説明

立体画像表示装置およびその製造方法

【課題】画像表示部と位相差板との平行度および平坦度を保つ。
【解決手段】画像表示部の出射側の面および位相差板の一の面の少なくとも一方であって、画像表示部の右目画像生成領域および左目画像生成領域と位相差板の右目用偏光領域および左目用偏光領域とが重なる領域に、樹脂を塗布する塗布工程と、塗布工程の後に、画像表示部の出射側の面と、位相差板の一の面とを向かい合わせて重ね、画像表示部および位相差板をラミネートするラミネート工程と、ラミネート工程においてラミネートされた画像表示部と位相差板との間の樹脂を硬化することにより、画像表示部と位相差板とを接着する接着工程とを備える製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像表示装置およびその製造方法に関する。本発明は、特に、視野角を拡げた立体画像表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイと位相差板とを組み合わせた立体画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この立体表示装置において、液晶ディスプレイにおける観察者側の偏光板に、位相差板を粘着剤または接着剤と用いて貼り付ける。
【特許文献1】特開平10−253824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、液晶ディスプレイが大型の場合には当該液晶ディスプレイが撓む等により、液晶ディスプレイと位相差板との平行度を保つことが困難になる。さらに、位相差板における液晶ディスプレイ側の面に離散的に複数の遮光部が設けられている場合には、この遮光部の有無による凹凸によって、位相差板を液晶ディスプレイに貼り付けた場合に平坦度が低くなる。液晶ディスプレイと位相差板との平行度および平坦度が低くなると、モアレが生じるという不具合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、右目用画像光を生成する右目画像生成領域および左目用画像光を生成する左目画像生成領域を含む画像生成部を有し、右目用画像光および左目用画像光を、偏光軸が互いに平行な直線偏光として出射する画像表示部と、画像表示部の出射側に配され、右目用偏光領域、左目用偏光領域、および、右目用偏光領域と左目用偏光領域との境界であって入射側の面に配され、入射した右目用画像光および左目用画像光を遮る遮光部を有し、右目用偏光領域および左目用偏光領域に右目用画像光および左目用画像光がそれぞれ入射したときに、入射した右目用画像光および左目用画像光を、偏光軸が互いに直交した直線偏光、または、偏光軸の回転方向が互いに逆方向である円偏光として出射する位相差板とを有する立体画像表示装置の製造方法であって、画像表示部の出射側の面および位相差板の入射側の面の少なくとも一方であって、画像表示部の右目画像生成領域および左目画像生成領域と位相差板の右目用偏光領域および左目用偏光領域とが重なる領域に、樹脂を塗布する塗布工程と、塗布工程の後に、画像表示部の出射側の面と、位相差板の入射側の面とを向かい合わせて重ね、画像表示部および位相差板をラミネートするラミネート工程と、ラミネート工程においてラミネートされた画像表示部と位相差板との間の樹脂を硬化することにより、画像表示部と位相差板とを接着する接着工程とを備える製造方法が提供される。
【0005】
本発明の第2の形態においては、右目用画像光を生成する右目画像生成領域および左目用画像光を生成する左目画像生成領域を含む画像生成部を有し、右目用画像光および左目用画像光を、偏光軸が互いに平行な直線偏光として出射する画像表示部と、画像表示部の出射側に配され、右目用偏光領域および左目用偏光領域を有し、右目用偏光領域および左目用偏光領域に右目用画像光および左目用画像光がそれぞれ入射したときに、入射した右目用画像光および左目用画像光を、偏光軸が互いに直交した直線偏光、または、偏光軸の回転方向が互いに逆方向である円偏光として出射する位相差板と、画像表示部の右目画像生成領域および左目画像生成領域と位相差板の右目用偏光領域および左目用偏光領域とが重なる領域に配され、画像表示部の出射側の面と位相差板の入射側の面とを接着する接着層とを備え、位相差板は、右目用偏光領域と左目用偏光領域との境界であって入射側の面に配され、入射した右目用画像光および左目用画像光を遮る遮光部を有し、接着層は、遮光部の厚みと同じ厚みを有する立体画像表示装置が提供される。
【0006】
本発明の第3の形態においては、右目用画像光を生成する右目画像生成領域および左目用画像光を生成する左目画像生成領域を含む画像生成部を有し、右目用画像光および左目用画像光を、偏光軸が互いに平行な直線偏光として出射する画像表示部と、画像表示部の出射側に配され、右目用偏光領域、左目用偏光領域、および、右目用偏光領域と左目用偏光領域との境界であって入射側の面に配され、入射した右目用画像光および左目用画像光を遮る遮光部を有し、右目用偏光領域および左目用偏光領域に右目用画像光および左目用画像光がそれぞれ入射したときに、入射した右目用画像光および左目用画像光を、偏光軸が互いに直交した直線偏光、または、偏光軸の回転方向が互いに逆方向である円偏光として出射する位相差板とを有する立体画像表示装置の製造方法であって、画像表示部の出射側の面および位相差板の入射側の面の少なくとも一方であって、画像表示部の右目画像生成領域および左目画像生成領域と位相差板の右目用偏光領域および左目用偏光領域とが重なる領域に、硬化性の樹脂を含む接着シートを貼り付ける貼付工程と、貼付工程の後に、画像表示部の出射側の面と位相差板の入射側の面とを向かい合わせて重ね、画像表示部および位相差板をラミネートするラミネート工程と、ラミネート工程においてラミネートされた画像表示部と位相差板との間の樹脂を硬化することにより、画像表示部と位相差板とを接着する接着工程とを備える製造方法が提供される。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本実施形態の製造方法により製造される立体画像表示装置100の分解斜視図である。図1に示すように、立体画像表示装置100は、光源120と、画像表示部130と、位相差板180と、反射防止層200とをこの順で備える。画像表示部130は、光源側偏光板150、画像生成部160および出射側偏光板170を含む。この立体画像表示装置100に表示される立体画像を後述する観察者500が観察する場合、図1における反射防止層200よりも右側から観察する。
