説明

端末装置及びプログラム

【課題】複数のRFタグと一の対象とを対応付ける。
【解決手段】端末装置1は、RFタグとの間で電波の送受信を行うアンテナ16、17と、アンテナ16、17が受信した電波に基づいてRFタグのID情報を取得し、アンテナ16、17が受信した電波の電波強度値をアンテナ16、17のそれぞれについて取得し、取得した電波強度値と当該電波強度値の検出時刻とID情報とを対応付けてアンテナ16、17のそれぞれについて記憶部13の電波強度値遷移テーブル132に記憶させ、電波強度値遷移テーブル132の記憶内容に基づいて、検出時刻の経過に対する電波強度値の変化が同一であるか又は近似する複数のRFタグがあるか否かを判別し、検出時刻の経過に対する電波強度値の変化が同一であるか又は近似する複数のRFタグがあると判別された場合、当該複数のRFタグ同士を対応付けるCPU11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFタグと通信を行う端末装置及び当該端末装置のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFタグを利用する各種のソリューションが実現されている。このようなソリューションとして、例えば、電子マネーカードや交通カード、社員証や施設の利用許可証(入場証)等にRFタグを含む非接触ICカードを用いるソリューションや、商品や荷物等の物品にRFタグを取り付けて物品の入出管理を行うソリューション、当該入出管理に基づいて万引き等の不正な搬出を検知するソリューション等が挙げられ、他にも多種多様なソリューションがある。
【0003】
RFタグを利用するソリューションでは、RFタグと、RFIDリーダライタ等の端末装置とが用いられる。RFタグはそれぞれ固有の識別情報を有する。端末装置は、RFタグと無線通信を行い、RFタグの識別情報を取得する。そして、端末装置又は端末装置と接続された各種の制御装置によって、取得された識別情報に基づいた識別処理や認証処理等の各種処理が行われる。
【0004】
例えば、施設の入場証にRFタグを用い、ユーザの入退場を管理するソリューションの場合、ユーザは施設への入場時及び退場時に、入退場口に設けられた端末装置に対して入場証をかざすことで入退時の認証を受ける。このとき、端末装置は、ユーザが施設に入場するのか退場するのかを何らかの方法で判別する必要がある。入退場の判別方法として、例えば、入場用の端末装置と退場用の端末装置を個別に設ける方法がある。しかしながら、端末装置の数を増やすことはコスト増をもたらす。
そこで、RFタグと通信を行うための二つのアンテナのうち一方のアンテナを入口側、他方を出口側に設け、各アンテナの電波強度値に基づいてユーザの入退場を自動判別する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−120304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一のユーザが複数のRFタグを所持していることがある。
図17に、複数のRFタグを所持するユーザの一例を示す。
一のユーザが複数のRFタグを所持している例として、電子マネーカードと施設の入場証の両方を所持しているユーザ等が挙げられ、その他、多様な理由により複数のRFタグを所持している場合が考えられる。
しかしながら、特許文献1に記載の方法等を用いる従来の端末装置では、上記のような複数のRFタグを所持しているユーザの識別を正しく行うことができないことがある問題があった。以下、複数のRFタグを所持しているユーザの識別を正しく行うことができない場合の一例として、入退場管理にRFタグとの通信を行う端末装置を用いた場合を挙げる。
【0007】
一のRFタグ(例えば入場証のRFタグ)に基づく識別を行うための端末装置に対して、ユーザが入場証をかざすときに、当該ユーザが所持する他のRFタグ(例えば電子マネーカードその他のRFタグ)が近接してしまうと、他のRFタグと端末装置との間でも通信が生じる。このとき、端末装置は、その他のRFタグが入場証を所持するユーザが所持する複数のRFタグであるのか、それとも入場証を所持しない他のユーザが入場証と偽って用いたRFタグであるのかを識別することができない。そのため、他のRFタグとの通信が生じた場合、端末装置は他のRFタグを「入場証ではない」として識別し、入場証を所持しないユーザが入退場を試みているものとして処理してしまう。このため、正しい入場証を有しているユーザが入退場を試みているにも関わらず、同時に他のRFタグと端末装置との通信が生じることによって、入場証を有しないユーザが同時に入退場を行おうとしているものとして処理され、ユーザは入退場を許可されない場合がある。
【0008】
上記のような、複数のRFタグを所持しているユーザの識別を正しく行うことができない場合は、入退場に限らない。また、このような複数のRFタグによる問題は、ユーザに限らず、複数のRFタグが一の対象(物)に属する場合ならば生じうる。例えば、複数の商品を内包するパッケージにRFタグが付されており、当該パッケージに内包された個別の商品にもRFタグが付されている場合や、一の物品に複数のRFタグが付されている場合等が挙げられる。
【0009】
本発明の課題は、複数のRFタグと一の対象とを対応付けることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、RFタグと電波を用いた無線通信を行う端末装置であって、前記RFタグとの間で電波の送受信を行う複数のアンテナと、前記アンテナが受信した電波に基づいて前記RFタグの識別情報を取得し、前記アンテナが受信した電波の電波強度値を各アンテナについて取得する検出手段と、前記識別情報と前記電波強度値を検出時刻と共に記憶する記憶部と、前記検出手段により検出した前記電波強度値と当該電波強度値の検出時刻と前記識別情報とを対応付けて各アンテナについて前記記憶部に記憶させ、前記記憶部の記憶内容に基づいて、前記検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化が同一であるか又は近似する複数のRFタグがあると判別された場合、当該複数のRFタグの当該識別情報を対応付ける制御部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の端末装置において、前記制御部は、異なる識別情報を有し、かつ、前記検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化が全てのアンテナについて同一であるか又は近似するRFタグ同士を前記検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化が近似する複数のRFタグとして判別することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の端末装置において、前記制御部は、前記記憶部に記憶された各アンテナの前記検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化に基づいて前記RFタグの移動方向を検知することