第1の部材の第1の部分を軟化するための予熱工程を用いて第1の金属部品および第2の金属部品を固定するための磁気パルス溶接作業を行う方法
第1の金属部品(10)および第2の金属部品(20)を互いに固定するために磁気パルス溶接作業を行う方法では、第1の部分(11)に隣接する第1の金属部品の第2の部分について実質的にその温度を高め軟化させることなく、初めに第1の金属部品の第1の部分(11)の温度を高めてこれを軟化することが必要である。次いで、第1の金属部品(10)の第1の部分(11)が空間が介在する第2の金属部品(20)の一部分に対して軸方向に重なり合う形で配置される。インダクタ(40)が第1の金属部品(20)および第2の金属部品(20)の軸方向に重なり合う部分に対して設けられる。インダクタ(40)が通電されて、第1の金属部品(10)の第1の部分(11)を第2の金属部品(20)の上記部分と係合状態に変形させ、それによって第1の金属部品(10)および第2の金属部品(20)を互いに固定するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、2つの金属部品(metallic component)を互いに固定するための磁気パルス溶接技術に関する。詳細には、本発明は、上記金属部品の一方または両方に生じることがある望ましくない歪みの量を最小限に抑えるような磁気パルス溶接作業を行うための改善された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在使用されている大多数の陸上車両には、ドライブトレイン系が、車両の1つまたは複数の車輪を回転可能に駆動するようにエンジン/変速機アセンブリの出力軸から車軸アセンブリの入力軸まで回転動力を伝達するために設けられている。これを達成するために、通常の車両のドライブトレイン・アセンブリは、その両端に固定される第1の端部取付具(end fitting)および第2の端部取付具を有する円筒形の駆動軸管を含む。第1の端部取付具は第1の自在継手の一部分を形成し、それにより、これら2つの軸の回転軸間の限られた量の角度ずれ(angular misalignment)を許容しながらエンジン/変速機アセンブリの出力軸から駆動軸管の第1の端部へ回転可能な駆動連結が行われる。同様に、第2の端部取付具は第2の自在継手の一部分を形成し、それにより、これら2つの軸の回転軸間の限られた量の角度ずれを許容しながら駆動軸管の第2の端部から車軸アセンブリの入力軸へ回転可能な駆動連結が行われる。
【0003】
この一般的なタイプの車両の駆動軸アセンブリでは、通常、駆動軸管の両端に第1の端部取付具および第2の端部取付具を永久的に固定することが必要である。伝統的に、従来の溶接技術が駆動軸管の両端に第1の端部取付具および第2の端部取付具を永久的に接合するのに用いられてきた。よく知られているように、従来の溶接技術は2つの金属部材の局所的な部位(localized area)に熱を加える必要があり、それにより2つの金属部材の材質が合着(coalescence)することになる。この種の従来の溶接技術は、圧力を加えて行うことがありまたは行わないこともあり、充填材の使用を含むことがありまたは含まないこともある。従来の溶接技術は過去において十分役目を果たしてきたが、その使用にはいくつかの欠点がある。第1に、上述の通り、従来の溶接技術には2つの金属部材の局所的な部位に熱を加える必要がある。この加熱により望ましくない歪みおよび欠点が金属部品に持ち込まれることがある。第2に、従来の溶接技術は、類似の金属材料から形成される部品を接合するには十分適しているが、非類似の金属材料から形成される部品を接合する際の使用にこれを適合させることは幾分より困難であることが分かってきた。第3に、従来の溶接技術はゲージ厚さが異なる部品の接合には容易に適合しない。車両の駆動軸アセンブリの生産は通常大量製法(high volume process)であるので、従来の溶接技術の欠点を回避する形でこれらの金属部品を互いに永久的に接合するための改善された方法を提供することが望ましいであろう。
【0004】
磁気パルス溶接は、駆動軸管の両端に第1の端部取付具および第2の端部取付具を固定するように提案された代替製法である。これを達成するために、端部を有する駆動軸管およびネック部分を有する端部取付具が初めに設けられる。この端部取付具は一般的には、管ヨークまたは管シャフトとして具体化される。このヨークは第1の軸方向にそこから延在する一対の対向するアームを有する。一対の整列する開口がヨーク・アームを貫いて形成され、その中に自在継手クロスの従来の軸受カップを受け入れるように構成される。概ね中空のネック部分が本体部分から第2の軸方向に軸方向延在する。磁気パルス溶接作業を行うために、駆動軸管の端部が端部取付具のネック部分の周りに同軸状に取り付けられる。駆動軸管およびヨークがこのように組み立てられると、環状の隙間または空間が駆動軸管の端部の内面とヨークのネック部分の外面との間に画定される。次いで、電気インダクタが駆動軸管とヨークとの組立体の周りに配置される。このインダクタは通電されて駆動軸管の端部の周りに広大で瞬間の電磁場を発生する。この電磁場は管端部の外面に非常に大きな力を働かせて、それによりこれはヨークのネック部分上へ高速で内方に撓み込まされる。結果として管端部の内面がヨークのネック部分の外面に衝突すると、その間に溶接部および分子結合が生じる。
【0005】
磁気パルス溶接作業の間中、管端部がヨークのネック部分上へ高速で衝突すると、ある場合には、ヨーク・アームが互いに対して永久的に偏向し得ることが分かってきた。例えば管の端部がヨークのネック部分で撓み込まされる場合、このネック部分が内方へ変形すると、ヨークの他の端部のヨーク・アームが互いから外方に開離することがある。また、この衝突の結果としてヨークを介して伝搬する衝撃波がヨーク・アームを貫いて形成される開口の寸法を僅かに大きくすることがある。これらの事象は、ヨークがアルミニウムの合金など、比較的軽量の材料から形成される場合に特に起こりそうである。この種のヨークの偏向は、それを通して形成されるそれぞれの開口の芯出し不良(misalignment)を生じ得るので望ましくない。ヨーク・アームを貫いて形成される開口が正確に位置合わせされていない場合、その上に自在継手の残る部分を適切に配置し、回転に対して自在継手を平衡させることは比較的困難である場合がある。
【0006】
管シャフトは通常、管受け座(tube seat)、軸受もしくはブーツ部分、途中から細まった部分、およびスプライン端部分を有する。高応力のために、管シャフトを生産するための要求を満足する最良の実用的な材料は中炭素鋼(middle carbonic steel)である。また駆動軸管が鋼材から形成される場合、通常、従来のアーク溶接工程がそれに管シャフトを固定するために使用される。しかし、車両の重量を低減し、円滑な作業を行い、および燃料経済性を改善するために、アルミニウムなど、より軽量の材料から駆動軸アセンブリの部品のいくつかを作ることが好ましい場合がある。多くの場合、ヨークおよび駆動軸管は、6061−T6など、比較的強力なアルミニウム合金から形成することができ、ならびに既知のアーク溶接法を用いることによって互いにうまく固定することができる。しかし、アルミニウム駆動軸管および鋼管シャフトについて高品質の溶接接合を提供するためにこの方法を用いることは幾分困難であることが分かってきた。なぜなら脆性金属間構造(brittle intermetallic structure)ができることがあり、その存在がその間で接合箇所の強度を低減することがあるからである。アルミニウム駆動軸管と鋼製端部取付具との間の高品質の接合箇所を実現するという問題を解決するために、他の技術が成功の度合いは変化しながら試験されてきた。今日では、磁気パルス溶接技術および摩擦溶接技術(これらは共に冷間溶接処理[cold welding process]である)が最良の結果を示すように見える。
【0007】
摩擦溶接技術は、特に優れた製造機械の有用性という分野において、より古くからよりよく開発されている。しかし、摩擦溶接法は、90mmより大きい管直径および3mmより小さい壁厚を有する鋼−アルミニウム駆動軸アセンブリを溶接するために使用する場合いくつかの実用上の制限を有するように思われる。これと対照的に、磁気パルス溶接はより新しい技術であり、特に製造機械に関して幾分より少しか開発されていないが、駆動軸管の直径が50mmから150mmであり壁厚が1.5mmから3mmの場合にはよりよい結果を与えるように見える。したがって磁気パルス溶接は、鋼−アルミニウム駆動軸アセンブリを高品質に溶接するという問題を解決するための将来有望な技術である。
【0008】
磁気パルス溶接作業のプロセスにおける衝撃波および管受け座の変形は、管シャフトのスプライン端部にいかなる重大な歪みをも生じない。しかし、製造上の実際的な限界により、ならびに被溶接部品自体の、およびインダクタ軸に対する被溶接部品(to−be−welded parts)の、理想的な同心度を与えることが不可能なために、溶接部位における駆動軸が許容できる限度を超えて曲げられることになる。磁気パルス溶接のプロセスで使用される磁気パルスが強力であればあるほど、ますます大きな歪みが溶接後に駆動軸に生じ得ることが分かってきた。この曲がりおよび上述のヨークの歪みの結果として、駆動軸の大きい振れが生じることになり、これは不平衡が様々な作業速度に影響される様子についての重要なパラメータである。広範な速度範囲にわたって、特に高速度においてこのパラメータは動的バランスの重要なたった1つの要因である。回転速度の2乗に比例する遠心力が平衡していないとたわみ(deflection)、応力(stress)、および振動を引き起こし、それにより部品の故障、ならびに車両の乗車人(occupant)に対して不快な騒音および乗り心地(ride feel)を生じることがある。
発明の要約
【0009】
したがって、駆動軸管が磁気パルス溶接作業によってそれに固定される場合に、ヨークの歪みまたは管シャフト溶接部位の曲がりということになり得る駆動軸の望ましくない振れ量を最小限に抑える磁気パルス溶接作業を行う改善された方法を提供することが望ましいであろう。
【0010】
本発明は、第1の金属部品および第2の金属部品を互いに固定するための磁気パルス溶接作業を行う改善された方法に関する。初めに、第1の部分に隣接する第1の金属部品の第2の部分について実質的にその温度を高め軟化させることなく、第1の金属部品の第1の部分についてその温度を高めて軟化させる。次いで、前記第1の金属部品の前記第1の部分が、空間が介在する前記第2の金属部品の一部分に対して軸方向に重なり合う形で配置される。インダクタが前記第1の金属部品および第2の金属部品の軸方向に重なり合う部分に対して設けられる。このインダクタが通電されて、前記第1の金属部品の前記第1の部分を前記第2の金属部品の前記部分と係合状態に変形させて前記第1の金属部品および前記第2の金属部品を互いに固定する。
【0011】
本発明の様々な目的および利点は、好ましい実施形態についての次の詳細な説明から、添付図面を考慮に入れて読むと当業者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次いで図面を参照して図1および図2に、全体を符号10で表す駆動軸管、全体を符号20で表す管ヨークなどの第1の端部取付具、および全体を符号30で表す管シャフトなどの第2の端部取付具を示す。本発明は、第1の端部取付具20および第2の端部取付具30を駆動軸管10に固定して少なくとも駆動軸アセンブリの一部分を形成するような関係において説明され図示されているが、本発明の方法は、任意の所望の目的および用途について任意の2つの金属部品を互いに固定するために使用できることが理解されよう。
【0013】
図示した駆動軸管10は概ね中空で形状が円筒形であり、例えば、6061−T6アルミニウム合金など、任意の所望の金属材料によって形成できる。駆動軸管10は、実質的に一定の外径を画定する外面、および実質的に一定の内径を画定する内面を有することが好ましい。したがって図示した駆動軸管10は、そのようなことは要求されないが、実質的に円筒形で一様な壁厚を有する。駆動軸管10は、端面12のところで終端する第1の端部11、および端面14のところで終端する第2の端部13を有する。
【0014】
図示した第1の端部取付具20は、例えば鋼もしくはアルミニウム合金など、駆動軸管10を形成するのに使用される金属材料と同一または異なることができる金属材料から形成される管ヨークである。図示した第1の端部取付具20は、第1の軸方向にそこから延在する対向する一対のヨーク・アーム22を有する本体部分21を含む。一対の整列する開口23がヨーク・アーム22を貫いて形成され、その中に自在継手クロスの従来の軸受カップ(図示せず)を受け入れるように構成される。必要であれば、環状の溝23a(図2を参照されたい)を開口23のそれぞれの内側に形成して、それぞれのスナップリング(図示せず)を使って知られた方法でその中に軸受カップの保持を容易にすることができる。概ね中空のネック部分24が、ヨーク・アーム22によって画定される第1の軸方向に対向して本体部分21から第2の軸方向に延在する。ネック部分24には環状肩部24aおよび環状ステップ24bが設けられ、その案内面(pilot surface)には約5度から約9度など、小さな角度でテーパを付けることが好ましい。
【0015】
ネック部分24の構造は、2005年5月17日に発行され、本発明の譲受人が所有の米国特許第6892929号に詳細に記載されている。同出願の開示は本明細書で援用される。必要であれば、図2の破線で示すような環状の溝25または類似の凹所部位を第1の端部取付具20の内部に形成することができる。この内部の溝25の目的もまた、米国特許第6892929号に詳細に説明されている。
【0016】
図示した第2の端部取付具30は、通常炭素鋼から形成される管シャフトである。図示した第2の端部取付具30は全体を符号31で示す本体部分を含み、この本体部分は3つの部位、すなわち、軸受もしくはブーツ受け座部分32、小さくなった直径部分33、およびスプライン端部34を有する。概ね中空のネック部分35は上述の米国特許第6892929号に詳細に記載されているのと同じ構造を有する。具体的にいえば、ネック部分35には環状肩部35aおよび環状ステップ34bが設けられている。
【0017】
図2はまた、本発明の方法により2つの部品を互いに固定するための磁気パルス溶接作業を行う以前に駆動軸管10および第1の端部取付具20のアセンブリの周りに配置されるインダクタ40を示す。駆動軸管10および第1の端部取付具20がこのように組み立てられると、環状の隙間または空間26が駆動軸管10の端部11の内面と管ヨーク20のネック部分24の外面との間に画定される。インダクタ40は、Yablochnikovの米国特許第4129846号に示され記載されているような任意の所望の構造を有して形成することができる。同特許の開示は本明細書で援用される。インダクタ40は、全体を符号50で示す、図式的に示したパルス電源に接続される。図2に示すように、インダクタ40の第1の導線は第1の電気導体51に接続され、同時にインダクタ40の第2の導線は、放電スイッチ52を介して第2の電気導体53に接続される。複数の高電圧コンデンサ54または類似のエネルギー貯蔵デバイスが、第1の電気導体51と第2の電気導体53との間に接続される。また、第1の電気導体51は電気エネルギー源55に接続され、同時に第2の電気導体53は、充電スイッチ56を介して電気エネルギー源55に接続される。制御回路の構成および作動は、Yablochnikovの米国特許第5981921号に詳細に記載されており、同特許の開示もまた本明細書で援用される。
【0018】
