説明

立体情報生成装置および立体情報生成プログラム

【課題】少ない画素数の撮像板であっても、解像度の高い立体情報を生成することが可能な立体情報生成装置を提供する。
【解決手段】立体情報生成装置1は、撮像面に要素レンズ13を二次元状に配列して被写体の要素画像を撮像する第一画像撮像部11と、第一画像撮像部11の撮像面側に設けたハーフミラー15を介して、ハーフミラー15の反射光を集光する結像レンズ17を第一画像撮像部11の撮像範囲外に設け、当該結像レンズ17に対向し撮像範囲が第一画像撮像部11の要素レンズ全体の撮像範囲と同じになる位置で第一画像撮像部11より解像度の高い光学像を撮像する第二画像撮像部12と、を備えた撮像部10と、第二画像撮像部12で撮像された要素画像を、第一画像撮像部11で撮像された要素画像の視差分、順次シフトさせることで、立体情報を生成する画像処理部20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インテグラルフォトグラフィ方式により撮像した被写体の立体情報を生成する立体情報生成装置および立体情報生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、任意の視点から自由に立体画像を視認することが可能な立体画像表示方式の一つとして、平面状に配列された凸レンズ群あるいはピンホール群を利用したインテグラルフォトグラフィ(Integral Photography:以下IP)方式が知られている(例えば、特許文献1等)。
【0003】
ここで、図11を参照して、IP方式の概念について説明する。図11は、従来のIP方式の概念を説明するための説明図であって、(a)は撮像時、(b)は表示時の状態を示している。図11(a)に示すように、従来のIP方式による立体画像撮像装置(立体情報生成装置)100は、同一平面状に配列された複数の微小凸レンズ101,…,101からなるレンズ群101と、CCD(電化結合素子:Charge Coupled Device)等の撮像板102とを平行に配置している。ここで、観察者O側から、立体画像撮像装置100により、被写体Hを撮像すると、被写体Hは、レンズ群101を介して、レンズ群101を構成する微小凸レンズ101,…,101の数だけ、撮像板102に像(以下、「要素画像」という)103,…,103が撮像される。
【0004】
そして、立体画像撮像装置100は、画像切り出し手段104によって、撮像板102で撮像された像から、各要素画像を切り出す。また、各要素画像をそのまま表示すると、奥行きが逆転してしまうため、立体画像撮像装置100は、反転処理手段105によって、要素画像を点対称に変換することで、被写体Hの立体情報(複数の要素画像)を生成している。
【0005】
一方、図11(b)に示すように、従来のIP方式による立体画像表示装置200は、同一平面状に配列された複数の微小凸レンズ201,…,201からなるレンズ群201と、図11(a)の撮像板102で撮像された要素画像103,…,103を点対称に変換した要素画像203,…,203を表示する表示板(表示素子)202とを平行に配置している。この表示板202には、通常、高精細画像が表示可能なLCD(液晶ディスプレイ:Liquid Crystal Display)等が用いられる。
【0006】
なお、図11(a)では、被写体Hから発せられた光線が撮像板102で止まっている状態を図示しているが、図11(a)中、撮像板102の右側に進行していく光線に相当する光線が、図11(b)中、レンズ群201を通して、表示板202から進行する光線として再現されることになる。すなわち、観察者Oが、レンズ群201を通して、表示板202を観察すると、立体再生像Mの位置に被写体Hが存在し、そこから光線が発せられている状態と等価な状態が再現され、立体像を視認することが可能になる。
【特許文献1】特開2002−228974号公報(段落0023〜0028、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記した従来の手法では、立体画像撮像装置が、要素画像として被写体から発せられた光線の方向を取得し、立体画像表示装置が、要素画像によって被写体からの光線の方向を再現することで、立体像を生成していた。従って、立体画像撮像装置においては、被写体の各点から発せられる光線の方向を正しく取得しなければならない。これは、レンズ群を構成する各々のレンズ(微小凸レンズ)により生成される被写体の像(要素画像)が、高い解像度で撮像板に取得されなければいけないことを意味している。
【0008】
しかし、撮像板の画素数は有限であるため、個々のレンズで撮像した被写体に割り当てられる画素数は非常に少ないものとなってしまう。例えば、撮像素子の画素数が1000(水平)×1000(垂直)画素であり、レンズ群を構成するレンズの数が50(水平)×50(垂直)個であったとすると、各々のレンズが生成する像を構成する画素数は20(水平)×20(垂直)画素と非常に少ない。
【0009】
このため、従来の手法では、撮像対象の被写体が、レンズ群から離れた位置に存在する場合、個々の要素画像において被写体を認識するための十分な解像度を得ることができず、被写体の立体像を再生するために必要な立体情報(要素画像)を生成することができないという問題がある。
