説明

第1の農業機械と並行して田畑一面を走行するように操縦することができる第2の農業機械を操縦するための方法および装置

本発明は、第1の農業機械(10)に対して相対的に、田畑(34)一面で操縦することができる第2の農業機械(12)を操縦するための方法および装置に関し、
距離計(60)であって、農業機械(12)の1つの上に搭載され、水平領域にわたる隣接した対象物の方向および距離に関する測定値を記録するように動作することができる、距離計(60)と、
評価手段(68)であって、距離計(60)に接続され、操縦信号を出力するように設計され、その操縦信号は、距離計(60)の測定値に基づき、第1の機械(10)に対して相対的に第2の機械(12)を誘導する、評価手段(68)とを備える。
評価手段(68)は、距離計(60)によって時間的に連続して記録された、複数の測定値を参照して、記録された測定値から、距離計(60)を備えていない機械(10)に割り当てることができる測定値を選択し、そして選択された測定値を使用して、操縦信号を生成するように、動作することができることが提案されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の農業機械に対して相対的に、田畑一面で操縦することができる第2の農業機械を操縦するための方法および装置に関し、
距離計であって、機械の1つの上に搭載され、水平領域にわたる距離計に隣接した対象物の方向および距離に関する測定値を記録するように動作することができる、距離計と、
評価手段であって、距離計に接続され、操縦信号を出力するように設計され、その操縦信号は、距離計の測定値に基づき、第1の機械に対して相対的に第2の機械を誘導する、評価手段とを備える。
【背景技術】
【0002】
農業においては、複数の機械が田畑で作業しているとき、互いに独立に、かつ互いに対して並行に移動するという多くの状況がある。例としては、収穫した作物を自走式の収穫機械によって拾い上げ、処理して輸送車両に運ぶ収穫作業、より広い田畑をより迅速に収穫するために同時に複数の自走式収穫機械によって実施する収穫作業、または、たとえば土壌を耕作するとき、すきで掘り起こし、肥料を施して水を播くとき、または収穫作業の後直ちに土壌を耕作するとき、複数の同一または異なる機械が同時に田畑で作動し、土壌耕作用車両が収穫機械に隣接して移動する、他の作業が挙げられる。収穫した作物を運ぶとき、その収穫した作物が土の上に落ちて生じる望ましくない損失を避けるために、輸送車両は、自走式の収穫機械と並行して移動することができることが必要である。前記並行移動は、複数の機械が田畑で同時に作動している場合、田畑の小区域を2回作業する、またはその小区域を除外することを避けるのに好都合でもある。
【0003】
従来、並行移動は、機械の運転手によって、純粋に手動で行われていた。したがって、第2の機械の運転手は、第1の機械に並行するように前記機械を操縦するという仕事があった。第1の機械の運転手は、現在の耕作限界に沿って順々に前記機械を操縦する。第1の機械の運転手に課せられる負担を和らげるために、耕作限界または機械の前に位置する田畑と、具体的には機械的に、音響的に(超音波)または電磁波(具体的には光学的に)の手段によって連係し、第1の機械を自動的に操縦する操縦補助装置が知られている。
【0004】
操縦するという仕事から生じる第2の機械の運転手に課せられる負担を和らげるために、第1の機械から第2の機械への、少なくとも2つのタイプの操縦情報の転送が提案されている。まず第1には、速度および方向のデータの形態で操縦データを第1の機械から第2の機械に送ることができ(独国特許第100 64 860 A号および日本特許出願第04 101 206 A号参照)、それは、第2の機械への方向および速度の条件におけるいかなる誤差も、結局、時間とともに位置において大きな誤差になり、したがって、並行運転が必ずしも確保されるとは限らないという欠点がある。第2には、両方の機械に衛星に支援された位置記録システム、具体的にはGPS受信機を装備し、かつ2つの機械間でデータ転送接続を生成し、それによって、第1の機械が、第1の機械の各位置を第2の機械に知らせるという可能性がある(G.WallmannおよびH.H.Harmsによる「Assistenzsystem zur Uberladung landwirtschaftlicher Guter」、(Assistance system for transferring agricultural products)、Landtechnik 6/2002、ページ 352f、独国特許第100 64 862 A号、独国特許第102 24 939 A号、独国特許第10 2004 039 460 B号、および国際公開公報第99/18482 A号参照)。第2の機械の位置記録システムからの前記データおよび読み出し情報に基づき、次いで2つの絶対位置間の差を見つけ出すことによって、相対位置を計算し、それを使用して第2の機械のための操縦および/または速度の信号を生成する。両方の選択肢の欠点は、2つの機械間に追加のデータ転送を設ける必要があるということである。
