説明

端末管理装置、端末管理システム、これらにおける処理方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラム

【課題】 無線通信の障害が多数存在する環境においても端末管理装置に通信端末の位置を把握させる。
【解決手段】 探索対象の通信端末20Cが端末管理装置10Aの通信可能な範囲内にあるか否かを確認するため、端末管理装置10Aは、通信端末20C宛に存在確認信号を送信する。通信端末20Cから存在確認応答信号が返信されてこない場合は、通信端末20Cが端末管理装置10Aの通信可能な範囲内にないと判断される。この場合、ケーブル30を通じて端末管理装置10Aから端末管理装置10Bに対して探索要求が送信される。この探索要求に応じて端末管理装置10Bは、端末管理装置10Bの通信可能な範囲内に通信端末20Cが存在するか否かを上記と同様の過程を経て判断した後、通信端末20Cの位置を検出してその結果を端末管理装置10Aに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末を管理する端末管理装置に関し、特に通信可能な範囲外にある通信端末の位置をも把握する端末管理装置、端末管理システム、および、これらにおける処理方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭内の様々な機器が、その機器から離れた場所からその機器専用のリモートコントローラ(以下、リモコンと略す。)により制御されるようになっている。このリモコンは、ユーザーによる操作入力に応じて、赤外線や無線電波により所定のコマンドをその機器に対して送信するものである。今後は、WPAN(Wireless Personal Area Network)環境において家庭内機器の無線化が進み、リモコンによる制御対象が増加することが想定される。このような状況下においては、家庭内に複数存在する機器を1台のリモコンその他の通信装置で管理できれば便利である。
【0003】
複数存在する機器を1台のリモコンその他の通信装置で管理する技術として、従来より、自身の通信可能な範囲に存在する機器の位置を検出してその検出結果を自身が備える表示画面にアイコン表示させる通信装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。この通信装置は、表示画面上のアイコン表示に対して操作を行うことによって位置を検出した機器の操作を行うものである。
【特許文献1】特開2004−320209号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術は、複数存在する機器を1台のリモコンその他の通信装置で操作することを想定している。しかしながら、現状においては、複数存在する機器を1台のリモコンその他の通信装置で管理するという状況が一般ユーザーに浸透したとは言えず、複数存在する機器のそれぞれに備えられたリモコンで各機器を操作することが主流である。このような状況下においては、複数存在する機器のそれぞれに備えられたリモコンを管理する必要が生じる。
【0005】
また、上述の従来技術は、通信装置の通信可能な範囲においては機器の位置を把握できるが、通信装置の通信可能な範囲外に機器が位置するような場合は、機器の位置を把握できない。特に家庭内のように無線通信の障害となる壁などが数多くあるような環境においては通信装置の通信可能な範囲は狭くなり、家庭内にある全ての機器を管理することは難しい。この問題は、複数存在する機器のそれぞれに備えられたリモコンを1台の通信装置で管理する場合も同様に生じる。すなわち、家庭内のように無線通信の障害となる壁などが数多くあるような環境において、無線通信によって全てのリモコンを1台の通信装置で管理することは難しい。
【0006】
そこで、本発明は、無線通信の障害が多数存在する環境においても通信端末の位置を把握する端末管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その第1の側面は、第1の端末管理装置と第2の端末管理装置と通信端末とを具備する端末管理システムであって、上記第1の端末管理装置が、上記通信端末が当該第1の端末管理装置の通信可能な範囲に存在するか否かの存在確認を行う第1の存在確認手段と、上記通信端末の存在が確認されなかった場合に上記探索通信端末の位置検出を行うよう上記第2の端末管理装置に要求する探索要求手段と、上記要求に応じて上記第2の端末管理装置において検出された上記通信端末の位置を受信する受信手段と、上記受信した上記通信端末の位置を表示する表示手段とを備え、上記第2の端末管理装置が、上記要求を受けた後に上記通信端末が当該第2の端末管理装置の通信可能な範囲に存在するか否かの存在確認を行う第2の存在確認手段と、上記通信端末の存在が確認された場合に上記通信端末の位置検出を行う位置検出手段と、上記位置検出の結果を上記第1の端末管理装置に返信する探索要求元返信手段と
を備え、上記通信端末が、上記第1および第2の端末管理装置から送信された上記存在確認に応答する存在確認応答手段を備えることを特徴とする端末管理システム
である。これにより、当該端末管理装置の通信可能範囲にない通信端末の位置を把握しようという場合、その通信端末と通信可能な他の端末管理装置に位置検出させ、その位置検出結果を当該端末管理装置に送信させることによって、当該端末管理装置に通信端末の位置を把握させるという作用をもたらす。
【0008】
また、本発明の第2の側面は、探索される対象である探索通信端末が当該端末管理装置の探索範囲において存在するか否かの存在確認を行う存在確認手段と、上記存在確認手段において上記探索通信端末の存在が確認された場合に所定の領域における上記探索通信端末の位置を検出する位置検出手段と、上記探索通信端末の存在が確認されなかった場合に上記探索通信端末の位置検出を行うよう他の端末管理装置に要求する探索要求手段と、上記要求に応じて上記他の端末管理装置において検出された上記探索通信端末の位置を受信する受信手段と、上記受信した上記探索通信端末の位置を表示する表示手段とを具備することを特徴とする端末管理装置である。これにより、当該端末管理装置の通信可能範囲にない通信端末の位置を当該端末管理装置に把握させるという作用をもたらす。
【0009】
また、この第2の側面において、当該端末管理装置は、上記探索通信端末を選択する操作手段をさらに具備し、上記存在確認手段は、上記選択に応じて上記存在確認を行うことを特徴とするものである。これにより、選択された通信端末の位置を把握させるという作用をもたらす。すなわち、ユーザーが希望する通信端末の位置のみを把握できる。
【0010】
また、この第2の側面において、上記存在確認手段は、通信端末から操作信号を受信した場合に上記存在確認を行うことを特徴とするものである。これにより、通信端末が当該端末管理装置に操作信号を送信するたびにその通信端末の位置を把握させるという作用をもたらす。
【0011】
また、この第2の側面において、他の端末管理装置から上記位置検出の要求を受けた場合に上記位置検出手段における検出結果を上記位置検出の要求をした他の端末管理装置に返信する探索要求元返信手段をさらに具備することを特徴とするものである。これにより、通信端末の探索要求を発した端末管理装置にその通信端末の位置を把握させるという作用をもたらす。