【0010】
光源120は、観察者500から見て立体画像表示装置100の最も奥側に配され、立体画像表示装置100を使用している状態(以下、「立体画像表示装置100の使用状態」と略称する)において、白色の無偏光が光源側偏光板150の一面に向けて出射される。なお、本実施形態では、光源120に面光源を用いているが、面光源に替えて例えば点光源と集光レンズとの組み合わせでもよい。この集光レンズの一例として、フレネルレンズシートが挙げられる。
【0011】
光源側偏光板150は、画像生成部160における光源120側に配される。光源側偏光板150は、透過軸および当該透過軸に直交する吸収軸を有するので、光源120から出射した無偏光が入射すると、その無偏光のうち透過軸方向と平行な偏光軸の光を透過すると共に、吸収軸方向と平行な偏光軸の光を遮断する。ここで、偏光軸の方向とは、光における電界の振動方向をいう。光源側偏光板150における透過軸の方向は、図1に矢印で示すように、観察者500が立体画像表示装置100を見たときの水平方向から右上45度の方向である。
【0012】
画像生成部160は、右目画像生成領域162および左目画像生成領域164を有する。これら右目画像生成領域162および左目画像生成領域164は、図1に示すように、画像生成部160を水平方向に区切った領域であり、複数の右目画像生成領域162および左目画像生成領域164が鉛直方向に互い違いに配されている。
【0013】
立体画像表示装置100の使用状態において、画像生成部160の右目画像生成領域162および左目画像生成領域164には、それぞれ右目用画像および左目用画像が生成される。このときに光源側偏光板150を透過した光が画像生成部160の右目画像生成領域162に入射すると、右目画像生成領域162の透過光は右目用画像の画像光(以下、「右目用画像光」と略称する)となる。同様に、光源側偏光板150を透過した光が画像生成部160の左目画像生成領域164に入射すると、左目画像生成領域164の透過光は左目用画像の画像光(以下、「左目用画像光」と略称する)となる。
【0014】
なお、右目画像生成領域162を透過した右目用画像光および左目画像生成領域164を透過した左目用画像光は、それぞれ特定方向の偏光軸を有する直線偏光になる。ここで、それぞれ特定方向の偏光軸とは、互いに同じ方向であってもよく、図1に示す例においては、ともに偏光軸が後述する出射側偏光板170における透過軸の方向と同じ方向に設定されている。このような画像生成部160には、例えば水平方向および垂直方向に二次元的に複数の小さなセルが配され、各セルにおいて配向膜間に液晶を封止したLCD(液晶ディスプレイ)が用いられる。このLCDにおいて各セルを電気的に駆動することにより、各セルは、通過する光をその偏光軸の方向を変えずに透過する状態と、偏光軸の方向を90度回転させて透過する状態とを切り替える。
【0015】
出射側偏光板170は、画像生成部160における観察者500側に配される。この出射側偏光板170は、上記右目画像生成領域162を透過した右目用画像光、および、上記左目画像生成領域164を透過した左目用画像光が入射すると、これらのうち偏光軸が透過軸と平行な光を透過すると共に、偏光軸が吸収軸と平行な光を遮断する。ここで、出射側偏光板170における透過軸の方向は、図1に矢印で示すように、観察者500が立体画像表示装置100を見たときの水平方向から左上45度の方向である。
【0016】
位相差板180は、右目用偏光領域181および左目用偏光領域182を有する。この位相差板180における右目用偏光領域181および左目用偏光領域182の位置および大きさは、図1に示すように、画像生成部160の右目画像生成領域162および左目画像生成領域164の位置および大きさに対応している。したがって、立体画像表示装置100の使用状態において、右目用偏光領域181には、上記右目画像生成領域162を透過した右目用画像光が入射するとともに、左目用偏光領域182には、上記左目画像生成領域164を透過した左目用画像光が入射する。また、位相差板180の画像表示部130に対向する面における右目用偏光領域181と左目用偏光領域182との境界には、遮光部190が設けられている。この遮光部190は、位相差板180の右目用偏光領域181に隣接する左目用偏光領域182に入射するべき左目用画像光のうち、上記境界を超えて当該右目用偏光領域181に入射する画像光を吸収して遮る。また、上記遮光部190は、同様に、位相差板180の左目用偏光領域182に隣接する右目用偏光領域181に入射するべき右目用画像光のうち、上記境界を超えて当該左目用偏光領域182に入射する画像光を吸収して遮る。このように、位相差板180の上記境界に遮光部190を設けることにより、立体画像表示装置100から出射される右目用画像光および左目用画像光にクロストークが生じにくくなる。
【0017】
右目用偏光領域181は、入射した右目用画像光の偏光軸を回転させずにそのまま透過する。また、左目用偏光領域182は、入射した左目用画像光の偏光軸を右目用偏光領域181に入射した右目用画像光の偏光軸に対して直交する方向に回転させる。したがって、右目用偏光領域181を透過した右目用画像光の偏光軸と、左目用偏光領域182を透過した左目用画像光の偏光軸とは、図1に矢印で示すように、その方向が互いに直交する。なお、図1の位相差板180における矢印は、位相差板180を通過した偏光の偏光軸を示している。右目用偏光領域181には、例えば透明なガラスまたは樹脂などが用いられ、左目用偏光領域182には、例えば入射される左目用画像光の偏光軸の方向に対して45度の角度の光学軸を有する半波長板が用いられる。図1に示す例において、左目用偏光領域182の光学軸の方向は、水平方向または鉛直方向である。ここで、光学軸とは、光が左目用偏光領域182を透過するときの進相軸または遅相軸の一方を指す。なお、上記位相差板180に代えて、右目用偏光領域181および左目用偏光領域182にそれぞれ半波長板を用いて、入射した右目用画像光および左目用画像光を、偏光軸が互いに直交した直線偏光として出射してもよい。
【0018】