【0010】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、少ない画素数の撮像板(撮像素子)であっても、解像度の高い立体情報(要素画像)を生成することが可能な立体情報生成装置および立体情報生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載の立体情報生成装置は、複数の要素レンズを介して被写体を撮像した要素画像を、インテグラルフォトグラフィにおける被写体の立体情報として生成する立体情報生成装置において、撮像面に複数の要素レンズを二次元状に配列するとともに、当該要素レンズに対向する位置に、被写体の光学像を撮像する第一撮像素子を設けた第一画像撮像部と、この第一画像撮像部の撮像面側に設けたハーフミラーを介して、当該ハーフミラーの反射光を集光する結像レンズを第一画像撮像部の撮像範囲外に設け、当該結像レンズに対向し撮像範囲が第一画像撮像部の要素レンズ全体の撮像範囲と同じになる位置に、第一画像撮像部より解像度の高い光学像を撮像する第二撮像素子を設けた第二画像撮像部と、を有する撮像部と、撮像部で撮像された光学像から、立体情報を生成する画像処理部と、を備える構成とし、さらに、画像処理部が、第一要素画像抽出手段と、第二要素画像抽出手段と、要素画像生成手段と、を備える構成とした。
【0012】
かかる構成によれば、立体情報生成装置は、第一撮像素子によって、複数の要素レンズ(例えば、凸レンズ等)を介して、被写体の光学像を撮像する。この第一撮像素子で撮像された光学像は、インテグラルフォトグラフィにおける要素画像が複数撮像される像となる。また、立体情報生成装置は、撮像部の第一撮像素子によって、結像レンズ(例えば、凸レンズ等)を介して、被写体の光学像を撮像する。このとき、立体情報生成装置は、第一画像撮像部の撮像面側にハーフミラーを設けることで、被写体からの光を分割し、第一画像撮像部と第二画像撮像部とをそれぞれ離間させ、一方の画像撮像部を他方の画像撮像部の撮像範囲に入らないようにするとともに、それぞれの画像撮像部で、同一の被写体を同一の方向から撮像することができる。
【0013】
また、第二撮像素子で撮像された光学像を、第一撮像素子で撮像された光学像よりも高い解像度としておくことで、第二撮像素子で撮像された光学像は、第一画像撮像部の中心の要素レンズで撮像した光学像よりも解像度が高くなり、解像度の高い要素画像として利用することができる。
【0014】
そして、立体情報生成装置は、第一要素画像抽出手段によって、第一画像撮像部で撮像された要素レンズごとの光学像を被写体の第一要素画像として抽出する。そして、立体情報生成装置は、第二要素画像抽出手段によって、第二画像撮像部で撮像された光学像を第二要素画像として抽出する。
【0015】
そして、立体情報生成装置は、要素画像生成手段によって、第一要素画像を第二要素画像の画像サイズに拡張し、第一要素画像に隣接する隣接要素画像との視差に相当する分だけ第二要素画像を順次シフトした画像により、拡張された第一要素画像を補完する。これによって、第二撮像素子の解像度で要素画像が順次生成され、第一撮像素子で撮像された要素画像に比べ、解像度の高い要素画像を立体情報として生成することができる。
【0016】
また、請求項2に記載の立体情報生成装置は、請求項1に記載の立体情報生成装置において、要素画像生成手段が、視差検出手段と、視差拡張手段と、シフト処理手段と、補完処理手段と、を備える構成とした。
【0017】
かかる構成によれば、立体情報生成装置は、視差検出手段によって、第一要素画像抽出手段で抽出された第一要素画像ごとに視差を検出する。そして、立体情報生成装置は、視差拡張手段によって、視差検出手段で検出された視差を、第二要素画像抽出手段で抽出された第二要素画像の画像サイズに拡張する。このように拡張された視差は、第二要素画像に対する視差として用いることができる。
【0018】
そして、立体情報生成装置は、シフト処理手段によって、第二要素画像を中心要素画像とし、当該中心要素画像を、視差拡張手段で拡張された視差に基づいて順次シフトすることで、中心要素画像以外の拡張された要素画像であるシフト画像を生成する。
【0019】
そして、立体情報生成装置は、画像拡張手段によって、第一要素画像を、第二要素画像の画像サイズに拡張することで拡張画像を生成する。そして、立体情報生成装置は、補完処理手段によって、画像拡張手段で生成された拡張画像を、シフト手段で生成されたシフト画像で補完することで、要素レンズを介して撮像された要素画像を拡張した立体情報を生成する。
【0020】
さらに、請求項3に記載の立体情報生成装置は、請求項1または請求項2に記載の立体情報生成装置において、第一画像撮像部および第二画像撮像部が、被写体から第一画像撮像部の中央の要素レンズまでの光軸と、被写体から第二画像撮像部の結像レンズまでの光軸とを一致した状態で配置されている構成とした。
【0021】
かかる構成によれば、立体情報生成装置は、第二画像撮像部によって、第一画像撮像部の中央の要素レンズを介して撮像された画像に対して、同一方向から撮像したさらに解像度を高めた画像を撮像することができる。これによって、立体情報生成装置は、立体情報となる複数の要素画像のうちで、中心の要素画像を高解像度化することができる。
【0022】
また、請求項4に記載の立体情報生成プログラムは、撮像面に複数の要素レンズを二次元状に配列するとともに、当該要素レンズに対向する位置に、被写体の光学像を撮像する第一撮像素子を設けた第一画像撮像部と、この第一画像撮像部の撮像面側に設けたハーフミラーを介して、当該ハーフミラーの反射光を集光する結像レンズを第一画像撮像部の撮像範囲外に設け、当該結像レンズに対向し撮像範囲が前記第一画像撮像部の要素レンズ全体の撮像範囲と同じになる位置に、第一画像撮像部より解像度の高い光学像を撮像する第二撮像素子を設けた第二画像撮像部と、を備えた撮像部により撮像された被写体の光学像から、インテグラルフォトグラフィにおける被写体の立体情報を生成するために、コンピュータを、第一要素画像抽出手段、第二要素画像抽出手段、視差検出手段、視差拡張手段、シフト処理手段、補完処理手段、として機能させる構成とした。
【0023】
かかる構成によれば、立体情報生成プログラムは、第一要素画像抽出手段によって、第一画像撮像部で撮像された要素レンズごとの光学像を被写体の第一要素画像として抽出する。そして、立体情報生成プログラムは、第二要素画像抽出手段によって、第二画像撮像部で撮像された光学像を第二要素画像として抽出する。
