説明

端子位置決め装置

【課題】全長が直線状に延びるストレート型端子のみならず、位置決め治具によって支持
される側の端部が非直線状に変形したJ型端子、L型端子等の異なった形状の端子の位置
決めにも共用することができて、プリント配線基板側の端子受部に対して一括した取付け
を行うことが可能な端子位置決め装置を提供する。
【解決手段】複数の端子受け部を有したプリント配線基板30を載置する載置面3、及び
各端子受け部と一対一で対応して設けられて各端子40の被支持端部を支持する端子支持
凹所4を有したベース部材2と、該ベース部材により進退自在に支持され且つ該各端子支
持凹所内に収容された各端子を一括して端子支持凹所の一方の内壁4aに押圧して位置決
めする端子押え部材10と、各端子を一方の内壁に押圧する押圧位置と該押圧を解除する
解除位置との間で端子押え部材を進退させる駆動機構15と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント基板に形成されたスルーホール等の複数の貫通穴内、或いはパッドに
対して夫々端子を一括して挿入、或いは当接させるのに適した端子位置決め装置に関する

【背景技術】
【0002】
特許文献1(特願2007−040420)に開示された恒温槽型圧電発振器は、表面
実装用のベースプリント基板上面に一端部を半田接続して立設した端子(導体ピン)の他
端部を、圧電振動子実装用の上部プリント基板に設けた端子受け穴に挿入してから半田に
より固定する構成を備えている。最近の端子としては実装面積が大きくなる丸形断面のス
トレートタイプ(丸ピン)よりも、実装面積が狭い薄板状のストレートタイプ(薄型スト
レートピン)が用いられるようになっている。なお、両端部がストレートに延びるストレ
ートピンでは接続用の半田量との関係でベースプリント基板側のパッドとの導通が十分に
確保できない場合には、一端をJ型に湾曲させたJ型端子、或いは一端をL型に屈曲させ
たL型端子を用いて十分な半田量を用いたパッドとの接続が行われる。
このようにプリント配線基板(上部プリント基板)に設けた複数の受け穴に対して各端
子の端部を挿入する作業は繁雑であり、生産性低下、不良品発生率の増大をもたらす原因
となっている。このような不具合に対処するため、例えば、特許文献2(実開昭53−4
170号公報)には、プリント配線基板に配列されたスルーホール等の貫通穴に夫々端子
やピンを挿通する作業を一括して行う為の取付け治具として、プリント配線基板に配列さ
れた複数個の角ピン用孔と対応する配列を有した複数個の透孔を備えたブロックを用い、
ブロックの各透孔に角ピンを立設した状態でブロック上にプリント配線基板を載置するこ
とによって各角ピン用孔内に各ピンを挿通させる技術が開示されている。
【0003】
特許文献3(特開昭56−102370号公報)にも同様の取付け治具が開示されてい
る。
しかし、従来の取付け治具にあっては、両端部を含めた全長が直線的に延びるストレー
ト形状(断面丸型、或いは薄板状)の端子等の一種類の端子のみにしか対応することがで
きず、今後主流になると思われるJ型端子やL型端子への対応が困難であった。即ち、J
型端子やL型端子はプリント基板側に接続される先端部がストレートである一方で、取付
け治具により支持される基端部(被支持端部)はJ字状、或いはL字状に変形しているた
め、ストレートな先端部をプリント配線基板の受け穴に挿通する場合には、非ストレート
形状の基端部を支持する複数の支持穴を取付け治具側に設けて所定の姿勢に保持する必要
がある。しかし、J型端子等の非ストレートな基端部を各支持穴に差し込んだだけでは各
端子が傾斜して直立姿勢を維持できないため、各端子を一括してプリント配線基板側の各
受け穴に挿入することが困難であった。
【特許文献1】特願2007−040420
【特許文献2】実開昭53−4170号公報
【特許文献3】特開昭56−102370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように従来は、プリント配線基板に設けた複数のスルーホール等の端子受け穴に
夫々一括して端子を挿入することができる治具が知られているが、ストレート形状の端子