図2は、立体画像表示装置100の使用状態を示す概略図である。立体画像表示装置100により立体画像を観察する場合、観察者500は、図2に示すように、立体画像表示装置100から投影される右目用画像光および左目用画像光を、偏光眼鏡220をかけて観察する。この偏光眼鏡220には、観察者500がこの偏光眼鏡220をかけたときに観察者500の右目512側にあたる位置に右目用画像透過部232が配され、左目514側にあたる位置に左目用画像透過部234が配される。これら右目用画像透過部232および左目用画像透過部234は、互いに異なる特定の透過軸方向をもつ偏光レンズであり、偏光眼鏡220のフレームに固定されている。
【0019】
右目用画像透過部232は、透過軸方向が右目用偏光領域181を透過した右目用画像光と同じ方向を有すると共に、吸収軸方向が上記透過軸方向と直交する方向を有する偏光板である。左目用画像透過部234は、透過軸方向が左目用偏光領域182を透過した左目用画像光と同じ方向を有すると共に、吸収軸方向が上記透過軸方向と直交する方向を有する偏光板である。これら右目用画像透過部232および左目用画像透過部234には、例えば二色性染料を含浸させたフィルムを一軸延伸して得られる偏光膜を貼り付けた偏光レンズが用いられる。
【0020】
観察者500は、立体画像表示装置100により立体画像を観察するときに、上記位相差板180の右目用偏光領域181および左目用偏光領域182を透過した右目用画像光および左目用画像光の出射する範囲内において、上記のように、偏光眼鏡220をかけて立体画像表示装置100を観察する。これにより、右目512では右目用画像光だけを観察することができ、左目514では左目用画像光だけを観察することができる。したがって、観察者500は、これら右目用画像光および左目用画像光を立体画像として認識することができる。
【0021】
図3は、筐体110に収容された立体画像表示装置100の概略断面図である。図3に示すように、画像表示部130が外枠165に支持される。さらに、画像表示部130の出射側に位相差板180および反射防止層200が取り付けられる。筐体110は、光源120および画像表示部130を収容する。ここで、位相差板180は、接着層300により画像表示部130に接着される。接着層300の厚みは、遮光部190と同じ厚みであることが好ましい。ここで同じ厚さとは、完全に同一である場合に加えて、接着層300の方が遮光部190よりも1.5倍程度厚い範囲までを含む。例えば、遮光部190の厚みが10μmから15μmである場合に、接着層300の厚みは10μmから20μmであることが好ましく、また、遮光部190の厚みが2μmから3μmである場合に、接着層300の厚みは2μmから5μmであることが好ましい。ここで、接着層300の厚みは、位相差板180の右目用偏光領域181および左目用偏光領域182における入射側の面からの厚みをいう。遮光部190の厚みが小さいほうが、接着層300の塗布工程において、気泡が入りにくくなる。
【0022】
上記立体画像表示装置100の製造方法について以下に説明する。本実施形態に係る立体画像表示装置100の製造方法は、画像表示部130に樹脂を塗布する塗布工程と、画像表示部130に位相差板180を載置する載置工程と、樹脂を脱気する脱気工程と、画像表示部130と位相差板180とをラミネートするラミネート工程と、樹脂を硬化することにより画像表示部130と位相差板180とを接着する接着工程とを備える。
【0023】
図4は、塗布工程前の画像表示部130の概略断面図を示す。図4の画像表示部130の画像生成部160は、光源側ガラス基板142および出射側ガラス基板144と、これら光源側ガラス基板142および出射側ガラス基板144の間に封止された液晶により形成される右目画像生成領域162、および、左目画像生成領域164を有する。光源側ガラス基板142の光源側には、光源側偏光板150が配されると共に、出射側ガラス基板144の出射側には、出射側偏光板170が配される。
【0024】
図5は、塗布工程を説明する断面図である。塗布工程において、画像表示部130における出射側偏光板170の出射側の面に、樹脂が塗布され、接着層300が形成される。ここで、樹脂は、少なくとも、画像表示部130の右目画像生成領域162および左目画像生成領域164と、位相差板180の右目用偏光領域181および左目用偏光領域182とが対向する領域に塗布される。これに代えて、出射側偏光板170の全面に塗布されてもよい。樹脂を塗布する方法は、ダイコーター、グラビアコーター等が用いられる。さらに、画像表示部130が真空炉に載置され、当該真空炉が減圧された状態で樹脂が塗布されてもよい。これにより、樹脂を脱気して、透明性および接着性を向上させることができる。さらに、樹脂の塗布後に、画像表示部130に超音波振動が与えられることにより樹脂が脱気されてもよい。当該塗布工程における接着層300の硬化前の厚みは、遮光部190の厚みと同じか、それよりも薄くてもよい。塗布工程における接着層300の硬化前の厚みは、遮光部190の間の開口部の面積、および、遮光部190の厚さ等によって、適宜設定することができる。
【0025】
当該塗布工程において用いられる樹脂は、紫外線で硬化すると共に、熱でも硬化することが好ましい。紫外線と熱との両方で硬化する樹脂としては、側鎖に不飽和二重結合有する官能基とエポキシ基を有する樹脂を使用することができる。また、紫外線で硬化する樹脂と、熱で硬化する樹脂とを混合して塗布してもよい。この場合に、紫外線で硬化する樹脂としては、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステルアクリレートなどの紫外線硬化樹脂を使用することができる。また、熱で硬化する樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン樹脂などを使用することができる。また、上記樹脂の粘度は、常温(25℃)で、500cpsから1000cpsであることが好ましい。上記粘度が500cpsより小さいと、塗布した樹脂が流れ出るおそれがある。一方、粘度が1000cpsより大きいと、遮光部190の間に樹脂が入り込みにくくなり、隅々まで樹脂が行き渡らないおそれがある。
【0026】
図6は、載置工程を説明する断面図である。載置工程において、画像表示部130の接着層300が形成された面に、位相差板180の遮光部190が形成された面が向かい合うように重ねて載置される。画像表示部130に位相差板180が載置された状態で、これら画像表示部130および位相差板180が真空炉内に配され、当該真空炉が減圧されることにより、樹脂を脱気する脱気工程が行われる。脱気工程において、画像表示部130および位相差板180に超音波振動が与えられることにより樹脂が脱気されてもよい。