磁気パルス溶接作業を行うインダクタ40の作動は当業界でよく知られており、詳細な説明のために先に参照した米国特許第5981921号が再び参照される。しかし簡単にいえば、インダクタ40は初めに放電スイッチ52を開き、それから充電スイッチ56を閉じることによって作動する。これにより電気エネルギーを電気エネルギー源55からコンデンサ54のそれぞれに伝達できる。コンデンサ54が所定の電圧まで充電されると、充電スイッチ56が開かれる。その後、インダクタ40を作動するように要求されると放電スイッチ52が閉じられる。結果として、高エネルギーの電流パルスがコンデンサ54からインダクタ40を通して流れ、それによって駆動軸管10の端部11の周りに巨大な瞬時の電磁場が発生する。この電磁場は駆動軸管10の端部11の外面に非常に大きな力を働かせて、それによりこれはヨーク20のネック部分24(または先に論じたように、管シャフト30のネック部分35)上に高速で内側に撓み込まされる。
【0019】
結果として駆動軸管10の端部11の内面がヨーク20のネック部分24の外面に衝突すると、それらの共通の界面を横切る2つの金属の原子間での電子共有(electron sharing)の結果として溶接部または分子結合がその間に生じる。溶接部位のサイズおよび位置は、環状の隙間26のサイズ、駆動軸管10およびヨーク20を形成するのに使用される金属材料のサイズ、形状および性質、インダクタ40のサイズおよび形状、駆動軸管10の端部11とヨーク20のネック部分24との間の衝突角度および衝突速度、ならびにその他の要因など、様々な要因によって変化する。
【0020】
先に論じたように、磁気パルス溶接作業の間に駆動軸管10の端部11が第1の端部取付具20のネック部分24上に高速で衝突すると、少なくともある場合には、部品の1つまたは両方の形状に望ましくない歪みが生じ得ることが分かってきた。この種の歪みの大きさは、2つの部品間の衝突速度の増加と共に大きくなることが分かってきた。しかし、駆動軸管10を形成するのに使用される材料の強度が大きくなるにつれて、それらの共通の界面を横切る2つの金属の原子結合を与えるためには、従来、より高い衝突速度が必要であった。このようなより高い衝突速度を与えるために、従来からパルス電源50によって発生される磁場エネルギー・パルスの大きさを大きくする必要があり、それによりパルス電源回路50の素子の摩滅を加速することがある。したがって、パルス電源50によって発生される磁場エネルギー・パルスの大きさがより小さいものを用いて高品質の溶接接合を提供するように磁気パルス溶接プロセスを改善することが望ましいであろう。
【0021】
パルス電源50によって発生される磁場エネルギー・パルスの大きさを小さくする1つの既知の方法は、変形される部品材料の材料降伏強さを小さくすることに基づくものである。これを達成するために、変形される駆動軸管10の部分に逆行熱処理(retrogressive heat treatment)を施すことが知られている。典型的な逆行熱処理サイクルは、初めに駆動軸管10の特定部位を約1000°Fまで約10〜15秒の間誘導加熱し、次いで加熱された駆動軸管10を室温の水で急冷するステップを含む。逆行熱処理が行われた後には、6061−T6アルミニウム合金の降伏強さは典型的に、40ksiから約10ksiに低下し、それにより磁気パルス溶接プロセスを行うのに必要な磁場エネルギー・パルスの大きさを著しく小さくすることができる。
【0022】
しかし、磁気パルス溶接作業を行うような関係においての逆行熱処理技術の欠点の1つは、冷却工程の間に駆動軸管10を加熱するのに使用されたエネルギー(これは磁気パルス溶接作業の間に使用されるエネルギーよりも約20倍大きいことがある)が浪費されるだけでなく、この溶接プロセスの理論的に有益な長所として利用できないようになることである。実際に、金属片を溶接するために、表面原子はいかなる種類のエネルギーをも受け入れることによって活性化される。加熱は原子に活性化の必要なエネルギーを与えるための都合のよい効果的な方法である。したがって理論的には、駆動軸の磁気パルス溶接作業を行うためには、逆行熱処理技術を単に使用するよりもその管端部を予熱するだけのほうがより有利であろう。
【0023】
磁気パルス技術の誘導予熱に関する多くの重要な革新が米国特許第3126937号に示唆されており、その開示は本明細書で援用される。磁気パルス溶接プロセスの際に予熱するという考え方自体は新しいものではなく、本発明はその技術をさらに一歩進めるものである。予熱して磁気パルスを発生させるための大多数の先行技術では、同じインダクタが両方の目的のために使用され、予熱サイクルが開始する前に被溶接片がインダクタの内側に組み立てられる。このレイアウトの基本的な欠点は、溶接の工程で加熱源であることからパルス源であることへインダクタを切り換える必要があることである。被溶接片の直径が比較的小さい場合(例えば、約25mm)パルス・インダクタの電流が比較的小さいので、これは比較的容易に行うことができる。しかし、被溶接片の直径が比較的大きい場合(例えば、約100mmから約150mmまでであり、これは車両用駆動軸用途について典型的なものである)、その電流振幅が100万アンペアより大きいことがあるので、これはより困難になる。他の問題はインダクタの冷却を行うことであり、これは加熱するためにも強力な磁気パルスを発生するためにも使用される。熱の大部分は予熱の工程でインダクタによって受け入れられ、通常、これは非常に大きいので水冷却システムの助けを借りてのみ取り除くことができる。残念ながら、米国特許第4129846号のインダクタの構成に水冷却を使用することは実行できないことが分かっており、このことは比較的大きな直径を有する管状部品を磁気パルス溶接するためには最良である。
【0024】
また、予熱して磁気パルスを発生するための別個のインダクタを使用することが知られている。詳細には、米国特許第3621175号ではコンベヤの助けを借りて同時に2つの被溶接要素を移動する経路に沿って相隔たる位置に配置された誘導加熱コイルおよび磁気溶接コイルを含む装置を記載している。被溶接要素は管状で同心であることもでき、その内側要素は外側要素の内面に隣接した外面を有する。この特許により、本発明は特にパイプの連続溶接およびライナーの内側での予備的な滑り嵌め(slip fit)が得られるようにしている。作業時、パイプおよびライナーは同一温度に加熱されると共に、毎分約15メートルの速度で加熱コイルおよび溶接コイルを介してローラによって送り込んで毎秒10回溶接コイルを動作させる(activate)工程において溶接される。溶接コイルおよびその制御回路によって規定されるパラメータは、電流パルスがパイプおよびライナーに誘導電流を発生させる特性周波数(characteristic frequency)固有振動数を有するように選択され、このパイプおよびライナーの表皮厚さ(skin depth)は2つの重なり合うコンダクタのうちの1つの厚さよりも大きい(そして、重ね合わされたコンダクタの全体の厚さよりも大きいことが好ましい)。結果として、パイプおよびライナーに発生する磁気力によりそれらは互いの方向へ引き付けられる。
【0025】
本発明では、駆動軸管10の端部11および第1の端部取付具20のネック部分24の被溶接面を分離する空間が、予熱する工程においてもパルス・インダクタの内側に被溶接部品を組み立てる工程においても存在する。予熱の工程において、被溶接部品は互いから離れることがあり、さもなければそれらの被溶接面に相対するような形で重なり合い、部品の被溶接面の外側の被溶接管端部のただ内側円形隆起線だけで接触していることもある。オプションとして、追加の加熱用インダクタが取付具ネック部を予熱するために使用できる。パルス・インダクタおよび放電回路によって規定されるパラメータは、駆動軸管の表皮厚さが管の壁厚よりも小さいように選択される。結果として、管とパルス・インダクタとの間に発生する磁気力により管端部はインダクタから反発され、それにより被溶接管および取付具部分が高速で撓み込まされる。
【0026】
説明する目的のために、これ以後本発明の方法が2つのステップで説明される。第1のステップでは、この方法を実現するための一般的なレイアウトを説明する。第2のステップでは、この方法を実施するのに使用できる装置およびツーリングと関係があるより具体的な説明を行う。第1の段階の一般的なレイアウトは図3aから図3dに示される。
【0027】
ここで、図3aは、一組のインダクタ(例えば、1つの主加熱用インダクタおよび1つのパルス・インダクタ)の助けを借りて駆動軸管10の第1の端部11を第1の端部取付具20に磁気パルス溶接する工程を示し、ここに取付具用ツーリングはパルス・インダクタの1つの側面だけに配置される(第1の端部取付具20のネック部分24を予熱するための追加のインダクタを随意に使用できる)。
【0028】
図3bは、初めに図3aに示すように駆動軸管10の第1の端部11を溶接した後、さらに駆動軸管10の向きを逆転させた後に、駆動軸管10の第2の端部13を第2の端部取付具30に磁気パルス溶接する工程を示す(第2の端部取付具30のネック部分35を予熱するための追加のインダクタを随意に使用できる)。
【0029】
図3cは、パルス・インダクタの両側から取付具用ツーリングを配置しならびに第1の端部を磁気パルス溶接した後に駆動軸管10を予熱中にそしてパルス・インダクタを一方の端部から他方の端部へ移動させることによって、1組のインダクタの助けを借りて駆動軸管10の端部11および端部13の両方を第1の端部取付具20および第2の端部取付具30にそれぞれ磁気パルス溶接する工程を示す(第1の端部取付具20のネック部分24および第2の端部取付具30のネック部分35をそれぞれ予熱するための追加のインダクタを随意に使用できる)。
【0030】
図3dは、各パルス・インダクタの1つの側面だけから取付具用ツーリングを配置し予備的に主予熱用インダクタの間に管を配置しならびに第1の端部を磁気パルス溶接した後に第2の端部を磁気パルス溶接するために駆動軸管10を反対方向に移動させることによって、2組のインダクタの助けを借りて駆動軸管10の端部11および端部13の両方を磁気パルス溶接する工程を示す(第1の端部取付具20のネック部分24および第2の端部取付具30のネック部分35をそれぞれ予熱するための2つの追加のインダクタを随意に使用できる)。
【0031】
図3aおよび図3bに示す工程は、図3aに示すように予熱用インダクタ61の内側に駆動軸管10の第1の端部11を挿入し、上述のパルス・インダクタ40の中にヨーク20のネック部分24を挿入することから開始する。予熱用インダクタ61は高周波源62によって通電され、パルス電源50のコンデンサ・バッテリが所定の電圧に充電される。駆動軸管10の端部11を所定の温度まで予熱した後に高周波源62はオフに切り換えられる。次いで、駆動軸管10は、パルス・インダクタ40の中に軸方向に迅速に移動され、図2に示すように駆動軸管10の第1の端部11が第1の端部取付具20に対して正確に配置された瞬間に停止される。パルス・インダクタ40は次いで、上述のようにパルス電源50のコンデンサを放電することによって通電され、それにより駆動軸管10の第1の端部11の磁気パルス溶接サイクルが完了する。
【0032】
その後、半溶融の駆動軸管(half−welded driveshaft tube)10は、図3bに示すように、インダクタ40およびインダクタ61から取り除かれ、駆動軸管10の第2の端部13が予熱用インダクタ61の内側に挿入されるように方向転換される。次いで、溶接サイクルが第2の端部取付具30について上述のように繰り返される。随意に、パルス・インダクタ40の内側に端部取付具20のネック部分24および端部取付具30のネック部分35をそれぞれ挿入する前に、そのいずれかまたは両方が符号61’で示すような追加の加熱用インダクタの助けを借りて予熱されることがあり、この加熱用インダクタは符号62’で示すような追加の高周波源の助けを借りて通電されることができる。この場合、端部取付具20または端部取付具30は、駆動軸管10の関連する予熱された端部11または端部13を挿入する直前にまたはこれと同時にパルス・インダクタ40の中に挿入されることになる。
【0033】
上記の説明から分かるように、この方法は大量生産には全く適切ではなく、このことは駆動軸の製造にはよくあることである。しかし後に示すように、これは取り扱いが簡単で比較的費用のかからないツーリングがパルス・インダクタと共に組み込まれ得る少量生産での使用に優れている。
【0034】
図3cに示す工程は、図3aに示す方法で駆動軸管10の第1の端部11を管ヨーク20と溶接することによって開始される。しかしここでは、駆動軸管10の第2の端部13を溶接するために、第2の端部取付具30は、予備的に駆動軸管10の第2の端部13の中に挿入され、しかも予熱用インダクタ61の中に駆動軸管10の第2の端部13を押すように使用される。これを行うために、駆動軸管10の第2の端部13および第2の端部取付具30は後で説明する方法で互いに接触する。予熱後、駆動軸管10および第2の端部取付具30はパルス・インダクタ40の内側に移動され、磁気パルス溶接作業がそれについて行われる。この工程は大量生産にいっそう適切であるが、その生産性は、2つの溶接サイクルの間に駆動軸管10の全長を移動する必要があること、および単一のパルス電源50で2つのコンデンサの順次の放電を整える必要あることによって幾分限定される。
【0035】
駆動軸管10の端部11および端部13の両方を溶接するための図3dに示す工程は、図3aと関連して上記のように概ね同一である。しかしこの場合、2つの予熱用インダクタ61および予熱用インダクタ161(および、これらに関連する高周波源62および高周波源162)ならびに2つのパルス・インダクタ40およびパルス・インダクタ140(および、これらに関連するパルス電源50およびパルス電源150)が設けられる。2組のインダクタが設けられるので、駆動軸管10は、磁気パルス溶接作業の間、比較的短距離だけ前後に移動する必要があり、初めは予熱用インダクタ61および予熱用インダクタ161の内側の、続いてパルス・インダクタ40およびパルス・インダクタ140の内側の必要な位置に停止する。2つの端部取付具20および端部取付具30をそれぞれの端部11および端部13に溶接した後、駆動軸管10は、加熱用インダクタ61と加熱用インダクタ161との間の中間に配置され、次いでこのようなインダクタ61およびインダクタ161によって画定される軸に対して横方向に移動される。随意に、端部取付具20のネック部分24および端部取付具30のネック部分35をパルス・インダクタ40およびパルス・インダクタ140のいずれか一方の内側にそれぞれ挿入した後、このネック部分は、上記のそれと類似の追加の加熱用インダクタ61’および加熱用インダクタ161’の助けを借りて予熱されることがある。この最後の場合、端部取付具20および端部取付具30は、駆動軸管10の関連する予熱された端部11または端部13を挿入する直前にまたはこれと同時にそれぞれのインダクタ40およびインダクタ140の中に挿入されることになる。この工程は、ツーリングおよび駆動軸が移動される必要がある距離が短いので、そして2つのコンデンサの順次の放電を整える時間は2つのパルス電源50にとって重要な問題でないので大量生産に最も適切なものである。
【0036】
図4a、図4b、および図4cは、第2の端部取付具30のネック部分35に対する、ならびにインダクタ40およびインダクタ61に対する駆動軸管10の第2の端部13の基本的な位置を示し、これは上述のレイアウトのすべてに使用できる。図4aに示す位置は、例えば第2の端部取付具30のネック部分35の形状では、パルス・インダクタ40を通電する前に駆動軸管10の第2の端部13と接触していることが容易にできないので、適切なツーリングによって得ることができる。このタイプの構成は多くの磁気パルス溶接の用途に受け入れられるが、自動車用駆動軸を生産するための最良の選択ではないことがある。溶接後の駆動軸の精度要求が非常に高いので、図4bおよび図4cに示すネック部形状を使用するとこの精度要求を満足することができそうである。この形状は概して上記に説明されており、ここでネック部分35の外面についてのより詳細な説明により補足され、このことは良質なおよび正確な磁気パルス溶接を提供する際に重要であり得る。
【0037】
