説明

第VII凝固因子誘導体

【課題】野生型第VII因子aに比較して同一のまたは増加した活性を有する、新規な凝固第VII因子ポリペプチドおよび血清半減期が増加した第VII因子誘導体の提供。
【解決手段】第VII因子aの生物活性に影響を及ぼさずまたは減少させないで、一次構造に対する変化ならびに他の修飾を可能とする、第VII因子a分子中の領域が同定された。その部位を活用した新規なヒト凝固第VII因子ポリペプチド、第VII因子誘導体ならびにこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物、ベクターおよびポリヌクレオチドを含んでなりかつそれを発現する宿主細胞、ポリヌクレオチド構築物、使用および治療方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なヒト凝固第VII因子誘導体、第VII因子ポリペプチド、ならびにこのようなポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチド構築物、ベクターおよびポリヌクレオチドを含んでなりかつそれを発現する宿主細胞、第VII因子誘導体を含んでなる医薬組成物、使用および治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液凝固は、究極的にフィブリンクロットを生ずる種々の血液成分 (または因子) の複雑な相互作用から成るプロセスである。一般に、血液成分は、凝固「カスケード」と言及されてきている事象に参加し、酵素的に不活性であるタンパク質 (プロ酵素またはチモーゲン) であり、これらはアクチベーター (それ自体は活性化された凝固因子である) の作用によりタンパク質分解酵素に変換される。このような変換を行った凝固因子は一般に「活性因子」と呼ばれ、凝固因子の名称に文字「a」を付加することによって表示される (例えば、第VII因子a)。
【0003】
止血プロセスの開始は、血管に対する損傷の結果として暴露される組織因子と、第VII因子aとの間の複合体の形成により仲介される。次いで、複合体は因子IXおよびXをそれらの活性形態に変換する。因子Xaは組織因子を支持する細胞上で制限された量のプロトロンビンをトロンビンの変換する。トロンビンは血小板および因子VおよびVIIIを因子VaおよびVIIIaに活性化し、両方は完全なトロンビン破裂に導くそれ以上のプロセスにおけるコファクターである。このプロセスは因子IXa (第VII因子Iaと複合する) による因子Xaの発生を含み、活性化された血小板表面上で起こる。トロンビンは最終的にフィブリノゲンをフィブリンに変換して、フィブリンクロットを形成する。
【0004】
第VII因子は、一本鎖チモーゲンとして血液中を循環する、微量血漿糖タンパク質である。チモーゲンは触媒的に不活性である。一本鎖第VII因子は、in vitroにおいて因子Xa、因子XIIa、因子IXa、第VII因子aまたはトロンビンにより二本鎖第VII因子aに変換可能である。因子Xaは第VII因子の主要な生理学的アクチベーターであると考えられる。チモーゲン第VII因子の活性化された二本鎖分子への変換は、内部のArg152−Ile153ペプチド結合の切断により起こる。
【0005】
被検体において凝固カスケードを刺激するか、あるいは選択的にブロックすることはしばしば望ましい。第VII因子aはいくつかの症例、例えば凝固因子の欠乏 (例えば、血友病AおよびBまたは凝固因子XIまたはVIIの欠乏) または凝固因子インヒビターを有する出血性障害を抑制するために使用されてきている。また、第VII因子aは正常に機能する血液凝固カスケードを有する (凝固因子の欠乏または凝固因子のいずれかに対するインヒビターをもたない) 被検体において起こる過度の出血を抑制するために使用されてきている。このような出血は、例えば、血小板機能の欠陥、血小板減少症またはフォン・ウィルブランド病により引き起こされることがある。また、出血は外科手術および組織損傷の他の形態と関連する、主要な問題である。
【0006】
欧州特許No. 200,421 (ZymoGenetics) は、ヒト第VII因子をコードするヌクレオチド配列および哺乳動物細胞における第VII因子の組換え発現に関する。
Dickinson他 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93、14379−14379、1996) は、Lys 157、Val 158、Glu 296、Met 298、Asp 334、Ser 336またはLys 337がAlaにより個々に置換されている、第VII因子ポリペプチドに関する。Iwanaga他 (Thrombo. Haemost. (supplement august 1999) 466、abstract 1474) は、残基316〜320が欠失されているか、あるいは残基311〜322がトリプシンからの対応する残基で置換されている、第VII因子a変異型に関する。
【0007】
抗凝固剤、例えば、ヘパリン、クマリン、クマリン誘導体、インダンジオン誘導体、または他の抗凝固剤を使用して、例えば、腎臓透析の間に患者における凝固カスケードを選択的にブロックするか、あるいは深静脈血栓、汎発生血管内凝固症候群 (DIC)、および他の医学的障害の宿主を治療するために使用することができる。例えば、ヘパリン治療またはクエン酸塩イオンを使用する体外治療 (米国特許第4,500,309号) を透析において使用して、治療の過程間の凝固を防止することができる。また、外科手術を実施している患者における深静脈血栓の防止において使用される。
【0008】
しかしながら、ヘパリンおよび他の抗凝固剤を使用する治療は望ましくない副作用を引き起こすことがある。一般に、入手可能な抗凝固剤は、特異的に凝固部位に作用するよりむしろ、体を通して作用する。例えば、ヘパリンは重度の出血を引き起こすことがある。さらに、ほぼ10分の半減期で、ヘパリンは血液から急速に除去され、頻繁な投与を必要とする。ヘパリンはアンチトロンビンIII (AT III) として作用し、そしてAT IIIはDIC治療において急速に消耗されるので、適切なヘパリン投与量を維持することはしばしば困難であり、AT IIIおよびヘパリンのレベルを連続的にモニターすることを必要とする。また、AT IIIの消耗が極端である場合、ヘパリンは無効である。さらに、ヘパリンの延長した使用はまた血小板凝固を増加させ、血小板計数を減少させることがあり、そして骨粗しょう症の発生に関係付けられてきた。また、インダンジオン誘導体は毒性副作用を有することがある。
【0009】
簡単に前述した抗凝固剤に加えて、いくつかの天然に存在するタンパク質は抗凝固活性を有することが見出された。例えば、Reutelingsperger (米国特許第4,736,018号) は、ウシ大動脈およびヒト臍静動脈から抗凝固性タンパク質を単離した。Maki他 (米国特許第4,732,891号) はヒト胎盤由来抗凝固性タンパク質を開示している。AT IIIは治療的抗凝固剤として提案された (Schipper他、Lancet 1 (8069);Jordan、米国特許第4,386,025号;Bock他、米国特許第4,517,294号)。
【0010】
血管形成、血管内膜切除またはバイパス移植により治療された患者の約30%またはそれより多くにおいて、血栓および/または内膜における平滑筋細胞の増殖は血管の再閉塞を引き起こし、結局再建手術の失敗を引き起こす。この手術後の血管閉鎖は再狭窄として知られている。再狭窄は、血小板沈着および血栓の形成、走化因子および抗原因子の解放、および拡大動脈セグメントの中への血管平滑筋細胞の移動および増殖を包含する、生物学的プロセスの複雑な相互作用から生ずると考えられる。
【0011】
機械的損傷部位における血小板蓄積を抑制すると、ヒト被検体における再狭窄速度を制限することができる。血小板蓄積は急性血管外傷部位において起こるが、これらは部位におけるトロンビンの発生は血小板の活性化および引き続く血小板蓄積の原因となることがある。
国際出願No. WO 92/15686は、不活性化第VII因子a、ポリ核酸および不活性化第VII因子を産生する哺乳動物細胞系統、および血液凝固を抑制する不活性化第VII因子aを含んでなる組成物に関する。
【0012】
国際出願No. WO 94/27631は、血管再狭窄、組織因子活性、および血小板沈着を抑制する方法に関する。
国際出願No. WO 96/12800は、組織プラスミノーゲンアクチベーターまたはストレプトキナーゼと組み合わせて不活性化第VII因子aを含んでなる組成物を個体に投与することを含んでなる、冠状動脈の急性閉鎖を治療する方法に関する。
【0013】
循環の中に導入された大部分のタンパク質は、腎臓により哺乳動物被検体から急速に除去される。この問題はより多い量のタンパク質を投与するか、あるいは反復投与により部分的に克服することができる。しかしながら、より多い投与量のタンパク質は抗体を誘発し、このような抗体はタンパク質と結合し、タンパク質を不活性化し、および/または被検体の体からのクリアランスを促進する。治療タンパク質の反復投与は本質的に無効であり、アレルギー反応を誘発することがあるので、危険であることがある。
【0014】
タンパク質治療に関連する問題を解決する種々の試みは、マイクロカプセル化、リポソーム送達システム、融合タンパク質の投与、および化学的修飾を包含する。今日までこれらの最も有望な試みは、ポリアルキレンオキシドプライマー、特にポリエチレングリコール (PEG) の共有結合により、治療タンパク質を修飾することである。例えば、米国特許第4,179,337号は、タンパク質に結合したPEGまたはポリプロピレングリコールを使用して、生理学的に活性な非免疫原性水溶性ポリペプチド組成物を形成することを開示している。Nucci他は、アデノシンデアミナーゼ、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α2b (IFN−α2b) 、スーパーオキシドジスムターゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター (tPA)、ウロキナーゼ、ウリカーゼ、ヘモグロビン、インターロイキン、インターフェロン、TGF−β、EGF、および他の増殖因子を包含するPEGの付加により修飾された、いくつかのタンパク質を記載している (Nucci他、1991、Adv. Drug Delivery Rev. 4:133−151)。これらのような試みは、多少タンパク質の半減期を延長し、そしてタンパク質免疫原性を減少させた。
【0015】
典型的には、タンパク質のPEG化は、タンパク質表面上のリシン残基と反応する官能基でPEGを活性化することを含む。タンパク質の修飾が完結する場合、タンパク質の活性は通常喪失する。タンパク質の部分的PEG化を可能とする修飾手法は通常活性をわずかに約50%喪失させ、血清半減期を大きく増加させるので、タンパク質の全体の有効投与量はより低い。
【0016】
タンパク質PEG化法の最近の開発において、タンパク質のチオール基と反応する活性化PEG試薬を使用し、システインに対するPEGの共有結合を生じさせ、この残基はタンパク質の天然に存在するリシンの代わりに挿入された。Shaw他 (米国特許第5,166,322号) は、天然に存在するアミノ酸配列内の特異的部位に導入されたシステインを有するIL−3の特異的変異型を記載している。次いでスルフヒドリル反応性成分 (例えば、活性化ポリエチレングリコール) をIL−3変異型との反応によりこれらのシステインに結合させる。Katre他 (米国特許第5,206,344号) は、天然に存在するアミノ酸配列内の特異的部位に導入されたシステインを有するIL−2の特異的変異型を記載している。引き続いてIL−2変異型を活性化ポリエチレングリコール試薬と反応させて、この部分をシステインに結合させる。
【0017】
延長された前凝固または抗凝固活性を有する、改良された第VII因子ポリペプチドがこの分野において要求されている。特に、慣用の療法に関連する、それぞれ凝固系の全身的活性化および出血のような、望ましくない副作用を発生させないで、血清半減期が増加し、そして大量のタンパク質の反復投与を回避するように、比較的低い投与量で投与することができる、改良された第VII因子ポリペプチドが要求されている。
【発明の概要】
【0018】
本発明は、野生型第VII因子aに比較して同一のまたは増加した活性を有する、新規な凝固第VII因子ポリペプチドおよび血清半減期が増加した第VII因子誘導体に関する。
第VII因子aの生物活性に影響を及ぼさずまたは減少させないで、一次構造に対する変化ならびに他の修飾を可能とする、第VII因子a分子中の領域が同定された。組織因子または因子Xに対する結合に関係しないことが同定された、第VII因子aの構造内の領域は、配列番号1の247〜260および393〜406のアミノ酸位置を含む。詳しくは、配列番号1の位置Q250、R396、およびP406におけるアミノ酸は、システイン (Cys) 残基の導入について分析された。Cys残基を導入し、次いで化学基、例えば、ポリエチレングリコール (PEG) と結合させて、第VII因子誘導体の循環半減期を増加させる。
【0019】
また、システインを配列番号1のC末端配列 (407Cと呼ぶ) の中に導入し、次いでPEGを結合させる。また、配列番号1のC末端配列中にシステインを付加するとき、第VII因子aポリペプチドのタンパク質分解活性は減少しない。これらの第VII因子誘導体、例えば、PEG分子と結合した第VII因子ポリペプチドは、第VII因子ポリペプチドの延長した作用が望ましい場合、例えば、第VII因子ポリペプチドの反復投与またはより多い投与量が不都合であるかまたは問題である場合、治療的に有用である。さらに、タンパク質分解活性に影響を及ぼさない、第VII因子a分子の位置において化学基と結合することができるアミノ酸 (例えば、Cys残基) を有する本発明の第VII因子aポリペプチドを使用して、第VII因子の複合体の官能基を導入することができる。
【0020】
第1の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドであって、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子ポリペプチドに関する。
【0021】
第2の面において、本発明は、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択された位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドに関する。配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択された位置におけるアミノ酸は、第VII因子ポリペプチドの活性を実質的に減少させないで、異なるアミノ酸で置換することができることを理解すべきである。
【0022】
第3の面において、本発明は、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドに関する。R396、Q250またはP406中の最初の文字は配列番号1の示した位置に自然に存在するアミノ酸を表すことを理解すべきである。
【0023】
それ以上の面において、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドであって、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置において挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子ポリペプチドに関する。アミノ酸は、いずれのアミノ酸をも置換させないで、配列番号1の配列内に挿入できることを理解すべきである。アミノ酸の挿入は、アミノ酸がさらに置換されている、配列番号1の配列内の同一位置であることがある。こうして、1つの態様において、アミノ酸の挿入、次いでアミノ酸の置換であるか、あるいはその逆である。
【0024】
それ以上の面において、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型ことを含んでなる第VII因子ポリペプチドに関する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、正しくプロセシングされたヒト凝固第VII因子、アミノ酸1〜406の構造を示す。ここでガンマカルボキシル化Glu−残基 (γ) およびグリコシル化 (*) が示される。アミノ酸残基152における矢印は、一本鎖第VII因子が切断されて活性化された二本鎖第VII因子 (FVIIa) に変換される部位を示す。
【図2】図2は、組換えヒト第VII因子ポリペプチドの発現のためのプラスミドの構築を示す。プラスミドpLN174は、結合したポリペプチドが第VII因子と自然にアソシエートしたヒト第VII因子を発現する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
用語「アミノ酸」は、本明細書において使用するとき、1または2以上のアミノ酸を意味する。第VII因子ポリペプチド中のアミノ酸を置換する、または第VII因子ポリペプチドの中に挿入されるまたは付加されるアミノ酸は、第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を増加させる化学基と結合することができることを理解すべきである。この化学基との結合は下記のものを包含するが、これらに限定されない:ポリエチレングリコール (PEG)、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリ−(N−ビニルピロリドン) ポリエチレングリコール、プロピレングリコールのホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドのコポリマー、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレル化ポリオール (例えば、グリセロール) およびポリビニルアルコール、コロミン酸または他の炭水化物をベースとするポリマー、アミノ酸のポリマー、およびビオチン誘導体の共有結合。
【0027】
好ましくは、化学基は生物適合性、無毒、非免疫原性および水溶性ポリマーである。好ましくは、化学基はすべての比率で水溶性である。
アミノ酸の置換、挿入、または付加および化学基との結合は、組換え野生型ヒト第VII因子aと比較して、第VII因子誘導体の不活性化された形態の前凝固活性を実質的に減少させない。
用語「第VII因子ポリペプチド」は、本明細書において使用するとき、自然ヒト第VII因子 (配列番号1) またはその変異型のアミノ酸配列1〜406を含んでなる任意のタンパク質を意味する。これはヒト第VII因子、ヒト第VII因子aおよびそれらの変異型を包含するが、これらに限定されない。
【0028】
用語「第VII因子」または「FVII」は、本明細書において使用するとき、非活性化形態 (第VII因子) から成る生成物を意味する。用語「第VII因子a」または「FVIIa」は、本明細書において使用するとき、活性化形態 (第VII因子a) から成る生成物を意味する。これは自然ヒト第VII因子または第VII因子aのアミノ酸配列1〜406を有するタンパク質を包含する。また、それはわずかに修飾されたアミノ酸配列、例えば、N末端アミノ酸の欠失または付加を含む修飾されたN末端を有するタンパク質を包含し、ただしこれらのタンパク質は第VII因子aの活性を実質的に保持する。また、前述の定義の範囲内の「第VII因子」または「第VII因子a」は、個々に存在または発生することができる自然のアレレ変形を包含する。また、グリコシル化または他の翻訳後の修飾の程度および位置は、選択された宿主細胞および宿主細胞の環境の特質に依存して変化するであろう。
【0029】
用語「変異型」は、本明細書において使用するとき、親タンパク質の1または2以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されている、および/または親タンパク質の1または2以上のアミノ酸が欠失されている、および/または1または2以上のアミノ酸がタンパク質の中に挿入されている、および/または1または2以上のアミノ酸が親タンパク質に付加されている、配列番号1の配列を有するヒト第VII因子を表示することを意図する。このような付加は親タンパク質のN末端またはC末端または両方において起こることができる。
【0030】
用語「組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性」は、本明細書において使用するとき、組換え野生型ヒト第VII因子aの活性の70%より大きい活性を意味する。1つの態様において、活性は組換え野生型ヒト第VII因子aの活性の80%より大きい。他の態様において、活性は組換え野生型ヒト第VII因子aの活性の90%より大きい。それ以上の態様において、活性は組換え野生型ヒト第VII因子aの活性の100%より大きい。それ以上の態様において、活性は組換え野生型ヒト第VII因子aの活性の120%より大きい。それ以上の態様において、活性は組換え野生型ヒト第VII因子aの活性の200%より大きい。それ以上の態様において、活性は組換え野生型ヒト第VII因子aの活性の400%より大きい。
【0031】
用語「第VII因子誘導体」は、本明細書において使用するとき、親タンパク質のアミノ酸の1または2以上が化学的に修飾されている、例えば、アルキル化、PEG化、アシル化、エステル生成またはアミド生成またはその他により修飾されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを表示することを意図する。これはPEG化ヒト第VII因子a、システイン−PEG化ヒト第VII因子aおよびそれらの変異型を包含するが、これらに限定されない。
用語「PEG化ヒト第VII因子a」は、ヒト第VII因子aポリペプチドのアミノ酸に結合したPEG分子を有する第VII因子aを意味する。
【0032】
用語「システイン−PEG化ヒト第VII因子a」は、ヒト第VII因子aの中に導入されたシステインのスルフヒドリル基に結合したPEG分子を有する第VII因子aを意味する。
用語「異なるアミノ酸」は、本明細書において使用するとき、その位置に天然に存在するアミノ酸と異なる1または2以上のアミノ酸を意味する。これはポリヌクレオチドによりコードされることができるアミノ酸を包含するが、これらに限定されない。好ましくは、異なるアミノ酸は天然のL−型であり、ポリヌクレオチドによりコードされることができる。特定の例はL−システイン (Cys) である。
【0033】
用語「活性」は、本明細書において使用するとき、その基質因子Xを活性因子Xaに変換する第VII因子ポリペプチドの能力を意味する。第VII因子ポリペプチドの活性は、「in vitroタンパク質分解アッセイ」(実施例6参照) を使用して測定することができる。
用語「ポリエチレングリコール」または「PEG」は、カップリング因子を含むか、あるいは含まない、ポリエチレングリコール化合物またはその誘導体のカップリングまたは活性化部分 (例えば、チオール、トリフレート、トレシレート、アジリジン、オキシラン、または好ましくはマレイミドをもつ) を意味する。マレイミドモノメトキシポリエチレングリコールのような化合物は、本発明の活性化PEG化合物の例である。
【0034】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体であって、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子誘導体に関する。
用語「化学基」は、本明細書において使用するとき、1または2以上の化学基を意味する。
【0035】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体であって、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択される位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子誘導体に関する。