【0024】
そして、立体情報生成プログラムは、視差検出手段によって、第一要素画像抽出手段で抽出された第一要素画像ごとに視差を検出する。そして、立体情報生成プログラムは、視差拡張手段によって、視差検出手段で検出された視差を、第二要素画像抽出手段で抽出された第二要素画像の画像サイズに拡張する。
【0025】
そして、立体情報生成プログラムは、シフト処理手段によって、第二要素画像を中心要素画像とし、当該中心要素画像を、視差拡張手段で拡張された視差に基づいて順次シフトすることで、中心要素画像以外の拡張された要素画像であるシフト画像を生成する。
【0026】
そして、立体情報生成プログラムは、画像拡張手段によって、第一要素画像抽出手段で抽出された第一要素画像を、第二要素画像の画像サイズに拡張することで拡張画像を生成する。そして、立体情報生成プログラムは、補完処理手段によって、画像拡張手段で生成された拡張画像を、シフト手段で生成されたシフト画像で補完することで、要素レンズを介して撮像された要素画像を拡張した立体情報を生成する。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
請求項1,2,4に記載の発明によれば、結像レンズを介して撮像された解像度の高い要素画像を基準として順次周辺の立体情報(要素画像)を生成するため、第一撮像素子の画素数が少ない場合であっても、インテグラルフォトグラフィにおける解像度の高い立体情報を生成することができる。このため、本発明によれば、撮像対象の被写体がレンズ群から離れた位置に存在する場合であっても、個々の要素画像の解像度を高くすることができ、高解像度の立体像を再生する立体情報を生成することができる。
また、本発明によれば、要素レンズを介して撮像された要素画像を拡張する際に、結像レンズを介して撮像された解像度の高い要素画像により補完するため、拡張された要素画像をより正確に再現することができる。
【0028】
請求項3に記載の発明によれば、被写体から中央の要素レンズまでの光軸と、結像レンズまでの光軸とが一致しているため、中央の要素レンズを介して撮像された要素画像と、結像レンズを介して撮像された高解像度の要素画像とを、同一の被写体を同一の方向から撮像した画像とすることができる。これによって、本発明によれば、要素レンズを介して撮像された中央の要素画像を、結像レンズを介して撮像された解像度の高い要素画像で代替することができ、当該高解像度の要素画像を基準に順次周辺の要素画像を高解像度化することで、同一の被写体を同一方向から撮像した解像度の高い立体情報を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[立体情報生成装置の構成]
まず、図1を参照して、本発明に係る立体情報生成装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る立体情報生成装置の構成を示すブロック図である。
【0030】
立体情報生成装置1は、複数の要素レンズを介して被写体を撮像した要素画像を、インテグラルフォトグラフィにおける被写体の立体情報として生成するものである。ここでは、立体情報生成装置1は、撮像部10と、画像処理部20とを備えている。
【0031】
撮像部10は、複数のレンズによって被写体Hを撮像するものであって、第一画像撮像部11と、第二画像撮像部12とを備えている。
【0032】
第一画像撮像部11は、複眼レンズ(同一平面状に配列された複数の凸レンズ〔要素レンズ13〕)により、被写体Hの光学像を撮像するものである。例えば、第一画像撮像部11は、図2に示すように、要素レンズ13を縦横方向に交互に配置したデルタ配列で、第一画像撮像部11の第一撮像素子14の撮像面に配列する。この要素レンズ13の数は、例えば、数千から数万個以上とする。なお、図2に示した要素レンズ13の配列は、このデルタ配列に限定されるものではなく、例えば、正方格子状に配列することとしてもよい。この第一画像撮像部11で撮像された画像は、画像処理部20に出力される。
【0033】
第二画像撮像部12は、結像レンズ(例えば、凸レンズ)17により、被写体Hの光学像を撮像するものである。なお、第二画像撮像部12は、第一画像撮像部11の撮像面の前面に設置したハーフミラー15を介して、第一画像撮像部11で撮像される撮像範囲と同一の撮像範囲を1つの結像レンズ17を介して撮像する。この第二画像撮像部12で撮像された画像は、画像処理部20に出力される。
【0034】
ここで、図3を参照して、撮像部10の構成について詳細に説明する。図3は、本発明の実施形態に係る立体情報生成装置の撮像部の構成を示す概略上面図である。
【0035】
第一画像撮像部11は、撮像面に複眼レンズとして複数の要素レンズ13を二次元状に配列するとともに、複数の要素レンズ13に対向する位置に、被写体Hの光学像を撮像する第一撮像素子14を設けている。この第一画像撮像部11で撮像された画像には、第一撮像素子14が撮像した要素画像が複数含まれることになる。なお、第一撮像素子14は、素子全体を1つの撮像素子として構成したものであってもよいし、個々の要素レンズ13に対応する位置に要素レンズ13を介して光学像を撮像する微小な撮像素子(要素撮像素子:図示せず)を複数配列して構成してもよい。
【0036】
第二画像撮像部12は、ハーフミラー15と、全反射ミラー16と、結像レンズ17と、第二撮像素子18とを備えて構成している。
【0037】
ハーフミラー15は、被写体Hからの光を透過および反射することで分割するものである。このハーフミラー15で透過した光は、第一撮像素子14で撮像される。また、ハーフミラー15で反射した光は第二撮像素子18で撮像される。