図4bおよび図4cに示すように、駆動軸管10の端部13内にネック部分35を挿入するのを容易にする第1のテーパ面35cが該ネック部分35に設けられることができる。第1のテーパ面35cは最大外径の遷移部位35dのところで終端し、この遷移部位35dは組立時に2つの部品10および部品30を予備的に半径方向へ方向付けを行うことが好ましい。第2のテーパ面35eが磁気パルス溶接プロセスの間に高品質の溶接を促進するように設けられる。第3のテーパ面35gが環状ステップ35bに設けられ、組み立てられた部品10および部品30の最終的な半径方向への方向付けに備えている。最後に、環状肩部35aがこのような部品10および部品30の正確な軸方向の位置決めに備えている。
【0038】
溶接の精度を得るためには、図3bに示すレイアウトを使用する場合、第3のテーパ面35gの最大直径が、図4bに示すように予熱後に駆動軸管10の被溶接端部13の内径に実質的に等しいことが望ましい。例えば、6061−T6アルミニウム合金によって形成され127mmの初期の内径および2mmの壁厚を有する駆動軸管10は、本発明による溶接に最適である700°F〜1000°Fの温度まで予熱する結果として約2mm膨張する。したがって、この膨張を考慮に入れることなく溶接された駆動軸の振れは1mmであるということもでき、これは受け入れられないことである。
【0039】
図3bに示すレイアウトが使用される場合、第2の端部取付具30のネック部分35のうちの最大外径の遷移部位35dと第3のテーパ面35gの最小外径は共に、図4cに示すように、予熱前に駆動軸管10の被溶接端部13の内径に実質的に等しいことが望ましい。第3のテーパ面35gの最大外径は、図4bに示すように予熱後に駆動軸管10の被溶接端部13の内径に実質的に等しいことが好ましい。したがって図4cに示すように、予熱前にインダクタ61内側の駆動軸管10の被溶接端部13の内側円形隆起線が第2の端部取付具30のネック部分35の第3のテーパ面35gの開始部と接触している。予熱工程におけるこの接触を確実にするために、軸方向力(図4cに2つの矢印で示す)が駆動軸管10を移動して上記肩部35aのところで停止するように加えられることができる。しかし、上記の様々な部品は任意の所望のサイズを有することがあることに留意されたい。
【0040】
説明された磁気パルス溶接方法を用いて駆動軸アセンブリの大量製造する際に管および取付具の移動のすべてを行うためには、十分に機械化され自動化されたツーリングが使用されなければならないということが望ましい(しかし要求はされない)。このツーリングについての議論は本発明の範囲外である。しかし説明の目的のために、本発明の方法は、この方法を実施するために使用できる装置およびツーリングの形態(version)と関連して後に記述される。詳細には図5に示す装置は、駆動軸管10の端部11を予熱するための全体を符号60で示す手段、および磁気パルス溶接作業を行うための全体を符号70で示す手段を含む。そこで示すように、予熱用手段60は高周波電源62と接続された加熱用インダクタ61、およびそれを通して水を循環するための1つまたは複数の通路64を有するクーラ63を含む。インサート65が軸方向移動用装置(図示せず)の助けを借りて操作される。クーラ63とインサート65は共に、例えば黄銅など、高熱伝導性金属材料から形成されることが好ましい。
【0041】
磁気パルス溶接手段70は、全体を符号40で示すパルス・インダクタ、有向性ブッシング(directed bushing)71、ユニオン・ナット73を有するツーリング・ブッシング(tooling bushing)72、ヨーク・ブッシング74、ピン75、およびダンパ77によって保持されるカウンタ・ダイ76を含む。インダクタ40は一連の金属リング41および絶縁リング42から組み立てられ、この金属リング41および絶縁リング42は比較的薄いプレートとして形成され、比較的厚いプレートとして形成された絶縁リング44および金属リング45を介して電気的に絶縁された強力ボルト43の列によって圧縮される。ボルト43は、リング41、リング42、リング44、およびリング45の精密に機械加工された開口を介して通過する(インダクタ要素のうちの中央部品のみを示す)。ツーリング・ブッシング72は、インダクタ40が接地される方法に応じて金属材料または絶縁材料から形成できる。また、インダクタ40はセグメント化されたクランプ(segmented clamp)46を含み、その目的は下記で説明することにする。
【0042】
インダクタ40の中に挿入される前に、管ヨーク20およびヨーク・ツーリング(ヨーク・ブッシング74およびカウンタ・ダイ76を含む)は、図6および図7に詳細に示すように磁気パルス溶接手段70の外側で予備的に組み立てられることが好ましい。組立てを容易にするために、管ヨーク20およびヨーク・ブッシング74には互いに一致するテーパ面部位が設けられる。管ヨーク20上にこれらのテーパ部位は、図6の22aで示されるような、整列する開口23の近くのヨーク・アーム22の外面の一部として設けられる。管ヨーク20は通常ブランクを鍛造することによって作られるので、表面部位22aは、開口23および溝もしくは凹所25を機械加工した後の初期の鍛造面が残されたものである。その後、表面部位22aは鍛造加工用抜き勾配(forging draft angle)を有し、この勾配は通常約3°から約5°の間で変化する。管ヨーク20が他の方法によって作られる場合、このテーパ面部位は予備的に機械加工することができる。ヨーク・ブッシング74の少なくとも1つの端部は、表面部位22aの角度とほとんど同じかまたはこれに近い角度74b(図6では幾分誇張して示す)を画定する内側テーパ面74aを有する。また、ヨーク・ブッシング74は、その中にピン75の端部を受け入れるように設けられた(図5を参照されたい)凹所74cを有することができる。カウンタ・ダイ76はヨーク・ブッシング74の内側に配置され、その中に形成される弧形凹所76aを有し、この弧形凹所は一対の対向するカウンタ・ダイ・アーム76bを画定する。また、カウンタ・ダイ76は弾性ダンパ77を含むことができる。カウンタ・ダイ76およびダンパ77の目的は下記で説明することにする。
【0043】
予備組立(preliminary assembly)のプロセスで、ピン75は初めにヨーク20の開口23の内側に挿入される。次いで、ピン75を備えたヨーク20は、ピン75の端部が凹所74cに沿って摺動するような形でヨーク・ブッシング74の内側に挿入される。結局軸方向荷重が、所定の距離のところでヨーク・ブッシング74の内側にヨーク20を押し進めるように加えられて、摩擦によってそれらの一致するテーパ面22aおよびテーパ面74aについて信頼できる連結が行われる。次にカウンタ・ダイ76は、予備組立小部品が手段70の中に装填される(loaded)予備組立の段階でまたはそれより遅れてヨーク・ブッシング74の内側に配置される。
【0044】
次いで、駆動軸管10を管ヨーク20と磁気パルス溶接する一連の作業を行う際の加熱手段60および磁気パルス溶接手段70の使用について説明する。この一連の工程は装填作業および実際の溶接作業を含む。初めに図5に示すように、駆動軸管10は、その端部11がインダクタ61の内側に配置され管端面12がインダクタ61の側面61aに少なくとも近似的に整列されるような形でクーラ63および加熱用インダクタ61の内側に配置される。インサート65がクーラ63のテーパ孔の中に軸方向に移動して駆動軸管10を締め付けるように作動され、冷却液(水など)がクーラ63の通路64を通して循環される。ヨーク20、ピン75、ヨーク・ブッシング74、およびカウンタ・ダイ74が上記のように予備組み立てられ、次いで、ツーリング・ブッシング72内に挿入され、例えばツーリング・ブッシング72のねじ端部にねじ付きユニオン・ナット73などによってその中に固定される。インダクタ40に対するヨーク20のネック部分24の軸方向および半径方向の正確な位置は、ヨーク・ブッシング74の寸法によって規定される。ユニオン・ナット73を締める工程において、カウンタ・ダイ74は、ダンパ・リング77を介して作動されて、ヨーク・アーム22の外側部分がその中に形成された弧形凹所76a内に受け入れられるまで端部取付具20に向かって軸方向に移動する。ダンパ・リング77は、ユニオン・ナット73を締める工程においてヨーク20およびブッシング74の分離を防止するのに十分なだけ軟質であることが好ましい。図6に最もよく示すように、ヨーク20のヨーク・アーム22はこの対向するカウンタ・ダイ・アーム76bに係合して、それに対して軸方向に(すなわち、図5を見ると頂部から底部までである)確実に位置決めされる。
【0045】
その後に、実際の溶接作業が行われる。電源62から高周波交流電流が加熱用インダクタを通して流され、充電スイッチ56が閉じられて電気エネルギーを電気エネルギー源55からコンデンサ54まで伝達する(図2を参照されたい)。上記交流電流は所定の温度に駆動軸管10の端部11を加熱するのに十分な時間長さの間だけ流され、この所定の温度は例えば赤外線ゲージ(図示せず)などの温度ゲージによって制御される。次に、上記交流電流はオフに切り換えられ、インサート65はクーラ63から移動して駆動軸管10のクランプを緩める(unclamp)ように作動され、駆動軸管10は、リニア・アクチュエータ(図示せず)または他の所望の機構の助けを借りて有向性ブッシング71を介してパルス・インダクタ40の中へ移動してその端部11を管ヨーク20の環状ステップ24bの周りに、好ましくは肩部24aと当接状態に配置するように作動され、それにより駆動軸管10の端面12の軸方向位置を規定する。駆動軸管10がこの方法で適正に位置決めされると、セグメント化されたクランプ46が付勢されて駆動軸管をこの位置に維持する。
【0046】
駆動軸管10の端面12が肩部24aに接触する瞬間より前に、コンデンサ54は所定の電圧まで充電されることが好ましい。これにより放電スイッチ52は駆動軸管10の端面12が肩部24aに接触する瞬間の直後に(または短時間の遅延のみで)閉じられることができる。結果として、インダクタ40が次いで通電されて上記のように磁気パルス溶接作業が行われる。
【0047】
先に論じたように、磁気パルス溶接作業の間に駆動軸管10の端部11がヨーク20のネック部分24に高速で衝突すると、ある場合には、ヨーク・アーム22は互いに対して永久的に撓まされ、開口23の寸法の拡大を引き起こすことがある。駆動軸管10の端部11を予熱することによって磁気パルスのエネルギーを低減するとヨークの歪み量は著しく少なくなる。この歪みのレベルが受け入れられる場合は、より簡単なツーリングが使用できる。しかし、この種の永久的な撓みおよび拡大が受け入れられない場合、管ヨーク20が上記のようにヨーク・ブッシング74およびカウンタ・ダイ76によって係合され支持されていると、この種の歪みをさらに小さくしまたは除去することとなる。磁気パルス溶接作業の間、ヨーク・ブッシング74はヨーク・アーム22が互いから離れて外側へ広がることを防止し、したがってネック部分24の内側への変形を引き起こす。また、カウンタ・ダイ76およびダンパ77は衝撃波のエネルギーを吸収し、この衝撃波のエネルギーは磁気パルス溶接の工程における衝突の結果としてヨーク20を介して伝播しそしてヨーク・アーム22を貫いて形成される開口23の形状歪みを除去する。この衝撃波はヨーク20のテーパ面22aとこれと合致しているヨーク・ブッシング74のテーパ面74aとの間の摩擦係合の強度を低減し、それにより磁気パルス溶接作業完了後磁気パルス溶接手段70から駆動軸を取り出すことが容易になる。
【0048】
クーラ63を使用することは本発明の磁気パルス溶接プロセスの本質的な部分ではないことが理解されよう。これは、熱影響の管部位が非常に小さくなければならないが、加熱源62の電力が十分急速に管端部11を加熱するのに比較的小さい場合に有用である。加熱システムの電力が約4秒から6秒でこのような加熱を行うのに十分である場合には、クーラ63は完全に取り除かれ、あるいはただ簡単な有向性ブッシングで置き換えることもできる。また、ツーリング・ブッシング72の内側に予備組立部品を保持するためにユニオン・ナット73を使用することは、この課題を解決する最も簡単な方法である。もちろん大量生産を行うために、他のよく知られた機械化され自動化された技術手段を使用することもできる。また、上記の予備組立作業は磁気パルス溶接手段70を組み込んだツーリングの助けを借りて行うこともできる。
【0049】
次いで図8を参照して、予熱用手段60および磁気パルス溶接手段70を、駆動軸管10を管シャフト30と磁気パルス溶接することに関連して示す。実際の溶接作業は駆動軸管10を管ヨーク20と磁気パルス溶接することに関連して説明したそれらの作業と同一である。この場合、内部スリーブ部分81および外部スリーブ部分82を有する管シャフト・ブッシング80が設けられる。予備組立の工程で管シャフト30は、軸受もしくはブーツ受け座部分32がスリーブ81の内側に正確に配置されるような方法で管シャフト・ブッシング80の内部スリーブ部分81の内側に挿入される。さらに、スプライン端部34のブラインド・スプラインは内部スリーブ部分81の内側に設けられたブラインド溝と位置合わせすることができる。次に、管シャフト30および管シャフト・ブッシング80のアセンブリがツーリング・ブッシング72の内側に挿入される。望ましい場合は従来の位相合わせ操作を行うことができ、それにより駆動軸管10の他の端部に固定された管ヨーク20に対して管シャフト30の正しい角度位置決めが行われる。従来の位相合わせデバイス(図示せず)の取付けおよび使用を容易にするために、ブッシング80の外部スリーブ部分82はそこに設けられた1つまたは複数の凹所83を有する。最終的に、磁気パルス溶接サイクルは上記のように行われる。
【0050】
アルミニウム管から作られた駆動軸を溶接することは、本発明の具現する(implementation)ための多くの目的のうちの1つである。しかしこの方法はある場合には、特に管が高強度鋼で作られ非常に薄い壁厚を有する場合には鋼管の駆動軸を溶接するために非常に有用である。鋼の電気伝導率は比較的小さいので、この材料から作られた部品の磁気パルス処理は通常、アルミニウムまたは銅などの高電気伝導率の材料から作られた駆動素子(シートまたはリング)を使用することなしには困難である。鋼管の磁気パルス溶接を行うためには、駆動リングが通常、パルス・インダクタの内側に被溶接部品を挿入する前に、管端部の上に予備的に圧入される。しかし、駆動リングを装着するというこの好都合な方法は、駆動リング材料の溶融温度が一般的に鋼を予熱するのに必要な温度よりもはるかに低いので本発明で使用することはできない可能性がある。
【0051】
この制約に取り組むために、駆動リングを予備的にパルス・インダクタの内側に配置できる。駆動リングの内径は予熱後のこの被溶接管端部の外径よりも大きくして、この端部をこのリングの内側に挿入できるようにすべきである。駆動リングを配置する最良の方法を図8に示し、そこでは駆動リング90(材料1枚を型打ちすることによって作ることができる)は、取付具ネック部35の環状肩部35aの上に予備的に圧入され、ネック部35と共にインダクタ40の中に挿入される。駆動リング90の形状は端部取付具形状に応じて異なることができる。駆動軸管10の端部13を管シャフト30と磁気パルス溶接するためには、円筒形部分91および平坦部分92を有する駆動リング90が、ネック部35の環状肩部35aの軸方向寸法が小さいのでより適切である。駆動軸管10の端部13をヨーク20と溶接するためには、円筒形部分91だけを有する駆動リング90を使用することがより適切であろう。
【0052】
予熱して直接磁気パルス溶接を行う作業は上記と同様である。通常、磁気パルス溶接プロセスが完了した後は駆動リング90は溶接接合箇所(welding joint)の望ましくない素子である。これは、受け入れられる場合は溶接後に残しておくこともでき、さもなければ切り離してもよい。しかし、駆動軸管の磁気パルス溶接用途のような関係において、駆動リング90(これは一般には非常に堅く圧着され、あるいは磁気パルス溶接プロセスによって駆動軸管の端部の外面に溶接さえも行われる)は、接点(抵抗)溶接法、アーク溶接法、または他の適切な溶接法によって釣合いおもりを取り付けるために使用することもできる。通常、この種の釣合いおもりは、ヨークおよび管シャフトの直近において駆動軸管に溶接される。これらの溶接打点(welding spot)は駆動軸の最も弱い箇所であることが多く、そこから疲労亀裂が始まる。したがって駆動リング90に釣合いおもりを溶接することは、駆動軸アセンブリを製造する際に遭遇する追加の問題を解決する機会を提供する。釣合いおもりは通常鋼から作られ、この鋼はいかなるアルミニウム合金とも溶接性が良好でない。銅および多くの銅合金はこのような問題を有さないので、これらは、後者を溶接によって釣合いおもりを取り付けるために使用するつもりである場合に駆動リング用に最良の材料である。