【0036】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体であって、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するここでアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子誘導体に関する。
【0037】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体であって、ここで化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内に挿入されており、前記アミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子誘導体に関する。
【0038】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体であって、ここでアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されており、前記アミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子誘導体に関する。
【0039】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体を含んでなる組成物であって、ここでアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、組成物に関する。
【0040】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体を含んでなる組成物であって、ここで配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択される位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、組成物に関する。
【0041】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体を含んでなる組成物であって、ここで配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、組成物に関する。
【0042】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体を含んでなる組成物であって、ここで化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内に挿入されており、前記アミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、組成物に関する。
【0043】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体を含んでなる組成物であって、ここでアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されており、前記アミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、組成物に関する。
【0044】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物であって、ここでアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、医薬組成物に関する。
【0045】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物であって、ここで配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択される位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、医薬組成物に関する。
【0046】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物であって、ここで配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、医薬組成物に関する。
【0047】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物であって、ここで化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内に挿入されており、前記アミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内に挿入されており、前記アミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、医薬組成物に関する。
【0048】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物であって、ここでアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されており、前記アミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、医薬組成物に関する。
【0049】
それ以上の面において、本発明は、第VII因子ポリペプチドがその触媒中心においてさらに修飾されており、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害する、不活性化第VII因子ポリペプチドに関する。1つの態様において、不活性化第VII因子ポリペプチドはその触媒中心においてセリンプロテアーゼインヒビターで修飾されている。それ以上の面において、不活性化第VII因子ポリペプチドはその触媒中心において下記から成る群から選択されるペプチドハロメチルケトンで修飾されている:
【0050】
Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、 D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、D−Phe−Phe−ArgクロロメチルケトンPhe−Pro−Argクロロメチルケトン、D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、L−Glu−Gly−ArgクロロメチルケトンおよびD−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン、ダンシル−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−L−Glu−Gly−Argクロロメチルケトンおよびダンシル−D−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン。
【0051】
用語「不活性化第VII因子ポリペプチド」は、本明細書において使用するとき、血漿因子XまたはIXを活性化する能力をもたない第VII因子ポリペプチドを意味する。
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、不活性化第VII因子誘導体に関する。
【0052】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、不活性化第VII因子誘導体に関する。
【0053】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択される位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、不活性化第VII因子誘導体に関する。
【0054】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、不活性化第VII因子誘導体に関する。
【0055】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置に挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、不活性化第VII因子誘導体に関する。
【0056】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、不活性化第VII因子誘導体に関する。
【0057】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物であって、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、組成物に関する。
【0058】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物であって、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、組成物に関する。
【0059】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物であって、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択される位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、組成物に関する。
【0060】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物であって、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、組成物に関する。
【0061】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物であって、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置に挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、組成物に関する。
【0062】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物であって、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、組成物に関する。
【0063】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物であって、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、医薬組成物に関する。
【0064】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物であって、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、医薬組成物に関する。
【0065】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物であって、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択される位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、医薬組成物に関する。
【0066】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物であって、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、医薬組成物に関する。
【0067】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物であって、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置に挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、医薬組成物に関する。
【0068】
それ以上の面において、本発明は、不活性化第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物であって、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、医薬組成物に関する。
【0069】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物であって、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、ポリヌクレオチド構築物に関する。
【0070】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択された位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物に関する。
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物に関する。
【0071】
それ以上の面において、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物であって、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置において挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、ポリヌクレオチド構築物に関する。
それ以上の面において、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型ことを含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物に関する。
【0072】
1つの態様において、ポリヌクレオチド構築物はベクターである。
用語「ポリヌクレオチド」は、5’ から3’ 末端の方向に読んでデオキシヌクレオチドまたはリボヌクレオチド塩基の一本鎖または二本鎖ポリマーを意味する。ポリヌクレオチドはRNAおよびDNAを包含し、天然源から単離し、in vitroで合成し、または天然分子および合成分子の組み合わせから製造することができる。ポリヌクレオチド分子の長さは本明細書においてヌクレオチド (略号「nt」) または塩基対 (略号「bp」) で記載される。用語「ヌクレオチド」は、関係が許す場合、一本鎖および二本鎖の両方に使用される。この用語を二本鎖分子に適用するとき、それは全体の長さを意味するために使用し、用語「塩基対」と等しいことが理解されるであろう。二本鎖ポリヌクレオチドの2つの鎖は長さがわずかに異なり、そしてそれらの末端は酵素的切断の結果として食い違うことがあることを当業者は認識するであろう;こうして二本鎖ポリヌクレオチド分子内のすべてのヌクレオチドは対ではないことがある。このような不対末端は一般に20ヌクレオチド長さを超えない。
【0073】
用語「ベクター」は、本明細書において使用するとき、宿主細胞中で増幅することができる任意の核酸実在物を意味する。こうして、ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち、染色体外実在物として存在するベクターであることができ、その複製は染色体の複製に対して独立であり、例えば、プラスミドである。選択的に、ベクターは、宿主細胞の中に導入するとき、宿主細胞ゲノムの中に組込まれ、それが組込まれた1または2以上の染色体と一緒に複製するものであることができる。ベクターの選択はしばしばそれが導入された宿主細胞に依存する。ベクターはプラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスまたはコスミドベクターを包含するが、これらに限定されない。ベクターは通常複製起点および少なくとも1つの選択可能な遺伝子、すなわち、容易に検出可能である生成物をコードし、またはその存在が細胞増殖に必須である遺伝子を含有する。
【0074】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞であって、ここでアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、ポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞に関する。
【0075】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択された位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞に関する。
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞に関する。
【0076】
それ以上の面において、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞であって、ここで化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置において挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、ポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞に関する。
【0077】
それ以上の面において、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型ことを含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞に関する。
【0078】
用語「真核宿主細胞」は、本明細書において使用するとき、異種DNAを発現することができる、ハイブリッド細胞を包含する、任意の細胞を表す。典型的な宿主細胞は下記のものを包含するが、これらに限定されない:昆虫細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、例えばヒト細胞、例えば、BHK、CHO、HEK、およびCOS細胞。本発明の実施において、培養する宿主細胞は好ましくは哺乳動物細胞、より好ましくは確立された哺乳動物細胞系統であり、下記のものを包含するが、これらに限定されない:CHO (例えば、ATCC CCL 61)、COS−1 (例えば、ATCC CRL 1650)、ベイビーハムスター腎 (BHK) およびHEK 293 (例えば、ATCC CRL 1573;Graham他、J. Gen. Virol. 36;59−72、1977) 細胞系統。
【0079】
好ましいBHK細胞系統はtk-ts13 BHK細胞系統(WaechterおよびBaserga、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:1106−1110、1982) であり、以後においてBHK 570細胞と呼ぶ。BHK 570細胞系統はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション (American Type Culture Collection) (米国マリイランド州20852、ロックビレパークローンドライブ12301) からATCC受け入れ番号CRL 10314で入手可能である。また、tk-ts13 BHK細胞系統はATCCから受け入れ番号CRL 1632で入手可能である。
【0080】
他の適当な細胞系統は下記のものを包含するが、これらに限定されない:Rat Hep I (ラット肝癌; ATCC CRL 1600)、Rat Hep II (ラット肝癌; ATCC CRL 1548)、TCMK (ATCC CCL 139)、ヒト肺 (ATCC HB 8065)、NCTC 1469 (ATCC CCL 9.1) およびDUKX細胞 (UriaubおよびChasin、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216−4220、1980)。また、3T3細胞系統、Namalwa細胞、骨髄腫細胞および骨髄腫細胞と他の細胞との融合物は有用である。1つの態様において、真核宿主細胞は哺乳動物由来である。それ以上の態様において、真核宿主細胞はCHO細胞、BHK細胞またはHEK細胞から成る群から選択される。
【0081】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物であって、ここでアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、トランスジェニック動物に関する。
【0082】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択された位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物に関する。
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物に関する。
【0083】
それ以上の面において、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物であって、ここで化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置において挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、トランスジェニック動物に関する。
それ以上の面において、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型ことを含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物に関する。
【0084】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物であって、ここでアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、トランスジェニック植物に関する。
【0085】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択された位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物に関する。
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物に関する。
【0086】
それ以上の面において、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物であって、ここで化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置において挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、トランスジェニック植物に関する。
【0087】
それ以上の面において、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型ことを含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物に関する。
【0088】
それ以上の面において、本発明は、ポリヌクレオチド構築物からのタンパク質合成を可能とする条件下に適当な成長培地中で、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞を培養し、ここでアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、そして培地から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0089】
