説明

立体画像変換装置およびそのプログラム

【課題】被写体の撮影および表示に用いる光学的な装置に依存することなく演算処理を用いて被写体の凹凸と同じ再生像の大きさの比率を制御できる技術を提供する。
【解決手段】立体画像変換装置10は、第1要素画像群の光波を要素画像毎に分配する分配手段11と、分配された要素画像の光波を第1の仮想的な開口群を通過してこれと開口ピッチの異なる第2の仮想的な開口群へ伝搬する光波に変換する第1要素画像変換手段12と、この変換されたそれぞれの要素画像の光波を第2の仮想的な開口群の入射面で加算する加算手段13と、加算された光波を第2要素画像群を構成する要素画像毎に再分配する再分配手段14と、再分配された要素画像の光波を第2の仮想的な開口群を通過して結像するまでの距離だけ伝搬した光波に変換する第2要素画像変換手段15と、この変換された光波を結合することで第2要素画像群を生成する結合手段16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアレイや空間フィルタアレイを通して被写体を撮影することで取得した立体情報を、再生像を表示するために用いる画像情報へと変換する立体画像変換装置に係り、特に、立体画像として表示されたときに被写体の凹凸と同じで像の大きさが変化した再生像となる画像情報へと変換する立体画像変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズアレイ(微小な光学素子アレイ)や空間フィルタ(微小な開口アレイ)を通して被写体の立体情報を取得する手法のうち、微小な光学素子アレイを用いて立体画像を撮像および表示する装置として、インテグラルフォトグラフィ(IP:Integral Photography)方式が知られている。
【0003】
ここで、図6(a),図6(b)を用いてIP方式に基づく通常の立体画像撮影について説明する。図6(a)に示す立体画像撮影装置は、矢印で示す撮影方向114から、例えば、凸レンズで構成されたレンズ群112を通して被写体111を撮影する。ここで、撮影方向114は、立体画像撮影装置がレンズ群112の前方(図6(a)では左方)に配置された被写体111を撮影する方向である。このとき、レンズ群112の後方(図6(a)では右方)の撮影板113には、レンズ群112を構成する凸レンズの個数と同じ個数だけ被写体111の像、例えば、像115が結像する。ここで、撮影板113は、基板上に配設された複数の撮像素子を備えて構成された情報取得デバイスである。各撮像素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)撮像素子である。
【0004】
図6(b)は、一平面状に凸レンズを配列したレンズ群122と表示素子123により構成される立体画像表示装置、および立体像121、観察方向124、レンズ群の像125を示す図である。ここで、表示素子123には、図6(a)に示した立体画像撮影装置の撮影板113により撮影された像115に対応する像125を表示する。この表示素子123は、例えば液晶パネル等の情報表示デバイスから構成されている。立体画像表示装置の動作の結果、図6(b)に示すように、被写体111が存在した場所と同じ位置に立体像121が生成される。ただし、立体像121は逆視像として生成される。すなわち、図6(a)に示すように、撮影方向114から見た場合には、被写体111の円柱が角柱に対して手前に存在している。ところが、図6(b)に示すように、被写体111に対応する立体像121では、観察方向124から見て、角柱が円柱の手前に生成されている。つまり、被写体と比較して奥行きが反転した逆視像が生成される。
【0005】
なお、図6(a),図6(b)には微小な光学素子アレイとしてレンズ群を表示し、このレンズ群を用いて被写体の立体情報の取得および表示を行うものとして動作を説明したが、微小な光学素子アレイとしては微小開口アレイ(空間フィルタ)を使用してもよい。
【0006】
図6(a)において、被写体111の角柱の大きさ(高さ)をxc、レンズ群112から被写体111の角柱までの距離をzc、レンズ群112から像115が撮影される面までの距離をdc、レンズ群112を構成する凸レンズピッチをpc、レンズ群112を構成する凸レンズにより生成される被写体の像の大きさ(高さ)をkcとする。また、図6(b)において、立体像121の角柱の大きさ(高さ)をxr、レンズ群122から立体像121の角柱までの距離をzr、レンズ群122から像125が表示きれる面までの距離をdr、レンズ群122を構成する凸レンズピッチをpr、表示素子123に表示される個々の像の大きさ(高さ)をkrとする。この場合、xcとxrとの関係は、非特許文献1により式(101)で表わされる。
【0007】
【数1】

【0008】
前記した式(102a)〜式(102c)の関係から、図6(a)に示した立体画像撮影装置のレンズ群112を構成する凸レンズのピッチpと、図6(b)に示した立体画像表示装置のレンズ群122を構成する凸レンズのピッチprとを異なるものとすることで、被写体111に対する立体像121の大きさの比率xr/xを制御できることが導かれる。また、同様に、撮影された被写体の像115の大きさkと、表示する像125の大きさkとを変化させることで、被写体111に対する立体像121の大きさの比率xr/xを制御できることが導かれる。
【0009】