【0053】
良好な品質の溶接接合箇所を形成するために被溶接金属表面を清浄にすることは、いかなる磁気パルス溶接プロセスの中でも重要な工程である。しかし、表面の清浄度を評価するのに一般的に受け入れられるいかなる基準も、および磁気パルス溶接技術に関する清浄方法も存在していない。本質的に環境に優しくなくて他の欠点を有するいろいろな化学的清浄方法が使用されることが極めて多い。この理由からよりよい清浄方法を見出すために多くの試みが行われてきたが、溶接接合箇所の品質を保証することに関しては化学的方法を凌駕できるようになった方法はない。駆動軸の用途の調査では、乾式切削またはアセトンもしくはアルコールで潤滑した切削によって金属の被溶接面を機械加工すること(スキミング)は、ホーニング、サンダー仕上げ(sanding)、サンドブラスティング、ドライアイスブラスティングなど、他の機械的方法に比べて最良の結果をもたらすことが示されている。しかし疲労寿命に関しては、化学的に清浄にされた予熱のない磁気パルス溶接の接合箇所の品質は、機械的スキミング(mechanical skimming)後に溶接された接合箇所よりも良好である。
【0054】
乾式切削、またはアセトンもしくはアルコールによる潤滑を用いた切削によってアルミニウム6061−T6合金の被溶接面を機械的にスキミングすると、本発明で説明した磁気パルス溶接プロセスによる溶接接合箇所について高い品質が与えられ、これは化学的な清浄化に匹敵することが分かってきた。
【0055】
次いで本発明の方法についていくつかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0056】
アルミニウム6061−T6合金から作られた駆動軸管114mm×2.5mmの駆動軸管の1つの端部が、図3aに示すレイアウトを用いて本発明に従ってアルミニウム6061−T6合金から作られた端部ヨークと溶接された。この管の第2の端部は、図3bに示すレイアウトに従って熱処理鋼4140から作られた管シャフトと溶接された。端部取付具を支持するためのツーリングは、図5および図8に示すようにパルス・インダクタと共に部分的に組み込まれた。1ターンのパルス・インダクタ40およびパルス電源50(図2を参照されたい)は米国特許第4129846号に従って作られた。バッテリ54は約8.4x10_3Fのキャパシタンス、約5kVの最大電圧、および約105kJの最大充電エネルギーを有した。放電回路は約10kHzの周波数を有し、振幅電流は約3.5kVのバッテリ電圧が使用される場合約1.4MAであった。誘導加熱システム60(図3を参照されたい)は、電源62について約10kWの最大電力、および水冷で1ターンのインダクタ61について約30kHの周波数を有した。予熱温度はFlucke5III温度計によって測定された。溶接前のアルミニウム部品はArcal「Weld−O」(5%のフッ化水素酸を含有する)によって化学的に清浄にされ冷水で洗浄された、鋼製取付具はアセトンで清浄された。
【0057】
オペレータ制御の磁気パルス溶接プロセスの場合、約700°Fから約900°Fまでの管端部の予熱温度がアルミニウム−アルミニウム継手とアルミニウム−鋼継手の両方に最適であることが分かった。また、自動制御の磁気パルス溶接プロセスの場合、最適温度は約1000°Fなど、より高いこともあることが分かった。この温度が750°Fの場合、最大電圧は約2.6kVで、最大充電エネルギーは約28.4kJであり、これはアルミニウム−アルミニウム継手とアルミニウム−鋼継手の両方について良好な品質の溶接接合箇所を得るのに十分であった。予熱のない場合で、約4・0kVの最大電圧および約67.2kJの最大充電エネルギーを使用すると、これはアルミニウム−アルミニウム継手およびアルミニウム−鋼継手のいずれについても、いかなる溶接痕をこうむるにも不十分であった。一方、温度が約400°Fよりも高いかまたは等しい場合、良好な品質のアルミニウム−アルミニウム継手を得るのに必要な最大電圧を実験的に見出すことは比較的容易であった。しかしこれは、溶接接合箇所に形成される脆性アルミニウム−鋼金属間構造の影響のためにアルミニウム−鋼継手について行うのと同様に容易なことではない。この一般的な傾向は、良好な品質のアルミニウム−鋼溶接継手を形成するために必要な最大電圧を見出すことが容易になるようにより高く温度を上昇させることである。ヨーク耳部の撓みはブッシング74およびダンパ76(図5を参照されたい)を使用することなく受け入れられた。したがって取付具ネック部の直近により高い可塑性を有する小さくて円形の均一な管部位があることにより駆動軸の最大静止トルクが低減され、その疲労寿命を延長するために大いに有利である。同じ試験条件下で直接比較すると、本発明による磁気パルス溶接は、予熱なしで磁気パルス溶接を使用することに比べて約50%、および通常のアーク溶接に比べて2〜3倍駆動軸の疲労寿命を延長することが示された。
【実施例2】
【0058】
アルミニウム6061−T6合金から作られた127mmx2mmの駆動軸管の両端部が、図3aおよび図3bに示すレイアウトを用いて本発明に従ってアルミニウム6061−T6合金から作られた端部ヨークと溶接された。ツーリングおよび装置は上記のものと同様であった。良好なアルミニウム−アルミニウム溶接継手が約750°Fの温度、および約2.4kVの最大電圧(約24.2kJの最大充電エネルギーである)を用いて実現された。多くのシャフトに関する金属の原子接合面(atomic joining surface)の部位の形状についての超音波測定では、1ターン加熱用インダクタのスリット部位における非一様な電磁場に関連付けることができるいかなる非一様性の存在も示さなかった。したがって本発明を用いると予熱の工程で管を回転することが必要でないことがあり、これは管誘導加熱の円形非一様性(circular non−uniformity)を排除するよく知られた方法である。
【0059】
特許法の規定に従って、本発明の原理および作動の方式を好ましい実施形態で説明し図示した。本発明は、その精神または範囲から逸脱することなく、具体的に説明され図示されたようにではなく別の方法で実施できるということを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の方法により組み立てられ互いに固定される以前に示された駆動軸管および一対の端部取付具の部分断面の分解立面図である。
【図2】磁気パルス溶接作業を行うためのインダクタ内に組み立てられ配置されて示された図1に示す駆動軸管の一部および端部取付具のうちの1つの断面立面図である。
【図3a】磁気パルス溶接作業を行うための異なるレイアウトを示す図である。
【図3b】磁気パルス溶接作業を行うための異なるレイアウトを示す図である。
【図3c】磁気パルス溶接作業を行うための異なるレイアウトを示す図である。
【図3d】磁気パルス溶接作業を行うための異なるレイアウトを示す図である。
【図4a】駆動軸アセンブリの被溶接部品を、本発明により互いに対して、およびインダクタに対して所定位置に配置する基本的な方法を示す図である。
【図4b】駆動軸アセンブリの被溶接部品を、本発明により互いに対して、およびインダクタに対して所定位置に配置する基本的な方法を示す図である。
【図4c】駆動軸アセンブリの被溶接部品を、本発明により互いに対して、およびインダクタに対して所定位置に配置する基本的な方法を示す図である。
【図5】本発明による、予熱用インダクタ内側に配置された駆動軸管端部、およびパルス・インダクタと共に組み込まれた支持用ツーリング内に配置された管ヨークを示す断面図である。
【図6】管ヨークに対して配置された管ヨーク支持用ツーリング(supporting tooling)の拡大断面図である。
【図7】図6に示す管ヨーク支持用ツーリングの端部立面図である。
【図8】パルス・インダクタ内に組み込まれた管シャフトおよび支持用ツーリングを示す断面立面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、2つの金属部品(metallic component)を互いに固定するための磁気パルス溶接技術に関する。詳細には、本発明は、上記金属部品の一方または両方に生じることがある望ましくない歪みの量を最小限に抑えるような磁気パルス溶接作業を行うための改善された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在使用されている大多数の陸上車両には、ドライブトレイン系が、車両の1つまたは複数の車輪を回転可能に駆動するようにエンジン/変速機アセンブリの出力軸から車軸アセンブリの入力軸まで回転動力を伝達するために設けられている。これを達成するために、通常の車両のドライブトレイン・アセンブリは、その両端に固定される第1の端部取付具(end fitting)および第2の端部取付具を有する円筒形の駆動軸管を含む。第1の端部取付具は第1の自在継手の一部分を形成し、それにより、これら2つの軸の回転軸間の限られた量の角度ずれ(angular misalignment)を許容しながらエンジン/変速機アセンブリの出力軸から駆動軸管の第1の端部へ回転可能な駆動連結が行われる。同様に、第2の端部取付具は第2の自在継手の一部分を形成し、それにより、これら2つの軸の回転軸間の限られた量の角度ずれを許容しながら駆動軸管の第2の端部から車軸アセンブリの入力軸へ回転可能な駆動連結が行われる。
【0003】
この一般的なタイプの車両の駆動軸アセンブリでは、通常、駆動軸管の両端に第1の端部取付具および第2の端部取付具を永久的に固定することが必要である。伝統的に、従来の溶接技術が駆動軸管の両端に第1の端部取付具および第2の端部取付具を永久的に接合するのに用いられてきた。よく知られているように、従来の溶接技術は2つの金属部材の局所的な部位(localized area)に熱を加える必要があり、それにより2つの金属部材の材質が合着(coalescence)することになる。この種の従来の溶接技術は、圧力を加えて行うことがありまたは行わないこともあり、充填材の使用を含むことがありまたは含まないこともある。従来の溶接技術は過去において十分役目を果たしてきたが、その使用にはいくつかの欠点がある。第1に、上述の通り、従来の溶接技術には2つの金属部材の局所的な部位に熱を加える必要がある。この加熱により望ましくない歪みおよび欠点が金属部品に持ち込まれることがある。第2に、従来の溶接技術は、類似の金属材料から形成される部品を接合するには十分適しているが、非類似の金属材料から形成される部品を接合する際の使用にこれを適合させることは幾分より困難であることが分かってきた。第3に、従来の溶接技術はゲージ厚さが異なる部品の接合には容易に適合しない。車両の駆動軸アセンブリの生産は通常大量製法(high volume process)であるので、従来の溶接技術の欠点を回避する形でこれらの金属部品を互いに永久的に接合するための改善された方法を提供することが望ましいであろう。
【0004】
磁気パルス溶接は、駆動軸管の両端に第1の端部取付具および第2の端部取付具を固定するように提案された代替製法である。これを達成するために、端部を有する駆動軸管およびネック部分を有する端部取付具が初めに設けられる。この端部取付具は一般的には、管ヨークまたは管シャフトとして具体化される。このヨークは第1の軸方向にそこから延在する一対の対向するアームを有する。一対の整列する開口がヨーク・アームを貫いて形成され、その中に自在継手クロスの従来の軸受カップを受け入れるように構成される。概ね中空のネック部分が本体部分から第2の軸方向に軸方向延在する。磁気パルス溶接作業を行うために、駆動軸管の端部が端部取付具のネック部分の周りに同軸状に取り付けられる。駆動軸管およびヨークがこのように組み立てられると、環状の隙間または空間が駆動軸管の端部の内面とヨークのネック部分の外面との間に画定される。次いで、電気インダクタが駆動軸管とヨークとの組立体の周りに配置される。このインダクタは通電されて駆動軸管の端部の周りに広大で瞬間の電磁場を発生する。この電磁場は管端部の外面に非常に大きな力を働かせて、それによりこれはヨークのネック部分上へ高速で内方に撓み込まされる。結果として管端部の内面がヨークのネック部分の外面に衝突すると、その間に溶接部および分子結合が生じる。
【0005】
磁気パルス溶接作業の間中、管端部がヨークのネック部分上へ高速で衝突すると、ある場合には、ヨーク・アームが互いに対して永久的に偏向し得ることが分かってきた。例えば管の端部がヨークのネック部分で撓み込まされる場合、このネック部分が内方へ変形すると、ヨークの他の端部のヨーク・アームが互いから外方に開離することがある。また、この衝突の結果としてヨークを介して伝搬する衝撃波がヨーク・アームを貫いて形成される開口の寸法を僅かに大きくすることがある。これらの事象は、ヨークがアルミニウムの合金など、比較的軽量の材料から形成される場合に特に起こりそうである。この種のヨークの偏向は、それを通して形成されるそれぞれの開口の芯出し不良(misalignment)を生じ得るので望ましくない。ヨーク・アームを貫いて形成される開口が正確に位置合わせされていない場合、その上に自在継手の残る部分を適切に配置し、回転に対して自在継手を平衡させることは比較的困難である場合がある。
【0006】
管シャフトは通常、管受け座(tube seat)、軸受もしくはブーツ部分、途中から細まった部分、およびスプライン端部分を有する。高応力のために、管シャフトを生産するための要求を満足する最良の実用的な材料は中炭素鋼(middle carbonic steel)である。また駆動軸管が鋼材から形成される場合、通常、従来のアーク溶接工程がそれに管シャフトを固定するために使用される。しかし、車両の重量を低減し、円滑な作業を行い、および燃料経済性を改善するために、アルミニウムなど、より軽量の材料から駆動軸アセンブリの部品のいくつかを作ることが好ましい場合がある。多くの場合、ヨークおよび駆動軸管は、6061−T6など、比較的強力なアルミニウム合金から形成することができ、ならびに既知のアーク溶接法を用いることによって互いにうまく固定することができる。しかし、アルミニウム駆動軸管および鋼管シャフトについて高品質の溶接接合を提供するためにこの方法を用いることは幾分困難であることが分かってきた。なぜなら脆性金属間構造(brittle intermetallic structure)ができることがあり、その存在がその間で接合箇所の強度を低減することがあるからである。アルミニウム駆動軸管と鋼製端部取付具との間の高品質の接合箇所を実現するという問題を解決するために、他の技術が成功の度合いは変化しながら試験されてきた。今日では、磁気パルス溶接技術および摩擦溶接技術(これらは共に冷間溶接処理[cold welding process]である)が最良の結果を示すように見える。
【0007】
摩擦溶接技術は、特に優れた製造機械の有用性という分野において、より古くからよりよく開発されている。しかし、摩擦溶接法は、90mmより大きい管直径および3mmより小さい壁厚を有する鋼−アルミニウム駆動軸アセンブリを溶接するために使用する場合いくつかの実用上の制限を有するように思われる。これと対照的に、磁気パルス溶接はより新しい技術であり、特に製造機械に関して幾分より少しか開発されていないが、駆動軸管の直径が50mmから150mmであり壁厚が1.5mmから3mmの場合にはよりよい結果を与えるように見える。したがって磁気パルス溶接は、鋼−アルミニウム駆動軸アセンブリを高品質に溶接するという問題を解決するための将来有望な技術である。
【0008】
