説明

端末装置

無線ネットワークに接続するための送受信アンテナを有する通信手段を含む無線モジュールを装着して使用する端末装置において、前記送受信アンテナに物理的又は空間的に接続される第1アンテナ部と、前記第1アンテナ部に接続されていると共に、前記無線ネットワークと直接的に無線信号の送受信を行う第2アンテナ部とを備えて、通信品質の向上及び前記端末装置と前記無線ネットワーク間の無線信号到達距離の延長を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は無線インターフェイスを装備した端末装置(国際特許分類H04N5/64)に関するものである
【背景技術】
近年、無線LANは接続ケーブルを必要としない利便性から、急速に普及しており、例えば、特開平8−107369号公報に開示されているように、いわゆるTCP/IP接続用途のみならず、映像・音声の伝送用インターフェイスとして脚光を浴びている。また、使用する周波数も2.4GHz帯から、より大容量伝送が可能な5GHz帯へとシフトしているのが現状である。
以下に無線インターフェイスを装備した従来の端末装置について図5及び図6を用いて説明する。
図5は、無線インターフェイスを装備した従来の端末装置の概略部分側断面図であり、図6は、図5の従来の端末装置の後部の部分斜視図である。図5及び図6において、従来の端末装置は、無線モジュール10と、プリント基板4と、無線モジュール10を装着するスロット9を後面パネルに形成した筐体5とを備える。更に、無線モジュール10は、無線モジュール本体1と、端末装置に接続すべき無線ネットワークとの無線信号の送受信を行うように、無線モジュール本体1の一端部に設けられた内蔵アンテナ2等の通信手段と、無線モジュール10を筐体5のスロット9に装着した時に端末装置に接続されるように、無線モジュール本体1の他端部に設けられたPCMCIAコネクタ3とを含む。図6に示すように、無線モジュール10を筺体5の後面パネルのスロット9に装着した時、無線モジュール10の内蔵アンテナ2は、筺体5の後面においてスロット9から外方に突出している。
以上のように構成された無線インターフェイスを装備した従来の端末装置の動作について以下に説明する。
端末装置に接続すべき無線ネットワークから送信された変調波は、無線モジュール10に設けられた内蔵アンテナ2によって受信され、無線モジュール10の内部で復調後ベースバンド信号に変換される。その後、ベースバンド信号は、端末装置のプリント基板4に設けられたPCMCIAコネクタ3を介して、端末装置のプリント基板4上に形成された信号処理回路から、あらかじめ定められたプロトコルに応じた処理を受けて、所望のデジタルデータへと変換される。当該端末装置から無線ネットワークへの送信時は、上記の逆の過程をたどる。
しかしながら上記の従来の端末装置では、無線モジュール10が端末装置の筺体5の後面パネルのスロット9に装着されるため、端末装置が、他の無線ネットワークと送受信を行う場合に、送信及び受信電波が筺体5によって遮られやすく、また、PCMCIAインターフェイスを使用するという物理的、電気的制約によって、内蔵アンテナ2の高利得化及び無線モジュール10の送信電力の上昇が制限され、結果として通信品質の確保及び端末装置と無線ネットワーク間の無線信号到達距離の延長が困難であるという欠点を有していた。
【発明の開示】
本発明は、従来例の上記問題点を解決し、無線モジュールの内蔵アンテナの高性能化が容易な端末装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の端末装置は、無線ネットワークに接続するための送受信アンテナを有する通信手段を含む無線モジュールを装着して使用する端末装置において、前記送受信アンテナに物理的又は空間的に接続される第1アンテナ部と、前記第1アンテナ部に接続されていると共に、前記無線ネットワークと直接的に無線信号の送受信を行う第2アンテナ部とを備えるものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施の形態1にかかる端末装置の概略部分側断面図である。
図2は、図1の端末装置の破断部分正面図である。
図3は、図1の端末装置の前部の破断部分斜視図である。
図4は、図1の端末装置の変形例にかかる端末装置に用いられるアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
図5は、無線インターフェイスを装備した従来の端末装置の概略部分側断面図である。
図6は、図5の従来の端末装置の後部の部分斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1にかかる端末装置の概略部分側断面図であり、図2は、図1の端末装置の破断部分正面図であり、図3は、図1の端末装置の前部の破断部分斜視図である。
図1、図2と図3において、従来の端末装置と同様に、この端末装置は、無線モジュール10と、プリント基板4と、無線モジュール10を装着するスロット9を形成した筐体5とを備え、又、インターフェイス機能を有するカード型の無線モジュール10は、無線モジュール本体1と、端末装置に接続すべき無線ネットワークとの無線信号の送受信を行うように、無線モジュール本体1の一端部に設けられた内蔵アンテナ2等の通信手段と、無線モジュール10を筐体5のスロット9に装着した時に端末装置に接続されるように、無線モジュール本体1の他端部に設けられたPCMCIAコネクタ3とを含む。