また、従来、被写体と比較して奥行きが反転した逆視像が生成される問題を解決するために、図6(a)に示した立体画像撮影装置で取得した情報を演算処理し、演算処理した後の情報を、図6(b)に示す立体画像表示装置に入力し、最終的に正しい奥行きの立体像を生成する立体画像奥行き変換装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0010】
特許文献1で開示されている立体画像奥行き変換装置について図7(a)および図7(b)を参照して説明する。図7(a)は、図6(a)で取得した像131、第1の仮想的なレンズアレイ132、仮想的に生成される立体像133、第2の仮想的なレンズアレイ134、第2の仮想的なレンズアレイ134により生成される像135(仮想的に生成された立体像133の像)を示す図である。ここで、像135は、光学的に生成されるものではなく、立体画像奥行き変換装置の演算処理により生成される。
【0011】
図7(b)は、図7(a)で演算処理により生成された像141(つまり図7(a)における像135)、一平面状に凸レンズを配列したレンズ群142、立体像143、観察方向144を示す図である。図7(b)に示すように、例えば図6(b)の立体画像表示装置の動作の結果、観察方向144から見て、円柱が角柱に対して手前に観察されることとなる。立体像143は、図6(a)における被写体の奥行き関係と等価である。
【特許文献1】特開2007−114483号公報(段落0056、図4)
【非特許文献1】J. Opt. Soc. Am. A,Vol. 21,pp.951-958,2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載された方法に、前記した式(102a)〜式(102c)の関係から導かれる立体像の大きさの比率を制御する方法を組み合わせれば、逆視像が生成される問題を解決しつつ、正しい奥行きの立体像を生成することが可能である。しかしながら、この場合には、被写体111に対する立体像121の大きさの比率xr/xを変化させようとするときに、比率xr/xに応じて、レンズ群122(あるいはレンズ群112)を変更する必要が生じてしまう。このように比率xr/xに応じて光学系の装置を変更しなればならないと、例えば、立体テレビジョン方式において、被写体に対する大きさを所望の大きさに変化させた再生像を表示して演出効果を高める、といったことが困難となってしまう。
【0013】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、被写体の撮影および表示に用いる光学的な装置に依存することなく、演算処理を用いて被写体の凹凸と同じ再生像の大きさの比率を制御できる立体画像変換装置およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載の立体画像変換装置は、立体画像として表示されたときに被写体の凹凸が反転した再生像となる第1要素画像群の光波を変換し、立体画像として表示されたときに前記被写体の凹凸と同じで像の大きさが変化した再生像となる第2要素画像群を生成する立体画像変換装置であって、分配手段と、第1要素画像変換手段と、加算手段と、再分配手段と、第2要素画像変換手段と、結合手段とを備えることとした。
【0015】
かかる構成によれば、立体画像変換装置は、分配手段によって、前記第1要素画像群の光波を要素画像毎に分配する。ここで、光波とは、映像信号を光の波動として扱った場合の振幅と位相を複素数で表わしたものである。そして、立体画像変換装置は、第1要素画像変換手段によって、分配手段で分配された要素画像の光波を、第1の仮想的な開口群を通過して前記第1の仮想的な開口群と開口のピッチの異なる第2の仮想的な開口群へ伝搬する光波に変換する。ここで、開口とは、レンズ等の光学素子やピンホール等の空間フィルタのことをいう。そして、立体画像変換装置は、加算手段によって、第1要素画像変換手段で変換されたそれぞれの要素画像の光波を前記分配された数だけ、前記第2の仮想的な開口群の入射面で加算する。したがって、第2の仮想的な開口群の入射面において、第1要素画像群のそれぞれの要素画像が変化を受けた結果として、要素画像群の中間生成段階の状態となる。そして、立体画像変換装置は、再分配手段によって、加算手段で加算された光波を、前記第2要素画像群を構成する要素画像毎に再分配する。そして、立体画像変換装置は、第2要素画像変換手段によって、再分配手段で分配された要素画像の光波を、前記第2の仮想的な開口群を通過して結像するまでの距離だけ伝搬した光波に変換する。したがって、第2の仮想的な開口群を通過することでそれぞれの要素画像が変化を受けた結果として、いわば再撮影された要素画像の状態となる。そして、立体画像変換装置は、結合手段によって、第2要素画像変換手段で変換された光波を、前記再分配された数だけ結合することで、前記第2要素画像群を生成する。したがって、立体画像変換装置は、撮影装置で撮影された要素画像群の光をあたかも光学的に表示して再撮影したかのような演算処理を実行する。このとき、光波は、開口のピッチが互いに異なる2つの仮想的な開口群を通過するので、第1要素画像群の領域の長さと、第2要素画像群の領域の長さとが異なることとなる。そのため、この第2要素画像群が立体画像として表示された場合に、第1要素画像群が立体画像として表示された場合とは像の大きさが異なる再生像を表示することが可能となる。その結果、立体画像変換装置は、第2要素画像群を立体画像として表示する立体画像表示装置の光学系を変化させることなく、2つの仮想的な開口群のピッチの比を変化させることで、被写体の大きさから変化させた自由な大きさの再生像を表示させる第2要素画像群を生成することができる。
