説明

端面シール

【課題】アキュムレータ等の圧力機器またはその他の機器の端面部をシールする端面シールにおいて、シール部材に早期にへたり現象が発生するのを防止することができ、もって安定したシール性能を長期間に亙って確保することが可能なシール構造を提供する。
【解決手段】端面部3bと端面部3bに向けて移動する作動部材5との間をシールする端面シール21であって、端面部3bに装着されるシール部材22を有する。シール部材22は、作動部材5が端面部3bに当接して停止しまたはストッパにより停止したときに密封流体圧に押されて作動部材5に密接するシールリップ22bを有する。シールリップ22bの先端部には、それぞれ作動部材5に密接する複数のシール突起22e,22fを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封装置の一種である端面シールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、端面シールを備えた圧力機器として図6に示すアキュムレータ51が知られており、以下のように構成されている。
【0003】
すなわち先ず、筒状のシェル53の両端部に蓋部材54,55が溶接固定されてハウジング52が設けられており、このハウジング52の内部に、ベローズ57および端部材58を備えた作動部材56が収容されている。ベローズ57はその一端部を一方の蓋部材54に固定されるとともに他端部を端部材58に固定されており、よってこのベローズ57および端部材58によりハウジング52の内部がベローズ57および端部材58の内側のガス室59と、外側の圧力室60とに区分けされている。
【0004】
図上左側の一方の蓋部材54には、ガス室59にガスを注入するための注入口61が設けられており、この注入口61に、この注入口61を閉塞するための栓部材62が取り付けられている。したがってこの栓部材62を外して注入口61からガス室59に所定圧力のガスを注入し、注入後、注入口61を栓部材62で閉塞することにより、所定圧力のガスをガス室59に封入する。
【0005】
また、図上右側の他方の蓋部材55には、当該アキュムレータ51を図示しない油圧配管等の圧力配管に接続するためのねじ部64を備えた取付部63が設けられており、また圧力配管内の圧力を圧力室60に導入するための圧力導入口65が設けられている。したがって当該アキュムレータ51を取付部63において圧力配管に接続し、この圧力配管内の圧力を圧力導入口65から圧力室60に導入する。
【0006】
上記構成を備えたアキュムレータ51は、例えば圧力配管内に発生する圧力の脈動を、ガス室59内の封入ガス圧と圧力室60内の圧力とを均衡させることによって吸収する作用をなすが、作動中に圧力室60内の圧力すなわち配管内の圧力が極端に低下するようなことがあると、ベローズ57がその内外の圧力差によって膨らみ、座屈して破損する虞がある。
【0007】
したがって、その対策として、上記アキュムレータ51には、端部材58の端面に端面シール66が焼付け手段によって取り付けられており、この端面シール66のシール作用によって圧力室60内の圧力が所定値以下に低下しないようになっている。すなわち、作動中に圧力室60内の圧力が低下すると、ベローズ57が長く延び、端部材58の端面に取り付けられた端面シール66が他方の蓋部材55の端面部55aに密接するために、この密接による端面シール66のシール作用によって圧力室60と圧力導入口65とが遮断される。したがってこの遮断後は、圧力配管内の圧力が更に低下しても圧力室60内の圧力が低下せず、よってガス室59内の封入ガス圧と圧力室60内の圧力とが均衡状態を保ち、よってベローズ57が膨らむのが防止される。
【0008】
しかしながら、上記従来のアキュムレータ51においては、上記したように端面シール66が端部材58の端面に取り付けられており、しかもこの端面シール66が蓋部材55の端面部55aとこの端面部55aに向けて所定の圧力差に基づいて移動して来る端部材58との間に挟まれることによってシール作用をなすように設定されているために、この端面シール66が端面部55aと端部材58との間に圧縮状態で挟まれて大きな負荷を受け、しかもこれが圧力変動に伴うベローズ57の伸縮の度に繰り返されることから、この端面シール66に比較的早期にへたり現象が発生し、これにより端面シール66のシール性能が急速に低下する不都合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上の点に鑑みて、アキュムレータ等の圧力機器またはその他の機器の端面部をシールする端面シールにおいて、シール部材に早期にへたり現象が発生するのを防止することができ、もって安定したシール性能を長期間に亙って確保することが可能なシール構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1による端面シールは、端面部と前記端面部に向けて移動する作動部材との間をシールする端面シールであって、前記端面部に装着されるシール部材を有し、前記シール部材は、前記作動部材が前記端面部に当接して停止しまたはストッパにより停止したときに密封流体圧に押されて前記作動部材に密接するシールリップを有し、前記シールリップの先端部には、それぞれ前記作動部材に密接する複数のシール突起が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2による端面シールは、上記した請求項1の端面シールにおいて、シール部材は、シールリップとともに、シール装着部の内面に密接する外周側シールリップを有することを特徴とする。