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の端末装置において、前記制御部は、それぞれ異なる移動方向に移動していると検知されたRFタグ同士を前記検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化が同一であるか又は近似する複数のRFタグとして判別しないことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、RFタグと電波を用いた無線通信を行う端末装置におけるコンピュータに、複数のアンテナにより、前記RFタグとの間で電波の送受信を行う機能と、検出手段により、前記アンテナが受信した電波に基づいて前記RFタグの識別情報を取得し、前記アンテナが受信した電波の電波強度値を各アンテナについて取得する機能と、記憶部により、前記識別情報と前記電波強度値を検出時刻と共に記憶する機能と、制御部により、前記検出手段により検出した前記電波強度値と当該電波強度値の検出時刻と前記識別情報とを対応付けて各アンテナについて前記記憶部に記憶させ、前記記憶部の記憶内容に基づいて、前記検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化が同一であるか又は近似する複数のRFタグがあると判別された場合、当該複数のRFタグの当該識別情報を対応付ける機能と、を実現させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数のRFタグと一の対象とを対応付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による端末装置の主要構成を示すブロック図である。
【図2】アンテナの配置の一例を示す説明図である。
【図3】建物の出入り口に設けられたゲートGに端末装置を設けた一例を示す斜視図である。
【図4】アンテナ16又はアンテナ17とRFタグとの通信において生ずる電波強度値遷移の一例を示すグラフである。
【図5】端末装置とRFタグの位置遷移との関係の一例を示す説明図である。
【図6】DBの記憶内容の一例を示す。図6(A)は、ID情報と人とを対応付けた人物DBの一例である。図6(B)は、ID情報と書籍とを対応付けた書籍DBの一例である。
【図7】電波強度値遷移テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図8】所持品リストの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図9】図7に示す電波強度値遷移テーブルより後の時刻の電波強度値遷移テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図10】図8に示す所持品リストより後の時刻の所持品リストの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図11】端末装置1の処理のうち、ステップS1からステップS11の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】端末装置1の処理のうち、ステップS12からステップS19の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】本発明の端末装置を、RFタグを付加した物品(書籍)の持ち出し/返却と、持ち出し又は返却を行ったユーザとの対応付けを行うために用いた場合の一例を示す斜視図である。
【図14】容器の構成の一例を示す説明図である。
【図15】容器の持ち出し/返却に伴う電波強度値遷移の一例を示すグラフである。図15(A)は、容器30が持ち出された場合の電波強度値遷移の一例を示すグラフである。図15(B)は、容器が返却された場合の電波強度値遷移の一例を示すグラフである。
【図16】3つのアンテナを有する端末装置の一例を示す説明図である。
【図17】複数のRFタグを所持するユーザの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0018】
図1に、本発明の一実施形態による端末装置1の主要構成を示す。
端末装置1は、CPU11、RAM12、記憶部13、入力部14、表示部15及びアンテナ16、17を有する。CPU11、RAM12、記憶部13、入力部14、表示部15及びアンテナ16、17は、バス18によって接続される。
【0019】
CPU11は、記憶部13や図示しないROM等の記憶装置から処理内容に応じたプログラムを読み出して実行し、端末装置1の動作制御及び各種処理を行う。CPU11が行う処理によって生成されたデータやパラメータは、RAM12や記憶部13に記憶される。
【0020】
RAM12は、CPU11が読み出したプログラムや、CPU11の処理によって生成されたデータ、パラメータ等を記憶する。
【0021】
記憶部13は、CPU11が読み出す各種のプログラム(図示略)及びデータを記憶可能な記憶装置である。記憶部13は、少なくとも、データベース(DB)131、電波強度値遷移テーブル132及び所持品リスト133を記憶する。
【0022】
入力部14は、端末装置1に対する入力指示を行うことを可能とする。入力部14は、例えば、キーボードやマウス、その他の入力装置を有し、ユーザによる入力指示を可能とする。
【0023】
表示部15は、CPU11の処理内容に基づいた各種表示を行う。表示部15は、例えば、CRT、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイその他の表示装置や、発光ダイオード(LED)等の発光体のON/OFFによる動作内容の表示、又はそれらの組み合わせ等により構成される。
【0024】
アンテナ16、17は、RFタグとの間で電波の送受信を行う。本実施形態のアンテナ16、17は、極超短波(UHF:Ultra High Frequency)帯のうち900[MHz]帯の周波数を用いた無線通信を行うことに最適化されたRFIDリーダライタであり、当該周波数帯によるRFタグとの通信可能距離は2〜8[m]を想定している。本実施形態で用いるアンテナ16、17の周波数帯はあくまで一例であり、他の周波数帯を用いることを何ら妨げるものではない。例えば、端末装置1はNFC(Near Field Communication)規格に基づく無線通信を行う機能を有してもよいし、他の規格や周波数帯を用いた通信を行ってもよい。
【0025】
図2に、アンテナ16、17の配置の一例を示す。
図2に示すように、アンテナ16、17は所定の一方向(例えば図2、図3、図5に示すX方向)に沿って並べて設けられる。
【0026】
図3に、建物の出入り口に設けられたゲートGに端末装置1を設けた一例を示す。
図3に示すように、端末装置1は、X方向に沿って入場/退場することが可能な出入り口に設けられ、入場又は退場するユーザが所持するRFタグと通信を行うことができる。図3に示すように、端末装置1は、入場路と退場路との間に設けられ、一つの端末装置1で入場路を通過するユーザが所持するRFタグと退場路を通過するユーザが所持するRFタグの両方と通信を行うことができる。
【0027】