等の単純な形状の端子専用の治具である場合が大半であり、J型端子、L型端子等のよう
に被支持端部の形状が複雑な端子を直立状態で位置決めしてプリント配線基板側のスルー
ホール等に取り付けることはできなかった。また、一つの治具により異なった形状の端子
の位置決めに共用できるものはなかった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、全長が直線状に延びるストレート型端子の
みならず、位置決め治具によって支持される側の端部が非直線状に変形したJ型端子、L
型端子等の異なった形状の端子の位置決めにも共用することができて、プリント配線基板
側の端子受部に対して一括した取付けを行うことが可能な端子位置決め装置を提供するこ
とを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本発明に係る端子位置決め装置は、複数の端子受け部を有したプリント配
線基板を載置する載置面、及び前記プリント基板の各端子受け部と一対一で対応して設け
られて各端子の被支持端部を支持する端子支持凹所を有したベース部材と、該ベース部材
により進退自在に支持され且つ該各端子支持凹所内に収容された前記各端子を一括して前
記端子支持凹所の内壁の一部分に押圧して位置決めする端子押え部材と、前記各端子を前
記内壁の一部分に押圧する押圧位置と該押圧を解除する解除位置との間で前記端子押え部
材を進退させる駆動機構と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
ストレートタイプの端子、J型端子、L型端子に共通する形状は、その中間部がストレ
ート形状である点である。本発明では、各種タイプの端子に共通する形状部である中間部
を押さえるため、被支持端部の形状の違いに関係なく一つの装置によって端子を確実に支
持することができるため、プリント基板の端子受け部に対して一対一にて適切に対応させ
て半田付けに供することができる。なお、端子受け部とは穴や凹所に限らず、パッドなど
の平坦な部位も含む。
【0008】
[適用例2]前記端子支持凹所は、前記進退方向へ伸びる細長い形状を有していること
を特徴とする。
【0009】
端子支持凹所は、各種端子の被支持端部を共通して収容し得る細長い形状を有している

【0010】
[適用例3]また、前記ベース部材は、前記載置面を有した中央部材と、該中央部材の
左右両方の側方に夫々連設され且つ前記端子支持凹所を備えた側方部材と、を備え、前記
端子支持凹所は、前記中央部材の側方の側壁にて構成した前記内壁の一部、を備え、前記
端子押え部材は、前記端子支持凹所の前記内壁の一部との間で前記端子を押圧して位置決
めすることを特徴とする。
【0011】
この場合には、端子押え部材を中央部材側に押圧したときに端子中間部を端子支持凹所
の内壁との間で抑えることができる。
【0012】
[適用例4]前記中央部材の載置面は、前記側方部材の上面よりも突出していることを
特徴とする。
【0013】
プリント基板を載置した際の干渉が防止される。
【0014】
[適用例5]前記ベース部材は、前記端子支持凹所を配置した中央部材と、該中央部材
の両側端縁から連設され上面に載置面を有した側方部材と、を備え、前記端子支持凹所は
、前記側方部材の側壁のうち前記中央部材側に位置する側壁にて構成した前記内壁の一部
、を備え、前記端子押え部材は、前記端子支持凹所の内壁の一部との間で前記端子を押圧
して位置決めすることを特徴とする。
【0015】
この場合には、端子押え部材を中央部材から離間する方向へ押圧したときに端子中間部
を端子支持凹所の内壁との間で抑えることができる。
【0016】
[適用例6]前記側方部材の載置面は、前記中央部材の上面よりも突出していることを
特徴とする。
【0017】
[適用例7]前記駆動機構は、前記ベース部材によって回転自在に軸支されたカム部材
と、該カム部材の外周縁と係合する前記端子押え部材に設けた被駆動部と、該端子押さえ
部材を一方向へ付勢する弾性部材と、を備え、前記カム部材は回転する過程で前記端子押
え部材を、前記端子支持凹所内の前記端子を押圧する方向と、該押圧を解除する方向へ進