【0012】
また、この第2の側面において、上記位置検出手段は、当該測距手段と上記探索通信端末との距離を測定するための測距信号が上記探索通信端末に送信されてから上記測距信号に対する応答信号が返信されるまでの時間に基づいて上記探索通信端末と当該測距手段との距離を算出する2以上の測距手段と、上記探索通信端末と上記測距手段との距離に基づいて上記領域における上記探索通信端末の位置を決定する位置決定手段とを具備することを特徴とするものである。これにより、端末管理装置から測距信号が送信されてからその端末管理装置において測距応答信号を受信するまでの時間に基づいて、その端末管理装置と通信端末との位置関係を端末管理装置に把握させるという作用をもたらす。
【0013】
また、当該端末管理装置は、上記領域の境界と上記2以上の測距手段との距離に基づいて上記領域の境界の位置を算出して上記領域を設定する領域設定手段をさらに具備し、上記2以上の測距手段の各々は、上記領域の境界において通信端末から送信される領域を決定すべき旨の要求に応じて上記領域の境界と当該測距手段との距離を算出することを特徴とするものである。これにより、端末管理装置と領域の境界との距離に基づいて通信端末の位置を表示させる領域を決定させるという作用をもたらす。
【0014】
また、上記表示手段は、上記領域における上記探索通信端末の検出位置を表示させることを特徴とするものである。これにより、通信端末の具体的な位置を把握させるという作用をもたらす。すなわち、領域を家屋における所定の部屋全体とした場合、その部屋のどの位置に通信端末が位置するかを把握させることができる。
【0015】
また、この第2の側面において、当該端末管理装置は、通信端末から送信された上記通信端末のバッテリの残量を受信して保持するバッテリ残量保持手段をさらに具備し、上記表示手段は、上記バッテリの残量を表示することを特徴とするものである。これにより、通信端末のバッテリ残量を端末管理装置に表示させるという作用をもたらす。
【0016】
また、当該端末管理装置は、上記バッテリの残量が所定容量以下になったことを検出してその旨を上記表示手段に表示させるバッテリ残量管理手段をさらに具備することを特徴とするものである。これにより、通信端末のバッテリ残量が所定容量以下になった場合に端末管理装置にその旨を表示させるという作用をもたらす。
【0017】
また、この第2の側面において、上記要求を指示する操作手段をさらに具備し、上記探索要求手段は、上記指示に応じて上記要求を行うことを特徴とするものである。これにより、当該端末管理装置の通信範囲内に通信端末が位置しない場合に他の端末管理装置にその通信端末の探索を要求させるという作用をもたらす。
【0018】
また、本発明の第3の側面は、端末管理装置から送信された当該通信端末が存在するか否かの確認の問い合わせに対して応答する存在確認応答手段と、上記端末管理装置と当該通信端末との距離を測定するための測距信号に対して応答する測距信号応答手段とを具備することを特徴とする通信端末である。これにより、端末管理装置からの存在確認の問い合わせおよび測距信号に応答させるという作用をもたらす。
【0019】
また、この第3の側面において、上記通信端末におけるバッテリの残量を検出して上記バッテリの残量を送信するバッテリ残量検出手段をさらに具備することを特徴とするものである。これにより、端末管理装置に通信端末のバッテリ残量を把握させるという作用をもたらす。
【0020】
また、この第3の側面において、当該通信端末は、遠隔操作を行う通信端末であることを特徴とするものである。これにより、端末管理装置と当該通信端末との距離が離れていても当該通信端末に端末管理装置の操作をさせるという作用をもたらす。
【0021】
また、本発明の第4の側面は、通信端末の位置を表示させる表示手段を備える端末管理装置における処理方法であって、上記通信端末が上記端末管理装置の通信可能な範囲に存在するか否かの存在確認を上記端末管理装置において行う存在確認手順と、上記通信端末の存在が確認された場合に上記通信端末の位置検出を行う位置検出手順と、上記通信端末の存在が確認されなかった場合に上記通信端末の位置検出を行うよう他の端末管理装置に要求する探索要求手順と、上記要求を受けた上記他の端末管理装置から送信された上記通信端末の位置を受信して上記表示手段に表示させる表示手順とを具備することを特徴とする処理方法である。これにより、端末管理装置の通信可能範囲にない通信端末の位置を端末管理装置に把握させるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、無線通信の障害が多数存在する環境においても端末管理装置に通信端末の位置を把握させるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態における端末管理システムの一例を示す図である。図1においては、一例として、2階建て家屋の2階に本発明の実施の形態における端末管理装置10Aが備えられ、1階に本発明の実施の形態における端末管理装置10Bが備えられていることを想定している。端末管理装置10Aと端末管理装置10Bとの間は、ケーブル30により接続されている。本発明の実施の形態における通信端末20A乃至20Cは、端末管理装置10Aまたは端末管理装置10Bとの間で無線通信可能な機能を有している。そして、通信端末20Aおよび20Bは2階に位置しており、端末管理装置10Aと通信可能な範囲に存在している。また、通信端末20Cは1階に位置しており、端末管理装置10Bと通信可能な範囲に存在している。
【0025】
通信端末20A乃至20Cの存在は端末管理装置10Aおよび端末管理装置10Bにおいて予め登録されており、端末管理装置10Aおよび端末管理装置10Bは、その登録された通信端末20A乃至20Cの位置を管理するものである。端末管理装置10Aおよび端末管理装置10Bにおいて把握されている通信端末20A乃至20Cの位置は、端末管理装置10Aおよび端末管理装置10Bに備えられたディスプレイ13Aおよび13Bにおいて表示される。端末管理装置10Aおよび端末管理装置10Bは、通信端末20A乃至20Cの位置を把握しようとする場合、自身との距離を測定するための測距信号を通信端末20A乃至20Cに対して送信する。測距信号を受信した通信端末20A乃至20Cは、測距信号に応答する測距応答信号を返信する。端末管理装置10Aおよび端末管理装置10Bは、測距信号を送信してから測距応答信号を受信するまでの時間に基づいて通信端末20A乃至20Cの位置を把握する。なお、本発明の実施の形態において通信端末20A乃至20Cとしては、リモコンが想定される。
【0026】
図1のような2階建て家屋の場合、端末管理装置10Aが2階から送信した測距信号の電波強度が弱いと、1階の通信端末20Cにおいて測距信号が受信されないことも想定される。また、端末管理装置10Aが2階から送信した測距信号が通信端末20Cにおいて受信されたとしても、通信端末20Cから送信される測距応答信号の電波強度が弱いと、2階にある端末管理装置10Aにおいて測距応答信号が受信されないことも想定される。同様のことが1階にある端末管理装置10Bと2階にある通信端末20Aおよび通信端末20Bとの間でも想定される。以上のような場合、端末管理装置から通信端末までの距離を測定できないため、端末管理装置において通信端末の位置を把握できない。