磁気パルス溶接作業のプロセスにおける衝撃波および管受け座の変形は、管シャフトのスプライン端部にいかなる重大な歪みをも生じない。しかし、製造上の実際的な限界により、ならびに被溶接部品自体の、およびインダクタ軸に対する被溶接部品(to−be−welded parts)の、理想的な同心度を与えることが不可能なために、溶接部位における駆動軸が許容できる限度を超えて曲げられることになる。磁気パルス溶接のプロセスで使用される磁気パルスが強力であればあるほど、ますます大きな歪みが溶接後に駆動軸に生じ得ることが分かってきた。この曲がりおよび上述のヨークの歪みの結果として、駆動軸の大きい振れが生じることになり、これは不平衡が様々な作業速度に影響される様子についての重要なパラメータである。広範な速度範囲にわたって、特に高速度においてこのパラメータは動的バランスの重要なたった1つの要因である。回転速度の2乗に比例する遠心力が平衡していないとたわみ(deflection)、応力(stress)、および振動を引き起こし、それにより部品の故障、ならびに車両の乗車人(occupant)に対して不快な騒音および乗り心地(ride feel)を生じることがある。
発明の要約
【0009】
したがって、駆動軸管が磁気パルス溶接作業によってそれに固定される場合に、ヨークの歪みまたは管シャフト溶接部位の曲がりということになり得る駆動軸の望ましくない振れ量を最小限に抑える磁気パルス溶接作業を行う改善された方法を提供することが望ましいであろう。
【0010】
本発明は、第1の金属部品および第2の金属部品を互いに固定するための磁気パルス溶接作業を行う改善された方法に関する。初めに、第1の部分に隣接する第1の金属部品の第2の部分について実質的にその温度を高め軟化させることなく、第1の金属部品の第1の部分についてその温度を高めて軟化させる。次いで、前記第1の金属部品の前記第1の部分が、空間が介在する前記第2の金属部品の一部分に対して軸方向に重なり合う形で配置される。インダクタが前記第1の金属部品および第2の金属部品の軸方向に重なり合う部分に対して設けられる。このインダクタが通電されて、前記第1の金属部品の前記第1の部分を前記第2の金属部品の前記部分と係合状態に変形させて前記第1の金属部品および前記第2の金属部品を互いに固定する。
【0011】
本発明の様々な目的および利点は、好ましい実施形態についての次の詳細な説明から、添付図面を考慮に入れて読むと当業者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次いで図面を参照して図1および図2に、全体を符号10で表す駆動軸管、全体を符号20で表す管ヨークなどの第1の端部取付具、および全体を符号30で表す管シャフトなどの第2の端部取付具を示す。本発明は、第1の端部取付具20および第2の端部取付具30を駆動軸管10に固定して少なくとも駆動軸アセンブリの一部分を形成するような関係において説明され図示されているが、本発明の方法は、任意の所望の目的および用途について任意の2つの金属部品を互いに固定するために使用できることが理解されよう。
【0013】
図示した駆動軸管10は概ね中空で形状が円筒形であり、例えば、6061−T6アルミニウム合金など、任意の所望の金属材料によって形成できる。駆動軸管10は、実質的に一定の外径を画定する外面、および実質的に一定の内径を画定する内面を有することが好ましい。したがって図示した駆動軸管10は、そのようなことは要求されないが、実質的に円筒形で一様な壁厚を有する。駆動軸管10は、端面12のところで終端する第1の端部11、および端面14のところで終端する第2の端部13を有する。
【0014】
図示した第1の端部取付具20は、例えば鋼もしくはアルミニウム合金など、駆動軸管10を形成するのに使用される金属材料と同一または異なることができる金属材料から形成される管ヨークである。図示した第1の端部取付具20は、第1の軸方向にそこから延在する対向する一対のヨーク・アーム22を有する本体部分21を含む。一対の整列する開口23がヨーク・アーム22を貫いて形成され、その中に自在継手クロスの従来の軸受カップ(図示せず)を受け入れるように構成される。必要であれば、環状の溝23a(図2を参照されたい)を開口23のそれぞれの内側に形成して、それぞれのスナップリング(図示せず)を使って知られた方法でその中に軸受カップの保持を容易にすることができる。概ね中空のネック部分24が、ヨーク・アーム22によって画定される第1の軸方向に対向して本体部分21から第2の軸方向に延在する。ネック部分24には環状肩部24aおよび環状ステップ24bが設けられ、その案内面(pilot surface)には約5度から約9度など、小さな角度でテーパを付けることが好ましい。
【0015】
ネック部分24の構造は、2005年5月17日に発行され、本発明の譲受人が所有の米国特許第6892929号に詳細に記載されている。同出願の開示は本明細書で援用される。必要であれば、図2の破線で示すような環状の溝25または類似の凹所部位を第1の端部取付具20の内部に形成することができる。この内部の溝25の目的もまた、米国特許第6892929号に詳細に説明されている。
【0016】
図示した第2の端部取付具30は、通常炭素鋼から形成される管シャフトである。図示した第2の端部取付具30は全体を符号31で示す本体部分を含み、この本体部分は3つの部位、すなわち、軸受もしくはブーツ受け座部分32、小さくなった直径部分33、およびスプライン端部34を有する。概ね中空のネック部分35は上述の米国特許第6892929号に詳細に記載されているのと同じ構造を有する。具体的にいえば、ネック部分35には環状肩部35aおよび環状ステップ34bが設けられている。
【0017】
図2はまた、本発明の方法により2つの部品を互いに固定するための磁気パルス溶接作業を行う以前に駆動軸管10および第1の端部取付具20のアセンブリの周りに配置されるインダクタ40を示す。駆動軸管10および第1の端部取付具20がこのように組み立てられると、環状の隙間または空間26が駆動軸管10の端部11の内面と管ヨーク20のネック部分24の外面との間に画定される。インダクタ40は、Yablochnikovの米国特許第4129846号に示され記載されているような任意の所望の構造を有して形成することができる。同特許の開示は本明細書で援用される。インダクタ40は、全体を符号50で示す、図式的に示したパルス電源に接続される。図2に示すように、インダクタ40の第1の導線は第1の電気導体51に接続され、同時にインダクタ40の第2の導線は、放電スイッチ52を介して第2の電気導体53に接続される。複数の高電圧コンデンサ54または類似のエネルギー貯蔵デバイスが、第1の電気導体51と第2の電気導体53との間に接続される。また、第1の電気導体51は電気エネルギー源55に接続され、同時に第2の電気導体53は、充電スイッチ56を介して電気エネルギー源55に接続される。制御回路の構成および作動は、Yablochnikovの米国特許第5981921号に詳細に記載されており、同特許の開示もまた本明細書で援用される。
【0018】
磁気パルス溶接作業を行うインダクタ40の作動は当業界でよく知られており、詳細な説明のために先に参照した米国特許第5981921号が再び参照される。しかし簡単にいえば、インダクタ40は初めに放電スイッチ52を開き、それから充電スイッチ56を閉じることによって作動する。これにより電気エネルギーを電気エネルギー源55からコンデンサ54のそれぞれに伝達できる。コンデンサ54が所定の電圧まで充電されると、充電スイッチ56が開かれる。その後、インダクタ40を作動するように要求されると放電スイッチ52が閉じられる。結果として、高エネルギーの電流パルスがコンデンサ54からインダクタ40を通して流れ、それによって駆動軸管10の端部11の周りに巨大な瞬時の電磁場が発生する。この電磁場は駆動軸管10の端部11の外面に非常に大きな力を働かせて、それによりこれはヨーク20のネック部分24(または先に論じたように、管シャフト30のネック部分35)上に高速で内側に撓み込まされる。
【0019】
結果として駆動軸管10の端部11の内面がヨーク20のネック部分24の外面に衝突すると、それらの共通の界面を横切る2つの金属の原子間での電子共有(electron sharing)の結果として溶接部または分子結合がその間に生じる。溶接部位のサイズおよび位置は、環状の隙間26のサイズ、駆動軸管10およびヨーク20を形成するのに使用される金属材料のサイズ、形状および性質、インダクタ40のサイズおよび形状、駆動軸管10の端部11とヨーク20のネック部分24との間の衝突角度および衝突速度、ならびにその他の要因など、様々な要因によって変化する。
【0020】
先に論じたように、磁気パルス溶接作業の間に駆動軸管10の端部11が第1の端部取付具20のネック部分24上に高速で衝突すると、少なくともある場合には、部品の1つまたは両方の形状に望ましくない歪みが生じ得ることが分かってきた。この種の歪みの大きさは、2つの部品間の衝突速度の増加と共に大きくなることが分かってきた。しかし、駆動軸管10を形成するのに使用される材料の強度が大きくなるにつれて、それらの共通の界面を横切る2つの金属の原子結合を与えるためには、従来、より高い衝突速度が必要であった。このようなより高い衝突速度を与えるために、従来からパルス電源50によって発生される磁場エネルギー・パルスの大きさを大きくする必要があり、それによりパルス電源回路50の素子の摩滅を加速することがある。したがって、パルス電源50によって発生される磁場エネルギー・パルスの大きさがより小さいものを用いて高品質の溶接接合を提供するように磁気パルス溶接プロセスを改善することが望ましいであろう。
【0021】
パルス電源50によって発生される磁場エネルギー・パルスの大きさを小さくする1つの既知の方法は、変形される部品材料の材料降伏強さを小さくすることに基づくものである。これを達成するために、変形される駆動軸管10の部分に逆行熱処理(retrogressive heat treatment)を施すことが知られている。典型的な逆行熱処理サイクルは、初めに駆動軸管10の特定部位を約1000°Fまで約10〜15秒の間誘導加熱し、次いで加熱された駆動軸管10を室温の水で急冷するステップを含む。逆行熱処理が行われた後には、6061−T6アルミニウム合金の降伏強さは典型的に、40ksiから約10ksiに低下し、それにより磁気パルス溶接プロセスを行うのに必要な磁場エネルギー・パルスの大きさを著しく小さくすることができる。
【0022】
しかし、磁気パルス溶接作業を行うような関係においての逆行熱処理技術の欠点の1つは、冷却工程の間に駆動軸管10を加熱するのに使用されたエネルギー(これは磁気パルス溶接作業の間に使用されるエネルギーよりも約20倍大きいことがある)が浪費されるだけでなく、この溶接プロセスの理論的に有益な長所として利用できないようになることである。実際に、金属片を溶接するために、表面原子はいかなる種類のエネルギーをも受け入れることによって活性化される。加熱は原子に活性化の必要なエネルギーを与えるための都合のよい効果的な方法である。したがって理論的には、駆動軸の磁気パルス溶接作業を行うためには、逆行熱処理技術を単に使用するよりもその管端部を予熱するだけのほうがより有利であろう。
【0023】
磁気パルス技術の誘導予熱に関する多くの重要な革新が米国特許第3126937号に示唆されており、その開示は本明細書で援用される。磁気パルス溶接プロセスの際に予熱するという考え方自体は新しいものではなく、本発明はその技術をさらに一歩進めるものである。予熱して磁気パルスを発生させるための大多数の先行技術では、同じインダクタが両方の目的のために使用され、予熱サイクルが開始する前に被溶接片がインダクタの内側に組み立てられる。このレイアウトの基本的な欠点は、溶接の工程で加熱源であることからパルス源であることへインダクタを切り換える必要があることである。被溶接片の直径が比較的小さい場合(例えば、約25mm)パルス・インダクタの電流が比較的小さいので、これは比較的容易に行うことができる。しかし、被溶接片の直径が比較的大きい場合(例えば、約100mmから約150mmまでであり、これは車両用駆動軸用途について典型的なものである)、その電流振幅が100万アンペアより大きいことがあるので、これはより困難になる。他の問題はインダクタの冷却を行うことであり、これは加熱するためにも強力な磁気パルスを発生するためにも使用される。熱の大部分は予熱の工程でインダクタによって受け入れられ、通常、これは非常に大きいので水冷却システムの助けを借りてのみ取り除くことができる。残念ながら、米国特許第4129846号のインダクタの構成に水冷却を使用することは実行できないことが分かっており、このことは比較的大きな直径を有する管状部品を磁気パルス溶接するためには最良である。
【0024】
また、予熱して磁気パルスを発生するための別個のインダクタを使用することが知られている。詳細には、米国特許第3621175号ではコンベヤの助けを借りて同時に2つの被溶接要素を移動する経路に沿って相隔たる位置に配置された誘導加熱コイルおよび磁気溶接コイルを含む装置を記載している。被溶接要素は管状で同心であることもでき、その内側要素は外側要素の内面に隣接した外面を有する。この特許により、本発明は特にパイプの連続溶接およびライナーの内側での予備的な滑り嵌め(slip fit)が得られるようにしている。作業時、パイプおよびライナーは同一温度に加熱されると共に、毎分約15メートルの速度で加熱コイルおよび溶接コイルを介してローラによって送り込んで毎秒10回溶接コイルを動作させる(activate)工程において溶接される。溶接コイルおよびその制御回路によって規定されるパラメータは、電流パルスがパイプおよびライナーに誘導電流を発生させる特性周波数(characteristic frequency)固有振動数を有するように選択され、このパイプおよびライナーの表皮厚さ(skin depth)は2つの重なり合うコンダクタのうちの1つの厚さよりも大きい(そして、重ね合わされたコンダクタの全体の厚さよりも大きいことが好ましい)。結果として、パイプおよびライナーに発生する磁気力によりそれらは互いの方向へ引き付けられる。
【0025】
本発明では、駆動軸管10の端部11および第1の端部取付具20のネック部分24の被溶接面を分離する空間が、予熱する工程においてもパルス・インダクタの内側に被溶接部品を組み立てる工程においても存在する。予熱の工程において、被溶接部品は互いから離れることがあり、さもなければそれらの被溶接面に相対するような形で重なり合い、部品の被溶接面の外側の被溶接管端部のただ内側円形隆起線だけで接触していることもある。オプションとして、追加の加熱用インダクタが取付具ネック部を予熱するために使用できる。パルス・インダクタおよび放電回路によって規定されるパラメータは、駆動軸管の表皮厚さが管の壁厚よりも小さいように選択される。結果として、管とパルス・インダクタとの間に発生する磁気力により管端部はインダクタから反発され、それにより被溶接管および取付具部分が高速で撓み込まされる。
【0026】
説明する目的のために、これ以後本発明の方法が2つのステップで説明される。第1のステップでは、この方法を実現するための一般的なレイアウトを説明する。第2のステップでは、この方法を実施するのに使用できる装置およびツーリングと関係があるより具体的な説明を行う。第1の段階の一般的なレイアウトは図3aから図3dに示される。
【0027】
ここで、図3aは、一組のインダクタ(例えば、1つの主加熱用インダクタおよび1つのパルス・インダクタ)の助けを借りて駆動軸管10の第1の端部11を第1の端部取付具20に磁気パルス溶接する工程を示し、ここに取付具用ツーリングはパルス・インダクタの1つの側面だけに配置される(第1の端部取付具20のネック部分24を予熱するための追加のインダクタを随意に使用できる)。
【0028】
図3bは、初めに図3aに示すように駆動軸管10の第1の端部11を溶接した後、さらに駆動軸管10の向きを逆転させた後に、駆動軸管10の第2の端部13を第2の端部取付具30に磁気パルス溶接する工程を示す(第2の端部取付具30のネック部分35を予熱するための追加のインダクタを随意に使用できる)。
【0029】