ユーザが入場又は退場するとき、ユーザが端末装置1の近傍を通過することで、端末装置1はユーザが所持するRFタグと近接する。RFタグと近接した端末装置1は、近接するRFタグと無線通信を行う。当該無線通信において検知される電波強度値は、アンテナ16、17とRFタグとの間の距離に応ずる。アンテナ16、17とRFタグとの間の距離が短いほど電波強度値は強くなり、アンテナ16、17とRFタグとの間の距離が長いほど電波強度値は弱くなる。
【0028】
図4に、アンテナ16又はアンテナ17とRFタグとの通信において生ずる電波強度値遷移の一例をグラフで示す。
図5に、端末装置1とRFタグの位置遷移との関係の一例を示す。
図3に示すゲートGをユーザが通過するとき、ユーザが所持するRFタグは端末装置1の近傍を通過する。このとき、ゲートを通過するユーザの移動に応じて、RFタグはアンテナ16、17に対して近づき、遠ざかる。ユーザの移動に応じてアンテナ16、17に対して近づき、遠ざかるRFタグの位置に対応するように、アンテナ16、17の受信する電波強度値は、例えば図4に示すように、RFタグがアンテナ16、17に近づくにしたがって次第に強まり、電波強度値が最強となるピークを迎えた後、その後、RFタグがアンテナ16、17から遠ざかるにしたがって次第に弱まる変化曲線を描く。
【0029】
例えば、施設に入場又は退場するユーザの移動に伴って、図5に示すX方向に沿う軌跡Lに沿ってRFタグが移動する場合、RFタグとアンテナ16とが最も近接するRFタグの位置M1においてアンテナ16の受信する電波強度値は最も強くなる。同様に、RFタグとアンテナ17とが最も近接するRFタグの位置M2においてアンテナ17の受信する電波強度値は最も強くなる。
【0030】
図5に示す例において、ユーザの移動に伴ってRFタグが軌跡L上を、アンテナ16が設けられた側からアンテナ17が設けられた側へ移動する(図5に示す矢印V1方向へ移動する)場合、まず、矢印V1方向へ移動するRFタグの位置が位置M1に近づくに従ってアンテナ16の受信する電波強度値が強くなる。このとき、同時にRFタグはアンテナ17にも徐々に近づくが、RFタグとアンテナ17との距離はRFタグとアンテナ16との距離よりも長いので、アンテナ16の受信する電波強度値の方がアンテナ17の受信する電波強度値よりも強い。その後、RFタグが位置M1に位置したとき、アンテナ16の受信する電波強度値は最も強くなる。その後、RFタグが位置M2に位置したとき、アンテナ17の受信する電波強度値は最も強くなる。RFタグが位置M2に位置したとき、アンテナ16とRFタグとの距離はRFタグが位置M1に位置したときに比して長くなるので、アンテナ16の受信する電波強度値はRFタグが位置M1に位置したときに比して弱くなる。その後、RFタグが位置M2から遠ざかるように矢印V1方向へ移動するに伴い、アンテナ16、17の受信する電波強度値は共に弱くなる。このとき、アンテナ16とRFタグとの距離はアンテナ17とRFタグとの距離よりも長くなるので、アンテナ16の受信する電波強度値はアンテナ17の受信する電波強度値よりも弱くなる。
【0031】
逆に、図5に示す例において、ユーザの移動に伴ってRFタグが軌跡L上を、アンテナ17が設けられた側からアンテナ16が設けられた側へ移動する(図5に示す矢印V2方向へ移動する)場合、先にアンテナ17の受信する電波強度値が最も強くなるピークを迎え、その後にアンテナ16の受信する電波強度値が最も強くなるピークを迎えることとなる。つまり、ユーザの移動方向に対応して、アンテナ16、17の受信する電波強度値がピークを迎えるタイミングが入れ替わる。
【0032】
本実施形態では、アンテナ16を施設外側に、アンテナ17を施設内側に設けているので、ユーザが入場する場合にアンテナ16の受信する電波強度値がアンテナ17の受信する電波強度値よりも前のタイミングでピークを迎える。一方、ユーザが退場する場合にはアンテナ17の受信する電波強度値がアンテナ16の受信する電波強度値よりも前のタイミングでピークを迎える。つまり、アンテナ16、17の電波強度値の変化に基づいてRFタグの移動方向を検知することができる。
【0033】
端末装置1のCPU11は、アンテナ16、17を介してRFタグと無線通信を行い、アンテナ16、17のそれぞれから得られた通信内容に基づいてRFタグの識別情報(ID情報)を取得する。さらに、CPU11は、各RFタグについてアンテナ16、17それぞれの電波強度値を個別に取得する。そして、CPU11は、検出したアンテナ16、17それぞれの電波強度値を、RFタグのID情報及びその電波強度値の検出時刻と対応付けて記憶部13の電波強度値遷移テーブル132に記憶させる。以下、電波強度値及びその電波強度値の検出時刻とを対応付けたものを「電波強度値の遷移」と記載することがある。
【0034】
また、CPU11は、無線通信によってRFタグから取得したID情報と、記憶部13のDB131に記憶されたID情報とを照合する。
図6(A)、(B)に、DB131の記憶内容の一例を示す。図6(A)は、ID情報と人とを対応付けた人物DBの一例を示し、図6(B)は、ID情報と書籍とを対応付けた書籍DBの一例を示す。
DB131は、ID情報と、ID情報が示す情報とをそれぞれ対応付ける。ID情報が示す情報として、例えば、図6(A)に示す人物を識別するための情報や、図6(B)に示す書籍等の物を識別するための情報が挙げられる。図6(B)では書籍を一例としているが、他の物とID情報とを対応付けてもよい。図6(A)に示す人物DBは、そのID情報を有するRFタグが付加された物品と、当該物品を割り当てられた人とを対応付ける。例えば、RFタグが付加された施設の入場証と、入場証を所持するユーザとの対応付けが挙げられ、その他さまざまな対応付けが考えられる。
【0035】
本実施形態では、DB131は、人物DB及び書籍DBを含む。人物DB及び書籍DBは、個別に設けられたDBデータであってもよいし、一のDBデータに含まれる情報であってもよい。
【0036】
CPU11は、無線通信によってRFタグから取得したID情報と、記憶部13のDB131に記憶されたID情報とを照合する。照合の結果、RFタグから取得したID情報が、DB131に記憶されたID情報のいずれかと一致した場合、CPU11は、DB131によってそのID情報と対応付けられた、ID情報が示す情報を取得し、そのID情報を有するRFタグの電波強度値の遷移と対応付けて電波強度値遷移テーブル132に記憶させる。一方、照合の結果、RFタグから取得したID情報が、DB131に記憶されたID情報のいずれとも一致しない場合、CPU11は、そのID情報を有するRFタグを「管理外タグ」とし(例えば後述する図7〜10に示す管理外タグA1、管理外タグD1等)、そのRFタグの電波強度値と対応付けて電波強度値遷移テーブル132に記憶させる。
【0037】
図7に、電波強度値遷移テーブル132の記憶内容の一例を示す。
図7に示すように、電波強度値遷移テーブル132は、アンテナ16、17のそれぞれによって受信された電波の電波強度値と、その電波を生じた無線通信においてアンテナ16、17と無線通信を行ったRFタグのID情報が示す情報と、その電波強度値の検出時刻と、を対応付けて記憶する。図7に示す例では、電波強度値を0(最弱)〜100(最強)で表しているが、電波強度値の強弱を記憶することができれば他の表現方法でもよい。本実施形態では、検出時刻を0.25秒単位で区切っているが、電波強度値の遷移を記録するための時間の単位は任意に設定することができる。