【0027】
なお、図6に示すように、位相差板180の右目用偏光領域181および左目用偏光領域182はガラス基板183に支持されている。位相差板180のガラス基板183が画像表示部130の出射側ガラス基板144よりも厚く、かつ、位相差板180と画像表示部130とを全面接着するので、強度を保持しつつ、出射側ガラス基板144を薄くすることができる。これにより、画像表示部130の画像生成部160と位相差板180の右目用偏光領域181および左目用偏光領域182との距離が縮まることにより、視野角を拡げることができる。例えば、ガラス基板183の厚みが0.7mmである場合に、出射側ガラス基板144の厚みを0.5mm以下にすることができる。
【0028】
図7は、ラミネート工程を説明する断面図である。ラミネート工程において、上記載置工程後の画像表示部130および位相差板180が、位相差板180を上向きにして、載置台610に載置される。さらに、ローラ600が位相差板180のガラス基板183を押圧しながら回転することにより、画像表示部130と位相差板180とがラミネートされる。これにより、接着層300の厚みを均一にして、画像表示部130と位相差板180の平坦度および平行度を高めることができる。上記ラミネート工程後において、接着層300の厚さは、遮光部190と同じ厚さであることが好ましい。ラミネート工程において、ローラは図7に示すように右目画像生成領域162および左目画像生成領域164が並んでいる方向に沿って回転してラミネートしてもよいし、図7とは直交する方向すなわち右目画像生成領域162および左目画像生成領域164の長手方向に沿って回転してラミネートしてもよい。上記ラミネート工程後に、画像表示部130と位相差板180とがアラインメントされてもよい。この場合に、接着層300にシリカ系フィラーをスペーサーとして混合することにより、アラインメントを容易にすることができる。なお、塗布工程、載置工程およびラミネート工程を、減圧下の真空炉内で実行してもよい。これにより、より効果的に脱気をすることでき、生産性が向上する。
【0029】
図8は、接着工程を説明する断面図である。接着工程において、上記ラミネート工程後の接着層300に対して、位相差板180の側から紫外線を照射して、接着層300の樹脂を硬化させる。この場合に例えば、照度180mW/cm、積算光量3000mJ/cm、波長365nmの紫外線を照射する。これにより、接着層300の樹脂のうち、位相差板180の遮光部190間の領域に紫外線が照射されて硬化される。
【0030】
さらに、ヒータ等により外部から接着層300に熱を加えて、接着層300全体を硬化させる。これにより、紫外線が照射されなかった領域の樹脂も硬化させて、画像表示部130と位相差板180とをより確実に接着することができる。なお、紫外線の照射とヒータによる加熱は同時に行われてもよい。
【0031】
以上により接着された画像表示部130および位相差板180が、図3に示す筐体110に取り付けられることにより、立体画像表示装置100が製造される。以上、本実施形態によれば、画像表示部130と位相差板180とが、少なくとも、画像表示部130の右目画像生成領域162および左目画像生成領域164と、位相差板180の右目用偏光領域181および左目用偏光領域182とが重なる領域に塗布された樹脂により接着される。これにより、画像表示部130と位相差板180とを近づけて固定することができるので、視野角を拡げることができる。
【0032】
図9は、反射防止層200の一例を示す。上記立体画像表示装置100は、位相差板180よりも観察者500側に反射防止層200を有する。反射防止層200は、位相差板180のガラス基板183上に、接着層202、基材204、ハードコート206、高屈折率樹脂208および低屈折率樹脂210をこの順に有する。接着層202の厚みは、例えば25μmである。また、基材204は、例えばトリアセチルセルロース(TAC)であって、厚みは80μmである。ハードコート206の厚みは例えば5μmである。高屈折率樹脂208および低屈折率樹脂210の屈折率はそれぞれ1.65、1.40であり、厚みはそれぞれ0.1μmである。
【0033】
図10は、本実施形態の製造方法により製造される他の立体画像表示装置101の分解斜視図である。図10に示す立体画像表示装置101において、上記立体画像表示装置100と同じ構成については同じ参照番号を付して説明を省略する。図10に示すように、立体画像表示装置101は、上記立体画像表示装置100の位相差板180に替えて位相差板185を備える。この位相差板185は、右目用偏光領域186および左目用偏光領域187を有する。ここで、右目用偏光領域186および左目用偏光領域187は、ともに1/4波長板であり、それぞれの光学軸が互いに直交する。この位相差板185における右目用偏光領域186および左目用偏光領域187の位置および大きさは、上記位相差板180における右目用偏光領域181および左目用偏光領域182の位置および大きさと同様に、画像生成部160の右目画像生成領域162および左目画像生成領域164の位置および大きさに対応している。したがって、立体画像表示装置101の使用状態において、右目用偏光領域186には、上記右目画像生成領域162を透過した右目用画像光が入射し、左目用偏光領域187には、上記左目画像生成領域164を透過した左目用画像光が入射する。
【0034】
また、位相差板185の画像表示部130に対向する面における右目用偏光領域186と左目用偏光領域187との境界には、遮光部190が設けられている。この遮光部190は、位相差板185の右目用偏光領域186に隣接する左目用偏光領域187に入射するべき左目用画像光のうち、上記境界を超えて当該右目用偏光領域186に入射する画像光を吸収して遮る。また、上記遮光部190は、同様に、位相差板185の左目用偏光領域187に隣接する右目用偏光領域186に入射するべき右目用画像光のうち、上記境界を超えて当該左目用偏光領域187に入射する画像光を吸収して遮る。このように、位相差板185の上記境界に遮光部190を設けることにより、立体画像表示装置101から出射される右目用画像光および左目用画像光にクロストークが生じにくくなる。
【0035】