退させることを特徴とする。
【0018】
カム部材を用いて端子押え部材を進退させるため、応答性のよい構造とすることができ
る。
【0019】
[適用例8]前記カム部材は、長円形、或いは楕円形の部材であり、前記被駆動部は該
カム部材の長手方向端部が嵌合する長穴、或いは角穴であることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る端子位置決め装置を図面に示した実施の形態により詳細に説明する

図1(a)は本発明の一実施形態に係る端子位置決め装置の構成を示す斜視図、(b)
はその分解斜視図であり、図2(a)(b)及び(c)は端子を押さえる手順を示す断面
図であり、図3(a)及び(b)は駆動機構の構成を示す正面図、及び要部拡大図である

本発明に係る端子位置決め装置1は、複数の端子挿通穴(端子受け部)31を有したプ
リント配線基板30を上面に載置する載置面3、及びプリント基板30の各端子挿入穴3
1と一対一で対応して設けられて各端子40の被支持端部41を収容する端子支持凹所4
を有したベース部材2と、ベース部材2により横方向へ進退自在に支持され且つ各端子支
持凹所4内に収容された各端子40の側部を一括して端子支持凹所の一方の内壁(押え面
)4aに押圧して位置決めする端子押え部材10と、各端子40を一方の内壁4aに押圧
する押圧位置(図2中に破線で図示)と該押圧を解除する解除位置(図2中に実線で図示
)との間で端子押え部材10を進退させる駆動機構15と、を備えている。
【0021】
載置面3を中間にして、端子支持凹所4は、一方の内壁4aと直交する方向(上記進退
方向)へ延びる細長い形状を有している。端子支持凹所4は、図2(a)(b)及び(c
)に示すように形状の異なる各種の端子40の被支持端部41を収容し得るように寸法設
定されている。本例では、図2(a)に示したJ形端子、(b)に示したストレート端子
、及び(c)に示したL形端子を夫々同一の端子支持凹所4により支持することができる
。また、端子支持凹所4内に各種形状の端子40の被支持端部41を支持した際に端子の
中間部(上方へ延びる直線部分)は一方の内壁4aに当接する。つまり、被支持端部41
の形状の違いに関係なく、各種端子に共通する形状を備えた中間部を押さえるように構成
した点が特徴的である。
ベース部材2は、載置面3を有した中央部材5と、載置面3を中間にして中央部材5の
左右両側方(左右両方の側方)に夫々段差状に連設され且つ複数の端子支持凹所4を備え
た側方部材6と、を備えている。端子支持凹所4は両側方部材6の上面に奥行き方向に沿
って所定のピッチにて配置されており、この端子支持凹所4のピッチは、プリント配線基
板30の端子挿入穴31の個数、ピッチと対応している。各端子支持凹所4の一方の内壁
(押え面)4aは中央部材5の側壁の一部を構成している。各端子支持凹所4は、被支持
端部41が直線状、J型、或いはL型、その他の形状であっても安定して収容できるよう
に一方の内壁4aと直交する方向へ細長く構成されている一方で、内壁4aの面と平行な
方向の幅は、各端子40が同方向へ傾倒することがないように寸法設定されている。
中央部材5の載置面3は、側方部材6の上面よりも上方に突出しているため、端子挿入
時に中央部材上に載置されるプリント配線基板と、端子押え部材10との干渉が防止され
る。
【0022】
端子押え部材10は、中央部材5の側壁に相当する端子支持凹所4の一方の内壁4aと
の間で端子40の中間部を押圧して位置決めする。本例では端子押え部材10はL字形で
あり、その端縁(押え部)10Aにて端子40の中間部を押圧して内壁4aとの間で挟圧
保持する。なお、図2中に鎖線で示したように端子押え部材10をコ字形状とすることに
より、側方部材6の上下面との間で端子押え部材10を摺動(ガイド)させながら進退さ
せることができるので、端子押え部材の軌道が安定する。
端子押え部材10はその端縁10Aにて端子40の中間部を押さえる構成であるため、
端子がストレートタイプであろうと、J型、或いはL型であろうと、共通して押さえて直
立状態に保持することが可能となる。