【0005】
第2の機械が第1の機械に対して並行して移動することができるようにさせる、従来技術に記載された、さらなる選択肢は、第2の機械上にある距離計を使用することにあり、該距離計は、レーダ、超音波またはレーザ技術に基づき、第1の機械からの距離を測定し、第1の機械に対して並行するように第2の機械を自動的に操縦するような操縦信号を生成するために使用される(国際公開公報第99/18482 A号および独国特許第102 24 939 A号、それは、一般的なタイプを形成するものと見なされる)。ここでの問題は、前記距離計の作動を確保するために、前記距離計を、第1の機械に対して十分正確に方向付ける必要があるということである。第1の機械に特別のマークを付け、それと距離計が関係を持つようにするということが、独国特許第102 24 939 A号に提案されている。しかし、このタイプのマークを第1の機械すべてに施して、誘導用車両として使用することは、費用のかかることである。
【0006】
レーザスキャナによる車両の前に位置する領域の距離画像を記録し、たとえば駐車中の車両の背後から突然現れた歩行者を迅速に識別することができ、次いで、適切な場合、それに対して対処することができるように、前記領域中に存在する対象物の速度および位置を識別することが、自動車工学から知られている(独国特許第10 2004 018 813 A号)。なおその上に、前方にて進む自動車の速度に後続の自動車の速度を自動的に適合させるために、前方にて進む自動車からの距離、2つの自動車間の角度およびそれらの相対速度を突き止めるレーザスキャナを自動車に備えることが、提案されている(独国特許第199 32 642 A号)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が基づく目的は、距離計からの信号に基づき、第1の機械に対して並行するように操縦される第2の機械を確実に操縦するための装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、特許請求項1、17および18の教えによる本発明によって達成され、有利な形で解決法を生み出す特徴が、他の特許請求項で言及される。
装置が、第1の農業機械に対して相対的に、具体的にはそれに対して並行に、田畑一面を移動する第2の農業機械を操縦するように働く。距離計が機械の1つの上に搭載され、水平に広がる領域にわたって測定された値を出力し、前記測定値はそれぞれ、距離計に、したがって距離計を担う機械に隣接した記録された対象物からの方向および関連する距離に関する情報を含む、すなわち2次元の水平に広がる「距離画像(distance image)」を提供する。測定値は、評価手段に送られ、該評価手段は、それらを処理し、時間的に連続して記録された測定値を比較することによって、距離計を備えていない機械に属する測定値を識別する。たとえば、ある方向に属し、時間的に同一のままである、またはわずかにだけしか変化しない距離の値は、他の機械に割り当てることができる。
【0009】
したがって、記録された測定値を基準として、評価手段は、距離計を備えていない機械に割り当てられるべき測定値を自動的に識別する。前記選択された測定値だけを使用して、操縦信号を生成する。結果として、第2の機械は、常に、所望のように、具体的には並行して、第1の機械に隣接して移動する。
【0010】
これによって、前記距離計が実際に第1の機械を記録することを保証するために、これまで実施されてきた特別のマークを第1の機械に施す、距離計を調節するなどの処置に対する必要性を未然に防ぐ。また、本発明による装置は、振動および空中の収穫された作物の粒子などによる視界の妨害物に晒される起伏のある農業環境下で、十分確実に作動する。というのは、単一の距離だけよりむしろ複数の距離が、水平の領域にわたって記録され、したがって個々の使用に適さない距離値は、無視することができるからである。
【0011】
第2の機械上に距離計を搭載することが、適切である。しかし、他の代替案も考えられ、その代替案では、距離計が第1の機械上に搭載され、それからの測定値、またはその測定値から導き出される操縦信号が、たとえば無線によって、または光学的データ転送手段を介して、第2の機械に送信される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、評価手段は、距離計を備えた機械に隣接した異なる対象物を識別する。この関係では、独国特許第10 2004 018 813 A号を参照し、それは、参照によって本明細書にこれによって組み込まれる。普通の対象物を表す距離計からの測定値は、それに応じて識別され、この識別は、事実上方向に無関係である、または突然には変化しない、そして個別の対象物に割り当てられる距離に関して、容易に可能である。したがって、対象物は、距離計を備えた機械に対して相対的に移動するのかどうかということに応じて、種類に分けることができる。距離計を備えた機械に対して、たとえあるとしても、わずかに移動しているだけであり、かつ予想された距離の領域内に位置する対象物は、距離計を備えていない機械として、都合よく識別される、または分類される。さらに、各場合、距離計によって連続して記録された距離および方向の値に関し、距離計を備えた機械に対する対象物の横方向の片寄り、距離計を備えた農業機械に対する対象物のその前方方向における横方向の片寄り、および/または対象物の移動方向は、識別することができる。