【0027】
そこで、本発明の実施の形態においては、上記のように端末管理装置10Aと通信端末20Cとの間の通信ができない場合には、端末管理装置10Aが、ケーブル30を通じて端末管理装置10Bに対して通信端末20Cの位置を検出するよう要求する。この要求を受けた端末管理装置10Bは、通信端末20Cの位置を検出してその結果を端末管理装置10Aにケーブル30を通じて送信する。この位置検出の結果を受信することによって端末管理装置10Aは、通信端末20Cの位置を把握できる。
【0028】
同様に、端末管理装置10Bと通信端末20Aまたは通信端末20Bとの間の通信ができない場合には、端末管理装置10Bが、ケーブル30を通じて端末管理装置10Aに対して通信端末20Aまたは通信端末Bの位置を検出するよう要求する。この要求を受けた端末管理装置10Aは、通信端末20Aまたは通信端末Bの位置を検出してその結果を端末管理装置10Bにケーブル30を通じて送信する。この位置検出の結果を受信することによって端末管理装置10Bは、通信端末20Aまたは通信端末20Bの位置を把握できる。
【0029】
図2は、本発明の実施の形態における端末管理装置10の機能構成の一例を示す図である。端末管理装置10は、アンテナ101と、受信部102と、存在確認部103と、探索要求部104と、操作部105と、探索要求元返信部106と、送信部107と、バッテリ残量保持部108と、バッテリ残量管理部109と、位置検出部110と、表示部120とを備える。
【0030】
アンテナ101は、空間に電波を放射したり、空間を伝わって来た電波をとらえる役割を果たすものである。受信部102は、アンテナ101から供給されてきた受信データに対して復調処理およびD/A変換などの処理を行うものである。
【0031】
存在確認部103は、探索される対象である通信端末(以下、探索通信端末と呼ぶ。)が端末管理装置10の通信可能な範囲に存在するか否かの存在確認を行うものである。この存在確認部103における存在確認は、操作部105において探索通信端末を選択することによって行われる。また、存在確認部103における存在確認は、他の端末管理装置からの通信端末の探索要求を受信した後、探索要求元返信部106から探索要求された通信端末の存在確認を行うよう通知されてから行われる。また、存在確認部103における存在確認は、通信端末から、画像データの再生を要求する操作信号および端末管理装置10に対するその他の操作信号を受けた場合にも行われ得る。
【0032】
存在確認部103における存在確認の具体的な流れを以下に説明する。存在確認部103は、探索通信端末に対してその存在を確認するため存在確認信号を送信する。存在確認信号に応答する存在確認応答信号が通信端末から送信されて端末管理装置10において受信された場合、存在確認部103において探索通信端末が端末管理装置10の通信可能な範囲に存在していると判断される。存在確認部103において探索通信端末が端末管理装置10の通信可能な範囲に存在していると判断されると、存在確認部103はその旨を位置検出部110に通知する。
【0033】
一方、端末管理装置10が存在確認応答信号を受信しなかった場合、存在確認部103において探索通信端末が端末管理装置10の通信可能な範囲に存在していないと判断される。この場合、存在確認部103は探索要求部104にその旨を通知する。
【0034】
探索要求部104は、他の端末管理装置に対して探索通信端末の探索を行うよう要求するものである。探索要求部104からの要求は、探索通信端末が端末管理装置10の通信可能範囲に存在しない旨の通知を存在確認部103より受けた後、操作部105からの指示があった場合に出力される。なお、この探索要求部104からの要求は、存在確認部103から上記通知を受けた後に操作部105からの指示を待たずに速やかに出力されるようにしてもよい。
【0035】
位置検出部110は、存在確認部103から探索通信端末が存在する旨の通知を受けた後に所定の領域における探索通信端末の位置を検出するものであり、測距部111と、領域設定部112と、領域保持部113と、位置決定部114と、位置保持部115とを備える。本発明の実施の形態においては、端末管理装置10が設置された部屋における通信端末の位置を端末管理装置10に管理させることが想定される。このため、上記所定の領域は、端末管理装置10が設置された部屋全体が想定され、探索通信端末の位置は部屋における位置として把握される。
【0036】
測距部111は、端末管理装置10の所定箇所と通信端末との距離を測定するものである。この距離の測定は以下のような手順に従って行われる。まず、測距部111は、距離を測定するための測距信号を通信端末に送信する。この測距信号を受信した通信端末は、測距信号に対する応答である測距応答信号を端末管理装置10に送信する。端末管理装置10において測距応答信号が受信されると、測距応答信号は測距部111に供給される。測距部111から測距信号が出力されてから測距部111に測距応答信号が供給されるまでの時間に基づいて、端末管理装置10の所定箇所と通信端末との距離が算出される。
【0037】
領域設定部112は、測距部111において測定された端末管理装置10の所定箇所と領域の境界点(例えば、部屋の角)との距離に基づいて、表示部120に通信端末の位置を表示させる領域を設定するものである。端末管理装置10の所定箇所と領域の境界点との距離は、領域の境界点に通信端末を置いて上記測距部111で説明した過程を経て測定される。領域設定部112において設定された領域は、領域保持部113に保持される。
【0038】
位置決定部114は、測距部111において算出された端末管理装置10の所定箇所と通信端末との距離に基づいて表示部120に表示させる領域内における通信端末の位置を決定するものである。ここで決定された通信端末の位置は、位置保持部115に保持される。領域保持部113に保持された領域および位置保持部115に保持された通信端末の位置は、表示部120に供給されて表示される。
【0039】
探索要求元返信部106は、他の端末管理装置から所定の通信端末の位置検出を行う旨の探索要求を受けた場合に、他の端末管理装置に所定の通信端末の位置を返信するものである。探索要求元返信部106が他の端末管理装置に所定の通信端末の位置を返信する流れを以下に説明する。
【0040】
まず、探索要求元返信部106は探索要求を受けると、探索要求された通信端末の存在を確認するよう存在確認部103に通知する。探索要求された通信端末が端末管理装置10の通信可能な範囲に存在すると存在確認部103において判断されると、位置検出部110においてその探索要求された通信端末の位置が検出される。この検出結果は探索要求元返信部106に供給される。探索要求元返信部106は、検出結果を探索要求元の端末管理装置に対して送信する。
【0041】