本例では、端子押え部材10は、横方向へ直線的に進退するように構成しているが、上
下方向へ円弧状に揺動する過程で端子を押圧したり押圧解除するように構成してもよい。
つまり、端子押え部材10の進退方向、経路に限定はない(後述の他の実施形態について
も同様に当てはまる)。
【0023】
各端子支持凹所4内に端子40の被支持端部41を収容した状態で端子押え部材10に
より端子40を押圧することにより端子の中間部は内壁4aと端子押え部材10との間で
確実に押さえられ、位置決めされて直立状態を維持できるため、端子の種類、被支持端部
41の形状の違いに関係なく、図2(a)のようにプリント配線基板30を載置面3へ向
けて下降させた際に各端子挿通穴31内に各端子を一括して差し込むことが可能となる。
駆動機構15は、ベース部材2の前後面中央部に設けた軸孔2aによって回転自在に軸
支された軸部材16に中心部を一体化された偏心カム部材17と、軸部材16の一端部に
固定された操作ノブ18と、偏心カム部材17の外周縁と係合する端子押え部材10に設
けた被駆動部11と、端子押さえ部材10を一方向へ付勢するコイルバネ(弾性部材)2
1と、を備えている。
本実施形態では、カム部材17は、長円形、或いは楕円形の板部材であり、被駆動部1
1はカム部材17の長手方向端部が嵌合する長穴、或いは角穴である。
カム部材17は軸部材16を中心として回転する過程で端子押え部材10を、端子支持
凹所4内の端子40を押圧する方向(内側方向)と、該押圧を解除する方向(外側方向)
へ進退させる。
【0024】
端子押え部材10は、断面形状がL字状、或いはコ字状の本体12と、本体12の長手
方向両端面(前後面)に夫々一体化されて先端部を前後方向へ屈曲させたL字状のブラケ
ット13と、を備え、両ブラケット13の外側に屈曲した先端面には被駆動部11が形成
されている。また、両ブラケット13の基部には横方向(端子押え部材の進退方向)へ延
びる長穴13aが設けられ、この長穴13aはベース部材2の前後面適所に設けたネジ穴
2bと連通可能な位置関係にある。ネジ14のネジ部外周にガイドピン(滑動部材)20
を挿通した状態でネジ部を長穴13aを介してベース部材のネジ穴2bに螺着し、更にコ
イルバネ(弾性部材)21の一端をネジ14に止着すると共にコイルバネの他端を端子押
え部材に設けたネジ係止部22に係止する。ネジ14はガイドピン20を介して長穴13
aと係合しているため、端子押え部材10はネジ14に沿って横方向(押圧方向及び押圧
解除方向)へ進退することができる。また、端子押え部材10は引張りバネとしてのコイ
ルバネ21によって常時ベース部材2へ接近する方向(端子押え方向)へ弾性付勢されて
いる。なお、ガイドピン20は小径の筒状部と大径の筒状部を連設した構成を有し、小径
の筒状部を長穴13a内に遊嵌することにより長穴内を進退することができる。
なお、図示しないが、コイルバネ21によって端子押え部材10を端子押え解除方向へ
付勢するようにしてもよい。この場合には駆動機構15によって端子押え部材を端子押え
方向へ移動させるように構成すればよい。
なお、各端子押え部材10の動作をより安定させるために、各側方部材6の外側面に形
成したガイド穴6a内にガイドシャフト19の先端部を固定し、このガイドシャフト19
を端子押え部材10に設けたガイド穴10aに遊嵌状態で挿通するように構成してもよい

【0025】
このように常時端子押え方向へ弾性付勢された各端子押え部材10に夫々設けた各被駆
動部11に対して、カム部材17の長手方向両端縁が嵌合可能となっているため、操作ノ
ブ18を所要角度回動させてカム部材17を回動させると、応答性良く端子押え部材10
は内外方向へ進退する。図3(a)(b)に示したようにカム部材17の長手方向両端部
が被駆動部11内に嵌合している場合には押え部材本体12は外側(ベース部材2から離
間する方向)へ移動するため、図2中に実線で示した押圧解除位置にあるが、図3(a)
(b)の状態よりもカム部材17が所要角度以上回動してカム部材の長手方向両端部が被
駆動部11から離脱した場合には各コイルバネ21による押圧方向への付勢力により両端
子押え部材10は内側へ移動してその押え部10Aにて端子40の中間部を押圧する。