全反射ミラー16は、ハーフミラー15から入射された光を結像レンズ17に対して全反射するものである。
【0038】
結像レンズ17は、全反射ミラー16で全反射された光を集光するものであって、例えば、凸レンズである。
第二撮像素子18は、結像レンズ17によって集光された光を光学像として撮像するものである。この第二画像撮像部12で撮像された画像には、要素画像が1つ含まれることになる。
【0039】
なお、第二画像撮像部12は、被写体Hから第一画像撮像部11の中央の要素レンズ13cまでの光軸と、結像レンズ17までの光軸とが一致した状態で配置されている。また、第二画像撮像部12は、光がハーフミラー15を透過して要素レンズ13に至るまでの距離と、ハーフミラー15で反射して結像レンズ17に至るまでの距離とは、等しい状態で配置される。また、第二撮像素子18は、第一撮像素子14よりも解像度が高いものとする。さらに、第二画像撮像部12は、撮像範囲が第一画像撮像部11の撮像範囲と同じになる位置に、第二撮像素子18を配置している。
【0040】
ここで、さらに、図4を参照(適宜図3参照)して、第一画像撮像部11と第二画像撮像部12とを、撮像範囲が同じになるように配置するための位置関係について説明する。図4は、第一画像撮像部と第二画像撮像部との位置関係を説明するための説明図である。なお、図4では、要素レンズ13のレンズ群上に結像レンズ17を仮想的に重畳した状態を示している。
【0041】
図4に示すように、第一画像撮像部11と第二画像撮像部12との撮像範囲を同一にするには、第一画像撮像部11の両端の要素レンズ13L,13Rが撮像する範囲と、第二画像撮像部12の結像レンズ17が撮像する範囲とが同一であればよい。
【0042】
ここで、1つの要素レンズ13によって第一撮像素子14で撮像される画像の範囲をW、要素レンズ13から第一撮像素子14までの距離をgとすると、要素レンズ13の画角θは、以下の(1)式で表わすことができる。
θ=2ArcTan((W/2)g) …(1)式
【0043】
従って、要素レンズ13のピッチをp、要素レンズ13の数(ここでは、水平方向の数)をkとしたとき、要素レンズ13から距離Lに存在する被写体空間における第一画像撮像部11の撮像範囲Wallは、以下の(2)式で表わすことができる。
all=(k−1)p+Lθ …(2)式
【0044】
一方、結像レンズ17によって第二撮像素子18で撮像される画像の範囲をW、結像レンズ17から第二撮像素子18までの距離をgとすると、結像レンズ17の画角θは、以下の(3)式で表わすことができる。
θ=2ArcTan((W/2)g) …(3)式
【0045】
従って、結像レンズ17から距離Lに存在する被写体空間における第二画像撮像部12の撮像範囲Wobjは、以下の(4)式で表わすことができる。
obj=Lθ …(4)式
【0046】
よって、第一画像撮像部11の撮像範囲Wallと、第二画像撮像部12の撮像範囲Wobjとを同一にするには、前記(1)〜(4)式より、結像レンズ17から第二撮像素子18までの距離gを以下の(5)式に示した距離にすればよい。
【0047】
【数1】

【0048】
このように、第二画像撮像部12は、結像レンズ17から距離Lの位置にフォーカスさせた状態で被写体を撮像する。なお、ここでは、結像レンズ17として凸レンズを例として図示しているが、距離Lが変化した場合であっても、距離gが前記(5)式を満足するためには、結像レンズ17としてズームレンズを用いればよい。また、結像レンズ17には、図示を省略した開口絞り機構を備えることとしてもよい。
【0049】
また、ここでは、撮像部10を、ハーフミラー15で反射された光を全反射ミラー16によって反射させることで、結像レンズ17を介して第二撮像素子18で光学像を撮像する構成としたが、第二画像撮像部12を、ハーフミラー15で反射された光の光路に対して垂直に配置することで、全反射ミラー16を省略して構成してもよい。
【0050】
これによって、第二画像撮像部12は、第一画像撮像部11の撮像範囲の画像を高解像度で撮像することができる。図1に戻って、立体情報生成装置の構成について説明を続ける。なお、撮像部10の構成については、適宜図3を参照することとする。
【0051】
画像処理部20は、撮像部10で撮像された光学像から、インテグラルフォトグラフィにおける被写体Hの立体情報(要素画像)を生成するものである。ここでは、画像処理部20は、第一要素画像抽出手段21と、第二要素画像抽出手段22と、要素画像生成手段23とを備えている。
【0052】
第一要素画像抽出手段21は、第一画像撮像部11の第一撮像素子14で撮像された光学像から、所定領域ごとに被写体Hの要素画像(第一要素画像)を抽出する(切り出す)ものである。この所定領域とは、要素レンズ13ごとに対応する画像領域であって、その画素数は、第一撮像素子14の解像度によって予め定めておく。なお、第一要素画像抽出手段21は、抽出する要素画像を、円形領域として抽出してもよいし、矩形、六角形等の形状の領域として抽出してもよい。また、第一要素画像抽出手段21は、第一撮像素子14が要素レンズ13ごとに対応した要素撮像素子(図示せず)で構成されている場合は、個々の要素撮像素子が撮像した画像を要素画像として抽出することとしてもよい。
【0053】
また、ここでは、第一要素画像抽出手段21は、抽出した要素画像を、各々の画像中心に対して点対称となるように反転処理を行うこととする。これによって、要素画像を表示する際の奥行きの逆転表示を防止することができる。この第一要素画像抽出手段21で抽出された要素画像は、図示を省略したメモリ等の記憶手段に記憶され、要素画像生成手段23によって参照される。
【0054】