位相差板185は、入射した光を偏光軸の回転方向が互いに逆方向である円偏光として出射する。例えば、右目用偏光領域186は入射した光を右回りの円偏光として出射すると共に、左目用偏光領域187は入射した光を左回りの円偏光として出射する。なお、図8の位相差板185の矢印は、この位相差板185を通過した偏光の回転方向を示している。右目用偏光領域186には、例えば光学軸が水平方向である1/4波長板が用いられ、左目用偏光領域187には、例えば光学軸が鉛直方向である1/4波長板が用いられる。
【0036】
図10に示す立体画像表示装置101においても、立体画像表示装置100の場合と同様に、接着層300により画像生成部160と位相差板185とを接着する。これにより、画像生成部160と位相差板185とを近づけて固定することができるので、視野角を拡げることができる。
【0037】
図10に示す位相差板185を備えた立体画像表示装置101を観察する場合、観察者500は、右目512側にあたる位置および左目514側にあたる位置にそれぞれ1/4波長板と偏光レンズが配された偏光眼鏡をかけて観察する。この偏光眼鏡において、観察者500の右目512側にあたる位置に配される1/4波長板は光学軸が水平方向であり、観察者500の左目514側にあたる位置に配される1/4波長板は光学軸が鉛直方向である。また、観察者500の右目512側にあたる位置に配される偏光レンズ、および、観察者500の左目514側にあたる位置に配される偏光レンズは、ともに透過軸方向が観察者500から見て右斜め45度であり、吸収軸方向が上記透過軸方向と直交する方向である。
【0038】
観察者500が上記の偏光眼鏡をかけて立体画像表示装置101を観察する場合、観察者500の右目512側では、偏光軸が観察者500から見て右回りの円偏光が入射したときに、その円偏光は上記の光学軸が水平方向である1/4波長板によって右斜め45度の直線偏光に変換された後、上記偏光レンズを透過して観察者500の右目512で観察される。また、観察者500の左目514側では、偏光軸が観察者500から見て左回りの円偏光が入射したときに、その円偏光は上記の光学軸が鉛直方向である1/4波長板によって右斜め45度の直線偏光に変換された後、上記偏光レンズを透過して観察者500の左目514で観察される。このように、上記偏光眼鏡をかけて立体画像表示装置101を観察することにより、右目512では右目用画像光だけを観察することができ、左目514では左目用画像光だけを観察することができる。したがって、観察者500は、これら右目用画像光および左目用画像光を立体画像として認識することができる。
【0039】
以上、本実施形態によれば、画像表示部130と位相差板180、185とが、少なくとも、画像表示部130の右目画像生成領域162および左目画像生成領域164と、位相差板180、185の右目用偏光領域181、186および左目用偏光領域182、187とが重なる領域に塗布された樹脂により接着される。これにより、画像表示部130と位相差板180とを近づけて固定することができるので、視野角を拡げるか、または、遮光層の幅を狭くして輝度を向上させることができる。
【0040】
上記実施形態において、視野角の広がりと輝度の向上を評価すべく、下記の比較例1、実施例1および実施例2を用いた。
<比較例1>
比較例1において、画像表示部130の出射側ガラス基板144の厚みおよび出射側偏光板170の厚みを表1に記載の通りに設定した(単位はmm)。また、位相差板180の遮光部190のピッチを0.270mmとし、遮光部190の厚さ(すなわち、位相差板180の面の法線方向の長さ)を0.015mm、各遮光部190の幅(すなわち、位相差板180の面に沿った方向の長さ)を表1の通りに設定した。さらに、接着層300の厚みは遮光部190の厚みと同一の0.015mmに設定した。この比較例1において、視野角を評価した。
【0041】
視野角は、隣接する画素間のクロストークが生じない、位相差板180等の法線方向に対する角度の範囲を意味する。本実施形態において、視野角を下記の通りに評価した。
【0042】
図11は、視野角を説明する位相差板180および画像表示部130の側面図である。まず、観察距離dすなわち、画像表示部130の出射側ガラス基板144の光源側の面から観察者530までの距離を700mmとし、観察者530と水平方向に同じ位置にある画像表示部130の右目画像生成領域162とそれに隣接する左目画像生成領域164との境界から観察者530まで結んだ直線l、l上に、位相差板180における右目用偏光領域181とそれに隣接する左目用偏光領域182の位置およびピッチを設定する。その上で、当該右目画像生成領域162とそれに隣接する左目画像生成領域164の一方との境界、および、当該境界に対応する遮光部190の上記一方側の端部を通る直線lが、水平線kと成す角をθ1とする。なお、図11に、当該角度θ1で右目画像生成領域162を観察する観察者540の位置を示した。さらに、当該右目画像生成領域162とそれに隣接する左目画像生成領域164の上記一方との境界、および、それに対応する右目用偏光領域181とそれに隣接する左目用偏光領域182の上記一方との境界を通る直線lが、水平線kと成す角をθ2とする。視野角はこれらθ1およびθ2の和とした。また、開口率は、(1−(各遮光部190の幅/位相差板180のピッチ))×100により計算した。なお、観察者530と水平方向に同じ位置に左目画像生成領域164が配されている場合には、上記計算において右目画像生成領域162と左目画像生成領域164との役割、および、右目用偏光領域181と左目用偏光領域182との役割を入れ替えればよい。
【実施例1】
【0043】
実施例1において、画像表示部130の出射側ガラス基板144の厚みを表1の通りに設定し、その他の条件を上記比較例1と同じに設定した。すなわち、実施例1の開口率は、比較例1の開口率と同じに設定した。この実施例1について、上記比較例1と同様に、θ1、θ2および視野角を計算した。
【実施例2】
【0044】
実施例2において、画像表示部130の出射側ガラス基板144の厚み、および、画像表示部130の各遮光部190の幅を表1の通りに設定し、その他の条件を上記比較例1と同じに設定した。ここで、遮光部190の幅は、実施例2の視野角が比較例1の視野角と同じになるように設定した。この実施例2において、上記比較例1と同様に、開口率を計算した。
【0045】
【表1】

【0046】
上記表1から明らかな通り、実施例1において、比較例1の視野角の約1.8倍(8.01/4.39)の視野角が得られた。また、実施例2において、比較例1の開口率の約1.5倍(72.7/49.9)の開口率が得られた。すなわち、実施例2は、比較例1の輝度の約1.5倍の輝度が得られた。