このように各端子支持凹所4内に一端部を収容された各端子40は、端子押え部材10
と内壁4aとの間で中間部を挟圧されるため端子を起立した状態で支持し続けることがで
きる。この状態で、図2(a)のように各端子挿入穴31が各端子の先端部と整合するよ
うにプリント配線基板30を下降させることにより各端子を各端子挿入穴に装着すること
ができる。
【0026】
なお、カム部材17の長手方向両端部は、長穴、或いは角穴状の被駆動部11内におい
て4点で支持されるためこの状態を維持し続けることができる。
なお、端子の先端部をプリント配線基板に設けたパッド(電極面)に当接させた状態で
半田付けを行う場合(面実装)であっても本発明の端子位置決め装置を用いた位置決めが
可能である。即ち、本発明は、端子受け部が挿入穴である場合のみならず、パッドである
場合にも適用することができる。
なお、上記実施形態に係る端子位置決め装置1は、プリント配線基板にL型、或いはJ
型の各端子40の先端部を取り付けた際にその被支持端部41(L字状部、J字状部)が
外側を向く場合に使用可能である。被支持端部41が内側を向く場合には、端子を内壁4
aと端子押え部材10との間で押さえつつ直立状態に保持することができない。無理に押
さえようとすれば端子は端子支持凹所4内で傾斜したり、抜取り不能な状態に陥る。
【0027】
図4乃至図6は被支持端部41を内側へ向けた状態で端子40をプリント配線基板30
に固定する場合に適した端子位置決め装置の構成を示している。
図4(a)は本発明の他の実施形態に係る端子位置決め装置の構成を示す斜視図、(b
)はその分解斜視図であり、図5(a)(b)及び(c)は端子を押さえる手順を示す断
面図であり、図6(a)及び(b)は駆動機構の構成を示す正面図、及び要部拡大図であ
る。なお、図1乃至図3に示した実施形態と同一部分には同一符号を付しつつ、相違箇所
にのみ異なった符号を付して説明する。
本実施形態に係る端子位置決め装置1では、中央部材50の両側端縁(左右両方向の端
)に沿って所定のピッチにて形成された複数の端子支持凹所4の他方の内壁4bと端子押
え部材10との間で端子(L字形、或いはJ字形の被支持端部41は内側へ向いている)
の中間部を押圧して位置決めするように構成されている。
本発明に係る端子位置決め装置1は、複数の端子挿通穴(端子受け部)31を有したプ
リント配線基板30を上面に載置する載置面61を両側方部材60の上面に有すると共に
、各載置面61の内側に配置されてプリント基板30の各端子挿入穴31と一対一で対応
して設けられて各端子40の被支持端部41を収容する端子支持凹所4を有したベース部
材2と、ベース部材2により横方向へ進退自在に支持され且つ被支持端部41を各端子支
持凹所4内に収容された各端子40の中間部を一括して端子支持凹所の他方の内壁(押え
面)4bに押圧して位置決めする端子押え部材10と、各端子40を他方の内壁4bに押
圧する押圧位置(図5中に破線で図示)と該押圧を解除する解除位置(図5中に実線で図
示)との間で端子押え部材10を進退させる駆動機構15と、を備えている。
【0028】
端子支持凹所4は、他方の内壁4bと直交する方向へ延びる細長い形状を有している。
端子支持凹所4は、図5(a)(b)及び(c)に示すように形状の異なる各種の端子4
0の被支持端部41を収容し得るように寸法設定されている。本例では、図5に示したJ
型端子、(b)に示したストレート端子、及び(c)に示したL型端子を夫々一つの端子
支持凹所4により支持することができる。また、端子支持凹所4内に各種形状の端子40
の被支持端部41を支持した際に端子の中間部(上方へ延びる直線部分)は他方の内壁4
bに当接する。
ベース部材2は、前後方向へ延びる両側端縁に沿った上面に端子支持凹所4を配置した
中央部材50と、中央部材50の両側端縁から連設され上面に載置面61を有した凸状の
側方部材60と、を備えている。端子支持凹所4は中央部材50の両側端縁に沿った上面
に所定のピッチにて配置されており、この端子支持凹所4のピッチは、プリント配線基板
30の端子挿入穴(端子受け部)31の個数、ピッチと対応している。各端子支持凹所4