【0012】
上記構成を備えた本発明の請求項1による端面シールにおいては、シール部材が移動側の作動部材ではなく静止側の端面部に装着され、しかもこの端面部に向けて移動して来る作動部材が端面部に当接して停止し、または端面部に対して別途設けられるストッパにより停止した状態で、当該端面シールのシール部材のシールリップが密封流体圧に押されて作動部材に密接することによりシール作用が発揮される。したがって、シール部材が剛材間に強く挟まれた状態でシールがなされるのではなく、シール部材のシールリップが既に停止した移動部材に所定の接触圧をもって密接した状態でシールがなされるために、このシールリップを備えたシール部材に早期にへたり現象などが発生するのを防止することが可能となる。またこれに加えて、シールリップの先端部に、それぞれ作動部材に密接する複数のシール突起が設けられているために、一のシール突起によるシール作用に異物の噛み込み等による支障が生じても、他のシール突起によりシール作用を維持することが可能となる。
【0013】
また、上記構成を備えた本発明の請求項2による端面シールにおいては、シール部材に、シールリップとともに、シール装着部の内面に密接する外周側シールリップが設けられているために、当該端面シールとこれを装着する端面部間についても良好なシール作用を発揮することが可能となる。
【0014】
尚、上記本願の請求項1ないし2に係る発明を、上記したような圧力機器であるアキュムレータに適用する場合には、本発明の端面部に相当するアキュムレータのハウジングの端面部に当該端面シールを装着する。この場合、シール部材ないしシールリップの材質については、アキュムレータの圧力室に導入される圧力要素(密封流体ないし対象フルード)がブレーキフルード等であるときにはEPDM等を用い、鉱物油系のものであるときにはNBR等のゴムを用いるのが好適である。また、シール部材ないしシールリップの硬度については、高圧に対するシールリップの食み出し防止等を考慮して、これを比較的高く設定するのが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0016】
すなわち、本発明の請求項1よる端面シールにおいては、端面部とこの端面部に向けて移動する作動部材との間をシールする端面シールであって、端面部に装着されるシール部材が設けられ、このシール部材が作動時に移動する作動部材側でなく静止側の端面部に装着され、しかもこの端面部に向けて移動して来る作動部材が端面部に当接して停止した状態またストッパにより停止した状態で、当該端面シールのシール部材のシールリップが密封流体圧に押されて端部材に密接することによりシール作用がなされるために、シール部材が剛材間に強く挟まれた状態でシールがなされるのではなく、シール部材のシールリップが既に停止した端部材に所定の接触圧をもって密接した状態でシールがなされることになる。したがって、このシールリップを備えたシール部材が剛材間に圧縮状態で強く挟まれることがないために、シール部材に早期にへたり現象などが発生するのを防止することができ、これにより安定したシール性能を長期間に亙って確保することができる。またこれに加えて、シールリップの先端部に、それぞれ作動部材に密接する複数のシール突起が設けられているために、一のシール突起によるシール作用に異物の噛み込み等による支障が生じても、他のシール突起によりシール作用を維持することが可能とされている。したがって、該部シール性能を一層向上させることができる。
【0017】
また、本発明の請求項2による端面シールにおいては、シール部材に、シールリップとともに、シール装着部の内面に密接する外周側シールリップが設けられているために、当該端面シールとこれを装着する端面部間についても良好なシール作用を発揮することが可能とされている。したがってこの点からも、シール性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0019】
第一実施例・・・
図1は、本発明の第一実施例に係る端面シール21を装着した金属ベローズ型アキュムレータ1の断面を示している。図2は、この端面シール21の拡大断面図である。
【0020】