送信部107は、データを符号化および変調等して送信するものである。バッテリ残量保持部108は、各通信端末から送信されるバッテリ残量を受信して保持するものである。バッテリ残量管理部109は、バッテリ残量保持部108に保持された各通信端末のバッテリ残量が所定の容量以下になった場合に表示部120にその旨を供給するものである。表示部120は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などにより構成され、領域保持部113、位置保持部115およびバッテリ残量管理部109から供給されるデータを表示させるものである。
【0042】
図3は、本発明の実施の形態における通信端末20の機能構成の一例を示す図である。通信端末20は、アンテナ201と、受信部202と、存在確認応答部203と、測距信号応答部204と、バッテリ205と、バッテリ残量検出部206と、操作部207と送信部208とを備える。アンテナ201は、空間に電波を放射したり、空間を伝わって来た電波をとらえる役割を果たすものである。受信部202は、アンテナ201から供給されてきた受信データに対して復調処理およびD/A変換などの処理を行うものである。
【0043】
存在確認応答部203は、端末管理装置10から送信された所定の通信端末の存在を確認する旨の存在確認信号に対して応答するものである。すなわち、存在確認応答部203は、所定の通信端末が自分自身である場合は、存在確認信号に対して存在確認応答信号を送信する。所定の通信端末が自分自身であるか否かの判断は、存在確認信号中に含まれる所定の通信端末を示す識別子(例えばMACアドレス)が自分の識別子と一致するか否かで行われる。測距信号応答部204は、端末管理装置10から測距信号を受信すると、測距信号に対する応答である測距応答信号を端末管理装置10に送信するものである。
【0044】
バッテリ205は、通信端末20を作動させるための電源である。バッテリ残量検出部206は、バッテリ205の残量を検出して端末管理装置10に供給するものである。操作部207は、端末管理装置10に対して、例えば画像データの再生を要求する操作信号およびその他の端末管理装置10に対する操作信号を供給するものである。具体的には端末管理装置10に、例えばテレビ機能が備えられている場合、テレビのチャンネルを変更する操作に対応する信号がここでいう操作信号に該当する。
【0045】
図4は、本発明の実施の形態における端末管理装置10および通信端末20の一例を示す図である。端末管理装置10は、位置検出ユニット11と、位置検出ユニット12と、ディスプレイ部13とを備える。位置検出ユニット11および位置検出ユニット12は、測距信号を送信して通信端末20における後述する位置検出応答ユニット21からの測距応答信号を受信するものである。測距信号を送信してから測距応答信号を受信するまでの時間に基づいてそれぞれ位置検出ユニット11および位置検出ユニット12から位置検出応答ユニット21までの距離を測定して端末管理装置10と通信端末20の位置関係を算出するものである。なお、位置検出ユニット11および位置検出ユニット12は、図2における位置検出部110に対応するものである。また、ディスプレイ部13は、図2における表示部120に対応するものである。また、位置検出応答ユニット21は、図3における通信端末20の測距信号応答部204に対応するものである。
【0046】
この算出結果は、ディスプレイ部13において表示される。通信端末20は、端末管理装置10における位置検出ユニット11および位置検出ユニット12から送信される測距信号を位置検出応答ユニット21において受信して、位置検出ユニット11および位置検出ユニット12それぞれに測距応答信号を送信するものである。通信端末20としては、例えば、リモコンが想定されるがこれに限るものでなく、その他パーソナルコンピュータ(Personal Computer)、デジタルカメラなどであってもよい。また、ここにいうリモコンは、専用機である必要はなく、例えばリモコン機能が搭載された携帯電話などでもよい。
【0047】
図5は、本発明の別の実施の形態における端末管理装置50を示す図である。図4においては、位置検出ユニット11および12は、端末管理装置10に設置されていたが、図5における端末管理装置50は、端末管理装置50に設置されていない。端末管理装置50においては、位置検出ユニット61および71は、それぞれ端末管理装置50とは離れた位置にあるスピーカ60および70の上端に設置されている。位置検出ユニット61および71での検出結果は、無線通信方式によって端末管理装置50に送信される。
【0048】
図6は、本発明の実施の形態における端末管理装置10および通信端末20の距離測定のタイミング例を示す図である。まず、端末管理装置10は、通信端末20との間の距離を測定するために測距信号310を通信端末20に対して送信する。通信端末20は、端末管理装置10から測距信号310を受信すると、測距応答信号320を返送する。端末管理装置10は、測距信号310を送信してから測距応答信号320の受信を検出するまでの時間を計測する。
【0049】
このとき、端末管理装置10が測距信号310を送信してから通信端末20において受信されるまでの時間tは、空間の伝搬時間(tAIR)に加えて、端末管理装置10の送信部107における遅延時間(tDT1)を含む。また、通信端末20が測距信号310を受信してから測距応答信号320を送信するまでの時間tは、通信端末20の処理時間(tP2)に加えて、通信端末20の受信部202および送信部208における遅延時間(tDR2)を含む。さらに、通信端末20が測距応答信号320を送信してから端末管理装置10において受信されるまでの時間tは、空間の伝搬時間(tAIR)に加えて、端末管理装置10の処理時間(tP1)や端末管理装置10の受信部102における遅延時間(tDR1)を含む。
【0050】
すなわち、端末管理装置10が測距信号310を送出してから通信端末20からの測距応答信号320を検出するまでの時間tは、
t=t+t+t=2×tAIR+(tP1+tP2+tDT1+tDR1+tDR2
として表される。かっこ内の時間は端末管理装置10および通信端末20による固有時間であるため、測距信号310を送信してから測距応答信号320を受信するのに実際に要した時間からこれら固有時間を引いて、さらに2で割った値が空間の伝搬時間tAIRとなる。
【0051】
これにより、端末管理装置10と通信端末20との間の距離dは、
d=V×tAIR
として表される。但し、Vは電波の伝搬速度(=3×10[m/秒])である。
【0052】
UWB(Ultra Wide Band)のような超広帯域信号では、受信パルス検出または相関検出において高い時間分解能が得られるので、例えば1ナノ秒の時間分解能であれば、上式により距離分解能は30cmとなる。
【0053】
図7は、本発明の実施の形態における位置検出の内容の一例を示す図である。図7(a)は、本発明の実施の形態における端末管理装置10における位置検出ユニット11と位置検出応答ユニット21と通信端末20における位置検出応答ユニット21との位置関係を示す平面図である。図7(a)において示すように位置検出ユニット11と位置検出応答ユニット12との距離は、Xcaである。また、位置検出ユニット12と位置検出応答ユニット21との距離は、Xbcである。位置検出応答ユニット21の位置は、位置検出ユニット11を略中心とする半径のXcaの円と位置検出ユニット12を略中心とする半径のXbcの円の交点に相当する。
