説明

竹エキスを主成分とした消臭剤及びその製造方法

【課題】竹エキスに含有される有効性成分を長時間保持すると共に、還元力によって異臭成分を吸収して消臭効果を果す消臭剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 竹から煮沸法にて抽出した竹エキスにエチルアルコールを添加し、エチルアルコールの濃度が全体量の8〜9%になるように水を加えた竹エキス消臭剤であり、粉砕若しくは微細に割った竹を水に浸漬し、前記水を95℃以上100℃以下に加熱し、3時間〜5時間程度煮詰めて竹エキスを抽出し、前記竹エキスを計量容器に入れた後にエチルアルコールを添加し、エチルアルコールの濃度が全体の8〜9%と成るように水を加えて調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孟宗竹のような竹より抽出した竹エキスを主成分とした消臭剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の生活環境に対する清潔意識の高まりから、脱臭抗菌加工を施した様々な製品が開発されており、例えば靴の底敷等のように抗菌加工を施したシート状のフェルトにより、活性炭層を挟んで製造した脱臭抗菌材が知られている。
【0003】
しかしながら、通常の従来品は、主に脱臭作用を活性炭に依存したものが多く、何らかの手段で活性炭を抱持しなければならない為に加工手間がかかり、しかも、このように製造した脱臭抗菌材を、例えばマットや絨毯の裏地に貼着する等して脱臭抗菌作用を持たせようとした場合には、更に加工手間を要することになるという問題があった。
【0004】
また、活性炭には抗菌作用が期待できない為、活性炭を抱持する為の素材等を抗菌性を有する物質を用いて加工する必要があるが、従来では抗菌性を有する物質を安価に入手することが困難であった為、脱臭抗菌材の製造コストが高くつくという問題があった。
【0005】
従来の消臭剤の多くは、より強い芳香により、悪臭や異臭を感じさせなくする方法であったため、反って品物の臭いを損なっていた。そこで、芳香を発して悪臭や異臭を感じさせる間接的な消臭法ではなく、悪臭成分や異臭成分を直接的に吸収若しくは除去して消臭若しくは脱臭作用を有する消臭剤の出現が望まれている。
【0006】
一方、竹を水に浸して、95℃〜100℃に水を加熱して2時間45分〜3時間15分程度温度を保持して抽出することによって得られる竹エキスを主成分とした飲料や、患部に塗布するための塗布剤が市場に展開されている。竹エキスは、糖尿病、糖尿病による合併症、癌、肝機能障害、肩凝り、アトピー、アレルギー、花粉症、生活習慣病、更年期障害、疲労回復、精力回復、リュウマチ、神経痛、不眠症、便秘、下痢、体臭、シミ、ソバカス、しわ、ふけ、水虫の痒み、アカギレ、育毛促進、四十肩、五十肩、腱鞘炎といった疾病の改善や竹エキスに含まれる成長抑制ホルモンの一種であるアブシジン酸の還元力を利用した食品添加物(酸化防止剤)に好適に用いられている。しかも、人体に安全である。
【0007】
また、抽出した竹エキスを活用した脱臭剤が特開平8−12515号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1に開示された脱臭抗菌材は、竹屑を炭化しない程度の比較的低い温度で蒸し焼にして粘液状の竹エキスを抽出し、次いで、抽出した竹エキスを糊とともに水に溶いて素材に塗布するものである。
【特許文献1】特開平8−12515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1には竹エキスを活用した脱臭剤が開示されているが、竹エキスの成分の有効性及び成分の有効性を保つ方法については記載されていない。また、蒸し焼きにすると300℃以上となるため、発癌性物質であるベンゾピレンや有害なフェノール・アルコール類も除去仕切れずに残留するものが多く、安全性に問題がある。竹エキスが含有する還元力の強いアブシジン酸の成分の有効性を保つには、竹エキスを安定化させることが必要である。
【0009】
本発明は上述のような事情からなされたものであり、本発明の目的は、臭気の多くは酸化臭であることに着目し、竹エキスに含まれるアブシジン酸の還元効果を有効利用し、臭い成分そのものを吸収若しくは除去し、竹エキスの有効成分を保持するようにした竹エキスを主成分とした消臭剤及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は竹エキス消臭剤に関し、本発明の上記目的は、煮沸法により抽出した竹エキスにエチルアルコールを添加し、エチルアルコールの濃度が全体量の8%〜9%と成るように水を注いで調整することによって達成され、前記竹エキスにマジョラムエキスを添加することにより、或いは前記竹エキスに赤紫蘇エキスを添加することにより、より効果的に達成される。なお、マジョラムエキス及び赤紫蘇エキスの使用量は前記竹エキス消臭剤の全体量の2〜3%である。また、前記竹エキスの詳細な調整方法はWO2005/079824号公報又は特開2001−95521号公報に記載の方法による。
【0011】
また、本発明は竹エキス消臭剤の製造方法に関し、本発明の上記目的は、粉砕若しくは微細に割った竹を水に浸漬し、前記水を95℃以上100℃以下に加熱し、3時間〜5時間程度煮詰めて竹エキスを抽出し、前記竹エキスを計量容器に入れた後にエチルアルコールを添加し、エチルアルコールの濃度が全体の8%〜9%と成るように水を注ぎ込むことで達成される。
【0012】