図1のアキュムレータ1においては先ず、有底筒形のシェル3の開放端部に蓋部材(エンドカバーまたはガスエンドカバーとも称する)4が溶接固定されてハウジング2が設けられており、このハウジング2の内部に、ベローズ6および端部材(ベローズキャップとも称する)7を備えた作動部材5が収容されている。ベローズ6はその一端部を蓋部材4に固定されるとともに他端部を端部材7に固定されており、よってこのベローズ6および端部材7によりハウジング2の内部がベローズ6および端部材7の内側のガス室8と、外側の圧力室(フルード室とも称する)9とに区分けされている。ベローズ7には、電着ベローズ、成形ベローズまたは溶接ベローズ等よりなる金属ベローズが用いられるが、アキュムレータ1の仕様や用途によっては、その他の材質のベローズを用いることも可能である。また、端部材7はベローズ6に対して一体に成形されたものであっても良い。
【0021】
図上上側の蓋部材4に、ガス室8にガスを注入するための注入口10が設けられており、この注入口10に、この注入口10を閉塞するためのOリング等のパッキン12を備えたねじ込み式の栓部材(ガスプラグとも称する)11が取り付けられている。したがって、この栓部材11を外して注入口10からガス室8に所定圧力のガスを注入し、注入後、注入口10を栓部材11で閉塞することにより、所定圧力のガスをガス室8に封入する。封入するガスの種類としては、窒素ガス、不活性ガス等が好適である。
【0022】
また、図上下側のシェル3の端壁部3aに、当該アキュムレータ1を図示しない油圧配管等の圧力配管に接続するためのねじ部14を備えた取付部13が設けられており、また圧力配管内の圧力を圧力室9に導入するための圧力導入口(流体流路とも称する)15が設けられている。したがって、当該アキュムレータ1を取付部13において圧力配管に接続し、この圧力配管内の圧力を圧力導入口15から圧力室9に導入することになる。
【0023】
端部材7に固定されたベローズ6の他端部の外周側または端部材7の外周側に環状の摺動部材(制振リングとも称する)16が装着されており、ベローズ6の伸縮作動時であって端部材7の移動時に、この摺動部材16がその外周部をもってシェル3の内周面に対して摺動するようになっている。したがって、この摺動部材16の摺動による案内によって、端部材7がシェル3の内周面と平行に移動するとともにベローズ6がシェル3の内周面と平行に伸縮することになり、これにより端部材7またはベローズ6がシェル3の内周面に対して噛るのが防止される。尚、この摺動部材16によって圧力室9がベローズ6の外周側の空間9aと、端部材7の図上下側の空間9bとに分断されることがないよう、この摺動部材16には図示しない圧力連通部が設けられている。
【0024】
シェル3の端壁部3aの内面すなわち端面部3bであって圧力導入口15の開口周縁部に環状の凹部状を呈するシール装着部3cが設けられており、このシール装着部3cに端面シール21が装着されている。
【0025】
この端面シール21は、以下のように構成されている。
【0026】
すなわち、図2に拡大して示すように先ず、所定のゴム状弾性材よりなる環状のシール部材(リップシールとも称する)22がシェル3のシール装着部3cに圧入されており、このシール部材22の内周側に、所定の金属または樹脂等よりなる環状ないし筒状の剛性部材(環またはパイプとも称する)23が配置されている。シール装着部3cの内周側には、この剛性部材23を圧入固定するための環状の段差状を呈する剛性部材装着部3dが設けられている。尚、当該端面シール21の組立ておよび装着の手順からすれば、先ずシール部材22を剛性部材23の外周に圧入してから、剛性部材23を装着部3dに嵌め込むのが好適である。
【0027】
シール部材22は先ず、シール装着部3cに非接着で圧入固定される環状の基部22aを備えており、この基部22aの端部材7側の端面に、この端部材7の端面7aに接離自在に接触する環状のシールリップ(内周側シールリップまたは第一シールリップとも称する)22bが一体成形されている。また、このシールリップ22bの外周側に環状の凹部22cが形成されており、この凹部22cの更に外周側に、シール装着部3cの内面に常時密接する外周側シールリップ(第二シールリップとも称する)22dが一体成形されている。
【0028】
シールリップ22bは、図示したように、その基端部から先端部にかけて径方向外方へ向けて傾斜した外向き形状のシールリップとして形成されており、図3に示すように端部材7の端面7aに接触したときに密封流体圧である圧力室9の圧力Pに押されてこの端面7aに押し付けられて密接する。したがって、このシールリップ22bはその外周面が受圧面とされている。また、このシールリップ22bの先端部には、それぞれ環状を呈する二条のシール突起22e,22fが同心状に設けられており、図3に示すように、このシール突起22e,22fがそれぞれ端部材7の端面7aに密接する。これは、図4に示すように、何れか一方のシール突起22eと端部材7の端面7aとの間にフロード中の異物31が噛み込まれてこのシール突起22eと端面7aとの間のシール性が損なわれても、他方のシール突起22fが全周に亙って端面7aに密接することによりシール性が確保されるようにしたものであり、このようなシール突起22e,22fの複層構造が備えられることにより、シールリップ22b全体としてのシール性能が格段に向上されている。シール突起22e,22fの形成数は二条に限らず、三条以上であっても良い。また更に、このシールリップ22bは、端部材7が移動して来たときにこの端部材7の端面7aにシール突起22e,22fが確実に密接するよう、図2に示す非接触の自由状態において、シールリップ22bの先端部がシェル3の端面部3bおよび後記する剛性部材23の先端面23eよりも端部材7側に突出するように設定されている。