それ以上の面において、本発明は、ポリヌクレオチド構築物からのタンパク質合成を可能とする条件下に適当な成長培地中で、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択された位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞を培養し、そして培地から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0090】
それ以上の面において、本発明は、ポリヌクレオチド構築物からのタンパク質合成を可能とする条件下に適当な成長培地中で、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞を培養し、そして培地から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0091】
それ以上の面において、ポリヌクレオチド構築物からのタンパク質合成を可能とする条件下に適当な成長培地中で、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞を培養し、ここで化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置において挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、そして培地から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0092】
それ以上の面において、ポリヌクレオチド構築物からのタンパク質合成を可能とする条件下に適当な成長培地中で、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型ことを含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞を培養し、そして培地から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0093】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物が産生した乳から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなり、ここでアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0094】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択された位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物が産生した乳から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0095】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物が産生した乳から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0096】
それ以上の面において、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物が産生した乳から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなり、ここで化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置において挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0097】
それ以上の面において、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型ことを含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物が産生した乳から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0098】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物の細胞を培養し、ここでアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、そして生ずる植物から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0099】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択された位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物の細胞を培養し、そして生ずる植物から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0100】
それ以上の面において、本発明は、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物の細胞を培養し、そして生ずる植物から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0101】
それ以上の面において、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物を培養し、ここで化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置において挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、トランスジェニック植物の細胞を培養し、そして生ずる植物から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0102】
それ以上の面において、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型ことを含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物の細胞を培養し、そして生ずる植物から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、第VII因子ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0103】
それ以上の面において、本発明は、工程:
a) 第VII因子ポリペプチドを製造し、
b) 第VII因子ポリペプチドを化学基と結合させ、
c) 第VII因子誘導体をカチオン交換クロマトグラフィーまたはゲル濾過カラムに適用し、そして
d) 第VII因子誘導体を溶離する、
を含んでなる、第VII因子誘導体を製造する方法に関する。
【0104】
それ以上の面において、本発明は、工程:
a) 第VII因子ポリペプチドを製造し、
b) 第VII因子ポリペプチドをその触媒中心においてセリンプロテアーゼインヒビターで修飾し、
c) 不活性化第VII因子ポリペプチドを化学基と結合させ、
d) 不活性化第VII因子誘導体をカチオン交換クロマトグラフィーまたはゲル濾過カラムに適用し、そして
e) 不活性化第VII因子誘導体を溶離する、
ことを含んでなる、不活性化第VII因子誘導体を製造する方法に関する。
【0105】
本発明の1つの態様において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、ポリヌクレオチド構築物からのタンパク質合成を可能とする条件下に適当な成長培地中で、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞を培養し、ここでアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、そして培地から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0106】
本発明のそれ以上の面において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、ポリヌクレオチド構築物からのタンパク質合成を可能とする条件下に適当な成長培地中で、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択された位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞を培養し、そして培地から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0107】
本発明のそれ以上の面において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、ポリヌクレオチド構築物からのタンパク質合成を可能とする条件下に適当な成長培地中で、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞を培養し、そして培地から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0108】
本発明のそれ以上の面において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、ポリヌクレオチド構築物からのタンパク質合成を可能とする条件下に適当な成長培地中で、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞を培養し、ここで化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置において挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、そして培地から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0109】
本発明のそれ以上の面において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、ポリヌクレオチド構築物からのタンパク質合成を可能とする条件下に適当な成長培地中で、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型ことを含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞を培養し、そして培地から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0110】
本発明のそれ以上の面において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物が産生した乳から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなり、ここでアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0111】
本発明のそれ以上の面において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択された位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物が産生した乳から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0112】
本発明のそれ以上の面において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物が産生した乳から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0113】
本発明のそれ以上の面において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物が産生した乳から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなり、ここで化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置において挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0114】
本発明のそれ以上の面において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型ことを含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物が産生した乳から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0115】
本発明のそれ以上の面において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物の細胞を培養し、ここでアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、そして生ずる植物から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0116】
本発明のそれ以上の面において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択された位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物の細胞を培養し、そして生ずる植物から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0117】
本発明のそれ以上の面において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物の細胞を培養し、そして生ずる植物から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0118】
本発明のそれ以上の面において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物を培養し、ここで化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置において挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、トランスジェニック植物の細胞を培養し、そして生ずる植物から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0119】
本発明のそれ以上の面において、第VII因子ポリペプチドを製造する方法は、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型ことを含んでなる第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物の細胞を培養し、そして生ずる植物から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0120】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血系を増強する薬剤を製造するための第VII因子誘導体の使用に関し、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体は組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0121】
用語「治療」は、本明細書において使用するとき、症候または疾患状態が発生するのを防止する目的でまたは既に発生した症候または疾患状態を治癒または軽減する目的で、有効量の治療的に活性な化合物を投与することを意味する。こうして、用語「治療」は予防的治療を包含することを意味する。
用語「正常の止血系を増強する」は、トロンビンを発生する能力を増強することを意味する。
【0122】
本明細書において使用するとき、用語「出血性障害」は、出血において発現される細胞または分子由来の、先天性、後天性または誘導された任意の欠陥を反映する。例は凝固因子欠乏 (例えば、血友病AおよびBまたは凝固因子XIまたはVIIの欠乏)、凝固因子インヒビター、欠陥性血小板機能、血小板減少症またはフォン・ウィルブランド病である。
【0123】
用語「出血エピソード」は、手術および組織損傷の他の形態の両方において主要な問題である、コントロールされないおよび過度の出血を包含することを意味する。コントロールされないおよび過度の出血は、正常の凝固系を有する被検体および凝固または出血性障害を有する被検体において起こることがある。凝固因子の欠乏 (血友病AおよびB、凝固因子XIおよびVIIの欠乏) または凝固因子インヒビターは、出血性障害の原因であることがある。また、過度の出血は正常に機能する血液凝固カスケード (凝固因子の欠乏または凝固因子に対するインヒビターをもたない) を有する被検体において起こり、そして欠陥のある血小板機能、血小板減少症またはフォン・ウィルブランド病により引き起こされることがある。
【0124】
このような場合において、出血は血友病により引き起こされる出血に類似することがある。なぜなら、止血系は、血友病におけるように、主要出血を引き起こす異常な必須の凝固「化合物」(例えば、血小板またはフォン・ウィルブランド因子のタンパク質) を欠如するか、あるいは有するからである。手術または非常に大きい外傷に関連して広範な組織損傷を経験する被検体において、正常の止血メカニズムは即時の止血の要求により圧倒され、そして被検体は正常の止血メカニズムにかかわらず出血を発生することがある。また、外科的止血の可能性が制限される脳、内耳領域および眼のような器官において出血が起こるとき、満足すべき止血の達成は問題である。同一の問題は、種々の器官 (例えば、肝臓、腫瘍組織、胃腸管) から生検材料を取るプロセスにおいて、ならびに腹腔鏡を使用する外科手術において、同一の問題が発生する。
【0125】
外科的技術 (縫合糸、クリップ、およびその他) により止血を提供することは、すべてのこのような状況において普通であり、これはまた出血が拡散性である場合である。また、与えられた治療により欠陥性止血が誘導された被検体において、抗凝固治療を行うとき、急性およびおびただしい出血が起こることがある。このような被検体は、抗凝固作用を急速に中和しなくてはならない場合において、外科的関与を必要とすることがある。根治的恥骨後前立腺切除は、局在化前立腺癌の被検体について普通に実施される手法である。手術は有意な、時には大量の血液損失によりしばしば複雑化する。
【0126】
前立腺切除間のかなりの血液損失は主として複雑な解剖学的状況に関係し、種々の密に血管化した部位を伴い、これらの部位は外科的止血のために容易にアクセスできず、そして大きい領域からの拡散性出血を生ずることがある。不満足の止血の場合において問題を引き起こすことがある他の状況は、止血メカニズムが正常である被検体に抗凝固治療を与えて血栓塞栓障害を予防するときである。このような治療はヘパリン、他の形態のプロテオグリカン、ワルファリンまたは他の形態のビタミンK−アンタゴニストならびにアスピリンおよび他の血小板凝集インヒビターを包含することができる。
【0127】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血系を増強する薬剤を製造するための第VII因子誘導体の使用に関し、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択される位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0128】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血系を増強する薬剤を製造するための第VII因子誘導体の使用に関し、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0129】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血系を増強する薬剤を製造するための第VII因子誘導体の使用に関し、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内に挿入されており、前記アミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0130】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血系を増強する薬剤を製造するための第VII因子誘導体の使用に関し、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されており、前記アミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0131】
本発明の1つの態様において、出血は血友病AまたはBに関連する。他の態様において、出血は後天性インヒビターを有する血友病に関連する。他の態様において、出血は血小板減少症に関連する。他の態様において、出血はフォン・ウィルブランド病に関連する。他の態様において、出血は重症の組織損傷に関連する。他の態様において、出血は重症の外傷に関連する。他の態様において、出血は外科手術に関連する。他の態様において、出血は腹腔鏡検査的外科手術に関連する。他の態様において、出血は出血性胃炎に関連する。他の態様において、出血はおびただしい子宮出血である。他の態様において、出血は機械的止血の可能性が制限された器官において起こる。他の態様において、出血は脳、内耳領域または眼において起こる。他の態様において、出血は生検材料を取るプロセスに関連する。他の態様において、出血は抗凝固治療に関連する。
【0132】
用語「被検体」は、本明細書において使用するとき、任意の動物、特に哺乳動物、例えば、ヒトを意味することを意図し、そして、適当ならば、用語「患者」と互換的に使用することがある。
【0133】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血系を増強する薬剤を製造するための第VII因子誘導体の使用に関し、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体は組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0134】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血系を増強する薬剤を製造するための第VII因子誘導体の使用に関し、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択される位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0135】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血系を増強する薬剤を製造するための第VII因子誘導体の使用に関し、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0136】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血系を増強する薬剤を製造するための第VII因子誘導体の使用に関し、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内に挿入されており、前記アミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0137】
それ以上の面において、本発明は、出血性エピソードを治療しまたは正常の止血系を増強する薬剤を製造するための第VII因子誘導体の使用に関し、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されており、前記アミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0138】