【0047】
以上、本実施形態によれば、画像表示部130と位相差板180、185とが、少なくとも、画像表示部130の右目画像生成領域162および左目画像生成領域164と、位相差板180、185の右目用偏光領域181、186および左目用偏光領域182、187とが重なる領域に塗布された樹脂により接着される。これにより、画像表示部130と位相差板180とを近づけて固定することができるので、視野角を拡げることができる。さらに、画像表示部130と位相差板180、185との間に空気層がある場合に比べて、画像表示部130と位相差板180、185との間の内部反射を抑えることができ、それによりクロストークを低減することができる。また、特に画像表示部130が大型の場合に画像表示部130全体が撓んでも、この撓みに対して接着層300および位相差板180、185が追従することができるので、画像表示部130と位相差板180、185との間でモアレが発生するのを防ぐことができる。また、ラミネート工程を経てから樹脂を硬化するので、接着層300の厚みを均一にして、画像表示部130と位相差板180、185の平坦度および平行度を高めることができる。さらに、画像表示部130と位相差板180、185との距離が縮まることにより、視野角を当該距離を縮める前と同程度に保ちつつ各遮光部190の幅を狭くすることができる。これにより、遮光部190の間の開口部を広げて、画面の輝度を向上させることができる。
【0048】
図12は、本実施形態の他の製造方法における貼付工程を説明する断面図である。当該他の製造方法は、図1から図11に示す製造方法における塗布工程に代えて、貼付工程を有する。当該他の製造方法はさらに加熱工程を有する。当該他の製造方法について、図1から図11に示す製造方法と同一の構成および作用については、同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0049】
図12に示すように、貼付工程は、位相差板180の入射側の面に接着シート700を貼り付ける工程を有する。ここで、接着シート700は、樹脂層720および当該樹脂層720を支持するセパレートフィルム710を有する。樹脂層720は紫外線硬化型の樹脂であって、一例として、スリーボンド(登録商標)社のスリーボンド(登録商標)1630等のウレタンアクリレート系の樹脂が挙げられる。図12に示す例において、位相差板180において遮光部190が設けられた面に、接着シート700の樹脂層720側が載置されることにより、位相差板180に接着シート700が貼り付けられる。なお、接着シート700は、ロール状に巻かれた状態から貼り付けられる分だけ引き出されて切断されてもよいし、予め単票状に形成されてもよい。ここで、遮光部190の厚みが3〜10μmの場合に、接着シート700の樹脂層の厚みは15〜75μmであることが好ましい。これにより、遮光部190間の凹部にも樹脂が行き渡り、表面を平滑にすることができる。
【0050】
図13は、図12に引き続き貼付工程を説明する断面図である。図13に示すように、貼付工程はさらに、位相差板180の入射側の面に貼り付けた接着シート700のセパレートフィルム710側に、加熱したローラ800を押し付けることにより、接着シート700を位相差板180にラミネートする工程を有する。図13に示す工程において、雰囲気の温度80℃および大気圧(0.1MPa)のチャンバ内で、加熱したローラ800が接着シート700の樹脂層720上で図中矢印方向に0.3m/minの速度で転がりながら移動することにより、ラミネートされ、位相差板180に接着シート700が仮接着される。加熱したローラ800でラミネートすることにより、遮光部190の有無による凹凸形状に沿って樹脂層720が埋り、位相差板180における入射側の全面に樹脂層720が配される。
【0051】
図14は、図13に引き続き貼付工程を説明する断面図である。図14に示すように、貼付工程はさらに、ラミネートされた接着シート700のセパレートフィルム710を樹脂層720から剥がす工程を有する。これにより、樹脂層720が露出した状態で、位相差板180側に残る。
【0052】
図15は、上記貼付工程に続くラミネート工程において、位相差板180を画像表示部130に載置する工程を示す断面図である。図15に示すように、図14の工程にて露出した樹脂層720が画像表示部130の出射側偏光板170に向かい合わされて重ねられる。ここで、位相差板180と画像表示部130との間の位置決めがなされる。位置決めにおいて、位相差板180が画像表示部130から複数回剥がされてまた重ねられることがあるが、樹脂層720が位相差板180にラミネートされているので、位相差板180を画像表示部130から剥がすときに、樹脂層720が位相差板180側に確実に残り、位相差板180を画像表示部130から簡単に剥がすことができる。
【0053】
上記位置決めの後に、画像表示部130および位相差板180が真空加圧ラミネートされる。この真空加圧ラミネートにおいて、画像表示部130と位相差板180とが重ねられた状態で、雰囲気の温度80℃および圧力150Paの真空炉内に配される。さらに、バルーン状の部材で0.1MPaの圧力が画像表示部130および位相差板180の一方側からかけられ、その状態が3分間持続される。これにより、画像表示部130と位相差板180とが圧着されると共に、樹脂層720における気泡を取り除くことができる。
【0054】
さらに、上記ラミネート工程の後に、加熱工程を有する。この加熱工程において、大気圧よりも圧力の高い雰囲気中で画像表示部130および位相差板180を加熱する。当該加熱工程における加熱工程における雰囲気の圧力は、上記ラミネート工程におけるラミネート圧力よりも高いことが好ましい。当該加熱工程の条件の一例として、雰囲気の温度60℃および圧力0.6MPaのチャンバ内に、画像表示部130および位相差板180が1時間配される。当該加熱工程により、上記真空加圧ラミネートによって画像表示部130および位相差板180に生じた歪みが開放される。さらに、当該加熱工程により、真空加圧ラミネートで除去し切れなかった樹脂層720の気泡を潰したり、押し出すことができる。当該加熱工程の後に、図8の接着工程と同様に、紫外線を照射することにより、画像表示部130と位相差板180とが接着される。
【0055】