【0029】
シール部材22の外周部に設けられた外周側シールリップ22dは、圧力室9の圧力Pに押されてシール装着部3cの内部側面に押し付けられる。図5に示すように、このシールリップ22dには、接触面圧を局部的に高めてシール装着部3cの内部側面との間を充分にシールすることができるよう、径方向外方へ向けて突出する環状のシール突起22gが設けられている。
【0030】
剛性部材23は、上記したように所定の金属または樹脂等によって円筒形に形成されており、その基端部23aをもってシェル3の剛性部材装着部3dに圧入嵌着(締まり嵌め)されており、その内周空間を介して圧力導入口15と圧力室9とを連通させている。また、この剛性部材23の端部材7側の先端部23bは先広がりのテーパ状ないしラッパ状に形成されており、これに伴ってこの先端部23bの外周面23cも先広がりのテーパ状ないしラッパ状に形成されている。この先端部23bないし外周面23cはシール部材22のシールリップ22bの内周側に配置されており、よってシールリップ22bが圧力室9側の高圧に押されて反転しようとすると、この先端部23bの外周面23cに接触して反転が防止される。したがってこのように、この先端部23bの外周面23cはシールリップ22bをバックアップする作用を奏するものである。図2の自由状態において、先端部23bの外周面23cとシールリップ22bの内周面との間には所定の大きさの間隙24が設定されて両部材が非接触とされているが、この間隙24は無くても良く、この場合には、両部材が常時接触することになる。先端部23bの尖端23dはゴム製のシールリップ22bを傷付けることがないよう、その断面に丸みが付けられている。また、先端部23bの外周面23cを含むシールリップ22bを支える部分には、接触によるシールリップ22bの摩耗防止を考慮して、樹脂等のコーティングを施したり、または剛性部材23の端部に樹脂等よりなる保護リング(図示せず)を配置することにしても良い。先端部23bの端面23eはシェル3の端面部3bと平行に形成されており、またこの端面23eは、これに作動部材5が強く当接しないようシェル3の端面部3bと面一の位置に配置されるか、またはこれに作動部材5が当接しないよう端面部3bより後退した位置に配置されている。
【0031】
上記構成の端面シール21は、圧力配管側の圧力の低下に伴って圧力室9の圧力が低下したときに、この圧力室9の圧力が所定値以下に低下することがないよう、この圧力をシールするものであって、上記構成により以下の作用効果を奏する点に特徴を有している。
【0032】
すなわち先ず、シール部材22が、作動時に移動する作動部材5側でなく静止側のシェル3の端面部3bのシール装着部3cに装着されており、しかもこの端面部3bに向けて移動して来る作動部材5の端部材7がシェル3の端面部3aに当接して停止した状態で、当該端面シール21のシール部材22のシールリップ22bが密封流体圧である圧力室9の圧力Pに押されて端部材7の端面7aに密接することによりシール作用がなされるために、シール部材22が剛材間に強く挟まれた状態でシールがなされるのではなく、シール部材22のシールリップ22bが既に停止した端部材7の端面7aに所定の接触圧をもって密接した状態でシールがなされることになる。したがって、このシールリップ22bを備えたシール部材22が剛材間に圧縮状態で強く挟まれることがないために、シール部材22に早期にへたり現象が発生するのを防止することができ、これにより安定したシール性能を長期間に亙って確保することができる。
【0033】
また、外向き形状に形成されたシール部材22のシールリップ22bの内周側に、このシールリップ22bの形状に合わせて先広がりのテーパ状に形成された剛性部材23の先端部23bの外周面23cが配置されているために、この先端部23bないし外周面23cがシールリップ22bをバックアップする作用を奏する。したがって、シールリップ22bが圧力室9側の高圧に押されて低圧側すなわち内周側に反転するのが防止されるために、このシールリップ22bを常に安定した状態で端部材7の端面7aに接触させることができる。したがって、この点からもシール性能を安定化することができる。
【0034】