図3cは、パルス・インダクタの両側から取付具用ツーリングを配置しならびに第1の端部を磁気パルス溶接した後に駆動軸管10を予熱中にそしてパルス・インダクタを一方の端部から他方の端部へ移動させることによって、1組のインダクタの助けを借りて駆動軸管10の端部11および端部13の両方を第1の端部取付具20および第2の端部取付具30にそれぞれ磁気パルス溶接する工程を示す(第1の端部取付具20のネック部分24および第2の端部取付具30のネック部分35をそれぞれ予熱するための追加のインダクタを随意に使用できる)。
【0030】
図3dは、各パルス・インダクタの1つの側面だけから取付具用ツーリングを配置し予備的に主予熱用インダクタの間に管を配置しならびに第1の端部を磁気パルス溶接した後に第2の端部を磁気パルス溶接するために駆動軸管10を反対方向に移動させることによって、2組のインダクタの助けを借りて駆動軸管10の端部11および端部13の両方を磁気パルス溶接する工程を示す(第1の端部取付具20のネック部分24および第2の端部取付具30のネック部分35をそれぞれ予熱するための2つの追加のインダクタを随意に使用できる)。
【0031】
図3aおよび図3bに示す工程は、図3aに示すように予熱用インダクタ61の内側に駆動軸管10の第1の端部11を挿入し、上述のパルス・インダクタ40の中にヨーク20のネック部分24を挿入することから開始する。予熱用インダクタ61は高周波源62によって通電され、パルス電源50のコンデンサ・バッテリが所定の電圧に充電される。駆動軸管10の端部11を所定の温度まで予熱した後に高周波源62はオフに切り換えられる。次いで、駆動軸管10は、パルス・インダクタ40の中に軸方向に迅速に移動され、図2に示すように駆動軸管10の第1の端部11が第1の端部取付具20に対して正確に配置された瞬間に停止される。パルス・インダクタ40は次いで、上述のようにパルス電源50のコンデンサを放電することによって通電され、それにより駆動軸管10の第1の端部11の磁気パルス溶接サイクルが完了する。
【0032】
その後、半溶融の駆動軸管(half−welded driveshaft tube)10は、図3bに示すように、インダクタ40およびインダクタ61から取り除かれ、駆動軸管10の第2の端部13が予熱用インダクタ61の内側に挿入されるように方向転換される。次いで、溶接サイクルが第2の端部取付具30について上述のように繰り返される。随意に、パルス・インダクタ40の内側に端部取付具20のネック部分24および端部取付具30のネック部分35をそれぞれ挿入する前に、そのいずれかまたは両方が符号61’で示すような追加の加熱用インダクタの助けを借りて予熱されることがあり、この加熱用インダクタは符号62’で示すような追加の高周波源の助けを借りて通電されることができる。この場合、端部取付具20または端部取付具30は、駆動軸管10の関連する予熱された端部11または端部13を挿入する直前にまたはこれと同時にパルス・インダクタ40の中に挿入されることになる。
【0033】
上記の説明から分かるように、この方法は大量生産には全く適切ではなく、このことは駆動軸の製造にはよくあることである。しかし後に示すように、これは取り扱いが簡単で比較的費用のかからないツーリングがパルス・インダクタと共に組み込まれ得る少量生産での使用に優れている。
【0034】
図3cに示す工程は、図3aに示す方法で駆動軸管10の第1の端部11を管ヨーク20と溶接することによって開始される。しかしここでは、駆動軸管10の第2の端部13を溶接するために、第2の端部取付具30は、予備的に駆動軸管10の第2の端部13の中に挿入され、しかも予熱用インダクタ61の中に駆動軸管10の第2の端部13を押すように使用される。これを行うために、駆動軸管10の第2の端部13および第2の端部取付具30は後で説明する方法で互いに接触する。予熱後、駆動軸管10および第2の端部取付具30はパルス・インダクタ40の内側に移動され、磁気パルス溶接作業がそれについて行われる。この工程は大量生産にいっそう適切であるが、その生産性は、2つの溶接サイクルの間に駆動軸管10の全長を移動する必要があること、および単一のパルス電源50で2つのコンデンサの順次の放電を整える必要あることによって幾分限定される。
【0035】
駆動軸管10の端部11および端部13の両方を溶接するための図3dに示す工程は、図3aと関連して上記のように概ね同一である。しかしこの場合、2つの予熱用インダクタ61および予熱用インダクタ161(および、これらに関連する高周波源62および高周波源162)ならびに2つのパルス・インダクタ40およびパルス・インダクタ140(および、これらに関連するパルス電源50およびパルス電源150)が設けられる。2組のインダクタが設けられるので、駆動軸管10は、磁気パルス溶接作業の間、比較的短距離だけ前後に移動する必要があり、初めは予熱用インダクタ61および予熱用インダクタ161の内側の、続いてパルス・インダクタ40およびパルス・インダクタ140の内側の必要な位置に停止する。2つの端部取付具20および端部取付具30をそれぞれの端部11および端部13に溶接した後、駆動軸管10は、加熱用インダクタ61と加熱用インダクタ161との間の中間に配置され、次いでこのようなインダクタ61およびインダクタ161によって画定される軸に対して横方向に移動される。随意に、端部取付具20のネック部分24および端部取付具30のネック部分35をパルス・インダクタ40およびパルス・インダクタ140のいずれか一方の内側にそれぞれ挿入した後、このネック部分は、上記のそれと類似の追加の加熱用インダクタ61’および加熱用インダクタ161’の助けを借りて予熱されることがある。この最後の場合、端部取付具20および端部取付具30は、駆動軸管10の関連する予熱された端部11または端部13を挿入する直前にまたはこれと同時にそれぞれのインダクタ40およびインダクタ140の中に挿入されることになる。この工程は、ツーリングおよび駆動軸が移動される必要がある距離が短いので、そして2つのコンデンサの順次の放電を整える時間は2つのパルス電源50にとって重要な問題でないので大量生産に最も適切なものである。
【0036】
図4a、図4b、および図4cは、第2の端部取付具30のネック部分35に対する、ならびにインダクタ40およびインダクタ61に対する駆動軸管10の第2の端部13の基本的な位置を示し、これは上述のレイアウトのすべてに使用できる。図4aに示す位置は、例えば第2の端部取付具30のネック部分35の形状では、パルス・インダクタ40を通電する前に駆動軸管10の第2の端部13と接触していることが容易にできないので、適切なツーリングによって得ることができる。このタイプの構成は多くの磁気パルス溶接の用途に受け入れられるが、自動車用駆動軸を生産するための最良の選択ではないことがある。溶接後の駆動軸の精度要求が非常に高いので、図4bおよび図4cに示すネック部形状を使用するとこの精度要求を満足することができそうである。この形状は概して上記に説明されており、ここでネック部分35の外面についてのより詳細な説明により補足され、このことは良質なおよび正確な磁気パルス溶接を提供する際に重要であり得る。
【0037】
図4bおよび図4cに示すように、駆動軸管10の端部13内にネック部分35を挿入するのを容易にする第1のテーパ面35cが該ネック部分35に設けられることができる。第1のテーパ面35cは最大外径の遷移部位35dのところで終端し、この遷移部位35dは組立時に2つの部品10および部品30を予備的に半径方向へ方向付けを行うことが好ましい。第2のテーパ面35eが磁気パルス溶接プロセスの間に高品質の溶接を促進するように設けられる。第3のテーパ面35gが環状ステップ35bに設けられ、組み立てられた部品10および部品30の最終的な半径方向への方向付けに備えている。最後に、環状肩部35aがこのような部品10および部品30の正確な軸方向の位置決めに備えている。
【0038】
溶接の精度を得るためには、図3bに示すレイアウトを使用する場合、第3のテーパ面35gの最大直径が、図4bに示すように予熱後に駆動軸管10の被溶接端部13の内径に実質的に等しいことが望ましい。例えば、6061−T6アルミニウム合金によって形成され127mmの初期の内径および2mmの壁厚を有する駆動軸管10は、本発明による溶接に最適である700°F〜1000°Fの温度まで予熱する結果として約2mm膨張する。したがって、この膨張を考慮に入れることなく溶接された駆動軸の振れは1mmであるということもでき、これは受け入れられないことである。
【0039】
図3bに示すレイアウトが使用される場合、第2の端部取付具30のネック部分35のうちの最大外径の遷移部位35dと第3のテーパ面35gの最小外径は共に、図4cに示すように、予熱前に駆動軸管10の被溶接端部13の内径に実質的に等しいことが望ましい。第3のテーパ面35gの最大外径は、図4bに示すように予熱後に駆動軸管10の被溶接端部13の内径に実質的に等しいことが好ましい。したがって図4cに示すように、予熱前にインダクタ61内側の駆動軸管10の被溶接端部13の内側円形隆起線が第2の端部取付具30のネック部分35の第3のテーパ面35gの開始部と接触している。予熱工程におけるこの接触を確実にするために、軸方向力(図4cに2つの矢印で示す)が駆動軸管10を移動して上記肩部35aのところで停止するように加えられることができる。しかし、上記の様々な部品は任意の所望のサイズを有することがあることに留意されたい。
【0040】
説明された磁気パルス溶接方法を用いて駆動軸アセンブリの大量製造する際に管および取付具の移動のすべてを行うためには、十分に機械化され自動化されたツーリングが使用されなければならないということが望ましい(しかし要求はされない)。このツーリングについての議論は本発明の範囲外である。しかし説明の目的のために、本発明の方法は、この方法を実施するために使用できる装置およびツーリングの形態(version)と関連して後に記述される。詳細には図5に示す装置は、駆動軸管10の端部11を予熱するための全体を符号60で示す手段、および磁気パルス溶接作業を行うための全体を符号70で示す手段を含む。そこで示すように、予熱用手段60は高周波電源62と接続された加熱用インダクタ61、およびそれを通して水を循環するための1つまたは複数の通路64を有するクーラ63を含む。インサート65が軸方向移動用装置(図示せず)の助けを借りて操作される。クーラ63とインサート65は共に、例えば黄銅など、高熱伝導性金属材料から形成されることが好ましい。
【0041】
磁気パルス溶接手段70は、全体を符号40で示すパルス・インダクタ、有向性ブッシング(directed bushing)71、ユニオン・ナット73を有するツーリング・ブッシング(tooling bushing)72、ヨーク・ブッシング74、ピン75、およびダンパ77によって保持されるカウンタ・ダイ76を含む。インダクタ40は一連の金属リング41および絶縁リング42から組み立てられ、この金属リング41および絶縁リング42は比較的薄いプレートとして形成され、比較的厚いプレートとして形成された絶縁リング44および金属リング45を介して電気的に絶縁された強力ボルト43の列によって圧縮される。ボルト43は、リング41、リング42、リング44、およびリング45の精密に機械加工された開口を介して通過する(インダクタ要素のうちの中央部品のみを示す)。ツーリング・ブッシング72は、インダクタ40が接地される方法に応じて金属材料または絶縁材料から形成できる。また、インダクタ40はセグメント化されたクランプ(segmented clamp)46を含み、その目的は下記で説明することにする。
【0042】
インダクタ40の中に挿入される前に、管ヨーク20およびヨーク・ツーリング(ヨーク・ブッシング74およびカウンタ・ダイ76を含む)は、図6および図7に詳細に示すように磁気パルス溶接手段70の外側で予備的に組み立てられることが好ましい。組立てを容易にするために、管ヨーク20およびヨーク・ブッシング74には互いに一致するテーパ面部位が設けられる。管ヨーク20上にこれらのテーパ部位は、図6の22aで示されるような、整列する開口23の近くのヨーク・アーム22の外面の一部として設けられる。管ヨーク20は通常ブランクを鍛造することによって作られるので、表面部位22aは、開口23および溝もしくは凹所25を機械加工した後の初期の鍛造面が残されたものである。その後、表面部位22aは鍛造加工用抜き勾配(forging draft angle)を有し、この勾配は通常約3°から約5°の間で変化する。管ヨーク20が他の方法によって作られる場合、このテーパ面部位は予備的に機械加工することができる。ヨーク・ブッシング74の少なくとも1つの端部は、表面部位22aの角度とほとんど同じかまたはこれに近い角度74b(図6では幾分誇張して示す)を画定する内側テーパ面74aを有する。また、ヨーク・ブッシング74は、その中にピン75の端部を受け入れるように設けられた(図5を参照されたい)凹所74cを有することができる。カウンタ・ダイ76はヨーク・ブッシング74の内側に配置され、その中に形成される弧形凹所76aを有し、この弧形凹所は一対の対向するカウンタ・ダイ・アーム76bを画定する。また、カウンタ・ダイ76は弾性ダンパ77を含むことができる。カウンタ・ダイ76およびダンパ77の目的は下記で説明することにする。
【0043】
予備組立(preliminary assembly)のプロセスで、ピン75は初めにヨーク20の開口23の内側に挿入される。次いで、ピン75を備えたヨーク20は、ピン75の端部が凹所74cに沿って摺動するような形でヨーク・ブッシング74の内側に挿入される。結局軸方向荷重が、所定の距離のところでヨーク・ブッシング74の内側にヨーク20を押し進めるように加えられて、摩擦によってそれらの一致するテーパ面22aおよびテーパ面74aについて信頼できる連結が行われる。次にカウンタ・ダイ76は、予備組立小部品が手段70の中に装填される(loaded)予備組立の段階でまたはそれより遅れてヨーク・ブッシング74の内側に配置される。
【0044】
次いで、駆動軸管10を管ヨーク20と磁気パルス溶接する一連の作業を行う際の加熱手段60および磁気パルス溶接手段70の使用について説明する。この一連の工程は装填作業および実際の溶接作業を含む。初めに図5に示すように、駆動軸管10は、その端部11がインダクタ61の内側に配置され管端面12がインダクタ61の側面61aに少なくとも近似的に整列されるような形でクーラ63および加熱用インダクタ61の内側に配置される。インサート65がクーラ63のテーパ孔の中に軸方向に移動して駆動軸管10を締め付けるように作動され、冷却液(水など)がクーラ63の通路64を通して循環される。ヨーク20、ピン75、ヨーク・ブッシング74、およびカウンタ・ダイ74が上記のように予備組み立てられ、次いで、ツーリング・ブッシング72内に挿入され、例えばツーリング・ブッシング72のねじ端部にねじ付きユニオン・ナット73などによってその中に固定される。インダクタ40に対するヨーク20のネック部分24の軸方向および半径方向の正確な位置は、ヨーク・ブッシング74の寸法によって規定される。ユニオン・ナット73を締める工程において、カウンタ・ダイ74は、ダンパ・リング77を介して作動されて、ヨーク・アーム22の外側部分がその中に形成された弧形凹所76a内に受け入れられるまで端部取付具20に向かって軸方向に移動する。ダンパ・リング77は、ユニオン・ナット73を締める工程においてヨーク20およびブッシング74の分離を防止するのに十分なだけ軟質であることが好ましい。図6に最もよく示すように、ヨーク20のヨーク・アーム22はこの対向するカウンタ・ダイ・アーム76bに係合して、それに対して軸方向に(すなわち、図5を見ると頂部から底部までである)確実に位置決めされる。
【0045】