本発明の上記目的は、前記竹エキスにマジョラムエキスを添加する工程を含むことにより、或いは前記竹エキスに赤紫蘇エキスを添加する工程を含むことにより、或いは前記竹エキスにエチルアルコールを添加する工程を含むことにより、効果的に達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、孟宗竹のような竹から抽出した竹エキスに、エチルアルコールを添加することによって、アブシジン酸、ジベレリン等の竹エキスのホルモンの有効性を長期にわたって保つことが可能である。また、マジョラムエキス若しくは赤紫蘇エキスを添加することによって、竹特有の香りを除去することが可能である。
【0014】
また、従来の強い芳香で悪臭を抑えるという方法ではなく、竹エキス消臭剤を用いることで臭い成分そのものに作用するので、臭い成分を直接的に除去すると共に、物質の香りや臭いを損なうことなく消臭が可能である。
【0015】
更に、竹エキスに含まれる還元力の強いアブシジン酸により、酸化により生ずる臭気を除去することが可能であり、竹エキス消臭剤は噴霧或いは塗布により実施可能である。
【0016】
これにより、本発明に係る竹エキス含有の消臭剤によれば、竹エキスの成分を効率良く利用し消臭が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明では、煮沸法により抽出した竹エキスを主成分とする消臭剤(例えば消臭液)を製造する。本発明の竹エキスを主成分とする消臭剤及びその製造方法について以下に説明する。
【0018】
粉砕又は微細に割った竹を水に浸漬させて、95℃以上100℃以下に加熱し、2時間45分から3時間15分前後煮詰めて竹を取り出すことにより、竹成分が抽出された竹エキスが得られる。また、純粋な竹エキスを用いる代わりに、竹エキスにマジョラムエキスを添加したエキス又は竹エキスに赤紫蘇エキスを添加して用いてもよい。マジョラムエキスは竹エキスの臭いを脱臭する効果がある。なお、マジョラムエキス及び他のハーブエキスの使用量は竹エキス消臭剤の全体量の2〜3%である。
【0019】
上述のようにして生成された竹エキスにエチルアルコールを添加し、更に水を加え、竹エキス消臭剤を得る工程では濃度調節が重要である。竹エキス消臭剤中のエチルアルコールの濃度を全体量の8〜9%に保つ必要がある。
【0020】
竹エキスにエチルアルコールを添加することによって、竹エキスに含有する成分の有効性を保持し、室温でも効力に変化を及ぼさない効果がある。
【0021】
竹エキスは、アブシジン酸やジベレリン、サイトカイニン、トリプトファン等のホルモンを含有する。中でもアブシジン酸は、強い還元作用がある。成長−老化−腐敗(発酵)という一連の流れは酸化作用と呼ばれ、この流れと逆の工程が還元作用である。即ち、アブシジン酸は老化した細胞を若返らせたり、腐敗した食材を蘇生させる効果がある。人が直接摂取すれば細胞が若返り、老化や腐敗よって生じた体臭や口臭に効果がある。また、獣肉類・魚類・甲殻類・貝類などの新鮮でないものに含まれているノイリンやトリメチルアミンに対し作用することによって、食材を蘇生させる効果がある。
【0022】
上記のように体臭や口臭を改善したり、食材を蘇生させるということは、アブシジン酸の還元作用を利用しているということと同時に、消臭効果をもたらしている。
【0023】
本発明の竹エキス消臭剤は、竹エキスと共に、エチルアルコールとマジョラムエキス又は他のハーブエキスを含有しているので、人体に影響なく最適な効果をもたらす。なお、マジョラムエキス及び赤紫蘇エキスの使用量は前記竹エキス消臭剤の全体量の2〜3%である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹より抽出した竹エキスにエチルアルコールを添加し、前記エチルアルコールの濃度が全体量の8〜9%であることを特徴とする竹エキス消臭剤。
【請求項2】
前記竹エキスにマジョラムエキスが全体量の2〜3%含まれている請求項1に記載の竹エキス消臭剤。
【請求項3】
前記竹エキスに赤紫蘇エキスが全体量の2〜3%添加されている請求項1に記載の竹エキス消臭剤。
【請求項4】
粉砕若しくは微細に割った竹を水に浸漬し、前記水を95℃以上100℃以下に加熱し、3時間〜5時間程度煮詰めて竹エキスを抽出し、前記抽出された竹エキスにエチルアルコールを添加し、前記エチルアルコールの濃度が全体の8〜9%となるように水を注いで調整することを特徴とする竹エキス消臭剤の製造方法。
【請求項5】
前記竹エキスに、マジョラムエキスが全体量の2〜3%となるように添加する請求項4に記載の竹エキス消臭剤の製造方法。
【請求項6】
前記竹エキスに、赤紫蘇エキスが全体量の2〜3%となるように添加する請求項4に記載の竹エキス消臭剤の製造方法。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかに記載された方法で調整された前記竹エキス消臭剤の中に含有されるアブシジン酸の効果により、臭気を除去することを特徴とする竹エキス消臭剤。
【請求項8】
前記アブシジン酸の還元力により、酸化臭を消すことで物質の臭い等を損なうことなく消臭する請求項7に記載の竹エキス消臭剤。


【公開番号】特開2008−169130(P2008−169130A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2222(P2007−2222)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(599139523)
【出願人】(507009755)
【Fターム(参考)】