の内壁のうち各側方部材60の側壁に相当する内壁4bは端子を押さえる押え面を構成し
ている。
側方部材60の載置面61は、中央部材50の上面よりも上方に突出しているため、端
子挿入時に側方部材60上に載置されるプリント配線基板と、端子押え部材10との干渉
が防止される。
【0029】
各端子押え部材10は、各側方部材60の側壁に相当する端子支持凹所4の他方の内壁
4bとの間で端子40の中間部を押圧して位置決めする。各端子押え部材10はその上面
に形成された矩形の開口部10B内に各側方部材60を嵌合させた状態で内外方向へ進退
し、開口部10Bの内側端縁に相当する押え部10B`にて端子40の中間部を押圧して
内壁4bとの間で挟圧保持する。
端子押え部材10は押え部10B`にて端子40の中間部を押さえる構成であるため、
端子がストレートタイプであろうと、J型、或いはL型であろうと、共通して押さえて直
立状態に保持することが可能となる。即ち、端子の被支持端部41の形状の違いに関係な
く、中間部はストレート形状であるため、この中間部を押さえることが可能となる。
各端子支持凹所4内に端子40の被支持端部41を収容した状態で端子押え部材10に
より端子40の中間部を押圧することにより端子は内壁4bと端子押え部材10との間で
確実に押さえられ、位置決めされるため、端子の種類、形状の違いに関係なく、図5(a
)のようにプリント配線基板30を載置面61へ向けて下降させた際に各端子挿通穴31
内に各端子を一括して差し込むことが可能となる。
駆動機構15は、ベース部材2の前後面中央部に設けた軸孔2aによって回転自在に軸
支された軸部材16に一体化された偏心カム部材17と、軸部材16の一端部に固定され
た操作ノブ18と、偏心カム部材17の外周縁と係合する端子押え部材10に設けた被駆
動部11と、端子押さえ部材10を一方向へ付勢するコイルバネ(弾性部材)21と、を
備えている。
【0030】
本実施形態では、カム部材17は、長円形、或いは楕円形の板部材であり、被駆動部1
1はカム部材17の長手方向端部が嵌合する長穴、或いは角穴である。
カム部材17は軸部材16を中心として回転する過程で端子押え部材10を、端子支持
凹所4内の端子40を押圧する方向(外側方向)と、該押圧を解除する方向(内側方向)
へ進退させる。
端子押え部材10は、断面形状がL字状、或いはコ字状の本体12と、本体12の長手
方向両端縁から夫々突設されたL字状のブラケット13と、を備え、両ブラケット13の
外側に屈曲した先端面には被駆動部11が形成されている。また、両ブラケット13の基
部には横方向(端子押え部材の進退方向)へ延びる長穴13aが設けられ、この長穴13
aはベース部材2の前後面適所に設けたネジ穴2bと連通可能な位置関係にある。ネジ1
4のネジ部外周にガイドピン20を挿通した状態でネジ部を長穴13aを介してベース部
材のネジ穴2bに螺着し、更に引張りコイルバネ(弾性部材)21の一端をネジ14に止
着すると共にコイルバネの他端を端子押え部材10に設けたネジ係止部22に係止する。
ネジ14はガイドピン20を介して長穴13aと係合しているため、端子押え部材10は
ネジ14に沿って横方向(押圧方向及び押圧解除方向)へ進退することができる。また、
端子押え部材10は引張りバネとしてのコイルバネ21によって内側方向(端子押え解除
方向)へ弾性付勢されている。
【0031】
図4(a)のようにカム部材17が被駆動部11と係合していない状態では、端子押え
部材16は端子押圧解除方向(内側)へ位置している。一方、カム部材17が図6のよう
にコイルバネ21に抗してブラケット13を外側に押し広げている場合には、端子押え部
材10の押え部10B`が端子40を押圧して内壁4bとの間で挟圧保持する。
ガイドピン20は小径の筒状部と大径の筒状部を連設した構成を有し、小径の筒状部を
長穴13a内に遊嵌することにより長穴内を進退することができる。
各端子押え部材10の動作をより安定させるために、各側方部材6の外側面に形成した
ガイド穴6a内にガイドシャフト19の先端部を固定し、このガイドシャフト19を端子
押え部材10に設けたガイド穴10aに遊嵌状態で挿通するように構成してもよい。