【0013】
記録された距離値は、2つの機械間を横断する方向の距離に関する所望の値と比較することができ、その差は、操縦信号として第2の機械の操縦手段に(または記録手段などに、そして第2の機械の運転手は、それを基準として第2の機械を操縦することができる)送ることができる。
【0014】
さらに、第1の機械に対する第2の機械の移動方向(逆もまた同様)は、測定値を基準として決定することができる。前記移動方向は、第1の機械の方向のどのような変化にもより迅速に追従することができるように、第2の機械の操縦信号を生成するように、さらに働く。この目的のために、距離計を備えていない機械の記録された移動方向は、距離計を備えた機械の移動方向と比較することができ、操縦信号が、第2の機械の移動方向を、第1の機械の移動方向と少なくとも実際上同一になるように、または並行して移動していない場合、たとえば湾曲部のまわり、または突端部にある場合、所望の値に対応するように、生成される。2つの機械の移動方向の比較は、第2の機械が、第1の機械の前方にある場合は特に、好都合である。というのは、そのとき方向の逸脱を認めることは、第2の機械の操縦性能をより良好にすることが可能になるからである。
【0015】
さらに、本発明による装置は、第1の機械と第2の機械の間におけるそれらの前方方向での片寄りを記録するのにも適している。というのは、本装置は、たとえば距離計を備えていない機械の前縁および/または後縁の方向を突き止めることができるからである。前記測定値を所望の値と比較し、その差を基準として、2つの機械間におけるそれらの前方方向での片寄りをいつも少なくとも実際上同一のままにさせる、具体的には所望の値に対応させるように、第2の機械の速度規定手段を始動させることが、適切である。
【0016】
2つの機械間における横断方向での距離に関する所望の値は、定数として、メモリ手段から検索して読み出し可能とすることができる。また、メモリ手段から読み出し可能である所望の値は、操作員によって、またはメモリ手段への前記操作員による入力によって、変更可能とすることができる。好ましい実施形態では、操作員は、第2の機械に関する所望の位置に、第2の機械を持ってくることができ、入力手段に適切に入力することによって、現在の距離を所望の値として評価手段に採用させることができる。
【0017】
距離計を担う機械に関し前記距離計の方向付けは、異なる仕事に対して前記方向付けを適合させることができるように、可変性とすることができる。ある状況では、たとえば収穫された作物を運ぶとき、第2の機械が、第1の機械に対して前方に片寄って移動する、したがって距離計の高感度領域を斜めで後方に向ける必要がある(または、距離計が第1の機械上に搭載された場合、斜めで前方に向ける)。一方、他の状況では、2つの機械は、互いに正確に隣接して移動する、すなわち土壌の耕作中、それゆえ、距離計の高感度領域は、側面側に向ける必要がある。
【0018】
距離計は、垂直軸のまわりで適切な角度範囲にわたって掃引することによって、水平領域をスキャンすることができる、あるいは異なる角度に対して感受性がある、または適切な間隔で連続的に配置された、複数の個々の距離計によって、前記領域を同時に記録することができる。さらに、距離計は、3次元の距離画像をもたらすために、水平方向だけでなくさらに垂直方向でも領域を記録することができ、その3次元の距離画像を評価することによって、第2の機械からの距離をより正確に決定する、または前方方向に伸びる軸のまわりで第2の機械の起こり得る移動からどちらが分離されたのかを決定することが可能になることに留意すべきである。
【0019】
本発明の概念の文脈内で、異なる実施形態が、距離計に適する。たとえば、異なる方向に連続的に電磁波を放射し、反射波の伝播時間を基準として対象物の距離を記録するレーダセンサを使用する。同じように、音波を放射し、記録された反射波の伝播時間を基準として対象物の距離を識別する超音波センサを使用することができる。異なる水平方向についての距離値を得るために、垂直軸のまわりで角度がずれて置かれた複数の超音波センサを使用することができる、あるいは単一超音波センサを垂直軸のまわりで回転させる。さらに、レーザスキャナを距離計として使用することができ、前記レーザスキャナは、垂直軸のまわりで回転し、異なる方向に連続的に光を放射し、該光は、可視波長範囲内、またはその上(紫外線)またはその下(赤外線)の範囲にある。対象物の距離は、対象物から反射されて記録された光の伝播時間および/またはビーム拡大を基準として評価される。異なる方向にビームを発し、同時にまたは連続的に光を放射する、複数のレーザを使用することも可能であるはずである。