【0016】
また、請求項2に記載の立体画像変換装置は、請求項1に記載の立体画像変換装置において、反転情報生成手段をさらに備えることした。
【0017】
かかる構成によれば、立体画像変換装置は、反転情報生成手段によって、立体画像として表示されたときに被写体の凹凸と同じ再生像となる要素画像群を構成する個々の要素画像をそれぞれ点対称に反転させることで前記第1要素画像群を生成する。そして、立体画像変換装置は、分配手段によって、前記反転情報生成手段で生成された第1要素画像群の光波を要素画像毎に分配する。
【0018】
また、請求項3に記載の立体画像変換プログラムは、立体画像として表示されたときに被写体の凹凸が反転した再生像となる第1要素画像群の光波を変換し、立体画像として表示されたときに前記被写体の凹凸と同じで像の大きさが変化した再生像となる第2要素画像群を生成するために、コンピュータを、分配手段、第1要素画像変換手段、加算手段、再分配手段、第2要素画像変換手段、結合手段として機能させることとした。
【0019】
かかる構成によれば、立体画像変換プログラムは、分配手段によって、前記第1要素画像群の光波を要素画像毎に分配し、第1要素画像変換手段によって、分配手段で分配された要素画像の光波を、第1の仮想的な開口群を通過して前記第1の仮想的な開口群とは開口のピッチの異なる第2の仮想的な開口群へ伝搬する光波に変換する。そして、立体画像変換プログラムは、加算手段によって、第1要素画像変換手段で変換されたそれぞれの要素画像の光波を前記分配された数だけ、前記第2の仮想的な開口群の入射面で加算する。そして、立体画像変換プログラムは、再分配手段によって、加算手段で加算された光波を、前記第2要素画像群を構成する要素画像毎に再分配し、第2要素画像変換手段によって、再分配手段で分配された要素画像の光波を、前記第2の仮想的な開口群を通過して結像するまでの距離だけ伝搬した光波に変換する。そして、立体画像変換プログラムは、結合手段によって、第2要素画像変換手段で変換された光波を、前記再分配された数だけ結合することで、前記第2要素画像群を生成する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以下に示す効果を奏するものである。
請求項1に記載の発明によれば、立体画像変換装置は、表示されたときに被写体の凹凸が反転した再生像となるような第1要素画像群を、その要素画像の光波が、開口ピッチの異なる2つの開口群を仮想的に通過したものとして演算処理することで、被写体の凹凸と同じで像の大きさを所望の大きさに変化させた像を再生するような第2要素画像群へと変換することができる。したがって、被写体の撮影および表示に用いる光学的な装置に依存することなく、被写体の再生像の大きさの比率を制御できる。そのため、立体像の大きさを変化させる際に、レンズやピンホールなどを変更する必要が生じないという利点を有する。
【0021】
また、請求項1に記載の発明によれば、立体画像変換装置は、第1要素画像群を、被写体に対する大きさが任意に制御された立体像に対応する第2要素画像群へと変換できるため、被写体に対する大きさが任意に制御された再生像を表示する際に、立体画像の演出効果を高めることができる。
【0022】
また、請求項2に記載の発明によれば、立体画像変換装置は、変換するために入力される要素画像群が、被写体の凹凸が反転した像を再生するものであっても、被写体の凹凸と同じ像を再生するものであってもどちらでも、被写体の凹凸と同じ像を再生する第2要素画像群へと変換できる。
【0023】
また、請求項3に記載の発明によれば、立体画像変換プログラムをインストールされたコンピュータは、このプログラムに基づいた各機能を実現することで、立体画像変換装置と同等の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の立体画像変換装置を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という)について詳細に説明する。
る。
【0025】
[立体画像変換装置の構成の概要]
まず、本実施形態の立体画像変換装置の構成の概要について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る立体画像変換装置の一例を模式的に示す構成図である。
【0026】
立体画像変換装置10は、立体画像として表示されたときに被写体の凹凸が反転した再生像となる第1要素画像群の光波を変換し、立体画像として表示されたときに被写体の凹凸と同じで像の大きさが変化した再生像となる第2要素画像群を生成するものである。この立体画像変換装置10に入力される第1要素画像群は、立体画像撮影装置20において、CCD等の撮像素子によって撮影された映像信号である。この立体画像変換装置10で生成された第2要素画像群は、立体画像表示装置30において、液晶パネル等の情報表示デバイスに表示される。立体画像撮影装置20および立体画像表示装置30としては、例えば、図6(a)および図6(b)に例示した構成を採用することができる。
【0027】