操作ノブ18を所要角度回動させてカム部材17を回動させると、応答性良く端子押え
部材10は内外方向へ進退する。常時端子押え解除方向へ弾性付勢された各端子押え部材
10に夫々設けた各被駆動部11に対して、カム部材17の長手方向両端縁が嵌合可能と
なっているため、図6(a)(b)に示した状態では両端子押え部材10は外側へ開放し
た状態にあり、押え部10B`によって端子を押さえた状態にある。換言すれば、図5(
a)に示したように押え部材本体12がコイルバネ21の付勢力によって内側(ベース部
材2に接近する方向)へ移動した状態にある場合には、図5中に実線で示した押圧解除位
置にあるが、図5の状態よりもカム部材17が所要角度以上回動してカム部材の長手方向
両端部が被駆動部11内に係合した場合(図6の状態)には、各コイルバネ21の付勢力
に抗して両端子押え部材10は外側へ移動してその押え部10B`にて端子40の中間部
分の一側面を押圧する。
しかも、カム部材17の円弧状の両端部は2つの長穴、或いは角穴状の被駆動部11内
に同時に嵌合するため、各被駆動部11の内周縁との間で合計4点で支持されるためこの
状態を維持し続けることができる。
【0032】
このように各端子支持凹所4内に一端部を収容された各端子40は、端子押え部材10
と内壁4bとの間で挟圧されるため端子を起立状態で支持し続けることができる。この状
態で、図5(a)のように各端子挿入穴31が各端子の先端部と整合するようにプリント
配線基板30を下降させることにより各端子先端を各端子挿入穴に装着することができる
。端子先端を各端子挿入穴に装着し、端子押え部材10により押さえた後で半田を用いた
接続を実施する。
なお、上記各実施形態に係る位置決め治具は、端子支持凹所4の深さが一定であるため
、端子支持凹所4の深さを短い端子40に適した値に設定すると、長い端子を押さえる際
に安定しなくなる可能性がある。この場合には、端子支持凹所4を形成した側方部材6及
び中央部材50の各上面に図示しない薄板状のスペーサ板を重ねて固定することにより長
い端子に対しても対応が可能となる。このスペーサ板には各端子支持凹所4と対応する位
置に各端子支持凹所と整合する切欠きを形成する。また、このようにスペーサ板により側
方部材6及び中央部材50の各上面の高さ位置を嵩上げする場合には、端子押え部材10
としても押え部10A、10B`の位置がスペーサ板上に沿ってスムーズに進退するタイ
プを使用することとなる。
なお、端子押え部材10に設ける押え部10A、10B`は端子との接触面積ができる
限り広い方が端子を押さえた際の支持安定性が高まる一方で、接触面積が同じ場合にはで
きるだけ端子の上部を押さえた方が支持安定性が高まる。
【0033】
本発明の各実施形態に係る端子位置決め装置1を構成する各構成要素であるベース部材
2、及び駆動機構15は金属で構成しても良いし、半田接続時の放熱を低減させることを
考慮すれば部分的に放熱性の低い樹脂(特に、耐熱樹脂:ピーク材等)を用いることが好
ましい。例えば、半田接続時の放熱を防止するためにはベース部材は蓄熱性のよい樹脂の
方が好ましい。
駆動機構15、特に押え部材10は、寸法精度の関係から金属の方が好ましいが、樹脂
であってもよい。
本発明の駆動機構15は自動化に適している。例えば、操作ノブ18をモータにより駆
動したり、プリント配線基板を吸着手段により吸着して昇降させることにより、自動化が
可能となる。
また、量産性を高めるためには、本発明のベース部材2を長手方向に配列、或いは連結
一体化した構成とし、各ベース部材に対して一括して進退する押え部材を用いて全ての端
子支持凹所内に支持された端子を一括して保持することができる。この状態で、個々のプ
リント配線基板、或いは複数枚連続したプリント配線基板母材を下降させて端子との接続
を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係る端子位置決め装置の構成を示す斜視図、(b)はその分解斜視図である。
【図2】(a)(b)及び(c)は端子を押さえる手順を示す断面図である。
【図3】(a)及び(b)は駆動機構の構成を示す正面図、及び要部拡大図である。