【0020】
評価手段は、距離計からの選択された測定値を基準として、隣接した対象物の衝突を避けるための信号を生成するように、作動させることができることがさらに提案されている。前記信号は、対象物を迂回するための操縦信号とすることができ、あるいはそれは、第2の機械の前進を自動的に停止させるための停止信号とする。
【0021】
距離計からの測定値を参照して、第1の農業機械の構成を識別し、そして第2の農業機械に対する第1の農業機械の可能な、および/または好ましい方向および距離の範囲に関して、そこから結論を引き出すために、評価手段を使用することも可能である。たとえば、第1の機械またはその収穫用付属品のサイズ、具体的には幅を基準として、維持すべき距離に関して結論を引き出すことができる。
【0022】
本発明による装置は、農業機械のいかなる組み合わせにも適している。たとえば、第1の機械が収穫用機械であり、第2の機械が、運搬に適し、第1の機械によって収穫された作物を輸送するのに適した輸送車両である、あるいは第2の機械が輸送車両であり、第1の機械が、種を運ぶための播種用機械である、またはそれをけん引する。他の実施形態では、2つの機械は、たとえばずれて移動する、または互いに対して正確に隣接して移動する同一の収穫用機械である、あるいは、ずれて移動する、または互いに対して正確に隣接して移動する、土壌を耕作する、または、すき返して、肥料を施す、または水を撒くための機械である。2つの機械は、異なることもある。たとえば、1つの土壌耕作用機械が、収穫用機械に対して横方向にずれて、かつそれに対して正確に隣接して、またはその前を、またはその後を移動する場合である。
【0023】
本発明の例示の実施形態は、図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】チョッパ型飼料収穫機とコンテナを有するトレイラを備えたトラクタからなる、第1および第2の農業機械の組み合わせを示す側面図である。
【図2】図1の組み合わせを示す上面図である。
【図3】第2の機械の自動操縦手段を例示する概略ブロック図である。
【図4】距離計から出力され、図1および2に示す状況に当てはまる、2次元の距離画像の例を示す図である。
【図5】評価手段がそれに従って作動するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に例示された2つの農業機械の組み合わせは、第1の農業機械を構成する自走式チョッパ型飼料収穫機10と、第2の農業機械を構成する自走式トラクタ12と、けん引棒14を介してトラクタ12によってけん引され、コンテナ18を備えるトレイラ16とを含む。
【0026】
自走式チョッパ型飼料収穫機10は、駆動前輪22および操縦できる後輪24によって運ばれるフレーム20上に構築される。チョッパ型飼料収穫機10は、トウモロコシ刈り取り付属品の形態である収穫用付属品28が見える運転室26から操作され、前記収穫用付属品は、チョッパ型飼料収穫機10の前方側にある引き込みチャネル30に固定されている。収穫用付属品28によって田畑34から拾い上げられた収穫作物は、引き込みチャネル30中に配置され、最初の圧縮ローラを有する引き込みコンベアを介して、飼料細断シリンダ36に送られ、その飼料細断シリンダは、前記収穫作物を小片に細断し、それを送風機38に送る。作物は、射出口の形態の排出手段40を介して、チョッパ型飼料収穫機10を出て並んで移動するトレイラ16に向かい、その射出口は、ほぼ垂直な軸のまわりを回転可能で、傾きが調節可能である。2つの穀物処理機ローラを有する粉砕再生装置42が、飼料細断シリンダ36と送風機38の間に延在する。前述のチョッパ型飼料収穫機10および収穫用付属品28の駆動可能なアセンブリは、燃焼機関44によって駆動される。
【0027】
トラクタ12およびトレイラ16は、従来の構成のものであり、したがってさらに述べる必要はない。
図2では、2つの機械10および12の組み合わせが上面図で再現されている。チョッパ型飼料収穫機10が、収穫される作物の縁46に沿って移動し、該縁は、田畑34の収穫された領域48と、まだ作物が立っておりトウモロコシの植物50が占めている、田畑34の作物領域52の間の境界を構成することが理解できる。チョッパ型飼料収穫機10の運転手は、収穫される作物の縁46に沿って該飼料収穫機を手動で操縦するか、またはチョッパ型飼料収穫機10は、行センサによって収穫される作物の縁46に沿って自動的に操縦され、その行センサは、収穫用付属品の分離用先端上に搭載される2つのプローブ54を備え、行の形で立っている植物50に沿ってチョッパ型飼料収穫機10を誘導する。
【0028】