立体画像変換装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置(記憶手段)と、マウスやキーボード等の外部から情報の入力を検出する入力装置と、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介して各種情報の送受信を行うインタフェース装置と、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置を備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとから構成される。この立体画像変換装置10は、ハードウェア装置とソフトウェアとが協働することによって、前記したハードウェア資源がプログラムによって制御されることにより、図1に示す分配手段11と、第1要素画像変換手段12と、加算手段13と、再分配手段14と、第2要素画像変換手段15と、結合手段16とが実現される。
【0028】
分配手段11は、第1要素画像群の光波を要素画像毎に分配するものである。ここでは、分配された要素画像をm(−M≦m≦M)で識別することとする。第1要素画像変換手段12は、この分配された例えば(2M+1)個の要素画像毎に機能する。そして、分配された要素画像mは、その後、加算手段13で加算され、再分配手段14で再び分配される。このとき再分配された要素画像をn(−N≦n≦N)で識別することとする。第2要素画像変換手段15は、この再分配された例えば(2N+1)個の要素画像毎に機能する。そして、再分配された要素画像nは、その後、結合手段16で結合され第2要素画像群が生成されることとなる。
【0029】
[立体画像変換装置の演算処理で想定する仮想的な開口群の概要]
次に、本実施形態の立体画像変換装置の演算処理で想定する仮想的な開口群の概要について図2を参照(適宜図1参照)して説明する。図2は、この立体画像変換装置の演算処理で想定する仮想的な開口群の一例を模式的に示す説明図である。図1に示す第1要素画像変換手段12は、分配手段11で分配された要素画像の光波を、第1の仮想的な開口群41(図2参照)を通過して第2の仮想的な開口群42(図2参照)へ伝搬する光波に変換する。ここで、光波とは、映像信号を光の波動として扱った場合の振幅と位相を複素数で表わしたものである。また、開口群を構成する要素(開口)は、レンズ等の光学素子やピンホール等の空間フィルタのことを意味する。以下では、開口を図2に示すように凸レンズ(要素レンズ)で表すこととする。また、図2に示すように、第1の仮想的な開口群41と第2の仮想的な開口群42とは所定距離Lだけ離間している。図2のように第1の仮想的な開口群41が仮想的なレンズアレイであれば、この所定距離Lは、要素レンズの焦点距離とすることができる。なお、第1および第2の仮想的な開口群41,42は実際には存在せず、立体画像変換装置10が演算処理を行うために想定したものである。
【0030】
図2において、第1要素画像群の光波は、第1の要素画像面43から出射して、図2において厚み方向を示した平面状の第1および第2の仮想的な開口群41,42を、左から右へ通過して第2の要素画像面44に入射する。また、k1は第1要素画像群におけるm番目の要素画像の領域を示し、d1は第1要素画像群(第1の要素画像面43)から第1の仮想的な開口群41までの距離を示す。同様に、kは第2要素画像群におけるn番目の要素画像の領域を示し、dは第2の仮想的な開口群41から第2要素画像群(第2の要素画像面44)までの距離を示す。
【0031】
また、図2において、p1は第1の仮想的な開口群41を形成する要素レンズのピッチを示し、pは第2の仮想的な開口群42を形成する要素レンズのピッチを示す。本実施形態では、以下の式(1)で表わされるピッチの比ΦをΦ≠1として設定する。つまり、第1および第2の仮想的な開口群41,42の要素レンズ(開口)のピッチは異なる。なお、図2では、Φ<1の状態が図示されているが、Φ>1と設定してもよい。
【0032】
【数2】

【0033】
[立体画像変換装置の詳細な構成]
<分配手段>
分配手段11は、入力された映像信号(第1要素画像群の光波)を要素画像単位に分割する。入力された映像信号(第1の要素画像面43から出射する光波)は、第1要素画像群を構成する各要素画像の光波の束に相当し、これを第1要素画像群t1と表記することとする。この分配手段11は、入力された映像信号における第1要素画像群t1のm番目の要素画像の光波(gs,m(xs,m,ys,m))を、このm番目の要素画像に予め対応付けられている第1要素画像変換手段12に出力する。ここで、xs,mは、入力画像全体(第1要素画像群)におけるm番目の要素画像の中心を原点とした場合のx座標を示す。同様に、ys,mは、入力画像全体(第1要素画像群)におけるm番目の要素画像の中心を原点とした場合のy座標を示す。
【0034】
<第1要素画像変換手段段>
第1要素画像変換手段12は、図1に示すように、光波計算手段12aと、位相シフト手段22bと、光波計算手段12cとを備えている。
【0035】
≪光波計算手段12a≫
光波計算手段12aは、要素画像の光波から、フレネル近似(Fresnel diffraction)に基づいて、第1の仮想的な開口群41(図2参照)を構成する要素レンズに入射する光波を演算するものである。つまり、光波計算手段12aは、第1の仮想的な開口群41のm番目の要素レンズに到達する光波に相当する信号として、一般的なフレネル近似を用いて、以下の式(2)により要素画像毎の光波(Ri,m(xo,m,yo,m))を演算する。