それ以上の面において、本発明は、被検体における出血性エピソードまたは出血性障害を治療しまたは正常の止血系を増強する方法に関し、前記方法はそれを必要とする被検体に治療または予防的に有効量の第VII因子誘導体を投与することを含んでなり、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体は組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0139】
それ以上の面において、本発明は、被検体における出血性エピソードまたは出血性障害を治療しまたは正常の止血系を増強する方法に関し、前記方法はそれを必要とする被検体に治療または予防的に有効量の第VII因子誘導体を投与することを含んでなり、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択される位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0140】
それ以上の面において、本発明は、被検体における出血性エピソードまたは出血性障害を治療しまたは正常の止血系を増強する方法に関し、前記方法はそれを必要とする被検体に治療または予防的に有効量の第VII因子誘導体を投与することを含んでなり、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0141】
それ以上の面において、本発明は、被検体における出血性エピソードまたは出血性障害を治療しまたは正常の止血系を増強する方法に関し、前記方法はそれを必要とする被検体に治療または予防的に有効量の第VII因子誘導体を投与することを含んでなり、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内に挿入されており、前記アミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0142】
それ以上の面において、本発明は、被検体における出血性エピソードまたは出血性障害を治療しまたは正常の止血系を増強する方法に関し、前記方法はそれを必要とする被検体に治療または予防的に有効量の第VII因子誘導体を投与することを含んでなり、ここで前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されており、前記アミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
【0143】
それ以上の面において、本発明は、患者における血栓の形成を抑制する薬剤を製造するための不活性化第VII因子誘導体の使用に関し、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる。
【0144】
それ以上の面において、本発明は、患者における血栓の形成を抑制する薬剤を製造するための不活性化第VII因子誘導体の使用に関し、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる。
【0145】
それ以上の面において、本発明は、患者における血栓の形成を抑制する薬剤を製造するための不活性化第VII因子誘導体の使用に関し、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択される位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる。
【0146】
それ以上の面において、本発明は、患者における血栓の形成を抑制する薬剤を製造するための不活性化第VII因子誘導体の使用に関し、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる。
【0147】
それ以上の面において、本発明は、患者における血栓の形成を抑制する薬剤を製造するための不活性化第VII因子誘導体の使用に関し、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置に挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる。
【0148】
それ以上の面において、本発明は、患者における血栓の形成を抑制する薬剤を製造するための不活性化第VII因子誘導体の使用に関し、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる。
【0149】
それ以上の面において、本発明は、患者において血栓が形成しやすい血管部位に治療的に有効な投与量の不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物を局所的に投与することを含んでなる患者における血栓の形成を抑制する方法に関し、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる。
【0150】
それ以上の面において、本発明は、患者において血栓が形成しやすい血管部位に治療的に有効な投与量の不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物を局所的に投与することを含んでなる患者における血栓の形成を抑制する方法に関し、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる。
【0151】
それ以上の面において、本発明は、患者において血栓が形成しやすい血管部位に治療的に有効な投与量の不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物を局所的に投与することを含んでなる患者における血栓の形成を抑制する方法に関し、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択される位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる。
【0152】
それ以上の面において、本発明は、患者において血栓が形成しやすい血管部位に治療的に有効な投与量の不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物を局所的に投与することを含んでなる患者における血栓の形成を抑制する方法に関し、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる。
【0153】
それ以上の面において、本発明は、患者において血栓が形成しやすい血管部位に治療的に有効な投与量の不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物を局所的に投与することを含んでなる患者における血栓の形成を抑制する方法に関し、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置に挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有し、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる。
【0154】
それ以上の面において、本発明は、患者において血栓が形成しやすい血管部位に治療的に有効な投与量の不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物を局所的に投与することを含んでなる患者における血栓の形成を抑制する方法に関し、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されており、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる。
【0155】
本発明の1つの態様において、化学基は実質的に中性である。
用語「中性」は、本明細書において使用するとき、生物適合性である化学基を意味し、化学基が無毒、非免疫原性かつ水溶性であることを意味する。この定義内で実質的に中性である化学基は下記のものを包含するが、これらに限定されない:ポリエチレングリコール (PEG)、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリ−(N−ビニルピロリドン) ポリエチレングリコール、プロピレングリコールのホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドのコポリマー、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレル化ポリオール (例えば、グリセロール) およびポリビニルアルコール、コロミン酸または他の炭水化物をベースとするポリマー、アミノ酸のポリマー、およびビオチン誘導体。
【0156】
本発明のそれ以上の態様において、化学基は水溶性である。
本発明のそれ以上の態様において、化学基は約1,000ダルトン〜約80,000ダルトンの分子量を有する。
本発明のそれ以上の態様において、化学基は約5,000ダルトン〜約60,000ダルトンの分子量を有する。
本発明のそれ以上の態様において、化学基は約10,000ダルトン〜約40,000ダルトンの分子量を有する。
本発明のそれ以上の態様において、化学基は約500ダルトン〜約20,000ダルトンの分子量を有する。
【0157】
本発明のそれ以上の態様において、化学基は約500ダルトン〜約5,000ダルトンの分子量を有する。
本発明のそれ以上の態様において、化学基は約750ダルトン〜約5,000ダルトンの分子量を有する。
本発明のそれ以上の態様において、化学基はポリエチレングリコールである。
本発明のそれ以上の態様において、化学基はポリエチレングリコールの1〜6分子から選択される。
本発明のそれ以上の態様において、化学基は1分子のポリエチレングリコールである。
本発明のそれ以上の態様において、化学基はモノメトキシポリエチレングリコールである。
【0158】
本発明のそれ以上の態様において、化学基はデキストランである。
本発明のそれ以上の態様において、化学基はポリ−(N−ビニルピロリドン) ポリエチレングリコールである。
本発明のそれ以上の態様において、ポリエチレングリコールのホモポリマーである。
本発明のそれ以上の態様において、化学基はポリプロピレンオキシドである。
本発明のそれ以上の態様において、化学基はポリプロピレングリコールである。
本発明のそれ以上の態様において、化学基はポリオキシエチレル化ポリオールである。
本発明のそれ以上の態様において、化学基はポリビニルアルコールである。
本発明のそれ以上の態様において、化学基はコロミン酸である。
【0159】
本発明のそれ以上の態様において、化学基は炭水化物をベースとするポリマーである。
本発明のそれ以上の態様において、化学基はアミノ酸のポリマーである。
本発明のそれ以上の態様において、化学基はビオチン誘導体である。
本発明のそれ以上の態様において、化学基はポリペプチド中のアミノ酸と置換した、ポリペプチドの中に挿入された、またはポリペプチドに付加されたアミノ酸上に存在する遊離スルフヒドリル基に結合している。
【0160】
本発明のそれ以上の態様において、化学基はシステインに結合している。
本発明の1つの態様において、置換、挿入または付加されたアミノ酸は化学基に結合することができる。
本発明のそれ以上の態様において、化学基に結合することができるアミノ酸は遊離スルフヒドリル基を有するアミノ酸である。
本発明のそれ以上の態様において、化学基に結合することができるアミノ酸はシステインである。
本発明のそれ以上の態様において、置換、挿入または付加されたアミノ酸はスルフヒドリルを含有するアミノ酸、例えば、システインである。
【0161】
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、アミノ酸は配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択される位置に挿入されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のR396のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のQ250のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のP406のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている。
【0162】
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、化学基と結合することができる追加のアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置において挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、化学基と結合することができるそれ以上のアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、アミノ酸が配列番号1のC末端に付加されている。
【0163】
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、アミノ酸が配列番号1のN末端に付加されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、システインが付加されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、システインが挿入されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、K157、V158、E296、M298、L305、D334、S336、K337、およびF374から成る群から選択されるアミノ酸が他のアミノ酸で置換されており、前記他のアミノ酸は組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して活性を増加させる。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のK157に対応するアミノ酸がG、V、S、T、N、Q、DおよびEから独立して選択されるアミノ酸で置換されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のV158に対応するアミノ酸ががS、T、N、Q、DおよびEから独立して選択されるアミノ酸で置換されている。
【0164】
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のV158に対応するアミノ酸ががTおよびDから独立して選択されるアミノ酸で置換されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のE296に対応するアミノ酸がR、KおよびVから独立して選択されるアミノ酸で置換されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のE296に対応するアミノ酸がVで置換されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のM298に対応するアミノ酸がP、K、QおよびNから独立して選択されるアミノ酸で置換されている。
【0165】
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のM298に対応するアミノ酸がQで置換されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のL305に対応するアミノ酸がA、V、L、I、M、F、W、P、G、S、T、C、Y、N、E、K、R、H、DおよびQから独立して選択されるアミノ酸で置換されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のL305に対応するアミノ酸がVで置換されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のD334に対応するアミノ酸がEで置換されている。
【0166】
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のS336に対応するアミノ酸がGで置換されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のK337に対応するアミノ酸がA、G、V、S、T、N、Q、DおよびEから独立して選択されるアミノ酸で置換されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のK337に対応するアミノ酸がAで置換されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のF374に対応するアミノ酸がA、V、L、I、M、W、P、G、S、T、C、Y、N、E、K、R、H、DおよびQから独立して選択されるアミノ酸で置換されている。
【0167】
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、配列番号1のF374に対応するアミノ酸がPで置換されている。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、第VII因子ポリペプチドはヒト第VII因子である。
第VII因子ポリペプチドのそれ以上の態様において、第VII因子ポリペプチドがヒト第VII因子aである。
【0168】
この明細書において、アミノ酸はIUPAC−IUBコミッション・オン・バイオロジカル・ノウメンクレイチャー (Commission on Biochemical Nomenclature) (CBN) により承認された、表1に示されている略号を使用して表示される。名称または下記の略号により表される異性体を有するアミノ酸およびその他は、特記しない限り、天然のL−型である。さらに、ペプチドの左および右の末端は、特記しない限り、それぞれN末端およびC末端である。
【0169】
【表1】

【0170】
本発明は、また、前述したようにヒト第VII因子を製造する方法に関する。ヒト第VII因子ポリペプチドは好ましくは組換えDNA技術により製造される。この目的に対して、標準技術 (例えば、Sambrook他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New York、1989) に従い、ゲノムDNAライブラリーを調製し、合成オリゴヌクレオチドプローブを使用するハイブリダイゼーションによりタンパク質のすべてまたは一部分についてDNA配列をスクリーニングすることによって、ヒト第VII因子をコードするDNA配列を単離することができる。本発明の目的に対して、タンパク質をコードするDNA配列は好ましくはヒト由来である、すなわち、ヒトゲノムDNAまたはcDNAライブラリーに由来する。
【0171】
ヒト第VII因子ポリペプチドをコードするDNA配列は、また、確立された標準法、例えば、BeaucageおよびCaruthers、Tetrahedron Letters 22 (1981)、1859−1869に記載されているホスホロアミダイト法、またはMatthes他、EMBO Journal 3 (1984)、801−805に記載されている方法により合成的に調製することができる。ホスホロアミダイト法に従い、オリゴヌクレオチドを、例えば、自動化DNA合成装置により、合成し、精製し、アニールし、結合し、適当なベクター中でクローニングする。
【0172】
また、DNA配列は、例えば米国特許第4,683,202号、Saiki他、Science 239 (1986)、487−491、またはSambrook他、surpaに記載されているように、特定のプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応により調製することができる。
【0173】
ヒト第VII因子ポリペプチドをコードするDNA配列を通常組換えベクターの中に挿入する。組換えベクターは組換えDNA手法に好都合にかけることができる任意のベクターであることができ、そしてベクターの選択はしばしばそれを導入する宿主細胞に依存するであろう。こうして、ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち、染色体外実在物として存在するベクターであることができ、その複製は染色体の複製に対して独立であり、例えば、プラスミドである。選択的に、ベクターは、宿主細胞の中に導入するとき、宿主細胞ゲノムの中に組込まれ、それが組込まれた1または2以上の染色体と一緒に複製するものであることができる。
【0174】
ベクターは、ヒト第VII因子ポリペプチドをコードするDNA配列がDNA転写に必要な追加のセグメントに作用可能に連鎖されている、発現ベクターであることが好ましい。一般に、発現ベクターはプラスミドまたはウイルスDNAに由来するか、あるいは両方の要素を含有することができる。用語「作用可能に連鎖」は、セグメントがそれらの目的に対して共同して機能する、例えば、転写がプロモーターにおいて開始し、ポリペプチドをコードするDNA配列を通して進行するように、セグメントが配置されていることを示す。
【0175】
プロモーターは、選択した宿主細胞において転写活性を示す任意のDNA配列であることができ、そして宿主細胞に対して相同的または異質的であるタンパク質をコードする遺伝子に由来することができる。
哺乳動物細胞においてヒト第VII因子ポリペプチドをコードするDNAの転写を指令するために適当なプロモーターの例は次の通りである:SV40プロモーター (Subramani他、Mol. Cell. Biol. 1 (1981)、854−884)、MT−1 (メタロチオネイン遺伝子) プロモーター (Palmiter他、Science 222 (1983)、809−814)、CMVプロモーター (Boshart他、Cell 41:521−530、1985) またはアデノウイルス2主要な後期プロモーター (KaufmanおよびSharp、Mol. Cell. Biol. 2:1304−1319、1982)。
【0176】
昆虫細胞において使用するために適当なプロモーターの例は次の通りである:米国特許第4,745,051号; Vasuvedan他、FEBS Lett. 311 (1992) 7−11)、ポリP10プロモーター (J. M. Vlak他、J.Gen. Virology 69、1988、pp. 765−776)、Autograhpa califrnicaヘドロシスウイルス塩基性タンパク質プロモーター (EP 397 485)、バキュロウイルス前初期遺伝子1プロモーター (米国特許第5,155,037号; 米国特許第5,162,222号)、またはバキュロウイルス35K後初期遺伝子プロモーター (米国特許第5,155,037号; 米国特許第5,162,222号) 。
【0177】
酵母宿主細胞において使用するために適当なプロモーターの例は次の通りである:酵母解糖遺伝子からのプロモーター (Hitzeman他、J. Biol. Chem. 255 (1980) 、12073−12080; AlberおよびKawasaki、J. Mol. Appl. Gen. 1 (1982) 419−434) またはアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子 (Young他、Genetic Engineering of Microorganisms for Chemicals (Hollaender他、編者)、Plenum Press、New York、1982)、またはTP11 (米国特許第4,599,311号) またはADH2−4c (Russell他、Nature 304 (1983) 652−654) プロモーター。
【0178】