【0054】
図7(b)は、図7(a)に示す位置検出ユニット11および位置検出ユニット12と位置検出応答ユニット21の位置関係をXY座標で表した図である。位置検出ユニット11に相当する点A、位置検出ユニット12に相当する点Bおよび位置検出応答ユニット21に相当する点Cそれぞれの座標を(X1,Y1)、(X2,Y2)および(X3,Y3)と定めると次式が成り立つ。
ca=(X3−X1)+(Y1−Y3)
bc=(X2−X3)+(Y2−Y3)
【0055】
これらのX1、Y1、X2、Y2、X3、Y3、Xca、XbcのうちX1、Y1、X2、Y2は、位置検出ユニット11および位置検出ユニット12の位置を示す座標であり、これは予め設定された値である。また、Xca、Xbcは、図6で説明した方法で求めることができる。したがって、上記の式は、X3、Y3を変数とする2次方程式になる。なお、この2次元方程式の解を満たす(X3,Y3)の値は2組存在するが、図8において説明する領域内にある(X3,Y3)の値が通信端末20の存在する位置となる。
【0056】
図8は、図2で説明した領域決定をする際の概略を示す図である。部屋40に本発明の実施の形態における端末管理装置10を図8に示す位置に設置したものとする。領域は、部屋40全体とすることが想定される。領域を決定するには、端末管理装置10における位置検出ユニット11および位置検出ユニット12と部屋の角41乃至43との距離を測定すればよい。図7(b)で説明したように距離から角の座標を決定することができる。図8においては、部屋40の角41乃至角43に通信端末20を置いて角41乃至角43と位置検出ユニット11および位置検出ユニット12との距離を測定することにより、角41乃至角43の座標が求められる。
【0057】
上記の場合、3点しか角の座標を求めていないが、部屋の形状の多くは4角形であるため、3点がわかれば領域を決定することができる。なお、部屋の形状が4角形でない場合は、さらに領域を決定できるだけの領域の境界における点の座標を求めることになる。
【0058】
図9は、本発明の実施の形態における通信端末の探索表示画面の一例を示す図である。端末管理装置10の表示画面400中には、通信端末情報410と通信端末位置探索ボタン420とが表示されている。通信端末情報410は、名称411と種類412と前回位置413とが含まれている。
【0059】
名称411は、端末管理装置10において登録されている通信端末の名称を示すものである。名称411に表示させる通信端末の名称は、ユーザーが設定してもよいし、端末管理装置10において自動的に決定されるようにしてもよい。種類412は、通信端末の用途を示すものである。例えば、通信端末Aは、テレビのリモコンであれば、「テレビリモコン」と表示される。
【0060】
前回位置413は、端末管理装置10が現在把握している各通信端末の位置を示すものである。通信端末の最新の位置情報を得たい場合には、操作部105を介して所望の通信端末を通信端末情報410から選択した後に通信端末位置探索ボタン420を選択することによって、端末管理装置10は選択された通信端末の位置の探索を行う。端末管理装置10において選択された通信端末の位置が検出された場合には、その最新の情報が前回位置413に表示されることになる。
【0061】
前回位置413においては、通信端末Aの前回位置は「部屋A」と示されており、これは、端末管理装置10が現在把握している通信端末Aが存在する部屋は部屋Aであることを示している。通信端末Aが部屋Aのどの位置にあるかなどのさらに詳細な位置情報は、例えば操作部105を介して前回位置413の通信端末Aに対応する「部屋A」の部分を選択することにより得られる。これについては、図10において説明する。前回位置413は、例えば通信端末のバッテリが切れて通信できる状態になくなった場合に通信端末を探す手がかりになる。
【0062】
図10は、図9に示した所定の通信端末の前回位置413を選択した場合に表示される通信端末の詳細な位置情報の表示画面の一例を示した図である。表示画面400中においては、位置情報430と位置表示440が表示されている。位置情報430には、位置表示440において表示される通信端末の名称と部屋の名前が表示される。位置表示440には、領域の境界を外枠線とした時の端末管理装置10と通信端末20の位置が端末管理装置表示442および通信端末表示441として表示される。
【0063】
図11は、端末管理装置10において所望の通信端末の位置検出に失敗した場合の表示画面を示す図である。図11(a)においては、探索結果表示450において所望の通信端末の位置検出に失敗した旨および他の端末管理装置に対して所望の通信端末の探索要求を行うか否かが表示されている。他の端末管理装置に対して所望の通信端末の探索要求を行う場合は操作部105を介して「YES」ボタン461を選択し、他の端末管理装置に対して所望の通信端末の探索要求を行わない場合には、操作部105を介して「NO」ボタン462を選択する。
【0064】
図11(b)においては、探索結果表示470において所望の通信端末の位置検出に失敗した旨および他の端末管理装置に対して所望の通信端末の探索要求を行う旨が表示されている。図11(b)の場合は図11(a)の場合と違って、所望の通信端末の位置検出に失敗した場合は他の端末管理装置に対して所望の通信端末の探索要求を自動的に行う。
【0065】
図12は、通信端末のバッテリ残量が所定の容量以下になった場合に表示される表示画面の一例を示す図である。例えば表示画面400に画像データが表示されている場合に、端末管理装置10において通信端末Aのバッテリ残量が所定の容量以下になったと判断されると、バッテリ残量表示460において、「通信端末Aのバッテリ残量が少なくなりました」の表示と電池マークの表示が表示される。これにより、ユーザーは通信端末のバッテリ残量を用意に把握することが可能となる。
【0066】
図13は、図2における領域保持部113に保持されている情報を示す図である。領域保持部113に保持されている領域情報500は、領域名称501と、領域502とを備える。領域名称501は、領域の名称である。本発明の実施の形態においては、上述のように領域として端末管理装置10が設置された部屋全体が想定されるため、図13において領域名称501は、「部屋A」と表されている。領域502は、領域の境界の座標を示すものである。図8で説明したように、例えば領域が4角形状になっている場合3点の座標からその領域が特定できる。図13において領域502は、3点の座標によって領域が特定されている。
【0067】
図14は、位置保持部115に保持されている通信端末の位置情報を示す図である。位置保持部115に保持されている位置情報510は、通信端末名称511と、領域名称512と、位置513とを備える。通信端末名称511は、通信端末の名称を示すものである。領域名称512は、通信端末が位置している領域の名称を示すものである。この領域名称512は、図13における領域名称501に対応するものである。位置513は、通信端末が位置する領域名称512に対応する領域における座標を示すものである。この座標によって通信端末の位置が特定される。
