異なっていることを特徴とする、請求項1乃至31の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項36】
ガスケット層(2)は、貫通口(6)に隣接する、半径方向で内側の第1の円錐形または球状領域(9)と、ガスケット層(2)の外縁に隣接する、半径方向で外側の第2の円錐形または球状領域(8)とを有し、両円錐形または球状領域(8、9)の開く角度は、異なっていることを特徴とする、請求項1乃至31の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項37】
ガスケット層(2)は、その表面の少なくとも一つにおける少なくとも部分的に被覆されていることを特徴とする、前述の請求項の1つに記載のガスケット(1)。
【請求項38】
前述の請求項の1つに記載のガスケット(1)の互いに接続された2つのパイプ、具体的には、一方の他方への対応する係合、具体的には、内燃機関の排気パイプの係合のための、円錐形または球形の端部を有するパイプのパイプ接続のシーリングのための使用。

【図1E】
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【図2A−C】
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【図2D−E】
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【図2F−H】
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【図2I】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−525269(P2010−525269A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504542(P2010−504542)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003315
【国際公開番号】WO2008/128778
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(505137410)ラインツ−ディクトゥングス−ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】