その後に、実際の溶接作業が行われる。電源62から高周波交流電流が加熱用インダクタを通して流され、充電スイッチ56が閉じられて電気エネルギーを電気エネルギー源55からコンデンサ54まで伝達する(図2を参照されたい)。上記交流電流は所定の温度に駆動軸管10の端部11を加熱するのに十分な時間長さの間だけ流され、この所定の温度は例えば赤外線ゲージ(図示せず)などの温度ゲージによって制御される。次に、上記交流電流はオフに切り換えられ、インサート65はクーラ63から移動して駆動軸管10のクランプを緩める(unclamp)ように作動され、駆動軸管10は、リニア・アクチュエータ(図示せず)または他の所望の機構の助けを借りて有向性ブッシング71を介してパルス・インダクタ40の中へ移動してその端部11を管ヨーク20の環状ステップ24bの周りに、好ましくは肩部24aと当接状態に配置するように作動され、それにより駆動軸管10の端面12の軸方向位置を規定する。駆動軸管10がこの方法で適正に位置決めされると、セグメント化されたクランプ46が付勢されて駆動軸管をこの位置に維持する。
【0046】
駆動軸管10の端面12が肩部24aに接触する瞬間より前に、コンデンサ54は所定の電圧まで充電されることが好ましい。これにより放電スイッチ52は駆動軸管10の端面12が肩部24aに接触する瞬間の直後に(または短時間の遅延のみで)閉じられることができる。結果として、インダクタ40が次いで通電されて上記のように磁気パルス溶接作業が行われる。
【0047】
先に論じたように、磁気パルス溶接作業の間に駆動軸管10の端部11がヨーク20のネック部分24に高速で衝突すると、ある場合には、ヨーク・アーム22は互いに対して永久的に撓まされ、開口23の寸法の拡大を引き起こすことがある。駆動軸管10の端部11を予熱することによって磁気パルスのエネルギーを低減するとヨークの歪み量は著しく少なくなる。この歪みのレベルが受け入れられる場合は、より簡単なツーリングが使用できる。しかし、この種の永久的な撓みおよび拡大が受け入れられない場合、管ヨーク20が上記のようにヨーク・ブッシング74およびカウンタ・ダイ76によって係合され支持されていると、この種の歪みをさらに小さくしまたは除去することとなる。磁気パルス溶接作業の間、ヨーク・ブッシング74はヨーク・アーム22が互いから離れて外側へ広がることを防止し、したがってネック部分24の内側への変形を引き起こす。また、カウンタ・ダイ76およびダンパ77は衝撃波のエネルギーを吸収し、この衝撃波のエネルギーは磁気パルス溶接の工程における衝突の結果としてヨーク20を介して伝播しそしてヨーク・アーム22を貫いて形成される開口23の形状歪みを除去する。この衝撃波はヨーク20のテーパ面22aとこれと合致しているヨーク・ブッシング74のテーパ面74aとの間の摩擦係合の強度を低減し、それにより磁気パルス溶接作業完了後磁気パルス溶接手段70から駆動軸を取り出すことが容易になる。
【0048】
クーラ63を使用することは本発明の磁気パルス溶接プロセスの本質的な部分ではないことが理解されよう。これは、熱影響の管部位が非常に小さくなければならないが、加熱源62の電力が十分急速に管端部11を加熱するのに比較的小さい場合に有用である。加熱システムの電力が約4秒から6秒でこのような加熱を行うのに十分である場合には、クーラ63は完全に取り除かれ、あるいはただ簡単な有向性ブッシングで置き換えることもできる。また、ツーリング・ブッシング72の内側に予備組立部品を保持するためにユニオン・ナット73を使用することは、この課題を解決する最も簡単な方法である。もちろん大量生産を行うために、他のよく知られた機械化され自動化された技術手段を使用することもできる。また、上記の予備組立作業は磁気パルス溶接手段70を組み込んだツーリングの助けを借りて行うこともできる。
【0049】
次いで図8を参照して、予熱用手段60および磁気パルス溶接手段70を、駆動軸管10を管シャフト30と磁気パルス溶接することに関連して示す。実際の溶接作業は駆動軸管10を管ヨーク20と磁気パルス溶接することに関連して説明したそれらの作業と同一である。この場合、内部スリーブ部分81および外部スリーブ部分82を有する管シャフト・ブッシング80が設けられる。予備組立の工程で管シャフト30は、軸受もしくはブーツ受け座部分32がスリーブ81の内側に正確に配置されるような方法で管シャフト・ブッシング80の内部スリーブ部分81の内側に挿入される。さらに、スプライン端部34のブラインド・スプラインは内部スリーブ部分81の内側に設けられたブラインド溝と位置合わせすることができる。次に、管シャフト30および管シャフト・ブッシング80のアセンブリがツーリング・ブッシング72の内側に挿入される。望ましい場合は従来の位相合わせ操作を行うことができ、それにより駆動軸管10の他の端部に固定された管ヨーク20に対して管シャフト30の正しい角度位置決めが行われる。従来の位相合わせデバイス(図示せず)の取付けおよび使用を容易にするために、ブッシング80の外部スリーブ部分82はそこに設けられた1つまたは複数の凹所83を有する。最終的に、磁気パルス溶接サイクルは上記のように行われる。
【0050】
アルミニウム管から作られた駆動軸を溶接することは、本発明の具現する(implementation)ための多くの目的のうちの1つである。しかしこの方法はある場合には、特に管が高強度鋼で作られ非常に薄い壁厚を有する場合には鋼管の駆動軸を溶接するために非常に有用である。鋼の電気伝導率は比較的小さいので、この材料から作られた部品の磁気パルス処理は通常、アルミニウムまたは銅などの高電気伝導率の材料から作られた駆動素子(シートまたはリング)を使用することなしには困難である。鋼管の磁気パルス溶接を行うためには、駆動リングが通常、パルス・インダクタの内側に被溶接部品を挿入する前に、管端部の上に予備的に圧入される。しかし、駆動リングを装着するというこの好都合な方法は、駆動リング材料の溶融温度が一般的に鋼を予熱するのに必要な温度よりもはるかに低いので本発明で使用することはできない可能性がある。
【0051】
この制約に取り組むために、駆動リングを予備的にパルス・インダクタの内側に配置できる。駆動リングの内径は予熱後のこの被溶接管端部の外径よりも大きくして、この端部をこのリングの内側に挿入できるようにすべきである。駆動リングを配置する最良の方法を図8に示し、そこでは駆動リング90(材料1枚を型打ちすることによって作ることができる)は、取付具ネック部35の環状肩部35aの上に予備的に圧入され、ネック部35と共にインダクタ40の中に挿入される。駆動リング90の形状は端部取付具形状に応じて異なることができる。駆動軸管10の端部13を管シャフト30と磁気パルス溶接するためには、円筒形部分91および平坦部分92を有する駆動リング90が、ネック部35の環状肩部35aの軸方向寸法が小さいのでより適切である。駆動軸管10の端部13をヨーク20と溶接するためには、円筒形部分91だけを有する駆動リング90を使用することがより適切であろう。
【0052】
予熱して直接磁気パルス溶接を行う作業は上記と同様である。通常、磁気パルス溶接プロセスが完了した後は駆動リング90は溶接接合箇所(welding joint)の望ましくない素子である。これは、受け入れられる場合は溶接後に残しておくこともでき、さもなければ切り離してもよい。しかし、駆動軸管の磁気パルス溶接用途のような関係において、駆動リング90(これは一般には非常に堅く圧着され、あるいは磁気パルス溶接プロセスによって駆動軸管の端部の外面に溶接さえも行われる)は、接点(抵抗)溶接法、アーク溶接法、または他の適切な溶接法によって釣合いおもりを取り付けるために使用することもできる。通常、この種の釣合いおもりは、ヨークおよび管シャフトの直近において駆動軸管に溶接される。これらの溶接打点(welding spot)は駆動軸の最も弱い箇所であることが多く、そこから疲労亀裂が始まる。したがって駆動リング90に釣合いおもりを溶接することは、駆動軸アセンブリを製造する際に遭遇する追加の問題を解決する機会を提供する。釣合いおもりは通常鋼から作られ、この鋼はいかなるアルミニウム合金とも溶接性が良好でない。銅および多くの銅合金はこのような問題を有さないので、これらは、後者を溶接によって釣合いおもりを取り付けるために使用するつもりである場合に駆動リング用に最良の材料である。
【0053】
良好な品質の溶接接合箇所を形成するために被溶接金属表面を清浄にすることは、いかなる磁気パルス溶接プロセスの中でも重要な工程である。しかし、表面の清浄度を評価するのに一般的に受け入れられるいかなる基準も、および磁気パルス溶接技術に関する清浄方法も存在していない。本質的に環境に優しくなくて他の欠点を有するいろいろな化学的清浄方法が使用されることが極めて多い。この理由からよりよい清浄方法を見出すために多くの試みが行われてきたが、溶接接合箇所の品質を保証することに関しては化学的方法を凌駕できるようになった方法はない。駆動軸の用途の調査では、乾式切削またはアセトンもしくはアルコールで潤滑した切削によって金属の被溶接面を機械加工すること(スキミング)は、ホーニング、サンダー仕上げ(sanding)、サンドブラスティング、ドライアイスブラスティングなど、他の機械的方法に比べて最良の結果をもたらすことが示されている。しかし疲労寿命に関しては、化学的に清浄にされた予熱のない磁気パルス溶接の接合箇所の品質は、機械的スキミング(mechanical skimming)後に溶接された接合箇所よりも良好である。
【0054】
乾式切削、またはアセトンもしくはアルコールによる潤滑を用いた切削によってアルミニウム6061−T6合金の被溶接面を機械的にスキミングすると、本発明で説明した磁気パルス溶接プロセスによる溶接接合箇所について高い品質が与えられ、これは化学的な清浄化に匹敵することが分かってきた。
【0055】
次いで本発明の方法についていくつかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0056】
アルミニウム6061−T6合金から作られた駆動軸管114mm×2.5mmの駆動軸管の1つの端部が、図3aに示すレイアウトを用いて本発明に従ってアルミニウム6061−T6合金から作られた端部ヨークと溶接された。この管の第2の端部は、図3bに示すレイアウトに従って熱処理鋼4140から作られた管シャフトと溶接された。端部取付具を支持するためのツーリングは、図5および図8に示すようにパルス・インダクタと共に部分的に組み込まれた。1ターンのパルス・インダクタ40およびパルス電源50(図2を参照されたい)は米国特許第4129846号に従って作られた。バッテリ54は約8.4x10_3Fのキャパシタンス、約5kVの最大電圧、および約105kJの最大充電エネルギーを有した。放電回路は約10kHzの周波数を有し、振幅電流は約3.5kVのバッテリ電圧が使用される場合約1.4MAであった。誘導加熱システム60(図3を参照されたい)は、電源62について約10kWの最大電力、および水冷で1ターンのインダクタ61について約30kHの周波数を有した。予熱温度はFlucke5III温度計によって測定された。溶接前のアルミニウム部品はArcal「Weld−O」(5%のフッ化水素酸を含有する)によって化学的に清浄にされ冷水で洗浄された、鋼製取付具はアセトンで清浄された。
【0057】
オペレータ制御の磁気パルス溶接プロセスの場合、約700°Fから約900°Fまでの管端部の予熱温度がアルミニウム−アルミニウム継手とアルミニウム−鋼継手の両方に最適であることが分かった。また、自動制御の磁気パルス溶接プロセスの場合、最適温度は約1000°Fなど、より高いこともあることが分かった。この温度が750°Fの場合、最大電圧は約2.6kVで、最大充電エネルギーは約28.4kJであり、これはアルミニウム−アルミニウム継手とアルミニウム−鋼継手の両方について良好な品質の溶接接合箇所を得るのに十分であった。予熱のない場合で、約4・0kVの最大電圧および約67.2kJの最大充電エネルギーを使用すると、これはアルミニウム−アルミニウム継手およびアルミニウム−鋼継手のいずれについても、いかなる溶接痕をこうむるにも不十分であった。一方、温度が約400°Fよりも高いかまたは等しい場合、良好な品質のアルミニウム−アルミニウム継手を得るのに必要な最大電圧を実験的に見出すことは比較的容易であった。しかしこれは、溶接接合箇所に形成される脆性アルミニウム−鋼金属間構造の影響のためにアルミニウム−鋼継手について行うのと同様に容易なことではない。この一般的な傾向は、良好な品質のアルミニウム−鋼溶接継手を形成するために必要な最大電圧を見出すことが容易になるようにより高く温度を上昇させることである。ヨーク耳部の撓みはブッシング74およびダンパ76(図5を参照されたい)を使用することなく受け入れられた。したがって取付具ネック部の直近により高い可塑性を有する小さくて円形の均一な管部位があることにより駆動軸の最大静止トルクが低減され、その疲労寿命を延長するために大いに有利である。同じ試験条件下で直接比較すると、本発明による磁気パルス溶接は、予熱なしで磁気パルス溶接を使用することに比べて約50%、および通常のアーク溶接に比べて2〜3倍駆動軸の疲労寿命を延長することが示された。
【実施例2】
【0058】
アルミニウム6061−T6合金から作られた127mmx2mmの駆動軸管の両端部が、図3aおよび図3bに示すレイアウトを用いて本発明に従ってアルミニウム6061−T6合金から作られた端部ヨークと溶接された。ツーリングおよび装置は上記のものと同様であった。良好なアルミニウム−アルミニウム溶接継手が約750°Fの温度、および約2.4kVの最大電圧(約24.2kJの最大充電エネルギーである)を用いて実現された。多くのシャフトに関する金属の原子接合面(atomic joining surface)の部位の形状についての超音波測定では、1ターン加熱用インダクタのスリット部位における非一様な電磁場に関連付けることができるいかなる非一様性の存在も示さなかった。したがって本発明を用いると予熱の工程で管を回転することが必要でないことがあり、これは管誘導加熱の円形非一様性(circular non−uniformity)を排除するよく知られた方法である。
【0059】
特許法の規定に従って、本発明の原理および作動の方式を好ましい実施形態で説明し図示した。本発明は、その精神または範囲から逸脱することなく、具体的に説明され図示されたようにではなく別の方法で実施できるということを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の方法により組み立てられ互いに固定される以前に示された駆動軸管および一対の端部取付具の部分断面の分解立面図である。
【図2】磁気パルス溶接作業を行うためのインダクタ内に組み立てられ配置されて示された図1に示す駆動軸管の一部および端部取付具のうちの1つの断面立面図である。
【図3a】磁気パルス溶接作業を行うための異なるレイアウトを示す図である。
【図3b】磁気パルス溶接作業を行うための異なるレイアウトを示す図である。
【図3c】磁気パルス溶接作業を行うための異なるレイアウトを示す図である。
【図3d】磁気パルス溶接作業を行うための異なるレイアウトを示す図である。
【図4a】駆動軸アセンブリの被溶接部品を、本発明により互いに対して、およびインダクタに対して所定位置に配置する基本的な方法を示す図である。
【図4b】駆動軸アセンブリの被溶接部品を、本発明により互いに対して、およびインダクタに対して所定位置に配置する基本的な方法を示す図である。
【図4c】駆動軸アセンブリの被溶接部品を、本発明により互いに対して、およびインダクタに対して所定位置に配置する基本的な方法を示す図である。
【図5】本発明による、予熱用インダクタ内側に配置された駆動軸管端部、およびパルス・インダクタと共に組み込まれた支持用ツーリング内に配置された管ヨークを示す断面図である。
【図6】管ヨークに対して配置された管ヨーク支持用ツーリング(supporting tooling)の拡大断面図である。
【図7】図6に示す管ヨーク支持用ツーリングの端部立面図である。
【図8】パルス・インダクタ内に組み込まれた管シャフトおよび支持用ツーリングを示す断面立面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属部品および第2の金属部品を互いに固定するための磁気パルス溶接作業を行う方法であって、
(a)第1の金属部品および第2の金属部品を設けるステップと、
(b)第1の部分に隣接する前記第1の金属部品の第2の部分について実質的にその温度を高め軟化させることなく、前記第1の金属部品の前記第1の部分についてその温度を高めて軟化させるステップと、