【0038】
CPU11は、電波強度値遷移テーブル132に記憶された各RFタグの電波強度値の変化に基づいて、検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化が同一であるか又は近似する複数のRFタグがあるか否かを判別する。そして、CPU11は、検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化が同一であるか又は近似する複数のRFタグがある場合、当該複数のタグ同士を対応付け、記憶部13の所持品リスト133に記憶させる。本実施形態では、CPU11は、それぞれ異なるID情報を有するRFタグであって、かつ、全てのアンテナ、すなわちアンテナ16、17双方について、検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化が同一であるか又は近似する複数のRFタグがある場合、そのRFタグ同士を対応付ける。
例えば、利用者BのRFタグ(以下、単に「利用者B」と記載)と書籍b1のRFタグ(以下、単に「書籍b1」と記載)は、10:00:00.25〜10:00:02.00におけるアンテナ17の電波強度値及び時刻の遷移に伴う電波強度値の変化が同一である。また、「利用者B」と「書籍b1」は、10:00:01.75〜10:00:03.50におけるアンテナ16の電波強度値及び時刻の遷移に伴う電波強度値の変化が同一である。つまり、図7に示す電波強度値遷移テーブル132における「利用者B」と「書籍b1」は、全てのアンテナについて、検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化が同一である。これらのことから、CPU11は、「利用者B」と「書籍b1」が共に一のユーザの移動に伴って端末装置1の近傍を通過したRFタグであると判定し、「利用者B」と「書籍b1」を対応付けて記憶部13の所持品リスト133へ記憶させる。
【0039】
なお、「利用者B」ならびに社員A、研究者C、利用者D及び社員E(図9参照)のRFタグ(以下、それぞれ単に「社員A」、「研究者C」、「利用者D」、「社員E」と記載)はそれぞれ、異なる人物が所持する入場証に付加されたRFタグであり、それぞれのRFタグが検知されると、CPU11は、各RFタグのID情報に対応する人物が入場又は退場したものとして判定する。また、以後の記載において、入場証に付加されたRFタグのID情報を「人物ID」と記載することがある。
また、図7及び後述する図9において、「社員カード」、「利用者カード」、「研究者カード」と記載されているものは、社員A、利用者B、研究者C、利用者D及び社員Eがそれぞれ所持する入場証であり、人物IDを有するRFタグである。
【0040】
図8に、所持品リスト133の記憶内容の一例を示す。
所持品リストは、検出時刻の経過に対する電波強度値の変化が同一であるか又は近似すると判別された複数のRFタグを対応付けて記憶する。
本実施形態では、所持品リスト133は、人物IDを有するRFタグを基準とし、人物ID及びDB131において人物IDと対応付けられた人物を識別するための情報と、当該人物の所持する他のRFタグを識別するための情報とを対応付ける。これによって、入場又は退場時に、各人が所持しているRFタグ及び当該RFタグが付されている物品とその所有者とを対応付けて管理することができる。
【0041】
また、CPU11は、アンテナ16、17のそれぞれの電波強度値の遷移に基づいてRFタグの移動方向を検知する。本実施形態では、入場証に付加されたRFタグが、入場又は退場のいずれの方向へ移動したのかを判定する。
例えば、図7に示す電波強度値遷移テーブル132の「利用者B」は、10:00:00.25〜10:00:02.00の間、アンテナ17との間に電波を生じさせている。また、「利用者B」は、10:00:01.75〜10:00:03.50の間、アンテナ16との間に電波を生じさせている。この「利用者B」とアンテナ16、17との通信は、「利用者B」がゲートGを通過したときに生じたものであると判定される。そして、このときの「利用者B」は、アンテナ17との通信を先に生じているので、CPU11は、「利用者B」がゲートGを通って退場したと判定する。
一方で、図7に示す電波強度値遷移テーブル132の「社員A」は、10:00:01.75〜10:00:03.50の間、アンテナ16との間に電波を生じさせ、10:00:03.25〜10:00:05.00の間、アンテナ17との間に電波を生じさせている。つまり、このときの「社員A」は、アンテナ16との通信を先に生じているので、CPU11は、「社員A」がゲートGを通って入場したと判定する。
同様に、図7に示す電波強度値遷移テーブル132の記憶内容に基づいて、「研究者C」は入場したと判定され、「利用者D」も入場したと判定される。
【0042】
CPU11は、入場証に付加されたRFタグが、入場又は退場のいずれの方向へ移動したのかを判定し、判定の結果(入場又は退場)及び入場又は退場した時刻を入場証に付加されたRFタグと対応付けて所持品リスト133へ記憶させる。
【0043】
また、CPU11は、移動方向検知部によってそれぞれ異なる移動方向に移動していると検知されたRFタグ同士については、検出時刻の経過に対する電波強度値の変化が同一又は近似する複数のRFタグとして判別せず、対応付けを行わない。
例えば、図7に示す電波強度値遷移テーブル132では、10:00:01.75〜10:00:03.50の間、「社員A」、「利用者B」、「管理外タグA1」及び「書籍b1」がアンテナ16との間で生じた電波強度値は同一である。しかしながら、前述のように、「利用者B」は退場しており、「社員A」は入場している。このため、CPU11は、「社員A」と「利用者B」とが検出時刻の経過に対する電波強度値の変化が同一又は近似する複数のRFタグとして判別することはない。また、「社員A」と「利用者B」と同様の関係にある「管理外タグA1」と「書籍b1」も対応付けされない。
【0044】
図8に示す所持品リスト133では、図7に示す電波強度値遷移テーブル132の記憶内容に基づいて、退場する「利用者B」が「書籍b1」と対応付けられている。これは、「利用者B」を所持するユーザが、退場時に、「書籍b1」を付加された物品(書籍)を持ち出したことを示している。同様に、図8所持品リスト133では、「社員A」を所持するユーザが「管理外タグA1」を付加された物品を持って入場し、「研究者C」が他のRFタグを所有せずに入場し、「利用者D」が「書籍d1」を付加された物品(書籍)及び「管理外タグD1」を付加された物品を持って入場している。
【0045】
所持品リスト133は、入場証に付加されたRFタグとの通信が新たに生じるたびに更新される。本実施形態では、人物IDのRFタグが入場又は退場するたびに所持品リスト133に当該人物IDと対応付けられたRFタグを示す新しいレコードを追記する。
図9に、図7に示す電波強度値遷移テーブル132より後の時刻の電波強度値遷移テーブル132の記憶内容の一例を示す。