【0036】
【数3】

【0037】
ここで、xo,mは、第1の仮想的な開口群41のm番目の要素レンズの光軸中心を原点とした場合のx座標である。同様に、yo,mは、第1の仮想的な開口群41の要素レンズ群のm番目の開口部の光軸中心を原点とした場合のy座標である。また、f1は、第1の仮想的な開口群41の要素レンズの焦点距離を示す。また、kは、波数2π/λ(λは光波の波長)である。この要素画像毎の光波(Ri,m(xo,m,yo,m))は、位相シフト手段22bに出力される。
【0038】
≪位相シフト手段22b≫
位相シフト手段22bは、入力された要素画像の光波(Ri,m(xo,m,yo,m))から、位相を、第1の仮想的な開口群41の要素レンズに相当する位相分だけシフトさせた光波を演算するものである。すなわち、位相シフト手段22bは、以下の式(3)に示すように、光波(Ri,m(xo,m,yo,m))を、第1の仮想的な開口群41の要素レンズに相当する位相分だけシフトさせることで、第1の仮想的な開口群41の要素レンズから出射する光波に相当する信号(Ro,m(xo,m,yo,m))を演算する。この光波(Ro,m(xo,m,yo,m))は、光波計算手段12cへ出力される。
【0039】
【数4】

【0040】
≪光波計算手段12c≫
光波計算手段12cは、第1の仮想的な開口群41の要素レンズから出射する光波、すなわち、位相シフト手段22bから入力された要素画像の光波(Ro,m(xo,m,yo,m))をフレネル近似することで、第2の仮想的な開口群42(図2参照)の要素レンズに入射する光波を演算するものである。つまり、光波計算手段12cは、第2の仮想的な開口群42の要素レンズに到達する光波に相当する信号として、一般的なフレネル近似を用いて、以下の式(4)により要素画像毎の光波(Rd,m(xd,m,yd,m))を演算する。この要素画像毎の光波(Rd,m(xd,m,yd,m))は加算手段13へ出力される。
【0041】
【数5】

【0042】
式(4)において、xd,mは、第1の仮想的な開口群41のm番目の要素レンズの光軸中心を原点とした場合の、第2の仮想的な開口群42の入射面におけるx座標である。同様に、yd,mは、第1の仮想的な開口群41のm番目の要素レンズの光軸中心を原点とした場合の、第2の仮想的な開口群42の入射面におけるy座標を示す。また、Lは、第1の仮想的な開口群41と第2の仮想的な開口群42との距離である。また、積分計算を実施する範囲は、m番目の要素画像(要素画像(m))の拡がる範囲と等価に設定することとする。第1要素画像群におけるm番目の要素画像が広がる範囲wの一例を図3に示す。この場合、第1要素画像群におけるm番目の要素画像が広がる範囲wは式(5)で表わされる。なお、k1は第1要素画像群におけるm番目の要素画像の領域を示し、d1は第1要素画像群(第1の要素画像面43)から第1の仮想的な開口群41までの距離を示す。
【0043】
【数6】

【0044】
<加算手段>
加算手段13は、第1要素画像変換手段12で変換されたそれぞれの要素画像の光波を、分配手段11で分配された数だけ、第2の仮想的な開口群42の入射面で加算するものである。加算手段13は、第1の仮想的な開口群41の要素レンズの画角に対応する光波を加算する。この加算手段13は、第1の仮想的な開口群42の要素レンズから出射されて第2の仮想的な開口群42の要素レンズの入射面に到達する光波(Rd,m(xd,m,yd,m))を、第2の仮想的な開口群42の領域内で加算する。つまり、第2の仮想的な開口群42の入射面での光波に相当する信号として、以下の式(6)により、第2の仮想的な開口群42の入射面での光波(Rp(xp,yp))を演算する。
【0045】
【数7】

【0046】
ここで、xpは、第2の仮想的な開口群42の中心を原点とした場合のx座標であり、同様に、ypは、第2の仮想的な開口群42の中心を原点とした場合のy座標である。この光波(Rp(xp,yp))は再分配手段14へ出力される。
【0047】
<再分配手段>
再分配手段14は、加算手段13で加算された光波を、第2要素画像群を構成する要素画像毎に再分配するものである。この再分配手段14は、加算手段13から入力された光波(Rp(xp,yp))を要素画像単位に分割する。光波(Rp(xp,yp))を再分配した要素画像ごとの光波として、第2の仮想的な開口群42を構成するn番目の要素レンズに対応する光波を、(Rp,n(xp,n,yp,n))とする。ここで、再分配手段14は、第2の仮想的な開口群42を構成する各要素レンズに入力された光波(Rp,n(xp,n,yp,n))を、第2の仮想的な開口群42を横成するn番目の要素レンズに予め対応付けられている第2要素画像変換手段15に出力する。
【0048】
<第2要素画像変換手段>
第2要素画像変換手段15は、再分配手段14で分配された要素画像の光波を、第2の仮想的な開口群42を通過して結像するまでの距離だけ伝搬した光波に変換するものである。この第2要素画像変換手段15は、再分配手段14から入力された光波を、第2の仮想的な開口群42の要素レンズ(焦点距離f)の開口領域に再分配した後、その要素レンズ(焦点距離f)を通過する光波に変換し、さらに、その要素レンズの焦点距離fだけ光波を伝搬させる。第2要素画像変換手段15は、例えば(2N+1)個の要素画像毎に機能することで、各要素画像の光波の束を伝搬させる。これら伝搬する各要素画像の光波の束から第2要素画像群が構成されることとなる。これを第2要素画像群t2と表記することとする。つまり、第2要素画像変換手段15は、第2要素画像群t2を演算する。第2要素画像変換手段15は、図1に示すように、位相シフト手段15aと、光波計算手段15bとを備えている。