【0068】
図15は、本発明の実施の形態における端末管理装置10が他の端末管理装置に要求する探索要求に関するパケットのフォーマットを示す図である。図15(a)は、端末管理装置10が他の端末管理装置に要求する探索要求パケット600のフォーマットを示す図である。探索要求パケット600は、ヘッダ610と、探索要求コマンド621および探索通信端末識別子622を含むペイロードとを備える。ヘッダ610には、パケットの送信元アドレス、パケットの宛先アドレス、ペイロード長などパケットの制御情報が含まれる。探索要求コマンド621は、通信端末の探索を要求するコマンドである。この探索要求コマンド621が含まれたパケットを受信した端末管理装置10は、通信端末の探索を開始する。探索通信端末識別子622は、探索すべき通信端末を一意に表すユニークな識別子である。この識別子としては、例えばMACアドレスが想定されるが、これに限るものではない。
【0069】
図15(b)は、通信端末の探索を要求された本発明の実施の形態における端末管理装置が探索結果を返信する時に用いる探索結果パケット630のフォーマットを示す図である。探索結果パケット630は、ヘッダ640と、探索結果コマンド651、探索通信端末識別子652、測定装置識別子653、測定装置周辺属性情報654および探索通信端末位置情報655を含むペイロードとを備える。ヘッダ640および探索通信端末識別子652は、それぞれ図15(a)で説明したヘッダ610および探索通信端末識別子622と同様の内容なので説明を省略する。
【0070】
探索結果コマンド651は、送信したパケットが探索要求に対する探索結果であることを示すコマンドである。測定装置識別子653は、通信端末の探索を行った端末管理装置を一意に表すユニークな識別子である。この識別子としては、例えばMACアドレスが想定されるが、これに限るものではない。探索通信端末位置情報655は、探索通信端末の具体的な位置を含むものである。測定装置周辺属性情報654については、図15(c)において説明する。
【0071】
測定装置周辺属性情報654には、測定装置名称661と、位置検出ユニット情報662と、領域情報663とが含まれる。測定装置名称661は、通信端末を探索して通信端末の位置を測定した端末管理装置の名称を示すものである。位置検出ユニット情報662は、位置検出ユニットに関する情報を示すものである。この位置検出ユニットに関する情報は、例えば位置検出ユニットの数や位置などの情報が含まれる。領域情報663は、通信端末が探索された領域に関する情報を示すものである。
【0072】
次に本発明の実施の形態における端末管理システムの動作について図面を参照して説明する。
【0073】
図16は、本発明の実施の形態における端末管理装置10Aから他の端末管理装置10Bに探索要求を送信してから探索結果が探索を要求した端末管理装置10Aに返信されるまでの流れを示す図である。なお、以下に説明するやりとりは、ユニキャスト通信またはブロードキャスト通信の何れによって実現してもよい。
【0074】
まず、端末管理装置10Aの通信可能な範囲に通信端末20が存在しない場合、端末管理装置10Aから探索要求701が端末管理装置10Bに送信される。この探索要求701を受信した端末管理装置10Bは、端末管理装置10Bの通信可能な範囲に通信端末20が存在するか否かを確認するため、存在確認信号702を通信端末20宛に送信する。存在確認信号702を受信した通信端末20は、その存在確認信号が自身の存在を確認する信号であると判断した場合、存在確認応答信号703を端末管理装置10Bに送信する。
【0075】
端末管理装置10Bは、存在確認応答信号703を受信すると測距信号704を通信端末20に送信する。測距信号704を受信した通信端末20は、測距応答信号705を端末管理装置10Bに送信する。端末管理装置10Bは、測距応答信号705を受信すると測距信号704を送信してから測距応答信号705を受信するまでの時間に基づいて端末管理装置10Bの所定箇所と通信端末20の距離を算出する。同様に、端末管理装置10Bは、測距信号706および測距応答信号707の送受信を行い、端末管理装置10Bの別の所定箇所と通信端末20の距離を算出する。
【0076】
この算出結果を用いて、端末管理装置10Bにおいて通信端末の位置が決定される。通信端末の位置が決定されると端末管理装置10Bは、端末管理装置10Aに対して探索結果708を送信する。端末管理装置10Aにおいて探索結果708が受信され、端末管理装置10Aに通信端末20の位置が表示される。
【0077】
図17は、端末管理装置10A、端末管理装置10B(他の端末管理装置)および通信端末20を含む端末管理システムの動作の流れを示す図である。まず、端末管理装置10Aにおいて探索すべき所望の通信端末20を指定する(S901)。次に端末管理装置10Aから通信端末20に対して確認存在信号を送信する(S902)。次に通信端末が端末管理装置10Aの通信可能な範囲に存在するか否かが判断される(S903)。
【0078】
ステップS902における存在確認信号に対する応答である存在確認応答信号を端末管理装置10Aにおいて受信した場合は、通信端末20が端末管理装置10Aの通信可能な範囲に存在すると判断される。この場合、通信端末20の位置検出処理が行われる(S904)。通信端末20の位置は、端末管理装置10Aから通信端末20に測距信号を送信してから測距信号に対する応答である通信端末20から測距応答信号が返信され、端末管理装置10Aにおいて受信するまでの時間に基づいて算出される。
【0079】
存在確認応答信号を端末管理装置10Aにおいて受信しなかった場合は、通信端末20が端末管理装置10Aの通信可能な範囲に存在しないと判断される。この場合は、端末管理装置10B(他の端末管理装置)が存在するか否かが判断される(S905)。端末管理装置10B(他の端末管理装置)が存在しないと判断されると、端末管理装置10Aが現時点で保持する通信端末20の位置(以下、現時点保持位置と呼ぶ。)を表示させるか否か判断される(S911)。
【0080】
ステップS911において表示させるか否かの判断基準は、操作部105を通じて現時点保持位置を表示させるべき旨の指示がされたか否かである。端末管理装置10Aにおいて現時点保持位置を表示させると判断されると、端末管理装置10Aの表示部に通信端末20の位置が表示される(S912)。
【0081】
ステップS905において端末管理装置10B(他の端末管理装置)が存在すると判断されると、端末管理装置10B(他の端末管理装置)に対して探索要求をするか否かが判断される(S906)。ステップS906において探索要求をするか否かの判断基準は、操作部105を通じて端末管理装置10B(他の端末管理装置)に対して探索要求をする旨の指示がされか否かである。なお、ステップS906を省略してステップS905において、端末管理装置10B(他の端末管理装置)が存在すると判断された場合は、探索要求を行うようにしてもよい。
【0082】