図10に、図8に示す所持品リスト133より後の時刻の所持品リスト133の記憶内容の一例を示す。
例えば、図9に示す電波強度値遷移テーブル132では、「利用者D」及び「管理外タグD1」とアンテナ17との通信による電波が16:38:42.00〜16:38:43.75にかけて生じている。また。「利用者D」と「管理外タグD1」とアンテナ16との通信による電波が16:38:43.50〜16:38:45.25にかけて生じている。このとこから、CPU11は、「利用者D」を所持するユーザが「管理外タグD1」を付加された物品を持って退場したと判定し、図10に示すように、所持品リスト133を更新する。同様に、図9に示す電波強度値遷移テーブル132に基づいて、「社員E」を所持するユーザが入場し、「社員A」を所持するユーザが「書籍a1」、「書籍a2」、「書籍a3」をそれぞれ付加された物品(書籍)及び「管理外タグA1」を付加された物品を持って退場し、「研究者C」を所持するユーザが退場したものとして所持品リスト133が更新される。
【0046】
本実施形態の端末装置1は、RFタグ同士の対応付けに基づいて、ユーザによる物品の搬入/搬出を検知することができる。例えば、「利用者D」を所持するユーザは、図7に示す電波強度値遷移テーブルに基づいて、「書籍d1」を付加された物品(書籍)及び「管理外タグD1」を付加された物品を持って入場したものとして、図8に所持品リスト133に記録されている。一方で、「利用者D」を所持するユーザは、図9に示す電波強度値遷移テーブルに基づいて、「管理外タグD1」を付加された物品を持って退場したものとして、図10に所持品リスト133に記録されている。つまり、「利用者D」を所持するユーザは、「書籍d1」を付加された物品(書籍)を入場時に所持していた一方で、退場時には所持していない。このことから、「利用者D」を所持するユーザは、入場に伴って施設内に「書籍d1」を付加された物品(書籍)を搬入し、かつ、退場時に「書籍d1」を付加された物品(書籍)を搬出しなかったことがわかる。この場合、「書籍d1」を付加された物品(書籍)は施設内にあることとなる。
上記した「利用者D」の物品(書籍)の搬入/搬出と同様の仕組みで、「社員A」のユーザが、入場時には所持していなかった「書籍a1」、「書籍a2」、「書籍a3」をそれぞれ付加された物品(書籍)を搬出したことがわかる。この場合、施設内にあった「書籍a1」、「書籍a2」、「書籍a3」をそれぞれ付加された物品(書籍)を、「社員A」のユーザが持ち出したこととなる。
【0047】
上記のユーザによる物品の搬入/搬出の検知結果と、施設内における物品(書籍)の搬入/搬出の検知結果とを比較照合してもよい。
例えば、施設内における書籍の貸出/返却記録を、ユーザと当該ユーザに貸し出した書籍とを対応付ける記録データとして作成し、端末装置1のCPU11から読み出し可能な状態とする。CPU11は、ユーザ(当該ユーザが所持する入場証のRFタグ)と対応付けられたRFタグが、入場時と退場時で一致するかを判定する。ここで、一致しない場合、すなわち入場時と退場時でユーザ(当該ユーザが所持する入場証のRFタグ)と対応付けられたRFタグ又はその組み合わせが異なる場合、CPU11は、記録データを読み出して、入場時から退場時までに係るユーザの所持するRFタグの変化と対応するか否かを判定する。例えば、入場時に「利用者D」と対応付けられていた「書籍d1」が、退場時に「利用者D」と対応付けられていない場合、CPU11は、記録データを読み出して、その内容に「利用者D」を所持するユーザが「書籍d1」を返却した記録を検索する。そして、「利用者D」を所持するユーザが「書籍d1」を返却していた場合、CPU11は「利用者D」を所持するユーザと対応付けられたRFタグの入場時と退場時との間に生じた変化を正常であると判定することができる。一方、「利用者D」を所持するユーザが「書籍d1」を返却していない場合、CPU11は「利用者D」を所持するユーザと対応付けられたRFタグの入場時と退場時との間に生じた変化を異常であると判定することができる。
同様に、ユーザが入場時に所持していなかった物品のRFタグが退場時に当該ユーザのRFタグと対応付けられた場合、CPU11は、退場時に対応付けられた物品(書籍)が記録データ上で貸出記録として当該ユーザと対応付けられているかを検索し、判定することができる。
記録データに貸出/返却の時刻をさらに記録することで、ユーザの入場時と退場時の間における貸出/返却に限定して検索を行うことができ、処理効率が向上する。
記録データを別途設けず、施設内における各ユーザに対するRFタグ付物品(書籍等)の搬入/搬出記録(貸出/返却記録等)を所持品リスト133に直接反映させるようにしてもよい。
【0048】
さらに、入場時と退場時の間でユーザ(当該ユーザが所持する入場証のRFタグ)と対応付けられたRFタグ又はその組み合わせが異なり、かつ、記録データ等に対する検索の結果、RFタグの対応付けの変化と整合する記録を発見できなかった場合、その旨を知らせる報知を行ってもよい。
【0049】
例えば、「利用者D」は、入場時に「書籍d1」及び「管理外タグD1」と対応付けられている。これは、「利用者D」を所持するユーザが「書籍d1」及び「管理外タグD1」をそれぞれ付加された物品(書籍やその他の物品)を所持していると推定することができる。一方、「利用者D」は、退場時に「管理外タグD1」のみと対応付けられている。「利用者D」を所持するユーザが「管理外タグD1」を付加された物品のみを所持していると推定することができる。このことから、「利用者D」を所持するユーザは、施設内に「書籍d1」を付加された物品(書籍)を持ち込んだことが推定される。ここで、例えば図書の貸出/返却記録において「利用者D」を所持するユーザが「書籍d1」を付加された物品(書籍)を返却した記録がある場合、入場時に「書籍d1」を付加された物品(書籍)を所持していた「利用者D」のユーザが、退場時に「書籍d1」を付加された物品(書籍)を所持していないことと対応する記録があることとなる。一方、図書の貸出/返却記録において「利用者D」を所持するユーザが「書籍d1」を付加された物品(書籍)を返却した記録がない場合、入場時に「書籍d1」を付加された物品(書籍)を所持していた「利用者D」のユーザが、退場時に「書籍d1」を付加された物品(書籍)を所持していないことと対応する記録がないこととなり、記録上に不整合を生じる。この場合、例えば「利用者D」のユーザが「書籍d1」を付加された物品(書籍)を施設内に置き忘れた等の状況が考えられる。
【0050】
また、「社員A」を所持するユーザの場合、入場時に所持していなかった「書籍a1」、「書籍a2」、「書籍a3」を退場時に持ち出している。ここで、図書の貸出/返却記録において「社員A」が「書籍a1」、「書籍a2」、「書籍a3」を借りた記録がない場合、「書籍a1」、「書籍a2」、「書籍a3」は「社員A」によって不正に持ち出された可能性がある。
【0051】
そこで、入場時と退場時の間でユーザ(当該ユーザが所持する入場証のRFタグ)と対応付けられたRFタグ又はその組み合わせが異なり、かつ、記録データ等に対する検索の結果、RFタグの対応付けの変化と整合する記録を発見できなかった場合、ユーザや施設管理者等にその旨を知らせる報知を行うことで、記録上の不整合を生じた事由の発見を促すことができ、忘れ物や不適正な物品の持ち出しを防止することができる。