以上、図12から図15に示す実施形態によれば、図1から図11に示す実施形態の効果に加えて、下記効果を有する。本実施形態によれば、画像表示部130と位相差板180との接着に接着シート700を用いるので、接着シート700の樹脂層720を硬化する前であれば、位相差板180から位相差板180と剥がしやすい。よって、画像表示部130と位相差板180と間で容易に位置決めすることができる。この場合に、加熱したローラ800により樹脂層720が位相差板180側にラミネートされているので、画像表示部130から位相差板180を剥がすときに樹脂層720がより確実に位相差板180側に残ることになり、剥がしやすい。また、樹脂層720が位相差板180側に先にラミネートされることにより、樹脂層720が遮光部190の凹凸に沿って確実に樹脂層720が埋り、位相差板180と画像表示部130との間により確実に樹脂層720が配される。
【0056】
また、ラミネート工程と接着工程との間に加圧工程を備えるので、ラミネート工程によって画像表示部130および位相差板180に生じた歪みが開放される。さらに、当該加熱工程により、ラミネート工程で除去し切れなかった樹脂層720の気泡を潰したり、押し出すことができる。
【0057】
なお、図12から図15に示す実施形態において、接着シート700を位相差板180に先に接着してラミネートしている。これに代えて、接着シート700を画像表示部130に先に接着してラミネートしてもよい。
【0058】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施形態の製造方法により製造される立体画像表示装置100の分解斜視図である。
【図2】立体画像表示装置100の使用状態を示す概略図である。
【図3】筐体110に収容された立体画像表示装置100の概略断面図である。
【図4】塗布工程前の画像生成部160の概略断面図を示す。
【図5】塗布工程を説明する断面図である。
【図6】載置工程を説明する断面図である。
【図7】ラミネート工程を説明する断面図である。
【図8】接着工程を説明する断面図である。
【図9】反射防止層200の一例を示す。
【図10】本実施形態の製造方法により製造される他の立体画像表示装置101の分解斜視図である。
【図11】視野角を説明する位相差板180および画像表示部130の側面図である。
【図12】本実施形態の他の製造方法における貼付工程を説明する断面図である。
【図13】図12に引き続き貼付工程を説明する断面図である。
【図14】図13に引き続き貼付工程を説明する断面図である。
【図15】位相差板180を画像表示部130に載置する工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0060】
100 立体画像表示装置
101 立体画像表示装置
110 筐体
120 光源
130 画像表示部
142 光源側ガラス基板
144 出射側ガラス基板
150 光源側偏光板
160 画像生成部
162 右目画像生成領域
164 左目画像生成領域
165 外枠
170 出射側偏光板
180 位相差板
181 右目用偏光領域
182 左目用偏光領域
183 ガラス基板
185 位相差板
186 右目用偏光領域
187 左目用偏光領域
190 遮光部
200 反射防止層
202 接着層
204 基材
206 ハードコート
208 高屈折率樹脂
210 低屈折率樹脂
220 偏光眼鏡
232 右目用画像透過部
234 左目用画像透過部
300 接着層
500 観察者
512 右目
514 左目
530 観察者
540 観察者
600 ローラ
610 載置台
700 接着シート
710 セパレートフィルム
720 樹脂層
800 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
右目用画像光を生成する右目画像生成領域および左目用画像光を生成する左目画像生成領域を含む画像生成部を有し、前記右目用画像光および前記左目用画像光を、偏光軸が互いに平行な直線偏光として出射する画像表示部と、
前記画像表示部の出射側に配され、右目用偏光領域、左目用偏光領域、および、前記右目用偏光領域と前記左目用偏光領域との境界であって入射側の面に配され、入射した前記右目用画像光および前記左目用画像光を遮る遮光部を有し、前記右目用偏光領域および前記左目用偏光領域に前記右目用画像光および前記左目用画像光がそれぞれ入射したときに、入射した前記右目用画像光および前記左目用画像光を、偏光軸が互いに直交した直線偏光、または、偏光軸の回転方向が互いに逆方向である円偏光として出射する位相差板と
を有する立体画像表示装置の製造方法であって、
前記画像表示部の出射側の面および前記位相差板の前記入射側の面の少なくとも一方であって、前記画像表示部の前記右目画像生成領域および前記左目画像生成領域と前記位相差板の前記右目用偏光領域および前記左目用偏光領域とが重なる領域に、樹脂を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後に、前記画像表示部の出射側の面と前記位相差板の前記入射側の面とを向かい合わせて重ね、前記画像表示部および前記位相差板をラミネートするラミネート工程と、
前記ラミネート工程においてラミネートされた前記画像表示部と前記位相差板との間の樹脂を硬化することにより、前記画像表示部と前記位相差板とを接着する接着工程と
を備える製造方法。
【請求項2】
前記塗布工程と前記ラミネート工程との間に、真空炉内で前記樹脂を脱気する脱気工程をさらに備える請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記脱気工程は、前記樹脂が塗布された前記画像表示部を超音波で脱気する工程を含む請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記塗布工程および前記ラミネート工程を減圧した真空炉内で実行することにより、前記樹脂を脱気する請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記塗布工程は、紫外線硬化樹脂を含む前記樹脂を塗布する工程を含み、
前記接着工程は、前記樹脂に紫外線を照射する工程を含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記塗布工程は、熱硬化樹脂を含む前記樹脂を塗布する工程を含み、
前記接着工程は、前記樹脂を加熱する工程を含む請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記塗布工程は、紫外線および熱で硬化する樹脂を塗布する工程を含み、