また図示したように、先広がりのテーパ状に形成された剛性部材23の先端部23bの外周面23cの最大外径寸法がシール部材22の最小内径寸法より大きく設定されているために、この先端部23bないし外周面23cが、シール部材22がシール装着部3cから外れるのを防止する抜け止め作用を奏する。したがって、ゴム状弾性材製のシール部材22を非接着でシール装着部3cに装着してもシール部材22がシール装着部3cから抜け出ることがないために、装着に際しての接着(焼付け)作業を省略することが可能となる。したがってこの分、装着作業を容易化することができ、コスト的にも有利な端面シール21を提供することができる。
【0035】
更にまた、シールリップ22bの先端部に複数のシール突起22e,22fが設けられていて、このシールリップ22bが実質的に複数段構造とされているために、一のシール突起によるシール作用に異物31の噛み込み等による支障が生じても、他のシール突起によりシール作用を維持することが可能である。したがって、この点からもシール性能を安定化することができる。尚、このようにリップを実質的に複数段にする際、二段に設定する場合には、各段の幅(間隔)を異物31の長さまたは直径よりも長く設定することにより、何れか一方の段が接触状態を維持する。また三段以上の場合には、各段の幅(間隔)を前記二段の場合と同じに設定するか、またはシールリップ22bの接触部全体の幅を異物31の長さまたは直径よりも長くすることにより、何れかの段が接触状態を維持する。
【0036】
また、シール部材22に、内周側のシールリップ22bとともに、シール装着部3cの内面に密接する外周側のシールリップ22dが併せ設けられているために、当該端面シール21とこれを装着する端面部3b(ハウジング)間についても良好なシール作用を発揮することが可能とされている。したがってこの点からも、シール性能を向上させることができる。
【0037】
尚、本発明において、作動部材5の端面部3bへ向けての移動が停止せしめられるのは、作動部材5が端面部3bに当接して停止する他に、図示しないストッパによって停止する構造であっても良い。この場合、ストッパは例えば、端面部3bに作動部材5へ向けて突設される突起、端面部3bに設置されるスペーサ等によって構成されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例に係る端面シールを装着したアキュムレータの断面図
【図2】端面シールの拡大断面図
【図3】端面シールの作動状態を示す一部拡大断面図
【図4】端面シールの作動状態を示す一部拡大断面図
【図5】シール部材の拡大断面図
【図6】従来例に係る端面シールを装着したアキュムレータの断面図
【符号の説明】
【0039】
1 アキュムレータ
2 ハウジング
3 シェル
3a 端壁部
3b 端面部
3c,3d 装着部
4 蓋部材
5 作動部材
6 ベローズ
7 端部材
7a,23e 端面
8 ガス室
9 圧力室
10 注入口
11 栓部材
12 パッキン
13 取付部
14 ねじ部
15 圧力導入口(流体流路)
15a,23f 位置決め部
15b 係合部
16 摺動部材
21 端面シール
22 シール部材
22a 基部
22b,22d シールリップ
22c 凹部
22e,22f,22g シール突起
23 剛性部材
23a 基端部
23b 先端部
23c 外周面
23d 尖端
24 間隙
31 異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面部(3b)と前記端面部(3b)に向けて移動する作動部材(5)との間をシールする端面シール(21)であって、
前記端面部(3b)に装着されるシール部材(22)を有し、
前記シール部材(22)は、前記作動部材(5)が前記端面部(3b)に当接して停止しまたはストッパにより停止したときに密封流体圧に押されて前記作動部材(5)に密接するシールリップ(22b)を有し、
前記シールリップ(22b)の先端部には、それぞれ前記作動部材(5)に密接する複数のシール突起(22e)(22f)が設けられていることを特徴とする端面シール。
【請求項2】
請求項1の端面シールにおいて、
シール部材(22)は、シールリップ(22b)とともに、シール装着部(3c)の内面に密接する外周側シールリップ(22d)を有することを特徴とする端面シール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−71108(P2006−71108A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306798(P2005−306798)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【分割の表示】特願平11−83246の分割
【原出願日】平成11年3月26日(1999.3.26)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】