操縦作業によって課されるトラクタ12の運転手に対する負担を和らげるために、距離計60が、トラクタ12の操縦可能な前輪56の上にあるフェンダ58上に配置され、前記距離計は、例示された実施形態では、レーザスキャナである。距離計は、パルス状レーザ62であって、可視波長範囲内で、またはその上の範囲で、またはその下の範囲で作動し、そこから合焦させた形態で水平方向に光を放射する、パルス状レーザ62と、光センサ64であって、レーザ62の光に対して感受性があり、レーザ62に起因し、トラクタ12に隣接して位置する場合がある対象物から反射された光の伝播時間を基準として(および/または、対象物から離れた距離に依存する、光の角度拡大を基準として)、距離計60からの対象物のそれぞれの距離を突き止める、光センサ64とを備える。レーザ62と、好ましくは、しかし必ずしもそうでないが光センサ64は、一定の、十分短い時間内で角度範囲66を徐々にスキャンするために、モータ(図示せず)によって、垂直軸のまわりを連続的に回転させる。距離計60は、立っている植物50を越えて見える高さで搭載される。地上の凸凹の上を進むとき、誤った測定を避けるために、距離計60を自動的に水平に方向付けることができる。さらに、距離計60は、たとえば植物50の高さに適合させるために、高さを調節可能とすることができ(各場合、手動で、またはモータによって)、および/または、全体にわたって掃引される角度範囲66の位置をトラクタ12の個々の操作作業に対して適合させるために、垂直軸のまわりにおいて全体で回転可能とすることができる。たとえば2つのトラクタが、土壌の耕作中、または移動するとき、互いに隣接して進む場合、距離計60は、角度範囲66の中心がトラクタ12の前方方向に対して横断して伸びるように、前方に向けて手動で、またはモータによって回転させる。距離計60は、たとえば土壌を耕作するとき、または刈り入れする、または収穫するとき、田畑34の処理限度を記録するために、さらに前方に向けてさえ回転させることができる。
【0029】
図3に図式的に例示するように、距離計60の出力は、評価手段68に接続され、次いでそれは、操縦手段70に、およびトラクタ12の速度規定手段に結合される。
図4に、図2による状況下で距離計60から評価手段に転送されたときの代表的な2次元の距離画像を再現する。垂直軸のまわりでの距離計の角度が、X軸上にプロットされ、光の伝播時間がY軸上にプロットされている。したがって、評価手段68は、距離計から測定値を得、それは、方向(垂直軸まわりの角度)および光の関連する伝播時間(または伝播時間と光速の半分を乗算して得られた、対象物の関連する距離)に関する情報を含む。例示された場合では、まず第1に、比較的長い伝播時間は、時計回りに、すなわち図2の上面図において左側から右側に、角度を大きくしながら予想すべきである。というのは、対象物が存在しないからである。伝播時間の最初の低下は、標識74によって起こされ、その後伝播時間は再び増加し、そして連続的に減少し、そのとき距離計60がチョッパ型飼料収穫機10を記録する。収穫機の後部の縁で、伝播時間は再び増加する。評価手段68では、時間的に連続して記録された、複数の距離画像を使用して、チョッパ型飼料収穫機10に割り当てることができる測定値を識別し、かつ前記測定値を使用して操縦手段70のための操縦信号および速度規定手段72のための速度規定信号を生成する。次の距離画像では、標識74に割り当てることができる、伝播時間の低下だけが、右側に移動することになり、一方チョッパ型飼料収穫機10に割り当てることができる、方向および距離に関する測定値は、2つの機械10および12が、同じ速度で互いに対して並行に移動している限り、ほぼ同じままである。
【0030】
この事実は、図5に例示され、これによって評価手段68が作動するフロー図を参照すると分かるように、評価手段68において使用される。開始(ステップ100)後、まず第1に(ステップ102)、第1の距離画像が、図4に例として例示するように取られる。次いで、さらなるステップ(104)が続き、そこでは、さらなる距離画像が取られる。次のステップ(106)では、最後に取られた距離画像と以前に取られた距離画像が、トラクタ12に隣接する対象物を識別するために、比較される。この場合、たとえば、標識74が、トラクタ12に対して相対的に、具体的にはトラクタ12の現在の前進速度で移動する固定対象物として識別され、その速度は、さらなる情報として評価手段68に送ることができる。チョッパ型飼料収穫機10は、トラクタ12に対して、たとえあったとしても、比較的わずかにだけ移動する対象物として識別される。
【0031】
ステップ108では、次いで、評価手段68は、チョッパ型飼料収穫機10に割り当てられた距離値を基準として、操縦手段70のための操縦信号を生成し、次いで該操縦信号は、トラクタ56の操縦可能な前輪を操縦する。この目的のために、評価手段68は、前記距離値を、メモリ手段76から検索して読み出された所望値と比較し、そして所望値と、距離値、たとえば、チョッパ型飼料収穫機10、トラクタ12およびトレイラ16の間のもっとも小さい記録された距離値との間の差を基準として操縦信号を生成する。前記距離値は、特定の角度に関して修正することができる。その角度では、チョッパ型飼料収穫機10に対して前方方向へのトラクタ12の片寄りによって引き起こされた配置による効果を補償するように、また、トラクタ12またはトレイラ16と、チョッパ型飼料収穫機10の間における、前方方向に対して横方向に測定された、もっとも短い距離を考慮するためだけに、前記距離値が記録される。所望値は、メモリ手段76中でしっかりと指定することができる、あるいはトラクタ12上の操作員の作業台に配置された操作員入力手段78によって、入力する、および/または変更することができる。また、操作員入力手段78のキーなどは、トラクタ12またはトレイラ16と、チョッパ型飼料収穫機10の間の現在の距離を所望値として採用するために、押し下げることができる。