【0052】
ユーザのRFタグ(入場証)と対応付けられる他のRFタグについて、入場時と退場時の間で変化を生じた場合、CPU11は、差異処理を行う。本実施形態では、差異処理として、CPU11は、まず、記録データを読み込み、対応付けられるRFタグの変化に対応する記録が記録データ上にあるか否かを判定する。対応付けられるRFタグの変化に対応する記録がない場合、CPU11は対応付けられるRFタグの変化に対応する記録がない旨を報知するための処理を行う。例えば、音声、表示又はその組み合わせ等により退場するユーザの所持品に対する注意を促す報知を行う処理や、ゲートGに設けられた開閉扉(図示略)を閉じるための処理等が挙げられる。
【0053】
なお、図7及び図9に示す電波強度値遷移テーブル132では、対応付けられるRFタグ同士の電波強度値遷移が同一である場合について例示しているが、CPU11は、同一に限らず、RFタグ同士の電波強度値遷移が近似するものについても対応付けする。CPU11は、アンテナ16、17の双方の電波強度値遷移について同一であるか又は近似するあるいは一方のアンテナの電波強度値遷移が同一であり他方のアンテナの電波強度値が近似する場合について、そのRFタグ同士を対応付けする。電波強度値遷移についてどの程度の差異を近似の是非とするかについては、適宜設定することができる。
【0054】
図11及び図12に、端末装置1の処理の流れをフローチャートで示す。
図11は、端末装置1の処理のうち、ステップS1からステップS11の処理の流れを示すフローチャートである。
図12は、端末装置1の処理のうち、ステップS12からステップS19の処理の流れを示すフローチャートである。
CPU11は、アンテナ16、17とRFタグとの間の通信が行われるまで待機する(RFタグ接近待ち、ステップS1)。アンテナ16、17とRFタグとの間の通信が行われ、RFタグが認識されると(ステップS2:YES)、CPU11は通信内容に基づいて、アンテナ16、17と通信を行った全てのRFタグのID情報を取得する(ステップS3)。そして、CPU11は、各RFタグについて単位時間ごとの電波強度値を取得し、ID情報別に、ID情報と単位時間ごとの電波強度値とを対応付けて電波強度値遷移テーブル132に記憶させる(ステップS4)。CPU11は、アンテナ16、17とRFタグとの通信が終了するまで、即ちアンテナ16、17から得られる電波強度値が0になるまでステップS3、ステップS4の処理を継続する(ステップS5:NO)。
【0055】
アンテナ16、17から得られる電波強度値が0になると(ステップS5:YES)、
CPU11は、ステップS3で取得したID情報をDB131に照会して人物IDを有するRFタグを選別する(ステップS6)。次に、CPU11は、ステップS6で得た人物IDと対応付けられた、アンテナ16、17それぞれとの通信による電波強度値遷移を示すデータを電波強度値遷移テーブル132から取得する(ステップS7)。そして、ステップS7で得たデータに基づいて、ステップS6で得た人物IDを有するRFタグがアンテナ16、17のいずれと先に通信を開始したのかをチェックする(ステップS8)。本実施形態では、ステップS8において「RFタグ(ステップS6で得た人物IDを有するRFタグ)がアンテナ16と先に通信したか否か」を判定することで先に通信を開始したアンテナを特定しているが、アンテナ16、17のいずれが先にRFタグ(ステップS6で得た人物IDを有するRFタグ)と通信を開始したかを判定することができればよく、例えば「RFタグ(ステップS6で得た人物IDを有するRFタグ)がアンテナ17と先に通信したか否か」としてもよい。
ステップS8において、RFタグ(ステップS6で得た人物IDを有するRFタグ)がアンテナ16と先に通信していた場合(ステップS8:YES)、CPU11は、そのRFタグ及び当該RFタグを所持するユーザが入場したと判定する(ステップS9)。一方、RFタグ(ステップS6で得た人物IDを有するRFタグ)がアンテナ16と先に通信していなかった場合(ステップS8:NO)、即ちアンテナ17と先に通信していた場合、CPU11は、そのRFタグ及び当該RFタグを所持するユーザが退場したと判定する(ステップS10)。
【0056】
CPU11は、電波強度値遷移テーブル132に基づいて、ステップS9又はステップS10の処理によって入場/退場のいずれを行ったか判定された人物IDのRFタグの電波強度値遷移と同一であるか又は近似する電波強度値遷移を示すRFタグがあるか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11において、人物IDのRFタグの電波強度値遷移と同一であるか又は近似する電波強度値遷移を示すRFタグがある場合(ステップS11:YES)、CPU11は、電波強度値遷移テーブル132に基づいて、人物IDのRFタグの電波強度値遷移と同一であるか又は近似する電波強度値遷移を示すRFタグの電波強度値遷移が、アンテナ16及びアンテナ17の双方について人物IDのRFタグの電波強度値遷移と同一であるか又は近似するか否かを判定する(ステップS12)。人物IDのRFタグの電波強度値遷移と同一であるか又は近似する電波強度値遷移を示すRFタグの電波強度値遷移が、アンテナ16及びアンテナ17の双方について人物IDのRFタグの電波強度値遷移と同一であるか又は近似する場合(ステップS12:YES)、CPU11は、当該人物IDのRFタグと、当該人物IDのRFタグの電波強度値遷移と同一であるか又は近似する電波強度値遷移を示すRFタグと、を対応付けて所持品リスト133に記憶させる(ステップS13)。
【0057】
ステップS13の処理後又はステップS12において人物IDのRFタグの電波強度値遷移と同一であるか又は近似する電波強度値遷移を示すRFタグの電波強度値遷移が、アンテナ16及びアンテナ17の双方について人物IDのRFタグの電波強度値遷移と同一又は近似でない場合(ステップS12:NO)、CPU11は、まだ他に人物IDのRFタグの電波強度値遷移と同一であるか又は近似する電波強度値遷移を示すRFタグがあるか否かを判定する(ステップS14)。即ち、ステップS14において、CPU11は、ステップS11で人物IDのRFタグの電波強度値遷移と同一であるか又は近似する電波強度値遷移を示すと判定されたRFタグのうち、ステップS12の判定を行っていないRFタグがあるか否かを判定する。人物IDのRFタグの電波強度値遷移と同一であるか又は近似する電波強度値遷移を示すRFタグのうち、ステップS12の判定を行っていないRFタグがある場合(ステップS14:YES)、ステップS12の処理に戻り、CPU11は、ステップS12の判定を行っていないRFタグに対してステップS12の処理を行う。
【0058】