糸状菌宿主細胞において使用するために適当なプロモーターの例はADH3プロモーター (McKnight他、The EMBO J. (1985) 2093−2099) またはtpiAプロモーターである。他の有用なプロモーターの例は下記のものをコードする遺伝子に由来するプロモーターである:アスペルギルス・オリゼ (A. oryze) TAKAアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ (Rhizomucor miehei) アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギルス・ニガー (A. niger) 中性α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (A. niger) 酸安定性α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (A. niger) またはアスペルギルス・アワモリ (A. awamori) グルコアミラーゼ (gluA)、リゾムコル・ミエヘイ (Rhizomucor miehei) リパーゼ、アスペルギルス・オリゼ (A. oryze) アルカリ性プロテアーゼ、アスペルギルス・オリゼ (A. oryze) トリオースホスフェートイソメラーゼまたはアスペルギルス・ニヅランス (A. nidulanns) アセトアミダーゼ。TAKAアミラーゼおよびgluAプロモーターは好ましい。適当なプロモーターは、例えば、EP 238 023およびEP 383 779に記載されている。
【0179】
ヒト第VII因子ポリペプチドをコードするDNA配列は、また、必要に応じて、適当なターミネーター、例えば、ヒト成長ホルモンターミネーター (Palmiter他、Science 222 (1983)、809−814) またはTP11 (AlberおよびKawasaki、J. Mol. Appl. Gen. 1、1982、419−434) またはADH3 (McKnight他、The EMBO J. (1985) 2093−2099) ターミネーターに作用可能に結合することができる。また、ベクターはプロモーターから下流にかつ第VII因子配列それ自体の挿入部位から上流に位置する、1組のRNAスプライス部位を含有することができる。好ましいRNAスプライス部位はアデノウイルスおよび/または免疫グロブリン遺伝子から得ることができる。
【0180】
また、挿入部位から下流に位置するポリアデニル化シグナルが発現ベクターの中に含有される。特に好ましいポリアデニル化シグナルは、SV40からの初期または後期ポリアデニル化シグナル (KaufmanおよびSharp、前掲)、アデノウイルス5 Elb領域からのポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン遺伝子ターミネーター (DeNoto他、Nucl. Acids Res. 9:3719−3730、1981) またはヒト第VII因子遺伝子またはウシ第VII因子遺伝子からのポリアデニル化シグナルを包含する。発現ベクターは、また、プロモーターとRNAスプライス部位との間に位置する、非コーディングウイルスリーダー配列、例えば、アデノウイルス2三部分リーダー、およびエンハンサー配列、例えば、SV40エンハンサーを包含する。
【0181】
組換えベクターは、ベクターを問題の宿主細胞中で複製可能とするDNA配列をさらに含んでなることができる。このような配列の例は (宿主細胞が哺乳動物細胞であるとき) SV40複製起点である。
宿主細胞が酵母細胞であるとき、ベクターを複製可能とする適当な配列は酵母プラスミド5 μ複製遺伝子REP 1−3および複製起点である。
【0182】
また、ベクターは選択可能なマーカー、例えば、その産物が宿主細胞中の欠陥を補償する遺伝子、例えば、ジヒドロフォレートレダクターゼ (DHFR) をコードする遺伝子またはシゾサッカロマイセス・ポンベ (Schzosaccamyces pombe) TPI遺伝子 (P. R. Russell、Gene 40、1985、pp. 125−130に記載されている)、または薬剤、例えば、アンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシンまたはメトトレキセートに対して耐性を与える遺伝子を含んでなることができる。糸状菌について、選択可能なマーカーはamdS、pyrG、argB、niaDまたはsCを包含する。
【0183】
本発明のヒト第VII因子ポリペプチドを宿主細胞の分泌経路の中に向けるために、分泌シグナル配列 (またリーダー配列、プレプロ配列または前配列として知られている) を組換えベクターの中に準備することができる。分泌シグナル配列をヒト第VII因子ポリペプチドをコードするDNA配列に正しいリーデイングフレームで接合する。分泌シグナル配列は普通にタンパク質をコードするDNA配列に対して5’ に位置する。分泌シグナル配列は通常タンパク質に関連するか、あるいは他の分泌されたタンパク質をコードする遺伝子からのものであることができる。
【0184】
酵母細胞からの分泌について、分泌シグナル配列は任意のシグナルペプチドをコードすることができ、これは細胞の分泌経路の中への発現されたヒト第VII因子ポリペプチドの効率よい方向づけを保証する。シグナルペプチドは天然に存在するシグナルペプチドまたはその機能的部分であるか、あるいはそれは合成ペプチドであることができる。適当なシグナルペプチドはα−因子シグナルペプチド (米国特許第4,870,008号参照)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド (O. Hagenbuchle他、Nature 289、1981、pp.643−646参照)、修飾されたカルボキシペプチダーゼシグナルペプチド (L. A. Valls他、Cell 48、4987、pp. 887−897参照)、酵母BAR1シグナルペプチド (WO 87/02670)、または酵母アスパルチオプロテアーゼ3 (YAP3) シグナルペプチド (M. Egel−Mitani他、Yeast 6、1990、pp. 127−137参照) であることが見出された。
【0185】
酵母における効率よい分泌のために、リーダーペプチドをコードする配列をシグナル配列から下流およびヒト第VII因子ポリペプチドをコードするDNA配列から上流に挿入することもできる。リーダーペプチドは発現されたペプチドを小胞体からゴルジ装置およびさらに分泌のための分泌小胞に向けて培地の中にいれることである (すなわち、細胞壁を横切るか、あるいは少なくとも細胞膜を通過して酵母細胞のペリプラスミック空間の中へのヒト第VII因子ポリペプチドの輸出)。リーダーペプチドは酵母α−因子リーダーであることができる (その使用は、例えば、米国特許第4,546,082号、米国特許第4,870,008号、EP 16 201、EP 123 294、EP 123 544およびEP 163 529に記載されている)。選択的に、リーダーペプチドは合成リーダーペプチドであることができ、これは天然に存在しないリーダーペプチドである。合成リーダーペプチドは、例えば、WO 89/02463またはWO 92/11378に記載されているように構築することができる。
【0186】
糸状菌において使用するために、シグナルペプチドは好都合にアスペルギルス (Aspergillus) 種アミラーゼまたはグルコアミラーゼをコードする遺伝子、リゾムコル・ミエヘイ (Rhizomucor miehei) リパーゼまたはプロテアーゼをコードする遺伝子またはフミコラ・ラヌギノサ (Humicola lanuginosa) リパーゼをコードする遺伝子に由来することができる。シグナルペプチドは好ましくはアスペルギルス・オリゼ (A. oryze) TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (A. niger) 中性α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (A. niger) 酸安定性アミラーゼ、またはアスペルギルス・ニガー (A. niger) グルコアミラーゼをコードする遺伝子に由来する。適当なシグナルペプチドは、例えば、EP 238 023およびEP 215 594に開示されている。
【0187】
昆虫細胞において使用するために、シグナルペプチドは好都合には昆虫遺伝子 (WO 90/05783参照)、例えば、燐翅目のマンヅカ・セクスタ (Manduca sexta) 脂肪動員ヒト前駆体シグナルペプチドに由来することができる (米国特許第5,023,328号参照)。
ヒト第VII因子ポリペプチドをコードするDNA配列、プロモーターおよび必要に応じてターミネーターおよび/または分泌シグナル配列をそれぞれ結合し、そして複製に必要な情報を含有する適当なベクターの中にそれらを挿入するために使用する手法は当業者によく知られている (例えば、Sambrook他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor、New York、1989参照)。
【0188】
哺乳動物細胞をトランスフェクトし、細胞の中に導入されたDNA配列を発現させる方法は、例えば、下記の文献に記載されている:KaufmanおよびSharp、J. Mol. Biol. 159 (1982) 601−621;SouthernおよびBerg、J. Mol. Appl. Genet. 1 (1982) 327−341;Loyter他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79 (1982) 422−426;Wigler他、Cell 14 (1978) 725;CorsaroおよびPearson、Somatic Cell Genetics 7 (1981) 603;Grahamおよびvan der Eb、Virology 52 (1973) 456;およびNeumann他、EMBO J. 1 (1982) 841−845。
【0189】
選択可能なマーカーを問題の遺伝子と同時に細胞の中に別のプラスミド上に導入するか、あるいは同一のプラスミド上に導入することができる。同一のプラスミド上の場合、選択可能なマーカーおよび問題の遺伝子を異なるプロモーターまたは同一プロモーターの制御下にあることができ、後者の配置はジシストロンのメッセージを生成する。この型の構築物はこの分野において知られている (例えば、LevinsonおよびSimonsen、米国特許第4,713,339号)。また、それは追加のDNA (「キャリヤーDNA」として知られている) を細胞の中に導入される混合物に添加することが好都合であることもある。
【0190】
細胞がDNAを吸収した後、細胞を適当な成長培地中で、典型的には1〜2日間、増殖させて、問題の遺伝子の発現を開始する。本明細書において使用するとき、用語「適当な成長培地」は細胞の増殖および問題のヒト第VII因子ポリペプチドの発現に必要な栄養素および他の成分を含有する培地を意味する。一般に、培地は炭素源、窒素原、必須アミノ酸、必須糖、ビタミン、塩、リン脂質、タンパク質および増殖因子を含む。ガンマ−カルボキシル化タンパク質を生成するために、培地はビタミンKを好ましくは約0.1 μg/ml〜約5 μg/mlの濃度でを含有するであろう。
【0191】
次いで薬剤選択を適用して、安定な方式で選択可能なマーカーを発現する細胞の増殖について選択する。増幅可能、選択可能なマーカーでトランスフェクトされた細胞について、薬剤濃度を増加させて、クローニングされた配列のコピー数の増加について選択し、これにより発現レベルを増加させることができる。次いで、安定にトレンスフェクトされた細胞のクローンを問題のヒト第VII因子ポリペプチドの発現についてスクリーニングする。
【0192】
ヒト第VII因子ポリペプチドをコードするDNA配列を導入する宿主細胞は、翻訳後の修飾されたヒト第VII因子ポリペプチドを産生ことができる任意の細胞であることができ、そして酵母細胞、真菌細胞および高等真核細胞を包含する。
【0193】
本発明において使用する哺乳動物細胞系統の例は、COS−1 (ATCC CRL 1650)、ベイビーハムスター腎 (BHK) および293 (ATCC CRL 1573;Graham他、J. Gen. Virol. 36:59−72、1977) 細胞系統である。好ましいBHK細胞系統はtk-ts13 BHK細胞系統(WaechterおよびBaserga、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:1106−1110、1982、引用することによって本明細書の一部とされる) であり、以後においてBHK 570細胞と呼ぶ。BHK 570細胞系統はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション (American Type Culture Collection) (米国マリイランド州20852、ロックビレパークローンドライブ12301) からATCC受け入れ番号CRL 10314で入手可能である。
【0194】
また、tk-ts13 BHK細胞系統はATCCから受け入れ番号CRL 1632で入手可能である。さらに、多数の他の細胞系統を本発明において使用ことができ、これらは下記のものを包含する:Rat Hep I (ラット肝癌; ATCC CRL 1600)、Rat Hep II (ラット肝癌; ATCC CRL 1548)、TCMK (ATCC CCL 139)、ヒト肺 (ATCC HB 8065)、NCTC 1469 (ATCC CCL 9.1)、CHO (ATCC CCL 61) およびDUKX細胞 (UriaubおよびChasin、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216−4220)。
【0195】
適当な酵母細胞の例は、サッカロマイセス (Saccharomyces) 種またはシゾサッカロマイセス (Scizosaccharomyces) 種、特にサッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) またはサッカロマイセス・ルルイベリ (Saccharomyces kluveri) の株の細胞である。異種DNAで酵母細胞を形質転換し、それから異種ポリペプチドを産生する方法は、例えば、米国特許第4,599,311号、米国特許第4,931,373号、米国特許第4,870,008号、米国特許第5,037,743号、および米国特許第4,845,075号 (これらのすべては引用することによって本明細書の一部とされる) に記載されている。選択可能なマーカーにより決定された表現型、普通に薬物耐性または特定の栄養素、例えば、ロイシン非存在下に増殖する能力により、形質転換された細胞を選択する。
【0196】
酵母において使用するために好ましいベクターは、米国特許第4,931,373号に開示されているPOT1ベクターである。ヒト第VII因子ポリペプチドをコードするDNA配列は、例えば、前述したように、シグナル配列および必要に応じてリーダー配列により製造することができる。適当な酵母細胞のそれ以上の適当な例は、クライベロマイセス (Kluyveromayces)、例えば、クライベロマイセス・ラクチス (K. lactis)、ハンゼヌラ (Hansenula)、例えば、ハンゼヌラ・ポリモルファ (H. polymorpha)、またはピキア (Pichia) 、例えば、ピキア・パストリス (P. pastoris) の株である (Gleeson他、J. Gen. Microbiol. 132、1986、pp. 3459−3465;米国特許第4,882,279号参照)。
【0197】
他の真菌細胞の例は糸状菌、例えば、アスペルギルス (Aspergillus) 種、ニューロスポラ (Neurospora) 種、フザリウム (Fusarium) 種またはトリコデルマ (Trichoderma) 種、特にアスペルギルス・オリゼ (A. oryze)、アスペルギルス・ニヅランス (A. nidulanns) またはアスペルギルス・ニガー (A. niger) の株である。タンパク質の発現のためのアスペルギルス (Aspergillus) 種の使用は、例えば、EP 272 277、EP 238 023、EP 184 438に記載されている。フザリウム・オキシスポラム (F. oxysporum) の形質転換は、例えば、Malardier他、1989、Gene 78:147−156に記載されているように実施することができる。トリコデルマ (Trichoderma) 種の形質転換は、例えば、EP 244 234に記載されているように実施することができる。
【0198】
糸状菌を宿主細胞として使用するとき、好適にはDNA構築物を宿主染色体の中に組込んで組換え宿主細胞を得ることによって、その宿主細胞を本発明のDNA構築物で形質転換することができる。一般に、DNA配列は細胞の中に安定に維持される可能性がより多い強いので、この組込みは有利であると考えられる。宿主染色体の中へのDNA構築物の組込みは、慣用法、例えば、相同的または異種組換えに従い実施することができる。
【0199】
昆虫細胞の形質転換および昆虫細胞中の異種ポリペプチドの産生は、米国特許第4,745,051号、米国特許第4,879,236号、米国特許第5,155,037号、米国特許第5,162,222号、EP 397,485 (これらのすべては引用することによって本明細書の一部とされる) に記載されているように実施することができる。宿主細胞として使用する昆虫細胞は、適当には燐翅目 (Lepidoptera) 細胞系統、例えば、スポドプテラ・フルギペルダ (Spodoptera frugiperda) またはトリコデルマ・ニ (Trichoderma ni) 細胞であることができる (米国特許第5,077,214号参照)。培養条件は適当には、例えば、WO 89/01029またはWO 89/01028、または前述の参考文献のいずれかに記載されている条件であることができる。
【0200】
次いで、適当な栄養素培地中でヒト第VII因子ポリペプチドの発現を可能とする制御下に、前述の形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を培養し、その後生ずるペプチドのすべてまたは一部分を培養物から回収することができる。細胞の培養に使用する培地は、宿主細胞の増殖に適当な任意の慣用培地、例えば、適当な補助物質を含有する最小または複合培地であることができる。適当な培地は商業的供給会社から入手可能であるか、あるいは発表された調製法 (例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション (American Type Culture Collection) のカタログ) に従い調製することができる。次いで細胞が産生したヒト第VII因子ポリペプチドを慣用手法により培地から回収することができる。慣用手法は宿主細胞を培地から遠心または濾過により分離し、上清または濾液のタンパク質成分を塩、例えば、硫酸アンモニウムにより沈降させ、問題のタンパク質の型に依存して種々のクロマトグラフィー手法、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、またはその他により精製することを含む。
【0201】
組換えヒト第VII因子ポリペプチドを製造するために、クローニングされた野生型第VII因子 DNA配列を使用する。必要な第VII因子変異型をコードするように、この配列を修飾する。ヒト第VII因子のための完全なヌクレオチドおよびアミノ酸配列は知られている。米国特許第4,784,950号 (これは引用することによって本明細書の一部とされる) 参照、ここには組換えヒト第VII因子のクローニングおよび発現が記載されている。ウシ第VII因子配列はTakeya他、J. Biol. Chem. 263:14868−14872 (1988) (これは引用することによって本明細書の一部とされる) に記載されている。
【0202】
種々の技術により、アミノ酸配列を変更することができる。DNA配列の修飾は部位特異的突然変異誘発によることができる。部位特異的突然変異誘発の技術はこの分野においてよく知られており、そして、例えば、ZollerおよびSmith、DNA 3:479−488、1984に記載されている。こうして、第VII因子のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を使用して、選択した変更を導入することができる。
【0203】
本発明において使用するDNA配列は典型的にはプレプロペプチドを第VII因子タンパク質のアミノ末端においてコードして、適切な翻訳後のプロセシング (例えば、グルタミン酸残基のガンマ−カルボキシル化) および宿主細胞からの分泌を達成するであろう。プレプロペプチドは第VII因子または他のビタミンK依存性血漿タンパク質、例えば、因子IX、因子X、プロトロンビン、プロテインCまたはプロテインSのそれであることができる。当業者は理解するように、追加の修飾を第VII因子のアミノ酸配列の中に作ることができ、ここでそれらの修飾は凝固因子として作用するタンパク質の能力を有意に障害しない。例えば、一般に米国特許第5,288,629号 (引用することによって本明細書の一部とされる) に記載されているように、触媒三つ組における第VII因子を活性化切断部位において修飾してチモーゲン第VII因子が活性化された二本鎖形態に変換するのを阻害することができる。
【0204】
本発明において、トランスジェニック動物技術を用いてヒト第VII因子ポリペプチドを製造することができる。宿主雌哺乳動物の乳腺内でタンパク質を産生させることが好ましい。乳腺中の発現および引き続く乳の中への問題のタンパク質の分泌は、他の源からのタンパク質の単離において直面する多数の欠陥を克服する。乳は収集が容易であり、大量に入手可能であり、そして生化学的に十分に特性決定される。さらに、主要な乳タンパク質は乳の中に高い濃度 (典型的には約1〜15 g/l) で存在する。商業的観点から、大きい乳収量を有する種を宿主として使用ことが明らかに好ましい。マウスおよびラットのような小さい動物を使用することができる (そして原理段階の証拠において好ましい) が、本発明において、家畜類の哺乳動物を使用することが好ましく、このような哺乳動物はブタ、ヤギ、ヒツジおよび畜牛を包含するが、これらに限定されない。
【0205】
ヒツジはこの種におけるトランスジーンの以前の歴史、乳収量、コストおよびヒツジの乳を収集する装置の入手容易さのような因子のために特に好ましい。宿主種の選択に影響を及ぼす因子の比較について、WIPO公開WO 88/00239参照。一般に、酪農使用のために交配した宿主動物の品種、例えば、イーストフリースランド (East Friesland) ヒツジを選択するか、あるいは後の日にトランスジェニック系統を飼育することによって酪農系統を導入することが望ましい。いずれの場合においても、既知の、健康がすぐれた状態の動物を使用すべきである。
【0206】
乳腺において発現させるために、乳タンパク質遺伝子からの転写プロモーターを使用する。乳タンパク質遺伝子は、カゼインをコードする遺伝子 (参照:米国特許第5,304,489号、引用することによって本明細書の一部とされる)、β−ラクトグロブリン、α−ラクトグロブリン、およびホエー酸性タンパク質を包含する。β−ラクトグロブリン (BLG) プロモーターは好ましい。ヒツジβ−ラクトグロブリン遺伝子の場合において、遺伝子の5’ フランキング配列の少なくとも近位の406 bpの領域を一般に使用するが、5’ フランキング配列の約5 kbpまでのより大きい部分、例えば、5’ フランキングプロモーターを包含する約4.25 kbpのDNAセグメントおよびβ−ラクトグロブリン遺伝子の非コーディング部分は好ましい。Whitelaw他、Biochem. J. 286:31−39 (1992) 参照。他の種からのプロモーターDNAの同様なフラグメントも適当である。
【0207】
また、β−ラクトグロブリン遺伝子の他の領域、ならびに発現すべき遺伝子のゲノム領域を構築物の中に組込むことができる。一般に、イントロンを欠如する構築物は、例えば、このようなDNA配列を含有する構築物と比較して発現が低いこの分野において受け入れられている (下記の文献を参照のこと、Brinster他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:836−840 (1988) ;Palmiter他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:478−482 (1991) ;Whitelaw他、Transgenic Res. 1:3−13 (1991);WO 89/01343;およびWO 91/02318それらの各々は引用することによって本明細書の一部とされる)。