【0032】
ステップ108では、第1の機械10の前方方向も記録し、使用して、操縦信号を修正することができ、その修正は、時間的に連続して続く2つの距離画像を比較することによって行われる。その結果、第1の機械10が、第2の機械12と同じ方向に、まだ移動しているのかどうかを予測することができ、適切な場合、第1の機械10の方向の起こり得る変化の後、2つの機械10と12の間の横方向の差を一定に保つように試みられるだけの場合より速く、第2の機械12が第1の機械10に追従するという効果を得るために、操縦信号を修正することができる。
【0033】
さらに、ステップ110では、評価手段68は、速度規定手段72のための速度信号を生成し、その速度信号は、トラクタ12に対する前方方向におけるチョッパ型飼料収穫機10の測定された位置に基づき、前記距離が所望値に対応するように選択される。所望値は、記憶手段76中でしっかりと指定することができる、あるいはトラクタ12上の操作員の作業台に配置された操作員入力手段78によって、入力する、および/または変更することができる。また、操作員入力手段78のキーなどは、トラクタ12またはトレイラ16と、チョッパ型飼料収穫機10の間の現在の距離を所望値として採用するために、押し下げることができる。
【0034】
ステップ110には、その後再びステップ104が続く。次のステップ106では、次いで、2つのもっとも最近の距離画像が、再び比較される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の農業機械(10)に対して相対的に、田畑(34)一面で操縦することができる第2の農業機械(12)を操縦するための装置であって、
距離計(60)であって、前記機械(12)の1つの上に搭載され、水平領域にわたる前記距離計(60)に隣接した対象物の方向および距離に関する測定値を記録するように動作することができる、距離計(60)と、
評価手段(68)であって、前記距離計(60)に接続され、操縦信号を出力するように設計され、該操縦信号は、前記距離計(60)の前記測定値に基づき、前記第1の機械(10)に対して相対的に前記第2の機械(12)を誘導する、評価手段(68)とを備え、
前記評価手段(68)は、前記距離計(60)によって時間的に連続して記録された複数の測定値を参照して、前記記録された測定値から、各場合において、前記距離計(60)を備えていない前記機械(10)に割り当てることができる測定値を選択し、そして前記選択された測定値を使用して、前記操縦信号を生成するように、動作することができることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記距離計(60)は、前記第2の機械(12)上に搭載されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記評価手段(68)は、前記測定値を基準として、前記距離計(60)に隣接した異なる対象物を識別するように、動作することができることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記評価手段(68)は、前記距離計(60)を基準として対象物および/またはその横方向の片寄り、および/または前方方向に関してその片寄り、および/または、前記距離計(60)によって各場合連続的に記録される、距離および方向についての値を参照して、前記距離計(60)を基準として、その移動方向を識別するように、動作することができることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記評価手段(68)は、前記対象物を、前記距離計(60)を基準としてそれに対して移動する対象物と、前記距離計(60)を基準としてそれに対して静止している、またはわずかしか移動しない対象物とに分けるように、動作することができることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