スロット9を筺体5の後面パネルに形成した図5及び図6の従来の端末装置と異なり、本発明の端末装置では、スロット9が筺体5の前面パネルに形成されている。よって、図1及び図3に示すように、無線モジュール10を筺体5の前面パネルのスロット9に装着した時、無線モジュール10の内蔵アンテナ2は、筺体5の前面パネルにおいてスロット9から外方に突出している。更に、図5及び図6の従来の端末装置と異なり、本発明の端末装置は、第1アンテナ部13と第2アンテナ部14から成るアンテナ装置20と、スロット9に装着された無線モジュール10の内蔵アンテナ2とアンテナ装置20を収容するように、筺体5の前面パネルに止着されるカバー15とを備える。第1アンテナ部13は、内蔵アンテナ2と送受信を行うように、内蔵アンテナ2に物理的又は空間的に接続される一方、第2アンテナ部14は、第1アンテナ部13に接続されていると共に、端末装置に接続すべき無線ネットワークと直接的に無線信号の送受信を行う。
以上のように構成された端末装置の動作を、以下に説明する。
端末装置に接続すべき無線ネットワークから送信された変調波は、まず端末装置の筺体5の前面パネルに止着されたカバー15内の第2アンテナ部14によって受信され、第1アンテナ部13へと導かれる。第1アンテナ部13は、スロット9に装着された無線モジュール10の内蔵アンテナ2と電磁結合しているため、該変調波は無線モジュール10の内部に取り込まれ、ベースバンド信号へと変換される。その後、ベースバンド信号は、端末装置のプリント基板4に設けられたPCMCIAコネクタ3を介して、端末装置のプリント基板4上に形成された信号処理回路から、あらかじめ定められたプロトコルに応じた処理を受けて、所望のデジタルデータへと変換される。当該端末装置から無線ネットワークへの送信時は、上記の逆の過程をたどる。
以上のように、無線モジュール10の内蔵アンテナ2との送受信を行う第1アンテナ部13と、端末装置に接続すべき無線ネットワークとの送受信を行う第2アンテナ部14とを端末装置の筺体5の前面パネル等の電波を遮断しにくい場所に配置することにより、容易に通信品質の向上が得られる。
なお、この実施の形態では、無線モジュール10のインターフェイスをPCMCIAコネクタ3としているが、SDカード、メモリースティック等の他のインターフェイスを用いても同等の効果が得られることは言うまでもない。また、第1アンテナ部13と第2アンテナ部14には誘電体、スロット、パッチ等の様々な方式、形状の素子が使用可能であり、その寸法、レイアウトについても設計の自由度は極めて高い。
図1の端末装置の変形例にかかる端末装置に用いられるアンテナ装置20’を示す図4では、利得が1以上の高周波増幅回路16が、第1アンテナ部13と第2アンテナ部14の間に挿入されている。
また、第1アンテナ部13と第2アンテナ部14を開閉式のカバー15に固定してもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、無線モジュールの内蔵アンテナと送受信を行う第1アンテナ部と、端末装置に接続すべき無線ネットワークと送受信を行う第2アンテナ部とを端末装置の筺体の前面パネル等の電波を遮断されにくい場所に配置することにより、通信品質の向上及び端末装置と無線ネットワーク間の無線信号到達距離の延長を図ることができると共に、端末装置の筺体の前面パネル等の物理的又は電気的制約の比較的少ない場所に設けられた第1アンテナ部と第1アンテナ部の指向性、利得等の特性を容易に向上させることができる。
又、本発明において、利得が1以上の高周波増幅回路を第1アンテナ部と第2アンテナ部の間に挿入すれば、送信電力と受信CN比が改善されることにより、通信品質を更に向上させることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークに接続するための送受信アンテナを有する通信手段を含む無線モジュールを装着して使用する端末装置において、
前記送受信アンテナに物理的又は空間的に接続される第1アンテナ部と、前記第1アンテナ部に接続されていると共に、前記無線ネットワークと直接的に無線信号の送受信を行う第2アンテナ部とを備える端末装置。
【請求項2】
利得が1以上の高周波増幅回路を前記第1アンテナ部と前記第2アンテナ部の間に挿入した請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記送受信アンテナを外方に突出させるように前記無線モジュールを装着するスロットが形成され、又、前記スロットに装着された前記無線モジュールの前記送受信アンテナ、前記第1アンテナ部と前記第2アンテナ部を収容するカバーを更に備える請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
筺体を更に備え、又、前記カバーを前記筺体の前面パネルに止着した請求項3に記載の端末装置。

【国際公開番号】WO2004/032354
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【発行日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541245(P2004−541245)
【国際出願番号】PCT/JP2003/012394
【国際出願日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】