第二要素画像抽出手段22は、第二画像撮像部12の第二撮像素子18で撮像された光学像から、所定領域を被写体Hの要素画像(第二要素画像)として抽出する(切り出す)ものである。なお、この第二要素画像は、撮像部10の中心に配置されている要素レンズ13c(図3参照)を介して撮像された要素画像を、高解像度化した画像に相当する。具体的には、図4で説明した要素レンズ13から第一撮像素子14までの距離をg、結像レンズ17から第二撮像素子18までの距離をgとした際に、第二要素画像抽出手段22は、図5に示すように、第一要素画像抽出手段21で抽出した要素画像の大きさ(例えば、水平画素数)Wに対し、以下の(6)式で表される大きさWの領域を第二撮像素子18で撮像された光学像から切り出す。
=W(g/g) …(6)式
【0055】
なお、図5では、第二要素画像抽出手段22が、要素画像を円形領域で抽出する例を示しているが、矩形、六角形等の形状の領域として抽出してもよく、第一要素画像抽出手段21で抽出される要素画像と同一(相似形)の領域を抽出することとする。
【0056】
また、ここでは、第二要素画像抽出手段22は、抽出した要素画像を、各々の画像中心に対して点対称となるように反転処理を行うこととする。これによって、要素画像を表示する際の奥行きの逆転表示を防止することができる。
【0057】
この第二要素画像抽出手段22で抽出された要素画像は、図示を省略したメモリ等の記憶手段に記憶され、高解像度化された中心要素画像(中心高解像度要素画像)として、要素画像生成手段23によって参照される。
【0058】
要素画像生成手段23は、第一要素画像抽出手段21で抽出された要素画像と、第二要素画像抽出手段22で抽出された要素画像(中心高解像度要素画像)とに基づいて、すべての要素画像を、中心高解像度要素画像と同じ解像度の要素画像(高解像度要素画像)に変換するものである。ここでは、要素画像生成手段23は、視差情報生成手段231と、拡張要素画像生成手段232とを備えている。
【0059】
視差情報生成手段231は、撮像部10における第一画像撮像部11の要素レンズ間の視差を、第二要素画像抽出手段22で抽出した中心高解像度要素画像の画像サイズに対応した視差として生成するものである。ここでは、視差情報生成手段231は、視差検出手段231aと、視差拡張手段231bとを備えている。
【0060】
視差検出手段231aは、第一要素画像抽出手段21で抽出された要素画像の隣接する要素画像ごとに、そのずれを示す視差を画素単位で検出するものである。この視差は、ブロックマッチング等により求めることができる。
【0061】
この視差検出手段231aは、複数の要素レンズ13のうちで、左右方向で中心となる要素レンズを基準に左方向、右方向に順次隣接する要素レンズをずらして視差を検出する。なお、視差検出手段231aは、左右方向の中心の要素レンズのうちで上下方向に隣接する要素レンズについては、上下左右で中心となる要素レンズに対して、上下方向に隣接する要素レンズとの視差を、順次要素レンズを上下方向にずらして検出しておくこととする。
【0062】
視差拡張手段231bは、視差検出手段231aで検出された画素ごとの視差を、第二要素画像抽出手段22で抽出された中心高解像度要素画像の画像サイズに対する視差に拡張するものである。すなわち、視差拡張手段231bは、中心高解像度要素画像の画像サイズ分の画像データ内に前記(6)式に応じた割合で画素ごとの視差を割り当てることで拡張した視差(拡張視差)を生成する。この視差拡張手段231bで生成された拡張視差は、図示を省略したメモリ等の記憶手段に記憶され、拡張要素画像生成手段232によって参照される。
【0063】
ここで、図6を参照(適宜図1参照)して、視差情報生成手段231の視差情報を生成する手法について説明する。図6は、視差情報生成手段が視差情報を生成する手法を模式的に示した説明図である。図6に示すように、視差検出手段231aは、隣接する要素画像(a),(b)のずれを、(c)に示す視差画像として生成し、そのずれ方向とともに視差情報とする。なお、このずれ方向は画素ごとに対応付けておくこととする。
【0064】
そして、視差拡張手段231bは、(c)に示した視差画像を、中心高解像度要素画像の画像サイズの視差画像に拡張する。例えば、中心高解像度要素画像が、第一要素画像抽出手段21で抽出された要素画像の4倍の画素で構成されている場合、図6に示すように、視差拡張手段231bは、画素ごとの視差を4倍の画素位置に割り当てる。
【0065】
そして、視差拡張手段231bは、それぞれの画素位置に割り当てた視差を、画像サイズに応じて変更する。例えば、中心高解像度要素画像が第一要素画像抽出手段21で抽出された要素画像の縦横ともに2倍の画素数を有している場合、図6に示すように、視差拡張手段231bは、画素ごとの視差を縦横ともに2倍することで、(d)に示した拡張視差画像(拡張視差情報)を生成する。これによって、視差検出手段231aで検出された視差が、中心高解像度要素画像の画像サイズに対する視差画像に拡張されたことになる。図1に戻って、立体情報生成装置の構成について説明を続ける。
【0066】
拡張要素画像生成手段232は、第一要素画像抽出手段21で抽出された要素画像から高解像度化した画像(高解像度要素画像)を生成するものである。なお、この拡張要素画像生成手段232は、第二要素画像抽出手段22で抽出された要素画像(中心高解像度要素画像)を基準に、順次、周辺に隣接する拡張された要素画像を生成する。ここでは、拡張要素画像生成手段232は、シフト処理手段232aと、画像拡張手段232bと、補完処理手段232cと、内挿処理手段232dとを備えている。
【0067】
シフト処理手段232aは、高解像度化された要素画像の各画素を、視差拡張手段231bで拡張された視差情報に基づいて視差分だけシフトすることで、隣接する拡張された要素画像(シフト画像)を生成するものである。なお、このシフト処理手段232aは、第二要素画像抽出手段22で抽出された中心要素画像(中心高解像度要素画像)を基準に、順次、シフト処理を行う。
【0068】