ステップS906において探索要求しないと判断されると、上記説明したステップS911の処理が行われる。一方、ステップS906において探索要求すると判断されると、端末管理装置10B(他の端末管理装置)に対して探索要求を行う(S907)。探索要求を受けた端末管理装置10B(他の端末管理装置)は、通信端末20に対して確認存在信号を送信する(S908)。次に、通信端末20が端末管理装置10B(他の端末管理装置)の通信可能な範囲に存在するか否かが、端末管理装置10B(他の端末管理装置)において判断される(S909)。
【0083】
ステップS909において、通信端末20が端末管理装置10B(他の端末管理装置)の通信可能な範囲に存在すると端末管理装置10B(他の端末管理装置)において判断されると、端末管理装置10B(他の端末管理装置)において通信端末20の位置検出処理が行われる(S913)。端末管理装置10B(他の端末管理装置)における位置検出処理の結果は、端末管理装置10Aに送信される(S914)。端末管理装置10Aは、位置検出処理の結果を受信すると、その位置検出処理の結果に基づいて表示部120に通信端末20の位置を表示させる。
【0084】
ステップS909において、通信端末20が端末管理装置10B(他の端末管理装置)の通信可能な範囲に存在しないと判断されると、端末管理装置10B(他の端末管理装置)において、さらに他の端末管理装置が存在するか否かが判断される(S910)。端末管理装置10B(他の端末管理装置)において、さらに他の端末管理装置が存在すると判断されるとステップS906の処理に戻る。一方、端末管理装置10B(他の端末管理装置)において、さらに他の端末管理装置が存在しないと判断されるとステップS911の処理に進むことになる。
【0085】
以上の説明では、2つの位置検出を想定したが、この位置検出ユニットは3つ以上設けてもよい。位置検出ユニットが2つの場合は通信端末の位置を2次元的に把握できるが、位置検出ユニットが3つあれば通信端末の位置を3次元的に把握することができる。
【0086】
このように、本発明の実施の形態によれば、通信端末20が端末管理装置10の通信可能な範囲外にある場合は、探索要求部104から他の端末に通信端末20の探索要求を出すことによって、その他の端末管理装置に通信端末20の位置を検出させることができる。そして、他の端末管理装置が検出した通信端末20の位置を端末管理装置10に返信させることにより、端末管理装置10は通信可能な範囲外にある通信端末20の位置を把握することができる。また、通信端末20からバッテリ残量を端末管理装置10に対して送信させることによって、バッテリ残量管理部109において通信端末のバッテリ残量も把握することができる。
【0087】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、以下に示すように特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【0088】
すなわち、請求項1において、第1の存在確認手段は、例えば、存在確認部103に対応する。また、探索要求手段は、例えば、探索要求部104に対応する。また、受信手段は、例えば、受信部102に対応する。また、表示手段は、例えば、表示部120に対応する。また、第2の存在確認手段は、例えば、存在確認部103に対応する。また、位置検出手段は、例えば、位置検出部110に対応する。また、探索要求元返信手段は、例えば、探索要求元返信部106に対応する。また、存在確認応答手段は、例えば、存在確認応答部203に対応する。
【0089】
また、請求項2において、存在確認手段は、例えば、存在確認部103に対応する。また、位置検出手段は、例えば、位置検出部110に対応する。また、探索要求手段は、例えば、探索要求部104に対応する。また、受信手段は、例えば、受信部102に対応する。また、表示手段は、例えば、表示部120に対応する。
【0090】
また、請求項3において、操作手段は、例えば、操作部105に対応する。
【0091】
また、請求項5において、探索要求元返信手段は、例えば、探索要求元返信部106に対応する。
【0092】
また、請求項6において、測距手段は、例えば、測距部111に対応する。また、位置決定手段は、例えば、位置決定部114に対応する。
【0093】
また、請求項7において、領域設定手段は、例えば、領域設定部112に対応する。
【0094】
また、請求項9において、バッテリ残量保持手段は、例えばバッテリ残量保持部108に対応する。
【0095】
また、請求項10において、バッテリ残量管理手段は、例えば、バッテリ残量管理部109に対応する。
【0096】
また、請求項11において、操作手段は、例えば、操作部105に対応する。
【0097】
また、請求項12において、存在確認応答手段は、例えば、存在確認応答部203に対応する。また、測距信号応答手段は、例えば測距信号応答部204に対応する。
【0098】
また、請求項13において、バッテリ残量検出手段は、例えば、バッテリ残量検出部206に対応する。
【0099】
また、請求項15において、表示手段は、例えば、表示部120に対応する。また、存在確認手順は、例えば、ステップS902に対応する。また、位置検出手順は、例えば、ステップS904に対応する。また、探索要求手順は、例えば、ステップS906およびステップS907に対応する。また、表示手順は、例えば、ステップS911およびステップS912に対応する。
【0100】
なお、本発明の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の形態における端末管理システムの一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における端末管理装置10の機能構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における通信端末20の機能構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における端末管理装置10および通信端末20の一例を示す図である。
【図5】本発明の別の実施の形態における端末管理装置50の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における端末管理装置10および通信端末20の距離測定のタイミング例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における位置検出の内容の一例を示す図である。
【図8】図3で説明した領域決定をする際の概略を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態における通信端末の探索表示画面の一例を示す図である。
【図10】図9に示した所定の通信端末の前回位置413を選択した場合に表示される通信端末の詳細な位置情報の表示画面の一例を示した図である。
【図11】端末管理装置10において所望の通信端末の位置検出に失敗した場合の表示画面を示す図である。
【図12】通信端末のバッテリ残量が所定の容量以下になったことを示す図である。
【図13】図2における領域保持部113に保持されている情報を示すものである。