ステップS14において、人物IDのRFタグの電波強度値遷移と同一であるか又は近似する電波強度値遷移を示すRFタグのうち、ステップS12の判定を行っていないRFタグがない場合(ステップS14:NO)又はステップS11において人物IDのRFタグの電波強度値遷移と同一であるか又は近似する電波強度値遷移を示すRFタグがない場合(ステップS11:NO)、CPU11は、まだ他に人物IDを有するRFタグがあるか否かを判定する(ステップS15)。即ち、ステップS15において、CPU11は、ステップS6で選別された人物IDを有するRFタグであって、ステップS7の処理を行っていないRFタグがあるか否かを判定する。ステップS6で選別された人物IDを有するRFタグであって、ステップS7の処理を行っていないRFタグがある場合(ステップS15:YES)、ステップS7の処理に戻り、CPU11は、ステップS6で選別された人物IDを有するRFタグであって、ステップS7の処理を行っていないRFタグに対してステップS7以降の処理を行う。
【0059】
ステップS15の判定において、ステップS7の処理を行っていないRFタグがない場合(ステップS15:NO)、人物IDを有するRFタグに退場するRFタグがあるか否かを判定する(ステップS16)。人物IDを有するRFタグに退場するRFタグがある場合(ステップS16:YES)、CPU11は、退場するRFタグの入場時に当該退場するRFタグと対応付けられたRFタグを示すデータを所持品リスト133から取得する(ステップS17)。そして、CPU11は、ステップS17で取得したレコードに基づいて、退場するRFタグと対応付けられた他のRFタグが入場時と退場時で変化したか否かを判定する(ステップS18)。退場するRFタグと対応付けられた他のRFタグが入場時と退場時で変化した場合(ステップS18:YES)、CPU11は差異処理を行う(ステップS19)。
退場するRFタグと対応付けられた他のRFタグが入場時と退場時で変化していない場合(ステップS18:NO)又はステップS16において人物IDを有するRFタグに退場するRFタグがない場合(ステップS16:NO)、CPU11は処理を終了する。
【0060】
以上のように、本実施形態の端末装置1によれば、CPU11が、電波強度値遷移テーブル132の記憶内容に基づいて、検出時刻の経過に対する電波強度値の変化が同一であるか又は近似する複数のRFタグがあると判別された場合、当該複数のRFタグ同士を対応付けて所持品リスト133に記憶させる。これによって、一の対象、例えば一のユーザが所持する複数のRFタグがほぼ同時に端末装置1との通信を行った場合であっても、検出時刻の経過に対する電波強度値の変化が同一であるか又は近似する複数のRFタグ同士を対応付けすることによって複数のRFタグと一の対象とを対応付けることができる。
【0061】
さらに、CPU11は、検出時刻の経過に対する電波強度値の変化が全てのアンテナについて同一であるか又は近似するRFタグ同士を検出時刻の経過に対する電波強度値の変化が近似する複数のRFタグとして判別する。このため、複数のアンテナ16、17のうちいずれか一方のアンテナの電波強度値遷移が同一又は近似していても、他方のアンテナの電波強度値遷移が同一も近似もしていなければ、そのRFタグ同士は対応付けされない。一の対象に帰属する複数のRFタグ同士は、当該一の対象と端末装置1のアンテナ16、17との距離の変化に基づく電波強度値遷移が双方のアンテナについて同一又は近似となる可能性が高く、一方のアンテナの電波強度値遷移が同一又は近似しながらも他方のアンテナの電波強度値遷移が同一も近似もしない可能性は低い。このことから、検出時刻の経過に対する電波強度値の変化が全てのアンテナについて同一であるか又は近似するRFタグ同士を検出時刻の経過に対する電波強度値の変化が近似する複数のRFタグとして判別し、対応付けすることで、RFタグと一の対象との対応付けの精度を大幅に高めることができる。
【0062】
さらに、CPU11は、電波強度値遷移テーブル132に記憶されたアンテナ16、17の検出時刻の経過に対する電波強度値の変化に基づいてRFタグの移動方向を検知する。これによって、一の端末装置1によってRFタグの移動方向を検知することができる。このため、例えば施設に対する入場/退場等、移動方向の異なるユーザに対して個別の端末装置を設けることなく、一の端末装置1によってRFタグの検知を行うことができる。
【0063】
さらに、CPU11は、それぞれ異なる移動方向に移動していると検知されたRFタグ同士を検出時刻の経過に対する電波強度値の変化が同一であるか又は近似する複数のRFタグとして判別しない。これによって、移動方向の異なるRFタグ同士は、対応付けされない。複数のRFタグが一の対象に帰属する場合において、一の対象に帰属する複数のRFタグは当該一の対象の移動方向と同一の移動方向へ移動する可能性が高く、一の対象に帰属する複数のRFタグがそれぞれ異なる移動方向に移動する可能性は低い。このことから、移動方向の異なるRFタグ同士を対応付けしないことで、複数のRFタグ同士の対応付けにおけるRFタグと一の対象との対応付けの精度を大幅に高めることができる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
例えば、RFタグを付した物品の搬出/搬入と、搬出又は搬入を行ったユーザとの対応付けを行うために本発明の端末装置を用いてもよい。
【0065】
図13に、本発明の端末装置を、RFタグを付加した物品(書籍)の持ち出し/返却と、持ち出し又は返却を行ったユーザとの対応付けを行うために用いた場合の一例を示す。
図13に示す例では、端末装置1のアンテナ16、17は、容器30の近傍に位置するよう設けられる。図13に示す例では、棚に複数の容器30を横並びに配置し、その上方にアンテナ16、17が近接するよう設けられている。アンテナ16、17は、RFタグを付した物品(書籍)の持ち出し/返却に伴う、容器30の出入方向に沿って並べて設けられる。
【0066】
図14に、容器30の構成の一例を示す。
図14に示すように、容器30は、RFタグを付加した物品(書籍)を内包する。そして、容器30は、人物IDを有するRFタグを付加された物品(カード)を挿入可能に設けられたポケット31を有する。人物IDを有するRFタグを付加された物品としては、例えば施設の入場証や、その他の特定の個人と対応付けられたカード等が挙げられる。
ユーザは、容器30に内包された物品(書籍)を持ち出す又は返却する場合、目的の物品(書籍)を内包する容器30を選定し、その容器30が有するポケット31に自分の人物IDを有するRFタグを付加された物品(カード)を挿入した上で持ち出し又は返却を行う。
【0067】
図15(A)、(B)に、容器30の持ち出し/返却に伴う電波強度値遷移の一例を示す。図15(A)は、容器30が持ち出された場合の電波強度値遷移の一例を示し、図15(B)は、容器30が返却された場合の電波強度値遷移の一例を示す。
容器30にRFタグを付加された物品が内包された状態で容器30が持ち出された場合、RFタグを付加された物品がアンテナ16、17から遠ざかるので、図15(A)に示すように、電波強度値は時間の経過と共に弱まる。一方、容器30にRFタグを付加された物品が内包された状態で容器30が返却された場合、RFタグを付加された物品がアンテナ16、17に近づくので、図15(B)に示すように、電波強度値は時間の経過と共に強まる。CPU11は、図15(A)、(B)に示すような電波強度値遷移の差異に基づいて、RFタグを付加された物品(書籍)を内包する容器30の持ち出し/返却を判別する。