【0208】
これに関して、可能ならば、問題のタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子の自然イントロンのすべてまたはいくつかを含有するゲノム配列を使用することが一般に好ましく、こうして、例えばβ−ラクトグロブリン遺伝子からの、少なくともいくつかのイントロンを含めることが好ましい。1つのこのような領域はヒツジβ−ラクトグロブリン遺伝子の3’ 非コーディング領域からイントロンのスプライシングおよびRNAポリアデニル化を提供するDNAセグメントである。
【0209】
ある遺伝子の自然の3’ 非コーディング配列を置換するとき、このヒツジβ−ラクトグロブリンのセグメントは問題のタンパク質またはポリペプチドの発現レベルを増強し、かつ安定化することができる。他の態様において、ヒト第VII因子ポリペプチドをコードする配列開始ATGを取り囲む領域は乳特異的タンパク質遺伝子からの対応する配列で置換される。このような置換は発現を増強する組織特異的開始環境を提供する。ヒト第VII因子ポリペプチドの全体のプレプロ配列および5’ 非コーディング配列を、例えば、BLG遺伝子のそれらと置換することは好都合であるが、より小さい領域を置換することができる。
【0210】
トランスジェニック動物においてヒト第VII因子ポリペプチドを発現させるために、ヒト第VII因子ポリペプチドをコードするDNAセグメントをその発現に必要な追加のDNAセグメントに作用可能に連鎖させて発現ユニットを生成する。このような追加のセグメントは前述のプロモーター、ならびに転写の停止およびmRNAのポリアデニル化を提供する配列を包含する。さらに、発現ユニットはヒト第VII因子ポリペプチドをコードするセグメントに作用可能に連鎖された分泌シグナル配列をコードするDNAセグメントを含む。分泌シグナル配列はヒト第VII因子ポリペプチドの自然分泌シグナル配列であるか、あるいは他のタンパク質、例えば、乳タンパク質のそれであることができる。例えば、下記の文献を参照のこと:von Heinje、Nucl. Acids Res. 14:4683−4690 (1986) ;およびMeade他、米国特許第4,873,316号 (これらは引用することによって本明細書の一部とされる)。
【0211】
トランスジェニック動物において使用する発現ユニットの構築は、追加のDNAセグメントを含有するプラスミドまたはファージベクターの中にヒト第VII因子ポリペプチドをコードする配列を挿入することによって好都合に実施されるが、発現ユニットは本質的に任意の結合シーケンスにより構築することができる。乳タンパク質をコードするDNAセグメントを含有するベクターを準備し、乳タンパク質のコーディング配列をヒト第VII因子ポリペプチドのそれで置換し、これにより乳タンパク質遺伝子の発現調節配列を含む遺伝子融合物をつくることは特に好都合である。いずれの場合においても、プラスミドまたは他のベクター中で発現ユニットをクローニングすると、ヒト第VII因子ポリペプチドの増幅は促進される。増幅は細菌 (例えば、大腸菌 (E. coli)) 宿主細胞において好都合に実施され、こうしてベクターは典型的には複製起点および細菌宿主細胞中の選択マーカー機能を含むであろう。
【0212】
次いで、発現ユニットを選択した宿主種の受精した卵 (初期段階の胚を含む) の中に導入する。異種DNAの導入は下記の経路を包含するいくつかの経路の1つにより達成することができる:マイクロインジェクション (例えば、米国特許第4,873,191号)、ロタウイルス感染 (Jaenisch、Science 240:1488−1474 (1988)) または胚幹 (ES) 細胞を使用する部位指定組込み (Bradley他、Bio/Technology 10:534−539 (1992))。次いで卵を擬妊娠雌の輸卵管または子宮の中に移植し、発育させる。生殖細胞系統の中に導入されたDNAを担持する子孫は、正常のメンデルの方法でDNAを子孫に伝え、トランスジェニック群れの発生を可能とする。
【0213】
トランスジェニック動物を産生する一般的手法はこの分野において知られている。例えば、下記の文献を参照のこと:Hogan他、Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1986;Simons他、Bio/Technology 6:179−183 (1988);Wall他、Biol. Repord. 32:645−651 (1985); Buhler他、Bio/Technology 8:140−143 (1990); Ebert他、Bio/Technology 9: 853−838 (1990);Krimpenfort他、Bio/Technology 9:844−847 (1991); Wall他、J. Cell. Biochem. 49: 113−120 (1992);米国特許第4,873,191号および米国特許第4,873,316号;WIPO公開WO 88/00239、WO 90/05188、WO 92/11757;およびGB 87/00458、これらは引用することによって本明細書の一部とされる。
【0214】
哺乳動物およびそれらの生殖細胞の中に外来DNA配列を導入する技術は最初にマウスにおいて開発された。例えば、下記の文献を参照のこと:Gordon他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:7380−7384 (1980); GordnおよびRuddle、Science 214:1244−1246 (1981); PalmiterおよびBrinster、Cell 41:343−345 (1995);およびBrinster他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:4438−4442 (1985)。これらの技術はより大きい動物、例えば、家畜種を使用する用途に実質的に採用された (例えば、下記文献を参照のこと、WIPO公開WO 88/00239、WO 90/05188、およびWO 92/11757;およびSimons他、Bio/Technology 6:179−183 (1988))。
【0215】
要約すると、トランスジェニックマウスまたは家畜の発生において今日まで使用されている最も効率よい経路において、確立された技術に従い問題の数百の線状分子を受精卵前核の1つの中に注入する。また、接合体の細胞質の中への注入を用いることができる。また、トランスジェニック植物における産生を用いることができる。発現を一般化するか、あるいは特定の器官、例えば、塊茎に向けることができる。下記の文献を参照のこと:Hiatt、Nature 344:469−479 (1990);Edelbaum他、J. Interferon Res. 12:449−453 (1992);Sijmons他、Bio/Technology 8: 217−221 (1990);および欧州特許公開EP 255,378。
【0216】
本発明に従い製造された第VII因子は、抗第VII因子抗体カラム上のアフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。免疫吸着カラムは高い特異性のモノクローナル抗体を含んでなることが好ましい。Wakabayashi他、J. Biol. Chem. 261:11097−11108 (1986) およびThim他、Biochem. 27:7785−7793 (1988) (引用することによって本明細書の一部分とされる) に記載されているように、カルシウム依存性モノクローナル抗体を使用することは特に好ましい。
【0217】
追加の精製は慣用の化学的精製手段、例えば、高性能液体クロマトグラフィーにより達成することができる。クエン酸バリウム沈降を包含する、他の精製法はこの分野において知られており、そして本明細書に記載する第VII因子の精製に適用することができる (一般に、下記の文献を参照のこと、Scopes R.、Protein Purification、Springer−Verlag、New York、1982)。薬学的使用のために、少なくとも90〜95%の均質性の実質的に純粋な第VII因子は好ましく、98〜99%またはそれ以上は最も好ましい。必要に応じて部分的にまたは均質に、いったん精製されると、第VII因子を治療に使用することができる。
【0218】
HednerおよびKisiel (1983、J. Clin. Invest. 71:1836−1841) が記載するように因子XIIaを使用するか、あるいはトリプシン様特異性を有する他のプロテアーゼ (KisielおよびFujikawa、Behring Inst. Mitt. 73:29−42、1983) を使用して、一本鎖第VII因子を活性二本鎖第VII因子aに変換することができる。選択的に、第VII因子をイオン交換クロマトグラフィーのカラム、例えば、モノQ.RTM. (Pharmacia Fire Chemicals) またはその他に通過させることによって、第VII因子を自己活性化することができる (Bjoem他、1986、Research Disclosure 269:564−565)。本発明の第VII因子分子およびその医薬組成物は、血管内凝固を包含する種々の症状を治療するためにヒトへの投与に特に有用である。
【0219】
本発明は、また、本発明による好ましい第VII因子aポリペプチドおよび第VII因子a誘導体を選択する適当なアッセイを提供する。これらのアッセイは簡単な予備的in vitro試験として実施することができる。
こうして、本明細書における実施例5において、本発明の第VII因子aポリペプチドの活性についての簡単な試験 (「in vitro加水分解アッセイ」と題する) を開示する。それに基づいて、特に重要な第VII因子aポリペプチドは、本明細書において定義する「in vitro加水分解アッセイ」において試験したとき、第1図に示す変異型の活性と自然ヒト第VII因子の活性との間の比が約1.0またはそれ以上である、このようなポリペプチドである。
【0220】
また、適当には100〜1000 nMの濃度において、生理学的基質、例えば、因子Xを使用して (「in vitro加水分解アッセイ」) (実施例6参照)、ポリペプチドの活性を測定することができ、ここで適当な色素形成基質 (例えば、S−2785) を添加した後、発生した因子Xaを測定する。さらに、活性のアッセイは生理学的温度において実施することができる。
また、トロンビンを発生する前凝固第VII因子aポリペプチドの能力は、生理学的濃度ですべての関係する凝固因子およびインヒビター (血友病Aの症状を模倣するとき、第VII因子Iを含まない) と、活性化血小板とを含んでなるアッセイにおいて、測定することができる (下記の文献に記載されている:p. 543、Monroe他 (1997) Brit. J. Haematol. 99、542−547、これは引用することによって本明細書の一部とされる)。
【0221】
本発明による前凝固第VII因子誘導体を使用して、いくつかの原因、例えば、凝固因子の欠乏 (例えば、血友病AおよびBまたは凝固因子XIまたはVIIの欠乏) または凝固因子インヒビターを有する出血性障害を抑制することができるか、あるいは正常に機能する血液凝固カスケードを有する (凝固因子を欠如しないか、あるいは凝固因子のいずれかに対するインヒビターをもたない) 被検体において起こる過度の出血を抑制することができる。出血は欠陥のある血小板機能、血小板減少症またはフォン・ウィルブランド病により引き起こされることがある。また、出血はフィブリン溶解活性の増加が種々の刺激により誘導された被検体において見ることができる。
【0222】
外科手術または非常に大きい外傷に関連して広範な組織損傷を経験する被検体において、止血メカニズムは即時止血の要求により圧倒されることがあり、そして正常の止血メカニズムにかかわらず出血を発生することがある。また、満足すべき止血を達成することは、脳、内耳領域および眼のような器官において出血が起こるとき、問題であり、また、源の同定が困難であるとき、拡散性出血 (出血性胃炎およびおびただしい子宮出血) の場合において問題であることがある。種々の器官 (肝臓、肺、腫瘍組織、胃腸管) から生検材料を取るプロセスにおいて、ならびに腹腔鏡を使用する外科手術において、同一の問題が発生することがある。これらの状況は外科的技術 (縫合糸、クリップ、およびその他) により止血を提供するという困難を共有する。
【0223】
また、与えられた治療により欠陥性止血が誘導された被検体において、抗凝固治療を行うとき、急性およびおびただしい出血が起こることがある。このような被検体は、抗凝固作用を急速に中和しなくてはならない場合において、外科的関与を必要とすることがある。不満足の止血の場合において問題を引き起こすことがある他の状況は、止血メカニズムが正常である被検体に抗凝固治療を与えて血栓塞栓障害を予防するときである。このような治療はヘパリン、他の形態のプロテオグリカン、ワルファリンまたは他の形態のビタミンK−アンタゴニストならびにアスピリンおよび他の血小板凝集インヒビターを包含することができる。
【0224】
凝固カスケードの全身的活性化は汎発性血管内凝固 (DIC) に導くことがある。しかしながら、高い投与量の組換え第VII因子aで治療した被検体において、血管壁損傷部位において暴露された第VII因子aおよびTF間の複合体形成により誘導される種類の局在化した止血プロセスのために、このような合併症は見られなかった。こうして、本発明による前凝固第VII因子誘導体をそれらの活性化された形態で使用して、正常の止血メカニズムに関連する、このような過度の出血を抑制することができる。
【0225】
計画的関与と組み合わせた治療のために、典型的には、本発明の前凝固第VII因子誘導体は、関与実施前約24時間以内に、その後7日間またはそれ以上の間、投与されるであろう。凝固剤としての投与は本明細書に記載するように種々の経路によることができる。
第VII因子誘導体の投与量は、症状の重症度に依存して、負荷および維持投与量として70 kgの被検体について、約0.05 mg〜500 mg/日、好ましくは約1 mg〜200 mg/日、より好ましくは約10 mg〜約175 mg/日の範囲である。
【0226】
医薬組成物は主として予防的および/または治療的処置について非経口的投与に意図される。好ましくは、医薬組成物は非経口的に、すなわち、静脈内、皮下、または筋肉内に投与するか、あるいは連続的または脈動的注入により投与することができる。非経口的投与のための医薬組成物は、薬学上許容される担体、好ましくは水性担体と組み合わせて、好ましくはの中に溶解させて、本発明の第VII因子誘導体を含んでなる。種々の水性担体、例えば、水、緩衝化水、0.4%の生理食塩水、0.3%のグリシンおよびその他を使用することができる。また、本発明の第VII因子誘導体は、損傷部位に送達させるか、あるいはターゲッティングするためのリポソーム調製物に処方することができる。
【0227】
リポソーム調製物は一般に、例えば、米国特許第4,837,028号、米国特許第4,501,728号、および米国特許第4,975,282号に記載されている。組成物は慣用の、よく知られている滅菌技術により滅菌することができる。生ずる水溶液は使用するために包装するか、あるいは無菌的条件下に濾過し、凍結乾燥することができ、凍結乾燥調製物は投与前に無菌の水溶液と組み合わせる。組成物は、生理学的条件に近似させるために要求される、薬学上許容される補助物質、例えば、pH調節剤および緩衝液剤、張度調節剤およびその他、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、およびその他を含有することができる。
【0228】
これらの処方物中の第VII因子誘導体の濃度は広く変化することができ、すなわち、約0.5重量%より少、通常少なくとも約1重量%〜15または20重量%までであることができ、そして選択した特定の投与モードに従い、主として流体体積、粘度、およびその他により選択されるであろう。
【0229】
こうして、血管内注入のための典型的な医薬組成物は、250 mlの無菌のリンガー溶液および10 mgの第VII因子ポリペプチドを含有するように構成することができるであろう。非経口的に投与可能な組成物を調製する実際の方法は当業者にとって既知であるか、あるいは明らかであり、例えば、下記の文献にいっそう詳細に記載されている:Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Company、ペンシルベニア州イーストン (1990)。
【0230】
本発明の第VII因子誘導体を含有する組成物は、予防的および/または治療的処置のために投与することができる。治療的適用において、組成物は、前述したように、既に疾患を患う被検体に、疾患およびその合併症を治癒し、軽減しまたは部分的に抑制するために十分な量で投与する。これを達成するために適切な量を「治療的に有効な量」と定義する。当業者は理解するように、この目的に有効な量は疾患または損傷の重症度ならびに被検体の体重および一般的状態に依存するであろう。しかしながら、一般に、有効量は70 kgの被検体について、約0.05 mgから約500 mg/日までの第VII因子誘導体の範囲であり、約1.0 mg〜約200 mg/日の第VII因子誘導体がいっそう普通に投与される。
【0231】
本発明の物質は一般に重大な疾患または損傷の状態、すなわち、生命を脅かすまたは潜在的の生命を脅かす状況において使用することができることを心に留めなくてはならない。このような場合において、外来性物質の最小化およびヒトにおけるヒト第VII因子誘導体の免疫性の一般的欠如にかんがみて、実質的に過剰のこれらの変異型第VII因子組成物を投与することができ、そして治療する医師は望ましいと感ずることがある。
【0232】
予防的適用において、本発明の第VII因子誘導体を含有する組成物は、疾患状態または損傷があるように思われるか、あるいはそうでなければその危険にある被検体の投与されて、被検体自身の凝固能力を増強する。このような量は「予防的に有効な投与量」と定義される。予防的適用において、正確な量は再び被検体の健康状態および体重に依存するが、投与量は一般に70 kgの被検体について約0.05 mg〜約500 mg/日の第VII因子誘導体の範囲であり、いっそう普通には70 kgの被検体について約1.0 mg〜約200 mg/日の第VII因子誘導体の範囲である。
【0233】
組成物の1回または多数回の投与は、治療する医師が選択した投与量レベルおよびパターンで実施することができる。毎日のメンテナンスレベルを必要とする外来被検体について、第VII因子誘導体は、例えば、携帯用ポンプシステムを使用して、連続的注入により投与することができる。
本発明の第VII因子誘導体の局所的送達、例えば、局所的適用は、例えば、噴霧、潅流、二重バルーンカテーテル、ステント、血管移植片またはステントの中に組込まれた、バルーンカテーテルを被覆するために使用するヒドロゲル、または他の十分に確立された方法により実施することができる。いずれの場合においても、医薬組成物は被検体を効果的に治療するために十分な量の第VII因子誘導体を提供すべきである。
【0234】
本発明の不活性化第VII因子ポリペプチドは細胞表面の組織因子に結合することができる。例えば、DEGF−第VII因子aは、野生型第VII因子aに等しいか、あるいはそれより高いアフィニティーで、細胞表面の組織因子に結合する。しかしながら、DEGF−第VII因子aは酵素活性をもたず、しかも組織因子に結合し、野生型第VII因子aに対する競合アンタゴニストとして作用し、これにより凝固の外在的経路として作用してトロンビンの発生に導く。
【0235】
不活性化第VII因子誘導体は、血管内凝固を包含する種々の症状を治療するヒトに対する投与に特に有用である。例えば、深静脈血栓症および肺動脈塞栓症は慣用の抗凝固剤で治療できるが、本明細書に記載する不活性化第VII因子誘導体は同定された高い危険の患者、例えば、外科手術を実施している患者または鬱血性心不全の患者における血栓塞栓症の合併症を予防するために使用することができる。さらに、不活性化第VII因子誘導体は組織因子仲介凝固誘導に対するアンタゴニストとして作用することができ、こうしてトロンビンの産生をブロックし、引き続いてフィブリン沈着をブロックする。それ自体、不活性化第VII因子誘導体は組織因子の活性を阻害し、例えば、血液凝固、血栓または血小板沈着を阻害するために有用であることがある。
【0236】
不活性化第VII因子誘導体は内膜過形成、急性血管損傷のための再狭窄、深静脈血栓症、動脈血栓症、外科手術後の血栓症、冠状動脈バイパス移植 (CABG)、経皮経管冠状動脈形成 (PTCA)、発作、癌、腫瘍転移、血管形成、虚血/再潅流、慢性関節リウマチ、血栓症、アテローム性動脈硬化症および血管形成後の再狭窄、急性および慢性の徴候、例えば、炎症、敗血症性ショック、敗血症、高血圧症、成人呼吸窮迫症候群 (ARDS)、汎発性血管内凝固障害 (DIC)、肺動脈塞栓症、血小板沈着、心筋梗塞、または血栓症の危険にあるアテローム性動脈硬化症の血管を有する哺乳動物の予防的治療において特に有用であることがある。急性血管損傷は、寿命にわたって発生する慢性血管損傷 (例えば、アテローム性動脈硬化症) に比較して、急速に (すなわち、数日〜数か月にわたって) 起こる損傷である。
【0237】
急性血管損傷はしばしば外科手術、例えば、血管再構築から生じ、ここで血管形成、血管内膜切除、アテローム切除、血管移植片配置またはその他の技術を用いる。また、過形成が、例えば、移植片配置または器官移植に対する応答において遅延した応答として起こることがある。不活性化第VII因子誘導体は、一般に損傷部位において露出した組織因子にのみ結合するヘパリンよりも、いっそう選択的であるので、そして不活性化第VII因子誘導体は他の凝固タンパク質を破壊しないので、それは深静脈血栓症の予防に予防的に使用するとき、ヘパリンよりもいっそう有効であり、出血合併症を引き起こす可能性が低い。
【0238】
組織因子を維持する不活性化第VII因子誘導体は、トロンビンの産生をブロックし、引き続いてフィブリンの沈着をブロックすることによって血管損傷部位における血小板の蓄積を阻害する。
トロンビン発生をブロックし、急性血管損傷部位における血小板沈着を制限する不活性化第VII因子誘導体の能力のために、組織因子結合活性を維持するが、第VII因子a酵素活性を欠如する不活性化第VII因子誘導体は血管再狭窄を抑制するために使用することができる。
【0239】
不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物は、医薬組成物に処方するとき、患者を治療する方法において特に有用であり、ここで組成物は種々の疾患状態を患う個体に投与して凝固に関係する症状を治療することができる。このような不活性化第VII因子誘導体は、組織因子に結合することができるが、凝固カスケードにおける他の因子の活性化を触媒する能力が実質的に低く、他の凝固剤と比較したとき、より長い血漿半減期を有し、こうして相応してより長い抗凝固活性期間を有することができる。主題の組成物についての医学的徴候の例は、抗凝固剤で普通に治療される徴候、例えば、深静脈血栓症、肺動脈塞栓症、発作、汎発性血管内凝固障害 (DIC)、グラム陰性内毒素血症に関連する肺および腎臓におけるフィブリン沈着、および心筋梗塞である。
【0240】
組成物は、機械的血管損傷、例えば、バルーン血管形成、動脈血管内膜切除、整復アテローム切除、ステント配置、レーザー治療または腐敗切除により引き起こされる損傷後に起こるか、あるいは血管移植片、ステント、バイパス移植片または器官移植組織に対して二次的に起こるような血管再狭窄を抑制するために使用することができる。こうして、組成物は血小板沈着および関連する障害を抑制するために使用することができる。こうして、凝固、血管再狭窄または血小板沈着を抑制する方法は、例えば、不活性化第VII因子誘導体、例えば、Ser344、Asp242およびHis193の触媒三つ組中に少なくとも1つのアミノ酸置換を有する誘導体を含んでなる組成物を凝固、血管再狭窄または血小板沈着を効果的に抑制するために十分な量で患者に投与することを含んでなる。