【図14】図2における位置保持部115に保持されている情報を示すものである。
【図15】本発明の実施の形態における端末管理装置10が他の端末管理装置に要求する探索要求に関するパケットのフォーマットを示す図である。
【図16】端末管理装置10A、端末管理装置10Bおよび通信端末20を含む端末管理システムの動作の流れを示す図である。
【図17】本発明の実施の形態における端末管理装置10Aから他の端末管理装置10Bに探索要求を送信してから探索結果が探索を要求した端末管理装置10Aに返信されるまでの流れを示す図である。
【符号の説明】
【0102】
10、10A、10B 端末管理装置
11、12 位置検出ユニット
13、13A、13B ディスプレイ部
20、20A、20B、20C 通信端末
21 位置検出応答ユニット
30 ケーブル
101 アンテナ
102 受信部
103 存在確認部
104 探索要求部
105 操作部
106 探索要求元返信部
107 送信部
108 バッテリ残量保持部
109 バッテリ残量管理部
110 位置検出部
111 測距部
112 領域設定部
113 領域保持部
114 位置決定部
115 位置保持部
120 表示部
201 アンテナ
202 受信部
203 存在確認応答部
204 測距信号応答部
205 バッテリ
206 バッテリ残量検出部
207 操作部
208 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末管理装置と第2の端末管理装置と通信端末とを具備する端末管理システムであって、
前記第1の端末管理装置は、
前記通信端末が当該第1の端末管理装置の通信可能な範囲に存在するか否かの存在確認を行う第1の存在確認手段と、
前記通信端末の存在が確認されなかった場合に前記探索通信端末の位置検出を行うよう前記第2の端末管理装置に要求する探索要求手段と、
前記要求に応じて前記第2の端末管理装置において検出された前記通信端末の位置を受信する受信手段と、
前記受信した前記通信端末の位置を表示する表示手段と
を備え、
前記第2の端末管理装置は、
前記要求を受けた後に前記通信端末が当該第2の端末管理装置の通信可能な範囲に存在するか否かの存在確認を行う第2の存在確認手段と、
前記通信端末の存在が確認された場合に前記通信端末の位置検出を行う位置検出手段と、
前記位置検出の結果を前記第1の端末管理装置に返信する探索要求元返信手段と
を備え、
前記通信端末は、
前記第1および第2の端末管理装置から送信された前記存在確認に応答する存在確認応答手段を備えることを特徴とする端末管理システム。
【請求項2】
探索される対象である探索通信端末が当該端末管理装置の通信可能な範囲に存在するか否かの存在確認を行う存在確認手段と、
前記存在確認手段において前記探索通信端末の存在が確認された場合に所定の領域における前記探索通信端末の位置を検出する位置検出手段と、
前記探索通信端末の存在が確認されなかった場合に前記探索通信端末の位置検出を行うよう他の端末管理装置に要求する探索要求手段と、
前記要求に応じて前記他の端末管理装置において検出された前記探索通信端末の位置を受信する受信手段と、
前記受信した前記探索通信端末の位置を表示する表示手段と
を具備することを特徴とする端末管理装置。
【請求項3】
前記探索通信端末を選択する操作手段をさらに具備し、
前記存在確認手段は、前記選択に応じて前記存在確認を行うことを特徴とする請求項2記載の端末管理装置。
【請求項4】
前記存在確認手段は、通信端末から操作信号を受信した場合に前記存在確認を行うことを特徴とする請求項2記載の端末管理装置。
【請求項5】
他の端末管理装置から前記位置検出の要求を受けた場合に前記位置検出手段における検出結果を前記位置検出の要求をした他の端末管理装置に返信する探索要求元返信手段をさらに具備することを特徴とする請求項2記載の端末管理装置。
【請求項6】
前記位置検出手段は、
当該測距手段と前記探索通信端末との距離を測定するための測距信号が前記探索通信端末に送信されてから前記測距信号に対する応答信号が返信されるまでの時間に基づいて前記探索通信端末と当該測距手段との距離を算出する2以上の測距手段と、
前記探索通信端末と前記測距手段との距離に基づいて前記領域における前記探索通信端末の位置を決定する位置決定手段と
を具備することを特徴とする請求項2記載の端末管理装置。
【請求項7】
前記領域の境界と前記2以上の測距手段との距離に基づいて前記領域の境界の位置を算出して前記領域を設定する領域設定手段をさらに具備し、
前記2以上の測距手段の各々は、前記領域の境界において通信端末から送信される領域を決定すべき旨の要求に応じて前記領域の境界と当該測距手段との距離を算出することを特徴とする請求項6記載の端末管理装置。
【請求項8】
前記表示手段は、前記領域における前記探索通信端末の検出位置を表示させることを特徴とする請求項7記載の端末管理装置。
【請求項9】
通信端末から送信された前記通信端末のバッテリの残量を受信して保持するバッテリ残量保持手段をさらに具備し、
前記表示手段は、前記バッテリの残量を表示することを特徴とする請求項2記載の端末管理装置。
【請求項10】
前記バッテリの残量が所定容量以下になったことを検出してその旨を前記表示手段に表示させるバッテリ残量管理手段をさらに具備することを特徴とする請求項9記載の端末管理装置。
【請求項11】
前記要求を指示する操作手段をさらに具備し、
前記探索要求手段は、前記指示に応じて前記要求を行うことを特徴とする請求項2記載の端末管理装置。
【請求項12】
端末管理装置から送信された当該通信端末が存在するか否かの確認の問い合わせに対して応答する存在確認応答手段と、
前記端末管理装置と当該通信端末との距離を測定するための測距信号に対して応答する測距信号応答手段と
を具備することを特徴とする通信端末。
【請求項13】
前記通信端末におけるバッテリの残量を検出して前記バッテリの残量を送信するバッテリ残量検出手段をさらに具備することを特徴とする請求項12記載の通信端末。
【請求項14】
当該通信端末は、遠隔操作を行う通信端末であることを特徴とする請求項12記載の通信端末。
【請求項15】
通信端末の位置を表示させる表示手段を備える端末管理装置における処理方法であって、
前記通信端末が前記端末管理装置の通信可能な範囲に存在するか否かの存在確認を前記端末管理装置において行う存在確認手順と、
前記通信端末の存在が確認された場合に前記通信端末の位置検出を行う位置検出手順と、
前記通信端末の存在が確認されなかった場合に前記通信端末の位置検出を行うよう他の端末管理装置に要求する探索要求手順と、
前記要求を受けた前記他の端末管理装置から送信された前記通信端末の位置を受信して前記表示手段に表示させる表示手順と
を具備することを特徴とする処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−19575(P2007−19575A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195778(P2005−195778)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】