また、容器30の持ち出し又は返却が行われるとき、アンテナ16、17とRFタグとの通信は、容器30に内包された物品(書籍)のRFタグと、ポケット31に挿入された物品(カード)のRFタグのそれぞれについて行われる。CPU11は、容器30に内包された物品(書籍)のRFタグと、ポケット31に挿入された物品(カード)のRFタグとを対応付けることで、物品(書籍)と、当該物品(書籍)の持ち出し/返却を行ったユーザの人物IDとを対応付けて所持品リスト133に記憶させる。
【0068】
このように、端末装置1は、RFタグを付加した物品(書籍)の持ち出し/返却と、持ち出し/返却を行ったユーザとの対応付けを行い、RFタグを付加した物品(書籍)の持ち出し/返却状態の管理を行うことができる。同様に、端末装置1は、書籍に限らず、RFタグを付した物品の搬出/搬入と、搬出又は搬入を行ったユーザとの対応付けを行うことができる。
さらに、前述の実施形態において、図13に示す端末装置1と容器30とを用いたRFタグを付加した物品(書籍)の持ち出し/返却と持ち出し/返却を行ったユーザとの対応付けによって、差異処理で用いる記録データの作成を行ってもよい。ゲートGに設けられた端末装置1によって生成された所持品リスト133と、容器30の近傍に設けられた端末装置1によって生成された所持品リスト133に基づいて、ユーザの入退場管理と、ユーザの入場時と退場時における所持品(所持するRFタグ)の相違の裏づけとを行うことができる。例えば、ゲートGを介した入場時にユーザが所持していなかった書籍を退場時にユーザが所持していた場合、容器30の近傍に設けられた端末装置1の所持品リスト133において、その書籍を持ち出した記録があれば、ユーザの入場時と退場時における所持品(所持するRFタグ)の相違の裏づけが取れたこととなり、記録がなければ何らかの不適切な持ち出しがなされたものと判定され、その旨を知らせる報知が行われる。
【0069】
前述の実施形態では、CPU11がID情報を抽出し、ID情報と電波の検出時刻の経過と電波強度値の変化とを対応付けて記憶部13の電波強度値遷移テーブル132に記憶させ、電波強度値遷移テーブル132の記憶内容に基づいて電波強度値遷移が同一であるか又は近似するRFタグ同士の対応付けを行っているが、CPU11が行う各処理を行う専用のハードウェアを個別に設けてもよい。
【0070】
図3では、一つの端末装置1が設けられているが、当該例示は一つの出入り口に対して本発明の端末装置を複数設けることを何ら妨げるものではない。
また、端末装置1は二つのアンテナ16、17を有するが、3つ以上のアンテナを設けてもよい。
図16に、3つのアンテナ16、17、21を有する端末装置1Aの一例を示す。
3つ以上のアンテナを有する端末装置の場合、CPU等の制御部は、その全てのアンテナの通信における電波強度値遷移が同一であるか又は近似するRFタグ同士を対応付ける。また、3つ以上設けられたアンテナのうち少なくとも2つを、RFの移動方向について検知したい方向に沿って並べ、移動方向に沿って並べられた2以上のアンテナのいずれが先にRFタグと通信を開始したのかを判別することで、前述の実施形態と同様に、RFタグの移動方向を検知することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 端末装置
1A 端末装置
11 CPU
12 RAM
13 記憶部
14 入力部
15 表示部
16 アンテナ
17 アンテナ
131DB
132電波強度値遷移テーブル
133所持品リスト
21 アンテナ
30 容器
31 ポケット
G ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFタグと電波を用いた無線通信を行う端末装置であって、
前記RFタグとの間で電波の送受信を行う複数のアンテナと、
前記アンテナが受信した電波に基づいて前記RFタグの識別情報を取得し、前記アンテナが受信した電波の電波強度値を各アンテナについて取得する検出手段と、
前記識別情報と前記電波強度値を検出時刻と共に記憶する記憶部と、
前記検出手段により検出した前記電波強度値と当該電波強度値の検出時刻と前記識別情報とを対応付けて各アンテナについて前記記憶部に記憶させ、前記記憶部の記憶内容に基づいて、前記検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化が同一であるか又は近似する複数のRFタグがあると判別された場合、当該複数のRFタグの当該識別情報を対応付ける制御部と、を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、異なる識別情報を有し、かつ、前記検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化が全てのアンテナについて同一であるか又は近似するRFタグ同士を前記検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化が近似する複数のRFタグとして判別することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された各アンテナの前記検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化に基づいて前記RFタグの移動方向を検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、それぞれ異なる移動方向に移動していると検知されたRFタグ同士を前記検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化が同一であるか又は近似する複数のRFタグとして判別しないことを特徴とする請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
RFタグと電波を用いた無線通信を行う端末装置におけるコンピュータに、
複数のアンテナにより、前記RFタグとの間で電波の送受信を行う機能と、
検出手段により、前記アンテナが受信した電波に基づいて前記RFタグの識別情報を取得し、前記アンテナが受信した電波の電波強度値を各アンテナについて取得する機能と、
記憶部により、前記識別情報と前記電波強度値を検出時刻と共に記憶する機能と、
制御部により、前記検出手段により検出した前記電波強度値と当該電波強度値の検出時刻と前記識別情報とを対応付けて各アンテナについて前記記憶部に記憶させ、前記記憶部の記憶内容に基づいて、前記検出時刻の経過に対する前記電波強度値の変化が同一であるか又は近似する複数のRFタグがあると判別された場合、当該複数のRFタグの当該識別情報同士を対応付ける機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−210206(P2011−210206A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79978(P2010−79978)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】