画像拡張手段232bは、第一要素画像抽出手段21で抽出された要素画像を、第二要素画像抽出手段22で抽出された中心高解像度要素画像の画像サイズに拡張することで拡張画像を生成するものである。すなわち、画像拡張手段232bは、第一要素画像抽出手段21で抽出された要素画像を、中心高解像度要素画像の画像サイズ分の画像データ内に前記(6)式に応じた割合で割り当てることで拡張画像を生成する。なお、この段階では、拡張画像は割り当てられなかった画素は、欠落した状態となっている。
【0069】
補完処理手段232cは、画像拡張手段232bで生成された拡張された要素画像において、欠落している画素を、シフト処理手段232aによって生成されたシフト画像で補完するものである。
【0070】
内挿処理手段232dは、補完処理手段232cによっても、まだ補完されない画素について、欠落した画素を、内挿によって埋めるものである。この内挿処理手段232dは、欠落した画素の画素値を、例えば、周辺の画素値を線形内挿処理することによって求める。なお、補完処理手段232cによっても補完されない画素とは、例えば、補完すべき画素に対応するシフト処理手段232aによって生成された高解像度要素画像の画素が、シフト処理によって存在していない画素となっている場合である。
【0071】
ここで、図7を参照(適宜図1参照)して、拡張要素画像生成手段232が行う処理について具体的に説明する。図7は、拡張要素画像生成手段が、ある高解像度化された要素画像に隣接する要素画像を生成する仕組みを説明するための説明図である。なお、図7の(a)〜(d)には、図6で説明した視差情報生成手段231の拡張視差情報を生成する処理を併せて記載している。
【0072】
図7に示すように、拡張要素画像生成手段232は、まず、シフト処理手段232aによって、(d)の拡張視差情報の差分領域において「左方向に2画素」の視差を有していることを意味している場合、(e)に示したすでに高解像度化された要素画像の各画素において、(d)の拡張視差情報の差分領域に対応する領域を左方向に2画素分シフトすることで、(f)に示す隣接する拡張された要素画像を生成する。
【0073】
なお、シフト処理手段232aは、例えば、拡張視差情報において、図8に示すように、拡張視差画像の右端において「左方向に2画素」のような視差を有している場合、第二画像撮像部12で撮像した画像のうちで、中心高解像度要素画像の外側から画像をシフトすることとする。
【0074】
そして、拡張要素画像生成手段232は、画像拡張手段232bによって、(b)に示した第一要素画像抽出手段21で抽出された要素画像の各画素を、中心高解像度要素画像の画像サイズ分の画像データ内に前記(6)式に応じた割合で割り当てることで(g)に示した拡張画像を生成する。なお、例えば、中心高解像度要素画像が、第一要素画像抽出手段21で抽出された要素画像の4倍の画素で構成されている場合、(g)に示すように、拡張画像は全画素の4分の1だけが割り当てられ、4分の3の画素が欠落した状態となっている。
【0075】
そして、補完処理手段232cは、欠落している4分の3の画素について、シフト処理手段232aで生成された(f)に示した高解像度要素画像のうちの対応する画素を割り当て、(g)の拡張画像に対して補完を行うことで、(h)に示す高解像度要素画像を生成する。このように、補完処理手段232cは、シフト処理手段232aで生成された(f)に示す要素画像よりも、画像拡張手段232bで生成された(g)に示す拡張画像を優先して画素を割り当てることで、より精度の高い要素画像を生成することができる。なお、この補完処理によっても、欠落した画素が存在する場合は、内挿処理手段232dによって画像が補完される。
【0076】
これによって、拡張要素画像生成手段232は、第一要素画像抽出手段21で抽出された要素画像を、第二要素画像抽出手段22で抽出された中心高解像度要素画像の解像度に合わせて高解像度化し、高解像度要素画像〔立体情報〕を生成することができる。
【0077】
以上説明したように、立体情報生成装置1は、第二画像撮像部12に設けた結像レンズによって、要素レンズで撮像した要素画像よりも解像度の高い要素画像を基準として、すべての要素画像を高解像度化することができる。これによって、立体情報生成装置1は、要素レンズで撮像された要素画像の解像度が低い場合であっても、被写体の立体像を再生するために必要な立体情報すべての要素画像を高解像度化することができる。
【0078】
なお、立体情報生成装置1の画像処理部20は、図示を省略したCPUやメモリを搭載した一般的なコンピュータで実現することができる。このとき、立体情報生成装置1の画像処理部20は、コンピュータを前記した各手段として機能させる立体情報生成プログラムによって動作する。
【0079】
[立体情報生成装置の動作]
次に、図9,10を参照(構成については、適宜図1,3参照)して、本発明に係る立体情報生成装置の動作について説明する。図9は、本発明の実施形態に係る立体情報生成装置の全体動作を示すフローチャートである。図10は、本発明の実施形態に係る立体情報生成装置の要素画像生成手段の動作を示すフローチャートである。
【0080】
〔全体動作〕
まず、立体情報生成装置1は、撮像部10によって、被写体Hを撮像する(ステップS1)。具体的には、このステップS1において、立体情報生成装置1の撮像部10は、第一画像撮像部11の複数の微小な凸レンズ〔要素レンズ13〕を介して、第一撮像素子14によって、被写体Hの光学像を撮像する。また、立体情報生成装置1の撮像部10は、第二画像撮像部12の結像レンズ17を介して、第二撮像素子18によって、被写体Hの光学像を撮像する。
【0081】
その後、立体情報生成装置1は、画像処理部20において、撮像部10で撮像された光学像から、被写体の立体情報を生成する。