【0049】
≪位相シフト手段15a≫
位相シフト手段15aは、再分配手段14から入力された光波(Rp,n(xp,n,yp,n))から、位相を、第2の仮想的な開口群42の要素レンズに相当する位相分だけシフトさせた光波を演算するものである。すなわち、位相シフト手段15aは、以下の式(7)に示すように、光波(Rp,n(xp,n,yp,n))を、第2の仮想的な開口群42の要素レンズに相当する位相分だけシフトさせることで、第2の仮想的な開口群42の要素レンズから出射する光波に相当する信号(Rr,n(xp,n,yp,n))を演算する。
【0050】
【数8】

【0051】
ここで、xp,nは、第2の仮想的な開口群42のn番目の要素レンズの光軸中心を原点とした場合のx座標である。同様に、yp,nは、第2の仮想的な開口群42のn番目の要素レンズの光軸中心を原点とした場合のy座標である。また、f2は、第2の仮想的な開口群42の要素レンズの焦点距離である。この要素画像毎の光波(Rr,n(xp,n,yp,n))は、光波計算手段15bへ出力される。
【0052】
≪光波計算手段15b≫
光波計算手段15bは、第2の仮想的な開口群42の要素レンズ毎の光波をフレネル近似することで、第2の仮想的な開口群42の要素レンズから出射し、第2の要素画像面44(図2参照)に到達する光波を演算するものである。すなわち、光波計算手段15bは、以下の式(8)により、第2の仮想的な開口群42のn番目の要素レンズから出射されて第2の要素画像面44に到達する光波(Re,n(xe,n,ye,n))を演算する。
【0053】
【数9】

【0054】
ここで、xe,nは、出力画像全体(第2要素画像群)におけるn番目の要素画像の中心からのx座標である。同様に、ye,nは出力画像全体におけるn番目の要素画像の中心からのy座標である。この光波計算手段15bで演算された光波(Re,n(xe,n,ye,n))は結合手段16へ出力される。
【0055】
<結合手段>
結合手段16は、第2要素画像変換手段15で変換された光波を、再分配手段14で再分配された数だけ結合することで、第2要素画像群を生成するものである。この結合手段16は、第2要素画像変換手段15から出力された要素画像毎の光波から、その光波の電力の総和を演算することで、立体像の大きさが変換処理された映像信号、すなわち、第2要素画像群t2となる映像信号を生成する。この結合手段16で得られた第2要素画像群t2は、立体画像表示装置30(図1参照)へ出力される。
【0056】
ここで、第2要素画像変換手段15から出力される第2の要素画像面44に到達する光波(Re,n(xe,n,ye,n))の電力は、光の振幅の2乗で表わすことができる。また、第1要素画像群t1の各要素画像として発せられた光波は、インコヒーレント(波長や位相が一定ではない)であるため、光波の位相は無相関であるとみなすことができる。そこで、結合手段16は、以下の式(9)に示すように、第2の要素画像面44に到達する各要素画像の光波(例えばn番目の要素画像であればその光波は(Re,n(xe,n,ye,n))である)の2乗を計算し、その和をとることで、第2要素画像群t2全体の映像信号を得る。
【0057】
【数10】

【0058】
[再生像の大きさの比率制御]
立体画像変換装置10は、前記のように詳細に説明した構成を備えており、前記した式(1)で表わされるピッチの比Φを予め設定しておくことで、再生像の大きさの比率を所望の値に制御することができる。仮に、本実施形態の立体画像変換装置10の処理を行わない場合、つまり、第1および第2の仮想的な開口群41,42を用いない場合には、被写体の大きさxc(図6(a)参照)と再生される立体像の大きさxr(図6(b)参照)との関係は、前記した式(101)の通りである。このように立体画像変換装置10を用いない場合、前記した式(101)において、α=γとすると、被写体の大きさxc(図6(a)参照)と、再生される立体像の大きさxr(図6(b)参照)との関係は、以下の式(10)で表わされることとなる。
【0059】
【数11】

【0060】
つまり、図1において、立体画像変換装置10を無視して、立体画像撮影装置20(図1参照)における要素レンズのピッチpc(図6(a)参照)と、立体画像表示装置30(図1参照)における要素レンズのピッチpr(図6(b)参照)とが等しい場合には、被写体の大きさxc(図6(a)参照)と、再生像される立体像の大きさxr(図6(b)参照)とは等しくなってしまう。一方、本実施形態の立体画像変換装置10を用いた場合には、被写体の大きさxc(図6(a)参照)と、再生される立体像の大きさxr(図6(b)参照)との関係は、以下の式(11)で表わされる。
【0061】
【数12】

【0062】
つまり、図1において、立体画像撮影装置20(図1参照)における要素レンズのピッチpc(図6(a)参照)と、立体画像表示装置30(図1参照)における要素レンズのピッチpr(図6(b)参照)とが仮に等しかったとしても、第1の仮想的な開口群41の要素レンズのピッチp1(図2参照)と、第2の仮想的な開口群42の要素レンズのピッチp2(図2参照)とを制御することで、被写体の大きさxc(図6(a)参照)に対する再生される立体像の大きさxr(図6(b)参照)を変化させることが可能となる。