(c)前記第1の金属部品の前記第1の部分を、空間が介在する前記第2の金属部品の一部分に対して軸方向に重なり合う形に配置するステップと、
(d)前記第1の金属部品および第2の金属部品の前記軸方向に重なり合う部分に対してインダクタを設けるステップと、
(e)前記第1の金属部品の前記第1の部分を前記第2の金属部品の前記部分と係合状態に変形させて前記第1の金属部品および前記第2の金属部品を互いに固定するように、前記インダクタを通電するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)が、予熱用インダクタ内に前記第1の金属部品の前記第1の部分を配置して、前記第1の金属部品の前記第1の部分についてその温度を高めて軟化させるように前記予熱用インダクタを通電することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(b)がさらに、前記第1の金属部品の前記第2の部分を冷却装置内に配置することによって行われ、同時に前記予熱用インダクタが前記第1の金属部品の前記第2の部分の温度を実質的に高めるのを防止するように通電される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(b)が、前記第1の金属部品の前記第2の部分の温度を実質的に高めるのを防止するように前記第1の金属部品の前記第2の部分に係合するインサートを有する前記冷却装置を設けることによって行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(a)は、前記ステップ(b)が行われた後に前記第1の金属部品の前記第1の部分の内径と実質的に等しい最大直径を有するテーパ面を前記第2の金属部品に付けることによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(b)が前記第2の金属部品の前記部分を予熱するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(c)が前記第1の金属部品および前記第2の金属部品に軸方向力を加えることによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(c)が、ツーリング・ブッシングの中に前記第2の金属部品を支持して前記ツーリング・ブッシングおよび前記第2の金属部品の前記部分に対して軸方向に重なり合う形に前記第1の金属部品の前記第1の部分を配置することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ(a)が駆動軸管および端部取付具を設けることによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第1の金属部品および第2の金属部品を互いに固定するための磁気パルス溶接作業を行う方法であって、
(a)第1の金属部品および第2の金属部品を設けるステップと、
(b)第1のインダクタおよび第2のインダクタを設けるステップと、
(c)その第1の部分が前記第1のインダクタ内に配置され、前記第1の部分に隣接するその第2の部分が前記第1のインダクタ内に配置されないように前記第1の金属部品を方向付けるステップと、
(d)前記第1の金属部品の前記第2の部分について実質的にその温度を高め軟化させることなく、前記第1の金属部品の前記第1の部分についてその温度を高めて軟化させるように前記第1のインダクタを通電するステップと、
(e)前記第1の金属部品の前記第1の部分を、空間が介在する前記第2の金属部品の一部分に対して、および前記第2のインダクタに対して軸方向に重なり合う形に配置するステップと、
(f)前記第1の金属部品の前記第1の部分を前記第2の金属部品の前記部分と係合状態に変形させて前記第1の金属部品および前記第2の金属部品を互いに固定するように、前記第2のインダクタを通電するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記ステップ(b)が、予熱用インダクタ内に前記第1の金属部品の前記第1の部分を配置して、前記第1の金属部品の前記第1の部分についてその温度を高めて軟化させるように前記予熱用インダクタを通電することによって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(b)がさらに、冷却装置内に前記第1の金属部品の前記第2の部分を配置することによって行われ、同時に前記予熱用インダクタが前記第1の金属部品の前記第2の部分の温度を実質的に高めるのを防止するように通電される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(b)が、前記第1の金属部品の前記第2の部分の温度を実質的に高めるのを防止するように前記第1の金属部品の前記第2の部分に係合するインサートを有する前記冷却装置を設けることによって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(a)は、前記ステップ(b)が行われた後に前記第1の金属部品の前記第1の部分の内径と実質的に等しい最大直径を有するテーパ面を前記第2の金属部品に付けることによって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップ(b)が前記第2の金属部品の前記部分を予熱するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップ(c)が前記第1の金属部品および第2の金属部品に軸方向力を加えることによって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(c)が、ツーリング・ブッシングの中に前記第2の金属部品を支持して前記ツーリング・ブッシングおよび前記第2の金属部品の前記部分に対して軸方向に重なり合う形で前記第1の金属部品の前記第1の部分を配置することによって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ(a)が駆動軸管および端部取付具を設けることによって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
第1の金属部品および第2の金属部品を互いに固定するための磁気パルス溶接作業を行う方法であって、
(a)パルス・インダクタおよび予熱用インダクタを設けるステップと、
(b)その一部分が前記予熱用インダクタ内に配置されるように前記第1の金属部品を方向付けるステップと、
(c)前記第1の金属部品の隣接部分の加熱を実質的に低減するように前記第1の金属部品の前記部分の温度を高めるために前記予熱用インダクタを通電するステップと、
(d)その加熱された部分が空間が介在する前記第2の金属部品の一部分に対して軸方向に重なり合う形で前記パルス・インダクタの内側に配置されるように前記第1の金属部品を移動させるステップと、
(e)前記第1の金属部品の前記部分を前記第2の金属部品の前記部分に固定するための磁気パルス溶接作業を行うために前記パルス・インダクタを通電するステップと
を含む方法。
【請求項1】
第1の金属部品および第2の金属部品を互いに固定するための磁気パルス溶接作業を行う方法であって、
(a)第1の金属部品および第2の金属部品を設けるステップと、
(b)第1の部分に隣接する前記第1の金属部品の第2の部分について実質的にその温度を高め軟化させることなく、前記第1の金属部品の前記第1の部分についてその温度を高めて軟化させるステップと、
(c)前記第1の金属部品の前記第1の部分を、空間が介在する前記第2の金属部品の一部分に対して軸方向に重なり合う形に配置するステップと、
(d)前記第1の金属部品および第2の金属部品の前記軸方向に重なり合う部分に対してインダクタを設けるステップと、
(e)前記第1の金属部品の前記第1の部分を前記第2の金属部品の前記部分と係合状態に変形させて前記第1の金属部品および前記第2の金属部品を互いに固定するように、前記インダクタを通電するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)が、予熱用インダクタ内に前記第1の金属部品の前記第1の部分を配置して、前記第1の金属部品の前記第1の部分についてその温度を高めて軟化させるように前記予熱用インダクタを通電することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(b)がさらに、前記第1の金属部品の前記第2の部分を冷却装置内に配置することによって行われ、同時に前記予熱用インダクタが前記第1の金属部品の前記第2の部分の温度を実質的に高めるのを防止するように通電される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(b)が、前記第1の金属部品の前記第2の部分の温度を実質的に高めるのを防止するように前記第1の金属部品の前記第2の部分に係合するインサートを有する前記冷却装置を設けることによって行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(a)は、前記ステップ(b)が行われた後に前記第1の金属部品の前記第1の部分の内径と実質的に等しい最大直径を有するテーパ面を前記第2の金属部品に付けることによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(b)が前記第2の金属部品の前記部分を予熱するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(c)が前記第1の金属部品および前記第2の金属部品に軸方向力を加えることによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(c)が、ツーリング・ブッシングの中に前記第2の金属部品を支持して前記ツーリング・ブッシングおよび前記第2の金属部品の前記部分に対して軸方向に重なり合う形に前記第1の金属部品の前記第1の部分を配置することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ(a)が駆動軸管および端部取付具を設けることによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第1の金属部品および第2の金属部品を互いに固定するための磁気パルス溶接作業を行う方法であって、
(a)第1の金属部品および第2の金属部品を設けるステップと、
(b)第1のインダクタおよび第2のインダクタを設けるステップと、
(c)その第1の部分が前記第1のインダクタ内に配置され、前記第1の部分に隣接するその第2の部分が前記第1のインダクタ内に配置されないように前記第1の金属部品を方向付けるステップと、
(d)前記第1の金属部品の前記第2の部分について実質的にその温度を高め軟化させることなく、前記第1の金属部品の前記第1の部分についてその温度を高めて軟化させるように前記第1のインダクタを通電するステップと、
(e)前記第1の金属部品の前記第1の部分を、空間が介在する前記第2の金属部品の一部分に対して、および前記第2のインダクタに対して軸方向に重なり合う形に配置するステップと、
(f)前記第1の金属部品の前記第1の部分を前記第2の金属部品の前記部分と係合状態に変形させて前記第1の金属部品および前記第2の金属部品を互いに固定するように、前記第2のインダクタを通電するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記ステップ(b)が、予熱用インダクタ内に前記第1の金属部品の前記第1の部分を配置して、前記第1の金属部品の前記第1の部分についてその温度を高めて軟化させるように前記予熱用インダクタを通電することによって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(b)がさらに、冷却装置内に前記第1の金属部品の前記第2の部分を配置することによって行われ、同時に前記予熱用インダクタが前記第1の金属部品の前記第2の部分の温度を実質的に高めるのを防止するように通電される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(b)が、前記第1の金属部品の前記第2の部分の温度を実質的に高めるのを防止するように前記第1の金属部品の前記第2の部分に係合するインサートを有する前記冷却装置を設けることによって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(a)は、前記ステップ(b)が行われた後に前記第1の金属部品の前記第1の部分の内径と実質的に等しい最大直径を有するテーパ面を前記第2の金属部品に付けることによって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップ(b)が前記第2の金属部品の前記部分を予熱するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップ(c)が前記第1の金属部品および第2の金属部品に軸方向力を加えることによって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(c)が、ツーリング・ブッシングの中に前記第2の金属部品を支持して前記ツーリング・ブッシングおよび前記第2の金属部品の前記部分に対して軸方向に重なり合う形で前記第1の金属部品の前記第1の部分を配置することによって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ(a)が駆動軸管および端部取付具を設けることによって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
第1の金属部品および第2の金属部品を互いに固定するための磁気パルス溶接作業を行う方法であって、
(a)パルス・インダクタおよび予熱用インダクタを設けるステップと、
(b)その一部分が前記予熱用インダクタ内に配置されるように前記第1の金属部品を方向付けるステップと、
(c)前記第1の金属部品の隣接部分の加熱を実質的に低減するように前記第1の金属部品の前記部分の温度を高めるために前記予熱用インダクタを通電するステップと、
(d)その加熱された部分が空間が介在する前記第2の金属部品の一部分に対して軸方向に重なり合う形で前記パルス・インダクタの内側に配置されるように前記第1の金属部品を移動させるステップと、
(e)前記第1の金属部品の前記部分を前記第2の金属部品の前記部分に固定するための磁気パルス溶接作業を行うために前記パルス・インダクタを通電するステップと
を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2008−521614(P2008−521614A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543540(P2007−543540)
【出願日】平成17年11月23日(2005.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/042793
【国際公開番号】WO2006/058241
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(500187063)デーナ、コーポレイション (23)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月23日(2005.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/042793
【国際公開番号】WO2006/058241
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(500187063)デーナ、コーポレイション (23)
【Fターム(参考)】
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