【図4】(a)は本発明の他の実施形態に係る端子位置決め装置の構成を示す斜視図、(b)はその分解斜視図である。
【図5】(a)(b)及び(c)は端子を押さえる手順を示す断面図である。
【図6】(a)及び(b)は駆動機構の構成を示す正面図、及び要部拡大図である。
【符号の説明】
【0035】
1…端子位置決め装置、2…ベース部材、2a…軸孔、2b…ネジ穴、3…載置面、4
…端子支持凹所、4a…内壁、4b…内壁、5…中央部材、6…側方部材、6…両側方部
材、6a…ガイド穴、10…端子押え部材、10A、10B`…押え部、10B…開口部
、10a…ガイド穴、11…被駆動部、12…部材本体、13…ブラケット、13a…長
穴、14…ネジ、15…駆動機構、16…軸部材、17…カム部材、18…操作ノブ、1
9…ガイドシャフト、20…ガイドピン、21…コイルバネ、22…ネジ係止部、30…
プリント基板、31…端子挿入穴(端子受け部)、40…端子、41…被支持端部、50
…中央部材、60…側方部材、61…載置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子受け部を有したプリント配線基板を載置する載置面、及び前記プリント基板
の各端子受け部と一対一で対応して設けられて各端子の被支持端部を支持する端子支持凹
所を有したベース部材と、該ベース部材により進退自在に支持され且つ該各端子支持凹所
内に収容された前記各端子を一括して前記端子支持凹所の内壁の一部分に押圧して位置決
めする端子押え部材と、前記各端子を前記内壁の一部分に押圧する押圧位置と該押圧を解
除する解除位置との間で前記端子押え部材を進退させる駆動機構と、を備えたことを特徴
とする端子位置決め装置。
【請求項2】
前記端子支持凹所は、前記進退方向へ延びる細長い形状を有していることを特徴とする
請求項1に記載の端子位置決め装置。
【請求項3】
前記ベース部材は、前記載置面を有した中央部材と、該中央部材の左右両方の側方に夫
々連設され且つ前記端子支持凹所を備えた側方部材と、を備え、
前記端子支持凹所は、前記中央部材の側方の側壁にて構成した前記内壁の一部、を備え
、前記端子押え部材は、前記端子支持凹所の前記内壁の一部との間で前記端子を押圧して
位置決めすることを特徴とする請求項1、又は2に記載の端子位置決め装置。
【請求項4】
前記中央部材の載置面は、前記側方部材の上面よりも突出していることを特徴とする請
求項3に記載の端子位置決め装置。
【請求項5】
前記ベース部材は、前記端子支持凹所を配置した中央部材と、該中央部材の両側端縁か
ら連設され上面に載置面を有した側方部材と、を備え、
前記端子支持凹所は、前記側方部材の側壁のうち前記中央部材側に位置する側壁にて構
成した前記内壁の一部、を備え、
前記端子押え部材は、前記端子支持凹所の内壁の一部との間で前記端子を押圧して位置
決めすることを特徴とする請求項1、又は2に記載の端子位置決め装置。
【請求項6】
前記側方部材の載置面は、前記中央部材の上面よりも突出していることを特徴とする請
求項5に記載の端子位置決め装置。
【請求項7】
前記駆動機構は、前記ベース部材によって回転自在に軸支されたカム部材と、該カム部
材の外周縁と係合する前記端子押え部材に設けた被駆動部と、該端子押さえ部材を一方向
へ付勢する弾性部材と、を備え、
前記カム部材は回転する過程で前記端子押え部材を、前記端子支持凹所内の前記端子を
押圧する方向と、該押圧を解除する方向へ進退させることを特徴とする請求項1乃至6の
何れか一項に記載の端子位置決め装置。
【請求項8】
前記カム部材は、長円形、或いは楕円形の部材であり、前記被駆動部は該カム部材の長
手方向端部が嵌合する長穴、或いは角穴であることを特徴とする請求項7に記載の端子位
置決め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−45270(P2010−45270A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209505(P2008−209505)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】