【0063】
なお、説明の都合上、前記した式(10)および式(11)の説明において、前記した式(101)においてαとγとが等しい場合について記述したが、本発明では、前記した式(101)においてα≠γとしてもよい。同様に、立体画像撮影装置20における要素レンズのピッチpcと、立体画像表示装置30における要素レンズのピッチprとが等しい場合について記述したが、pc≠prとしてもよい。
【0064】
本実施形態によれば、立体画像変換装置10は、第1要素画像群t1を、各要素画像mの光波が、第1および第2の仮想的な開口群41,42を通過したものとして演算処理することで、被写体の撮影および表示に用いる光学的な装置に依存することなく、被写体の凹凸と同じで像の大きさを所望の大きさに変化させた像を再生するような第2要素画像群t2へと変換することができる。したがって、このように演算処理で立体像の大きさを変化できるので、従来のようにレンズ等の撮影および表示に用いる光学的な装置を変更する必要がない。また、本実施形態によれば、立体画像変換装置10は、演算処理により、被写体を複数の要素画像として撮影した要素画像群としての画像から発せられる光を再度撮影した場合と等価な画像を生成することができる。さらに、被写体に対する大きさが任意に制御された再生像を表示する際に、立体画像の演出効果を高めることが可能となる。
【0065】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲でさまざまに実施することができる。例えば、本実施形態では、立体画像変換装置10は、立体画像撮影装置20において撮影されて立体画像として表示されたときに被写体の凹凸が反転した再生像となる入力映像信号をそのまま第1要素画像群として扱うこととして説明したが、本発明では、立体画像として表示されたときに被写体の凹凸が同じ再生像となる要素画像群を入力するようにしてもよい。
【0066】
この場合の立体画像変換装置の構成例を図4に示す。図4に示す立体画像変換装置10Aは、図1に示した構成にさらに反転情報生成手段19を備えることとした。ここで、反転情報生成手段19は、立体画像として表示されたときに被写体の凹凸と同じ再生像となる要素画像群を構成する個々の要素画像をそれぞれ点対称に反転させることで前記した第1要素画像群を生成するものである。図4に示す例では、立体画像撮影装置20において撮影されて立体画像として表示されたときに被写体の凹凸が反転した再生像となる入力映像信号を反転情報生成手段19に入力し、反転情報生成手段19で個々の要素画像をそれぞれ点対称に反転させてから分配手段11に出力する。そして、分配手段11は、反転情報生成手段19で生成された第1要素画像群の光波を要素画像毎に分配する。これにより、図1に示した立体画像変換装置10と同等の効果を奏することができる。なお、撮影された立体情報を、立体画像変換装置10Aの図示しない記憶手段に蓄積しておき、この蓄積された立体情報を反転情報生成手段19に入力するようにしてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、前記した式(2)、式(4)および式(8)の演算において、フレネル近似を用いる式を示したが、ホイへンス・フレネル(Huygens-Fresnel)の原理による積分や、フランフォーファ近似(Fraunhofer diffraction)による積分を用いて演算してもよい。
【0068】
また、本実施形態では、前記した式(2)、式(3)、式(7)および式(8)の演算において、第1の仮想的な開口群41の要素レンズの焦点距離f、第2の仮想的な開口群42の要素レンズの焦点距離fをそれぞれ用いたが、これに限定されない。すなわち、焦点距離は、第1の仮想的な開口群41を構成する要素レンズ毎に異なっていてもよいし、第2の仮想的な開口群42を構成する要素レンズ毎に異なっていてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、第1の仮想的な開口群41を構成する要素レンズの数や密度と、第2の仮想的な開口群42を構成する要素レンズの数や密度との関係について記述していないが、これらの関係は任意である。例えば、図5に示すように、第1の仮想的な開口群51を構成する要素レンズが粗に少ない数で配置され、第2の仮想的な開口群42を構成する要素レンズが密に多数で配置されていてもよい。この場合、第1の仮想的な開口群51を構成する要素レンズのピッチはpであり、図2に示した第1の仮想的な開口群41を構成する要素レンズのピッチpとは異なっている。
【0070】
また、立体画像変換装置10(10A)は、前記したようにハードウェア装置とソフトウェアとが協働することによって、前記したハードウェア資源がプログラムによって制御されることにより実現されるものとした。このプログラム(立体画像変換プログラム)は、通信回線を介して提供することも可能であるし、CD−ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。また、立体画像変換装置10(10A)は、前記した各手段を演算回路によって実現することも可能である。
【0071】