まず、立体情報生成装置1は、第一要素画像抽出手段21によって、ステップS1で第一撮像素子14により撮像された光学像から、要素レンズ13ごとに対応する画像を切り出し、その切り出した画像を、中心に対して点対称となるように反転処理を行うことで、要素画像として抽出する(ステップS2)。このステップS2で抽出された要素画像は、要素レンズ13の数だけ複数抽出されることになる。
【0082】
また、立体情報生成装置1は、第二要素画像抽出手段22によって、ステップS1で第二撮像素子18により撮像された光学像から、要素レンズ13から第一撮像素子14までの距離と、結像レンズ17から第二撮像素子18までの距離との比に応じて、前記(6)式に示した大きさの画像を切り出し、その切り出した画像を、中心に対して点対称となるように反転処理を行うことで、要素画像(高解像度要素画像)として抽出する(ステップS3)。
【0083】
このステップS3で抽出された高解像度要素画像は、ステップS2で抽出された要素画像よりも解像度が高いものとなる。また、ステップS3で抽出された高解像度要素画像は、撮像部10の中央の要素レンズで撮像された要素画像を高解像度化した画像(中心高解像度要素画像)に相当する。なお、ステップS2およびステップS3は、この順番で動作する必要はなく、順序を変えて動作させてもよいし、並列して動作させてもよい。
【0084】
そして、立体情報生成装置1は、要素画像生成手段23によって、ステップS2で抽出された複数の要素画像と、ステップS3で抽出された中心高解像度要素画像とに基づいて、すべての要素画像を、中心高解像度要素画像と同じ解像度の要素画像(高解像度要素画像)に変換する(高解像度化処理:ステップS4)。このステップS4の高解像度化処理については、図10を参照して詳細に説明する。
【0085】
〔高解像度化処理〕
まず、立体情報生成装置1は、視差情報生成手段231の視差検出手段231aによって、ステップS2(図9)で抽出された各要素画像に隣接する要素画像ごとに、そのずれを示す視差(視差情報)を画素単位で検出する(ステップS11)。
【0086】
そして、立体情報生成装置1は、視差拡張手段231bによって、ステップS11で検出された視差情報を、ステップS3(図9)で抽出された高解像度要素画像の画像サイズに対する視差に拡張することで、拡張視差を生成する(ステップS12)。
【0087】
その後、立体情報生成装置1は、拡張要素画像生成手段232のシフト処理手段232aによって、拡張対象に隣接するすでに拡張されている高解像度要素画像の各画素を、ステップS12で拡張された視差(拡張視差)に基づいて視差分だけシフトすることで、隣接したシフト画像を生成する(ステップS13)。
【0088】
そして、立体情報生成装置1は、画像拡張手段232bによって、ステップS2(図9)で抽出された要素画像のうちで、すでに高解像度化された要素画像に隣接する要素画像を拡張対象として、中心高解像度要素画像の画像サイズに拡張することで、拡張画像を生成する(ステップS14)。
【0089】
そして、立体情報生成装置1は、補完処理手段232cによって、ステップS14で生成された拡張画像において、欠落している画素を、ステップS13で生成されたシフト画像で補完する(ステップS15)。なお、このとき、立体情報生成装置1は、ステップS15において、補完されなかった画素については、内挿処理手段232dによって、内挿によって画素を補完する。
【0090】
ここで、立体情報生成装置1は、拡張要素画像生成手段232によって、ステップS2(図9)で抽出された要素画像をすべて高解像度化したか否かを判定する(ステップS16)。そして、立体情報生成装置1は、高解像度要素画像をすべて生成した場合(ステップS16でYes)には、動作を終了する。
【0091】
一方、ステップS2(図9)で抽出された要素画像をすべて高解像度要素画像としていない場合(ステップS16でNo)には、立体情報生成装置1は、ステップS12に戻って、すでに生成した高解像度要素画像に隣接する要素画像を生成対象として、すべての要素画像について順次高解像度化する。
【0092】
以上の動作によって、立体情報生成装置1は、要素レンズ13を介して撮像された要素画像を、結像レンズ17を介して撮像された高解像度の要素画像に基づいて高解像度化することができる。これによって、立体情報生成装置1は、第一画像撮像部11の第一撮像素子14における個々の要素画像の解像度が低い場合であっても、要素画像を高解像度化することができ、インテグラルフォトグラフィ方式における高精細な立体像を再生することが可能な立体情報(要素画像)を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態に係る立体情報生成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】要素レンズの配置を説明するため第一画像撮像部の正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る立体情報生成装置の撮像部の構成を示す概略上面図である。
【図4】第一画像撮像部と第二画像撮像部との位置関係を説明するための説明図である。
【図5】第一要素画像抽出手段で抽出された要素画像と、第二要素画像抽出手段で抽出された要素画像の関係を説明するための説明図である。
【図6】視差情報生成手段が視差情報を生成する手法を模式的に示した説明図である。
【図7】拡張要素画像生成手段が、ある高解像度化された要素画像に隣接する要素画像を生成する仕組みを説明するための説明図である。
【図8】視差情報の他の例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る立体情報生成装置の全体動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態に係る立体情報生成装置の要素画像生成手段の動作を示すフローチャートである。