【0241】
また、この方法は、個体における冠状動脈の急性閉鎖 (例えば、急性心筋梗塞) の治療において使用され、組織プラスミノーゲンアクチベーターまたはストレプトキナーゼと組み合わせて、DEGF−第VII因子およびFFR−第VII因子を包含し、tPA誘導血栓崩壊を加速できる、不活性化第VII因子誘導体を投与することを含んでなる。不活性化第VII因子誘導体は、血栓崩壊剤、例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーターの投与の前に、それと組み合わせて、またはその投与後短時間に投与される。
【0242】
また、不活性化第VII因子誘導体の組成物は、心臓性塞栓症の予防において、および血栓性発作の治療において実質的な実用性を有するであろう。第VII因子誘導体は、出血性合併症を引き起こす可能性が低く、そして選択的を有するために、発作の被害者に投与することができ、そして閉塞性動脈血栓の拡張を防止することができる。第VII因子誘導体の投与量は発作の特質および重症度に依存して各患者について変化するが、投与量は下記において示唆する範囲内であろう。
【0243】
また、不活性化第VII因子誘導体およびその組成物は、虚血再潅流に関連する有害な事象を抑制するために使用することができる。組織、器官または四肢に対する重症の虚血は血流が減少するためであり、そして外傷、外科的操作、または血圧の低下に関係付けることができる。重症の虚血に関連する合併症の1つは、動脈系における組織因子のアップレギュレーションである。この組織因子の発現の増加は、主として毛管細管床において、前凝固応答を刺激すると考えられる。虚血性に対する再潅流後、閉塞性または非閉塞性である、血栓が発生することがある。動脈床中の血栓の発生および血栓に沿った血小板沈着は、組織に対する虚血の二次発生に導く。
【0244】
次いで、血栓の発生および血小板の存在は、多数の生物活性因子の発生および解放を引き起こし、これらの因子は凝固経路から発生したもの、例えば、トロンビンおよび因子X、ならびに活性化された血小板から解放された因子を包含する。引き続いて、これらの因子は下に横たわる内皮および平滑筋細胞による、または隣接する単核細胞、例えば、TNF−αおよびIL−1による追加の因子の発生を誘導することがある。これらの因子は、引き続いて、内皮細胞を活性化し、単球および好中球の結合に関連する種々の付着分子のアップレギュレーションに導くことがある。
【0245】
単球および好中球の結合および移行、これらの細胞による生物活性化合物の解放、例えば、遊離酸素ラジカルの発生は、内皮細胞の活性化および損傷のレベルを悪化することがある。究極的に、事象のカスケードが阻止されないで進行する場合、これは全身的合併症および複数の器官不全を刺激する可能性に導くことがある。本発明に従い組織因子/第VII因子の結合に対する特異的インヒビター (例えば、FFR−第VII因子a) を投与することによって組織因子をブロックし、これにより凝固の外在的経路の開始をブロックし、事象のカスケードの開始を防止し、これにより虚血/再潅流に関連する有害な事象を排除または最小化することができる。
【0246】
深静脈血栓症を予防するための不活性化第VII因子誘導体の投与量は、70 kgの患者について約50μg〜500 mg/日、より典型的には1 mg〜200 mg/日、より好ましくは約10〜約175 mg/日の範囲であり、そして投与は外科手術の少なくとも6時間前に開始し、少なくとも患者が外来となるまで続けるべきである。再狭窄の治療における不活性化第VII因子誘導体の投与量は各患者とともに変化するが、一般に上に示唆した範囲であろう。
【0247】
典型的には、不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物は関与を実施する約24時間以内前に投与し、その後7日間以上程度に長い間投与する。投与はさらに本明細書に記載するように種々の経路で実施することができる。また、不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物は、血管移植片の配置のために (例えば、合成または修飾された自然動脈血管移植片を被覆することによって) 全身的に、または吻合部位、外科的動脈血管内膜切除 (典型的には頸動脈の動脈血管内膜切除) 、バイパス移植片、およびその他の部位に局所的に投与することができる。
【0248】
確立された深静脈血栓症および/または肺動脈塞栓症の治療において、第VII因子誘導体の投与量は、負荷およびメンテナンス投与量として、患者の体重および症状の重症度に依存して、70 kgの患者について約50μg〜500 mg/日、より典型的には1 mg〜200 mg/日、より好ましくは10 mg〜約175 mg/日の範囲である。不活性化第VII因子誘導体からの出血性合併症の可能性はより低いので、不活性化第VII因子誘導体は血栓切除または塞栓切除と関連した外科手術の間または後のヘパリンの投与量を置換しまたは低下することができる。
【0249】
急性菌血症、内毒素血症またはDICの場合において、患者に70 kgの患者について少なくとも約50μg〜500 mg/日、より典型的には1 mg〜200 mg/日、より好ましくは10 mg〜約175 mg/日の負荷投与量の第VII因子誘導体を投与し、その後のメンテナンス投与量は患者に70 kgの患者について50μg〜500 mg/日、より典型的には1 mg〜200 mg/日の範囲である。
好ましくは、第VII因子誘導体はそれが由来する非結合第VII因子の半減期に関して増強された半減期 (t1/2) を有する。好ましくは、第VII因子誘導体の半減期は、非修飾親第VII因子の半減期に関して少なくとも1.5倍〜2倍、より好ましくは約2倍〜3倍、なおより好ましくは約5倍〜約10倍、最適には約100倍、通常約6倍だけ増強されている。
【0250】
ポリエチレングリコールをタンパク質に結合する一般的方法は、米国特許第4,179,337号、1979年12月81日発行 (ポリエチレングリコールをタンパク質に結合する方法を開示するために引用することによって本明細書の一部とされる) に開示されている。さらに、ポリエチレングリコールを結合する他の方法は、米国特許第5,122,614号、1992年6月61日発行 (また、ポリエチレングリコールをタンパク質に結合する方法を開示するために引用することによって本明細書の一部とされる) に開示されている。マレイミド−PEGはシステイン−PEG化のために最も有効な試薬であるが、他の化学物質を特定のシステイン修飾に利用できる。
【0251】
下記の実施例により、本発明を例示する。これらの実施例は本発明を限定しない。上の記載および下記の実施例に開示されている特徴は、別々にかつ組み合わせて、本発明を多様な形態で実現する物質である。
【実施例】
【0252】
下記の実施例において使用するアミノ酸置換の述語は次の通りである。最初の文字は配列番号1のある位置に天然に存在するアミノ酸を表す。次の数字は配列番号1中の位置を表す。第2の文字は天然のアミノ酸と置換する異なるアミノ酸を表す。例はR396Cであり、ここで配列番号1の位置396におけるアルギニンはシステインで置換されている。他の例、V158T/M298Qにおいて、同一第VII因子ポリペプチド中で配列番号1の位置158におけるバリンはトレオニンで置換されており、そして配列番号1の位置298におけるメチオニンはグルタミンデ置換されている。
実施例1FVII−(R396C)、FVII−(Q250C)、FVII−(P406C)、FVII−(407C)、FVII−(V158T/M298Q)、FVII−(L305V/M306D/D309S)、FVII−(K337A)、FVII−(L305V)、およびFVII−(F374P)をコードするDNAの構築
ヒト第VII因子のインサート (pLN174)を有する、スーパーコイルド、二本鎖DNAベクターおよび必要な突然変異を含有する2つの合成プライマーを使用して位置指定突然変異誘発により、FVII−(R396C)、FVII−(Q250C)、FVII−(P406C)、FVII−(407C) (1つの追加のC末端のCys)、FVII−(M298Q)、FVII−(L305V/M306D/D309S)、FVII−(K337A)、FVII−(L305V)、およびFVII−(F374P)をコードするDNA構築物を調製した。下記のプライマーを使用した:
【0253】
FVII−(R396C) について:
5’−GCG CTC AGA GCC ATG CCC AGG AGT CCT CC−3’ (配列番号3)
5’−GGA GGA CTC CTG GGC ATG GCT CTG AGC GC−3’ (配列番号4)
FVII−(Q250C) について:
5’−GCT CCG CCT GCA CTG TCC CGT GGT CCT CAC TGA CC−3’ (配列番号5)
5’−GGT CAG TGA GGA CCA CGG GAC AGT GCA GGC GGA GC−3’ (配列番号6)
FVII−(P406C) について:
5’−GCG AGC CCC ATT TTG CTA GAC TAG AGG ATC TGG G−3’ (配列番号7)
5’−CCC AGA TCC TCT AGT CTA GCA AAA TGG GGC TCG C−3’ (配列番号8)
【0254】
FVII−(407C) について:
5’−CCT GCG AGC CCC ATT TCC CTG TTA GAC TAG AGG ATC TGG G−3’ (配列番号9)
5’−CCC AGA TCC TCT AGT CTA ACA GGG AAA TGG GGC TCG CAG G−3’ (配列番号10)
FVII−(M298Q) について:
5’−GCC CTG GAG CTC CAG GTC CTC AAC GTG CCC−3’ (配列番号11)
5’−GGG CAC GTT GAG GAC CTG GAG CTC CAG GGC−3’ (配列番号12)
FVII−(L305V) について:
5’−CGT GCC CCG GGT GAT GAC CCA GGA C−3’ (配列番号13)
5’−GTC CTG GGT CAT CAC CCG GGG CAC G−3’ (配列番号14)
【0255】
FVII−(M306D/D309S) について:
5’−TCT AGA TAC CCA GTC TTG CCT GCA GCA GTC ACG GAA−3’ (配列番号15)
5’−TTC CGT GAC TGC TGC AGG CAA GAC TGG GTA TCT AGA−3’ (配列番号16)
FVII−(K337A) について:
5’−CGG ATG GCA GCG CGG ACT CCT GCA AGG G−3’ (配列番号17)
5’−CCC TTG CAG GAG TCC GCG CTG CCA TCC G−3’ (配列番号18)
FVII−(F374P) について:
5’−CCG TGG GCC ACC CTG GGG TGT ACA CC−3’ (配列番号19)
5’−GGT GTA CAC CCC AGG GTG GCC CAC GG−3’ (配列番号20)
【0256】
各々がベクターインサートの反対の鎖に対して相補的である、オリゴヌクレオチドプライマーを、温度サイクリングの間にPfu DNAポリメラーゼにより延長した。プライマーが組込まれると、食い違いニックを含有する突然変異したプラスミドが発生した。温度サイクリング後、生成物をメチル化およびヘミメチル化されたDNAに対して特異的なDpnIで処理して、親DNA鋳型を消化し、突然変異を含有する合成されたDNAについて選択した。
【0257】
特異的プライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応によりDNA構築物を調製する手法は当業者によく知られている (下記の文献を参照のこと、PCR Protocols、1990、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ)。
【0258】
実施例2FVII−(R396C) の調製
BHK細胞を本質的に以前に記載されているように (Thim他 (1988) Biochemistry 27:7785−7793;PerssonおよびNielsen (1996) FEBS Lett. 385、241−243) トランスフェクトして、ベクターFVII−(R396C) を発現させた。第VII因子ポリペプチドを次のようにして精製した:
【0259】
5 mMのEDTA、0.1%のトリトンX−100および10 mMのTris、pH 8.0を添加し、水の添加により導電性を10〜11 mS/cmに調節した後、コンディショニングした培地をQ Sepharose Fast Flow (Pharmacia Biotech) の25 mlのカラム上に負荷した。10 mMのTris、50 mMのNaCl、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0から10 mMのTris、50 mMのNaCl、25 mMのCaCl2、0.1%のトリトンX−100、pH 7.5の勾配により、タンパク質を溶離した。
【0260】
FVII−(R396C) を含有する画分をプールし、CNBr活性化Sepharose 4B (Pharmacia Biotech) にカップリングさせたモノクローナル抗体F1A2 (Novo Nordisk、デンマーク国バグスバード) を含有する25 mlのカラムに適用した。10 mMのCaCl2、100 mMのNaClおよび0.02%のトリトンX−100を含有する50 mMのHepes、pH 7.5と、カラムを平衡化させた。平衡化緩衝液および2 MのNaClを含有する平衡化緩衝液で洗浄した後、CaCl2の代わりに10 mMのEDTAを含有する平衡化緩衝液で、結合した物質を溶離した。使用または貯蔵前に、EDTAよりも過剰のCaCl2を添加するか、あるいはCa2+を含有する緩衝液にFVII−(R396C) を移した。各工程の収量を第VII因子 ELISA測定により追跡し、精製したタンパク質をSD−PAGEにより分析した。
【0261】
実施例3FVII−(M298Q) の調製
BHK細胞を本質的に以前に記載されているように (Thim他 (1988) Biochem istry 27:7785−7793;PerssonおよびNielsen (1996) FEBS Lett. 385、241−243) トランスフェクトして、ベクターFVII−(M298Q) を発現させた。第VII因子ポリペプチドを次のようにして精製した:
【0262】
5 mMのEDTA、0.1%のトリトンX−100および10 mMのTris、pH 8.0を添加し、水の添加により導電性を10〜11 mS/cmに調節した後、コンディショニングした培地をQ Sepharose Fast Flow (Pharmacia Biotech) の25 mlのカラム上に負荷した。10 mMのTris、50 mMのNaCl、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0から10 mMのTris、1 MのNaCl、25 mMのCaCl2、0.1%のトリトンX−100、pH 7.5の勾配により、タンパク質を溶離した。FVII−(V158T/M298Q) を含有する画分をプールし、10 mMのCaCl2を添加し、CNBr活性化Sepharose 4B (Pharmacia Biotech) にカップリングさせたモノクローナル抗体F1A2 (Novo Nordisk、デンマーク国バグスバード) を含有する25 mlのカラムに適用した。
【0263】
10 mMのCaCl2、100 mMのNaClおよび0.02%のトリトンX−100を含有する50 mMのHepes、pH 7.5と、カラムを平衡化させた。平衡化緩衝液および2 MのNaClを含有する平衡化緩衝液で洗浄した後、CaCl2の代わりに10 mMのEDTAを含有する平衡化緩衝液で、結合した物質を溶離した。使用または貯蔵前に、EDTAよりも過剰のCaCl2を添加するか、あるいはCa2+を含有する緩衝液にFVII−(V158T/M298Q) を移した。各工程の収量を第VII因子 ELISA測定により追跡し、精製したタンパク質をSD−PAGEにより分析した。
【0264】
実施例4FVII−(L305V/M306D/D309S) の調製
BHK細胞を本質的に以前に記載されているように (Thim他 (1988) Biochem istry 27:7785−7793;PerssonおよびNielsen (1996) FEBS Lett. 385、241−243) トランスフェクトして、ベクターFVII−(L305V/M306D/D309S) を発現させた。第VII因子ポリペプチドを次のようにして精製した:
【0265】
5 mMのEDTA、0.1%のトリトンX−100および10 mMのTris、pH 8.0を添加し、水の添加により導電性を10〜11 mS/cmに調節した後、コンディショニングした培地をQ Sepharose Fast Flow (Pharmacia Biotech) の25 mlのカラム上に負荷した。10 mMのTris、50 mMのNaCl、0.1%のトリトンX−100、pH 8.0から10 mMのTris、1 MのNaCl、25 mMのCaCl2、0.1%のトリトンX−100、pH 7.5の勾配により、タンパク質を溶離した。FVII−(L305V/M306D/D309S) を含有する画分をプールし、10 mMのCaCl2を添加し、CNBr活性化Sepharose 4B (Pharmacia Biotech) にカップリングさせたモノクローナル抗体F1A2 (Novo Nordisk、デンマーク国バグスバード) を含有する25 mlのカラムに適用した。
【0266】
10 mMのCaCl2、100 mMのNaClおよび0.02%のトリトンX−100を含有する50 mMのHepes、pH 7.5と、カラムを平衡化させた。平衡化緩衝液および2 MのNaClを含有する平衡化緩衝液で洗浄した後、CaCl2の代わりに10 mMのEDTAを含有する平衡化緩衝液で、結合した物質を溶離した。使用または貯蔵前に、EDTAよりも過剰のCaCl2を添加するか、あるいはCa2+を含有する緩衝液にFVII−(L305V/M306D/D309S) を移した。各工程の収量を第VII因子 ELISA測定により追跡し、精製したタンパク質をSD−PAGEにより分析した。
【0267】
実施例5in vitro加水分解アッセイ
自然 (野生型) 第VII因子aおよび第VII因子a変異型 (両方を以後において「第VII因子a」と呼ぶ) を平行にアッセイして、それらの比活性を直接比較した。アッセイをマイクロタイタープレート (MaxiSorp、デンマーク国ヌンク) 中で実施する。0.1 MのNaCl、5 mMのCaCl2および1 mg/mlのウシ血清アルブミンを含有する50 mMのHepes、pH 7.4中の第VII因子a (最終濃度100 nM) に、色素形成基質D−Ile−Pro−Arg−p−ニトロアニリド (S−2288、Chromogenix、スウェーデン国) を1 mMの最終濃度で添加する。405 nmにおける吸収をSpectraMaxTM 340プレートリーダー (Molecular Device、米国) で連続的に測定する。20分のインキュベーションの間に発生した吸収を、酵素を含有しないブランクウェルにおける吸収を減じた後、変異型と野生型第VII因子aの活性間の比の計算に使用した:
比= (A405 nm第VII因子a変異型) / (A405 nm第VII因子a野生型) 。
【0268】
実施例6in vitro加水分解アッセイ
自然 (野生型) 第VII因子aおよび第VII因子a変異型 (両方を以後において「第VII因子a」と呼ぶ) を平行にアッセイして、それらの比活性を直接比較した。アッセイをマイクロタイタープレート (MaxiSorp、デンマーク国ヌンク) 中で実施する。0.1 MのNaCl、5 mMのCaCl2および1 mg/mlのウシ血清アルブミンを含有する100 μlの50 mMのHepes、pH 7.4中の第VII因子a (10 nM) および因子X (0.8 μM) を15分間インキュベートする。次いで、0.1 MのNaCl、20 mMのEDTAおよび1 mg/mlのウシ血清アルブミンを含有する、50 μlの50 mMのHepes、pH 7.4の添加により、因子Xの切断を停止させる。
【0269】
色素形成基質Z−D−Arg−Gly−Arg−p−ニトロアニリド (S−2765、Chromogenix、スウェーデン国) を0.5 mMの最終濃度で添加する。405 nmにおける吸収をSpectraMaxTM 340プレートリーダー (Molecular Device、米国) で連続的に測定する。20分間に発生した吸収を、FVIIaを含有しないブランクウェルにおける吸収を減じた後、変異型と野生型第VII因子aのタンパク質分解活性間の比の計算に使用した:
比= (A405 nm第VII因子a変異型) / (A405 nm第VII因子a野生型) 。
【0270】
実施例7実施例5および6に記載するアッセイにおいて測定したVIIaポリペプチドの相対活性
【表2】

実施例8FVII−(R396C)、FVII−(Q250C)、FVII−(P406C)、FVII−(407C) のPEG結合
遊離チオール基が述べた位置 (250、396、406または407 (後者はC末端的に伸長されている)) のいずれかに導入された、実施例1に記載されている第VII因子a変異型を5倍モル過剰量のPEGビニルスルホンまたはPEG−マレイミド (選択的に任意の他のスルフヒドリル反応性PEG誘導体を使用することができる) と水性緩衝液中で3時間反応させて、反応を事実上完結まで推進させる。
【0271】
PEG誘導体の分子量は少なくとも10,000である。生ずるPEG−FVIIaを実施例5および6に記載されているようにアミド分解およびタンパク質分解活性について試験し、これは野生型ヒト第VII因子aの活性を保持するか、または活性が増加されたVIIa変異型にCysが導入されている場合、PEG誘導体との反応後の活性は野生型ヒト第VII因子aN活性よりも高く維持されるであろう。PEG結合FVIIaを未反応FVIIa変異型および遊離PEG誘導体からクロマトグラフィー、例えば、Superdex−200またはその他のカラム上のゲル濾過により分離する。
【0272】
Cys残基におけるPEG結合はこの分野において知られており、そしていくつかの刊行物、例えば、下記の文献に記載されている:Goodson R. J. およびKatre N. V. (1990) Bio/Technology 8、343およびKogan T. P. (1992) Synthetic Comm. 22、2417。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドであって、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができ、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子ポリペプチド。
【請求項2】
配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択された位置におけるアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチド。
【請求項3】
配列番号1のR396、Q250またはP406から選択されたアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチド。
【請求項4】
配列番号1のR396のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、請求項1〜3のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項5】