また、本実施形態では、第1および第2の仮想的な開口群41,42を構成する開口を要素レンズとして説明したが、ピンホール等の空間フィルタに置き換えてもよい。この場合、要素レンズの焦点距離f,fに対応する距離は任意の距離とすることができる。
【0072】
また、立体画像変換装置10(10A)は、立体画像撮影装置20や立体画像表示装置30に組み込んで構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係る立体画像変換装置の一例を模式的に示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る立体画像変換装置の演算処理で想定する仮想的な開口群の一例を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る立体画像変換装置の演算処理で用いる積分範囲の一例を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る立体画像変換装置の他の例を模式的に示す構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係る立体画像変換装置の演算処理で想定する仮想的な開口群の他の例を模式的に示す説明図である。
【図6】従来のIP方式による立体画像の撮影および再生を模式的に示す説明図であり、(a)は立体画像撮影装置、(b)は立体画像表示装置をそれぞれ示している。
【図7】従来の逆視を回避する方法を模式的に示す説明図であり、(a)は撮影で取得された情報を変換する立体画像奥行き変換装置、(b)は変換された像を表示する立体画像表示装置をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0074】
10(10A) 立体画像変換装置
11 分配手段
12 第1要素画像変換手段
12a 光波計算手段
12b 位相シフト手段
12c 光波計算手段
13 加算手段
14 再分配手段
15 第2要素画像変換手段
15a 位相シフト手段
15b 光波計算手段
16 結合手段
19 反転情報生成手段
20 立体画像撮影装置
30 立体画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体画像として表示されたときに被写体の凹凸が反転した再生像となる第1要素画像群の光波を変換し、立体画像として表示されたときに前記被写体の凹凸と同じで像の大きさが変化した再生像となる第2要素画像群を生成する立体画像変換装置であって、
前記第1要素画像群の光波を要素画像毎に分配する分配手段と、
この分配手段で分配された要素画像の光波を、第1の仮想的な開口群を通過して前記第1の仮想的な開口群と開口のピッチの異なる第2の仮想的な開口群へ伝搬する光波に変換する第1要素画像変換手段と、
この第1要素画像変換手段で変換されたそれぞれの要素画像の光波を前記分配された数だけ、前記第2の仮想的な開口群の入射面で加算する加算手段と、
この加算手段で加算された光波を、前記第2要素画像群を構成する要素画像毎に再分配する再分配手段と、
この再分配手段で分配された要素画像の光波を、前記第2の仮想的な開口群を通過して結像するまでの距離だけ伝搬した光波に変換する第2要素画像変換手段と、
この第2要素画像変換手段で変換された光波を、前記再分配された数だけ結合することで、前記第2要素画像群を生成する結合手段と、
を備えていることを特徴とする立体画像変換装置。
【請求項2】
立体画像として表示されたときに被写体の凹凸と同じ再生像となる要素画像群を構成する個々の要素画像をそれぞれ点対称に反転させることで前記第1要素画像群を生成する反転情報生成手段をさらに備え、
前記分配手段は、前記反転情報生成手段で生成された第1要素画像群の光波を要素画像毎に分配することを特徴とする請求項1に記載の立体画像変換装置。
【請求項3】
立体画像として表示されたときに被写体の凹凸が反転した再生像となる第1要素画像群の光波を変換し、立体画像として表示されたときに前記被写体の凹凸と同じで像の大きさが変化した再生像となる第2要素画像群を生成するために、コンピュータを、
前記第1要素画像群の光波を要素画像毎に分配する分配手段、
この分配手段で分配された要素画像の光波を、第1の仮想的な開口群を通過して前記第1の仮想的な開口群とは開口のピッチの異なる第2の仮想的な開口群へ伝搬する光波に変換する第1要素画像変換手段、
この第1要素画像変換手段で変換されたそれぞれの要素画像の光波を前記分配された数だけ、前記第2の仮想的な開口群の入射面で加算する加算手段、
この加算手段で加算された光波を、前記第2要素画像群を構成する要素画像毎に再分配する再分配手段、
この再分配手段で分配された要素画像の光波を、前記第2の仮想的な開口群を通過して結像するまでの距離だけ伝搬した光波に変換する第2要素画像変換手段、
この第2要素画像変換手段で変換された光波を、前記再分配された数だけ結合することで、前記第2要素画像群を生成する結合手段、
として機能させることを特徴とする立体画像変換プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−272922(P2009−272922A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122086(P2008−122086)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】