前記接着工程は、前記位相差板の側から前記樹脂に紫外線を照射して前記遮光部の間の前記樹脂を硬化した後に、前記樹脂を加熱することにより前記樹脂の全体を硬化させる請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記塗布工程は、紫外線および熱で硬化する樹脂を塗布する工程を含み、
前記接着工程は、前記位相差板の側から前記樹脂に紫外線を照射しつつ、前記樹脂を加熱することにより前記樹脂の全体を硬化させる請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
右目用画像光を生成する右目画像生成領域および左目用画像光を生成する左目画像生成領域を含む画像生成部を有し、前記右目用画像光および前記左目用画像光を、偏光軸が互いに平行な直線偏光として出射する画像表示部と、
前記画像表示部の出射側に配され、右目用偏光領域、左目用偏光領域、および、前記右目用偏光領域と前記左目用偏光領域との境界であって入射側の面に配され、入射した前記右目用画像光および前記左目用画像光を遮る遮光部を有し、前記右目用偏光領域および前記左目用偏光領域に前記右目用画像光および前記左目用画像光がそれぞれ入射したときに、入射した前記右目用画像光および前記左目用画像光を、偏光軸が互いに直交した直線偏光、または、偏光軸の回転方向が互いに逆方向である円偏光として出射する位相差板と
を有する立体画像表示装置の製造方法であって、
前記画像表示部の出射側の面および前記位相差板の前記入射側の面の少なくとも一方であって、前記画像表示部の前記右目画像生成領域および前記左目画像生成領域と前記位相差板の前記右目用偏光領域および前記左目用偏光領域とが重なる領域に、硬化性の樹脂を含む接着シートを貼り付ける貼付工程と、
前記貼付工程の後に、前記画像表示部の出射側の面と前記位相差板の前記入射側の面とを向かい合わせて重ね、前記画像表示部および前記位相差板をラミネートするラミネート工程と、
前記ラミネート工程においてラミネートされた前記画像表示部と前記位相差板との間の樹脂を硬化することにより、前記画像表示部と前記位相差板とを接着する接着工程と
を備える製造方法。
【請求項10】
前記貼付工程は、
樹脂層および前記樹脂層を支持するセパレートフィルムを有する前記接着シートの前記樹脂層の側を、前記位相差板の前記入射側の面に貼り付ける工程と、
前記位相差板の前記入射側の面に貼り付けた前記接着シートの前記セパレートフィルム側に、加熱したロールを押し付けることにより前記接着シートを前記位相差板にラミネートする工程と、
ラミネートされた前記接着シートの前記セパレートフィルムを前記樹脂層から剥がす工程と
を有する請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記ラミネート工程と前記接着工程との間に、大気圧よりも圧力の高い雰囲気中で前記画像表示部および前記位相差板を加熱する加熱工程をさらに備える請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記加熱工程における雰囲気の圧力は、前記ラミネート工程におけるラミネート圧力よりも高い請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記貼付工程と前記ラミネート工程との間に、真空炉内で前記樹脂を脱気する脱気工程をさらに備える請求項9に記載の製造方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の製造方法により製造された立体画像表示装置。
【請求項15】
前記画像表示部は、一対のガラス基板と、前記一対のガラス基板の間に封止された液晶とを有し、
前記出射側のガラス基板の厚みは0.5mm以下である請求項14に記載の立体画像表示装置。
【請求項16】
前記画像表示部は、一対のガラス基板と、前記一対のガラス基板の間に封止された液晶とを有し、
前記位相差板は、前記右目用偏光領域および前記左目用偏光領域を支持するガラス基板を有し、
前記位相差板の前記ガラス基板の厚みは、前記画像表示部における前記出射側のガラス基板の厚みよりも厚い請求項14に記載の立体画像表示装置。
【請求項17】
右目用画像光を生成する右目画像生成領域および左目用画像光を生成する左目画像生成領域を含む画像生成部を有し、前記右目用画像光および前記左目用画像光を、偏光軸が互いに平行な直線偏光として出射する画像表示部と、
前記画像表示部の出射側に配され、右目用偏光領域および左目用偏光領域を有し、前記右目用偏光領域および前記左目用偏光領域に前記右目用画像光および前記左目用画像光がそれぞれ入射したときに、入射した前記右目用画像光および前記左目用画像光を、偏光軸が互いに直交した直線偏光、または、偏光軸の回転方向が互いに逆方向である円偏光として出射する位相差板と、
前記画像表示部の前記右目画像生成領域および前記左目画像生成領域と前記位相差板の前記右目用偏光領域および前記左目用偏光領域とが重なる領域に配され、前記画像表示部の出射側の面と前記位相差板の入射側の面とを接着する接着層と
を備え、
前記位相差板は、前記右目用偏光領域と前記左目用偏光領域との境界であって前記入射側の面に配され、入射した前記右目用画像光および前記左目用画像光を遮る遮光部を有し、
前記接着層は、前記遮光部の厚みと同じ厚みを有する立体画像表示装置。
【請求項18】
前記画像表示部は、一対のガラス基板と、前記一対のガラス基板の間に封止された液晶とを有し、
前記出射側のガラス基板の厚みは0.5mm以下である請求項17に記載の立体画像表示装置。
【請求項19】
前記画像表示部は、一対のガラス基板と、前記一対のガラス基板の間に封止された液晶とを有し、
前記位相差板は、前記右目用偏光領域および前記左目用偏光領域を支持するガラス基板を有し、
前記位相差板の前記ガラス基板の厚みは、前記画像表示部における前記出射側のガラス基板の厚みよりも厚い請求項17に記載の立体画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−109968(P2009−109968A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31740(P2008−31740)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000155698)株式会社有沢製作所 (117)
【Fターム(参考)】