【図11】従来のIP方式の概念を説明するための説明図であって、(a)は撮像時、(b)は表示時の状態を示している。
【符号の説明】
【0094】
1 立体情報生成装置
10 撮像部
11 第一画像撮像部
12 第二画像撮像部
13 要素レンズ
14 第一撮像素子
15 ハーフミラー
16 全反射ミラー
17 結像レンズ
18 第二撮像素子
20 画像処理部
21 第一要素画像抽出手段
22 第二要素画像抽出手段
23 要素画像生成手段
231 視差情報生成手段
231a 視差検出手段
231b 視差拡張手段
232 拡張要素画像生成手段
232a シフト処理手段
232b 画像拡張手段
232c 補完処理手段
232d 内挿処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の要素レンズを介して被写体を撮像した要素画像を、インテグラルフォトグラフィにおける前記被写体の立体情報として生成する立体情報生成装置において、
撮像面に前記複数の要素レンズを二次元状に配列するとともに、当該要素レンズに対向する位置に、前記被写体の光学像を撮像する第一撮像素子を設けた第一画像撮像部と、
この第一画像撮像部の撮像面側に設けたハーフミラーを介して、当該ハーフミラーの反射光を集光する結像レンズを前記第一画像撮像部の撮像範囲外に設け、当該結像レンズに対向し撮像範囲が前記第一画像撮像部の要素レンズ全体の撮像範囲と同じになる位置に、前記第一画像撮像部より解像度の高い光学像を撮像する第二撮像素子を設けた第二画像撮像部と、を有する撮像部と、
前記撮像部で撮像された光学像から、前記立体情報を生成する画像処理部と、を備え、
前記画像処理部は、
前記第一画像撮像部で撮像された前記要素レンズごとの光学像を前記被写体の第一要素画像として抽出する第一要素画像抽出手段と、
前記第二画像撮像部で撮像された光学像を第二要素画像として抽出する第二要素画像抽出手段と、
前記第一要素画像を前記第二要素画像の画像サイズに拡張し、前記第一要素画像に隣接する隣接要素画像との視差に相当する分だけ前記第二要素画像を順次シフトした画像により前記拡張された第一要素画像を補完することで、前記立体情報を生成する要素画像生成手段と、
を備えることを特徴とする立体情報生成装置。
【請求項2】
前記要素画像生成手段は、
前記第一要素画像抽出手段で抽出された第一要素画像ごとに視差を検出する視差検出手段と、
この視差検出手段で検出された視差を、前記第二要素画像抽出手段で抽出された第二要素画像の画像サイズに拡張する視差拡張手段と、
前記第二要素画像を中心要素画像とし、当該中心要素画像を、前記視差拡張手段で拡張された視差に基づいて順次シフトすることで、周辺方向の拡張された要素画像であるシフト画像を生成するシフト処理手段と、
前記第一要素画像を、前記第二要素画像の画像サイズに拡張することで拡張画像を生成する画像拡張手段と、
この画像拡張手段で生成された拡張画像を、前記シフト手段で生成されたシフト画像で補完することで、前記要素レンズを介して撮像された要素画像を拡張した前記立体情報を生成する補完処理手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の立体情報生成装置。
【請求項3】
前記第一画像撮像部および前記第二画像撮像部は、
前記被写体から前記第一画像撮像部の中央の要素レンズまでの光軸と、前記被写体から前記第二画像撮像部の結像レンズまでの光軸とを一致した状態で配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の立体情報生成装置。
【請求項4】
撮像面に複数の要素レンズを二次元状に配列するとともに、当該要素レンズに対向する位置に、被写体の光学像を撮像する第一撮像素子を設けた第一画像撮像部と、この第一画像撮像部の撮像面側に設けたハーフミラーを介して、当該ハーフミラーの反射光を集光する結像レンズを前記第一画像撮像部の撮像範囲外に設け、当該結像レンズに対向し撮像範囲が前記第一画像撮像部の要素レンズ全体の撮像範囲と同じになる位置に、前記第一画像撮像部より解像度の高い光学像を撮像する第二撮像素子を設けた第二画像撮像部と、を備えた撮像部により撮像された被写体の光学像から、インテグラルフォトグラフィにおける前記被写体の立体情報を生成するために、コンピュータを、
前記第一画像撮像部で撮像された前記要素レンズごとの光学像を前記被写体の第一要素画像として抽出する第一要素画像抽出手段、
前記第二画像撮像部で撮像された光学像を第二要素画像として抽出する第二要素画像抽出手段、
前記第一要素画像抽出手段で抽出された第一要素画像ごとに視差を検出する視差検出手段、
この視差検出手段で検出された視差を、前記第二要素画像抽出手段で抽出された第二要素画像の画像サイズに拡張する視差拡張手段、
前記第二要素画像を中心要素画像とし、当該中心要素画像を、前記視差拡張手段で拡張された視差に基づいて順次シフトすることで、周辺方向の拡張された要素画像であるシフト画像を生成するシフト処理手段、
前記第一第一要素画像を、前記第二要素画像の画像サイズに拡張することで拡張画像を生成する画像拡張手段、
この画像拡張手段で生成された拡張画像を、前記シフト手段で生成されたシフト画像で補完することで、前記要素レンズを介して撮像された要素画像を拡張した前記立体情報を生成する補完処理手段、
として機能させることを特徴とする立体情報生成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−271305(P2009−271305A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121374(P2008−121374)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】