評価手段(68)は、前記距離計(60)を基準として、たとえあったとしても、わずかにしか移動しない、および/または前記距離計(60)を備えていない前記機械(10)として予想される距離範囲内に位置する対象物を分類するように、動作することができることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記評価手段(68)は、前記第1の機械(10)と前記第2の機械(12)の間の片寄りが、横方向で少なくとも実際上同じままになる、または所望の値に対応するように、および/または前記第2の機械(12)の移動方向が、前記第1の機械(10)と少なくとも実際上同一である、または所望値と対応する効果を有する前記操縦信号を生成するようになっていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記評価手段(68)は、前記第2の機械(12)の速度規定手段(72)に供給することができ、前記第1の機械(10)と前記第2の機械(12)の間におけるそれらの前方方向の片寄りが、少なくとも実際上同じままである、または所望の値に対応するという効果を有する速度信号を生成するようになっていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記評価手段(68)は、距離値として所望の値を備えることができ、該所望の値は、定数として、または、操作員が入力する、および/または変更することができる値としてメモリ手段から検索して読み出すことができ、および/または前記距離計(60)によって記録された個別の現在の距離値の確認によって選択することができることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記距離計(60)の方向付けを変更することができることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記距離計(60)は、領域をスキャンする、または異なる方向で感受性を有する、複数の距離計を備えることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記距離計(60)は、レーザスキャナを備えることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記評価手段(68)は、前記第2の機械の操縦手段(70)に接続されることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記評価手段(68)は、前記第1の機械(10)に対して並行して走行するように、前記第2の機械(12)を操縦するように、動作することができることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記評価手段(68)は、前記距離計(60)からの前記選択された測定値を参照して、隣接した対象物との衝突を避けるための信号を生成するように、動作することができることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記評価手段(68)は、前記測定値を参照して前記第1の農業機械(10)の構成を識別し、前記第2の農業機械(12)からの前記第1の農業機械(10)の方向および距離の可能な、および/または好ましい領域に関し、それから結論を引き出すように、動作することができることを特徴とする、請求項2乃至15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
第1の農業機械(10)、第2の農業機械(12)および請求項1乃至16のいずれか1項に記載の装置の組み合わせ。
【請求項18】
第1の農業機械(10)に対して相対的に、田畑一面で操縦される第2の農業機械(12)を操縦するための方法であって、
距離計(60)によって、水平領域にわたる隣接した対象物の方向および距離に関する測定値を記録するステップと、
前記第1の機械(12)に対して相対的に前記第2の機械(10)を誘導する、前記距離計(60)からの前記測定値に基づく操縦信号を出力するステップと、
前記操縦信号を基準として前記第2の機械(12)を操縦するステップとを含み、
前記距離計(60)を備えていない前記機械(10)に割り当てることができる測定値は、前記距離計(60)によって時間的に連続して記録された、複数の測定値を参照して、記録された測定値のすべてから選択され、前記選択された測定値だけが、前記操縦信号を生成するために使用されることを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−517400(P2011−517400A)
【公表日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500144(P2011−500144)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052387
【国際公開番号】WO2009/115404
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(591005165)ディーア・アンド・カンパニー (109)
【氏名又は名称原語表記】DEERE AND COMPANY
【Fターム(参考)】