配列番号1のQ250のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、請求項1〜4のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項6】
配列番号1のP406のアミノ酸に対応するアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されている、請求項1〜5のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項7】
前記異なるアミノ酸が化学基と結合することができる、請求項2〜6のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項8】
前記異なるアミノ酸がシステインである、請求項1〜7のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項9】
化学基と結合することができる追加のアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置において挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項10】
配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチドであって、化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内のある位置において挿入されており、前記第VII因子ポリペプチドが組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子ポリペプチド。
【請求項11】
前記アミノ酸が配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択された位置に挿入されている、請求項9〜10のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項12】
化学基と結合することができるそれ以上のアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されている、請求項1〜11のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項13】
化学基と結合することができるアミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型のN末端またはC末端に付加されている、配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる第VII因子ポリペプチド。
【請求項14】
前記アミノ酸が配列番号1のC末端に付加されている、請求項12〜13のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項15】
前記アミノ酸がシステインである、請求項9〜14のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項16】
K157、V158、E296、M298、L305、D334、S336、K337、およびF374から成る群から選択されるアミノ酸が他のアミノ酸で置換されており、前記他のアミノ酸が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して活性を増加させる、請求項1〜15のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項17】
K157がG、V、S、T、N、Q、DおよびEから独立して選択されるアミノ酸で置換されている、請求項16に記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項18】
V158がS、T、N、Q、DおよびEから独立して選択されるアミノ酸で置換されている、請求項16〜17のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項19】
E296がR、KおよびVから独立して選択されるアミノ酸で置換されている、請求項16〜18のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項20】
M298がP、K、QおよびNから独立して選択されるアミノ酸で置換されている、請求項16〜19のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項21】
L305がA、V、I、M、F、W、P、G、S、T、C、Y、N、E、K、R、H、DおよびQから独立して選択されるアミノ酸で置換されている、請求項16〜20のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項22】
D334がEで置換されている、請求項16〜21のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項23】
S336がGで置換されている、請求項16〜22のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項24】
K337がA、G、V、S、T、N、Q、DおよびEから独立して選択されるアミノ酸で置換されている、請求項16〜23のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項25】
F374がA、V、L、I、M、W、P、G、S、T、C、Y、N、E、K、R、H、DおよびQから独立して選択されるアミノ酸で置換されている、請求項16〜24のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項26】
前記第VII因子ポリペプチドがヒト第VII因子である、請求項1〜25のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項27】
前記第VII因子ポリペプチドがヒト第VII因子aである、請求項1〜25のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチド。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチドがその触媒中心においてさらに修飾されており、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害する、不活性化第VII因子ポリペプチド。
【請求項29】
前記第VII因子ポリペプチドがその触媒中心においてセリンプロテアーゼインヒビターで修飾されている、請求項26に記載の不活性化第VII因子ポリペプチド。
【請求項30】
前記プロテアーゼインヒビターがPhe−Phe−Argクロロメチルケトン、Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、L−Glu−Gly−ArgクロロメチルケトンおよびD−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン、ダンシル−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−L−Glu−Gly−Argクロロメチルケトンおよびダンシル−D−Glu−Gly−Argクロロメチルケトンから成る群から選択されるペプチドハロメチルケトンである、請求項29に記載の不活性化第VII因子ポリペプチド。
【請求項31】
配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体であって、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体は組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子誘導体。
【請求項32】
前記第VII因子ポリペプチドが請求項1〜9、11〜12、14〜27のいずれかに記載されているものである、請求項31に記載の第VII因子誘導体。
【請求項33】
前記アミノ酸が配列番号1の247〜260、393〜405または406から選択される位置におけるアミノ酸に対応する、請求項31に記載の第VII因子誘導体。
【請求項34】
配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体であって、アミノ酸が配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型内に挿入されており、前記アミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子誘導体。
【請求項35】
前記第VII因子ポリペプチドが9〜12、14〜27のいずれかに記載されているものである、請求項34に記載の第VII因子誘導体。
【請求項36】
配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体であって、アミノ酸が配列番号1またはその変異型のN末端またはC末端に付加されており、前記アミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子誘導体。
【請求項37】
前記第VII因子ポリペプチドが12〜27のいずれかに記載されているものである、請求項36に記載の第VII因子誘導体。
【請求項38】
前記化学基が実質的に中性である、請求項1〜37のいずれかに記載の第VII因子誘導体。
【請求項39】
前記化学基が前記第VII因子誘導体の実際の分子量を約1,000ダルトン〜約80,000ダルトンだけ増加させる、請求項31〜38のいずれかに記載の第VII因子誘導体。
【請求項40】
前記化学基が前記第VII因子誘導体の実際の分子量を約5,000ダルトン〜約60,000ダルトンだけ増加させる、請求項31〜39のいずれかに記載の第VII因子誘導体。
【請求項41】
前記化学基が前記第VII因子誘導体の実際の分子量を約10,000ダルトン〜約40,000ダルトンだけ増加させる、請求項31〜40のいずれかに記載の第VII因子誘導体。
【請求項42】
前記化学基がポリエチレングリコールである、請求項31〜41のいずれかに記載の第VII因子誘導体。
【請求項43】
前記化学基がポリエチレングリコールの1〜6分子から選択される、請求項31〜42のいずれかに記載の第VII因子誘導体。
【請求項44】
前記化学基がポリエチレングリコールの1分子である、請求項43に記載の第VII因子誘導体。
【請求項45】
前記化学基がポリペプチド中のアミノ酸と置換した、ポリペプチドの中に挿入された、またはポリペプチドに付加されたアミノ酸上に存在する遊離スルフヒドリル基に結合している、請求項31〜44のいずれかに記載の第VII因子誘導体。
【請求項46】
前記化学基がシステインに結合している、請求項31〜45のいずれかに記載の第VII因子誘導体。
【請求項47】
不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、さらに化学基に結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、不活性化第VII因子誘導体。
【請求項48】
前記不活性化第VII因子ポリペプチドが請求項28〜30のいずれかに記載のものである、請求項47に記載の不活性化第VII因子誘導体。
【請求項49】
前記化学基が実質的に中性である、請求項47〜48のいずれかに記載の不活性化第VII因子誘導体。
【請求項50】
前記化学基が前記不活性化第VII因子誘導体の実際の分子量を約1,000ダルトン〜約80,000ダルトンだけ増加させる、請求項47〜49のいずれかに記載の不活性化第VII因子誘導体。
【請求項51】
前記化学基が前記不活性化第VII因子誘導体の実際の分子量を約5,000ダルトン〜約60,000ダルトンだけ増加させる、請求項47〜50のいずれかに記載の不活性化第VII因子誘導体。
【請求項52】
前記化学基が前記不活性化第VII因子誘導体の実際の分子量を約10,000ダルトン〜約40,000ダルトンだけ増加させる、請求項47〜51のいずれかに記載の不活性化第VII因子誘導体。
【請求項53】
前記化学基がポリエチレングリコールである、請求項47〜52のいずれかに記載の不活性化第VII因子誘導体。
【請求項54】
前記化学基がポリエチレングリコールの1〜6分子から選択される、請求項47〜53のいずれかに記載の不活性化第VII因子誘導体。
【請求項55】
前記化学基がポリエチレングリコールの1分子である、請求項54に記載の不活性化第VII因子誘導体。
【請求項56】
ポリペプチド中のアミノ酸と置換した、ポリペプチドの中に挿入された、またはポリペプチドに付加されたアミノ酸上に存在する遊離スルフヒドリル基に結合している、請求項47〜55のいずれかに記載の不活性化第VII因子誘導体。
【請求項57】
前記化学基がシステインに結合している、請求項47〜56のいずれかに記載の不活性化第VII因子誘導体。
【請求項58】
配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体を含んでなる組成物であって、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基が前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、組成物。
【請求項59】
請求項31〜46のいずれかに記載の第VII因子誘導体を含んでなる組成物。
【請求項60】
不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾は血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、化学基にさらに結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物。
【請求項61】
請求項47〜57のいずれかに記載の不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物。
【請求項62】
配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなる第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物であって、ここでアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体が組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、医薬組成物。
【請求項63】
請求項31〜46のいずれかに記載の第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項64】
不活性化第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物であって、ここで不活性化第VII因子ポリペプチドが配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなり、かつその触媒中心において修飾を有し、前記修飾が血漿因子XまたはIXを活性化する第VII因子ポリペプチドの能力を阻害し、化学基にさらに結合しており、前記化学基が前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、医薬組成物。
【請求項65】
請求項47〜57のいずれかに記載の不活性化第VII因子誘導体と、必要に応じて、薬学上許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項66】
請求項1〜27のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド構築物。
【請求項67】
ベクターである、請求項66に記載のポリヌクレオチド構築物。
【請求項68】
請求項66〜67のいずれかに記載のポリヌクレオチド構築物を含んでなる真核宿主細胞。
【請求項69】
哺乳動物由来である、請求項68に記載の真核宿主細胞。
【請求項70】
前記細胞がCHO細胞、BHK細胞またはHEK細胞から成る群から選択される、請求項69に記載の真核宿主細胞。
【請求項71】
請求項66〜67のいずれかに記載のポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック動物。
【請求項72】
請求項66〜67のいずれかに記載のポリヌクレオチド構築物を発現するトランスジェニック植物。
【請求項73】
ポリヌクレオチド構築物からのタンパク質合成を可能とする条件下に適当な成長培地中で請求項68〜70のいずれかに記載の真核宿主細胞を培養し、そして培地から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、請求項1〜27のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチドを製造する方法。
【請求項74】
請求項71に記載のトランスジェニック動物が産生した乳から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、請求項1〜27のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチドを製造する方法。
【請求項75】
請求項72に記載のトランスジェニック植物の細胞を培養し、そして生ずる植物から第VII因子ポリペプチドを回収することを含んでなる、請求項1〜27のいずれかに記載の第VII因子ポリペプチドを製造する方法。
【請求項76】
工程:
a) 請求項73〜75のいずれかに記載の方法により第VII因子ポリペプチドを製造し、
b) 第VII因子ポリペプチドを化学基と結合させ、
c) 第VII因子誘導体をカチオン交換クロマトグラフィーまたはゲル濾過カラムに適用し、そして
d) 第VII因子誘導体を溶離する、
を含んでなる、第VII因子誘導体を製造する方法。
【請求項77】
工程:
a) 請求項73〜75のいずれかに記載の方法により第VII因子ポリペプチドを製造し、
b) 第VII因子ポリペプチドをその触媒中心においてセリンプロテアーゼインヒビターで修飾し、
c) 不活性化第VII因子ポリペプチドを化学基と結合させ、
d) 不活性化第VII因子誘導体をカチオン交換クロマトグラフィーまたはゲル濾過カラムに適用し、そして
e) 不活性化第VII因子誘導体を溶離する、
ことを含んでなる、不活性化第VII因子誘導体を製造する方法。
【請求項78】
前記化学基が約300ダルトン〜約100,000ダルトンの分子量を有する、請求項76〜77のいずれかに記載の方法。
【請求項79】
前記化学基が実質的に中性である、請求項76〜78のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
前記化学基が約1,000ダルトン〜約80,000の分子量を有する、請求項76〜79のいずれかに記載の方法。
【請求項81】
前記化学基が約5,000ダルトン〜約60,000の分子量を有する、請求項76〜80のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
前記化学基が約10,000ダルトン〜約40,000の分子量を有する、請求項76〜81のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
前記化学基がポリエチレングリコールである、請求項76〜82のいずれかに記載の方法。
【請求項84】
前記化学基がポリエチレングリコールの1〜6分子から選択される、請求項76〜83のいずれかに記載の方法。
【請求項85】
前記化学基がポリエチレングリコールの1分子である、請求項76〜84のいずれかに記載の方法。
【請求項86】
前記化学基がポリペプチド中のアミノ酸と置換した、ポリペプチドの中に挿入された、またはポリペプチドに付加されたアミノ酸上に存在する遊離スルフヒドリル基に結合している、請求項76〜85のいずれかに記載の方法。
【請求項87】
前記化学基がシステインに結合している、請求項76〜86のいずれかに方法。
【請求項88】
出血性エピソードを治療しまたは正常の止血系を増強する薬剤を製造するための第VII因子誘導体の使用であって、前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体は組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、第VII因子誘導体の使用。
【請求項89】
出血性エピソードを治療しまたは正常の止血系を増強する薬剤を製造するための請求項31〜46のいずれかに記載の第VII因子誘導体の使用。
【請求項90】
血友病AまたはBを治療するための請求項88〜89のいずれかの使用。
【請求項91】
被検体に治療または予防的に有効量の第VII因子誘導体を投与することを含んでなり、前記第VII因子誘導体は配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を有する第VII因子ポリペプチドを含んでなり、アミノ酸が異なるアミノ酸で置換されており、前記異なるアミノ酸が化学基と結合しており、前記化学基は前記第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させ、そして前記第VII因子誘導体は組換え野生型ヒト第VII因子aに比較して実質的に同一の活性または増加した活性を有する、被検体における出血性エピソードまたは出血性障害を治療しまたは正常の止血系を増強する方法。
【請求項92】
被検体に治療的または予防的に有効量の請求項31〜46のいずれかに記載の第VII因子誘導体を投与することを含んでなる、被検体における出血性エピソードまたは出血性障害を治療しまたは正常の止血系を増強する方法。
【請求項93】
患者における血栓の形成を抑制する薬剤を製造するための不活性化第VII因子誘導体の使用であって、ここで配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる不活性化第VII因子ポリペプチドが化学基に結合しており、前記化学基は前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、不活性化第VII因子誘導体の使用。
【請求項94】
患者における血栓の形成を抑制する薬剤を製造するための請求項47〜57のいずれかに記載の不活性化第VII因子誘導体の使用。
【請求項95】
患者において血栓が形成しやすい血管部位に治療的に有効な投与量の不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物を局所的に投与することを含んでなり、ここで配列番号1のアミノ酸配列またはその変異型を含んでなる不活性化第VII因子ポリペプチドが化学基に結合しており、前記化学基は前記不活性化第VII因子ポリペプチドの実際の分子量を約300ダルトン〜約100,000ダルトンだけ増加させる、患者における血栓の形成を抑制する方法。
【請求項96】
患者において血栓が形成しやすい血管部位に治療的に有効な投与量の請求項47〜57のいずれかに記載の不活性化第VII因子誘導体を含んでなる組成物を局所的に投与することを含んでなる、患者における血栓の形成を抑制する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−159969(P2009−159969A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−30465(P2009−30465)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【分割の表示】特願2002−576661(P2002−576661)の分割
【原出願日】平成14年3月21日(2002.3.21)
【出願人】(501497563)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト (58)
【Fターム(参考)】